説明

戸境耐震壁およびその構築方法

【課題】 現場作業を最小限に抑えて、効率よく型枠を高精度で設置し、コンクリート打設等の現場作業を省力化して戸境耐震壁を構築する。
【解決手段】 鉄筋コンクリート柱20間に構築予定の戸境耐震壁の壁延長方向の中間位置にプレキャストコンクリート壁体12を建て込んで固定支持する。プレキャストコンクリート壁体20と鉄筋コンクリート柱20間に耐震壁配筋6,8を行う。耐震壁配筋6,8を挟んで壁面型枠3を、プレキャストコンクリート壁体12と鉄筋コンクリート柱20との間に組み立て、現場打ちコンクリート壁体11を構築する。この現場打ちコンクリート壁体11でプレキャストコンクリート壁体12と鉄筋コンクリート柱20とを一体接合して戸境耐震壁を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は戸境耐震壁およびその構築方法に係り、現場作業を最小限に抑え、高精度に型枠を設置でき、コンクリート打設等の現場作業を大幅に省力化して戸境耐震壁を構築できるようにした戸境耐震壁およびその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板状マンションは、住棟の向きが揃っているので住戸への日当たりが均等で良好であるという利点がある。しかし、梁間方向が桁行方向に対して薄い形状となるため、各戸の戸境壁を、単なる間仕切り壁としての機能のみでなく、連層耐震壁として機能させることが建物全体構造の耐震性向上のために重要である。
【0003】
このため、戸境壁の構造を、超高層マンションで多く採用されているような軽量鉄骨下地、遮音材、仕切り石膏ボード等とからなる乾式構造することはできず、鉄筋コンクリートの壁体として構築する必要がある。
【0004】
戸境壁を鉄筋コンクリート構造とするためには、各戸境において、壁体配筋、型枠組み立て、コンクリート打設等の現場作業による多工種の工程を要する。また、たとえば型枠工において、壁面型枠として在来型枠、システム型枠、アルミニウム桟木等を用いることができるが、いずれの場合にも、熟練作業員によって壁厚等の寸法調整や誤差吸収のための調整板の設置を行う必要があった。顧客からは短工期・ローコストが求められ、また熟練作業員の不足している現状では、現場作業を最小限に抑え、また付加工事による工事コストを低減し、短工期化を図ることが不可欠である。
【0005】
このような現状を解決するための1つの方策が、プレキャストコンクリート(以下、PCaと略記する。)を用いた構造部材のPCa化である。出願人は、すでに建築物の施工方法の発明として、鉄筋コンクリート造建物における柱、梁、床にPCa製の打ち込み型枠を採用し、それぞれの部位に先組の鉄筋ユニットを配置し、各打ち込み型枠内部及び上部にコンクリートを打設して鉄筋コンクリート柱、梁、床を形成する施工法を開示している(特許文献1)。この施工法では、建築物の主要構造要素のPCa化を図っている。このため、各部の打ち込み型枠の連結に多様な形状のファスナーや補助型枠を必要とする。この結果、全体では短工期化は果たせるが、各型枠の連結作業や多数の取り合い部での寸法調整が必要となる。そこで、今回の場合、構造要素のうち、戸境壁、柱のPCa化の実現可能性について検討した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−25804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
検討の結果、上述した板状マンションでは、柱のPCa化については可能であるが、戸境耐震壁については、壁体が長さ12〜13m、壁高3m、壁厚0.25m程度のサイズとなることが多く、この壁体をPCa化すると、部材重量は約25トン程度となる。このため、通常のクレーンでは各階への揚重・取り付けを行うことが困難である。またフルPCa化した壁体の壁鉄筋は、機械式継手により柱と接合する必要があるため、コストアップになるという問題もある。そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、現場作業を最小限に抑え、低コストで高精度の型枠設置を可能にした鉄筋コンクリート(以下、RCと略記する。)製の戸境耐震壁を構築できるようにした戸境耐震壁およびその構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の戸境耐震壁は鉄筋コンクリート柱間に構築される戸境耐震壁であって、その壁延長方向の中間位置に建て込まれたプレキャストコンクリート壁体と、該プレキャストコンクリート壁体と前記鉄筋コンクリート柱間とに構築された現場打ちコンクリート壁とを壁延長方向に一体化して耐震壁としたことを特徴とする。
【0009】
その構築方法として、鉄筋コンクリート柱間に構築される戸境耐震壁の壁延長方向の中間位置にプレキャストコンクリート壁体を建て込んで固定支持し、該プレキャストコンクリート壁体と前記鉄筋コンクリート柱間に耐震壁配筋を行い、該耐震壁配筋を挟んで壁面型枠を、前記プレキャストコンクリート壁体と前記鉄筋コンクリート柱との間に組み立て、現場打ちコンクリート壁体を構築し、該現場打ちコンクリート壁体で前記プレキャストコンクリート壁体と前記鉄筋コンクリート柱とを一体接合するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、鉄筋コンクリート柱を現場打ちコンクリート壁体と同時構築する場合、鉄筋コンクリート柱間に構築される戸境耐震壁の壁延長方向の中間位置にプレキャストコンクリート壁体を建て込んで固定支持し、該プレキャストコンクリート壁体の両側に位置する耐震壁体と、前記鉄筋コンクリート柱との配筋を行い、該鉄筋コンクリート柱と耐震壁体の柱型枠と壁面型枠とを組み立て、前記鉄筋コンクリート柱と耐震壁体のコンクリートを打設して、前記鉄筋コンクリート柱と現場打ちコンクリート壁体とを構築し、該現場打ちコンクリート壁体と鉄筋コンクリート柱と、前記プレキャストコンクリート壁体とを一体接合するようにしたことを特徴とする。
【0011】
前記戸境耐震壁および前記プレキャストコンクリート壁体は、床面に立設されたせん断抵抗部材によって位置決め固定することが好ましい。
【0012】
構築方法として、前記プレキャストコンクリート壁体は、床面に立設されたせん断抵抗部材によって位置決めされ、その立設状態を支保部材で保持し、前記現場打ちコンクリート壁体と接合させることが好ましい。
【0013】
また、前記壁面型枠は、前記プレキャストコンクリート壁体の一部と前記鉄筋コンクリート柱の側面との間に端部が支持されて設置することが好ましい。
【0014】
さらに、前記鉄筋コンクリート柱の側面に壁端支持部を形成し、該壁端支持部で前記壁面型枠の一端を支持することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上の構成によれば、プレキャストコンクリート中間壁を精度良く、耐震壁の構築位置に設置し、これを後に組み立てる壁面型枠の支持部として使用するため、壁面型枠は、従来必要としていた調整板等を用いずに、高精度に組み立てられ、現場打ち壁を構築することができ、現場作業を最小限に抑え、低コストで高精度の鉄筋コンクリート製の戸境耐震壁を構築できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の戸境耐震壁の全体構成を示した斜視図。
【図2】図1に示した戸境耐震壁の施工状態を示した説明図。
【図3】PCa中間壁の概略構成を示した斜視図。
【図4】PCa柱の壁体接合部の概略構成を示した斜視図。
【図5】戸境耐震壁の構築工程を示した工程説明図(PCa柱)。
【図6】戸境耐震壁の構築工程を示した工程説明図(在来RC柱:その1)。
【図7】戸境耐震壁の構築工程を示した工程説明図(在来RC柱:その2)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の戸境耐震壁およびその構築方法の実施形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の戸境耐震壁の全体構成を示した斜視図である。図1に示した戸境耐震壁10は、2本のフルPCa柱20(以下、柱20と記す場合もある。)間に構築された現場打ちコンクリート耐震壁11(以下、現場打ち壁11と記す。)と、これら現場打ち壁11の間を接合するPCa中間壁12とから構成されている。これらのうち、現場打ち壁11の柱側端辺11aと中間壁側辺11bとは、それぞれ柱20とPCa中間壁12とに継手筋23,13(図2参照)を介して構造的に一体接合されている。
【0019】
現場打ち壁11の底辺11cは、床面1に配筋された継手筋4と機械式継手7(図5(b)参照)により一体接合されている。PCa中間壁12の下辺12cは、位置決め兼用のせん断抵抗部材としてのダボ筋14(図3参照)のみで床面1上の所定位置に載置されている。すなわち、図1に示した戸境耐震壁10では、このPCa中間壁12と床面1との間の隙間(目地)を開口部として設計した耐震壁構造となっている。このため、床面1との間で構造筋としての鉄筋接合はされていない。なお、機械式継手7に代えて重ね継手を用いてもよいことは言うまでもない。
【0020】
図2は、図1に示した戸境耐震壁10を施工する一工程における部材及び資材の配置を示した説明図である。同図には、PCa中間壁12が2本の柱20,20間に構築される現場打ち壁11(2点鎖線表示)の中間位置に立設され、パイプサポート2によってその設置位置が保持された状態が示されている。さらに、このPCa中間壁12と各柱20との間に設置される壁面型枠3が示されている。同図では、説明のために片面のみの型枠3が示されている。この壁面型枠3は、柱20とPCa中間壁12との間の壁面を塞ぐ1枚の板状として概略図示しているが、実際には大版のせき板と、それを支保する各種の支保部材、補剛部材で構成された一体型の型枠からなる。この一体型の型枠は、後述するように、現場打ち壁11となる空間に所定の配筋を行った後に、PCa中間壁12と柱20との間に壁体の両面を覆うように据え付けられる。なお、壁面型枠3としては、複数枚の通常寸法のパネル型枠を、支保部材を用いて連結して用いることもできる。
【0021】
なお、PCa中間壁12の壁長は、前述したように中間開口部を有する耐震壁として設計する場合、0.5〜1.0m程度に設定することが好ましい。そのときの柱20、PCa中間壁12間の現場打ち耐震壁の壁長は、柱芯間寸法に合わせて設定されるが、通常、5.5〜6.0m程度とすることが好ましい。壁厚は本実施例では0.25mとしたが、設計上の断面設計により、適正な設計厚に設定すればよい。なお、壁面型枠3は、図3,図4で説明するように、その一方の端辺3aはPCa中間壁12の外面に支持させ、他方(柱側)の端辺3bは、フルPCa柱20の場合には、PCa柱20の壁側面に形成された壁端支持部21に支持させることで所定の壁厚を保持させることができる。
【0022】
図3は、PCa中間壁12の概略構成を示した斜視図である。このPCa中間壁12は、戸境耐震壁10の所定中間位置に建て込まれる。建て込まれる床面1にはダボ筋14が立設されており、このダボ筋14を、PCa中間壁12の底面に形成された支持穴15に挿入して所定位置に立設することができる。さらに図2に示したように、パイプサポート2によりその鉛直性を確保する。頂部には、天井面に相当する上層スラブ下面(図示せず)にその位置を固定可能なダボ筋14が立設されている。また、現場打ち壁11との接合面には、継手筋13が所定の配筋間隔で、水平配筋されている。さらに各継手筋13の上下方向の間にはシアコッターとして機能する四角形状の凹部16が形成されている。このPCa中間壁12の側端辺12aには、現場打ち壁11の壁面型枠3(2点鎖線表示)の端辺3aが所定の重なり長を確保して当接される。この壁面型枠3の端辺3aは、図示しない支保部材によりPCa中間壁12の端部にに密着され、さらにコンクリート打設時のコンクリート側圧によっても変位しないように堅固に支持されている。
【0023】
図4各図は、フルPCa柱20の概略構成を示した斜視図である。図1,図2に示した構造体としてのフルPCa柱20は、建築物の柱芯位置に建て込まれ、機械式継手等により下層柱主筋5(図5(a)参照)と連結されるようになっている。なお、図4では、柱頂部の柱主筋の図示は省略している。図4(a)は、壁端支持部21を柱全高にわたって形成した実施例を示している。壁端支持部21は、上述した壁面型枠3の柱側の端辺3bを当接させることで、形成する耐震壁の壁厚を確保するスペーサとしての役割を果たす。また、壁端支持部21の表面にはシアコッターとしての四角形状の凹部22が柱壁接合筋としての継手筋23の配筋間隔の間に形成されている。図4(b)は、シアコッターを壁端支持部21の幅に合わせて凸形状のブロック24とした実施例を示している。図4(a),(b)のいずれの場合にもシアコッターを設けることで現場打ち壁11の壁端と柱20の側面との間のコンクリートの一体化を図ることができる。図4(b)に示したブロック24の場合は、ブロック24自体が壁端支持部21とシアコッターの両機能を果たすことができる。ブロックの大きさ、数は壁厚が確保でき、コッターの機能を果たすものであれば適宜設定することができる。
【0024】
図5(a)〜図5(c)は、本発明の戸境耐震壁10の構築手順を示した説明図である。本例では、柱にフルPCa柱20を採用し、合わせて上述したPCa中間壁12を所定の手順で構築対象のフロアに建て込む方法をとっている。図5(a)は、図示しない揚重機によりPCa中間壁12を、床面1から突出しているダボ筋14位置に合わせて吊り込んでいる状態と、フルPCa柱20を、床面1から突出している柱主筋の継手筋位置に位置合わせてして吊り込んでいる状態を、説明のために合わせて示している。このときPCa中間壁12はダボ筋において正確な位置合わせ(壁通り芯、水平度、高さ等)がなされたら、図5(b)に示したように、パイプサポート2でその位置を保持するように確実に支保する。一方、フルPCa柱20については、床面1から突出している下層柱主筋5との接合を行う。本実施例では、下層柱主筋5(図5(a))と柱内の主筋(図示せず)とを、柱20内に収容されたスリーブ内で接合させ、スリーブ内をモルタル充填して一体化させる接合方法をとっているが、主筋継手方法は施工性を考慮して各種の既存の接合方法を採用することができる。
【0025】
並行作業として図5(b)に示したように、現場打ち壁11の配筋作業を行う。このとき壁主筋6は各種機械式継手7あるいは重ね継手により接合する。横筋8はPCa柱20とPCa中間壁12の側面から突出している継手筋23,13に対して所定の定着長を確保して取り付けて配筋する。次いで、PCa中間壁12の側端部とPCa柱20の壁端支持部21との間に壁面型枠3を建て込む。壁面型枠3は上述したような一体型の型枠とすることで、背面側の支保工組み立て作業を大幅に減らすことができる。また、各壁面型枠3の背面には、図5(c)に示したように、複数本のパイプサポート2を配置して壁面型枠3の支保を施す。その際、必要に応じて横つなぎ材9を用いて並んで配置された各パイプサポート2を一体化させることが好ましい。
【0026】
図6(a)〜図6(c),図7(d)は、他の実施例における戸境耐震壁10の構築手順を示した説明図である。本例では、柱20を在来工法で施工し、引き続きPCa中間壁12を構築対象のフロアに建て込む方法をとっている。図6(a)は、図示しない揚重機によって、先組みされた柱鉄筋ユニット25を、柱20の設置位置の床面1から突出している下層柱主筋5に機械式継手7によって接合した状態を示している。図6(b)は、図示しない揚重機によりPCa中間壁12を、床面1から突出しているダボ筋14位置に合わせて吊り込んだ状態を示している。このPCa中間壁12は、図5(b)に示した場合と同様に、ダボ筋14によって正確な位置合わせ(壁通り芯、水平度、高さ等)がなされたら、パイプサポート2でその位置を保持する。図6(c)は、現場打ち壁11の配筋状態を示している。この配筋において、柱主筋4,6の接合は、スリーブジョイント等の各種機械式継手7あるいは重ね継手を採用することが好ましい。さらに、現場打ち壁11の横筋8を、柱鉄筋ユニット25のフープ筋とPCa中間壁12の側面から突出している継手筋13に載せるようにして配筋することで作業効率を向上させることができる。
【0027】
次いで、図7(d)に示したように、一体型の柱型枠26を組み立てるのと同時に、PCa中間壁12の側端部と柱型枠26との間に壁面型枠3を建て込む。柱型枠26は通常のパネル型枠を支保工(図示せず)で囲む支保形式のものでよい。一方、壁面型枠3は一体型の型枠他、所定の大型パネル型枠を使用することができるが、いずれの場合にも、柱型枠26との取り合い部において、耐震壁の通り芯、壁厚を確保する。また、各壁面型枠3の背面には、図7(d)に示したように、図5(c)と同様に、複数本のパイプサポート2を配置して壁面型枠3の支保を施す。
【0028】
コンクリート作業工程として、図5(c)、図7(d)のそれぞれにおいて、所定配合の現場打ちコンクリートを打設し、所定の養生期間を経過後、壁面型枠3、柱型枠26の脱型を行う。その後、上層スラブ(図示せず)の型枠を組み立て、所定の支保工で支持して上層スラブコンクリート打設を行う。その際、スラブコンクリートは、ハーフPCaスラブ等を採用することで現場作業の短工期化を図ることができる。
【0029】
上層スラブ下面(天井)と耐震壁の上辺とが固定構造となるように設計して柱20、床1、天井の3辺固定版とした耐震壁として設計すれば、PCa中間壁12と現場打ち壁11との鉄筋接合は、所定の定着長が不要となる。その場合には、PCa中間壁12の側方鉄筋としては、現場打ちコンクリート耐震壁の横筋の端部を保持できる程度の長さ(たとえば100〜200mm程度)の補助鉄筋(図示せず)をPCa中間壁の側方から突出させておき、その鉄筋に現場打ち壁11の横筋8の端部を保持させればよい。
【0030】
以上に述べたように、PCa中間壁を精度良く、耐震壁の構築位置に設置し、これを後に組み立てる壁面型枠の支持部として使用するため、壁面型枠は、従来必要としていた調整板等を用いずに、高精度に組み立てられ、現場打ち壁を構築することができる。なお、以上の実施例では、PCa中間壁を1カ所のみ配置した耐震壁についてその構成、構築方法を説明したが、PCa中間壁は、耐震壁の全長に対して複数箇所配置してその間を現場打ち壁でつなぐ構造としてよいことは言うまでもない。
【0031】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 床
3 壁面型枠
4,6 壁主筋
5 柱主筋
8 横筋
10 耐震壁
11 現場打ちコンクリート耐震壁(現場打ち壁)
12 プレキャストコンクリート中間壁(PCa中間壁)
13,23 継手筋
14 ダボ筋(せん断抵抗部材)
20 プレキャストコンクリート柱(PCa柱)
21 壁端支持部
22 凹部
24 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート柱間に構築される戸境耐震壁であって、その壁延長方向の中間位置に建て込まれたプレキャストコンクリート壁体と、該プレキャストコンクリート壁体と前記鉄筋コンクリート柱間とに構築された現場打ちコンクリート壁とを壁延長方向に一体化して耐震壁としたことを特徴とする戸境耐震壁。
【請求項2】
鉄筋コンクリート柱間に構築される戸境耐震壁の壁延長方向の中間位置にプレキャストコンクリート壁体を建て込んで固定支持し、該プレキャストコンクリート壁体と前記鉄筋コンクリート柱間に耐震壁配筋を行い、該耐震壁配筋を挟んで壁面型枠を、前記プレキャストコンクリート壁体と前記鉄筋コンクリート柱との間に組み立て、現場打ちコンクリート壁体を構築し、該現場打ちコンクリート壁体で前記プレキャストコンクリート壁体と前記鉄筋コンクリート柱とを一体接合するようにしたことを特徴とする戸境耐震壁の構築方法。
【請求項3】
鉄筋コンクリート柱間に構築される戸境耐震壁の壁延長方向の中間位置にプレキャストコンクリート壁体を建て込んで固定支持し、該プレキャストコンクリート壁体の両側に位置する耐震壁体と、前記鉄筋コンクリート柱との配筋を行い、該鉄筋コンクリート柱と耐震壁体の柱型枠と壁面型枠とを組み立て、前記鉄筋コンクリート柱と耐震壁体のコンクリートを打設して、前記鉄筋コンクリート柱と現場打ちコンクリート壁体とを構築し、該現場打ちコンクリート壁体と鉄筋コンクリート柱と、前記プレキャストコンクリート壁体とを一体接合するようにしたことを特徴とする戸境耐震壁の構築方法。
【請求項4】
前記プレキャストコンクリート壁体は、床面に立設されたせん断抵抗部材によって位置決め固定されたことを特徴とする請求項1に記載の戸境耐震壁。
【請求項5】
前記プレキャストコンクリート壁体は、床面に立設されたせん断抵抗部材によって位置決めされ、その立設状態を支保部材で保持し、前記現場打ちコンクリート壁体と接合させたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の戸境耐震壁の構築方法。
【請求項6】
前記壁面型枠は、前記プレキャストコンクリート壁体の一部と前記鉄筋コンクリート柱の側面との間に端部が支持されて設置されたことを特徴とする請求項2に記載の戸境耐震壁の構築方法。
【請求項7】
前記鉄筋コンクリート柱の側面に壁端支持部を形成し、該壁端支持部で前記壁面型枠の一端を支持するようにしたことを特徴とする請求項2または請求項6に記載の戸境耐震壁の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−219929(P2011−219929A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87355(P2010−87355)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】