説明

投写型映像表示装置

【課題】 冷却装置によって生じる騒音を十分に低減することを可能とする投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、光源10を少なくとも冷却する冷却装置300と、光源10への入力電力を制御する光源制御部230と、液晶パネル50を制御する素子制御部250と、冷却装置300の冷却能力を制御する冷却制御部240とを備える。光源制御部230は、静音モードにおいて、光源10への入力電力を切らずに、光源10への入力電力を安定入力電力閾値よりも減少する。素子制御部250は、静音モードにおいて、投写面上に投写される映像の輝度を非視聴用輝度に減少する。冷却制御部240は、静音モードにおいて、冷却装置300の冷却能力を減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射された光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射された光を投写面上に投写する投写ユニットとを備える投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源と、光源から出射された光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射された光を投写面上に投写する投写ユニットとを有する投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
光源は、光の出射によって発熱し、光変調素子は、光の照射によって発熱する。従って、投写型映像表示装置には、光源及び光変調素子を冷却するために、光源及び光変調素子を冷却する冷却装置(例えば、冷却ファン)が設けられる。
【0004】
ここで、投写型映像表示装置は、会議や講義などに用いられるため、冷却装置によって生じる騒音を低減することが望ましい。
【0005】
これに対して、通常モード及び省エネルギーモードを有する投写型映像表示装置が知られている。通常モードでは、光源への入力電力が通常入力電力に制御され、省エネルギーモードでは、光源への入力電力が省エネルギー入力電力に制御される。省エネルギー入力電力は、通常入力電力よりも小さいことは勿論である。
【0006】
省エネルギーモードでは、光源から出射される光量が減少するため、光源及び光変調素子の発熱量が減少する。従って、省エネルギーモードでは、通常モードに比べて、冷却装置の冷却能力を減少することができる。これによって、冷却装置によって生じる騒音の低減が図られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−288790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、光源への入力電力が動作安定電力閾値よりも小さくなると、光源内部の温度分布が変化する。これに伴って、光源から出射される光量の分布が不安定になり、フリッカが生じてしまう。動作安定電力閾値は、光源の動作が安定する入力電力の閾値である。
【0009】
従って、省エネルギーモードであっても、光源への入力電力を動作安定電力閾値よりも小さくすることは好ましくない。例えば、省エネルギー入力電力は、最大入力電力の60%〜80%である。すなわち、省エネルギーモードであっても、冷却装置の冷却能力を十分に減少することができないため、冷却装置によって生じる騒音の低減が不十分であった。
【0010】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、冷却装置によって生じる騒音を十分に低減することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源(光源10)と、前記光源から出射された光を変調する光変調素子(液晶パネル50)と、前記光変調素子から出射された光を投写面上に投写する投写ユニット(投写ユニット110)とを備える。投写型映像表示装置は、前記光源を少なくとも冷却する冷却装置(冷却装置300)と、前記光源への入力電力を制御する光源制御部(光源制御部230)と、前記投写面上に投写される映像の輝度を制御する光量制御部(素子制御部250又はアイリス制御部260)と、前記冷却装置の冷却能力を制御する冷却制御部(冷却制御部240)とを備える。前記光源制御部は、静音モードにおいて、前記光源への入力電力を切らずに、前記光源への入力電力を安定入力電力閾値よりも減少する。前記光量制御部は、前記静音モードにおいて、前記投写面上に投写される映像の輝度を非視聴用輝度に減少する。前記冷却制御部は、前記静音モードにおいて、前記冷却装置の冷却能力を減少する。前記安定入力電力閾値は、前記光源の動作が安定する入力電力の閾値である。
【0012】
第1の特徴において、前記光量制御部は、前記静音モードにおいて、前記光変調素子の制御によって、前記投写面上に投写される映像の輝度を前記非視聴用輝度に減少する。
【0013】
第1の特徴において、投写型映像表示装置は、前記光源と前記光変調素子との間に設けられており、前記光源から出射される光を絞る機能を有するアイリス機構(アイリス機構400)をさらに備える。前記光量制御部は、前記静音モードにおいて、前記アイリス機構の制御によって、前記投写面上に投写される映像の輝度を前記非視聴用輝度に減少する。
【0014】
第1の特徴において、前記光源制御部は、通常モードにおいて、前記光源への入力電力を通常入力電力に制御し、省エネルギーモードにおいて、前記光源への入力電力を省エネルギー入力電力に制御する。前記省エネルギー入力電力は、前記安定入力電力閾値よりも大きく、前記通常入力電力よりも小さい。
【0015】
第1の特徴において、前記光源制御部は、前記静音モードにおいて、一定時間毎に、前記光源への入力電力を前記安定入力電力閾値よりも増大する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、冷却装置によって生じる騒音を十分に低減することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る冷却装置300を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る冷却装置300を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る制御ユニット200を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る光源10への入力電力を示す図である。
【図6】変更例1に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図7】変更例1に係る制御ユニット200を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0019】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
[実施形態の概要]
実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源と、光源から出射された光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射された光を投写面上に投写する投写ユニットとを備える。投写型映像表示装置は、光源を少なくとも冷却する冷却装置と、光源への入力電力を制御する光源制御部と、投写面上に投写される映像の輝度を制御する光量制御部と、冷却装置の冷却能力を制御する冷却制御部とを備える。
【0021】
光源制御部は、静音モードにおいて、光源への入力電力を切らずに、光源への入力電力を安定入力電力閾値よりも減少する。光量制御部は、静音モードにおいて、投写面上に投写される映像の輝度を非視聴用輝度に減少する。冷却制御部は、静音モードにおいて、冷却装置の冷却能力を減少する。安定入力電力閾値は、光源の動作が安定する入力電力の閾値である。
【0022】
実施形態では、投写型映像表示装置は、安定入力電力閾値よりも小さい電力で光源への入力電力を制御する静音モードを有する。静音モードでは、投写面上に投写される映像の輝度が非視聴用輝度に減少される。
【0023】
なお、非視聴用輝度は、光源への入力電力が安定入力電力閾値よりも減少することによって生じるフリッカが目立たない程度の輝度である。また、非視聴用輝度の映像は、視聴者の視聴を目的としていない映像である。例えば、会議や講義などにおいて、投写面上に投写される映像を必要としないケースにおいて、非視聴用輝度の映像が用いられる。すなわち、静音モードは、このようなケースで用いられる動作モードである。
【0024】
このように、静音モードにおいて、光源への入力電力が安定入力電力閾値よりも減少され、冷却装置の冷却能力が減少されるため、冷却装置によって生じる騒音を十分に低減することができる。
【0025】
また、静音モードにおいて、光源への入力電力が切られないため、静音モードを解除した場合に、光源から出射される光量を速やかに立ち上げることができる。
【0026】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【0027】
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、投写ユニット110と、照明ユニット120とを有する。
【0028】
投写ユニット110は、照明ユニット120から出射された映像光を投写面(不図示)上などに投写する。
【0029】
第1に、照明ユニット120は、光源10と、UV/IRカットフィルタ20と、フライアイレンズユニット30と、PBSアレイ40と、複数の液晶パネル50(液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50B)と、クロスダイクロイックプリズム60とを有する。
【0030】
光源10は、光を発する光源(例えば、UHPランプやキセノンランプ)などである。すなわち、光源10が発する光は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを含む。
【0031】
UV/IRカットフィルタ20は、可視光成分(赤成分光R、緑成分光G及び青成分光B)を透過する。UV/IRカットフィルタ20は、赤外光成分や紫外光成分を遮光する。
【0032】
フライアイレンズユニット30は、光源10が発する光を均一化する。具体的には、フライアイレンズユニット30は、フライアイレンズ30a及びフライアイレンズ30bによって構成される。フライアイレンズ30a及びフライアイレンズ30bは、それぞれ、複数の微少レンズによって構成される。各微少レンズは、光源10が発する光が液晶パネル50の全面に照射されるように、光源10が発する光を集光する。
【0033】
PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光の偏光状態を揃える。例えば、PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光をS偏光(又はP偏光)に揃える。
【0034】
液晶パネル50Rは、赤出力信号Routに基づいて赤成分光Rを変調する。液晶パネル50Rに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Rが設けられている。液晶パネル50Rから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Rが設けられている。
【0035】
液晶パネル50Gは、緑出力信号Goutに基づいて緑成分光Gを変調する。液晶パネル50Gに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Gが設けられる。一方で、液晶パネル50Gから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Gが設けられる。
【0036】
液晶パネル50Bは、青出力信号Boutに基づいて青成分光Bを変調する。液晶パネル50Bに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Bが設けられる。一方で、液晶パネル50Bから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Bが設けられる。
【0037】
なお、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutは、映像出力信号を構成する。映像出力信号は、1フレームを構成する複数の画素毎の信号である。
【0038】
ここで、各液晶パネル50には、コントラスト比や透過率を向上させる補償板(不図示)が設けられていてもよい。また、各偏光板は、偏光板に入射する光の光量や熱負担を軽減させるプリ偏光板を有していてもよい。
【0039】
クロスダイクロイックプリズム60は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bから出射される光を合成する色合成部を構成する。クロスダイクロイックプリズム60から出射された合成光は、投写ユニット110に導かれる。
【0040】
第2に、照明ユニット120は、ミラー群(ミラー71〜ミラー76)及びレンズ群(レンズ81〜レンズ85)を有する。
【0041】
ミラー71は、青成分光Bを透過して、赤成分光R及び緑成分光Gを反射するダイクロイックミラーである。ミラー72は、赤成分光Rを透過して、緑成分光Gを反射するダイクロイックミラーである。ミラー71及びミラー72は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを分離する色分離部を構成する。
【0042】
ミラー73は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを反射して、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bをミラー71側に導く。ミラー74は、青成分光Bを反射して、青成分光Bを液晶パネル50B側に導く。ミラー75及びミラー76は、赤成分光Rを反射して、赤成分光Rを液晶パネル50R側に導く。
【0043】
レンズ81は、PBSアレイ40から出射された光を集光するコンデンサレンズである。レンズ82は、ミラー73で反射された光を集光するコンデンサレンズである。
【0044】
レンズ83Rは、液晶パネル50Rに赤成分光Rが照射されるように、赤成分光Rを略平行光化する。レンズ83Gは、液晶パネル50Gに緑成分光Gが照射されるように、緑成分光Gを略平行光化する。レンズ83Bは、液晶パネル50Bに青成分光Bが照射されるように、青成分光Bを略平行光化する。
【0045】
レンズ84及びレンズ85は、赤成分光Rの拡大を抑制しながら、液晶パネル50R上に赤成分光Rを略結像するリレーレンズである。
【0046】
(冷却装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る冷却装置について、図面を参照しながら説明する。図2及び図3は、第1実施形態に係る冷却装置300を示す図である。
【0047】
第1実施形態では、冷却装置300の一例として、光源10及び液晶パネル50に風を送る冷却ファンについて例示する。
【0048】
図2に示すように、冷却装置300Aは、光源10に風を送る冷却ファンである。冷却装置300Aの冷却能力(すなわち、冷却ファンの回転数)は、後述する制御ユニット200によって制御される。
【0049】
図3に示すように、冷却装置300Bは、液晶パネル50に風を送る冷却ファンである。冷却装置300Bの冷却能力(すなわち、冷却ファンの回転数)は、後述する制御ユニット200によって制御される。
【0050】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100に設けられた制御ユニット200を示すブロック図である。
【0051】
ここで、制御ユニット200は、映像入力信号を映像出力信号に変換して、映像出力信号を出力する。映像入力信号は、フレーム毎の信号であり、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを含む。映像出力信号は、フレーム毎の信号であり、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutを含む。
【0052】
図4に示すように、制御ユニット200は、映像信号受付部210と、モード取得部220と、光源制御部230と、冷却制御部240と、素子制御部250とを有する。
【0053】
映像信号受付部210は、DVDやTVチューナなどの外部装置から映像入力信号を受付ける。
【0054】
モード取得部220は、投写型映像表示装置100の動作モードを取得する。動作モードは、通常モード、省エネルギーモード及び静音モードである。
【0055】
通常モードは、光源10への入力電力が通常入力電力に制御される動作モードである。省エネルギーモードは、光源10への入力電力が通常入力電力よりも小さい省エネルギー入力電力に制御される動作モードである。静音モードは、光源10への入力電力が安定入力電力閾値よりも小さい静音入力電力に制御されるモードである。
【0056】
具体的には、図5に示すように、光源10には、最大電力閾値、安定入力電力閾値及び最小電力閾値が定められている。最大電力閾値、安定入力電力閾値及び最小電力閾値は、光源10の種類などによって定められる。
【0057】
最大電力閾値は、光源10に許容される最大の入力電力の閾値である。例えば、最大電力閾値は、光源10への入力電力の最大定格である。
【0058】
安定入力電力閾値は、光源10の動作が安定する入力電力の閾値である。すなわち、光源10への入力電力が安定入力電力閾値よりも大きい場合には、光源10の動作が安定する。一方で、光源10への入力電力が安定入力電力閾値よりも小さい場合には、光源10の動作が不安定になる。
【0059】
最小電力閾値は、光源10への入力電力を増大した場合に、入力電力に対する出射光量の増大率が所定率以上となる入力電力の閾値である。すなわち、光源10への入力電力が最小電力閾値よりも大きい場合には、増大率が所定率以上であり、光源10から出射される光量が速やかに立ち上がる。一方で、光源10への入力電力が最小電力閾値よりも小さい場合には、増大率が所定率未満であり、光源10から出射される光量が立ち上がりにくい。
【0060】
図5に示すように、通常モードの通常入力電力Aは、最大電力閾値以下である。通常入力電力Aは、最大電力閾値と同じであってもよい。通常入力電力Aは、図5に示すように、一定幅を有していてもよい。
【0061】
省エネルギーモードの省エネルギー入力電力Bは、通常入力電力Aよりも小さく、安定入力電力閾値よりも大きい。省エネルギー入力電力Bは、例えば、最大電力閾値の60%〜80%である。省エネルギー入力電力Bは、図5に示すように、一定幅を有していてもよい。
【0062】
静音モードの静音入力電力Cは、安定動作電力閾値よりも小さく、最小電力閾値よりも大きい。静音入力電力Cは、図5に示すように、一定幅を有していてもよい。
【0063】
ここで、投写型映像表示装置100の動作モードは、ユーザによって手動で切り替えられてもよい。このようなケースでは、モード取得部220は、ユーザによる切り替え操作の検出によって、動作モードを取得する。
【0064】
また、通常モードや省エネルギーモードにおいて、一定時間に亘って何の操作も受け付けられない場合に、これらの動作モードから静音モードへの切り替えが行われてもよい。このようなケースでは、モード取得部220は、何の操作も行われない時間が一定時間に達したことを検出して、動作モードとして静音モードを取得する。
【0065】
光源制御部230は、光源10への入力電力を制御する。具体的には、光源制御部230は、通常モードにおいて、光源10への入力電力を通常入力電力Aに制御する。光源制御部230は、省エネルギーモードにおいて、光源10への入力電力を省エネルギー入力電力Bに制御する。光源制御部230は、静音モードにおいて、光源10への入力電力を静音入力電力Cに制御する。すなわち、光源制御部230は、静音モードにおいて、光源10への入力電力を切らずに、光源10への入力電力を安定動作電力閾値よりも減少する。
【0066】
冷却制御部240は、冷却装置300の冷却能力(第1実施形態では、冷却ファンの回転数)を制御する。具体的には、冷却制御部240は、光源10への入力電力の減少量に応じて、冷却装置300の冷却能力を減少する。すなわち、省エネルギーモードにおいて、冷却制御部240は、通常動作モードよりも冷却装置300の冷却能力を減少する。また、静音モードにおいて、冷却制御部240は、省エネルギーモードよりも冷却装置300の冷却能力を減少する。
【0067】
素子制御部250は、映像入力信号を映像出力信号に変換して、映像出力信号に基づいて、液晶パネル50を制御する。具体的には、素子制御部250は、静音モードにおいて、投写面上に投写される映像の輝度が非視聴用輝度となるように、映像出力信号を補正(減少)する。
【0068】
すなわち、第1実施形態では、素子制御部250は、静音モードにおいて、投写面上に投写される映像の輝度を非視聴用輝度に減少する光量制御部を構成する。
【0069】
なお、非視聴用輝度は、光源10への入力電力が安定入力電力閾値よりも減少することによって生じるフリッカが目立たない程度の輝度である。また、非視聴用輝度の映像は、視聴者の視聴を目的としていない映像である。例えば、会議や講義などにおいて、投写面上に投写される映像を必要としないケースにおいて、非視聴用輝度の映像が用いられる。
【0070】
例えば、素子制御部250は、以下に示す映像が非視聴用輝度の映像が投写面上に投写されるように、液晶パネル50(映像出力信号)を制御する。
【0071】
(1) 映像出力信号の一律減少
具体的には、素子制御部250は、映像出力信号に一定比率(例えば、30%)を乗算して、映像出力信号を減少させる。このような制御によると、非視聴用輝度の映像は、オリジナルの映像を残しながら、全体的に暗くなった映像となる。上述したように、非視聴用輝度の映像は、視聴者の視聴を目的としていない映像であるが、視聴者に見えても差し支えない。
【0072】
(2)グレー表示
具体的には、素子制御部250は、映像出力信号に代えて、グレーを表示するための映像信号に基づいて、液晶パネル50を制御する。このような制御によると、非視聴用輝度の映像は、フレーム全体がグレーの映像となる。上述したように、非視聴用輝度の映像は、視聴者の視聴を目的としていない映像であるため、投写面上に投写されるグレーの映像の輝度は、非視聴用輝度に落とされる。
【0073】
(3)黒表示
具体的には、素子制御部250は、映像出力信号に代えて、黒を表示するための映像信号に基づいて、液晶パネル50を制御する。このような制御によると、非視聴用輝度の映像は、フレーム全体が黒の映像となる。
【0074】
(作用及び効果)
第1実施形態では、投写型映像表示装置100は、安定入力電力閾値よりも小さい電力で光源10への入力電力を制御する静音モードを備える。静音モードでは、投写面上に投写される映像の輝度が非視聴用輝度に減少される。
【0075】
なお、非視聴用輝度の映像は、上述したように、視聴者の視聴を目的としていない映像である。例えば、会議や講義などにおいて、投写面上に投写される映像を必要としないケースにおいて、非視聴用輝度の映像が用いられる。すなわち、静音モードは、このようなケースで用いられる動作モードである。
【0076】
このように、静音モードにおいて、光源10への入力電力が安定入力電力閾値よりも減少され、光源10への入力電力の減少量に応じて、冷却装置300の冷却能力が減少されるため、冷却装置300によって生じる騒音を十分に低減することができる。
【0077】
また、静音モードにおいて、光源10への入力電力が切られないため、静音モードを解除した場合に、光源10から出射される光量を速やかに立ち上げることができる。
【0078】
第1実施形態では、素子制御部250が液晶パネル50を制御することによって、静音モードにおいて、投写面上に投写される映像の輝度が非視聴用輝度に減少される。これによって、光源10への入力電力を安定動作電力閾値よりも減少して、フリッカが生じる場合であっても、視聴者に与える違和感が軽減される。
【0079】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0080】
具体的には、第1実施形態では、液晶パネル50の制御によって、投写面上に投写される映像の輝度が非視聴用輝度に減少される。これに対して、変更例1では、アイリス機構の制御によって、投写面上に投写される映像の輝度が非視聴用輝度に減少される。
【0081】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、変更例1に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、変更例1に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【0082】
図6に示すように、投写型映像表示装置100は、図1に示す構成に加えて、アイリス機構400を有する。
【0083】
アイリス機構400は、光源10から出射される光の光路上において、光源10と液晶パネル50との間に設けられる。アイリス機構400は、光源10から出射される光を絞る機能を有する。
【0084】
変更例1では、アイリス機構400は、光源10とUV/IRカットフィルタ20との間に設けられるが、アイリス機構400の配置は、これに限定されるものではない。
【0085】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、変更例1に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図7は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100に設けられた制御ユニット200を示すブロック図である。
【0086】
図7に示すように、制御ユニット200は、図4に示す構成に加えて、アイリス制御部260を有する。
【0087】
アイリス制御部260は、アイリス機構400を制御する。具体的には、アイリス制御部260は、静音モードにおいて、投写面上に投写される映像の輝度が非視聴用輝度となるように、アイリス機構400を制御する。
【0088】
すなわち、第1実施形態では、アイリス制御部260は、静音モードにおいて、投写面上に投写される映像の輝度を非視聴用輝度に減少する光量制御部を構成する。
【0089】
ここで、アイリス制御部260は、静音モードにおいて、光源10から出射される光を絞るようにアイリス機構400を制御する。アイリス制御部260は、静音モードにおいて、光源10から出射される光の全てを遮光するようにアイリス機構400を制御してもよい。
【0090】
(作用及び効果)
変更例1では、アイリス制御部260がアイリス機構400を制御することによって、静音モードにおいて、投写面上に投写される映像の輝度が非視聴用輝度に減少される。これによって、光源10への入力電力を安定動作電力閾値よりも減少して、フリッカが生じる場合であっても、視聴者に与える違和感が軽減される。また、第1実施形態と同様の効果が得られることは勿論である。
【0091】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0092】
具体的には、変更例2では、上述した光源制御部230は、静音モードにおいて、一定時間毎に、光源10への入力電力を安定動作電力閾値よりも増大する。すなわち、光源制御部230は、一定時間毎にリフレッシュ動作を行う。
【0093】
このように、静音モードにおいて、光源10への入力電力を安定動作電力閾値よりも減少させても、光源10への入力電力についてリフレッシュ動作を行うことによって、光源10の寿命短縮が抑制される。
【0094】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0095】
例えば、光変調素子の一例として、透過型の液晶パネル50について説明したが、光変調素子は、これに限定されるものではない。光変調素子は、反射型の液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
10・・・光源、20・・・UV/IRカットフィルタ、30・・・フライアイレンズユニット、40・・・PBSアレイ、50・・・液晶パネル、52、53・・・偏光板、60・・・クロスダイクロイックキューブ、71〜76・・・ミラー、81〜85・・・レンズ、100・・・投写型映像表示装置、110・・・投写ユニット、120・・・照明ユニット、200・・・制御ユニット、210・・・映像信号受付部、220・・・モード取得部、230・・・光源制御部、240・・・冷却制御部、250・・・素子制御部、260・・・アイリス制御部、300・・・冷却装置、400・・・アイリス機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源から出射された光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射された光を投写面上に投写する投写ユニットとを備える投写型映像表示装置であって、
前記光源を少なくとも冷却する冷却装置と、
前記光源への入力電力を制御する光源制御部と、
前記投写面上に投写される映像の輝度を制御する光量制御部と、
前記冷却装置の冷却能力を制御する冷却制御部とを備え、
前記光源制御部は、静音モードにおいて、前記光源への入力電力を切らずに、前記光源への入力電力を安定入力電力閾値よりも減少し、
前記光量制御部は、前記静音モードにおいて、前記投写面上に投写される映像の輝度を非視聴用輝度に減少し、
前記冷却制御部は、前記静音モードにおいて、前記冷却装置の冷却能力を減少し、
前記安定入力電力閾値は、前記光源の動作が安定する入力電力の閾値であることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記光量制御部は、前記静音モードにおいて、前記光変調素子の制御によって、前記投写面上に投写される映像の輝度を前記非視聴用輝度に減少することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記光源と前記光変調素子との間に設けられており、前記光源から出射される光を絞る機能を有するアイリス機構をさらに備え、
前記光量制御部は、前記静音モードにおいて、前記アイリス機構の制御によって、前記投写面上に投写される映像の輝度を前記非視聴用輝度に減少することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記光源制御部は、通常モードにおいて、前記光源への入力電力を通常入力電力に制御し、省エネルギーモードにおいて、前記光源への入力電力を省エネルギー入力電力に制御し、
前記省エネルギー入力電力は、前記安定入力電力閾値よりも大きく、前記通常入力電力よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記光源制御部は、前記静音モードにおいて、一定時間毎に、前記光源への入力電力を前記安定入力電力閾値よりも増大することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−243788(P2010−243788A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92440(P2009−92440)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】