抗−T−BAM(CD40−L)モノクローナル抗体5c8の治療適用
【課題】細胞表面上でのCD40を保有する細胞のCD40リガンドによる活性化を阻害する方法を提供すること。
【解決手段】細胞表面における、CD40リガンドによるCD40を保有する細胞の活性化は、細胞を、CD40リガンドと細胞との間の相互作用を阻害し得る因子と、細胞の活性化を阻害するのに有効な量で接触させることによって阻害される。被験体における、CD40リガンドによる、CD40を保有する細胞の表面での活性化は、被験体に、CD40リガンドと細胞との間の相互作用を阻害し得る因子を、細胞の活性化を阻害するのに有効な量で投与することによって阻害される。CD40保有細胞のCD40リガンドに誘導される活性化に依存する状態が、処置される。
【解決手段】細胞表面における、CD40リガンドによるCD40を保有する細胞の活性化は、細胞を、CD40リガンドと細胞との間の相互作用を阻害し得る因子と、細胞の活性化を阻害するのに有効な量で接触させることによって阻害される。被験体における、CD40リガンドによる、CD40を保有する細胞の表面での活性化は、被験体に、CD40リガンドと細胞との間の相互作用を阻害し得る因子を、細胞の活性化を阻害するのに有効な量で投与することによって阻害される。CD40保有細胞のCD40リガンドに誘導される活性化に依存する状態が、処置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国出願第08/567,391号(1995年12月1日出願)、および米国出願第08/566,258号(1995年12月1日出願)、および米国出願第08/637,323号(1996年4月22日出願)の優先権を請求する。これらの内容は、本出願中で参考として援用される。
【0002】
本明細書中に開示される発明は、米国保健社会福祉省からの米国国立衛生研究所助成金K08-AR-01904、RO1-CA55713、RO1-AI-28367、RO1-AI-14969、HL21006、HL42833、HL50629、およびRO1-AI-14969の下での米国政府の支援を得てなされた。従って、米国政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0003】
本出願を通じて、種々の参考文献が、括弧内に参照される。これらの出版物の開示は、その全体が、本出願中に、本発明に関連する技術水準をより充分に記載するために、本明細書中で参考として援用される。これらの参考文献の充分な目録的引用は、テキスト中または本出願の終わりに(配列表および請求項の前に)見出され得る。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
CD40は、B細胞およびいくつかの上皮ガン腫で発現されると当初記載された50 kDaの細胞表面分子である(1、2)。CD40は、活性化されたCD4+ T細胞で一過的に発現される30 kDaの細胞表面分子であるCD40L(T-BAM、gp39、TRAP)と相互作用する(3〜8)。CD40L-CD40相互作用は、T細胞-B細胞相互作用の状況において広く研究されてきた。CD40の連結反応は、B細胞活性化、分裂増殖、分化、Ig産物、およびアポトーシス性シグナルからの救出において重要な役割を果たす(9〜11)。B細胞分化におけるCD40の連結の重大なインビボでの役割は、ハイパー-IgM症候群(CD40Lをコードする遺伝子における変異による体液性免疫不全)によって強調される(12〜16)。マウスCD40(17)またはCD40L(18)「ノックアウト」は、ハイパー-IgM症候群の患者と同様の表現型を有する。
【0005】
興味深いことに、近年の研究は、 CD40の発現は、初めに記載されたよりも幅広い細胞分布を有することを示している。CD40は、単球(19)、樹状細胞(22)、上皮(23、21)、好塩基性細胞(24)、およびホジキン腫瘍細胞(25)において発現されることが示されている。その上、種々のサイトカインは、非B細胞におけるCD40の発現を調節し得る。胸腺上皮細胞におけるCD40の発現は、IL-1α、TNF-α、またはINF-γによってアップレギュレートされる(21)。INF-γは、IL-3またはGM-CSFに加えて、同様に、単球におけるCD40の発現をアップレギュレートする(19)。INF-γおよびIL-1αの存在下でCD40の連結は、胸腺上皮細胞によるGM-CSF産生を刺激する(21)。さらに、CD40L発現トランスフェクト体は、単球による殺腫瘍性活性を引き起こし、そしてINF-γ、GM-CSF、またはIL-3の存在下で、TNF-α、IL-6、またはIL-8を分泌するために単球を刺激する(19)。
【0006】
CD40はまた、慢性関節リウマチ(RA)で苦しむ患者の滑膜(SM)中に見出される細胞において発現される。RA SMにおいて発現される細胞表面分子の免疫組織学調査は、 CD40が線維芽細胞様形態学を伴う細胞を含む種々の細胞型で発現されることを見出した(26)。この報告には、CD40が、RA、非RA炎症性関節炎(IA)、または骨関節炎(OA)を有する患者から単離された培養された滑膜(SM)の線維芽細胞で発現されることが、FACS分析によって示されている。さらに、正常ドナーから単離された皮膚線維芽細胞はまた、CD40を発現する。その上、 CD40L+細胞によるCD40の連結は、線維芽細胞の活性化および増殖を誘導する。
【0007】
内皮細胞は、白血球との接着相互作用を仲介する表面分子(例えば、CD54(ICAM-1)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(VCAM-1))を発現する(27〜35)。内皮細胞表面接着分子の発現は、白血球の炎症部位への補充を調節し、そしてそれゆえ厳しい調節に供される(27、28)。休止内皮細胞は、低レベルのCD54を発現し、最小限のCD62EまたはCD106発現するかまたは全く発現しない。IL-1、TNFα、またはLPSとの活性化に続いて、内皮細胞は、迅速にCD54、CD62E、およびCD106の発現をアップレギュレートする(27、28)。CD4+T細胞は、内皮細胞または他の標的細胞に、IL-1またはTNFαの分泌を誘導することによって、内皮細胞表面接着分子のアップレギュレーションに貢献し得る(36)。しかし、 内皮細胞活性化を誘導するCD4+T細胞−内皮細胞相互作用に関連する分子的詳細は、完全に描写されていない。
【0008】
通常のヒト内皮細胞がまた、インサイチュでCD40を発現し、そしてCD40L−CD40相互作用は、インビトロでの内皮細胞活性化を誘導することが現在報告され得る。通常の膵臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺または臍帯由来の凍結切片は、免疫組織化学によってCD40の発現が研究されていた。研究された全ての組織由来の内皮細胞は、インサイチュでCD40を発現する。さらに、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)は、インビトロでCD40を発現し、そしてrIFN-γは、HUVEC CD40アップレギュレーションを誘導する。HUVECにおけるCD40の発現は、機能的に重要である。なぜなら、CD40L+ ジャーカットT細胞は、抗-CD40L mAb 5C8によって阻害される様式において、HUVEC CD54(ICAM-1)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(VCAM-1)のインビトロ発現をアップレギュレートするからである。さらに、293腎臓細胞トランスフェクト体を発現するが、コントロールトランスフェクト体を発現しないCD40Lはまた、HUVECにおけるCD54、CD62E、およびCD106の発現をアップレギュレートする。これらの結果は、CD40L−CD40相互作用が、インビトロで内皮細胞活性化を誘導することを例示している。T細胞表面において発現されるCD40Lは、CD40+内皮細胞の活性化を誘導すること、およびこの活性化が、抗-CD40Lモノクローナル抗体によって阻害されることが初めて示される。さらに、これらの結果は、内皮細胞表面接着分子の発現をアップレギュレートすることによって、活性化されたCD4+ T細胞がインビボで炎症応答を増大させるメカニズムを例示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明は、細胞表面上でのCD40を保有する細胞のCD40リガンドによる活性化を阻害する方法を提供し、この方法は、細胞の活性化を阻害するために有効な量において、CD40リガンドと細胞の間の相互作用を阻害し得る因子と細胞を接触させる工程を包含する。
【0010】
本発明は、被験体において、細胞表面上でのCD40を保有する細胞のCD40リガンドによる活性化を阻害する方法を提供し、この方法は、被験体における細胞の活性化を阻害するために有効な量において、CD40リガンドと細胞の間の相互作用の阻害し得る因子を被験体に投与する工程を包含する。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
【0012】
(項目1)CD40を保有する細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法であって、該方法は、該細胞を、CD40リガンドと該細胞との間の相互作用を阻害し得る因子と該細胞の活性化を阻害する有効量で接触させる工程を包含し、ここで、該CD40保有細胞は、B細胞以外である、方法。
【0013】
(項目2)上記CD40保有細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リード−スターンバーグ細胞、および樹状細胞からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
【0014】
(項目3)上記上皮細胞が、ケラチン生成細胞である、項目2に記載の方法。
【0015】
(項目4)上記因子が、上記細胞上のCD40に対するCD40リガンドの結合を阻害する、項目1に記載の方法。
【0016】
(項目5)上記因子が、タンパク質である、項目1に記載の方法。
【0017】
(項目6)上記タンパク質が、抗体もしくはその部分を含む、項目5に記載の方法。
【0018】
(項目7)上記抗体が、モノクローナル抗体である、項目6に記載の方法。
【0019】
(項目8)上記モノクローナル抗体が、キメラ抗体である、項目7に記載の方法。
【0020】
(項目9)上記モノクローナル抗体が、ヒト化抗体である、項目7に記載の方法。
【0021】
(項目10)上記モノクローナル抗体が、霊長類化抗体である、項目7に記載の方法。
【0022】
(項目11)上記抗体の部分が、軽鎖もしくは重鎖の相補性決定領域または可変領域を含む、項目6に記載の方法。
【0023】
(項目12)上記抗体の部分が、相補性決定領域または可変領域を含む、項目6に記載の方法。
【0024】
(項目13)上記抗体の部分が、Fabもしくは単鎖抗体を含む、項目12に記載の方法。
【0025】
(項目14)上記タンパク質が、CD40リガンドの可溶性細胞外領域、もしくは保存的置換基を含有するその改変体、もしくはその部分;またはCD40の可溶性細胞外領域、もしくは保存的置換基を含有するその改変体、もしくはその部分を含む、項目5に記載の方法。
【0026】
(項目15)上記CD40リガンドまたはCD40の可溶性細胞外領域は、モノマーである、項目14に記載の方法。
【0027】
(項目16)上記CD40の可溶性細胞外領域は、オリゴマーである、項目14に記載の方法。
【0028】
(項目17)CD40の可溶性細胞外領域もしくはその部分を含む上記タンパク質が、該CD40の細胞外領域もしくはその部分に融合するFc領域をさらに含む、項目14に記載の方法。
【0029】
(項目18)上記Fc領域は、プロテインAもしくはプロテインGに結合可能である、項目17に記載の方法。
【0030】
(項目19)上記Fc領域は、IgG、IgA、IgM、IgD、もしくはIgEまたはそれらのサブクラスを含む、項目17に記載の方法。
【0031】
(項目20)上記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4であるか;または上記IgAは、IgA1もしくはIgA2である、項目19に記載の方法。
【0032】
(項目21)上記因子が、モノクローナル抗体5c8(ATCC受託番号 HB 10916)が特異的に結合する抗原に特異的に結合する、項目1に記載の方法。
【0033】
(項目22)上記因子が、抗体である、項目21に記載の方法。
【0034】
(項目23)上記抗体が、モノクローナル抗体5c8(ATCC受託番号 HB 10916)である、項目22に記載の方法。
【0035】
(項目24)上記因子が、低分子である、項目1に記載の方法。
【0036】
(項目25)上記因子が、上記細胞表面上のCD40に特異的に結合する、項目1に記載の方法。
【0037】
(項目26)上記因子が、タンパク質である、項目25に記載の方法。
【0038】
(項目27)上記タンパク質が、抗体である、項目26に記載の方法。
【0039】
(項目28)上記抗体が、モノクローナル抗体である、項目27に記載の方法。
【0040】
(項目29)上記モノクローナル抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体または霊長類化抗体である、項目28に記載の方法。
【0041】
(項目30)上記タンパク質は、CD40リガンドの細胞外領域を含む、項目26に記載の方法。
【0042】
(項目31)上記因子が、非タンパク質である、項目1に記載の方法。
【0043】
(項目32)上記因子が、既知の因子のライブラリーから選択される、項目1に記載の方法。
【0044】
(項目33)上記因子が、既知の因子から改変される、項目1に記載の方法。
【0045】
(項目34)上記改変因子が、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその部分のリード阻害因子との複合体の三次元構造に基づく該リード阻害因子の構造最適化によって設計される、項目33に記載の方法。
【0046】
(項目35)項目1に記載の方法であって、上記因子が、以下の工程:
細胞のサンプルを単離する工程;
CD40保有細胞の活性化を許容する条件下で該サンプルを培養する工程;
該サンプルを、ATCC受託番号 HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識されるタンパク質を発現する細胞、またはATCC受託番号 HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識され、該CD40保有細胞を活性化するのに有効であるタンパク質と接触させる工程;
該因子が該CD40保有細胞の活性化を阻害し得る場合、該サンプルを該CD40保有細胞の活性化を阻害するのに有効な量の該因子と接触させる工程;および
ATCC受託番号 HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識される該タンパク質を発現する該細胞か、またはATCC受託番号HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識される該タンパク質が、該因子の存在下で該CD40保有細胞を活性化するかどうか決定する工程、
を包含するスクリーニング法によって選択される、方法。
【0047】
(項目36)上記因子が、既知の因子のライブラリーから選択される、項目35に記載の方法。
【0048】
(項目37)上記既知の因子は非タンパク質因子である、項目36に記載の方法。
【0049】
(項目38)被験体において、CD40を保有する細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法であって、該方法は、CD40リガンドと該細胞との間の相互作用を阻害し得る因子を、該被験体において該細胞の活性化を阻害する有効量で該被験体に投与する工程を包含し、ここで、該CD40保有細胞は、B細胞以外である、方法。
【0050】
(項目39)上記CD40保有細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リード−スターンバーグ細胞、および樹状細胞からなる群より選択される、項目38に記載の方法。
【0051】
(項目40)上記上皮細胞が、ケラチン生成細胞である、項目39に記載の方法。
【0052】
(項目41)上記因子が、上記細胞上のCD40に対するCD40リガンドの結合を阻害する、項目38に記載の方法。
【0053】
(項目42)上記因子が、タンパク質である、項目38に記載の方法。
【0054】
(項目43)上記タンパク質が、抗体もしくはその部分を含む、項目42に記載の方法。
【0055】
(項目44)上記抗体が、モノクローナル抗体である、項目43に記載の方法。
【0056】
(項目45)上記モノクローナル抗体が、キメラ抗体である、項目43に記載の方法。
【0057】
(項目46)上記モノクローナル抗体が、ヒト化抗体である、項目44に記載の方法。
【0058】
(項目47)上記モノクローナル抗体が、霊長類化抗体である、項目44に記載の方法。
【0059】
(項目48)上記抗体の部分が、軽鎖もしくは重鎖の相補性決定領域または可変領域を含む、項目43に記載の方法。
【0060】
(項目49)上記抗体の部分が、相補性決定領域または可変領域を含む、項目43に記載の方法。
【0061】
(項目50)上記抗体の部分が、Fabもしくは単鎖抗体を含む、項目49に記載の方法。
【0062】
(項目51)上記因子が、モノクローナル抗体5c8(ATCC受託番号 HB 10916)が特異的に結合する抗原に特異的に結合する、項目38に記載の方法。
【0063】
(項目52)上記因子が、抗体である、項目51に記載の方法。
【0064】
(項目53)上記抗体が、モノクローナル抗体5c8(ATCC受託番号 HB 10916)である、項目52に記載の方法。
【0065】
(項目54)上記被験体は、哺乳動物である、項目38に記載の方法。
【0066】
(項目55)上記哺乳動物被験体は、ヒトである、項目54に記載の方法。
【0067】
(項目56)上記哺乳動物被験体は、げっ歯類である、項目54に記載の方法。
【0068】
(項目57)上記タンパク質が、CD40リガンドの可溶性細胞外領域、もしくは保存的置換基を含有するその改変体、もしくはその部分;またはCD40の可溶性細胞外領域、もしくは保存的置換基を含有するその改変体、もしくはその部分を含む、項目38に記載の方法。
【0069】
(項目58)上記CD40リガンドまたはCD40の可溶性細胞外領域は、モノマーである、項目57に記載の方法。
【0070】
(項目59)上記CD40の可溶性細胞外領域は、オリゴマーである、項目57に記載の方法。
【0071】
(項目60)CD40の可溶性細胞外領域もしくはその部分を含む上記タンパク質が、該CD40の細胞外領域もしくはその部分に融合するFc領域をさらに含む、項目57に記載の方法。
【0072】
(項目61)上記Fc領域は、プロテインAもしくはプロテインGに結合可能である、項目60に記載の方法。
【0073】
(項目62)上記Fc領域は、IgG、IgA、IgM、IgD、もしくはIgEまたはそれらのサブクラスを含む、項目60に記載の方法。
【0074】
(項目63)上記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4であるか;または上記IgAは、IgA1もしくはIgA2である、項目62に記載の方法。
【0075】
(項目64)上記因子が、低分子である、項目38に記載の方法。
【0076】
(項目65)上記因子が、上記細胞表面上のCD40に特異的に結合する、項目38に記載の方法。
【0077】
(項目66)上記因子が、タンパク質である、項目65に記載の方法。
【0078】
(項目67)上記タンパク質が、抗体である、項目66に記載の方法。
【0079】
(項目68)上記抗体が、モノクローナル抗体である、項目67に記載の方法。
【0080】
(項目69)上記モノクローナル抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体または霊長類化抗体である、項目68に記載の方法。
【0081】
(項目70)上記タンパク質が、CD40リガンドの上記細胞外領域を含む、項目66に記載の方法。
【0082】
(項目71)上記因子は非タンパク質である、項目38に記載の方法。
【0083】
(項目72)上記因子が、既知の因子のライブラリーから選択される、項目38に記載の方法。
【0084】
(項目73)上記因子が、既知の因子から改変される、項目38に記載の方法。
【0085】
(項目74)上記改変因子が、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその部分のリード阻害因子との複合体の三次元構造に基づく該リード阻害因子の構造最適化によって設計される、項目73に記載の方法。
【0086】
(項目75)項目38に記載の方法であって、上記因子が、以下の工程:
細胞のサンプルを単離する工程;
CD40保有細胞の活性化を許容する条件下で該サンプルを培養する工程;
該サンプルを、ATCC受託番号 HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識されるタンパク質を発現する細胞、またはATCC受託番号 HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識され、該CD40保有細胞を活性化するのに有効であるタンパク質と接触させる工程;
該因子が該CD40保有細胞の活性化を阻害し得る場合、該サンプルを該CD40保有細胞の活性化を阻害するのに有効な量の該因子と接触させる工程;および
ATCC受託番号 HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識される該タンパク質を発現する該細胞か、またはATCC受託番号HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識される該タンパク質が、該因子の存在下で該CD40保有細胞を活性化するかどうか決定する工程、
を包含するスクリーニング法によって選択される、方法。
【0087】
(項目76)上記因子が、既知の因子のライブラリーから選択される、項目75に記載の方法。
【0088】
(項目77)上記既知の因子は非タンパク質因子である、項目76に記載の方法。
【0089】
(項目78)被験体における炎症性応答を阻害する方法であって、項目38に記載の方法を包含する方法。
【0090】
(項目79)被験体における線維芽細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する状態を処置する方法であって、項目38に記載の方法を包含する方法。
【0091】
(項目80)上記線維芽細胞は、滑膜線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、肺線維芽細胞、および肝線維芽細胞からなる群より選択される、項目79に記載の方法。
【0092】
(項目81)上記状態が、関節炎、強皮症、および線維症からなる群より選択される、項目79に記載の方法。
【0093】
(項目82)上記関節炎が、慢性関節リウマチ、非リウマチ炎症性関節炎、ライム病に関連する関節炎、または骨関節炎である、項目81に記載の方法。
【0094】
(項目83)上記線維症が、肺線維症、過敏性肺線維症、または塵肺症である、項目81に記載の方法。
【0095】
(項目84)上記肺線維症が、成人呼吸促進症候群に対して続発性である肺線維症、薬物誘導性肺線維症、特発性肺線維症、または過敏性肺炎である、項目83に記載の方法。
【0096】
(項目85)上記塵肺症が、石綿沈着症、珪肺症(siliconosis)、または農夫肺である、項目83に記載の方法。
【0097】
(項目86)上記線維症が、肝臓または肺の線維症疾患である、項目81に記載の方法。
【0098】
(項目87)上記肺の上記繊維症疾患が、慢性関節リウマチもしくは強皮症によって引き起こされる、項目86に記載の方法。
【0099】
(項目88)上記肝臓の上記線維症疾患が、以下からなる群:
C型肝炎;
B型肝炎;
硬変;
中毒性発作に対して続発性である肝硬変;
薬物に対して続発性である肝硬変;
ウイルス感染に対して続発性である肝硬変;
および
自己免疫疾患に対して続発性である肝硬変、
より選択される、項目86に記載の方法。
【0100】
(項目89)上記中毒性発作が、アルコール消費である、項目88に記載の方法。
【0101】
(項目90)上記ウイルス感染が、肝炎B型、C型肝炎または非B非C型肝炎である、項目88に記載の方法。
【0102】
(項目91)上記自己免疫疾患が、原発性胆汁性胆硬変、またはルポイド肝炎である、項目88に記載の方法。
【0103】
(項目92)被験体における内皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する状態を処置する方法であって、項目38に記載の方法を包含する方法。
【0104】
(項目93)上記状態が、アテローム性動脈硬化症、再灌流障害、同種移植片拒絶反応、臓器拒絶反応、および慢性炎症性自己免疫疾患からなる群より選択される、項目92に記載の方法。
【0105】
(項目94)上記アテローム性動脈硬化症が、臓器移植に伴い加速したアテローム性動脈硬化症、項目93に記載の方法。
【0106】
(項目95)上記慢性炎症自己免疫疾患が、脈管炎、慢性関節リウマチ、強皮症、または多発性硬化症である、項目93に記載の方法。
【0107】
(項目96)被験体における上皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する状態を処置する方法であって、項目38に記載の方法を包含する方法。
【0108】
(項目97)上記上皮細胞がケラチン生成細胞であり、そして上記状態が乾癬である、項目96に記載の方法。
【0109】
(項目98)CD40を保有する骨髄腫細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法であって、該方法は、該細胞を、CD40リガンドと該細胞との間の相互作用を阻害し得る因子と該細胞の活性化を阻害する有効量で接触させる工程を包含する、方法。
【0110】
(項目99)被験体において、CD40を保有する骨髄腫細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法であって、該方法は、CD40リガンドと該細胞との間の相互作用を阻害し得る因子を、該被験体において該細胞の活性化を阻害する有効量で該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0111】
(項目100)被験体における骨髄腫細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する状態を処置する方法であって、項目99に記載のCD40を保有する骨髄腫細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法を包含する、方法。
【0112】
(項目101)上記状態は、多発性骨髄腫である、項目100に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0113】
詳細な説明
本発明は、細胞の活性化を阻害するために有効量で、CD40リガンドと細胞との間の相互作用を阻害し得る因子と細胞を接触させることを含む、細胞表面にCD40保有細胞のCD40リガンドによる活性化を阻害する方法を提供する。一つの実施態様において、細胞表面にCD40保有細胞は、B細胞以外の細胞である。別の実施態様において、これらは、分化したプラスマ細胞(例えば、ミエローマ細胞)を含む、プラスマ細胞である。
【0114】
本方法は、インビボまたはエクスビボのいずれかにおいてCD40保有細胞の活性化を阻害するために使用され得る。「CD40リガンドとその細胞上のCD40との間の相互作用」は、一つ以上の局面において、機能的または構造的な、CD40-CD40リガンドの相互関係をいう。従って、一つの実施態様において、相互作用を阻害する因子は、CD40リガンドと細胞性CD40の結合をブロックするかまたは減少させるような方法でCD40リガンドと競合的に結合し得る。別の実施態様において、相互作用を阻害する因子は、CD40リガンドと細胞性CD40の結合を阻害しないが、CD40連結への細胞の応答に影響するような様式(例えば、CD40とCD40リガンドの結合動態を変化させることにより、またはCD40結合に対する応答における細胞の活性化の速度または程度を変化させることにより、細胞性CD40またはCD40-因子複合体のターンオーバー速度を変化させる)でCD40またはCD40リガンドと会合し得る。
【0115】
本発明の特定の実施態様において、非B細胞、CD40保有細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リード-スターンバーグ細胞、または樹状細胞である。本発明のより特定の実施態様において、内皮細胞は、ケラチン生成細胞である。別の実施態様において、マクロファージは、泡沫細胞(脂質荷マクロファージ)である。泡沫細胞は、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症)において役割を担う。
【0116】
本発明の一つの実施態様において、因子は、CD40リガンドの細胞上のCD40への結合を阻害する。
【0117】
本発明の一つの実施態様において、因子はタンパク質である。より特定の実施態様において、タンパク質は、抗体またはその一部(例えば、Fab、F(ab’)2、相補性決定部(CDR)軽鎖および/または重鎖、抗体可変部軽鎖および/または重鎖、またはCD40リガンドもしくはCD40リガンド細胞表面レセプターに特異的に結合し得るそれらの部分)を含む。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体であり得る。本発明の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、または霊長類化抗体である。別の実施態様において、抗体の一部は、単鎖抗体を含む。単鎖抗体は、一つのタンパク質鎖においてタンパク質スペーサーによって結合された可変部からなる。
【0118】
上記の方法の一つの実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8が特異的に結合する抗原に特異的に結合する。特定の実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8である。
【0119】
モノクローナル抗体5c8は、ハイブリドーマ細胞(特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の規定の下、1991年11月14日にAmerican Type Culture Collection (ATCC)12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852, U.S.A.に寄託された)によって産生される。ハイブリドーマは、ATCCアクセス番号HB 10916を与えられた。
【0120】
別の実施態様において、抗体はCD40に特異的に結合する。抗CD40抗体の一つの例は、Genzyme Customer Service (製品80-3702-01, Cambridg, MA)から入手可能なモノクローナルマウス抗ヒトCD40である。別の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体または第1のヒト由来のCDR領域および第2のヒト由来の抗体骨格(scaffold)を含む抗体である。
【0121】
本発明の一つの実施態様において、タンパク質は、CD40-Lの細胞外領域の全てまたは一部からなる可溶性の、モノマーCD40-Lタンパク質またはその改変体である。CD40-Lの細胞外領域は、CD40に結合するドメインを含む。従って、可溶性CD40-Lは、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害し得る。本発明は、sCD40-LがCD40-Lの細胞外領域の全て、またはフラグメントもしくはCD40に結合するドメインを含む誘導体を構成し得ることを意図する。
【0122】
「キメラ」、「霊長類化」および「ヒト化」抗体の意味およびそれらを産生する方法は、当業者に周知である。例えば、1990年7月26日に出願されたPCT国際公開番号第WO 90/07861号(Queenら);およびQueenら、Proc, Nat’l Acad, Sci.-USA (1989) 86: 10029を参照のこと。霊長類化抗体を作製する方法は、例えば、PCT国際公開番号第WO /02108号(国際出願番号第PCT/US92/06194 号(Idec Pharmaceuticals)に対応する);およびNewmanら、Biotechnology (1992) 10:1455-1460(これらは本出願の本明細書中に参照として援用される)に開示されている。
【0123】
一般に、ヒト化抗体は、ヒトフレームワーク領域部分と機能的に結合した非ヒト抗体の一つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む抗体である。必要に応じて、非ヒト抗体に会合したさらなる領域が存在し得る。代表的には、少なくとも一つの重鎖または少なくとも一つの軽鎖が、非ヒトCDRを含む。代表的には、非ヒトCDRはマウスCDRである。一般に、霊長類化抗体は、非ヒト霊長類のフレームワーク領域セグメントに機能的に会合した非ヒト霊長類以外の種の抗体の一つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。必要に応じて、CDRが由来する種に会合したさらなる残基が存在し得る。代表的には、少なくとも一つの重鎖または少なくとも一つの軽鎖は、非ヒト霊長類でない種のCDRを含む。代表的には、CDRはヒトCDRである。一般に、キメラ抗体は、その軽鎖および/または重鎖が異なる種由来の領域を含む抗体である。例えば、一つの種の一つ以上の可変(V)領域セグメントは別の種の一つ以上の定常(C)領域セグメントに結合され得る。代表的には、キメラ抗体は、ヒト定常領域セグメントに結合したマウスの可変領域セグメントを含むが、他の哺乳動物種も使用され得る。
【0124】
本発明の別の実施態様において、タンパク質は、CD40またはその一部、またはその改変体の細胞外領域を含む可溶性のCD40タンパク質(sCD40)である。sCD40は、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害する。sCD40は、モノマーまたはオリゴマー形態であり得る。
【0125】
改変体は、アミノ酸配列においてもしくは配列を含まない方法において、または両方において天然に存在するCD40またはCD40リガンドと異なり得る。アミノ酸配列における改変体は、天然に存在するCD40またはCD40リガンドにおける一つ以上のアミノ酸が異なる天然のアミノ酸、アミノ酸誘導体または非天然のアミノ酸で置換されたときに産生される。特に好ましい改変体は、天然に存在するCD40またはCD40リガンド、または天然に存在するCD40またはCD40リガンドの生物学的に活性なフラグメントを含み、その配列は一つ以上の保存性アミノ酸置換によりその配列が野生型配列と異なり、代表的には、タンパク質またはペプチドの2次構造および疎水的性質に最少の影響を有する。改変体はまた、CD40またはCD40リガンドの生物学的活性を破壊しない一つ以上のアミノ酸非保存的置換、欠失または挿入によって異なる配列を有し得る。保存的置換(置換物)は代表的には、一つのアミノ酸の類似した性質の別のアミノ酸への置換(例えば、以下の群の内の置換:バリン、グリシン;グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン)を含む。非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む。極性中性のアミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンを含む。正電荷(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジンおよびヒスチジンを含む。負電荷(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。
【0126】
他の保存的置換は、表4から得られ得、そしてさらに他はDayhoffによってAtlas of Protein Sequence and Stracture (1988)に記載される。
【0127】
【表4】
本発明の範囲内の他の改変体は、ペプチド安定性を増大させる改変を有する改変体である。そのような改変体は、例えば、ペプチド配列における一つ以上の非ペプチド結合(ペプチド結合を置換する)を含み得る。さらに含まれるのは:天然に生じるL-アミノ酸以外の残基(例えば、D-アミノ酸または天然に生じないアミノ酸もしくはβまたはγアミノ酸のような合成アミノ酸)を含む改変体および環状改変体である。ポリペプチドへのL-アミノ酸のかわりにD-アミノ酸の組み込みは、プロテアーゼへのその耐性を増大し得る。米国特許第5,219,990号を参照のこと。
【0128】
本発明のペプチドはまた、挿入、欠失および保存的かまたは非保存的のいずれかの置換のような種々の変更(このような変更は、それらの使用において特定の利点を提供し得る)によって修飾され得る。
【0129】
他の実施態様において、より保存的でないアミノ酸置換を有する改変体はまた、例えば、電荷、構成および他の生物学的性質における変化を生じることによって所望される誘導体を生じ得る。そのような置換は、例えば、親水性の残基の疎水性の残基との置換(システインまたはプロリンの別の残基との置換)、小さい側鎖を有する残基の巨大な側鎖を有する残基との置換、または正味の正電荷を有する残基の正味の負電荷を有する残基との置換を含む。所定の置換の結果が確実性を持って予測し得ない場合、誘導体は、所望の特徴の存在または不在を決定する本明細書中に開示の方法に従って容易にアッセイされ得る。
【0130】
本発明の範囲内の改変体は、CD40の細胞外領域またはCD40リガンドの細胞外領域と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質およびペプチドを含む。より好ましくは、配列相同性は、少なくとも90%、または少なくとも95%である。
【0131】
骨格(scaffold)の置換物を置き換えることが可能であるように、骨格を修飾する官能基を類似の特徴により特徴付けられる基と置換することもまた可能である。これらの置換は、最初は保存的である、すなわち、置換基は、もとの基とおよそ同じ大きさ、形、疎水性および電荷を有する。非配列改変は、例えば、天然に存在するCD40またはCD40リガンドの一部のインビボまたはインビトロの化学的誘導体、ならびにアセチル化、メチル化、リン酸化、炭素化またはグリコシル化における変化を含む。
【0132】
さらなる実施態様において、CD40リガンドおよびCD40の細胞外領域を含むタンパク質は、その活性が保存される化学的改変によって改変させる。例えば、タンパク質は、アミド化、硫酸化、単一または複数のハロゲン化、アルキル化、カルボキシル化、またはリン酸化され得る。タンパク質はまた(例えば、飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和のアセチル基、ファルネシル部分、または脂肪酸で)単一または複数アシル化され得る。脂肪酸はまた、単一または複数フッ素化され得る。本発明はまた、タンパク質のメチオニンアナログ(例えば、メチオニンスルホンおよびメチオニンスルホキシドアナログ)を含む。本発明はまた、タンパク質の塩(例えば、アンモニウム塩(アルキルまたはアリールアンモニウム塩)、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸化水素塩、リン酸化2水素、チオ硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、安息香酸塩、スルホン酸塩、チオスルホン酸塩、メシレート、エチルスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩)を含む。
【0133】
可溶性の、モノマー性CD40-Lタンパク質は、CD40-Lの細胞外領域の全てまたは一部を含み得る。CD40-Lの細胞外領域は、CD40に結合するドメインを含む。従って、可溶性のCD40-Lは、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害し得る。本発明は、sCD40-Lが、CD40-Lの細胞外領域の全てもしくはフラグメントまたはCD40に結合するドメインを含む誘導体を構成し得ることを意図する。
【0134】
本発明の別の実施態様において、CD40の可溶性の細胞外領域またはその一部を含むタンパク質は、CD40の細胞外領域またはその一部に融合したFc領域をさらに含む。特定の実施態様において、Fc領域は、プロテインAまたはプロテインGに結合し得る。別の実施態様において、Fc領域はIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgA1、IgA2、IgM、IgDまたはIgEを含む。
【0135】
本発明の別の実施態様において、sCD40は、CD40/Fc融合タンパク質を含む。融合タンパク質は、所望の配列由来のフラグメントを酵素的切断および連結の従来技術を用いて調製され得る。融合タンパク質のために適切なFc領域は、プロテインAまたはプロテインGに結合し得るFc領域であるかまたは、Fc領域を含む融合タンパク質の精製または検出において使用され得る抗体によって認識され得るFc領域である。例えば、Fc領域はヒトIgG1またはマウスIgG1のFc領域を含み得る。本発明はまた、CD40/Fc融合タンパク質をコードする核酸分子を提供する。
【0136】
組換え手段により膜通過および細胞質ドメインをコードする配列が欠失される可溶性形態の膜分子を作成する方法は、周知である。一般的には、Hammondsら、米国特許第5,057,417号を参照のこと。さらに、sCD40およびCD40/Fcの融合タンパク質を調製する方法も周知である。例えば、PCT国際公開番号第WO 93/08207;Fanslowら、「Soluble Forms of CD40 Inhibit Biologic Responses of Human B Cells.」J. Immunol.,149巻、655-60頁(1992年7月)を参照のこと。
【0137】
本発明の実施態様において、因子は低分子である。本明細書中に使用されるように、低分子は、20Daと1×106Daの間、好ましくは50Da〜2kDaの分子量を有する化合物である。
【0138】
本発明の実施態様において、因子は、スクリーニング方法により選択される。
【0139】
特定の実施態様において、低分子または他の因子は、以下の工程を包含するスクリーニング法によって選択される:細胞サンプル(例えば、動物由来の生物学的液体(例えば、血液))を単離する工程;それに含まれるCD40保有細胞の活性化を許容する条件下でサンプルを培養する工程;CD40保有細胞を活性化するために有効な、ATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質を発現している細胞、またはATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質とサンプルとを接触させる工程;低分子がCD40保有細胞の活性化を阻害し得る場合、CD40保有細胞の活性化を阻害するのに有効な一定量の低分子(すなわち他の薬学的化合物または因子)とサンプルを接触させる工程;およびATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質を発現する細胞またはATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質を有する細胞が、低分子(すなわち他の薬学的化合物または因子)の存在下でCD40保有細胞を活性するかどうかを決定する工程。細胞サンプルは、培養における細胞株または動物から単離された細胞(例えば、固形組織から分散させた細胞、骨髄生検由来の細胞、または体液(例えば血液もしくはリンパ液)から単離された細胞)を含む種々の組織から単離され得る。
【0140】
別の特定の実施態様において、細胞上でのCD40リガンドとCD40との間の相互作用を阻害し得る因子(分子)は、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその一部の3次元構造に基づいて選択される。因子は、既知の因子のライブラリーから選択され、既知の因子から3次元構造に基づいて改変されるか、または3次元構造に基づいて新たに設計されそして合成され得る。特定の実施態様において、因子(分子)は、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその一部とリード阻害因子との複合体の3次元構造に基づく、リード阻害因子の構造最適化により、設計される。リード阻害因子は、同定されている分子であり、CD40リガンドまたはその一部に接触したときに、CD40リガンドの可溶性細胞外領域、CD40、またはその一部と結合しそして複合体化し、それにより複合体化したまたは結合したCD40リガンドまたはCD40リガンドの一部の、CD40保有細胞を活性化する能力を減少させる、分子である。別の実施態様において、リード阻害因子は、CD40リガンドの細胞外領域、CD40、またはCD40リガンドの一部およびCD40の両方との第3の複合体のいずれかと相互作用することにより作用し得、複合体化したCD40リガンド-CD40の、CD40保有細胞を活性化する能力を減少させる。本発明の方法において、CD40リガンドは、可溶性であり得るかまたは細胞(例えば、活性化T細胞)に結合しているかのいずれかであり得、そして全長の天然CD40リガンドまたはその一部のいずれかであり得る。CD40保有細胞を活性化する能力の減少は、異なる方法で測定され得る。一つの方法では、CD40リガンドが、阻害剤の存在下で、同様の条件下で、阻害剤なしで同様の量のCD40リガンドでの細胞の処置と比較して、CD40保有細胞の活性化を引き起こす程度がより低いことを示すことにより測定され得る。CD40保有細胞を活性化する能力の減少はまた、結合していないCD40リガンドと比較して、同様の条件下でCD40を保有する細胞と同程度の活性化を生じるためにはより高い濃度の阻害剤-CD40リガンド複合体が必要とされることにより示され得る。極端には、阻害剤に接触したCD40リガンドは、結合していないCD40リガンドまたはその一定の一部によりこれらの細胞を活性化し得る濃度および条件下では、CD40保有細胞を活性化し得ない。
【0141】
因子(低分子)は、残基Gly116-Leu261(sCD40L(116-261))を含むヒトCD40Lの細胞外ドメインの可溶性フラグメントの結晶構造を用いて、コンピュータースクリーニング方法により選択され得る。
【0142】
スクリーニング方法で使用されるべき結晶構造は、分子置換方法により、2Åの解像度で決定され得る。簡潔に述べると、アミノ酸残基Gly116からC末端残基Leu261を含むヒトCD40リガンドの細胞外ドメインの可溶性フラグメントは、まず可溶性形態に生成され、次いで精製されそして結晶化される。結晶は、Elliot GX-13発生機のX線光線で、回析能力について試験され得る。分子置換および洗練は、XPLORプログラムパッケージおよびQUANTA (Molecular Simulations, Inc.)ソフトウェアを用いて行われ得る。詳細には、ヒトsCD40L3次元モデルは、マウスCD40Lモデルを用いて、QUANTAタンパク質相同性モデリングソフトウェアを用いて構築され得る。このモデルは、次いで、XPLORを用いて、分子置換計算のためのプローブとして使用され得、そして洗練され得る。sCD40Lの結晶構造を決定するこの方法は、Karpusasら、「ヒトCD40リガンドの細胞外フラグメントの2Å結晶構造」、Structure (1995年10月) 3(10):1031-1039によってさらに詳細に記載されている。sCD40L(116-261)の原子座標は、図17A〜Yに提供される。因子を選択するためのスクリーニング方法は、以下に記載するように、コンピューター因子設計および反復的構造最適化を含む。
【0143】
因子は、コンピューター因子設計を用いて選択された低分子阻害剤であり得る。本方法を使用して、sCD40L結晶構造座標は、CD40に結合することが予測される低分子構造のリストを出力するコンピュータープログラム(例えば、DOCKのような)のための入力として使用される。そのようなコンピュータープログラムの使用は、周知である。例えば、Kuntz、「薬物の設計および発見のための構造に基づくストラテジー」、Science、257巻、1078頁(1992)を参照のこと。次いで、低分子構造のリストは、CD40結合について生化学的アッセイによりスクリーニングされ得る。周知の、競合型生化学アッセイが使用され得る。例えば、Bajorathら、「レセプター-リガンド相互作用に必須の、CD40の残基およびそのリガンドの同定」Biochemistry, 34, 1833頁(1995)を参照のこと。次いで、CD40Lに結合することが見出されている構造は、本発明のための因子として使用され得る。因子はまた、構造最適化の相互作用サイクルによって決定された、改変された低分子であり得る。このアプローチを用いて、上記のコンピューターアプローチまたは他のアプローチを用いて見出されたCD40Lの低分子阻害剤は、sCD40Lおよび分子置換によって解明された複合体の結晶構造と同時結晶化され得る。この情報は、この分子がCD40Lとどのように相互作用しているかを明らかにすることにより、分子置換を、低分子阻害剤の構造を最適化するために使用し得ることを示した。低分子は、CD40Lに対する特異性および親和性を含む、その生理化学的特性を向上するために改変され得る。
【0144】
本発明の実施態様において、因子は、細胞表面上のCD40に特異的に結合する。特定の実施態様において、因子はタンパク質(例えば、抗体またはCD40リガンドの細胞外領域)である。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、キメラ化またはヒト化されていることが好ましい。モノクローナル抗体はまた、霊長類化(primatized)され得る。
【0145】
インビボ使用
本発明は、被験体において、細胞表面にCD40を保有する細胞のCD40リガンドにより活性化を阻害する方法を提供する。本方法は、CD40リガンドと細胞の間の相互作用を阻害し得る因子を、被験体中での活性化を阻害するに有効な量で、被験体に投与する工程を包含する。1つの実施態様において、細胞表面にCD40を保有する細胞は、B細胞以外の細胞である。別の実施態様において、これらは、ミエローマ細胞のような分化したプラスマ細胞を含む、プラスマ細胞である。
【0146】
本発明の特定の実施態様において、B細胞ではないCD40保有細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リード-スターンバーグ細胞、または樹状細胞である。本発明のより特定の実施態様において、内皮細胞は、ケラチン生成細胞である。別の実施態様において、マクロファージは、泡沫細胞(脂質積載(lipid-laden)マクロファージ)である。泡沫細胞は、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症)において役割を担う。
【0147】
本発明の1つの実施態様において、因子はタンパク質である。より特定の実施態様において、タンパク質は、抗体またはその一部(例えば、Fab、F(ab’)2、相補性決定部(CDR)軽鎖および/または重鎖、抗体可変領域軽鎖および/または重鎖、またはCD40リガンドもしくはCD40リガンド細胞表面レセプター、あるいはCD40に特異的に結合し得るその一部)を含む。抗CD40抗体の1つの例は、モノクローナルマウス抗ヒトCD40、Genzyme Customer Serviceから入手可能(製品80-3702-01, Cambridge, MA)である。抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。本発明の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、または霊長類化抗体である。別の実施態様において、抗体の一部は、単鎖抗体を含む。単鎖抗体は、一つのタンパク質鎖においてタンパク質スペーサーによって結合された可変領域からなる。
【0148】
上記の方法の1つの実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8(ATCCアクセス番号HB 10916)が特異的に結合する抗原に特異的に結合する。特定の実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8(ATCCアクセス番号HB 10916)である。
【0149】
本発明の化合物は、医療的に受容可能な任意の様式で投与され得る。これは、腸管外経路(例えば、静脈内、血管内、動脈内、皮下、筋肉内、腫瘍内、腹腔内、心(脳)(intraepidual)室内、硬膜内など)による注射、ならびに経口、経鼻、経眼、直腸、局所、または吸入を含み得る。例えば、手術中に直接適用される腐食可能な移植物の蓄積注射のような手段による徐放投与もまた、特異的には、本発明に含まれる。
【0150】
化合物は、医療的に受容可能な体重当たり任意の用量および任意の投薬頻度で投与される。例えば、本発明の化合物について(特に、本発明の抗体または抗体部分について)受容可能な用量は、0.01mg/kgと200mg/kg被験体体重の間の範囲を含む。用量範囲は、約0.1mg/kgと50mg/kgの間である。なおより特定の実施態様において、用量は、約1mg/kgと30mg/kgの間である。投薬は、毎日から一月おきの範囲の間隔で繰り返される。1つの用量のレジメは、本発明の化合物を処置の最初の3日間は毎日投与し、その後に、化合物は3週間ごとに投与され、各投与は静脈内で5または10mg/kg体重である。
【0151】
別のレジメは、本発明の化合物を静脈内に5mg/kg体重で、処置の最初の3日間毎日投与し、その後化合物を、皮下または筋肉内に被験体当たり10mgで毎週投与することである。別のレジメは、一用量の本発明の化合物を非経口で20mg/kg体重で投与し、続いて化合物を、皮下または筋肉内に被験体当たり10mgで毎週投与することである。
【0152】
本発明の化合物は、特定の適応症(例えば、被験体が短時間曝された抗原(例えば、処置の一日に投与された外来性抗原)に対する免疫応答を阻害する)のために単回投薬として投与され得る。そのような抗原の例は、遺伝子治療ベクターまたは抗原性因子もしくは血液製剤のような治療剤と本発明の化合物との同時投与を含む。抗原が慢性的に存在する適応症(例えば、移植組織または長期的に投与される抗原性因子に対する免疫反応の制御において)において、本発明の化合物は、医療的に適応される時間の間、数日または数週間から、被験体の一生までの範囲の間隔で投与される。
【0153】
本発明は、被験体における炎症反応を阻害する方法を提供する。本方法は、被験体におけるCD40リガンドによる細胞表面にCD40を保有するB細胞以外の細胞(例えば線維芽細胞、内皮細胞、ケラチン生成細胞)の活性化を阻害する上記の方法を包含する。炎症反応は、浮腫および食作用性白血球の遊走を伴う毛細血管膨張の結果としての発赤、腫張、発熱および疼痛によって特徴付けられる。炎症は、Gallin(26章、Fundamental Immunology, 第2版、Raven Press, New York,1989,721-733頁)によってさらに定義され、これは本明細書中に参照として援用される。
【0154】
本方法は、任意の線維芽細胞の活性化の阻害において効果的である。特定の実施態様において、線維芽細胞は、滑膜線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、肺線維芽細胞、または肝線維芽細胞である。特定の実施態様において、線維芽細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する症状は、関節炎、強皮症および線維症(例えば、肝臓および肺の線維性疾患)からなる群から選択される。本発明の実施態様において、肺の線維性疾患は、慢性関節リウマチまたは強皮症から生じる。
【0155】
本発明の1つの実施態様において、関節炎は、慢性関節リウマチ、非リウマチ炎症関節炎、ライム病に伴う関節炎、または骨関節炎である。別の特定の実施態様において、線維症は、肺線維症、過敏性肺線維症、または塵肺症である。別の特定の実施態様において、肝臓の線維性疾患は、C型肝炎、B型肝炎、非B非C肝炎、肝硬変、あるいは中毒性発作(toxic insult)、薬物、ウイルス感染、または自己免疫疾患に続発する肝硬変である。アルコール消費は、肝硬変を生じ得る中毒性発作の一つの例である。肝硬変を生じ得る一つの薬の例は、ブレオマイシンである。他は当該分野に公知である。
【0156】
肝臓の線維性疾患を生じ得るウイルス感染の例としては、当該分野に公知であるものの中でとりわけ、C型肝炎、B型肝炎、非B非C肝炎が挙げられる。肝臓の線維性疾患を生じ得る自己免疫疾患の例としては、当該分野に公知であるものの中でとりわけ、原発性胆汁性胆硬変、およびルポイド肝炎(自己免疫性肝炎)が挙げられる。特定の実施態様において、肺線維症は、成人呼吸促進症候群(ARDS)に続発する肺線維症、因子誘導性肺線維症、特発性肺線維症、または過敏性肺炎である;塵肺症は、石綿症、珪肺症、または農夫肺、ならびに他の本発明が関係する当該分野に公知の塵肺症である。
【0157】
本発明は、被験体における内皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供し、本方法は、被験体においてCD40リガンドによる内皮細胞の活性化を阻害する上記の方法を包含する。
【0158】
本発明の実施態様において、被験体における内皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状は、アテローム性動脈硬化症、再灌流障害、同種移植片拒絶反応、臓器拒絶反応、および慢性炎症性自己免疫疾患からなる群から選択される。
【0159】
特定の実施態様において、アテローム性動脈硬化症は、臓器移植に伴い加速したアテローム性動脈硬化症である。臓器移植拒絶反応に伴い加速したアテローム性動脈硬化症におけるインサイチュでのCD40およびCD40Lの発現が、研究されている。アテローム性動脈硬化症の加速のために再移植が必要な4人の心移植患者由来の冠動脈の凍結切片が、抗CD40 mAb G28.5、抗CD40L mAb 5C8、またはコントロールmAbを用いて日常的な免疫組織化学により分析された。日常的なH&E染色により、疾患に伴う典型的な内膜過形成、平滑筋細胞増殖、および炎症細胞浸潤が示された。CD40は、病変において広範に発現した:内皮細胞、泡沫細胞および浸潤性炎症細胞の全てがCD40を発現する。CD40L免疫活性は、浸潤している単核細胞(おそらくはCD4+T細胞である)の、不連続な、ぼんやりした染色として観察された。共に、これらの研究は、CD40L+単核細胞およびCD40+内皮細胞、泡沫細胞、および炎症性細胞の、移植に伴い加速したアテローム性動脈硬化症の病変における、インサイチュの存在を実証する。
【0160】
別の特定の実施態様において、慢性炎症自己免疫疾患は、脈管炎、慢性関節リウマチ、強皮症、または多発性硬化症である。
【0161】
本発明は、被験体におけるケラチン生成細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供する。本方法は、被験体におけるCD40リガンドによるケラチン生成細胞の活性化を阻害する、上記の方法を包含する。
【0162】
特定の実施態様において、ケラチン生成細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状は、乾癬である。
【0163】
本発明は、被験体におけるマクロファージのCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供する。本方法は、被験体におけるCD40リガンドによるマクロファージの活性化を阻害する、上記の方法を包含する。特定の実施態様において、マクロファージのCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状は、アテローム性動脈硬化症または慢性関節リウマチである。
【0164】
上記の方法により処置され得る被験体は、動物である。好ましくは、動物は哺乳動物である。処置され得る哺乳動物の例としては、ヒト;齧歯類(例えば、ネズミ科動物のラットおよびマウス)、ならびにウサギ、およびモルモット;ウシ;ウマ;ヒツジ;ヤギ;ブタ;イヌ、およびネコが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
本発明はまた、被験体におけるプラスマ細胞(悪性プラスマ細胞を含む)のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供する。本方法は、被験体に、CD40リガンドと細胞との相互作用を阻害し得る因子を、被験体における細胞の活性化を阻害する有効量で投与する工程を包含する。プラスマ細胞は、分化したT細胞である。特定の実施態様において、症状は多発性骨髄腫である。
【0166】
本発明は、細胞上にCD40保有細胞の増殖を促進する方法を提供する。本方法は、細胞の増殖を促進するに有効な量のCD40リガンドと細胞とを接触させる工程を包含する。1つの実施態様において、細胞は、B細胞以外の、細胞表面にCD40を有する細胞である。特定の実施態様において、細胞表面にCD40を有する非B細胞は、内皮細胞、線維芽細胞、上皮細胞、T細胞、または好塩基性球である。別の実施態様において、細胞は、骨髄腫細胞のような分化したプラスマ細胞を含む、プラスマ細胞である。
【0167】
本発明はさらに、本明細書中に記載された、CD40リガンドと細胞表面にCD40を保有する細胞との相互作用を阻害し得る治療有効量の因子、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を提供する。
【0168】
本発明は、以下の「実験の詳細」からよりよく理解される。しかし、当業者は、以下の請求の範囲により十分に記載されるように、議論された特定の方法および結果は本発明の単なる例示であることを容易に認識する。
【実施例】
【0169】
実験の説明
第1の一連の実験
材料および方法
研究患者
研究したRA患者の全ては、RAについてのAmerican College of Rheumatology criteriaに適合した(19)。OAの診断法は、臨床的基準および放射線写真法基準を利用して、患者の治療医によって確立された。原因不明の慢性炎症性関節炎(IA)患者の一人もまた、研究された。
【0170】
モノクローナル抗体およびT細胞株
IgG2aマウス抗CD40L mAb(5C8)を、予め作製した(3)。ハイブリドーマ抗MHCクラスI(W6/32)、抗MHCクラスII(L243)、抗CD14(3C10)、抗CD40(G28.5)、および抗CD45(GAP 8.3)を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(Rockville, MD)から購入した。ハイブリドーマ腹水を、プロテインGカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)で精製した。抗CD13および抗CD54 mAbを、Biosource International(Camarillo, CA)から購入した。抗CD106 mAbは、Biogen(Cambridge, MA)の好意によって提供され、そして前記のようにビオチン化した(20)。FACS分析に利用されるイソタイプコントロールmAbは、Becton-Dickinson(San Jose, CA)またはCaltag(South San Francisco, CA)から購入した。P1.17は、Biogenから入手したコントロールIgG2aマウス mAbであり、機能研究用に利用する。
【0171】
D1.1は、CD40Lを構成的に発現する、ジャーカットT細胞サブクローンである(3、21)。B2.7は、CD40L−ジャーカットサブクローンである(3、21)。全長のCD40Lタンパク質を発現する、CD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体を、前記報告のように作製した(20)。
【0172】
線維芽細胞の単離
滑膜を、関節置換手術を受けた6人のRA患者または8人のOA患者から得た。1人のIA患者からのSMを、関節鏡で採取した。SMを小片に刻み、100 mm組織物培養ペトリ皿(Corning, Corning, NY)、または25 cm2フラスコ(Costar, Cambridge, MA)中で、10% FCS(Summit Biotechnology, Ft. Collins, CO)および1%ペニシリンーストレプトマイシン(Sigma, St. Louis, MO)(10%FM)を補充した、イソコブ(Isocove)の改変ダルベッコ培地(Gibco, Grand Island, NY)で培養した。滑膜細胞(synoviocyte)を数日間接着させ、その時点で組織デブリおよび非接着細胞を除去した。滑膜細胞をコンフルーエンスまで増殖させ、1%トリプシンーEDTA(Sigma)で処理して継代した。滑膜細胞を、インビトロで、1−6継代の間研究した。2回目の継代後に凍結された正常の皮膚線維芽細胞株(CCD 965SK)を、ATCCから入手した。皮膚線維芽細胞株を、2〜4継代間研究した。
【0173】
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの効果の研究
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの影響を研究するために、細胞を6ウエルプレート(Nunc, Denmark)中で培養し、そしてほぼコンフルーエンスまで増殖させた。培地を吸引し、次いで線維芽細胞を、指示濃度のrINF-γ(Biogen)、rIL-1α(R&D, Minneapolis. MN)、rTNF-α(Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)、rIL-4(Biosource International)、rGM-CSF(Immunex, Seattle, WA)、またはサイトカインの組み合わせと共に、3mlの10% FM中で培養した。指示時間で、その培地を吸引し、細胞を生理食塩水で洗浄し、そして1mlの1%トリプシンーEDTAをウエルに添加した。7分後に、冷却10% FMをウエルに添加し、そして細胞をFACS分析用に回収した。
【0174】
線維芽細胞CD40連結の機能的重要性の研究
線維芽細胞表面分子の発現に対するCD40連結の効果を測定するために、線維芽細胞を上記のように6ウエルプレート中で培養した。線維芽細胞がほぼコンフルーエンスのときに、1× 106CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD40Lジャーカット B2.7細胞、またはCD40L+ジャーカットB2.7のトランスフェクト体を、培養物に添加した。指示されている場合、D1.1細胞を、線維芽細胞への添加の前に、抗CD40L mAb 5C8(10μg/ml)またはイソタイプコントロール mAb P1.17(10μg/ml)で前処理した。24時間後に、細胞をトリプシン処理によって回収し、そして二色FACS分析を実施した。
【0175】
線維芽細胞増殖に対するCD40連結の効果を測定する研究のために、約5× 103細胞を、平底96ウエルプレート(Nunc)の10% FM中に添加した。18時間後に、培地を1% FMに替え、そしてrINF-γ 1000 U/mlを指示の細胞に添加した。さらに18時間後に、1% FM中の、1×105のマイトマイシン-C(Sigma)処理したCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体またはCD40LジャーカットB2.7細胞を、線維芽細胞に添加した。抗CD40L mAb 5C8(5μg/ml)またはコントロールmAb P1.17(5μg/ml)もまた、指示されているようにいくつかのウェルに添加した。10% FMを、SM線維芽細胞増殖誘導のために、コントロールとしていくつかの細胞に添加した。培養をさらに48時間維持し、そして実験の最後の18時間、1μCi 3Hチミジンを適用した。トリプシン処理後に、3Hチミジン取り込みを、ガラスファイバーフィルター紙(Cambridge Technologies, Watertown, MA)に回収し、そしてシンチレーション計数(BetaCounter, Pharmacia)して測定した。
【0176】
IL-6産生に対するCD40連結の効果を測定するために、IL-6応答性マウスB細胞株B9を使用するバイオアッセイを実施した(22)。10% FM中の同数の線維芽細胞を、上記のように、96ウエルプレートに播種した。一晩接着させた後に、1×105のマイトマイシンーC処理したCD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD40LジャーカットB2.7細胞、またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体を、線維芽細胞に添加した。指示されている場合、D1.1細胞を、抗CD40L mAb 5C8(10μg/ml)またはコントロール mAb P1.17(10μg/ml)で前処理した。ジャーカット細胞からなるコントロールウエルを単独で培養した。48時間後に、線維芽細胞、またはコントロール上清、またはrIL-6の段階希釈液を、96ウエルプレート中の7.5×103 B9細胞に添加した。B9細胞を、96時間培養で維持し、最後の18時間、1μCi 3Hチミジンを適用し、上記のように回収した。
【0177】
サイトフルオログラフィー分析
サイトフルオログラフィー分析を利用する方法は、以前に記載されている(21)。全実験で、細胞をまず、凝集ヒト免疫グロブリン(Enzyme International, Fallbrook, CA)で処理して、非特異IgG結合をブロックした。一色FACS分析については、細胞を、飽和濃度の一次抗体で、4℃にて30〜60分間染色した。洗浄後に、FITC結合F(ab)2ヤギ抗マウスIgG(Cappel, Cochranville, PA)を、4℃にて30〜60分間添加した。細胞を洗浄して、そしてFACS分析前に、1%ホルムアルデヒドで固定した。二色FACS分析については、細胞を、指示のFITCまたはPE結合mAbで、4℃にて30〜60分間、同時に染色した。蛍光強度を、Consort-30ソフトウェア(Becton-Dickinson, Mountainview, CA)によって、FACScanサイトフルオログラフで測定した。平均蛍光強度(MFI)は、Becton-Dickinson C30ソフトウェアによって計算されたように、logスケールに標準化された値のことである。
【0178】
結果
培養SMまたは皮膚線維芽細胞でのCD40の発現
SM線維芽細胞がCD40を発現するかどうかを決定するために、6人のRA、1人のIA、または8人のOA患者由来のSMをまず細かく刻み、培養に置いて、その後に非接着細胞を排棄した。予測されるように、接着細胞の初代培養物は、形態学および表現型に関して多型的(pleiomorphic)であった。少数の細胞は、マクロファージの放射状形態または円形の外観特性であると見なされた。しかし、初代培養物中の細胞の大多数は、線維芽細胞様形態および表現型(すなわち、CD45−CD14−クラスII−を有していた(図1)。実質的に全細胞が、インビトロでの2〜3継代後に、線維芽細胞様形態および表現型を有していた。
【0179】
5つのRA線維芽細胞株を、インビトロでの1回目または2回目継代後のCD40発現について研究し、そしてそれらは、FACS分析ではCD40+であった(図1)。IA線維芽細胞株は、同様にCD40を発現した(表1)。1つのRA線維芽細胞株は、分析前に2ヶ月培養し、それはCD40−であった(データは示さず)。8つのOA線維芽細胞株を、インビトロで1回目または2回目継代後にCD40発現について研究し、そしてそれらは全てCD40+であった(図1)。線維芽細胞CD40発現が、SM線維芽細胞に限られるかどうかを決定するために、正常皮膚線維芽細胞を、2〜4継代後に、CD40発現についてインビトロで分析した。変化し得る程度で、研究した3つの皮膚線維芽細胞株全てもまた、細胞表面CD40分子を発現する(図2)。しかし、滑膜または皮膚線維芽細胞でのCD40発現は、培養時間が増すにつれて減少し、いくつかの線維芽細胞株は、3〜4継代後にCD40−になった(データは示さず)。これらの研究は、種々の関節炎患者から単離された、皮膚線維芽細胞またはSM線維芽細胞が、インビトロでCD40を発現し得ることを、実証する。
【0180】
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの効果
インターフェロンーγ(INF-γ)は、B細胞(23)、マクロファージ(12)、および胸腺上皮細胞(15)上で、CD40発現をアップレギュレートすることが知られている。さらに、IL-1αまたはTNF-αは、胸腺上皮細胞でのCD40発現をアップレギュレートする(15)。従って、次に、rINF-γ、rIL-1α、またはrTNF-αが、培養SM線維芽細胞でのCD40の発現を調節するかどうかが問われた。細胞を、指示のサイトカインとともに培養し、そしてCD40発現をFACS分析によって測定した。これらのサイトカインの、SM線維芽細胞表面分子の発現に対する効果のコントロールとして、CD54(ICAM-1)発現もまた測定した(24)。rINF-γは、SM線維芽細胞CD40発現をアップレギュレートする(表1および図3)。対照的に、rIL-1αおよびrTNF-αは、SM線維芽細胞CD40発現に対する効果は最少限である(表1および図3)。しかし、rIL-1αまたはrTNF-αのいずれかは、SM線維芽細胞CD40発現に対してrINF-γの効果を増大する(図3)。rINF-γもまた、培養時の連続継代中にCD40発現を消失したSM線維芽細胞での、CD40発現を誘導する(データは示さず)。さらに、rINF-γは、皮膚線維芽細胞上でのCD40発現をアップレギュレートする(図2)。rIL-4またはrGM-CSFは、B細胞(25)または単球(12)それぞれでのCD40発現をアップレギュレートする。しかし、rIL-4またはrGM-CSFは、SM線維芽細胞CD40発現に対して効果を有さない(データは示さず)。まとめとして、これらの研究は、rINF-γが、線維芽細胞CD40発現を誘導しそしてアップレギュレートし、そしてrIL-1αまたはrTNF-αの添加がこの効果を増大することを実証する。
【0181】
SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)およびCD106(VCAM-1)発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果
CD40誘導は、B細胞上の種々の細胞表面分子(接着分子を含む)をアップレギュレートすることが知られているので(26)、CD40連結が、SM線維芽細胞でのCD54またはCD106発現をアップレギュレートするかどうかを、決定した。SM線維芽細胞を、抗CD40L mAb 5C8またはコントロールmAbの存在下または非存在下で、CD40L+ジャーカットD1.1細胞とともに培養した。SM線維芽細胞もまた、CD40L−ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体とともに培養した。指示の培養時間後に、SM線維芽細胞CD54またはCD106発現を二色FACS分析によって決定した。CD13発現を、ジャーカットT細胞とSM線維芽細胞とを識別するために利用した(27)。CD40L+D1.1細胞は、mAb 5C8によって特異的に阻害されるがコントロールmAbによっては阻害されない様式で、SM線維芽細胞CD54発現(図4および5)の2〜4倍増大を誘導するが、コントロールCD40L−B2.7細胞は誘導しなかった(図4)。さらに、CD40L+D1.1およびCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細胞CD106発現を同様にアップレギュレートしたが、コントロールCD40L− B2.7細胞はしなかった(図5)。まとめて、これらの結果は、CD40L-CD40相互作用が、SM線維芽細胞CD54およびCD106発現をアップレギュレートすることを実証する。
【0182】
SM線維芽細胞IL-6分泌に対するCD40連結の効果
CD40の連結は、B細胞(28)および単球(12)のIL-6産生を誘導する。興味深いことに、SM線維芽細胞は、インビボ(29,30)およびインビトロ(31)でIL-6を産生する。次の一連の実験では、CD40L-CD40相互作用が、SM線維芽細胞によるIL-6分泌をもたらすかどうかを確かめた。従って、SM線維芽細胞を、抗CD40L mAb 5C8またはコントロールmAbの存在下または非存在下で、マイトマイシン-C処理CD40L+ジャーカットD1.1細胞とともに培養した。さらに、SM線維芽細胞を、CD40L−ジャ−カットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体とともに培養した。単独で培養されたジャーカット細胞由来の線維芽細胞上清またはコントロール上清を48時間後に回収し、希釈液をIL-6応答性マウスB細胞株B9に添加した。D1.1細胞およびCD40L+ B2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細胞IL-6分泌を増大するが、CD40L B2.7細胞は増大しない(図6)。さらに、抗CD40L mAb 5C8は、D1.1細胞のこの効果を阻害するが、コントロールmAbは阻害しない。単独で培養されたジャーカット細胞から回収されたコントロール上清は、B9増殖を誘導しなかった(図6の説明を参照のこと)。これらの研究は、SM線維芽細胞上でのCD40連結が、IL-6分泌を増大することを示す。
【0183】
SM線維芽細胞増殖に対するCD40L-CD40相互作用の効果
CD40連結はB細胞増殖を誘導するので(5,21)、次に、CD40L+細胞が、SM線維芽細胞の増殖を誘導するかどうかが問われた。従って、SM線維芽細胞を、以前に記載されたように(32)増殖を阻止するために1% FM中で一晩培養し、他に示されていなければ、1% FM中でさらに細胞の添加を実施した。次いで、マイトマイシン-C処理CD40L+B2.7トランスフェクト体またはCD40L−B2.7細胞を、そのSM線維芽細胞に添加した。指示されている場合、共培養実験はまた、抗CD40L mAb 5C8またはイソタイプコントロールmAb P1.17を包含していた。いくつかの実験で、CD40L+B2.7トランスフェクト体を添加する前に、SM線維芽細胞を、rINF-γで一晩前処理した。線維芽細胞は、10% FCS((32))を含有する培地の存在下で、増殖することが知られているので、各実験には、10% FM中で培養されたコントロール線維芽細胞を含めた。3Hチミジン取り込みは、48時間後に測定した。CD40L− B2.7親細胞とは対照的に、CD40L+ B2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細胞増殖を誘導する(図7)。さらに、抗CD40L mAb 5C8は、CD40L+ B2.7トランスフェクト体の線維芽細胞増殖を誘導する能力を特異的に阻害する(図7)。さらに、SM線維芽細胞のrINF-γでの前処理により、CD40L+ B2.7トランスフェクト体のSM線維芽増殖を誘導する能力が増大される(図8)。まとめて、これらのデーターは、CD40L媒介シグナルが、インビトロでSM線維芽細胞増殖を誘導し、この効果はrINFーγによって増強されることを実証する。
【0184】
考察
この研究により、以下の(1)から(5)を特に実証することによって、CD40の発現および機能の現在の知識を拡大される:(1)培養SMまたは皮膚線維芽細胞は、FACS分析によって決定されるように、細胞表面CD40分子を発現する;(2)rINF-γは、線維芽細胞CD40発現をアップレギュレートし、そしてこの効果はrIL-1αまたはrTNF-αによって増大される;(3)CD40L-CD40相互作用は、SM線維芽細胞CD54およびCD106発現をアップレギュレートする;(4)CD40の連結は、SM線維芽細胞のILー6産生を増大し、そして、(5)SM線維芽細胞増殖を誘導する。まとめて、これらのデータは、CD40L-CD40相互作用がインビトロで線維芽細胞を機能的に活性化することを実証する。
【0185】
いくつかの一連の証拠から、T細胞がインビボで線維芽細胞機能を調節することが示唆される。このことは、線維芽細胞が、細胞外マトリックスタンパク質を産生することにより組織損傷後に修復の役割を果たすので重要である。さらに、リンパ球、マクロファージ、および線維芽細胞は、ある種の感染症に特徴的な肉芽腫性炎症反応で優勢な細胞型である。さらに、T細胞は、強皮症または慢性移植片対宿主病のような疾患で見られる線維芽細胞活性化およびコラーゲン沈着を、直接または間接に媒介する(33-35)。
【0186】
動物モデルは、T細胞が、組織損傷に対する宿主応答中に、線維芽細胞の機能を調節することを実証する。これに関しては、創傷治癒の研究により、創傷強度およびヒドロキシプロリン含有量が、シクロスポリンA(36)またはT細胞涸渇抗Thy 1.2 mAb(37)でマウスを処置することによって有意に減少することが示される。T細胞もまた、線維症の種々の動物モデルでの結果を調節する。例えば、ブレオマイシン誘導性肺線維症は、胸腺機能が正常な(euthymic)コントロールマウスに比較して、無胸腺マウスで有意に緩和される(38)。さらに、関節または肝臓の炎症反応およびコラーゲン沈着もまた、連鎖球菌細胞壁抽出物の腹腔内注入後に、無胸腺ラットで有意に減少される(39,40)。
【0187】
ある研究により、ヒト線維芽細胞がインビボでCD40を発現し得ることが示唆される。Potocnikおよび共同研究者は、CD40を含む種々の細胞表面分子の、RA PBL、SF、およびSMでの発現および分布を研究した(18)。免疫組織化学によって、彼らは、線維芽細胞であることを示す紡錘形の形態を有する細胞を含む、RA SMの種々の細胞でのCD40発現を示した。SM線維芽細胞は、リウマチ性パンヌスに優勢な細胞成分である。コラゲナーゼ、PGE2、IL-6、およびその他のメディエーターを産生することによって、滑膜線維芽細胞は、RAに特徴的である関節破壊に非常に寄与していると考えられる(30,41-43)。一方、電子顕微鏡的研究により、リウマチ滑膜中のT-線維芽細胞直接接触が実証され(44)、ほとんどの研究により、IL-1またはTNF-αのようなマクロファージ由来のサイトカインが、線維芽細胞を活性化することが示唆された(30)。これらの研究は、CD40L-CD40相互作用に媒介される直接接触もまた、SM線維芽細胞に対する活性化および増殖シグナルを提供することを示唆する。
【0188】
CD40L媒介シグナルがSM線維芽細胞増殖を増大する機構は、現在不明である。恐らく、CD40L-CD40相互作用が、IL-1、GM-CSF、およびFGFのようなサイトカインの分泌を誘導し、これによりオートクリンまたはパラクリン様式でSM線維芽細胞増殖が刺激されるのかもしれない(31)。CD40連結もまた、細胞増殖に関連するガン原遺伝子であるc-mycを発現するようにB細胞を誘導する(45)。免疫組織学的研究は、RA SM線維芽細胞様滑膜細胞が、インサイチュでc-mycを発現することを実証する(46)。従って、CD40連結もまた、SM線維芽細胞でのc-myc発現を誘導するかどうかを特異的に決定することは、興味深いことである。
【0189】
B細胞でのCD40連結と同様に(26)、CD40L-CD40相互作用は、線維芽細胞CD54発現の発現を増大する。さらに、CD40L-CD40相互作用は、線維芽細胞CD106発現をアップレギュレートする。CD54およびCD106は、白血球上で発現されるCD11a/CD18(LFA-1)またはCD49d(VLA-4)とそれぞれ相互作用することによって、免疫細胞を炎症部位に補充する、重要な役割を果たす(24)。これらのリガンド-対リガンド相互作用は、T細胞に対する増殖シグナルを増強する証拠もまた存在する(47)。CD54およびCD106はインビボでRA線維芽細胞様滑膜細胞で発現されることが知られており((48-50))、そして種々のサイトカインがインビトロで滑膜線維芽細胞CD54およびCD106発現をアップレギュレートする(49,51,52)。さらに、インビトロでのT細胞のSM線維芽細胞への接着は、CD11a/CD18-CD54相互作用(53)およびCD49d-CD106相互作用(49)によって一部媒介される。従って、CD40L+ T細胞によるSM線維芽細胞でのCD54およびCD106のアップレギュレーションは、SMに対するサイトカインが媒介する炎症性細胞補充/維持を増大する機構を示し得る。さらに、CD40L媒介SM線維芽細胞CD54およびCD106アップレギュレーションは、それらの対レセプター相互作用を介して、T細胞への直接的なシグナリングの役割を果たし得る。
【0190】
ハムスター抗マウスCD40L mAb(MR1)のインビボ投与により、RAマウスモデルでコラーゲン誘導性関節炎の誘導が阻止されることは興味深い(54)。MR1が抗コラーゲン自己抗体の産生をブロックするという事実は、T細胞依存性体液性免疫応答でのCD40L-CD40相互作用の既知の役割に関連するようである(9-11)。さらに、MR1は、コラーゲン誘導性関節炎に特徴的である、滑膜内膜細胞厚化およびSM炎症細胞浸潤の進行を阻害する(54)。これらの研究は、T細胞ー線維芽細胞CD40L-CD40相互作用が、コラーゲン誘導性関節炎で認められる炎症反応を媒介する役割を果たし、またT細胞依存線維芽細胞活性化に一部媒介される、RAまたは強皮症のようなヒト線維性疾患での免疫病理学的役割も果たすことを示唆する。さらに、この研究は、CD4+T細胞誘導性線維芽細胞活性化に媒介されるヒト疾患に対する治療法としての、CD40L-CD40相互作用をブロックのための、新たな理論的根拠を提供する。
【0191】
【表1】
表1の説明:SM線維芽細胞CD40発現のサイトカイン調節。
培地、rINF-γ(1000 U/ml)、rIL-1α(10 pg/ml)、またはrTNFーα(200 U/ml)と共培養後に、指示されているSM線維芽細胞株においてFACSV分析によって測定された、CD40発現(平均蛍光強度)が示されている。コントロールmAbのバックグラウンド染色(MFI)が、各値について差し引かれている。
【0192】
第2の一連の実験
材料および方法
モノクローナル抗体、レクチンおよびT細胞株
IgG2aマウス抗CDD40L mAb(5C8)は、以前に誘起された(20)。ハイブリドーマW6/32(抗MHCクラスI)、L243(抗MHCクラスII)、3C10(抗CD14)、THB.5(抗CD21)、G28.5(抗CD40)、およびGAP 8.3(抗CD45)を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(Rockville, MD)から入手した。ハイブリドーマ腹水を、プロテインGカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)で精製した。FITC結合体抗CD13、FITC結合体抗CD19、およびPE結合体抗CD54 mAbを、Biosource International(Camarillo, CA)から入手し、そして、抗CD34 mAbをBiogenex(San Ramon, CA)から得た。さらなる抗CD54 mAb、ならびに、抗CD62Eおよび抗CD106 mABは、Biogen(Cambridge, MA)の好意によって得た。Biogenによって提供されたL243およびmAbを、以前に記載のようにビオチン化した(37)。PE結合体抗CD80、およびビオチン化抗CD86 mAbは、Becton Dickinson(San Jose, CA)およびPharMingen(San Diego, CA)から、それぞれ入手した。FACS分析に使用されるイソタイプコントロールmAbは、Becton DickinsonまたはCaltag Laboratories(South San Francisco, CA)から入手した。P1.17は、機能研究に使用される、関連性のないコントロールIgG2aマウスmAb(Biogen)である。FITC結合体UEA-1は、Sigma(St. Louis, MO)から得た。
【0193】
D1.1は、構成的にCD40Lを発現する、ジャーカットT細胞サブクローンである(20,42)。B2.7は、CD40L-ジャーカットT細胞サブクローンである(20,42)。安定にトランスフェクトされたCD40L+ 293腎細胞またはCD8+ 293腎細胞を、以前に報告されたように産生した(37)。Ramos 2G6 B細胞は、CD40L媒介シグナルに応答し(38,39)、それはATCCから入手した。
【0194】
内皮細胞培養物
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、以前に報告されたように単離した(40,41)。HUVECを、25% FCS(Summit Biotechnology, St. Collins, CO)、5%ヒト血清(Gemini, Calabasas, CA)、ヘパリン90μg/ml(Sigma)、内皮細胞増殖因子15μg/ml(Collaborative Research, Bedford, MA)、および1%ペニシリンーストレプトマイシン(Sigma)を補充した、M199培地(Gibco, Grand Island, NY)(M199完全培地)中で培養した。HUVECを、1%トリプシンーEDTA(Sigma)で3分間処置して継代した。全HUVEC実験は、1〜3回の継代後に、M199完全培地中で実施した。
【0195】
HUVEC CD40発現に対するサイトカインの効果についての研究
CD40発現に対するサイトカインの影響を研究するために、HUVECを6ウェルプレート(Nunc, Denmark)中で培養し、そしてコンフルーエンス近くまで増殖した。培地を吸引し、次に、HUVECを、rIFN-γ 1000 U/ml(Biogen)、rIL-1α 10 pg/ml(R&D, Minneapolis, MN)、またはrTNF-α 200 U/ml(Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)とともに、3ml M199完全培地中でインキュベートした。指示されている時間に、培地を吸引し、細胞を生理食塩水で1回洗浄し、そして、1 mlの1%トリプシン−EDTAをウェルに加えた。10% FCS(Summit)を含有する、冷却したイソコブ改変ダルベッコ培地(Isocove’s Modified Dulbecco’s Media)(Gibco)を、3分後にウェルに加え、その細胞を、FACS分析用に回収した。
【0196】
HUVEC CD40連結の機能的結果についての研究
HUVEC細胞表面分子の発現に対するCD40連結の効果を研究するために、細胞を、上記のように、6ウェルプレート中で培養した。HUVECがコンフルーエンス近くになったときに、1×106 CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD40L-ジャーカットB2.7細胞、CD40L+ 293腎細胞トランスフェクト体、またはCD8腎細胞トランスフェクト体を、培養物に添加した。指示されているところで、CD40L+細胞を、HUVECへの添加前に、抗CD40L mAb 5C8(10μg/ml)またはイソタイプコントロール mAb P1.17(10μg/ml)で前処理した。培養中での指示された時間の後に、細胞をトリプシン処理によって回収し、二色FACS分析を実施した。
【0197】
Ramos 2G6細胞でのCD40連結の機能研究
Ramos 2G6細胞でのCD40連結のコントロール実験は、2×105 Ramos 2G6細胞を、1×105 D1.1細胞またはコントロール細胞とともに、10% FCS(Summit)および1%ペニシリンーストレプトマイシン(Sigma)を含有する、200μlのイソコブ改変ダルベッコ培地(Gibco)を入れた96ウェルプレート中で、24時間培養して、実施した。
【0198】
サイトフルオログラフィー分析
サイトフルオログラフィー分析に使用される方法は、以前に記載された(20,42)。全実験において、細胞をまず、凝集ヒト免疫グロブリン(Enzyme International, Fallbrook, CA)で処理して、非特異Ig結合を阻害した。一色FACS分析については、細胞を、一次抗体の飽和濃度で、4℃にて30〜60分間染色した。洗浄後に、FITC結合F(ab)2ヤギ抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch Laboratories, West Grove, PA)を、4℃にて30〜60分間加えた。細胞を洗浄し、FACS分析の前に1%ホルムアルデヒドで固定した。二色FACS分析については、細胞を、まず指示されたビオチン化mAbで染色した。洗浄後に、次いで細胞を、ストレプトアビジン−PE(Calbiochem, La Jolla, CA)、およびFITC結合抗CD13 mAbまたはFITC結合体UEA-1で、指示されているように染色した。HUVECを、抗CD13 mAbまたは内皮細胞に選択的に結合するレクチンであるUEA-1でポジティブ染色することによって、二色FACS分析でジャーカット細胞と区別した(43)。蛍光強度は、Consort-30ソフトウェア(Becton-Dickinson, Moutainview, CA)を用いて、FACScanサイトフルオログラフによって測定した。平均蛍光強度(MFI)は、Consort 30ソフトウェアによって計算されたように、logスケールに標準化された値のことである。
【0199】
インサイチュでの内皮細胞CD40発現の特徴づけ
正常脾臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺、または臍帯の凍結切片を、以前に記載されたように(38)、CD40発現について研究した。免疫組織化学分析は、指示されているmAbを用いて実施し、反応性は、Vector ABC Eliteキットおよび3−アミノ−9−エチルカルバゾル(AEC)(Vector Laboratories, Burlingame, CA)を使用し、製造者の使用説明書に従って実施した。コントロール凍結切片を、マウスIgG(Sigma)の適切な濃度で染色した。
【0200】
結果
内皮細胞CD40発現のインサイチュおよびインビトロでの特徴づけ
第一の一連の実験を、正常内皮細胞が、インサイチュでCD40を発現するかどうかを決定するために行った。従って、正常脾臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺、または臍帯から得た凍結切片を、抗CD40 mAbまたはコントロールマウスIgGで染色し、そして内皮細胞反応性を記録した。さらなるコントロールは、抗CD34 mAb(造血幹細胞および内皮細胞と反応する(44))、または抗CD21 mAb(B細胞および上皮細胞と反応する(17))での染色を包含する。研究された全組織からの内皮細胞は、インサイチュにてCD40を発現する。図9〜11は、正常皮膚(図9)、筋肉(図10)、および脾臓(図11)で、内皮細胞の典型的なCD40染色を示す。内皮反応性パターンは、抗CD34 mAbで認められたものと同様であった(図9および10)。対照的に、内皮細胞は、抗CD21 mAb(図9および10)またはマウスIgG(図9〜11)とは反応しなかった。
【0201】
インビトロでの内皮細胞CD40発現および機能をさらに研究するために、培養ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)もまたCD40を発現するかどうかを、次に確かめた。HUVECを単離し、コンフルーエンスに増殖し、CD40発現を、トリプシン処理後に、FACS分析で測定した。細胞は、形態学的に内皮細胞に類似し、表現型分析は、細胞がCD13+であり、選択的に内皮細胞に結合するレクチンであるUEA-1と反応することを実証した(43)。さらに、細胞は、FACS分析によれば、CD14- CD45-MHCクラスII-であった。従って、これらの培養物は、有意数の混入する内皮細胞以外の細胞を含有しなかった。HUVECは、インビトロにおいて、CD40を構成的に発現する(図12)。同様の結果が、15人の個体から単離されたHUVECから得られた。
【0202】
前炎症性サイトカインが、内皮細胞CD40発現を調節するかどうかを決定するために、B細胞(45)、単球(14)、胸腺上皮細胞(18)、および線維芽細胞(19)について示されたように、HUVECを、rIFN-γ、rIL-1α、またはrTNF-αと、48時間培養した。rIL-1αまたはrTNF-αとは対照的に、rINF-γは、HUVEC CD40発現の2〜3倍増加を誘導する(表2)。まとめて、これらの研究は、正常組織由来の内皮細胞が、インサイチュおよびインビトロにおいてCD40を発現し、rIFN-γが、インビトロにおいて内皮細胞CD40発現をアップレギュレートすることを実証する。
【0203】
HUVEC CD54、CD62E、およびCD106発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果
活性内皮細胞は、細胞間接着相互作用の媒介において、重要な役割を果たすCD54、CD62E、およびCD106のような、細胞表面分子を発現する(1,2)。興味深いことに、B細胞(46)または線維芽細胞(19)でのCD40の連結は、接着分子のアップレギュレーションを誘導する。従って、次に問われたのは、CD40L-CD40相互作用が、二色FACS分析で測定されるように、インビトロで、HUVECでのCD54、CD62E、またはCD106の発現に影響するどうかであった。HUVECを、CD40L+ジャーカットD1.1細胞またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞とともに培養した。指示されているところは、ジャーカットD1.1細胞を、HUVECへの添加の前に、抗CD40L mAb 5C8またはコントロールmAbで前処理した。ポジティブコントロールとして、HUVECもまたrIL-1αとともに培養した。CD40L-ジャーカットB2.7細胞ではなく、CD40L+ジャーカットD1.1細胞が、HUVECでのCD54、CD62E、およびCD106アップレギュレーションを誘導する(図13および14)。D1.1細胞のこの影響は、イソタイプコントロールmAbによってではなく、抗CD40L mAb 5C8によって阻害される(図13および14)。これらの研究は、CD40L-CD40相互作用が、HUVECでのCD54、CD62E、およびCD106発現をアップレギュレートをすることを強く示唆する。
【0204】
HUVEC CD54、CD62E、およびCD106発現に対するCD40L+ 293腎細胞トランスフェクト体の効果
CD40L媒介シグナルが、さらなるリンパ球特異的相互作用の非存在下で、内皮細胞接着分子をアップレギュレートするのに十分であるかどうかを決定するために、HUVECを、安定にトランスフェクトされたCD40L+ 293腎細胞またはコントロールCD8+ 293トランスフェクト体とともに培養した。ポジティブコントロールとして、HUVECをまた、CD40L+ D1.1細胞とともに培養した。CD40L+ D1.1細胞と同様に、CD40L+ 293腎細胞トランスフェクト体は、 HUVECでのCD54、CD62E、およびCD106の発現をアップレギュレートする(図15)。コントロール293 CD8トランスフェクト体は、HUVECでのCD54、CD62E、またはCD106発現に対する効果を有さない。まとめて、これらの研究は、CD40L-CD40相互作用が、インビトロで、HUVECでこれらの接着分子をアップレギュレートするのに十分であることを実証する。
【0205】
CD40L媒介HUVEC CD54、CD62E、およびCD106アップレギュレーションの動力学分析
rIL-1αまたはrTNF-αによる、CD54、CD62E、またはCD106のインビトロでのアップレギュレーションの動力学は、十分に確立されてきた(1,2)。CD54およびCD106は、24時間を超えて活性化および発現が持続する後に、6時間アップレギュレートされる。対照的に、CD62E発現は、活性化後6時間でピークに達し、24時間までにベースライン(発現なし)に戻る。次の一連の実験では、CD40L誘導HUVEC CD54、CD62E、またはCD106のアップレギュレーションの動力学が測定された。HUVECを、CD40L+ D1.1細胞またはCD40L B2.7細胞と培養し、そしてCD54、CD62E、またはCD106発現について、種々の時点で分析した。CD40L+ D1.1細胞との培養後に、HUVEC CD54またはCD106発現は、6時間までにアップレギュレートされ、24時間を超えて発現が持続された(図16)。対照的に、CD40L誘導CD62E発現は、6時間までにピークに達し、そして24時間までにベースラインに戻った(図16)。従って、HUVEC CD54、CD62E、またはCD106のCD40L、rTNF-α、またはrIL-1α媒介アップレギュレーションの動力学は類似している。
【0206】
CD40L-CD40相互作用が、HUVECでのCD80、CD86、またはMHCクラスII発現をアップレギュレートするかどうかの決定
活性内皮細胞は、MHCクラスII分子を発現する能力を有し、T細胞へ共刺激シグナルを送達する(10,47-49)。B細胞または樹状細胞でのCD40連結は、MHCクラスII発現、ならびに共刺激分子CD80およびCD86の発現をアップレギュレートする(36,37,50〜52)。従って、次の一連の実験は、CD40L-CD40相互作用が、HUVECでのMHCクラスII、CD80、またはCD86発現を、同様にアップレギュレートするかどうかを、測定した。HUVECを、CD40L+ D1.1細胞またはCD40L- B2.7細胞と、24時間または48時間培養し、CD80、CD86、およびMHCクラスII発現を、二色FACS分析によって測定した。HUVEC CD40連結の効果に対するポジティブコントロールとして、CD54発現もまた測定した。さらに、MHCクラスIIアップレギュレーションに対するコントロールとして、HUVECもまたrIFN-γと培養した。CD40L媒介CD80、CD86、およびMHCクラスIIアップレギュレーションのポジティブコントロールとして、D1.1細胞を、Ramos 2G6 B細胞と培養した(38〜39)。B細胞または樹状細胞に対するCD40連結の効果とは対照的に、CD40L-CD40相互作用は、HUVECでのMHCクラスII、CD80、またはCD86発現をアップレギュレートしない(表3)。
【0207】
考察
CD40は、B細胞(12,13)、単球(14)、樹状細胞(15)、上皮細胞(17,18)、好塩基球(16)、および線維芽細胞(19)を含む、種々の細胞で構成的に発現される、細胞表面分子である。CD40の対レセプターは、30〜33kDaの活性化誘導され、一過的に発現されるCD4+T細胞表面分子である、CD40Lである(20-25)。脾臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺、または臍帯の上皮細胞は、インサイチュでCD40を発現することが示される。この所見は、慢性関節リウマチ滑膜の内皮細胞が、CD40を発現するという以前の報告に一致する(11)。さらに、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)は、インビトロでCD40を発現する。最も重要なことに、内皮細胞でのCD40発現は、コントロール細胞ではなく、CD40L+ジャーカットT細胞またはCD40L+ 293腎細胞トランスフェクト体が、HUVECでの細胞内接着分子CD54(ICAM-1)、CD62E(E-セレクチン)、およびCD106(VCAM-1)の発現をアップレギュレートするので機能的に重要である。本明細書に開示されている結果は、内皮細胞がCD40を発現し、そして、インビトロで、CD40L-CD40相互作用が内皮細胞活性化を誘導することを実証する。
【0208】
内皮細胞は、CD54、CD62E、およびCD106を発現することによって、部分的に炎症応答に重要な役割を果たす(1,2)。これらの接着分子は、白血球上の特異細胞表面レセプターと相互作用し、内皮細胞バリアを横切る炎症細胞の貫通移動を促進する。これらの特定内皮細胞表面分子の発現は、しっかりと調節される(1,2)。休止内皮細胞は、低レベルのCD54、および最少限のCD62EもしくはCD106を発現するか、または全く発現しない。しかし、内皮細胞は、IL-1またはTNFでの活性化後に、CD54、CD62E、およびCD106発現をアップレギュレートする。これらの所見は、活性CD4+ T細胞が、直接的細胞−細胞接触によって、内皮細胞接着分子をアップレギュレートする手段を実証する。
【0209】
CD40L発現もまたしっかりと調節されるので、CD40L-CD40相互作用は、Ag操作免疫応答中に生じるようである。これに関し、インビトロでの研究は、休止CD4+ T細胞が、検出可能なCD40Lを発現しないことを実証する(20〜22,25,53)。しかし、CD40Lは、インビトロにおいて、活性CD4+ T細胞で一過的に発現され;ピーク発現は、活性化後6時間に認められ、24〜48時間までに、レベルはベースライン(発現なし)まで戻る(20,21,53)。CD40Lはまた、レセプター媒介エンドサイトーシスに少なくとも一部起因するプロセスで、CD40を発現する細胞によって、迅速にダウンレギュレートされる(54)。インビボでは、CD40L発現は、通常、MHC制限Ag特異T−B相互作用部位である、二次リンパ組織(38)のCD4+ T細胞に制限される。しかし、慢性関節リウマチ滑膜または乾癬斑の免疫組織学的研究は、CD40L+CD4+ T細胞の存在を実証する。これらの研究は、炎症部位のAPCが、CD4+ T細胞の浸潤を誘導して、CD40Lを発現することを示唆する。次いで、CD40L+CD4+ T細胞は、CD40+内皮細胞と相互作用することによって、炎症プロセスを促進する役割を果たす。この相互作用の機能的結果が、炎症部位での免疫細胞のさらなる接着および貫通移動を可能にする。
【0210】
CD40連結が、内皮細胞表面接着分子の発現を調節する事実は、種々の細胞での接着分子の発現および/または機能の調節における、CD40シグナル伝達の一般的な役割と一致する。この点に関して、CD40L媒介シグナルが、滑膜から培養された線維芽細胞で、CD54およびCD106のアップレギュレーションを誘導することが示された(19)。CD40連結もまた、B細胞でのCD54発現をアップレギュレートし(46)、B細胞のCD54依存性ホモ凝集(homoaggregation)を誘導する(55)。興味深いことに、B細胞の抗CD40 mAbでの前処理は、インビトロでのB細胞の活性内皮細胞とのヘテロ型相互作用を、CD49d(VLA-4)/CD106相互作用に依存する様式で促進する(56)。CD40連結は、B細胞CD49d発現をアップレギュレートしなかったので、CD40媒介シグナルが、CD49d活性化を誘導することが仮説された。
【0211】
B細胞または樹状細胞でのCD40連結もまた、MHCクラスII、ならびに共刺激分子CD80およびCD86の発現をアップレギュレートする(36,37,50-52)。興味深いことに、rIFN-γで刺激された内皮細胞は、インビトロでのMHCクラスIIを発現する能力があり(57)、炎症組織内でインサイチュでの内皮細胞は、MHCクラスIIを発現し得る(10,58-60)。さらに、内皮細胞は、インビトロでT細胞へAgを提供する能力があり、IL-2産生および増殖が要求されるT細胞へ、適切な共刺激シグナルを送達する(10,47-49)。
【0212】
しかし、CD40L-CD40相互作用が、インビトロで、HUVECでのMHCクラスII、CD80、またはCD86発現を、アップレギュレートしないことが本明細書で示される。この所見は、ヒト内皮細胞が、CD80を発現しないことを示唆する以前の研究に一致する(47,61)。内皮細胞で発現される共刺激分子は、正確には知られていない。Poberおよび共同研究者らによる研究は、CD2-CD54(LFA-3)相互作用をブロックすることが、内皮細胞のアロジェニックT細胞増殖を誘導する能力を阻害することを実証する(47,48)。しかし、CD2-CD58相互作用が、細胞間接着を促進、および/またはT細胞への共刺激シグナルを送達するかどうかは不明である。CD40L媒介シグナルが、内皮細胞のT細胞を活性化する能力を調節するかどうかを決定することは興味深い。
【0213】
最終的に、内皮細胞は、CD4+ T細胞に媒介される種々の疾患で、活性化される。例えば、内皮細胞表面接着分子は、慢性関節リウマチ(62)、鞏皮症(63)、および移植組織拒否(64)においてアップレギュレートされる。さらに、CD4+ T細胞は、アテローム性動脈硬化症(65)および移植に伴う加速アテローム性動脈硬化症で役割を担う(60)。これらの疾患における、内皮細胞とのCD40L媒介相互作用の精密な機械的役割は、未知である。しかし、CD40L、MR1に対する抗体は、CD4+ T細胞および/または炎症細胞浸潤に媒介される疾患のマウスモデルを阻害する。例えば、MR1は、コラーゲン誘導関節炎(慢性関節リウマチのマウスモデル)に伴う、滑膜内膜細胞肥大および細胞浸潤を防止する(66)。さらに、MR1は、多発性硬化症(EAE)のマウスモデルを阻害し、そして、同種移植拒絶を阻害する(67)。内皮細胞および/または線維芽細胞とのCD40L依存相互作用のブロッキングは、一部、これらのMR1の効果を媒介する。本明細書に開示されている結果は、内皮細胞表面のCD40L-CD40相互作用が、炎症性疾患において免疫病理学的役割を担うことを示唆する。
【0214】
【表2】
表2の説明:HUVEC CD40発現に対するサイトカインの効果。
【0215】
rIFN-γ(1000 U/ml)、rIL-1α(10 pg/ml)、またはrTNF-α(200 U/ml)の存在または非存在下で48時間培養されたHUVECでの、CD40またはCD54発現の平均蛍光強度(MFI)が示されている。CD40またはCD54 MFIは、FACS分析によって測定され、コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から差し引かれている。同様の結果が、異なるHUVEC株を用いたさらなる2つの実験において得られた。
【0216】
【表3】
表3の説明:HUVEC MHCクラスII、CD80、およびCD86発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果。培地、rIFN-γ(1000 U/ml)、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L B2.7細胞との48時間培養後の、HUVEC CD54、CD80、CD86、またはMHCクラスII発現の平均蛍光強度が示されている。平行実験で、CD40L応答Ramos 2G6 B細胞株(38〜39)を、培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L B2.7細胞と24時間培養した。HUVECまたはRamos 2G6 MHCクラスII、CD54、CD80、およびCD86発現を、二色FACS分析によって測定した。コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から差し引かれている。異なるHUVEC株を用いた3つの同様な実験の代表例が示されている。ND = 実験せず。
【0217】
【表5】
【0218】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】図1.SM線維芽細胞におけるCD40の発現。示されるように、インビトロでの最初の継代に続く代表的なRAまたはOA SM粘着性細胞でのCD40、CD14、CD45、またはMHCクラスIIの発現のFACS分析を示している。X軸は平均蛍光強度(MFI)を表し、そしてY軸は細胞数を表す。RA細胞について、CD40の発現またはイソタイプのコントロールmAbのMFIは、それぞれ21および9であった。OA細胞について、 CD40の発現またはイソタイプのコントロールmAbのMFIは、それぞれ33および9であった。
【図2】図2.休止またはrINF-γで刺激された皮膚線維芽細胞におけるCD40の発現。示されるように、3つの皮膚線維芽細胞株での、CD40、CD54、またはコントロールmAb染色のFACS分析を示している。細胞は、rINF-γ(1000 U/ml)の存在下または非存在下で24時間培養された。SK.1およびSK.2は、培養中の2回目の継代に続いて研究され、そしてCCD 965 SKは、培養中の3回目の継代の後に研究された。X軸は、平均蛍光強度(MFI)を表し、そしてY軸は細胞数を表す。各グラフの右上隅の数字は、CD40 MFIを示している(バックグランドは引いた)。
【図3】図3.SM線維芽細胞CD40の発現のサイトカイン調節。 示されるように、rINF-γ(1000 U/ml)、rIL-1α(10 pg/ml)、rTNF-α(200 U/ml)、またはサイトカインの組み合わせとの同時培養の後の、SM線維芽細胞株(OA.3)のCD40の平均蛍光強度(MFI)を表す棒グラフを示している。CD40の発現は、FACS分析によって決定され、そして、コントロールmAbのバックグランド染色は、各値から引かれている。示されている実験は、行われた3つの同様の実験の代表例である。
【図4】図4.SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)の発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果。 培地、rINF-γ(1000 U/ml)、CD40L-ジャーカットB2.7細胞、またはCD40L+ジャーカットD1.1細胞で、抗-CD40L mAb 5C8またはコントロールmAb P1.17の存在または非存在下で24時間培養したIA.1 SM線維芽細胞でのCD13発現(X軸)またはCD54発現(Y軸)を例証する2色の輪郭グラフ(contour graph)を示している。各グラフの右上隅の数字は、CD54の平均蛍光強度(MFI)を表す。イソタイプコントロールmAbのバックグランドMFIは、各値から引かれている。示されている実験は、行われた3つの同様の実験の代表例である。
【図5】図5. CD40Lのトランスフェクションは、SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)およびCD106(VCAM-1)の発現をアップレギュレートする能力を与える。培地、CD40L+ D1.1細胞、CD40L- B2.7細胞、またはCD40L+ B2.7トランスフェクト体で24時間培養した後の、SM線維芽細胞におけるCD54またはCD106のMFIを示す棒グラフを示している。CD54およびCD106の発現は、図4のように2色FACS分析によって決定された。イソタイプコントロールmAbのバックグランドMFIは、各値から引かれている。示されている実験は、行われた2つの同様の実験の代表例である。
【図6A】図6A.線維芽細胞のIL-6分泌に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地単独、抗-CD40L mAb 5C8もしくはコントロールmAb P1.17の存在もしくは非存在下のCD40L+ D1.1細胞、CD40L- B2.7細胞、またはCD40L+ B2.7トランスフェクト体で培養されたSM線維芽細胞由来の上清(最終希釈、1:60)の添加に続く、IL-6指示細胞株B9による3H-チミジンの取り込みを示す棒グラフを示している。 D1.1細胞、B2.7細胞、またはCD40L+ B2.7トランスフェクト体由来のコントロール上清で培養されたB9細胞の増殖応答は、1136 cpm(±113)、2398 cpm(±263)、および1131 cpm(±56)であった。同様の結果が、3つのさらなるSM線維芽細胞株で得られた。
【図6B】図6B.rIL-6に応答したB9の増殖。図6Aに示される実験の平行実験において、B9細胞は、rIL-6の変化する濃度で培養された。
【図7】図7.SM線維芽細胞増殖に対するCD40の連結の効果。マイトマイシンCで処理されたCD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体との1%FM中での48時間の同時培養の後の、SM線維芽細胞3H-チミジンの取り込みを例証する2つの分離した実験に由来する棒グラフを示している。示される場合、CD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体は、線維芽細胞への添加の前に、抗-CD40L mAb 5C8(5μg/ml)またはP1.17コントロールmAb(5μg/ml)で前処理された。RA.5の増殖を研究する実験において、CD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体の増殖は、それぞれ51±7cpmおよび39±3cpmであった。OA.6の増殖を研究するための実験において、CD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体の増殖は、それぞれ243±5cpmおよび453±95 cpmであった。バックグランド増殖は、同時培養実験において引かれている。また、1%FMまたは10%FM中での培養の後の線維芽細胞の増殖応答を示している。同様の結果が、3つのさらなる実験で得られた。エラーバーは、観察された誤差を示す。
【図8】図8.CD40L媒介SM線維芽細胞増殖に対するrINF-γの効果。マイトマイシンCで処理されたCD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体との、1%FM中での48時間の同時培養後の、SM線維芽細胞3H-チミジンの取り込みを例証する棒グラフを示している。示される場合、SM線維芽細胞は、マイトマイシンCで処理されたCD40L- B2.7またはCD40L+ B2.7トランスフェクト体の添加の前に、rINF-γ(1000 U/ml)で18時間前処理される。SM線維芽細胞の増殖は、最初の一連の実験について、材料および方法中に概説されたように決定された。CD40L-ジャーカットB2.7細胞およびCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体のバックグランド増殖は、それぞれ185±66 cpmおよび65±5cpmであった。バックグランド増殖は、同時培養実験中に引かれている。1%FMまたは10%FM中の培養に続く線維芽細胞の増殖応答もまた示されている。同様の結果が、2つのさらなる実験で得られた。エラーバーは、観察された誤差を示す。
【図9A】図9A.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(a)CD40、皮膚(倍率40×)。
【図9B】図9B.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(b)CD34、皮膚(倍率40×)。
【図9C】図9C.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(c)CD21、皮膚(倍率40×)。
【図9D】図9D.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(d)コントロールマウス IgG、皮膚(倍率40×)。
【図10A】図10A.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(a)CD40、筋肉(倍率40×)。
【図10B】図10B.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(b)CD34、筋肉(倍率40×)。
【図10C】図10C.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(c)CD21、筋肉(倍率40×)。
【図10D】図10D.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(d)コントロールマウス IgG、筋肉(倍率40×)。
【図11】図11.膵臓中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結断片の免疫組織学的研究を示している:(a)CD40、膵臓(倍率10×)および(b)コントロールマウス IgG、膵臓(倍率10×)。
【図12】図12.インビトロでのHUVEC細胞におけるCD40の発現。CD14、CD40、CD45、またはイソタイプコントロールの1回目の継代に続く、HUVECにおける発現の重複するFACS分析を示している。CD14、CD40、CD45、またはイソタイプコントロール発現の平均蛍光強度は、それぞれ7、24、5、および9であった。15個の臍帯から単離されたHUVECにおける、CD40発現の代表例を示している。
【図13】図13.HUVEC CD54(ICAM-1)発現に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞で6時間培養したHUVEC CD54発現に対する効果を例示する2色の輪郭グラフを示している。示される場合、CD40L+ D1.1細胞は、抗-CD40L mAb 5C8またはイソタイプコントロールmAb P1.17で前処理された。X軸はCD13の発現を示し、ならびにY軸はCD54の発現を示す。各グラフの右上隅の数は、CD54を発現するCD13+のパーセンテージを示している(コントロールmAbのバックグランド染色は、各値から引かれる)。異なるHUVEC株を用いた、3つの同様の実験の代表例を示している。
【図14】図14.HUVEC CD54(ICAM-1)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(VCAM-1)の発現に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地、rIL-1α、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞とともに6時間培養した後の、CD54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージを表す棒グラフを示している。示される場合は、CD40L+ D1.1細胞は、抗-CD40L mAb 5C8、またはイソタイプコントロールmAB P1.17で前処理された。HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現は、図3に示されるように2色FACS分析によって決定された。コントロールmAbのバックグランド染色は、各値から引かれている。異なるHUVEC株を用いた、3つの同様の実験の代表例を示している。
【図15−1】図15.HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対するCD40L発現293腎臓細胞トランスフェクト体の効果。培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD8+ 293 腎臓細胞トランスフェクト体またはCD40L+ 293 腎臓細胞トランスフェクト体で、6時間培養した後の、HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対する効果を示す、2色の輪郭グラフを示している。X軸はUEA-1の発現を示し、そしてY軸はCD54(左パネル)、CD106(中央パネル)、またはCD62E(右パネル)を示す。各グラフの右上隅の数字は、示されるようにCD54、CD106、またはCD62Eを発現するUEA-1+細胞のパーセンテージを示す。(コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から引かれている)。3つの同様の実験の代表例を示している。
【図15−2】図15.HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対するCD40L発現293腎臓細胞トランスフェクト体の効果。培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD8+ 293 腎臓細胞トランスフェクト体またはCD40L+ 293 腎臓細胞トランスフェクト体で、6時間培養した後の、HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対する効果を示す、2色の輪郭グラフを示している。X軸はUEA-1の発現を示し、そしてY軸はCD54(左パネル)、CD106(中央パネル)、またはCD62E(右パネル)を示す。各グラフの右上隅の数字は、示されるようにCD54、CD106、またはCD62Eを発現するUEA-1+細胞のパーセンテージを示す。(コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から引かれている)。3つの同様の実験の代表例を示している。
【図16A】図16A.CD40L誘導HUVEC CD54、CD62E、およびCD106アップレギュレーションの速度論的分析。CD40L+ジャーカットD1.1細胞で6時間または24時間培養した後の、CD54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージを示している。CD54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージは、2色FACS分析によって決定した(コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から引かれる)。異なるHUVEC株を用いた3つの同様の実験の代表例を示している。
【図16B】図16B.HUVECがCD40L-ジャーカットB2.7細胞で培養されことを除き、図16Aと同様。
【図17A】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17B】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17C】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17D】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17E】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17F】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17G】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17H】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17I】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17J】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17K】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17L】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17M】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17N】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17O】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17P】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17Q】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17R】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17S】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17T】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17U】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17V】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17W】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17X】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17Y】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国出願第08/567,391号(1995年12月1日出願)、および米国出願第08/566,258号(1995年12月1日出願)、および米国出願第08/637,323号(1996年4月22日出願)の優先権を請求する。これらの内容は、本出願中で参考として援用される。
【0002】
本明細書中に開示される発明は、米国保健社会福祉省からの米国国立衛生研究所助成金K08-AR-01904、RO1-CA55713、RO1-AI-28367、RO1-AI-14969、HL21006、HL42833、HL50629、およびRO1-AI-14969の下での米国政府の支援を得てなされた。従って、米国政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0003】
本出願を通じて、種々の参考文献が、括弧内に参照される。これらの出版物の開示は、その全体が、本出願中に、本発明に関連する技術水準をより充分に記載するために、本明細書中で参考として援用される。これらの参考文献の充分な目録的引用は、テキスト中または本出願の終わりに(配列表および請求項の前に)見出され得る。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
CD40は、B細胞およびいくつかの上皮ガン腫で発現されると当初記載された50 kDaの細胞表面分子である(1、2)。CD40は、活性化されたCD4+ T細胞で一過的に発現される30 kDaの細胞表面分子であるCD40L(T-BAM、gp39、TRAP)と相互作用する(3〜8)。CD40L-CD40相互作用は、T細胞-B細胞相互作用の状況において広く研究されてきた。CD40の連結反応は、B細胞活性化、分裂増殖、分化、Ig産物、およびアポトーシス性シグナルからの救出において重要な役割を果たす(9〜11)。B細胞分化におけるCD40の連結の重大なインビボでの役割は、ハイパー-IgM症候群(CD40Lをコードする遺伝子における変異による体液性免疫不全)によって強調される(12〜16)。マウスCD40(17)またはCD40L(18)「ノックアウト」は、ハイパー-IgM症候群の患者と同様の表現型を有する。
【0005】
興味深いことに、近年の研究は、 CD40の発現は、初めに記載されたよりも幅広い細胞分布を有することを示している。CD40は、単球(19)、樹状細胞(22)、上皮(23、21)、好塩基性細胞(24)、およびホジキン腫瘍細胞(25)において発現されることが示されている。その上、種々のサイトカインは、非B細胞におけるCD40の発現を調節し得る。胸腺上皮細胞におけるCD40の発現は、IL-1α、TNF-α、またはINF-γによってアップレギュレートされる(21)。INF-γは、IL-3またはGM-CSFに加えて、同様に、単球におけるCD40の発現をアップレギュレートする(19)。INF-γおよびIL-1αの存在下でCD40の連結は、胸腺上皮細胞によるGM-CSF産生を刺激する(21)。さらに、CD40L発現トランスフェクト体は、単球による殺腫瘍性活性を引き起こし、そしてINF-γ、GM-CSF、またはIL-3の存在下で、TNF-α、IL-6、またはIL-8を分泌するために単球を刺激する(19)。
【0006】
CD40はまた、慢性関節リウマチ(RA)で苦しむ患者の滑膜(SM)中に見出される細胞において発現される。RA SMにおいて発現される細胞表面分子の免疫組織学調査は、 CD40が線維芽細胞様形態学を伴う細胞を含む種々の細胞型で発現されることを見出した(26)。この報告には、CD40が、RA、非RA炎症性関節炎(IA)、または骨関節炎(OA)を有する患者から単離された培養された滑膜(SM)の線維芽細胞で発現されることが、FACS分析によって示されている。さらに、正常ドナーから単離された皮膚線維芽細胞はまた、CD40を発現する。その上、 CD40L+細胞によるCD40の連結は、線維芽細胞の活性化および増殖を誘導する。
【0007】
内皮細胞は、白血球との接着相互作用を仲介する表面分子(例えば、CD54(ICAM-1)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(VCAM-1))を発現する(27〜35)。内皮細胞表面接着分子の発現は、白血球の炎症部位への補充を調節し、そしてそれゆえ厳しい調節に供される(27、28)。休止内皮細胞は、低レベルのCD54を発現し、最小限のCD62EまたはCD106発現するかまたは全く発現しない。IL-1、TNFα、またはLPSとの活性化に続いて、内皮細胞は、迅速にCD54、CD62E、およびCD106の発現をアップレギュレートする(27、28)。CD4+T細胞は、内皮細胞または他の標的細胞に、IL-1またはTNFαの分泌を誘導することによって、内皮細胞表面接着分子のアップレギュレーションに貢献し得る(36)。しかし、 内皮細胞活性化を誘導するCD4+T細胞−内皮細胞相互作用に関連する分子的詳細は、完全に描写されていない。
【0008】
通常のヒト内皮細胞がまた、インサイチュでCD40を発現し、そしてCD40L−CD40相互作用は、インビトロでの内皮細胞活性化を誘導することが現在報告され得る。通常の膵臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺または臍帯由来の凍結切片は、免疫組織化学によってCD40の発現が研究されていた。研究された全ての組織由来の内皮細胞は、インサイチュでCD40を発現する。さらに、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)は、インビトロでCD40を発現し、そしてrIFN-γは、HUVEC CD40アップレギュレーションを誘導する。HUVECにおけるCD40の発現は、機能的に重要である。なぜなら、CD40L+ ジャーカットT細胞は、抗-CD40L mAb 5C8によって阻害される様式において、HUVEC CD54(ICAM-1)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(VCAM-1)のインビトロ発現をアップレギュレートするからである。さらに、293腎臓細胞トランスフェクト体を発現するが、コントロールトランスフェクト体を発現しないCD40Lはまた、HUVECにおけるCD54、CD62E、およびCD106の発現をアップレギュレートする。これらの結果は、CD40L−CD40相互作用が、インビトロで内皮細胞活性化を誘導することを例示している。T細胞表面において発現されるCD40Lは、CD40+内皮細胞の活性化を誘導すること、およびこの活性化が、抗-CD40Lモノクローナル抗体によって阻害されることが初めて示される。さらに、これらの結果は、内皮細胞表面接着分子の発現をアップレギュレートすることによって、活性化されたCD4+ T細胞がインビボで炎症応答を増大させるメカニズムを例示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明は、細胞表面上でのCD40を保有する細胞のCD40リガンドによる活性化を阻害する方法を提供し、この方法は、細胞の活性化を阻害するために有効な量において、CD40リガンドと細胞の間の相互作用を阻害し得る因子と細胞を接触させる工程を包含する。
【0010】
本発明は、被験体において、細胞表面上でのCD40を保有する細胞のCD40リガンドによる活性化を阻害する方法を提供し、この方法は、被験体における細胞の活性化を阻害するために有効な量において、CD40リガンドと細胞の間の相互作用の阻害し得る因子を被験体に投与する工程を包含する。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
【0012】
(項目1)CD40を保有する細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法であって、該方法は、該細胞を、CD40リガンドと該細胞との間の相互作用を阻害し得る因子と該細胞の活性化を阻害する有効量で接触させる工程を包含し、ここで、該CD40保有細胞は、B細胞以外である、方法。
【0013】
(項目2)上記CD40保有細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リード−スターンバーグ細胞、および樹状細胞からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
【0014】
(項目3)上記上皮細胞が、ケラチン生成細胞である、項目2に記載の方法。
【0015】
(項目4)上記因子が、上記細胞上のCD40に対するCD40リガンドの結合を阻害する、項目1に記載の方法。
【0016】
(項目5)上記因子が、タンパク質である、項目1に記載の方法。
【0017】
(項目6)上記タンパク質が、抗体もしくはその部分を含む、項目5に記載の方法。
【0018】
(項目7)上記抗体が、モノクローナル抗体である、項目6に記載の方法。
【0019】
(項目8)上記モノクローナル抗体が、キメラ抗体である、項目7に記載の方法。
【0020】
(項目9)上記モノクローナル抗体が、ヒト化抗体である、項目7に記載の方法。
【0021】
(項目10)上記モノクローナル抗体が、霊長類化抗体である、項目7に記載の方法。
【0022】
(項目11)上記抗体の部分が、軽鎖もしくは重鎖の相補性決定領域または可変領域を含む、項目6に記載の方法。
【0023】
(項目12)上記抗体の部分が、相補性決定領域または可変領域を含む、項目6に記載の方法。
【0024】
(項目13)上記抗体の部分が、Fabもしくは単鎖抗体を含む、項目12に記載の方法。
【0025】
(項目14)上記タンパク質が、CD40リガンドの可溶性細胞外領域、もしくは保存的置換基を含有するその改変体、もしくはその部分;またはCD40の可溶性細胞外領域、もしくは保存的置換基を含有するその改変体、もしくはその部分を含む、項目5に記載の方法。
【0026】
(項目15)上記CD40リガンドまたはCD40の可溶性細胞外領域は、モノマーである、項目14に記載の方法。
【0027】
(項目16)上記CD40の可溶性細胞外領域は、オリゴマーである、項目14に記載の方法。
【0028】
(項目17)CD40の可溶性細胞外領域もしくはその部分を含む上記タンパク質が、該CD40の細胞外領域もしくはその部分に融合するFc領域をさらに含む、項目14に記載の方法。
【0029】
(項目18)上記Fc領域は、プロテインAもしくはプロテインGに結合可能である、項目17に記載の方法。
【0030】
(項目19)上記Fc領域は、IgG、IgA、IgM、IgD、もしくはIgEまたはそれらのサブクラスを含む、項目17に記載の方法。
【0031】
(項目20)上記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4であるか;または上記IgAは、IgA1もしくはIgA2である、項目19に記載の方法。
【0032】
(項目21)上記因子が、モノクローナル抗体5c8(ATCC受託番号 HB 10916)が特異的に結合する抗原に特異的に結合する、項目1に記載の方法。
【0033】
(項目22)上記因子が、抗体である、項目21に記載の方法。
【0034】
(項目23)上記抗体が、モノクローナル抗体5c8(ATCC受託番号 HB 10916)である、項目22に記載の方法。
【0035】
(項目24)上記因子が、低分子である、項目1に記載の方法。
【0036】
(項目25)上記因子が、上記細胞表面上のCD40に特異的に結合する、項目1に記載の方法。
【0037】
(項目26)上記因子が、タンパク質である、項目25に記載の方法。
【0038】
(項目27)上記タンパク質が、抗体である、項目26に記載の方法。
【0039】
(項目28)上記抗体が、モノクローナル抗体である、項目27に記載の方法。
【0040】
(項目29)上記モノクローナル抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体または霊長類化抗体である、項目28に記載の方法。
【0041】
(項目30)上記タンパク質は、CD40リガンドの細胞外領域を含む、項目26に記載の方法。
【0042】
(項目31)上記因子が、非タンパク質である、項目1に記載の方法。
【0043】
(項目32)上記因子が、既知の因子のライブラリーから選択される、項目1に記載の方法。
【0044】
(項目33)上記因子が、既知の因子から改変される、項目1に記載の方法。
【0045】
(項目34)上記改変因子が、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその部分のリード阻害因子との複合体の三次元構造に基づく該リード阻害因子の構造最適化によって設計される、項目33に記載の方法。
【0046】
(項目35)項目1に記載の方法であって、上記因子が、以下の工程:
細胞のサンプルを単離する工程;
CD40保有細胞の活性化を許容する条件下で該サンプルを培養する工程;
該サンプルを、ATCC受託番号 HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識されるタンパク質を発現する細胞、またはATCC受託番号 HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識され、該CD40保有細胞を活性化するのに有効であるタンパク質と接触させる工程;
該因子が該CD40保有細胞の活性化を阻害し得る場合、該サンプルを該CD40保有細胞の活性化を阻害するのに有効な量の該因子と接触させる工程;および
ATCC受託番号 HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識される該タンパク質を発現する該細胞か、またはATCC受託番号HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識される該タンパク質が、該因子の存在下で該CD40保有細胞を活性化するかどうか決定する工程、
を包含するスクリーニング法によって選択される、方法。
【0047】
(項目36)上記因子が、既知の因子のライブラリーから選択される、項目35に記載の方法。
【0048】
(項目37)上記既知の因子は非タンパク質因子である、項目36に記載の方法。
【0049】
(項目38)被験体において、CD40を保有する細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法であって、該方法は、CD40リガンドと該細胞との間の相互作用を阻害し得る因子を、該被験体において該細胞の活性化を阻害する有効量で該被験体に投与する工程を包含し、ここで、該CD40保有細胞は、B細胞以外である、方法。
【0050】
(項目39)上記CD40保有細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リード−スターンバーグ細胞、および樹状細胞からなる群より選択される、項目38に記載の方法。
【0051】
(項目40)上記上皮細胞が、ケラチン生成細胞である、項目39に記載の方法。
【0052】
(項目41)上記因子が、上記細胞上のCD40に対するCD40リガンドの結合を阻害する、項目38に記載の方法。
【0053】
(項目42)上記因子が、タンパク質である、項目38に記載の方法。
【0054】
(項目43)上記タンパク質が、抗体もしくはその部分を含む、項目42に記載の方法。
【0055】
(項目44)上記抗体が、モノクローナル抗体である、項目43に記載の方法。
【0056】
(項目45)上記モノクローナル抗体が、キメラ抗体である、項目43に記載の方法。
【0057】
(項目46)上記モノクローナル抗体が、ヒト化抗体である、項目44に記載の方法。
【0058】
(項目47)上記モノクローナル抗体が、霊長類化抗体である、項目44に記載の方法。
【0059】
(項目48)上記抗体の部分が、軽鎖もしくは重鎖の相補性決定領域または可変領域を含む、項目43に記載の方法。
【0060】
(項目49)上記抗体の部分が、相補性決定領域または可変領域を含む、項目43に記載の方法。
【0061】
(項目50)上記抗体の部分が、Fabもしくは単鎖抗体を含む、項目49に記載の方法。
【0062】
(項目51)上記因子が、モノクローナル抗体5c8(ATCC受託番号 HB 10916)が特異的に結合する抗原に特異的に結合する、項目38に記載の方法。
【0063】
(項目52)上記因子が、抗体である、項目51に記載の方法。
【0064】
(項目53)上記抗体が、モノクローナル抗体5c8(ATCC受託番号 HB 10916)である、項目52に記載の方法。
【0065】
(項目54)上記被験体は、哺乳動物である、項目38に記載の方法。
【0066】
(項目55)上記哺乳動物被験体は、ヒトである、項目54に記載の方法。
【0067】
(項目56)上記哺乳動物被験体は、げっ歯類である、項目54に記載の方法。
【0068】
(項目57)上記タンパク質が、CD40リガンドの可溶性細胞外領域、もしくは保存的置換基を含有するその改変体、もしくはその部分;またはCD40の可溶性細胞外領域、もしくは保存的置換基を含有するその改変体、もしくはその部分を含む、項目38に記載の方法。
【0069】
(項目58)上記CD40リガンドまたはCD40の可溶性細胞外領域は、モノマーである、項目57に記載の方法。
【0070】
(項目59)上記CD40の可溶性細胞外領域は、オリゴマーである、項目57に記載の方法。
【0071】
(項目60)CD40の可溶性細胞外領域もしくはその部分を含む上記タンパク質が、該CD40の細胞外領域もしくはその部分に融合するFc領域をさらに含む、項目57に記載の方法。
【0072】
(項目61)上記Fc領域は、プロテインAもしくはプロテインGに結合可能である、項目60に記載の方法。
【0073】
(項目62)上記Fc領域は、IgG、IgA、IgM、IgD、もしくはIgEまたはそれらのサブクラスを含む、項目60に記載の方法。
【0074】
(項目63)上記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4であるか;または上記IgAは、IgA1もしくはIgA2である、項目62に記載の方法。
【0075】
(項目64)上記因子が、低分子である、項目38に記載の方法。
【0076】
(項目65)上記因子が、上記細胞表面上のCD40に特異的に結合する、項目38に記載の方法。
【0077】
(項目66)上記因子が、タンパク質である、項目65に記載の方法。
【0078】
(項目67)上記タンパク質が、抗体である、項目66に記載の方法。
【0079】
(項目68)上記抗体が、モノクローナル抗体である、項目67に記載の方法。
【0080】
(項目69)上記モノクローナル抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体または霊長類化抗体である、項目68に記載の方法。
【0081】
(項目70)上記タンパク質が、CD40リガンドの上記細胞外領域を含む、項目66に記載の方法。
【0082】
(項目71)上記因子は非タンパク質である、項目38に記載の方法。
【0083】
(項目72)上記因子が、既知の因子のライブラリーから選択される、項目38に記載の方法。
【0084】
(項目73)上記因子が、既知の因子から改変される、項目38に記載の方法。
【0085】
(項目74)上記改変因子が、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその部分のリード阻害因子との複合体の三次元構造に基づく該リード阻害因子の構造最適化によって設計される、項目73に記載の方法。
【0086】
(項目75)項目38に記載の方法であって、上記因子が、以下の工程:
細胞のサンプルを単離する工程;
CD40保有細胞の活性化を許容する条件下で該サンプルを培養する工程;
該サンプルを、ATCC受託番号 HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識されるタンパク質を発現する細胞、またはATCC受託番号 HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識され、該CD40保有細胞を活性化するのに有効であるタンパク質と接触させる工程;
該因子が該CD40保有細胞の活性化を阻害し得る場合、該サンプルを該CD40保有細胞の活性化を阻害するのに有効な量の該因子と接触させる工程;および
ATCC受託番号 HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識される該タンパク質を発現する該細胞か、またはATCC受託番号HB 10916を有する該ハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体5c8によって特異的に認識される該タンパク質が、該因子の存在下で該CD40保有細胞を活性化するかどうか決定する工程、
を包含するスクリーニング法によって選択される、方法。
【0087】
(項目76)上記因子が、既知の因子のライブラリーから選択される、項目75に記載の方法。
【0088】
(項目77)上記既知の因子は非タンパク質因子である、項目76に記載の方法。
【0089】
(項目78)被験体における炎症性応答を阻害する方法であって、項目38に記載の方法を包含する方法。
【0090】
(項目79)被験体における線維芽細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する状態を処置する方法であって、項目38に記載の方法を包含する方法。
【0091】
(項目80)上記線維芽細胞は、滑膜線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、肺線維芽細胞、および肝線維芽細胞からなる群より選択される、項目79に記載の方法。
【0092】
(項目81)上記状態が、関節炎、強皮症、および線維症からなる群より選択される、項目79に記載の方法。
【0093】
(項目82)上記関節炎が、慢性関節リウマチ、非リウマチ炎症性関節炎、ライム病に関連する関節炎、または骨関節炎である、項目81に記載の方法。
【0094】
(項目83)上記線維症が、肺線維症、過敏性肺線維症、または塵肺症である、項目81に記載の方法。
【0095】
(項目84)上記肺線維症が、成人呼吸促進症候群に対して続発性である肺線維症、薬物誘導性肺線維症、特発性肺線維症、または過敏性肺炎である、項目83に記載の方法。
【0096】
(項目85)上記塵肺症が、石綿沈着症、珪肺症(siliconosis)、または農夫肺である、項目83に記載の方法。
【0097】
(項目86)上記線維症が、肝臓または肺の線維症疾患である、項目81に記載の方法。
【0098】
(項目87)上記肺の上記繊維症疾患が、慢性関節リウマチもしくは強皮症によって引き起こされる、項目86に記載の方法。
【0099】
(項目88)上記肝臓の上記線維症疾患が、以下からなる群:
C型肝炎;
B型肝炎;
硬変;
中毒性発作に対して続発性である肝硬変;
薬物に対して続発性である肝硬変;
ウイルス感染に対して続発性である肝硬変;
および
自己免疫疾患に対して続発性である肝硬変、
より選択される、項目86に記載の方法。
【0100】
(項目89)上記中毒性発作が、アルコール消費である、項目88に記載の方法。
【0101】
(項目90)上記ウイルス感染が、肝炎B型、C型肝炎または非B非C型肝炎である、項目88に記載の方法。
【0102】
(項目91)上記自己免疫疾患が、原発性胆汁性胆硬変、またはルポイド肝炎である、項目88に記載の方法。
【0103】
(項目92)被験体における内皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する状態を処置する方法であって、項目38に記載の方法を包含する方法。
【0104】
(項目93)上記状態が、アテローム性動脈硬化症、再灌流障害、同種移植片拒絶反応、臓器拒絶反応、および慢性炎症性自己免疫疾患からなる群より選択される、項目92に記載の方法。
【0105】
(項目94)上記アテローム性動脈硬化症が、臓器移植に伴い加速したアテローム性動脈硬化症、項目93に記載の方法。
【0106】
(項目95)上記慢性炎症自己免疫疾患が、脈管炎、慢性関節リウマチ、強皮症、または多発性硬化症である、項目93に記載の方法。
【0107】
(項目96)被験体における上皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する状態を処置する方法であって、項目38に記載の方法を包含する方法。
【0108】
(項目97)上記上皮細胞がケラチン生成細胞であり、そして上記状態が乾癬である、項目96に記載の方法。
【0109】
(項目98)CD40を保有する骨髄腫細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法であって、該方法は、該細胞を、CD40リガンドと該細胞との間の相互作用を阻害し得る因子と該細胞の活性化を阻害する有効量で接触させる工程を包含する、方法。
【0110】
(項目99)被験体において、CD40を保有する骨髄腫細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法であって、該方法は、CD40リガンドと該細胞との間の相互作用を阻害し得る因子を、該被験体において該細胞の活性化を阻害する有効量で該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0111】
(項目100)被験体における骨髄腫細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する状態を処置する方法であって、項目99に記載のCD40を保有する骨髄腫細胞のCD40リガンドによる該細胞表面上の活性化を阻害する方法を包含する、方法。
【0112】
(項目101)上記状態は、多発性骨髄腫である、項目100に記載の方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0113】
詳細な説明
本発明は、細胞の活性化を阻害するために有効量で、CD40リガンドと細胞との間の相互作用を阻害し得る因子と細胞を接触させることを含む、細胞表面にCD40保有細胞のCD40リガンドによる活性化を阻害する方法を提供する。一つの実施態様において、細胞表面にCD40保有細胞は、B細胞以外の細胞である。別の実施態様において、これらは、分化したプラスマ細胞(例えば、ミエローマ細胞)を含む、プラスマ細胞である。
【0114】
本方法は、インビボまたはエクスビボのいずれかにおいてCD40保有細胞の活性化を阻害するために使用され得る。「CD40リガンドとその細胞上のCD40との間の相互作用」は、一つ以上の局面において、機能的または構造的な、CD40-CD40リガンドの相互関係をいう。従って、一つの実施態様において、相互作用を阻害する因子は、CD40リガンドと細胞性CD40の結合をブロックするかまたは減少させるような方法でCD40リガンドと競合的に結合し得る。別の実施態様において、相互作用を阻害する因子は、CD40リガンドと細胞性CD40の結合を阻害しないが、CD40連結への細胞の応答に影響するような様式(例えば、CD40とCD40リガンドの結合動態を変化させることにより、またはCD40結合に対する応答における細胞の活性化の速度または程度を変化させることにより、細胞性CD40またはCD40-因子複合体のターンオーバー速度を変化させる)でCD40またはCD40リガンドと会合し得る。
【0115】
本発明の特定の実施態様において、非B細胞、CD40保有細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リード-スターンバーグ細胞、または樹状細胞である。本発明のより特定の実施態様において、内皮細胞は、ケラチン生成細胞である。別の実施態様において、マクロファージは、泡沫細胞(脂質荷マクロファージ)である。泡沫細胞は、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症)において役割を担う。
【0116】
本発明の一つの実施態様において、因子は、CD40リガンドの細胞上のCD40への結合を阻害する。
【0117】
本発明の一つの実施態様において、因子はタンパク質である。より特定の実施態様において、タンパク質は、抗体またはその一部(例えば、Fab、F(ab’)2、相補性決定部(CDR)軽鎖および/または重鎖、抗体可変部軽鎖および/または重鎖、またはCD40リガンドもしくはCD40リガンド細胞表面レセプターに特異的に結合し得るそれらの部分)を含む。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体であり得る。本発明の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、または霊長類化抗体である。別の実施態様において、抗体の一部は、単鎖抗体を含む。単鎖抗体は、一つのタンパク質鎖においてタンパク質スペーサーによって結合された可変部からなる。
【0118】
上記の方法の一つの実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8が特異的に結合する抗原に特異的に結合する。特定の実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8である。
【0119】
モノクローナル抗体5c8は、ハイブリドーマ細胞(特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約の規定の下、1991年11月14日にAmerican Type Culture Collection (ATCC)12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852, U.S.A.に寄託された)によって産生される。ハイブリドーマは、ATCCアクセス番号HB 10916を与えられた。
【0120】
別の実施態様において、抗体はCD40に特異的に結合する。抗CD40抗体の一つの例は、Genzyme Customer Service (製品80-3702-01, Cambridg, MA)から入手可能なモノクローナルマウス抗ヒトCD40である。別の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体または第1のヒト由来のCDR領域および第2のヒト由来の抗体骨格(scaffold)を含む抗体である。
【0121】
本発明の一つの実施態様において、タンパク質は、CD40-Lの細胞外領域の全てまたは一部からなる可溶性の、モノマーCD40-Lタンパク質またはその改変体である。CD40-Lの細胞外領域は、CD40に結合するドメインを含む。従って、可溶性CD40-Lは、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害し得る。本発明は、sCD40-LがCD40-Lの細胞外領域の全て、またはフラグメントもしくはCD40に結合するドメインを含む誘導体を構成し得ることを意図する。
【0122】
「キメラ」、「霊長類化」および「ヒト化」抗体の意味およびそれらを産生する方法は、当業者に周知である。例えば、1990年7月26日に出願されたPCT国際公開番号第WO 90/07861号(Queenら);およびQueenら、Proc, Nat’l Acad, Sci.-USA (1989) 86: 10029を参照のこと。霊長類化抗体を作製する方法は、例えば、PCT国際公開番号第WO /02108号(国際出願番号第PCT/US92/06194 号(Idec Pharmaceuticals)に対応する);およびNewmanら、Biotechnology (1992) 10:1455-1460(これらは本出願の本明細書中に参照として援用される)に開示されている。
【0123】
一般に、ヒト化抗体は、ヒトフレームワーク領域部分と機能的に結合した非ヒト抗体の一つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む抗体である。必要に応じて、非ヒト抗体に会合したさらなる領域が存在し得る。代表的には、少なくとも一つの重鎖または少なくとも一つの軽鎖が、非ヒトCDRを含む。代表的には、非ヒトCDRはマウスCDRである。一般に、霊長類化抗体は、非ヒト霊長類のフレームワーク領域セグメントに機能的に会合した非ヒト霊長類以外の種の抗体の一つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。必要に応じて、CDRが由来する種に会合したさらなる残基が存在し得る。代表的には、少なくとも一つの重鎖または少なくとも一つの軽鎖は、非ヒト霊長類でない種のCDRを含む。代表的には、CDRはヒトCDRである。一般に、キメラ抗体は、その軽鎖および/または重鎖が異なる種由来の領域を含む抗体である。例えば、一つの種の一つ以上の可変(V)領域セグメントは別の種の一つ以上の定常(C)領域セグメントに結合され得る。代表的には、キメラ抗体は、ヒト定常領域セグメントに結合したマウスの可変領域セグメントを含むが、他の哺乳動物種も使用され得る。
【0124】
本発明の別の実施態様において、タンパク質は、CD40またはその一部、またはその改変体の細胞外領域を含む可溶性のCD40タンパク質(sCD40)である。sCD40は、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害する。sCD40は、モノマーまたはオリゴマー形態であり得る。
【0125】
改変体は、アミノ酸配列においてもしくは配列を含まない方法において、または両方において天然に存在するCD40またはCD40リガンドと異なり得る。アミノ酸配列における改変体は、天然に存在するCD40またはCD40リガンドにおける一つ以上のアミノ酸が異なる天然のアミノ酸、アミノ酸誘導体または非天然のアミノ酸で置換されたときに産生される。特に好ましい改変体は、天然に存在するCD40またはCD40リガンド、または天然に存在するCD40またはCD40リガンドの生物学的に活性なフラグメントを含み、その配列は一つ以上の保存性アミノ酸置換によりその配列が野生型配列と異なり、代表的には、タンパク質またはペプチドの2次構造および疎水的性質に最少の影響を有する。改変体はまた、CD40またはCD40リガンドの生物学的活性を破壊しない一つ以上のアミノ酸非保存的置換、欠失または挿入によって異なる配列を有し得る。保存的置換(置換物)は代表的には、一つのアミノ酸の類似した性質の別のアミノ酸への置換(例えば、以下の群の内の置換:バリン、グリシン;グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン)を含む。非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む。極性中性のアミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンを含む。正電荷(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジンおよびヒスチジンを含む。負電荷(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。
【0126】
他の保存的置換は、表4から得られ得、そしてさらに他はDayhoffによってAtlas of Protein Sequence and Stracture (1988)に記載される。
【0127】
【表4】
本発明の範囲内の他の改変体は、ペプチド安定性を増大させる改変を有する改変体である。そのような改変体は、例えば、ペプチド配列における一つ以上の非ペプチド結合(ペプチド結合を置換する)を含み得る。さらに含まれるのは:天然に生じるL-アミノ酸以外の残基(例えば、D-アミノ酸または天然に生じないアミノ酸もしくはβまたはγアミノ酸のような合成アミノ酸)を含む改変体および環状改変体である。ポリペプチドへのL-アミノ酸のかわりにD-アミノ酸の組み込みは、プロテアーゼへのその耐性を増大し得る。米国特許第5,219,990号を参照のこと。
【0128】
本発明のペプチドはまた、挿入、欠失および保存的かまたは非保存的のいずれかの置換のような種々の変更(このような変更は、それらの使用において特定の利点を提供し得る)によって修飾され得る。
【0129】
他の実施態様において、より保存的でないアミノ酸置換を有する改変体はまた、例えば、電荷、構成および他の生物学的性質における変化を生じることによって所望される誘導体を生じ得る。そのような置換は、例えば、親水性の残基の疎水性の残基との置換(システインまたはプロリンの別の残基との置換)、小さい側鎖を有する残基の巨大な側鎖を有する残基との置換、または正味の正電荷を有する残基の正味の負電荷を有する残基との置換を含む。所定の置換の結果が確実性を持って予測し得ない場合、誘導体は、所望の特徴の存在または不在を決定する本明細書中に開示の方法に従って容易にアッセイされ得る。
【0130】
本発明の範囲内の改変体は、CD40の細胞外領域またはCD40リガンドの細胞外領域と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質およびペプチドを含む。より好ましくは、配列相同性は、少なくとも90%、または少なくとも95%である。
【0131】
骨格(scaffold)の置換物を置き換えることが可能であるように、骨格を修飾する官能基を類似の特徴により特徴付けられる基と置換することもまた可能である。これらの置換は、最初は保存的である、すなわち、置換基は、もとの基とおよそ同じ大きさ、形、疎水性および電荷を有する。非配列改変は、例えば、天然に存在するCD40またはCD40リガンドの一部のインビボまたはインビトロの化学的誘導体、ならびにアセチル化、メチル化、リン酸化、炭素化またはグリコシル化における変化を含む。
【0132】
さらなる実施態様において、CD40リガンドおよびCD40の細胞外領域を含むタンパク質は、その活性が保存される化学的改変によって改変させる。例えば、タンパク質は、アミド化、硫酸化、単一または複数のハロゲン化、アルキル化、カルボキシル化、またはリン酸化され得る。タンパク質はまた(例えば、飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和のアセチル基、ファルネシル部分、または脂肪酸で)単一または複数アシル化され得る。脂肪酸はまた、単一または複数フッ素化され得る。本発明はまた、タンパク質のメチオニンアナログ(例えば、メチオニンスルホンおよびメチオニンスルホキシドアナログ)を含む。本発明はまた、タンパク質の塩(例えば、アンモニウム塩(アルキルまたはアリールアンモニウム塩)、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸化水素塩、リン酸化2水素、チオ硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、安息香酸塩、スルホン酸塩、チオスルホン酸塩、メシレート、エチルスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩)を含む。
【0133】
可溶性の、モノマー性CD40-Lタンパク質は、CD40-Lの細胞外領域の全てまたは一部を含み得る。CD40-Lの細胞外領域は、CD40に結合するドメインを含む。従って、可溶性のCD40-Lは、CD40LとCD40保有細胞との間の相互作用を阻害し得る。本発明は、sCD40-Lが、CD40-Lの細胞外領域の全てもしくはフラグメントまたはCD40に結合するドメインを含む誘導体を構成し得ることを意図する。
【0134】
本発明の別の実施態様において、CD40の可溶性の細胞外領域またはその一部を含むタンパク質は、CD40の細胞外領域またはその一部に融合したFc領域をさらに含む。特定の実施態様において、Fc領域は、プロテインAまたはプロテインGに結合し得る。別の実施態様において、Fc領域はIgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgA1、IgA2、IgM、IgDまたはIgEを含む。
【0135】
本発明の別の実施態様において、sCD40は、CD40/Fc融合タンパク質を含む。融合タンパク質は、所望の配列由来のフラグメントを酵素的切断および連結の従来技術を用いて調製され得る。融合タンパク質のために適切なFc領域は、プロテインAまたはプロテインGに結合し得るFc領域であるかまたは、Fc領域を含む融合タンパク質の精製または検出において使用され得る抗体によって認識され得るFc領域である。例えば、Fc領域はヒトIgG1またはマウスIgG1のFc領域を含み得る。本発明はまた、CD40/Fc融合タンパク質をコードする核酸分子を提供する。
【0136】
組換え手段により膜通過および細胞質ドメインをコードする配列が欠失される可溶性形態の膜分子を作成する方法は、周知である。一般的には、Hammondsら、米国特許第5,057,417号を参照のこと。さらに、sCD40およびCD40/Fcの融合タンパク質を調製する方法も周知である。例えば、PCT国際公開番号第WO 93/08207;Fanslowら、「Soluble Forms of CD40 Inhibit Biologic Responses of Human B Cells.」J. Immunol.,149巻、655-60頁(1992年7月)を参照のこと。
【0137】
本発明の実施態様において、因子は低分子である。本明細書中に使用されるように、低分子は、20Daと1×106Daの間、好ましくは50Da〜2kDaの分子量を有する化合物である。
【0138】
本発明の実施態様において、因子は、スクリーニング方法により選択される。
【0139】
特定の実施態様において、低分子または他の因子は、以下の工程を包含するスクリーニング法によって選択される:細胞サンプル(例えば、動物由来の生物学的液体(例えば、血液))を単離する工程;それに含まれるCD40保有細胞の活性化を許容する条件下でサンプルを培養する工程;CD40保有細胞を活性化するために有効な、ATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質を発現している細胞、またはATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質とサンプルとを接触させる工程;低分子がCD40保有細胞の活性化を阻害し得る場合、CD40保有細胞の活性化を阻害するのに有効な一定量の低分子(すなわち他の薬学的化合物または因子)とサンプルを接触させる工程;およびATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質を発現する細胞またはATCCアクセス番号HB 10916を有するハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体5c8により特異的に認識されるタンパク質を有する細胞が、低分子(すなわち他の薬学的化合物または因子)の存在下でCD40保有細胞を活性するかどうかを決定する工程。細胞サンプルは、培養における細胞株または動物から単離された細胞(例えば、固形組織から分散させた細胞、骨髄生検由来の細胞、または体液(例えば血液もしくはリンパ液)から単離された細胞)を含む種々の組織から単離され得る。
【0140】
別の特定の実施態様において、細胞上でのCD40リガンドとCD40との間の相互作用を阻害し得る因子(分子)は、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその一部の3次元構造に基づいて選択される。因子は、既知の因子のライブラリーから選択され、既知の因子から3次元構造に基づいて改変されるか、または3次元構造に基づいて新たに設計されそして合成され得る。特定の実施態様において、因子(分子)は、CD40リガンドの可溶性細胞外領域またはその一部とリード阻害因子との複合体の3次元構造に基づく、リード阻害因子の構造最適化により、設計される。リード阻害因子は、同定されている分子であり、CD40リガンドまたはその一部に接触したときに、CD40リガンドの可溶性細胞外領域、CD40、またはその一部と結合しそして複合体化し、それにより複合体化したまたは結合したCD40リガンドまたはCD40リガンドの一部の、CD40保有細胞を活性化する能力を減少させる、分子である。別の実施態様において、リード阻害因子は、CD40リガンドの細胞外領域、CD40、またはCD40リガンドの一部およびCD40の両方との第3の複合体のいずれかと相互作用することにより作用し得、複合体化したCD40リガンド-CD40の、CD40保有細胞を活性化する能力を減少させる。本発明の方法において、CD40リガンドは、可溶性であり得るかまたは細胞(例えば、活性化T細胞)に結合しているかのいずれかであり得、そして全長の天然CD40リガンドまたはその一部のいずれかであり得る。CD40保有細胞を活性化する能力の減少は、異なる方法で測定され得る。一つの方法では、CD40リガンドが、阻害剤の存在下で、同様の条件下で、阻害剤なしで同様の量のCD40リガンドでの細胞の処置と比較して、CD40保有細胞の活性化を引き起こす程度がより低いことを示すことにより測定され得る。CD40保有細胞を活性化する能力の減少はまた、結合していないCD40リガンドと比較して、同様の条件下でCD40を保有する細胞と同程度の活性化を生じるためにはより高い濃度の阻害剤-CD40リガンド複合体が必要とされることにより示され得る。極端には、阻害剤に接触したCD40リガンドは、結合していないCD40リガンドまたはその一定の一部によりこれらの細胞を活性化し得る濃度および条件下では、CD40保有細胞を活性化し得ない。
【0141】
因子(低分子)は、残基Gly116-Leu261(sCD40L(116-261))を含むヒトCD40Lの細胞外ドメインの可溶性フラグメントの結晶構造を用いて、コンピュータースクリーニング方法により選択され得る。
【0142】
スクリーニング方法で使用されるべき結晶構造は、分子置換方法により、2Åの解像度で決定され得る。簡潔に述べると、アミノ酸残基Gly116からC末端残基Leu261を含むヒトCD40リガンドの細胞外ドメインの可溶性フラグメントは、まず可溶性形態に生成され、次いで精製されそして結晶化される。結晶は、Elliot GX-13発生機のX線光線で、回析能力について試験され得る。分子置換および洗練は、XPLORプログラムパッケージおよびQUANTA (Molecular Simulations, Inc.)ソフトウェアを用いて行われ得る。詳細には、ヒトsCD40L3次元モデルは、マウスCD40Lモデルを用いて、QUANTAタンパク質相同性モデリングソフトウェアを用いて構築され得る。このモデルは、次いで、XPLORを用いて、分子置換計算のためのプローブとして使用され得、そして洗練され得る。sCD40Lの結晶構造を決定するこの方法は、Karpusasら、「ヒトCD40リガンドの細胞外フラグメントの2Å結晶構造」、Structure (1995年10月) 3(10):1031-1039によってさらに詳細に記載されている。sCD40L(116-261)の原子座標は、図17A〜Yに提供される。因子を選択するためのスクリーニング方法は、以下に記載するように、コンピューター因子設計および反復的構造最適化を含む。
【0143】
因子は、コンピューター因子設計を用いて選択された低分子阻害剤であり得る。本方法を使用して、sCD40L結晶構造座標は、CD40に結合することが予測される低分子構造のリストを出力するコンピュータープログラム(例えば、DOCKのような)のための入力として使用される。そのようなコンピュータープログラムの使用は、周知である。例えば、Kuntz、「薬物の設計および発見のための構造に基づくストラテジー」、Science、257巻、1078頁(1992)を参照のこと。次いで、低分子構造のリストは、CD40結合について生化学的アッセイによりスクリーニングされ得る。周知の、競合型生化学アッセイが使用され得る。例えば、Bajorathら、「レセプター-リガンド相互作用に必須の、CD40の残基およびそのリガンドの同定」Biochemistry, 34, 1833頁(1995)を参照のこと。次いで、CD40Lに結合することが見出されている構造は、本発明のための因子として使用され得る。因子はまた、構造最適化の相互作用サイクルによって決定された、改変された低分子であり得る。このアプローチを用いて、上記のコンピューターアプローチまたは他のアプローチを用いて見出されたCD40Lの低分子阻害剤は、sCD40Lおよび分子置換によって解明された複合体の結晶構造と同時結晶化され得る。この情報は、この分子がCD40Lとどのように相互作用しているかを明らかにすることにより、分子置換を、低分子阻害剤の構造を最適化するために使用し得ることを示した。低分子は、CD40Lに対する特異性および親和性を含む、その生理化学的特性を向上するために改変され得る。
【0144】
本発明の実施態様において、因子は、細胞表面上のCD40に特異的に結合する。特定の実施態様において、因子はタンパク質(例えば、抗体またはCD40リガンドの細胞外領域)である。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、キメラ化またはヒト化されていることが好ましい。モノクローナル抗体はまた、霊長類化(primatized)され得る。
【0145】
インビボ使用
本発明は、被験体において、細胞表面にCD40を保有する細胞のCD40リガンドにより活性化を阻害する方法を提供する。本方法は、CD40リガンドと細胞の間の相互作用を阻害し得る因子を、被験体中での活性化を阻害するに有効な量で、被験体に投与する工程を包含する。1つの実施態様において、細胞表面にCD40を保有する細胞は、B細胞以外の細胞である。別の実施態様において、これらは、ミエローマ細胞のような分化したプラスマ細胞を含む、プラスマ細胞である。
【0146】
本発明の特定の実施態様において、B細胞ではないCD40保有細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、T細胞、好塩基球、マクロファージ、リード-スターンバーグ細胞、または樹状細胞である。本発明のより特定の実施態様において、内皮細胞は、ケラチン生成細胞である。別の実施態様において、マクロファージは、泡沫細胞(脂質積載(lipid-laden)マクロファージ)である。泡沫細胞は、自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症)において役割を担う。
【0147】
本発明の1つの実施態様において、因子はタンパク質である。より特定の実施態様において、タンパク質は、抗体またはその一部(例えば、Fab、F(ab’)2、相補性決定部(CDR)軽鎖および/または重鎖、抗体可変領域軽鎖および/または重鎖、またはCD40リガンドもしくはCD40リガンド細胞表面レセプター、あるいはCD40に特異的に結合し得るその一部)を含む。抗CD40抗体の1つの例は、モノクローナルマウス抗ヒトCD40、Genzyme Customer Serviceから入手可能(製品80-3702-01, Cambridge, MA)である。抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。本発明の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、または霊長類化抗体である。別の実施態様において、抗体の一部は、単鎖抗体を含む。単鎖抗体は、一つのタンパク質鎖においてタンパク質スペーサーによって結合された可変領域からなる。
【0148】
上記の方法の1つの実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8(ATCCアクセス番号HB 10916)が特異的に結合する抗原に特異的に結合する。特定の実施態様において、因子は、モノクローナル抗体5c8(ATCCアクセス番号HB 10916)である。
【0149】
本発明の化合物は、医療的に受容可能な任意の様式で投与され得る。これは、腸管外経路(例えば、静脈内、血管内、動脈内、皮下、筋肉内、腫瘍内、腹腔内、心(脳)(intraepidual)室内、硬膜内など)による注射、ならびに経口、経鼻、経眼、直腸、局所、または吸入を含み得る。例えば、手術中に直接適用される腐食可能な移植物の蓄積注射のような手段による徐放投与もまた、特異的には、本発明に含まれる。
【0150】
化合物は、医療的に受容可能な体重当たり任意の用量および任意の投薬頻度で投与される。例えば、本発明の化合物について(特に、本発明の抗体または抗体部分について)受容可能な用量は、0.01mg/kgと200mg/kg被験体体重の間の範囲を含む。用量範囲は、約0.1mg/kgと50mg/kgの間である。なおより特定の実施態様において、用量は、約1mg/kgと30mg/kgの間である。投薬は、毎日から一月おきの範囲の間隔で繰り返される。1つの用量のレジメは、本発明の化合物を処置の最初の3日間は毎日投与し、その後に、化合物は3週間ごとに投与され、各投与は静脈内で5または10mg/kg体重である。
【0151】
別のレジメは、本発明の化合物を静脈内に5mg/kg体重で、処置の最初の3日間毎日投与し、その後化合物を、皮下または筋肉内に被験体当たり10mgで毎週投与することである。別のレジメは、一用量の本発明の化合物を非経口で20mg/kg体重で投与し、続いて化合物を、皮下または筋肉内に被験体当たり10mgで毎週投与することである。
【0152】
本発明の化合物は、特定の適応症(例えば、被験体が短時間曝された抗原(例えば、処置の一日に投与された外来性抗原)に対する免疫応答を阻害する)のために単回投薬として投与され得る。そのような抗原の例は、遺伝子治療ベクターまたは抗原性因子もしくは血液製剤のような治療剤と本発明の化合物との同時投与を含む。抗原が慢性的に存在する適応症(例えば、移植組織または長期的に投与される抗原性因子に対する免疫反応の制御において)において、本発明の化合物は、医療的に適応される時間の間、数日または数週間から、被験体の一生までの範囲の間隔で投与される。
【0153】
本発明は、被験体における炎症反応を阻害する方法を提供する。本方法は、被験体におけるCD40リガンドによる細胞表面にCD40を保有するB細胞以外の細胞(例えば線維芽細胞、内皮細胞、ケラチン生成細胞)の活性化を阻害する上記の方法を包含する。炎症反応は、浮腫および食作用性白血球の遊走を伴う毛細血管膨張の結果としての発赤、腫張、発熱および疼痛によって特徴付けられる。炎症は、Gallin(26章、Fundamental Immunology, 第2版、Raven Press, New York,1989,721-733頁)によってさらに定義され、これは本明細書中に参照として援用される。
【0154】
本方法は、任意の線維芽細胞の活性化の阻害において効果的である。特定の実施態様において、線維芽細胞は、滑膜線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、肺線維芽細胞、または肝線維芽細胞である。特定の実施態様において、線維芽細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存する症状は、関節炎、強皮症および線維症(例えば、肝臓および肺の線維性疾患)からなる群から選択される。本発明の実施態様において、肺の線維性疾患は、慢性関節リウマチまたは強皮症から生じる。
【0155】
本発明の1つの実施態様において、関節炎は、慢性関節リウマチ、非リウマチ炎症関節炎、ライム病に伴う関節炎、または骨関節炎である。別の特定の実施態様において、線維症は、肺線維症、過敏性肺線維症、または塵肺症である。別の特定の実施態様において、肝臓の線維性疾患は、C型肝炎、B型肝炎、非B非C肝炎、肝硬変、あるいは中毒性発作(toxic insult)、薬物、ウイルス感染、または自己免疫疾患に続発する肝硬変である。アルコール消費は、肝硬変を生じ得る中毒性発作の一つの例である。肝硬変を生じ得る一つの薬の例は、ブレオマイシンである。他は当該分野に公知である。
【0156】
肝臓の線維性疾患を生じ得るウイルス感染の例としては、当該分野に公知であるものの中でとりわけ、C型肝炎、B型肝炎、非B非C肝炎が挙げられる。肝臓の線維性疾患を生じ得る自己免疫疾患の例としては、当該分野に公知であるものの中でとりわけ、原発性胆汁性胆硬変、およびルポイド肝炎(自己免疫性肝炎)が挙げられる。特定の実施態様において、肺線維症は、成人呼吸促進症候群(ARDS)に続発する肺線維症、因子誘導性肺線維症、特発性肺線維症、または過敏性肺炎である;塵肺症は、石綿症、珪肺症、または農夫肺、ならびに他の本発明が関係する当該分野に公知の塵肺症である。
【0157】
本発明は、被験体における内皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供し、本方法は、被験体においてCD40リガンドによる内皮細胞の活性化を阻害する上記の方法を包含する。
【0158】
本発明の実施態様において、被験体における内皮細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状は、アテローム性動脈硬化症、再灌流障害、同種移植片拒絶反応、臓器拒絶反応、および慢性炎症性自己免疫疾患からなる群から選択される。
【0159】
特定の実施態様において、アテローム性動脈硬化症は、臓器移植に伴い加速したアテローム性動脈硬化症である。臓器移植拒絶反応に伴い加速したアテローム性動脈硬化症におけるインサイチュでのCD40およびCD40Lの発現が、研究されている。アテローム性動脈硬化症の加速のために再移植が必要な4人の心移植患者由来の冠動脈の凍結切片が、抗CD40 mAb G28.5、抗CD40L mAb 5C8、またはコントロールmAbを用いて日常的な免疫組織化学により分析された。日常的なH&E染色により、疾患に伴う典型的な内膜過形成、平滑筋細胞増殖、および炎症細胞浸潤が示された。CD40は、病変において広範に発現した:内皮細胞、泡沫細胞および浸潤性炎症細胞の全てがCD40を発現する。CD40L免疫活性は、浸潤している単核細胞(おそらくはCD4+T細胞である)の、不連続な、ぼんやりした染色として観察された。共に、これらの研究は、CD40L+単核細胞およびCD40+内皮細胞、泡沫細胞、および炎症性細胞の、移植に伴い加速したアテローム性動脈硬化症の病変における、インサイチュの存在を実証する。
【0160】
別の特定の実施態様において、慢性炎症自己免疫疾患は、脈管炎、慢性関節リウマチ、強皮症、または多発性硬化症である。
【0161】
本発明は、被験体におけるケラチン生成細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供する。本方法は、被験体におけるCD40リガンドによるケラチン生成細胞の活性化を阻害する、上記の方法を包含する。
【0162】
特定の実施態様において、ケラチン生成細胞のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状は、乾癬である。
【0163】
本発明は、被験体におけるマクロファージのCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供する。本方法は、被験体におけるCD40リガンドによるマクロファージの活性化を阻害する、上記の方法を包含する。特定の実施態様において、マクロファージのCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状は、アテローム性動脈硬化症または慢性関節リウマチである。
【0164】
上記の方法により処置され得る被験体は、動物である。好ましくは、動物は哺乳動物である。処置され得る哺乳動物の例としては、ヒト;齧歯類(例えば、ネズミ科動物のラットおよびマウス)、ならびにウサギ、およびモルモット;ウシ;ウマ;ヒツジ;ヤギ;ブタ;イヌ、およびネコが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
本発明はまた、被験体におけるプラスマ細胞(悪性プラスマ細胞を含む)のCD40リガンド誘導性活性化に依存した症状を処置する方法を提供する。本方法は、被験体に、CD40リガンドと細胞との相互作用を阻害し得る因子を、被験体における細胞の活性化を阻害する有効量で投与する工程を包含する。プラスマ細胞は、分化したT細胞である。特定の実施態様において、症状は多発性骨髄腫である。
【0166】
本発明は、細胞上にCD40保有細胞の増殖を促進する方法を提供する。本方法は、細胞の増殖を促進するに有効な量のCD40リガンドと細胞とを接触させる工程を包含する。1つの実施態様において、細胞は、B細胞以外の、細胞表面にCD40を有する細胞である。特定の実施態様において、細胞表面にCD40を有する非B細胞は、内皮細胞、線維芽細胞、上皮細胞、T細胞、または好塩基性球である。別の実施態様において、細胞は、骨髄腫細胞のような分化したプラスマ細胞を含む、プラスマ細胞である。
【0167】
本発明はさらに、本明細書中に記載された、CD40リガンドと細胞表面にCD40を保有する細胞との相互作用を阻害し得る治療有効量の因子、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を提供する。
【0168】
本発明は、以下の「実験の詳細」からよりよく理解される。しかし、当業者は、以下の請求の範囲により十分に記載されるように、議論された特定の方法および結果は本発明の単なる例示であることを容易に認識する。
【実施例】
【0169】
実験の説明
第1の一連の実験
材料および方法
研究患者
研究したRA患者の全ては、RAについてのAmerican College of Rheumatology criteriaに適合した(19)。OAの診断法は、臨床的基準および放射線写真法基準を利用して、患者の治療医によって確立された。原因不明の慢性炎症性関節炎(IA)患者の一人もまた、研究された。
【0170】
モノクローナル抗体およびT細胞株
IgG2aマウス抗CD40L mAb(5C8)を、予め作製した(3)。ハイブリドーマ抗MHCクラスI(W6/32)、抗MHCクラスII(L243)、抗CD14(3C10)、抗CD40(G28.5)、および抗CD45(GAP 8.3)を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(Rockville, MD)から購入した。ハイブリドーマ腹水を、プロテインGカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)で精製した。抗CD13および抗CD54 mAbを、Biosource International(Camarillo, CA)から購入した。抗CD106 mAbは、Biogen(Cambridge, MA)の好意によって提供され、そして前記のようにビオチン化した(20)。FACS分析に利用されるイソタイプコントロールmAbは、Becton-Dickinson(San Jose, CA)またはCaltag(South San Francisco, CA)から購入した。P1.17は、Biogenから入手したコントロールIgG2aマウス mAbであり、機能研究用に利用する。
【0171】
D1.1は、CD40Lを構成的に発現する、ジャーカットT細胞サブクローンである(3、21)。B2.7は、CD40L−ジャーカットサブクローンである(3、21)。全長のCD40Lタンパク質を発現する、CD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体を、前記報告のように作製した(20)。
【0172】
線維芽細胞の単離
滑膜を、関節置換手術を受けた6人のRA患者または8人のOA患者から得た。1人のIA患者からのSMを、関節鏡で採取した。SMを小片に刻み、100 mm組織物培養ペトリ皿(Corning, Corning, NY)、または25 cm2フラスコ(Costar, Cambridge, MA)中で、10% FCS(Summit Biotechnology, Ft. Collins, CO)および1%ペニシリンーストレプトマイシン(Sigma, St. Louis, MO)(10%FM)を補充した、イソコブ(Isocove)の改変ダルベッコ培地(Gibco, Grand Island, NY)で培養した。滑膜細胞(synoviocyte)を数日間接着させ、その時点で組織デブリおよび非接着細胞を除去した。滑膜細胞をコンフルーエンスまで増殖させ、1%トリプシンーEDTA(Sigma)で処理して継代した。滑膜細胞を、インビトロで、1−6継代の間研究した。2回目の継代後に凍結された正常の皮膚線維芽細胞株(CCD 965SK)を、ATCCから入手した。皮膚線維芽細胞株を、2〜4継代間研究した。
【0173】
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの効果の研究
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの影響を研究するために、細胞を6ウエルプレート(Nunc, Denmark)中で培養し、そしてほぼコンフルーエンスまで増殖させた。培地を吸引し、次いで線維芽細胞を、指示濃度のrINF-γ(Biogen)、rIL-1α(R&D, Minneapolis. MN)、rTNF-α(Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)、rIL-4(Biosource International)、rGM-CSF(Immunex, Seattle, WA)、またはサイトカインの組み合わせと共に、3mlの10% FM中で培養した。指示時間で、その培地を吸引し、細胞を生理食塩水で洗浄し、そして1mlの1%トリプシンーEDTAをウエルに添加した。7分後に、冷却10% FMをウエルに添加し、そして細胞をFACS分析用に回収した。
【0174】
線維芽細胞CD40連結の機能的重要性の研究
線維芽細胞表面分子の発現に対するCD40連結の効果を測定するために、線維芽細胞を上記のように6ウエルプレート中で培養した。線維芽細胞がほぼコンフルーエンスのときに、1× 106CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD40Lジャーカット B2.7細胞、またはCD40L+ジャーカットB2.7のトランスフェクト体を、培養物に添加した。指示されている場合、D1.1細胞を、線維芽細胞への添加の前に、抗CD40L mAb 5C8(10μg/ml)またはイソタイプコントロール mAb P1.17(10μg/ml)で前処理した。24時間後に、細胞をトリプシン処理によって回収し、そして二色FACS分析を実施した。
【0175】
線維芽細胞増殖に対するCD40連結の効果を測定する研究のために、約5× 103細胞を、平底96ウエルプレート(Nunc)の10% FM中に添加した。18時間後に、培地を1% FMに替え、そしてrINF-γ 1000 U/mlを指示の細胞に添加した。さらに18時間後に、1% FM中の、1×105のマイトマイシン-C(Sigma)処理したCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体またはCD40LジャーカットB2.7細胞を、線維芽細胞に添加した。抗CD40L mAb 5C8(5μg/ml)またはコントロールmAb P1.17(5μg/ml)もまた、指示されているようにいくつかのウェルに添加した。10% FMを、SM線維芽細胞増殖誘導のために、コントロールとしていくつかの細胞に添加した。培養をさらに48時間維持し、そして実験の最後の18時間、1μCi 3Hチミジンを適用した。トリプシン処理後に、3Hチミジン取り込みを、ガラスファイバーフィルター紙(Cambridge Technologies, Watertown, MA)に回収し、そしてシンチレーション計数(BetaCounter, Pharmacia)して測定した。
【0176】
IL-6産生に対するCD40連結の効果を測定するために、IL-6応答性マウスB細胞株B9を使用するバイオアッセイを実施した(22)。10% FM中の同数の線維芽細胞を、上記のように、96ウエルプレートに播種した。一晩接着させた後に、1×105のマイトマイシンーC処理したCD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD40LジャーカットB2.7細胞、またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体を、線維芽細胞に添加した。指示されている場合、D1.1細胞を、抗CD40L mAb 5C8(10μg/ml)またはコントロール mAb P1.17(10μg/ml)で前処理した。ジャーカット細胞からなるコントロールウエルを単独で培養した。48時間後に、線維芽細胞、またはコントロール上清、またはrIL-6の段階希釈液を、96ウエルプレート中の7.5×103 B9細胞に添加した。B9細胞を、96時間培養で維持し、最後の18時間、1μCi 3Hチミジンを適用し、上記のように回収した。
【0177】
サイトフルオログラフィー分析
サイトフルオログラフィー分析を利用する方法は、以前に記載されている(21)。全実験で、細胞をまず、凝集ヒト免疫グロブリン(Enzyme International, Fallbrook, CA)で処理して、非特異IgG結合をブロックした。一色FACS分析については、細胞を、飽和濃度の一次抗体で、4℃にて30〜60分間染色した。洗浄後に、FITC結合F(ab)2ヤギ抗マウスIgG(Cappel, Cochranville, PA)を、4℃にて30〜60分間添加した。細胞を洗浄して、そしてFACS分析前に、1%ホルムアルデヒドで固定した。二色FACS分析については、細胞を、指示のFITCまたはPE結合mAbで、4℃にて30〜60分間、同時に染色した。蛍光強度を、Consort-30ソフトウェア(Becton-Dickinson, Mountainview, CA)によって、FACScanサイトフルオログラフで測定した。平均蛍光強度(MFI)は、Becton-Dickinson C30ソフトウェアによって計算されたように、logスケールに標準化された値のことである。
【0178】
結果
培養SMまたは皮膚線維芽細胞でのCD40の発現
SM線維芽細胞がCD40を発現するかどうかを決定するために、6人のRA、1人のIA、または8人のOA患者由来のSMをまず細かく刻み、培養に置いて、その後に非接着細胞を排棄した。予測されるように、接着細胞の初代培養物は、形態学および表現型に関して多型的(pleiomorphic)であった。少数の細胞は、マクロファージの放射状形態または円形の外観特性であると見なされた。しかし、初代培養物中の細胞の大多数は、線維芽細胞様形態および表現型(すなわち、CD45−CD14−クラスII−を有していた(図1)。実質的に全細胞が、インビトロでの2〜3継代後に、線維芽細胞様形態および表現型を有していた。
【0179】
5つのRA線維芽細胞株を、インビトロでの1回目または2回目継代後のCD40発現について研究し、そしてそれらは、FACS分析ではCD40+であった(図1)。IA線維芽細胞株は、同様にCD40を発現した(表1)。1つのRA線維芽細胞株は、分析前に2ヶ月培養し、それはCD40−であった(データは示さず)。8つのOA線維芽細胞株を、インビトロで1回目または2回目継代後にCD40発現について研究し、そしてそれらは全てCD40+であった(図1)。線維芽細胞CD40発現が、SM線維芽細胞に限られるかどうかを決定するために、正常皮膚線維芽細胞を、2〜4継代後に、CD40発現についてインビトロで分析した。変化し得る程度で、研究した3つの皮膚線維芽細胞株全てもまた、細胞表面CD40分子を発現する(図2)。しかし、滑膜または皮膚線維芽細胞でのCD40発現は、培養時間が増すにつれて減少し、いくつかの線維芽細胞株は、3〜4継代後にCD40−になった(データは示さず)。これらの研究は、種々の関節炎患者から単離された、皮膚線維芽細胞またはSM線維芽細胞が、インビトロでCD40を発現し得ることを、実証する。
【0180】
線維芽細胞CD40発現に対するサイトカインの効果
インターフェロンーγ(INF-γ)は、B細胞(23)、マクロファージ(12)、および胸腺上皮細胞(15)上で、CD40発現をアップレギュレートすることが知られている。さらに、IL-1αまたはTNF-αは、胸腺上皮細胞でのCD40発現をアップレギュレートする(15)。従って、次に、rINF-γ、rIL-1α、またはrTNF-αが、培養SM線維芽細胞でのCD40の発現を調節するかどうかが問われた。細胞を、指示のサイトカインとともに培養し、そしてCD40発現をFACS分析によって測定した。これらのサイトカインの、SM線維芽細胞表面分子の発現に対する効果のコントロールとして、CD54(ICAM-1)発現もまた測定した(24)。rINF-γは、SM線維芽細胞CD40発現をアップレギュレートする(表1および図3)。対照的に、rIL-1αおよびrTNF-αは、SM線維芽細胞CD40発現に対する効果は最少限である(表1および図3)。しかし、rIL-1αまたはrTNF-αのいずれかは、SM線維芽細胞CD40発現に対してrINF-γの効果を増大する(図3)。rINF-γもまた、培養時の連続継代中にCD40発現を消失したSM線維芽細胞での、CD40発現を誘導する(データは示さず)。さらに、rINF-γは、皮膚線維芽細胞上でのCD40発現をアップレギュレートする(図2)。rIL-4またはrGM-CSFは、B細胞(25)または単球(12)それぞれでのCD40発現をアップレギュレートする。しかし、rIL-4またはrGM-CSFは、SM線維芽細胞CD40発現に対して効果を有さない(データは示さず)。まとめとして、これらの研究は、rINF-γが、線維芽細胞CD40発現を誘導しそしてアップレギュレートし、そしてrIL-1αまたはrTNF-αの添加がこの効果を増大することを実証する。
【0181】
SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)およびCD106(VCAM-1)発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果
CD40誘導は、B細胞上の種々の細胞表面分子(接着分子を含む)をアップレギュレートすることが知られているので(26)、CD40連結が、SM線維芽細胞でのCD54またはCD106発現をアップレギュレートするかどうかを、決定した。SM線維芽細胞を、抗CD40L mAb 5C8またはコントロールmAbの存在下または非存在下で、CD40L+ジャーカットD1.1細胞とともに培養した。SM線維芽細胞もまた、CD40L−ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体とともに培養した。指示の培養時間後に、SM線維芽細胞CD54またはCD106発現を二色FACS分析によって決定した。CD13発現を、ジャーカットT細胞とSM線維芽細胞とを識別するために利用した(27)。CD40L+D1.1細胞は、mAb 5C8によって特異的に阻害されるがコントロールmAbによっては阻害されない様式で、SM線維芽細胞CD54発現(図4および5)の2〜4倍増大を誘導するが、コントロールCD40L−B2.7細胞は誘導しなかった(図4)。さらに、CD40L+D1.1およびCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細胞CD106発現を同様にアップレギュレートしたが、コントロールCD40L− B2.7細胞はしなかった(図5)。まとめて、これらの結果は、CD40L-CD40相互作用が、SM線維芽細胞CD54およびCD106発現をアップレギュレートすることを実証する。
【0182】
SM線維芽細胞IL-6分泌に対するCD40連結の効果
CD40の連結は、B細胞(28)および単球(12)のIL-6産生を誘導する。興味深いことに、SM線維芽細胞は、インビボ(29,30)およびインビトロ(31)でIL-6を産生する。次の一連の実験では、CD40L-CD40相互作用が、SM線維芽細胞によるIL-6分泌をもたらすかどうかを確かめた。従って、SM線維芽細胞を、抗CD40L mAb 5C8またはコントロールmAbの存在下または非存在下で、マイトマイシン-C処理CD40L+ジャーカットD1.1細胞とともに培養した。さらに、SM線維芽細胞を、CD40L−ジャ−カットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体とともに培養した。単独で培養されたジャーカット細胞由来の線維芽細胞上清またはコントロール上清を48時間後に回収し、希釈液をIL-6応答性マウスB細胞株B9に添加した。D1.1細胞およびCD40L+ B2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細胞IL-6分泌を増大するが、CD40L B2.7細胞は増大しない(図6)。さらに、抗CD40L mAb 5C8は、D1.1細胞のこの効果を阻害するが、コントロールmAbは阻害しない。単独で培養されたジャーカット細胞から回収されたコントロール上清は、B9増殖を誘導しなかった(図6の説明を参照のこと)。これらの研究は、SM線維芽細胞上でのCD40連結が、IL-6分泌を増大することを示す。
【0183】
SM線維芽細胞増殖に対するCD40L-CD40相互作用の効果
CD40連結はB細胞増殖を誘導するので(5,21)、次に、CD40L+細胞が、SM線維芽細胞の増殖を誘導するかどうかが問われた。従って、SM線維芽細胞を、以前に記載されたように(32)増殖を阻止するために1% FM中で一晩培養し、他に示されていなければ、1% FM中でさらに細胞の添加を実施した。次いで、マイトマイシン-C処理CD40L+B2.7トランスフェクト体またはCD40L−B2.7細胞を、そのSM線維芽細胞に添加した。指示されている場合、共培養実験はまた、抗CD40L mAb 5C8またはイソタイプコントロールmAb P1.17を包含していた。いくつかの実験で、CD40L+B2.7トランスフェクト体を添加する前に、SM線維芽細胞を、rINF-γで一晩前処理した。線維芽細胞は、10% FCS((32))を含有する培地の存在下で、増殖することが知られているので、各実験には、10% FM中で培養されたコントロール線維芽細胞を含めた。3Hチミジン取り込みは、48時間後に測定した。CD40L− B2.7親細胞とは対照的に、CD40L+ B2.7トランスフェクト体は、SM線維芽細胞増殖を誘導する(図7)。さらに、抗CD40L mAb 5C8は、CD40L+ B2.7トランスフェクト体の線維芽細胞増殖を誘導する能力を特異的に阻害する(図7)。さらに、SM線維芽細胞のrINF-γでの前処理により、CD40L+ B2.7トランスフェクト体のSM線維芽増殖を誘導する能力が増大される(図8)。まとめて、これらのデーターは、CD40L媒介シグナルが、インビトロでSM線維芽細胞増殖を誘導し、この効果はrINFーγによって増強されることを実証する。
【0184】
考察
この研究により、以下の(1)から(5)を特に実証することによって、CD40の発現および機能の現在の知識を拡大される:(1)培養SMまたは皮膚線維芽細胞は、FACS分析によって決定されるように、細胞表面CD40分子を発現する;(2)rINF-γは、線維芽細胞CD40発現をアップレギュレートし、そしてこの効果はrIL-1αまたはrTNF-αによって増大される;(3)CD40L-CD40相互作用は、SM線維芽細胞CD54およびCD106発現をアップレギュレートする;(4)CD40の連結は、SM線維芽細胞のILー6産生を増大し、そして、(5)SM線維芽細胞増殖を誘導する。まとめて、これらのデータは、CD40L-CD40相互作用がインビトロで線維芽細胞を機能的に活性化することを実証する。
【0185】
いくつかの一連の証拠から、T細胞がインビボで線維芽細胞機能を調節することが示唆される。このことは、線維芽細胞が、細胞外マトリックスタンパク質を産生することにより組織損傷後に修復の役割を果たすので重要である。さらに、リンパ球、マクロファージ、および線維芽細胞は、ある種の感染症に特徴的な肉芽腫性炎症反応で優勢な細胞型である。さらに、T細胞は、強皮症または慢性移植片対宿主病のような疾患で見られる線維芽細胞活性化およびコラーゲン沈着を、直接または間接に媒介する(33-35)。
【0186】
動物モデルは、T細胞が、組織損傷に対する宿主応答中に、線維芽細胞の機能を調節することを実証する。これに関しては、創傷治癒の研究により、創傷強度およびヒドロキシプロリン含有量が、シクロスポリンA(36)またはT細胞涸渇抗Thy 1.2 mAb(37)でマウスを処置することによって有意に減少することが示される。T細胞もまた、線維症の種々の動物モデルでの結果を調節する。例えば、ブレオマイシン誘導性肺線維症は、胸腺機能が正常な(euthymic)コントロールマウスに比較して、無胸腺マウスで有意に緩和される(38)。さらに、関節または肝臓の炎症反応およびコラーゲン沈着もまた、連鎖球菌細胞壁抽出物の腹腔内注入後に、無胸腺ラットで有意に減少される(39,40)。
【0187】
ある研究により、ヒト線維芽細胞がインビボでCD40を発現し得ることが示唆される。Potocnikおよび共同研究者は、CD40を含む種々の細胞表面分子の、RA PBL、SF、およびSMでの発現および分布を研究した(18)。免疫組織化学によって、彼らは、線維芽細胞であることを示す紡錘形の形態を有する細胞を含む、RA SMの種々の細胞でのCD40発現を示した。SM線維芽細胞は、リウマチ性パンヌスに優勢な細胞成分である。コラゲナーゼ、PGE2、IL-6、およびその他のメディエーターを産生することによって、滑膜線維芽細胞は、RAに特徴的である関節破壊に非常に寄与していると考えられる(30,41-43)。一方、電子顕微鏡的研究により、リウマチ滑膜中のT-線維芽細胞直接接触が実証され(44)、ほとんどの研究により、IL-1またはTNF-αのようなマクロファージ由来のサイトカインが、線維芽細胞を活性化することが示唆された(30)。これらの研究は、CD40L-CD40相互作用に媒介される直接接触もまた、SM線維芽細胞に対する活性化および増殖シグナルを提供することを示唆する。
【0188】
CD40L媒介シグナルがSM線維芽細胞増殖を増大する機構は、現在不明である。恐らく、CD40L-CD40相互作用が、IL-1、GM-CSF、およびFGFのようなサイトカインの分泌を誘導し、これによりオートクリンまたはパラクリン様式でSM線維芽細胞増殖が刺激されるのかもしれない(31)。CD40連結もまた、細胞増殖に関連するガン原遺伝子であるc-mycを発現するようにB細胞を誘導する(45)。免疫組織学的研究は、RA SM線維芽細胞様滑膜細胞が、インサイチュでc-mycを発現することを実証する(46)。従って、CD40連結もまた、SM線維芽細胞でのc-myc発現を誘導するかどうかを特異的に決定することは、興味深いことである。
【0189】
B細胞でのCD40連結と同様に(26)、CD40L-CD40相互作用は、線維芽細胞CD54発現の発現を増大する。さらに、CD40L-CD40相互作用は、線維芽細胞CD106発現をアップレギュレートする。CD54およびCD106は、白血球上で発現されるCD11a/CD18(LFA-1)またはCD49d(VLA-4)とそれぞれ相互作用することによって、免疫細胞を炎症部位に補充する、重要な役割を果たす(24)。これらのリガンド-対リガンド相互作用は、T細胞に対する増殖シグナルを増強する証拠もまた存在する(47)。CD54およびCD106はインビボでRA線維芽細胞様滑膜細胞で発現されることが知られており((48-50))、そして種々のサイトカインがインビトロで滑膜線維芽細胞CD54およびCD106発現をアップレギュレートする(49,51,52)。さらに、インビトロでのT細胞のSM線維芽細胞への接着は、CD11a/CD18-CD54相互作用(53)およびCD49d-CD106相互作用(49)によって一部媒介される。従って、CD40L+ T細胞によるSM線維芽細胞でのCD54およびCD106のアップレギュレーションは、SMに対するサイトカインが媒介する炎症性細胞補充/維持を増大する機構を示し得る。さらに、CD40L媒介SM線維芽細胞CD54およびCD106アップレギュレーションは、それらの対レセプター相互作用を介して、T細胞への直接的なシグナリングの役割を果たし得る。
【0190】
ハムスター抗マウスCD40L mAb(MR1)のインビボ投与により、RAマウスモデルでコラーゲン誘導性関節炎の誘導が阻止されることは興味深い(54)。MR1が抗コラーゲン自己抗体の産生をブロックするという事実は、T細胞依存性体液性免疫応答でのCD40L-CD40相互作用の既知の役割に関連するようである(9-11)。さらに、MR1は、コラーゲン誘導性関節炎に特徴的である、滑膜内膜細胞厚化およびSM炎症細胞浸潤の進行を阻害する(54)。これらの研究は、T細胞ー線維芽細胞CD40L-CD40相互作用が、コラーゲン誘導性関節炎で認められる炎症反応を媒介する役割を果たし、またT細胞依存線維芽細胞活性化に一部媒介される、RAまたは強皮症のようなヒト線維性疾患での免疫病理学的役割も果たすことを示唆する。さらに、この研究は、CD4+T細胞誘導性線維芽細胞活性化に媒介されるヒト疾患に対する治療法としての、CD40L-CD40相互作用をブロックのための、新たな理論的根拠を提供する。
【0191】
【表1】
表1の説明:SM線維芽細胞CD40発現のサイトカイン調節。
培地、rINF-γ(1000 U/ml)、rIL-1α(10 pg/ml)、またはrTNFーα(200 U/ml)と共培養後に、指示されているSM線維芽細胞株においてFACSV分析によって測定された、CD40発現(平均蛍光強度)が示されている。コントロールmAbのバックグラウンド染色(MFI)が、各値について差し引かれている。
【0192】
第2の一連の実験
材料および方法
モノクローナル抗体、レクチンおよびT細胞株
IgG2aマウス抗CDD40L mAb(5C8)は、以前に誘起された(20)。ハイブリドーマW6/32(抗MHCクラスI)、L243(抗MHCクラスII)、3C10(抗CD14)、THB.5(抗CD21)、G28.5(抗CD40)、およびGAP 8.3(抗CD45)を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(Rockville, MD)から入手した。ハイブリドーマ腹水を、プロテインGカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)で精製した。FITC結合体抗CD13、FITC結合体抗CD19、およびPE結合体抗CD54 mAbを、Biosource International(Camarillo, CA)から入手し、そして、抗CD34 mAbをBiogenex(San Ramon, CA)から得た。さらなる抗CD54 mAb、ならびに、抗CD62Eおよび抗CD106 mABは、Biogen(Cambridge, MA)の好意によって得た。Biogenによって提供されたL243およびmAbを、以前に記載のようにビオチン化した(37)。PE結合体抗CD80、およびビオチン化抗CD86 mAbは、Becton Dickinson(San Jose, CA)およびPharMingen(San Diego, CA)から、それぞれ入手した。FACS分析に使用されるイソタイプコントロールmAbは、Becton DickinsonまたはCaltag Laboratories(South San Francisco, CA)から入手した。P1.17は、機能研究に使用される、関連性のないコントロールIgG2aマウスmAb(Biogen)である。FITC結合体UEA-1は、Sigma(St. Louis, MO)から得た。
【0193】
D1.1は、構成的にCD40Lを発現する、ジャーカットT細胞サブクローンである(20,42)。B2.7は、CD40L-ジャーカットT細胞サブクローンである(20,42)。安定にトランスフェクトされたCD40L+ 293腎細胞またはCD8+ 293腎細胞を、以前に報告されたように産生した(37)。Ramos 2G6 B細胞は、CD40L媒介シグナルに応答し(38,39)、それはATCCから入手した。
【0194】
内皮細胞培養物
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、以前に報告されたように単離した(40,41)。HUVECを、25% FCS(Summit Biotechnology, St. Collins, CO)、5%ヒト血清(Gemini, Calabasas, CA)、ヘパリン90μg/ml(Sigma)、内皮細胞増殖因子15μg/ml(Collaborative Research, Bedford, MA)、および1%ペニシリンーストレプトマイシン(Sigma)を補充した、M199培地(Gibco, Grand Island, NY)(M199完全培地)中で培養した。HUVECを、1%トリプシンーEDTA(Sigma)で3分間処置して継代した。全HUVEC実験は、1〜3回の継代後に、M199完全培地中で実施した。
【0195】
HUVEC CD40発現に対するサイトカインの効果についての研究
CD40発現に対するサイトカインの影響を研究するために、HUVECを6ウェルプレート(Nunc, Denmark)中で培養し、そしてコンフルーエンス近くまで増殖した。培地を吸引し、次に、HUVECを、rIFN-γ 1000 U/ml(Biogen)、rIL-1α 10 pg/ml(R&D, Minneapolis, MN)、またはrTNF-α 200 U/ml(Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)とともに、3ml M199完全培地中でインキュベートした。指示されている時間に、培地を吸引し、細胞を生理食塩水で1回洗浄し、そして、1 mlの1%トリプシン−EDTAをウェルに加えた。10% FCS(Summit)を含有する、冷却したイソコブ改変ダルベッコ培地(Isocove’s Modified Dulbecco’s Media)(Gibco)を、3分後にウェルに加え、その細胞を、FACS分析用に回収した。
【0196】
HUVEC CD40連結の機能的結果についての研究
HUVEC細胞表面分子の発現に対するCD40連結の効果を研究するために、細胞を、上記のように、6ウェルプレート中で培養した。HUVECがコンフルーエンス近くになったときに、1×106 CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD40L-ジャーカットB2.7細胞、CD40L+ 293腎細胞トランスフェクト体、またはCD8腎細胞トランスフェクト体を、培養物に添加した。指示されているところで、CD40L+細胞を、HUVECへの添加前に、抗CD40L mAb 5C8(10μg/ml)またはイソタイプコントロール mAb P1.17(10μg/ml)で前処理した。培養中での指示された時間の後に、細胞をトリプシン処理によって回収し、二色FACS分析を実施した。
【0197】
Ramos 2G6細胞でのCD40連結の機能研究
Ramos 2G6細胞でのCD40連結のコントロール実験は、2×105 Ramos 2G6細胞を、1×105 D1.1細胞またはコントロール細胞とともに、10% FCS(Summit)および1%ペニシリンーストレプトマイシン(Sigma)を含有する、200μlのイソコブ改変ダルベッコ培地(Gibco)を入れた96ウェルプレート中で、24時間培養して、実施した。
【0198】
サイトフルオログラフィー分析
サイトフルオログラフィー分析に使用される方法は、以前に記載された(20,42)。全実験において、細胞をまず、凝集ヒト免疫グロブリン(Enzyme International, Fallbrook, CA)で処理して、非特異Ig結合を阻害した。一色FACS分析については、細胞を、一次抗体の飽和濃度で、4℃にて30〜60分間染色した。洗浄後に、FITC結合F(ab)2ヤギ抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch Laboratories, West Grove, PA)を、4℃にて30〜60分間加えた。細胞を洗浄し、FACS分析の前に1%ホルムアルデヒドで固定した。二色FACS分析については、細胞を、まず指示されたビオチン化mAbで染色した。洗浄後に、次いで細胞を、ストレプトアビジン−PE(Calbiochem, La Jolla, CA)、およびFITC結合抗CD13 mAbまたはFITC結合体UEA-1で、指示されているように染色した。HUVECを、抗CD13 mAbまたは内皮細胞に選択的に結合するレクチンであるUEA-1でポジティブ染色することによって、二色FACS分析でジャーカット細胞と区別した(43)。蛍光強度は、Consort-30ソフトウェア(Becton-Dickinson, Moutainview, CA)を用いて、FACScanサイトフルオログラフによって測定した。平均蛍光強度(MFI)は、Consort 30ソフトウェアによって計算されたように、logスケールに標準化された値のことである。
【0199】
インサイチュでの内皮細胞CD40発現の特徴づけ
正常脾臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺、または臍帯の凍結切片を、以前に記載されたように(38)、CD40発現について研究した。免疫組織化学分析は、指示されているmAbを用いて実施し、反応性は、Vector ABC Eliteキットおよび3−アミノ−9−エチルカルバゾル(AEC)(Vector Laboratories, Burlingame, CA)を使用し、製造者の使用説明書に従って実施した。コントロール凍結切片を、マウスIgG(Sigma)の適切な濃度で染色した。
【0200】
結果
内皮細胞CD40発現のインサイチュおよびインビトロでの特徴づけ
第一の一連の実験を、正常内皮細胞が、インサイチュでCD40を発現するかどうかを決定するために行った。従って、正常脾臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺、または臍帯から得た凍結切片を、抗CD40 mAbまたはコントロールマウスIgGで染色し、そして内皮細胞反応性を記録した。さらなるコントロールは、抗CD34 mAb(造血幹細胞および内皮細胞と反応する(44))、または抗CD21 mAb(B細胞および上皮細胞と反応する(17))での染色を包含する。研究された全組織からの内皮細胞は、インサイチュにてCD40を発現する。図9〜11は、正常皮膚(図9)、筋肉(図10)、および脾臓(図11)で、内皮細胞の典型的なCD40染色を示す。内皮反応性パターンは、抗CD34 mAbで認められたものと同様であった(図9および10)。対照的に、内皮細胞は、抗CD21 mAb(図9および10)またはマウスIgG(図9〜11)とは反応しなかった。
【0201】
インビトロでの内皮細胞CD40発現および機能をさらに研究するために、培養ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)もまたCD40を発現するかどうかを、次に確かめた。HUVECを単離し、コンフルーエンスに増殖し、CD40発現を、トリプシン処理後に、FACS分析で測定した。細胞は、形態学的に内皮細胞に類似し、表現型分析は、細胞がCD13+であり、選択的に内皮細胞に結合するレクチンであるUEA-1と反応することを実証した(43)。さらに、細胞は、FACS分析によれば、CD14- CD45-MHCクラスII-であった。従って、これらの培養物は、有意数の混入する内皮細胞以外の細胞を含有しなかった。HUVECは、インビトロにおいて、CD40を構成的に発現する(図12)。同様の結果が、15人の個体から単離されたHUVECから得られた。
【0202】
前炎症性サイトカインが、内皮細胞CD40発現を調節するかどうかを決定するために、B細胞(45)、単球(14)、胸腺上皮細胞(18)、および線維芽細胞(19)について示されたように、HUVECを、rIFN-γ、rIL-1α、またはrTNF-αと、48時間培養した。rIL-1αまたはrTNF-αとは対照的に、rINF-γは、HUVEC CD40発現の2〜3倍増加を誘導する(表2)。まとめて、これらの研究は、正常組織由来の内皮細胞が、インサイチュおよびインビトロにおいてCD40を発現し、rIFN-γが、インビトロにおいて内皮細胞CD40発現をアップレギュレートすることを実証する。
【0203】
HUVEC CD54、CD62E、およびCD106発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果
活性内皮細胞は、細胞間接着相互作用の媒介において、重要な役割を果たすCD54、CD62E、およびCD106のような、細胞表面分子を発現する(1,2)。興味深いことに、B細胞(46)または線維芽細胞(19)でのCD40の連結は、接着分子のアップレギュレーションを誘導する。従って、次に問われたのは、CD40L-CD40相互作用が、二色FACS分析で測定されるように、インビトロで、HUVECでのCD54、CD62E、またはCD106の発現に影響するどうかであった。HUVECを、CD40L+ジャーカットD1.1細胞またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞とともに培養した。指示されているところは、ジャーカットD1.1細胞を、HUVECへの添加の前に、抗CD40L mAb 5C8またはコントロールmAbで前処理した。ポジティブコントロールとして、HUVECもまたrIL-1αとともに培養した。CD40L-ジャーカットB2.7細胞ではなく、CD40L+ジャーカットD1.1細胞が、HUVECでのCD54、CD62E、およびCD106アップレギュレーションを誘導する(図13および14)。D1.1細胞のこの影響は、イソタイプコントロールmAbによってではなく、抗CD40L mAb 5C8によって阻害される(図13および14)。これらの研究は、CD40L-CD40相互作用が、HUVECでのCD54、CD62E、およびCD106発現をアップレギュレートをすることを強く示唆する。
【0204】
HUVEC CD54、CD62E、およびCD106発現に対するCD40L+ 293腎細胞トランスフェクト体の効果
CD40L媒介シグナルが、さらなるリンパ球特異的相互作用の非存在下で、内皮細胞接着分子をアップレギュレートするのに十分であるかどうかを決定するために、HUVECを、安定にトランスフェクトされたCD40L+ 293腎細胞またはコントロールCD8+ 293トランスフェクト体とともに培養した。ポジティブコントロールとして、HUVECをまた、CD40L+ D1.1細胞とともに培養した。CD40L+ D1.1細胞と同様に、CD40L+ 293腎細胞トランスフェクト体は、 HUVECでのCD54、CD62E、およびCD106の発現をアップレギュレートする(図15)。コントロール293 CD8トランスフェクト体は、HUVECでのCD54、CD62E、またはCD106発現に対する効果を有さない。まとめて、これらの研究は、CD40L-CD40相互作用が、インビトロで、HUVECでこれらの接着分子をアップレギュレートするのに十分であることを実証する。
【0205】
CD40L媒介HUVEC CD54、CD62E、およびCD106アップレギュレーションの動力学分析
rIL-1αまたはrTNF-αによる、CD54、CD62E、またはCD106のインビトロでのアップレギュレーションの動力学は、十分に確立されてきた(1,2)。CD54およびCD106は、24時間を超えて活性化および発現が持続する後に、6時間アップレギュレートされる。対照的に、CD62E発現は、活性化後6時間でピークに達し、24時間までにベースライン(発現なし)に戻る。次の一連の実験では、CD40L誘導HUVEC CD54、CD62E、またはCD106のアップレギュレーションの動力学が測定された。HUVECを、CD40L+ D1.1細胞またはCD40L B2.7細胞と培養し、そしてCD54、CD62E、またはCD106発現について、種々の時点で分析した。CD40L+ D1.1細胞との培養後に、HUVEC CD54またはCD106発現は、6時間までにアップレギュレートされ、24時間を超えて発現が持続された(図16)。対照的に、CD40L誘導CD62E発現は、6時間までにピークに達し、そして24時間までにベースラインに戻った(図16)。従って、HUVEC CD54、CD62E、またはCD106のCD40L、rTNF-α、またはrIL-1α媒介アップレギュレーションの動力学は類似している。
【0206】
CD40L-CD40相互作用が、HUVECでのCD80、CD86、またはMHCクラスII発現をアップレギュレートするかどうかの決定
活性内皮細胞は、MHCクラスII分子を発現する能力を有し、T細胞へ共刺激シグナルを送達する(10,47-49)。B細胞または樹状細胞でのCD40連結は、MHCクラスII発現、ならびに共刺激分子CD80およびCD86の発現をアップレギュレートする(36,37,50〜52)。従って、次の一連の実験は、CD40L-CD40相互作用が、HUVECでのMHCクラスII、CD80、またはCD86発現を、同様にアップレギュレートするかどうかを、測定した。HUVECを、CD40L+ D1.1細胞またはCD40L- B2.7細胞と、24時間または48時間培養し、CD80、CD86、およびMHCクラスII発現を、二色FACS分析によって測定した。HUVEC CD40連結の効果に対するポジティブコントロールとして、CD54発現もまた測定した。さらに、MHCクラスIIアップレギュレーションに対するコントロールとして、HUVECもまたrIFN-γと培養した。CD40L媒介CD80、CD86、およびMHCクラスIIアップレギュレーションのポジティブコントロールとして、D1.1細胞を、Ramos 2G6 B細胞と培養した(38〜39)。B細胞または樹状細胞に対するCD40連結の効果とは対照的に、CD40L-CD40相互作用は、HUVECでのMHCクラスII、CD80、またはCD86発現をアップレギュレートしない(表3)。
【0207】
考察
CD40は、B細胞(12,13)、単球(14)、樹状細胞(15)、上皮細胞(17,18)、好塩基球(16)、および線維芽細胞(19)を含む、種々の細胞で構成的に発現される、細胞表面分子である。CD40の対レセプターは、30〜33kDaの活性化誘導され、一過的に発現されるCD4+T細胞表面分子である、CD40Lである(20-25)。脾臓、甲状腺、皮膚、筋肉、腎臓、肺、または臍帯の上皮細胞は、インサイチュでCD40を発現することが示される。この所見は、慢性関節リウマチ滑膜の内皮細胞が、CD40を発現するという以前の報告に一致する(11)。さらに、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)は、インビトロでCD40を発現する。最も重要なことに、内皮細胞でのCD40発現は、コントロール細胞ではなく、CD40L+ジャーカットT細胞またはCD40L+ 293腎細胞トランスフェクト体が、HUVECでの細胞内接着分子CD54(ICAM-1)、CD62E(E-セレクチン)、およびCD106(VCAM-1)の発現をアップレギュレートするので機能的に重要である。本明細書に開示されている結果は、内皮細胞がCD40を発現し、そして、インビトロで、CD40L-CD40相互作用が内皮細胞活性化を誘導することを実証する。
【0208】
内皮細胞は、CD54、CD62E、およびCD106を発現することによって、部分的に炎症応答に重要な役割を果たす(1,2)。これらの接着分子は、白血球上の特異細胞表面レセプターと相互作用し、内皮細胞バリアを横切る炎症細胞の貫通移動を促進する。これらの特定内皮細胞表面分子の発現は、しっかりと調節される(1,2)。休止内皮細胞は、低レベルのCD54、および最少限のCD62EもしくはCD106を発現するか、または全く発現しない。しかし、内皮細胞は、IL-1またはTNFでの活性化後に、CD54、CD62E、およびCD106発現をアップレギュレートする。これらの所見は、活性CD4+ T細胞が、直接的細胞−細胞接触によって、内皮細胞接着分子をアップレギュレートする手段を実証する。
【0209】
CD40L発現もまたしっかりと調節されるので、CD40L-CD40相互作用は、Ag操作免疫応答中に生じるようである。これに関し、インビトロでの研究は、休止CD4+ T細胞が、検出可能なCD40Lを発現しないことを実証する(20〜22,25,53)。しかし、CD40Lは、インビトロにおいて、活性CD4+ T細胞で一過的に発現され;ピーク発現は、活性化後6時間に認められ、24〜48時間までに、レベルはベースライン(発現なし)まで戻る(20,21,53)。CD40Lはまた、レセプター媒介エンドサイトーシスに少なくとも一部起因するプロセスで、CD40を発現する細胞によって、迅速にダウンレギュレートされる(54)。インビボでは、CD40L発現は、通常、MHC制限Ag特異T−B相互作用部位である、二次リンパ組織(38)のCD4+ T細胞に制限される。しかし、慢性関節リウマチ滑膜または乾癬斑の免疫組織学的研究は、CD40L+CD4+ T細胞の存在を実証する。これらの研究は、炎症部位のAPCが、CD4+ T細胞の浸潤を誘導して、CD40Lを発現することを示唆する。次いで、CD40L+CD4+ T細胞は、CD40+内皮細胞と相互作用することによって、炎症プロセスを促進する役割を果たす。この相互作用の機能的結果が、炎症部位での免疫細胞のさらなる接着および貫通移動を可能にする。
【0210】
CD40連結が、内皮細胞表面接着分子の発現を調節する事実は、種々の細胞での接着分子の発現および/または機能の調節における、CD40シグナル伝達の一般的な役割と一致する。この点に関して、CD40L媒介シグナルが、滑膜から培養された線維芽細胞で、CD54およびCD106のアップレギュレーションを誘導することが示された(19)。CD40連結もまた、B細胞でのCD54発現をアップレギュレートし(46)、B細胞のCD54依存性ホモ凝集(homoaggregation)を誘導する(55)。興味深いことに、B細胞の抗CD40 mAbでの前処理は、インビトロでのB細胞の活性内皮細胞とのヘテロ型相互作用を、CD49d(VLA-4)/CD106相互作用に依存する様式で促進する(56)。CD40連結は、B細胞CD49d発現をアップレギュレートしなかったので、CD40媒介シグナルが、CD49d活性化を誘導することが仮説された。
【0211】
B細胞または樹状細胞でのCD40連結もまた、MHCクラスII、ならびに共刺激分子CD80およびCD86の発現をアップレギュレートする(36,37,50-52)。興味深いことに、rIFN-γで刺激された内皮細胞は、インビトロでのMHCクラスIIを発現する能力があり(57)、炎症組織内でインサイチュでの内皮細胞は、MHCクラスIIを発現し得る(10,58-60)。さらに、内皮細胞は、インビトロでT細胞へAgを提供する能力があり、IL-2産生および増殖が要求されるT細胞へ、適切な共刺激シグナルを送達する(10,47-49)。
【0212】
しかし、CD40L-CD40相互作用が、インビトロで、HUVECでのMHCクラスII、CD80、またはCD86発現を、アップレギュレートしないことが本明細書で示される。この所見は、ヒト内皮細胞が、CD80を発現しないことを示唆する以前の研究に一致する(47,61)。内皮細胞で発現される共刺激分子は、正確には知られていない。Poberおよび共同研究者らによる研究は、CD2-CD54(LFA-3)相互作用をブロックすることが、内皮細胞のアロジェニックT細胞増殖を誘導する能力を阻害することを実証する(47,48)。しかし、CD2-CD58相互作用が、細胞間接着を促進、および/またはT細胞への共刺激シグナルを送達するかどうかは不明である。CD40L媒介シグナルが、内皮細胞のT細胞を活性化する能力を調節するかどうかを決定することは興味深い。
【0213】
最終的に、内皮細胞は、CD4+ T細胞に媒介される種々の疾患で、活性化される。例えば、内皮細胞表面接着分子は、慢性関節リウマチ(62)、鞏皮症(63)、および移植組織拒否(64)においてアップレギュレートされる。さらに、CD4+ T細胞は、アテローム性動脈硬化症(65)および移植に伴う加速アテローム性動脈硬化症で役割を担う(60)。これらの疾患における、内皮細胞とのCD40L媒介相互作用の精密な機械的役割は、未知である。しかし、CD40L、MR1に対する抗体は、CD4+ T細胞および/または炎症細胞浸潤に媒介される疾患のマウスモデルを阻害する。例えば、MR1は、コラーゲン誘導関節炎(慢性関節リウマチのマウスモデル)に伴う、滑膜内膜細胞肥大および細胞浸潤を防止する(66)。さらに、MR1は、多発性硬化症(EAE)のマウスモデルを阻害し、そして、同種移植拒絶を阻害する(67)。内皮細胞および/または線維芽細胞とのCD40L依存相互作用のブロッキングは、一部、これらのMR1の効果を媒介する。本明細書に開示されている結果は、内皮細胞表面のCD40L-CD40相互作用が、炎症性疾患において免疫病理学的役割を担うことを示唆する。
【0214】
【表2】
表2の説明:HUVEC CD40発現に対するサイトカインの効果。
【0215】
rIFN-γ(1000 U/ml)、rIL-1α(10 pg/ml)、またはrTNF-α(200 U/ml)の存在または非存在下で48時間培養されたHUVECでの、CD40またはCD54発現の平均蛍光強度(MFI)が示されている。CD40またはCD54 MFIは、FACS分析によって測定され、コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から差し引かれている。同様の結果が、異なるHUVEC株を用いたさらなる2つの実験において得られた。
【0216】
【表3】
表3の説明:HUVEC MHCクラスII、CD80、およびCD86発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果。培地、rIFN-γ(1000 U/ml)、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L B2.7細胞との48時間培養後の、HUVEC CD54、CD80、CD86、またはMHCクラスII発現の平均蛍光強度が示されている。平行実験で、CD40L応答Ramos 2G6 B細胞株(38〜39)を、培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L B2.7細胞と24時間培養した。HUVECまたはRamos 2G6 MHCクラスII、CD54、CD80、およびCD86発現を、二色FACS分析によって測定した。コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から差し引かれている。異なるHUVEC株を用いた3つの同様な実験の代表例が示されている。ND = 実験せず。
【0217】
【表5】
【0218】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】図1.SM線維芽細胞におけるCD40の発現。示されるように、インビトロでの最初の継代に続く代表的なRAまたはOA SM粘着性細胞でのCD40、CD14、CD45、またはMHCクラスIIの発現のFACS分析を示している。X軸は平均蛍光強度(MFI)を表し、そしてY軸は細胞数を表す。RA細胞について、CD40の発現またはイソタイプのコントロールmAbのMFIは、それぞれ21および9であった。OA細胞について、 CD40の発現またはイソタイプのコントロールmAbのMFIは、それぞれ33および9であった。
【図2】図2.休止またはrINF-γで刺激された皮膚線維芽細胞におけるCD40の発現。示されるように、3つの皮膚線維芽細胞株での、CD40、CD54、またはコントロールmAb染色のFACS分析を示している。細胞は、rINF-γ(1000 U/ml)の存在下または非存在下で24時間培養された。SK.1およびSK.2は、培養中の2回目の継代に続いて研究され、そしてCCD 965 SKは、培養中の3回目の継代の後に研究された。X軸は、平均蛍光強度(MFI)を表し、そしてY軸は細胞数を表す。各グラフの右上隅の数字は、CD40 MFIを示している(バックグランドは引いた)。
【図3】図3.SM線維芽細胞CD40の発現のサイトカイン調節。 示されるように、rINF-γ(1000 U/ml)、rIL-1α(10 pg/ml)、rTNF-α(200 U/ml)、またはサイトカインの組み合わせとの同時培養の後の、SM線維芽細胞株(OA.3)のCD40の平均蛍光強度(MFI)を表す棒グラフを示している。CD40の発現は、FACS分析によって決定され、そして、コントロールmAbのバックグランド染色は、各値から引かれている。示されている実験は、行われた3つの同様の実験の代表例である。
【図4】図4.SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)の発現に対するCD40L-CD40相互作用の効果。 培地、rINF-γ(1000 U/ml)、CD40L-ジャーカットB2.7細胞、またはCD40L+ジャーカットD1.1細胞で、抗-CD40L mAb 5C8またはコントロールmAb P1.17の存在または非存在下で24時間培養したIA.1 SM線維芽細胞でのCD13発現(X軸)またはCD54発現(Y軸)を例証する2色の輪郭グラフ(contour graph)を示している。各グラフの右上隅の数字は、CD54の平均蛍光強度(MFI)を表す。イソタイプコントロールmAbのバックグランドMFIは、各値から引かれている。示されている実験は、行われた3つの同様の実験の代表例である。
【図5】図5. CD40Lのトランスフェクションは、SM線維芽細胞CD54(ICAM-1)およびCD106(VCAM-1)の発現をアップレギュレートする能力を与える。培地、CD40L+ D1.1細胞、CD40L- B2.7細胞、またはCD40L+ B2.7トランスフェクト体で24時間培養した後の、SM線維芽細胞におけるCD54またはCD106のMFIを示す棒グラフを示している。CD54およびCD106の発現は、図4のように2色FACS分析によって決定された。イソタイプコントロールmAbのバックグランドMFIは、各値から引かれている。示されている実験は、行われた2つの同様の実験の代表例である。
【図6A】図6A.線維芽細胞のIL-6分泌に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地単独、抗-CD40L mAb 5C8もしくはコントロールmAb P1.17の存在もしくは非存在下のCD40L+ D1.1細胞、CD40L- B2.7細胞、またはCD40L+ B2.7トランスフェクト体で培養されたSM線維芽細胞由来の上清(最終希釈、1:60)の添加に続く、IL-6指示細胞株B9による3H-チミジンの取り込みを示す棒グラフを示している。 D1.1細胞、B2.7細胞、またはCD40L+ B2.7トランスフェクト体由来のコントロール上清で培養されたB9細胞の増殖応答は、1136 cpm(±113)、2398 cpm(±263)、および1131 cpm(±56)であった。同様の結果が、3つのさらなるSM線維芽細胞株で得られた。
【図6B】図6B.rIL-6に応答したB9の増殖。図6Aに示される実験の平行実験において、B9細胞は、rIL-6の変化する濃度で培養された。
【図7】図7.SM線維芽細胞増殖に対するCD40の連結の効果。マイトマイシンCで処理されたCD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体との1%FM中での48時間の同時培養の後の、SM線維芽細胞3H-チミジンの取り込みを例証する2つの分離した実験に由来する棒グラフを示している。示される場合、CD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体は、線維芽細胞への添加の前に、抗-CD40L mAb 5C8(5μg/ml)またはP1.17コントロールmAb(5μg/ml)で前処理された。RA.5の増殖を研究する実験において、CD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体の増殖は、それぞれ51±7cpmおよび39±3cpmであった。OA.6の増殖を研究するための実験において、CD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体の増殖は、それぞれ243±5cpmおよび453±95 cpmであった。バックグランド増殖は、同時培養実験において引かれている。また、1%FMまたは10%FM中での培養の後の線維芽細胞の増殖応答を示している。同様の結果が、3つのさらなる実験で得られた。エラーバーは、観察された誤差を示す。
【図8】図8.CD40L媒介SM線維芽細胞増殖に対するrINF-γの効果。マイトマイシンCで処理されたCD40L-ジャーカットB2.7細胞またはCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体との、1%FM中での48時間の同時培養後の、SM線維芽細胞3H-チミジンの取り込みを例証する棒グラフを示している。示される場合、SM線維芽細胞は、マイトマイシンCで処理されたCD40L- B2.7またはCD40L+ B2.7トランスフェクト体の添加の前に、rINF-γ(1000 U/ml)で18時間前処理される。SM線維芽細胞の増殖は、最初の一連の実験について、材料および方法中に概説されたように決定された。CD40L-ジャーカットB2.7細胞およびCD40L+ジャーカットB2.7トランスフェクト体のバックグランド増殖は、それぞれ185±66 cpmおよび65±5cpmであった。バックグランド増殖は、同時培養実験中に引かれている。1%FMまたは10%FM中の培養に続く線維芽細胞の増殖応答もまた示されている。同様の結果が、2つのさらなる実験で得られた。エラーバーは、観察された誤差を示す。
【図9A】図9A.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(a)CD40、皮膚(倍率40×)。
【図9B】図9B.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(b)CD34、皮膚(倍率40×)。
【図9C】図9C.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(c)CD21、皮膚(倍率40×)。
【図9D】図9D.皮膚中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(d)コントロールマウス IgG、皮膚(倍率40×)。
【図10A】図10A.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(a)CD40、筋肉(倍率40×)。
【図10B】図10B.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(b)CD34、筋肉(倍率40×)。
【図10C】図10C.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(c)CD21、筋肉(倍率40×)。
【図10D】図10D.筋肉中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結切片の免疫組織学的研究を示している:(d)コントロールマウス IgG、筋肉(倍率40×)。
【図11】図11.膵臓中の内皮細胞はインサイチュでCD40を発現する。以下の発現を例証する凍結断片の免疫組織学的研究を示している:(a)CD40、膵臓(倍率10×)および(b)コントロールマウス IgG、膵臓(倍率10×)。
【図12】図12.インビトロでのHUVEC細胞におけるCD40の発現。CD14、CD40、CD45、またはイソタイプコントロールの1回目の継代に続く、HUVECにおける発現の重複するFACS分析を示している。CD14、CD40、CD45、またはイソタイプコントロール発現の平均蛍光強度は、それぞれ7、24、5、および9であった。15個の臍帯から単離されたHUVECにおける、CD40発現の代表例を示している。
【図13】図13.HUVEC CD54(ICAM-1)発現に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞で6時間培養したHUVEC CD54発現に対する効果を例示する2色の輪郭グラフを示している。示される場合、CD40L+ D1.1細胞は、抗-CD40L mAb 5C8またはイソタイプコントロールmAb P1.17で前処理された。X軸はCD13の発現を示し、ならびにY軸はCD54の発現を示す。各グラフの右上隅の数は、CD54を発現するCD13+のパーセンテージを示している(コントロールmAbのバックグランド染色は、各値から引かれる)。異なるHUVEC株を用いた、3つの同様の実験の代表例を示している。
【図14】図14.HUVEC CD54(ICAM-1)、CD62E(E-selectin)、およびCD106(VCAM-1)の発現に対するCD40L−CD40相互作用の効果。培地、rIL-1α、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、またはCD40L-ジャーカットB2.7細胞とともに6時間培養した後の、CD54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージを表す棒グラフを示している。示される場合は、CD40L+ D1.1細胞は、抗-CD40L mAb 5C8、またはイソタイプコントロールmAB P1.17で前処理された。HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現は、図3に示されるように2色FACS分析によって決定された。コントロールmAbのバックグランド染色は、各値から引かれている。異なるHUVEC株を用いた、3つの同様の実験の代表例を示している。
【図15−1】図15.HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対するCD40L発現293腎臓細胞トランスフェクト体の効果。培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD8+ 293 腎臓細胞トランスフェクト体またはCD40L+ 293 腎臓細胞トランスフェクト体で、6時間培養した後の、HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対する効果を示す、2色の輪郭グラフを示している。X軸はUEA-1の発現を示し、そしてY軸はCD54(左パネル)、CD106(中央パネル)、またはCD62E(右パネル)を示す。各グラフの右上隅の数字は、示されるようにCD54、CD106、またはCD62Eを発現するUEA-1+細胞のパーセンテージを示す。(コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から引かれている)。3つの同様の実験の代表例を示している。
【図15−2】図15.HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対するCD40L発現293腎臓細胞トランスフェクト体の効果。培地、CD40L+ジャーカットD1.1細胞、CD8+ 293 腎臓細胞トランスフェクト体またはCD40L+ 293 腎臓細胞トランスフェクト体で、6時間培養した後の、HUVEC CD54、CD62E、およびCD106の発現に対する効果を示す、2色の輪郭グラフを示している。X軸はUEA-1の発現を示し、そしてY軸はCD54(左パネル)、CD106(中央パネル)、またはCD62E(右パネル)を示す。各グラフの右上隅の数字は、示されるようにCD54、CD106、またはCD62Eを発現するUEA-1+細胞のパーセンテージを示す。(コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から引かれている)。3つの同様の実験の代表例を示している。
【図16A】図16A.CD40L誘導HUVEC CD54、CD62E、およびCD106アップレギュレーションの速度論的分析。CD40L+ジャーカットD1.1細胞で6時間または24時間培養した後の、CD54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージを示している。CD54、CD62E、またはCD106を発現するHUVECのパーセンテージは、2色FACS分析によって決定した(コントロールmAbのバックグラウンド染色は、各値から引かれる)。異なるHUVEC株を用いた3つの同様の実験の代表例を示している。
【図16B】図16B.HUVECがCD40L-ジャーカットB2.7細胞で培養されことを除き、図16Aと同様。
【図17A】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17B】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17C】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17D】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17E】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17F】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17G】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17H】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17I】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17J】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17K】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17L】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17M】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17N】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17O】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17P】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17Q】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17R】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17S】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17T】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17U】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17V】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17W】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17X】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【図17Y】図17A〜Y.Gly116〜Leu261残基を含む、ヒトCD40Lの可溶性細胞外フラグメントの結晶構造の原子配位(Brookhaven Protein Data Bank format)。(配列番号1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD40リガンドとCD40との間の相互作用を阻害し得る因子の使用。
【請求項1】
CD40リガンドとCD40との間の相互作用を阻害し得る因子の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図17I】
【図17J】
【図17K】
【図17L】
【図17M】
【図17N】
【図17O】
【図17P】
【図17Q】
【図17R】
【図17S】
【図17T】
【図17U】
【図17V】
【図17W】
【図17X】
【図17Y】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図17I】
【図17J】
【図17K】
【図17L】
【図17M】
【図17N】
【図17O】
【図17P】
【図17Q】
【図17R】
【図17S】
【図17T】
【図17U】
【図17V】
【図17W】
【図17X】
【図17Y】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【公開番号】特開2007−238630(P2007−238630A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155796(P2007−155796)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【分割の表示】特願平9−520731の分割
【原出願日】平成8年11月27日(1996.11.27)
【出願人】(507195106)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (1)
【出願人】(506122958)バイオジェン, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【分割の表示】特願平9−520731の分割
【原出願日】平成8年11月27日(1996.11.27)
【出願人】(507195106)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (1)
【出願人】(506122958)バイオジェン, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
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