説明

成膜装置、成膜方法、機能性フィルムおよびフィルムロール

【課題】低コストで、長尺な基板を巻き取る際の不具合の発生を抑制することができる成膜装置、成膜方法、機能性フィルムおよびフィルムロールを提供する。
【解決手段】本発明の成膜装置は、長尺の基板を長手方向に搬送しながら、真空容器内で基板の表面に所定の膜を形成するものであり、真空容器内を所定の真空度にする真空排気手段と、真空容器内に設けられ、基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着し、基板の中央部よりも厚い厚肉部を基板の両端に基板の搬送方向に沿って形成する端部形成部と、真空容器内に設けられ、基板の表面に気相成膜法により所定の膜を形成する成膜部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な基板を巻き取る際の不具合の発生を抑制することができる成膜装置、成膜方法、機能性フィルムおよびフィルムロールに関し、特に、低コストで、長尺な基板を巻き取る際の不具合の発生を抑制することができる成膜装置、成膜方法、機能性フィルムおよびフィルムロールに関する。
【背景技術】
【0002】
真空装置内を搬送され、表面処理、または成膜等の加工を表面に施した長尺な基板を巻き取る際に、裏面(バック面)の転写、もしくは巻きズレまたは粉塵等の異物の混入が原因となり、基板の加工した表面、または表面処理を施した表面に傷が発生することがある。特に、真空中では、巻取られて積層された基板間に空気が存在しないため、巻きズレおよび異物の混入による傷は、大気中よりも大きなものとなり、傷による基板の表面の損傷は大きい。そこで、基板を巻き取る際における基板の表面の傷の発生を抑制する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、高分子樹脂基材の幅方向の両端部に真空中で(メタ)アクリル化合物を凝集させた後、電子線あるいはプラズマを照射し、このアクリル化合物を硬化させ活性エネルギー線硬化樹脂層を製造する保護フィルムの製造方法が開示されている。
この特許文献1の保護フィルムは、フィルム幅方向における両端に、製品となる部分(ガスバリア層)よりも厚い層が形成されている。
この特許文献1によれば、高分子樹脂基材の表面の両端部に密着力の優れた有機薄膜を製造することでナーリンク処理と同等な効果、すなわち、両端処理面に巻取張力を集中させることで、塵埃巻き込みによる成膜面への応力集中および巻きズレを阻止し、高分子基材の表面を損傷させることなく安定した巻取成膜および搬送を実現している。
【0004】
【特許文献1】特開2006−36904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の保護フィルムにおいては、両端部の膜厚と、中央部の膜厚とが異なるように、蒸発量などの製造条件を変える必要があり、製造工程が複雑になるとともに、両端部に余分な材料が必要になり、その結果コストが嵩むという問題点がある。さらには、製造工程が複雑になるため、製造に時間がかかり、生産効率が低下する。
【0006】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、低コストで、長尺な基板を巻き取る際の不具合の発生を抑制することができる成膜装置、成膜方法、機能性フィルムおよびフィルムロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、長尺の基板を長手方向に搬送しながら、真空容器内で前記基板の表面に所定の膜を形成する成膜装置であって、前記真空容器内を所定の真空度にする真空排気手段と、前記真空容器内に設けられ、前記基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着し、前記基板の中央部よりも厚い厚肉部を前記基板の両端に前記基板の搬送方向に沿って形成する端部形成部と、前記真空容器内に設けられ、前記基板の表面に、気相成膜法により所定の膜を形成する成膜部とを有することを特徴とする成膜装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、長尺の基板を長手方向に搬送しながら、真空容器内で前記基板の表面に所定の膜を形成する成膜装置であって、前記真空容器内を所定の真空度にする真空排気手段と、前記真空容器内に設けられ、前記基板の表面に有機層を形成する有機層形成部と、前記真空容器内に設けられ、前記有機層が形成された基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着し、前記基板の中央部よりも厚い厚肉部を前記基板の両端に前記基板の搬送方向に沿って形成する端部形成部と、前記真空容器内に設けられ、前記有機層の表面に、気相成膜法により所定の膜を形成する成膜部とを有することを特徴とする成膜装置を提供するものである。
【0009】
本発明においては、前記端部形成部は、前記基板を圧着する際または圧着した後に、前記折り曲げられた部分の表面に凹凸を形成することが好ましい。
さらに、本発明においては、前記端部形成部は、前記基板を圧着するヒートロールを有することが好ましい。
さらに、本発明においては、前記有機層は、所定の温度に加熱されると接着性を発現するものであることが好ましい。
【0010】
本発明の第3の態様は、長尺の基板を長手方向に搬送しながら、真空容中で前記基板の表面に所定の膜を形成する成膜方法であって、前記基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着し、前記基板の中央部よりも厚い厚肉部を前記基板の両端に前記基板の搬送方向に沿って形成する工程と、前記基板の表面に、気相成膜法により所定の膜を形成する工程とを有することを特徴とする成膜方法を提供するものである。
【0011】
本発明においては、前記基板の幅方向の端部は、前記膜が形成される成膜面側に折り曲げられることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記厚肉部を前記基板の両端に形成する前、または前記厚肉部を前記基板の両端に形成した後に、前記基板の表面に有機層を形成する工程を有することが好ましい。
さらに、本発明においては、前記厚肉部を形成するために前記基板を圧着する際または圧着した後に、前記折り曲げられた部分の表面に凹凸を形成することが好ましい。
また、本発明においては、前記厚肉部を形成するために前記基板を圧着する際または圧着した後に、前記所定の温度に加熱して圧着することが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、前記有機層は、所定の温度に加熱されると接着性を発現するものであることが好ましい。
【0014】
本発明の第4の態様は、長尺の基板と、前記基板の表面に形成された機能性膜とを有し、前記基板は、その幅方向の端部が折り曲げられて圧着されて前記基板の中央部よりも厚い厚肉部が前記基板の両端に前記基板の幅方向と直交する長手方向に沿って形成されていることを特徴とする機能性フィルムを提供するものである。
【0015】
本発明においては、前記基板と前記機能性膜との間に有機層が形成されていることが好ましい。
また、本発明においては、前記厚肉部は、前記機能性膜が形成されている側の面に凹凸が形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様の機能性フィルムと、ロールとを有し、前記機能性フィルムは前記ロールに巻き取られていること特徴とするフィルムロールを提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の成膜装置および成膜方法によれば、基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着し、この基板の中央部よりも厚い厚肉部を基板の両端に基板の搬送方向に沿って形成することにより、搬送の際、基板を巻き取る際に、基板の膜の間に隙間を生じさせることができ、基板の膜は非接触状態とされる。このことから、巻取り時に長尺の基板を巻締めても膜を非接触状態とすることができる。このため、成膜後に基板の膜の表面に塵埃などの異物が付着したり、巻取り時に基板の膜の表面に塵埃などの異物が混入した場合でも、隙間ができるため、塵埃等の異物によって膜が傷つくこと、さらには膜が割れることなどの発生が抑制される。このように、巻取り時に不具合を生じさせることなく、膜を保護することができる。
しかも、厚肉部は、基板の端部を折り曲げて圧着することにより形成されており、厚肉部を形成するために別の部材を貼り合せること、または厚肉部を形成するために塗布、露光などの煩雑なプロセスも用いていない。このように、簡単なプロセスを用い、かつ外部からの材料を供給して形成するものではないことから、装置構成および製造工程も簡素化できるとともに、材料コストの上昇も抑制することができる。
【0018】
また、本発明の機能性フィルムにおいては、基板の中央部よりも厚い厚肉部が、基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着したものであり、搬送の際、または巻き取る際に、基板の膜は非接触状態にできる。このため、搬送時および巻取り時に不具合を生じさせることなく、膜を保護することができる。
さらに、本発明のフィルムロールにおいても、基板の中央部よりも厚い厚肉部が、基板の幅方向の端に形成されており、巻取り時に長尺の基板を巻締めても膜を非接触状態とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の成膜装置、成膜方法、機能性フィルムおよびフィルムロールを詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。
【0020】
図1に示す成膜装置10は、ロール・ツー・ロール(Roll to Roll)の成膜装置であり、基板Zの表面Zf、または基板Zの表面Zfに有機層が形成されていれば、その表面に、所定の機能を有する膜を形成して、例えば、光学フィルム、またはガスバリアフィルム等の機能性フィルムの製造に利用されるものである。
成膜装置10は、長尺の基板Z(ウェブ状の基板Z)に連続で成膜を行う装置であって、基本的に、長尺な基板Zを供給する供給室12と、長尺な基板Zに膜fを形成する成膜室14と、膜fが形成された長尺な基板Zを巻き取る巻取り室16と、真空排気部(真空排気手段)32と、制御部36と、端部形成部50とを有する。この制御部36により、成膜装置10における各要素の動作が制御される。
また、成膜装置10においては、供給室12と成膜室14とを区画する壁15a、および成膜室14と巻取り室16とを区画する壁15bには、基板Zが通過するスリット状の開口15cが形成されている。
【0021】
成膜装置10においては、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、真空排気部32が配管34を介して接続されている。この真空排気部32により、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部が所定の真空度にされる。
なお、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、それぞれ大気開放(ベント)または排気量の調節などをするバルブ(図示せず)が設けられており、このバルブも制御部36で制御され、供給室12、成膜室14および巻取り室16が大気開放される。
【0022】
真空排気部32は、供給室12、成膜室14および巻取り室16を排気して所定の真空度に保つものであり、ドライポンプおよびターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有するものである。
また、供給室12、成膜室14および巻取り室16には、それぞれ、図示はしないが、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部の圧力を測定する圧力センサが設けられている。
なお、真空排気部32による供給室12、成膜室14および巻取り室16の到達真空度には、特に限定はなく、実施する成膜方法等に応じて、十分な真空度を保てればよい。この真空排気部32は、制御部36により制御される。
【0023】
供給室12は、長尺な基板Zを供給する部位であり、基板ロール20、およびガイドローラ21が設けられている。
基板ロール20は、長尺な基板Zを、その長手方向に連続的に送り出すものであり、例えば、反時計回りに基板Zが巻回されている。
基板ロール20は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータによって基板ロール20が基板Zを巻き戻す方向rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、基板Zが長手方向に沿って連続的に送り出される。基板Zの搬送方向Dは、基板Zの長手方向と同じである。
【0024】
ガイドローラ21は、基板Zを所定の搬送経路で端部形成部50に案内するものである。このガイドローラ21は、公知のガイドローラにより構成される。
本実施形態の成膜装置10においては、ガイドローラ21は、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。また、ガイドローラ21は、基板Zの搬送時における張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
【0025】
ここで、図2は、本発明の第1の実施形態の成膜装置の端部形成部50を示す模式的斜視図である。
端部形成部50は、基板Zの長手方向と直交する幅方向Wにおける両端Zv(図2参照)に厚さが他の部分、例えば、中央部Zcよりも厚い厚肉部αを形成するものであり、折曲部52と、圧着部54とを有する。
図2に示すように、折曲部52は、基板Zの幅方向Wにおける両方の端部Zeを、基板Zの幅方向Wの中央部Zcに向けて折るものである。この折曲部52は、基板Zの搬送経路に設けられるものである。折曲部52は、搬送方向Dに沿って幅方向Wの長さが順次短くなる台形状の基部52a、すなわち、搬送方向Dに沿って幅が順次狭くなる台形状の基部52aと、この基部52aの平行ではない残りの各辺に沿って、それぞれ設けられたガイド板52bとを有する。
【0026】
基部52aの幅広側の端部53aから、2つのガイド板52bの間に、基板Zの表面Zfを基部52aとは反対側に向けて、基板Zを挿通させる。このとき、基板Zの両側の端部Zeがそれぞれガイド板52bに当接し、更に基板Zが搬送方向Dに搬送されると、端部Zeがガイド板52bに沿って、成膜される基板Zの表面Zfの中央部Zcに向けて折り曲げられる。そして、折曲部52の基部52aの幅狭側の端部53bから基板Zの端部Zeが基板Zの表面Zfに接した状態(図3(a)参照)で排出される。
【0027】
圧着部54は、折り曲げられた端部Zeを基板Zの表面Zfに固定し一体化させるものである。
この圧着部54は、例えば、熱圧着を用いるものであり、ヒートローラ56と、プレッシャーローラ58とを備えるローラ対を有するものである。このヒートローラ56とプレッシャーローラ58と間を、端部Zeが折り曲げられた基板Zの端Zvを通過させることにより、端部Zeを基板Zの表面Zfに固定し一体化されて厚肉部αが形成される(図3(b)参照)。
【0028】
ヒートローラ56は、熱圧着に際して、必要な所定の温度に加熱し、その温度を保持することができるものであり、その内部に加熱手段(図示せず)が設けられているものである。このヒートローラ56の加熱の開始、保持温度なども、制御部36に制御される。
プレッシャーローラ58は、ヒートローラ56とともに基板Zを搬送するものであり、基板Zの搬送に際して、基板Zの端部Zeをヒートローラ56に押し付けるものである。
本実施形態においては、このようにして、基板Zに厚肉部αが形成される。なお、基板Zは、端部Zeが折り込まれるため、最終的に得られるサイズよりも、折曲げる分だけ、大きいものを用意する必要がある。
この圧着部54から、成膜室14(ガイドローラ24)に搬送される。
【0029】
本発明の成膜装置において、基板Zは、特に限定されるものではなく、気相成膜法による膜の形成が可能な各種の基板が全て利用可能である。基板Zとしては、例えば、PETフィルム等の各種の樹脂フィルム等を用いることができる。更には、樹脂フィルムの表面に、有機層が形成されているものであってもよい。
【0030】
図1に示すように、成膜室14は、真空チャンバとして機能するものであり、基板Zを搬送しつつ連続的に、基板Zの表面Zfに、気相成膜法のうち、例えば、プラズマCVDによって、所定の膜fを形成する部位である。
成膜室14は、例えば、ステンレス、アルミニウムまたはアルミニウム合金など、各種の真空チャンバで利用されている材料を用いて構成されている。
【0031】
成膜室14には、2つのガイドローラ24、28と、ドラム26と、成膜部40とが設けられている。
ガイドローラ24と、ガイドローラ28とが、所定の間隔を設けて対向して、平行に配置されており、また、ガイドローラ24、およびガイドローラ28は、基板Zの搬送方向Dに対して、その長手方向を直交させて配置されている。
【0032】
ガイドローラ24は、供給室12に設けられた搬送装置50から搬送された基板Zをドラム26に搬送するものである。このガイドローラ24は、例えば、基板Zの搬送方向Dと直交する方向に回転軸を有し回転可能であり、かつガイドローラ24は、軸方向の長さが基板Zの幅方向Wの長さよりも長い。
【0033】
ガイドローラ28は、ドラム26に巻き掛けられた基板Zを巻取り室16に設けられたガイドローラ31に搬送するものである。このガイドローラ28は、例えば、軸方向に回転軸を有し回転可能であり、かつガイドローラ28は、軸方向の長さが基板Zの幅よりも長い。
また、ガイドローラ24、ガイドローラ28は、駆動ローラまたは従動ローラでもよい。さらには、ガイドローラ24、ガイドローラ28は、基板Zの搬送時における張力を調整するテンションローラとして作用するローラであってもよい。
【0034】
ドラム26は、ガイドローラ24と、ガイドローラ28との間の空間Hの下方に設けられている。ドラム26は、その長手方向を、ガイドローラ24およびガイドローラ28の長手方向に対して平行にして配置されている。さらには、ドラム26は接地されている。
このドラム26は、例えば、円筒状を呈し、軸方向に回転軸を有し、回転可能なものである。かつドラム26は、軸方向における長さが基板Zの幅よりも長い。ドラム26においては、基板Zの幅方向における中心と、ドラム26の軸方向の中心とを合わせて、基板Zを、その表面(周面)に巻き掛けた場合、その両側の端部は、基板Zが掛からない領域となる。
ドラム26は、その表面(周面)に基板Zが巻き掛けられて、回転することにより、基板Zを所定の成膜位置に保持しつつ、搬送方向Dに基板Zを搬送するものである。
【0035】
図1に示すように、成膜部40は、ドラム26の下方に設けられており、基板Zがドラム26に巻き掛けられた状態で、ドラム26が回転して、基板Zが搬送方向Dに搬送されつつ、基板Zの表面Zfに膜fを形成するものである。なお、表面Zfに膜fが形成された基板Zを、機能性フィルムFともいう。
成膜部40は、気相成膜法のうち、例えば、プラズマCVDを用いて膜を形成するものであり、成膜電極42、高周波電源44、原料ガス供給部46および仕切部48を有する。制御部36により、成膜部40の高周波電源44、および原料ガス供給部46が制御される。
【0036】
成膜部40においては、成膜室14の下方に、ドラム26において基板Zが巻き掛けられる領域に対向して、所定の隙間Sを設けて成膜電極42が設けられている。成膜電極42は、例えば、平面視長方形の平板状に形成されており、広い面に複数の穴(図示せず)が等間隔で形成されている。成膜電極42は、この広い面をドラム26に向けて配置されている。この成膜電極42は、一般的にシャワー電極と呼ばれるものである。
また、成膜電極42は、高周波電源44が接続されており、この高周波電源44により、成膜電極42に高周波電圧が印加される。
【0037】
原料ガス供給部46は、例えば、配管47を介して、成膜電極42の複数の穴を通して隙間Sに、膜を形成する原料ガスを供給するものである。ドラム26と成膜電極42との隙間Sがプラズマの発生空間になる。
本実施形態においては、原料ガスは、例えば、SiO膜を形成する場合、TEOSガス、および活性種ガスとして酸素ガスが用いられる。
【0038】
原料ガス供給部46は、プラズマCVD装置で用いられている各種のガス導入手段が利用可能である。
また、原料ガス供給部46においては、原料ガスのみならず、アルゴンガスまたは窒素ガスなどの不活性ガス、および酸素ガス等の活性種ガス等、プラズマCVDで用いられている各種のガスを、原料ガスと共に、隙間Sに供給してもよい。このように、複数種のガスを導入する場合には、各ガスを同じ配管で混合して、成膜電極42の複数の穴を通して隙間Sに供給しても、各ガスを異なる配管から成膜電極42の複数の穴を通して隙間Sに供給してもよい。
さらに、原料ガスまたはその他、不活性ガスおよび活性種ガスの種類または導入量も、形成する膜の種類、または目的とする成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
【0039】
仕切部48は、成膜電極42を成膜室14内において区画するものである。
この仕切部48は、例えば、一対の仕切板48aにより構成されており、一対の仕切板48aで、成膜電極42を挟むようにして配置されている。
各仕切板48aは、それぞれドラム26の長さ方向に伸びた板状部材であり、ドラム26側の端部が、成膜電極42とは反対側に折曲している。この仕切部48により、隙間S、すなわち、プラズマ発生空間が、成膜室14内において区画されている。
【0040】
成膜電極42は、平板状に限定されるものではなく、例えば、ドラム26の軸方向に分割した複数の電極を配列した構成等、プラズマCVDによる成膜が可能なものであれば、各種の電極の構成が利用可能である。なお、基板Zに対する電界およびプラズマなどの均一性等の点で、成膜電極42は、本実施形態のような平面視長方形の平板状のシャワー電極であることが好ましい。
また、成膜電極42と高周波電源44とは、必要に応じて、インピーダンス整合をとるためのマッチングボックスを介して接続してもよい。
【0041】
また、ドラム26には、温度を調節する温度調節部(図示せず)を設けてもよい。この温度調節部は、例えば、ドラム26の中心に設けられるヒータである。
なお、高周波電源44は、プラズマCVDによる成膜に利用される公知の高周波電源を用いることができる。また、高周波電源44は、最大出力等にも、特に限定はなく、形成する膜または成膜レート等に応じて、適宜、選択/設定すればよい。
【0042】
巻取り室16は、成膜室14で、表面Zfに膜が形成された基板Zを巻き取る部位であり、巻取りロール30、およびガイドローラ31が設けられている。
【0043】
巻取りロール30は、成膜された基板Zをロール状に、例えば、時計回りに巻き取るものである。
この巻取りロール30は、例えば、駆動源としてモータ(図示せず)が接続されている。このモータにより巻取りロール30が回転されて、成膜済の基板Zが巻き取られる。
巻取りロール30においては、モータによって基板Zを巻き取る方向Rに回転されて、本実施形態では、時計回りに回転されて、成膜済の基板Zを連続的に、例えば、時計回りに巻き取る。
【0044】
ガイドローラ31は、成膜室14から搬送された基板Zを、所定の搬送経路で巻取りロール30に案内するものである。このガイドローラ31は、公知のガイドローラにより構成される。なお、ガイドローラ31は、駆動ローラまたは従動ローラでもよく、また、ガイドローラ31は、テンションローラとして作用するローラであってもよい。
【0045】
本実施形態においては、成膜される表面Zf側の幅方向Wにおける両側の端Zvに、所定の厚さを有する厚肉部αが基板Zの長手方向に沿って形成されている。
この構成の基板Zを、基板Zの表面Zfを巻取りロール30の表面30aに向けて、巻取りロール30に巻き取った場合、厚肉部αにより、基板Zと巻取りロール30との間、および基板Z間に隙間βが生じ、基板Zの膜fと、基板Zの裏面Zbとは直接接触することがない(図3(d)参照)。
【0046】
次に、本実施形態の成膜装置10の動作について説明する。
成膜装置10においては、供給室12から成膜室14を経て巻取り室16に至る所定の経路で長尺な基板Zを通した後、供給室12、成膜室14および巻取り室16の内部を真空排気部32により、所定の真空度に保ち、この状態で、供給室12から巻取り室16まで長尺な基板Zを通して搬送しつつ、成膜室14において、基板Zに膜を形成するものである。
【0047】
成膜装置10においては、成膜室14および巻取り室16の内部を真空排気部32により、所定の真空度にする。
次に、長尺な基板Zが、例えば、反時計回り巻回された基板ロール20から搬送装置50を経て、成膜室14に搬送させる。成膜室14においては、ガイドローラ24、ドラム26、ガイドローラ28を経て、巻取り室16に搬送される。巻取り室16においては、ガイドローラ31を経て、巻取りロール30に、長尺な基板Zが巻き取られる。
【0048】
成膜に際して、端部形成部50においては、折曲部52の基部52aの幅広側の端部53aから、2つのガイド板52bの間に基板Zが挿通され、基板Zの端部Zeがガイド板52bに沿って、図3(a)に示すように、基板Zの表面Zfに向けて折り曲げられて、折曲部52の基部52aの幅狭側の端部53bから基板Zの端部Zeが基板Zの表面Zfに接した状態で排出される。
そして、端部Zeが折り曲げられた状態で、図3(b)に示すように、基板Zの端Zvを、圧着部54のヒートローラ56とプレッシャーローラ58と間に通過させることにより、端部Zeを基板Zの表面Zfに固定し一体化させて厚肉部αを形成する。
【0049】
このように、基板Zの端Zvに基板の中央部Zcよりも厚い厚肉部αを形成した状態で、次に、成膜部40において、成膜電極42に、高周波電源44から高周波電圧を印加するとともに、原料ガス供給部46から配管47を介して隙間Sに、所定の膜fを形成するための原料ガスを供給する。
成膜電極42の周囲に電磁波を放射させると、隙間Sで、成膜電極42の近傍に局在化したプラズマが生成され、原料ガスが励起・解離される。これにより、図3(c)に示すように、基板Zにおいて、厚肉部αに挟まれた中央部Zcの表面Zfに所定の膜fが形成される。
【0050】
順次、長尺な基板Zが反時計回り巻回された基板ロール20をモータにより時計回りに回転させて、長尺な基板Zを連続的に送り出し、ドラム26で基板Zをプラズマが生成される位置に保持しつつ、ドラム26を所定の速度で回転させて、成膜部40により、基板Zにおいて、厚肉部αに挟まれた中央部Zcの表面Zfに連続的に膜を形成する。そして、ガイドローラ28、およびガイドローラ31を経て、巻取りロール30に、成膜された長尺な基板Zが、巻取りロール30の表面30aに成膜した膜fを向けて巻き取られ、図3(d)に示すように、巻取部材(フィルムロール)100を得る。この巻取部材100に巻き取られた、膜fが成膜された長尺な基板Z(機能性フィルムF)は、そのまま機能性フィルムFなどの最終製品として用いられるものであっても、また、更に成膜、裁断などの加工が施されるものであってもよい。加工される場合には、機能性フィルムロールとして、次の工程に供される。
【0051】
本実施形態の成膜装置10においては、表面Zfに成膜された基板Zが巻取りロール30に巻き取った後、得られた巻取部材100を取り出すために、巻取り室16を真空状態から大気開放する。その後、巻取り室16が大気圧になった後、巻取部材100を取り出す。
このようにして、基板Zの端部Zeが折り曲げられて圧着されて厚肉部αが基板Zの端Zvに形成されて、中央部Zcの表面Zfに所定の膜fが形成された機能性フィルムFが得られて、さらにこの機能性フィルムFが巻き取られて巻取部材(フィルムロール)100が得られる。
【0052】
本実施形態においては、基板Zの端Zvに厚肉部αを形成することにより、膜fを形成した後、搬送する際に、ガイドローラ、パスローラなどとの接触により擦れて膜fに傷が付くことが抑制される。
また、基板Zの端Zvに厚肉部αを形成することにより、基板Zと巻取りロール30の表面30aとの間、および基板Z間に隙間βが形成されるため、基板Zの膜fは非接触状態とされる。このことから、巻取り時に長尺の基板Zを巻締めても膜fを非接触状態とすることができる。このため、成膜後に基板Zの膜fの表面に塵埃などの異物が付着したり、巻取り時に基板Zの膜fの表面に塵埃などの異物が混入した場合でも、隙間βができるため、塵埃等の異物によって膜fが傷つくこと、さらには膜fが割れることなどの発生が抑制される。
【0053】
しかも、本実施形態においては、厚肉部αを、基板Zの端部Zeを折り曲げて圧着することにより形成しており、厚肉部αを形成するために、別の部材を貼り合せること、または厚肉部αを形成するために塗布、露光などの煩雑なプロセスを用いていない。
このように、簡単なプロセスを用い、かつ外部からの材料を供給して形成するものではないことから、装置構成を簡素化できるとともに、材料コストの上昇も抑制することができる。本実施形態においては、基板Zの表面Zfに形成した膜fについて、コストをかけることなく、かつ簡単な工程で、厚肉部αを形成して、上述のように成膜後、および巻取り時に不具合を生じさせることなく、膜fを保護することができる。
【0054】
このように、低コストで、搬送時、または巻取り時などにおける不具合を抑制することができるため、例えば、樹脂フィルムの表面に薄膜を形成して光学フィルムを製造する場合、傷または変形により、光の散乱の発生、および透過率の低下を防ぐことができ、所定の品質の光学フィルムを製造することができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、厚肉部αは、単に厚いものとしたが、本発明においては、これに限定されるものではない。例えば、幅方向Wに通気性を有するものでもよい。
この幅方向Wに通気性を有するものは、例えば、図4(a)および(b)に示すような第2の圧着部54aにより形成することができる。
【0056】
第2の圧着部54aは、圧着部54のヒートローラ56に代えて、表面60aに、軸線方向から見た断面が三角形状の凸部62が形成されているヒートローラ60を用いる点が異なるだけであり、それ以外の構成は、圧着部54と同様の構成である。
この第2の圧着部54aにより、図4(c)に示すように、折り曲げられた基板Zの端部Zeの表面、すなわち、厚肉部αにおいて、成膜する側(基板Zの表面Zf側)の表面に凸部62の形状を反映した凹凸パターン64が、長手方向に沿って形成される。このギザギザのパターン64を厚肉部αに形成した場合、基板Zを積層すると、ギザギザの先端により基板Z同士に接触が防止され隙間β(図3(d)参照)が形成される。また、ギザギザのパターン64の凹部が隙間βと連通する。このため、幅方向Wの通気性が確保され、気体Gがこの凹部から基板Z間の隙間βを通り、巻取部材100は幅方向Wに通気性を有する。
なお、凹凸パターン64は、図4(b)に示すような断面が三角形状のものに限定されるものではない。例えば、図5(a)および図5(b)に示すような凹凸パターン64a、64bであってもよい。
【0057】
図5(a)に示す凹凸パターン64aは、断面が矩形状の凸部66aと断面が矩形状の凹部66bとが連続して基板Zの搬送方向D、すなわち、基板Zの長手方向に沿って形成されたものでもよい。
このパターン64aにおいては、凸部66aにより基板Z同士に接触が防止され、凹部66bにより幅方向Wの通気性が確保される。気体Gがこの凹部66bから基板Z間の隙間βに供給され、巻取部材100は幅方向Wに通気性を有する。
【0058】
さらには、図5(b)に示すように、四角錐状の凸部68を複数備えるパターン64bでもよい。この場合、凸部68により基板Z同士に接触が防止される。加えて、四角錐状の各凸部68同士の斜面の間に隙間が生じるため、この隙間を気体Gが通り、これにより、幅方向Wの通気性が確保される。各凸部68間の隙間から基板Z間の隙間βに気体Gが供給され、巻取部材100は幅方向Wに通気性を有する。
【0059】
図5(b)に示すパターン64bにおいては、凸部68は、四角錐状としたが、これに限定されるものではなく、三角錐、円錐などであってもよく、凸部が円柱、四角柱である場合には、各凸部を隙間を設けて配置する。
【0060】
本実施形態においては、以上のように、巻取部材100について幅方向Wに通気性を有する構成とすることにより、所定の真空度に保たれた巻取り室16内で、基板Zを巻取りロール30に巻き取った後、大気開放して、得られた巻取部材100を取り出す際に、巻取り室16を真空状態から大気開放するとき、基板Zの隙間βにガスGが通ることができる。このため、巻取部材100の隙間βの圧力が、巻取部材100の外部の圧力よりも低くなる程度が抑えられる。このため、大気開放時における巻取部材100外部の圧力変動よって、巻取部材100において、基板Zの中央部Zcが巻取りロール30の表面30a側に落ち込むことが抑制される。このため、基板Zにしわが発生すること、成膜された膜fに割れが発生することなどが抑制される。このように、大気開放時における基板Zの変形、損傷なども抑制することができる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。
なお、本実施形態においては、図1〜図5に示す第1の実施形態の成膜装置と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図6に示すように、本実施形態の成膜装置10aは、第1の実施形態の成膜装置10(図1参照)に比して、端部形成部50の配置位置が、搬送方向Dにおけるガイドローラ21の直ぐ下流ではなく、巻取り室16に設けられたガイドローラ31の直ぐ下流に設けられており、基板Zに厚肉部αを形成するのが、基板Zの表面Zfに膜fを形成した後である点が異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態の成膜装置10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0063】
本実施形態の成膜装置10においては、その成膜方法についても、基板Zの表面Zfに膜fを形成した後に、厚肉部αを形成する点が異なり、それ以外の製造方法は、第1の実施形態の成膜方法と同様の方法であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態においては、基板Zの表面Zfに膜fを形成した後に、厚肉部αを形成する点が異なるだけであるため、第1の実施形態の成膜装置および成膜方法と同様の効果を得ることができる。
本実施形態においては、厚肉部αを形成する前に、膜fを形成するため、膜fが形成された状態で、基板Zの端部Zeを折曲げることになる。このため、成膜部40において、マスクを設け、基板Zの端部Zeに膜fが形成されないようにしてもよい。
【0064】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。
なお、本実施形態においては、図1〜図5に示す第1の実施形態の成膜装置と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0065】
図7に示すように、本実施形態の成膜装置10bは、第1の実施形態の成膜装置10(図1参照)に比して、供給室12と成膜室14との間に有機層形成室70および端部形成室72が設けられていることが異なり、さらには供給室12、成膜室14および巻取り室16内の各要素のレイアウトが異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態の成膜装置10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0066】
本実施形態において、供給室12は、基板ロール20から基板Zが下方に引き出されるように配置されており、ガイドローラ21が設けられていない点が異なるだけであり、それ以外の基板ロール20の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0067】
供給室12と有機層形成室70とは、壁74により区画されており、基板Zが通過するスリット状の開口74aが形成されている。
有機層形成室70は、基板Zの表面Zfにポリマーを主成分とする有機層(有機膜)90を形成するところであって、ガイドローラ21aと、有機層形成部80とを有する。
この有機層形成部80は、フラッシュ蒸着法によって有機層90を成膜するものであり、ポリマーノズル82およびUV照射装置84を有する。このため、有機層形成室70は、内部が真空にされるものであり、真空排気部32に接続されている。
本実施形態のフラッシュ蒸着法は、モノマー中の溶存酸素を低下させる効果を有し、重合率を高めることができるため特に有用である。
【0068】
ガイドローラ21aは、基板ロール20に巻き取られた基板Zを有機層形成部80に搬送するものである。このガイドローラ21aは、第1の実施形態のガイドローラ21と同様の構成であり、その詳細な説明は省略する。
【0069】
有機層90を形成する際には、有機層形成室70内は、真空排気部32によって所定の圧力(真空度)に減圧される。
モノマーノズル82は、このような減圧下において、基板Zの表面に、予め調製した後述するモノマーを含む塗料を塗布するものである。これにより、基板Zの表面にフラッシュ蒸着による塗膜が成膜される。
【0070】
UV照射装置84は、フラッシュ蒸着した塗膜にUV光(紫外線)を照射することにより、モノマーを重合させて、有機層90を成膜するものである。
なお、利用可能な光源、および照射エネルギーは、後述のとおりである。さらに、モノマーの重合法も、本実施形態のUV照射に限定はされず、各種の方法が利用可能である。
【0071】
ここで、有機層90は、ポリマーを主成分とする膜である。
有機層90に用いるポリマーとしては、具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂(以下、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂を併せてアクリレート重合物ともいう)、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他有機珪素化合物の膜である。
有機層90は単独の材料からなっていても混合物からなっていてもよい。2層以上の有機膜を積層してもよい。この場合、各層は同じ組成でも異なる組成であってもよい。また、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように無機層との界面が明確で無く、組成が膜さ方向で連続的に変化する膜であってもよい。
【0072】
有機層90は、平滑で、膜硬度が高いことが好ましい。有機層90の平滑性は10μm角の平均粗さ(Ra値)として10nm以下であることが好ましく、2nm以下であることがより好ましい。
有機層90の膜硬度はある程度以上の硬さを有することが好ましい。好ましい硬さとしては、ナノインデンテーション法で測定したときの押し込み硬度として100N/mm2以上が好ましく、200N/mm2以上がより好ましい。また、鉛筆硬度としてはHB以上の硬さを有することが好ましく、H以上の硬さを有することがより好ましい。
有機層90の厚さについては特に限定はないが、薄すぎると膜の均一性を得ることが困難となるし、厚すぎると外力によりクラックを発生し、バリア性能が低下する。かかる観点から、有機層90の厚みは、10nm〜2μmが好ましく、100nm〜1μmがさらに好ましい。
【0073】
なお、有機層90の成膜方法としては、特に限定されるものではなく、通常の溶液塗布法、あるいは真空成膜法等を用いることもできる。
溶液塗布法としては、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法により塗布することができる。有機層は、市販の重合性接着剤を塗布、硬化させて形成することもできる。
真空成膜法としては、特に制限はないが、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が好ましい。また、フラッシュ蒸着法においても、米国特許第4842893号、米国特許第4954371号、米国特許第5032461号の各明細書に記載の方法が、特に好ましい。
本発明において、有機層90の成膜方法としては、ポリマーを溶液塗布して形成しても良いし、特開2000−323273号、特開2004−25732号の各公報に開示されているような無機物を含有するハイブリッドコーティング法を用いてもよい。さらには、有機層90の成膜方法としては、ポリマーの前駆体、例えば、モノマーを成膜後、重合することによりポリマー層を形成する方法でも良い。
【0074】
本発明において、有機層90の成膜に用いることができる好ましいモノマーとしては、アクリレートおよびメタクリレート、市販の接着剤が挙げられる。すなわち、本発明において、有機層90は、エチレン性不飽和結合を有するアクリレートモノマーおよび/またはメタクリレートモノマーを重合してなるポリマーを主成分とするのが好ましい。特に、後述する真空中での不都合を回避できる等の理由で、アクリレートモノマーおよび/またはメタクリレートモノマーを用いる場合には、分子量が700以下、中でも特に150〜600の物を用いるのが好ましい。
市販の接着剤としては、ナガセケムテックス製XNR−5000シリーズ等が挙げられる。
アクリレートおよびメタクリレートの好ましい例としては、例えば、米国特許第6083628号、米国特許第6214422号の各明細書に記載の化合物が挙げられる。
【0075】
モノマーの重合法には特に限定はないが、加熱重合、光(紫外線、可視光線)重合、電子ビーム重合、プラズマ重合、あるいはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。加熱重合を行う場合、基板Bは相応の耐熱性を有する必要がある。この場合、少なくとも、加熱温度よりも基板Bのガラス転移温度(Tg)が高いことが必要である。
光重合を行う場合は、光重合開始剤を併用するのが好ましい。光重合開始剤としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、サートマー(Sartomer)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZTなど)、同じくオリゴマー型のエザキュアKIPシリーズ等が挙げられる。
【0076】
UV照射装置84において、照射する光は、通常、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.5J/cm以上が好ましく、2J/cm以上がより好ましい。
なお、アクリレートやメタクリレートは、空気中の酸素によって重合阻害を受ける。従って、本発明において、有機層90としてこれらを利用する場合には、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で2J/cm以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい。
【0077】
本発明において、モノマーの重合率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。ここでいう重合率とはモノマー混合物中の全ての重合性基(例えばアクリレートやメタクリレートであれば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。
【0078】
ここで、有機層90として、アクリレート系モノマー、および/または、メタクリレート系モノマーを重合してなる有機層90を成膜する場合には、重合時の酸素濃度を低くすることが好ましいのは、前述のとおりである。
【0079】
なお、有機層90は、単層に限定はされず、2層以上でもよい。この場合、各有機層90が、同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、有機層90を2層以上形成する場合は、各々の有機膜が前述の好ましい範囲内となるようにするのが好ましい。
【0080】
有機層形成室70で有機層90を成膜された基板Zは、次いで、端部形成室72に搬送される。有機層形成室70と端部形成室72は、壁76により区画されており、基板Zが通過するスリット状の開口76aが形成されている。
【0081】
端部形成室70は、ガイドローラ21bと端部形成部50とが設けられている。
ガイドローラ21bは、有機層90を成膜された基板Zを端部形成部50の折曲部52に搬送するものである。このガイドローラ21bは、第1の実施形態のガイドローラ21と同様の構成であり、その詳細な説明は省略する。
端部形成部50は、第1の実施形態に比して、折曲部52および圧着部54のレイアウトが異なるだけであり、それ以外の折曲部52および圧着部54の構成は、第1の実施形態の端部形成部50と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0082】
本実施形態においては、折曲部52が、ガイド板52b(図2参照)が上向きとなるように配置されている。
また、圧着部54は、第1の実施形態に比して、ヒートローラ56が上側で、プレッシャーローラ58が下側に配置されている。
【0083】
本実施形態においては、端部形成部50の折曲部52により、表面Zfに有機層90が形成された基板Zの端部Zeを、基板Zの成膜面側(有機層90の表面90a側)に折り曲げ、この状態で基板Zの端Zeを、圧着部54を通過させることにより、端部Zeを基板Zの表面Zfに固定し一体化させて厚肉部αを形成する。
【0084】
端部形成室72で厚肉部αが形成された基板Zは、成膜室14に搬送される。端部形成室72と成膜室14とは、壁78により区画されており、基板Zが通過するスリット状の開口78aが形成されている。
【0085】
成膜室14は、有機層90の表面90aに真空成膜法によって所定の膜fを形成するところである。
本実施形態の成膜室14には、第1の実施形態と同様に、2つのガイドローラ24a、28aと、ドラム26と、成膜部40とが設けられている。これらのガイドローラ24a、28aと、ドラム26と、成膜部40とは、それぞれ第1の実施形態と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0086】
2つのガイドローラ24a、28aが垂直方向に離間して配置されており、この2つのガイドローラ24a、28aの間の空間Hの側方にドラム26が配置されている。
本実施形態の成膜室14においては、ドラム26に対して、水平方向に基板Zが搬送されて巻き掛けられて、成膜室14の側方で成膜される。このため、成膜電極42a、および仕切部48が、第1の実施形態のように成膜室14の下方ではなく、側方に設けられている。
【0087】
本実施形態においては、隙間Sで、成膜電極42の近傍に局在化したプラズマが生成され、原料ガスが励起・解離される。これにより、基板Zにおいて、厚肉部αに挟まれた基板Zの中央部Zcの表面Zfの有機膜90の表面90aに所定の膜fが形成される。
【0088】
成膜室14で有機膜90の表面90aに所定の膜fが形成された基板Zは、巻取り室16に搬送される。成膜室14と巻取り室16とは、壁15bにより区画されており、基板Zが通過するスリット状の開口15dが形成されている。巻取り室16のガイドローラ31aによって案内されて巻取りロール30により、基板Zが巻き取られる。この場合、基板Zの裏面Zbを巻取りロール30の表面30aに向けて巻き取られ、巻取部材(フィルムロール)102(図8(d)参照)を得る。この巻取部材102に巻き取られた、膜fが成膜された長尺な基板Z(機能性フィルムF)は、そのまま機能性フィルムF等の最終製品として用いられるものであっても、また、更に成膜、裁断などの加工が施されるものであってもよい。加工される場合には、機能性フィルムロールとして、次の工程に供される。
【0089】
本実施形態においては、基板Zの表面Zfに有機層90を形成した後、基板Zの両方の端Zvに厚肉部αを形成し、有機層90の表面90aに膜fを形成し、機能性フィルムFを得る点が異なるだけであるため、第1の実施形態の成膜装置および成膜方法と同様の効果を得ることができる。
【0090】
本実施形態の成膜方法においては、図8(a)に示すように、基板Zの表面Zfに有機層90を形成した後、基板Zの端部Zeを、有機層90が形成された側(基板Zの表面Zf側)に折り曲げる。そして、図8(b)に示すように、圧着部54で基板Zの両方の端Zvに厚肉部αを形成する。そして、図8(c)に示すように、この有機層90の表面90aに膜fを形成し、機能性フィルムFを得る。そして、この機能性フィルムFの基板Zの裏面Zbをロール30の表面30aに向けて巻き取られ、巻取部材(フィルムロール)102(図8(d)参照)を得る。
【0091】
本実施形態においては、基板Zの表面Zfに有機層90が形成されており、この有機層90が、ヒートローラ56の熱により接着性を発現するものであれば、端部Zeの密着性が高くなり、厚肉部αの厚さの均一性が高くなる。このため、本実施形態においては、有機層90は、所定の温度に加熱した場合、接着性を発現するものであることが好ましい。
【0092】
所定の温度に加熱した場合、接着性を発現するものとしては、例えば、ダイゾーニチモリ製エポテックシリーズ、スリーボンド製3000シリーズ等の市販の接着剤が挙げられる。ダイゾーニチモリ製エポテックシリーズには、UV照射および加熱の併用硬化タイプのものがあり、スリーボンド製3000シリーズには、加熱硬化タイプのものがある。これらを用いて有機層90を形成する場合には、いずれも基板Zの表面Zfに接着剤を塗布した後、この接着剤が未硬化状態で基板Zを搬送し、更に基板Zの端部Zeを折り込んで厚肉部αを形成する必要がある。この場合、搬送時に、接着剤がローラなどに付着する虞がある。このため、加熱硬化タイプのスリーボンド製3000シリーズを用いる場合には、本実施形態の有機形成部80および端部形成部50の構成を変えて、基板Zの端部Zeの折り曲げる領域には有機層90となる接着剤を塗布せずに、接着剤が塗布された基板Zを段差ローラにより搬送し、折曲部52で端部Zeを折り曲げた後、圧着部54で厚肉部αを形成する。
【0093】
さらには、UV照射および加熱の併用硬化タイプのダイゾーニチモリ製エポテックシリーズを用いる場合にも、本実施形態の有機形成部80および端部形成部50の構成を変えて、基板Zの端部Zeの折り曲げる領域には有機層90となる接着剤を塗布せずに、接着剤が塗布された基板Zを段差ローラにより搬送し、折曲部52で端部Zeを折り曲げた後、圧着部54において、接着剤にUV照射をしつつ厚肉部αを形成する。
【0094】
また、本実施形態においても、有機層90を形成した後に、厚肉部αを形成したが、本発明は、これに限定されるものではない。有機層90を形成し、その表面90aに膜fを形成した後、第2の実施形態のように、基板Zの端部Zeを折り曲げて厚肉部αを形成することもできる。
さらには、本実施形態においても、第1の実施形態のように、厚肉部αにおいて、成膜する側(有機層90の表面90a側)の表面に凸部62の形状を反映した凹凸パターン64を長手方向に沿って形成してもよい。
【0095】
上述のいずれの第1の実施形態〜第3の実施形態において、成膜する膜fは、特に限定されるものではなく、真空成膜法によって成膜可能なものであれば、製造する機能性フィルムFに応じて要求される機能を有するものが適宜形成することができる。また、膜fの厚さにも、特に限定はなく、成膜する膜fおよび機能性フィルムFに応じて要求される性能に応じて、必要な膜さを適宜決定すればよい。
【0096】
膜fとしては、例えば、無機膜である。
例えば、機能性フィルムFとして、ガスバリアフィルム(水蒸気バリアフィルム)を製造する際には、膜fとして、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化ケイ素膜等の無機を成膜する。
また、機能性フィルムFとして、有機ELディスプレイおよび液晶ディスプレイのような表示装置などの各種のデバイスまたは装置の保護フィルムを製造する際には、膜fとして、酸化ケイ素膜等の無機膜を成膜する。
さらに、機能性フィルムFとして、光反射防止フィルム、光反射フィルム、各種のフィルタ等の光学フィルムを製造する際には、膜fとして、目的とする光学特性を有する膜、または目的とする光学特性を発現する材料からなる膜を成膜する。
中でも特に、有機層90の優れた表面平滑性および表面性状によって、緻密で、かつ、割れや抜け極めて少なく、さらに平滑性に優れ、ガスバリア性の優れた無機膜を成膜できる等の点で、本発明は、ガスバリアフィルムの製造には最適である。
【0097】
さらに、形成する膜fは、単層に限定はされず、複数層であってもよい。膜fを複数層形成する場合には、各層は、同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
【0098】
本実施形態の成膜装置10においては、プラズマCVDを例にして、説明したが、プラズマCVDに限定されるものではない。本発明の成膜部は、気相成膜法を用いるものであれば、各種の物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング法、蒸着法またはイオンプレーティング法などを用いることもできる。
【0099】
以上、本発明の成膜装置、成膜方法、機能性フィルムおよびフィルムロールについて詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の端部形成部を示す模式的斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る成膜装置による成膜工程を工程順に示す模式図である。
【図4】(a)は、本発明の第1の実施形態の成膜装置の第2の圧着部を示す模式図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態の成膜装置の第2の圧着部を示す模式的側面図であり、(c)は、本発明の第1の実施形態の成膜装置の第2の圧着部により形成されるパターンを示す模式的斜視図である。
【図5】(a)は、本発明の第1の実施形態の成膜装置の圧着部により形成されるパターンの一例を示す模式的斜視図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態の成膜装置の圧着部により形成されるパターンの他の例を示す模式的斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る成膜装置を示す模式図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の第3の実施形態に係る成膜装置による成膜工程を工程順に示す模式図である。
【符号の説明】
【0101】
10 成膜装置
12 供給室
14 成膜室
16 巻取り室
20 基板ロール
21、21a、24、24a、28、28a、31、31a ガイドローラ
30 巻取りロール
32 真空排気部
36 制御部
40 成膜部
42 成膜電極
44 高周波電源
46 原料ガス供給部
50 端部形成部
52 折曲部
54 圧着部
70 有機層形成室
72 端部形成室
80 有機層形成部
82 モノマーノズル
84 UV照射部
100 巻取部材
D 搬送方向
Z 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の基板を長手方向に搬送しながら、真空容器内で前記基板の表面に所定の膜を形成する成膜装置であって、
前記真空容器内を所定の真空度にする真空排気手段と、
前記真空容器内に設けられ、前記基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着し、前記基板の中央部よりも厚い厚肉部を前記基板の両端に前記基板の搬送方向に沿って形成する端部形成部と、
前記真空容器内に設けられ、前記基板の表面に、気相成膜法により所定の膜を形成する成膜部とを有することを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
長尺の基板を長手方向に搬送しながら、真空容器内で前記基板の表面に所定の膜を形成する成膜装置であって、
前記真空容器内を所定の真空度にする真空排気手段と、
前記真空容器内に設けられ、前記基板の表面に有機層を形成する有機層形成部と、
前記真空容器内に設けられ、前記有機層が形成された基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着し、前記基板の中央部よりも厚い厚肉部を前記基板の両端に前記基板の搬送方向に沿って形成する端部形成部と、
前記真空容器内に設けられ、前記有機層の表面に、気相成膜法により所定の膜を形成する成膜部とを有することを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
前記端部形成部は、前記基板を圧着する際または圧着した後に、前記折り曲げられた部分の表面に凹凸を形成する請求項1または2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記端部形成部は、前記基板を圧着するヒートロールを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記有機層は、所定の温度に加熱されると接着性を発現するものである請求項2〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項6】
長尺の基板を長手方向に搬送しながら、真空容中で前記基板の表面に所定の膜を形成する成膜方法であって、
前記基板の幅方向の端部を折り曲げて圧着し、前記基板の中央部よりも厚い厚肉部を前記基板の両端に前記基板の搬送方向に沿って形成する工程と、
前記基板の表面に、気相成膜法により所定の膜を形成する工程とを有することを特徴とする成膜方法。
【請求項7】
前記基板の幅方向の端部は、前記膜が形成される成膜面側に折り曲げられる請求項6に記載の成膜方法。
【請求項8】
前記厚肉部を前記基板の両端に形成する前、または前記厚肉部を前記基板の両端に形成した後に、前記基板の表面に有機層を形成する工程を有する請求項6または7に記載の成膜方法。
【請求項9】
前記厚肉部を形成するために前記基板を圧着する際または圧着した後に、前記折り曲げられた部分の表面に凹凸を形成する請求項6〜8のいずれか1項に記載の成膜方法。
【請求項10】
前記厚肉部を形成するために前記基板を圧着する際または圧着した後に、前記所定の温度に加熱して圧着する請求項6〜9のいずれか1項に記載の成膜方法。
【請求項11】
前記有機層は、所定の温度に加熱されると接着性を発現するものである請求項6〜10のいずれか1項に記載の成膜方法。
【請求項12】
長尺の基板と、前記基板の表面に形成された機能性膜とを有し、
前記基板は、その幅方向の端部が折り曲げられて圧着されて前記基板の中央部よりも厚い厚肉部が前記基板の両端に前記基板の幅方向と直交する長手方向に沿って形成されていることを特徴とする機能性フィルム。
【請求項13】
前記基板と前記機能性膜との間に有機層が形成されている請求項12に記載の機能性フィルム。
【請求項14】
前記厚肉部は、前記機能性膜が形成されている側の面に凹凸が形成されている請求項12または13に記載の機能性フィルム。
【請求項15】
前記請求項12〜14のいずれか1項に記載の機能性フィルムと、ロールとを有し、前記機能性フィルムは前記ロールに巻き取られていること特徴とするフィルムロール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−197286(P2009−197286A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41558(P2008−41558)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】