説明

成形されたエネルギー放射端部を備えた近接場変換器

【課題】熱アシスト磁気記録における局所的加熱の効率、位置合せ、精度および小型化を高めるためのよりよい設計を提供する。
【解決手段】磁気記録ヘッドは、書込極と、書込極の近くにあり、光エネルギーを焦点に集束させる近接場変換器とからなる。近接場変換器は、導波路から光エネルギーを受けるように位置決めされている。近接場変換器は、エネルギーを受ける端部とエネルギーを放射する端部とを含む。エネルギーを受ける端部は、導波路の焦点の近くに位置し、エネルギー放射端部は、書込極に近い方がより狭く、書込極から遠い方がより幅広くなるように成形されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の詳細な説明
背景
熱アシスト磁気記録(HAMR:Heat Assisted Magnetic Recording)は概して、記録媒体を局所的に加熱して保磁力を減少させるというコンセプトを指す。これにより、熱源によって引き起こされる一時的な磁気的軟化の間、印加された磁気書込場が磁化をより容易に方向付けることが可能になる。HAMRにより、小粒子媒体をより大きな磁気異方性で室温で用いて十分な熱安定性を確保することが可能になり、これはより高面密度で記録するために望ましい。HAMRは、傾斜媒体、長手媒体、垂直媒体およびパターン化媒体を含めて任意の種類の磁気記録媒体に適用可能である。媒体を加熱することによって、Kuまたは保磁力は、磁気書込場が媒体に書込むのに十分であるよう減少される。一旦媒体が周囲温度まで冷めると、保磁力の値は、記録された情報の熱的安定性を確保するのに十分に高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
局所的加熱の効率、位置合せ、精度および小型化を高めるためによりよい設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
磁気記録ヘッドは、書込極と、外部源から光エネルギーを受けるように位置決めされ、上記書込極に近接して位置決めされた近接場変換器とを含む。上記近接場変換器は、共鳴して、加熱されたスポットを記録媒体上に生成する。上記記録媒体に近接する上記近接場変換器の形状の非対称性は、上記加熱されるスポットの形状異方性をもたらす。
【0004】
別の局面において、磁気記録ヘッドは、書込極と、上記書込極に近接して位置決めされた近接場変換器と、上記書込極および上記近接場変換器の下に配置された記録媒体とを含む。上記近接場変換器と上記記録媒体とは、加熱されたスポットを上記記録媒体上にもたらす共鳴システムを形成する。上記記録媒体に近接する上記近接場変換器の形状の非対称性は、上記加熱されるスポットの形状異方性をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】関連する記録媒体に近接する導波路および近接場変換器(NFT:Near Field Transducer)の概略図である。
【図2A】光近接場変換器(NFT)の斜視図である。
【図2B】書込極と戻り極との間に配置されたNFTをエアベアリング面(ABS:Air Bearing Surface)から見た図である。
【図2C】NFT下の熱プロファイルを示す図である。
【図3A】書込極と戻り極との間に配置された非対称ピンを備えたNFTをABSから見た図である。
【図3B】書込極と戻り極との間に配置された異なる非対称ピンを備えたNFTをABSから見た図である。
【図3C】書込極と戻り極との間に配置された異なる非対称ピンを備えたNFTをABSから見た図である。
【図4】台形ピンを備えたNFT下の熱プロファイルを示す図である。
【図5A】結合ナノロッド(CNR:Coupled Nanorod)の概略断面および対応する温度分布を示す図である。
【図5B】書込極と戻り極との間に配置されたCNRをABSから見た図である。
【図5C】CNR下の熱プロファイルを示す図である。
【図6A】書込極と戻り極との間に配置された非対称ナノロッドを備えたCNRをABSから見た図である。
【図6B】書込極と戻り極との間に配置された異なる非対称ナノロッドを備えたCNRをABSから見た図である。
【図7A】非対称ナノロッドを備えたCNR下の熱プロファイルを示す図である。
【図7B】非対称ナノロッドを備えたCNR下のクロストラック光プロファイルおよびダウントラック光プロファイルを示す図である。
【図8】ギャップ中に先細りになった入射口区間を備えたCNRの縦断面を示す図である。
【図9A】直線状のギャップを備えたCNRの光強度分布を示す図である。
【図9B】図11AにおけるCNR下の光強度分布を示す図である。
【図10A】先細りになったギャップを備えたCNRの光強度分布を示す図である。
【図10B】図12A中のCNR下の光強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
熱アシスト磁気記録のために可視光、赤外光または紫外線光等の電磁波を記録ヘッドのエアベアリング面(ABS)からデータ記録媒体の表面上へ方向付けて、局所の温度を上昇させて、スイッチングを容易にすることができる。HAMRに伴う主な困難は、記録媒体を数百度加熱するのに十分な光エネルギーを、記録媒体中に、ただし記録されることが所望されるエリアにのみ伝導することができる手法を発見することであった。光スポットがこのエリアよりも大きい場合、ディスク上の隣接するビットおよびトラックまで広がり、これらのエリアも加熱するであろうし、これらのエリアに記録されたデータが消されてしまうこともある。光の波長よりも大幅に小さく、標準的な集束レンズによって得ることができるいわゆる「回折限界」をかなり下回るエリアに光スポットを閉じ込めることは、「近接場光学」または「近接場顕微鏡法」と呼ばれる研究分野である。
【0007】
固浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)、固浸ミラー(SIM:Solid Immersion Mirror)およびモードインデックスレンズなどの周知の光導波路を媒体上の電磁放射を受けるスポットの大きさを減少させるために近接場光学において用いることが提案されている。SIL、SIMおよびモードインデックスレンズのみでは、回折限界光学効果のため、高面密度記録に要求される焦点サイズを得るのに十分ではない。導波路の焦点に位置決めされた金属製のピンおよび他の近接場変換器(NFT)設計がエネルギーをさらに集中させ、エネルギーを記録媒体の表面上の小さなスポットに方向付けるために用いられている。
【0008】
HAMR装置は、モードインデックスレンズまたは平面固浸ミラーもしくはレンズなどのさまざまな導波路を組込んで、集束ビームを生成することができる。放物線状平面導波路の例を図1に示す。導波路60の端縁66の形状は、実質的に放物線状である。端縁66の外部の材料の屈折率が導波路60の材料の屈折率よりも低い場合、導波路60は、固浸レンズとして作用する。導波路60の長手方向軸に沿って進む電磁波68および70は、境界66で焦点72に向かって、示されるように屈折される。当該技術分野において既知である、外部エネルギーを導波路60に結合する回折格子または他の手段を、導波路60の中心を下へ進む放射を最小化し、かつ放物線状端縁66から反射されるエネルギーを最大化して焦点に当る波68および70の長手方向成分のエネルギー含量を増加させるように構成することができる。
【0009】
導波路60の焦点72で集中されるスポットの寸法には回折限界があり、高面密度HAMR記録媒体に要求されるサブ100nm寸法のためには十分でない。金属製のピン/ピン、球/ピン、またはディスク/ピンの組合せなどの近接場変換器(NFT)が容認可能なサブ100nmスポットサイズまでエネルギーを集束させるためには必要である。図1中の近接場変換器58は、ディスク/ピンの組合せのNFTの例である。NFT58は、導波路60の焦点72に位置決めされており、そこで入射波68および70と結合して表面プラズモンを生成することができる。表面プラズモンによってNFT上に生成される場も記録媒体16と相互作用し、電磁エネルギーを媒体中に矢印78によって示されるように伝達する。これにより記録媒体16の小さな領域62が加熱される。
【0010】
NFT58の斜視図を図2Aに示す。NFT58は、ヘッド80と、ピン(「ペグ」と称されることもある)82と、ピン先端84とを含む。NFT58は、金でまたは銀もしくはアルミニウムなどの当該技術分野において既知の他の適切な材料で作られていてもよい。NFT上のヘッド80は、概して円盤形であり、概してピン82よりも大きい。ヘッド80はまた、ピン82よりも厚みが大きくともよい。NFT58は、光学エネルギーを効率的に捕捉し、そのエネルギーを記録媒体に効率的に伝達することができるように成形されている。ピン先端84は、媒体に伝達されたエネルギーがピンの断面によって規定されるエリアに確実に閉じ込められたままであるようにする。旧来の変換器は、図2Aに示されるように断面が矩形のピンを有する。図2Aに示される変換器などの変換器は、ロリポップ型変換器と呼ばれることがある。
【0011】
断面が矩形のピンを備えた光変換器をABSから見た概略図を図2Bに示す。図中、書込極36は、ピン端部84および戻り極38のダウントラックにある。ピン端部84によって生成される光/熱スポットを書込極36に近づけて、記録性能の向上を図ることが所望される。矩形のピン82を備えたNFT58からのレーザ光から生じる記録媒体16中の温度分布を示す光学モデリングから計算された光場強度分布を図2Cに示す。励起レーザ光がヘッド80にNFT58のアップトラック側で入射しているので、矩形ピン先端84の下の光/熱スポット62は、アップトラック方向に戻り極38に近い方に、かつ書込極から遠い方にあり、熱および磁気整合を困難にしている。ピン82を書込極36に近づけることもできるが、共鳴特性および書込中の熱管理を変化させるであろう。加えて、寸法が極めて小さいピンの生産は困難である。
【0012】
この発明の例示的な実施例においては、ピン先端84の近傍のエネルギーを書込極36に近づけるために、ピン82の断面形状を変更している。1つの実施例は、台形形状を含む。図3は、ピン92と、書込極36と、戻り極38とを備えた光トランスデューサをABSから見た概略図である。ピン92は、書込極36と戻り極38との間に配置されている。ピン先端94は、形状が台形で、第1のピン端縁96と、第2のピン端縁98とを含む。第1のピン端縁96は、第2のピン端縁98よりも小さく、第2のピン端縁98と比べて書込極36により近い。実施例によっては、光変換器は、ロリポップ型変換器である。
【0013】
第1のピン端縁96が第2のピン端縁98よりも長さが短いので、より高い電荷密度分布は、導電性材料の避雷針効果により第1のピン端縁96に溜まる。避雷針効果は、導電性材料からなるいかなる尖った幾何学的特徴(角または端縁)にも起こる自然現象である。尖った幾何学的特徴での電気力線の準静電「込み合い(crowding)」の結果、場が著しく増強する。この効果は、尖った幾何学的特徴の有効曲率が対象となっている波長よりも大幅に小さい限りは起こる。したがって第1のピン端縁96は、ピン92の尖った幾何学的特徴であるため、かつ第1のピン端縁96は、第2のピン端縁98と比べて書込極36により近いため、光近接場の非対称性は、より従来的なHAMRシステムと比較して熱スポットの温度プロファイル中の極大が、書込極36に近づけられ、かつより効率的に磁場分布と一致するようなものとなる。
【0014】
図3Bは、図3Aと本質的に同じ構造を示しており、ピン93が図3Aにおけるその位置から約180°に向けられていることが異なる。今度は第2のピン端縁98は、第1のピン96と比べて書込極36により近い。ピン82のこの向きは、特定のHAMR設計基準に適用可能であってもよい。
【0015】
図3Cは、ピン95と、書込極36と、戻り極38とを備えた光変換器の別の実施例をABSから見た概略図である。図3Cは、図3Aと本質的に同じ構造であるが、今度はピン95は、直線状ピン端縁96′と湾曲した前端縁98′とを有し、ピン先端94′でのピン断面は、凹んだ台形である。湾曲端縁98′は、熱プロファイルの最も熱い部分を書込極36に近づけるよう熱スポットを集束させることによって、HAMR熱および磁気性能を向上させることができる。
【0016】
図3Aに示されるピン94を備えた光NFT58の性能の評価を磁気媒体に記録中のNFTの光学モデリングによって行った。モデルにおいて、断面が台形のピンを備えた金ロリポップ型NFTを、導波光をNFT中に集束させる固浸ミラー(SIM)を備えた記録ヘッドに組込んだ。導波路は、アルミナクラッドを備えた125nmTa25コアを含んだ。NFTをクラッド中に導波路コアから10nm離して置いた。磁気媒体ディスクは、ガラス基板上に堆積された2.5nm厚の保護膜と、10nm厚の磁気記録層と、7.5nm厚の熱バリア被膜とを含んだ。記録ヘッドは、2.5nmの保護膜を有し、浮上高は、2.5nmと推定された。レーザ光の波長は、920nmであった。
【0017】
図3Aに従ったNFT寸法は、T=40nm、W1=50nmおよびW2=10nmである。記録媒体16中の温度分布を示す計算された光場強度分布を、図4に示す。図2Cに示される温度分布と対照的に、台形ピン94下のスポット62は、後端縁が書込極36に顕著により近く前端縁がピン94の前端縁にあるはっきりとした台形形状を有する。加熱されたスポットの熱プロファイルを、点線62として示す。ピン断面94の台形形状は、加熱されるスポットを書込極36に明らかに近づけた。図4におけるスポットの最も熱い部分から書込極までの距離は、約50nmである。
【0018】
HAMR用途に適した別のNFTは、結合ナノロッドである。結合ナノロッド(CNR)は、適切な波長の電磁エネルギーで照らされると共鳴し、両ロッドの端部間に位置するCNRの端部に強い光スポットを生成するよう互いに近接する1対のロッド状構造体を含む。CNRの縦断面の例を図5Aに示す。CNR114は、ギャップ120で隔てられたロッド116、116′、118、および118′を含む。HAMR変換器においてNFTとして働くとき、CNR114は、図3における焦点58などの導波路の焦点に置かれる。CNR114は、共鳴し、ロッド116、116′、118および118′の端部117および119での表面プラズモンはそれぞれ、ABS56に近接する記録媒体を加熱する。
【0019】
端部117および119の下の温度プロファイルは、それぞれ温度曲線122および124によって概略的に示されている。曲線122および124の合計は、曲線125として示されている。最も高い温度は、ナノロッド間のギャップ120の直下である。CNR114は、図5Aにおいて4つのナノロッドを含んで示されているが、CNR構造は、必要に応じて2つ以上のナノロッドで構築され得る。HAMR用途については、CNR NFTアセンブリは典型的に、金、銀、アルミニウムまたは当該技術分野において既知の他の材料で作られた薄膜構造である。
【0020】
CNR114をABSから見た概略図を図5Bに示す。図中、書込極36は、CNR114の端部117および119ならびに戻り極38のダウントラックにある。記録性能の向上を図るためには光/熱スポットを書込極36に近づけることが決定的に重要である。矩形端部117および119を備えるCNR114からのレーザ光からの記録媒体16中の温度分布を示す光学モデリングの結果得られた計算された熱プロファイルを、図5Cに示す。光/熱スポット62は、アップトラック方向に戻り極38に近い方に、かつ書込極36から遠い方にあり、熱および磁気整合を困難にしている。前述のとおり、熱非対称性は、CNR114のアップトラック側に当る励起レーザ光の結果生じる。
【0021】
この発明の例示的な実施例において、ギャップ中のエネルギーを書込極36に近づけるためにロッド116、116′、118および118′の断面形状を変更した。1つの実施例は、図6Aに示されるように書込極に向かってダウントラック方向に導入ギャップ121非対称性を含む。図6Aは、CNR114をABSから見た概略図であり、非対称ナノロッド端部117および119、書込極36ならびに戻り極38を示している。
【0022】
第1および第2の非対称ナノロッド先端117および119は、第1の角度付端縁126と、第2の角度付端縁128と、対向する端部130および132とを含む。第1の角度付端縁126および第2の角度付端縁128は、第1および第2のナノロッド先端117および119が極36から次第により離れていくように角度が付けられている。対向する端縁130および132は、角度が付けられていない。図6Bに示す別の実施例において、端縁131および133も角度が付けられて、台形断面を作っている。ナノロッド116および118の他の非対称断面も、図示しないがこの発明に含まれる。
【0023】
非対称ギャップを備えたCNR114のNFT性能の評価を磁気媒体に記録中のNFTの光学モデリングによって行った。モデルにおいて、結合金ナノロッドNFTを、導波光をNFT中に集束させる固浸ミラー(SIM)を備えた記録ヘッドに組込んだ。導波路は、アルミナクラッドを備えた125nmTa25コアを含んだ。NFTをクラッド中に導波路コアから10nm離して置いた。磁気媒体ディスクは、ガラス基板上に堆積された2.5nm厚の保護膜と、10nm厚の磁気記録層と、7.5nm厚の熱バリア被膜とを含んだ。記録ヘッドは、2.5nmの保護膜を有し、浮上高は、2.5nmと推測された。レーザ光の波長は、920nmであった。
【0024】
3つのナノロッド寸法を成型した。図6Aを参照して、寸法は、T′=40nm、W1′=55nmおよびW2′=35nm、T′=40nm、Wi=45nmおよびW2′=25nmならびにT′=30nm、Wi=35nmおよびW2′=15nmであった。各ケースにおいて、光場強度分布は、非対称ギャップの集束効果によりダウントラック方向に書込極に近い方に移動した。T′=40nm、W1′=45nmおよびW2′=26nmのナノロッドのための磁気層における、計算された光場強度および結果として生じる温度分布を図7Aに示す。クロストラック強度分布およびダウントラック強度分布を図7Bに示す。クロストラック強度分布は、点線で示されるように、中心に関して対称である。図5Cに示される矩形ギャップの場合における場分布と比較して、ギャップ中の不均一場分布は、図7Aにおいてはっきりと明らかである。図7Aにおけるスポットの最も熱い部分から書込極までの距離は、約60nmである。図7Bにおけるダウントラック強度分布は、矢印DTによって示されるように、ピークが書込極に向かって明確に移動したことを示している。クロストラックプロファイルの半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)は、35nmであった。FWHMは、W2が35nmから15nmまで減少するにつれてそれぞれ45nmから25nmまで減少した。加えて、ダウントラック光学勾配は、ギャップがより狭くなると共にスポットの大きさが減少すると増大した。これは、HAMR記録に役立つであろう。
【0025】
計算から、ギャップ中のプラズモンモードの伝搬定数は、ギャップ幅が減少するにつれて指数関数的に増大することが示された。よって、幅が狭くなるギャップにおいて、プラズモンは、CNRの最上部からABS56に向かって進むにつれて、より小さいギャップ寸法に向かって屈曲される。したがって、非対称ギャップは、集束効果を有する。しかしながら、計算から、ギャップ中のプラズモン伝搬距離は、ギャップ幅に比例することも示された。たとえば5nmに対して、伝搬距離は、1ミクロン未満である。この問題となる特徴は、ギャッププラズモンの伝搬方向に沿って先細りになったギャップをCNRに追加することによって対処することができる。つまり、CNRの最上部からABSに向かう垂直方向に沿ってである。
【0026】
先細りになったギャップを備えたCNR134の縦断面を図8に示す。CNR134は、ナノロッド端部142および144を備えたナノロッド136および138を含む。側面146および148を備えたギャップ140は、最上部が広く、ABSに近接する底部にある側面150および152まで狭くなっている。狭いギャップにおけるプラズモン損失は、上側ギャップにおけるより大きいプラズモンエネルギーによって相殺される。先細りになったギャップの付加的利点は、可変ギャップによって提供される設計変数によって励起源(好ましくは導波路)とNFTとの間のインピーダンス整合の向上が可能であることである。
【0027】
直線状および先細りになったギャップへの入射口を備えた結合ナノロッドについて光場強度計算を行なった。CNR114(図5A)の縦断面の光強度を図9Aに示す。CNR114の寸法は、W3=20nm、T1=100nmおよびT2=175nmである。図9Bには、ABSでのCNR114からの光強度分布が示されている。先細りになったギャップを備えたCNR134(図8)の縦断面の光強度を、図10Aに示す。CNR134の寸法は、W4=20nm、W5=195nm、T3=90nmおよびT4=170nmである。図10Bには、ABSでのCNR134からの光強度分布が示されている。CNR134のエネルギーは、図10Aおよび図10Bにおいてギャップにはっきりと閉じ込められている。図9Bおよび図10B中のABSにある両スポットは、大きさは似ているが、ピーク強度は、先細りになった入射口を用いると2倍を超えた。
【0028】
最後に、光スポットを書込極の前端縁に近づける非対称ピンおよびロッドを備えたピン型(たとえばロリポップ型)およびギャップ型(たとえばCNR)NFTの両方において、NFTの厚みを書込性能に影響を与えることなく数百ナノメートルまでも増加させることができる。非対称ピンおよびロッドは、スポットの形状および大きさをより効率的にもする。最後に、金の厚みの増加は、熱エネルギーの放散を助けることにより、NFT温度を下げる。
【0029】
この発明は、好ましい実施例を参照して説明されたが、当業者は、この発明の範囲から逸脱することなく形態および細部が変更されてもよいことを認識するであろう。上述の実現例および他の実現例は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書込極と、
前記書込極に近接して位置決めされ、エネルギー放射端部を含み、記録媒体に近接して位置する近接場変換器とを備え、
前記エネルギー放射端部は、前記書込極に近い方に第1の幅と、前記書込極から遠い方に第2の異なる幅とを有するよう成形されている、装置。
【請求項2】
前記書込極に近接して位置決めされ、光エネルギーを焦点に集束させる導波路と、
前記導波路から光エネルギーを受けるように位置決めされた近接場変換器とをさらに備え、
前記近接場変換器の、エネルギーを受ける端部は、前記導波路の前記焦点の近くにある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エネルギー放射端部は、前記第1の幅が前記第2の幅未満であるよう成形されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記エネルギー放射端部は、前記第1の幅が前記第2の幅よりも大きいよう成形される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記近接場変換器は、金、銀、銅またはそれらの合金のうちいずれかで作られている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記近接場変換器は、ロリポップ型変換器である、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記エネルギーを受ける端部は、円盤であり、前記エネルギー放射端部は、ペグまたはピンである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記エネルギー放射端部の断面は、台形である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー放射端部の断面は、凹んだ台形である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記近接場変換器は、結合ナノロッド型変換器である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記結合ナノロッド変換器の前記エネルギーを受ける端部は、結合ナノロッド入射口である、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記エネルギー放射端部は、2つのナノロッド先端の間にあるギャッププロファイルを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ギャッププロファイルの形状は、台形である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記2つのナノロッド先端の断面は、実質的に台形である、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
書込極と、
前記書込極に近接して位置し、光エネルギーを焦点に集束させる導波路と、
前記書込極および前記導波路の下に配置された記録媒体と、
前記導波路からエネルギーを受けるように位置決めされ、かつ前記書込極に近接して位置決めされ、エネルギーを受ける端部とエネルギー放射端部とを含む近接場変換器とを備え、前記エネルギーを受ける端部は、前記導波路の前記焦点の近くに位置し、前記エネルギー放射端部は、前記記録媒体に近接して位置し、前記記録媒体上の最も熱い熱スポットを書込み極の前記記録媒体上への投射に近接して作るように成形されている、システム。
【請求項16】
前記熱スポットの形状は、非矩形である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記記録媒体上の熱スポットプロファイルの最も熱いエリアは、前記記録媒体上の書込極プロファイルから50nm未満である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
書込極と、
戻り極と、
前記書込極と前記戻り極との間に位置し、光エネルギーを焦点に集束させる導波路と、
前記書込極および前記導波路の下に配置された記録媒体と、
前記導波路から光エネルギーを受けるように位置決めされ、前記書込極と前記戻り極との間に配置され、エネルギーを受ける端部とエネルギー放射端部とを含む近接場変換器とを備え、前記エネルギーを受ける端部は、前記導波路の前記焦点の近くに位置し、前記エネルギー放射端部は、前記記録媒体に近接して位置し、最も熱いエリアを有する熱スポットを前記媒体上において戻り極プロファイルによりも前記媒体上において書込極プロファイルに近い方に作るように成形されている、システム。
【請求項19】
前記近接場変換器は、金、銀、銅またはそれらの合金で作られており、前記エネルギーを受ける端部の形状は、台形である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記記録媒体上の前記熱スポットプロファイルの前記最も熱いエリアは、前記記録媒体上の前記書込極プロファイルから60nm未満である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記近接場変換器は、結合ナノロッド形変換器であり、第1および第2のナノロッド端部の間のギャップの形状は、台形である、請求項18記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate


【公開番号】特開2011−248991(P2011−248991A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−113281(P2011−113281)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】