説明

感温性ポリホスファゼン重合体−生理活性分子共役体、その製造方法及びその用途

本発明は医薬物投与の体内搬送体として便利なホスファゼン系共役高分子材料を提供し、そのゾル-ゲル転移温度特性、生体に親和的な生分解特性及び温度感応特性を持つポリ有機ホスファゼンの用途や使用法の情報などの提供を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示す官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機ホスファゼンと薬品などの生物活性分子が結合されたポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体、その製造方法及びその生物活性分子の到達材料としての用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温度感応性高分子ハイドロゲルは低い温度では高分子水溶液がゾル相を維持するが、温度上昇に従って高分子水溶液がゲル相に変わる。
【0003】
このようなゾル-ゲル転移は可逆的に起こる。温度感応性高分子ハイドロゲルは、その高分子水溶液が治療用薬品と混合が容易であるという長所により、有用な注入用薬物の到達材料として見なされている。それゆえに、温度感応性高分子ハイドロゲルは外科的手術の必要なく簡便に必要な部位に注入可能で、生体の所望の領域に注入した場合、温度感応性高分子ハイドロゲルは体温によって3次元構造のゲル相を形成し、これによって薬物の注入の制御および徐放に有用である(参照文献1)。
【0004】
しかし、低分子量の薬物や親水性の高い薬物は高分子と共に体内に注入された後、温度感応性高分子ハイドロゲルの3次元網状構造ゲルを容易に通過して放出されるため、含まれていた親水性薬物の30%以上が初期に放出される。さらに体内での親水性薬物の速い拡散速度によって短時間に薬物の放出が終了するため、薬物の持続放出が達成できないという問題がある(参照文献2)。
【0005】
したがって、生物活性分子または薬物が直接ハイドロゲルに結合している生分解性および温度感応性高分子が要求された。さらに、細胞はゲル内で生育できないため、移植型細胞の到達物質としての生物活性分子が結合された温度感応性ハイドロゲルが要求される。
【0006】
代表的な温度感応性高分子ハイドロゲルであるポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキシドの共重合体(ポロキサマー)はよく知られた温度感応性高分子である。しかしながら、このポロキサマーは生体内で分解されない(参照文献3)。最近、たポリエチレンオキサイドとポリ乳酸との生分解性共重合体(Regel(登録商標))が報告された(参照文献4)。しかし、Regel(登録商標)は官能基を持たないという欠点があり、薬物または生物活性分子と直接的に組み合わせるのには限界がある。
【0007】
本発明者らはジクロロホスファゼン直鎖状高分子をアミノ酸エステルとメトキシポリエチルレングリコールで置換することで得られるポリ有機ホスファゼンが、一定温度以下では水溶液状態であるが、一定温度以上では3次元構造のゲルにゾル-ゲル転移を示す温度感応性を示すことを報告した。さらに、これら温度感応性ポリ有機ホスファゼンは水溶液中で徐々に加水分解する(参照文献5)。
【0008】
また、本発明者らは、温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示す官能基を有するポリ有機ホスファゼンを開発した(参照文献6)。
【0009】
薬物または生物活性分子は、官能基を有するポリ有機ホスファゼンに共有結合または配位結合などの結合によって導入することができる。生体分布、生分解性、薬物動力学、溶解度または抗原反応などのポリ有機ホスファゼンの特性は、結合する方法に応じて変えることができる。
【0010】
高分子-薬物接合体は薬物の放出を調節することができ、薬物の毒性を減少させEPR効果(増進された透過及び維持効果)によって薬理効果は増加させることができる(参照文献7)。このような結合による薬物到達に対する代表的な研究としてシクロトリホスファゼン-抗癌剤接合体が知られている(参照文献8)。
【0011】
薬物または生物活性分子が接合している生分解性および温度感応性ポリ有機ホスファゼンは、温度感応性高分子に適用した高分子-薬物接合体である。薬物または生物活性分子が接合しているポリ有機ホスファゼンは、高分子-薬物接合体および従来の薬物到達体の長所と有しており、薬物を効果的に体内に到達し、優れた薬理効果を示し、ハイドロゲル内で細胞が生育できる埋め込み型ハイドロゲルになる。
【0012】
さらに、高分子ハイドロゲルへの多様な添加剤の導入は、細胞到達物質または薬物の効率を増加させることができる。ポリペプチドやタンパク質薬物を到達させる場合、添加剤の導入はハイドロゲル内での薬物の安定性を維持することができ、これら薬物と添加剤とのイオン結合を誘導し、およびハイドロゲルからの薬物放出速度を制御することができる。さらに、治療用細胞を到達させる場合、ハイドロゲルに導入された添加剤は、体内に到達後の細胞の活性を増加させることができる。
【0013】
[非特許文献1A]参照文献1; Life Science, 65, 261 (1999)
[非特許文献1B]J. Control. Rel, 63, 155 (2000)
[非特許文献2]参照文献2;Adv Drug Deliv Rev, 31, 197 (1998)
[非特許文献3]参照文献3;J. Pharm. Pharmacol, 48, 669 (1996)
[非特許文献4]参照文献4;Nature, 388, 860 (1997)
[非特許文献5A]参照文献5;Macromolecules 32, 2188 (1999)
[非特許文献5B]Macromolecules 32, 7820 (1999)
[非特許文献5C]Macromolecules 35, 3876 (2002)
[非特許文献7]参照文献7;Bioconjugate Chem. 3, 351 (1992)
[非特許文献8]参照文献8;J. Control. Release, 161, 55 (1998)
[非特許文献9]参照文献9;Int. J. Cancer, 73, 859‐864 (1997) 、
[非特許文献10]参照文献10;I. Biochem. Pharmacol, 34, 289 (1985) 、
[非特許文献11]参照文献11;J. Control Release, 73, 89‐102 (2001)
[特許文献1A] 米国特許 第6,319,984号
[特許文献1B] 大韓民国特許 第259,367号
[特許文献1C] 大韓民国特許 第315,630号
[特許文献1D] 参照文献6 韓国特許出願2006-0005579
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示す温度感応性及び生分解性ポリ有機ホスファゼンが薬物などの多様な生物活性分子と結合している、ポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体及びその製造方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、ポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体ハイドロゲルを提供することにある。
【0016】
さらに、本発明の他の目的は、生物活性物質の到達のための、ポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体、及び/またはそのハイドロゲル、及び1種以上の追加的薬物及び/または添加剤を含む組成物を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示し、官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機ホスファゼンと、薬物などの生物活性分子とを結合されたポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体、その製造方法及びその生物活性分子到達材料としての用途に関するものである。
【0018】
本発明のポリ有機ホスファゼンは、生分解性および温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示す温度感応性を有するホスファゲンを基にした分子である。よって、薬物などの生物活性分子と共に体内に注入する場合、ポリ有機ホスファゼンは体温によってゲルを形成して生物活性分子の制御された放出を可能にする。さらに、ポリ有機ホスファゼンは、その良好な結合特性により生物活性分子の持続的放出を可能にする、生物活性分子とイオン結合、共有結合、配位共有結合を通じた化学結合が可能な官能基を有している。ゆえに、ポリ有機ホスファゼンは薬物などの生物活性分子の到達材料として非常に有用である。
【0019】
本明細書において、「生分解性」とは生物体内に注入する場合、生体内で無害な物質に分解及び排出されて生体内に残存せず、生体組織に無害な特性のことを意味する。
【0020】
また、「温度感応性」とは、物質が温度上昇によってゾル相の溶液がゲル相に変わるゾル-ゲル転移を示すことを意味し、この時、ゾル-ゲル転移が起こる温度を「ゲル化温度」と言う。
【0021】
また、「生物活性分子」とは生体内で有益な効果を示す物質を意味する。例えば、生物活性分子は、各種薬物(抗癌剤、新生血管抑制剤など)、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子及びホルモンからなる群より選択された1つ以上のものである。
【0022】
一態様として、本発明は温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示し、官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機ホスファゼンと、1つ又はそれ以上の生物活性分子が結合しているポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体を提供する。
【0023】
本発明のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体は下記の化学式1で示すことができる:
【化1】

前記式で、
pはエチレングリコールの反復単位数を示すもので、7乃至50の整数値を有し、
NHCH(R)COはアミノ酸エステルで、
はH、HCH、CH、CHSH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)はアミノ酸、ペプチドまたはデプシペプチドエステルで、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここで、W及びXはそれぞれ独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)及びNH(R)(R)(R)は官能基を有している置換体で、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、O、CONHCH(Z)O、CO、CO、S、CONHCH(Z)S、N、CONHCH(Z)N、CON、COCHNH(Z)CON、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH、CHCHCH及び下記表1の保護基からなる群より選択され、
ここで、Y及びZはそれぞれ独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はOH、SH、H、NH、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CH)qSH、NH(CHCHNH)rH、[NHCH(CNH)CO]rOH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]rOH及びプロタミンからなる群より選択され、
ここで、qはメチレンの反復単位数を示すもので1乃至20の整数値を有し、
rはエチレンイミン、リジンまたはアルギニンの反復単位数を示すもので1乃至18000の整数値を有し、
NH(R)(R)(R10)は薬物などの生物活性分子と化学結合している置換体で、
及びRは前記置換体NH(R)(R)(R)及びNH(R)(R)(R)で定義した通りであり、
10はパクリタキセル、ドキソルビシン、カンプトテシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、10-ヒドロキシカンプトテシン、10-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、メトトレキサート、マイトマイシンC、タキソイド、ドセタキセル、クロラムブシル、カリケアマイシン、マイタンシノイド、2-ピロリノドキソルビシン(AN-201)、ダウノルビシン、ブチル酸、メルファラン、4'-ジメチルデオキシポドフィロトキシン、 クルクミン、ポドフィロトキシン、エピポドフィロトキシン、4β−アミノ-4'-O-ジメチルエピポドフィロトキシン、タリソマイシンS10b、ダウノマイシン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、シス-アコニチル-ダウノマイシン、カリケアマイシン、ジアゼニウムジオレート、ネトロプシン、6-メルカプトプリン、グルクロン酸抱合、フォスミドシン、ストレプトニグリン、ヘマトポルフィリン、デスフェリオキサミン(DFO)、デフェリプロン、アシビシン、エストラムスチン、エネジイン、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸ペプチド誘導体、ニューロペプチド [例えば、ニューロテンシン、タキキニン、ニューロペプチドY(NPY)、ペプチドYY(PYY)、血管活性臓内ポリペプチド(VIP)、下垂体アデニル酸シクラーゼ-活性ポリペプチド(PACAP)など]、アルブミン、牛血清アルブミン(BSA)、牛膵臓リボヌクレアーゼ(RNaseA)、牛精液リボヌクレアーゼ(BS‐RNase)、Bowman‐brikプロテアーゼ阻害剤(BBI)、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、ヒルジン、コロニー刺激因子(CSF)、インシュリン、デスモプレシン、グルカゴン類似ペプチド1(GLP1)、ヒト成長ホルモン拮抗剤、腫瘍壊死因子収容体1(TNFR1)、アスパラギナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、骨形成蛋白質(BMPs)、成長因子 [例えば、繊維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、神経成長因子(NGF)、血小板性成長因子(PDFG)、インシュリン類似成長因子(IGF)、変異性成長因子β(TGF‐β)、脳神経成長因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT‐3)、ニューロトロフィン-4/5(NT‐4/5)など]、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、サイトカイン [例えば、インターフェロン-α1a(IFN‐α1a)、インターフェロン-α2a(IFN‐α2a)、インターフェロン-α2b(IFN‐α2b)、インターフェロン-ガンマ(IFN‐γ)、インターロイキン-1(IL‐1)、インターロイキン-2(IL‐2)、インターロイキン-3(IL‐3)、インターロイキン-4(IL‐4)、インターロイキン-5(IL‐5)、インターロイキン-6(IL‐6)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、白血病阻害因子(LIF)など]、テアニン、デキサメタゾン、ヘパリン、キトサン、ヒアルロナン、シクロデキストラン、澱粉、炭水化物、糖類、蛍光蛋白質 [例えば、緑色蛍光蛋白質(GFP)、赤色蛍光蛋白質(RFP)など]、ウイルス様粒子(VLP)及びワクチンからなる群より選択され、
a、b、c、d、e及びfは各置換体の含量を示す値で、a、b、fは独立して0.01乃至1.9の値を有し、c及びd、eは独立して0乃至1.9の値を有し、a+b+c+d+e+f=2.0であり、
nはポリホスファゼンの重合度で5乃至100000の値を有する。
【0024】
前記Rとして使用可能なプロタミンは分子量に制限を受けず、好ましくは4,000乃至10,000範囲の分子量を有するものであり得る。
【0025】
使用可能な保護基を下記の表1に示したが、これらに限定されない
【表1】








【0026】
本発明のポリ有機ホスファゼンの一態様としては、温度感応性と生分解性を示すように、ジクロロホスファゼン直鎖高分子に疎水性アミノ酸エステルと分子量350乃至2500の親水性メトキシポリエチルレングリコールが導入される。さらに、高分子の分解速度を調節することができるアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステルが一部導入されているものであってもよい。
【0027】
本発明のさらなる一態様としては、官能基は様々な方法でポリ有機ホスファゼンに導入される。例えば、ヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、チオール基またはカルボキシル基などの置換基を直接高分子の主鎖に対する側鎖に導入またはアミノ酸エステルまたはペプチドエステル置換基を導入し、ここで官能基は保護基によって高分子主鎖に対して保護されており、後で保護基を取りはずす方法などである。
【0028】
本発明のさらなる一態様としては、リジン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミンまたはポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリアルギニンまたは多様な分子量のプロタミンを、カルボキシル酸を有するポリホスファゼンと反応させて、ポリホスファゼンに官能基を導入させることができる。
【0029】
また、疎水性アミノ酸エステルの種類、分解速度が調節できるアミノ酸、ペプチドまたはデプシペプチドエステルの種類、官能基を有する置換基の種類、メトキシポリエチルレングリコール鎖の長さ、すべての置換基の組成、ポリ有機ホスファゼンの分子量、多分散指数、ポリ有機ホスファゼン溶液の濃度などを調節して、本発明のポリ有機ホスファゼンのゾル-ゲル転移を示す温度(ゲル化温度)、ゲル強度及び/または生分解速度などを調節することができる。
【0030】
例えば、疎水性アミノ酸の組成が増加するほどゲル化温度が低くなる。ポリ有機ホスファゼン溶液の濃度が高いほどゲル化温度は低くなり、ゲル強度は増加する。メトキシポリエチルレングリコール鎖の長さが長いほどゲル強度が増加してゲル化温度が高くなる。デプシペプチドエステルが含まれたポリ有機ホスファゼンは、デプシペプチドエステルを含まないポリ有機ホスファゼンよりさらに速く生分解される。カルボン酸官能基を有する置換体を含むポリ有機ホスファゼンは、カルボン酸官能基を有せずに置換体を含まないポリ有機ホスファゼンより速く生分解される。
【0031】
他の態様において、本発明は前記化学式1の構造を有する温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示すポリ有機ホスファゼンと生物活性分子が結合されたポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体の製造方法を提供する。
【0032】
本発明の製造過程は、手段として次の段階を含む。
(1)次の化学式2のホスファゼン三量体を熱重合させて次の化学式3のジクロロホスファゼン直鎖高分子を得る下記反応式1の段階:
【化2】

【化3】

(ここでnは7乃至100000の整数値である。)
(2)前記段階(1)で生成された前記化学式3の化合物を次の化学式4のアミノ酸エステルまたはその塩の0.01乃至1.9当量と反応させる段階:
[化4]
NHCH(R)CO
(3)前記段階(2)の生成物を次の化学式5のアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステルまたはその塩の0乃至1.9当量と反応させる段階:
[化5]
NH(R)(R)(R);
(4)前記段階(3)の生成物を次の化学式6の官能基を有する置換体またはその塩の0.01乃至1.9当量と反応させる段階:
[化6]
NH(R)(R)(R);
(5)前記段階(4)の生成物を次の化学式7のアミノメトキシポリエチレングリコールまたはその塩の0.01乃至1.19当量と反応させる段階:
[化7]
NH(CHCHO)pCH
前記化学式6のRがCH又はCHCHCHである場合、本発明の製造方法は、前記段階(5)で生成された高分子を脱水素化反応(RがCHである場合)または脱アリルエステル化反応(RがCHCHCHである場合)させることによってRが水素(H)官能基を有するものであるポリ有機ホスファゼンを得る段階(5-1)を含む。
【0033】
さらに本発明の製造方法は追加的に、前記段階(5)の生成物または段階(5-1)の生成物をリジン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミンまたは多様な分子量のポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリアルギニンまたはプロタミンと反応させてRがNHCH(SH)COH、NH(CH)qSH、NH(CHCHNH)rH、[NH(CHCH(NH)CO]rOH、[NHC(=NH)(CHCH(NH)CO]rOHまたはプロタミンなどの多様な官能基を有するようにしてポリ有機ホスファゼンを製造する段階(5-2)を含むことができる。
【0034】
さらに本発明の製造方法は、段階(5)、段階(5-1)または段階(5-2)の生成物である多様な官能基を有しているポリ有機ホスファゼンに、生物活性分子(R10)を反応させる段階(6)を含む。R10は、パクリタキセル、ドキソルビシン、カンプトテシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、10-ヒドロキシカンプトテシン、10-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、メトトレキサート、マイトマイシンC、タキソイド、ドセタキセル、クロラムブシル、カリケアマイシン、マイタンシノイド、2-ピロリノドキソルビシン(AN‐201)、ダウノルビシン、ブチル酸、メルファラン、4'-ジメチルデオキシポドフィロトキシン、クルクミン、ポドフィロトキシン、エピポドフィロトキシン、4β−アミノ-4'-O-ジメチルエピポドフィロトキシン、タリソマイシンS10b、ダウノマイシン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、シス-アコニチル-ダウノマイシン、カリケアマイシン、ジアゼニウムジオレート、ネトロプシン、6-メカプトプリン、グルクロン酸抱合、フォスミドシン、ストレプトニグリン、ヘマトポルフィリン、デスフェリオキサミン(DFO)、デフェリプロン、アシビシン、エストラムスチン、エネジイン、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸ペプチド誘導体、ニューロペプチド [例えば、ニューロテンシン、タキキニン、ニューロペプチドY(NPY)、ペプチドYY(PYY)、血管活性臓内ポリペプチド(VIP)、下垂体アデニル酸シクラーゼ-活性ポリペプチド(PACAP)など]、アルブミン、牛血清アルブミン(BSA)、牛膵臓リボヌクレアーゼ(RNaseA)、牛精液リボヌクレアーゼ(BS‐RNase)、Bowman‐brikプロテアーゼ阻害剤(BBI)、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、ヒルジン、コロニー刺激因子(CSF)、インシュリン、デスモプレシン、グルカゴン類似ペプチド1(GLP1)、ヒト成長ホルモン拮抗剤、腫瘍壊死因子収容体1(TNFR1)、アスパラギナーゼ、アデノシンデアミナーゼ骨形成蛋白質(BMPs)、成長因子 [例えば、繊維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、神経成長因子(NGF)、血小板性成長因子(PDFG)、インシュリン類似成長因子(IGF)、変異性成長因子β(TGF‐β)、脳神経成長因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT‐3)、ニューロトロフィン-4/5(NT‐4/5)など]、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、サイトカイン [例えば、インターフェロン-α1a(IFN‐α1a)、インターフェロン-α2a(IFN‐α2a)、インターフェロン-α2b(IFN‐α2b)、インターフェロン-ガンマ(IFN‐γ)、インターロイキン-1(IL‐1)、インターロイキン-2(IL‐2)、インターロイキン-3(IL‐3)、インターロイキン-4(IL‐4)、インターロイキン-5(IL‐5)、インターロイキン-6(IL‐6)、腫瘍壊死因子-α(TNF‐α)、白血病阻害因子(LIF)など]、テアニン、デキサメタゾン、ヘパリン、キトサン、ヒアルロナン、シクロデキストラン、澱粉、炭水化物、糖類、蛍光蛋白質 [例えば、緑色蛍光蛋白質(GFP)、赤色蛍光蛋白質(RFP)など]、ウイルス様粒子(VLP)及びワクチンからなる群より1種以上選択されたものである。
【0035】
段階(6)の場合、本発明の製造方法は、ポリ有機ホスファゼンに前記生物活性分子が直接的に化学結合しているポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体を得ることができる。
【0036】
このような化学式1の薬物または生物活性分子と化学結合しているポリ有機ホスファゼンの製造工程を整理すると以下の化学式8の通りである:
【化8】

【0037】
前記化学式10、11、12、13及び化学式14において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、a、b、c、d、e、f、n及びpは化学式1の化合物に対して定義したことと同様である。
【0038】
以下では化学式1で示されるポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体の製造方法をさらに詳しく説明する。
【0039】
すべての製造反応工程は水分が入らないように真空及び/または窒素ラインを使用するのが好ましい。さらに、反応に使用した各種溶媒は普遍的な方法で水分を十分に除去して使用するのが好ましい。
【0040】
段階(1)は化学式2の化合物と0.1乃至10重量%のAlClをガラス反応管に入れて密封した後、毎分1回転の速度(1rpm)で回転させながら、200乃至250℃で4乃至8時間反応させて行うことができる。
【0041】
段階(2)は段階(1)の生成物1当量を基準に化学式4で示されるアミノ酸エステルまたはその塩の0.01乃至1.9当量と、4当量のトリエチルアミン存在下で反応させる方法で行う。化学式4の塩は硫酸塩または塩化水素塩であるのが好ましい。反応溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、クロロホルムまたはトルエンを使用することができるが、これらに限定されない。反応は-60乃至50℃で約8乃至72時間行うことができる。
【0042】
段階(3)は段階(2)の生成物を化学式5で示されるアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステルまたはその塩の0乃至1.9当量と4当量のトリエチルアミン存在下で反応させる方法で行うことができる。化学式5の塩はシュウ酸塩、塩化水素塩またはトリフルオロ酸塩であるのが好ましい。反応溶媒としてはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルムまたはトルエンを使用することができるが、これらに限定されない。反応は0乃至50℃で1乃至72時間程度行うことができる。
【0043】
段階(4)は段階(3)の生成物を前記化学式6で示される官能基を有する置換体またはその塩の0.01乃至1.9当量と4当量のトリエチルアミン存在下で反応させる方法で行うことができる。化学式6の塩はシュウ酸塩、塩化水素塩、またはトリフルオロ酸塩であるのが好ましい。反応溶媒としてはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルムまたはトルエンを使用することができるが、これらに限定されない。反応は25乃至50℃で12乃至72時間程度行うことができる。
【0044】
段階(5)では段階(4)の生成物の残っているクロリンを基準に2当量の化学式6で示されるアミノメトキシポリエチレングリコールと4当量のトリエチルアミン存在下で反応させて、段階(4)の生成物のうちに残っているクロリン基を全て置換させる。この時、反応溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルムまたはトルエンを使用することができるが、これらに限定されない。反応は25乃至50℃で24乃至72時間程度行うことができる。
【0045】
化学式6でRがCHである場合、段階(5-1)は段階(5)の生成物を段階(5)の生成物の50乃至90重量%のパラジウム/チャーコールまたはパラジウムブラックと30乃至80psi(SI単位概算値:200−560kPa)圧力の水素ガス存在下で脱水素化反応させてカルボキシ基に置換させることで行うことができる。この時、反応溶媒はメチルアルコールまたはエチルアルコールであることができるが、これらに限定されない。反応は10乃至35℃で1乃至24時間程度行うことができる。
【0046】
化学式6でRがCHCHCHである場合、前記段階(5)の生成物を10乃至20モル%のテトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(O)と10乃至20当量のモルフォリン存在下で脱アリルエステル化反応させてカルボキシ基で置換させることによって行うことができる。反応溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルムまたはトルエンを使用することができるが、これらに限定されない。反応温度は0乃至25℃で1乃至24時間程度行うことができる。
【0047】
段階(5‐2)はカルボキシル酸を含む前記段階(5)の生成物または段階(5-1)の生成物をリジン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミン、ポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリアルギニンおよび多様な分子量のプロタミンと1乃至3当量のジシクロヘキシルカルボジイミドと1乃至3当量のヒドロキシコハク酸イミド存在下で反応をさせて多様な官能基を有するポリ有機ホスファゼンを得る。反応溶媒としてはテトラヒドロフランまたはクロロホルムを使用することができるが、これらに限定されない。反応は0乃至25℃で1乃至48時間程度行うことができる。
【0048】
段階(6)はカルボキシル酸を含む段階(5)の生成物、段階(5-1)の生成物または段階(5-2)の生成物とヒドロキシ基を有する薬物などの生物活性分子を1乃至3当量のジシクロヘキシルカルボジイミドと1乃至3当量のジメチルアミノピリジン存在下で反応させてポリ有機ホスファゼンに薬物などの生物活性分子が化学結合しているポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体を得る。反応溶媒としてはジクロロメタンを使用することができるが、これに限定されない。反応は0乃至25℃で1乃至48時間程度行うことができる。
【0049】
また、段階(6)でカルボキシル酸を含む段階(5)の生成物、段階(5-1)の生成物または段階(5-2)の生成物とアミンを有する薬物などの生物活性分子を1乃至3当量のトリブチルアミンと1乃至3当量のクロロギ酸イソブチル存在下で反応させてポリ有機ホスファゼンに薬物などの生物活性分子が化学結合しているポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体を得る。反応溶媒としてはテトラヒドロフランを使用することができるが、これに限定されない。反応は0乃至25℃で1乃至48時間程度行うことができる。
【0050】
また、段階(6)において、多様な官能基を有する段階(5)の生成物、段階(5-1)の生成物または段階(5-2)の生成物と前記官能基に結合可能な官能基を有する薬物などの生物活性分子は硫酸化結合[Int. J. Cancer, 73, 859‐864 (1997)]、カルバメート(cabamite)結合[I. Biochem. Pharmacol, 34, 289 (1985)]、またはヒドラゾン結合[J. Control Release, 73, 89‐102 (2001)]を通じてポリ有機ホスファゼンに結合することができる。
【0051】
前記段階(1)乃至(5-2)において、各段階の生成物を精製せずにそのまま次の段階の反応に使用することができる。前記段階(6)の反応混合物から純粋な目的生成物を次のような方法で回収することができる。
【0052】
まず、反応混合物を遠心分離またはろ過して沈殿物(例えば、トリエチル塩化アンモニウム、シュウ酸のトリエチルアンモニウム塩など)を反応混合物から除去し、溶媒が少し残るまで濾液を減圧濃縮する。得られた濃縮液をテトラヒドロフランに溶解させ、過剰のエチルエーテル、ヘキサンまたはエチルエーテルとヘキサンの混合溶媒を加えて生成物の沈澱を誘導する。沈殿を2または3回ろ過して未反応置換体を除去する。この工程を経て得られた化合物を再び少量のメチルアルコールまたはエチルアルコールに溶解させる。メチルアルコールまたはエチルアルコールで3乃至10日間25℃で透析し、蒸溜水で3乃至10日間4乃至25℃で透析する。反応生成物は低温乾燥され、純粋な化学式1の化合物を得る。
【0053】
また、他の態様において本発明は、化学式1のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体を含む温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示す高分子溶液(ハイドロゲル)を提供する。
【0054】
本発明の化学式1のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体は適切な溶媒に溶解された溶液状態で温度変化に応じて明確なゾル-ゲル転移を示し、体温範囲でゲル化されて体内に注入する時には3次元のゲルを形成する。
【0055】
本発明の温度変化によってゾル-ゲル転移と生分解性を示すポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体ハイドロゲルは前記のような化学式1のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体が水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩容液、生理食塩水、注射用水及びブドウ糖食塩液からなる群より選択された適切な溶媒に1乃至50重量%の濃度、好ましくは3乃至20重量%濃度で溶解されているものであり得る。
【0056】
本発明のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体は10乃至60℃範囲でゾル-ゲル転移を示す。よって、本発明のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体は体温範囲でゲル相を有することができるので、結合している多様な生物活性分子の体内到達に非常に有用である。
【0057】
また、他の側面において本発明は、前記温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示すポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体及びポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体ハイドロゲルからなる群より選択された1つ以上を含む生物活性分子到達用組成物を提供する。
前記生物活性分子到達用組成物は1つ以上の添加剤を含むものであり得る。
【0058】
また、他の側面において本発明は、前記温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示すポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体及びポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体ハイドロゲルからなる群より選択された1つ以上と、薬物または細胞を所望する部位に到達させ、優れた薬理効果及び細胞活性を得るための追加の生物活性分子、細胞及び添加剤からなる群より選択された1つ以上を追加的に含む生物活性分子到達システムを提供する。
【0059】
本発明において、化学式1のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体またはハイドロゲルに添加剤として多様な塩を添加することによって、ポリ有機ホスファゼン水溶液のゾル-ゲル転移を調節して所望するゲル強度とゾル-ゲル変化温度を得ることができる(参考文献5:Macromolecules 32, 7820,1999)。
【0060】
また、ポリペプチドまたはタンパク質薬物を到達させようとする場合、適切な添加剤の導入はハイドロゲル内での薬物の安全性を維持することができ、これら薬物との相互作用を誘導して薬物放出速度を制御することができる。さらに、治療用細胞を到達させようとする場合は、適切な添加剤の導入によって体内に到達後に細胞の活性を増加させることができる。
【0061】
つまり、前記添加剤は前記ポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体またはハイドロゲルと薬物などの生物活性分子との多様な相互作用を誘導して生体活性物質の放出を調節したり及び/または治療用細胞などの生体活性物質の生体内活性を増加させるものであってもよい。
【0062】
このような添加剤の例としてはポリ−L−アルギニン、ポリ−L−リジン、ポリエチルレングリコール、ポリエチレンイミン、キトサン及びプロタミン、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)などの陽イオン高分子(分子量200乃至750000);ポリビニルアセテート(PVA)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、ヘパリン、アルギン酸塩などの陰イオン高分子;アミロライド、プロカインアミド、アセチル-β−メチルコリン、スペルミン、スペルミジン、リゾチーム、フィブロイン、アルブミン、コラーゲン、変異性成長因子β(TGF‐β)、骨形成蛋白質(BMPs)、繊維芽細胞成長因子(bFGF)、デキサメタゾン、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンビン、タンパク質、デクスラゾキサン、ロイコボリン、リシノール酸、リン脂質、小腸粘膜下組織、ビタミンE、脂肪酸のポリグリセロールエステル、ラブラフィル、ラブラフィルM1944CS、クエン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、イソプロピルミリステート、オイドラギット(Eudragit)、テゴベタイン、ジミリストイルフォスファチジルコリン及びスクルレログルルカンなどの生物が利用可能な物質;Cremophor EL、エタノール及びジメチルスルホキシドなどの有機溶媒;メチルパラベンなどの保存剤;澱粉、シクロデキストリン及びその誘導体、ラクトース、グルコース、デキストラン、マンノース、スクロース、トレハロース、マルトース及びフィコールなどの糖類;イノシトール、マンニトール及びソルビトールなどのポリオール;スクロース-マンニトール及びグルコース-マンニトールなどの糖含有ポリオール;アラニン、アルギニン及びグリジンなどのアミノ酸;トレハロース-ポリエチルレングリコール、スクロース-ポリエチルレングリコール及びスクロース-デキストランなどのポリマー含有ポリオール;ソルビトール-グリシン及びスクロース-グリシンなどの糖含有アミノ酸;多様な分子量のポロキサマー、Tween 20、Tween80、Triton X-100、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)及びBrijなどの界面活性剤;トレハロース-硫酸亜鉛及びマルトース-硫酸亜鉛などの糖含有イオン;ならびに珪酸塩、NaCl、KCl、NaBr、NaI、LiCl、n‐BuNBr、n‐PrNBr、EtNBr、Mg(OH)、Ca(OH)、ZnCO、Ca(PO、ZnCl、(CZn、ZnCO、CdCl、HgCl、CoCl、(CaNO、BaCl、MgCl、PbCl、AlCl、FeCl、FeCl、NiCl、AgCl、AuCl、CuCl、テトラデシル硫酸ナトリウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム及び臭化テトラドデシルトリメチルアンモニウムなどの生物学的に許容可能な塩類(bioacceptable salts)からなる群より選択された、1種類以上のものであり得る。
【0063】
本発明において添加剤の含量は全生体活性物質到達用組成物または生体活性物質到達システム質量を基準に1×10-6乃至30重量%であってもよく、より好ましくは1×10-3乃至10重量%であり得る。添加剤の含量が前記範囲より少ない場合には所望する添加剤による効果を得ることができない。一方、前記含量より多い場合には有効成分の効果及び/または本発明の温度感応性高分子の特性を低下させる。
【0064】
前記追加的に含まれる生物活性分子は蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子、ホルモン、抗癌剤及び新生血管抑制剤からなる群より選択された1つ以上のものであり得る。
【0065】
前記タンパク質、ポリペプチド及びペプチドは赤血球生成因子(EPO)、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、成長ホルモン(人間、豚、牛など)、成長ホルモン放出因子、神経成長因子(NGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M‐CSF)、血液凝固因子、インシュリン、オキシトシン、バソプレッシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、プロラクチン、ルリベリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH作用剤、LHRH拮抗剤、ソマトスタチン、グルカゴン、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-11(IL-11)、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンジオテンシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)、ヘパリン分解酵素、骨形成タンパク質(BMP)、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)、グルカゴン様ペプチド(GLP‐1)、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシディン、グラミシジン、シクロスポリン、及びこれらの合成アナログ、単クローン抗体、抗体、修飾又は薬と同じ効果を示す物質、酵素及びサイトカインからなる群より選択された1つ以上のものであり得る。
【0066】
前記ワクチンは肝炎ワクチンからなる群より選択された1つ以上のワクチンであり得る。
【0067】
前記遺伝子は短い干渉リボ核酸(siRNA)、プラスミドDNA及びアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS‐ODN)からなる群より選択された1つ以上のものであり得る。
【0068】
前記ホルモンはテストステロン、エストラジオール、プロゲストロン、プロスタグランジン及びこれらの合成アナログならびに修飾又は薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1つ以上のものであり得る。
【0069】
前記抗癌剤はパクリタキセル、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、テガフール、イリノテカン、ドセタキセル、シクロホスファミド、ゲムシタビン(cemcitabine)、イホスファミド、マイトマイシンC、ビンクリスチン、エトポシド、メトトレキサート、トポテカン、タモキシフェン、ビノレルビン、カムトテシン、ダヌオルビシン、クロラムブシル、ブリオスタチン-1、カリケアマイシン、マイアタンシン、レバミゾール、DNA組換えインターフェロンα-2a、ミトキサントロン、ニムスチン、インターフェロンα-2a、ドキシフルリジン、フォルメスタン、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、カルモフール、テニポシド、ブレオマイシン、カルムスチン、ヘプタプラチン、エキセメスタン、アナストロゾール、エストラムスチン、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、ポリサッカライドカリウム、酢酸メドロキシポゲステロン、エピルビシン、レトロゾール、ピラルビシン、トポテカン、アルトレタミン、トレミフェンクエン酸塩、BCNU、タキソテール、アクチノマイシンDポリエチルレングリコール接合蛋白質、及びこれらの合成アナログならびに修飾又は薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1つ以上の物質であり得る。
【0070】
前記新生血管抑制剤はBMS‐275291(Bristol‐Myers Squibb、New York、NY)、クロドロネート、6-デオキシ-6-デメチル-4-デジメチルアミノテトラサイクリン(COL‐3)、ドキシサイクリン、マリマスタット、2-メトキシエストラジオール、スクアラミン、SU5164,サリドマイド、TNP-470,コンブレタスタチンA4、大豆イソフラボン、エンザスタウリン、CC5013(Revimid;CelgeneCorp、Warren、NJ)、セレコキシブ、ZD6474,ハロフジノン臭化水素酸塩、インターフェロン-α、ベバシズマブ、AE-941、インターロイキン-12、血管内皮成長因子トラップ(VEFG‐trap)、セツキシマブ及びこれらの合成アナログならびに修飾又は薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1つ以上の物質であり得る。
【0071】
前記追加的に含まれる細胞は治療目的の細胞でもあり、前骨芽細胞、軟骨細胞、新生血管細胞(UVEC)、骨芽細胞、成体幹細胞、シュワン細胞、希突起膠細胞、肝細胞、壁細胞(UVECと組み合わせて治療)、筋芽細胞、インシュリン分泌細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、β細胞、内胚葉細胞、肝幹細胞、糸球体傍細胞、骨格筋細胞、角化細胞、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、真皮繊維芽細胞及び前脂肪細胞からなる群より選択された1つ以上のものであり得る。
【0072】
本発明のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体組成物が追加の薬物を含む場合、追加的生物活性分子の含量は全組成物体積を基準に1×10-8乃至50体積%、好ましくは1×10-4乃至20体積%であるのがよい。薬物の含量が前記範囲より少ない場合には所望する薬物の効果を得ることができず、前記含量より多い場合には温度感応性高分子のを低下させる。
【0073】
本発明のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子含有組成物は腸管外投与、眼科的投与、軟骨組織、骨組織、脂肪組織、または癌組織への局所的注入、吸入、経皮性投与、膣投与、尿道投与、直腸投与、経鼻投与、経口投与、肺投与、経耳投与、筋肉投与、皮下投与及び静脈投与からなる群より選択された投与経路を通じて投与されるのが可能であり、特に皮下投与、筋肉投与、経皮投与、または腫瘍内投与などの局部投与が好ましい。
【0074】
本発明の組成物は温度感応性ポリ有機ホスファゼンの特性上室温ではゾル相で存在するので、多様な形態で体内注入が容易である。特に、本発明の組成物は所望する部位に局部的に適用するのに容易で、組成物が体内に注入された場合、体温によって生物活性分子はゲル相に変化しるので、結合された生物活性分子の放出調節が容易である。
【0075】
以下の実施例で、当業者はより明らかに、現在の発明を実施する方法を理解することができる。本発明はその好ましい特定の具体例と共に記述されるが、以下の記載は、本発明の範囲を明らかにし、および限定しないことを目的とすることを理解すべきである。本発明の他の態様は、発明が関係する当業者にとって明らかである。
【実施例】
【0076】
以下の実施例において、生成物に対する炭素、水素及び窒素元素分析は韓国科学技術研究院特性分析センターのPerkin‐ElmerC、H、N分析器によって行った。
【0077】
水素及びリン核磁気共鳴スペクトルはVarian Gemini‐300で、重量平均分子量(M)はWaters 1515ポンプ及び2410微分屈折計のゲル透過クロマトグラフィーでそれぞれ測定した。
【0078】
全ての製造反応工程では、反応物質は50℃で真空、窒素ラインを使用して2日間乾燥させて水分を最大限に除去した後に使用し、フラスコもまた真空状態で複数回乾燥させて使用した。製造工程中にカニューレによって溶媒と添加物を滴加した。
【0079】
実施例1:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルパクリタキセル)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.25(AMPEG550)0.51(GlyGlyCOOH)0.22(GlyGlyPTX)0.02]の製造
乾燥させたイソロイシンエチルエステル塩化水素塩(4.22g、21.58mmol)を無水テトラヒドロフラン100mlに溶解した後、トリエチルアミン(6.55g、64.74mmol)を加えた。この溶液に無水テトラヒドロフラン50mlに溶かしたポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)を‐60℃のドライアイス-アセトン湯煎で滴加した後、徐々に常温に上げて48時間反応させた。
【0080】
31P‐NMRを確認しながら反応の進行程度を確認した後、乾燥させたグリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(1.19g、4.14mmol)を無水テトラヒドロフラン50mlに溶かした。トリエチルアミン(1.26g、12.42mmol)を加えて反応物に添加して、混合物を8時間反応させた。
【0081】
再び31P‐NMRを確認しながら反応の進行程度を確認した後、乾燥させた分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(9.68g、17.61mmol)を無水テトラヒドロフラン(50ml)に溶かした溶液を前記反応生成物に滴加した。混合物は常温で12時間及び40乃至50℃で24時間反応させた。
【0082】
反応溶液をろ過して生成されたトリエチルアミンヒドロクロライド塩を除去した。反応濾液を溶媒が少し残るまで減圧濃縮した。この濃縮液をテトラヒドロフラン(10ml)に溶かした後、過剰のヘキサンを加えて沈澱を誘導した。工程を2乃至3回繰り返した後、沈殿物を再び少量のメチルアルコールに溶かした。得られた溶液はMWCO12000メンブレン(Spectrum Laboratories、Inc.)に入れて、室温で5日間メチルアルコールで透析した後、5日間蒸溜水で透析した。得られた生成物は低温乾燥して、ポリ(ジクロロホスファゼン)高分子[NP(IleOEt)1.25(AMPEG550)0.51(GlyGlyOAll)0.24](14.21g)を得た。
【0083】
得られた[NP(IleOEt)1.25(AMPEG550)0.51(GlyGlyOAll)0.24](14.21g)を無水テトラヒドロフラン(200ml)に溶かして15モル%のテトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.56g)と20当量のモルフォリン(4.23g)を使用して常温で8時間反応させた。得られた溶液はMWCO6-8000メンブレン(Spectrum Laboratories、Inc.)に入れて室温でメチルアルコールで5日間透析した後、4℃で蒸溜水で5日間透析した後、低温乾燥して中間生成物[NP(IleOEt)1.25(AMPEG550)0.51(GlyGlCOOH)0.24](13.78g)を得た。
【0084】
得られた[NP(IleOEt)1.25(AMPEG550)0.51(GlyGlyCOOH)0.24](13.78g)を無水ジクロロメタン(100ml)に溶かし、0.02当量のパクリタキセル(0.39g)及び0.04当量のジシクロヘキシルカルボジイミド(0.16g)と0.04当量のジメチルアミノピリジン(0.10g)を添加して0℃で24時間反応させた。得られた溶液をMWCO6-8000メンブレン(Spectrum Laboratories、Inc.)に入れて、室温でメチルアルコールで5日間透析した後、4℃で蒸溜水で5日間透析した。得られた生成物を低温乾燥して最終生成物[NP(IleOEt)1.25(AMPEG550)0.51(GlyGlyCOOH)0.22(GlyGlyPTX)0.02]13.02g(収率89%)を得た。
【0085】
組成式: C2543
元素分析値:C、55.27;H、7.83;N、7.63
理論値:C、55.45;H、7.72;N、7.71
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、0.11(s、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、1.86(s、CH)、2.18(s、CH)、2.30(s、CH)、3.30(s、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.15(b、CH)、4.65(t、CH)、4.78(s、OH)、4.99(t、CH)、5.22(s、CH)、5.48(d、CH)、5.64(d、CH)、5.96(t、CH)、6.26(d、CH)、6.36s、OH)、7.28乃至8.04(m、芳香族)、9.00(d、NH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ17.9
平均分子量(M):45000
【0086】
実施例2:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルパクリタキセル)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.25(AMPEG550)0.55(GlyGlyCOOH)0.18(GlyGlyPTX)0.02]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(4.22g、21.58mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.99g、3.45mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(10.44g、18.99mmol)、テトラキストライフェニルホスフィン、パラジウム(0)(0.61g)、モルフォリン(4.85g)、パクリタキセル(0.40g)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.17g)、ジメチルアミノピリジン(0.10g)、トリエチルアミン(7.59g)、テトラヒドロフラン(550ml)、ジクロロメタン(100ml)を使用することを除き、実施例1と同じ方法で、最終生成物[NP(IleOEt)1.25(AMPEG550)0.55(GlyGlyCOOH)0.18(GlyGlyPTX)0.02]6.95g(収率77%)を得た。
【0087】
組成式: C306814
元素分析値:C、47.80;H、9.20;N、9.60
理論値:C、48.21;H、8.97;N、9.58
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、0.11(s、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、1.86(s、CH)、2.18(s、CH)、2.30(s、CH)、3.30(s、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.15(b、CH)、4.65(t、CH)、4.78(s、OH)、4.99(t、CH)、5.22(s、CH)、5.48(d、CH)、5.64(d、CH)、5.96(t、CH)、6.26(d、CH)、6.36(s、OH)、7.28乃至8.04(m、芳香族)、9.00(d、NH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ18.2
平均分子量(M):31000
【0088】
実施例3:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルドキソルビシン)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.20(AMPEG550)0.60(GlyGlyCOOH)0.10(GlyGlyDOX)0.04]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(4.22g、21.58mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.99g、3.45mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(10.44g、18.99mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.62g)、モルフォリン(4.95g)、トリエチルアミン(7.60g)、テトラヒドロフラン(550ml)を使用することを除き、実施例1と同じ方法で中間生成物[NP(IleOEt)1.20(AMPEG550)0.60(GlyGlyCOOH)0.14](11.23g)を得た。
【0089】
得られた[NP(IleOEt)1.20(AMPEG550)0.60(GlyGlyCOOH)0.14](11.23g)を無水テトラヒドロフラン(100ml)に溶かし、0.08当量のトリブチルアミン(0.22g)と0.08当量のイソブチルギ酸エステル(0.16g)を0℃で30分間滴加して加えた。その後0.04当量のドキソルビシン(0.44g)を少量の水に溶かし、前記活性化した溶液に滴加して0℃で1時間室温で24時間反応させた。
【0090】
反応濾液をMWCO6-8000メンブレンに入れて室温でメチルアルコールで5日間透析し、次いで4℃で蒸溜水に5日間透析した後、低温乾燥して最終生成物[NP(IleOEt)1.20(AMPEG550)0.60(GlyGlyCOOH)0.10(GlyGlyDOX)0.04]10.02g(収率82%)を得た。
【0091】
組成式: C297014
元素分析値:C、47.01;H、9.38;N、9.59
理論値:C、46.98;H、8.97;N、8.98
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、2.16(m、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.56(m、CH)、4.68(d、CH)、4.85(m、CH)、4.94(m、CH)、5.21(s、CH)、5.45(s、CH)、6.63(d、NH)、7.65(m、CH)、7.92(d、CH)、4.08(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ17.9
平均分子量(M):392000
【0092】
実施例4:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルドキソルビシン)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.24(AMPEG550)0.57(GlyGlyCOOH)0.14(GlyGlyDOX)0.05]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(4.19g、21.40mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.94g、3.28mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(10.82g、19.68mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.63g)、モルフォリン(5.05g)、ドキソルビシン(0.51g)、イソブチルギ酸エステル(0.19g)、トリブチルアミン(0.26g)、トリエチルアミン(7.49g)、テトラヒドロフラン(650ml)を使用することを除き、実施例3と同じ方法で最終生成物[NP(IleOEt)1.24(AMPEG550)0.57(GlyGlyCOOH)0.14(GlyGlyDOX)0.05]11.25g(収率81%)を得た。
【0093】
組成式: C255711
元素分析値:C、48.12;H、9.30;N、11.26
理論値:C、49.41;H、9.63;N、10.91
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、2.16(m、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.56(m、CH)、4.68(d、CH)、4.85(m、CH)、4.94(m、CH)、5.21(s、CH)、5.45(s、CH)、6.63(d、NH)、7.65(m、CH)、7.92(d、CH)、4.08(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ18.1
平均分子量(M):91800
【0094】
実施例5:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルドキソルビシン)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.22(AMPEG550)0.66(GlyGlyCOOH)0.06(GlyGlyDOX)0.06]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(4.12g、21.06mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.59g、2.07mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(12.53g、22.78mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.53g)、モルフォリン(4.78g)、ドキソルビシン(0.80g)、イソブチルクロロギ酸エステル(0.29g)、トリブチルアミン(0.40g)、トリエチルアミン(7.02g)、テトラヒドロフラン(650ml)を使用することを除き、実施例3と同じ方法で最終生成物[NP(IleOEt)1.22(AMPEG550)0.66(GlyGlyCOOH)0.06(GlyGlyDOX)0.06]13.38g(収率87%)を得た。
【0095】
組成式: C266312
元素分析値:C、46.95;H、9.48;N、10.74
理論値:C、46.21;H、8.95;N、10.13
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、2.16(m、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.56(m、CH)、4.68(d、CH)、4.85(m、CH)、4.94(m、CH)、5.21(s、CH)、5.45(s、CH)、6.63(d、NH)、7.65(m、CH)、7.92(d、CH)、4.08(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ19.0
平均分子量(M):88500
【0096】
実施例6:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール750)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルドキソルビシン)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.27(AMPEG750)0.57(GlyGlyCOOH)0.23(GlyGlyDOX)0.05]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(4.29g、21.92mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(1.38g、4.83mmol)、分子量750のアミノメトキシポリエチレングリコール(14.76g、19.68mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.71g)、モルフォリン(5.98g)、ドキソルビシン(0.67g)、イソブチルクロロギ酸エステル(0.24g)、トリブチルアミン(0.34g)、トリエチルアミン(8.12g)、テトラヒドロフラン(650ml)を使用することを除き、実施例3と同じ方法で最終生成物[NP(IleOEt)1.27(AMPEG750)0.57(GlyGlyCOOH)0.23(GlyGlyDOX)0.05]14.95g(収率73%)を得た。
【0097】
組成式: C2040
元素分析値:C、50.65;H、8.64;N、8.98
理論値:C、49.49;H、8.55;N、8.79
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、2.16(m、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.56(m、CH)、4.68(d、CH)、4.85(m、CH)、4.94(m、CH)、5.21(s、CH)、5.45(s、CH)、6.63(d、NH)、7.65(m、CH)、7.92(d、CH)、4.08(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ19.1
平均分子量(M):87400
【0098】
実施例7:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルグリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.30(AMPEG550)0.53(GlyGlyCOOH)0.07(GlyGlyGRGDS)0.10]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(4.39g、22.44mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.84g、2.93mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(10.06g、18.30mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.48g)、モルフォリン(4.23g)、グリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド(0.87g)、イソブチル クロロギ酸エステル(0.06g)、トリブチルアミン(0.62g)、トリエチルアミン(7.70g)、テトラヒドロフラン(650ml)を使用することを除き、実施例3と同じ方法で最終生成物[NP(IleOEt)1.30(AMPEG550)0.53(GlyGlyCOOH)0.07(GlyGlyGRGDS)0.10]10.87g(収率72%)を得た。
【0099】
製造された最終生成物は韓国基礎科学研究院のプロテオーム分析チームでタンパク質分析を用いてGRGDSの含量を計算した。
【0100】
組成式: C2244
元素分析値:C、50.54;H、8.50;N、8.03
理論値:C、50.50;H、8.23;N、7.98
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.15(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ18.9
平均分子量(M):108100
【0101】
実施例8:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルグリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.13(AMPEG550)0.50(GlyGlyCOOH)0.04(GlyGlyGRGDS)0.15]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(3.81g、19.50mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.94g、3.28mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(9.49g、17.26mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.43g)、モルフォリン(4.12g)、グリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド(2.61g)、イソブチル クロロギ酸エステル(0.18g)、トリブチルアミン(1.86g)、トリエチルアミン(6.92g)、テトラヒドロフラン(650ml)を使用することを除き、実施例3と同じ方法で最終生成物[NP(IleOEt)1.13(AMPEG550)0.50(GlyGlyCOOH)0.04(GlyGlyGRGDS)0.15]11.21g(収率81%)を得た。
【0102】
組成式: C245010
元素分析値:C、51.25;H、8.71;N、7.21
理論値:C、50.98H、8.50N、7.92
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.15(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ19.2
平均分子量(M):98300
【0103】
実施例9:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルグルライシネティレステル)(グリシルグリシルグリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.52(GlyGlyCOOH)0.10(GlyGlyGlyOEt)0.02(GlyGlyGRGDS)0.10]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(3.81g、19.50mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.94g、3.28mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(9.49g、17.26mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.61g)、モルフォリン(5.32g)、グリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド(1.74g)、イソブチル クロロギ酸エステル(0.12g)、トリブチルアミン(1.24g)、トリエチルアミン(7.70g)、テトラヒドロフラン(650ml)を使用することを除き、実施例3と同じ方法で中間生成物[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.52(GlyGlyCOOH)0.20(GlyGlyGRGDS)0.10](13.78g)を得た。
【0104】
得られた[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.52(GlyGlyCOOH)0.20(GlyGlyGRGDS)0.10]をテトラヒドロフラン(150ml)に溶かした後、トリブチルアミン(0.16g)を入れて少量の水に溶解されているグリシルエチルエステル(0.08g)を滴下して室温で1時間反応させた。反応濾液をMWCO6-8000メンブレン(Spectrum Laboratories、Inc.)に入れて室温でメチルアルコールで5日間透析した後、4℃で蒸溜水に5日間透析した。得られた生成物を低温乾燥して最終生成物[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.52(GlyGlyCOOH)0.10(GlyGlyGlyOEt)0.10(GlyGlyGRGDS)0.10]13.64g(収率91%)を得た。
【0105】
組成式: C255210
元素分析値:C、51.54;H、8.77;N、7.10
理論値:C、51.87H、8.51N、6.89
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.15(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ19.1
平均分子量(M):27200
【0106】
実施例10:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシルグリシルエチルエステル)(グリシルグリシルグリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.13(AMPEG550)0.65(GlyGlyGlyOEt)0.17(GlyGlyGRGDS)0.05]の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(4.36g、22.27mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.84g、2.93mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(10.25g、18.64mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.57g)、モルフォリン(4.98g)、グリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド(0.79g)、クルライシレティレステル(0.13g)、イソブチルクロロギ酸エステル(0.07g)、トリブチルアミン(0.61g)、トリエチルアミン(7.64g)、テトラヒドロフラン(800ml)を使用することを除き、実施例3と同じ方法で最終生成物[NP(IleOEt)1.29(AMPEG550)0.54(GlyGlyGlyOEt)0.12(GlyGlyGRGDS)0.05]12.29g(収率80%)を得た。
【0107】
組成式: C2447
元素分析値:C、51.65;H、8.48;N、7.60
理論値:C、50.91;H、8.30;N、7.86
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.15(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ20.0
平均分子量(M):86500
【0108】
実施例11:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルグリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-チロシン酸ペプチド)ホスファゼン]、[NP(IleOEt)1.29(AMPEG550)0.54(GlyGlyCOOH)0.12(GlyGlyGRGDY)0.05の製造
ポリ(ジクロロホスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(4.36g、22.27mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(0.84g、2.93mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(10.25g、18.64mmol)、テトラキストライフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.51g)、モルフォリン(4.28g)、グリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド(0.81g)、イソブチル クロロギ酸エステル(0.071g)、トリブチルアミン(0.63g)、トリエチルアミン(7.65g)、テトラヒドロフラン(650ml)を使用することを除き、実施例3と同じ方法で最終生成物[NP(IleOEt)1.29(AMPEG550)0.54(GlyGlyCOOH)0.12(GlyGlyGRGDY)0.0516.12g(収率82%)を得た。
【0109】
組成式: C2345
元素分析値:C、50.63;H、8.52;N、7.79
理論値:C、49.47;H、8.49;N、7.70
水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ0.92(b、CH)、1.25(b、CH)、1.57(s、CH)、1.65乃至1.79(b、CH)、3.42乃至3.50(b、CH)、3.56(s、CH)、4.08(b、CH)、4.15(b、CH)。
リン核磁気共鳴スペクトル(DMSO‐d、ppm):δ19.1
平均分子量(M):87400
【0110】
実施例12:温度変化による薬物または生物活性分子が接合しているポリ有機ホスファゼン溶液のゾル-ゲル相転移の観察
本発明の実施例1乃至11による薬物または生物活性分子が結合しているポリ有機ホスファゼンを各℃各10重量%の濃度で4℃でリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解させた。この溶液を自動温度調節浴(bath、TC-501)に装置された粘度計(Brookfield DV‐III+ Rheometer)のチャンバーに入れた。前段速度を秒当たり0.1乃至1.7にして分当り0.04℃で温度を上昇させながら、これらの温度変化に応じるゾル-ゲル相転移を観察した。
【0111】
前記で観察された本発明の薬物または生物活性分子が結合しているポリ有機ホスファゼンの温度変化に応じるゲル特性実験結果をの以下の表2に示した。
【0112】
【表2】

【0113】
図1は本発明実施例1のパクリタキセルと結合しているポリ有機ホスファゼン溶液の温度変化に対するゾル-ゲル相転移を表す写真である。この写真は、開始ゲル温度以下では流れる液相であるが、開始ゲル温度以上の最高ゲル温度ではゲル相であることを示す。
【0114】
図2は本発明の抗癌剤または生物活性物質と接合したポリ有機ホスファゼンの温度変化に対する粘度変化を示したものである。
【0115】
ポリ有機ホスファゼンに置換されている疎水性アミノ酸エステルの種類、分解速度が調節できるアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステルの種類、官能基を有しているアミノ酸またはペプチド置換体の種類、メトキシポリエチルレングリコールの鎖長及びすべての置換体の組成の調節によって、広い範囲の最高ゲル温度及び最高ゲル強度を示すポリ有機ホスファゼンを製造することができる(大韓民国特許出願2006-0005579号)。
【0116】
さらに、官能基に置換されている薬物または生物活性分子の種類及び置換程度に応じて最高ゲル強度を調節することができる。室温では溶液相で、および体温ではゲル相の、薬物または生物活性分子が直接的に結合されているポリ有機ホスファゼンを製造することができた。
【0117】
実施例13:パクリタキセルと結合しているポリ有機ホスファゼンの時間に対する質量減少程度の観察
本発明の実施例1及び実施例2のパクリタキセルと結合しているポリ有機ホスファゼンを10重量%にリン酸緩衝食塩水に溶解させた。0.5mlのパクリタキセルが化学結合しているポリ有機ホスファゼン溶液をミリセル(millicell)に入れて37℃でハイドロゲルを作った後、10mlの0.1体積%のSDSが含まれたリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に浸して37℃水槽に置いて50rpmで振盪した。決められた時間にミリセルを取り出して凍結乾燥した後、パクリタキセルと結合しているポリ有機ホスファゼンの重量を測定した。
【0118】
本発明のパクリタキセルと結合しているポリ有機ホスファゼンの時間経過に対する重量減少を図3に示した。図3から分かるように、パクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルは37℃水溶液条件で10日目に50%の質量減少を示し、30日目には20%のハイドロゲルが残っていた。
【0119】
また、一定期間分解が進められた溶液を成分分析した結果、パクリタキセル、リン酸塩、アンモニア、エチルアルコールなどが検出された。よって、本発明のパクリタキセルと結合しているポリ有機ホスファゼンはパクリタキセルと高分子の結合が体内で分解され、パクリタキセルと結合が切れたポリ有機ホスファゼンは人体に無害なリン酸塩、アンモニア、エチルアルコールなどに分解されると推定される。
【0120】
実施例14:ドキソルビシンまたはRGDペプチドが結合しているポリ有機ホスファゼンの時間に対する分子量減少程度の観察
本発明実施例3及び実施例4にで得られたドキソルビシンと接合しているポリ有機ホスファゼンと、実施例9で得られたRGDペプチドが接合されているポリ有機ホスファゼンを、それぞれ10重量%の濃度でリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解して37℃水槽で置いて50rpmで振盪した。時間経過に対する加水分解の程度を、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を利用して測定した分子量の減少程度で評価した。
【0121】
前記で測定された本発明のドキソルビシンと接合しているポリ有機ホスファゼン及びRGDペプチドが接合されているポリ有機ホスファゼンの時間に応じる分子量の減少程度を図4に示した。図4から分かるように、37℃で最も低い粘度を有している実施例9のRGDペプチドが結合しているポリ有機ホスファゼンが最も速く加水分解され、37℃で最も高い粘度を有している実施例3のドキソルビシンが結合しているポリ有機ホスファゼンが最も遅く加水分解された。
【0122】
よって、本発明では37℃で薬物及び生物活性分子が結合しているポリ有機ホスファゼンの粘度を調節して加水分解速度を調節することができた。
【0123】
実施例15:パクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルの生体外(in vitro)へのパクリタキセルの放出挙動の観察
実施例3のポリ有機ホスファゼンが7重量%でリン酸緩衝食塩水に溶解している溶液にパクリタキセルを0.1体積%に溶解した。0.5mlのパクリタキセルが結合されているポリ有機ホスファゼン溶液をミリセルに入れて37℃でハイドロゲルを作った。
【0124】
パクリタキセルが結合されているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルを100mlの放出溶液に入れた。放出溶液は0.1体積%のSDSが含まれたリン酸緩衝食塩水(pH7.4)を使用した。
【0125】
放出溶液を37℃水槽に置いて50rpmで振盪した。その後、指定された時間に5mlの放出溶液を採取してHPLCを使用して放出したパクリタキセル量を測定した。5mlの放出溶液を採取した後には新たな放出溶液を充填した。
【0126】
前記で測定されたパクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルでのパクリタキセルの放出挙動を図5に示した。図5に示したように、パクリタキセルを含むポリ有機ホスファゼンハイドロゲルではパクリタキセルの放出が十分に調節され、および持続し、パクリタキセルは少なくとも50日目まで放出できる。
【0127】
実施例16:ドキソルビシンが接合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルの生体外へのドキソルビシンの放出挙動の観察
本発明の実施例3のドキソルビシンが接合しているポリ有機ホスファゼンを10重量%で水に溶解させた。得られた溶液にドキソルビシンを0.1重量%で溶解させた。0.5mlの溶解したドキソルビシンが結合しているポリ有機ホスファゼン溶液をミリセルに入れて37℃でハイドロゲルを作製した。得られたドキソルビシンを含むポリ有機ホスファゼンを放出溶液として使用する10mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に加えた。得られたドキソルビシンを含むポリ有機ホスファゼンを含む放出溶液を37℃水槽に入れて50rpmで震盪した。
【0128】
その後、指定された時間にミリセルを新たな放出溶液へ移した。ドキソルビシンの放出が起こる放出溶液中に放出されたドキソルビシン量は、UV‐VIS分光器(励起:495nm)で測定した。
【0129】
ドキソルビシンが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルでのドキソルビシンの放出挙動を図5に示した。図5に示すように、ドキソルビシンが含まれたポリ有機ホスファゼンハイドロゲルではドキソルビシンの放出が十分に調節され、および持続し、ドキソルビシンは少なくとも60日目まで放出することができる。
【0130】
実施例17:抗癌剤と接合しているポリ有機ホスファゼンの生体外での抗癌活性の観察
本発明の抗癌剤が接合しているポリ有機ホスファゼン-抗癌剤接合体の生体外での抗癌活性を知るため、ヒト乳癌細胞(MCF‐7、韓国細胞株銀行)及びヒト子宮頸部癌細胞(Hela、韓国細胞株銀行)に対して以下の試験を行った。
【0131】
生体外細胞実験では抗癌剤が結合しているポリ有機ホスファゼン-抗癌剤接合体の癌細胞に対する50%増殖抑制濃度(IC50)を求めるために、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウム[3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5‐diphenyl‐2H‐tetrazolium bromide(MTT)]分析法を使用した[T.Mosmann, J. Immunol. Method, 65, (1985) 55]。
【0132】
測定しようとする物質をそれぞれ少量のDMSOに溶かした後、蒸留水で200倍希釈した。この物質溶液を癌細胞であるMCF‐7(韓国細胞株銀行)及びHela(韓国細胞株銀行)に加えて混合した。その後、前記癌細胞濃度が10×10細胞/mlになるようにして96-ウェル マイクロタイタープレーターに加えた。癌細胞は5%のCO存在下37℃でそれぞれ2、3、4日間培養した。
【0133】
培養された細胞にMTT溶液(20μl)を混合した後、5%のCO存在下37℃で4時間さらに培養した。その後、各細胞の上層培地を除去した後、各ウェルにDMSO(100μl)を加えて室温でプレートシェーカーで約20分間振盪してMTTが還元されて生じたホルマルザン結晶を溶解させた。その後、ELISA Processor II Reader(Bio‐rad)を利用して570nmの波長で吸光度を測定した。
【0134】
本発明の抗癌剤が結合しているポリ有機ホスファゼン-抗癌剤接合体の生体外抗癌活性測定結果を次の表3に示した。
【0135】
【表3】

【0136】
前記表3に示したように、パクリタキセルと結合しているポリ有機ホスファゼンはパクリタキセルと類似の生体外抗癌活性を示した。また、ドキソルビシンと結合しているポリ有機ホスファゼンはドキソルビシンと類似の生体外抗癌活性を示した。
【0137】
実施例18:パクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルの生体内での抗癌活性観察
本発明実施例1のパクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルの生体内抗癌性を以下の方法で測定した。
【0138】
生体内動物実験では、ヌードマウス(オリエンタルバイオ、Balb/C、5週齢の雌、20g)を動物モデルとして使用した。胃癌細胞であるSNU-601(1×10Cell、0.2ml、韓国細胞株銀行)をマウスの背と股の間の皮下に注射した。リン酸緩衝食塩水(pH7.4)に実施例1のポリ有機ホスファゼン-パクリタキセル接合体が10重量%の濃度で溶解されているポリマー溶液を調整した。この溶液をそれぞれ0.1ml及び0.2mlの前記胃癌細胞に注入し、癌細胞の大きさ変化を測定した。
【0139】
この溶液を0.1ml注入する場合、マウス重量1kg当り15mgのパクリタキセルが注入される。この溶液を0.2ml注入する場合、マウス重量1kg当り30mgのパクリタキセルが注入される。
【0140】
また、対照群としてパクリタキセルをマウス重量1kg当り60mg投与したマウスの癌細胞の大きさの変化と、抗癌剤を投与せずに食塩水のみを投与したマウスの癌細胞の大きさの変化を測定した。使用したマウスの数はそれぞれ10匹ずつであった。
【0141】
上記のマウスの癌細胞の大きさの変化を、図6に示した。
【0142】
図6に示したように、癌細胞に食塩水のみを投与した対照群は投与後26日目に94%の増加、投与後34日目には134%の癌細胞の増加を示した。
【0143】
しかし、0.1mlのパクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルを投与した群では、癌細胞の大きさは投与後26日目には60%に、投与後34日目には57%に減少した。さらに0.2mlのパクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルを投与した群では、癌細胞の大きさは投与後26日目には81%に、投与後34日目には81%に減少した。
【0144】
そして、60mg/kgの濃度でパクリタキセルのみを注入した対照群では、10日後にパクリタキセルの毒性によって8匹のマウスが死んだ。
【0145】
実施例19:ドキソルビシンが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルの生体内での抗癌活性の観察
前記実施例5のドキソルビシンが結合しているポリ有機ホスファゼン-ドキソルビシン接合体ハイドロゲルの生体内での抗癌活性を以下の方法で測定した。
【0146】
生体内動物実験では、ヌードマウス(オリエンタルバイオ、Balb/C、5週齢の雌、20g)を動物実験モデルとして使用した。胃癌細胞のSNU-601(1×10Cell、0.2ml、韓国細胞株銀行)をマウスの背と股の間の皮下に注射した。リン酸緩衝食塩水(pH7.4)に実施例5のポリ有機ホスファゼン-ドキソルビシン接合体が10重量%の濃度で溶解された溶液を調整した。それぞれ0.1ml及び0.2mlの溶液を前記胃癌細胞に腫瘍内に注入し、癌細胞の大きさの変化を測定した。
【0147】
前記溶液が0.1ml注入される場合、マウス重量1kg当り30mgのドキソルビシンが投与された。前記溶液が0.2ml注入される場合、マウス重量1kg当り60mgのドキソルビシンが投与された。
【0148】
対照群としてドキソルビシンをマウス重量1kg当り30mg投与したマウスおよび抗癌剤を投与せず食塩水のみを投与したマウスの癌細胞の大きさ変化をそれぞれ測定した。使用したマウスの数はそれぞれ10匹ずつであった。
【0149】
上記のマウスの癌細胞の大きさの変化を図7に示した。
【0150】
図7に示すように、癌細胞に食塩水のみを投与した対照群は投与後14日目には70%の増加、投与後28日目には223%の癌細胞の増加を示した。
【0151】
しかし、0.1mlのドキソルビシンが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルを投与した群では、癌細胞の大きさは14日目には68%に、投与後26日目には173%に、28日目には168%に減少した。また0.2mlのドキソルビシンが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルを投与した群では、癌細胞の大きさは投与後14日目には155%に、投与後22日目には195%に、28日目には182%に減少した。
【0152】
そして、30mg/kgの濃度でドキソルビシンのみを注入した対照群は14日後にドキソルビシンの毒性によってすべてのマウスが死んだ。しかし、30mg/kg及び60mg/kgのドキソルビシン濃度のドキソルビシンが結合されているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルを注入した群では一匹も死ななかった。
【0153】
上記で記載されているように、本発明の薬物到達システムは薬物組成における優れた薬剤安定性、長時間の薬物放出および優れた生物活性を有している。したがって、本発明の薬物到達システムは、薬物の担体として有用であるのと同時に、組織工学に関する様々な生体適合物質の分野への適用が期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明のパクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンのゾル-ゲル転移を示す写真である。
【図2】本発明の抗癌剤または生物活性分子が結合しているポリ有機ホスファゼンの温度変化に対する粘度の変化を示すものである。
【図3】本発明のパクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルの時間経過に対する質量減少の程度を示すものである。
【図4】本発明の抗癌剤または生物活性分子が結合しているポリ有機ホスファゼンの時間経過に対する分子量減少の程度を示すものである。
【図5】本発明の抗癌剤が結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルから時間経過に対する抗癌剤の放出挙動を示すものである。
【図6】本発明のパクリタキセルが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルの生体内(in vivo)での抗癌活性を示すものである。
【図7】本発明のドキソルビシンが結合しているポリ有機ホスファゼンハイドロゲルの生体内での抗癌活性を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の構造で示される置換基を有することにより温度感応性および生分解性を有するポリ有機ホスファゼンと、置換基R10で示される生物活性分子が結合している、ポリ有機ホスファゼン-生理活性分子接合体:
【化1】

前記式で、pは7乃至50の整数値を有し、
はH、HCH、CH、CHSH、CH(CH)、CHCH(CH)、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CH)CO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここで、W及びXはそれぞれ独立的にH、HCH、CH、CH(CH)、CHCH(CH)、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CH)CO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、O、CONHCH(Z)O、CO、CO、S、CONHCH(Z)S、N、CONHCH(Z)N、CON、COCHNH(Z)CON、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH、CHCHCH及び発明の詳細な説明の表1に記載された保護基からなる群より選択され、
ここで、Y及びZはそれぞれ独立的にH、HCH、CH、CH(CH)、CHCH(CH)、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CH)CO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はOH、SH、H、NH、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CH)qSH、NH(CHCHNH)rH、[NHCH(CNH)CO]rOH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]rOH及びプロタミンからなる群より選択され、
qは1乃至20の整数値を有し、
rは1乃至18000の整数値を有し、
10はパクリタキセル、ドキソルビシン、カンプトテシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、10-ヒドロキシカンプトテシン、10-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、メトトレキサート、マイトマイシンC、タキソイド、ドセタキセル、クロラムブシル、カリケアマイシン、マイタンシノイド、2-ピロリノドキソルビシン(AN−201)、ダウノルビシン、ブチル酸、メルファラン、4'-ジメチルデオキシポドフィロトキシン、 クルクミン、ポドフィロトキシン、エピポドフィロトキシン、4β−アミノ-4'-O-ジメチルエピポドフィロトキシン、タリソマイシンS10b、ダウノマイシン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、シス−アコニチル-ダウノマイシン、カリケアマイシン、ジアゼニウムジオレート、ネトロプシン、6-メルカプトプリン(6‐metcaptopurine)、グルクロン酸抱合酸抱合、フォスミドシン、ストレプトニグリン、ヘマトポルフィリン、デスフェリオキサミン(DFO)、デフェリプロン、アシビシン、エストラムスチン、エネジイン、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸ペプチド、ニューロペプチド、アルブミン、牛血清アルブミン、牛膵臓リボヌクレアーゼ(RNase A)、牛精液リボヌクレアーゼ(BS−RNase)、Bowman‐brikプロテアーゼ阻害剤(BBI)、コラーゲン、フィブロネクチン(fibronetin)、ラミニン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、ヒルジン、コロニー刺激因子(CSF)、インシュリン、デスモプレシン、グルカゴン類似ペプチド1(GLP1)、ヒト成長ホルモン拮抗剤、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)、アスパラギナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、変異性成長因子β(TGF-β)、骨形成蛋白質(BMPs)、成長因子、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、サイトカイン、テアニン、デキサメタゾン、ヘパリン、キトサン、ヒアルロナン、シクロデキストラン、澱粉、炭水化物、糖類、(緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)などの)蛍光蛋白質、ウイルス様粒子(VLP)及びワクチンからなる群より選択され、
a、b、c、d、e及びfは各置換体の含量を示す値で、a、b、fは独立して0.01乃至1.9の値を有し、c、d及びeは独立して0乃至1.9の値を有し、a+b+c+d+e+f=2.0であり、
nは5乃至100000の値を有する。
【請求項2】
ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルパクリタキセル)ホスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルドキソルビシン)ホスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルグリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド(cernicacidpeptied))ホスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルグリシンエチルエステル)(グリシルグリシルグリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-セリン酸ペプチド)ホスファゼン]及びポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルグリシン-アルギニン-グリシン-アスパラギン-チロシン酸ペプチド(tyrosinicacidpeptied))ホスファゼン]からなる群より選択されたことを特徴とする、請求項1に記載のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体。
【請求項3】
次の段階を含むことを特徴とする請求項1のポリ有機ポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体の製造方法:
(1)次の化学式2のホスファゼン三量体を熱重合させて次の化学式3のジクロロホスファゼン直鎖高分子を得る段階
【化2】

【化3】

(前記式の中で、nは7乃至100000の整数値);
(2)前記段階(1)で生成された化学式3の化合物を次の化学式4のアミノ酸エステルまたはその塩の0.01乃至1.9当量と反応させる段階
[化4]
NHCH(R)CO
(3)前記段階(2)の生成物を次の化学式5のアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステルまたはその塩から選択される一つと、0乃至1.9当量と反応させる段階:
[化5]
NH(R)(R)(R);
(4)前記段階(3)の生成物を次の化学式6の官能基を有する置換体またはその塩の0.01乃至1.9当量と反応させる段階
[化6]
NH(R)(R)(R);
(5)前記段階(4)の生成物を次の化学式7のアミノメトキシポリエチレングリコールまたはその塩の0.01乃至1.19当量と反応させる段階
[化7]
NH(CHCHO)pCH
及び、
(6)前記で得られた生成物をタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子、ホルモン、抗癌剤及び新生血管抑制剤からなる群より選択された生物活性分子と反応させて結合させる段階
(前記式で、pは7乃至50の値を有し、
はH、HCH、CH、CHSH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここで、W及びXはそれぞれ独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、O、CONHCH(Z)O、CO、CO、S、CONHCH(Z)S、N、CONHCH(Z)N、CON、COCHNH(Z)CON、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH、CHCHCH及び発明の詳細な説明の表1に記載された保護基からなる群より選択され、
ここで、Y及びZはそれぞれ独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はOH、SH、H、NH、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CH)qSH、NH(CHCHNH)rH、[NHCH(CNH)CO]rOH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]rOH及びプロタミンからなる群より選択され、
qは1乃至20の整数値を有し、
rは1乃至18000の整数値を有し、
10はパクリタキセル、ドキソルビシン、カンプトテシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、10-ヒドロキシカンプトテシン、10-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、メトトレキサート、マイトマイシンC、タキソイド、ドセタキセル、クロラムブシル、カリケアマイシン、マイタンシノイド、2-ピロリノドキソルビシン(AN-201)、ダウノルビシン、ブチル酸、メルファラン、4'-ジメチルデオキシポドフィロトキシン、クルクミン、ポドフィロトキシン、エピポドフィロトキシン、4β−アミノ-4'-O-ジメチルエピポドフィロトキシン、タリソマイシンS10b、ダウノマイシン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、シス-アコニチル-ダウノマイシン、カリケアマイシン、ジアゼニウムジオレート、ネトロプシン、6-メルカプトプリン、グルクロン酸抱合、フォスミドシン、ストレプトニグリン、ヘマトポルフィリン、デスフェリオキサミン(DFO)、デフェリプロン、アシビシン、エストラムスチン、エネジイン、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸ペプチド、ニューロペプチド、アルブミン、牛血清アルブミン(BSA)、牛膵臓リボヌクレアーゼ(RNaseA)、牛精液リボヌクレアーゼ(BS‐RNase)、Bowman‐brikプロテアーゼ阻害阻害剤(BBI)、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、ヒルジン、コロニー刺激因子(CSF)、インシュリン、デスモプレシン、グルカゴン類似ペプチド1(GLP1)、ヒト成長ホルモン拮抗剤、腫瘍壊死因子収容体1(TNFR1)、アスパラギナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、変異性成長因子β(TGF‐β)、骨形成蛋白質(BMPs)、成長因子、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、サイトカイン、テアニン、デキサメタゾン、ヘパリン、キトサン、ヒアルロナン、シクロデキストラン、澱粉、炭水化物、糖類、蛍光蛋白質、ウイルス様粒子(VLP)及びワクチンからなる群より選択され、
a、b、c、d、e及びfは各置換体の含量を示す値で、a、b、fは独立して0.01乃至1.9の値を有し、c、d及びeは独立して0乃至1.9の値を有し、a+b+c+d+e+f=2.0であり、nは5乃至100000の値を有する。)
【請求項4】
前記段階(5)と前記段階(6)の間に、前記段階(5)の生成物のRがCHまたはCHCHCHを含む場合、前記段階(5)の生成物を脱水素化反応または脱アリルエステル化反応させる段階(5-1)をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記段階(5)と前記段階(6)との間、または前記段階(5-1)と前記段階(6)との間に、前記段階(5)または段階(5-1)で得られた生成物をリジン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミン、ポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリアルギニン及びプロタミンからなる群より選択された官能基を有する置換体と反応させる段階(5−2)をさらに含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
以下の化学式8のポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体を含む、温度変化に応じてゾル-ゲル転移を示すハイドロゲル:
【化8】

前記式で、
pは7乃至50の整数値を有し、
はH、HCH、CH、CHSH、CH(CH、CH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここで、W及びXはそれぞれ独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、O、CONHCH(Z)O、CO、CO、S、CONHCH(Z)S、N、CONHCH(Z)N、CON、COCHNH(Z)CON、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH、CHCHCH及び発明の詳細な説明の表1に記載された保護基からなる群より選択され、
ここで、Y及びZはそれぞれ独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はOH、SH、H、NH、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CH)qSH、NH(CHCHNH)rH、[NHCH(CNH)CO]rOH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]rOH及びプロタミンからなる群より選択され、
qは1乃至20の整数値を有し、
rは1乃至18000の整数値を有し、
10は、パクリタキセル、ドキソルビシン、カンプトテシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、10-ヒドロキシカンプトテシン、10-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、メトトレキサート、マイトマイシンC、タキソイド、ドセタキセル、クロラムブシル、カリケアマイシン、マイタンシノイド、2-ピロリノドキソルビシン(AN-201)、ダウノルビシン、ブチル酸、メルファラン、4'-ジメチルデオキシポドフィロトキシン、クルクミン、ポドフィロトキシン、エピポドフィロトキシン、4β−アミノ-4'-O-ジメチルエピポドフィロトキシン、タリソマイシンS10b、ダウノマイシン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、シス-アコニチル-ダウノマイシン、カリケアマイシン、ジアゼニウムジオレート、ネトロプシン、6-メルカプトプリン、グルクロン酸抱合、フォスミドシン、ストレプトニグリン、ヘマトポルフィリン、デスフェリオキサミン(DFO)、デフェリプロン、アシビシン、エストラムスチン、エネジイン、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸ペプチド誘導体、ニューロペプチド、アルブミン、牛血清アルブミン(BSA)、牛膵臓リボヌクレアーゼ(RNaseA)、牛精液リボヌクレアーゼ(BS‐RNase)、Bowman‐brikプロテアーゼ阻害剤(BBI)、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、ヒルジン、コロニー刺激因子(CSF)インシュリン、デスモプレシン、グルカゴン類似ペプチド1(GLP1)、ヒト成長ホルモン拮抗剤、腫瘍壊死因子収容体1(TNFR1)、アスパラギナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、変異性成長因子β(TGF-β)、骨形成蛋白質(BMPs)、成長因子、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、サイトカイン、テアニン、デキサメタゾン、ヘパリン、キトサン、ヒアルロナン、シクロデキストリン、澱粉、炭水化物、糖類、蛍光蛋白質、ウイルス様粒子(VLP)及びワクチンからなる群より選択され、
a、b、c、d、e及びfは各置換体の含量を示す値で、a、b、fは独立して0.01乃至1.9の値を有し、c及びd、eは独立して0乃至1.9の値を有し、a+b+c+d+e+f=2.0であり、
nは5乃至100000の値を有する。
【請求項7】
前記ポリ有機ホスファゼン-生物活性分子接合体が水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩容液、生理食塩水、注射用水及びブドウ糖食塩液からなる群より選択された1つ以上の溶媒に、1乃至50重量%の濃度で溶解していることを特徴とする、請求項6に記載のハイドロゲル。
【請求項8】
請求項1または2に記載のポリ有機ホスファゼン-生理活性分子接合体及び請求項6または7に記載のポリ有機ホスファゼン-生理活性分子接合体含有ハイドロゲルからなる群より選択された1つ以上を含む、生物活性分子到達用組成物。
【請求項9】
追加の生物活性分子分子、細胞及び添加剤からなる群より選択された1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の生物活性分子到達用組成物。
【請求項10】
前記添加剤は分子量200乃至750000の陽イオン高分子、ポリ(N−ビニルー2−ピロリドン)、ポリビニルアセテート(PVA)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩、ヘパリン、アルギン酸塩、アミロライド、プロカインアミド、アセチル-β−メチルコリン、スペルミン、スペルミジン、リゾチーム、フィブロイン、アルブミン、コラーゲン、成長因子、骨形成蛋白質(BMPs)、デキサメタゾン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンビン、タンパク質、クレモフォアEL、デクスラゾキサン、ロイコボリン、リシノール酸、リン脂質、小腸粘膜下組織、ビタミンE、脂肪酸のポリグリセロールエステル、ラブラフィル、ラブラフィルM1944CS、クエン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、イソプロピルミリステート、オイドラギット(Eudragit)、テゴベタイン、ジミリストイルフォスファチジルコリン、スクレログルカン(scleroglucan)、エタノール、ジメチルスルホキシド、保存剤、糖類、ポリオール、糖含有ポリオール、アミノ酸、ポリマー含有ポリオール、糖含有アミノ酸、界面活性剤、糖含有イオン、珪酸塩、NaCl、KCl、NaBr、NaI、LiCl、n‐BuNBr、n‐PrNBr、EtNBr、Mg(OH)、Ca(OH)、ZnCO、Ca(PO、ZnCl、(CZn、ZnCO、CdCl、HgCl、CoCl、(CaNO、BaCl、MgCl、PbCl、AlCl、FeCl、FeCl、NiCl、AgCl、AuCl、CuCl、テトラデシル硫酸ナトリウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、及び臭化テトラドデシルトリメチルアンモニウムからなる群より選択され、
前記添加剤の含量は全生物活性分子到達用組成物重量を基準に1×10-6乃至30重量%であることを特徴とする、請求項9に記載の生物活性分子到達用組成物。
【請求項11】
前記追加の生物活性分子はタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子、ホルモン、抗癌剤及び新生血管抑制剤からなる群より選択された1つ以上のものであり、前記生物活性分子の含量は全生物活性分子到達用組成物体積基準で1×10-8乃至50体積%であることを特徴とする、請求項9に記載の生物活性分子到達用組成物。
【請求項12】
前記タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドが、赤血球生成因子(EPO)、インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、成長ホルモン(人間、豚、牛など)、成長ホルモン放出因子、神経成長因子(NGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M‐CSF)、血液凝固因子、インシュリン、オキシトシン、バソプレッシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、プロラクチン、ルリベリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH作用剤、LHRH拮抗剤、ソマトスタチン、グルカゴン、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-11(IL-11)、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンジオテンシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)、ヘパリン分解酵素、骨形成蛋白質(BMP)、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)、グルカゴン類似ペプチド(GLP‐1)、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシディン、グラミシジン、シクロスポリン、及びこれらの合成アナログ、単クローン抗体、抗体、修飾又は薬と同じ効果を示す物質、酵素及びサイトカインからなる群より選択された1つ以上のものであり、
前記ワクチンは肝炎ワクチンであり、
前記遺伝子は低分子干渉RNA(siRNA)、プラスミドDNA及びアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS‐ODN)からなる群より選択された1つ以上のものであり、
前記ホルモンはテストステロン、エストラジオール、プロゲストロン、プロスタグランジン及びこれらの合成アナログからなる群より選択された1つ以上のものであり、
前記抗癌剤はパクリタキセル、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、テガフール、イリノテカン、ドセタキセル、シクロホスファマイド、ゲムシタビン(cemcitabine)、イホスファミド、マイトマイシンC、ビンクリスチン、エトポシド、メトトレキサート、トポテカン、タモキシフェン、ビノレルビン、カムトテシン、ダヌオルビシン、クロラムブシル、ブリオスタチン-1、カリケアマイシン、マイアタンシン、レバミゾール、DNA組換えインターフェロンα-2a、ミトキサントロン、ニムスチン、インターフェロンα-2a、ドキシフルリジン、フォルメスタン、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、カルモフール、テニポシド、ブレオマイシン、カルムスチン、ヘプタプラチン、エキセメスタン、アナストロゾール、エストラムスチン、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、ポリサッカライドカリウム、酢酸メドロキシポゲステロン、エピルビシン、レトロゾール、ピラルビシン、トポテカン、アルトレタミン、トレミフェンクエン酸塩、BCNU、タキソテール、アクチノマイシンD、ポリエチルレングリコール接合タンパク質及びこれらの合成アナログからなる群より選択された1つ以上の物質であり、
前記新生血管抑制剤はBMS-275291、クロドロネート、6-デオキシ-6-デメチル-4-デジメチルアミノテトラサイクリン、ドキシサイクリン、マリマスタット、2-メトキシエストラジオール、スクアラミン、SU5164,サリドマイド、TNP-470,コンブレタスタチンA4、大豆イソフラボン、エンザスタウリン、CC5013、セレコキシブ、ZD6474,ハロフジノン臭化水素酸塩、インターフェロン-α、ベバシズマブ、AE-941、インターロイキン-12、血管内皮成長因子トラップ(VEFG‐trap)、セツキシマブ及びこれらの合成アナログからなる群より選択された1つ以上の物質であることを特徴とする、請求項9に記載の生物活性分子到達用組成物。
【請求項13】
前記細胞は前骨芽細胞、軟骨細胞、新生血管細胞(UVEC)、骨芽細胞、成体幹細胞、シュワン細胞、希突起膠細胞、肝細胞、壁細胞(UVECと組み合わせて使用)、筋芽細胞、インシュリン分泌細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、β細胞、内胚葉細胞、肝幹細胞、糸球体傍細胞、骨格筋細胞、角化細胞、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、真皮繊維芽細胞及び前脂肪細胞からなる群より選択された1つ以上のものであることを特徴とする、請求項9に記載の生物活性分子到達用組成物。
【請求項14】
腸管外投与、眼科的投与、軟骨組織、骨組織、脂肪組織または癌組織への局所的注入、吸入、経皮性投与、膣投与、尿道投与、直腸投与、経鼻投与、経口投与、肺投与、経耳投与、筋肉投与、皮下投与及び静脈投与からなる群より選択された投与経路を通じて投与されることを特徴とする、請求項9に記載の生物活性分子到達用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−532554(P2009−532554A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504100(P2009−504100)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004574
【国際公開番号】WO2007/114549
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(591074116)韓国科学技術研究院 (17)
【氏名又は名称原語表記】KOREA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECNOLOGY
【住所又は居所原語表記】39−1 Hawolgok−dong,Seongbuk−gu,Seoul 136−791KOREA
【Fターム(参考)】