説明

扇形表示装置

【課題】複数の短冊状部材毎に表示素子を設ける場合において、配線パターンの複雑化を防止して製造コストの増加を抑制することが可能な扇形表示装置を提供する。
【解決手段】扇形表示装置1は、それぞれに表示素子10Aを有する複数の短冊状部材2と、複数の短冊状部材2からなる集合体4を扇形状に開閉可能に接続する回転軸3と、表示素子10Aを表示制御する制御部20と、を備える扇形表示装置1である。複数の短冊状部材2はそれぞれに表示素子10Aに接続する配線パターン20Aを有している。配線パターン20Aは、回転軸3を介して制御部20に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、扇形状に形成された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄膜平面ディスプレイを用いた扇形表示装置の開発が進められている。
【0003】
このような扇形表示装置の中には、ディスプレイを蛇腹状に折り曲げてコンパクトに収納することが可能な扇形表示装置がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−85165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す扇形表示装置では、収納する毎にディスプレイに折り曲げ力が作用しディスプレイが破損させるおそれがあった。
【0005】
そこで、現在、扇形状を形成する各短冊部材に表示素子をそれぞれ分離して設けた扇形表示装置の開発が検討されている。しかし、この場合には、短冊部材毎に設けられたディスプレイを形成する表示素子毎に制御部まで電気的に接続する必要があり、配線パターンが複雑化し製造コストの増加を招くという問題があった。
【0006】
そこで、本発明に係る扇形表示装置では、複数の短冊状部材毎に表示素子を設ける場合において、配線パターンの複雑化を防止して製造コストの増加を抑制することが可能な扇形表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の扇形表示装置は、それぞれに表示素子を有する複数の短冊状部材と、複数の短冊状部材からなる集合体を扇形状に開閉可能に接続する回動用部材と、表示素子を表示制御する制御手段と、を備える扇形表示装置である。複数の短冊状部材は、それぞれに表示素子に接続する配線パターンを有している。配線パターンは、回動用部材を介して制御手段に接続する。
【0008】
ここでは、複数の短冊状部材を扇形状に開閉する扇形表示装置において、配線パターンは、回動用部材を介して制御手段に接続されている。このため、複数の短冊状部材毎に表示素子を設けても各短冊状部材にそれぞれ設けられた表示素子から伸びる配線パターンの複雑化を防止することができる。
【0009】
この構成において、複数の短冊状部材は互いに回動方向に対して分離可能な形状に形成されていても良い。これにより、各短冊状部材が回動方向に対して分離可能な形状に形成されている場合においても、回動用部材を介して各短冊部状部材を回動させることができる。
【0010】
また、集合体を扇形状に開いたときに、全ての表示素子で形成される表示領域は四角形状となるように設定されていても良い。これにより、扇形に複数の短冊状部材を開いたときに、各表示素子によって四角形状の表示領域を形成することができる。
【0011】
なお、表示素子は有機ELによって形成されていても良い。これにより、有機ELによって、映像を表示させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、複数の短冊状部材に表示素子を分離して設ける場合において、製造コストの増加を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、この発明の一実施形態に係る扇形表示装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る扇形表示装置1全体の構成を示す正面図である。図2は、側面視における扇形表示装置1の構成を示す図である。図3は、図1に示す扇形表示装置1の短冊状部材2を収納した状態を示す図である。図4は、図2に示す領域Aの構成について説明する模式図である。図5は、図1に示す各短冊状部材2のうち、中央に位置する短冊状部材2の正面視における構成を模式的に示す図である。
【0015】
扇形表示装置1は、複数の短冊状部材2、回転軸3、表示部10、制御部20、を備えている。
【0016】
図2に示すように、複数の短冊状部材2は、積層された状態で集合体4を形成している。各短冊状部材2は互いに分離して形成されており、それぞれほぼ同一の形状となっている。図5に示すように、各短冊状部材2の下端部には、回転軸3を積層方向に貫通させるために孔3Aが形成されている。また、各短冊状部材2には、右上側端に係止部2Aが形成されており、背面側の左上側端に係止部2Bが形成されている。また、回転軸3は、各短冊状部材2の下端部に形成された孔3Aを貫通するように配置されており、各短冊状部材2の積層方向と直交する方向、すなわち回転軸3の円周方向に各短冊状部材2を回動可能に支持している。そして、背面側の短冊状部材2を回転軸3の円周方向に引き出すことにより、図3に示す閉じた状態から図1に示す開いた状態へと、背面側に位置する短冊状部材2から順に各短冊状部材2を扇状に展開させることができる。ここで、図1に示すように各短冊状部材2を扇状に展開したときに、各短冊状部材2は、係止部2A、2Bによって係止された状態で保持される。そのため、正面視において左側に位置する短冊状部材2の右側端と、右側に位置する短冊状部材2の左側端は互いにわずかに重なり合った状態に保持される。
【0017】
ここで、各短冊状部材2に形成されている係止部2A、2Bについてより具体的に説明する。図4および図5に示すように、係止部2Aは、各短冊状部材2の正面側の右上側端近傍に形成されている。一方、係止部2Bは、各短冊状部材2の背面側の左上側端近傍に形成されており、各短冊状部材2を扇状に展開したときに、背面側に位置する短冊状部材2に形成された係止部2Aとそれぞれ係止する。これにより、各短冊状部材2を扇状に展開するときに、背面側に位置する短冊状部材2に形成された係止部2Aと正面側に位置する短冊状部材2の係止部2Bが係止することで、各短冊状部材2が順次回転軸3の円周方向へと引き出される。
【0018】
なお、扇形表示装置1では、各短冊状部材2は互いに分離している例を挙げて説明したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各短冊状部材2は互いに繋がっており、各短冊状部材2を蛇腹状に折り曲げて収納するようにしても良い。この場合にも、本実施形態と同様の効果を得ることができる。但し、各短冊状部材2を互いに分離させておくことで、例えば、ユーザが片手で扇形表示装置1を回転軸3の円周方向に振るだけで各短冊状部材2を広げることができるといった効果を得ることもできる。このため、本実施形態のように各短冊状部材2を互いに分離させておくほうが使い勝手が良くより好ましい。
【0019】
表示部10は、複数の短冊状部材2毎に、その表面に設けられている全ての表示素子10Aによって形成される表示領域である。ここで、本実施形態において、表示素子10Aは有機EL(ElectroLuminescence)によって形成されている。なお、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、用途や、製造コスト等に応じて、有機ELの代わりにLED(Light Emitting Diode)やLCD(Liquid Crystal Display)や電子ペーパを表示素子10Aとして用いても良い。
【0020】
ここで、図1に示すように、複数の短冊状部材2の表面にそれぞれ設けられている表示素子10Aは短冊状部材2を扇状に展開したときに、扇面の中央部に四角形状の表示部10を形成するように各短冊状部材2の正面側の表面に配置されている。なお、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、扇面の全体を覆うように表示部10を形成しても良い。また、表示部10は扇面の正面側と背面側の両方に形成しても良い。また、表示部10を四角形状にする代わりに、丸形のディスプレイを形成しても良い。
【0021】
制御部20は、図1に示すように、正面視において右端に位置する短冊状部材2に内蔵されており、表示部10の表示を制御する。制御部20は、制御部20に記録されている映像を表示部10に表示させる。なお、例えば、制御部20にさらに外部からの入力端子を設けてSDカード等の記録メディアや、LANケーブル、USBケーブル等を介してPC等からの入力に対応させるといったことも考えられる。この場合には、外部から入力された映像や画像等を表示部10に表示させることができる。また、本実施形態では、制御部20に含まれる内蔵電源から表示部10へ電力を供給するが、例えば、上記と同様に入力端子を制御部20に設けて外部から電力を供給するようにしても良い。
【0022】
また、各短冊状部材2は、表示素子10Aと制御部20とを接続する配線パターン20Aをそれぞれ有している。各配線パターン20Aは、各短冊状部材2の内部に配置されている。ここで、表示素子10Aと制御部20とを接続する配線パターン20Aについてより具体的に説明すると以下の通りである。
【0023】
各短冊状部材2に設けられている配線パターン20Aは、各短冊状部材2の内部において表示素子10Aから回転軸3へと延びている。そして、図1に示すように、各配線パターン20Aは回転軸3で合流してから制御部20へと延びている。
【0024】
このため、複数の短冊状部材2にそれぞれ表示素子を分離して設ける場合において、各短冊状部材2にそれぞれ設けられた表示素子10Aから延びる配線パターンが複雑化するのを防止している。これにより、製造コストの増加を抑制することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、各短冊状部材2に設けられた表示素子10Aから延びる各配線パターン20Aは回転軸3へと延びて全て合流するように配置されている例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御部20が内蔵されている短冊状部材2の配線パターンについては、表示素子10Aから制御部20へ直接延びる配線パターンを設けても良い。この場合にも本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
なお、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】扇形表示装置全体の構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す扇形表示装置の構成を示す側面図である。
【図3】図1に示す扇形表示装置において各短冊状部材を収納した状態を示す図である。
【図4】図2に示す領域A付近の構成を模式的に示す図である。
【図5】短冊状部材の正面視における構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 扇形表示装置
2 短冊状部材
3 回転軸
4 集合体
10 表示部
10A 表示素子
20 制御部
20A 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに表示素子を有する複数の短冊状部材と、前記複数の短冊状部材からなる集合体を扇形状に開閉可能に接続する回動用部材と、前記表示素子を表示制御する制御手段と、を備える扇形表示装置であって、
前記複数の短冊状部材は、それぞれに前記表示素子に接続する配線パターンを有し、
前記配線パターンは、前記回動用部材を介して制御手段に接続する、
扇形表示装置。
【請求項2】
前記複数の短冊状部材は、互いに回動方向に対して分離可能な形状に形成されている、
請求項1に記載の扇形表示装置。
【請求項3】
前記集合体を扇形状に開いたときに、全ての前記表示素子で形成される表示領域は四角形状となるように設定されている、
請求項1または2に記載の扇形表示装置。
【請求項4】
前記表示素子は、有機ELによって形成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の扇形表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−304591(P2008−304591A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150152(P2007−150152)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】