説明

感熱記録用ラベル

【課題】本発明は、剥離紙を廃棄物として出すことがなく、繰り返し表示内容を書き換えることが可能であり、発色が良好な感熱記録用ラベルを提供することである。
【解決手段】少なくとも支持体の片面に、温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱記録層を設け、該支持体の感熱記録層とは反対面に、少なくとも融点が70℃以上の固体可塑剤と熱可塑性樹脂を含有する感熱性粘着剤層を設けたことを特徴とする感熱記録用ラベル。感熱記録層が通常無色ないし淡色のロイコ染料と、加熱により該ロイコ染料を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性顕色剤とを含有すると好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを制御することにより色調が可逆的に変化する感熱記録用ラベルに関するものである。特に、常温では非粘着性であるが加熱により粘着性が発現し、粘着性発現後もその粘着性が持続する感熱記録用ラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一時的な画像の形成が行なえ、不要となった時にはその画像の消去が出来るようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。可逆性感熱記録材料としては、通常無色ないし淡色のロイコ染料と、加熱によりこのロイコ染料を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性を有する顕色剤を用いた感熱記録材料(例えば、特許文献1〜3参照)、ポリエステル等の樹脂中に高級アルコール、高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した感熱記録材料、屈折率の異なるポリマーを2種以上混合した感熱記録材料等が知られている。
【0003】
このような可逆性感熱記録材料は、熱ヘッド、熱ペン、レーザ光等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時反応し記録画像が得られるものである。この中でも、繰り返し記録消去を行ったときの記録媒体への機械的負荷が少ないレーザ光による記録消去方法が提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。
【0004】
こうした可逆性感熱記録材料の可逆性感熱記録層の支持体とは反対面に、接着剤層または粘着材層を設け、さらに剥離紙を順次積層した可逆性感熱記録用ラベルも提案されていて、磁気メモリー、ICメモリー、CDやDVD等の光学ディスク等の追記可能あるいは随時書き込み消去が可能な高密度記録材料用のラベルとして使用したり、ICカード、IDカード、キャッシュカード等の塩ビ系の厚手カードの情報表示ラベルとして使用したりすることが知られている(例えば、特許文献6及び7参照)。
【0005】
上記の粘着ラベルは、貼り合わせ時に剥離紙を剥がし加圧のみで簡便に貼り合わせることができるため広く使用されている。しかし、一般的な構成の粘着ラベルは、剥離された剥離紙は回収されて再利用され難く、ほとんどの場合廃棄処分されている。また、いわゆる粘着剤層はタックをもっており、剥離紙を剥がした後の取り扱いが非常に難しく、被着体に不用意に貼り付けてしまったときに貼り直すために粘着ラベルを剥がそうとすると、粘着ラベルがカールしたりしわが入ったりし、最悪の場合にはラベルが破れるという問題があった。近年では、常温では粘着性を示さず剥離紙を必要としない感熱性粘着ラベルが注目されている。
【0006】
感熱性粘着剤は、固体可塑剤および熱可塑性樹脂を必須成分とし、これらに粘着付与剤等を混合したもので、これらの混合物を支持体上の印刷面の反対面に塗工することにより感熱性粘着ラベルが得られる。感熱性粘着ラベルの粘着層表面は、常温では全く粘着性を示さないが、加熱することにより粘着性が発現し、熱源を取り去った後でも暫くの間粘着性を維持するものであり、加熱によりまず固体可塑剤が融解し、熱可塑性樹脂と粘着付与剤を溶解することにより粘着性が発現すると考えられている。感熱性粘着ラベルは、前記の一般的な粘着ラベルのように剥離紙を使用しないため、省資源、環境問題の点から有利である。更に、被着体に当接させてから感熱性粘着ラベルを加熱すれば接着できるため、貼付ミスを防止できる。
【0007】
このような利点を有する感熱性粘着ラベルであっても、従来のものには問題点を有するものもあった。その問題点の1つとして、ブロッキングが挙げられる。ブロッキングは、粘着を意図しないにも拘わらず粘着性を発現してしまう現象であり、常温よりも高い温度雰囲気下に長時間曝された場合等に誘発することがある。ロール状態またはそれを枚葉に裁断して積み重ねた状態のいずれの場合においても、一たびブロッキングが誘発すれば、感熱性粘着剤層と外面(支持体を挟んで感熱性粘着剤層と反対面)とが接着し、紙送りに支障をきたすのみならず、外面の印刷にも悪影響を与えることになる。従来の感熱性粘着ラベル用固体可塑剤として最も汎用されているフタル酸ジシクロヘキシルを例にとって説明すると、この融点は64℃であるにも拘わらず、この固体可塑剤を用いて作製された感熱性粘着シートは、約50℃の雰囲気下に保存することにより粘着性が発現する現象が観察される。こうしたブロッキングを改良すべく新規の固体可塑剤を使用した感熱性粘着ラベルも提案されている(例えば、特許文献8及び9参照)。
【0008】
一方、可逆性感熱記録用ラベルに感熱性粘着剤を適用した場合に特有の問題として、可逆性感熱記録層の発色性低下が挙げられる。おそらく、こうした可逆性感熱記録用ラベルをロール状で保管している間に、可逆性感熱記録層と感熱性粘着剤層が剥離紙を介さず直接接触するため、感熱性粘着剤層中の成分の一部が可逆性感熱記録層に移行し、発色を阻害するのではないかと考えられる。
【特許文献1】特開平6−210954号公報
【特許文献2】特開平6−210955号公報
【特許文献3】特開平7−125428号公報
【特許文献4】特開平5−8537号公報
【特許文献5】特開平11−151856号公報
【特許文献6】特許第3177060号公報
【特許文献7】特開平10−49053号公報
【特許文献8】特許第3556396号公報
【特許文献9】特許第3556414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、剥離紙を廃棄物として出すことがなく、繰り返し表示内容を書き換えることが可能であり、発色が良好な感熱記録用ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らはこれらの課題を解決すべく検討した結果、下記の発明により上記の課題が解決されることを見いだした。
【0011】
支持体の片面に、温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱記録層を設け、該支持体の感熱記録層とは反対面に、少なくとも融点が70℃以上の固体可塑剤と、熱可塑性樹脂を含有する感熱性粘着剤層を設けたことを特徴とする感熱記録用ラベルの発明である。
【0012】
前記感熱記録層が通常無色ないし淡色のロイコ染料と、加熱により該ロイコ染料を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性顕色剤とを含有すると好ましい。
【0013】
前記固体可塑剤が下記一般式1および/または一般式2で表される化合物であると好ましい。(一般式1において、R1は水素原子、メチル基、t−ブチル基の何れかを表し、Xは二価の連結基であって、−OCH2CH2O−、−CH2CH2−、−S−の何れかを表す。一般式2において、R2、R3は水素原子、炭素数が1〜8のアルキル基、α,α−ジメチルベンジル基の何れかを表し、Rは水素原子、塩素原子の何れかを表す。)
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
前記可逆性顕色剤が下記一般式3で表される化合物であると好ましい。(一般式3において、Ya及びYbはそれぞれ同じであっても、異なってもよい酸素原子、硫黄原子又は両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。R5は単結合又は炭素数1から12の二価の炭化水素基を表す。R6は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1から4の二価の炭化水素基である。R7は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R5、R6及びR7の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R5、R6及びR7は主として、各々アルキレン基及びアルキル基を表す。R5の場合は、芳香環を含んでいてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上のとき繰り返されるR6及びYbは同一であっても異なっていてもよい。)
【0017】
【化3】

【0018】
前記支持体と感熱記録層の間および/または前記支持体と感熱性粘着剤層の間にバリヤー層を有すると好ましい。
【0019】
前記支持体が空洞含有ポリエステル系フィルムであると好ましい。
【0020】
前記支持体上の感熱記録層を設けた側および/または前記支持体上の感熱性粘着剤層を設けた側に、光熱変換材料を含有する層を少なくとも1層設けると好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の感熱記録用ラベルによって、剥離紙を廃棄物として出すことがなく、発色性・消色性が良好で、繰り返し表示内容を書き換えることが可能な感熱記録用ラベルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の感熱記録用ラベルについて詳細に説明する。本発明の感熱記録用ラベルは、支持体の片面に、温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱記録層を設け、該支持体の感熱記録層とは反対面に、少なくとも融点が70℃以上の固体可塑剤と、熱可塑性樹脂を含有する感熱性粘着剤層を設けたことを特徴とする。
【0023】
本発明に係わる感熱性粘着剤層について説明する。本発明に係わる感熱性粘着剤層は、少なくとも融点が70℃以上の固体可塑剤と、熱可塑性樹脂を含有する。融点が70℃以上の固体可塑剤を使用することによって、ブロッキングの発生を抑制することができる。融点が70℃以上の固体可塑剤の例としては、例えば、フタル酸ジフェニル(融点73℃)、N−シクロへキシル−p−トルエンスルホンアミド(融点86℃)、安息香酸スクロース(融点98℃)、二安息香酸エチレングリコール(融点70℃)、三安息香酸トリメチロールエタン(融点73℃)、四安息香酸ペンタエリトリット(融点95℃)、八酢酸スクロース(融点89℃)、カテコールジベンゾエート(融点86℃)等、更には上記一般式1で表されるヒンダードフェノール系化合物、一般式2で表されるベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。一般式1において、R1は水素原子、メチル基、t−ブチル基の何れかを表し、Xは二価の連結基であって、−OCH2CH2O−、−CH2CH2−、−S−の何れかを表す。一般式2において、R2、R3は水素原子、炭素数が1〜8のアルキル基、α,α−ジメチルベンジル基の何れかを表し、Rは水素原子、塩素原子の何れかを表す。これらの化合物は単独または複数を組み合わせて用いられる。これらのうち、加熱後の粘着性の持続時間が長く経時での接着安定性という点、さらには後に述べる感熱記録層の発色性の点から、上記一般式1、一般式2で挙げられる化合物を使用するのが好ましい。一般式1、2以外の固体可塑剤を用いた場合、感熱記録用ラベルの感熱記録層の発色性が劣る傾向が見られる。一方、一般式1、2で表される固体可塑剤を使用した感熱性粘着剤層の場合には、こうした感熱記録層の発色性の低下が起こりにくいことが判明した。おそらく、本発明の感熱記録用ラベルをロール状で保管している間に、感熱記録層と感熱性粘着剤層が直接接触するため、感熱性粘着剤層中の固体可塑剤の一部が感熱記録層に移行し、発色を阻害するのではないかと考えられる。一般式1、2で表される固体可塑剤の場合には、保管時の感熱記録層への移行が起こりにくいか、移行した場合でも感熱記録層の発色を阻害しにくいか等の理由により、発色の低下を招かないのだと考えられる。
【0024】
一般式1で表される化合物の例としては、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらの中で、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕(融点77℃)、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点103℃)が好ましく使用される。
【0025】
一般式2で表される化合物の例としては、2−[5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[3′5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらの中で、上記一般式2において、R2、R3のどちらかが炭素数4〜8の分岐を有するアルキル基である化合物が好ましい。これは、R2、R3のどちらかにこうした立体障害の大きい基を有していると、化合物の融解後の再結晶化を妨げるため、感熱性粘着剤組成物を熱活性化した後の固体可塑剤の再結晶化による接着力の低下を防ぐことができるからだと考えられる。R2、R3のどちらかが炭素数4〜8の分岐を有するアルキル基である化合物の例としては、2−[3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール(融点152℃)、2−[3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール(融点138℃)、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(融点154℃)、2−(3′,5′−ジ−t−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(融点80℃)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(融点103℃)等が挙げられる。
【0026】
本発明において、感熱性粘着剤層に使用される融点が70℃以上の固体可塑剤
の割合は、全固体可塑剤に対して、60質量%以上が好ましく、更には80質量%が好適である。
【0027】
これらの固体可塑剤化合物は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、ダイノミル、アトライター、ヘンチェルミキサーなどの湿式もしくは乾式の粉砕機により微粒化され水分散液として用いられるが、従来公知の方法でマイクロカプセル化して使用することも可能である。固体可塑剤の粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは1〜3μmである。
【0028】
感熱性粘着剤層を構成する熱可塑性樹脂の種類としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−スチレン共重合体、ポリブタジエン、ポリウレタン等の樹脂が挙げられる。これらのうち、接着性、耐候性の観点から、アクリル酸エステルをモノマー成分とする各種共重合体を使用するのが好ましい。これらは単独または複数を組み合わせて用いられる。
【0029】
感熱性粘着剤層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移点温度(Tg)は20℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは−50℃以上0℃以下である。一般に、固体可塑剤は融点が高くなるにつれ樹脂の可塑化能が低下する。融点70℃以上の固体可塑剤とガラス転移温度が20℃よりも高い熱可塑性樹脂の組み合わせでは、熱可塑性樹脂の可塑化が不十分となり、加熱したときに粘着性が現れにくい。一方、ガラス転移温度が低すぎると、熱可塑性樹脂自体が有する粘着性が強くなり、ブロッキングを起こしやすくなる。
【0030】
本発明における固体可塑剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対して50〜400質量部、好ましくは100〜300質量部の範囲で用いられる。この範囲未満の場合はブロッキングが生じやすくなり、この範囲を越えると粘着力の低下やチョーキングが生じやすくなる。
【0031】
本発明に係わる感熱性粘着剤層には、粘着力を向上するために、粘着付与剤を添加することができる。本発明に用いる粘着付与剤の具体例としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン誘導体樹脂等が用いられるが、JIS K 2406に記載の環球法による軟化点が130℃以上のものが好ましい。これら粘着付与剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対し200質量部以下、好ましくは20〜150質量部の範囲で混合して用いられる。粘着付与剤の添加部数が200質量部を越えるとブロッキングを生じ易くなる。
【0032】
本発明に係わる感熱性粘着剤層には、感熱性粘着剤層と支持体との接着または感熱性粘着剤層内の凝集力を高める目的で、水性高分子バインダー、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、アルギン酸ソーダ等を添加することができる。
【0033】
感熱性粘着剤層の厚さは、通常2μm〜50μmであり、好ましくは5μm〜30μmの範囲である。厚さが2μm未満であると、加熱による接着を行う際に十分な接着力が得られにくい。また、50μmを超えると接着機能が飽和する。
【0034】
本発明に関わる感熱記録層は、温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する材料を用いる。例えば、通常無色ないし淡色のロイコ染料に加熱により色調変化を与える顕色剤を用いて、熱エネルギーを制御する事により画像形成が可能な感熱記録材料、また、画像の記録と消去が繰り返し可能な感熱記録材料として、該ロイコ染料に加熱により可逆的な色調変化を与える可逆性顕色剤を用いて、熱エネルギーを制御する事により画像形成及び消去が可能な可逆性の感熱記録材料、又は樹脂母材中に有機低分子を分散したもので、熱により透明状態と白濁状態を与える白濁可逆性の感熱記録材料、屈折率の異なるポリマーを2種以上混合した感熱記録材料等が挙げられる。また、これらの感熱記録層は、色調の異なる感熱記録層を複数層重ねても良い。これらの中で、ロイコ染料、可逆性顕色剤を含有した感熱記録層は、画像の視認性に優れ好ましい。本発明に係わるロイコ染料の具体的な例としては、例えば下記に挙げるものがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
3−ジエチルアミノ−7−o−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−m−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−m−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−m−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−p−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−o−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−m−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−p−フルオロフェニルアミノフルオラン、
【0036】
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−o−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−o−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−o−トリルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−トリルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−トリルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−o−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−アセチルフェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシ−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシ−7−フェニルアミノフルオラン、
【0037】
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−o−トリルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−m−トリルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−p−トリルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−o−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−m−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−p−クロロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−o−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−m−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−p−フルオロフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−o−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−m−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−p−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メトキシ−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−エトキシ−7−フェニルアミノフルオラン、
【0038】
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−m−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン、3−ピロリジル−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ピぺリジル−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−イソペンチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−メチル−N−n−プロピルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−エチル−N−イソペンチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−エチル−N−イソペンチルアミノ−6−メチル−7−o−クロロフェニルアミノフルオラン、3−N−エチル−N−p−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−N−エチル−N−(4−エトキシブチル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、
【0039】
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、
【0040】
3−(2−エトキシ−4−アミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−メチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−エチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−プロピルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ヘキシルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジプロピルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジヘキシルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−フェニルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ピリジルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(3−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
【0041】
3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−プロピル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ブチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ペンチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ヘキシル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−シクロヘキシル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−シアノ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ニトロ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−クロロ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−ブロモ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−プロピル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
【0042】
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ヘキシル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ヘプチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ノニル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−イソプロピル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−イソブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−イソペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
【0043】
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−メチル−2−エチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−プロピルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−ブチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−ペンチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−ヘキシルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−イソプロピルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−イソブチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
【0044】
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等が挙げられる。
【0045】
前記のロイコ染料はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用してもよい。また他の色相に発色するロイコ染料を混合することにより調色も行うことができる。
【0046】
本発明に係わる感熱記録層は、ロイコ染料以外の成分として可逆性顕色剤を含有するのが好ましい。可逆性顕色剤は加熱による画像形成だけでなく、記録画像の消去も考慮された顕色剤であり、一回きりの画像形成を想定した感熱記録紙で使用される通常の顕色剤に比べ、一般的に発色感度が低く、熱応答性が低い。本発明の感熱記録用ラベルは、感熱性粘着剤層を加熱し粘着性を発現させる必要があるが、その加熱の際の熱が感熱記録層まで伝わり、感熱記録層の白紙部を発色させる、いわゆる地肌かぶりといった現象が生じやすい。こうした現象は通常の顕色剤では顕著であり、感熱性粘着剤層の加熱手段を工夫したり、感熱記録層と支持体との間および/または感熱性粘着剤層と支持体との間に断熱層を設ける等の対策が実質的に必要であった。一方、感熱記録層中に可逆性顕色剤を使用した場合は、感熱記録層の熱応答性が低いせいか、上記地肌かぶりの現象が発生しにくくなることが判明した。また、仮に地肌かぶりが発生したとしても、後に述べるように、感熱記録層をある特定の条件で加熱・冷却してやることにより地肌かぶりを消去することも可能である。本発明の感熱記録用ラベルの感熱記録層は繰り返し表示内容を書き換えることが可能であるが、通常の感熱記録用ラベルのように、画像形成を一回だけ行う用途にももちろん使用可能である。こうした用途でも、可逆性顕色剤の地肌かぶりが発生しにくいという特長は好ましい。可逆性顕色剤としては下記一般式(3)で示される化合物が好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
一般式3において、Ya及びYbはそれぞれ同じであっても、異なってもよい酸素原子、硫黄原子又は両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。R5は単結合又は炭素数1から12の二価の炭化水素基を表す。R6は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1から4の二価の炭化水素基である。R7は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R5、R6及びR7の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R5、R6及びR7は主として、各々アルキレン基及びアルキル基を表す。R5の場合は、芳香環を含んでいてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上のとき繰り返されるR6及びYbは同一であっても異なっていてもよい。
【0048】
一般式3中のYa、Ybは両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を含むが、その具体例としては、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジン(−CONHNHCO−)、しゅう酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2 NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2 CONH−)、3−アシルカルバジン酸エステル(−CONHNHCOO−、−OCONHNHCO−)等の基が挙げられるが、好ましくはジアシルヒドラジン、しゅう酸ジアミド、アシルセミカルバジドである。
【0049】
本発明に係わる可逆性顕色剤の具体的な例としては以下の構造式(1−1)から構造式(1−16)に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
【化4】

【0051】
【化5】

【0052】
可逆性顕色剤の具体例の中で、特に好ましい化合物は(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−9)及び(1−16)である。
特に、感熱性粘着剤層に使用される固体可塑剤として一般式1、2から選ばれる化合物を使用し、感熱記録層に使用される可逆性顕色剤として一般式3から選ばれる化合物を使用した場合、本発明の感熱記録用ラベルを巻き取り状で長期間放置した場合や多数回消去・印字を繰り返した場合でも、発色性の低下が少なく、消色性も良好となる。
【0053】
本発明に係わる可逆性顕色剤はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用してもよく、通常無色ないし淡色のロイコ染料に対する使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
【0054】
本発明に係わる感熱記録層は、支持体の少なくとも一方の面に、少なくともロイコ染料と可逆性顕色剤を含有する感熱記録層塗液を塗工・製膜することによって形成される。ロイコ染料及び可逆性顕色剤を感熱記録層塗液に含有させるための方法としては、各々の化合物を単独で溶媒に溶解もしくは分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し均一化した後冷却し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。分散時には必要なら分散剤を用いてもよい。水を分散媒として使う場合の分散剤としてはポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種の界面活性剤が利用できる。水系の分散の際は、エタノール等の水溶性有機溶媒を混合してもよい。この他に炭化水素類に代表される有機溶媒が分散媒の場合は、レシチンや燐酸エステル類等を分散剤に用いてもよい。
【0055】
また、感熱記録層の強度を向上する等の目的でバインダーを感熱記録層中に添加する事も可能である。バインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール等が挙げられる。これらのバインダーの役割は、組成物の各素材が印字、消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。耐熱性、耐水性、さらには接着性といった高耐久品が要求に対しては、硬化性樹脂は特に好ましい。
【0056】
硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を適用する場合は架橋剤を含む液を塗工、成膜した後に熱により架橋させて用いる。熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びポリオール樹脂等が挙げられる。またこれらの熱硬化性樹脂に使用される硬化剤は、有機酸類、アミン類、イソシアネート類、エポキシ類、フェノール類等が挙げられるが、熱硬化性樹脂の種類により好適な反応性のものを選定すれば良い。特にこれらの中で、特開平10−230680号公報や同11−58963号公報に記載の、ポリオール樹脂をイソシアネート化合物で熱硬化して得られる架橋樹脂である事が好ましい。
【0057】
電子線及び紫外線硬化樹脂に用いられるオリゴマー・モノマーとしては、種類も多く優れた放射線硬化特性を有するアクリル系オリゴマー・モノマーの他、ポリエン−チオール系オリゴマー・モノマー、光カチオン重合型エポキシオリゴマー・モノマー等が挙げられる。アクリル系モノマーは単官能性モノマー、二官能モノマー、多官能モノマー等が挙げられる。特に紫外線架橋の際には、これらの化合物の紫外線による硬化を効率よく進めるために、トリクロロアセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等の光反応開始剤を使用できる。
【0058】
本発明に係る感熱記録層におけるバインダーの使用量としては、該感熱記録層全質量に対する該バインダー成分の質量百分率が35%以上65%以下の範囲内である事が好ましい。この範囲より大きくなると著しく発色濃度が低下し、逆にこの範囲より小さくなると、感熱記録層の耐熱性や機械的強度が低下し、層の変形や発色濃度の低下が起きる。感熱記録層における該バインダー成分の質量百分率は、40%以上60%以下がより好ましく、45%以上55%以下が特に好ましい。
【0059】
本発明に係る感熱記録層の膜厚は該感熱記録層の組成と所望発色濃度により決定されるものであり、具体的には、0.5〜20μmの範囲が好ましく、3〜15μmがより好ましい。さらに、該記録層の形成に際しては、ロイコ染料や可逆性顕色剤等の組成物を熱硬化性樹脂及び硬化剤と共に混合した分散液を支持体上に塗工するが、必要に応じて、熱硬化性樹脂及び硬化剤と非反応性の溶剤で希釈して使用する事もできる。使用できる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解し、且つロイコ染料や可逆性顕色剤等の組成物を分散・溶解させるものが好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系、ジエチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素系、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クレゾール等の塩素化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ペンタン、ヘキサン等のものが使用でき、これに限定されるものではないが活性水素を有しない有機溶媒を用いる事が好ましい。
【0060】
本発明において、支持体と感熱記録層の間および/または支持体と感熱性粘着剤層の間にバリヤー層を設けると好ましい。感熱記録層に繰り返し印字・消去を繰り返すことによって、感熱記録層の成分、感熱性粘着剤層の成分が溶融し、支持体を通して互いの層に移行し、各層の機能を阻害するといった問題が生じやすい。例えば、感熱記録層では発色性の低下や消去時の画像の消え残り、感熱性粘着剤層では接着性の低下といった問題が生じやすい。特に、紙のごとき通気性のある支持体の場合には顕著である。支持体と感熱記録層の間および/または支持体と感熱性粘着剤層の間にバリヤー層を設けることで、こうした問題の発生を抑制することが可能となる。また、バリヤー層を設けることにより、支持体と感熱記録層あるいは支持体と感熱性粘着剤層との接着性の改善を図ることができる。さらに、バリアー層に断熱性を付与することにより、感熱記録層の発色・消色感度の向上、感熱性粘着剤層の粘着性発現感度の向上を図ることも可能である。
【0061】
バリアー層を構成する樹脂としては、感熱記録層のバインダーとして例示した化合物が使用可能である。これらの中で好ましい樹脂としては、ポリオール樹脂とイソシアネート化合物からなる熱硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、およびアクリレート系モノマーやアクリレート系オリゴマー等の電子線・紫外線硬化樹脂が挙げられる。また、バリアー層に断熱性を付与する方法としては、上記バリアー層を構成する樹脂に有機または無機の微小中空体粒子を配合することにより達成できる。
【0062】
バリヤー層の厚さはバリヤー性を有する範囲でより薄い方が好ましく、0.5μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜20μmである。
【0063】
本発明における感熱記録用ラベルに用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂をラミネートした紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いる事が出来るが、これらに限定されるものではなく、これらは不透明、半透明あるいは透明のいずれであってもよい。地肌を白色その他の特定の色に見せるために、白色顔料や有色染顔料や気泡を支持体中または表面に含有させてもよい。特にフィルム類等に水性塗布を行う場合で支持体の親水性が小さく感熱記録層の塗布困難な場合は、コロナ放電等による表面の親水化処理やバインダーと同様の水溶性高分子類を、支持体表面に塗布するなどの易接着処理してもよい。これらの中で、支持体として空洞含有ポリエステル系フィルムを使用すると、感熱記録層の発色・消色感度の向上、感熱性粘着剤層の粘着性発現感度の向上を図ることが可能となり、好ましい。空洞含有ポリエステル系フィルムの例としては、例えば、クリスパー(東洋紡績(株)製)、パピラー(東レ(株)製)等が挙げられる。
【0064】
本発明の感熱記録用ラベルにおいて、感熱記録層の発色記録画像を形成するためには加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、記録画像の消色を行うためには加熱後の冷却速度が遅ければ良い。例えば、適当な方法で加熱した後、低温の金属ブロックなどを押し当てる等して急速に冷却することにより、発色状態を発現させることができる。また、サーマルヘッド、レーザー光等を用いて極めて短い時間だけ加熱すると、加熱終了後に直ちに冷却する為、発色状態を保持させることができる。一方、適当な熱源(サーマルヘッド、レーザー光、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、電熱ヒーター、及びタングステンランプやハロゲンランプ等の光源等からの輻射熱、熱風等)で比較的長い時間加熱すると、記録層だけでなく支持体等も加熱される為に熱源を除いても冷却する速度が遅いため消色状態になる。従って、同じ加熱温度、同じ熱源を用いても、冷却速度を制御することにより発色状態および消色状態を任意に発現させることができる。
【0065】
本発明の感熱記録用ラベルにおいて、感熱性粘着剤層の粘着性を発現させる方法としては、上記感熱記録層で例示した適当な熱源を利用することができる。
【0066】
本発明の感熱記録用ラベルが段ボール、瓶、缶、プラスチック製容器、光学ディスク等の被着体に接着した状態で、発色記録画像の形成および消去を繰り返し行うといった使用方法の場合、その発色記録画像の形成および消去を行う方法としては、レーザー光やランプを使った光による非接触記録が好ましい。非接触記録は、被着体の形状の影響を受けにくく、接触タイプの記録方法と比較して、支持体や被着体に加わる熱を小さくすることができるため好ましい方法である。また、透明な支持体を用いた場合には、レーザー光等を支持体を通して照射することにより、感熱記録層の画像形成・消去あるいは感熱性粘着剤層の粘着性発現を行うことが可能である。つまり、支持体に対してどちらか一方の側にだけレーザー光等の光記録装置を設置することが可能となり、装置の簡便化を図ることができる。
【0067】
レーザー光やタングステンランプ、ハロゲンランプ等の光源を使った感熱記録層の画像の記録・消去、あるいは感熱性粘着剤層の粘着性発現を行う場合は、感熱記録層またはそれに近接する層、感熱性粘着剤層またはそれに近接する層に近赤外部に吸収を有する光熱変換材料を含有することが好ましい。
【0068】
本発明に係わる光熱変換材料の具体的な例としては、白金、チタン、シリコン、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属または半金属の層、日本化薬製のIRG002(商品名)やIRG022(商品名)等のインモニウム化合物、金属錯体化合物、シアニン色素、スクワリリウム色素、フタロシアニン化合物、金属錯体合物、ポリメチン化合物、ナフトキノン系化合物等が挙げられ、感熱記録層および/または感熱性粘着剤層に分散状態または分子状態で含有することができる。好ましい光熱変換材料としては、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性、紫外光に対する耐光性の点でフタロシアニン化合物及び金属錯体化合物が挙げられ、特にフタロシアニン化合物が好ましい。感熱記録層および/または感熱性粘着剤層に近接して光熱変換層を設ける場合は、銅薄膜やITO等の金属膜による光熱変換層を用いることもできる。
【0069】
フタロシアニン化合物の例としては、ナフタロシアニン化合物、無金属フタロシアニン化合物、鉄フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン化合物、亜鉛フタロシアニン化合物、ニッケルフタロシアニン化合物、バナジルフタロシアニン化合物、塩化インジウムフタロシアニン化合物、スズフタロシアニン化合物等が好ましく、より好ましくは、バナジルフタロシアニン化合物、亜鉛フタロシアニン化合物、スズフタロシアニン化合物である。本発明に用いられるフタロシアニン化合物は吸収波長の調節、溶媒への溶解度の向上、耐光性の改良等の目的で、芳香環に置換基を有しても良い。置換基としては、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミド基、アミノ基、アルキルエステル基、アリールエステル基、塩素原子、フッ素原子等が挙げられる。芳香環に置換基が二つ以上ある場合に、それらは同一であっても異なっていてもよく、また置換基同士が結合して環を形成しても良い。
【0070】
光熱変換材料の使用量は1mg/m2から200mg/m2が適当であり、5mg/m2から50mg/m2が好ましい。この量より少ないと画像消去に必要なエネルギーを十分に低減できず、感熱記録層の記録感度、感熱性粘着剤層の粘着性発現感度が低下する。またこの量より多いと、光熱変換材料が若干なりとも有している可視部の吸収が大きくなりすぎて画像の視認性が低下する。光熱変換材料は、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0071】
光熱変換材料は、感熱記録層および/または感熱性粘着剤層に対して、同一の層か隣接する層の少なくとも一方に含有されることが好ましく、同一の層に含有されることが良好な感度を得る上でより好ましい。
【0072】
感熱記録層の老化を防止する目的で、ゴム製品等にも用いられている老化防止剤を添加することもできる。また、老化防止剤を感熱記録層の上層又は下層に含有させることもできる。老化防止剤としては、p,p′−ジアミノジフェニルメタン、アルドール−α−ナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のフェノール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン化合物、安息香酸エステル類等が挙げられる。その他、o−フェニレンチオ尿素、2−アミノベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルチオカルバミン酸ニッケル、酸化亜鉛、パラフィン等が挙げられる。また、これらの老化防止剤構造を有するモノマーを重合の一成分として含むポリマーや、ポリマー主鎖に老化防止剤構造をグラフト化したものも用いることができる。2種類以上の老化防止剤を組み合わせて用いることもできる。
【0073】
感熱記録層の発色感度及び消色温度を調節するための添加剤として、また感熱性粘着剤層の粘着性発現の感度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を感熱記録層および/または感熱性粘着剤層中に含有させることができる。60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等のワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸又はシュウ酸ジエステル誘導体等が挙げられる。これら化合物を併用して添加することもできる。
【0074】
本発明に係わる感熱性粘着剤層および/または感熱記録層には、フィラーなども本発明の目的を妨げない範囲で添加可能であり、例えばアルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、チタン等の炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩等、およびシリカ、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、タルク等の粘土類を含む無機系顔料、澱粉、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス等が使用可能である。また、滑剤としてステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩を使用することができる。
【0075】
本発明に係わる感熱性粘着剤層および/または感熱記録層には上記成分以外に必要に応じて、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、硬膜剤、防腐剤、染料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調節剤、消泡剤などの各種添加剤を添加することができる。
【0076】
本発明における感熱記録用ラベルの層構成は、感熱記録層のみであってもよい。必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設ける事もできる。この場合、保護層及び/または中間層は、2層ないしは3層以上の複数の層から構成されていてもよい。感熱記録層も各成分を一層ずつに含有させたり層別に配合比率を変化させたりして2層以上の多層にしてもよい。更に、感熱記録層中、感熱性粘着剤層中、これら以外のいずれかの層に、電気的、光学的、磁気的に情報が記録可能な材料を含んでもよい。
【0077】
本発明における各層を支持体上に積層し感熱記録ラベルを形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成する事が出来る。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアロールおよびトランスファロールコーター、ロールコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ディップコーター、ロッドコーター、キスコーター、ゲートロールコーター、スクイズコーター、スライドコーター、ダイコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いる事が出来る。更に通常の乾燥工程の他、紫外線照射または電子線照射により各層を保持させる事が出来る。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗布、印刷することができる。
【0078】
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数は質量基準である。
【実施例1】
【0079】
(A)感熱記録層塗液の作製
ロイコ染料として3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−トリフルオロメチルフェニルアミノフルオラン(山田化学工業(株)製、BLACK 100)20部、可逆性顕色剤として例示化合物1−3を100部、ポリエステルポリオール(武田薬品工業(株)製、タケラックU−21)87部、メチルエチルケトン950部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで5時間分散し分散液を得た。こうして得た分散液にイソシアネート化合物144部(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)とメチルエチルケトン62部を加え、よく混合し感熱記録層用塗液を作製した。
【0080】
(B)感熱記録層塗液の塗工
(A)で得た塗液を、厚さ50μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、乾燥膜厚が8μmとなる様に塗布し、120℃で3分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、感熱記録層を形成した。
【0081】
(C)保護層の塗工
(B)で作製した塗工シートの感熱記録層塗布面上に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製C7−157)15部、メチルエチルケトン85部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、乾燥硬化後の膜厚が2μmの保護層を設けた。
【0082】
(D)感熱性粘着剤層塗液の作製
固体可塑剤として一般式1で示される化合物中、R1=メチル基、X=−OCH2CH2O−を有する化合物であるトリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕(融点77℃)100部に、分散剤としてポリアクリル酸のナトリウム塩(東亞合成(株)製、アロンT−40)を5部添加し、固体可塑剤の固形分濃度が50質量%になるように水を添加した。この混合物をボールミルタイプの粉砕機を用い、平均粒径が2μmになるまで湿式粉砕処理を施し、固体可塑剤分散液aを得た。この固体可塑剤分散液a180部に、熱可塑性樹脂として酢酸ビニル−エチレン−アクリル系共重合体エマルジョン(住友化学工業(株)製、スミカフレックス910)100部と、粘着付与剤としてロジンエステル分散液(荒川化学工業(株)製、スーパーエステルE−730)100部とを混合し、固形分濃度が45質量%になるように水で希釈し感熱性粘着剤層塗液を得た。
【0083】
(E)感熱性粘着剤層塗液の塗工
(D)で得た塗液を、乾燥膜厚が15μmになるように、前記塗工シートの非塗工面に塗布し、40℃で2分間乾燥して本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例2】
【0084】
実施例1の(D)感熱性粘着剤層塗液の作製において、固体可塑剤として一般式1で示される化合物中、R1=t−ブチル基、X=−CH2CH2−を有する化合物である1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点103℃)を使用した。こうして得た感熱性粘着剤層塗液を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例3】
【0085】
実施例1の(D)感熱性粘着剤層塗液の作製において、固体可塑剤として一般式2で示される化合物中、R2=水素原子、R3=t−オクチル基、R4=水素原子を有する化合物である、2−[2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル]ベンゾトリアゾール(融点103℃)を使用した。こうして得た感熱性粘着剤層塗液を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例4】
【0086】
実施例1の(D)感熱性粘着剤層塗液の作製において、固体可塑剤として一般式2で示される化合物中、R2=R3=t−アミル基、R4=水素原子を有する化合物である、2−(3′,5′−ジ−t−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(融点80℃)を使用した。こうして得た感熱性粘着剤層塗液を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例5】
【0087】
実施例1の(D)感熱性粘着剤層塗液の作製において、固体可塑剤として一般式2で示される化合物中、R2=t−ブチル基、R3=メチル基、R4=塩素原子を有する化合物である、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(融点138℃)を使用した。こうして得た感熱性粘着剤層塗液を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例6】
【0088】
実施例1の(D)感熱性粘着剤層塗液の作製において、固体可塑剤として三安息香酸トリメチロールエタン(融点73℃)を使用した。こうして得た感熱性粘着剤層塗液を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例7】
【0089】
実施例1の(A)感熱記録層塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物1−1を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例8】
【0090】
実施例1の(A)感熱記録層塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物1−4を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例9】
【0091】
実施例1の(A)感熱記録層塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物1−5を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例10】
【0092】
実施例1の(A)感熱記録層塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物1−6を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例11】
【0093】
実施例1の(A)感熱記録層塗液の作製において、可逆性顕色剤として例示化合物1−7を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例12】
【0094】
ステアリン酸6部、エイコサン2酸4部、フタル酸ジイソデシル2部、塩化ビニル/酢酸ビニル/リンエステル共重合体(電気化学工業(株)製、デンカビジール#1000P)20部、テトラヒドロフラン150部、トルエン15部をそれぞれ添加した塗布液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、乾燥膜厚が15μmとなる様に塗布し、120℃で3分乾燥して感熱記録層を形成した。次に、ポリアミド樹脂(東レ(株)製、CM8000)5部、メチルアルコール90部からなる溶液を用いて、乾燥膜厚が0.3μmになるように感熱記録層上に塗布し、保護層Aを設けた。さらに、その上に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂の20%酢酸ブチル溶液を乾燥硬化後の膜厚が3μmとなる様に塗布し、紫外線で硬化させて保護層Bを設けた。こうして得た
塗工シートについて、実施例1(D)感熱性粘着剤層塗液の作製、(E)感熱性粘着剤層塗液の塗工の工程を行い、本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例13】
【0095】
ポリエステルポリオール(武田薬品工業(株)製、タケラックU−21)87部、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)144部、メチルエチルケトン950部をよく混合しバリヤー層塗液を作製した。
こうして得たバリヤー層塗液を、厚さ50μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートの一方の面に、乾燥膜厚が8μmになる様に塗布し、120℃で3分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、バリヤー層を形成した。こうして得た支持体のバリヤー層上に、実施例1における感熱記録層、保護層を順次設け、支持体のバリヤー層とは反対面に実施例1における感熱性粘着剤層を設け、本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例14】
【0096】
シリカ(水沢化学工業(株)製、ミズカシルP527)200部を水800部中に分散し、ホモジナイザーで5分間攪拌してシリカ分散液を得た。こうして得たシリカ分散液40部、10%完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液80部、
10%キトサン水溶液20部、25%グリオキザール水溶液4部を混合し、さらに水を添加し、固形分濃度10%のバリヤー層塗液を作製した。こうして得たバリヤー層塗液を坪量50g/m2の上質の中性紙の片面に、乾燥膜厚が8μmになる様に塗布し、120℃で3分乾燥してバリヤー層を形成した。こうして得た支持体のバリヤー層上に、実施例1における感熱記録層、保護層を順次設け、支持体のバリヤー層とは反対面に実施例1における感熱性粘着剤層を設け、本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例15】
【0097】
実施例14において作製したバリヤー層塗液を、坪量50g/m2の上質の中性紙の両面に、各々乾燥膜厚が8μmになる様に塗布し、120℃で3分乾燥してバリヤー層を形成した。こうして得た支持体の一方のバリヤー層上に、実施例1における感熱記録層、保護層を順次設け、もう一方のバリヤー層上に実施例1における感熱性粘着剤層を設け、本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例16】
【0098】
非発泡性プラスチック微小中空粒子(固形分23.4%、平均粒子径3μm、中空度90%)40部、スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン(固形分47%)10部、水50部をよく混合しバリヤー層塗液を作製した。こうして得たバリヤー層塗液を、厚さ50μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートの両面に、各々層形成後の厚さが15μmになる様に塗布し、120℃で3分乾燥した。こうして得た支持体の一方のバリヤー層上に、実施例1における感熱記録層、保護層を順次設け、もう一方のバリヤー層上に実施例1における感熱性粘着剤層を設け、本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例17】
【0099】
実施例1において、支持体として厚さ50μmの空洞含有ポリエステル系フィルム(東洋紡績(株)製、クリスパーK2323)を使用した以外は、実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【0100】
(比較例1)
実施例1の(D)感熱性粘着剤層塗液の作製において、固体可塑剤としてフタル酸ジシクロヘキシル(融点64℃)を使用した。こうして得た感熱性粘着剤層塗液を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録ラベルを得た。
【0101】
(比較例2)
実施例1の(A)感熱記録層塗液の作製において、可逆性顕色剤の代わりに顕色剤として4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホンを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録ラベルを得た。
【0102】
試験1(耐ブロッキング性)
実施例1〜17及び比較例1、2で得た感熱記録用ラベルを2枚ずつ用意し、一方のシートの感熱記録層と他方のシートの感熱性粘着剤層とが対向するように重ね合わせ、500g/cm2の加重をかけ、35℃80%RHの環境下で1週間保管した。1週間後、23℃50%RHの環境下で180度剥離力を測定し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎…全く抵抗なく剥がれる。
○…50g/10mm以下のブロッキングが発生する。
×…50g/10mm以上のブロッキングが発生する。
【0103】
試験2(発色濃度=熱応答性)
試験1で得られたシートを用い、以下に示す方法で発色濃度を測定した。シートの感熱記録層に、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧24ボルトおよび26ボルトの条件で印字し、得られた発色画像の光学濃度を濃度計マクベスRD918を用いて各々測定した。発色部の濃度に関しては、本実施例に使用した感熱記録ラベルでは印加電圧26ボルトで1.2以上であれば良好である。結果を表1に示す。なお、実施例12の感熱記録用ラベルは、印字後に白濁部と透明部を目視で明確に識別できた。なお、発色色調がロイコ染料を用いたシートと異なるため、濃度測定は行わなかった。
【0104】
試験3(接着性=熱応答性)
実施例1〜17及び比較例1、2で得た感熱記録ラベルを、120℃雰囲気内で1分間加熱することにより粘着性を発現させた後、速やかに厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに貼り付け、貼り付け1時間後に、180度剥離力を測定し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎…300g/10mm以上、または基材破壊
○…100g/10mm以上300g/10mm未満
×…100g/10mm未満
【0105】
試験4(地肌かぶり)
試験3で得られたシートおよび未処理のシートについて、感熱記録層の地肌部の光学濃度を試験2と同様にして測定し、下記数1により地肌かぶり濃度を求めた。地肌かぶり濃度は0.01以下であれば問題なしと見なされる。結果を表1に示す。
【0106】
(数1)
地肌かぶり濃度=(試験3で得られたシートの地肌部の光学濃度)−(未処理のシートの地肌部の光学濃度)
【0107】
試験5(繰り返し消去印字性)
試験3と同様にして、実施例1〜17及び比較例1、2で得た感熱記録ラベルを厚さ250μmの白色PETシートに貼り付けた。こうして得たシートについて、三和ニューテック製プリンター(ABS−3001KMT)の印字テストモード(印字スピード69mm/s、サーマルヘッド抵抗値450Ω)で印字を行い、次いで消去する作業を2分間隔で100回繰り返した。1回目と100回目の印字後の発色画像を、試験2と同様にして光学濃度を測定した。また、1回目と100回目の消去後の消去部と地肌部を、試験2と同様にして各々の光学濃度を測定し、下記数2により消し残り濃度を求めた。消し残り濃度は0.01以下であれば問題なしと見なされる。結果を表1に示す。実施例12の感熱記録用ラベルは、繰り返し1回目と100回目とで、印字後の白濁部と透明部を目視で明確に識別できた。また、消去後の消去部と地肌部の目視での差異は認められなかった。なお、発色色調がロイコ染料を用いたシートと異なるため、濃度測定は行わなかった。
【0108】
(数2)
消し残り濃度=(画像部の消去後の光学濃度)−(地肌部の光学濃度)
【0109】
【表1】

【0110】
本発明の感熱記録ラベルは、少なくとも支持体の片面に、温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱記録層を設け、該支持体の感熱記録層とは反対面に、少なくとも融点が70℃以上の固体可塑剤と熱可塑性樹脂を含有する感熱性粘着剤層を設けたことを特徴とする。実施例1〜17に示すように、本発明の感熱記録ラベルは、剥離紙を廃棄物として出すことがなく、耐ブロッキング性、接着性、発色性、消去性が良好で、繰り返し表示内容を書き換えることが可能である。中でもロイコ染料と可逆性顕色剤とを含有する感熱記録層を設けた実施例1〜11、13〜17は視認性に優れ好ましい。また、感熱性粘着剤層に使用する固体可塑剤を一般式1あるいは2で表される化合物とした実施例1〜5、7〜11、13〜17では、発色性がいっそう良好であり、繰り返し消去・印字した際の発色濃度の低下および消し残りが小さく、好ましい。支持体と感熱記録層の間および/または支持体と感熱性粘着剤層の間にバリヤー層を設けた構成の実施例13〜16では、繰り返し消去・印字性がよりいっそう良好となる。実施例14と15は支持体に紙を使用し、バリヤー層を片面に設けた場合と両面に設けた例であるが、バリヤー層を両面に設けた実施例15は片面のみに設けた実施例14に比べ、繰り返し消去・印字性がさらに向上し、紙のごとく通気性を有した支持体の場合には好ましい実施形態である。バリヤー層に微小中空粒子を用いた実施例16、支持体に空洞含有ポリエステル系フィルムを用いた実施例17では、低印字エネルギーを印加した場合でも発色濃度が高く、発色感度が良好となる。一方、感熱性粘着剤層に使用する固体可塑剤の融点が70℃より低い比較例1では、耐ブロッキング性に劣り、発色性・消色性も劣る。感熱記録層に、一回のみの印字記録を想定した感熱記録紙で使用される顕色剤を用いた比較例2は、感熱性粘着剤層を加熱し粘着性を発現させたときに感熱記録層の地肌かぶりが発生し、また繰り返し表示内容を書き換えることができない。
【実施例18】
【0111】
実施例1の(A)感熱記録層塗液の作製において、さらに光熱変換材料としてバナジル5,14,23,32−テトラフェニル−2,3−ナフタロシアニン0.2部を添加した。こうして得た感熱記録層塗液を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例19】
【0112】
実施例13のバリヤー層塗液に、さらに光熱変換材料としてバナジル5,14,23,32−テトラフェニル−2,3−ナフタロシアニン0.2部を添加した。こうして得たバリヤー層塗液を、厚さ50μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートの両面に、各々層形成後の厚さが8μmにとなる様に塗布し、120℃で3分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、バリヤー層を形成した。こうして得た支持体の一方のバリヤー層上に、実施例1における感熱記録層、保護層を順次設け、もう一方のバリヤー層上に実施例1における感熱性粘着剤層を設け、本発明の感熱記録ラベルを得た。
【実施例20】
【0113】
支持体として厚さ50μmの透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シートを使用した以外は実施例19と同様にして本発明の感熱記録ラベルを得た。
【0114】
試験6(発色濃度=光応答性1)
実施例18〜20の感熱記録用ラベルの感熱記録層側に830nmの波長の半導体レーザーを設置した。25℃プラスマイナス1℃の温度条件下において、レーザー光の焦点を光熱変換材料を有する感熱記録層あるいは感熱記録層に対するバリヤー層に合わせ、約2J/cm2のエネルギーで約200μmの線を印字した。次に、印字した線の一部を約1J/cm2のエネルギーで消去した。得られた画像をスキャナー(キャノンFB 636U)を用いて600dpiの解像度でグレースケール画像としてパソコンに取り込み、256階調の濃度として地肌部分と印字部分の濃度差(印字部コントラスト)および地肌部分と消去部分の濃度差(消去部コントラスト)を求めた。同様に100回印字・消去の繰り返し試験を行い、印字部コントラストと消去部コントラストを求めた。結果を表2に示す。いずれの実施例も印字部と消去部のコントラストの差が大きく、良好な印字消去特性を示した。
【0115】
試験7(発色濃度=光応答性2)
実施例20の感熱記録用ラベルの感熱性粘着剤層側に830nmの波長の半導体レーザーを設置した。25℃プラスマイナス1℃の温度条件下において、レーザー光の焦点を支持体を透過して感熱記録層に対するバリヤー層に合わせ、約2J/cm2のエネルギーで約200μmの線を印字した。次に、印字した線の一部を約1J/cm2のエネルギーで消去した。得られた画像を試験5と同様にして印字部コントラストおよび消去部コントラストを求めた。同様に100回印字・消去の繰り返し試験を行い、印字部コントラストと消去部コントラストを求めた。試験6で得られた結果と同等の印字部コントラスト、消去部コントラストが得られた。
【0116】
試験8(接着性=光応答性)
実施例19、20の感熱記録用ラベルの感熱性粘着剤層側に830nmの波長の半導体レーザーを設置した。25℃プラスマイナス1℃の温度条件下において、レーザー光の焦点を感熱性粘着剤層に対するバリヤー層に合わせ、約2J/cm2のエネルギーで全面に照射し、粘着性を発現させた。その後、速やかに厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに貼り付け、貼り付け1時間後に、180度剥離力を測定したところ、いずれも基材破壊を起こし、十分な接着性を示した。
【0117】
【表2】

【0118】
光熱変換材料を感熱記録層に配合した実施例18、バリヤー層に配合した実施例19、20では、レーザー光を利用した非接触方式により感熱記録層の発色、消色を行うことが可能であり、例えば瓶、段ボール等の被着体に感熱記録ラベルが貼付された場合でも、ラベルを剥がすことなく感熱記録層の表示内容の書き換えが可能である。実施例20は透明な支持体を使用した例であるが、感熱性粘着剤層側にレーザー装置を設置し、支持体を透過して感熱記録層に対するバリヤー層にレーザーを照射することにより、感熱記録層の画像記録・消去が可能である。実施例19、20では、感熱性粘着剤層に対するバリヤー層にも光熱変換材料を使用しており、レーザー光による感熱性粘着剤層の粘着性発現を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の感熱記録用ラベルは、剥離紙を廃棄物として出すことがなく、繰り返し表示内容を書き換えることが可能なラベルとして利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の片面に、温度に依存して透明度又は色調が可逆的に変化する感熱記録層を設け、該支持体の感熱記録層とは反対面に、少なくとも融点が70℃以上の固体可塑剤と、熱可塑性樹脂を含有する感熱性粘着剤層を設けたことを特徴とする感熱記録用ラベル。
【請求項2】
前記感熱記録層が通常無色ないし淡色のロイコ染料と、加熱により該ロイコ染料を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性顕色剤とを含有する請求項1記載の感熱記録用ラベル。
【請求項3】
前記固体可塑剤が下記一般式1および/または一般式2で表される化合物である請求項1または2記載の感熱記録用ラベル。
【化1】

【化2】

(一般式1において、R1は水素原子、メチル基、t−ブチル基の何れかを表し、Xは二価の連結基であって、−OCH2CH2O−、−CH2CH2−、−S−の何れかを表す。一般式2において、R2、R3は水素原子、炭素数が1〜8のアルキル基、α,α−ジメチルベンジル基の何れかを表し、R4は水素原子、塩素原子の何れかを表す。)
【請求項4】
前記可逆性顕色剤が下記一般式3で表される化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載の感熱記録用ラベル。
【化3】

(一般式3において、Ya及びYbはそれぞれ同じであっても、異なってもよい酸素原子、硫黄原子又は両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。R5は単結合又は炭素数1から12の二価の炭化水素基を表す。R6は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1から4の二価の炭化水素基である。R7は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R5、R6及びR7の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R5、R6及びR7は主として、各々アルキレン基及びアルキル基を表す。R5の場合は、芳香環を含んでいてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上のとき繰り返されるR6及びYbは同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項5】
前記支持体と感熱記録層の間および/または前記支持体と感熱性粘着剤層の間にバリヤー層を有する請求項1〜4のいずれか1項記載の感熱記録用ラベル。
【請求項6】
前記支持体が空洞含有ポリエステル系フィルムである請求項1〜5のいずれか1項記載の感熱記録用ラベル。
【請求項7】
前記支持体上の感熱記録層を設けた側および/または前記支持体上の感熱性粘着剤層を設けた側に、光熱変換材料を含有する層を少なくとも1層設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の感熱記録用ラベル。

【公開番号】特開2007−182020(P2007−182020A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2556(P2006−2556)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】