説明

感圧転写テープ

【課題】スリット時に、粘着剤層の転移に起因する感圧転写テープの諸不良を低減することができる、感圧転写テープ及びその感圧転写テープの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の感圧転写テープは、基材上に粘着剤層を有する感圧転写テープであって、前記粘着剤層は非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相と粘着性樹脂相からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ基材上に粘着剤層を設けた感圧転写テープ及びその感圧転写テープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、両面粘着テープの一つに支持体(芯材)を有さず粘着剤層のみを被着材に転写する無支持体両面粘着テープがあり、感圧転写テープとして様々な分野・用途で使用されている。その構造としては剥離ライナーあるいは剥離性基材の片面に粘着剤層を設けてロール状に巻いたものが多く、最近では主に事務用途向けとして、これらを小巻にして装着した転写装置が「テープのり」などの名称で市販されている。
【0003】
このような転写装置として、特許文献1は、感圧転写粘着テープを巻き付ける送出リールと、この送出リールより供給される感圧転写テープの粘着剤層を基材から剥離しながら被転写体へ転写させる転着ヘッドと、転写使用後に残った基材を巻き取る巻回リールとを片手で把持使用が可能な容器本体内に装備したことを特徴とする転写装置を開示している。このような装置は、紙の接着において一般に用いられている液体のりや固形のりとは異なり、手を汚すことなく簡単に粘着剤を被着材へと転写でき、接着するまでの乾燥時間が不要である、被着材である紙がしわにならないなどの利点がある。さらにこれらは、必要長さの粘着剤を被着材に転写した後に転写装置を被着材から垂直に持ち上げたり横に払うなどすることによって粘着剤層を切断できるので、支持体を有する一般的な両面テープのようにあらかじめテープを必要な長さに切断しておく必要がなく、また、粘着剤層を転写し終えた剥離性基材は転写装置内のリールに巻き取られるので使用時にごみが発生しないなど、非常に便利な転写装置である。
【0004】
このような転写装置に用いられる感圧転写テープは一般に以下のように製造されている。基材として両面離型処理された剥離性基材の片面に粘着剤層をグラビアコータ等で塗工し乾燥させる。この際の粘着剤層を構成する粘着剤は、一般的にはアクリルエマルジョン系、アクリルラテックス系、スチレン系、合成ゴム系の粘着剤が用いられている。ついで、転写装置に収納するために適当な長さ、幅に切断し送り出しロールに巻取る(一般的にはスリットと呼ばれる工程である)。
しかしながら、スリット時に粘着剤層を形成している粘着剤がスリット刃に付着する場合があり、特にドット形状やライン形状に粘着剤層が形成されている場合には、ドット抜けやライン抜けの原因となる。また粘着剤が多量にスリット刃に付着してダマ状となることでスリット刃の切れを悪くし、スリットされた感圧転写テープの側面がきれいに切れず、所謂スリット不良の原因にもなっていた。さらにスリット刃に付着していた粘着剤が再度感圧転写テープに転移することによりブロッキングの原因にもなっていた。
【0005】
【特許文献1】特開2001−192625号公報
【特許文献2】特開平10−46117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は従来の上記の問題点を解決すべく種々検討した結果、本発明を完成したものであって、本発明の目的は、スリット時に、粘着剤層の転移に起因する感圧転写テープの諸不良を低減することができる、感圧転写テープ及びその感圧転写テープの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の感圧転写テープは、基材上に粘着剤層を有する感圧転写テープであって、前記粘着剤層は非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相と粘着性樹脂相からなることを特徴とする。
前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびそのラジカル重合性単量体を共重合して得られる共重合体であって、該共重合体中のカルボキシル基の一部又は全部が沸点110℃以下の塩基で中和されている、ガラス転移温度が20℃以上の水溶性または水分散性の共重合体であることが好ましい。
前記粘着性樹脂相は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするガラス転移温度が−10℃以下のラジカル重合性単量体であることが好ましい。
前記粘着剤層は前記高分子粘着剤乳化剤相の存在下に前記粘着性樹脂相を水性媒体中で乳化して得られる水性重合体エマルジョンであることが好ましい。
前記粘着剤層が、複数の丸形、四角形、または多角形のドット形状からなることが好ましい。
前記粘着剤層は複数の転写方向に対して略垂直なライン形状を有することが好ましい。
【0008】
本発明の感圧転写テープの製造方法は、基材上に非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相と粘着性樹脂相とからなる粘着剤層を有する感圧転写テープの製造方法であって、
前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびそのラジカル重合性単量体を共重合して得られる共重合体からなり、
前記粘着性樹脂相は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするガラス転移温度が−10℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体からなり、
前記粘着剤層は前記高分子粘着剤乳化剤相の存在下に前記粘着性樹脂相を水性媒体中で乳化して得られる水性重合体エマルジョンであり、
前記粘着剤層を前記基材に塗工し、得られた塗工層を前記高分子粘着剤乳化剤相のガラス転移温度未満で乾燥することにより、前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤の連続相に前記粘着性樹脂相が分散相として存在させて、非粘着層を形成し、その後、相転移加熱のために前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相のガラス転移温度以上で加熱することにより、前記高分子粘着剤乳化剤相と前記粘着性樹脂相を相転移させて、前記粘着性樹脂相の連続相に高分子粘着剤乳化剤相を分散相として存在させることにより前記非粘着層に粘着性を付与することを特徴とする。
本発明の感圧転写テープの製造方法において、前記相転移加熱を感圧転写テープのスリット後に行うことが好ましい。
本発明の感圧転写テープの製造方法において、前記粘着剤層を複数の丸形、四角形、または多角形のドット形状に形成することが好ましい。
本発明の感圧転写テープの製造方法において、前記粘着剤層は複数の転写方向に対して略垂直なライン形状に形成することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の感圧転写テープは、基材上に粘着剤層を有する感圧転写テープであって、前記粘着剤層は非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相と粘着性樹脂相からなることを特徴とする。
前記粘着剤層を構成する材料の一例について以下に詳述する。
【0010】
本発明における粘着剤層の粘着性樹脂相は、ガラス転移温度が−10℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性単量体または必要に応じてこれと共重合し得る他のラジカル重合性単量体(以下、これを「共重合性単量体)」ということがある)を少量(好ましくは40重量%以下)併用したものからなる。
【0011】
本発明における粘着剤層の非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびそのラジカル重合性単量体を共重合して得られる共重合体からなる。そして、本発明の粘着剤層は、前記高分子粘着剤乳化剤相の存在下に前記粘着性樹脂相を水性媒体中で乳化して得られる水性重合体エマルジョンからなる。
【0012】
水性重合体エマルジョンの製造に用いられる上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、そのアルキル基の炭素数が1〜12個である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられ、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニルおよび(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができ、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上を用いることができる。特に、本発明では、水性重合体エマルジョンの製造に当たって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アルキル基の炭素数が4〜9個である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上を主成分として用いるのが好ましい。
【0013】
また、上記したように、水性重合体エマルジョンの製造に当たっては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に他の共重合性単量体を少量成分として用い得るが、そのような共重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族系単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を挙げることができ、これらの共重合性単量体の1種または2種以上を用いることができる。
【0014】
上記した他の共重合性単量体を用いる場合は、水性重合体エマルジョンの製造に用いるラジカル重合性単量体の合計重量に基づいて、該他の共重合性単量体の使用割合が、上記したように40重量%以下であることが好ましい。他の共重合単量体の使用割合が40重量%を超えると、水性重合体エマルジョンから形成される粘着剤層の粘着性が不足しやすくなって、感圧転写テープを加熱しても粘着性を発現しにくくなる。
【0015】
水性重合体エマルジョンの製造法は特に制限されず、従来公知の乳化重合と同様に行うことができる。すなわち、後に説明する非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相の存在下に、ガラス転移温度が−10℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性単量体を水性媒体中に均一に分散させ、重合開始剤を用いて乳化重合することにより水性重合体エマルジョンを得ることができる。かかる乳化重合においては、高分子粘着剤乳化剤相が界面活性剤(乳化剤)として機能するので、乳化重合時に保護コロイドや他の界面活性剤などの乳化剤の使用を通常の乳化重合の場合よりも少量にでき、所望により他の乳化剤は一切使用しないことも可能である。その結果、本発明の感圧転写テープは、通常の乳化重合によって得られる水性重合体エマルジョンを用いて粘着剤層を形成させた感圧転写テープと比較して耐水性に優れている。
【0016】
また、乳化重合において使用される重合開始剤としては、乳化重合に一般的に用いられる重合開始剤のいずれもが使用可能であり、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物またはアゾ系化合物等を使用することができる。重合開始剤の好ましい使用量は、単量体の合計量を基準にして、0.1〜5重量%である。
【0017】
水性重合体エマルジョンを製造するための前記した乳化重合において、得られる重合体の分子量の調節のために連鎖移動剤を使用してもよく、かかる連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト基を有する連鎖移動剤を挙げることができる。
【0018】
また、水性重合体エマルジョンを製造する際の重合温度は、0〜150℃程度であるのが好ましく、20〜90℃であるのがより好ましい。また、その際の重合時間は1〜24時間程度であるのが好ましく、3〜8時間程度であるのがより好ましい。
【0019】
水性重合体エマルジョンにおいては、後に詳述する非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性単量体から製造された重合体部分(以下、これを「(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体部分」ということがある。)とが、コア/シェル構造、すなわち(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体がコアとなり、後に詳述する非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相がシェルとなる構造を構成しているものと推測される。
【0020】
また、水性重合体エマルジョンにおいては、後に詳述する非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相部分と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体部分の重量割合が、固形分の重量比で、非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相部分/(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体部分=5/95〜80/20であることが好ましく、10/90〜60/40であることがより好ましい。水性重合体エマルジョン中の固形分(重合体合計量)を基準にして、非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相部分が5重量%未満であると、得られる感圧転写テープでは、その粘着剤層の常温(25℃)での粘着力が10g/25mmを超えるようになり、かかる感圧転写テープは、剥離処理(剥離紙や剥離剤による処理)が不要になるという本発明の一効果を発現しない場合がある。一方、水性重合体エマルジョンにおける非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相部分の割合が、水性重合体エマルジョンの固形分を基準にして80重量%を超えると、水性重合体エマルジョンから形成される粘着剤層のTgが高くなり過ぎて、加熱あるいは加圧により発現する粘着性能が劣ったものになり易い。
【0021】
前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびそのラジカル重合性単量体を共重合して得られる共重合体であって、該共重合体中のカルボキシル基の一部又は全量が沸点110℃以下の塩基で中和されている、ガラス転移温度が20℃以上の水溶性または水分散性の共重合体からなる。
【0022】
そして、本発明の感圧転写テープの粘着剤層において、上記した水性重合体エマルジョンの製造に用いる非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相のTgは20℃以上である。非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相のTgが20℃未満であると、非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相の存在下に(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするラジカル重合性単量体を乳化重合して得られる水性重合体エマルジョンから形成される粘着剤層が、室温下で非粘着性または低粘着性にならない、すなわちJIS Z 0237に規定する180度ひきはがし法による温度25℃での粘着力が10g/25mm以下にならず、常温でも粘着性を示すようになり本発明の目的を達成することができない。また、非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相のTgが極端に高いと、粘着性を発現させるための加熱温度が高くなって、粘着性を発現させるための作業効率が悪くなり、加熱時の高温により感圧転写テープの基材が変質、熱収縮し易くなる。そのため、それらの点から、非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相の好ましいTgは30〜200℃であり、より好ましくは30℃〜150℃である。
【0023】
非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相(中和前共重合体)の製造に用いるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸等を挙げることができ、これら単量体の1種または2種以上を用いることができる。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の好ましい使用量は、かかる不飽和カルボン酸および他の共重合性単量体を共重合して得られる、塩基で中和する前の共重合体(中和前共重合体)の酸価が、中和前共重合体1g当たり30〜260mgKOHになる量である。中和前共重合体の酸価が、中和前共重合体1g当たり、30mgKOH未満であるとこれを塩基で中和しても水に良好に溶解または分散し得る共重合体を得ることが困難になり、一方260mgKOH/gを超えると耐水性が劣ったものとなる。上記酸価を与えるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の使用量は、用いる不飽和カルボン酸の種類によって異なるが、中和前共重合体の製造に用いられる全単量体の合計重量に基づいて、通常3〜40重量%程度であるのが好ましい。
【0024】
非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相(中和前共重合体)を製造するために上記したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と共に用いる疎水性のラジカル重合性単量体としては、水100gに対する溶解度が2g以下のものが好ましく、例えば、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニルおよび(メタ)アクリル酸イソノニル等の(メタ)アクリル酸アルキル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族系単量体等が挙げられる。上記の疎水性単量体の使用量は、非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相を合成するために供される全単量体の合計量を基準にして、30〜80重量%が好ましい。
【0025】
また、非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相を合成するために、上記したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸以外の親水性ラジカル重合性単量体を必要に応じて使用することもでき、かかる親水性ラジカル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート 、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、N−メチロールアクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩並びに2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩等が挙げられる。
【0026】
上記したα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、疎水性のラジカル重合性単量体および必要に応じて用いられる親水性のラジカル重合性単量体の種類並びに使用割合は、得られる重合体のTgが20℃となるように、下記の計算式に基づいて選択される。
【0027】
なお、本発明における重合体のガラス転移温度(以下「Tg」と略記することがある)は、以下の計算式から求められる値をいう。
1/Tg={W(a)/Tg(a)}+{W(b)/Tg(b)}+{W(c)/Tg(c)}+・・(数式1)
【0028】
上記の式中、
Tg は重合体のガラス転移温度を示し、
W(a)は重合体における単量体(a)からなる構造単位の重量分率を示し、
W(b)は重合体における単量体(b)からなる構造単位の重量分率を示し、
W(c)は重合体における単量体(c)からなる構造単位の重量分率を示し、
Tg(a)は単量体(a)の単独重合体のガラス転移温度を示し、
Tg(b)は単量体(b)の単独重合体のガラス転移温度を示し、
Tg(c)は単量体(c)の単独重合体のガラス転移温度を示す。
【0029】
上記した中和前共重合体を得るための重合法としては、種々の重合法が採用でき、例えば放射線照射による重合法、ラジカル重合開始剤を用いる方法などの公知の方法を使用できる。そのうちでも、ラジカル重合開始剤を用いる重合法が重合操作の容易性、得られる中和前共重合体における分子量調節の容易性などの点から好ましい。また、重合法としては、溶液重合法、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、沈殿重合法などがあげられるが、溶液重合法が好ましく、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸および他の共重合性単量体を有機溶媒に溶解し、適当なラジカル重合開始剤を用いて重合を行うことによって中和前共重合体を円滑に得ることができる。
【0030】
均質で安定な非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相(中和前共重合体)を得るためには、可能な限り反応系中の単量体比率を一定に保つように単量体の滴下速度をコントロールすることが望ましい。具体的には、共重合性が乏しく反応性の低い単量体を重合の初期にその一部または全量を反応器中に仕込み、そして反応速度の速い単量体を反応の途中に滴下する方法、反応速度の遅い単量体の一部と反応速度の速い単量体の一部を反応器に仕込んでおいて反応速度の速い単量体の消費速度に合わせて反応速度の遅い単量体を反応器中に滴下する方法などを採用することによって均質な非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相(中和前共重合体)を得ることができる。
【0031】
上記した溶液重合を行う場合に好ましく用いられる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ノルマルブチルセロソルブ、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のアルコール系溶媒;テトラヒドフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド等を挙げることができ、これらの有機溶媒は単独で使用してもまたは2種以上併用してもよい。そのうちでも、有機溶媒として、メチルエチルケトンおよび/またはイソプロピルアルコールがより好ましく用いられる。
【0032】
また、上記した溶液重合で用いるラジカル重合開始剤としては、一般のラジカル重合に用いられているもののいずれもが使用可能であり、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系重合開始剤;2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;クメンヒドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸化剤と、ロンガリット、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤等を挙げることができる。重合開始剤の好ましい使用量は、単量体の合計量を基準にして、0.1〜5重量%である。
【0033】
また、上記した溶液重合では、得られる中和前共重合体の分子量調整のために、連鎖移動剤を重合系に適宜添加してもよく、その際の連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、エチルメルカプトアセテート、チオフェノール、2−ナフタレンチオール、ドデシルメルカプタンおよびチオグリセロール等を挙げることができる。
【0034】
中和前共重合体を得るための重合温度は、10〜150℃程度であるのが好ましく、60〜100℃であるのがより好ましい。また、重合時間は1〜100時間が適当であり、より好ましくは3〜10時間である。
【0035】
そして、中和前共重合体はその数平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましい。中和前共重合体の数平均分子量が1,000未満であると、感圧転写テープにおける粘着剤層の耐水性や耐湿性が劣ったものになり易く、一方、500,000を超えると高粘度となって中和前共重合体自体の製造が困難になる。
【0036】
次に、上記重合によって得られる中和前共重合体中のカルボキシル基の一部または全部を、沸点が110℃以下の塩基によって中和して、本発明で用いる非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相に変換する。中和に使用する塩基の沸点が110℃を超えると、塗工乾燥後の粘着剤層中に塩基が残存して、粘着剤層の耐水性および耐湿性が劣ったものとなる。中和前共重合体のカルボキシル基の中和に用いる、沸点110℃以下の塩基の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびアリルアミン等を挙げることができ、そのうちでもアンモニアが好ましく用いられる。
【0037】
中和前共重合体のカルボキシル基の中和量は、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。中和前共重合体のカルボキシル基の中和量が50モル%未満であると、非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相の界面活性能および水溶性が低下し易い。
【0038】
中和前共重合体中のカルボキシル基を塩基で中和するに当たっては、上記した溶液重合などにより得られる中和前共重合体を、反応媒体から回収せずにそのまま反応媒体中に存在させた状態(特に有機溶媒中に溶解した状態)にしておき、そこに中和用の塩基を添加して行うのが操作が容易である点から好ましい。その際に、中和用の塩基を、水溶液として添加すると、カルボキシル基の中和が円滑に行われるのでより好ましい。
【0039】
上記によってカルボキシル基の一部または全部が中和された非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相を得ることができる。非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相は、中和処理を行った反応系から取り出して、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから主としてなるラジカル重合性単量体の乳化重合に用いてもよい。しかしながら、中和前共重合体を溶液重合によって製造し、それに中和用の塩基の水溶液を添加して中和前共重合体中のカルボキシル基を中和して反応媒体中に非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相を形成させた後、系に存在する有機溶媒を適当な方法(例えば減圧下)で除去して非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相の濃度が10〜60重量%程度の水溶液または水性分散液の形態にし、その一部または全量を取り出して次の水性エマルジョンの製造工程で用いることが好ましい。
【0040】
また、本発明における感圧転写テープの基材としては、粘着剤に対して剥離効果を有するのであれば、いずれのものも使用できる。例えばポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム、グラシン紙等の紙、金属箔等であり、剥離効果を付与するために必要に応じて片面もしくは両面にシリコン樹脂やフッ素樹脂などからなる剥離層が設けられる。一般的に、基材の厚さは10〜60μmが適当である(特許文献1および特許文献2)。
【0041】
本発明においては、塗工時の乾燥温度は前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相のガラス転移温度未満、より好ましくは該ガラス転移温度Tgに対して、10℃〜20℃低い温度の範囲である。ガラス転移温度(Tg)未満で加熱乾燥する、より好ましくはTgに対して10℃以上低い温度で加熱乾燥することにより、この時点で、図1に示すように、粘着剤層の高分子粘着剤乳化相が連続相となり、粘着樹脂相が分散相となるので、粘着剤層の粘着性発現を抑制することができる。
【0042】
本発明においては、粘着剤層を基材に塗工、乾燥後、粘着性を発現させるために粘着剤を加熱する必要がある。この際の加熱温度は前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相のガラス転移温度よりも10℃以上、より好ましくは該ガラス転移温度Tgに対して、30℃以上の範囲である。ガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上、より好ましくは30℃以上で加熱することにより、図1に示される状態から図2に示される状態に変化するという、粘着剤層の高分子粘着剤乳化相と粘着樹脂相の相転移が起こる。このことにより粘着樹脂相が連続相となり、高分子粘着剤乳化剤相が分散相となるので、粘着剤層の粘着性が発現することとなる。
【0043】
相転移のために行う加熱のタイミングは、以下の通りである。
(1)塗工および乾燥をタンデムで行うので、乾燥後、粘着剤層の塗工後、巻取る前であって塗工機の部材(例えば各種ロール)と塗工面が最後に接触する箇所を通過後(完全に巻取った後、スリットまでの間に別工程で乾燥工程を設ける場合も含む)に加熱する。効果として、各種ロールと粘着層とのブロッキングを防止できる。よって、ロール汚れを防ぐことができ、粘着剤層の抜けを防止することができ、各種ロールに離型処理を施す必要がなくなる等である。
(2)スリット後に加熱する。効果として、スリット刃に粘着剤を取られることを防止することができる。よって、粘着剤層の抜けを防止することができ、スリット刃に粘着剤が付着することによりスリット刃の切れの低下を防止でき、スリットされたフィルムのスリット面がきれいに仕上がる等である。
(3)いずれのタイミングにおいても、塗工から乾燥までの間に未乾燥の粘着剤層が基材裏面とブロッキングすることを防止することができるので、両面離型フィルムを用いる必要がなくなり、片面離型フィルムを用いることができるのでコストダウンが可能となる。
【0044】
以下の実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【実施例】
【0045】
(粘着剤の調製1)
(高分子粘着剤乳化剤相用共重合体の合成)
(1)メタクリル酸ブチル20部、メタクリル酸メチル10部、アクリロニトリル35部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、メタクリル酸25部およびメチルエチルケトン100部の混合液に、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したものを、攪拌機、コンデンサ、温度計、窒素導入管を備えたフラスコに仕込み、窒素雰囲気下80℃で4時間加熱した後、さらに0.5部の2,2´−アゾビスイソブチロニトリルを投入し、同温度で5時間加熱し、固形分含量が50%の中和前重合体(酸価162.5mgKOH/g共重合体)のメチルエチルケトン溶液を得た。
(2)上記(1)で得られた中和前重合体のメチルエチルケトン溶液201部に、撹拌しながら3.9%アンモニア水100部を徐々に加えて中和前共重合体におけるカルボキシル基の中和を行って反応液のpHを7〜8程度とした後、減圧下に温度50℃でメチルエチルケトンを除去し、カルボキシル基の中和された共重合体(固形分含量54%)の水溶液(pH7.7)を得た(以下、これを「共重合体(a1)水溶液」とする。Tg=88.6℃(計算値))。
(粘着剤混合・合成例)
(1)アクリル酸2−エチルヘキシル95部およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル5部を混合して単量体混合物を調製した。
(2)攪拌機、温度計、コンデンサ、窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオン水100部および合成例1で調整した共重合体(a1)水溶液30部を添加しておき、窒素雰囲気下で60℃に昇温した後、t−ブチルハイドロパーオキシドの水溶液5部、ロンガリット(商品名;ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水塩)の10%水溶液5部、および上記(1)で調整した単量体混合物100部を別供給で3時間かけて滴下した。滴下後同温度でさらに2時間反応させを継続させて重合を終了して、固形分濃度が約49%の水性重合体エマルジョンの粘着剤(Tg=−66℃(計算値))を得た。
【0046】
(実施例1)
(感圧転写テープの作製)
上記粘着剤混合・合成例で調製した粘着剤を用い、両面剥離処理したポリエチレンテレフタレート製フィルムからなるテープ基材にグラビア印刷で塗布して、図3に示すような四角形状でかつ転写方向の先端の角が欠けている粘着剤層を形成し感圧転写テープ(粘着性未発現であり、その模式的断面図を図1に示す)を得た。粘着剤層の各四角形状の面積を2.2mm2(欠けのある例においては欠けがない場合の面積)、隣接する粘着剤層相互の間隔を0.3mmとした。
尚、塗布時の乾燥温度は前記共重合体(a1)のTgより15.6℃低い73℃とし、乾燥時間は約5分程度であった。製造後に感圧転写テープの粘着剤層面と接するロールの表面を観察したところ、粘着剤の付着はなかった。また感圧転写テープ(粘着性未発現)の粘着剤層面を目視で確認したところ、ロール等に粘着剤層が取られることによるドット抜けはなかった。その後、相転移加熱のため、感圧転写テープを120℃で2分間加熱した。相移転後に粘着性が発現した感圧転写テープの模式的断面図を図2に示す。
(粘着力の測定)
得られた感熱転写テープの粘着剤を厚さ50μmのポリエステルフィルムに幅25mm、長さ250mmに渡って均一に転写し試験片を作製した。得られた試験片を試験板である研磨したステンレス板に貼り、2kgのゴムローラを一往復して、圧着し、30分後に300mm/minの引っ張り速度で試験板に対する180°引剥がし粘着力を求めた測定はJIS Z 0237に準じて行った。結果は1000g/25mmと良好な値を示した。
【0047】
(実施例2)
作製した感熱転写テープを幅8.5mmにスリットし、同径10mmのコアに巻取った後、相転移加熱を行う以外は実施例1と同様にして感熱転写テープを作製した。スリット長は全長で20000m、スリット刃の変更や清掃を行うことなく連続で実施した。
全長スリット後にスリット刃を目視で確認したところ、スリット刃に粘着剤の付着はなかった。またスリットした感圧粘着テープのスリット端面をルーペ(20倍)で確認したところ、全長に渡って端面の乱れはなく、正常にスリットされていることが確認できた。
(粘着剤の調製2)
(高分子粘着剤乳化剤相用共重合体の合成)
前記粘着剤の調製1に記載のメタクリル酸ブチルから2,2´−アゾビスイソブチロニトリルに代えて、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル20部、メタクリル酸メチル50部、アクリル酸30部を用いた以外は粘着剤の調製1と同様にして、高分子粘着剤乳化剤相用共重合体を調製した(以下、これを「共重合体(a2)水溶液」とする。Tg=84.5℃(計算値))。
(粘着剤混合・合成例2)
(1)アクリル酸メチル35部、アクリル酸ブチル60部、メタクリル酸メチル4.7部およびN−メチロールアクリルアミド0.3部を混合して単量体混合物を調製した。
(2)水性重合体エマルジョンの粘着剤の製造時に、共重合体(a2)水溶液20部と前記(1)で調整した単量体混合物100部を用いた以外は、前記粘着剤混合・合成例1と同様にして水性重合体エマルジョンの粘着剤(Tg=−40.6℃(計算値))を得た。
【0048】
(実施例3)
前記粘着剤混合・合成例2で製造した水性重合体エマルジョンを用い、塗布時の乾燥温度を共重合体(a2)水溶液のTgより20℃低い64.5℃で30分乾燥させた以外は、実施例1と同様にして粘着性未発現の感圧転写テープを製作した。実施例1と同じく製造工程内のロール類を確認したところ、粘着剤の付着はなかった。また粘着性未発現の感圧転写テープの粘着剤層面を目視で確認したところ、ロール等に粘着剤層が取られたことによるドット抜けは確認されなかった。
その後、相転移加熱のため、感圧転写テープを150℃で1分間加熱し、実施例1と同様にして粘着力を測定したところ、結果は600g/25mmと良好な値を示した。
【0049】
実施例3で作製した感熱転写テープを幅8.5mmにスリットし、胴径10mmのコアに巻取った後、相転移加熱を行う以外は実施例3と同様にして感熱転写テープを作製した。全長スリット後にスリット刃を目視で確認したところ、スリット刃に粘着剤の付着はなかった。また、スリットした感圧粘着テープのスリット端面をルーペ(20倍)で確認したところ、全長に渡って端面の乱れはなく、正常にスリットされていることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】粘着性発現前の感圧転写テープの模式的断面図
【図2】粘着性発現後の感圧転写テープの模式的断面図
【図3】感圧転写テープの模式的上面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に粘着剤層を有する感圧転写テープであって、前記粘着剤層は非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相と粘着性樹脂相からなることを特徴とする感圧転写テープ。
【請求項2】
前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびそのラジカル重合性単量体を共重合して得られる共重合体であって、該共重合体中のカルボキシル基の一部又は全部が沸点110℃以下の塩基で中和されている、ガラス転移温度が20℃以上の水溶性または水分散性の共重合体であり、前記粘着性樹脂相は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするガラス転移温度が−10℃以下のラジカル重合性単量体であり、前記粘着剤層は前記高分子粘着剤乳化剤相の存在下に前記粘着性樹脂相を水性媒体中で乳化して得られる水性重合体エマルジョンであることを特徴とする請求項1記載の感圧転写テープ。
【請求項3】
基材上に非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相と粘着性樹脂相とからなる粘着剤層を有する感圧転写テープの製造方法であって、
前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびそのラジカル重合性単量体を共重合して得られる共重合体からなり、
前記粘着性樹脂相は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするガラス転移温度が−10℃以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体からなり、前記粘着剤層は前記高分子粘着剤乳化剤相の存在下に前記粘着性樹脂相を水性媒体中で乳化して得られる水性重合体エマルジョンであり、
前記粘着剤層を前記基材に塗工し、得られた塗工層を前記高分子粘着剤乳化剤相のガラス転移温度未満で乾燥することにより、前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤の連続相に前記粘着性樹脂相が分散相として存在させて、非粘着層を形成し、その後、相転移加熱のために前記非粘着性の高分子粘着剤乳化剤相のガラス転移温度以上で加熱することにより、前記高分子粘着剤乳化剤相と前記粘着性樹脂相を相転移させて、前記粘着性樹脂相の連続相に高分子粘着剤乳化剤相を分散相として存在させることにより前記非粘着層に粘着性を付与することを特徴とする感圧転写テープの製造方法。
【請求項4】
前記相転移加熱を感圧転写テープのスリット後に行うことを特徴とする請求項3記載の感圧転写テープの製造方法。
【請求項5】
前記粘着剤層が、複数の丸形、四角形、または多角形のドット形状からなることを特徴とする請求項1又は2記載の感圧転写テープ。
【請求項6】
前記粘着剤層を複数の丸形、四角形、または多角形のドット形状に形成することを特徴とする請求項3または4記載の感圧転写テープの製造方法。
【請求項7】
前記粘着剤層は複数の転写方向に対して略垂直なライン形状を有することを特徴とする請求項1または2記載の感圧転写テープ。
【請求項8】
前記粘着剤層は複数の転写方向に対して略垂直なライン形状に形成することを特徴とする請求項3または4記載の感圧転写テープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−143965(P2008−143965A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330418(P2006−330418)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(505091905)ゼネラルテクノロジー株式会社 (117)
【Fターム(参考)】