説明

把持装置

【課題】信頼性よく容易かつ高速に動作する締付効果を確実に達成する、特に薄肉の製品のための把持装置(1)を提供すること。
【解決手段】本把持装置は、伝動装置(7)により相対移動可能な2つの締付顎部(4a,4b)と、第1および第2のレバー部材(8a,8b)を備えたトグルレバー(8)と、を具備する。第1および第2のレバー部材(8a,8b)は、伸延状態にあるときに締付顎部(4a,4b)の閉位置を形成する。レバー部材(8a,8b)のそれぞれの第1の端部は、作動子(9)により移動可能な第1の規定旋回軸(10a,10b)により取り付けられ、レバー部材(8a,8b)のそれぞれの第2の端部は、それぞれに対応する締付顎部(4a,4b)に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持装置に関し、具体的には、封止縁部で把持されかつ懸吊状態または水平状態で搬送される必要のある薄肉の製品(例:ホイルバッグ(foil bag))を処理する把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送を目的とする把持装置として、さまざまな構造形態の把持装置が知られている。大抵の使用目的の把持装置は、例えば、相対移動可能な2つの締付顎部を備える場合があり、これらの締付顎部は、伝動子により締付把持位置から開位置に、またその逆に移動可能であり、伝動子はレバー伝動を含む場合もある。
【0003】
しかしながら、薄肉の製品を搬送することとなる場合(かかる搬送は、例えば、懸吊して搬送される必要がありかつそのために封止縁部で把持される必要があるホイルバッグを処理するときに要求される)、従来の把持装置の多くは、使用することができず、あるいは限られた程度しか使用できない。この理由として、伝動子の遊び、公差および凹凸が締付力に影響し、薄肉の製品が対象である場合、締付力は、薄肉の製品と比較して、締付把持の強さに不均一かつ大きな影響を及ぼすためである。また、締付信頼性に悪影響を及ぼさずに処理速度および搬送速度を高めようとするさまざまな対策から、別の問題が生じる。従って、把持装置は、発生する締付力に悪影響を及ぼすことなく、できるだけ滑らかに動作する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、動作速度と締付力の信頼性との点で改良された効果を示す、特に薄肉の製品に適した把持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の特徴によって達成される。
【0006】
本発明によると、規定旋回軸、すなわち、設置点(at the point of location)での位置に関して実質的に遊びなしに規定されている旋回軸を有するトグルレバーを使用することにより、伝動装置に遊びがない。かかる遊びは特に、過酷な搬送動作において締付力に悪影響を及ぼしうる。さらに、(ほぼ)伸延状態の膝部の領域で発生する力を大幅に増大させることができる一方で、前移動(previous movements)をより小さな力で、従って高速で実行することができるトグルレバーが、知られている。今日まで、力を伝達するトグルレバーは主として、プレス(トグルプレス)などにおいて採用されている。
【0007】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に規定されている。
【0008】
両方のレバー素子の第1の旋回軸が配置されている中間片部を使用することにより、力の伝達がさらに向上する。
【0009】
さらに、伝動レバーを使用して作動力を締付顎部に伝達することにより、力の伝達性が向上する。
【0010】
少なくとも第1の旋回軸の特に有利な構造的な実施形態は、軸受シャフトと軸受穴との組合せにあり、なぜなら、この場合、摩耗が比較的小さく、本質的に遊びがほとんど存在しないためである。実用的には、3本の旋回軸のすべてがこの構造様式で具現化されている。
【0011】
締付顎部の締付位置を確実に得るため、ばね素子もしくは止め具またはその両方を使用することが好ましい。
【0012】
システムにおける遊びの別の発生源は、作動子の移動に線形摩擦軸受を使用することにより、排除されている。
【0013】
旋回軸を保持し作動子を付設する(大型)キャリアを使用することにより、把持装置がさらに補強される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を用いてさらに詳しく説明する。
【0015】
図1は、薄肉の製品2(図示した例示的な実施形態においては、封止縁部3を有するホイルバッグとして具現化されている)を処理するために使用される、本発明による把持装置1を示している。この実施形態では、把持装置1は、ホイルバッグをその上側の封止縁部3(図示せず)で把持するように具現化されている。ホイルバッグの封止縁部は非常に薄く、0.5mmよりも薄く、好ましくは0.02mm〜0.5mmの範囲内にある。
【0016】
把持装置1は、製品2を搬送する目的で使用することが好ましく、この目的のために、例えば、連続回転する搬送手段(例:コンベアチェーン)に掛かっているか、個々に移動可能なアームに取り付けられいるか、前後などに駆動される。
【0017】
把持装置1は、搬送する製品のタイプに適合した2つの締付顎部4a,4bを備えている。図示した例示的な実施形態においては、締付顎部4a,4bは、対向した側面に設けられている矩形の締付部材(clamping chock)を含む。この締付部材は、柔軟性が制限された摩擦増大ライニング6(例:毛羽立ちライニング(nap lining))を有し、摩擦増大ライニング6は締付能力を向上させる。
【0018】
締付顎部4a,4bは、図1および図2に示した締付位置と図3に示した開位置との間で、伝動装置7によって動く、具体的には旋回する。
【0019】
伝動装置7は、締付位置にあるとき締付顎部4a,4bの締付面を通る中心面1’の両側に、実質的に対称的に具現化されている。この伝動装置7は、2つのレバー部材8a,8b(この実施形態ではロッドとして具現化されている)を有するトグルレバー8を備えている。レバー部材8a,8bの自由端は、レバー部材8a,8bが互いに一直線上にある位置(伸延状態:図2)から、レバー部材8a,8bが互いに角度をなす位置に、レバー部材8a,8bが動くことができるように、作動子9に連結されている。レバー部材8a,8bの装着は、第1の規定(すなわち遊びのない、あるいは実質的に遊びなしに取り付けられている)旋回軸10a,10bによって達成され、図示した例示的な実施形態においては、レバー部材8a,8bはそれぞれ、作動子9の中間片部11に配置されている旋回軸10a,10bを有し、これらの旋回軸10a,10bは、中心線1’の両側に、対称にかつ対向して離間配置されている。第1の旋回軸10a,10bは、少なくとも1本の旋回ピンと少なくとも1つの軸受穴とを備えていることが好ましく、図示した実施形態においては、ピンは、フォーク形の中間片部11に堅固に取り付けられており、レバー部材8a,8bは穴により回転自在にピンに嵌着している。第1の旋回軸10a,10bの反対側に位置している、レバー部材8a,8bの自由端はそれぞれ、第2の旋回軸12a,12bにより締付顎部4a,4bに連結されている。第2の旋回軸12a,12bも、規定されている。すなわち、設置点での位置に関して規定されており、旋回軸12a,12bも同様に、旋回ピンと軸受穴との組合せによって具現化されることが好ましい。第2の旋回軸12a,12bはそれぞれ、顎部4a,4bの一方に堅固に結合されている伝動レバー13a,13bに位置している。
【0020】
伝動レバー13a,13bはそれぞれ、第3の旋回軸14a,14bによってキャリア15に取り付けられている。第3の旋回軸14a,14bは、第2の旋回軸12a,12bからも、締付レバー4a,4bにおける装着点からも離間されており、それぞれの締付レバー4a,4bにおける伝動レバー13a,13bの装着点と、第2の旋回軸12a,12bとの間に配置されている。旋回軸12,14と装着点とは、三角形をなすことが好ましい。第3の旋回軸14a,14bは、規定されている、すなわち、旋回レバー13a,13bおよびキャリア15における位置に関して規定されていることが好ましく、旋回軸14a,14bも同様に、旋回ピンと軸受穴との組合せによって具現化されていることが好ましい。図示した例示的な実施形態においては、伝動レバー13a,13bは、第2の旋回軸12a,12bの領域においてフォーク形であり、旋回ピンに堅固に結合されており、レバー部材8a,8bがフォーク形の中に伸延しており、軸受穴によって旋回ピンに回転自在に着座している。キャリア15は、第3の旋回軸14a,14bの領域においてフォーク形であり、同様に、旋回ピンがフォーク部において堅固に着座しており、伝動レバー13a,13bが軸受穴により旋回ピンに回転自在に着座している。しかしながら、3本の旋回軸のすべてを使用し、ピンが軸受穴の中で回転するような構造に変更することが可能である。
【0021】
キャリア15は静止しており、すなわち、所望の構造部(例:コンベア)に堅固に固定されているが、当然ながら、構造部と一緒に動くことができる。
【0022】
キャリア15は、案内片部16を備えており、作動子9は、案内片部16内を動くことができ、好ましくは、二方向矢印Pの方向において直線移動できる。図示した例示的な実施形態においては、案内片部16は、中心線1’に対して対称的に設けられている穴17を備えており、作動子9は、摩擦軸受として具現化されている案内穴17を貫いているシャフト18を備えている。シャフト18の一端部は、中間片部11に堅固に結合されており、中間片部11と案内片部16が止め具19を形成している。従って、図示した例示的な実施形態においては、中間片部11の少なくとも一部がシャフト18の径よりも突出しており、案内片部16の下向き面に当接する。
【0023】
案内片部16とは反対を向いている、シャフト18の他方の自由端には、作動ヘッド20が設けられており、このヘッド20は例えば、トグルレバー8に対するカム制御のカムフォロアとして具現化することができる。作動子9は、ばね21を備えており、このばね21は、2つの締付顎部4a,4bが互いに押し付けられて締付位置になる一方で、中間片部11が止め具19に押し付けられるように、作動子9に作用する。従って、中間片部11が止め具19に当接するとき、すなわち、レバー部材8a,8bが互いに一直線上にあり、第1および第2の旋回軸10a,10b,12a,12bが共通平面内に位置するときに、トグルレバー8が伸延するように、止め具19は把持装置1の寸法に適合するものとなっている。
【0024】
ばね21は、圧縮ばねとして具現化されており、キャリア15に堅固に結合されている止め具22と、作動子9上に規定されている止め具23との間に取り付けられている。圧縮ばね21の寸法および配置は、締付顎部4a,4bが開くときに圧縮され(tensioned)、作動ヘッド20にかかっている力が消失した時点で中間片部11が止め具19に近づくときに解放されるようにされている。従って、把持装置1の通常位置は、図1および図2に示した締付位置であるが、外力によって顎部4a,4bを開位置にして維持しなくてはならない。言い換えれば、締付顎部4a,4bを開くためには、図において下向きの力を作動子9にかけなければならない。従って、中間片部11が下に移動し、レバー部材8a,8bを旋回軸10a,10bを介して動かす。同様に、レバー部材8a,8bによって、伝動レバー13a,13bが旋回軸12a,12bを介して動き、伝動レバー13a,13bが第3の旋回軸14a,14bを中心に旋回することにより、顎部4a,4bが互いに離れるように動いて互いに直角をなす位置(開位置:図3)となり、これによって製品2が解放される。
【0025】
図示および上述した実施形態の変更形態によると、トグルレバーのレバー部材を締付顎部に直接作用させることができる。必要であれば、中間片部を使用せず、両方のレバー部材の第1の旋回軸が共有されるように、トグルレバーを構築することができる。さらに、作動子は必ずしも機械的に動作しなくてもよく、例えば、液圧式あるいは空気式の作動子に置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による把持装置の概略斜視図
【図2】顎部が締付位置にある図1の把持装置の正面図
【図3】顎部が開位置にある図1の把持装置の正面図
【符号の説明】
【0027】
1 把持装置
4a,4b 締付顎部
7 伝動装置
8 トグルレバー
8a,8b レバー部材
9 作動子
10a,10b 第1の旋回軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に薄肉の製品(2)のための把持装置(1)であって、伝動装置(7)により相対移動可能な2つの締付顎部(4a,4b)を備え、前記伝動装置(7)は、第1および第2のレバー部材(8a,8b)を備えたトグルレバー(8)を含み、前記第1および第2のレバー部材(8a,8b)は、伸延状態にあるときに前記締付顎部(4a,4b)の閉位置を形成し、レバー部材(8a,8b)のそれぞれの第1の端部は、作動子(9)により移動可能な第1の規定旋回軸(10a,10b)により取り付けられ、レバー部材(8a,8b)のそれぞれの第2の端部は、それぞれ対応する締付顎部(4a,4b)に連結されている、把持装置。
【請求項2】
前記作動子(9)は可動の中間片部(11)を含み、前記中間片部(11)には、両方のレバー素子(8a,8b)の前記第1の旋回軸(10a,10b)が離間して取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
レバー部材(8a,8b)のそれぞれの前記第2の端部は、前記対応する締付顎部(4a,4b)に結合されている伝動レバー(13a,13b)における第2の規定旋回軸(12a,12b)により取り付けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記伝動レバー(13a,13b)は、前記第2の旋回軸(12a,12b)から離間配置されている第3の規定旋回軸(14a,14b)に対して旋回可能であることを特徴とする、請求項3に記載の把持装置。
【請求項5】
少なくとも前記第1の規定旋回軸(10a,10b)は、少なくとも1つの旋回軸受穴の中の少なくとも1本の旋回軸受ピンを備えていることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の把持装置。
【請求項6】
前記伸延状態は、ばね素子(21)により形成されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の把持装置。
【請求項7】
前記伸延状態は、止め具(19)により規定されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の把持装置。
【請求項8】
前記止め具(19)は、前記作動子(9)に設けられていることを特徴とする、請求項7に記載の把持装置。
【請求項9】
前記作動子(9)は、すべり軸受(17)内を移動可能であることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載の把持装置。
【請求項10】
キャリア(15)が設けられ、前記キャリアには、前記締付顎部(4a,4b)が規定旋回軸(14a,14b)により旋回自在に取り付けられるとともに、前記作動子(9)が移動自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載の把持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−93823(P2008−93823A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252157(P2007−252157)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(506321805)インダグ ゲゼルシャフト フィア インダストリーベダルフ エムベーハー ウント カンパニー ベトリープス カーゲー (10)
【Fターム(参考)】