説明

成膜方法およびパターン形成方法

【課題】下層膜にダメージを与えることなく基板上のパターンを反転させることができるパターン材料を、基板上に成膜することが可能な成膜方法を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、成膜方法が提供される。前記成膜方法では、所望のレイアウトパターンを反転させた反転パターンを第1の基板上に形成する。そして、前記所望のレイアウトパターンのパターン材料を反転材料として第2の基板上に供給する。この後、前記反転パターンを前記反転材料に対向して接触させることにより、毛細管現象を利用して前記反転材料を前記反転パターンに充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、成膜方法およびパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノインプリントリソグラフィなどのインプリントリソグラフィでは、テンプレートパターンが疎なパターン密度である場合、テンプレートパターンへのレジストの充填に長時間を要する。このため、所望のテンプレートパターンを反転させたテンプレートパターンを用いてウエハ上にインプリントパターンを形成し、その後、ウエハ上に反転材料を成膜する。そして、反転材料を残してインプリントパターンを除去することにより、インプリントパターンを反転させた所望のウエハ上パターンを形成している。
【0003】
しかしながら、ウエハ上に形成されるインプリントパターンに疎密差があると、疎なパターン密度の箇所では、インプリントパターンを除去する際に下層側の膜(下層膜)までエッチングされてしまう。このため、下地基板にダメージを与えてしまうという問題があった。このため、下層膜にダメージを与えることなく、反転材料を用いたウエハ上パターンを形成することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−206189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、下層膜にダメージを与えることなく基板上のパターンを反転させることができるパターン材料を、基板上に成膜することが可能な成膜方法およびパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、成膜方法が提供される。前記成膜方法では、所望のレイアウトパターンを反転させた反転パターンを第1の基板上に形成する。そして、前記所望のレイアウトパターンのパターン材料を反転材料として第2の基板上に供給する。この後、前記反転パターンを前記反転材料に対向して接触させることにより、毛細管現象を利用して前記反転材料を前記反転パターンに充填する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係るパターン形成処理手順を説明するための図である。
【図3】図3は、反転材料をウエハに直接塗布した場合のパターン形成処理手順を説明するための図である。
【図4】図4は、第2の実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、第3の実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る成膜方法およびパターン形成方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。成膜装置10Aは、ウエハWなどの基板上に反転材料6Aを成膜する装置である。本実施形態の成膜装置10Aは、ウエハWに形成されているインプリントパターン21上に、インプリントパターン21を反転させるための膜(反転材料6A)を成膜する。成膜装置10Aは、基板支持部1、反転材料供給部2A、被供給板5、板回転部4A、UV光照射部11を備えている。
【0010】
基板支持部1は、ウエハWの表面が鉛直下方を向くよう、例えば真空吸着などによってウエハWを裏面側から支持する。ウエハWの表面には、ナノインプリントリソグラフィなどのインプリントリソグラフィを用いてインプリントパターン21が形成されている。ここでのインプリントパターン21は、ウエハW上に形成したい所望パターンを反転させたパターンである。換言すると、インプリントパターン21を反転させると、ウエハW上に形成したい所望パターンとなる。したがって、ウエハW上のインプリントパターン21は、ウエハW上に所望パターンを形成するためのテンプレートパターンを反転させたテンプレートパターンを用いて形成されている。
【0011】
反転材料供給部2Aは、ウエハW上に成膜する膜の材料(反転材料6A)を被供給板5に供給する装置である。反転材料供給部2Aは、反転材料6Aを被供給板5に供給する際に、被供給板5の上方に移動し、被供給板5への反転材料6Aの供給が終了すると、被供給板5から離れた位置に移動する。反転材料6Aは、例えばシリコンを含んだ液状の材料(例えば、SOG:Spin On Glass)である。
【0012】
被供給板5は、反転材料供給部2Aからの反転材料6Aを貯めておく板状部材などである。被供給板5は、ウエハWの主面よりも大きな概略円形状の主面を有しており、その表面側に反転材料6Aを貯めておく。被供給板5は、板回転部4Aによって裏面側から固定されている。被供給板5は、ガラス基板などの透明基板で構成しておく。
【0013】
板回転部4Aは、被供給板5を回転させる装置であり、固定部41と回転軸42とを備えて構成されている。板回転部4Aの固定部41は、被供給板5を裏面側から固定している。固定部41の裏面側には、裏面の中心部に回転軸42が接合されている。板回転部4Aは、ガラスなどの透明部材で構成しておく。
【0014】
反転材料供給部2Aから被供給板5に反転材料6Aを供給する際には、回転軸42が回転し、これにより固定部41と固定部41上の被供給板5が回転する。これにより、成膜装置10Aでは、被供給板5上に反転材料6Aが回転塗布される。
【0015】
また、板回転部4Aは、鉛直方向に移動可能なよう構成されている。板回転部4Aは、反転材料供給部2Aから被供給板5に反転材料6Aが供給される際には、下方に移動し、基板支持部1と板回転部4Aとの間の距離を所定距離だけ離す。また、板回転部4Aは、インプリントパターン21に反転材料6Aを充填させる際には、ウエハW側へ上昇し、インプリントパターン21への反転材料6Aの充填が完了した際には、UV光照射部11側に下降する。
【0016】
UV光照射部11は、板回転部4Aの裏面側に配置されており、透明部材で構成された板回転部4Aと被供給板5を介して、反転材料6AにUV光を照射する。反転材料6Aは、UV光が照射されることによって硬化する。
【0017】
つぎに、第1の実施形態に係るパターン形成処理手順(反転プロセスの処理手順)について説明する。図2は、第1の実施形態に係るパターン形成処理手順を示す図である。ウエハWの表面には、ウエハW上に形成したい所望パターンを反転させたインプリントパターン21を形成しておく。基板支持部1は、ウエハWを裏面側から支持する。
【0018】
反転材料供給部2Aは、ウエハW上に成膜する膜の材料として反転材料6Aを被供給板5に供給する。このとき、板回転部4Aは、被供給板5を回転させておく。これにより、図2の(a)に示すように、成膜装置10Aでは、被供給板5上に反転材料6Aが成膜される。
【0019】
この後、板回転部4Aは、反転材料6Aが塗布された被供給板5をウエハWに近づけさせ、反転材料6AとウエハWとが対向するよう、反転材料6AをウエハWのインプリントパターン21に接触させる。そして、図2の(b)に示すように、毛細管現象によってインプリントパターン21の凹部(パターンスペース)に反転材料6Aを充填させる。ここでの充填処理は、テンプレートを用いたインプリントリソグラフィと同様の処理である。したがって、ここでのウエハWがテンプレートに対応し、インプリントパターン21がテンプレートパターンに対応している。また、反転材料6Aがインプリントレジストに対応している。
【0020】
この後、UV光照射部11は、板回転部4Aが反転材料6AをウエハWに接触させたままの状態で、板回転部4Aの裏面側から反転材料6AにUV光を照射する。これにより、インプリントパターン21に充填されている反転材料6Aは硬化する。
【0021】
反転材料6Aを硬化させた後、板回転部4Aは、下方側に移動し、これにより、被供給板5を反転材料6Aから引き離す(離型)。そして、インプリントパターン21に充填された反転材料6Aをエッチバックすることにより、図2の(c)に示すように、インプリントパターン21の凸部の上面を露出させる。これにより、反転材料6Aは、その上面部分がエッチングされて反転材料6Bとなる。そして、ウエハWでは、インプリントパターン21の凸部の上面と反転材料6Bの上面とが略同じ高さとなり、ウエハWの上面は略水平となる。
【0022】
この後、図2の(d)に示すように、インプリントパターン21がエッチングによって選択的に除去され、反転材料6Bが残される。反転材料6Bで構成されるパターンは、インプリントパターン21を反転させたパターン(所望パターン)である。例えば、インプリントパターン21が除去されることによって、インプリントパターン21の位置にホールパターンhが形成される。この後、ウエハWは次の工程で次の処理が行われる。
【0023】
ここで、反転材料をウエハWに直接塗布した場合のパターン形成方法の処理手順を説明する。図3は、反転材料をウエハに直接塗布した場合のパターン形成処理手順を説明するための図である。図3の(a)に示すように、ウエハWの表面には、ウエハW上に形成したい所望パターンを反転させたインプリントパターン21を形成しておく。
【0024】
そして、図3の(b)に示すように、回転塗布などの方法により、ウエハW上に成膜する膜の材料として反転材料7Aをインプリントパターン21上に塗布する。ウエハW上に反転材料7Aを回転塗布した場合、インプリントパターン21のうち疎なパターン密度を有した箇所と、密なパターン密度を有した箇所と、で反転材料7Aに膜厚差が生じる。具体的には、疎なパターン密度を有した箇所では反転材料7Aの膜厚が薄くなり、密なパターン密度を有した箇所では反転材料7Aの膜厚が厚くなる。
【0025】
その後、インプリントパターン21上に成膜された反転材料7Aをエッチバックすることにより、図3の(c)に示すように、インプリントパターン21の凸部の上面を露出させる。これにより、反転材料7Aは、その上面部分がエッチングされて反転材料7Bとなる。これにより、インプリントパターン21のうち密なパターン密度を有した箇所では、インプリントパターン21の凸部の上面と反転材料7Bの上面とが略同じ高さとなる。一方、インプリントパターン21のうち疎なパターン密度を有した箇所では反転材料7Bの膜厚がさらに薄くなる。
【0026】
この後、図3の(d)に示すように、インプリントパターン21がエッチングによって選択的に除去され、反転材料7Bが残される。反転材料7Bで構成されるパターンは、インプリントパターン21を反転させたパターンである。インプリントパターン21のうち密なパターン密度を有していた箇所には、インプリントパターン21の位置にホールパターンhが形成される。一方、インプリントパターン21のうち疎なパターン密度を有していた箇所Xは、反転材料7Bの膜厚が薄いので、反転材料7Bの下層側まで深くエッチングされることとなる。このため、疎なパターン密度を有していた箇所Xの膜厚が薄くなり過ぎる。したがって、ウエハW(インプリントパターン21の下層)にダメージを与えてしまうこととなる。
【0027】
図2で説明したパターン形成処理を用いることにより、インプリントパターン21におけるパターン密度の疎密に関わらず、ウエハW(インプリントパターン21の下層)にダメージを与えることなく、反転材料7Bを用いたパターン形成を行うことが可能となる。したがって、反転材料の埋め込み不良問題を解決することが可能となる。
【0028】
なお、本実施形態では、UV照射後に離型処理を行ったが、離型処理の後にUV照射を行ってもよい。具体的には、反転材料6Aを硬化させる前に、板回転部4Aは、下方側に移動し、これにより、被供給板5を反転材料6Aから引き離す。その後、板回転部4Aの裏面側から反転材料6AにUV光を照射する。これにより、インプリントパターン21に充填されている反転材料6Aは硬化する。離型処理の後にUV照射を行なうので、被供給板5から反転材料6Aを容易に引き離すことが可能となる。
【0029】
また、本実施形態では、成膜装置10Aが被供給板5を備える構成としたが、成膜装置10Aと被供給板5とを別々の構成としてもよい。また、反転材料6Aをインプリントパターン21に充填させる際や、反転材料6Aを被供給板5から引き離す際に、基板支持部1を鉛直方向に移動させてもよい。
【0030】
このように、第1の実施形態によれば、毛細管現象によってインプリントパターン21の凹部(パターンスペース)に反転材料6Aを充填させるので、反転材料6AをウエハW上に均一に成膜することが可能となる。したがって、インプリントパターン21を除去する際に、インプリントパターン21の下層膜にダメージを与えることなくインプリントパターン21を反転させたパターン(反転材料6Bで構成されるパターン)を形成することが可能となる。換言すると、下層膜にダメージを与えることなくインプリントパターン21を反転させることができる反転材料6Aを、ウエハW上に成膜することが可能となる。また、反転材料6Aを回転塗布によって被供給板5に供給するので短時間で、反転材料6Aを被供給板5に供給することが可能となる。
【0031】
(第2の実施形態)
つぎに、図4を用いてこの発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、インクジェット方式の液滴滴下装置によって反転材料6Aを被供給板5に供給する。また、ベークヒータによって反転材料6Aを硬化させる。
【0032】
図4は、第2の実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。図4の各構成要素のうち図1に示す第1の実施形態の成膜装置10Aと同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0033】
本実施形態の成膜装置10Bは、成膜装置10Aと比べて、反転材料供給部2Aの代わりに反転材料供給部2Bを備え、UV光照射部11の代わりにベークヒータ12を備え、板回転部4Aの代わりに板支持部4Bを備えている。
【0034】
反転材料供給部2Bは、インクジェット方式の液滴滴下装置であり、被供給板5に液滴状の反転材料6Aをインクジェット塗出する。ベークヒータ12は、板支持部4Bの裏面側に配置されており、板支持部4Bの裏面側から反転材料6Aに熱を与える。反転材料6Aは、ベークヒータ12から熱を与えられることによって硬化する。
【0035】
板支持部4Bは、被供給板5を裏面側から固定している。また、板支持部4Bは、鉛直方向に移動可能なよう構成されている。板支持部4Bは、反転材料供給部2Bから被供給板5に反転材料6Bが供給される際には、下方に移動し、基板支持部1と板支持部4Bとの間の距離を所定距離だけ離す。また、板支持部4Bは、インプリントパターン21に反転材料6Bを充填させる際には、ウエハW側へ上昇し、インプリントパターン21への反転材料6Bの充填が完了した際には、ベークヒータ12側に下降する。
【0036】
第2の実施形態に係るパターン形成処理手順(成膜装置10Bを用いたパターン形成処理手順)は、第1の実施形態に係るパターン形成処理手順(成膜装置10Aを用いたパターン形成処理手順)と同様の処理手順である。すなわち、ウエハWの表面には、インプリントパターン21を形成しておく。反転材料供給部2Bは、液滴状の反転材料6Bを被供給板5に供給する。このとき、反転材料6Bは、インプリントパターン21のパターン形状に応じた位置に配置される。
【0037】
この後、反転材料6BとウエハWとが対向するよう、反転材料6BをウエハWのインプリントパターン21に接触させる。そして、毛細管現象によってインプリントパターン21の凹部(パターンスペース)に反転材料6Bを充填させる。そして、反転材料6BをウエハWに接触させたままの状態で、ベークヒータ12によって反転材料6Bを加熱する。これにより、インプリントパターン21に充填されている反転材料6Bは硬化する。
【0038】
反転材料6Bを硬化させた後、被供給板5を反転材料6Bから引き離す(離型)。そして、インプリントパターン21に充填された反転材料6Bをエッチバックすることにより、インプリントパターン21の凸部の上面を露出させる。これにより、反転材料6Bは、その上面部分がエッチングされて反転材料6Bとなる。そして、ウエハWでは、インプリントパターン21の凸部の上面と反転材料6Bの上面とが略同じ高さとなり、ウエハWの上面は略水平となる。この後、インプリントパターン21がエッチングによって選択的に除去され、反転材料6Bが残される。
【0039】
なお、本実施形態では、成膜装置10Bが反転材料供給部2Bと板支持部4Bを備える場合について説明したが、反転材料供給部2Bと板支持部4Bの代わりに成膜装置10Bが反転材料供給部2Aと板回転部4Aを備えていてもよい。また、本実施形態では、成膜装置10Bがベークヒータ12を備える場合について説明したが、ベークヒータ12の代わりにUV光照射部11を備えていてもよい。
【0040】
また、ベークヒータ12の配置位置は、板支持部4Bの裏面側に限らず、何れの位置に配置してもよい。ベークヒータ12は、例えば基板支持部1よりも上側に配置してもよいし、板支持部4B内や基板支持部1内に配置してもよい。また、本実施形態においては、被供給板5を非透明な基板(シリコン基板や金属基板など)で構成しておいてもよい。
【0041】
このように、第2の実施形態によれば、毛細管現象によってインプリントパターン21の凹部(パターンスペース)に反転材料6Aを充填させるので、反転材料6AをウエハW上に均一に成膜することが可能となる。したがって、インプリントパターン21を除去する際に、インプリントパターン21の下層膜にダメージを与えることなくインプリントパターン21を反転させたパターン(反転材料6Bで構成されるパターン)を形成することが可能となる。換言すると、下層膜にダメージを与えることなくインプリントパターン21を反転させることができる反転材料6Aを、ウエハW上に成膜することが可能となる。また、反転材料6Aを液滴状にして被供給板5に供給するので少量の反転材料6Aでインプリントパターン21の凹部に反転材料6Aを充填させることが可能となる。
【0042】
(第3の実施形態)
つぎに、図5を用いてこの発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、減圧、冷却しながら毛細管現象を利用してインプリントパターン21の凹部に反転材料6Aを充填させる。
【0043】
図5は、第3の実施形態に係る成膜装置の構成を示す図である。図3の各構成要素のうち図1に示す第1の実施形態の成膜装置10Aと同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0044】
本実施形態の成膜装置10Cは、成膜装置10Aが有する構成要素に加えて、冷却部31と減圧部32を備えている。冷却部31は、インプリントパターン21の凹部に充填する反転材料6Aを冷却する。減圧部32は、インプリントパターン21の凹部に反転材料6Aを充填させる際に、成膜装置10C内を大気圧以下に減圧する。
【0045】
インプリントパターン21の凹部に反転材料6Aを充填させる際には、インプリントパターン21近傍の圧力や反転材料6Aの温度が変化すると充填速度も変化する。このため、本実施形態では、充填速度が向上するようインプリントパターン21近傍の圧力や反転材料6Aの温度を制御する。
【0046】
一般に、毛細管現象による液面(反転材料6A)の上昇高さh(単位m)は、以下の式(1)によって示される。
【0047】
【数1】

【0048】
T=表面張力(N/m)
θ=接触角
ρ=液体の密度(kg/m3
g=重力加速度(m/s2
r=管の内径(半径)(m)
なお、ここでの液体は、反転材料6Aであり、管は、インプリントパターン21の凹部である。
【0049】
また、エートヴェッシュ(Eotvos)の法則によれば、表面張力と温度の関係は、以下の式(2)によって示される。
【0050】
【数2】

【0051】
Tc=臨界温度
γ=表面張力(N/m)
d=密度
M=分子量
なお、定数kは、液体の種類によらず、ほぼ2(cm2・mol-2/3・s-2・K-1)である。
【0052】
したがって、本実施形態では、インプリントパターン21の凹部に反転材料6Aを充填する前に、冷却部31が、インプリントパターン21の凹部に充填する反転材料6Aを冷却しておく。冷却部31は、例えば反転材料6Aを成膜装置10Cの外部よりも低い温度(室温以下)(例えば10℃)に冷却する。冷却部31は、反転材料供給部2A内の反転材料6A(被供給板5に供給する前の反転材料6A)を冷却してもよいし、被供給板5上の反転材料6Aを冷却してもよい。被供給板5上の反転材料6Aを冷却する場合、冷却部31は、例えば被供給板5を冷却することによって反転材料6Aを冷却する。また、インプリントパターン21の凹部に反転材料6Aを充填する前に、減圧部32が、成膜装置10C内を大気圧以下に減圧しておく。
【0053】
これにより、Si系の反転材料である反転材料6Aの表面張力が大きくなる。その結果、ウエハW上に形成されているインプリントパターン21の凹部(コンタクトホールパターンなど)に、高速で均一に反転材料6Aを充填することが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、成膜装置10Cの構成を、成膜装置10Aに冷却部31と減圧部32を加えた構成としたが、成膜装置10Bに冷却部31と減圧部32を加えた構成としてもよい。また、成膜装置10Cが冷却部31と減圧部32の両方を備える構成としたが、冷却部31と減圧部32の何れか一方のみを備える構成としてもよい。
【0055】
インプリントパターン21への反転材料6Aの充填処理、反転材料6Bを用いた反転パターンの形成処理は、例えばウエハプロセスのレイヤ毎に行われ、これにより、半導体装置(半導体集積回路)が製造される。具体的には、インプリントパターン21の形成処理が行われた後、インプリントパターン21への反転材料6Aの充填処理が行われる。そして、反転材料6Bを用いた反転パターンの形成処理が行われ、その後、反転パターン上への成膜処理など行われる。半導体装置を製造する際には、上述したインプリントパターン21の形成処理、インプリントパターン21への反転材料6Aの充填処理、反転材料6Bを用いた反転パターンの形成処理、反転パターン上への成膜処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0056】
このように、第3の実施形態によれば、インプリントパターン21近傍の圧力を減圧した状態で反転材料6Aをインプリントパターン21に充填するので、反転材料6Aの表面張力が大きくなる。また、反転材料6Aを冷却した状態で反転材料6Aをインプリントパターン21に充填するので、反転材料6Aの表面張力が大きくなる。したがって、インプリントパターン21の凹部に、高速で均一に反転材料6Aを充填することが可能となる。
【0057】
このように第1〜第3の実施形態によれば、下層膜にダメージを与えることなくウエハW上のインプリントパターンを反転させることができる反転材料6Aを、ウエハW上に成膜することが可能となる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
2A,2B…反転材料供給部、5…被供給板、6A,6B,7A,7B…反転材料、10A〜10C…成膜装置、11…UV光照射部、12…ベークヒータ、21…インプリントパターン、31…冷却部、32…減圧部、W…ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のレイアウトパターンを反転させた反転パターンを第1の基板上に形成する反転パターン形成ステップと、
前記所望のレイアウトパターンのパターン材料を反転材料として第2の基板上に供給する反転材料供給ステップと、
前記反転パターンを前記反転材料に対向して接触させることにより、毛細管現象を利用して前記反転材料を前記反転パターンに充填する充填ステップと、
を含み、
前記第2の基板上へは、前記反転材料を回転塗布することによって供給し、且つ前記反転パターンの近傍を大気圧以下に減圧した状態で、前記反転材料を前記反転パターンに充填することを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
所望のレイアウトパターンを反転させた反転パターンを第1の基板上に形成する反転パターン形成ステップと、
前記所望のレイアウトパターンのパターン材料を反転材料として第2の基板上に供給する反転材料供給ステップと、
前記反転パターンを前記反転材料に対向して接触させることにより、毛細管現象を利用して前記反転材料を前記反転パターンに充填する充填ステップと、
を含むことを特徴とする成膜方法。
【請求項3】
前記第2の基板上へは、前記反転材料を回転塗布することによって供給することを特徴とする請求項2に記載の成膜方法。
【請求項4】
前記第2の基板上へは、前記反転材料をインクジェット塗出することによって供給することを特徴とする請求項2に記載の成膜方法。
【請求項5】
前記反転パターンの近傍を大気圧以下に減圧した状態で、前記反転材料を前記反転パターンに充填することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の成膜方法。
【請求項6】
前記反転材料の温度が、前記反転材料を充填させる装置の外部よりも低くなるよう前記反転材料を冷却した状態で、前記反転材料を前記反転パターンに充填することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の成膜方法。
【請求項7】
所望のレイアウトパターンを反転させた反転パターンを第1の基板上に形成する反転パターン形成ステップと、
前記所望のレイアウトパターンのパターン材料を反転材料として第2の基板上に供給する反転材料供給ステップと、
前記反転パターンを前記反転材料に対向して接触させることにより、毛細管現象を利用して前記反転材料を前記反転パターンに充填する充填ステップと、
前記第1の基板から前記反転パターンを除去して前記反転材料を前記基板上に残すことにより、前記反転材料で前記所望のレイアウトパターンを形成するパターン形成ステップと、
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
前記反転パターンに充填した前記反転材料を加熱することによって、前記反転材料を硬化させる硬化ステップを、さらに含むことを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記反転パターンに充填した前記反転材料にUV光を照射することによって、前記反転材料を硬化させる硬化ステップを、さらに含むことを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−69920(P2013−69920A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208116(P2011−208116)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】