説明

成膜装置

【課題】 大型化された成膜槽に投入された実際の混合液の重量を測ることは、重量計の測定限界などにより測定することが困難になる場合があった。
【解決手段】 第1開口部に第1ピストンが挿通されているとともに前記第1開口部よりも開口面積が小さい第2開口部に第2ピストンが挿通されている、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に液体が封入されたシリンダーと、前記第1ピストンに搭載された成膜用槽と、該成膜用槽と切り離し可能に設けられている、成膜用溶液を前記成膜用槽内に供給する供給系機構と、前記成膜用槽と連動するように設けられている、前記成膜用溶液を前記成膜用槽内で循環させる循環系機構と、前記成膜用槽と切り離し可能に設けられている、前記成膜用溶液を前記成膜用槽内から排出する排出系機構とを具備すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造工程で使用する液体の量を管理する設備として、例えば、流量計を用いて洗浄槽における洗浄液の総排出量を直接測定して管理しているものや、重量計を用いて供給する液体の供給量を直接測定して管理しているものがある。
【0003】
流量で管理する場合としては、例えば、循環型洗浄装置の洗浄品質を安定にしつつ洗浄液使用量の効率を高めることが難しいため、ポンプにより洗浄液が循環し、洗浄塔から洗浄液タンクへ排出された排出洗浄液の総量を測定する積算流量計と、積算流量計の測定結果に基づいて洗浄液タンクから洗浄塔へ送出する洗浄液の液量を制御する第1の制御部を備えた構造を有するものがある。
【0004】
かかる構造の循環型洗浄装置によれば、洗浄容器内での洗浄液の液流が阻害された場合でも、排出洗浄液の積算された液量を測定するため、洗浄液を送出、あるいは、洗浄液の送出を停止するなどして、洗浄バッチ毎の排出洗浄液量を一定にできる。
【0005】
これにより、実質的に被洗浄物に流れた洗浄液の総量を測定するため、洗浄のばらつきを低減できる。また、循環型であるため、実質的に被洗浄物に流れた洗浄液の総量を減少することなく洗浄液を繰り返し使用できるため、洗浄むらを抑制して洗浄品質を安定しつつ洗浄液を効率よく使用できることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また例えば、水性媒体中に合成樹脂粒子が分散してなるスラリーを濾過及び洗浄して略一定の含水率を有する合成樹脂粒子を効率良く得ることができる合成樹脂粒子の洗浄方法があり、この合成樹脂粒子の洗浄方法は、水性媒体中に合成樹脂粒子が分散してなるスラリーを一定量、濾過洗浄機に供給して濾過すると共に上記濾過洗浄機から排出される濾過排出液量を測定する工程と、この測定された濾過排出液量の総量が一定量に達した時点で、上記濾過洗浄機内に一定量の洗浄液を供給することにより上記スラリーの濾過によって得られた濾過ケーキを洗浄すると共に上記濾過洗浄機から排出される洗浄排出液量を測定する工程と、この測定された洗浄排出液の総量が一定量に達した時点で、上記濾過洗浄機による濾過ケーキの洗浄を停止する工程とからなることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
重量で管理する場合としては、被測定物を供給するための供給部と、前記供給部から供給される被測定物を収容するための収容部と、前記収容部が載置された基板と、前記基板を下方から支持するとともに、前記収容部に供給された被測定物の重量により下方に沈み込む弾性部と、前記基板の下面に対し下方に所定距離離間して設けられ、前記収容部内に所定重量の被測定物が収容されると上方から押圧されてオン状態となるスイッチ部と、前記スイッチ部が押圧されてオン状態となると作動し、被測定物の供給を停止するように前記供給部を制御する秤量装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
また例えば、特に重量を測定する手段として、気密容器に気体を密封したもの2個をU字管などの差圧計にパイプで連絡し、2つの容器内気体の圧力差を直接計測できるようにし、1つの容器に加える荷重を調節することにより、他の容器に荷重をかけている物体の総重量を測定する重量測定装置も知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
一方、太陽電池素子の製造装置としてCBD(ケミカルバスデポジション)法を用いた成膜工程があり、成膜槽に複数の溶液を所定量となるように供給して成膜用溶液を調整し、この成膜用溶液に基板を浸漬することにより、半導体膜を成膜する成膜装置がある。
【0010】
このCBD法を用いた成膜装置においては、成膜槽中の成膜用溶液の濃度や温度、攪拌速度等の条件を一定に管理して、半導体膜を同じ条件で成膜することが求められる。
【0011】
成膜中における成膜槽内の成膜用溶液の液量が、蒸発や成膜による消費で減少すると、成膜用溶液の攪拌条件が変化することとなり、成膜される半導体膜の特性がばらつきやすくなる場合がある。
【0012】
そのため、成膜工程において、成膜用溶液を随時補充して液量を一定にする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−160483号公報
【特許文献2】特開2003−342377号公報
【特許文献3】特開平2007−33188号公報
【特許文献4】実公昭40−007349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここで、特許文献1,2のように洗浄装置の洗浄槽への洗浄液の総排出量を直接測定して管理して量産する機構を、仮に成膜装置の成膜槽への成膜用溶液の供給量を管理量産する機構に転用しようとした場合、成膜用溶液が配管内部に滞留するなどの原因により、成膜中に使用される成膜用溶液の量が供給された量と異なってしまい、安定した品質の半導体膜を製造できない場合があった。
【0015】
そこで、特許文献3,4のように重量を直接測定して管理量産する機構を、成膜装置の成膜槽への成膜用溶液の供給量(あるいは成膜中に使用される成膜用溶液の重量)を管理して量産する機構に転用しようとした場合では、成膜中および成膜用溶液を入れるときの振動や波の揺れにより、重量計の測定値が不安定となるため、測定誤差が大きくなる場合があることが本発明者らによってわかった。
【0016】
また、重量を直接測定して太陽電池素子を大量生産しようとすれば、成膜用溶液の供給量(重量)を大型化された成膜槽で直接測定して管理することになるが、重量計の耐荷重性や測定限界などがあるため、直接測定することが困難になる場合があることが本発明者らによってわかった。
【0017】
このように太陽電池素子の製造装置としてCBD法を用いた成膜装置においては、成膜用溶液の微妙な供給量の誤差が半導体膜の品質に影響するので、精度の高い制御が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題に鑑みて本発明の成膜装置は、第1開口部に第1ピストンが挿通されているとともに前記第1開口部よりも開口面積が小さい第2開口部に第2ピストンが挿通されている、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に液体が封入されたシリンダーと、前記第1ピストンに搭載された成膜用槽と、該成膜用槽と切り離し可能に設けられている、成膜用溶液を前記成膜用槽内に供給する供給系機構と、前記成膜用槽と連動するように設け
られている、前記成膜用溶液を前記成膜用槽内で循環させる循環系機構と、前記成膜用槽と切り離し可能に設けられている、前記成膜用溶液を前記成膜用槽内から排出する排出系機構とを具備する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の成膜装置によれば、供給系機構と排出系機構は、成膜用槽と切り離し可能であることにより、成膜用溶液を入れる際に外部からの干渉を防止し、精度よく重量測定できる。
【0020】
また、循環系機構は、成膜用槽と連動するように設けられていることにより、成膜中においても精度よく成膜用溶液の重量を直接測定して管理することができる。
【0021】
また、シリンダー内の液体で振動や波の揺れが緩和されるので、成膜中でも成膜用溶液の重量を正確に測定して管理することができる。
【0022】
また、耐荷重性や測定限界の点で成膜用溶液の重量を直接測定することができなくても、液体が封入されたシリンダーを介して間接的に重量を測定することができるので、耐荷重性や測定限界の問題も解消される。
【0023】
これにより、例えば、太陽電池素子の製造装置において、CBD法の成膜用溶液の微妙な供給量の制御が可能となり、大型の量産製造装置の提供が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の成膜装置の一実施形態の模式図である。
【図2】本発明の成膜装置の一実施形態における重量測定装置の原理を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態に係る成膜装置を用いて太陽電池素子の半導体層を形成する工程としては、例えば、湿式のCBD法を採用して、塩化インジウムとチオアセドアミドの水溶液を用いて(さらにpH調整用として、アンモニア水や塩酸が併用される場合もある)、InS系等の半導体層を成膜している。例えば成膜用水溶液として、3塩化インジウム4水和物0.01mol/リットルと、チオアセトアミド0.30mol/リットルとの2液を1:1の割合で混合したものを用いる。
【0026】
そして、この成膜用水溶液を用いたCBD法による半導体層の形成は、例えば下記の処理工程に従って行われる。
【0027】
まず、第1段階として、室温T1で、成膜用水溶液中に太陽電池素子の光吸収層の面を浸して、成膜用水溶液を撹拌しながら、設定時間(例えば5−10分間)のあいだその状態を保持する。成膜用水溶液の撹拌は、以後半導体層の成膜が終了するまで持続される。
【0028】
第2段階として、成膜用水溶液中に光吸収層の面を浸した状態のままで、成膜用水溶液の温度を所定時間(例えば約10分間)かけて設定温度T2(例えば60℃程度)にまで上昇させる。
【0029】
次いで、第3段階として、成膜用水溶液を設定温度T2に維持しながら、成膜用水溶液中に光吸収層の面を浸し続けて、昇温後所定時間(約40分間)の経過を待ってから半導体層の成膜を終了するというものである。
【0030】
以下、本発明の成膜装置の一実施形態について図1、図2を用いて説明する。
【0031】
本実施形態は、第1開口部に第1ピストンが挿通されているとともに第1開口部よりも開口面積が小さい第2開口部に第2ピストンが挿通されており、第1ピストンと第2ピストンとの間に液体が封入されたシリンダーと、第1ピストンに搭載された成膜用槽と、成膜用槽と切り離し可能に設けられており、成膜用溶液を成膜用槽内に供給する供給系機構と、成膜用槽と連動するように設けられており、成膜用溶液を成膜用槽内で循環させる循環系機構と、成膜用槽と切り離し可能に設けられており、成膜用溶液を成膜用槽内から排出する排出系機構とを具備する。
【0032】
(成膜装置の全体構造)
図1において、成膜装置10の仕組みとしては、計量器11に積載された溶液供給源12は、その内部の成膜用溶液の基となる溶液の供給量が重量で管理されており、これら溶液は溶液供給源12からポンプ13aによって供給配管14aを通り拡散槽8aに供給される。
【0033】
ここで、計量器11に積載された溶液供給源12としては、チオアセトアミド溶液、塩化インジウム溶液、塩酸等があり、それぞれ個別に拡散槽8aに供給されるものであるが、図1においてはそれらの内から1つだけを図示している。
【0034】
撹拌層8aでは、バルブ17aを開けて、ポンプ13bが起動することによって、成膜用溶液の基となる各溶液が循環配管16aを循環する。これにより、成膜用溶液の基となる各溶液が撹拌されて成膜用溶液となる。
【0035】
そして、バルブ17cを開けて、成膜用溶液を供給配管14bを通して成膜用槽8bに供給する。
【0036】
なお、古くなった成膜用溶液は、定期的にバルブ17bを開けて排出配管15aを通してドレン19に排出される。
【0037】
成膜装置10は、成膜用溶液を成膜用槽8b内に供給する供給系機構が、成膜用槽8bと切り離し可能に設けられているとともに、成膜用溶液を成膜用槽8b内から排出する排出系機構が、成膜用槽8bと切り離し可能に設けられている。
【0038】
さらに、成膜用溶液を成膜用槽8b内で循環させる循環系機構が、成膜用槽8bに設けられている。つまり、循環系機構は成膜用槽8bと一体となって連動するように設けられている。
【0039】
(供給系機構)
成膜用槽8bの重量測定の際には、供給系機構と成膜用槽8bとは切り離される。あるいは、供給系機構と成膜用槽8bは、図1のように、供給系機構が常に成膜用槽8bと切り離された状態であってもよい。
【0040】
このように供給系機構が成膜用槽8bと切り離し可能に設けられていることにより、供給系機構の成膜用槽8bへの物理的干渉を抑制し、成膜用槽8bへの振動を抑制しながら成膜用溶液を供給することができ、重量測定時の精度を高めることができる。
【0041】
成膜用槽8bの重量測定の際には、成膜用槽8bを独立させることができるように、供給系機構の供給配管14bを例えばフレキシブルホースとし、成膜用槽8bとフレキシブルホースとをアダプタージョイントなどの継ぎ手で連結しておけば、容易に取り外すこと
ができるので好ましい。
【0042】
(排出系機構)
また、排出系機構も成膜用槽8bと切り離し可能に設けることで、排出系機構から成用槽8bへの物理的干渉を抑制することができる。
【0043】
排出系機構は、定期的にバルブ17dあるいはバルブ17eを開けて、古い成膜用溶液を排出配管15bあるいは15cを通してドレン19に排出するために設けられている。
【0044】
成膜用槽8bの重量測定の際には、成膜用槽8bを独立させることができるように、排出系機構の排出配管15bを例えばフレキシブルホースとし、成膜用槽8bとフレキシブルホースとをアダプタージョイントなどの継ぎ手で連結しておけば、容易に取り外すことができるので好ましい。
【0045】
なお、図1において、排出配管15bは重量測定装置1の裏側で成膜用槽8bと連結している。
【0046】
(循環系機構)
また、循環系機構は、外部の配管等から独立した状態で成膜用槽8bと連動するように設けられており、これにより、成膜工程中においても、成膜用溶液の循環を行ないながら重量測定を同時に精度よく行なうことができるので、成膜工程中の重量管理により、成膜用槽8内の成膜用溶液の液量を精度よく管理することができる。その結果、成膜用溶液の循環速度等の成膜条件がばらつくのを低減できる。
【0047】
さらに、この循環系機構は、成膜用槽8bから切り離し可能に設けられていてもよい。
【0048】
これにより、成膜用溶液の交換の際に、成膜用槽8bから循環系機構を切り離せば、循環配管内に残った古い成膜用溶液の重量まで測定してしまうことなく、新しい成膜用溶液の重量を測定することができる。
【0049】
なお、図1において、循環配管16bは重量測定装置1の裏側で成膜用槽8bと連結している。
【0050】
このように本実施形態の成膜装置10によれば、成膜用槽8bを外部の配管から独立した状態(閉じた系)にすることができるので、成膜用溶液を成膜用槽8bへ入れて重量を測定する際に、外部の配管などの物理的干渉を受けることなく、成膜用溶液が入った成膜用槽8bの重量を正確に測定することができる。例えば、配管が成膜用槽8bにつながっていることで、成膜用槽8bが吊られた状態となり軽くなってしまったり、成膜用槽8bに配管自体の重量が加算されて重くなってしまうことで、不正確な測定値になってしまうという不具合がなくなる。
【0051】
(重量測定装置)
成膜用槽8bは、図1の重量測定装置1の上に積載されており、成膜用槽8bに供給された成膜用溶液の重量は、この重量測定装置1で測定され管理される。
【0052】
この状態で、この成膜用溶液によって成膜されるべき基板を成膜用槽8b内に入れて成膜をすることで、安定した品質の半導体層を形成することができる。
【0053】
重量測定装置1は、第2ピストン5での圧力を測定して、第1開口部4の面積と、第2開口部6の面積との比から換算して成膜用槽8bの重量を測定するものである。
【0054】
すなわち図2に示すように、第1ピストン3を挿通した第1開口部4と、第2ピストン5を挿通した第2開口部6とで、圧力が均衡した状態でのシリンダー2内の液体7の圧力を圧力計9で測定するものである。
【0055】
ここで圧力が均衡するとは、第1開口部4と、第2開口部6とにおける液面の高さが等しくなる状態のことであり、第1ピストン3を挿通した第1開口部4側には、圧力計9の測定限界以上の成膜用槽8bを載せても、第2ピストン5を挿通した第2開口部6側に圧力計9を連動させて圧力から重量を測定することができる。
【0056】
具体的に例証すると、第1開口部4と第2開口部6との面積比率が100:1の場合に、第2開口部6における圧力計9が1kgを示せば、成膜用槽8bの重量は100kgとなることが分かる。
【0057】
これにより、間接的に成膜用槽8bの重量を測定することが可能になるので、圧力計9自体の耐荷重性、測定限界の問題を解消することができる。
【0058】
また、図2の液体7によって、成膜用槽8bからの振動や波の揺れが緩和されるので、重量測定を正確に行うことができる。
【0059】
さらに、本実施形態においては、供給系機構は、複数の溶液を撹拌して成膜用溶液を調合する拡散槽を具備し、拡散槽から成膜用溶液を成膜用槽に供給してもよい。
【0060】
これにより、成膜用槽8bと拡散槽8aとが別々になり、成膜用槽8b内で成膜用溶液を撹拌することがなくなるので、成膜用槽8bでの撹拌による振動を低減できる。
【0061】
また、一定の組成比率の成膜用溶液を成膜用槽8bへ安定して供給することができるので、例えば、CBD法においては、安定した特性の半導体膜を得ることができる。
【0062】
この場合、各溶液供給源12から拡散槽8aへの各溶液の供給量は、通常の計量器11で少量ずつ測定しながら成膜用溶液を調合すればよい。
【0063】
よって成膜用槽8bで成膜用溶液を調合するための重量測定管理は不要になるが、成膜中に成膜用溶液が減少していくので、成膜中の成膜用溶液の重量測定管理は必要である。
【0064】
さらに、本実施形態においては、循環系機構は、成膜用槽の上部からオーバーフローした成膜用溶液を成膜用槽の底部へ流入させることにより成膜用溶液を循環させてもよい。
【0065】
循環系機構は、成膜用槽8bに設けられたポンプ13cと循環配管16bとを有する。つまり、成膜用溶液がポンプ13cによって循環配管16bを介して循環する。このような構成により、循環系機構は外部の配管等から独立した状態で成膜用槽8bと連動することとなる。
【0066】
これにより、成膜用槽内の成膜用溶液の流れが上下方向になるので、成膜用槽の振動(横揺れ)を低減できる。
【0067】
また、成膜中(循環系機構を作動中)でも成膜用槽8bを外部の配管から独立した状態(閉じた系)で管理することができるので、例えば、CBD法において安定した特性の半導体膜を得ることができる。
【0068】
さらに、本実施形態においては、成膜用槽はその内側に成膜用溶液を整流化するための整流板を有していてもよい。
【0069】
ここで整流板20は、複数の貫通孔が配置された板であり、成膜用溶液の流量の多いところ(流速が速いところ)では、板の主面に対して貫通孔の占める面積の割合が少なくなるように配置し、成膜用溶液の流量の少ないところ(流速が遅いところ)では、板の主面に対して貫通孔の占める面積の割合が多くなるように配置する。
【0070】
これにより、成膜用溶液が成膜用槽8b内部で偏った流れを起こさないように制御することができ成膜用槽8bの揺れや振動を低減できるので、成膜用槽8b内の成膜用溶液を澱みなく均一に循環させることができるので、例えば、CBD法においては、安定した特性の半導体膜を得ることができる。
【0071】
また、成膜用溶液の乱流が起きないので、成膜用槽8bの揺れを少なくすることができ、成膜中においても成膜用槽8bに供給される成膜用溶液の正確な重量を測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1:重量測定装置
2:シリンダー
3:第1ピストン
4:第1開口部
5:第2ピストン
6:第2開口部
7:液体
8:槽
8a:拡散槽
8b:成膜用槽
9:圧力計
10:成膜装置
11:計量器
12:溶液供給源
13a、13b、13c:ポンプ
14a、14b:供給配管
15a、15b:排出配管
16a、16b:循環配管
17a、17b、17c、17d、17e:バルブ
18:溶液拡散槽
19:ドレン
20:整流板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口部に第1ピストンが挿通されているとともに前記第1開口部よりも開口面積が小さい第2開口部に第2ピストンが挿通されている、前記第1ピストンと前記第2ピストンとの間に液体が封入されたシリンダーと、
前記第1ピストンに搭載された成膜用槽と、
該成膜用槽と切り離し可能に設けられている、成膜用溶液を前記成膜用槽内に供給する供給系機構と、
前記成膜用槽と連動するように設けられている、前記成膜用溶液を前記成膜用槽内で循環させる循環系機構と、
前記成膜用槽と切り離し可能に設けられている、前記成膜用溶液を前記成膜用槽内から排出する排出系機構と
を具備することを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記循環系機構は、前記成膜用槽の上部からオーバーフローした前記成膜用溶液を前記成膜用槽の底部へ流入させることによって前記成膜用溶液を循環させる請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記成膜用槽は、内側に成膜用溶液を整流化するための整流板を有する請求項1または2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記供給系機構は、複数の溶液を撹拌して前記成膜用溶液を調合する拡散槽を具備し、該拡散槽から前記成膜用溶液を前記成膜用槽に供給する請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−134216(P2012−134216A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282929(P2010−282929)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】