手摺り装置
【課題】手摺りを取付ブラケットに取付ける取付作業の容易化を図る。
【解決手段】壁2に取付ける取付ブラケット3A,3Bと、取付ブラケット3A,3Bに取付ける手摺り4とを備え、手摺り4は手摺長手方向Aに沿って設けた係合溝21を備え、係合溝21は手摺長手方向Aに直交する方向に開口する開口溝22を備え、取付ブラケット3A,3Bは、開口溝22から係合溝21に挿入される固定部材32と、手摺り4に接当することにより該手摺り4に対する取付ブラケット3A,3Bの固定部材挿入方向Eへの移動を規制する規制部29aとを備え、固定部材32は、係合溝21に挿入した後に回動することにより係合溝21内に設けられた係合面12aに係合して係合溝21からの反挿入方向への抜け止めがなされ、且つ、固定部材32を反挿入方向へ移動させて係合面12aに押付けることにより手摺り4を取付ブラケット3A,3Bに固定する。
【解決手段】壁2に取付ける取付ブラケット3A,3Bと、取付ブラケット3A,3Bに取付ける手摺り4とを備え、手摺り4は手摺長手方向Aに沿って設けた係合溝21を備え、係合溝21は手摺長手方向Aに直交する方向に開口する開口溝22を備え、取付ブラケット3A,3Bは、開口溝22から係合溝21に挿入される固定部材32と、手摺り4に接当することにより該手摺り4に対する取付ブラケット3A,3Bの固定部材挿入方向Eへの移動を規制する規制部29aとを備え、固定部材32は、係合溝21に挿入した後に回動することにより係合溝21内に設けられた係合面12aに係合して係合溝21からの反挿入方向への抜け止めがなされ、且つ、固定部材32を反挿入方向へ移動させて係合面12aに押付けることにより手摺り4を取付ブラケット3A,3Bに固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物等の壁に取り付けられる取付ブラケットと、この取付ブラケットに取り付けられる手摺りとを備えた手摺り装置であって、前記手摺りが、芯材と該芯材を被覆する樹脂製のカバーとから構成された手摺り装置がある。
この種の手摺り装置を壁に取り付けるのに、取付ブラケットを壁に取付固定した後に取付ブラケットに手摺りの芯材を固定し、その後、樹脂製のカバーをバーナー等の熱によって軟化させて芯材に取り付けるという施工方法があるが、この施工方法では、カバーを芯材に取り付ける作業が現場作業となり、現場での手摺り装置の取付作業が大変であるという問題があった。
【0003】
そこで、芯材にカバーを取り付けた状態の手摺りを現場にて取付ブラケットに取り付け得るように構成されている手摺り装置がある(特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の手摺り装置は、手摺りは手摺長手方向に沿って設けられた係合溝を備え、この係合溝は長手方向端部が開口状とされると共に、手摺長手方向に直交する方向で且つ下方に向けて開口する開口溝を備えており、また、取付ブラケットは、前記係合溝に長手方向にスライド自在に内嵌される固定部材を備え、この固定部材には該固定部材に下方側からねじ込まれたスライド固定ネジが設けられている。
【0004】
この手摺り装置にあっては、取付ブラケットの固定部材を手摺りの長手方向の端部から係合溝内に挿入し、該固定部材を係合溝内部の所望位置に移動させ、該所望位置にて固定ネジをねじ込むことにより、固定ネジの先端が係合溝の上面に接当すると共に固定部材が係合溝の下面に押し付けられることにより取付ブラケットに手摺りが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−151588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の手摺り装置にあっては、取付ブラケットの固定部材を手摺りの長手方向の端部から係合溝内に挿入し、該固定部材を固定したい位置にまで移動させなければならず、手摺りが非常に長いと、手摺りの取付ブラケットに対する取付作業が面倒であるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、手摺りを取付ブラケットに取り付ける取付作業の容易化を図った手摺り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、壁に取り付けられる取付ブラケットと、この取付ブラケットに取り付けられる手摺りとを備え、
前記手摺りは手摺長手方向に沿って設けられた係合溝を備え、この係合溝は手摺長手方向に直交する方向に開口する開口溝を備え、
前記取付ブラケットは、前記開口溝から前記係合溝に挿入される固定部材と、手摺りに接当することにより該手摺りに対する取付ブラケットの固定部材挿入方向への移動を規制する規制部とを備え、
前記固定部材は、回動自在とされていて係合溝に挿入した後に回動することにより係合溝内に設けられた係合面に係合して係合溝からの反挿入方向への抜け止めがなされ、且つ、該固定部材は反挿入方向へ移動自在とされていて該固定部材を反挿入方向へ移動させて係合面に押し付けることにより手摺りが取付ブラケットに固定されるよう構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記固定部材は挿入方向の軸心を有するネジ孔を有し、前記取付ブラケットは、固定部材を支持する支持部と、該支持部を貫通して固定部材の前記ネジ孔に螺合される固定ネジとを有し、前記固定部材は、係合溝に挿入した後に固定ネジをネジ込み方向に回動することにより回動すると共に係合溝内面に接当して前記ネジ込み方向の回動が規制され、この固定部材の前記ネジ込み方向の回動が規制された状態で、さらに固定ネジをネジ込み方向に回動することにより固定部材が係合面に押し付けられるよう構成されているのがよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取付ブラケットに手摺りを固定するための固定部材を、手摺りの係合溝内に、手摺り長手方向に直交する方向に開口する開口溝から挿入させることができるので、手摺りを取付ブラケットに手摺長手方向の所望位置で容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】手摺り装置の側面図である。
【図2】角度可変型取付ブラケットの斜視図である。
【図3】角度可変型取付ブラケットの側面図である。
【図4】(a)は角度可変型取付ブラケットの底面図、(b)は角度可変型取付ブラケットの正面図、(c)は角度可変型取付ブラケットの平面図である。
【図5】本体手摺りの取付ブラケットに対する固定部分の側面断面図である。
【図6】本体手摺りの取付ブラケットに対する固定部分の正面断面図である。
【図7】取付ブラケットの固定機構を示す平面図である。
【図8】(a)は角度不変型の取付ブラケットの平面図、(b)は角度不変型の取付ブラケットの正面図、(c)は角度不変型の取付ブラケットの側面図である。
【図9】(a)は連結手摺りの平面図、(b)は連結手摺りの側面断面図である。
【図10】(a)は連結手摺りの正面図、(b)は図9(b)のF−F線矢視断面図である。
【図11】(a)は連結手摺りの連結部分の側面断面図、(b)は連結手摺りの連結部分の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、1は建物等の壁2に設けられる手摺り装置であり、該手摺り装置1は、壁2に取り付けられる取付ブラケット3A,3Bと、この取付ブラケット3A,3Bに取り付けられる手摺り4(ハンドレール)とを備えている。
前記手摺り4は、該手摺り4の本体部分となる本体手摺り5と、該本体手摺り5同士を連結する連結手摺り6と、本体手摺り5と連結手摺り6とのジョイント部分を覆うジョイントカバー7とを有する。
【0012】
図1,図5,図6に示すように、本体手摺り5は、アルミニウム合金等の金属製の押出形材等からなる硬質の芯材8と、この芯材8を被覆する樹脂製のカバー9(笠木)とから構成されている。
この本体手摺り5の芯材8は、手摺長手方向Aと上下方向とに直交する方向(この方向を左右方向という)で対向配置された左右一対の側壁10と、この左右側壁10の上端部同士を連結する上壁11と、各側壁10の下端側から対向側に延出された左右一対の下壁12と、各側壁10と上壁11とのコーナー部分及び各側壁10と各下壁12とのコーナー部分に形成されたカバー接当壁13とを有する。
【0013】
前記芯材8は、内部に手摺長手方向Aに沿った溝14を有し、この溝14は、左右側壁10間の主溝部15と、上壁11の下面から上方側に向けて凹設された凹溝16と、左右下壁12間の溝開口部17とから構成されていて、下方側に向けて開口している。
前記凹溝16と溝開口部17の溝幅W1(左右幅)は同幅に形成されており、主溝部15の溝幅W2(左右幅)は溝開口部17の溝幅W1よりも広幅に形成されている。
また、各カバー接当壁13の外面形状は、手摺長手方向Aに直交する断面において円弧状とされている。
【0014】
本体手摺り5のカバー9は、円筒形の周方向の一部分を軸方向にわたって切り欠いてなる切欠溝18が形成された一部切欠円筒状に形成されている。
また、この本体手摺り5のカバー9は、切欠溝18が芯材8の溝開口部17と連通するように且つ内面が芯材8の各コーナー接当壁2の外面に密接するように芯材8に外嵌されている。
また、このカバー9の切欠溝18の溝幅W3は芯材8の溝開口部17の溝幅W1よりも広幅に形成されている。
【0015】
また、このカバー9の切欠溝18の両側部分には、内側(上側)に向けて延出されていて芯材8の下側のコーナー接当壁2に掛合することにより芯材8に対するカバー9の外れ止めをする左右一対の引掛け部19を有する。
前記芯材8の溝14とカバー9の切欠溝18とで手摺り4(本体手摺り5)の係合溝21が構成され、この係合溝21は手摺長手方向Aに直交する方向に開口する開口溝22を有し、この開口溝22が芯材8の溝開口部17とカバー9の切欠溝18とで構成されている。
【0016】
図1〜図8に示すように、前記取付ブラケット3A,3Bは、本体手摺り5を支持するものであって、ボルト等によって壁2に取り付けられる被取付部23と、本体手摺り5が取り付けられる手摺取付部24と、前記被取付部23と前記手摺取付部24とを連結する連結部25と、前記被取付部23を覆うブラケットカバー26とを有する。
この取付ブラケット3A,3Bは、手摺取付部24が壁2の壁面(被取付部23の取付面)に直交する方向の回動軸芯X回り(左右方向の回動軸芯X回り)に角度調整可能とされた角度可変型の取付ブラケット3A(これを第1取付ブラケット3Aという)と、手摺取付部24が連結部25に固定された角度不変型の取付ブラケット3B(これを第2取付ブラケット3Bという)とがある。
【0017】
連結部25は被取付部23の上部から一体的に延出され、被取付部23との接続部分とは反対側に基部取付部27を有する。
第1取付ブラケット3Aの手摺取付部24は、連結部25の基部取付部27に回動軸芯X回りに角度調整自在に取り付けられた基部28と、該基部28の上部から上方側に延出された芯材受け部29と、該芯材受け部29の下部から手摺長手方向A両側に延出された一対の支持部30と、各支持部30に固定ネジ31を介して取り付けられた固定部材32とを有する。
【0018】
この手摺取付部24の基部28は、連結部25の基部取付部27の左右方向裏面側に重ね合わされると共に、基部取付部27の左右方向表面側から、これら基部取付部27及び基部28を左右方向で貫通する角度固定ネジ33と該角度固定ネジ33に螺合された角度固定ナット34との締結によって基部取付部27に取り付けられており、角度固定ネジ33の軸心が回動軸心Xとされている。
前記角度固定ネジ33と角度固定ナット34との締結を緩めると基部28の回動軸心X回りの回動が許容され、角度固定ネジ33を締め付けると基部28が基部取付部27に回動不能に固定される。
【0019】
したがって、この第1取付ブラケット3Aによって、本体手摺り5を水平に対して所望の傾斜角度で取り付けることができる。
芯材受け部29は、開口溝22から係合溝21内に挿入されていて、その上面29aが本体手摺り5の芯材8の凹溝16の溝底16a(係合溝21の上面)に接当しており、これによって、本体手摺り5の第1取付ブラケット3Aに対する下方移動が規制されている。
また、この芯材受け部29の手摺長手方向Aの両側部分の、芯材8の溝開口部17及び凹溝16に挿通される部分の左右幅は、芯材8の溝開口部17及び凹溝16の溝幅W1と略同幅に形成されている。
【0020】
支持部30は、係合溝21の開口溝22に挿入され、上部が芯材8の溝開口部17に挿入されている。
また、この支持部30の上部の左右幅は芯材8の溝開口部17の溝幅W1と略同幅に形成されており、支持部30の下部は、左右幅が下方側に行くに従って漸次広幅となるように形成されている。
前記芯材受け部29及び支持部30によって、第1取付ブラケット3Aに対する本体手摺り5の左右移動が規制される。
【0021】
左右各支持部30の下面側には、手摺長手方向Aに長い長溝状の凹部36が形成されている。
また、各支持部30には、この凹部36の溝底から支持部30の上面にかけて貫通形成されたネジ挿通孔37と、ねじ込み孔38とが形成されている。
ネジ挿通孔37には、なべ小ネジからなる前記固定ネジ31が下方側から挿通されている。
固定部材32は各支持部30の上面側に配置され、中心部分に下面から上面にかけて貫通形成されたネジ孔39が設けられ、このネジ孔39に前記固定ネジ31が螺合されている。
【0022】
この固定部材32は、該固定部材32の固定ネジ31の軸心回りの回動が規制されていないときには固定ネジ31と共に回動可能であり、また、該固定部材32の固定ネジ31の軸心回りの回動が規制(拘束)されている場合にあっては、固定部材32に対して固定ネジ31を螺進させることにより該固定部材32が支持部30に接近する方向(下方側)に移動し、固定部材32に対して固定ネジ31を螺退させることにより該固定部材32が支持部30から遠ざかる方向(上方側)に移動する。
また、固定部材32は、固定ネジ31の軸心に直交する方向の幅W4,W5のうち、一方向Bの幅W4に対して該一方向Bに直交する他方向Cの幅W5が幅広となる断面形状に形成されている。
【0023】
また、固定部材32の狭幅方向B(前記一方向B)の幅W4は、本体手摺り5の芯材8の溝開口部17の溝幅W1よりも幅狭に形成されていて、図7に仮想線で示すように、固定部材32の広幅方向C(前記他方向C)を本体手摺り5の芯材8の溝開口部17の溝長手方向(手摺長手方向A)に一致させると固定部材32が前記切欠溝18及び前記溝開口部17を介して主溝部15内に(図6で矢示Eで示す方向に)挿入することができる(固定部材32を、係合溝21内に該係合溝21の開口溝22を介して固定ネジ31の軸心方向下方から上方へと挿入することができる)。
【0024】
また、固定部材32の広幅方向Cの幅W5は、芯材8の溝開口部17の溝幅W1よりも幅広で且つ主溝部15の溝幅W2より若干幅狭(又は同幅)に形成されている。
また、固定部材32の広幅方向Cの端面の、固定ネジ31のネジ込み方向D(以下単にネジ込み方向Dという)側の面32aは円弧面に形成されている。
これにより、固定部材32をその広幅方向Cが手摺長手方向Aに一致する状態から、固定ネジ31をネジ込み方向Dに回動させることにより、固定部材32が固定ネジ31と一緒に回動して、図7に実線で示すように、広幅方向Cが手摺長手方向Aに直交する状態となる。
【0025】
また、固定部材32をその広幅方向Cが手摺長手方向Aに一致する状態からネジ込み方向Dに回動させることにより、固定部材32が芯材8の溝開口部17から下方に抜け出るのを芯材8の下壁12が阻止することとなる。
したがって、この下壁12の上面12aが、固定部材32を係合溝21に挿入した後に回動することにより固定部材32の係合溝21からの反挿入方向(固定部材32の挿入方向Eとは反対側の方向)への抜け止めをする係合面とされている。
また、固定部材32の広幅方向Cの端面のネジ込み方向Dとは反対側の面32bは、広幅方向Cが手摺長手方向Aに直交する状態において芯材8の側壁10内面に近接しており、該状態から、固定ネジ31をさらにネジ込み方向Dに回動すると、固定部材32の広幅方向Cの端面のネジ込み方向Dとは反対側の面32bが芯材8の側壁10内面に接当し、これにより、固定部材32の固定部材32のネジ込み方向Dへの回動が規制される。
【0026】
そして、固定部材32のネジ込み方向Dへの回動が規制された状態で、固定ネジ31をさらにネジ込み方向Dに回動させていくことにより、固定部材32が下方側(反挿入方向)に移動する。
このとき、芯材受け部29の上面29aが係合溝21の上面に接当していて、本体手摺り5に対する第1取付ブラケット3Aの固定部材挿入方向Eへの移動が規制されていることから、該固定部材32が下壁12の上面12a、すなわち係合面12aに押し付けられる。
【0027】
これによって、本体手摺り5が第1取付ブラケット3Aの手摺取付部24に固定される。
前記芯材受け部29の上面29aが本体手摺り5に接当することにより該本体手摺り5に対する第1取付ブラケット3Aの固定部材32挿入方向への移動を規制する規制部とされている。
なお、前記支持部30を規制部としてもよい。
また、前記ねじ込み孔38に下方側からタッピングネジをねじ込んで、該タッピングねじの先端側を芯材8の上壁11に押し付けることにより、本体手摺り5の第1取付ブラケット3Aに対する固定を確実なものとすることができる。
【0028】
前記第2取付ブラケット3Bは、図8に示すように、本体手摺り5を水平状態(手摺長手方向Aが水平方向に一致する状態)に取り付けるのに使用されるものであり、手摺取付部24が、芯材受け部29、支持部30、固定部材32及び固定ネジ31とから構成され、芯材受け部29及び支持部30が連結部25に一体形成されている点、芯材受け部29の形状が異なる点が第1取付ブラケット3Aと異なるものであり、その他の点については第1取付ブラケット3Aと略同様に構成されている(したがって、本体手摺り5の固定方法も同様である)。
【0029】
図9,10,11に示すように、前記連結手摺り6は、樹脂製の芯材41と、樹脂製のカバー42(笠木)とから構成されている。
この連結手摺り6の芯材41は、手摺長手方向A両側の端部側の芯材セグメント43(これを芯材端部セグメントという)と、これら芯材端部セグメント43の間に手摺長手方向Aに若干の間隔をおいて並べて配置された多数の中間部分の芯材セグメント44(これを芯材中間セグメントという)と、芯材中間セグメント44同士及び手摺長手方向A両端側の芯材中間セグメント44とこれに隣接する芯材端部セグメント43とを連結する関節部45と、手摺長手方向A両端側に設けられた接続部46とを有する。
【0030】
芯材端部セグメント43と芯材中間セグメント44とは同じ断面形状に形成され、上下に溝47,48を有する。
芯材中間セグメント44の手摺長手方向Aの長さは、芯材端部セグメント43の手摺長手方向Aの長さに対してかなり短く形成されている。
前記関節部45は、手摺長手方向Aの軸心を有する円柱状とされていると共に手摺長手方向Aに直交する方向に屈曲自在とされている。
また、この関節部45は、芯材端部セグメント43及び芯材中間セグメント44の手摺長手方向Aに直交する方向の中心部に位置する。
【0031】
したがって、この連結手摺り6は芯材端部セグメント43間で、手摺長手方向Aに直交する方向のすべての方向(上下左右及び上下左右の間の斜め方向)に任意の屈曲角度で湾曲状に屈曲自在とされている。また、換言すると、連結手摺り6は、手摺長手方向A両側が非屈曲とされ、手摺長手方向A中間部分が屈曲自在とされている。
なお、この連結手摺り6は、手摺長手方向Aの略全長にわたって屈曲自在とされていてもよい。
前記接続部46は、各芯材端部セグメント43の手摺長手方向A外端面の中心部分から手摺長手方向A外方に向けて突設されている。
【0032】
また、この接続部46の手摺長手方向Aに直交する断面形状は本体手摺り5の芯材8の主溝部15の断面形状に略一致する断面形状に形成され、該接続部46を本体手摺り5の芯材8の主溝部15内に差し込むことにより、連結手摺り6が本体手摺り5に連結される。
また、接続部46には、上下方向に貫通するネジ込み孔49が形成され、このネジ込み孔49に下方側からタッピングネジ50をねじ込んで、該タッピングネジ50の先端を本体手摺り5の芯材8の上壁11に押し付けることにより、接続部46の主溝部15からの抜け止めを図ることができるようになっている。
【0033】
連結手摺り6のカバー42は、前記本体手摺り5のカバー9と、同じ断面形状で且つ同径に形成され、前記芯材41に外嵌されていると共に引掛け部19が芯材セグメント43,44の下側の溝48の側面に係合している。
この連結手摺り6のカバー42は芯材41の屈曲に追従するように可撓性を有している。
なお、各芯材セグメント43,44の手摺長手方向Aに直交する方向の外面の、カバー42内面に接当する部分は円弧状に形成されている。
【0034】
前記構成の連結手摺り6にあっては、水平状に取り付けられる本体手摺り5に一方の接続部46を差し込み、水平に対して傾斜状に取り付けられる本体手摺り5に他方の接続部46を差し込むことにより、水平状の本体手摺り5と傾斜状の本体手摺り5とを連結することができると共に、該連結手摺り6は、傾斜状に取り付けられる本体手摺り5の傾斜角度に自在に対応することができる。
また、前記連結手摺長手方向6にあっては、芯材41を樹脂によって形成することにより、前記芯材セグメント43,44、関節部45及び接続部46を成形型内で同時に成形でき、屈曲自在な芯材41が容易に制作することができる。
【0035】
前記ジョイントカバー7は、図11に示すように、筒状に形成されていて、軸心方向一方側が本体手摺り5の端部側に外嵌され、該本体手摺り5の端部に連結される連結手摺り6の端部側に軸心方向他方側が外嵌されることにより、本体手摺り5と連結手摺り6との連結部分を被覆している。
また、ジョイントカバー7は、円筒形の周方向の一部分を軸心方向にわたって切り欠いてなる切欠溝51が形成された一部切欠円筒状に形成されており、前記切欠溝51は、本体手摺り5のカバー9及び連結手摺り6のカバー42の切欠溝18と略一致する溝幅に形成されていて、この切欠溝51を介して、前述した連結手摺り6固定用のタッピングネジ50の螺合操作が可能とされている。
【0036】
なお、連結手摺り6を本体手摺り5に連結する際には、ジョイントカバー7の一方側を本体手摺り5の端部側に外嵌した状態で、連結手摺り6の端部側をジョイントカバー7の他方側に差し込むが、このジョイントカバー7への差し込みが容易となるように、連結手摺り6の手摺長手方向Aの端部側が非屈曲とされている。
なお、前記手摺り4は本体手摺り5のみで構成されていてもよく、他の構造の連結手摺りを有するものであってもよい。
また、本体手摺り5は、直線状のものに限らず、長手方向中途部で所定角度屈曲されているものであってもよい。
【0037】
なお、前記本体手摺り5は、直線状のものに限らず、長手方向中途部で所定角度屈曲されているものであってもよく、また、手摺り4は、他の構造の連結手摺りを有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
2 壁
3A 角度可変型の取付ブラケット
3B 角度不変型の取付ブラケット
4 手摺り
12a 係合面
21 係合溝
22 開口溝
29a 規制部
30 支持部
32 固定部材
39 ネジ孔
A 手摺長手方向
D ネジ込み方向
E 固定部材挿入方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物等の壁に取り付けられる取付ブラケットと、この取付ブラケットに取り付けられる手摺りとを備えた手摺り装置であって、前記手摺りが、芯材と該芯材を被覆する樹脂製のカバーとから構成された手摺り装置がある。
この種の手摺り装置を壁に取り付けるのに、取付ブラケットを壁に取付固定した後に取付ブラケットに手摺りの芯材を固定し、その後、樹脂製のカバーをバーナー等の熱によって軟化させて芯材に取り付けるという施工方法があるが、この施工方法では、カバーを芯材に取り付ける作業が現場作業となり、現場での手摺り装置の取付作業が大変であるという問題があった。
【0003】
そこで、芯材にカバーを取り付けた状態の手摺りを現場にて取付ブラケットに取り付け得るように構成されている手摺り装置がある(特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の手摺り装置は、手摺りは手摺長手方向に沿って設けられた係合溝を備え、この係合溝は長手方向端部が開口状とされると共に、手摺長手方向に直交する方向で且つ下方に向けて開口する開口溝を備えており、また、取付ブラケットは、前記係合溝に長手方向にスライド自在に内嵌される固定部材を備え、この固定部材には該固定部材に下方側からねじ込まれたスライド固定ネジが設けられている。
【0004】
この手摺り装置にあっては、取付ブラケットの固定部材を手摺りの長手方向の端部から係合溝内に挿入し、該固定部材を係合溝内部の所望位置に移動させ、該所望位置にて固定ネジをねじ込むことにより、固定ネジの先端が係合溝の上面に接当すると共に固定部材が係合溝の下面に押し付けられることにより取付ブラケットに手摺りが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−151588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の手摺り装置にあっては、取付ブラケットの固定部材を手摺りの長手方向の端部から係合溝内に挿入し、該固定部材を固定したい位置にまで移動させなければならず、手摺りが非常に長いと、手摺りの取付ブラケットに対する取付作業が面倒であるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、手摺りを取付ブラケットに取り付ける取付作業の容易化を図った手摺り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、壁に取り付けられる取付ブラケットと、この取付ブラケットに取り付けられる手摺りとを備え、
前記手摺りは手摺長手方向に沿って設けられた係合溝を備え、この係合溝は手摺長手方向に直交する方向に開口する開口溝を備え、
前記取付ブラケットは、前記開口溝から前記係合溝に挿入される固定部材と、手摺りに接当することにより該手摺りに対する取付ブラケットの固定部材挿入方向への移動を規制する規制部とを備え、
前記固定部材は、回動自在とされていて係合溝に挿入した後に回動することにより係合溝内に設けられた係合面に係合して係合溝からの反挿入方向への抜け止めがなされ、且つ、該固定部材は反挿入方向へ移動自在とされていて該固定部材を反挿入方向へ移動させて係合面に押し付けることにより手摺りが取付ブラケットに固定されるよう構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記固定部材は挿入方向の軸心を有するネジ孔を有し、前記取付ブラケットは、固定部材を支持する支持部と、該支持部を貫通して固定部材の前記ネジ孔に螺合される固定ネジとを有し、前記固定部材は、係合溝に挿入した後に固定ネジをネジ込み方向に回動することにより回動すると共に係合溝内面に接当して前記ネジ込み方向の回動が規制され、この固定部材の前記ネジ込み方向の回動が規制された状態で、さらに固定ネジをネジ込み方向に回動することにより固定部材が係合面に押し付けられるよう構成されているのがよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取付ブラケットに手摺りを固定するための固定部材を、手摺りの係合溝内に、手摺り長手方向に直交する方向に開口する開口溝から挿入させることができるので、手摺りを取付ブラケットに手摺長手方向の所望位置で容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】手摺り装置の側面図である。
【図2】角度可変型取付ブラケットの斜視図である。
【図3】角度可変型取付ブラケットの側面図である。
【図4】(a)は角度可変型取付ブラケットの底面図、(b)は角度可変型取付ブラケットの正面図、(c)は角度可変型取付ブラケットの平面図である。
【図5】本体手摺りの取付ブラケットに対する固定部分の側面断面図である。
【図6】本体手摺りの取付ブラケットに対する固定部分の正面断面図である。
【図7】取付ブラケットの固定機構を示す平面図である。
【図8】(a)は角度不変型の取付ブラケットの平面図、(b)は角度不変型の取付ブラケットの正面図、(c)は角度不変型の取付ブラケットの側面図である。
【図9】(a)は連結手摺りの平面図、(b)は連結手摺りの側面断面図である。
【図10】(a)は連結手摺りの正面図、(b)は図9(b)のF−F線矢視断面図である。
【図11】(a)は連結手摺りの連結部分の側面断面図、(b)は連結手摺りの連結部分の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、1は建物等の壁2に設けられる手摺り装置であり、該手摺り装置1は、壁2に取り付けられる取付ブラケット3A,3Bと、この取付ブラケット3A,3Bに取り付けられる手摺り4(ハンドレール)とを備えている。
前記手摺り4は、該手摺り4の本体部分となる本体手摺り5と、該本体手摺り5同士を連結する連結手摺り6と、本体手摺り5と連結手摺り6とのジョイント部分を覆うジョイントカバー7とを有する。
【0012】
図1,図5,図6に示すように、本体手摺り5は、アルミニウム合金等の金属製の押出形材等からなる硬質の芯材8と、この芯材8を被覆する樹脂製のカバー9(笠木)とから構成されている。
この本体手摺り5の芯材8は、手摺長手方向Aと上下方向とに直交する方向(この方向を左右方向という)で対向配置された左右一対の側壁10と、この左右側壁10の上端部同士を連結する上壁11と、各側壁10の下端側から対向側に延出された左右一対の下壁12と、各側壁10と上壁11とのコーナー部分及び各側壁10と各下壁12とのコーナー部分に形成されたカバー接当壁13とを有する。
【0013】
前記芯材8は、内部に手摺長手方向Aに沿った溝14を有し、この溝14は、左右側壁10間の主溝部15と、上壁11の下面から上方側に向けて凹設された凹溝16と、左右下壁12間の溝開口部17とから構成されていて、下方側に向けて開口している。
前記凹溝16と溝開口部17の溝幅W1(左右幅)は同幅に形成されており、主溝部15の溝幅W2(左右幅)は溝開口部17の溝幅W1よりも広幅に形成されている。
また、各カバー接当壁13の外面形状は、手摺長手方向Aに直交する断面において円弧状とされている。
【0014】
本体手摺り5のカバー9は、円筒形の周方向の一部分を軸方向にわたって切り欠いてなる切欠溝18が形成された一部切欠円筒状に形成されている。
また、この本体手摺り5のカバー9は、切欠溝18が芯材8の溝開口部17と連通するように且つ内面が芯材8の各コーナー接当壁2の外面に密接するように芯材8に外嵌されている。
また、このカバー9の切欠溝18の溝幅W3は芯材8の溝開口部17の溝幅W1よりも広幅に形成されている。
【0015】
また、このカバー9の切欠溝18の両側部分には、内側(上側)に向けて延出されていて芯材8の下側のコーナー接当壁2に掛合することにより芯材8に対するカバー9の外れ止めをする左右一対の引掛け部19を有する。
前記芯材8の溝14とカバー9の切欠溝18とで手摺り4(本体手摺り5)の係合溝21が構成され、この係合溝21は手摺長手方向Aに直交する方向に開口する開口溝22を有し、この開口溝22が芯材8の溝開口部17とカバー9の切欠溝18とで構成されている。
【0016】
図1〜図8に示すように、前記取付ブラケット3A,3Bは、本体手摺り5を支持するものであって、ボルト等によって壁2に取り付けられる被取付部23と、本体手摺り5が取り付けられる手摺取付部24と、前記被取付部23と前記手摺取付部24とを連結する連結部25と、前記被取付部23を覆うブラケットカバー26とを有する。
この取付ブラケット3A,3Bは、手摺取付部24が壁2の壁面(被取付部23の取付面)に直交する方向の回動軸芯X回り(左右方向の回動軸芯X回り)に角度調整可能とされた角度可変型の取付ブラケット3A(これを第1取付ブラケット3Aという)と、手摺取付部24が連結部25に固定された角度不変型の取付ブラケット3B(これを第2取付ブラケット3Bという)とがある。
【0017】
連結部25は被取付部23の上部から一体的に延出され、被取付部23との接続部分とは反対側に基部取付部27を有する。
第1取付ブラケット3Aの手摺取付部24は、連結部25の基部取付部27に回動軸芯X回りに角度調整自在に取り付けられた基部28と、該基部28の上部から上方側に延出された芯材受け部29と、該芯材受け部29の下部から手摺長手方向A両側に延出された一対の支持部30と、各支持部30に固定ネジ31を介して取り付けられた固定部材32とを有する。
【0018】
この手摺取付部24の基部28は、連結部25の基部取付部27の左右方向裏面側に重ね合わされると共に、基部取付部27の左右方向表面側から、これら基部取付部27及び基部28を左右方向で貫通する角度固定ネジ33と該角度固定ネジ33に螺合された角度固定ナット34との締結によって基部取付部27に取り付けられており、角度固定ネジ33の軸心が回動軸心Xとされている。
前記角度固定ネジ33と角度固定ナット34との締結を緩めると基部28の回動軸心X回りの回動が許容され、角度固定ネジ33を締め付けると基部28が基部取付部27に回動不能に固定される。
【0019】
したがって、この第1取付ブラケット3Aによって、本体手摺り5を水平に対して所望の傾斜角度で取り付けることができる。
芯材受け部29は、開口溝22から係合溝21内に挿入されていて、その上面29aが本体手摺り5の芯材8の凹溝16の溝底16a(係合溝21の上面)に接当しており、これによって、本体手摺り5の第1取付ブラケット3Aに対する下方移動が規制されている。
また、この芯材受け部29の手摺長手方向Aの両側部分の、芯材8の溝開口部17及び凹溝16に挿通される部分の左右幅は、芯材8の溝開口部17及び凹溝16の溝幅W1と略同幅に形成されている。
【0020】
支持部30は、係合溝21の開口溝22に挿入され、上部が芯材8の溝開口部17に挿入されている。
また、この支持部30の上部の左右幅は芯材8の溝開口部17の溝幅W1と略同幅に形成されており、支持部30の下部は、左右幅が下方側に行くに従って漸次広幅となるように形成されている。
前記芯材受け部29及び支持部30によって、第1取付ブラケット3Aに対する本体手摺り5の左右移動が規制される。
【0021】
左右各支持部30の下面側には、手摺長手方向Aに長い長溝状の凹部36が形成されている。
また、各支持部30には、この凹部36の溝底から支持部30の上面にかけて貫通形成されたネジ挿通孔37と、ねじ込み孔38とが形成されている。
ネジ挿通孔37には、なべ小ネジからなる前記固定ネジ31が下方側から挿通されている。
固定部材32は各支持部30の上面側に配置され、中心部分に下面から上面にかけて貫通形成されたネジ孔39が設けられ、このネジ孔39に前記固定ネジ31が螺合されている。
【0022】
この固定部材32は、該固定部材32の固定ネジ31の軸心回りの回動が規制されていないときには固定ネジ31と共に回動可能であり、また、該固定部材32の固定ネジ31の軸心回りの回動が規制(拘束)されている場合にあっては、固定部材32に対して固定ネジ31を螺進させることにより該固定部材32が支持部30に接近する方向(下方側)に移動し、固定部材32に対して固定ネジ31を螺退させることにより該固定部材32が支持部30から遠ざかる方向(上方側)に移動する。
また、固定部材32は、固定ネジ31の軸心に直交する方向の幅W4,W5のうち、一方向Bの幅W4に対して該一方向Bに直交する他方向Cの幅W5が幅広となる断面形状に形成されている。
【0023】
また、固定部材32の狭幅方向B(前記一方向B)の幅W4は、本体手摺り5の芯材8の溝開口部17の溝幅W1よりも幅狭に形成されていて、図7に仮想線で示すように、固定部材32の広幅方向C(前記他方向C)を本体手摺り5の芯材8の溝開口部17の溝長手方向(手摺長手方向A)に一致させると固定部材32が前記切欠溝18及び前記溝開口部17を介して主溝部15内に(図6で矢示Eで示す方向に)挿入することができる(固定部材32を、係合溝21内に該係合溝21の開口溝22を介して固定ネジ31の軸心方向下方から上方へと挿入することができる)。
【0024】
また、固定部材32の広幅方向Cの幅W5は、芯材8の溝開口部17の溝幅W1よりも幅広で且つ主溝部15の溝幅W2より若干幅狭(又は同幅)に形成されている。
また、固定部材32の広幅方向Cの端面の、固定ネジ31のネジ込み方向D(以下単にネジ込み方向Dという)側の面32aは円弧面に形成されている。
これにより、固定部材32をその広幅方向Cが手摺長手方向Aに一致する状態から、固定ネジ31をネジ込み方向Dに回動させることにより、固定部材32が固定ネジ31と一緒に回動して、図7に実線で示すように、広幅方向Cが手摺長手方向Aに直交する状態となる。
【0025】
また、固定部材32をその広幅方向Cが手摺長手方向Aに一致する状態からネジ込み方向Dに回動させることにより、固定部材32が芯材8の溝開口部17から下方に抜け出るのを芯材8の下壁12が阻止することとなる。
したがって、この下壁12の上面12aが、固定部材32を係合溝21に挿入した後に回動することにより固定部材32の係合溝21からの反挿入方向(固定部材32の挿入方向Eとは反対側の方向)への抜け止めをする係合面とされている。
また、固定部材32の広幅方向Cの端面のネジ込み方向Dとは反対側の面32bは、広幅方向Cが手摺長手方向Aに直交する状態において芯材8の側壁10内面に近接しており、該状態から、固定ネジ31をさらにネジ込み方向Dに回動すると、固定部材32の広幅方向Cの端面のネジ込み方向Dとは反対側の面32bが芯材8の側壁10内面に接当し、これにより、固定部材32の固定部材32のネジ込み方向Dへの回動が規制される。
【0026】
そして、固定部材32のネジ込み方向Dへの回動が規制された状態で、固定ネジ31をさらにネジ込み方向Dに回動させていくことにより、固定部材32が下方側(反挿入方向)に移動する。
このとき、芯材受け部29の上面29aが係合溝21の上面に接当していて、本体手摺り5に対する第1取付ブラケット3Aの固定部材挿入方向Eへの移動が規制されていることから、該固定部材32が下壁12の上面12a、すなわち係合面12aに押し付けられる。
【0027】
これによって、本体手摺り5が第1取付ブラケット3Aの手摺取付部24に固定される。
前記芯材受け部29の上面29aが本体手摺り5に接当することにより該本体手摺り5に対する第1取付ブラケット3Aの固定部材32挿入方向への移動を規制する規制部とされている。
なお、前記支持部30を規制部としてもよい。
また、前記ねじ込み孔38に下方側からタッピングネジをねじ込んで、該タッピングねじの先端側を芯材8の上壁11に押し付けることにより、本体手摺り5の第1取付ブラケット3Aに対する固定を確実なものとすることができる。
【0028】
前記第2取付ブラケット3Bは、図8に示すように、本体手摺り5を水平状態(手摺長手方向Aが水平方向に一致する状態)に取り付けるのに使用されるものであり、手摺取付部24が、芯材受け部29、支持部30、固定部材32及び固定ネジ31とから構成され、芯材受け部29及び支持部30が連結部25に一体形成されている点、芯材受け部29の形状が異なる点が第1取付ブラケット3Aと異なるものであり、その他の点については第1取付ブラケット3Aと略同様に構成されている(したがって、本体手摺り5の固定方法も同様である)。
【0029】
図9,10,11に示すように、前記連結手摺り6は、樹脂製の芯材41と、樹脂製のカバー42(笠木)とから構成されている。
この連結手摺り6の芯材41は、手摺長手方向A両側の端部側の芯材セグメント43(これを芯材端部セグメントという)と、これら芯材端部セグメント43の間に手摺長手方向Aに若干の間隔をおいて並べて配置された多数の中間部分の芯材セグメント44(これを芯材中間セグメントという)と、芯材中間セグメント44同士及び手摺長手方向A両端側の芯材中間セグメント44とこれに隣接する芯材端部セグメント43とを連結する関節部45と、手摺長手方向A両端側に設けられた接続部46とを有する。
【0030】
芯材端部セグメント43と芯材中間セグメント44とは同じ断面形状に形成され、上下に溝47,48を有する。
芯材中間セグメント44の手摺長手方向Aの長さは、芯材端部セグメント43の手摺長手方向Aの長さに対してかなり短く形成されている。
前記関節部45は、手摺長手方向Aの軸心を有する円柱状とされていると共に手摺長手方向Aに直交する方向に屈曲自在とされている。
また、この関節部45は、芯材端部セグメント43及び芯材中間セグメント44の手摺長手方向Aに直交する方向の中心部に位置する。
【0031】
したがって、この連結手摺り6は芯材端部セグメント43間で、手摺長手方向Aに直交する方向のすべての方向(上下左右及び上下左右の間の斜め方向)に任意の屈曲角度で湾曲状に屈曲自在とされている。また、換言すると、連結手摺り6は、手摺長手方向A両側が非屈曲とされ、手摺長手方向A中間部分が屈曲自在とされている。
なお、この連結手摺り6は、手摺長手方向Aの略全長にわたって屈曲自在とされていてもよい。
前記接続部46は、各芯材端部セグメント43の手摺長手方向A外端面の中心部分から手摺長手方向A外方に向けて突設されている。
【0032】
また、この接続部46の手摺長手方向Aに直交する断面形状は本体手摺り5の芯材8の主溝部15の断面形状に略一致する断面形状に形成され、該接続部46を本体手摺り5の芯材8の主溝部15内に差し込むことにより、連結手摺り6が本体手摺り5に連結される。
また、接続部46には、上下方向に貫通するネジ込み孔49が形成され、このネジ込み孔49に下方側からタッピングネジ50をねじ込んで、該タッピングネジ50の先端を本体手摺り5の芯材8の上壁11に押し付けることにより、接続部46の主溝部15からの抜け止めを図ることができるようになっている。
【0033】
連結手摺り6のカバー42は、前記本体手摺り5のカバー9と、同じ断面形状で且つ同径に形成され、前記芯材41に外嵌されていると共に引掛け部19が芯材セグメント43,44の下側の溝48の側面に係合している。
この連結手摺り6のカバー42は芯材41の屈曲に追従するように可撓性を有している。
なお、各芯材セグメント43,44の手摺長手方向Aに直交する方向の外面の、カバー42内面に接当する部分は円弧状に形成されている。
【0034】
前記構成の連結手摺り6にあっては、水平状に取り付けられる本体手摺り5に一方の接続部46を差し込み、水平に対して傾斜状に取り付けられる本体手摺り5に他方の接続部46を差し込むことにより、水平状の本体手摺り5と傾斜状の本体手摺り5とを連結することができると共に、該連結手摺り6は、傾斜状に取り付けられる本体手摺り5の傾斜角度に自在に対応することができる。
また、前記連結手摺長手方向6にあっては、芯材41を樹脂によって形成することにより、前記芯材セグメント43,44、関節部45及び接続部46を成形型内で同時に成形でき、屈曲自在な芯材41が容易に制作することができる。
【0035】
前記ジョイントカバー7は、図11に示すように、筒状に形成されていて、軸心方向一方側が本体手摺り5の端部側に外嵌され、該本体手摺り5の端部に連結される連結手摺り6の端部側に軸心方向他方側が外嵌されることにより、本体手摺り5と連結手摺り6との連結部分を被覆している。
また、ジョイントカバー7は、円筒形の周方向の一部分を軸心方向にわたって切り欠いてなる切欠溝51が形成された一部切欠円筒状に形成されており、前記切欠溝51は、本体手摺り5のカバー9及び連結手摺り6のカバー42の切欠溝18と略一致する溝幅に形成されていて、この切欠溝51を介して、前述した連結手摺り6固定用のタッピングネジ50の螺合操作が可能とされている。
【0036】
なお、連結手摺り6を本体手摺り5に連結する際には、ジョイントカバー7の一方側を本体手摺り5の端部側に外嵌した状態で、連結手摺り6の端部側をジョイントカバー7の他方側に差し込むが、このジョイントカバー7への差し込みが容易となるように、連結手摺り6の手摺長手方向Aの端部側が非屈曲とされている。
なお、前記手摺り4は本体手摺り5のみで構成されていてもよく、他の構造の連結手摺りを有するものであってもよい。
また、本体手摺り5は、直線状のものに限らず、長手方向中途部で所定角度屈曲されているものであってもよい。
【0037】
なお、前記本体手摺り5は、直線状のものに限らず、長手方向中途部で所定角度屈曲されているものであってもよく、また、手摺り4は、他の構造の連結手摺りを有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
2 壁
3A 角度可変型の取付ブラケット
3B 角度不変型の取付ブラケット
4 手摺り
12a 係合面
21 係合溝
22 開口溝
29a 規制部
30 支持部
32 固定部材
39 ネジ孔
A 手摺長手方向
D ネジ込み方向
E 固定部材挿入方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁(2)に取り付けられる取付ブラケット(3A,3B)と、この取付ブラケット(3A,3B)に取り付けられる手摺り(4)とを備え、
前記手摺り(4)は手摺長手方向(A)に沿って設けられた係合溝(21)を備え、この係合溝(21)は手摺長手方向(A)に直交する方向に開口する開口溝(22)を備え、
前記取付ブラケット(3A,3B)は、前記開口溝(22)から前記係合溝(21)に挿入される固定部材(32)と、手摺り(4)に接当することにより該手摺り(4)に対する取付ブラケット(3A,3B)の固定部材挿入方向(E)への移動を規制する規制部(29a)とを備え、
前記固定部材(32)は、回動自在とされていて係合溝(21)に挿入した後に回動することにより係合溝(21)内に設けられた係合面(12a)に係合して係合溝(21)からの反挿入方向への抜け止めがなされ、且つ、該固定部材(32)は反挿入方向へ移動自在とされていて該固定部材(32)を反挿入方向へ移動させて係合面(12a)に押し付けることにより手摺り(4)が取付ブラケット(3A,3B)に固定されるよう構成されていることを特徴とする手摺り装置。
【請求項2】
前記固定部材(32)は挿入方向(E)の軸心を有するネジ孔(39)を有し、前記取付ブラケット(3A,3B)は、固定部材(32)を支持する支持部(30)と、該支持部(30)を貫通して固定部材(32)の前記ネジ孔(39)に螺合される固定ネジ(31)とを有し、前記固定部材(32)は、係合溝(21)に挿入した後に固定ネジ(31)をネジ込み方向(D)に回動することにより回動すると共に係合溝(21)内面に接当して前記ネジ込み方向(D)の回動が規制され、この固定部材(32)の前記ネジ込み方向(D)の回動が規制された状態で、さらに固定ネジ(31)をネジ込み方向(D)に回動することにより固定部材(32)が係合面(12a)に押し付けられるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の手摺り装置。
【請求項1】
壁(2)に取り付けられる取付ブラケット(3A,3B)と、この取付ブラケット(3A,3B)に取り付けられる手摺り(4)とを備え、
前記手摺り(4)は手摺長手方向(A)に沿って設けられた係合溝(21)を備え、この係合溝(21)は手摺長手方向(A)に直交する方向に開口する開口溝(22)を備え、
前記取付ブラケット(3A,3B)は、前記開口溝(22)から前記係合溝(21)に挿入される固定部材(32)と、手摺り(4)に接当することにより該手摺り(4)に対する取付ブラケット(3A,3B)の固定部材挿入方向(E)への移動を規制する規制部(29a)とを備え、
前記固定部材(32)は、回動自在とされていて係合溝(21)に挿入した後に回動することにより係合溝(21)内に設けられた係合面(12a)に係合して係合溝(21)からの反挿入方向への抜け止めがなされ、且つ、該固定部材(32)は反挿入方向へ移動自在とされていて該固定部材(32)を反挿入方向へ移動させて係合面(12a)に押し付けることにより手摺り(4)が取付ブラケット(3A,3B)に固定されるよう構成されていることを特徴とする手摺り装置。
【請求項2】
前記固定部材(32)は挿入方向(E)の軸心を有するネジ孔(39)を有し、前記取付ブラケット(3A,3B)は、固定部材(32)を支持する支持部(30)と、該支持部(30)を貫通して固定部材(32)の前記ネジ孔(39)に螺合される固定ネジ(31)とを有し、前記固定部材(32)は、係合溝(21)に挿入した後に固定ネジ(31)をネジ込み方向(D)に回動することにより回動すると共に係合溝(21)内面に接当して前記ネジ込み方向(D)の回動が規制され、この固定部材(32)の前記ネジ込み方向(D)の回動が規制された状態で、さらに固定ネジ(31)をネジ込み方向(D)に回動することにより固定部材(32)が係合面(12a)に押し付けられるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の手摺り装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−209612(P2010−209612A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58478(P2009−58478)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000152572)株式会社日中製作所 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000152572)株式会社日中製作所 (30)
【Fターム(参考)】
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