説明

手摺構造及び手摺構造の取り付け方法

【課題】簡易な構成で有りながら、浴室或いはトイレ或いは階段等の利用者、特に高齢者或いは身体障害者等が、多くの労力を要せずに、片手で安全でしかも容易に必要な動作を実行することを可能にする手摺りを提供する。
【解決手段】手摺保持部2と実質的に閉鎖状の枠体5で構成されている手摺部3と当該手摺保持部2の任意の部位と当該手摺部3の任意の部位とを相互に固定する少なくとも1つの取り付け部材4とから構成された手摺構造1に於いて、当該手摺部3に更に当該手摺保持部2が取付けられる壁面13と当該手摺部3との間を架橋する少なくとも1つの脚部12が設けられている手摺構造1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺りの構造に関するものであり、特に詳しくはトイレ或いは浴室或いは階段等で使用出来る手摺構造に関するものである。
更には、本発明は、手摺構造の取り付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室やトイレ等にそれらの利用者の入浴動作或いは用便動作を補助するために手摺りが設けられている。
特に、高齢者や身体障害者がトイレを使用する際、移動、起立又は着座若しくはしゃがみ込み等の用便動作や姿勢保持する為の労力はきつく、不便であり、相当の労力を消耗するものであった。かかる問題を緩和又は軽減するため、例えば、特開平11−192189号公報(特許文献1)に示す様に、便器の側壁に垂直な直線状の手摺りを設けるもの、或いは、実用新案登録第3002603号公報(特許文献2)に示されている様に、便器の両側に水平に手摺りを設ける例も知られている。
【0003】
然しながら、特許文献1を含めて従来公知の直線状或いはL字状の手摺の構成では、利用者は片手しか使用できず、然も、当該手摺は垂直状或いは水平状でのみ配置されている為、従って動作が不安定で又、腕に加えた力が充分に身体全体を持ち上げたり、沈み込ませる動作に活用できていないので、身体のバランスを崩す事も多く、したがって危険があり、又手が滑って転倒すると言う危険もあるし、又特許文献2の構成では、利用者が両手を使用出来ることから安全性は向上するがトイレの空間が十分ある場合にのみしか使用出来ず、更にはコストが増加する問題がある。
【0004】
即ち、従来の当該手摺りでは、その形状が直線状であるので、利用者の手首と当該手摺りとの交差する角度が、当該利用者が当該手摺りを握る位置によって大きく変わるので、不適切な角度を形成している場合が多く、身体等を持ち上げる際に力の利用効率が不安定となっている事が多いと考えられる。
【0005】
同様に、浴室に於いても高齢者や身体障害者などの要介護者が入浴するような場合、浴槽への出入り動作、或いは浴槽内での沈み込み動作或いは立ち上がり動作等は何れもきつく、不便であり、相当の労力を消耗するものであるので、かかる問題を緩和又は軽減するため、例えば、特開平10−25874号公報(特許文献3)の図4に示す様に当該浴槽近傍の側壁に水平或いは垂直に配置された直線状の手摺りが設けられる例がある。
【0006】
又、特開2004−218357号公報(特許文献4)には、浴室のコーナー部に湾曲状の手摺りを設ける事も知られている。
上記特許文献3の様な手摺りの構成では、利用者は片手しか実質的には使用できないので極めて不安であり、特に浴槽から立ち上がる動作や浴槽から出るときの動作は、相当のエネルギーを必要とするので、危険も大きい。
【0007】
又、両手を使用するとしても、利用者の右手と左手のそれぞれと当該手摺り迄の到達距離は異なるので、両手を使用するとなると利用者が体をかなり捻って当該手摺りにつかまる必要があり、著しく窮屈な姿勢をとらざるを得ないので、利用に不便であり、余計な労力を消費する事になる。
【0008】
又、当該利用者が右手と左手が当該手摺り交差する角度がそれぞれ異なるので当該利用者の手と当該手摺との間で滑りが発生しやすく、危険性が高いと言う欠点があった。
一方、特許文献4では、浴室に於ける利用者が浴槽から出ている状態で、転倒を防止する為の掴まり部材或いは腰掛部材として使用するために浴室の角部、コーナー部に設けられるものであって、利用者が浴槽に入る動作及び浴槽から出る動作を補助するものではない。
【0009】
一方、住宅や建物内或いは車両内に設けられた階段にも、高齢者や身体障害者が階段を昇り降りする際に、当該利用者の昇り降り動作を補助し支え、その安全性を確保する為に手摺が設けられる事は良く見られることである。
【0010】
例えば、特開平8−27988号公報(特許文献5)には、直線状の手摺を壁上或いは柱に取り付けた例が示されており、更には廻り階段の中心部には、湾曲した手摺を設ける例が示されている。
【0011】
然しながら、特許文献5を含む上記各公知例の手摺に於いては、全て固定された形状の手摺が特定の位置に固定されて配置されているので、利用者が特定されている場合には、問題がないが、不特定多数の利用者が使用する場合とか、特定の利用者が変わった場合には、その配置位置や長さ、高さ等が利用者の体に合わない場合もあり、不便を感じる事が多く、従って、改めて手摺の付け替え作業を行わなければならず、コストが増大すると言う問題がある。
【0012】
その他、図15にも示されている通り、例えば、既設のトイレ130内に手摺200を後付けにより取り付ける場合には、壁材140の内側に配置されている柱141或いは筋交い142が存在している箇所にしか当該手摺200を取り付ける事が不可能である。
【0013】
その為、便器143との距離が適正に採れず、使用者によっては、当該手摺200が有効に活用できない事が多く、不便で有った。
一方、円形或いは楕円形の手摺部を使用した手摺構造は、特開2007−138551号公報(特許文献6)として開示されているが、病院、診療所、リハビリセンター等の公共施設にあっては、所定の法律の規制があり、例えば、L字型をした取り付け部材しか壁面に使用出来ない場合が多く、係る場合には、例え当該円形或いは楕円刑の手摺部を当該取り付け部材に固定しようとしても、多くて二箇所程度しか当該手摺部を当該取り付け部材に固定させる事が出来ず、その為当該手摺部を強固に当該取り付け部材に安定して固着させる事が困難であったという問題が別に存在している。
【0014】
【特許文献1】特開平11−192189号公報
【特許文献2】実用新案登録第3002603号公報
【特許文献3】特開平10−25874号公報
【特許文献4】特開2004−218357号
【特許文献5】特開平8−27988号公報
【特許文献6】特開2007−138551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、上記問題点を改善し、簡易な構成で有りながら、浴室或いはトイレ更には階段等の利用者、特に高齢者或いは身体障害者等が、多くの労力を要せずに、安全でしかも容易に片手で必要な動作を実行することを可能にする手摺構造であって、当該手摺部を所定の壁面と当該所定の取り付け部材とに任意の位置で強固に且つ安定的に取付けられる様に構成された手摺構造を提供すると共に、該手摺部を所定の壁面取り付ける為の取り付け方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記目的を達成するために、以下に示す様な基本的技術構成を採用するものである。
即ち、本発明の態様としては、手摺保持部と、実質的に閉鎖状の枠体で構成されている手摺部と、当該手摺保持部の任意の部位と当該手摺部の任意の部位とを相互に固定する少なくとも1つの取り付け部材と、から構成された手摺構造に於いて、当該手摺部に更に当該手摺保持部が取付けられる壁面と当該手摺部との間を架橋する少なくとも1つの脚部が設けられている事を特徴とする手摺構造である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に於いては、上記した技術構成を有することから、簡易な構成で有りながら、浴室或いはトイレ等の利用者、特に高齢者或いは身体障害者等が、多くの労力を要せずに、安全でしかも容易に必要な動作を実行することを可能にする手摺りが得られると共に、特にトイレ或いは浴室の利用者が片手を使用して自己の体を支えながら浴槽への出入り、浴槽への沈み込み、浴槽からの立ち上がり等の動作を安全に且つ安定した状態で確実に実行できる様になり、又トイレに於いても便器へのしゃがみ込み、着席動作及び便器からの立ち上がり動作等を片手を使用して安全に且つ安定した状態で確実に実行できると同時に当該手摺部を所定の壁面と当該所定の取り付け部材とに任意の位置で強固に取付けられる様に構成された手摺構造で安全性を高める事を可能にした手摺構造を提供出来ると言う効果を奏するものである。
【0018】
更に、本発明に於いては、利用者が替わって当該利用者の体の大きさが変化した場合には、当該手摺部の配置位置或いは配置方向を容易に変化させる事が出来るので、新たな手摺を購入したり、最初から当該手摺の取付工事を行わなくとも、適宜の調整部材を調整する事によって、当該手摺を当該利用者の最も便利で且つ効率的に動作が実行出来る位置及び配置形状に変更する事が可能である。
【0019】
又、既設の建物の浴室、トイレ、洗面所、或いは階段等に手摺を設置する場合には、壁は石膏ボード或いはベニヤ板、合板、化粧ボードが主であり、その為にその裏側に、適宜の筋違い、柱、補助板、梁等が存在する部分にしか当該手摺保持部を取付ける事が出来ない為、当該手摺を当該手摺保持部に取付けるに際して、ユーザーが最も必要とする部位に適切に配置する事が不可能な場合が多かった。
【0020】
その為、従来では、不適切な形で当該手摺を当該手摺保持部に取付けていた為、当該手摺が強固に且つ安定した状態で当該手摺保持部を介して当該壁部に対して安定した状態で接地することが不可能であったのに対し、本発明では、当該壁部の任意の位置に、当該手摺保持部を介して当該手摺を安定した状態で且つ強固に取付ける事が可能であると言う優れた作用効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明にかかる手摺構造の具体例の構成を、図面を参照しながら詳細に説明する。
即ち、図1(A)及び図1(B)は、本発明にかかる当該手摺りの一具体例の構成を示したものであって、図中、手摺保持部2と、実質的に閉鎖状の枠体5で構成されている手摺部3と、当該手摺保持部2の任意の部位と当該手摺部3の任意の部位とを相互に固定する少なくとも1つの取り付け部材4と、から構成された手摺構造1に於いて、当該手摺部3に更に当該手摺保持部2が取付けられる壁面13と当該手摺部3との間を架橋する少なくとも1つの脚部12が設けられている手摺構造1が示されている。
【0022】
本発明に於いては、当該枠体5は、充実状棒状体或いは中空状管状体で構成されている本体部3’を有し、実質的に閉鎖状の形状を有する枠体5で構成されているものであり、具体的には、図2(A)に示す様に、一つの平面上に形成されている円形の環状体、楕円形、矩形或いは多角形(三角形乃至8角形等の多角形)、又はそれらの組み合わせからなる環状枠体5を含むと共に、図2(B)で示す様に、当該枠体5の一部に短い非連続部分6が形成されている環状体に類似する形状の枠体5も含まれる。
【0023】
当該非連続部分6の長さは、特に限定されるものではないが、実質的に閉鎖状の環状体として機能するものであれば本発明に於いて使用可能である。
又、本発明に於ける当該手摺部3の当該枠体5としては、図2(C)に示す様な、当該枠体5の一部に湾曲状部分7及び直線状部分8が共に含まれているもので有っても良い。
【0024】
一方、本発明に於ける当該枠体5は、内部が充実している充実状棒状体或いは中空状の管状体で構成されている事が望ましく、その断面形状は特に特定されるものではないが、例えば、円形、楕円形等の形状である事が好ましく、又それらの直径或いは長径又は短径等の大きさは、利用者が握り易い範囲の大きさである事が望ましい。
【0025】
更に、本発明に於ける当該手摺構造1に於ける当該手摺部3を構成する当該枠体5は、従来一般的に使用されている適宜の金属製或いは適宜の合成樹脂製或いは適宜のセラミック製、木材等の材料、更には、上記した各材料の複合材等で構成されている事が望ましい。
【0026】
一方、本発明に於ける当該手摺構造1で使用される当該手摺保持部2は、図3(A)及び(B)に示されている様に、適宜の材料からなる棒状体或いは管状体9で構成されており、且つ当該棒状体或いは管状体9は直線状であるものが主たる具体例ではあるが、その他の具体例としては、図3(C)或いは、図3(D)に示す様に、L字状を含む屈曲状若しくは湾曲状或いはその組み合わせからなる形状を有しているもので有っても良い。
【0027】
即ち、本発明に於ける当該手摺保持部2は、所定の長さを有する直線状の棒状体或いは管状体であっても良く、適宜の曲率を持った1つ或いはそれ以上の数の湾曲部或いは、所定の角度を有する1つ或いはそれ以上の数の角部を有するもので有っても良い。
【0028】
更には、直線状部分と湾曲状部分或いは角状部分から選択された少なくとも2種類の部分が組み合わされて構成されたもので有っても良い。
尚、本発明で使用される当該手摺保持部2は、既に配置されている既存の手摺2を使用するもので有っても良い。
【0029】
一方、本発明に於ける当該手摺保持部2の断面形状は特に特定されるものではないが、例えば、円形、楕円形等の形状である事が好ましく、又本発明に於ける当該手摺部3の断面形状も特に特定されるものではないが、例えば、円形、楕円形等の形状である事が好ましく、それらの直径或いは長径又は短径等は、当該手摺部3を利用する利用者が握り易い範囲の大きさである事が望ましい。
【0030】
更に、本発明に於ける当該手摺構造1に於ける当該手摺保持部2は、従来一般的に使用されている適宜の金属製或いは適宜の合成樹脂製或いは適宜のセラミック製等の材料で構成されている事が望ましい。
【0031】
本発明に於ける当該手摺保持部2は、図3に示す様に、その両端部に、壁、天井或いは床等の適宜の表面と接触して固定出来る適宜の構造からなる固定部材10が設けられている事が望ましい。
【0032】
更に、本発明に於ける当該手摺保持部2は、トイレ、浴室或いは階段等の適宜の壁部に取り付けられる様に構成されているもので有っても良く、又トイレ、浴室或いは階段の天井部と床部との間に配置固定されるように構成されているもので有っても良い。
【0033】
更には、上記した特許文献2に示す様に、図3(E)の如く床上に直接配置固定する様に構成されているもので有っても良い。
本発明に於いては、図4(A)乃至(C)に示す様に、当該直線状の形状を有する構成からなる当該手摺保持部2が単独で例えば特定の空間内の壁部に垂直に或いは水平に取り付けられるもので有っても良く、或いは、当該壁面に斜めに取り付けられるもので有っても良い。
【0034】
更には、複数本の当該手摺保持部2が所定の間隔をおいて平行して当該壁面に配置固定されているものであっても良く、それらを図4(D)に示す様に格子状に配列したもので有っても良い。
【0035】
更には、図4(F)及び(G)に示す様に、屈曲状或いは湾曲部を有する当該手摺保持部2が複数個並列状に或いは所定の位置関係を保って隣接配置したもので有っても良い。
又、本発明に於いても、その直線部分が所定の壁部に垂直に或いは水平に取り付けられるもので有っても良く、或いは、当該壁面に斜めに取り付けられるもので有っても良い。
【0036】
更には、図4(E)に示す様に、2個のL字型手摺保持部2が、その頂点部を相互に対向させて配置したものであっても良い。
一方、本発明に於ける当該手摺構造1に於いては、上記した手摺保持部2と手摺部3とが少なくとも一つの適宜の取り付け部材4を介して相互に且つ任意の所定の部位で配置固定される様に構成されているものである。
【0037】
図5は、本発明に於ける当該取り付け部材4が一つの手摺部3に対して2個配置されている(4’、4”)例を示したものである。又図5及び図6から明らかな通り、当該取り付け部材4は、当該手摺保持部2と当該手摺部3との間の間隔mを適宜の連結部14によって所定の値に予め規定するか或いは調整する機能を有しているものであっても良い。
【0038】
当該取り付け部材4は、少なくとも2個、必要により3個乃至それ以上の個数の取り付け部材4’、4”が当該手摺部2に設けられているもので有っても良い。
当該取り付け部材4の当該連結部14の長さは特に特定されるものではなく、場合によっては、実質的に外部から観察されないで、単に当該手摺部3と当該手摺保持部2とを接続するに十分な程度の長さを有するもので有っても良い。
【0039】
又、当該取り付け部材4の当該連結部14の長さmは、0であっても良く又、当該手摺部3の用途によって或いは利用者の状況に合わせて適宜の長さを設定する事が望ましい。
【0040】
更に、本発明に於ける当該取り付け部材4は、当該手摺部3上を当該手摺部の長手方向に沿って自由に摺動可能であり、任意の位置で固定される事が出来る。
一方、本発明に於ける当該取り付け部材4は、当該手摺保持部2上を当該手摺保持部2の長手方向に沿って自由に摺動可能であり、且つ任意の位置で固定される事が出来る。
【0041】
本発明に係る当該取り付け部材4のより詳細な具体例としては、図7に示す様に、当該取り付け部材4の一方の端部には、当該手摺保持部2と嵌合し且つ当該手摺保持部2に沿って摺動でき、更に任意の部位で当該手摺保持部2に固着せしめられる嵌合固定部材として機能する第1の嵌合固定部材41が設けられており、又当該取り付け部材4の他方の端部は、当該手摺部3に直接的に固着せしめられる固定部60を形成するか、図8に示す様に当該手摺部3と嵌合し且つ当該手摺部3に沿って摺動でき、更に好ましくは任意の部位で当該取り付け部材4を手摺部3に固定せしめる嵌合固定部材として機能する第2の嵌合固定部材61が設けられているものである。
【0042】
本発明に於ける当該第1の嵌合固定部材41の具体的な構成を説明するならば、図7に示されている通り、当該取り付け部材4の端部にボルト等45によってその一端部が固定された当該を囲繞する帯状片49を設け、当該帯状片49がその内部に当該手摺保持部2を巻き込んだ後で当該帯状片49の他方の端部に設けられた係合締付部47を当該取り付け部材4に締付固定させる様に構成したものであっても良い。
【0043】
即ち、本発明に於ける当該取り付け部材4は、手摺保持部2の中心軸方向に摺動可能に係合せしめられ、当該手摺保持部2の任意の部位で固定できる構造を有していてもよく或は、当該取り付け部材4は、手摺部3の中心軸方向に摺動可能に係合せしめられ、当該手摺部3の任意の部位で固定できる構造を有しているものであっても良い。
【0044】
又、本発明に於ける当該取り付け部材4は、図9に示す様に、連結部14を介して当該手摺保持部2と嵌合する第1固定部43と当該手摺構造3と嵌合する第2固定部42とが設けられており、且つ当該第1固定部43と当該第2固定部42との少なくとも一方が当該連結部14に対して旋回自在に構成されているものであっても良い。
【0045】
更に、本発明に係る当該取り付け部材4の別の構成例としては、図13に示す様に、当該取り付け部材4に設けられている当該第1と第2の嵌合固定部材41および61の少なくとも一方の嵌合固定部材が、半割り構造を有しているものである。
【0046】
即ち、本発明に於ける一具体例に於いては、当該取り付け部材4の一方の端部には、当該手摺保持部2と嵌合しながら当該手摺保持部2に沿って摺動でき、且つ任意の部位で当該手摺保持部2に固定される機能を有する第1の嵌合固定部材43が設けられており、当該取り付け部材4の他方の端部には、当該手摺部3の一部に固定されている固定部42が形成されているか、或いは当該手摺部3と嵌合しながら当該手摺部3に沿って摺動でき、且つ当該手摺部3の任意の部位に固定される機能を有する第2の嵌合固定部材42が設けられている事を特徴とする手摺構造1である。
【0047】
一方、本発明に於ける当該脚部12は、1個であってもよく複数個であっても良い。
更に、本発明に於ける、当該脚部12は、当該手摺部3の所望の位置に固定された状態で配置されていても良く、或は当該手摺部3の閉鎖状の枠体5に於ける中心軸線に沿って摺動可能に構成されているものであっても良い。
【0048】
又、本発明に於ける当該脚部12は、図10に示す様に、当該手摺部3の所定の位置であって且つ当該手摺部3を構成する枠体5が形成する平面に対して略直角の方向に当該手摺部3から固定状態で突出しているものであることが好ましい。
【0049】
又、本発明に於ける当該脚部12は、図10に示す様に、当該手摺部3の中心軸Oに対して所定の角度で旋回可能な様に構成されているものであっても良い。
尚、図1及び図10に於ける12’は、当該脚部の端部で当該壁面と接触する部分に設けられた固定部材を示している。
【0050】
一方、本発明に於ける当該脚部12は、当該手摺部3に少なくとも一つ設ける事が望ましく、必要によって複数個配置する事も可能である。
又、本発明に於ける該脚部12は、当該手摺部3に対して、固定された部位に取り付けられているものであっても良く、当該手摺部3の中心軸線O方向に沿って摺動自在に取り付けられているものであっても良い。
【0051】
更に、本発明に於ける当該脚部12は、当該手摺部3に対して着脱自在に取付けられているものであっても良い。
更に、本発明に於ける当該脚部12は、図11に示す様に、当該手摺部3に沿って当該取り付け部材4と交互に配置されるものであって良く、更には、当該脚部12は、その長手方向の長さLを予め定められた所定の長さに設定されているものであっても良く、或は当該脚部12の長手方向の長さLを自在に調節出来るように、例えば適宜の螺子機構100を主体とする長さ調節自在機構を含んでいるものであっても良い。
【0052】
本発明に於ける当該脚部12の先端部には、壁部と接触する際の当該壁部の保護及び当該壁部に対する安定性と固着性を発揮する適宜の固定部材12’が設けられている事も望ましい。
【0053】
即ち、本発明に於ける基本的な技術構成は、当該手摺部3が当該手摺保持部2の少なくとも一箇所に当該取り付け部材4を介して固定された場合で、当該手摺部3が十分に当該壁部に対して強固に且つ安定して取り付けられていない状態の時には、当該手摺部3が当該手摺保持部2に適宜の取り付け部材4によって取り付けられている部位と異なる手摺部3の部位に於いて、当該脚部4を利用して当該部位と当該壁部との間に架橋部を構成し、当該手摺部3の当該壁部に対する変位、変形を防止する事によって、当該手摺部3の当該壁部の対する安定した固定状態を実現するものである。
【0054】
本発明に於ける当該手摺構造1の一具体例として、L字状の手摺保持部2に円形状の手摺部3を取り付けた場合の例を図12の斜視図に示す。
本発明に於いては、上記した構成を採用している事から、当該手摺部3の当該手摺保持2に対する配置方向或いは配置位置が任意に可変設定できる。
【0055】
即ち、本発明に於いては、当該手摺保持部2と当該手摺部3とを取り付け部材4及び脚部12とを組み合わせて接合した手摺構造1を実現するものであるが、上記した様に、それぞれの構成を活用して、種々の形態の手摺構造1を実現させる事が可能となる。
【0056】
一例を図14を参照して説明するならば、図14は、楕円形の枠体5で構成された手摺部3で2個の取り付け部材4’、4”及び2個の脚部12とが設けられており、当該取り付け部材4’、4”を介して壁面に設けた適宜の手摺保持部2に取り付けて使用すると同時に当該脚部12を使用して壁部と当該手摺部3の間に架橋部を形成した例を示したものである。
【0057】
即ち、図14(A)は、例えば、トイレの壁面部にL字型の形状をもつ手摺保持部2を設け、当該手摺保持部2に2個の取り付け部材4’、4”を持った楕円形の手摺部3を当該取り付け部材4’、4”を介して当該手摺保持部2に固着配置させ、且つ当該取り付け部材4’、4”の間の当該手摺部3の枠体5に配置した当該脚部12を当該壁部に当接させて使用したものである。
【0058】
本発明に於いては、当該脚部12は、当該取り付け部材4’、4”の配置位置を考慮して、当該取り付け部材4’、4”間で、当該手摺部3の安定性が最大限発揮出来る当該手摺部3の部位を選択して、その部位に当該脚部12を移動させるか取り付けることにより、当該手摺部3と当該壁面13との間を安定的に固定させるものである。
【0059】
本具体例では、楕円形手摺部3をその長径が当該トイレの床面と水平となるように配置されているので、当該手摺部3の図からみて右側の湾曲頂点部Pが、円形の手摺部3を使用する場合に比べて、利用者に近い位置に配置されるので、利用者に便利であり、特に体が小さい利用者にとっては、手摺の握り部が身近に配置されているので便利である。
【0060】
係る当該手摺部3の固定位置は、当該手摺保持部2の取り付け位置及び必要に応じ或いは利用者の体の大きさに合わせて自在に調整する事が可能である。
つまり、本発明に於いては、利用者の使用に最も便利で且つ効果的な部位に当該手摺部3を微小間隔で調整することによってその配置位置を調整し決定する事が可能となる。
【0061】
又、図14(A)の具体例に於いては、更に、点線で示す様に、当該手摺部3の当該取り付け部材4’、4”の取付位置を種々に変化させる事によって、当該手摺部3を種々の方向に配置固定させその後に当該脚部12を固定する事が出来るので、利用者の体の大きさや用途、目的等によって最適の位置に固定する事が出来る。
【0062】
一方、図14(B)は、本発明に係る当該手摺構造1を浴室に設置するに際し、当該浴室の壁面部に、先ず当該手摺保持部2の直線状部分を垂直方向に取り付け、これに本発明にかかる当該楕円形手摺部3をその長径が当該浴室の床面と垂直となるように配置した具体例を示している。
【0063】
又、図14(C)は、本発明に係る当該手摺構造1を階段部の壁面部に、当該手摺保持部2の直線状部分が床面に対して垂直方向に取り付け、これに本発明にかかる当該楕円形手摺部3をその短径が当該床面と垂直となるように配置した具体例を示している。
【0064】
図14(B)及び図14(C)の具体例でも、当該手摺保持部2に対する当該手摺部3の配置位置及び或いは配置取付方向は、当該取り付け部材4と当該脚部12の設定位置を適宜選択して固定する事が可能である。
【0065】
次に、本発明に於ける別の態様を説明するならば、本発明の他の態様としては、手摺保持部2と実質的に閉鎖状の枠体で構成されている手摺部3とから構成された手摺構造1に於いて、当該手摺部3を所定の壁面13に取り付けるに際し、予め所定の壁面13に固定されている当該手摺保持部2の任意の部位と当該手摺部3の任意の部位とを相互に固定する少なくとも1つの取り付け部材4を介して当該手摺部3の一部を当該手摺保持部2の一部に取り付けると共に、当該手摺部3の少なくとも一部に更に当該手摺保持部2が取付けられる壁面13に向けて突出している少なくとも1つの脚部12を当該手摺部3と該手摺保持部2が取付けられる壁面13の間に延展架橋して当該手摺部3を当該壁面13に対して安定保持する様に構成されている手摺構造の取り付け方法である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明に於ける手摺構造の一具体例の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明に於ける手摺構造で使用される手摺部の一具体例を示す図である。
【図3】図3は、本発明に於ける手摺保持部の構成例示す図である。
【図4】図4は、本発明に於ける手摺保持部の配置形状の例を示す図である。
【図5】図5は、本発明に於ける手摺部の具体例を示す図である。
【図6】図6は、本発明に於ける手摺構造に於ける手摺保持部と手摺部との接合関係の一具体例の構成を示す図である。
【図7】図7は、本発明に於ける取り付け部材の別の具体例に於ける構成を示す図である。
【図8】図8は、本発明に於ける手摺部の別の具体例の構成を示す図である。
【図9】図9は、本発明に於ける取り付け部材の他の具体例に於ける構成の概略を示す図である。
【図10】図10は、本発明に於ける手摺構造の使用例を説明する図である。
【図11】図11は、本発明に於ける手摺構造の更に更に別の具体例の構成を示す図である。
【図12】図12は、本発明に於ける手摺保持部の他の具体例を示す図である。
【図13】図13は、従来の手摺構造の一例を示す図である。
【図14】図14は、本発明に於ける手摺構造の、更に他の具体例の構造を示す図である。
【図15】図15は、従来の手摺部の取り付け状況を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 手摺構造
2 手摺保持部
3 手摺部
3’ 本体部
4 取り付け部材
5 枠体
6 非連続部分
7 湾曲状部分
8 直線状部分
9 棒状体或いは管状体
10 固定部材
12 脚部
12’ 固定部材
13 壁面
14 連結部
41 第1の嵌合固定部材
42 第2固定部
43 第1固定部
51 立体状湾曲部
61 第2の嵌合固定部材
62 中空
63 開口溝部
64 拡大ヘッド部
65 締め付け部材
66 溝カバー部
100 螺子機構
111 第2の半割部
112 第1の半割部
113 固定部材
114 固定部材
131 補助板部
132 スリット部
133 位置決め固定部
200 手摺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺保持部と、実質的に閉鎖状の枠体で構成されている手摺部と、当該手摺保持部の任意の部位と当該手摺部の任意の部位とを相互に固定する少なくとも1つの取り付け部材と、から構成された手摺構造に於いて、当該手摺部に更に当該手摺保持部が取付けられる壁面と当該手摺部との間を架橋する少なくとも1つの脚部が設けられている事を特徴とする手摺構造。
【請求項2】
当該脚部は複数個である事を特徴とする請求項1に記載の手摺構造。
【請求項3】
当該脚部は、当該手摺部の閉鎖状の枠体に沿って摺動可能に構成されている事を特徴とする請求項1又は2に記載の手摺構造。
【請求項4】
当該脚部は、当該手摺部に沿って当該取り付け部材と交互に配置される事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の手摺構造。
【請求項5】
当該脚部は、その長手方向の長さが調節自在であるように構成されている事を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の手摺構造。
【請求項6】
当該脚部は、当該手摺部に対して着脱自在に取付けられている事を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の手摺構造。
【請求項7】
当該脚部は、当該手摺部の中心軸に対して旋回自在に取付けられている事を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の手摺構造。
【請求項8】
当該脚部は、当該手摺部に対して摺動自在に取付けられている事を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の手摺構造。
【請求項9】
当該枠体は、充実状棒状体或いは中空状管状体で構成されている本体部を有し、当該本体部は、実質的に円形若しくは楕円形或いは多角形の環状体で構成されている事を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の手摺構造。
【請求項10】
当該手摺保持部は、棒状体或いは管状体で構成されており、且つ当該棒状体或いは管状体は直線状、屈曲状、波型状若しくは湾曲状の何れかの形状、或いはそれらから選択された少なくとも2種の形状の組み合わせからなる形状を有している事を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の手摺構造。
【請求項11】
当該手摺部は、適宜の取り付け部材を介して当該手摺保持部の任意の部位に配置固定されている事を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の手摺構造。
【請求項12】
当該取り付け部材は、当該手摺保持部と当該手摺部との間の間隔を所定の値に調整する機能を有している事を特徴とする請求項11に記載の手摺構造。
【請求項13】
当該取り付け部材は、当該手摺保持部と当該手摺部との少なくとも一方に、当該手摺保持部或は当該手摺部の中心軸方向に摺動自在に係合せしめられている事を特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の手摺構造。
【請求項14】
当該取り付け部材の一方の端部には、当該手摺保持部と嵌合しながら当該手摺保持部に沿って摺動でき、且つ任意の部位で当該手摺保持部に固定される機能を有する第1の嵌合固定部材が設けられており、当該取り付け部材の他方の端部には、当該手摺部の一部に固定されている固定部が形成されているか、或いは当該手摺部と嵌合しながら当該手摺部に沿って摺動でき、且つ当該手摺部の任意の部位に固定される機能を有する第2の嵌合固定部材が設けられている事を特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の手摺構造。
【請求項15】
当該取り付け部材の当該第1と第2の嵌合固定部材の少なくとも一方は、当該手摺保持部若しくは当該手摺部に対して旋回自在に構成されている事を特徴とする請求項14に記載の手摺構造。
【請求項16】
当該手摺部の配置方向或いは配置位置が、当該手摺保持部に対して任意に可変設定できる事を特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の手摺構造。
【請求項17】
当該手摺保持部若しくは当該手摺部が中空状管状体で構成されており、且つ当該中空状管状体の少なくとも一部に、当該取り付け部材の当該第1と第2の嵌合固定部材の少なくとも一方が嵌合し且つ摺動可能な溝部が設けられている事を特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載の手摺構造。
【請求項18】
手摺保持部と、実質的に閉鎖状の枠体で構成されている手摺部と、から構成された手摺構造に於いて、当該手摺部を所定の壁面に取り付けるに際し、予め所定の壁面に固定されている当該手摺保持部の任意の部位と当該手摺部の任意の部位とを相互に固定する少なくとも1つの取り付け部材を介して当該手摺部の一部を当該手摺保持部の一部に取り付けると共に、当該手摺部の少なくとも一部に更に当該手摺部から当該手摺保持部が取付けられる壁面に向けて突出している少なくとも1つの脚部を当該手摺部と該手摺保持部が取付けられる壁面の間に延展架橋して当該手摺部を当該壁面に対して安定保持する事を特徴とする手摺構造の取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−127200(P2009−127200A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300112(P2007−300112)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(304027110)株式会社SETO (4)
【Fターム(参考)】