説明

抗ウイルス化合物

本発明は、HCV感染を治療し、または予防するためのC型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼ、これらの合成およびこれらの使用の阻害剤として有用である式(I)の大環状化合物に関する。本発明は、また、HCV複製を阻害するための医薬の製造のための、式(I)の化合物またはそのN−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体もしくは立体化学的異性体形態の使用にも関する。または本発明は、温血動物におけるHCV複製を阻害する方法であって、前記方法は、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ、N−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体もしくは立体化学的異性体形態の有効量の投与を含む方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)の複製に対して阻害活性を有する大環状化合物に関する。さらに、本発明は、活性成分としてこれらの化合物を含む組成物、並びにこれらの化合物および組成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルスは、世界的に慢性肝臓病の主要な原因であり、また、かなりの医学研究の焦点になっている。HCVは、ヘパシウイルス属におけるウイルスのフラビウイルス科ファミリーのメンバーであり、またデング熱ウイルスおよび黄熱ウイルスなどのヒト疾患に関係する多数のウイルスを含むフラビウイルス属、ならびにウシウイルスの下痢ウイルス(BVDV)を含む動物ペスチウイルス科に密接に関連がある。HCVは、約9,600塩基のゲノムを有する、ポジティブセンスの一本鎖のRNAウイルスである。ゲノムは、RNA二次構造を採用する5’および3’非翻訳領域の両方と、中心的なオープンリーディングフレームとを含み、その中心的なオープンリーディングフレームは、約3,010−3,030アミノ酸の単一のポリタンパク質をコードする。ポリタンパク質は、宿主およびウイルスの両方のプロテアーゼによって媒介される、翻訳と同時および翻訳後の組織化された一連のエンドタンパク質分解性切断によって、前駆体ポリタンパク質から産生される10の遺伝子産物をコードする。ウイルスの構造タンパク質は、コアヌクレオカプシドタンパク質、並びに2つのエンベロープ糖タンパク質ElおよびE2を含む。非構造(NS)タンパク質は、いくつかの必須なウイルスの酵素機能(ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、プロテアーゼ)および未知の機能のタンパク質をコードする。ウイルスゲノムの複製は、非構造タンパク質5b(NS5B)によってコードされるRNA依存性RNAポリメラーゼによって媒介される。ポリメラーゼに加えて、ウイルスのヘリカーゼ機能およびプロテアーゼ機能は、両方とも二機能性NS3タンパク質においてコードされ、HCVのRNAの複製にとって必須なことが示された。NS3セリンプロテアーゼに加えて、HCVは、NS2領域におけるメタロプロテイナーゼをもまたコードする。
【0003】
最初の急性の感染の後、HCVは、肝細胞において優先して複製するが、直接的細胞変性でないので、大多数の感染した個体は、慢性肝炎を発症する。特に、活発なTリンパ球反応の欠如、およびウイルスが変異する傾向が高いことは、高い割合での慢性感染を促進するように思われる。慢性肝炎は、肝硬変、末期肝臓病およびHCC(肝細胞癌)につながる肝線維症に進行し得、このことが慢性肝炎を肝移植の主要な原因にしている。
【0004】
地理的に別々に分類される、6個の主要な遺伝子型および50を超えるサブタイプがある。HCV1型は、欧州および米国における主な遺伝子型である。HCVの広範な遺伝的異種性は、診断および臨床の重要な意味を有しており、ワクチン開発における困難性および療法への反応の欠如を説明するであろう。
【0005】
HCVの伝達は、たとえば輸血または静脈内の薬物使用後の、混入した血液または血液製剤との接触を介して起こり得る。血液スクリーニングに使用される診断試験の導入は、輸血後のHCV発病率を減少させる傾向に至った。しかし、末期肝臓病にゆっくり進行することを考慮すれば、既存の感染症は、何十年も重篤な医学的および経済的な負担を与え続けるだろう。
【0006】
現在のHCV療法は、リバビリンと組み合わせた(ペグ化)インターフェロンα(IFN−a)に基づいている。この併用療法は、遺伝子型1のウイルスによって感染された患者のうち40%を超える患者、および遺伝子型2および3に感染した患者の約80%において、持続されたウイルス学的反応をもたらす。HCVタイプ1における限られた有効性以外に、この併用療法は、有意な副作用を有するし、多くの患者において十分に許容されない。主要な副作用は、インフルエンザ様の症候、血液学的な異常および神経精神医学的症候を含む。それゆえに、より有効で、便利な、かつより優れた許容される治療の必要がある。
【0007】
最近では、2つのペプチド擬態HCVプロテアーゼ阻害剤、すなわち、特許文献1において開示されるBILN−2061および特許文献2において開示されるVX−950は、臨床的な候補として注目されてきている。多数の同様のHCVプロテアーゼ阻害剤もまた、学術文献、および特許文献において開示されている。BILN−2061またはVX−950の持続した投与がそれぞれの薬物に耐性であるHCV突然変異体、いわゆる薬物逃避突然変異体を選択することは、すでに明らかになっている。これらの薬物逃避変異体は、HCVプロテアーゼゲノム、特にD168V、D168Aおよび/またはA156Sにおいて特徴的な変異を有する。したがって、うまくいっていない患者に治療の選択肢を提供するために、異なる耐性パターンに対するさらなる薬物が必要とされる。また、第一線の治療についてさえ、複数の薬物での併用療法は、将来の基準となる可能性が高い。
【0008】
HIV薬物および特にHIVプロテアーゼ阻害剤についての経験から、最適以下の薬物動態および複雑な投与計画が不注意によるコンプライアンス不足という結果をすぐにもたらすことがさらに重要視されている。これもやはり、HIV投薬計画におけるそれぞれの薬物の24時間のトラフ濃度(最小血漿濃度)が、1日の大部分にわたってIC90またはED90閾値未満に頻繁に落ちることを意味する。薬物脱出突然変異体の発症を遅らせるために、少なくともIC50、およびより現実的には、IC90またはED90の24時間のトラフレベルが必須であることが考慮される。
【0009】
このようなトラフレベルを可能にするために必要な薬物動態および薬物代謝を達成することは、ドラッグデザインにとって過酷なチャレンジをもたらす。複数のペプチド結合を伴う従来のHCVプロテアーゼ阻害剤の強力な、ペプチドを模倣した性質は、有効な投薬療法に薬物動態学的ハードルをもたらす。
【0010】
副作用、限定された有効性、耐性の出現およびコンプライアンス不足などの現在のHCV療法の不都合を克服し得るHCV阻害剤に対する需要がある。
【0011】
本発明は、以下の薬理学的に関連した特性、すなわち能力、減少した細胞毒性、改善された薬物動態、改善された耐性プロフィール、許容される投薬量および丸剤負担のうちの1つ以上において優れているHCV阻害剤に関する。
加えて、本発明の化合物は、相対的に低分子重量を有し、かつ合成するのが容易である。合成は、市販の、または容易に入手できる出発材料から周知の合成手順を介して始まる。
【0012】
特許文献3は、アザペプチド大環状のC型肝炎セリンプロテアーゼ阻害剤、およびHCV感染に罹患している被験体に対する投与のための上述した化合物を含む医薬組成物、ならびに前記化合物を含む医薬組成物を投与することによって被験体におけるHCV感染を治療する方法を開示する。本発明は、式(I)によって表され得るHCV複製の阻害剤、並びにそのN−オキシド、塩および立体異性体に関する:
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第00/59929号
【特許文献2】国際公開第03/87092号
【特許文献3】国際公開第05/010029号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
【化1】

は、
【0015】
【化2】

であり、
式中それぞれの破線(−−−−によって表される)は、随意選択の二重結合を表し;
Xは、N、CHであり、Xが二重結合を有する場合にはXはCであり;
は、−NH−SO(OR)であり;
は、水素であり、XがCまたはCHである場合、Rは、またC1−6アルキルでもよく;
は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルであり;
は、アリールまたはHetであり;
nは、3、4、5、または6であり;
構造(I)の化合物において、4つの置換基を有し、かつ少なくとも1つの水素への結合を含む炭素原子は、これらの水素原子の1つまたは複数がハロによって場合により置換されていてもよく、そのハロは、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFであってもよく;
は、ハロ、C1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ポリハロC1−6アルキル、フェニルまたはHetを表し;
は、C1−6アルコキシ、モノ−C1−6アルキルアミノまたはジ−C1−6アルキルアミノを表し;
は、水素;アリール;Het;C1−6アルキルで場合により置換されたC3−7シクロアルキル;またはC3−7シクロアルキル、アリールもしくはHetで場合により置換されたC1−6アルキルであり;
は、アリール;Het;C1−6アルキルで場合により置換されたC3−7シクロアルキル;またはC3−7シクロアルキル、アリールもしくはHetで場合により置換されたC1−6アルキルであり;
基または基の部分としてのアリールは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、モノ−C1−6アルキルアミノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ、アジド、メルカプト、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニル、4−C1−6アルキルカルボニルピペラジニルおよびモルホリニルから選択される1つ、2つまたは3つの置換基で場合により置換されたフェニルまたはナフチルであり;式中モルホリニル基およびピペリジニル基は、1つまたは2つのC1−6アルキル基で場合により置換されていてもよく;
基または基の部分としてのHetは、5員または6員の、飽和した、部分的に不飽和の、または完全に不飽和の複素環式環であり、この複素環式環は、窒素、酸素および硫黄からそれぞれ独立して選択される1〜4つのヘテロ原子を含み、前記複素環式環は、場合によりベンゼン環と縮合しており;および全体としてHetは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、モノ−C1−6アルキルアミノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ、アジド、メルカプト、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニル、4−C1−6アルキルカルボニルピペラジニルおよびモルホリニルからなる群からそれぞれ独立して選択される、1つ、2つまたは3つの置換基で場合により置換されており;式中モルホリニル基およびピペリジニル基は、1つまたは2つのC1−6アルキル基で場合により置換されていてもよく;
は、Aであり、
Hetは、ヘテロ環またはアリール基であり、かつ独立してR、RまたはRから選択される最高2つのHetおよび最高5つの基で場合により置換されていてもよく;
MMは、COまたは結合であり;
XXは、O、NH、N(C1−4アルキル)、結合またはCHであり;
は、PRT、H、−OH、−C(O)OH、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミド、イミド、イミノ、ハロゲン、CF、CHCF、シクロアルキル、ニトロ、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロ環、−C(A、−C(A−C(O)A、−C(O)A、−C(O)OA、−O(A)、−N(A、−S(A)、−CHP(Y)(A)(OA)、−CHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(OA)、−OCHP(Y)(OA)(OA)、−OCHP(Y)(A)(OA)、−OCHP(Y)(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(N(A)、−OCHP(Y)(OA)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(N(A)、−CHP(Y)(N(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−(CH−ヘテロ環、−(CHC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−Oアルキル、−O−(CH)、−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CHO−C(O)−O−アルキル、−(CHO−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(Me)C(O)O−アルキル、SR、S(O)R、S(O)またはアルコキシアリールスルホンアミドから独立して選択され、式中それぞれのAは、1〜4つの
−R111、−P(Y)(OA)(OA)、−P(Y)(OA)(N(A)、−P(Y)(A)(OA)、−P(Y)(A)(N(A)もしくはP(Y)(N(A)(N(A)、−C(=O)N(A)、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、炭素環、ヘテロ環、アラルキル、アリールスルホンアミド、アリールアルキルスルホンアミド、アリールオキシスルホンアミド、アリールオキシアルキルスルホンアミド、アリールオキシアリールスルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アルキルオキシスルホンアミド、アルキルオキシアルキルスルホンアミド、アリールチオ、−(CHヘテロ環、−(CH−C(O)O−アルキル、−O(CHOC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(CH)C(O)O−アルキルまたはアルコキシアリールスルホンアミドで場合により置換されていてもよく、そして、これらはR111で場合により置換されており;
は、PRT、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミノ酸、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルスルホンアミドまたはアリールスルホンアミドから独立して選択され、式中それぞれのAは、Aで場合により置換されており;
111は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、ハロゲン、ハロアルキル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、−C(O)NHS(O)−または−S(O)−から独立して選択され、そして、これらは1つまたは複数のAで場合により置換されており;
は、独立してO、S、N(A)、N(O)(A)、N(OA)、N(O)(OA)またはN(N(A)(A))であり;
mは、0〜6であり;
rは、0〜6である。
【0016】
本発明の化合物は、式(II)によってもまた表され得る:
【0017】
【化3】

式中AAは、独立してNまたはCHである。
【0018】
本発明は、さらに、式(I)の化合物、そのN−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体および立体化学的異性体形態の調製のための方法、これらの中間体、並びに式(I)の化合物の調製における中間体の使用に関する。
【0019】
本発明は、医薬として使用するための、式(I)の化合物それ自体、そのN−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体および立体化学的異性体形態に関する。本明細書において特定されるように、本発明は、さらに、担体と、抗ウイルスに有効な量の式(I)の化合物とを含む医薬組成物に関する。医薬組成物は、上述した化合物とその他の抗HCV薬剤とを組み合わせたものを含んでいてもよい。本発明は、さらに、HCV感染に罹患している被験体に、投与するための上述した医薬組成物に関する。
【0020】
本発明は、また、HCV複製を阻害するための医薬の製造のための、式(I)の化合物またはそのN−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体もしくは立体化学的異性体形態の使用にも関する。または本発明は、温血動物におけるHCV複製を阻害する方法であって、前記方法は、式(I)の化合物またはそのプロドラッグ、N−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体もしくは立体化学的異性体形態の有効量の投与を含む方法に関する。
【0021】
本発明の化合物は、HCVプロテアーゼに対する阻害活性を有する。予想外に、以下の式:
【0022】
【化4】

のアシルスルファマート基を有する化合物が生理学的条件下で適切に安定であることが見いだされた。加えて、このスルファマート基を有する代表的な化合物がHCVのNS3プロテアーゼの予想外に強力な阻害剤であることが決定されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
前述および以下に使用されるように、特に明記しない限り以下の定義が適用される。
【0024】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称である。
【0025】
基または基の部分としての(例えば、ポリハロC1−6アルコキシにおける)用語「ポリハロC1−6アルキル」は、モノハロ置換C1−6アルキルまたはポリハロ置換C1−6アルキル、特に、例えば、1つ以上のフッ素原子(fluoro atom)を有するメチルまたはエチルなどの、1、2、3、4、5、6個までかまたはそれ以上のハロ原子で置換されたC1−6アルキルとして定義され、たとえば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルである。好ましいのはトリフルオロメチルである。全ての水素原子がフッ素原子によって置換されたC1−6アルキル基であるパーフルオロC1−6アルキル基、たとえばペンタフルオロエチルもまた含まれる。ポリハロC1−6アルキルの定義の範囲内で複数のハロゲン原子がアルキル基に結合する場合、ハロゲン原子は、同じでもよく、異なってもよい。
【0026】
本明細書に使用される、基または基の部分としての「C1−4アルキル」は、たとえばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−l−プロピルなどの、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基を定義する;「C1−6アルキル」は、たとえば、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチル−I−ブチル、2−メチル−I−ペンチル、2−エチル−l−ブチル、3−メチル−2−ペンチル等の、5または6個の炭素原子を有するC1−4アルキル基およびその高級同族体を包含する。C1−6アルキルのなかでも、C1−4アルキルが好ましい。
【0027】
基または基の部分としての「C2−6アルケニル」という用語は、飽和した炭素−炭素結合および少なくとも1つの二重結合を有し、かつ2〜6個の炭素原子を有する、直鎖状の、および分枝鎖の炭化水素基を定義する(たとえば、エテニル(またはビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(またはアリール)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ペンテニル等)。C2−6アルケニルのなかでも、C2−4アルケニルが好ましい。
【0028】
基または基の部分としての「C2−6アルキニル」という用語は、たとえば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル等の、飽和炭素−炭素結合および少なくとも1つの三重結合を有し、かつ2〜6個の炭素原子を有する、直鎖および分枝鎖の炭化水素基を定義する。C2−6アルキニルのなかでも、C2−4アルキニルが好ましい。C3−7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルに対する総称である。
【0029】
1−6アルカンジイルは、たとえば、メチレン、エチレン、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,2−プロパンジイル、2,3−ブタンジイル、1,5−ペンタンジイル、1,6−ヘキサンジイル等の、1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖の二価飽和炭化水素基を定義する。C1−6アルカンジイルのなかでも、Cアルカンジイルが好ましい。C1−6アルコキシとは、C1−6アルキルが上記にて定義された通りであるC1−6アルキルオキシを意味する。
【0030】
本明細書に使用される用語(=0)またはオキソは、炭素原子に結合する場合には、カルボニル部分を形成し、硫黄原子に結合する場合には、スルホキシド部分を形成し、また前記用語のうちの2つが硫黄原子に結合する場合には、スルホニル部分を形成する。環または環系がオキソ基で置換される場合、オキソが連結される炭素原子は、常に飽和した(staturated)炭素である。
【0031】
基Hetは、本明細書および特許請求の範囲で特定されるヘテロ環である。Het基のなかでも好ましくは、単環式のものである。
【0032】
Hetの例は、たとえば、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジノリル、イソチアジノリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリルを含む)、テトラゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、トリアジニル等を含む。Het基のなかでも好ましいのは、不飽和のもの、特に芳香族性を有するものである。さらに好ましいのは、1つまたは2つの窒素を有するHet基である。
【0033】
このパラグラフおよび以下のパラグラフにおいて言及されるHet基のそれぞれは、式(I)の化合物または式(I)の化合物のサブグループのいずれかの定義において言及される、数および種類の置換基で場合により置換されていてもよい。このパラグラフおよび以下のパラグラフにおいて言及されるHet基のいくつかは、1、2または3つのヒドロキシ置換基で置換してもよい。このようなヒドロキシ置換された環は、ケト基を有するこれらの互変異性型として存在してもよい。たとえば、3−ヒドロキシピリダジン部分は、その互変異性型である2H−ピリダジン−3−1で存在してもよい。Hetがピペラジニルである場合、好ましくは、その4位において、4位窒素に炭素原子で連結している置換基、たとえば、4−C1−6アルキル、4−ポリハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C3−7シクロアルキルによって置換される。
【0034】
好ましいHet基は、たとえばピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル(1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリルを含む)、テトラゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラゾリル、トリアジニルまたはベンゼン環と縮合したこのようなヘテロ環のうちいずれか、たとえば、インドリル、インダゾリル(特に1H−インダゾリル)、インドリニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル(特に1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル)、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル(特に1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル)、キナゾリニル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルを含む。
【0035】
Het基であるピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、4置換ピペラジニルは、好ましくはこれらの窒素原子を介して連結される(すなわち1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、4−チオモルホリニル、4−モルホリニル、1−ピペラジニル、4置換1−ピペラジニル)。
【0036】
定義に使用されるいずれかの分子部分上のラジカル位置は、それが化学的に安定な限り、このような部分上のどこであってもよいことに注意すべきである。
【0037】
本明細書に使用される「ヘテロ環」は、たとえば、Paquette、Leo A.;Principles of Modern Heterocyclic Chemistry(W.A. Benjamin,New York,1968)、特にChapters 1、3、4、6、7、および9;The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A Series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York,1950から現在まで)、特にVolumes 13、14、16、19、および28;およびJ. Am. Chem. Soc.(1960)82:5566において記述されるヘテロ環を含むが、これらの例に限らない。本発明の1つの具体的な態様において、「ヘテロ環」は、1つ以上の(たとえば、1、2、3または4)炭素原子がヘテロ原子(たとえば、O、NまたはS)で置換されている、本明細書で定義されるような「炭素環」を含む。ヘテロ環の例は、たとえば、この例に限らないが、ピリジル、ジヒドロイピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化されたテトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル(indolenyl)、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカハイドロキノリニル、オクタハイドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1Hインダゾリル(indazoly)、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニリル、プテリジニル、4H−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、イサチノイルおよびビステトラヒドロフラニル:
【0038】
【化5】

たとえば、この例に限らないが、炭素で結合するヘテロ環は、ピリジンの2、3、4、5もしくは6位、ピリダジンの3、4、5もしくは6位、ピリミジンの2、4、5もしくは6位、ピラジンの2、3、5もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4もしくは5位、イソオキサゾール、ピラゾールもしくはイソチアゾールの3、4もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7もしくは8位またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7もしくは8位にて結合する。なおより典型的には、炭素で結合するヘテロ環は、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリルまたは5−チアゾリルを含む。
【0039】
たとえば、この例に限らないが、窒素で結合するヘテロ環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位、モルホリンの4位およびカルバゾールまたはβ−カルボリンの9位にて結合する。なおより典型的には、窒素で結合するヘテロ環は、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリルおよび1−ピペリジニルを含む。
【0040】
「炭素環」は、最高約25個の炭素原子を有する飽和、不飽和または芳香族環をいう。典型的には、炭素環は、単環として約3〜7個の炭素原子、二環として約7〜12個の炭素原子および多環として最高約25個の炭素原子を有する。単環式炭素環は、典型的には3〜6個の環原子、さらにより典型的には5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は典型的には、たとえば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]もしくは[6,6]系として配置される7〜12個の環原子、あるいはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配置される9または10個の環原子を有する。用語「炭素環」は、飽和炭素環または不飽和炭素環である「シクロアルキル」を含む。単環式炭素環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−l−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロへキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、フェニル、スピリル(spiryl)およびナフチルを含む。
【0041】
用語「PRT」は、本明細書で定義される用語「プロドラッグ部分」および「保護基」から選択される。
【0042】
変数の定義に使用される基は、特に明記しない限り可能性ある全ての異性体を含む。たとえば、ピリジルは、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルを含む;ペンチルは、1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルを含む。
【0043】
本明細書に記述される化合物が、同じ名称の複数の基(たとえば、「R111」または「A」など)により置換されるときはいつでも、これらの基が同じでもよく、または異なってもよいことが理解されよう。すなわち、それぞれの基は独立して選択される。
【0044】
たとえば、この例に限らないが、A、AおよびR111は、特定の態様における全ての繰り返して用いられる置換基である。典型的には、これらのそれぞれは、与えられた態様において20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1または0個独立して存在してもよい。より典型的には、これらのそれぞれは、与えられた態様において12個またはより少ない個数で独立して存在してもよい。本明細書に記述される化合物が、同じ名称の複数の基(たとえば、「R111」または「A」)により置換されるときはいつでも、これらの基が同じでもよく、または異なってもよいことが理解されよう。すなわち、それぞれの基は、独立して選択される。波線は、隣接する基、部分または原子に共有結合により付着する部位を示す。
【0045】
国際特許出願公開番号WO2007/014926の全ての内容は、ここに参照により本明細書に援用される。特に、その中における式(Ia)および(Ib)の化合物を調製するために適切な合成の経路に関する情報は、ここに参照により本明細書に援用される。
【0046】
いずれかの変数がいずれかの構成要素において複数個存在するとき、それぞれの定義は独立である。
【0047】
以下、用語、「式(I)の化合物」もしくは「本化合物」またはこれらと同様の用語が使用されるときはいつでも、式(I)の化合物、これらのプロドラッグ、N−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体および立体化学的異性体形態を含むことが意味される。一つの態様は、式(I)の化合物または本明細書に特定される式(I)の化合物の任意のサブグループ、並びにその可能な立体異性体形態のN−オキシド、塩を含む。もう一つの態様は、式(I)の化合物または本明細書に特定される式(I)の化合物のいずれかのサブグループ、並びにその可能な立体異性体形態の塩を含む。
【0048】
式(I)の化合物は、キラリティのいくつかの中心を有し、立体化学的異性体形態として存在する。本明細書に使用される用語「立体化学的異性体形態」は、同じ配列の結合によって結合した同じ原子によって構成されるが、式(I)の化合物が有し得る交換可能でない異なる三次元構造を有する、可能性がある全ての化合物を定義する。
【0049】
置換基の中でキラル原子の絶対配置を命名するために(R)または(S)が使用される場合の例に関して、その命名は、置換基を分離してではなく、化合物全体を考慮してなされる。
【0050】
言及されるか、または示されない限り、化合物の化学的名称は、前記化合物が有し得る、可能性がある全ての立体化学的異性体形態の混合物を包含する。前記混合物は、前記化合物の基本の分子構造の全てのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含んでいてもよい。純粋形態または互いに混合した状態の両方である、本発明の化合物における立体化学的異性体形態の全ては、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0051】
本明細書に言及される化合物および中間体の純粋な立体異性体形態は、前記化合物または中間体の同じ基本の分子構造のその他の鏡像異性体形態またはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性体的に純粋である」という用語は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち1つの異性体が最小90%および可能性があるその他の異性体が最大10%)から最大で100%の立体異性体過剰率(すなわち1つの異性体が100%であり、その他のものがいずれもない)までを有する化合物または中間体に関する。より好ましくは90%から最高で100%の立体異性体過剰率を有し、さらにより好ましくは94%から最高で100%の立体異性体過剰率を有し、そして最も好ましくは97%から最高で100%の立体異性体過剰率を有する化合物または中間体に関する。用語「エナンチオマー的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」は、同様の方法において理解されるべきであるが、その一方で問題の混合物の中ではそれぞれ、エナンチオマー過剰率およびジアステレオマー過剰率を考慮される。
【0052】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体形態は、周知の手順を応用することによって得てもよい。たとえば、エナンチオマーは、光学活性な酸または塩基を使用してのこれらのジアステレオマー塩の選択的な結晶化によって、互いに分離してもよい。その例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびショウノウスルホン酸である。あるいは、エナンチオマーは、キラル固定相を使用したクロマトグラフィーの技術によって分離してもよい。前記純粋な立体化学的異性体形態は、また、反応が立体特異的に起きるならば、適切な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体形態から誘導してもよい。好ましくは、特定の立体異性体が所望である場合、前記化合物は、立体特異的な調製法によって合成されてもよい。これらの方法は、エナンチオマー的に純粋な出発材料を都合よく使用してもよい。
【0053】
式(I)または(II)の化合物のジアステレオマーのラセミ体は、従来法によって別々に得ることができる。都合よく使用してもよい適切な物理的な分離方法は、たとえば、選択的な結晶化およびクロマトグラフィー(たとえば、カラムクロマトグラフィー)である。
【0054】
式(I)または(II)の化合物、およびこれらのプロドラッグ、N−オキシド、塩、溶媒和物、四級アミンまたは金属錯体、ならびにこれらの調製に使用される中間体のうちの一部については、絶対立体化学的配置が実験的に決定されなかった。
【0055】
当業者は、例えばX線回折などの周知の方法を使用してこのような化合物の絶対配置を決定することができる。
【0056】
本発明は、また、本化合物上に存在する原子の全ての同位元素を含むことが意図される。同位元素は、同じ原子番号であるが異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として、かつ限定されないが、水素の同位元素は、三重水素およびジュウテリウムを含む。炭素の同位元素は、C−13およびC−14を含む。
【0057】
この本文の全体にわたって使用される「プロドラッグ」という用語は、エステル、アミドおよびホスフェートなどの薬理的に許容される誘導体であって、誘導体の、インビボで生じる生体内変換生成物が、式(I)または(II)の化合物において定義した活性な薬物であるような誘導体を意味する。一般にプロドラッグを記述するGoodmanおよびGilman(The Pharmacological Basis of Therapeutics,8th ed,McGraw−Hill,Int. Ed. 1992,“Biotransformation of Drugs”,p 13−15)による引用例は、本明細書により援用される。プロドラッグは、好ましくは優れた水溶解度を有しており、生物学的利用能を増加させており、かつインビボで活性な阻害剤に容易に代謝される。日常的な操作によってまたはインビボで、修飾が切断されて親化合物になる方法で、本発明の化合物のプロドラッグは、この化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製してもよい。
【0058】
好ましくは、インビボで加水分解性であり、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を有する式(I)または(II)の化合物から誘導される、薬学的に許容されるエステルプロドラッグである。インビボ加水分解性エステルは、ヒトまたは動物の体内で加水分解され、親酸または親アルコールを生成するエステルである。カルボキシについての薬学的に許容される適切なエステルは、本発明の化合物におけるいずれかのカルボキシ基にて形成されてもよいC1−6アルコキシメチルエステル、たとえばメトキシメチル、C1−6アルカノイルオキシメチルエステル、たとえばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、C3−8シクロアルコキシカルボニルオキシC1−6アルキルエステル、たとえば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル、たとえば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル;およびC1−6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、たとえば1−メトキシカルボニルオキシエチルを含む。
【0059】
ヒドロキシ基を含む式(I)または(II)の化合物のインビボ加水分解性のエステルは、インビボ加水分解の結果としてエステルが分解して親ヒドロキシ基を与える、ホスフェートエステルおよびa−アシルオキシアルキルエーテルなどの無機のエステル、並びに関連化合物を含む。a−アシルオキシアルキルエーテルの例は、アセトキシメトキシおよび2,2−ジメチルプロピオニルオキシメトキシを含む。ヒドロキシに対する、インビボ加水分解性エステルを形成する基の選択は、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチルおよび置換されたベンゾイルおよびフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキルカルボナートエステルを与えるため)、ジアルキルカルバモイルおよびN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを与えるため)、ジアルキルアミノアセチルおよびカルボキシアセチルを含む。ベンゾイル上の置換基の例は、メチレン基を介してベンゾイル環の3位または4位に環窒素原子から連結されるモルホリノおよびピペラジノを含む。
【0060】
治療的な使用のためには、式(I)または(II)の化合物の塩は、対イオンが薬学的に許容される塩である。しかし、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、たとえば、薬学的に許容される化合物の調製または精製においての使用が見いだされ得る。薬学的に許容されるか否かにかかわらず全ての塩が、本発明の範囲の中に含まれる。
【0061】
先に言及した薬学的に許容される酸および塩基の付加塩は、式(I)または(II)の化合物が形成することができる、治療的に活性な無毒性の酸および塩基の付加塩形態を含むことが意味される。薬学的に許容される酸の付加塩は、以下のような適切な酸で塩基形態を処理することによって、都合よく得ることができる。適切な酸は、たとえば、ハロゲン化水素酸、たとえば、塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;またはたとえば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわちヒドロキシブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸等の有機酸を含む。
【0062】
逆に前記塩の形態は、適切な塩基での処理により遊離の塩基形態に変換され得る。
【0063】
酸性プロトン(acidicproton)を含む式(I)または(II)の化合物は、また、適切な有機および無機の塩基での処理によって、これらの無毒性金属またはアミン付加塩形態に変換させてもよい。適切な塩基性塩形態は、たとえば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、およびアルカリ土類金属塩、たとえばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等、たとえばベンザチン塩、N−メチル−D−グルカミン塩、ヒドラバミン塩などの有機塩基との塩、およびアミノ酸、たとえば、アルギニン、リジン等との塩を含む。
【0064】
先に使用された用語「付加塩」は、また、式(I)または(II)の化合物、並びにその塩が形成することができる溶媒和物を含む。このような溶媒和物は、たとえば、水和物、アルコラート等である。
【0065】
先に使用された用語「四級アミン」は、式(I)または(II)の化合物が、式(I)または(II)の化合物の塩基性窒素と、たとえば、任意に置換されたアルキルハライド、アリールハライドまたはアリールアルキルハライド、たとえばヨウ化メチルまたはヨウ化ベンジルなどの適切な四級化薬剤との間の反応によって形成することができる、四級アンモニウム塩を定義する。アルキルトリフルオロメタンスルホナート、アルキルメタンスルホナートおよびアルキルp−トルエンスルホナートなどの、優れた脱離基を有するその他の反応物もまた使用してもよい。四級アミンは、正に荷電した窒素を有する。
【0066】
薬学的に許容される対イオンは、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロアセテートおよびアセテートを含む。最適な対イオンは、イオン交換樹脂を使用して導入することができる。
【0067】
本化合物のN−オキシド形態は、1つまたはいくつかの窒素原子が、いわゆるN−オキシドに酸化されている、5式(I)または(II)の化合物を含むことが意味される。
【0068】
式(I)または(II)の化合物は、金属と結合する特性、キレート化する特性、錯体を形成する特性を有してもよく、したがって金属錯体または金属キレートとして存在してもよいことが理解される。式(I)または(II)の化合物のこのような金属化(metalated)された誘導体は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0069】
式(I)または(II)の化合物のいくつかは、また、これらの互変異性体形態で存在してもよい。これらの形態は、上記式において明確に示さなかったが、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0070】
上で述べたように、式(I)または(II)の化合物は、いくつかの不斉中心を有する。これらの不斉中心のそれぞれに、より効率的に言及するために、以下の代表的な構造式中に示すような番号付けシステムを使用する。
【0071】
【化6】

不斉中心は、大環状分子の1位、4位および6位、並びに5−員環における3’位の炭素原子、R置換基がC1−6アルキルである場合には2’位の炭素原子、そしてXがCHである場合には1’位の炭素原子に存在する。これらの不斉中心のそれぞれは、これらのRまたはS配置で存在することができる。
【0072】
1位における立体化学は、好ましくはL−アミノ酸配置の立体化学、すなわちL−プロリンの立体化学に対応する。
【0073】
XがCHであるとき、シクロペンタン環の1’位および5’位にて置換される2つのカルボニル基は、好ましくはトランス配置である。5’位にあるカルボニル置換基は、好ましくは、L−プロリンの配置に対応する配置である。1’位および5’位にて置換されたカルボニル基は、好ましくは、以下の式の構造において下に示されるとおりである:
【0074】
【化7】

式(I)または(II)の化合物は、下の構造断片において表されるようなシクロプロピル基を含む:
【0075】
【化8】

式中C7は、7位にある炭素を表し、また4位および6位にある炭素は、シクロプロパン環の不斉炭素原子である。
【0076】
式(I)または(II)の化合物のその他のセグメントにある、可能性があるその他の不斉中心にも関わらず、これらの2つの不斉中心の存在は、この化合物が、式(I)または(II)の化合物のジアステレオマーであって、以下に示すように7位にある炭素は、カルボニルに対してsynに、またはアミドに対してsynに構成されるジアステレオマーなどのジアステレオマーの混合物として存在することができることを意味する。
【0077】
【化9】

一つの態様は、7位の炭素がカルボニルに対してsynに構成される、式(I)または(II)の化合物に関する。もう一つの態様は、4位の炭素の配置がRである式(I)または(II)の化合物に関する。式(I)または(II)の化合物の具体的なサブグループは、7位の炭素がカルボニルに対してsynに構成され、かつ4位の炭素の配置がRであるものである。
【0078】
式(I)または(II)の化合物は、また、プロリン残基(XがNである場合)またはシクロペンチル残基もしくはシクロペンテニル残基(XがCHまたはCである場合)を含んでいてもよい。式(I)または(II)の化合物は、1位(または5’位)の置換基および3’位の置換基がトランス配置にあることが好ましい。式(I)または(II)の化合物は、1位がL−プロリンに対応する配置を有し、かつ3’位の置換基が1位に関してトランス配置にあることが、特に関心が持たれる。式(I)または(II)の化合物は、以下の式(I−a)および(I−b)の構造に示すような立体化学を有することが好ましい:
【0079】
【化10】

本発明の一つの態様は、以下の条件のうちの1つまたは複数が適用される、式(I)もしくは(II)または式(I−a)の化合物、あるいは式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループの化合物に関する:
(a)Rは、水素であり;
(b)Xは、窒素であり;
(c)炭素原子7と8との間に二重結合が存在する。
【0080】
本発明の一つの態様は、以下の条件のうちの1つまたは複数が適用される、式(I)もしくは(II)または式(I−a)もしくは(I−b)の化合物、あるいは式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループの化合物に関する:
(a)Rは、水素であり;
(b)Xは、CHであり;
(c)炭素原子7と8との間に二重結合が存在する。
【0081】
式(I)または(II)の化合物の特定のサブグループは、以下の構造式によって表されるものである:
【0082】
【化11】

式(I−c)および(I−d)の化合物のうち、それぞれ、式(I−a)、および(I−b)の化合物の立体化学的配置を有するものが、特に関心が持たれる。
【0083】
式(I)もしくは(II)の化合物における、または式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループにおける、炭素原子7と8との間の二重結合は、シスまたはトランス配置であり得る。好ましくは、式(I−c)および(I−d)にて図示するように、炭素原子7と8との間の二重結合は、シス配置である。
【0084】
下記の式(I−e)にて図示するように、式(I)もしくは(II)の化合物において、または式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループにおいて、炭素原子1’および2’の間の二重結合が存在し得る。
【0085】
【化12】

式(I)または(II)の化合物のさらにもう一つの特定のサブグループは、以下の構造式によって表される:
【0086】
【化13】

式(I−f)、(I−g)または(I−h)の化合物のうち、式(I−a)および(I−b)の化合物の立体化学的配置を有するものは、特に関心が持たれる。
(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)および(I−h)において、適用できる場合、X、n、R、R、R、R、RおよびRは、式(I)もしくは(II)の化合物の定義または本明細書に特定される式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかにおいて、特定したとおりである。
【0087】
式(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−g)または(I−h)の化合物の上記において定義されたサブグループ、および本明細書に定義される任意のその他のサブグループは、このような化合物の任意のN−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体および立体化学的異性体形態をも含むことが意味されることを理解すべきである。
【0088】
nが2であるとき、「n」によって括弧に入れられた−CH−部分は、式(I)もしくは(II)の化合物において、または式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループにおいて、エタンジイルに対応する。nが3であるとき、「n」によって括弧に入れられた−CH−部分は、式(I)もしくは(II)の化合物において、または式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループにおいて、プロパンジイルに対応する。nが4であるとき、「n」によって括弧に入れられた−CH−部分は、式(I)もしくは(II)の化合物において、または式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループにおいて、ブタンジイルに対応する。nが5であるとき、「n」によって括弧に入れられた−CH部分は、式(I)もしくは(II)の化合物において、または式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループにおいて、ペンタンジイルに対応する。nが6であるとき、「n」によって括弧に入れられた−CH−部分は、式(I)もしくは(II)の化合物において、または式(I)もしくは(II)の化合物の任意のサブグループにおいて、ヘキサンジイルに対応する。式(I)または(II)の化合物における特定のサブグループは、nが4または5である化合物である。
【0089】
本発明の態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかである。
【0090】
本発明の特定の態様において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルである。このRは、1つまたは複数のRで場合により置換される;
それぞれのRは、独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、ここで、それぞれのアリールおよびヘテロアリールは、1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換される;Rのそれぞれのアルキルは、1つまたは複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換される;
それぞれのRおよびRは、独立してH、アルキルまたはハロアルキルであり;かつRおよびRは、それぞれ独立してH、(C1−10)アルキルまたはアリールであり、この(C1−10)アルキルまたはアリールは、1つまたは複数のハロで場合により置換される;
本発明の特定の態様において、Rは、アルキル、アリール、シクロアルキルであり、このRは、独立してアルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数のRで場合により置換され、Rのそれぞれのアルキルは、1つまたは複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換される。
【0091】
本発明の特定の態様において、Rはアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRは1〜3つのAで場合により置換される。
【0092】
本発明の特定の態様において、Rはシクロプロピルであり、このRは4つまでのAで場合により置換される。
【0093】
本発明の特定の態様において、Rはシクロプロピルであり、このRは1つのAで場合により置換される。
【0094】
本発明の特定の態様において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRは、1つまたは複数のRで場合により置換される;
それぞれのRは、独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、それぞれのアリールおよびヘテロアリールは、1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換される;Rのそれぞれのアルキルは、1つまたは複数のハロまたはシアノで場合により置換される;および
それぞれのRおよびRは、独立してH、アルキルまたはハロアルキルである。
【0095】
本発明の特定の態様において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRは、1つまたは複数のRで場合により置換される;
それぞれのRは、独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRであり、それぞれのアリールおよびヘテロアリールは、1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換される;
それぞれのRおよびRは、独立してH、アルキルまたはハロアルキルである。
【0096】
本発明の特定の態様において、Rは、フェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピルである。
【0097】
本発明の特定の態様において、Rは、シクロプロピルである。
【0098】
本発明の特定の態様において、Rは、1−メチルシクロプロピルである。
【0099】
式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかについての本発明の特定の態様では、構造(I)または(II)の化合物において4つの置換基を有し、かつ少なくとも1つの水素への結合を含む炭素原子は、1つまたは複数の水素原子が場合によりハロによって置換されてもよく、式中ハロは、F、Cl、BrまたはIであり得、好ましくはFであり得る。
【0100】
本発明のさらなる態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中、
(a)Rは、水素である;
(b)Rは、C1−6アルキルであり、好ましくはメチルである。
【0101】
本発明の態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中、
(a)Xは、N、C(Xは二重結合を介して連結されている)またはCH(Xは単結合を介して連結されている)であり、かつRは、水素である;
(b)Xは、C(Xは二重結合を介して連結されている)であり、かつRは、C1−6アルキルであり、好ましくはメチルである。
【0102】
本発明のさらなる態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中、
(a)Rは、水素である;
(b)Rは、C1−6アルキルである;
(c)Rは、C1−6アルコキシC1−6アルキルまたはC3−7シクロアルキルである。
【0103】
本発明の好ましい態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中Rは、水素またはC1−6アルキルであり、より好ましくは、水素またはメチルである。
【0104】
本発明の態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中Rは、アリールまたはHetであり、それぞれ独立して、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかの定義において言及したHetまたはアリールの置換基のいずれかで、場合により置換され;あるいは、具体的には前記アリールまたはHetは、それぞれ独立して、C1−6アルキル、ハロ、アミノ、モノ−C1−6アルキルアミノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニルで場合により置換されており;かつ式中モルホリニル基およびピペリジニル基は、1つまたは2つのC1−6アルキル基で場合により置換されてもよい。
【0105】
本発明の態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中Rは、基
【0106】
【化14】

または特に、式中Rは、以下からなる群から選択される:
【0107】
【化15】

式中、可能な場合、窒素は、R4a置換基または分子の残りへの連結部を有してもよく;R置換基のいずれかにおけるそれぞれのR4aは、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかの定義に特定したとおり、Het上の、可能性がある置換基として言及されたものから選択してもよい;
より具体的には、それぞれのR4aは、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノまたはモノ−C1−6アルキルアミノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキル−ピペラジニルでもよい;そしてモルホリニル基およびピペリジニル基は、1つまたは2つのCl−6アルキル基で場合により置換されてもよい;
より具体的にはそれぞれのR4aは、それぞれ独立して、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノまたはモノ−C1−6アルキルアミノもしくはジ−C1−6アルキルアミノであり;
かつR4aが窒素原子上で置換される場合、R4aは、好ましくは、炭素原子を含む置換基5であり、この置換基はある1個の炭素原子もしくは置換基の炭素原子(複数)のうちの1つを介して窒素に結合し;かつこの場合において、R4aは、好ましくはC1−6アルキルである。
【0108】
本発明の態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中Rは、フェニルまたはピリジル(pyridiyl)(特に4−ピリジル)であり、このフェニルまたはピリジルはそれぞれ、式(I)または(II)の化合物またはそのサブグループのいずれかの定義におけるアリールについて言及したものから選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で置換されてもよい。特に、前記フェニルまたはピリジルは、ハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルコキシから選択される1〜3つの(もしくは1〜2つの、もしくは1つの)置換基(単数または複数)で置換される。
【0109】
本発明の態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中Rは、ハロまたはC1−6アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、フルオロ、クロロまたはブロモであり、ポリハロC1−6アルキルを含む。
【0110】
本発明の態様は、式(I)もしくは(II)の化合物または式(1)の化合物のサブグループのいずれかであり、式中RがC1−6アルコキシまたはジ−C1−6アルキルアミノであり;好ましくは、Rは、メトキシまたはジメチルアミノであり;より好ましくは、Rは、メトキシである。
【0111】
式(I)または(II)の化合物は、3つのビルディングブロックP1、P2、P3からなる。ビルディングブロックP1は、Pl’ 尾部をさらに含む。下記の化合物(I−c)におけるアステリスクでマークされるカルボニル基は、ビルディングブロックP2またはビルディングブロックP3のいずれかの一部分であってもよい。化学的な理由で、XがCである式(I)の化合物のビルディングブロックP2は、1’位に結合するカルボニル基を組み込む。
【0112】
ビルディングブロックP2とP1、P3とP2、およびP1’とP1の連結(式中のRが−NH−SOの場合)は、アミド結合を形成することを含む。ブロックP1およびP3の連結は、二重結合形成を含む。化合物(I−i)または(I−j)を調製するためのビルディングブロックP1、P2およびP3の連結は、任意の与えられた順序で行うことができる。工程の1つは、それにより大環状分子が形成される環化を含む。
【0113】
以下に表されるのは、炭素原子C7およびC8が二重結合によって連結された式(I)または(II)の化合物である化合物(I−i)、並びに炭素原子C7およびC8が単結合によって連結された式(I)または(II)の化合物である化合物(I−j)である。式(I−j)の化合物は、対応する式(I−i)の化合物から、大環状分子における二重結合を還元することによって、調製することができる。
【0114】
【化16】

式(I−c)の化合物において、ブロックP2とP3との間のアミド結合形成が尿素断片の2つの異なる位置において達成されてもよいことに注意すべきである。第1のアミド結合は、ピロリジン環の窒素および隣接するカルボニル(アステリスクでマークされる)を包含する。代わりの第2のアミド結合形成は、アステリスクを付けた−NHR基を有するカルボニルとの反応を含む。ビルディングブロックP2とP3と間での両方のアミド結合形成が可能である。
【0115】
以下に記述した合成手順は、ラセミ体、立体化学的に純粋な中間体もしくは最終生成物または任意の立体異性体混合物にもまた適用できることが意味される。ラセミ体または立体化学的混合物は、合成手順の任意の段階にて、立体異性体形態に分離されてもよい。一つの態様において、中間体および最終生成物は、式(I−a)および(I−b)の化合物において上記で特定される立体化学を有する。
【0116】
式(I)または(II)の化合物またはその中間体の構造的な表示を単純化するために、基
【0117】
【化17】

または基Hetは、Rによって表され、点線は、Rによって表される前記基を分子の残りに連結する結合を表す。
【0118】
もう一つの態様において、Rは、Hetである。
【0119】
具体的な態様は、以下の化合物およびその塩、並びにアミノ基が保護基によって保護されている化合物に関する:
【0120】
【化18】

具体的な態様は、以下の化合物に関する:
【0121】
【化19】

具体的な態様は、以下の化合物およびその塩、並びにアミノ基が保護基によって保護されている化合物に関する:
【0122】
【化20】

具体的な態様は、以下の化合物に関する:
【0123】
【化21】

具体的な態様は、以下の化合物およびその塩、並びにアミノ基が保護基によって保護されている化合物に関する:
【0124】
【化22】

一つの態様において、化合物(I−i)は、最初にアミド結合を形成して5、その後に大環状分子への環化を伴って、P3とP1との間の二重結合を形成することによって調製される。好ましい態様において、上記において定義されたとおり、式(I−i)の化合物である、C7とC8との間の結合が二重結合である化合物(I)または(II)は、以下の反応スキームにおいて概説されるように調製してもよい:
【0125】
【化23】

大環状分子の形成は、Miller,S.J.,Blackwell,11.E.,Grubbs,RH. J. Am. Chem. Soc. 118,(1996),9606−9614; Kingsbury,J. S.,Harrity,J. P. A.,Bonitatebus,P. J.,Hoveyda,A. H.,J. Am. Chem. Soc. 121,(1999),791−799; and Huang et al.,J. Am. Chem. Soc. 121,(1999),26742678によって報告されたRuに基づいた触媒などの適切な金属触媒(たとえばHoveyda−Grubbs触媒)の存在下においてオレフィンメタセシス反応を介して実施することができる。
【0126】
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−3−フェニル−1H−インデン−l−イリデンルテニウムクロリド(Neolyst M1(登録商標))またはビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−[(フェニルチオ)メチレンルテニウム(IV)ジクロリドなどの空気中安定なルテニウム触媒を使用することができる。使用することができるその他の触媒は、Grubbs第1および第2世代触媒であり、すなわちそれぞれ、ベンジリデン−ビス(トリシクロ(cycle)ヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウムおよび(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダ(cla)ゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)−(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムである。
Hoveyda−Grubbs第1および第2世代触媒は、特に関心が持たれる、それぞれジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)−ルテニウム(II)および1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムである。また、Moなどのその他の遷移金属を含むその他の触媒をこの反応のために使用することができる。メタセシス反応は、適切な溶媒(たとえば、エーテル、たとえばTHF、ジオキサン;ハロゲン化炭化水素、たとえば、ジクロロメタン、CHCl、1,2‐ジクロロエタン等、炭化水素、たとえばトルエン)中で行われてもよい。好ましい態様において、メタセシス反応は、トルエン中で行われる。これらの反応は、窒素雰囲気下で温度を上げて行われる。
【0127】
大環状分子におけるC7とC8との間の連結が単結合である式(I)または(II)の化合物、すなわち式(I−j)の化合物は、式(I−i)の化合物におけるC7−C8二重結合の還元によって、式(I−i)の化合物から調製することができる。この還元は、たとえばPt、Pd、Rh、Ruまたはラネーニッケルなどの貴金属触媒の存在下において、水素での触媒水素化によって行われてもよい。アルミナ上のRhは、関心がもたれる。水素化反応は、好ましくはメタノール、エタノールなどのアルコール、またはTHFなどのエーテル、あるいはその混合物の溶媒中で行われる。水は、また、これらの溶媒または溶媒混合物に添加することができる。
【0128】
基は、合成の任意の段階にて、すなわち環化の前か後に、または本明細書に上で記述した環化および還元の前か後にP1ビルディングブロックに結合することができる。Rが、−NHSOを表す式(I)または(II)の化合物であって、式(I−k−1)によって表される前記化合物は、R基をP1に、両部分の間にアミド結合を形成することにより連結することによって調製することができる。1つの態様において、−NHSO基は、Gが基:
【0129】
【化24−1】

を表す以下の反応スキームにおいて概説されるとおりの、化合物(I)または(II)の合成の最終工程において導入される
【0130】
【化24−2】

中間体(2a)は、以下に記述したアミド結合の形成のための手順のいずれかなどの、アミド形成反応によってアミン(2b)と結合することができる。特に、(2a)は、エーテル、たとえばTHFまたはハロゲン化炭化水素、たとえば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの溶媒中で、カップリング剤、たとえばN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、EEDQ、IIDQ、EDCIまたはベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP(登録商標)として市販)またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフート(HATU)で処理して、好ましくは(2a)をカップリング剤と反応した後に所望のスルファミン酸エステル(2b)と反応させてもよい。(2b)と(2a)の反応は、好ましくは塩基、たとえばトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミンまたは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU))の存在下において行われる。中間体(2a)は、また、活性化された形態、たとえば、Zがハロまたは活性なエステルの残りを表す、たとえばZがフェノキシ、パラ(p.)ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、トリクロロフェノキシ、ペンタクロロフェノキシ等のアリールオキシ基であるか;またはZが混合無水物の残りであることができる一般式G−CO−Zの活性化された形態に変換することができる。一つの態様において、G−CO−Zは、酸塩化物(G−CO−C1)または混合酸無水物(G−CO−O−CO−RまたはG−CO−O−CO−OR、後者においてRは、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソ(i.)プロピル、ブチル、第三級(t.)ブチル、イソ(i.)ブチルまたはベンジルなどのC1−4アルキルである)である。活性形態G−CO−Zは、スルファミン酸エステル(2b)と反応する。
【0131】
上記の反応に記載されているように(2a)のカルボン酸の活性化は、式:
【0132】
【化25】

(式中X、R、R、R、nは、上で特定したとおりであり、かつ式中不斉中心(stereogenic center)が、特定したとおりの、たとえば(I−a)または(I−b)におけるとおりの立体化学的配置を有してもよい。)
のアザラクトン中間体への内部環化反応を引き起こし得る。中間体(2a−1)は、従来の方法論を用いて反応混合物から単離することができ、次いで単離された中間体(2a−1)を(2b)と反応させるか、または(2a−1)を含む反応混合物を、(2a−1)の単離を伴わずにさらに(2b)と反応させることができる。一つの態様において、カップリング剤との反応が水と混ざらない溶媒中で行われる場合、全ての水溶性副生成物を除去するために、(2a−1)を含む反応混合物を水で、またはわずかに塩基性の水で洗浄してもよい。こうして得られた洗浄した溶液は、次いでさらなる精製工程なしで(2b)と反応させてもよい。一方で、中間体(2a−1)の単離は、随意のさらなる精製の後、単離された生成物を(2b)と反応させて、より少ない副生成物およびより簡単な反応の後処理をもたらし得るという点で、一定の利点を提供し得る。
【0133】
中間体(2a)は、エステル形成反応によってアルコール(2c)とカップリングすることができる。たとえば、(2a)および(2c)を物理的に、たとえば共沸での水除去によってか、または化学的に脱水剤を使用することによってのいずれかで脱水を伴って反応させる。中間体(2a)は、また上で言及した活性化された形態などの活性化された形態G−CO−Zに変換することができ、その後にアルコール(2c)と反応させることができる。エステル形成反応は、アルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩、たとえば炭酸水素ナトリウムもしくは炭酸水素カリウムなどの塩基、あるいはアミド形成反応に関して本明細書で言及したアミンなどの第三級アミン、特にトリアルキルアミン、たとえばトリエチルアミンの存在下において好ましくは行われる。エステル形成反応に使用することができる溶媒は、THFなどのエーテル;ジクロロメタン、CHClなどのハロゲン化炭化水素;トルエンなどの炭化水素;DMF、DMSO、DMAなどの極性非プロトン性溶媒;等の溶媒を含む。
【0134】
が水素である式(I)または(II)の化合物は、(I−1)によって表されている化合物であり、また、以下の反応スキームと同様に、対応する窒素保護された中間体(3a)から、保護基PGの除去によって、調製することができる。保護基PGは、特に、以下に言及した窒素保護基のいずれかであり、以下でも言及する手順を使用して除去することができる:
【0135】
【化26】

上記の反応における出発材料(3a)は、基RがPGである中間体を使用すること以外は、式(I)または(11)の化合物の調製のための手順にしたがって、調製することができる。
【0136】
式(I)または(II)の化合物は、また種々の基が上で特定した意味を有する以下の反応スキームにおいて概説されるように、中間体(4a)を中間体(4b)と反応させることによって調製することができる:
【0137】
【化27】

(4b)のYは、ヒドロキシまたは、例えば、ハライド、たとえばブロミドもしくはクロリドまたはアリールスルホニル基、たとえば、メシレート、トリフレートまたはトシレート等の脱離基LGを表す。
【0138】
一つの態様において、(4b)と(4a)の反応は、o−アリール化反応であり、Yは、脱離基を表す。この反応は、E. M. Smith et al.(J. Med. Chem.(1988)、31、875−885)によって記述された手順にしたがって行うことができる。特に、この反応は、塩基、好ましくは強塩基の存在下において、反応不活性な溶媒、たとえば、アミド結合の形成のために言及した溶媒の1つの中で行われる。
【0139】
詳細な態様において、出発材料(4a)を、双極性非プロトン性溶媒、たとえばDMA、DMF等のような反応不活性な溶媒中で、ヒドロキシ基から水素を減じるのに十分強力である塩基(たとえばLiHもしくは水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、あるいはナトリウムメトキシドもしくはエトキシド、カリウムメトキシドもしくはエトキシド、またはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドのアルカリ)の存在下において(4b)と反応させる。生じるアルコラートを、Yが上述した通りの適切な脱離基であるアリール化剤(4b)と反応させる。この種のO−アリール化反応を使用する(4a)の(I)または(II)への変換は、ヒドロキシ基を有する炭素における立体化学的配置を変化させない。
【0140】
あるいは、(4b)との(4a)反応は、またMitsunobu反応(Mitsunobu、1981、Synthesis、1月、1−28;Rano et al.,Tetrahedron Let、1995、36、22、3779−3792;Krchnak et al.,Tetrahedron Lett、1995、36、5、6193−6196;Richter et al.,Tetrahedron Lett.,1994、35、27、4705−4706)を介して行うことができる。この反応は、トリフェニルホスフィンおよび活性化剤(たとえばジエチルアゾジカルボキシラート(DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)などのジアルキルアゾカルボキシラート)の存在下における、Yがヒドロキシルである(4b)での中間体(4a)の処理を含む。Mitsunobu反応は、ヒドロキシ基を有する炭素における立体化学的配置を変える。
【0141】
あるいは、式(I)の化合物を調製するために、最初に、ビルディングブロックP2とP1との間のアミド結合を形成して、続いてP1−P2におけるP1部分にP3ビルディングブロックをカップリングさせて、その後に閉環を付随させてP2−P1−P3のP3とP2部分との間にカルバメートまたはエステル結合形成をする。
【0142】
さらにもう一つの代わりの合成方法論は、ビルディングブロックP2とP3との間のアミド結合の形成、続くP3−P2のP3部分へのビルディングブロックP1の結合、そして閉環を付随するP1−P3−P2のP1とP2との間の最後のアミド結合形成である。ビルディングブロックはP1およびP3は、Pl−P3配列のものに連結することができる。必要に応じて、P1およびP3を連結している二重結合を還元させてもよい。還元されるかまたはされずにかのいずれかで、こうして形成されたP1−P3配列のものは、ビルディングブロックP2にカップリングさせて、その後、そうして形成させたP1−P3−P2配列のものを、アミド結合を形成することによって、環化させることができる。
【0143】
ビルディングブロックP1およびP3は、以前のアプローチのいずれにおいても、二重結合形成を介して、たとえば以下に記述したオレフィンメタセシス反応またはWittigタイプ反応によって、連結することができる。こうして形成された二重結合を、必要であれば、(I−i)から(I−j)への変換について上述したのと同様に、還元することができる。二重結合は、また後期段階にて、すなわち第3のビルディングブロックの付加の後、または大環状分子の形成の後に還元させることができる。ビルディングブロックP2およびP1は、アミド結合形成によって連結され、P3およびP2は、カルバメートまたはエステル形成によって連結される。
【0144】
尾部P1’は、式(I)の化合物の合成の任意の段階にて、たとえばビルディングブロックP2およびP1を結合する前か後に、;P1にP3ビルディングブロックを結合する前か後に;または閉環の前か後にP1ビルディングブロックに結合することができる。
【0145】
個々のビルディングブロックを、最初に調製して、その後に共に結合することができ、または代わりに、ビルディングブロックの前駆体を共に結合して、所望の分子組成物に後期の段階にて修飾することができる。
【0146】
ビルディングブロックのそれぞれにおける官能性は、副作用を回避するために保護されていてもよい。
【0147】
アミド結合の形成は、ペプチド合成においてアミノ酸を結合するために使用されるものなどの標準的な手順を使用することにより実施することができる。後者には、連結するアミド結合を形成するための、一方の反応物のカルボキシル基と、他方の反応物のアミノ基との脱水結合を含む。アミド結合形成は、カップリング剤の存在下において出発材料を反応することによって、またはカルボキシル官能性を活性エステル、混合無水物またはカルボン酸(carboxyl acid)クロリドもしくはカルボン酸ブロミドなどの活性型へ変換することによって行ってもよい。このようなカップリング反応の一般的な記述およびそこで使用される試薬は、たとえば、M. Bodanszky,”Peptide Chemistry”,2nd rev. ed. 25 Springer−Verlag,Berlin,Germany,(1993)のペプチド化学に関する一般的な教科書において見出すことができる。
【0148】
アミド結合形成でのカップリング反応の例は、アジド法、混合炭酸−カルボン酸無水物(イソブチルクロロホルメート)法、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、もしくはN−エチルN’−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドなどの水溶性カルボジイミド)法、活性エステル法(たとえば、p−ニトロフェニルエステル、p−クロロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル等)、Woodward試薬K法、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDIもしくはN,N’−カルボニルジイミダゾール)法、リン試薬または酸化還元法を含む。これらの方法のいくつかは、適切な触媒を添加することによって、たとえばカルボジイミド方法において、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)または4−DMAPを添加することによって、増強することができる。さらなるカップリング剤は、(ベンゾトリアゾール−l−イルオキシ)トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート単独であるか、もしくは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールもしくは4−DMAPの存在下での(ベンゾトリアゾール−l−イルオキシ)トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;または2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラートもしくは0−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’N’テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。これらのカップリング反応は、溶液(液相)または固相のいずれかにおいて行うこともできる。
【0149】
好ましいアミド結合形成は、N−エチルオキシカルボニル−2−エチルオキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)またはN−イソブチルオキシ−カルボニル−2−イソブチルオキシ−1,2−ジヒドロキノリン(IIDQ)を使用して行われる。古典的な無水物手順とは異なり、EEDQおよびIIDQは、塩基も低反応温度も必要としない。典型的には、本手順は、等モル量のカルボキシル成分およびアミン成分を有機溶媒(広範で多様な溶媒を使用することができる)中で反応させることを含む。次いで、EEDQまたはIIDQを過剰に添加して、混合物を室温にて撹拌することができる。
【0150】
カップリング反応は、好ましくは、ハロゲン化炭化水素、たとえばジクロロメタン、クロロホルムなどの不活性溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、DMSO、IIMPT、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル)などの双極性非プロトン性溶媒中で行われる。
【0151】
多くの例において、カップリング反応は、三級アミン、たとえばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、4−DMAPまたは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などの適切な塩基の存在下においてなされる。反応温度は、0℃〜50℃の間の範囲でもよく、反応時間は、15分〜24時間の間の範囲でもよい。
【0152】
共に連結されるビルディングブロックにおける官能基は、望ましくない結合の形成を回避するために保護されていてもよい。使用することができる適切な保護基は、たとえば、Greene,”Protective Groups in Organic Chemistry”,John Wiley & Sons,New York(1999) and ”The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology”,Vol. 3,Academic Press,New York(1987)に収載されている。
【0153】
カルボキシル基は、切断されて、カルボン酸を与えることができるエステルとして保護することができる。
【0154】
使用することができる保護基は、1)メチル、トリメチルシリルおよびtertブチルなどのアルキルエステル;2)ベンジルおよび置換ベンジルなどのアリールアルキルエステル;または3)トリクロロエチルおよびフェナシルエステルなどの穏和な塩基または穏和な還元手段によって切断することができるエステルを含む。
【0155】
以下などのアミノ基は、多様なN−保護基によって保護することができる:
1)ホルミル、トリフルオロアセチル、フタリルおよびp−トルエンスルホニルなどのアシル基;
2)ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)および置換ベンジルオキシカルボニル、並びに9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの芳香族カルバメート基;
3)tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシ−カルボニルおよびアリルオキシカルボニルなどの脂肪族カルバメート基;
4)シクロペンチルオキシカルボニルおよびアダマンチルオキシカルボニルなどの環状アルキルカルバメート基;
5)トリフェニルメチル、ベンジルまたは4−メトキシベンジルなどの置換ベンジルなどのアルキル基;
6)トリメチルシリルまたは第三級ブチル(t.Bu)ジメチルシリルなどのトリアルキルシリル;および
7)フェニルチオカルボニルおよびジチアスクシノイルなどのチオール含有基。興味深いアミノ保護基は、BocおよびFmocである。
【0156】
好ましくは、アミノ保護基は、次のカップリング工程の前に切断される。N−保護基の除去は、周知の手順にしたがって行うことができる。Boc基が使用されるとき、最適な方法は、ニートの、もしくはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸またはジオキサン中の、もしくは酢酸エチル中のHaである。次いで、生じるアンモニウム塩を、カップリングの前か、またはインサイチューのいずれかで、ジクロロメタンもしくはアセトニトリルもしくはジメチルホルムアミド中の水性緩衝液または三級アミンなどの塩基性溶液で中和する。Fmoc基が使用されるとき、最適な試薬は、ジメチルホルムアミド中のピペリジンまたは置換ピペリジンであるが、任意の二級アミンを使用することができる。脱保護は、0℃〜室温の間の温度、通常約15〜25℃または20〜22℃にて実施される。
【0157】
また、ビルディングブロックのカップリング反応において妨げることができるその他の官能基が保護されてもよい。たとえば、ヒドロキシル基は、ベンジルエーテルもしくは置換ベンジルエーテル、たとえば4−メトキシベンジルエーテル、ベンゾイルもしくは置換ベンゾイルエステル、たとえば、4−ニトロベンゾイルエステルまたはトリアルキルシリル基、たとえば、トリメチルシリルもしくはtert−ブチルジメチルシリルとして保護されてもよい。
【0158】
さらなるアミノ基が、選択的に切断することができる保護基によって保護されてもよい。たとえば、Bocがa−アミノ保護基として使用されるときは、以下の側鎖保護基が適切である:p−トルエンスルホニル(トシル)部分を、さらにアミノ基を保護するために使用することができ;ベンジル(Bn)エーテルを、ヒドロキシ基を保護するために使用することができ;ベンジルエステルを、さらなるカルボキシル基を保護するために使用することができる。またはFmocがa−アミノ保護のために選択されるときは、通常、tert−ブチルに基づいた保護基が許容される。たとえば、Bocは、さらにアミノ基のために;tertブチルエーテルは、ヒドロキシル基のために;そして、tert−ブチルエステルは、さらなるカルボキシル基のために使用することができる。
【0159】
任意の保護基を、合成手順の任意の段階にて除去してもよいが、好ましくは、反応工程に関与しない官能基のいずれの保護基も、大環状分子の構築の完成後に除去される。保護基の除去は、保護基の選択によって指示されるどんな様式でも行うことができ、この様式は、当業者に周知である。
【0160】
XがNである式(la)の中間体は、式(la−1)によって表される前記中間体であり、以下の反応スキームにおいて概説されるように、中間体(5a)から開始して、これを、カルボニル導入剤の存在下においてアルカンアミン(5b)と反応させることによって調製してもよい。
【0161】
【化28】

カルボニル(CO)導入剤は、ホスゲンまたはホスゲン誘導体(例えば、カルボニルジイミダゾール(CDI))を含む。一つの態様において(5a)を、上記のとおりのアミド形成反応に使用される塩基および溶媒になり得る適切な塩基および溶媒の存在下においてCO導入剤と反応させる。詳細な態様において、塩基は、炭酸水素塩、たとえばNaHCOまたはトリエチルアミンなどの三級アミン等であり、溶媒は、エーテルまたはハロゲン化炭化水素、たとえば、THF、CHCl、CHCl等である。その後、アミン(5b)を添加して、これにより上記のスキームと同様に中間体(1a−1)を得る。同様の反応条件を使用する変形経路は、最初にCO導入剤をアルカンアミン(5b)と反応して、次いでこうして形成された中間体を(5a)と反応すること含む。
【0162】
中間体(1a−1)は、あるいは、以下のとおりに調製することができる:
【0163】
【化29】

PGはO−保護基であり、これは本明細書に言及した基のいずれかであることができ、特に4−ニトロベンゾイルなどのベンゾイルまたは置換ベンゾイル基である。後の例において、この基は、水酸化アルカリ金属(LiOH、NaOH、KOH)、特にPGが4−ニトロベンゾイルである場合、LiOHと、水およびアルカノール(メタノール、エタノール)およびTHFなどの水溶性有機溶媒を含有する水性媒質中での反応によって除去することができる。
【0164】
中間体(6a)を、上記のものと同様のカルボニル導入剤の存在下において(b)と反応して、この反応により中間体(6c)を得る。これらを、特に、上で言及した反応条件を使用して脱保護させる。生じるアルコール(6d)を、(4b)と(4a)の反応のために上記したとおりの中間体(4b)と反応させて、この反応により中間体(1a−1)を生じる。
【0165】
XがCである式(la)の中間体は、式(la−2)によって表される前記中間体であり、上記で記述したものなどのアミドを調製するために反応条件を使用して、以下の反応スキームに示すようにアミン(b)と反応される、中間体(7a)から開始するアミド形成反応によって調製してもよい。
【0166】
【化30】

中間体(la−1)は、あるいは、以下のとおりに調製することができる:
【0167】
【化31】

【0168】
【化32】

PGは、上記のとおりのO−保護基である。上記のもの(上記のとおりのアミド形成、保護基の記述のようなPGの除去および試薬(4b)と(4a)の反応のようなRの導入)と同じ反応条件を使用してもよい。
【0169】
式(2a)の中間体は、最初に開環したアミド(9a)を大環状分子エステル(9b)に環化して、これを次に以下のとおりに(2a)に変換することで調製してもよい:
【0170】
【化33】

PGは、カルボキシル保護基、たとえば、上で言及したカルボキシル保護基の1つ、特にC1−4アルキルエステルまたはベンジルエステル、たとえば、メチルエステル、エチルエステルまたはtert−ブチルエステルである。(9a)の(9b)への反応は、メタセシス反応であり、上で記述されたとおりに行われる。基PGは、また上で記述された手順にしたがって除去される。PGがC1−4アルキルエステルである場合、それは水性溶媒、たとえば、C1−4アルカノール/水混合液中で、アルカリ加水分解によって、たとえばNaOHまたは好ましくはLiOHで除去される。ベンジル基は、触媒的水素化によって除去することができる。
【0171】
代わりの合成において、中間体(2a)は、以下のとおりに調製することができる:
【0172】
【化34】

PG基は、PGに対して選択的に切断可能であるように選択される。PGは、水性媒質中でアルカリ金属水酸化物での処理によって除去することができる、たとえばメチルエステルまたはエチルエステルでもよく、この場合、PGは、たとえばtert−ブチルまたはベンジルである。PGは、わずかに酸性条件下で除去可能なtert−ブチルエステルでもよく、またはPGは、強力な酸で、もしくは触媒の水素化によって除去可能なベンジルエステルでもよく、後者2つの場合において、PGは、たとえば4−ニトロ安息香酸エステルなどの安息香酸エステルである。
【0173】
最初に、中間体(10a)を大環状エステル(10b)に環化して、後者をPG基の除去によって(10c)に脱保護し、これを中間体(4b)と反応させ、続いてカルボキシル保護基PGを除去する。環化、PGおよびPGの脱保護および(4b)とのカップリングは、上記のとおりである。
【0174】
基は、上記のとおりの最終工程として、またはより初期の大環状分子形成の前のいずれかにおいて、合成の任意の段階にて導入することができる。以下のスキームにおいて、−NHSOである基Rが(それは、上で特定したとおりである)導入される:
【0175】
【化35】

上記のスキームにおいて、PGは、上記定義のとおりであり、Lは、P3基であり
【0176】
【化36】

式中nおよびRは、上記定義のとおりであり、XがNである場合、Lは、また窒素保護基(PG、上記定義のとおり)でもよく、XがCである場合、Lは、また−COOPG2a基でもよく、式中基PG2aは、PGと同様のカルボキシル保護基であるが、式中PG2aは、PGに向けて選択的に切断可能である。一つの態様において、PG2aは、tert−ブチルであり、PGは、メチルまたはエチルである。
【0177】
が基(b)を表す中間体(11c)および(11d)は、中間体(la)に対応し、上で特定したように、さらに処理してもよい。
【0178】
P1およびP2ビルディングブロックのカップリング
P1、およびP2ビルディングブロックは、上で記述した手順にしたがってアミド形成反応を使用して連結される。P1ビルディングブロックは、カルボキシル保護基PGを有してもよく((12b)と同様に)、またはすでにP1’基に連結されていてもよい((12c)と同様に)。Lは、上で特定したように、N−保護基(PG)または基(b)である。Lは、ヒドロキシ、−OPGまたは上で特定した基−O−Rである。以下の反応スキームのいずれかにおいて、Lがヒドロキシである場合、それぞれの反応工程の前に、これを基−OPGとして保護してもよく、必要に応じて、その後に遊離ヒドロキシ官能基に脱保護し、戻してもよい。上で記述したのと同様に、ヒドロキシ官能基は、基−O−Rに変換してもよい。
【0179】
【化37】

上記のスキームの手順において、シクロプロピルアミノ酸(12b)または(12c)は、上で記述した手順にしたがって、アミド結合の形成を伴ってP2ビルディングブロック(12a)の酸官能基に結合される。中間体(12d)または(12e)が得られる。後者において、Lが基(b)である場合、生じる生成物は、以前の反応スキームにおける中間体(11c)または(11d)のいくつかを包含するP3−P2−P1配列のもの(sequence)である。(12d)における酸保護基の除去は、保護基のための適切な条件を使用して、続いて上記のとおりのアミン−NHSO(2b)とのカップリングにより、−CORがアミド基である中間体(12e)を得る。LがN−保護基である場合、それを除去して中間体(5a)または(6a)を得ることができる。一つの態様において、この反応におけるPGは、BOC基であり、PGは、メチルまたはエチルである。加えて、Lがヒドロキシである場合、出発材料(12a)は、Boc−L−ヒドロキシプロリンである。詳細な態様において、PGは、BOCであり、PGは、メチルまたはエチルであり、Lは、−O−Rである。
【0180】
一つの態様において、Lは、基(b)であり、これらの反応は、P2−P3に対するP1カップリングを含み、これにより、上で言及した中間体(1a−1)または(1a)を生じる。もう一つの態様において、Lは、N−保護基PG(それは上で特定したとおり)であり、カップリング反応は、中間体(12d−1)または(12e−1)を生じ、そこから、上で言及した反応条件を使用して基PGを除去して、上で特定したとおりの中間体(5a)および(6a)を包含するそれぞれ中間体(12−f)または(12g)を得ることができる。
【0181】
【化38】

一つの態様において、上記のスキームにおける基Lは、基−O−PGを表し、これはLがヒドロキシである出発材料(12a)において導入することができる。この場合、PGは、PGである基Lに対して選択的に切断可能であるように、選択される。
【0182】
同様の方法において、シクロペンタンまたはシクロペンテン誘導体である、XがCであるP2ビルディングブロックは、以下のスキームにおいて概説したとおりに、R、R、Lが上で特定したとおりであり、かつPGおよびPG2aがカルボキシル保護基である、P1ビルディングブロックに連結することができる。PG2aは、典型的には基PGに対して選択的に切断可能であるように、選択される。(13c)におけるPG2a基の除去により、中間体(7a)または(8a)を得て、これを上記のとおりに(5b)と反応することができる。
【0183】
【化39】

詳細な態様において、式中XがCであり、RがHであり、かつXおよびRを有する炭素が単結合よって連結され(P2は、シクロペンタン部分である)、PG2aおよびLは、共になって結合を形成し、P2ビルディングブロックは、式:
【0184】
【化40】

によって表される。
【0185】
二環式酸(14a)は、それぞれ上で記述した(14b)および(14c)と同様に、(12b)または(12c)と反応させ、ラクトンを開いて中間体(14c)および(14e)を与える。ラクトンは、エステル加水分解手順を使用して、たとえば(9b)においてPG基のアルカリ除去について上で記述した反応条件を使用して、特に、アルカリ金属水酸化物、たとえばNaOH、KOH、特にLiOHなどの塩基性条件を使用して、開くことができる。
【0186】
【化41】

中間体(14c)および(14e)は、後述するように、さらに処理することができる。
【0187】
P3およびP2ビルディングブロックのカップリング
ピロリジン部分を有するP2ビルディングブロックについては、P3およびP2またはP3、およびP2−P1ビルディングブロックを、(5b)と(5a)のカップリングのための上記の手順にしたがって、カルバメート形成反応を使用して連結することができる。ピロリジン部分を有するP2ブロックをカップリングするための一般的な手順は、以下の反応スキームにおいて表されており、ここでLは上で特定したとおりであり、Lは−O−PG基である。
【0188】
【化42】

一つの態様において、(15a)におけるLは、基−OPGであり、PG基は、除去して、生じる酸をシクロプロピルアミノ酸(12a)または(12b)とカップリングして、Lが基(d)または(e)である中間体(12d)または(12e)を得る。
【0189】
P3ブロックをP2ブロックと、またはP2−P1ブロック(P2はシクロペンタンもしくはシクロペンテンである)とカップリングするための一般的な手順は、以下のスキームにおいて示される。LおよびLは、上で特定してある。
【0190】
【化43】

詳細な態様において、LおよびLは共になって(14a)と同様にラクトンブリッジを形成してもよく、P3ブロックのP2ブロックとのカップリングは、以下のとおりである:
【0191】
【化44】

二環式ラクトン(14a)は、アミド形成反応において、(5b)と反応させてアミド(16c)を形成し、アミド(16c)中のラクトンブリッジが開環して(16d)が形成される。アミド形成およびラクトンを開く反応のための反応条件は、上でまたは以下に記述したとおりである。次に、中間体(16d)を上記のとおりにP1基にカップリングさせることができる。
【0192】
上記のスキームにおける反応は、(5b)と(5a)、(7a)または(8a)の反応と同じ手順を用いて行われ、特に上記1反応においてLは上記のとおりの(5b)と(5a)、(7a)または(8a)の反応に対応する基(d)または(e)である。
【0193】
式(I)の化合物の調製に使用されるビルディングブロックP1、P1’、P2およびP3は、周知の中間体から開始して調製することができる。多数のこのような合成は、以下に更に詳細に記述してある。
【0194】
個々のビルディングブロックを最初に調製して、その後に共にカップリングすることができるか、またはビルディングブロックの前駆体を共にカップリングして、後期段階にて所望の分子組成物に修飾することができる。
【0195】
ビルディングブロックのそれぞれにおける官能性は、副反応を回避するために保護してもよい。
【0196】
P2ビルディングブロックの合成
P2ビルディングブロックは、基−O−Rで置換されたピロリジン、シクロペンタンまたはシクロペンテン部分のいずれかを含む。
【0197】
ピロリジン部分を含むP2ビルディングブロックは、市販のヒドロキシプロリンから誘導することができる。
【0198】
シクロペンタン環を含むP2ビルディングブロックの調製は、下のスキームに示すように行って(perfouned)もよい。
【0199】
【化45】

二環式酸(17b)は、たとえば、Acta Chem. Scand. 46(1992) 1127−1129においてRosenquist et al.によって記述されてように、3,4−ビス(カルボメトキシル)−シクロペンタノン(17a)から調製することができる。この手順における最初の工程は、メタノールなどの溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤でのケト基の還元、続いてエステルの加水分解および最後に特にピリジンなどの弱塩基の存在下において無水酢酸を使用することによる、ラクトン形成手順を使用する二環式ラクトン(17b)への閉環を含む。次いで、(17b)におけるカルボン酸官能性は、上で特定したとおりである基PGなどの適切なカルボキシル保護基を導入することによって保護することができ、このように、二環式エステル(17c)を提供する。基PGは、特に、、たとえばルイス酸の存在下においてイソブテンで、またはジクロロメタンのような溶媒中のジメチルアミノピリジンもしくはトリエチルアミンなどの三級アミンなどの塩基の存在下においてジtert−ブチルジカルボナートで処理することによって導入される、酸に不安定なtert−ブチル基などである。上で記述した反応条件を使用する、特に水酸化リチウムでの、(17c)のラクトン開裂により酸(17d)を得て、これをP1ビルディングブロックとのカップリング反応にさらに使用することができる。(17d)における遊離酸は、また、好ましくはPGに対して選択的に切断可能である酸保護基PG2aで保護されていてもよく、ヒドロキシ官能基は、基−OPGに、または基−O−Rに変換してもよい。基PGの除去により得られる生成物は、上で特定される中間体(13a)または(16a)に対応する中間体(17g)および(17i)である。
【0200】
特異的な立体化学をもつ中間体は、上記の反応順序で中間体を分割することによって調製してもよい。たとえば、(17b)は、当該技術分野において公知の手順にしたがって、たとえば光学活性塩基での塩形態作用によって、またはキラルクロマトグラフィーによって分割してもよく、生じる立体異性体は、上記のとおりにさらに処理してもよい。(17d)におけるOHおよびCOOH基は、シス位である。トランス類似体は、たとえば、Mitsunobu反応を適用することによるなど、立体化学を反転するOPGまたはO−Rを導入する反応における特異的な試薬を使用することにより、OH官能基を有する炭素にて立体化学を反転することによって調製することができる。
【0201】
一つの態様において、中間体(17d)をP1ブロック(12b)または(12c)にカップリングさせ、このカップリング反応は、同じ条件を使用する、同じP1ブロックとの(13a)または(16a)のカップリングに対応する。上記のとおりの−O−R置換基のその後の導入、続く酸保護基PGの除去により、中間体(7a)のサブクラスまたは中間体(16a)の一部である中間体(8a−1)を得る。PG除去の反応生成物をP3ビルディングブロックにさらにカップリングさせることができる。一つの態様において、(17d)におけるPGは、酸性条件下で、たとえばトリフルオロ酢酸で除去することができるtert−ブチルである。
【0202】
【化46】

不飽和P2ビルディングブロック、すなわちシクロペンテン環は、下のスキームにて図示したように調製してもよい。
【0203】
【化47】

J. Org. Chem. 36(1971)1277−1285におけるDolby et al.によって記述された3,4−ビス(カルボメトキシル)シクロペンタノン(17a)のブロモ化脱離反応、続く水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤でのケト官能性の還元により、シクロペンテノール(19a)を提供する。たとえば、ジオキサンおよび水の混合物のような溶媒中で水酸化リチウムを使用する選択的エステル加水分解により、ヒドロキシ置換モノエステルシクロペンテノール(19b)を提供する。
【0204】
がまた水素以外であり得る不飽和P2ビルディングブロックは、下のスキームに示したように調製してもよい。
【0205】
【化48】

市販の3−メチル−3−ブタン−l−オール(20a)の、特にクロロクロム酸ピリジニウムのような酸化剤による酸化により(20b)を得て、これをたとえば、メタノール中の塩化アセチルでの処理、続く臭素でのブロモ化反応によって対応するメチルエステルに変換して、a−ブロモエステル(20c)を得ることができる。次いで、後者を、エステル形成反応によって(20d)から得られたアルケニルエステル(20e)と縮合する。(20e)のエステルは、好ましくは、たとえばジメチルアミノピリジンのような塩基の存在下においてジtert−ブチルジカルボナートでの処理によって対応する市販の酸(20d)から調製することができるtert−ブチルエステルであり得る。
【0206】
中間体(20e)は、テトラヒドロフランのような溶媒中でリチウムジイソプロピルアミドなどの塩基で処理して、(20c)と反応させ、アルケニルジエステル(20f)を与える。上記のとおりに行われるオレフィンメタセシス反応による(20f)の環化は、シクロペンテン誘導体(20g)を提供する。(20g)の立体選択的エポキシ化を、Jacobsen不斉エポキシ化法を使用して実施して、エポキシド(20h)を得ることができる。最後に、たとえば、塩基、特にDBN(l,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]ノナ−5−エン)の添加による、塩基性条件下でのエポキシドを開く反応により、アルコール(20i)を得る。場合により、中間体(20i)における二重結合を、たとえば、炭素上のパラジウムのような触媒を使用する触媒的水素化によって還元させ、対応するシクロペンタン化合物を得ることができる。tert−ブチルエステルを対応する酸にへと除去してもよく、これはその後にP1ビルディングブロックにカップリングされる。
【0207】
−R基は、本発明に従った化合物の合成の任意の都合のよい段階にて、ピロリジン、シクロペンタンまたはシクロペンテン環に導入することができる。1つのアプローチは、最初に−R基を前記環に導入して、その後にその他の所望のビルディングブロック、すなわちP1(任意にP1’尾部をもつ)およびP3を付加し、続いて大環状分子を形成する。もう一つのアプローチは、−O−R置換基を有さないビルディングブロックP2をそれぞれのP1およびP3とカップリングすること、および大環状分子形成の前か後のいずれかにおいて−R基を付加することである。後の手順において、P2部分は、ヒドロキシ基を有し、これは、ヒドロキシ保護基PGによって保護されていてもよい。
【0208】
基は、(4a)から開始する(I)の合成について上記したのと同様に、ヒドロキシ置換された中間体(21a)または(21b)を中間体(4b)と反応するによってビルディングブロックP2に導入することができる。これらの反応は、下記のスキームにおいて表され、式中Lは、上で特定したとおりであり、LおよびL5aは、互いに独立してヒドロキシ、カルボキシル保護基−OPGもしくは−PG2aを表し、またはLは、また上で特定したとおりの基(d)もしくは(e)などのP1基を表してもよく、またはL5aは、また上で特定したとおりの基(b)などのP3基を表してもよい。基PGおよびPG2aは、上で特定したとおりである。基LおよびL5aがPGまたはPG2aである場合、これらは、それぞれの基がその他のものに対して選択的に切断可能であるように、選択される。たとえば、LおよびL5aの一方は、メチルまたはエチル基であってもよく、他方は、ベンジルまたはtert−ブチル基であってもよい。
(21a)における一つの態様において、Lは、PGであり、かつLは、−OPGであり、または(21d)において、L5aは、−OPGであり、かつLは、−OPGであり、かつPG基は、上記のとおりに除去される。
【0209】
【化49】

あるいは、ヒドロキシ置換シクロペンタン類似体を扱う場合、キノリン置換基は、トリフェニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシラート(DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)またはその他同種のもののような活性化剤の存在下において所望のアルコール(3b)と化合物(2a’)のヒドロキシ基を反応することによって、同様のMitsunobu反応を介して導入することができる。
【0210】
もう一つの態様において、基Lは、Bocであり、Lは、ヒドロキシであり、かつ出発材料(21a)は、市販のBOC−ヒドロキシプロリンまたはその任意のその他の立体異性形態、たとえばBoc−L−ヒドロキシプロリン、特に後者のトランス異性体である。(21b)におけるLがカルボキシル−保護基である場合、それは上に記述した手順にしたがって(21c)へと除去してもよい。さらにもう一つ態様において、(21b−1)におけるPGは、Bocであり、PGは、低級アルキルエステル、特にメチルまたはエチルエステルである。酸に対する後者のエステルの加水分解は、標準的な手順で、たとえば、メタノール中の塩酸での酸加水分解、またはNaOHなどのアルカリ金属水酸化物、特にLiOHでの加水分解によって行うことができる。もう一つの態様において、ヒドロキシ置換シクロペンタンまたはシクロペンテン類似体(21d)は、(21e)に変換され、これは、LおよびL5aが−OPGまたは−OPG2aである場合、基PGの除去によって対応する酸(21f)に変換され得る。(21e−1)におけるPG2aの除去により、同様の中間体を生じる。
【0211】
中間体Y−R(4b)は、公知の出発材料を使用して周知の方法にしたがって調製することができる。このような中間体のための多数の合成経路を、いくらか詳細に後述する。たとえば、上述の中間体キノリンの調製を以下のスキームに示してある。
【0212】
【化50】

利用可能な商業上または周知の手順のいずれかを介して、ジクロロメタンのような溶媒中の三塩化ホウ素および三塩化アルミニウムなどの1つまたは複数のルイス酸の存在下における、塩化アセチル等などのアシル化剤を使用する適切な置換アニリン(22a)のFriedel−Craftアシル化により(22b)を提供する。好ましくはピリジンなどの塩基性条件下で、カルボキシラート基のための活性化剤、たとえばPOClの存在下におけるカルボン酸(22c)と(22b)のカップリング、続くtert−ブタノール中のカリウムtert−ブトキシドのような塩基性条件下における閉環および脱水によりキノリン誘導体(22e)を得る。後者は、たとえばハロゲン化剤、たとえば塩化ホスホリルまたはその他同種のものと、またはアリールスルホニルクロリドと、たとえばトシルクロリドと(22e)の反応によってLGが脱離基である(22f)に変換することができる。キノリン誘導体(22e)は、Mitsunobu反応において上記のとおりにアルコールにカップリングすることができ、またはキノリン(22f)は、上記のとおりにO−アリール化反応において(1a)と反応することができる。
【0213】
一般的な構造(22c)をもつ多様なカルボン酸を上記の合成に使用することができる。これらの酸は、商業的に利用することも、または周知の手順を介して調製することもできる。Chem. Heterocycl. Compd.(Engl. Transl.)(1991),427−433においてBerdikhina et. al.によって記述された手順に従った2−カルボキシ−4−(置換)チアゾール(22c−1)の調製の例を以下の反応スキームにおいて示してあり、これは、2−カルボキシ−4−イソプロピルチアゾール(22c−1)の調製を図示する:
【0214】
【化51】

エチルチオオキサメート(23a)をa−ブロモケトン(23b)と反応して、エチルチアゾリルカルボン酸エステル(23c)を形成し、これを対応する酸(22c−1)に加水分解する。これらの中間体のエチルエステルは、上記記載のとおり、その他のカルボキシル保護基PGによって置き換えてもよい。上記のスキームにおいて、R4aは、上記記載のとおりであり、特にC1−4アルキルである。より特別には、イソプロピルである。
【0215】
a−ブロモケトン(23b)は、適切な塩基(特にLiHMDS)および臭素の存在下においてシリル化剤(TMSC1など)と共に、3−メチル−ブタン−2−オン(MIK)から調製してもよい。
【0216】
さらなるカルボン酸(22c)の合成は、特に、置換アミノチアゾールカルボン酸(22c−2)のものを以下に図示してある:
【0217】
【化52】

チオ尿素(24c)は、特にC1−6アルキルである種々の置換基R4aと共に、ジクロロメタンのような溶媒中でジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下においてtert−ブチルイソチオシアナートと適切なアミン(24a)の反応、続く酸性状態下でのtert−ブチル基の除去によって形成することができる。3−ブロモピルビン酸とチオ尿素誘導体(24c)のその後の縮合により、チアゾールカルボン酸(22c−2)を提供する。
【0218】
P1ビルディングブロックの合成
P1断片の調製に使用されるシクロプロパンアミノ酸は、市販されているか、または周知の手順を使用して調製することができる。
【0219】
特に、アミノ−ビニルシクロプロピルエチルエステル(12b)は、WO 00/09543において記述され、またはPGが上で特定したようなカルボキシル保護基である以下のスキームにて図示された手順にしたがって得てもよい:
【0220】
【化53】

塩基の存在における1,4−ジハロブテンでの市販の、または容易に得られるイミン(25a)の処理により、(25b)を生じ、これを加水分解後に、カルボキシル基に対してsynのアリル置換基を有するシクロプロピルアミノ酸(12b)を得る。鏡像異性混合物(12b)の分割により、(12b−1)を生じる。分割は、酵素分離;キラル酸での結晶化;または化学的誘導体化;またはキラルカラムクロマトグラフィーによるものなどの周知の手順を使用して行われる。中間体(12b)または(12b−1)は、上記のとおりに適切なP2誘導体にカップリングしてもよい。
【0221】
が−NHSOである一般式(I)に記載の化合物の調製のためのP1ビルディングブロックは、アミド形成のための標準的な条件下で適切なアミンとアミノ酸(26a)を反応させることによって調製することができる。シクロプロピルアミノ酸(26a)は、PGが上で特定したとおりである以下の反応スキームにおいて概説したように、N−保護基PGを導入すること、およびPGの除去によって調製して、生じるアミノ酸(26a)を中間体(12c)のサブグループであるアミド(12c−1)に変換させる。
【0222】
【化54】

アミン(2b)と(26a)の反応は、アミド形成手順であり、上で記述した手順にしたがって行うことができる。この反応は、アミノ保護基が上で記述したものなどの標準的な方法によって除去される中間体(26b)を生じる。これは、次に所望の中間体(12c−1)を生じる。出発材料(26a)は、最初にN−保護基PGを導入すること、および基PGのその後の除去によって上述の中間体(12b)から調製され得る。
【0223】
一つの態様において、(2b)と(26a)の反応は、ジクロロメタンまたはDMFなどの溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミンの存在下において、カップリング剤、たとえばO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)とのアミノ酸の処理、続く1,8−ジアザビシクロ[.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などの塩基の存在下における(2b)との反応によって行う。あるいは、DBUなどの塩基の存在下における、THFのような溶媒中の、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)またはその他同種のものも、また(2b)と(26a)のカップリングに使用することができる。もう一つの代わりの手順は、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下において(2b)でアミノ酸(26a)を処理すること、続いてスルファミン酸エステル基の導入を遂行するために、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP(登録商標)として市販)などのカップリング剤での処理を含む。
【0224】
中間体(12c−1)は、次に、上記のとおりに適切なプロリン、シクロペンタンまたはシクロペンテン誘導体にカップリングし得る。
【0225】
P3ビルディングブロックの合成
P3ビルディングブロックは、市販され、または当業者に公知の方法論にしたがって調製することができる。これらの方法論の1つのは、下記のスキームにおいて示してあり、トリフルオロアセトアミドまたはBoc保護されたアミンなどのモノアシル化されたアミンを使用する。
【0226】
【化55】

上記のスキームにおいて、Rは、CO基と共にN−保護基を形成し、特にRは、tert−ブトキシまたはトリフルオロメチルであり;Rおよびnは、上で定義されたとおりであり、かつLGは、脱離基、特にハロゲン、たとえばクロロまたはブロモである。
【0227】
モノアシル化されたアミン(27a)を水素化ナトリウムなどの強力な塩基で処理して、その後に試薬LG−C5−8アルケニル(27b)、特にハロC5−8アルケニルと反応させて、対応する保護されたアミン(27c)を形成する。(27c)の脱保護により、ビルディングブロックP3である(5b)を与える。脱保護は、官能基Rに依存し、したがって、Rがtert−ブトキシである場合、対応するBoc保護されたアミンの脱保護は、酸性処理、たとえば、トリフルオロ酢酸で達成することができる。あるいは、Rがたとえば、トリフルオロメチルであるときに、R基の除去は、塩基、たとえば、水酸化ナトリウムで達成される。
【0228】
以下のスキームは、P3ビルディングブロックを調製するためのさらにもう一つの方法、すなわち一級C5−8アルケニルアミンのGabriel合成を図示し、これは、一級C5−8アルケニルアミン(5b−l)を生成するために、NaOHまたはKOHなどの塩基での、および上で定義したとおりの(27b)でのフタルイミド(28a)の処理、続くヒドラジン一水和物などの試薬での中間体N−アルケニルイミドの脱保護によって実施することができる。
【0229】
【化56】

上記のスキームにおいて、nは、上で定義したとおりである。
【0230】
P1’ビルディングブロックの合成
P1’ビルディングブロックの合成は、2工程プロセスを介して市販の出発材料から当業者に公知の方法論にしたがって調製することができる。最初に、クロロスルホニルイソシアネート(29a)を適切な試薬でクロロスルホニルアミド(29b)に還元させる。次いで、クロロスルホニルアミド(29b)がNMPなどの適切な有機溶媒中で適切なアルコールROH(29c)でのエステル化を受けて、対応するスルファミン酸エステル(2b)を形成させることができ、これは、結晶化またはクロマトグラフィーによって容易に単離することができる。
【0231】
【化57】

一つの態様において、たとえば、この例に限らないが、(29a)の(29b)への変換は、クロロスルホニルアミド(29b)への還元をもたらすためのギ酸での処理(29a)、次いでその後のスルファミン酸エステル(2b)をもたらすためのROHでの処理によって達成される。ROHは、上記記載のとおりアルコールであり、特に、Rは、C3−5シクロアルキル、より詳細にはシクロプロパノールまたは1−メチル−1−シクロプロパノールであるり、これは、Krow,G.R.,et al. Organic Reactions,1993,43; DenisまたはJ.M. et. al. Synthesis,1972,10,549およびKulinkovich,O.G.,et. al. Synthesis,1991,3,234によって記述された手順に関して当業者に公知の方法論および中間体にしたがって調製することができる。
【0232】
式(I)の化合物は、周知の官能基変換反応にしたがって互いに変換してもよい。たとえば、アミノ基は、Nアルキル化されても、アミノ基に還元される、ニトロ基でもよく、ハロ原子は、別のハロに交換してもよい。
【0233】
式(I)または(II)の化合物は、三原子価窒素をそのN−オキシド形態に変換するための周知の手順にしたがって対応するN−オキシド形態に変換してもよい。前記N−酸化反応は、一般に適切な有機または無機過酸化物と共に式(I)または(II)の出発材料を反応することによって実施してもよい。適切な無機過酸化物は、たとえば、過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属過酸化物、たとえば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含み、適切な有機過酸化物は、たとえば、ベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換ベンゼンカルボペルオキシ酸、たとえば、3−クロロベンゼンカルボペルオキシ酸、ペルオキソアルカン酸、たとえばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、たとえばtert−ブチルヒドロペルオキシドなどの過酸を含む。適切な溶媒は、たとえば、水、低級アルコール、たとえばエタノール等、炭化水素、たとえばトルエン、ケトン、たとえば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、たとえばジクロロメタンおよびこのような溶媒の混合物である。
【0234】
式(I)または(II)の化合物の純粋な立体化学的異性体の形態は、周知の手順を応用することによって得てもよい。ジアステレオマーは、選択的結晶化およびクロマトグラフィー技術、たとえば、向流分配、液体クロマトグラフィー等などの物理的方法によって分離してもよい。
【0235】
式(I)または(II)の化合物は、エナンチオマーのラセミ混合物として得られてもよく、これは、周知の分割手順にしたがって互いに分離することができる。十分に塩基性もしくは酸性である式(I)または(II)のラセミ化合物は、それぞれ適切なキラル酸、キラル塩基との反応によって、対応するジアステレオマー塩形態に変換してもよい。前記ジアステレオマー塩形態を、その後に、たとえば、選択的または分別結晶化によって分離して、エナンチオマーをアルカリまたは酸によってそこから遊離させる。式(I)または(II)の化合物の鏡像異性形態を分離する代わりの様式は、液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーを含む。前記純粋な立体化学的異性体形態は、また適切な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体形態に由来してもよいが、ただし、それは、反応が立体特異的に生じることを条件とする。好ましくは、特異的な立体異性体が望まれる場合、前記化合物は、立体特異的な調製法によって合成してもよい。これらの方法は、エナンチオマー的に純粋な出発材料を都合よく使用してもよい。
【0236】
さらなる側面において、本発明は、本明細書において特定される式(I)もしくは(II)の化合物または本明細書において特定される式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかの化合物の治療上有効な量および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。この文脈における治療上有効な量は、感染した被験体または感染するリスクがある被験体において、ウイルス感染および特にHCVウイルス感染に対して予防的に作用するか、それを安定化させるか、または減少させるのに十分な量である。なおさらなる側面において、本発明は、本明細書に特定される式(I)もしくは(II)の化合物または本明細書において特定される式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかの化合物の治療上有効な量と薬学的に許容される担体を均質に混合することを含む、本明細書に特定される医薬組成物を調製する方法に関する。
【0237】
したがって、本発明の化合物またはその任意のサブグループは、投与目的のために種々の医薬品形態に製剤化してもよい。適切な組成物として、通常、薬物を全身的に投与するために使用される全ての組成物が挙げられる。本発明の医薬組成物を調製するために、活性成分として特定の化合物(場合により付加塩形態もしくは金属錯体形態)の有効量を、薬学的に許容される担体と合わせて均一な混合物にしており、この担体は、投与のために所望の製剤のフォウリ(fouli)に依存して多様な形態をとってもよい。これらの医薬組成物は、特に、経口投与に、直腸投与に、経皮投与に、または非経口的注射による投与に適した一体的投薬形態であることが望ましい。たとえば、経口投薬形態の組成物を調製する際に、通常の医薬品媒体のいずれか、たとえば、懸濁液、シロップ、エリキシル、乳剤および溶液などの経口液体製剤の場合、水、グリコール、油、アルコール等;または粉末、丸剤、カプセルおよび錠剤の場合、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等などの固体担体などを使用してもよい。投与におけるこれらの容易さのため、錠剤およびカプセルは、最も有利な経口投薬量単位形態を表しており、この場合、固体の薬剤担体が間違いなく使用される。非経口的組成物については、担体は、少なくとも主に、通常滅菌水を含むだろうが、たとえば、溶解性を補助するその他の成分が含まれてもよい。たとえば、担体が生理食塩水溶液、グルコース溶液または生理食塩水およびグルコース溶液の混合物を含む、注射可能な溶液を調製してもよい。注射可能な懸濁液を、また調製してもよく、この場合、適切な液体担体、懸濁剤等を使用してもよい。また、使用直前に、液体形態製剤に変換されることが意図される固体形態製剤が含まれる。経皮投与に適した組成物において、担体は、場合により小割合の任意の性質の適切な添加剤と組み合わせて、浸透力を増強剤および/または適切な湿潤剤を場合により含み、この添加剤は、皮膚に対して有意な有害作用を導かない。
【0238】
本発明の化合物は、また、この方法を介した投与のために当該技術分野に使用される方法および製剤によって、経口吸入剤またはガス注入を介して投与してもよい。したがって、一般に、本発明の化合物は、溶液、懸濁液または乾燥粉末の形態で肺に投与してもよく、溶液が好ましい。経口吸入剤またはガス注入を経た溶液、懸濁液または乾燥粉末の送達のために開発された任意のシステムは、本化合物の投与に適している。
【0239】
したがって、本発明は、また、式(I)または(II)の化合物および薬学的に許容される担体を含む口を介した吸入またはガス注入による投与のために適応した医薬組成物を提供する。好ましくは、本発明の化合物は、霧状にしたか、またはエアロゾル化した用量の溶液の吸入を経て投与される。
【0240】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のため、単位剤形の上述した医薬組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書に使用される単位剤形は、それぞれの単位が必要とされる薬剤担体に関連して所望の治療効果を生じるように算出された活性成分の予め定められた量を含む、一体的投薬量として適切な物理的に分離した単位をいう。このような単位剤形の例は、錠剤(刻み目のある錠剤または被覆錠剤を含む)、カプセル、丸剤、坐薬、粉末パケット、ウエハ、注射可能な溶液または懸濁液等、並びにその分離された複数のものである。
【0241】
式(I)または(II)の化合物は、抗ウイルス特性を示す。本発明の化合物および方法を使用して治療可能なウイルス感染およびこれらの関連する疾患は、HCV、並びに黄色熱、デング熱(1−4型)、セントルイス脳炎、日本脳炎、マレー谷脳炎、西ナイルウイルスおよびクンジンウイルスなどのその他の病原性フラビウイルスによって引き起こされる感染症を含む。HCVと関連する疾患は、肝硬変、末期肝臓病およびHCCを引き起こす進行性肝線維症、炎症および壊死を含む;並びにその他の病原性フラビウイルスについては、疾患は、黄熱、デング熱、出血熱および脳炎を含む。本発明の多数の化合物は、さらにHCVの変異した株に対して活性である。加えて、本発明の化合物の多くは、好ましい薬物動態学的プロフィールを示し、かつ許容される半減期、AUC(曲線下面積)およびピーク値、並びに不十分に迅速な発病および組織保持などの好適でない現象がないことを含む、生物学的利用能に関して魅力的な特性を有する。
【0242】
これらの抗ウイルス特性、特にこれらの抗HCV特性のため、式(I)もしくは(II)の化合物またはその任意のサブグループ、これらのプロドラッグ、N−オキシド、付加塩、四級アミン、金属錯体および立体化学的異性体形態は、ウイルス感染、特にHCV感染を受けている個体の治療において、およびこれらの感染症の予防に対して有用である。一般に、本発明の化合物は、ウイルス、特にHCVなどのフラビウイルスに感染した温血動物の治療において有用であり得る。
【0243】
本発明の化合物またはその任意のサブグループは、したがって、医薬として使用してもよい。医薬または治療の方法としての前記使用は、ウイルス感染、特にHCV感染と関連する状態と戦うのに有効な量での、ウイルス感染した被験体に、またはウイルス感染症に感染しやすい被験体に対する全身投与を含む。
【0244】
本発明は、またウイルス感染、特にHCV感染の治療または予防のための医薬の製造における本化合物またはその任意のサブグループの使用に関する。本発明は、さらに、ウイルスによって感染した、またはウイルス、特にHCVに感染するリスクがある温血動物の治療の方法であって、前記方法は、本明細書において特定される、式(I)もしくは(II)の化合物または式(I)もしくは(II)の化合物のサブグループのいずれかの化合物の抗ウイルス的に有効な量の投与を含む方法に関する。
【0245】
併用療法
本発明の1つまたは複数の化合物および1つまたは複数のさらなる薬学的に活性な薬剤の組み合わせは、HCV感染を有するヒトを治療するために、本発明の実施に使用してもよい。HCV感染を治療するための有用な活性な治療的な薬剤は、インターフェロン、リバビリンまたはその類似体、HCV NS3プロテアーゼ阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、肝臓保護剤、HCV NS5Bポリメラーゼのヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤、HCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、HCV NS5A阻害剤、TLR−7アゴニスト、サイクロフィリン阻害剤、HCV IRES阻害剤および薬物動態学的エンハンサーを含む。
【0246】
より具体的には、HCV治療のためのその他の活性な治療的な成分または薬剤は、以下を含む:
(1)ペグ化rIFN−α2b(PEG−Intron)、ペグ化rIFN−α2a(Pegasys)、rIFN−α2b(イントロン(Intron)A)、rIFN−α2a(ロフェロン(Roferon)−A)、インターフェロンα(MOR−22、OPC−18、アルファフェロン(Alfaferone)、アルファネイティブ(Alfanative)、マルチフェロン(Multiferon)、スバリン(subalin))、インターフェロンアルファコン−1(インフェルジェン(Infergen))、インターフェロンα−nl(ウェルフェロン(Wellferon))、インターフェロンα−n3(アルフェロン(Alferon))、インターフェロン−β(アボネックス、DL−8234)、インターフェロン−オメガ(omega DUROS、バイオメド(Biomed)510)、アルビンテルフェロンα−2b(アルブフェロン(Albuferon))、IFNα−2b XL、BLX−883(ロクテロン(Locteron))、DA−3021、グリコシル化インターフェロンα−2b(AVI−005)、PEG−インファージェン(インフェルジェ(Infergen))、PEG化インターフェロンラムダ−1(PEG化IL−29)、ベレロフォン(belerofon)、およびその混合物からなる群から選択されるインターフェロン;
(2)リバビリン(レベトール(Rebetol)、コペグス(Copegus))、テリバビリン(ビラミジン)およびその混合物からなる群から選択されるリバビリンおよびその類似体;
(3)ボセプレビル(SCH−503034、SCH−7)、テラプレビル(VX−950)、TMC−435350、BI−1335、BI−1230、MK−7009、VBY−376、VX−500、BMS−790052、BMS−605339、PHX−1766、AS−101、YH−5258、YH5530、YH5531、ITMN−191およびその混合物からなる群から選択されるHCV NS3プロテアーゼ阻害剤;
(4)セルゴシビル(MX−3253)、ミグリトール(Miglitol)、UT−231Bおよびその混合物からなる群から選択されるα−グルコシダーゼ1阻害剤;
(5)IDN−6556、ME 3738、LB−84451、シリビリン(silibilin)、MitoQおよびその混合物からなる群から選択される肝臓保護剤;
(6)R1626、R7128(R4048)、IDX184、IDX−102、BCX−4678、バロピシタビン(NM−283)、MK−0608およびその混合物からなる群から選択されるHCV NS5Bポリメラーゼのヌクレオシドまたはヌクレオチド阻害剤;
(7)PF−868554、VCH−759、VCH−916、JTK−652、MK−3281、VBY−708、VCH−222、A848837、ANA−598、GL60667、GL59728、A−63890、A−48773、A−48547、BC−2329、VCH−796(ネスブビル(nesbuvir))、GSK625433、BILN−1941、XTL−2125、GS−9190およびその混合物からなる群から選択されるHCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤;
(8)AZD−2836(A−831)、A−689およびその混合物からなる群から選択されるHCV NS5A阻害剤;
(9)ANA−975、SM−360320およびその混合物からなる群から選択されるTLR−7アゴニスト;
(10)DEBIO−025、SCY−635、NIM811およびその混合物からなる群から選択されるサイクロフィリン阻害剤;
(11)MCI−067からなる群から選択されるHCV IRES阻害剤、
(12)BAS−100、SPI−452、PF−4194477、TMC−41629、ロキシスロマイシン(roxythromycin)およびその混合物からなる群から選択される薬物動態学的エンハンサー;並びに、
(13)サイモシンα1(ザダキシン)、ニタゾキサニド(アリネア、NTZ)、BIVN−401(ビロスタット)、PYN−17(アルティレクス(altirex))、KPE02003002、アクチロン(CPG−10101)、KRN−7000、シヴァシル(civacir)、GI−5005、XTL−6865、BIT225、PTX−111、ITX2865、TT−033i、ANA 971、NOV−205、タルバシン(tarvacin)、EHC−18、VGX−410C、EMZ−702、AVI 4065、BMS−650032、BMS−791325、バビツキシマブ(Bavituximab)、MDX−1106(ONO−4538)、オグルファニド(Oglufanide)、VX−497(メリメポジブ(merimepodib))およびその混合物からなる群から選択されるHCVを治療するためのその他の薬物。
【0247】
したがって、さらなる態様において、本発明は、以下を含む併用医薬組成物を提供する:
a)本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩;およびb)HCVを治療するのに有効な第2の薬学的に活性な薬剤(またはその薬学的に許容される塩)。
【0248】
さらにもう一つの態様において、本出願は、HCV感染を治療するための方法であって、その必要のあるヒトに対して、本発明の化合物と、HCVを治療するのに有効である本明細書に記述したさらなる活性な薬剤の1つまたは複数との治療上有効な量を共投与する工程を含む方法を提供する。
【0249】
本発明の本側面の実施において、典型的には、本発明の化合物および1つまたは複数のさらなる治療的な薬剤の量は、個々に治療的な量であるが、本発明の化合物(「化合物」という)および1つまたは複数のさらなる治療的な薬剤の量がそれら自体のみで治療効果を得るために必要な量以下であることは、本発明の範囲内であり、しかし、本発明の化合物および1つまたは複数のさらなる治療的な薬剤の組み合わせたものは治療的である。
【0250】
1つまたは複数のその他の活性な薬剤と本発明の化合物の共投与は、一般に化合物および1つまたは複数のその他の活性な薬剤の同時または逐次の投与であって、投与の結果、化合物および1つまたは複数のその他の活性な薬剤は、両方とも患者の体内に存在するような投与をいう。化合物および1つまたは複数のさらなる治療的な薬剤の同時の投与は、たとえば、錠剤または注射可能な溶液などの単一の投薬形態に化合物および1つまたは複数のさらなる治療的な薬剤を混合することによって達成することができる。また、たとえば、化合物および1つまたは複数のさらなる治療的な薬剤の同時の投与は、たとえば、ブリスター包装において、化合物および少なくとも1つのその他の治療的な薬剤を同時パッケージングすることによって達成することができ、その結果、患者は、化合物およびその他の治療的な薬剤の個々用量を取り出して、消費することができる。
【0251】
共投与は、1つまたは複数のその他の活性な薬剤の単位投薬量の投与の前か後の、化合物の単位投薬量の投与、たとえば、1つまたは複数のその他の活性な薬剤の投与後の数秒、数分または数時間以内の化合物の投与を含む。たとえば、化合物の単位投与量を最初に投与し、続いて数秒または数分以内に1つまたは複数のその他の活性な薬剤の単位投与量を投与することができる。あるいは、1つまたは複数のその他の活性な薬剤の単位投与量を最初に投与して、続いて数秒または数分以内に化合物の単位投与量を投与することができる。場合によっては、最初に化合物の単位投与量を投与し、続いて数時間(たとえば、1〜12時間)の期間の後、1つまたは複数のその他の活性な薬剤の単位投与量を投与することが望ましくあり得る。他の場合には、最初に1つまたは複数のその他の活性な薬剤の単位投与量を投与し、続いて数時間(たとえば、1〜12時間)の期間の後、化合物の単位投与量を投与することが望ましくあり得る。
【0252】
さらにもう一つの態様において、本出願は、HCV感染を治療するための医薬の調製のための、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0253】
一般に、抗ウイルス薬の有効な1日の量は、0.01mg/kg体重から500mg/kg体重、より好ましくは、0.1mg/kg体重から50mg/kg体重であるだろうと考えられる。1日を通じて適切な間隔にて2、3、4回またはそれ以上の副用量として必要とされる用量を投与することも適切であり得る。前記副用量は、たとえば、単位剤形当たり1〜1000mg、特に5〜200mgの活性成分を含む単位剤形として製剤化してもよい。
【0254】
正確な投薬量および投与の頻度は、使用される式(I)または(II)の特定の化合物、治療される詳細な状態、治療される状態の重症度、特定の患者の年齢、重量、性、障害の程度および一般的な物理的状態、並びに当業者に周知である、個々が受けてい得る特定のその他の薬物療法に依存する。さらにまた、前記有効な1日の量は、治療される被験体の反応に依存して、および/または本発明の化合物を処方する医師の評価に依存して、低下しても、または増加してもよいことが明らかである。したがって、先に言及した有効な1日の量の範囲は、単なる指針に過ぎない。
【0255】
本発明の一つの態様において、HCV感染を治療し、またはHCVのNS3プロテアーゼを阻害するのに有効な組成物を含む製品;および式(I)もしくは(II)の化合物またはその任意のサブグループを含む組成物がC型肝炎ウイルスによる感染を治療するために使用することができることを示すラベルを含むパッケージング材料;または本明細書に記述した組み合わせが提供される。
【実施例】
【0256】
実施例
以下の実施例は、本発明を例証し、それに限定されないことが意図される。
【0257】
スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステルの調製
【0258】
【化58】

1−メチル−シクロプロパノールは、以前に公開された手順(Synthesis 1991,3,234)にしたがって合成した。ワークアップ手順に対する変更を、収率を改善し、および望まれない副生成物を最小化するために使用した。反応の酸クエンチの後、分離した有機層を塩基性アルミナおよびシリカ上のPDC(20%の充填)上で10分間勢いよく撹拌した。次いで、MgSOを添加して、さらに有機物を乾燥させ、混合物を、シリカゲルプラグを通して濾過した。溶媒の除去後、残留するわずかに黄色の液体をさらに精製することなく以下のエステル化において直接使用した。
【0259】
還流冷却器を備えた3首の丸底面にクロロスルホニルイソシアネート(5.25ml、0.06mol)を充填して、0℃に冷却した。ギ酸(2.25mL、0.06mol)を迅速撹拌しながら滴下して、迅速な気体発生が観察された。ギ酸の添加が完了した際に、反応を室温に温めた。2時間の後、固体のスルファモイルクロリドを含む生じる反応容器を0℃に冷却して、NMP(25mL)に溶解した1−メチルシクロプロパノール(2g、約0.02モル)を、添加漏斗を介して滴下した。反応を室温に温めた。3時間撹拌の後、反応混合物を冷たい飽和水性NaCl(120mL)に注いで、EtOAcで抽出した。分離した有機溶媒の除去の後、粗生成物をシリカ(35%のEtOAc/ヘキサン)でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステル(1.6g、53%)を得た:H−NMR(CDC1,300MHz) d 4.83(bs,2H),1.70(s,3H),1.32(m,2H),0.68(m,2H)。
(1R、2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボニル)−スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステル塩酸塩の調製
【0260】
【化59】

工程1:(1R、2S)−[2−ビニル−1−(1−メチルシクロプロポキシスルホニルアミノカルボニルシクロプロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0261】
【化60】

CHCl(22mL)中の(1R,2S)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸の溶液(Wang、et al. WO2003/099274;1.00g、4.40mmol)に、スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステル(0.328g、2.20mmol)、HATU(1.85g、4.84mmol)およびDIPEA(3.8mL、22mmol)を添加した。反応混合物をCHClで希釈の前に3日間室温で撹拌した。溶液をHCl水溶液(1M)で2回およびブラインで1回洗浄した。水性層をCHClで逆抽出した。有機層を合わせて、NaSO上で乾燥して、真空中で濃縮した。粗スルファミン酸エステルをカラムクロマトグラフィー(20→100% EtOAc/ヘキサン)によって精製し、(1R,2S)−[2−ビニル−1−(1−メチル−シクロプロポキシスルホニルアミノ−カルボニル)−シクロプロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.39g、88%)を提供した。(LC/MS: m/z 382.9(M+Na)). H−NMR(CDC1,400MHz) d 5.64−5.52(m,1H),5.32−5.28(m,2H),5.17(dd,1H),2.14(q,1H),1.89(dd,1H),1.69(s,3H),1.48(s,9H),1.34−1.28(m,3H),0.68−0.64(m,2H)。
【0262】
工程2:(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボニル)−スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステル塩酸塩
CHCl(4.5mL)中の(1R,2S)−[2−ビニル−1−(1−メチル−シクロプロポキシスルホニルアミノ−カルボニル)−シクロプロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.799g、2.21mmol)の溶液に、ジオキサン中の4MのHCl(11mL、44mmol)をゆっくり添加した。3時間の後、揮発性物質を真空中で除去して(1R,2R)−1−アミノ−2−エチルシクロプロパンカルボニル)−スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステル塩酸塩を定量的収率で得て、これをさらに精製することなくこの先のカップリングに使用した。
【0263】
生物学的アッセイ
NS3酵素の能力:精製したNS3プロテアーゼをNS4Aペプチドと複合体形成させ、次いで、化合物の段階希釈物(DMSOを溶媒として使用した)と共にインキュベートする。反応を二重標識されたペプチド基質の添加によって開始して、生じる蛍光の動力学的な増大を測定する。IC50を算出するために速度データの非線形回帰を行う。活性を、最初に遺伝子型lbプロテアーゼに対して試験する。遺伝子型lbに対して得られた能力に応じて、さらなる遺伝子型(la、2a、3)およびまたはプロテアーゼ阻害剤耐性酵素(D168Y、D168VまたはA156T突然変異体)を試験してもよい。BILN−2061を全てのアッセイの間の対照として使用する。本発明の代表化合物をこのアッセイにおいて評価して、典型的には約1μm未満のIC50値を有することが見いだされた。
【0264】
レプリコン能力および細胞毒性:Huh−luc細胞(安定して、BartenschlagerのI3891uc−ubi−neo/NS3−3’/ET遺伝子型lbレプリコンを複製する)を72時間、化合物の段階希釈物(DMSOを溶媒として使用した)で処理する。レプリコンコピー数を生物発光によって測定して、非線形回帰を行ってEC50を算出する。同じ薬物希釈物で処理した平行したプレートをPromega CellTiter−Glo細胞生存度アッセイを使用して細胞毒性についてアッセイする。lbレプリコンに対して達成される能力に応じて、化合物は、D168YまたはA156T突然変異をコードする遺伝子型laレプリコンおよび/または阻害剤耐性のレプリコンに対して試験してもよい。BILN−2061を全てのアッセイの間の対照として使用する。本発明の代表化合物をこのアッセイにおいて評価して、典型的には約5μm未満のEC50値を有することが見いだされた。
【0265】
レプリコン能力に対する血清タンパク質の効果
レプリコンアッセイを、ヒト血清アルブミン(40mg/mL)またはa−酸糖タンパク質(1mg/mL)の生理的濃度を補った正常細胞培養培地(DMEM + 10%FBS)において行った。ヒト血清タンパク質の存在下におけるEC50を正常培地(nominal medium)におけるEC50と比較して、能力の倍数変化を決定する。
【0266】
酵素選択性:ブタ膵臓エラスターゼ、ヒト白血球エラスターゼ、プロテアーゼ3およびカテプシンDを含む哺乳動物プロテアーゼの阻害を、それぞれの酵素のためのそれぞれの基質についてのKにて測定する。それぞれの酵素についてのIC50を、選択性を算出するために、NS3lbプロテアーゼで得られたIC50と比較する。本発明の代表化合物は、活性を示した。
【0267】
MT−4細胞の細胞毒性:MT4細胞を5日の期間の間化合物の段階希釈物で処理する。細胞生存度をPromega CeilTiter−Gloアッセイを使用して処理期間の終わりに測定して、非線形回帰を行って、CC50を算出する。
【0268】
EC50における細胞と関連する化合物濃度:Huh−luc培養物をEC50と同等の濃度にて化合物とインキュベートする。複数の時点(0〜72時間)にて、細胞を冷却培地で2X洗浄し、85%のアセトニトリルで抽出し;それぞれの時点における培地の試料も抽出する。細胞および培地抽出物をLC/MS/MSによって解析し、それぞれの画分における化合物のモル濃度を決定する。本発明の代表化合物は、活性を示した。
【0269】
溶解性および安定性:溶解性は、10mM DMSO保存液の一定分量をとり、1%の総DMSO濃度の試験培地溶液(PBS、pH 7.4および0.1N HCl、pH 1.5)中に100μMの終濃度に化合物を調製することによって決定する。試験培地溶液を室温にて振盪しながら1時間インキュベートする。次いで、溶液を遠心分離して、回収された上清をHPLC/UVでアッセイする。溶解性は、同じ濃度にてDMSOにおいて検出される量と比較した定義された試験溶液において検出される化合物の量を比較することによって算出される。37℃にてPBSとの1時間のインキュベーションの後の化合物の安定性もまた決定する。
【0270】
低温保存されたヒト、イヌおよびラット肝細胞における安定性:それぞれの化合物を37℃にて肝細胞懸濁液(100μl ウェル当たり80,000細胞)において1時間までインキュベートする。低温保存された肝細胞を無血清インキュベーション培地に再構成する。懸濁液を96ウェルプレート(50μL/ウェル)に移す。化合物をインキュベーション培地中に2μMに希釈して、次いでインキュベーションを開始するために肝細胞懸濁液に添加する。試料をインキュベーションの開始後0、10、30および60分にて採取して、反応を、90%のアセトニトリル/10%の水中の0.3%のギ酸からなる混合物でクエンチする。それぞれの試料における化合物の濃度をLC/MS/MSを使用して解析する。肝細胞懸濁液における化合物の消失半減期を、濃度−時間データを一相性指数関数方程式にフィットすることによって決定する。データは、また固有の肝クリアランスおよび/または総肝クリアランスを表すために拡大される。
【0271】
ヒト、イヌおよびラットからの肝臓S9画分における安定性:それぞれの化合物を37℃(n = 3)にて、S9懸濁液(500μl、3mgタンパク質/mL)において1時間までインキュベートする。化合物を、インキュベーションを開始するためにS9懸濁液に添加する。試料をインキュベーションの開始後0、10、30、および60分にて採取する。それぞれの試料における化合物の濃度をLC/MS/MSを使用して解析する。S9懸濁液における化合物の消失半減期を、濃度−時間データを一相性指数関数方程式にフィットすることによって決定する。
【0272】
Caco−2透過性:化合物を契約サービス(Absorption Systems,Exton,PA)を介してアッセイする。化合物を盲検様式で契約者に提供する。フォワード(AからB)およびリバース(BからA)透過性の両方を測定する。Caco−2単層を12−ウェルCostar Transwell(登録商標)プレートのコラーゲンで被覆した、微小孔構造ポリカーボネート膜上にコンフルエンまで増殖させる。化合物をフォワード透過性(AからB)のために先端側に投与し、およびリバース透過性(BからA)のために基底面側に投与する。細胞を加湿したたインキュベーターにおいて5%のCOで37℃にてインキュベートする。インキュベーションの初めに、並びにインキュベーション後の1時間および2時間にて、200μLの一定分量をレシーバチャンバーから採取して、新鮮なアッセイ緩衝液と置換する。それぞれの試料において、化合物の濃度をLC/MS/MSで決定する。見かけの透過性Pappを算出する。
【0273】
血漿タンパク質結合:血漿タンパク質結合は、平衡透析によって測定する。それぞれの化合物を2μMの終濃度にてブランクの血漿にスパイクする。スパイクした血漿およびホスフェート緩衝液を、構築された透析セルの両側に置いて、次いでこれを37℃の水浴においてゆっくり回転する。インキュベーション終了の時点に、血漿およびホスフェート緩衝液における化合物の濃度を決定する。未結合パーセントを、以下の方程式を使用して算出する:
【0274】
【数1】

式中CおよびCは、それぞれ透析後の緩衝液および血漿濃度として決定される遊離および結合した濃度である。
【0275】
CYP450プロファイリング:
それぞれの化合物を、CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4、CYP2D6およびCYP2C19を含む5つの組換えヒトCYP450酵素のそれぞれと、NADPHの存在および非存在においてインキュベートする。連続して、試料をインキュベーションの初めに、およびインキュベーション開始後の5、15、30、45および60分にてインキュベーション混合物から採取する。インキュベーション混合物における化合物の濃度をLC/MS/MSによって決定する。それぞれの時点における、インキュベーションの後の残りの化合物の割合をインキュベーションの開始時のサンプリングと比較することによって算出する。
【0276】
ラット、イヌ[sic: Don]、サルおよびヒト血漿における安定性:
化合物を37℃にて血漿(ラット、イヌ、サルまたはヒト)において2時間までインキュベートする。化合物を1および10μg/mLの終濃度にて、血漿に添加する。一定分量を、化合物を添加した後0、5、15、30、60および120分にて採取する。それぞれの時点にて化合物および主要な代謝生成物の濃度をLC/MS/MSによって測定する。
【0277】
全ての刊行物、特許および特許文献は、個々に参照により援用されるが如く、本明細書に参照により援用される。本発明は、種々の具体的な、および好ましい態様、並びに技術に関して記述した。しかしながら、本発明の趣旨および範囲を維持しながら多くのバリエーションおよび改良を行うことができることが理解されるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化61】

(Rは、
【化62】

である)
を有する化合物、そのN−オキシド、塩または立体異性体であって、式中それぞれの破線(−−−−−によって表される)は、随意の二重結合を表し;
Xは、N、CHおよびXが二重結合を有する場合にはCであり;
は、−NH−SO(OR)であり;
は、水素であり、XがCまたはCHである場合、Rは、またC1−6アルキルでもよく;
は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルであり;
は、アリールまたはHetであり;
nは、3、4、5、または6であり;
構造(I)の化合物において、4つの置換基を有し、かつ少なくとも1つの水素への結合を含む炭素原子は、これらの水素原子の1つまたは複数がハロによって場合により置換されていてもよく、そのハロは、F、Cl、BrまたはI、好ましくはFであってもよく;
は、ハロ、C1−6アルキル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ポリハロC1−6アルキル、フェニルまたはHetを表し;
は、C1−6アルコキシ、ジメチルアミノまたはモノもしくはジ−C1−6アルキルアミノを表し;基または基の部分としてのアリールは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、モノまたはジ−C1−6アルキルアミノ、アジド、メルカプト、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニル、4−C1−6アルキルカルボニルピペラジニル、およびモルホリニルから選択される1つ、2つまたは3つの置換基で場合により置換されたフェニルまたはナフチルであり;式中モルホリニル基およびピペリジニル基は、1つまたは2つのC1−6アルキルラジカルで場合により置換されていてもよく;
基または基の部分としてのHetは、窒素、酸素および硫黄からそれぞれ独立して選択される1〜4つのヘテロ原子を含む、5員または6員の、飽和した、部分的に不飽和の、または完全に不飽和の複素環であり、前記複素環は、場合によりベンゼン環と縮合されており;および全体として前記Hetは、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、モノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ、アジド、メルカプト、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニル、4−C1−6アルキルカルボニルピペラジニル、およびモルホリニルからなる群からそれぞれ独立して選択される、1つ、2つのまたは3つの置換基で場合により置換されており;式中モルホリニル基およびピペリジニル基は、1つまたは2つのC1−6アルキルラジカルで場合により置換されていてもよく;
は、Aであり;
Hetは、ヘテロ環またはアリール基であり、かつ独立してR、RまたはRから選択される最高2つのHetおよび最高5つの基で場合により置換されていてもよく;
MMは、COまたは結合であり;
XXは、O、NH、N(C1−4アルキル)、結合またはCHであり;
は、PRT、H、−OH、−C(O)OH、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミド、イミド、イミノ、ハロゲン、CF、CHCF、シクロアルキル、ニトロ、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロ環、−C(A、−C(A−C(O)A、−C(O)A、−C(O)OA、−O(A)、−N(A、−S(A)、−CHP(Y)(A)(OA)、−CHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(OA)、−OCHP(Y)(A)(OA)、−OCHP(Y)(A)(OA)、−OCHP(Y)(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(N(A)、−OCHP(Y)(OA)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(N(A)、−CHP(Y)(N(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−(CH−ヘテロ環、−(CHC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CHO−C(O)−O−アルキル、−(CHO−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(Me)C(O)O−アルキル、SRS(O)R、S(O)、またはアルコキシアリールスルファマートから独立して選択され、
式中それぞれのAは、1〜4つの
−R111、−P(Y)(OA)(0A)、−P(Y)(0A)(N(A)、−P(Y)(A)(OA)、−P(Y)(A)(N(A)、またはP(Y)(N(A)(N(A)、−C(=O)N(A)、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、炭素環、ヘテロ環、アラルキル、アリールスルホンアミド、アリールアルキルスルホンアミド、アリールオキシスルホンアミド、アリールオキシアルキルスルホンアミド、アリールオキシアリールスルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アルキルオキシスルホンアミド、アルキルオキシアルキルスルホンアミド、アリールチオ、−(CHヘテロ環、−(CH−C(O)O−アルキル、−O(CH−O−C(O)−O−アルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(CH)C(O)O−アルキルまたはアルコキシアリールスルホンアミドで場合により置換されていてもよく、R111で場合により置換されていてもよく;
は、PRT、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミノ酸、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルスルホンアミドまたはアリールスルホンアミドから独立して選択され、式中それぞれのAは、Aで場合により置換されており;
111は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、ハロゲン、ハロアルキル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、−C(O)NHS(O)−または−S(O)−から独立して選択され、1つまたは複数のAで場合により置換されており;
は、独立してO、S、N(A)、N(O)(A)、N(OA)、N(O)(OA)またはN(N(A)(A))であり;
mは、0〜6であり;
rは、0〜6である。
【請求項2】
構造(II)を有する請求項1の化合物:
【化63】

式中AAは、独立してNまたはCHである。
【請求項3】
式(I−c)、(I−d)または(I−e)を有する、請求項1に記載の化合物。
【化64】

【請求項4】
がフェニル、ピリジン−4−イル、
【化65】

からなる群から選択され、
式中R4aは、それぞれ独立して、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノまたはモノもしくはジ−C1−6アルキルアミノである、請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
がメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、フルオロ、クロロまたはブロモであり;かつRがメトキシである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
nが4または5である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が水素またはC1−6アルキルであり、特に、Rが水素またはメチルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
がラジカル
【化66】

(式中可能な場合、窒素がR4a置換基または前記分子の残りへの連結を有してもよく;R置換基のいずれかにおけるそれぞれのR4aは、請求項1に特定したとおりの、Het上の可能な置換基として言及したものから選択してもよい)
である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、
【化67】

(式中それぞれのR4aは、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノまたはモノもしくはジ−C1−6アルキルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニルであり;および式中モルホリニル基およびピペリジニル基は、1つまたは2つのC1−6アルキルラジカルで場合により置換されていてもよい)
からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
がメトキシである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
化合物が
【化68】

(式中Rは、Aである)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
化合物が
【化69】

(式中、R99は、H、メチル、C2−8アルキル、C2−8ハロアルキルまたはC1−6アルコキシである。)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
化合物が
【化70】

(式中Rは、Aである。)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
化合物が
【化71】

(式中R99は、H、メチル、C2−8アルキル、C2−8ハロアルキルまたはC1−6アルコキシである。)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
N−オキシド以外の請求項1〜14および21〜51のいずれかに記載の化合物または塩。
【請求項16】
担体および活性成分として請求項1〜15および21〜51のいずれか1項に記載の化合物または組み合わせの抗ウイルス的に有効な量を含む、医薬組成物。
【請求項17】
医薬として使用するための、請求項1〜15および21〜51のいずれか1項に記載の化合物または組み合わせ。
【請求項18】
HCV複製を阻害するための医薬の製造のための、請求項1〜15および21〜51のいずれか1項に記載の化合物または組み合わせの使用。
【請求項19】
温血動物におけるHCV複製を阻害する方法であって、前記方法は、請求項1〜15および21〜51のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与する工程または前記組み合わせのそれぞれの成分の有効量を投与する工程を含む方法。
【請求項20】
請求項1〜15および21〜51のいずれか1項に記載の化合物を調製する方法であって、前記方法は以下の工程を含む:
(a)特にオレフィンメタセシス反応を介して、C7とC8との間に二重結合を形成することによって、以下の反応スキームにおいて概説されるような大環状分子への環化を伴う、式(I−i)の化合物である、C7とC8との間の結合が二重結合である式(I)の化合物を調製する工程であって、
【化72】

式中上記および以下の反応スキームにおいて、Rは、Hetまたはラジカル
【化73】

を表す工程;
(b)前記式(I−j)の化合物におけるC7−C8二重結合の還元によって、式(I−i)の化合物を、前記大環状分子におけるC7とC8との間の結合が単結合である式(I)の化合物、すなわち式(I−j)の化合物:
【化74】

に変換する工程;
(c)以下のスキーム(式中Gが基を表わす)において概説するように、中間体(2a)とスルファミン酸エステル(2b)との間にアミド結合を形成することによって、式(I−k−1)によって表される、式(I)の化合物を調製する工程:
【化75】

(d)対応する窒素保護された中間体(3a)(式中PGは、窒素保護基を表わす)から、Rが水素であり、(I−1)によって表される、式(I)の化合物を調製する工程:
【化76】

(e)以下の反応スキームにおいて概説されるように、中間体(4b)と中間体(4a)を反応させる工程:
【化77】

(式中(4b)におけるYは、ヒドロキシまたは脱離基を表し;かつYがヒドロキシを表す場合、(4b)と(4a)の反応は、Mitsunobu反応であり;およびYが脱離基を表す場合、(4b)と(4a)の反応は、置換反応である);
(f)官能基変換反応によって式(I)の化合物を互いに変換する工程;または、
(g)酸または塩基と式(I)の化合物の遊離型を反応させることによって塩形態を調製する工程。
【請求項21】
がH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRが1つまたは複数のRで場合により置換され;
それぞれのRが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NR、または−C(=O)ORであり、式中それぞれのアリールおよびヘテロアリールが1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換され;式中Rのそれぞれのアルキルが1つまたは複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換され;
それぞれのRおよびRが独立してH、アルキルまたはハロアルキルであり;
かつ
がH、(C−C10)アルキルまたはアリールであり、これが1つまたは複数のハロで場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
がH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキルであり、このRが1つまたは複数のRで場合により置換され;
それぞれのRが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、式中それぞれのアリールおよびヘテロアリールが1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換され;
式中Rのそれぞれのアルキルが1つまたは複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換され;
それぞれのRおよびRが独立してH、アルキルまたはハロアルキルであり;
かつ
がH、(C−C10)アルキルまたはアリールであり、これが1つまたは複数のハロで場合により置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項23】
がH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRが1つまたは複数のRで場合により置換され;
それぞれのRが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、式中それぞれのアリールおよびヘテロアリールが1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換され;式中Rのそれぞれのアルキルが1つまたは複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換され;
それぞれのRおよびRが独立してH、アルキルまたはハロアルキルであり;
かつ
がH、(C−10)アルキルまたはアリールであり、これが1つまたは複数のハロで場合により置換される、請求項3に記載の化合物。
【請求項24】
がH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRが1つまたは複数のRで場合により置換され;
それぞれのRが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRであり、式中それぞれのアリールおよびヘテロアリールが1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換され;
それぞれのRおよびRが独立してH、アルキルまたはハロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
がH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このleが1つまたは複数のRで場合により置換され;
それぞれのRが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR−C(=O)NRであり、式中それぞれのアリールおよびヘテロアリールが1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換され;
それぞれのRおよびRが独立してH、アルキルまたはハロアルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項26】
がH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRが1つまたは複数のRで場合により置換され;
それぞれのRが独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRであり、
式中それぞれのアリールおよびヘテロアリールが1つまたは複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換され;
それぞれのRおよびRが独立してH、アルキルまたはハロアルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項27】
がアルキル、アリール、シクロアルキルであり、このRが独立してアルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数のRで場合により置換され、式中Rのそれぞれのアルキルが1つまたは複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
がアルキル、アリール、シクロアルキルであり、このRが独立してアルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数のRで場合により置換され、式中Rのそれぞれのアルキルが1つまたは複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項29】
がアルキル、アリール、シクロアルキルであり、このRが独立してアルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数のRで場合により置換され、式中Rのそれぞれのアルキルが1つまたは複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換される、請求項3に記載の化合物。
【請求項30】
がアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRが1〜3つのAで場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
がアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRが1〜3つのAで場合により置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項32】
がアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、このRが1〜3つのAで場合により置換される、請求項3に記載の化合物。
【請求項33】
がシクロプロピルであり、Rが4つまでのAによって場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
がシクロプロピルであり、Rが4つまでのAによって場合により置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項35】
がシクロプロピルであり、Rが4つまでのAによって場合により置換される、請求項3に記載の化合物。
【請求項36】
がシクロプロピルであり、Rが3つまでのC1−6アルキルによって場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
がシクロプロピルであり、Rが3つまでのC1−5アルキルによって場合により置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項38】
がシクロプロピルであり、Rが3つまでのC1−6アルキルによって場合により置換される、請求項3に記載の化合物。
【請求項39】
がフェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
がフェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項41】
がフェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項42】
がシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項43】
がシクロプロピルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項44】
がシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項45】
が1−メチルシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項46】
が1−メチルシクロプロピルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項47】
が1−メチルシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項48】
化合物が:
【化78】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項49】
化合物が:
【化79】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項50】
化合物が:
【化80】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項51】
化合物が:
【化81】

である、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−513397(P2012−513397A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542369(P2011−542369)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/068207
【国際公開番号】WO2010/075127
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】