説明

手摺用蓄光性蛍光体

【課題】 アルミン酸塩を母体結晶とし、該母体結晶に賦活剤としてマグネシュウム、カルシュウム、ストロンチュウム、ナトリュウム、錫の酸化物を混合したことを特徴とする手摺用蓄光性蛍光体を提供すること。
【解決手段】 Al−61〜63重量%に対してMgO−12〜14重量%、CaO−7〜9重量%、SrO−15〜16重量%、NaO−1.8〜3.8重量%、SnO−0.5〜1.5重量%を混合したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄光性蛍光体に関し、特に屋内外の手摺等において夜間表示用として利用される耐光性に優れると共に、極めて長時間の残光特性を有し、且つ安価に製造できる蓄光性蛍光体に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来公知の蓄光性蛍光体としては、古くからZnS:CuやCaSrS:Biなどの硫化物蛍光体が主流であった。
【0003】
これらの硫化物蛍光体は、塗料やインク、プラスチックなどに混練して、時計の文字盤や安全標識板などに主に利用されていた。しかし、それらは残光の発光時間が短かったり、発光が弱いことなどの欠点があるため、実用上問題点が多くあった。
【0004】
そこで、残光時間を長くするために、プロメチウム(Pm)などの放射性物質を加えるなどの改良が行われているが、放射性物質を含む蓄光性蛍光体は人体に影響を及ぼしたり、廃棄処分にコストが掛かる等の問題があり、実用的な用途に関しては制限があった。
【0005】
最近、これらの蓄光性蛍光体とは異なる、アルカリ土類金属アルミン酸塩を母体結晶とし、賦活剤としてユーロピウム(Eu)を混入した蛍光体、例えばSrAl:Euが提案されている。
【0006】
しかし、それらはユーロピウム(Eu)という高価な希土類元素を使用するため、製品自体高価なものとなり、例えば手摺の夜間表示用として利用される場合には大量の蓄光性蛍光体が必要となって非常に高価なものとなり、経済的に使用できないという問題点があった。
【発明の目的】
【0007】
本発明は、アルミン酸塩を母体結晶とし、該母体結晶に賦活剤としてマグネシュウム、カルシュウム、ストロンチュウム、ナトリュウム、錫の酸化物を混合したことを特徴とする手摺用蓄光性蛍光体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る手摺用蓄光性蛍光体は、Al−61〜63重量%に対してMgO−12〜14重量%、CaO−7〜9重量%、SrO−15〜16重量%、NaO−1.8〜3.8重量%、SnO−0.5〜1.5重量%を混合したことを特徴とするものである。
【発明の実施の態様】
【0009】
本発明の実施の態様を図面について具体的に説明する。
図1は、本発明に係る蓄光性蛍光体を混入した透明なエナメル系の塗料を流し込んだ手摺の縦断正面図、図2は、本発明に係る蓄光性蛍光体を一面に付着させた両面粘着テープを他面を貼着した同手摺の他の実施例を表わす縦断正面図である。
【0010】
図1において、1は、手摺であって、周面の一部に長手方向全長に亘って溝2を形成してあり、その溝2内にAl−61重量%に対してMgO−14重量%、CaO−9重量%、SrO−14重量%、NaO−2.8重量%、SnO−1.5重量%を混合した蓄光性蛍光体を混入した透明なエナメル系の塗料3が流し込んである。(実施例1)
【0011】
図2において、1は、同じく手摺であって、周面の一部に長手方向全長に亘って溝2を形成してあり、その溝2の底面に、Al−63重量%に対してMgO−12重量%、CaO−7重量%、SrO−16重量%、NaO−2.8重量%、SnO−0.5重量%を混合した蓄光性蛍光体を一面に付着させた両面粘着テープ4の他面を貼着してあり、蓄光性蛍光体を保護するために透明な片面粘着テープ5が貼着されている。(実施例2)
【0012】
実施例1の手摺1にあっては、溝2内に流し込まれて硬化した透明な塗料3に混入された蓄光性蛍光体が昼間の光エネルギーを蓄わえて、夜間にこの光エネルギーを放出して発光する。
【0013】
実施例2の手摺1にあっては、溝2内の底面に一面が貼着された両面粘着テープ4の他面に付着してある蓄光性蛍光体が昼間の光エネルギーを蓄わえて、夜間にこの光エネルギーを放出して発光する。
【0014】
いずれの実施例の場合でも昼間の光エネルギーを蓄わえて、8時間程発光するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る手摺用蓄光性蛍光体によれば、耐光性に優れると共に、極めて長時間の残光特性を有し、且つ安価に製造できるため、長尺の手摺の夜間表示用に最適であり、極めて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明に係る蓄光性蛍光体を混入した透明なエナメル系の塗料を流し込んだ手摺の縦断正面図である。
【図2】 本発明に係る蓄光性蛍光体を一面に付着させた両面粘着テープを他面を貼着した同手摺の他の実施例を表わす縦断正面図である。
【符号の説明】
【0017】
1・・・手摺
2・・・溝
3・・・塗料
4・・・両面粘着テープ
5・・・片面粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AlO3−61〜63重量%に対してMgO−12〜14重量%、CaO−7〜9重量%、SrO−15〜16重量%、NaO−1.8〜3.8重量%、SnO−0.5〜1.5重量%を混合したことを特徴とする手摺用蓄光性蛍光体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−297578(P2007−297578A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150646(P2006−150646)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(502174922)株式会社駒谷 (3)
【Fターム(参考)】