説明

把持可能なスリーブを備えたコネクタ組立体

本発明におけるコネクタ組立体は、電気コネクタとスリーブとを含んでいる。電気コネクタは、互いに反対側に配置された第1の端部及び第2の端部を有している。第1の端部は、第2の端部に対して相対的に回転可能とされ、相手側コネクタに結合するように構成されている。第2の端部は、ケーブルを終端するように構成されている。スリーブは、外部把持面と、スリーブとコネクタの第1の端部との両方を回転可能とするための内部ボアとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、出願人が共通する同時係属中の、2007年12月20日に出願された、発明の名称が「把持可能なスリーブを備えたコネクタ組立体」("Connector Assembly with Gripping Sleeve")である米国特許出願第12/003108号に関連している。当該特許出願の主題は、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、スリーブを備えたコネクタ組立体に関する。特に、本発明は、一のコネクタをその対応部材であるコネクタに容易に把持及び結合可能とするスリーブを備えている、電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
コネクタ組立体は、ケーブルを終端し、該ケーブルを適応させることによって、所定の装置に取り付けるために利用される場合がある。コネクタ組立体は、雌ネジ部分が形成された回転式ナット部分を備えている、本体を含んでいる場合がある。ナット部分の雌ネジ部分が、前記装置、他のコネクタ、又は他のケーブルの対応しているネジ部分に係合するように、ナット部分が本体に対して相対的に回転する。ナット部分は、コネクタ組立体を適切に機能させるために、対応しているネジ部分に完全に締め付けられる必要がある。接続が緩い場合には、ケーブルと前記装置、他のコネクタ、又は他のケーブルとの連続性を保つために必要な、完全な接続を得ることができない。また、接続が緩い場合には、前記装置、他のコネクタ、又は他のケーブルに対する接続が偶発的に解除される場合がある。接続が緩い場合には、信号漏損(signal leakage)及び性能低下が生じる場合がある。
【0004】
さらに、コネクタ組立体は、利用者がコネクタ組立体のナット部分を適切に把持することができない状態において組み立てなくてはならない場合がある。確実に把持することができないので、利用者がコネクタ組立体を他の装置、他のコネクタ、又は他のケーブルと適切に結合することができない場合がある。また、締め付け不良が発生する可能性が高まるので、コネクタ組立体が装置、他のコネクタ、又は他のケーブルからの分離し易くなり、信号漏損が発生する。
【0005】
従って、本発明が属する技術分野では、コネクタ組立体のコネクタを把持し且つ該コネクタを相手コネクタに結合することを補助するように改善されたコネクタ組立体に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上より、本発明の目的は、コネクタ及びスリーブを備えているコネクタ組立体であって、コネクタを把持し該コネクタを相手コネクタに結合することを容易にするコネクタ組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明におけるコネクタ組立体の一の実施例は、互いに反対側に配置された第1の端部及び第2の端部を有している電気コネクタから成る。第1の端部は、第2の端部に対して相対的に回転可能とされ、相手側コネクタに結合するように構成されている。第2の端部は、ケーブルを終端するように構成されている。スリーブは、外部把持面と内部ボアとを有しており、電気コネクタの第1の端部及び第2の端部を受容するようになっている。スリーブとコネクタの第1の端部とは共に、コネクタの第2の端部に対して相対的に回転可能とされる。内部ボアは、電気コネクタがスリーブに対して相対的に軸線方向に移動することを防止するように構成されている、保持部材を含んでいる。
【0008】
本発明の他の実施例は、互いに反対側に配置された第1の端部及び第2の端部を有している電気コネクタから成る、コネクタ組立体を提供する。第1の端部は、第2の端部に対して相対的に回転可能とされ、相手側コネクタに結合するように構成されている。第2の端部は、ケーブルを終端するように構成されている。スリーブは、スリーブを貫通して延在している内部ボアを含んでいる。内部ボアは、電気コネクタを受容するようになっている。内部ボアの一方の部分は、電気コネクタの第1の端部を収容するように構成されており、内部ボアの他方の部分は、内部ボア内に電気コネクタを保持するように構成されている。そして、スリーブは外部把持面を含んでいる。
【0009】
本発明のさらなる他の実施例は、コネクタ組立体を形成するための方法を提供する。該方法は、電気コネクタの第1の端部及び第2の端部を提供するステップであって、第1の端部と第2の端部とが、互いに対して結合するように適合しており、第1の端部が、第2の端部に対して相対的に回転可能とされ、第1の端部が、相手側コネクタに結合するように構成されており、第2の端部が、ケーブルを終端するように構成されているステップと、第1の端部を収容するように、且つ、第2の端部を覆った状態で滑動するように構成されているスリーブを提供するステップであって、スリーブが、外部把持面を有しており、これによりスリーブと電気コネクタの第1の端部とが共に、コネクタの第2の端部に対して相対的に回転されるステップと、第1の端部をスリーブ内に挿入するステップと、第2の端部をスリーブ内に挿入するステップと、第1の端部及び第2の端部をスリーブ内で結合するステップと、を備えている方法である。
【0010】
本発明の他の目的、利点、及び顕著な特徴は、本発明の好ましい実施例を説明する以下の発明の詳細な説明、及び添付図面から明らかとなる。
【0011】
添付図面と関連して検討するときに以下の発明の詳細な説明を参照することによって、本発明の内容と本発明の多くの利点とについて容易且つ完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の典型的な実施例におけるコネクタ組立体の側面図である。
【図2】図1に表わすコネクタ組立体の断面図である。
【図3】図1に表わすコネクタ組立体のスリーブの前面図である。
【図4】図3に表わすスリーブの斜視図である。
【図5】本発明の代替的な実施例におけるコネクタ組立体の側面図である。
【図6】図5に表わすコネクタ組立体のスリーブ及びコネクタの断面図である。
【図7】図6に表わすスリーブの前面図である。
【図8】図6に表わすスリーブの斜視図である。
【図9】図1に表わすコネクタ組立体の、コネクタの第1の端部及び第2の端部とスリーブとの斜視図である。
【図10】図1に表わすコネクタ組立体のコネクタの導体と、該コネクタ組立体の第1の端部、第2の端部、及びスリーブとの斜視図である。
【図11】図1に表わすコネクタ組立体のケーブル、コネクタ、及びスリーブの斜視図である。
【図12】図1に表わすコネクタ組立体の圧縮リング、ケーブル、コネクタ、及びスリーブの斜視図である。
【図13】図1に表わすコネクタ組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図13を参照すると、本発明は、コネクタ110の一部分を収容すると共に把持性能を向上させる、スリーブ120を備えたコネクタ組立体100、及びコネクタ組立体100の製造方法に関する。スリーブ120は、安全上の理由によって、コネクタ110から容易に取り外すことはできない。
【0014】
図1は、コネクタ110とスリーブ120とを少なくとも含んでいるコネクタ組立体100を表わす。コネクタ110が、ケーブル140を終端しており、相手側コネクタ(mating connector)、相手側装置、又は相手側ケーブルに接続している。コネクタ110は、電気コネクタ、光コネクタ、流体コネクタ、空圧式コネクタ、液圧式コネクタ、又は他のタイプのコネクタである場合がある。本発明の説明を単純且つ容易にするために、コネクタ110を電気コネクタ、特に同軸ケーブルと共に利用されるF型コネクタとして説明する。しかしながら、本発明は、電気コネクタを備えた実施例のみに限定される訳ではない。
【0015】
スリーブ120によって、コネクタ110を相手側コネクタ、相手側装置、又は相手側ケーブルに容易に結合することができる。スリーブ120は、コネクタ110の一部分を収容する。スリーブ120は、スリーブ120を紛失しないこと、又は該スリーブがコネクタ110から分離されないことを確実にするように、コネクタ110上に配置されている。スリーブ120は、任意のゴム、例えば合成ゴム、ネオプレン、熱可塑性プラスチック材料、熱硬化性プラスチック材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル、ポリウレタンやポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定される訳ではない)、これらの組み合わせ、及び他の類する材料から作られている。
【0016】
スリーブ120は、工具を利用することなく、コネクタ110を他の装置又はコネクタと結合する場合に、利用者が大きなトルクを出すことができるような大きさになっている。また、スリーブ120は、スリーブ120を握ることを補助するか、工具の利用を容易にするか、又はその両方を実現する把持面122を有している。把持面122は、隆起部、溝、ローレット状の表面、これらの組み合わせ、及び類するものを含んでいる。把持面122が滑らかになっている場合もある。スリーブ120は、1つ以上の湾曲部分124を有している場合がある。湾曲部分124によって、さらにコネクタ組立体100を容易に把持することができる。湾曲部分124は、好ましくはスリーブ120の略全長に亘って長手方向に延在している。
【0017】
ケーブル140には、電気信号、光信号、液体、気体、又は幾つかの他のタイプの信号若しくは物質のための経路が設けられている。コネクタ110がF型コネクタである実施例においては、ケーブル140は同軸ケーブルになっている。同軸ケーブルとしては、例えばRG−6ケーブル、CATV分配用同軸ケーブル、RG−8ケーブル、RG−11ケーブル、RG−58ケーブル、RG−59ケーブルや他の類するケーブルが挙げられる。
【0018】
図2を参照すると、コネクタ110は、第1の端部112と、第1の端部112の反対側に位置する第2の端部114とを有している。第1の端部112は、コネクタ110を相手側コネクタ、相手側装置、又は相手側ケーブルに結合する結合構造体116を含んでいる。図示のように、結合構造体116がネジ部分であることが望ましい。しかしながら、該結合構造体が、一方の装置又はコネクタを他方の装置又はコネクタと結合するように構成されている任意の構造体であっても良い。該結合構造体としては、例えば、径方向に延在しているポストであって、相手側コネクタのスロット内に又は該ポストを受容するスロット内に受容されるように適合している前記ポストが挙げられる。コネクタ110を相手側コネクタ、相手側装置、又は相手側ケーブルと結合するために、第1の端部112は、例えば捻ること、押すこと、又は引くことのような、幾つかの操作を必要とする。手作業によって又は工具を利用することによって、操作が完了する。コネクタ110を捩る場合には、第1の端部112が第2の端部に対して相対的に回転される。代替的には、コネクタ110が押すこと又は引くことを必要とする場合には、第1の端部112が第2の端部114に対して相対的に長手方向に移動する。コネクタ110の第2の端部114は、ケーブル140を終端している。第2の端部114は、例えば圧着することによって、溶着することによって、接着剤を利用することによって、又は他の類する方法を利用することによってケーブル140を終端している場合がある。
【0019】
第1の端部112が第2の端部114に対して相対的に回転するか、又は第2の端部114に対して長手方向に移動するかに関わらず、スリーブ120が、スリーブ120及び第1の端部112が共にコネクタ110の第2の端部114に対して相対的に回転又は移動するように、コネクタ110の第1の端部112を収容していることが望ましい。スリーブ120が回転又は移動した場合には、第2の端部114は回転又は移動しない。第2の端部がケーブル140に固定されており、スリーブ120が第2の端部114を覆って滑動するからである。好ましくは、ボア128が、スリーブ120に形成されており、該ボアの断面は、コネクタ110を収容するようにスリーブ120の長手方向に沿って変化している。図2に表わす典型的な実施例では、ボア128は第1の部分130と第2の部分132とを有している。また、コネクタ110は、第1の端部112及び円筒状の第2の端部114としてナット組立体を有している、従来のF型コネクタである。F型コネクタには、相手側コネクタ、相手側装置、又は相手側ケーブルの対応するネジ部分に係合する結合構造体116として、雌ネジ部分が形成されている。従って、F型コネクタは、コネクタ110を相手側装置又は相手側コネクタに結合するために、第1の端部112を捩ることを必要とする。また、図示するように、ボア128の第1の部分130は、コネクタ110の第1の端部112を収容している。第1の部分130の六角状の断面が、ナット組立体の形状に対応しているからからである。ボア128の第2の部分132の断面は、コネクタ110の円筒状の形態をした第2の端部114を覆って滑動するように円状になっている。従って、スリーブ120を回転させる場合には、コネクタ110の第1の端部112が第2の端部に対して相対的に回転される。従って、利用者は、スリーブ120を把持して捩ることによって、相手コネクタとの螺合を補助する第1の端部112を回転させることができる。
【0020】
コネクタ110は、コネクタ組立体100の説明を単純且つ容易にするために、F型コネクタとして図示され説明されているが、BNC(Bayonet Neill-Concelman)コネクタ、TNC(Threaded Neill-Concelman)コネクタ、C型コネクタ、N型コネクタ、SMAコネクタや他の類する電気コネクタであっても良い。
【0021】
さらに、図2に表わす実施例では、ケーブル140は同軸ケーブルである。同軸ケーブルは、被覆部分142と、導電性シース144と、誘電絶縁体146と、中心導体148とを含んでいる。被覆部分142は、絶縁性を有しており、例えばポリ塩化ビニルのような導電率が低い任意の材料から作られている。同軸ケーブルは、高剛性であっても可撓性を有していても良い。高剛性な同軸ケーブルの場合には、導電性シース144が中実になっている。一方、可撓性を有している同軸ケーブルの場合には、編組シース144が、小径の導線又は他の導電性材料から作られている。図示の実施例では、導電性シース144は、F型コネクタの第1の端部112及び第2の端部114の内部に配置された導体118に電気的に結合している。誘電絶縁体146が、導電性シース144を中心導体148から絶縁しており、同軸ケーブルのインピーダンス特性及び減衰特性に影響している。誘電絶縁体146は図示のように中実になっているか、又は誘電絶縁体146には空隙が形成されている。誘電絶縁体146は、例えばポリエチレンのような導電率が低い任意の材料から作られている。電気信号がケーブル140に沿って伝送されると、該電気信号が、ケーブル140の被覆部分142を通過してケーブル140を越えて延在している、関連する磁場を形成する。ケーブル140が自身の近傍で折れた場合に、又はケーブル140が他の導電性材料の近傍を通過する場合に、磁場が電気信号を歪ませる場合がある。しかしながら、同軸ケーブルを経由して伝送された電気信号は、導電性シース144によって概略的に遮蔽されており、中心導体148に閉じ込められている。そうすると、電気信号は、導電性シース144と中心導体148との間において誘電絶縁体146を通じて伝送される。従って、同軸ケーブルが、電気信号が自身に影響を及ぼさずに折り曲げられ、適度に捩れている場合がある。また、同軸ケーブルは、電気信号を歪ませることなく、他の導電性材料の比較的近傍に配設されている場合がある。
【0022】
図2に表わすF型コネクタは、圧縮リングも含んでいる。圧縮リングは、圧着工具と共に利用することによって、同軸ケーブルをF型コネクタに終端することができる。同軸ケーブルがストリップされた後に、圧縮リングが同軸ケーブルに取り付けられる(slip on)。その後に、同軸ケーブルのストリップされた端部が第2の端部114内に挿入され、圧着工具がコネクタ110及び圧縮リングに利用される。圧着工具によって、圧縮リングが強制的に第2の端部114内に挿入されるので、同軸ケーブルがコネクタ110の第2の端部114に確実に固定される。
【0023】
ボア128が、スリーブ120が長手方向においてコネクタ110に対して相対的に移動すること、及びスリーブ120がコネクタ110から脱落することを防止する、保持部材134を含んでいる場合がある。保持部材134は、例えば径方向に延在しているフランジである。また、第1の端部112が第2の端部に対して相対的に長手方向に移動することによってコネクタ110に結合する実施例では、保持部材134は、第1の端部112が長手方向のうち一方の方向において移動するように形成されている(ensnare)。保持部材134は、スリーブ120と一体に形成されているか、又はスリーブ120と別々に形成され、スリーブ120に取り付けられている場合がある。保持部材134は、任意の適切な高剛性材料から作られている。
【0024】
図3及び図4は、コネクタ110を省略したスリーブ120を表わす。図示の典型的な実施例では、スリーブ120の断面は略六角状になっている。スリーブ120の断面形状は、従来型の工具、例えば六角ナットに係合するようになっているレンチが、コネクタ110を捩るためにスリーブ120に利用可能となるように形成されている。スリーブ120の断面は、略六角状の断面が図示されているが、図5〜図8に表わす代替的な実施例のように任意の他の形状であっても良い。
【0025】
ボア128の第1の部分130は、略六角状の形状になっている。略六角状の形状になっている第1の部分130は、第1の端部112が六角状のナット組立体である実施例の第1の端部112に適合している。スリーブ120は、コネクタ110の第1の端部112に適合しているので、第1の端部112を収容するようになっている。そうすると、スリーブ120を把持すると共にスリーブ120を回転させることによって、コネクタ110の第1の端部112が回転する。従って、利用者は、コネクタ110を相手側コネクタ、相手側装置、又は相手側ケーブルと結合する場合には、比較的小さな第1の端部112ではなく、スリーブ120の把持面122を把持することができる。スリーブは、コネクタ組立体100の低剛性部分(weak point)を機械的に支持するように構成されている。従って、ケーブル140は損傷しにくい。
【0026】
図5〜図8は、代替的な実施例としてコネクタ組立体200を表わす。コネクタ組立体200は、スリーブ220とコネクタ110とを含んでいる。スリーブ120とは異なり、スリーブ220の断面は円状になっており、スリーブ220には湾曲部分が形成されていない。スリーブ220は、コネクタ110を収容しており、コネクタ110の略全長に亘って延在している。スリーブ120と同様に、スリーブ220は、コネクタ110の第1の端部112を収容するが、第2の端部114を収容しない。
【0027】
図5を参照すると、スリーブ220は、把持面222を有しているか、湾曲部分124に類似した湾曲部分を有しているか、又はその両方を有している。図示する典型的な実施例では、スリーブ220は把持面222を有している。把持面222は上述の把持面122に類似しているので、把持面222については詳述しない。スリーブ220は、任意のゴム、合成ゴム、ネオプレン、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマープラスチスック、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル、ポリウレタンやポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定される訳ではない)、上記物質の組み合わせ、又は他の類似する材料から作られる。
【0028】
図6を参照すると、スリーブ220が、コネクタ110の第1の端部112を収容するが、第2の端部114を収容しないように構成されている。ボア228が、スリーブ220に形成されており、該ボアの断面は、コネクタ110を収容するようにスリーブ120の長手方向に沿って変化している。上述のように、コネクタ110は従来のF型コネクタであり、F型コネクタは、第1の端部112にナット組立体を有しており、さらに円筒状の第2の端部114を有している。
【0029】
スリーブ220のボア228は、第1の部分230と第2の部分232とを有している。ボア228の第1の部分230の略六角状の断面が、ナット組立体の形状に対応しているので、第1の部分230は、F型コネクタの第1の端部112を収容することができる。ボア228の第2の部分232の断面が略円状になっているので、第2の部分232が、F型コネクタの円状の第2の端部114を覆って滑動することができる。そうすると、スリーブ220が回転した場合には、F型コネクタの第1の端部112が第2の端部114に対して相対的に回転する。従って、利用者は、スリーブ220を把持すると共に該スリーブを捩ることによって、F型コネクタの第1の端部112を相手部材に係合させることができる。また、利用者は、コネクタ110をその相手側コネクタと結合する場合に、把持面222を利用することによって、スリーブ220を好適に把持することができる。
【0030】
ボア228は、保持部材234、例えばフランジを含んでいる場合がある。これにより、スリーブ220がコネクタ110に対して相対的に長手方向において移動すること、及びスリーブ220がコネクタ110から滑って脱落することが防止される。保持部材234は保持部材134に類似しているので、保持部材234については詳述しない。
【0031】
図7及び図8は、コネクタ110を省略したスリーブ220を表わす。断面が略六角状になっているスリーブ120とは異なり、スリーブ220の断面は略円状になっている。ボア228の第1の部分230は、コネクタ110の第1の端部112を収容する。スリーブ120と同様に、図示する実施例では、ボア228の第1の部分230の断面は、略六角状になっており、F型コネクタのナット組立体に適合している。そうすると、上述のようにスリーブ120を把持すると共に回転させることによって、コネクタ110の第1の端部112が回転し、これにより相手部材であるコネクタに係合する。また、利用者は、コネクタ110をその結合する相手部材に結合する場合に、比較的小さな第1の端部112ではなく、スリーブ220の把持面222を把持することができる。さらに、スリーブ200は、コネクタ組立体200の低剛性部分、例えばコネクタ110とケーブル140との接続部分を機械的に支持しているので、ケーブル140は損傷しにくい。
【0032】
図9を参照すると、コネクタ組立体100を製造するために、スリーブ120とコネクタ110の構成部品とが別々に形成されていることが望ましい。典型的な一の実施例では、スリーブ120は、高温のプラスチックがダイとして知られているモールド内に強制的に注入されるダイカストによって作られている。モールドが形成する形状は、スリーブ120の形状に対応している。高温のプラスチックが冷却された後に、該プラスチックはモールドの形状を維持する。スリーブ120内部におけるボア128の第1の部分130が、コネクタ110の第1の端部112に対応するように形成されているので、第1の部分130が第1の端部112を収容するようになっている。ボア128の第2の部分は、コネクタ110の第2の端部114を受容するように形成されている。スリーブ120が、図9に表わすように、把持面122と湾曲部分124とを含んでいる場合がある。コネクタ110の第1の端部112と第2の端部114とが、特殊タイプのコネクタ110を製造するための方法に従って形成されている。
【0033】
第1の端部112が、ボア128の第1の部分130内に挿入される。好ましくは、第1の端部112が、スリーブと第1の部分130内に嵌め込まれ、摩擦嵌合するようになっている。第1の端部112が保持部材134に当接し、これにより第1の端部がスリーブ内に必要以上に深く挿入されることが防止される。第2の端部114が、ボア128の第2の部分132内に挿入される。好ましくは、第2の部分132は、コネクタ110の第2の端部114を制限なく受容するような大きさになっている。第2の端部114が保持部材134に当接し、これにより第2の端部がスリーブ内に必要以上に深く挿入されることが防止される。スリーブ110がコネクタ110の第1の端部112及び第2の端部114を一旦受容すると、第1の端部112及び第2の端部114が、スリーブ120内で互いに対して結合される。第1の端部112と第2の端部114との結合が、特殊タイプのコネクタ110を利用することによって完了する。図示する実施例では、第1の端部112が、第2の端部114の一部分を受容し、その後に導体118によって、第1の端部112と第2の端部114とが結合される(図10参照)。
【0034】
図10を参照すると、図示する実施例では、コネクタ110が、コネクタ110の第1の端部112及び第2の端部114内に配置された導体118を備えている、F型コネクタであるので、次に、導体118がコネクタ110内に挿入される。導体118は、好ましくは第1の端部112内に挿入され、第2の端部114内に圧入されるので、コネクタ110の第1の端部112及び第2の端部114を共に結合することができる。導体118は、図2に表わすように、第2の端部114内に受容されているケーブル140に結合されている。
【0035】
図11を参照すると、ケーブル140が、コネクタ110の第2の端部114内で終端するために準備される。ケーブル140は、コネクタ110を終端するための特定の構成及び方法に従って準備される。図示する実施例については、同軸ケーブル140の被覆部分142が、導電性シース144を露出させるようにストリップされる。その後に、導電性シース144は、誘電性絶縁体146を露出させるように切り詰められるか、又は折り返される。次に、誘電性絶縁体146が、中心導体148を露出させるようにストリップされる。その後に、ケーブル140が、コネクタ110の第2の端部114内で終端するように実質的に準備される。
【0036】
図12を参照すると、同軸ケーブル及びF型コネクタについては、ケーブル140が終端するために準備された後に、圧縮リング115がケーブル140に取り付けられる。代替的な実施例は、圧縮リング115を備えていない。その後に、ケーブル140の準備された端部と圧縮リング115とが、好ましくはコネクタ110の第2の端部114内に挿入される。次に、圧着工具がコネクタ110、スリーブ120、及び圧縮リング115に対して利用される。その後に、圧着工具によって、圧縮リング115がコネクタ110の第2の端部114内に強制的に挿入されるので、ケーブル140が第2の端部114に結合される。また、図2に表わすように、F型コネクタ及び同軸ケーブルの場合には、ケーブル140の導電性シース144がコネクタ110の導体118に結合される。
【0037】
図13を参照すると、ケーブル140と圧縮リング115とがコネクタ110の第2の端部114に圧着された後に、コネクタ組立体100が自身の相手部材であるコネクタ、他の装置、又は他のケーブルに結合可能となる。上述のように、スリーブ120、把持面122、湾曲部分124、又はこれらの組み合わせによって、このような結合は実現される。手作業によって、又は工具を利用することによって、結合が完了する。
【0038】
上述の説明から明らかなように、本発明はコネクタ組立体を提供する。コネクタ組立体は、コネクタの把持を改善するスリーブを含んでいる。従って、コネクタが他のコネクタ、他の装置、又は他のケーブルに結合された場合に、スリーブが、コネクタと、その相手部材であるコネクタ、装置、又はケーブルとの係合を補助する。スリーブが、所定の断面、把持面、湾曲部分、又はこれらの組み合わせを有していることによって、コネクタの把持を改善する。スリーブは、コネクタ組立体の低剛性部分を機械的に支持することもできる。
【0039】
本願では、特定の実施例が本発明を説明するために選定されているが、当業者であれば、特許請求の範囲に規定された発明の技術的範囲から逸脱することなく、様々な変化例及び変更例を想到することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
100 コネクタ組立体
110 コネクタ
112 第1の端部
114 第2の端部
115 圧縮リング
116 結合構造体
118 導体
120 スリーブ
122 把持面
124 湾曲部分
128 ボア
130 第1の部分
134 保持部材
140 ケーブル
142 被覆部分
144 導電性シース
146 誘電絶縁体
148 中心導体
200 コネクタ組立体
220 スリーブ
228 ボア
230 第1の部分
232 第2の部分
234 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反対側に配置された第1の端部及び第2の端部を有している電気コネクタであって、前記第1の端部が、前記第2の端部に対して相対的に回転可能とされ、相手側コネクタに結合するように構成されており、前記第2の端部が、ケーブルを終端するように構成されている前記電気コネクタと、
外部把持面と、前記電気コネクタの前記第1の端部及び前記第2の端部を受容する内部ボアとを有しているスリーブであって、前記スリーブと前記コネクタの前記第1の端部とが共に、前記コネクタの前記第2の端部に対して相対的に回転可能とされ、前記内部ボアが、前記電気コネクタが前記スリーブに対して相対的に軸線方向に移動することを防止するように構成されている、保持部材を含んでいる前記スリーブと、
を備えているコネクタ組立体であって、
前記第1の端部が、前記第2の端部と直接接触していることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項2】
前記スリーブが、略六角状の断面を有していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項3】
前記外部把持面が、前記スリーブに沿って長手方向に延在している複数の湾曲部分を有していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項4】
前記スリーブが、ゴム、合成ゴム、ネオプレン、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル、ポリウレタン、及びポリカーボネートのうちから選定された材料から作られていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項5】
前記電気コネクタの前記第1の端部が、ナット本体であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項6】
前記スリーブが、前記第1の端部の形状に対応している形状を有していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項7】
前記電気コネクタが、同軸コネクタであることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項8】
前記保持部材が、径方向に延在しているフランジであることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項9】
前記スリーブが、摩擦嵌合によって前記電気コネクタの前記第1の端部に係合することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項10】
反対側に配置された第1の端部及び第2の端部を有している電気コネクタであって、前記第1の端部が、前記第2の端部に対して相対的に回転可能とされ、相手側コネクタに結合するように構成されており、前記第2の端部が、ケーブルを終端するように構成されている前記電気コネクタと、
ネジ部を有していないスリーブであって、前記スリーブが、前記スリーブを貫通して延在している内部ボアと外部把持面とを含んでおり、前記内部ボアが、前記電気コネクタを受容しており、前記内部ボアの一方の部分が、前記電気コネクタの前記第1の端部を収容するように構成されており、前記内部ボアの他方の部分が、前記内部ボア内に前記電気コネクタを保持するように構成されている前記スリーブと、
を備えていることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項11】
前記スリーブが、両端部を有している細長い本体を有していることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ組立体。
【請求項12】
前記スリーブが、互いに対して隣り合って配置されている複数の外側面であって、複数の前記外側面が、隣り合う縁部において合致し、これにより略六角状の断面を形成している複数の前記外側面を有していることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ組立体。
【請求項13】
前記スリーブが、前記スリーブの前記両端部に第1の表面及び第2の表面を有しており、
前記第1の表面及び前記第2の表面が、前記外側面に対して略直角に配設されていることを特徴とする請求項12に記載のコネクタ組立体。
【請求項14】
前記スリーブが、前記外側面の前記隣り合う縁部に形成されている湾曲部分を備えており、
前記湾曲部分が、細長い本体の両端部の間において前記隣り合う縁部に沿って長手方向に延在していることを特徴とする請求項12に記載のコネクタ組立体。
【請求項15】
前記スリーブが、ゴムから作られていることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ組立体。
【請求項16】
前記電気コネクタが、同軸コネクタであることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ組立体。
【請求項17】
前記電気コネクタの前記第1の端部が、ナット本体を含んでいることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ組立体。
【請求項18】
前記スリーブの前記内部ボアが、保持部材を有しており、
前記保持部材が、径方向に延在しているフランジであり、前記電気コネクタが前記内部ボア内で軸線方向に移動することを防止することを特徴とする請求項10に記載のコネクタ組立体。
【請求項19】
電気コネクタを製造するための方法であって、
第1の端部及び第2の端部を備えている前記電気コネクタを提供するステップであって、前記第1の端部と前記第2の端部とが、互いに対して結合するように適合しており、前記第1の端部が、前記第2の端部に対して相対的に回転可能とされ、前記第1の端部が、相手側コネクタに結合するように構成されており、前記第2の端部が、ケーブルを終端するように構成されている前記ステップと、
前記電気コネクタを受容するように構成されていると共に、ネジ部を有していないスリーブを提供するステップであって、前記スリーブが、外部把持面を有しており、これにより前記スリーブと前記電気コネクタの前記第1の端部とが共に、前記コネクタの前記第2の端部に対して相対的に回転する前記ステップと、
前記第1の端部を前記スリーブの一方の端部内に挿入するステップと、
前記第2の端部を前記スリーブの他方の端部内に挿入するステップと、
前記第1の端部が前記第2の端部と直接接触するように、前記第1の端部及び前記第2の端部をスリーブ内部に組み付けるステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項20】
前記電気コネクタの前記第2の端部において前記ケーブルを終端するステップを備えていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記電気コネクタの前記第1の端部を回転させるために、前記スリーブの前記外部把持面を把持するステップを備えていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記スリーブの前記内部ボア内において、
前記第1の端部を保持部材に当接させるステップと、
前記第2の端部を前記保持部材に当接させるステップと、
を備えていることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2011−508382(P2011−508382A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539693(P2010−539693)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/086941
【国際公開番号】WO2009/085735
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(503147217)アンフェノル・コーポレーション (11)
【Fターム(参考)】