説明

所与の領域内に含まれるRFIDタグ付き商品を決定するためのシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム(システムおよび方法)

【課題】限られた領域内のRFIDタグ付き商品を決定するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】複数のRFIDタグ付き商品をポーリングした後、RFIDリーダは、隣接RFIDタグ付き商品の区分を可能にする判別アルゴリズムを動作させ、それによって、所定の領域内に配置された各タグ付き商品を1つのタグ・セットにグループ化することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、パレット管理システム(PMS)およびパッケージング・サプライ・チェーン・ロジスティック(packaging supply chain logistic)の分野に関する。より具体的に言えば、本発明は、区切られた容積内に配置されたRFID商品を決定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の倉庫には、複雑な商品在庫に直面した場合、事業部門とは無関係に、それらのパッケージング・サプライ・チェーン・ロジスティックをより堅固かつより効率的にするという一般的な目的がある。商品の可視性を効率的に監視し、多数の商品がケースに集められてパレット化される前の動きを追跡しなければならない。
【0003】
さらに、パッケージング・サプライ・チェーン・ロジスティックの主な目的は、商品資産のライフ・サイクル全体を通じて、その場所を突き止め、調節できるようにすること、および、ロジスティック・システム全体にわたってトランザクションの可視性を提供するである。トランザクションの可視性は、在庫プロセス全体の性能を向上させるための、位置、動き、状況、および識別に関するタイムリーかつ正確な情報を、組織に与える。したがって、こうしたプロセス性能を達成するために、ほとんどの組織では、倉庫で作成されたパレット貨物、特にレインボー・パレット(混合製品のパレット)を適切に識別し、タグ付けし、最終的に追跡する方法についても、考慮しなければならない。一般に、これらの目的を満たすために、現在のパッケージング・サプライ・チェーンは、それらの在庫プロセス全体の性能を最適化するためのRFID機能を使用する。RFID技術は、プロセス自動化ならびに大量生産に適切であり、多数の商品をタイプ別あるいは物理的特徴別またはその両方、ならびに他の差別化パラメータによって識別する必要のある、諸部門における様々な事業期待に合致する。
【0004】
パッケージング・サプライ・チェーンを監視するために現在使用できる様々なRFIDの可能性が存在する場合であっても、工場または流通現場などの大規模領域において、異種のタグが付けられた商品を同時に識別し、各タグ付けされた商品の読み取りによるリーダ衝突(Reader collision)を避けることを保証するのには、問題がある。リーダ衝突は、あるリーダからの信号が別のリーダからの信号に干渉する場合に現われる。
【0005】
組織にとっては、パレット/ケースの在庫を、別個に(すなわち、すべてのパレット/ケースIDが記録され、合計量が識別される)またはより単純にタイプごとの量で追跡するための、堅固な技法を実装すること、および、各パレットの内容を、大量にまたは固有のIDとして、容易に識別することも望ましい。
【0006】
この技法とは無関係に、組織が、すでにパレット/ケース上に配置されているか否かに関わらず、多種多様な異種のタグが付けられた商品を判別(discriminating)する必要がある場合、識別パラメータを有するこのタグ付けされた商品により、リーダは地理的場所に従ってそれらを集めることができるが、大きな問題がある。
【0007】
通常、リーダは、所与の容積内に限定されたタグ付き商品を読み取ることを予想する。ほとんどの場合、この所与の容積は、パレット上に積み上げられたケースの容積を表す。リーダの調整に関わらず、近隣に配置された予想しないタグ付き商品もリーダの要求に応答し、それによってエラーを引き起こすことにより、ボックスまたはパッケージ内に配置された複数のタグ付き商品に関する情報の読み取りが汚損される可能性がある。
【0008】
複数の読み取りを避けること、ならびに読み取りの衝突を防ぐことによって、ボックスまたはパッケージ内のいずれかにまとめて集められた一連のタグから、リーダが識別パラメータを収集できるように保証することも望ましい。
【0009】
他の問題は、近接したタグがリーダに応答し、それにより、照会されたタグに対して望ましくない電磁波が生成されることによって、読み取りが影響を受けないように保証することにある。
【0010】
一般に、限られた近距離内にあるタグ付き商品を判別するように適合された技法は、高度なRFID指向性アンテナを、制御された環境および向きにおいて高利得を有するように特に設計されたタグ(すなわち、走り書きタグ(squiggle tag)またはI2タグ)と組み合わせて、使用するものである。残念ながら、こうした技法の使用は、リーダに応答するタグに影響を与える隣接タグの望ましくない放射を避けるものではない。
【0011】
要約すると、従来のツールおよび方法は、いくつかの欠点を提示しており、その主なものは以下の通りである。
−既存のツールおよび方法は、パレット管理システムに、限られた近距離内にある集められたタグ付き商品を効率的に識別させることができない。
−既存のツールおよび方法は、ボックスまたはパッケージ内のいずれにあるかかわらず、ケースあるいはパレットまたはその両方の内部の、事前に定義された容積内にまとめて集められた、一連のタグ付き商品を読み取る可能性を提供しない。
−既存のツールおよび方法は、タグを1回読み取ることによって、サプライ・チェーンに、限られた近距離内に配置されたタグ付き商品のリストを識別させることができない。
−既存のツールおよび方法は、同じケースあるいはパレットまたはその両方の内部の、一連の隣接タグに近い固有のタグ付き商品を判別する場合、読み取り衝突を最小限にすることがない。
−高度なRFID指向性アンテナを、制御された環境および向きにおいて高利得を有するように特に設計されたタグと組み合わせて使用する、既存のツールおよび方法は、読み取り衝突を効率的に除去することがない。
【0012】
前述のように、既知のソリューションは、タグ付き商品の近接による読み取り衝突を避けることによって限られた近距離内に集められたタグ付き商品を識別することには、完全に適してはない。
【0013】
さらに、既存のツールおよび方法は、すべてのパッケージング・サプライ・チェーン・プロセスに沿ってパレット/ケースをスキャンする場合に、リーダによって隣接するとみなされたタグ付き商品のリストの識別を、リーダに1回で獲得させることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前述の諸問題を解決するための解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の広義の目的は、限られた近距離内に配置された一連のタグ付き商品を識別するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、読み取り衝突を避けることによって、限られた近距離内にまとめて集められた一連のタグ付き商品から、タグ付き商品を判別することである。
【0017】
本発明の他の目的は、事前に定義された半径内にある隣接タグ・グループの識別を集めること、および、それに応じて圧縮された識別メッセージを生成することである。
【0018】
したがって、事前に定義された半径外にある限られた近距離内に配置された少なくとも1つまたは複数のタグの望ましくない識別をフィルタリングすることも、本発明の他の目的である。
【0019】
本発明の他の目的は、様々な隣接する近距離内に配置されたタグを、固有に局所化することである。
【0020】
本発明の他の目的は、限られた近距離内に存在する隣接タグの量を決定すること、および、それに応じてタグのリストを生成することである。
【0021】
本発明の他の目的は、様々な限られた近距離内ならびに事前に定義された半径内に配置された隣接タグ・グループの選択的識別を、RFIDリーダに提供することである。
【0022】
最後に、本発明の目的は、事前に定義された半径内に配置された隣接タグの識別を再グループ化することによって、RFIDリーダの性能を高めることである。
【0023】
本発明の他の態様では、コンピュータ・プログラム製品が提供される。コンピュータ・プログラム製品は、読み取り可能プログラム・コードおよびメディア内に組み込まれたアルゴリズムを有する、コンピュータ使用可能メディアを備え、コンピュータ・プログラム製品は、添付の特許請求の範囲に記載された距離計算方法の諸ステップを動作させるための少なくとも1つまたは複数のコンポーネントを含む。
【0024】
本発明によれば、添付の独立請求項にさらに記載されたシステムおよび方法が提供される。他の実施形態は、添付の従属請求項に記載されている。
【0025】
本発明の前述および他のアイテム、特徴、および利点については、添付の図面と共に以下の本発明のより具体的な説明を読むことによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実施するための好ましい実装を示すブロック図である。
【図2】本発明の好ましい環境に適用可能な、高水準のクライアント・アプリケーションを示す図である。
【図3】図2のアプリケーション・コントローラの判別アルゴリズムの概略を示す流れ図である。
【図4】タグ・セットのサブセットへの分割を示す図である。
【図5】タグ・セットのサブセットへの分割を示す図である。
【図6】特別アルゴリズムの好ましい一実装を示す図である。
【0027】
加えて、詳細な説明は、図3に機能的に記載された判別アルゴリズムの実装を含む参照1によって補足される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の諸実施形態について、添付の図面を参照しながら例を用いて説明する。
【0029】
より具体的には、第1の態様によれば、本発明は、ケースまたはパレット内に集められた一連のタグ付き商品を同時に識別すること、および、パレット管理システム(PMS)が、RFID機能を使用することによって、識別された商品の内容を明白に捕捉できるようにする方法からなる。
【0030】
図1は、本発明を実施するための好ましい環境(100)を、概略ブロック図によって示している。好ましい環境(100)は、リーダ(102)、パレットまたはケースなどのいくつかのタグ付き商品グループ(#1(106)から#n(108))を備える現場などのストック環境(104)、および、RFIDシステムに基づくクライアント・アプリケーション(110)からなる。
【0031】
RFIDシステムは、リーダ・レベルで動作する。リーダ(102)は、タグ付き商品グループ#1(106)からタグ付き商品グループ#n(108)までにそれぞれ配置構成された、異なるタグ付き商品グループと通信するか、またはこれらに問い合わせる。タグ付き商品グループ#1(106)およびタグ付き商品グループ#n(108)は、共に関係を持たないが、同じストック環境(104)内に配置されるものとみなされる。話を簡単にするために、図1には2つのタグ付き商品グループのみが表されているが、当業者であれば、RFIDシステムが、2つの図示されたグループよりも多くをパッケージング・サプライ・チェーン内に含むことができることが想像できよう。リーダ(102)は、タグ付き商品グループ#1(106)またはタグ付き商品グループ#n(108)に排他的に対応するタグ付き商品を目標とする、複数回の読み取りを開始する。これにより、各タグ付き商品グループ(106、108)は、リーダ(102)が限られた近距離内に位置するものとして目標とした大量のタグ付き商品(図示せず)を含む。限られた近距離は、クライアント・アプリケーション(110)に好適なアルゴリズムで構成される。限られた近距離は、特定のタグ付き商品グループ(106または108)に属するタグ付き商品とリーダ(102)との間の分離距離によって決定される。限られた近距離の概念についての完全な説明は、国際公開WO2009/080420号公報に記載されるものである。
【0032】
非応答受動タグは、後方散乱(backscattering)技法の使用により、リーダに応答するタグによって搬送される情報をキャッチおよび格納することができる。その後、非応答タグは、照会された場合、隣接タグ間の分離距離に関するロード情報をリーダに復元することができる。
【0033】
その後、適切なアルゴリズムを使用することによって、クライアント・アプリケーション(110)は、パレット管理システム(PMS)、あるいはパッケージング・サプライ・チェーン・ロジスティック、あるいは、他のクライアント・システムによって使用される他のデータベース、またはそれらすべてに伝送されることになる、目標とされたタグ付き商品からリーダ(102)によって集められたデータを処理する。
【0034】
図2は、本発明の好ましい環境に適用可能な、高水準のクライアント・アプリケーション(200)を示す図である。
【0035】
クライアント・アプリケーション(200)は、クライアント・ネットワーク(ネットワーク)上で共にリンクされた、アプリケーション・コントローラ(202)、クライアント制御インターフェース(204)、クライアント・サーバ(206)、WEBサーバ(208)、およびクライアント・システム・データベース(210)を備える。
【0036】
クライアント・アプリケーション(200)は、リーダ(図1の102)によって集められたデータを処理するために標準ネットワークを使用し、パッケージング・サプライ・チェーンの様々な層にまたがって情報を交換する。データ構造は、クライアント・アプリケーションに依存して、クライアント・ネットワーク・ソリューションを形成するための複数の層を含むことができることに留意されたい。一例として、1つはサプライ・チェーンに沿ってすべてをストリーミングする信号を制御するために使用することが可能であり、その他はクライアント層での動作を処理するために使用することが可能である。話を簡単にするために、本発明は、異なる層間での通信のために単一のネットワーク(ネットワーク)を使用する。
【0037】
アプリケーション・コントローラ(202)は、リーダと対話し、データ収集を解釈し、集められた情報を格納するためにクライアント・ネットワーク(ネットワーク)を介してクライアント・システム・データベース(210)に伝送する。アプリケーション・コントローラ(202)は、リーダ・レベルからクライアント・サーバ(206)へのプロセス流れを自動化する。それにより、クライアント・サーバ(206)は、アプリケーション・コントローラ(202)から情報を収集し、WEBサーバ(208)を通じ、インターネットを介して、それらをクライアントの通信システムに送信する。クライアント・ネットワーク(ネットワーク)はサプライ・チェーンのバックボーンであり、サプライ・チェーンのすべてのデバイス(サーバ、データベース、またはパーソナル・コンピュータなど)を共にリンクすることに留意されたい。最終的に、クライアント制御インターフェース(204)は、クライアント・サプライ・チェーンすべてに沿った、各システム間でのデータ交換を監視する。
【0038】
一般的に、アプリケーション・コントローラ(202)は、読み取り衝突を防止するため、およびタグ付き商品との適切でタイムリーな通信を保証するための、ソフトウェア・エージェントを含む。本発明では、ソフトウェア・エージェントは、同じ近距離内に配置されたすべてのタグ付き商品に関する距離を決定するための判別アルゴリズムを実行する。判別アルゴリズムは、リーダ(図1の102)が、タグ付き商品に対する複数回の読み取りを開始できるようにする。それによって、ボックス内またはパッケージ内のいずれであっても、ケースあるいはパレットまたはその両方の中の事前に定義された容積内にまとめて集められた集合物を、大量のタグ付き商品の中から識別することができる。さらに、提案された判別アルゴリズムは、事前に定義された容積外にある他のタグ付き商品の望ましくない応答を除外することによって、リーダ・レベルで、タグ付き商品の封入量を計算する。
【0039】
図3は、アプリケーション・コントローラ(図2の202)での判別アルゴリズム実行の機能ステップの概略を示す流れ図(300)である。加えて、参照(Exhibit)1は、以下で説明する判別プロセスの動作実装を示す。
【0040】
判別アルゴリズムは、第1に、アプリケーション・コントローラを較正するためのポーリング・サイクルを開始する。次に、特徴を識別および獲得するために、リーダの範囲内に配置されたタグ付き商品のスクリーニングについて、リーダ(図1の102)に指示する。こうした特徴とは、応答しているタグ付き商品とリーダとの間の距離、隣接タグ付き商品とリーダとの間の距離、および、リーダ範囲制限と隣接タグ付き商品間に認められた半径距離制限とを決定することができる他のパラメータである。加えて、ポーリング・タグがリーダに応答する場合、自らの識別を備えた隣接タグ付き商品のリストなどの他の情報が、RFIDメッセージに含められる。隣接タグ付き商品間の地理的位置に関するデータも提供可能である。
【0041】
ポーリング・サイクルの完了後、獲得されたタグ付き商品の特徴がアプリケーション・コントローラに送られ、判別プロセスを開始するために必要なパラメータが判別アルゴリズムに提供される。
【0042】
判別アルゴリズムによって、それぞれが複数のサブセット(SS)を備えたタグ付き商品セット(TS)を含む、タグ付き商品の集団(population)を1つまたは複数の区画に分割することができる。他の態様は、同じ近距離内に配置された場合に隣接するものとみなされるタグ付き商品を収集すること、および、それらを目標とされるサブセット内に集めることである。目標とされるとは、アプリケーション・コントローラが同じ地理的領域内または容積内に配置されているとみなすタグ付き商品のグループを意味する。
【0043】
より精密に言えば、判別アルゴリズムは、タグ・セットが依然として無効でない間は、様々な決定を行うことができる。
【0044】
第1に、判別アルゴリズムは、選択された区画の一部となるべき新しいサブセットを識別することができる。判別アルゴリズムは、まだ割り振られていないタグ付き商品およびその隣接タグ付き商品を備えたサブセットを、それに応じて作成する。
【0045】
第2に、まだ割り振られていないタグ付き商品を、それらの関連付けられた隣接タグ付き商品と共に、既存のサブセットに追加することができる。
【0046】
タグ付き商品に割り当てられた隣接タグ付き商品の量に応じて、判別アルゴリズムは、区画内に含めるべき新しいサブセットを作成するか、または既存のサブセットを強化することが可能であることに留意されたい。
【0047】
特定の状況では、タグ付き商品が複数の区画に合致する場合、判別アルゴリズムは、タグ付き商品を割り当てるのに適切な区画を自動的に決定することができる。
【0048】
前述のように、判別アルゴリズムは、第1に、アプリケーション・コントローラを較正するためのポーリング・サイクルを開始し、タグ付き商品のスクリーニングについてリーダに指示する。アプリケーション・コントローラがタグ付き商品の特徴を識別および獲得すると、判別アルゴリズムは実行可能となり、プロセスはステップ302へと進む。
【0049】
ステップ302:(プロセス開始)。判別アルゴリズムはアプリケーション・コントローラを開始し、タグ付き商品集団を、それぞれが複数のサブセット(SS)を備えたタグ付き商品セット(TS)を含むいくつかの別個の区画に分割するためのシステムを準備する。アプリケーション・コントローラは、タグ付き商品セット(TS)の量を判別アルゴリズムに提供する。タグ付き商品セット(TS)の量は、タグ付き商品集団と、サプライ・チェーン構成ステップ(図示せず)で許可される最大区画数の決定とに応じている。加えて、アプリケーション・コントローラは、1つのタグ付き商品セット内に集められることになるサブセット(SS)の数を決定する。サブセット(SS)の数は、タグ付き商品集団、システムによって許可される最大サブセット数、および、同じタグ付き商品セット(TS)内に配置構成された場合の各サブセット間の分離距離のいずれにも依存する。さらに、許可される最大サブセット(SS)数は、タグ付き商品セット(TS)のサイズに応じている。判別アルゴリズムがタグ付き商品セット(TS)およびサブセット(SS)の両方を決定すると、プロセスはステップ304へと進む。
【0050】
ステップ304:(タグ付き商品獲得)。判別アルゴリズムは、各タグ付き商品上でループすることにより、アプリケーション・コントローラを介してタグ付き商品に格納された情報を解釈する。各タグ付き商品内に格納された情報は、国際公開WO2009/080420号公報で説明されたような後方散乱技法を実行して収集されることを想起されたい。ループの反復により、判別アルゴリズムは、アプリケーション・コントローラを構成する際に事前に定義されたスクリーニング基準に合致するタグ付き商品を識別する。こうしたスクリーニング基準は、距離制限、あるいはリーダ範囲、あるいはタグ付き商品の地理的特徴をアプリケーション・コントローラに伝える他のパラメータ、またはそれらすべてである。判別アルゴリズムは、収集された情報からタグ付き商品を分類すること、およびそれらに適宜ラベル付けすることが可能である。それによって、個々のタグ付き商品を、それぞれ従来の方法で適切なタグ付き商品セット(TS)内に含めるものとして集めることができる。その後、プロセスはステップ306へと進む。
【0051】
ステップ306:(中央タグ付き商品の識別)。リーダ範囲と共に地理的特徴を活用することにより、判別アルゴリズムは、構成ステップ中にあらかじめ定義された、測定の領域あるいは容積またはその両方内に配置された個々のタグ付き商品それぞれを基準として、各隣接タグ付き商品の位置を決定する。判別アルゴリズムは、個々に取得された各タグ付き商品の周囲に配置された隣接タグ付き商品の数を評価するために、タグ付き商品を1つずつスキャンする。その後、プロセスはステップ308へと進む。
【0052】
ステップ308:状況により、中央タグ付き商品の識別の完了が決定される。状況に応じて、判別アルゴリズムは、周囲にある隣接タグ付き商品の最大数を有する特定のタグ付き商品を識別するとすぐに、スキャン・プロセスを停止する。その後、プロセスはステップ310へと進み(比較機構308の肯定分岐)、そうでない場合、判別アルゴリズムはスキャン・プロセスを続行し(比較機構308の否定分岐)、プロセスはステップ306へと戻る。
【0053】
ステップ310:(サブセットのインスタンス化)。判別アルゴリズムは、その関連付けられた隣接タグ付き商品を備えた各中央タグ付き商品に関する情報を取得する。その後、判別アルゴリズムは、サブセット(SS)を定義する選択された中央タグ付き商品周囲の仮想境界範囲の輪郭を描くことによって、隣接タグ付き商品の集団の一部および全体のいずれかを選択する。仮想境界範囲は、リーダが様々な半径パラメータ設定値でタグ付き商品を収集できるようにする構成ステップで調整可能であることに留意されたい。したがって、システムは、中央タグ付き商品に関連付けられた隣接タグ付き商品のサブセットを作成およびインスタンス化し、プロセスはステップ312へと進む。
【0054】
次にステップ312へと進み、状況により、タグ付き商品セット(TS)の一部を含む区画内でのサブセット(SS)インスタンス化の完了が決定される。この状況に基づいて、測定の領域または容積内で実行されるインスタンス化プロセスが最終の中央タグ付き商品を検出した後、判別アルゴリズムは停止する。これは、いくつかのサブセット(SS)がスクリーニング基準に従って識別されることを意味する。各サブセット(SS)は、同じ近距離内周辺に配置された隣接タグ付き商品の集団を追加した中央タグ付き商品を含む。その後、プロセスはステップ314へと進み(比較機構312の肯定分岐)、そうでない場合、サブセットのインスタンス化は完了せず(比較機構312の否定分岐)、プロセスはステップ310へと戻る。
【0055】
ステップ314:任意の潜在的に欠落したタグ付き商品の検出が、判別アルゴリズムのステップ314で実行される。タグ付き商品判別の欠落率を下げるために、リーダ範囲の半径は、測定の最大領域あるいは容積またはその両方を満たすように構成される。しかしながら、リーダの放射線の固有丸め有効範囲(intrinsic roundingcoverage)により、半径範囲外のある程度の距離にあるタグ付き商品は、サブセットのインスタンス化中に欠落する可能性がある。したがって、判別アルゴリズムは、欠落したタグ付き商品の有無の検出を開始するために、以前に集められたタグ付き商品の情報を使用する。このようにして、判別アルゴリズムは、サブセット(SS)内にすでに割り当てられたタグ付き商品の地理的特徴を取得し、欠落したタグ付き商品の距離測定を開始する場合、後に2次基準として働くことになる仮想境界範囲を生成する。その後、状況により、仮想境界範囲外にある潜在的に欠落したタグ付き商品の存在が決定される。欠落したタグ付き商品が検出された場合、プロセスはステップ316に進み(比較機構314の肯定分岐)、そうでない場合、欠落したタグ付き商品はそれ以上存在せず(比較機構314の否定分岐)、プロセスはステップ318に進む。
【0056】
次にステップ316に進むと、状況により、欠落したタグ付き商品が、仮想境界範囲の使用によって、タグ付き商品の既存のサブセット(SS)に追加可能であるか否かが決定される。この状況に従って、判別アルゴリズムは、タグ付き商品の既存のサブセット(SS)内に含まれることになる候補とすることが可能な欠落したタグを識別する。その後、判別アルゴリズムは、欠落したタグ付き商品をスクリーニングするため、およびそれらの地理的特徴を取得するために、リーダを開始する。したがって、判別アルゴリズムは、前述の仮想境界範囲を備える分離距離を決定する。それにより、判別アルゴリズムは、サブセットのインスタンス化中に欠落した遠隔のタグ付き商品のいずれが、既存のサブセットに追加できるかを識別する。仮想境界範囲を備える欠落したタグ付き商品の分離距離を決定することが可能な最大距離は、アプリケーション・コントローラ内の構成ステップ中に定義された制約であることに留意されたい。判別アルゴリズムが、欠落したタグ付き商品が可能な最大距離を上回ると決定した場合、前述の欠落したタグ付き商品を受け取るために新しいサブセット(SS)が作成され(比較機構316の否定分岐)、欠落したタグ付き商品は、新しい中央タグ付き商品とみなされ、プロセスはステップ306へと進む。そうでない場合、欠落したタグ付き商品と、タグ付き商品の選択されたサブセット(SS)の仮想境界範囲との間の分離距離は、可能な最大距離を超えず(比較機構316の肯定分岐)、欠落したタグ付き商品は既存のサブセット(SS)に追加されて、プロセスはステップ310へと進む。
【0057】
ステップ318:(判別完了)。判別アルゴリズムが完了する。リーダは、パッケージング・サプライ・チェーンの区画内のタグ付き商品セット(TS)内にある複数のタグ付き商品のサブセット(SS)にまとめられる、タグ付き商品の集団を識別することができる。
【0058】
次に図4および図5に進むと、タグ付き商品を初期セット(図4)の4つのサブセット(図5)に分割する記号表現が示されている。
【0059】
前述のように、判別アルゴリズムは、それぞれ複数のサブセットに集められることが必要なタグ付き商品の集団について考慮する。各サブセットは、パッケージング・サプライ・チェーン内の区画に属するタグ付き商品セットの一部である。それにより、リーダは、他の隣接サブセットとの衝突のリスクなしにサブセット内の同じ近距離に配置されたタグ付き商品のグループを、容易に読み取ることができる。
【0060】
図4は、タグ付き商品が配置されたパレットを表すセットが示されている。以下の例では、初期セット内に40のタグ付き商品(グレイのドット)が識別される。タグ付き商品セットは、4つの別個のサブセットに配置構成される。各サブセットは、いくつかのタグ付き商品を含むボックスを表す。判別アルゴリズムを実行することによって、各サブセットはそれぞれ、図5に示された4つの地理的方位を表す、NE(北東)、NW(北西)、SE(南東)、およびSW(南西)としてインスタンス化される。
【0061】
したがって、図5は、構成ステップ中に定義されたようなスクリーニング基準に従って、タグ付き商品を分類する場合に判別アルゴリズムが動作する、異なるケースを示す。
【0062】
図3を参照しながら前述したように、判別アルゴリズムは第1に、周囲に配置された最大数の隣接タグ付き商品を有する中央タグ付き商品「Tio」を決定する。例示の目的および図を見やすくするために、その現行サブセット(NE、NW、SE、およびSW)内の各中央タグ付き商品は太字の楕円でハイライト表示されており、隣接タグ付き商品はフリー・ドットである。
【0063】
次の判別プロセスでは、欠落したタグ付き商品が検索され、図5ではドット周囲の単純な円で示されている。欠落したタグ付き商品とは、中央タグ付き商品を有する隣接タグ付き商品としてみなされないタグ付き商品である。こうした状況では、判別アルゴリズムは、欠落したタグ付き商品を隣接タグ付き商品に隣接しているものとみなすことによって動作し、それらの間の分離距離をチェックする。判別アルゴリズムが、ある欠落したタグ付き商品が所定の最大距離を超えるものと決定した場合、その欠落したタグ付き商品は別のサブセットに位置しているものとみなされ、図5の画面SW内で矢印「新しいサブセットに追加されたタグ」によって指示されたような、前述の欠落したタグ付き商品を受け取るための新しいサブセット(SS)が作成される。そうでない場合、判別アルゴリズムは、欠落したタグ付き商品を適切なサブセット(SS)に追加する。
【0064】
最後に、本発明について、好ましい実施形態を参照しながら具体的に図示および説明してきたが、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、形および細部における様々な変更が可能なことを理解されたい。具体的に言えば、判別アルゴリズムは、様々な計算変数を使用して実装可能である。好ましい一実装が、図6に提供されている。アルゴリズムは、すべての異なるタグから収集された情報を分析するため、および、タグ・セットの区画TS={T}を構築するために、リーダによって実行され、ここでTは、値1からNまでの間で変化する指標iを備えたタグを表す。この区画は、サブセットの集合SSに対応し、ここでkは1から最大値Nまでの間で変化する。
【0065】
アルゴリズムは、タグ・セットTSが依然として無効でない間は、ループとして実行する。各ループ反復で、アルゴリズムは、
・メンバTを備えた新しいサブセットSSk0、およびその近隣を検出するか、または
・新しいメンバTおよびその近隣を、すでに定義されたサブセットSsに追加する。
【0066】
新しいサブセットを作成するため、またはすでに定義されたサブセットを拡張するための、最良のタグ候補を識別するために使用される基準は、タグ近隣の数に対応する。いくつかのタグが最大サイズの近隣セットを有するこの特定の例では、本発明の好ましい実施形態は、これらのタグのうちの1つをランダムに選択する。
【0067】
しかしながら、代替の実施形態では、アルゴリズムは現行のループ・ステップでこれらのタグを廃棄する場合があり、その次に最大の近隣集団を示すタグで作業する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタグ付き商品をポーリングするための識別要求をブロードキャストするステップと、
ポーリングされた各タグ付き商品の識別および場所パラメータを獲得するステップであって、ポーリングされた各タグ付き商品が、隣接タグ付き商品の識別および場所パラメータをさらに提供する、獲得するステップと、
前記ポーリングされたタグ付き商品の中から、最大数の隣接タグ付き商品を有する少なくとも1つのタグ付き商品候補を決定するステップと、
前記少なくとも1つのタグ付き商品候補から少なくとも1つのタグ・セットを作成するステップであって、前記少なくとも1つのタグ・セットが、前記少なくとも1つのタグ付き商品候補およびその隣接タグ付き商品を含む、作成するステップと、
を有する、無線周波数識別子(RFID)タグ付き商品を区分する方法。
【請求項2】
前記決定するステップの後に、
前記少なくとも1つのタグ付き商品候補と既存のタグ・セットのリストとを比較するステップであって、各既存のタグ・セットがタグ付き商品候補およびその隣接タグ付き商品を含む、比較するステップと、
前記少なくとも1つのタグ付き商品候補がリストに列挙される場合、前記少なくとも1つのタグ付き商品候補を既存のタグ・セットに追加するステップと、
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記隣接タグ付き商品が、ポーリングされたタグ付き商品周囲の事前に定義された領域内に配置されたタグ付き商品である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別要求がRFIDリーダによってブロードキャストされ、各RFIDタグ付き商品が受動タグを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記識別要求が、少なくとも、タグ付き商品識別子を担持する識別子フィールドと、前記ポーリングされたタグ付き商品と前記RFIDリーダとの間の距離を示す距離フィールドと、隣接タグ付き商品の領域を定義する近接フィールドとを備える、複数の情報フィールドを有するメッセージの形である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記決定するステップが、前記隣接タグ付き商品の数と最低しきい値とを比較するステップをさらに有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記決定するステップ後に、前記少なくとも1つのタグ付き商品候補を廃棄するステップをさらに有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段を備える、無線周波数識別子(RFID)タグ付き商品を区分するためのシステム。
【請求項9】
複数のタグ付き商品を識別するためにパレット管理システム内で使用されることになる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
コンピュータ・マシンによって読み取り可能なメディア内に格納されたコンピュータ・プログラムであって、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法のステップを前記コンピュータに実行させるための読み取り可能プログラム手段を確実に記録する、コンピュータ・プログラム。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−509227(P2011−509227A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538526(P2010−538526)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065719
【国際公開番号】WO2009/089948
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】