説明

手すり付きベンチ

【課題】 室内における各種動作の妨げとなることが無く、しかも、ベンチや手すりとして効果的に用いることのできる手すり付きベンチの提供
【解決手段】 壁80の下部突出部50に回動可能に設けたベンチプレート10と、壁80の上部突出部40に回動可能に設けた一対の上部アーム20とを備え、ベンチプレート10の両側部10dの先端側10d’と、このベンチプレート10の各側部10dに対応している上部アーム20の先端側20b’とに枢支される縦向きの手すりバー30を備えており、この各手すりバー30が、前記ベンチプレート10を横向きにした際に下端30cを歩行面Mに接し得るようにしてあり、かつ、ベンチプレート10を縦向きに維持し得るように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、居住空間を利用する日常的な各種動作を妨げること無く、しかも、各種動作をベンチに座って都合良くなし得ると共に、当該ベンチへの立ち座りに都合が良い縦手すりを備えており、しかも、壁面に沿った縦手すりとしても都合良く用い得るようにした手すり付きベンチの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関先における履き物の脱着や、脱衣所における衣服の脱着などベンチに座って行うことが無難な各種動作が日常生活において頻繁に見受けられる。
【0003】
このように各種動作を容易、且つ、円滑になし得るベンチは、居住空間に十分なゆとりのある場合は、さておき、一般的な家庭における玄関口や脱衣所に設置する場合、玄関における本来の往来動作の妨げとなり、また、脱衣所における快適な脱衣動作の妨げとなる不具合があった。
【0004】
かかる点から壁に備えられているベンチを、その不使用時にあっては、当該壁に沿うように起立または垂下状態にして、当該壁に沿うように収納する手段が講じられている。
【0005】
しかしながら、この種ベンチにあっては、当該ベンチに対する立ち座りに都合の良い縦手すりを必要とする場合が多く、この壁面から突き出し出し状態に備えられているベンチに都合の良い立ち座り用の縦手すりを設置することが難しかった。
【0006】
かかる点から、ベンチを用いる際の立ち座りには、壁面に備えられている縦手すりを用いる必要があり、ベンチに対する立ち座りに際して、ベンチに座る向きと異なる向きで縦手すりを用いる必要があり、当該縦手すりを用いたベンチに対する立ち座りに不具合があった。
【0007】
また、玄関口、例えば、上がり框部分において、履き物の脱着のために用いられるベンチと当該上がり框の段差を上り下りするために用いられる縦手すりとは、必要とされる設置位置が互いに重なりあって、都合の良い位置に当該ベンチと縦手すりとを設け難い不具合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明が解決しようとする主たる課題は、居住空間の日常的な動作の妨げとなることが無く、しかも、必要に応じてベンチとしてセットし得ると共に、このベンチに対する立ち座りに都合の良い縦手すりを握り用い易い位置に備えたベンチとし、さらに、壁面に備えられる通例の縦手すりとしても都合良く用い得る手すり付きベンチを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は前記課題を解決するために、壁から突き出されている下部突出部に回動可能に備えられているベンチプレートと、
当該壁から突き出されている上部突出部に回動可能に備えられている一対の上部アームとを備えていると共に、
前記ベンチプレートの両側部の先端側と、このベンチプレートの各側部に対応して上方に備えられている前記上部アームの先端部とに枢支されるように備えられている縦向きの手すりバーを備えており、
この各手すりバーが、前記ベンチプレートを横向きにした際に下端を歩行面に接し得るようにしてあると共に、
当該ベンチプレートを縦向きに維持し得るようにしてあることを特徴とする手すり付きベンチとしてある。
【0010】
このように構成される手すり付きベンチにあっては、当該ベンチを用いる際にベンチプレートを横向きの状態にして効果的に用い得ると共に、ベンチプレートを用いない際には、当該ベンチプレートを縦向きに起立状態として壁面に沿わせるように位置づけることによって、居住空間において要請される各種動作の妨げとならないようにすることができる。
【0011】
また、このベンチとして横向きにして用いる際に、当該ベンチプレートに対する立ち座りに都合の良い位置に縦手すりが位置づけられるように機能し、ベンチプレートに対する立ち座りに際して、逐一身体の向きを変更する必要に迫られることがない。
【0012】
また、ベンチプレートを縦向きに起立状態に維持した際には、前記縦手すりが壁面に沿った縦手すりとして機能し、各種立ち上がりや、屈み込み動作や、上がり框部分における段差の上り下り動作等に際して都合良く用いることができる。
【0013】
ついで、前記構成に係る手すり付きベンチにあって、前記ベンチプレートの先端縁に沿って長孔が設けてあると共に、この長孔縁と先端縁との間が横手すり部としてあることを特徴とする手すり付きベンチでは、前記特長に併せて、当該ベンチプレートを縦向きに維持した際に、このベンチプレートに備えられている横手すり部を握って各種動作をなすことができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明にかかる手すり付きベンチは、ベンチプレートに対する立ち座りに都合の良い位置に縦手すりを備えていると共に、ベンチを用いる必要の無い際には、容易に、当該ベンチプレートを壁面に沿って縦向きに維持し、居住空間における通常の動作の妨げとならないようになし得ると共に、効果的に用い得る壁面に沿った縦手すりとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1〜図9にもとづいて当該発明を実施するための最良の形態に係る手すり付きベンチAについて説明する。
【0016】
この図1〜図9は、当該発明を実施するための最良の形態に係る典型的な手すり付きベンチAを示すものであって、図1では、壁80に備え付けられている当該手すり付きベンチAのベンチプレート10を横向きにして用いている状態を、また、図2では、このベンチプレート10を縦向きにして壁80に沿わせた状態を、それぞれ斜め上方から見て示している。図3では、当該手すり付きベンチAを構成する各部品を分離した状態を斜め上方から見て示している。
図4では、この手すり付きベンチAを上方から見た状態を、図5では、この手すり付きベンチAを中間部、特に、ベンチプレート10よりも上方の位置において切断して下方を見た状態を、図6では、ベンチプレート10を横向きにして用い得る状態にした際の要部を断面して、図7では、このベンチプレート10を回動させながら起立させて、その起立状態を縦向き維持手段70によって維持している状態の要部を断面して、図8では、この縦向きに維持されているベンチプレート10の当該縦向き維持手段70の掛合を解いている状態を要部を断面して、図9では、縦向き維持手段70相互の掛合が解かれてベンチプレート10を壁80から前方に向けて水平位置まで回動状態で引き出す状態の要部を断面して、それぞれ示している。
【0017】
ここで図1〜図9に示される当該発明を実施するための最良の形態に係る典型的な手すり付きベンチAは、 壁80から突き出されている下部突出部50に回動可能に備えられているベンチプレート10と、
当該壁80から突き出されている上部突出部40に回動可能に備えられている一対の上部アーム20、20とを備えていると共に、
前記ベンチプレート10の両側部10d、10dの先端側10d’と、このベンチプレート10の各側部10d、10dに対応して上方に備えられている前記
上部アーム20の先端側20b’とに枢支されるように備えられている縦向きの手すりバー30を備えており、
この各手すりバー30、30が、前記ベンチプレート10を横向きにした際に下端30cを歩行面Mに接し得るようにしてあると共に、
当該ベンチプレート10を縦向きに維持し得るように構成してある。
【0018】
このように構成される手すり付きベンチAにあっては、当該ベンチAを用いる際にベンチプレート10を横向きの状態にして効果的に用い得ると共に、ベンチプレート10を用いない際には、当該ベンチプレート10を縦向きに起立状態として壁80面に沿わせるように位置づけることによって、居住空間において要請される各種動作の妨げとならないようにすることができる。
【0019】
また、このベンチAとして横向きにして用いる際に、当該ベンチプレート10に対する立ち座りに都合の良い位置に縦手すりが位置づけられるように手すりバー30を位置づけ、ベンチプレート10に対する立ち座りに際して、逐一身体の向きを変更する必要に迫られることがない。
【0020】
また、ベンチプレート10を縦向きに起立状態に維持した際には、前記手すりバー30が壁80面に沿った縦手すりとして機能し、各種立ち上がりや、屈み込み動作や、上がり框82部分における段差の上り下り動作等に際して都合良く用いることができる。
【0021】
なお、前記壁80に備えられる上部突出部40並びに下部突出部50は、当該各突出部40、50に接するように起立状態に維持される各手すりバー30と、ベンチプレート10における横手すり部12とが、壁80の面から所定の間隔を離して備えられ得るものであれば、いかなる形態に構成してあっても、また、いかなる素材によって構成してあってもよい。また、かかる各突出部40、50は、当該壁80に対して、前記手すり付きベンチAを構成するために備え付けたものであっても、また、他の目的のもとに当該壁80に備えられているものであってもよい。
【0022】
なお、前記起立状態に回動されて壁80に沿うように位置づけられるベンチプレート10を縦向きに維持する維持手段70は、このベンチプレート10を縦向きに維持し得るものであれば、いかなる構成からなるものであってもよく、このベンチプレート10自体を前記下部突出部50、壁80等に掛脱可能に掛合させるようにしてあっても、また、当該手すり付きベンチAを構成する各部材、例えば、手すりバー30、上部アーム20等の任意の構成部材を前記突出部40、50、壁80等に掛脱可能に掛合させるようにしてあっても、さらには、この手すり付きベンチAを構成する各部材相互、例えば、前記手すりバー30と上部アーム20相互を平行状態に組み付け保持するようにしてあってもよい。
【0023】
なお、この手すり付きベンチAを構成する各手すりバー30は、壁80に対して平行をなすように備えられてベンチプレート10を横向きに支持し、しかも、当該ベンチプレート10を起立方向に向けて回動した際に、当該壁80の面に沿うようになし得るものであれば、いかなる形態からなるものであっても、また、いかなる素材によって構成してあってもよい。
【0024】
ついで、前記構成に係る手すり付きベンチAにあって、前記ベンチプレート10の先端縁10cに沿って長孔11が設けてあると共に、この長孔11の縁と先端縁10cとの間が横手すり部12としてあることを特徴とする手すり付きベンチAでは、前記特長に併せて、当該ベンチプレート10を縦向きに維持した際に、このベンチプレート10に備えられている横手すり部12を握って各種動作をなすことができる。
【0025】
このように構成される手すり付きベンチAは、当該手すり付きベンチAを玄関の壁80に備え付けることによって上がり框82を備えた玄関口における当該上がり框82部分における上がり下りの動作や、当該部分における履物の脱ぎ履き等に都合良く用いることができる。また、前記構成の手すり付きベンチAを脱衣所の壁80に備え付けることによって、当該脱衣所における衣服の脱着等に際して都合良く用いることができる。
【0026】
かかる手すり付きベンチAは、前記の場所に限られること無く、ベンチに座っての各種動作を要し、しかも、当該ベンチに対する立ち座りに際して縦手すりを必要とされる任意の壁80部分に設置して効果的に用いることができる。
【0027】
ついで図1〜図9に示される典型的な手すり付きベンチAについて具体的に説明する。
この実施例に係る手すり付きベンチAは、壁80から突き出されている下部突出部50に回動可能に備えられているベンチプレート10と、当該壁80から突き出されている上部突出部40に回動可能に備えられている一対の上部アーム20とを備えていると共に、前記ベンチプレート10の両側部10d,10dの先端側10d’と、このベンチプレート10の各側部10d、10dに対応して上方に備えられている前記上部アーム20の外側部20bの先端側20b’とに枢支されるように備えられている縦向きの手すりバー30を備えており、この各手すりバー30が、前記ベンチプレート10を横向きにした際に下端30cを歩行面Mに接し得るようにしてあると共に、当該ベンチプレート10を縦向きに維持し得るように構成してある。
【0028】
この図示例に係る手すり付きベンチAは、当該手すり付きベンチAを玄関の壁80に備えたものであって、当該手すり付きベンチAを構成するベンチプレート10が横向きの状態、より具体的には、水平の状態において上がり框82を跨るように、すなわち、前記ベンチプレート10の各側部10d、10dの先端側10d’に軸部材60によって回動可能に枢支されている手すりバー30の一方の下端30cが歩行面Mをなす玄関土間81に、他方の下端30cが歩行面Mをなす玄関フロアー83にそれぞれ接地するように設けてあり、この上がり框82上に設置されるベンチプレート10を用いて、当該上がり框82部分での履物の脱ぎ履きに都合が良く、しかも、当該ベンチプレート10に対する立ち座りに都合の良い手すり付きベンチAを構成してある。
【0029】
また、かかる位置に手すり付きベンチAを設けることによって、玄関における上がり框82部分にもたらされる段差の上がり下りを、当該壁80に寄せ付けられた手すりバー30を用いることによって容易且つ確実になすことができる。
【0030】
ここで手すり付きベンチAのベンチプレート10と各上部アーム20とが組み付けられる下部突出部50と上部突出部40とは、壁80の面から一定の間隔を離して備えられている前面40’b、50’bがそれぞれ同一の仮想の面内に位置するように当該壁80に適宜の手段によって止着してあり、この下部突出部50に備えられるベンチプレート10と上部突出部40に備えられる上部アーム20の回動軸線が同一の仮想の面内に位置するようにしてある。
【0031】
より具体的には、縦長の直方体状ブロック体40’からなる上部突出部40と、横長の直方体状ブロック体50’からなる下部突出部50を同一の厚さのものとして用意し、この下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’を、当該ブロック体50’の長手側を壁80面に横向きにして、ベンチプレート10の据え付け高さに当該ブロック体50’の下端部を位置づけるように、前記上がり框82を跨るように壁80に止着する。
【0032】
このように壁80に取り付けられた下部突出部50の上方にある壁80面に対して、上部突出部40を構成する直方体状ブロック体40’を止着する。この下部突出部50の上方に備えられる上部突出部40をなす直方体状ブロック体40’は、前記下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’における垂直の各側端面50’aと同一の仮想面内に垂直な外側面40’aを位置づけるように壁80に組み付けてある。
【0033】
また、この上部突出部40を構成する各直方体状ブロック体40’、40’は、それぞれの下端面が、同一の水平線上に位置するように設けてあり、しかも、ベンチプレート10に対する立ち座りに際して手すりバー30を都合良く用い得る高さとなる位置に設けてある。
【0034】
このように壁80に備えられている下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’に対して、その横幅と同一の横幅を備えた直角四辺形状をなすベンチプレート10を回動可能に組み付ける。かかる下部突出部50に対するベンチプレート10の組み付けは、下部突出部50の下端部から前方に向けて突設されている複数の各軸受け片部51〜51間に、当該ベンチプレート10の取付基部側に突設してある軸受け片部13を納め入れると共に、この各軸受け片部13、51に備えられている孔14、51aに軸部材60を構成するボルト状軸61を水平状態で挿通し、当該軸61にナット62を締め込むことによってなすようにしてあり、下部突出部50に対してベンチプレート10が水平の回動軸線で回動可能に設けられている。
【0035】
また、当該下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’の上方にあって、垂直な外側面40’aを当該下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’の垂直な外側面50’aと同一の仮想の面内に位置するようにして壁80に備えられる一対の上部突出部40を構成する直方体状ブロック体40’は、縦方向に長いブロック状体としてあり、その前面40’bの横幅と同幅の平板状をなす上部アーム20を、当該各上部突出部40の前面下部に回動可能に組み付けてある。
【0036】
かかる上部アーム20は、上下に板面を備えた板状のものとしてあり、その取付基部側が二股状の分岐部21としてある。そして、この分岐部21間に上部突出部40の下端部に備えられている軸受け片部41を納め入れ、この分岐部21に備えられている孔22aと軸受け片部41に備えられている孔41aに挿通した水平向きの軸部材60を構成するボルト状軸61にナット62をねじ付けることによって、当該上部突出部40に対して上部アーム20を水平の回動軸線で回動可能に設けてある。
【0037】
このようにして、下部突出部50に回動可能に組み付けられたベンチプレート10と、上部突出部40に回動可能に組み付けられた上部アーム20とを、手すりバー30によって組み付けるようにしてある。
【0038】
この手すりバー30に対するベンチプレート10と上部アーム20の組み付けは、いずれも軸部材60を用いて回動可能の状態に組み付けてあり、ベンチプレート10における前記下部突出部50に対する回動軸線から所定の間隔を離した当該ベンチプレート10の側部10dの先端側10d’と、前記上部アーム20の上部突出部40に対する回動軸線から前記ベンチプレート10における間隔と同一の間隔を離した当該上部アーム20の外側部20bの先端側20b’とに、手すりバー30を垂直の状態で、軸部材60によって回動可能に組み付けてある。
【0039】
すなわち、前記ベンチプレート10側にあっては、このベンチプレート10の両側部10dの先端側10d’に埋設されている各埋め込みナット63に対して各座金64を介して各手すりバー30の下部側30bに設けられている孔30dから水平状態にボルト状軸61をねじ入れ、この手すりバー30、30によってベンチプレート10を挟むように回動可能に組み付ける。
【0040】
また、前記対をなす各上部アーム20の外側部20bの先端側20b’に手すりバー30を垂直状態に前記軸部材60で回動可能に設けてあり、この各手すりバー30、30によって、当該対をなす上部アーム20、20が外側から支持されるように組み付けてある。
【0041】
かかる上部アーム20と手すりバー30とは、当該上部アーム20の外側部20bの先端側20b’に埋設状態に備えられている埋め込みナット63に座金64を介して手すりバー30の上部側30aに設けられている孔30aから水平状態にボルト状軸61をねじ入れ、この上部アーム20に対して手すりバー30を回動可能に組み付けるようにしてある。
【0042】
そして、この図示例にあっては、ベンチプレート10を水平向きにした状態で、垂直状態とされている各手すりバー30は、そのそれぞれの下端30cを各歩行面M、この図示例にあっては、一方の手すりバー30の下端30cを玄関土間81に、他方の手すりバー30の下端30cを玄関フロアー83にそれぞれ接するようにしてある。
【0043】
このように構成される手すり付きベンチAは、所謂平行移動可能な枠体とされており、各手すりバー30は、随時、必要に応じて壁80から離した状態にして用いたり、壁に沿うように近接した状態にして用いることができ、このベンチプレート10の上面10aを前記下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’の前面50’bに平行にした際に、当該前面50’bに平行に起立され、垂直の状態とされる。
【0044】
このように起立状態に回動されるベンチプレート10は、当該ベンチプレート10に組み付けられている手すりバー30と共に、前記下部突出部50及び上部突出部40の突き出し幅を壁80との間に残すようにして当該壁80に沿うように寄せ付けられる。
【0045】
かかる手すりバー30及びベンチプレート10を縦向き維持手段70によって、この壁80に寄せ付けられた手すりバー30とベンチプレート10を垂直状態に維持し、この垂直状態にあり、しかも、壁80から所定の間隔を離された手すりバー30を縦手すりとして用いる。
【0046】
また、同様の態様において、ベンチプレート10に備えられている横手すり部12を用いて上がり框82部における上がり下り等に際して用いることができる。
【0047】
かかる縦向き維持手段70は、例えば、この図示例にあっては、前記下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’の前面50’bに備えられている突き出し体72の引っ掛け片部72aにベンチプレート10に備えられているスライダー71の掛合片71aを係脱可能に掛合させることによってなすことができる。
【0048】
この縦向き維持手段70を構成するスライダー71は、前記ベンチプレート10内の収納空間15内に組み入れられており、圧縮コイルバネ19によってベンチプレート10の下面に開口されている操作孔17側に向けて常時付勢されており、ストッパー18で当該操作孔17側に向けた移動が阻止されるようにしてある。この図示例にあっては、前記操作孔17がベンチプレート10の下部突出部50に対する組み付け側に設けてあり、スライダー71は、圧縮コイルバネ19によって当該ベンチプレート10の先端縁10c側から前記下部突出部50に対する組み付け基部側に向けて付勢してある。
【0049】
そして、このベンチプレート10には、その上面10a、この図示例にあっては、当該ベンチプレート10を起立した際に前記下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’の前面50’bに向き合う面に当該下部突出部50に設けられている突き出し体72を受け入れ得る位置に当該突き出し体72を受け入れる孔16が設けてあり、当該ベンチプレート10の前記収納空間15に納め入れられているスライダー71に当該孔16から受け入れられる突き出し体72を受け入れる凹部71bが設けてあり、この凹部71bにおける前記圧縮コイルバネ19の備えられている側から当該凹部71bに突き出す掛合片71aが設けてある。そして、このスライダー71に備えられている掛合片71aは、その外側の面が当該凹部71bの縁から凹部71bの底方向に傾斜するテーパ面71a’を備えた構成としてあり、このスライダー71が前記圧縮コイルバネ19によって前記ストッパー18に押し当てられた状態で、このテーパ面71a’が孔16内に位置するようにしてある。
【0050】
かかるスライダー71に掛合して、前記ベンチプレート10及び手すりバー30を縦向きに維持する維持手段70を構成する突き出し体72が前記下部突出部50を構成する直方体状ブロック体50’の前面50’bに設けてあり、この突き出し体72の前端部に上方に向けて突き出す引っ掛け片72aが設けてあり、この引っ掛け片72aの前面側が上方に向けて漸次前記前面50’bに近づくように傾斜するアール面72a’に構成してある。
【0051】
このような構成の縦向き維持手段70を備えた手すり付きベンチAにあっては、ベンチとして用いるように水平向きにされていたベンチプレート10の先端側を上方に起立させるように回動し、このベンチプレート10を当該ベンチプレート10に組み付けられている手すりバー30と共に壁80に沿うように移動した際に、前記下部突出部50に備えられている突き出し体72が前記孔16からスライダー71の凹部71bに受け入れられ、このスライダー71における掛合片71aのテーパ面71a’に接する当該突き出し体72における引っ掛け片72aのアール面72a’によって当該スライダー71を圧縮コイルバネ19の付勢に抗して移動させ、ついで、当該アール面72a’とテーパ面71a’との当接が無くなった位置で、図7に示されるように圧縮コイルバネ19の付勢によって互いに係合状態とされる。
【0052】
このように突き出し体72の引っ掛け片72aとスライダー71の掛合片71aとを係合状態にすることによって、図2に示されるように、ベンチプレート10と上部アーム20と手すりバー30とをそれぞれ下部突出部50及び上部突出部40の壁80からの突き出し寸法分、当該壁80から離した状態で当該壁80に対して平行な状態で起立状態に維持することができる。
【0053】
このような状態にある手すり付きベンチAは、ベンチプレート10が歩行等の妨げとなることが無く、しかも、このベンチプレート10における横手すり部12を、所謂、横手すりとして効果的に用いることができる。
【0054】
また、各手すりバー30は、前記下部突出部50及び上部突出部40の存在によって、当該手すりバー30を縦手すりとして用いるのに都合の良い間隔を壁80から離して備えられ、縦手すりとして各種の動作に用いることができる。
【0055】
このように縦向きに維持されているベンチプレート10は、図8に示されるように操作孔17からスライダー71を前記圧縮コイルバネ19の付勢に抗して内方に押し込み、当該スライダー71と突き出し体72との係合を解除することによって、図9に示されるように水平向きに移動される。
【0056】
このようにベンチプレート10を水平向きに移動することに伴って同時に前方に移動される手すりバー30の下端30cが玄関土間81と玄関フロアー83等の歩行面Mによって支持され、図1に示されるように、ベンチプレート10を水平にして、水平の座面を備え、しかも、このベンチプレート10の各側部10d、10dの先端側10d’に、それぞれ垂直に起立している手すりバー30を備えた手すり付きベンチAとして用いることができる。
【0057】
かかる手すり付きベンチAにあっては、当該ベンチAの使用のための立ち座りに際して前記手すりバー30を効果的に用いることができると共に、当該ベンチAに座って履物を容易に、履いたり、脱いだりすることができる。
【0058】
また、当該手すり付きベンチAは、これを脱衣所、寝室、廊下等、各種の居住空間にある壁に沿って設け、ベンチとして用いたり、手すりとして用いることができ、例えば、ベンチとして用いる際には、当該ベンチに対する立ち座りに際して手すりバー30を効果的に用いることができる。また、この手すり付きベンチAにおけるベンチプレート10を壁80に沿うように起立状態にすることによって、当該手すりバー30を縦手すりとして用い得ると共に、ベンチプレート10の横手すり部12を当該縦手すりに連続する横手すりとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】典型的な手すり付きベンチを備えた一適用例を、当該ベンチを用いている状態で示した斜視図
【図2】同手すり付きベンチのベンチプレートを縦向きに維持した状態を示す斜視図
【図3】同手すり付きベンチの部品分離斜視図
【図4】同壁に備えられた手すり付きベンチの平面図
【図5】同平断面図
【図6】同ベンチプレートを横向にした際の要部縦断面図
【図7】同ベンチプレートを縦向きに維持した際の要部縦断面図
【図8】同縦向きにされているベンチプレートの縦向き維持を解除する状態を示す要部縦断面図
【図9】同起立状態にあったベンチプレートを横向にする一態様を示す要部縦断面図
【符号の説明】
【0060】
A 手すり付きベンチ
M 歩行面
10 ベンチプレート
12 横手すり部
20 上部アーム
30 手すりバー
40 上部突出部
50 下部突出部
70 縦向き維持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁から突き出されている下部突出部に回動可能に備えられているベンチプレートと、
当該壁から突き出されている上部突出部に回動可能に備えられている一対の上部アームとを備えていると共に、
前記ベンチプレートの両側部の先端側と、このベンチプレートの各側部に対応して上方に備えられている前記上部アームの先端部とに枢支されるように備えられている縦向きの手すりバーを備えており、
この各手すりバーが、前記ベンチプレートを横向きにした際に下端を歩行面に接し得るようにしてあると共に、
当該ベンチプレートを縦向きに維持し得るようにしてあることを特徴とする手すり付きベンチ。
【請求項2】
前記ベンチプレートの先端縁に沿って長孔が設けてあると共に、この長孔縁と先端縁との間が横手すり部としてあることを特徴とする請求項1に記載の手すり付きベンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−174998(P2006−174998A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370928(P2004−370928)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】