説明

所定の細菌宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および/または定量化するための方法およびシステム、バクテリオファージを検出するためのマイクロ電子センサ装置の使用、ならびに該方法を実施するためのマイクロ電子センサ

請求項に記載の方法、システム、および装置は、所望のバクテリオファージを検出するために、電極の界面において生成されるインピーダンスの変化の測定に基づく。この電極の界面上に宿主株からの細菌を予め付着させておく。電極と細菌との界面において生じる変化は、マイクロ電子センサ装置の作用電極の表面に付着する細菌におけるバクテリオファージのファージ作用に由来する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、所定の細菌宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および/または定量化するための方法およびシステムに関し、この検出および/または定量化は、電気インピーダンス分光技術を用いて分析される媒体または溶液の電気インピーダンスの測定に基づく。
【0002】
また、本発明は、この方法を実施するためのマイクロ電子センサ装置、およびバクテリオファージを検出および定量化するためのマイクロ電子センサ装置の使用に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
バクテリオファージは、細菌に感染するウイルスであり、「カプシド」とも称されるタンパク膜に包まれた核酸(DNAまたはRNA)から形成される。これらのウイルスは、感染するバクテリアに対して高い特異性を有するので、特定の宿主株にて特定のバクテリオファージまたはバクテリオファージ群が検出される。
【0004】
端的に言うと、バクテリオファージの周期は4つの段階からなる。第一の段階では、バクテリオファージが細菌を認識し、新たなバクテリオファージを形成するために必要な遺伝情報を含むファージの核酸を注入する。続いて、バクテリオファージの遺伝材料がDNA形状の細菌染色体に組み込まれる。一旦組み込まれると、細菌が感染したバクテリオファージの型に応じて、宿主細胞の感染は2つのタイプの反応を起こす。したがって、溶原性バクテリオファージと溶菌性バクテリオファージとを区別することができる。溶原性バクテリオファージは、無制限に宿主細胞の遺伝子に組み込まれるか、または種々の要因によって溶解が生じるまで宿主細胞の遺伝子に組み込まれる。溶菌性バクテリオファージは、所定の期間のインキュベーションの後、宿主細胞の生合成機構を利用して、新たなビリオンを生成するために必要な材料を複製し、宿主細胞の溶解によって外部に放出される。
【0005】
腸内細菌のバクテリオファージを検出および/または定量化することは、水における微生物を制御したり、糞便汚染の原因を決定したりするために特に重要である。このバクテリオファージは、その挙動がウイルスの挙動と似ていることから、ウイルスの存在を示す指標微生物として提案されている。ウイルスを原因とする糞便汚染の指標として使用される腸内細菌のバクテリオファージには3つの群がある。ソマティックコリファージ(somatic coliphages)、F-特異RNAファージ、およびBacteroides sppに感染するファージ(Bacteroides spp infecting phages)である。
【0006】
検出および/または定量化が特に関心事である他のバクテリオファージの群は、チーズまたは他の乳酸発酵製品に使用されるタイプの乳酸菌に感染するバクテリオファージによって形成されるものである。このバクテリオファージは、乳酸の産生に深刻な影響を及ぼし、乳酸産業に甚大な経済損失をもたらす。
【0007】
バクテリオファージの存在を検出する従来の方法は、バクテリオファージが宿主細菌に対して及ぼす影響を検出することに基づく。従来、バクテリオファージは、二重層の寒天培地を用いて定量化されている。二重層の寒天培地は、(定量化するバクテリオファージに合わせた)特定の宿主株および分析対象の試料を含む半固体の寒天の層を、寒天の層上に堆積したものである。宿主株を所定の期間インキュベーションした後の、感染による溶解領域またはプラークの検出、および試料に存在するバクテリオファージまたはバクテリオファージの群による宿主細菌の溶解の検出によって、バクテリオファージが定量化される。
【0008】
寒天プレートの播種に基づく方法は、少なくとも24時間のインキュベーションを必要とすることから、極めて時間がかかるという欠点がある。
【0009】
また、最近の方法には、PCR技術を使用したバクテリオファージの検出に基づくバクテリオファージの検出方法がある。しかし、これらの方法も時間がかかり、極めて手間がかかる。
【0010】
欧州特許第0149383号明細書および欧州特許第0714450号明細書には、バクテリオファージを検出するための他の方法、特に乳酸菌のバクテリオファージを特異的に検出する方法が記載されている。
【0011】
欧州特許第0714450号明細書は、発光酵素などの酵素によって触媒される酵素反応における生物発光を用いた溶解において、細菌の内部成分を検出することに関する。一方、特許IP0149383は、微生物活動を検出するための、pH指示薬を使用した成長阻害の検出に関する。
【0012】
上記特許文献に記載された方法の欠点は、活動状態のバクテリオファージを検出できないため、実用面ではあまり信頼性が高くないことにある。一方、この方法は、多数の反応を用いる必要があることから、極めて複雑で高コストである。
【0013】
スペイン特許出願第200800109号明細書(本願出願時には未公開)は、電気化学的インピーダンス分光(EIS)技術を使用した、バイオマスの濃度を測定するための方法および装置に関する。この技術を用いれば、装置の作用電極の表面へのバイオマスの接着によって生成されたインピーダンスのシグナルの変化が決定される。
【0014】
上述した特許文献における実施形態では、界面インピーダンスの測定が実施される電極を、平坦なマイクロ電子装置(具体的にはチップセンサ)における材料基板に統合されるように配置する。このチップセンサは、溶液中のバイオマス濃度が測定される媒体に含浸しやすい。
【0015】
上述した特許出願に開示された方法および装置では、バイオマスの濃度は、バイオマスの静電付着によって生成される、電極と溶液との界面の電気二重層の静電容量の値の変化に基づいて測定される。
【0016】
電極と溶液との界面の電気二重層の静電容量の値は、溶液中のバイオマスの濃度に基づいて観察される。このため、この層の静電容量の変化をモニタリングすることにより、対応する較正曲線を用いて溶液中のバイオマスの濃度を、単純で極めて信頼性の高いやり方で検出することができる。
【0017】
〔発明の要約〕
本発明の第一の目的は、細菌を予め付着させた電極界面に生じた電気インピーダンスの変化の測定に基づき、バクテリオファージを検出および/または定量化するための代替的方法およびシステムを開発することにある。
【0018】
この方法およびシステムは、極めて単純であり、コストが安く、信頼性が高いという、従来の方法よりも優れた利点を有する。
【0019】
この目的のために、第一の態様によると、本発明は、所定の細菌宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および/または定量化するための方法を提供することにある。この方法は、
a)電気インピーダンスを測定するための手段を備えた装置の作用電極の表面に、少なくとも1つの宿主株から得られた細菌を付着させる工程と、
b)バクテリオファージを含み得る分析対象の材料の溶液に対して、電極および付着した細菌を曝露する工程と、
c)細菌がバクテリオファージに感染されている場合に、電極に付着した細菌の溶解が行われるように、電極とともに工程b)の溶液を所定の条件にてインキュベートする工程と、
d)工程c)のインキュベートを実施しながら該溶液の電気インピーダンスの変化を測定する工程と、
e)
e−i)電気的な等価回路において、インピーダンスの値の変化に基づいて、電極と細菌との界面における静電容量の値の変化を決定する工程、または、
e−ii)インピーダンスの値の変化に基づき、宿主株に応じた所定の周波数での仮想インピーダンス成分(imaginary impedance component)の大きさの変化値を決定する工程と、
f)静電容量の値の変化、または仮想インピーダンス成分の大きさの変化が生じた時に、静電容量の値の変化または仮想インピーダンス成分の大きさの変化と溶液のバクテリオファージ濃度との相関を表す対応する較正曲線を用いて、溶液中のバクテリオファージの存在または濃度を決定する工程とを包含している。
【0020】
同目的のために、第二の態様によると、本発明は、所定の細菌宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および/または定量化するためのシステムを提供する。このシステムは、電気インピーダンスの測定を行う少なくとも2つの電極を備えたマイクロ電子センサ装置と、電極の少なくとも1つの表面に付着した、少なくとも1つの宿主株に由来する細菌と、処理および制御の手段とを有し、処理および制御の手段は、等価回路における電極と細菌との界面の静電容量の値の変化、または宿主株に基づく所定の周波数における仮想インピーダンス成分の大きさの変化を決定するものであり、静電容量の値の変化、または仮想インピーダンス成分の大きさの変化は、電極上に付着した細菌がバクテリオファージに感染され、この細菌が溶解した結果生じるものである。
【0021】
本発明の第二の目的は、電気インピーダンスの変化を測定する少なくとも1対の電極を備えたマイクロ電子センサを提供することにある。このセンサ装置は、少なくとも1つの電極の表面に付着した細菌のバイオフィルムを有し、バイオフィルムの細菌が少なくとも1つの宿主株に由来し、この宿主株は、宿主株に対して所定の特異性を有するバクテリオファージに感染され得るものであることを特徴とする。
【0022】
最後に、本発明の第三の目的は、電気化学的インピーダンス分光法を用いて、所定の細菌宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および定量化するために材料基質に統合された少なくとも1対の電極を備えたマイクロ電子センサ装置を使用することにある。
【0023】
本発明において、「マイクロ電子装置」とは、好適には厚膜マイクロ電子技術または薄膜マイクロ電子技術を用いて製造された平坦なセンサ素子であると理解されたい。
【0024】
「バイオフィルム」とは、マイクロ電子装置の作用電極の表面上にて増殖する、異種の細菌によって形成された物であり、好適には、マイクロ電子装置の作用電極の表面に付着されるエキソポリサッカライドのマトリクスに埋め込まれて増殖する細菌の集団であると理解されたい。
【0025】
〔発明の詳細な説明〕
請求項に記載の方法およびシステムは、電極の界面に生成されたインピーダンスの変化を測定することに基づく。所望のバクテリオファージまたはバクテリオファージの群を検出するために、この電極の界面上に宿主株の細菌を予め付着させておく。電極と細菌との界面に生じた変化は、作用電極の表面上に付着された細菌におけるバクテリオファージの作用(phagic action)に起因する。電極は、電子化学的インピーダンス分光法を用いてインピーダンスを測定するマイクロ電子センサ装置に設けられている。
【0026】
実施した実験によると、マイクロ電子センサ装置の作用電極上に付着された細菌のバクテリオファージが行う溶解は、電気インピーダンス手段を用いてリアルタイムにモニタリングし得る反応を生成することがわかった。
【0027】
具体的には、細菌が付着した電極の界面の静電容量の値が、細菌の溶解を引き起こすバクテリオファージのファージ活動(phagic activity)によって変更され得ることがわかった。インピーダンススペクトルの電気的な等価回路において決定される界面の静電容量の変化の値は、電極表面において行われるファージ活動(溶解)の程度に応じて異なる。この変化の値は、分析される媒体または溶液中のバクテリオファージの濃度に比例する。
【0028】
この様な構成としても、所定の周波数での仮想インピーダンス成分の大きさの変化を直接測定することによって、バクテリオファージによる感染をより速くより簡単にモニタリングすることができることがわかった。仮想インピーダンス成分は、回路のインピーダンスの容量性の成分に関する。また、仮想インピーダンス成分は、溶液中のバクテリオファージの存在によって変化(下降)することもわかった。
【0029】
これらの事実により、活動状態のバクテリオファージを検出できることから信頼性が極めて高いという利点を有する、バクテリオファージを検出および/または定量化するためのシステムおよび方法を開発することができた。さらに、これは極めて単純な方法およびシステムであり、容易に再生産されたり、自動化されたりすることが可能であり、試料中のバクテリオファージの濃度をリアルタイムにてモニタリングすることができる。一方、これは、いかなるタイプの基質(汚水、汚水処理プラントの泥、浸出物、バイオソリッドなど)に存在するバクテリオファージをも検出することができるという利点を有する。
【0030】
請求項に記載のシステムおよび方法は、所望のバクテリオファージまたはバクテリオファージの群を検出するために、宿主株を作用電極の表面に付着させる必要がある。この細菌の付着は、異なる技術を用いて実施してもよい。
【0031】
第一の実施形態によれば、細菌を固定化するための化合物または溶液を吸着することにより作用電極の表面を予め官能基化することによって、宿主株の作用電極の表面への付着を行うことができる。
【0032】
他の実施形態によれば、作用電極へ細菌を静電気的に付着させるために、装置の電極に電位を印加して付着を行ってもよい。
【0033】
また、好適な実施形態によれば、細菌の付着は、作用電極の表面への細菌のバイオフィルムの形成を含む。細菌のバイオフィルムは、少なくとも25ミクロンの厚さ、または104 PFU/ml(プラーク形成単位)の濃度を有することが好ましい。細菌の厚さまたは濃度により、本方法の感度が向上することが立証された。
【0034】
バイオフィルムの形成は、可逆的な段階である、基質への細菌の付着から始まる。その後、不可逆的な吸着が起こり、細菌の分裂が始まる。これに伴い、バイオフィルムが成長し、次いで成熟する。このプロセスは、等価回路を辿るインピーダンス分光技術を用いてモニタリングされてもよく、この方法において、バイオフィルム(Cb)の静電容量の値は、界面における電極に付着されたバイオフィルムを形成する(models)上記回路のパラメータまたは電気的な成分として規定される。バイオフィルムの静電容量の値が、バイオフィルムの厚さと正の相関関係を示し、バイオフィルムの成熟中にバイオフィルムの厚さが増加すると、静電容量の値が増加する。
【0035】
好適には、本発明のバイオフィルムの形成は、宿主株からの細菌を含んでいる培地に作用電極を曝露することと、この宿主株に応じた所定の期間、作用電極を同時に分極させることとを含む。
【0036】
電極のインキュベーションの間に、上述した同時の分極を適用することによって、数時間のうちに小型のバイオフィルムが形成され、それが上記方法に極めて有益な効果をもたらすことがわかった。
【0037】
バイオフィルムの形成を含む好適な実施形態によると、本発明の方法では、−工程e−i)において、界面の静電容量の値の変化を決定することが、バイオフィルムの静電容量の値(Cb)を決定することを含んでいる。このバイオフィルムの静電容量の値は、界面におけるバイオフィルムによって形成された電気的な等価回路のパラメータである。また、本発明の方法では、工程e−i)の次の工程において、溶解の結果であるバイオフィルムの変質と相関するバイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化に基づいて、バクテリオファージの存在または濃度を決定する。
【0038】
バイオフィルムの形成を含む好適な同一の実施形態によれば、本発明のシステムでは、マイクロ電子装置の作用電極に付着する細菌がバイオフィルムの一部を形成している。本発明のシステムでは、処理および制御の手段が、バイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化、または仮想インピーダンス成分の大きさの変化を決定する。バイオフィルムの静電容量の値の変化、または仮想インピーダンス成分の大きさの変化は、細菌の溶解の結果である同じバイオフィルムの変質と相関する。
【0039】
実施した実験によると、マイクロ電子センサ装置の作用電極上に形成されたバイオフィルムが、バクテリオファージの溶液を含んでいる試料に曝露される場合、これらによって生じる細菌の溶解により、バイオフィルムの厚さが減少し、バイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化、または回路の静電容量に関する仮想インピーダンス成分の大きさの変化が生じる。
【0040】
驚くべきことに、バイオフィルムの厚さの変化、バイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化、または仮想インピーダンス成分の大きさの変化は、マイクロ電子装置の表面に付着したバイオフィルムから細菌を除去する役割を担うバクテリオファージの溶解周期に関連する。
【0041】
上述した事項に基づけば、本発明は、極めて単純で信頼性の高いシステムおよび方法を提供する。好適な実施形態によると、溶液中のバクテリオファージの存在は、マイクロ電子装置の表面上に付着するバイオフィルムの変質に関するインピーダンスの変化を検出することによって検出および定量化される。
【0042】
また、上述した事項に基づけば、本発明は、電気インピーダンスの変化を測定する少なくとも1対の電極を有するマイクロ電子センサ装置を提供する。このマイクロ電子センサ装置は、電極のうちの少なくとも1つの表面上に付着する細菌のバイオフィルムを有し、このバイオフィルムの細菌は次の宿主株に属する。すなわち、この宿主株は、該宿主株に対して所定の特異的なバクテリオファージに感染され得るものである。
【0043】
好適には、バイオフィルムを含んでいるマイクロ電子装置を用いた電子化学的インピーダンス分光法によって、バイオフィルムの細菌の少なくとも1つの宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および定量化する。
【0044】
好適には、装置のバイオフィルムは、少なくとも25ミクロンの厚さ、または少なくとも104 PFU/ml(プラーク形成ユニット)の宿主株の細菌の濃度を有する。
【0045】
また好適には、マイクロ電子装置は平坦で小型のマイクロ電子センサのチップまたは装置であり、好適には薄膜リソグラフィー技術を用いて製造される。
【0046】
チップは、その大きさが小さいことから、微量のサンプルをも測定できる高感度センサを構成する。
【0047】
バクテリオファージが宿主株に対して所定の特異性を有し、その宿主株が入手可能である場合、請求項に記載の方法およびシステムをあらゆるタイプのバクテリオファージの検出に利用することができる。バクテリオファージは、種々の材料の試料から取得してもよい。例えば、汚水処理プラントの泥、浸出物、またはバクテリオファージの検出を必要とする他のタイプの固体または液体の材料などである。
【0048】
具体的に水試料の場合、ウイルス型の糞便汚染の存在の指標となる微生物としてバクテリオファージが提案されていることから、バクテリオファージの検出が特に関心事となる。
【0049】
好適な実施形態によると、本発明は、水における微生物の制御、および/または糞便汚染の決定にとって重要なバクテリオファージの検出に関する。このバクテリオファージとしては、ソマティックコリファージ、F−RNA特異バクテリオファージ、Bacteroides fragilisに感染するバクテリオファージが挙げられる。
【0050】
他の実施形態によると、本発明に係るバクテリオファージは、Lactobacillus bulgaris、Lactobacillus lactis、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus plantarumおよびStreptococcus thermophilusなどのPseudomonas putidaに感染するバクテリオファージ、または乳酸菌に感染するバクテリオファージである。
【0051】
〔図面の簡単な説明〕
上述した事項がさらに理解されるように、図面を添付している。
【0052】
図1は、マイクロ電子センサ装置の構造を示す概略平面図であり、具体的には、バクテリオファージの検出に用いられる、インピーダンスを測定するセンサチップ(impedimetrical sensor chip)を示す。
【0053】
図2aおよび図2bは、図1のチップの詳細を示す図である。チップ上にて、Pseudomonas putidaのバイオフィルムを成長させている。図2aは、バクテリオファージの作用を受ける前の、バイオフィルムを備えたチップの作用電極の表面を示す。図2bは、Pseudomonas putidaに感染するバクテリオファージの作用を受ける前の電極の同じ表面を示す。
【0054】
図3は、コントロールの溶液、またはPseudomonas putidaに感染するバクテリオファージを含んでいる溶液中において、図1のチップ上に成長したバイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化を示すグラフである。
【0055】
図4は、界面におけるモデルのバイオフィルムの静電容量の値(Cb)に使用される電気的な等価回路を示す。
【0056】
〔好適な実施形態の説明〕
Pseudomonas putidaに感染するバクテリオファージを検出するための本発明の方法およびシステムの第一の実施形態を説明する。
【0057】
使用するマイクロ電子装置は、単一の基板、作用電極2、および2つの対極3に統合された図1に示したようなセンサチップ1を備え、全てがプラチナ製のマイクロディスク形状である。
【0058】
本発明の詳細な説明に記載したように、請求項に記載の方法およびシステムは、電極の界面に生じるインピーダンスの変化の測定に基づくものであり、宿主株の細菌が、所望のバクテリオファージまたはバクテリオファージの群を検出するために電極の界面上に予め付着されている。
【0059】
記載された実施形態では、細菌はPseudomonas putidaのバイオフィルム4の形成を経て図1のチップ1の表面に付着している。図2aは、バイオフィルム4を成長させた図1のセンサチップの詳細を示す。
【0060】
上述したバイオフィルム4の形成のために、調整された最少培地(AB最少培地)中の対数期のPseudomonas putidaの培養物が仕込まれた反応器に攪拌および常時換気(agitation and constant ventilation)を行いながらセンサチップ1自体を入れた。この反応器において、5年間チップ1をインキュベートした。その後チップ1上に形成されたバイオフィルム4の外観を図2aに示す。
【0061】
以下の溶液の混合物からAB最少培地を調製するための組成および方法を以下に示す。
・875 mlの滅菌蒸留水
・100 mlのA溶液
・25 mlのB溶液
・10 mlの20%グルコース(20g/100ml蒸留水)
1,000 mlの蒸留水中のA溶液は、
・(NH4) SO4: 20g
・Na2HPO4:73.1 g
・KH2PO4:78.5 g
・NaCl:30.0 g
・NaSO4:0.11g
を含む。B溶液は、以下の成分を含み、それらは別々に加圧滅菌された後に混合される。
・500 mlの蒸留水中の16 gのMgCl2. 6 H2O
・250 mgの蒸留水中の0.58gのCaCl2
・250 mgの蒸留水中の0.032gのFeCl3, 6 H20
バイオフィルム4が一旦チップ1上に形成されると、108(PFU/ml)(プラーク形成ユニット)のバクテリオファージの縣濁液を含んでいる溶液にチップ1を注入する。この溶液は、4.5mlの最少AB培地に、バクテリオファージを含有している汚水試料(0.5ml)を植菌することによって得た。
【0062】
次に、37℃の温度にて24時間、チップ1を含んでいる上述の溶液をインキュベートした。インキュベートのプロセスの中に、バイオフィルム4の変質をモニタリングするために、電気インピーダンスを測定した。
【0063】
電気化学的インピーダンス分光法を用いて、以下の測定条件において、インピーダンスを測定した。
・温度:37℃
・培地:上述の組成に基づくAB最少培地
・開回路のDC電位:+0.26 ± 0.5 V
・AC電位:25mV
・周波数帯域:10Hz〜100KHz
このような電気的環境では、チップ1の表面上に接着されたバイオフィルム4が、インピーダンス分光の電気的な等価回路において、バイオフィルムの静電容量の値(Cb)として形成された誘電体として働く。バイオフィルム4の静電容量の値(Cb)によって規定される方程式は、以下の式によって求められる。
【0064】
【数1】

ε0は、真空下における誘電率の係数である。εbiofilmは、バイオフィルムの誘電率である。Aはバイオフィルムの被膜の面積であり、dはバイオフィルムの厚さである。
【0065】
図4は、上記等価回路の代表図であり、バイオフィルムの静電容量の値(Cb)に加えて、以下のパラメータを規定する。
・Cr:上記電極に関する静電容量の値
・Rs:溶液の抵抗
・Rb:バイオフィルム4の抵抗
・Cc:界面の電気的な二重層の静電容量の値
・Rc:荷重伝達(load transfer)の抵抗
本発明の説明に記載したように、バイオフィルム4がバクテリオファージの作用を受けることによって、等価回路のパラメータの変化という観点、すなわち、バイオフィルム4の静電容量の値の変化という観点において、インピーダンスを測定することができる反応が生じる。
【0066】
図3は、コントロールの溶液中、およびPseudomonas putidaに感染するバクテリオファージを含んでいる汚水試料の溶液中において、センサチップ1上に配置されたバイオフィルム4の静電容量の値(Cb)の経時変化を示すグラフである。
【0067】
図3では、バクテリオファージを含んでいる溶液中にチップ1を配置して6時間インキュベーションした後に、バイオフィルム4の静電容量の値(Cb)が(コントロールの溶液と比較して8%)減少していることがわかった。しかし、バクテリオファージを含まないコントロールの溶液にチップ1を配置した場合、この静電容量の値(Cb)が一定に維持される。
【0068】
本発明の説明に記載したように、実施した実験によると、共焦点レーザ顕微鏡法を用いて見られるように、バイオフィルム4の静電容量の値(Cb)の変化がバイオフィルム4の厚さの変化に相関することがわかった。これら2つのパラメータの変化は、バイオフィルム4から細菌を除去する働きをするバクテリオファージの溶菌周期に関連している。
【0069】
記載された実施形態では、バクテリオファージの作用を受けたチップ1におけるバイオフィルム4の厚さが測定された。細菌の減少量の合計(UFC/ml)(コロニー形成単位)は約20%であったが、バイオフィルムの厚さが約50%減少していることが検出された。これはおそらく細菌密度のより低いバイオフィルム4の外膜のみが、ファージに感染され得るように構成されていたからである。
【0070】
バイオフィルム4の厚さを低減するためのこれらの測定は、図3からわかるように、バクテリオファージの存在によって生じるバイオフィルム静電容量の値(Cb)の減少に相関していた。
【0071】
分析される溶液中のバクテリオファージ濃度は、対応する較正曲線によるバイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化に基づいて決定される。この較正曲線は、上記静電容量の値(Cb)の変化と作用範囲内の溶液の濃度とを相関させるものである。
【0072】
次に、Escherichia coliに感染するバクテリオファージを検出するための本発明に係る方法およびシステムの第二の実施形態について説明する。
【0073】
第二の実施形態において、使用するマイクロ電子装置は、図1と同じセンサチップ1であり、この場合、30ミクロンの厚さおよび105 PFU/mlの細菌の濃度を有するバイオフィルムが形成されていた。
【0074】
この厚さおよび細菌の濃度を有する小型のバイオフィルムを迅速に形成するために、コントロールでもある媒体(AB最少培地)中の対数期のEscherichia Coliの培養物が仕込まれたバイオリアクタに攪拌および常時換気(agitation and constant ventilation)を行いながらセンサチップ1自体を入れる。バイオリアクタにおいて3分間センサを調整した後で、10秒間継続するパルス列を用いて3ボルトの圧力を印加し、作用電極を分極化することによって、チップ1を強制的にインキュベーションする。これらの条件下において、上記特性を有するバイオフィルムが得られる。このバイオフィルムは、図2aに示されたような、数日間、自発的にインキュベーションさせた通常のバイオフィルムと同じ外見を有する。
【0075】
一旦バイオフィルム4がチップ1上に形成されると、第一の実施形態に示したものと同じ感染プロトコルが次に起こり、108(PFU/ml) (プラーク形成ユニット)のバクテリオファージ縣濁液を含んでいる溶液中にバイオフィルムを備えたチップを注入する。次に、チップを含んでいる上述の溶液を37℃の温度下で6時間インキュベーションする。このインキュベーションのプロセスの間に、バイオフィルムの変質をモニタリングするために、電気化学的インピーダンスを測定する。
【0076】
第一の実施形態の場合のように、バイオフィルムがバクテリオファージの作用を受けることによって、界面におけるバイオフィルムによって形成される等価回路パラメータの変化、すなわちバイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化という観点において、インペディメトリックに測定可能な反応が生じる。
【0077】
表1は、第二の実施形態において得られる、マイクロチップ上に形成されるEscherichia coliのバイオフィルムに感染することができる2つのタイプのバクテリオファージである。バイオフィルムの静電容量の値における割合の減少として結果を表す。
【0078】
【表1】

表1からわかるように、Escherichia coliのバクテリオファージAに関して、6時間のインキュベーションの後、バイオフィルムの静電容量のシグナルが24%減少し、一方、バクテリオファージBの場合はこの静電容量のシグナルが19%減少した。
【0079】
第二の実施形態では、30ミクロンの厚さ、および104UFC/mlを有する小型のバイオフィルムの形成によって、本方法の感度が向上するという結果が示された。小型のバイオフィルムは、作用電極を同時に分極させて、チップを強制的にインキュベーションすることによって(数時間の間に)迅速に形成される。
【0080】
本発明の説明にすでに記載されているように、バイオフィルムがバクテリオファージの作用を受けることによって、特定の周波数において得られる仮想インピーダンス成分(Zi)の大きさの変化の観点から、インペディメトリックに測定可能な反応が生成される。
【0081】
Escherichia coliに感染するバクテリオファージを検出するための本発明に係る方法およびシステムの第三の実施形態の結果を以下に示す。バクテリオファージの検出は、仮想インピーダンス成分の大きさの変化に基づいて行われる。
【0082】
第三の実施形態において、使用するマイクロ電子装置は、図1と同じセンサチップ1であり、センサチップ1の上に厚さ40ミクロン、3.105 PFU/mlの細菌の濃度のバイオフィルムを形成させた。
【0083】
表2は、第三の実施形態において得られる、マイクロチップ上に形成されるEscherichia coliのバイオフィルムに感染することができる2つのタイプのバクテリオファージである。仮想インピーダンス成分の大きさの変化の割合として結果を示す。
【0084】
【表2】

表に示したように、本実施形態において、得られた変化値は、第二の実施形態よりも僅かに感度が低い。なお、静電容量の値における割合の変化が測定されている。しかし、ある周波数での仮想インピーダンス成分の決定は、検出工程を実質的に簡素化するという利点を有する。
【0085】
50Hzでは感度が向上するが、他の値では僅かに低いという結果が出ている。
【0086】
本発明に係る3つの具体的な実施形態を説明および図示してきたが、当業者であれば、添付の請求項に記載の保護範囲を逸脱することなく、技術的に同等な他の変形および修正、または代替案を導入できることは明白である。
【0087】
例えば、記載された実施形態では、マイクロ電子チップ1型のセンサ装置を用いてインピーダンス測定を実施したが、薄膜マイクロエレクトロニクス技術を用いて製造されたマイクロ電子装置などのその他の同等なマイクロ電子装置を用いて、本発明の測定を実施することが可能である。
【0088】
同様に、上述した実施形態では、バイオフィルム4の形成によって作用電極2の表面に細菌が付着する構成を説明したが、アビジンなどの化合物を直接的に吸着させることによって作用電極3の表面を官能基化させるといった他のタイプの技術を用いて細菌を付着させてもよい。このアビジンを用いれば、予めビオチン化された細菌を、アビジンとビオチンとの結合によって容易に付着させることができる。
【0089】
上述した実施形態では、Pseudomonas putidaに感染するバクテリオファージ、およびEscherichia coliのソマティックコリファージの検出に関する構成を説明したが、先に述べたように、本発明は、バクテリオファージに感染され得る細菌宿主株が存在する限り、如何なるタイプのバクテリオファージの検出および/または定量化に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】マイクロ電子センサ装置の構造を示す概略平面図であり、具体的には、バクテリオファージの検出に用いられる、インピーダンスを測定するセンサチップ(impedimetrical sensor chip)を示す。
【図2a】図1のチップの詳細を示す図でありる。チップ上にて、Pseudomonas putidaのバイオフィルムを成長させている。バクテリオファージの作用を受ける前の、バイオフィルムを備えたチップの作用電極の表面を示している。
【図2b】図1のチップの詳細を示す図である。チップ上にて、Pseudomonas putidaのバイオフィルムを成長させている。図2bは、Pseudomonas putidaに感染するバクテリオファージの作用を受ける前の電極の同じ表面を示している。
【図3】コントロールの溶液、またはPseudomonas putidaに感染するバクテリオファージを含んでいる溶液中において、図1のチップ上に成長したバイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化を示すグラフである。
【図4】界面におけるモデルのバイオフィルムの静電容量の値(Cb)に使用される電気的な等価回路を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の細菌宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および/または定量化するための方法であって、
a)電気インピーダンスを測定するための手段を備えた装置の作用電極(2)の表面に、少なくとも1つの宿主株から得られた細菌を付着させる工程と、
b)バクテリオファージを含み得る分析対象の材料の溶液に対して、電極(2)および付着した細菌を曝露する工程と、
c)所定の条件において、該細菌がバクテリオファージに感染されている場合に、該電極に付着した細菌の溶解が行われるように、該電極(2)とともに該工程b)の該溶液をインキュベートする工程と、
d)該工程c)のインキュベートを実施しながら該溶液の電気インピーダンスの変化を測定する工程と、
e)
e−i)電気的な等価回路において、該インピーダンスの値の変化に基づいて、電極と細菌との界面における静電容量の値の変化を決定する工程、または、
e−ii)該インピーダンスの値の変化に基づき、該宿主株に応じた所定の周波数での該仮想インピーダンス成分の大きさの変化値を決定する工程と、
f)該静電容量の値の変化または該仮想インピーダンス成分の大きさの変化と該溶液のバクテリオファージ濃度との相関を表す対応する較正曲線を用いて、該静電容量の値の変化、または該仮想インピーダンス成分の大きさの変化に基づき、該溶液中のバクテリオファージの存在または濃度を決定する工程と、
を包含していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記工程a)における前記細菌の付着は、前記電極(2)の表面上での、少なくとも1つの宿主株の細菌のバイオフィルム(4)の形成を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程e−i)は、前記電極(2)へ付着する前記バイオフィルムの静電容量の値(Cb)の変化を決定することを含んでおり、該静電容量の値(Cb)が、前記界面において前記バイオフィルム(4)が形成する電気的な等価回路のパラメータであり、
該工程e−i)の次の工程f)では、バクテリオファージの存在または濃度が、該バイオフィルム(4)の静電容量の値(Cb)の変化に基づいて決定され、該静電容量の値の変化が、前記溶解の結果であるバイオフィルム(4)の変質と相関することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオフィルム(4)が、少なくとも25ミクロンの厚さ、または少なくとも104PFU/ml(プラーク形成単位)の細菌の濃度を有することを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記工程a)における前記バイオフィルム(4)の形成は、前記宿主株からの細菌を含んでいる培地に作用電極(2)を作用させることと、該宿主株に応じた所定の期間、該作用電極(2)を同時に分極させることとを含んでいることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記工程a)における前記細菌の付着は、前記電極(2)の表面上に該細菌を固定化するための化合物を吸着させることによって、該電極(2)の表面を予め官能基化させておくことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記作用電極(2)が、電気インピーダンス測定を行うための少なくとも1つの他の電極(3)を備えるマイクロ電子装置(1)の材料基質に統合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
所定の細菌宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および/または定量化するためのシステムであって、
電気インピーダンス測定を行う少なくとも2つの電極(2,3)を備えたマイクロ電子センサ装置(1)と、
該電極(2)の少なくとも1つの表面に付着した少なくとも1つの宿主株に由来する細菌と、
等価回路における該電極と細菌との界面の静電容量の値の変化、または該宿主株に基づく所定の周波数における仮想インピーダンス成分の大きさの変化を決定する、処理および制御の手段と、
を有しており、
該静電容量の値の変化、または該仮想インピーダンス成分の大きさの変化は、該電極(2)上に付着した細菌がバクテリオファージに感染され、該細菌が溶解した結果生じるものであることを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記細菌が前記電極(2)の表面に接着される細菌のバイオフィルム(4)の一部を形成し、前記処理および制御の手段が、前記界面における静電容量の値(Cb)の変化を決定するか、または前記仮想インピーダンス成分の大きさの変化を決定し、該静電容量の値(Cb)の変化、または該仮想インピーダンス成分の大きさの変化が、前記細菌が溶解した結果である該バイオフィルム(4)の変質と相関することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
電気的インピーダンスの変化を測定するための少なくとも1対の電極(2、3)を備えたマイクロ電子装置であって、該電極(2)の少なくとも1つの表面上に付着した細菌のバイオフィルム(4)を有しており、該バイオフィルム(4)の細菌が宿主株に由来し、該宿主株が、該宿主株への所定の特異性を有するバクテリオファージに感染され得るものであることを特徴とするマイクロ電子装置。
【請求項11】
前記バイオフィルム(4)が、少なくとも25ミクロンの厚さ、または少なくとも104PFU/ml(プラーク形成単位)の細菌の濃度の前記宿主株を有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記マイクロ電子装置(1)がセンサチップであることを特徴とする請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
電気化学的インピーダンス分光法を用いて、所定の細菌宿主株に感染することができるバクテリオファージを検出および定量化するために、材料基質に統合された少なくとも1対の電極(2,3)を備えたマイクロ電子センサ装置(1)の使用。
【請求項14】
前記装置が、該装置の表面に付着した細菌のバイオフィルム(4)を有し、前記宿主株の少なくとも1つに由来する該バイオフィルム(4)の細菌、および該バイオフィルムが、少なくとも25ミクロンの厚さ、または少なくとも104PFU/ml(プラーク形成単位)の細菌の濃度の該宿主株を有していることを特徴とする請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記バクテリオファージが、ソマティックコリファージ(somatic coliphages)、すなわちEscherichia coli株に感染することができるバクテリオファージ、乳酸菌株に感染することができるバクテリオファージ、またはPseudomonas putida株に感染することができるバクテリオファージであることを特徴とする請求項1に記載の方法、請求項8に記載のシステム、請求項10に記載のマイクロ電子装置、または請求項13に記載のマイクロ電子装置の使用。
【請求項16】
分析される材料溶液が水試料であることを特徴とする、請求項1に記載の方法、請求項8に記載のシステム、請求項10に記載のマイクロ電子装置、または請求項13に記載のマイクロ電子装置の使用。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−517559(P2011−517559A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500243(P2011−500243)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070066
【国際公開番号】WO2009/115633
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(593005895)コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス (67)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS
【出願人】(510250076)ウニヴェルシダッド デ バルセロナ (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDAD DE BARCELONA
【住所又は居所原語表記】Gran Via de les Corts Catalanes,585,E−08007 Barcelona,Spain
【Fターム(参考)】