説明

投影装置及び投影方法

【課題】レーザ光源による可動部、特に高熱の影響を受け易い蛍光体使用部の損傷等を防止する。
【解決手段】青色LD20と、画像信号を入力する入力部11と、LD20からの光を蛍光ホイール25の蛍光体25に照射して蛍光Gを励起させ、励起した蛍光Gを用いて入力部11で入力した画像信号に対応する光像を形成し、形成した光像を投影する投影系12〜17と、蛍光ホイール25の回転速度を検出するマーカセンサ28と、マーカセンサ28での検出結果をLD20の動作電源に変換するPWM回路29と、LD20の動作電源が予め設定した条件を外れる場合にLD20への電源供給を遮断する、DC/DCコンバータ30aを有する投影光駆動部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源を用いるプロジェクタ装置等に好適な投影装置及び投影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光エネルギーのレーザ光を光源としてスクリーンに映像を映し出す映像表示装置のレーザ光における実行を防止するべく、光学系や光源等によって発生した異常をセンサで検出し、これをマイコンに伝えて、マイコンの命令によりレーザ光の発生を停止あるいは減衰させて視聴者への危害が及ぶことを未然に防ぐようにした技術が考えられている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−267621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献には、マイコン(マイクロコンピュータ)を用いたソフトウェア処理を伴う制御技術が記載されている。
【0005】
ところで、光源としてのレーザダイオード(半導体レーザ)は、上記特許文献にも述べられているように高エネルギ出力の点光源である。そのため、例えば光源であるレーザダイオードに対してカラーホイールを併設して蛍光を発生させるような構成を有するプロジェクタ装置の場合、該カラーホイールの回転が一時的にでも遅延すると、10[ミリ秒]オーダーの瞬停止で破壊に到る。具体的には、カラーホイールの蛍光体部分が燃えるか、熱により変色して、レーザ光を照射しても所望の蛍光を得ることができなくなる。したがって、上記特許文献に記載されたようなソフトウェア処理を伴う技術では、実用上、カラーホイールの破壊を免れ得ない。
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、レーザ光源による可動部、特に高熱の影響を受け易い蛍光体の損傷等を確実に防止することが可能な投影装置及び投影方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、光源と、画像信号を入力する入力手段と、上記光源からの光を回転体に配置した蛍光体に照射して蛍光を励起させ、励起した蛍光を用いて上記入力手段で入力した画像信号に対応する光像を形成し、形成した光像を投影する投影手段と、上記回転体の回転速度を検出する検出手段と、上記検出手段での検出結果を上記光源の動作電源に変換する変換手段と、上記変換手段で得る上記光源の動作電源が予め設定した条件を外れる場合に上記光源への電源供給を遮断する光源制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記検出手段は、上記回転体の回転速度に応じたパルス信号を発生し、上記変換手段は、上記検出手段で検出したパルス信号を上記光源の動作電源に対応した電圧信号に変換し、上記光源制御手段は、上記変換手段で変換した電圧信号の値が上記光源の駆動電圧範囲を外れている場合に上記光源への電源供給を遮断することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記光源は、レーザ光を発する光源素子とそれ以外の光源素子の複数の光源素子を有し、上記変換素子は、上記検出手段での検出結果を上記レーザ光を発する光源素子の動作電源に変換し、上記光源制御手段は、上記変換手段で得る上記光源の動作電源が予め設定した条件を外れる場合に上記レーザ光を発する光源素子への電源供給を少なくとも遮断することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、光源と、画像信号を入力する入力部、上記光源からの光を回転体に配置した蛍光体に照射して蛍光を励起させ、励起した蛍光を用いて上記入力部で入力した画像信号に対応する光像を形成し、形成した光像を投影する投影部を備えた投影装置での投影方法であって、上記回転体の回転速度を検出する検出工程と、上記検出工程での検出結果を上記光源の動作電源に変換する変換工程と、上記変換工程で得る上記光源の動作電源が予め設定した条件を外れる場合に上記光源への電源供給を遮断する光源制御工程と有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レーザ光源による可動部、特に高熱の影響を受け易い蛍光体の損傷等を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータプロジェクタ装置の電子回路の機能構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係る正常動作時の各種信号波形を示すタイミングチャート。
【図3】同実施形態に係る異常動作時の各種信号波形を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をDLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、同実施形態に係るデータプロジェクタ装置10が備える電子回路の機能構成を示すブロック図である。図中、11は入力部である。この入力部11は、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、D−sub15タイプのRGB入力端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)規格の画像/音声入力端子、及びUSB(Universal Serial Bus)コネクタを有し、有線接続された外部機器からの画像信号及び音声信号を入力する。
【0015】
入力部11から入力された各種規格の画像信号は、システムバスSBを介し、一般にスケーラとも称される投影画像処理部12に入力される。
【0016】
投影画像処理部12は、入力される画像信号を投影に適した所定のフォーマットの画像信号に統一し、内蔵する表示用のバッファメモリに適宜書込んだ後に、書込んだ画像信号を読出して投影画像駆動部13へ送る。
【0017】
この際、OSD(On Screen Display)用の各種動作状態を示すシンボル等のデータも必要に応じて投影画像処理部12内のバッファメモリで画像信号に重畳加工し、加工後の画像信号を読出して投影画像駆動部13へ送る。
【0018】
投影画像駆動部13は、送られてきた画像信号に応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子であるマイクロミラー素子14を表示駆動する。
【0019】
このマイクロミラー素子14は、アレイ状に配列された複数、例えばXGA(横1024画素×縦768画素)個の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して表示動作することで、その反射光により光像を形成する。
【0020】
一方で、光源部15から時分割でR,G,Bの原色光が循環的に出射される。この光源部15からの原色光が、ミラー16で全反射して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0021】
そして、マイクロミラー素子14での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズユニット17を介して、投影対象となる図示しないスクリーンに投影表示される。
【0022】
上記光源部15は、赤色(R)光を発する発光ダイオード(以下「R−LED」と称する)18、青色(G)光を発する発光ダイオード(以下「B−LED」と称する)19、及び青色(B)光を発するレーザダイオード(以下「B−LD」と称する)20を有する。
【0023】
R−LED18の発する赤色光は、ダイクロイックミラー21を透過した後、インテグレータ22で輝度分布が略均一な光束とされた後に上記ミラー16へ送られる。
【0024】
B−LED19の発する青色光は、ダイクロイックミラー23で反射された後、上記ダイクロイックミラー21でも反射され、上記インテグレータ22を介して上記ミラー16へ送られる。
【0025】
B−LD20の発する高エネルギ出力の青色光は、ダイクロイックミラー24を透過して、回転体である蛍光ホイール25の周面上の一点に照射される。蛍光ホイール25のレーザ光照射位置にはリング状に蛍光体25Gが塗布されており、青色のレーザ光の照射により緑色の蛍光が反射光のように励起する。この蛍光体25Gから励起した緑色光が、上記ダイクロイックミラー24で反射され、さらにミラー26でも反射された後に、上記ダイクロイックミラー23を透過して上記ダイクロイックミラー21で反射され、上記インテグレータ22を介して上記ミラー16へ送られる。
上記ダイクロイックミラー21は、赤色光を透過する一方で、緑色光及び青色光を反射する。上記ダイクロイックミラー23は、緑色光を透過する一方で、青色光を反射する。反対に上記ダイクロイックミラー24は、青色光を透過する一方で、緑色光を反射する。
【0026】
上記蛍光ホイール25は、モータ(M)27により駆動されて回転する。また、蛍光ホイール25の周側端部の複数箇所には、図示しないマーカが均等間隔に埋設される。これらのマーカに対向するようにしてマーカセンサ28が近接して配設される。
【0027】
マーカセンサ28は、蛍光ホイール25の回転により対向する近接位置を上記複数マーカが通過する度にそれを検出してパルス信号を出力する。マーカセンサ28の出力するパルス信号は、PWM(パルス幅変調)回路29により、蛍光ホイール25の回転速度を表す、単位時間当たりのパルス幅(周期)に応じた直流電圧信号として投影光駆動部30に与えられる。
【0028】
投影光駆動部30は、光源部15のLED18,19の発光タイミングや駆動信号の波形等を統括して制御する。また、投影光駆動部30内にはDC/DCコンバータ30aを備える。このDC/DCコンバータ30aは、上記PWM回路29の出力する直流電圧信号を上記B−LD20での発光に適した電圧に変換、安定化してB−LD20に印加し、B−LD20を駆動する。
【0029】
このように投影光駆動部30は、上記投影画像駆動部13から与えられる画像信号に同期したタイミング信号と、後述するCPU31の制御に応じて上記LED18,19及びLD20の発光動作と蛍光ホイール25の回転動作とを制御する。
【0030】
上記各回路の動作すべてをCPU31が制御する。このCPU31は、メインメモリ32及びプログラムメモリ33と直接接続される。メインメモリ32は、DRAMで構成され、CPU31のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ33は、電気的書換可能な不揮発性メモリで構成され、CPU31が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。
上記プログラムメモリ33が記憶する定型データ中には、上記B−LD20の駆動電圧範囲を示す2つのしきい値Vre1,Vref2(Vre1<Vref2)を含む。
【0031】
CPU31は、上記プログラムメモリ33に記憶されている動作プログラムやデータ等を読出し、メインメモリ32に展開して記憶させた上で、当該プログラムを実行することにより、このデータプロジェクタ装置10を統括して制御する。
【0032】
上記CPU31は、操作/表示部34からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。
この操作/表示部34は、データプロジェクタ装置10の筐体前後面に設けられるリモコン受光部と、データプロジェクタ装置10の筐体上面に設けられるキー入力/インジケータ部を含む。操作/表示部34は、ユーザがデータプロジェクタ装置10本体のキー入力/インジケータ部またはデータプロジェクタ装置10専用のリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU31へ出力する。
【0033】
また、CPU31は動作状態に応じた点灯/点滅信号を操作/表示部34のキー入力/インジケータ部へ送出することで、インジケータの色、点灯/点滅状態を制御する。
【0034】
上記CPU31はさらに、上記システムバスSBを介して音声処理部35とも接続される。音声処理部35は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声信号をアナログ化し、スピーカ部36を駆動して放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0035】
次に上記実施形態の動作について説明する。
なお、上述した如く、電源オン時の投影動作では、投影画像処理部12が作成した画像に基づいて投影画像駆動部13がマイクロミラー素子14を表示駆動する。このマイクロミラー素子14での表示に同期してR−LED18、B−LED19、及びB−LD20を投影光駆動部30が発光駆動し、併せてモータ27により蛍光ホイール25を回転させて、R,B,Gの原色光を時分割で循環的に発生させてマイクロミラー素子14に照射させることで、カラーの光像が順次投影レンズユニット17より投影される。
【0036】
図2は、正常な投影動作時の各種信号波形を示すタイミングチャートである。
図2(A)は、マイクロミラー素子14で光像を形成するタイミングを示す。同図(A)に示す如く、画像1フレームをR,B,Gのフィールドの順序で投影するものとし、マイクロミラー素子14で各フィールド期間中に当該色成分の光像を形成させる。
【0037】
具体的には、投影画像駆動部13によりマイクロミラー素子14で画素を構成する各微小ミラーをそれぞれ階調に合わせた時間長でオン/オフ動作させる。
【0038】
図2(B)に示すように、投影光駆動部30はRフィールドに同期させてR−LED18を駆動し、赤色光を発生させてマイクロミラー素子14に当該赤色光を照射させる。
【0039】
そのため、マイクロミラー素子14での反射光により赤色の光像が形成され、形成された光像が投影レンズユニット17により投影対象に向けて投射される。
【0040】
このとき、緑色光を発生するための光源であるB−LD20は駆動されていないが、蛍光ホイール25はモータ27により連続して回転されている。したがって、マーカセンサ28は蛍光ホイール25の回転速度に同期したパルス信号を出力し続けている。
【0041】
その後、RフィールドからBフィールドとなると、投影光駆動部30はR−LED18に代えて図2(C)に示すようにB−LED19を駆動し、青色光を発生させてマイクロミラー素子14に当該青色光を照射させる。
【0042】
そのため、マイクロミラー素子14での反射光により青色の光像が形成され、形成された光像が投影レンズユニット17により投影対象に向けて投射される。
【0043】
同時に投影光駆動部30はこのBフィールド期間で、図2(E)に示すようにPWM回路29から出力される、マーカセンサ28の出力パルス幅に応じた直流電圧信号の受付を開始する。
【0044】
さらに、BフィールドからGフィールドとなると、投影光駆動部30はB−LED19に代えて図2(F)に示すようにDC/DCコンバータ30aの出力によりB−LD20を駆動し、高エネルギの青色光を発生させて、回転する蛍光ホイール25の蛍光体25Gに照射させ、蛍光体25Gで励起した緑色光をマイクロミラー素子14に照射させる。
【0045】
このときPWM回路29が出力する直流電圧信号Vsampは、図2(E)に示す如く2つのしきい値Vre1,Vref2(Vre1<Vref2)で示される上記B−LD20の駆動電圧範囲内に収まっている。
【0046】
したがってDC/DCコンバータ30aでは、入力される直流電圧信号VsampをB−LD20での発光に適した電圧に変換、安定化してB−LD20に印加し、B−LD20を駆動する。
【0047】
そして、Gフィールドが終了した時点で、画像1フレーム分の投影を終了し、次のフレームに移行して同様の動作を繰返す。
【0048】
このように投影光駆動部30では、Gフィールドに先立つBフィールドでPWM回路29の出力するマーカセンサ28の出力パルス幅に応じた直流電圧信号Vsampの受付けを開始し、Gフィールドで該直流電圧信号Vsampが許容範囲内である場合にB−LD20での発光を実行するものとした。
【0049】
次に、図3により投影動作途中で蛍光ホイール25に異常が生じた場合、例えばホコリや脱落した部品等がモータ27の回転軸に入って回転の抵抗となり、蛍光ホイール25の回転速度が低下した場合の動作について説明する。
図3(A)は、マイクロミラー素子14で光像を形成するタイミングを示す。同図(A)に示す如く、画像1フレームをR,B,Gのフィールドの順序で投影するものとし、マイクロミラー素子14で各フィールド期間中に当該色成分の光像を形成させる。
【0050】
Rフィールド及びBフィールドにおいては、上記図2でも説明したように各回路が正常に動作し、それぞれR−LED18とB−LED19を時分割でフィールド期間に同期して発光させるものとする。
【0051】
BフィールドからGフィールドとなった時点で、投影光駆動部30はB−LED19に代えて図3(F)に示すようにDC/DCコンバータ30aの出力によりB−LD20を駆動し、高エネルギの青色光を発生させて、回転する蛍光ホイール25の蛍光体25Gに照射させ、蛍光体25Gで励起した緑色光をマイクロミラー素子14に照射させる。
【0052】
このときPWM回路29が出力する当初の直流電圧信号Vsampは、図3(E)に示す如く2つのしきい値Vre1,Vref2(Vre1<Vref2)で示される上記B−LD20の駆動電圧範囲内に収まっている。
【0053】
したがってDC/DCコンバータ30aでは、入力される直流電圧信号VsampをB−LD20での発光に適した電圧に変換、安定化してB−LD20に印加し、B−LD20を駆動する。
【0054】
Gフィールドに入った直後、図3(D)のタイミングt1から、上述したような要因によって蛍光ホイール25の回転速度が低下したものとする。これにより、以後マーカセンサ28で得られるパルス信号は図示する如く、より長い周期となる。
【0055】
このパルス信号の長周期下によりPWM回路29から出力される直流電圧信号Vsampが低下し、図3(E)に示す如くタイミングt2で下限側のしきい値Vre1を下回ると、DC/DCコンバータ30aを備える投影光駆動部30がそれを即時判断して、図3(f)に示すようにB−LD20への電力供給を停止する。
【0056】
したがって、回転速度が低下した蛍光ホイール25の蛍光体25Gが、B−LD20からの高エネルギ出力のレーザ光による悪影響を受ける前にB−LD20の駆動を即時確実に停止することができる。
【0057】
上記図3は、蛍光ホイール25の回転速度が低下し、PWM回路29が出力する直流電圧信号Vsampが下限側のしきい値Vre1を下回った場合について説明したものであるが、反対に、蛍光ホイール25の回転速度が上昇し、PWM回路29が出力する直流電圧信号Vsampが上限側のしきい値Vre2を上回った場合についても、同様にDC/DCコンバータ30aを備える投影光駆動部30がそれを判断してB−LD20の駆動を即時確実に停止させる。
【0058】
蛍光ホイール25の回転速度が異常に上昇する要因としては、例えば蛍光ホイール25の蛍光体25Gが破損、脱落し、回転体である蛍光ホイール25の質量が小さくことが考えられる。
【0059】
このように投影光駆動部30では、蛍光ホイール25の回転速度が許容範囲を超えて速くなった場合、及び遅くなった場合のいずれであっても、異常が生じたものとして即時B−LD20の駆動を確実に停止させ、蛍光ホイール25の蛍光体25Gが燃えたり、熱により変色して色斑を生じるなどの事態を回避することができる。
【0060】
なお、B−LD20の駆動停止に際しては、データプロジェクタ装置10全体の制御を実行するCPU31が、なんらかのエラー報知、例えばR−LED18、B−LED19の発光による赤色光及び青色光のみを用いての文字画像によるエラー画像の投影や、操作/表示部34のインジケータ部による点灯/点滅表示を行なうものとしても良い。
【0061】
以上詳記した如く本実施形態によれば、高エネルギ出力のレーザ光源による可動部である蛍光ホイール25と、そのうち特に高熱の影響を受け易い蛍光体25Gの損傷等を確実に防止することが可能となる。
【0062】
また、上記実施形態では、回転体である蛍光ホイール25の動作を蛍光ホイール25に設けたマーカ(図示せず)とマーカセンサ28とによりパルス信号の形で抽出し、そのパルス信号を電圧信号に変換した上でB−LD20の駆動制御を行なうものとしたので、回路構成を非常に簡略化することができ、異常時に確実、且つ迅速に対処できる。
【0063】
さらに上記実施形態では、R−LED18、B−LED19及びB−LD20を光源素子として用いながら、光エネルギ出力であるが故に、機器の破損等を回避する必要があるB−LD20を監視しながら、B−LD20ほどには取扱いに注意を行なう必要がないR−LED18及びB−LED19を用いて、B−LD20の異常時にエラー画像を投影するなど、正常な色バランスでの投影は不可能であるものの、画像の投影機能は損なわれていないため、ユーザに対する報知などを容易に実現できる。
【0064】
また、上記実施形態では、蛍光ホイール25にマーカを複数設ける構成としたが、この場合に限定されず、蛍光ホイール25は1つ以上のマーカを持っていればよい。しかし、図3にあるように、マーカセンサ出力回数が多いほど蛍光ホイールの回転異常が発生した際にその異常を検知するタイミングが早くなるため、より望ましい実施形態として、蛍光ホイール25に複数のマーカを設けることとした。
【0065】
さらに、蛍光ホイール25に1つのマーカしか設けない場合、通常1フレームに1つのピーク信号しかマーカセンサは出力しないが、例えばPLL回路を用いて複数の出力信号に変換して出力する構成としてもよい。
【0066】
なお、上記実施形態は、LD(レーザダイオード)を光源素子の一部に用いるDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合について説明したものであるが、本発明はレーザ光源となる素子やプロジェクタとしての投影方式などを限定するものではなく、各種投影装置等に適用可能である。
【0067】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0068】
10…データプロジェクタ装置、11…入力部、12…投影画像処理部、13…投影画像駆動部、14…マイクロミラー素子、15…光源部、16…ミラー、17…投影レンズユニット、18…赤色(R)−LED(発光ダイオード)、19…青色(B)−LED、20…青色(B)−LD(レーザダイオード)、21…ダイクロイックミラー、22…インテグレータ、23,24…ダイクロイックミラー、25…蛍光ホイール、25G…蛍光体、26…ミラー、27…モータ(M)、28…マーカセンサ、29…PWM回路、30…投影光駆動部、30a…DC/DCコンバータ、31…CPU、32…メインメモリ、33…プログラムメモリ、34…操作/表示部、35…音声処理部、36…スピーカ部、SB…システムバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
画像信号を入力する入力手段と、
上記光源からの光を回転体に配置した蛍光体に照射して蛍光を励起させ、励起した蛍光を用いて上記入力手段で入力した画像信号に対応する光像を形成し、形成した光像を投影する投影手段と、
上記回転体の回転速度を検出する検出手段と、
上記検出手段での検出結果を上記光源の動作電源に変換する変換手段と、
上記変換手段で得る上記光源の動作電源が予め設定した条件を外れる場合に上記光源への電源供給を遮断する光源制御手段と
を具備したことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
上記検出手段は、上記回転体の回転速度に応じたパルス信号を発生し、
上記変換手段は、上記検出手段で検出したパルス信号を上記光源の動作電源に対応した電圧信号に変換し、
上記光源制御手段は、上記変換手段で変換した電圧信号の値が上記光源の駆動電圧範囲を外れている場合に上記光源への電源供給を遮断する
ことを特徴とする請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
上記光源は、レーザ光を発する光源素子とそれ以外の光源素子の複数の光源素子を有し、
上記変換素子は、上記検出手段での検出結果を上記レーザ光を発する光源素子の動作電源に変換し、
上記光源制御手段は、上記変換手段で得る上記光源の動作電源が予め設定した条件を外れる場合に上記レーザ光を発する光源素子への電源供給を少なくとも遮断する
ことを特徴とする請求項1記載の投影装置。
【請求項4】
光源と、画像信号を入力する入力部、上記光源からの光を回転体に配置した蛍光体に照射して蛍光を励起させ、励起した蛍光を用いて上記入力部で入力した画像信号に対応する光像を形成し、形成した光像を投影する投影部を備えた投影装置での投影方法であって、
上記回転体の回転速度を検出する検出工程と、
上記検出工程での検出結果を上記光源の動作電源に変換する変換工程と、
上記変換工程で得る上記光源の動作電源が予め設定した条件を外れる場合に上記光源への電源供給を遮断する光源制御工程と
を有したことを特徴とする投影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−158726(P2011−158726A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20603(P2010−20603)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】