説明

抗ウイルス性ピリミジンヌクレオシド誘導体

本発明は、ウイルス感染症(例えば、水痘帯状疱疹ウイルスが原因の水痘または帯状疱疹)の治療または予防における使用のための化合物であって、


上記一般式(II)[式中、Xは、O、S、NH、またはCHであり;Yは、O、S、またはNHであり;Zは、O、S、またはCHであり;Rは、C1〜6アルキルであり、n−ペンチルまたはn−ヘキシルを含むn−アルキルが好ましく;RおよびRの1つはOHであり、そしてRおよびRの他方は中性で非極性のアミノ酸分子である]で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩もしくは水和物を提供する。該中性で非極性のアミノ酸分子のRまたはRは、上記式(IV)[式中、R、R、RおよびRは各々独立してHまたはC1〜2アルキルである]であり得る。特に好ましい実施態様において、RまたはRの1つはバリン、ロイシン、イソロイシン、またはアラニンであり、バリンが特に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染症(例えば、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因の感染症)の予防および治療における治療学的な用途を有する、特定のヌクレオシドアナログのエステル誘導体に関する。水痘帯状疱疹ウイルスは、水痘および帯状疱疹(これらは、かなりのヒトの病気および苦痛の原因であり得る)における病原体である。本発明はまた、該エステル誘導体などを含有する医薬組成物、および該誘導体を投与することによるウイルス感染症の治療または予防の方法をも提供する。
【背景技術】
【0002】
WO 01/83501 A1(その内容は引用によって本明細書中に取り込む)は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対して強い活性を有するヌクレオシドアナログを記載し、該ヌクレオシドアナログは一般式(I):
【化1】

[式中、
Aは、置換されていてもよい芳香族環式であり、該芳香族環式は1つの6員芳香環または2つの縮合6員芳香環を含み;
およびRは各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アルキルオキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、およびアリールからなる群から選ばれ;
Qは、O、S、およびCYからなる群から選ばれ、ここで、Yは同じかまたは異なり、そしてH、アルキル、またはハロゲンから選ばれ;
Xは、O、NH、S、N−アルキル、(CH)(ここで、mは1〜10である)、およびCY(ここで、Yは同じかまたは異なり、そして水素、アルキル、またはハロゲンから選ばれる)からなる群から選ばれ;
Zは、O、S、NH、およびN−アルキルからなる群から選ばれ;
’’はHであり、そしてUはHまたはCHTから選ばれるか、あるいはUおよびU’’は一緒になってQを含有する環分子を形成し、ここで、U−U’’は一緒になってそれぞれ、CTH−CT’’およびCT=CTからなる群から選ばれて、式:
【化2】

[式中、
Tは、OH、H、ハロゲン、O−アルキル、O−アシル、O−アリール、CN、NH、およびNからなる群から選ばれ;
は、Hおよびハロゲンからなる群から選ばれ、ここで、1個より多いTが存在する場合には、それらは同じかまたは異なってもよく;
’’は、Hおよびハロゲンからなる群から選ばれ;そして、
Wは、H、ホスフェート基、その薬理学的に許容し得る塩、誘導体およびプロドラッグからなる群から選ばれ;
但し、TがOAcである場合には、TおよびT’’は存在しそしてHであり、Arは4−(2−ベンゾキサゾリル)フェニルではない]
からなる群から選ばれる環分子を提供する。
【0003】
以下の化合物1および化合物2は、WO 01/83501 A1によれば特に好ましい化合物である。
【化3】

【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、ウイルス感染症(特に、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)によって生じまたは増悪される感染症)の治療または予防のための新規な化合物を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、ウイルス感染症の処置のための化合物(該化合物は、改善されたバイオアベイラビリティを有する)を提供することである。
【0006】
本発明の更に別の目的は、有利な薬物動態的な性質を有する化合物を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、該化合物の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の1態様によれば、一般式(II):
【化4】

[式中、
Xは、O、S、NH、またはCHであり;
Yは、O、S、またはNHであり;
Zは、O、S、またはCHであり;
は、C1〜6アルキル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルを含むn−アルキルが好ましく;そして、
およびRの1つはOHであり、そしてRおよびRの他方は中性で非極性のアミノ酸分子である]
の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩もしくは水和物を提供する。
【0009】
該中性で非極性のアミノ酸分子RまたはRは、式:
【化5】

[式中、
、R、RおよびRは各々独立してHまたはC1〜2アルキルである]
であることが好ましい。
【0010】
およびRは共にHであることが好ましい。
【0011】
ある実施態様において、RまたはRの1つは、バリン、ロイシン、イソロイシン、またはアラニンであり得る。RまたはRはバリンであることが好ましい。
【0012】
本発明のバリンエステルはL−バリン、D−バリン、またはD,L−バリンのいずれかであり得ると理解されるべきである。
【0013】
更に、X、YおよびZは全てOであることが好ましい。
【0014】
本発明の特に好ましい化合物は、式:
【化6】

である。
【0015】
化合物3および化合物5は、化合物1のぞれぞれ3−および5−ヒドロキシ基のバリンエステルであると認められる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、本発明の化合物の製造方法を提供し、ここで、該方法は、式(III):
【化7】

の化合物を、保護された中性で非極性のアミノ酸(ここで、R、X、YおよびZは上で定義する通りである)を用いてエステル化することを含む。
【0017】
該アミノ酸は、式(IV):
【化8】

[式中、
、R、RおよびRは上で定義する通りである]
を有することが好ましい。
【0018】
該α−アミノ基は、エステル化反応の間に適当に保護される。RおよびRが共にHである実施態様において、アミノ酸は、3,9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護基を用いて保護し得る。他の適当な保護基が当該分野における当業者にとって知られ、そして入手可能である。
【化9】

【0019】
該Fmoc基は、ショッテン−バウマン条件下で導入し得る。それは、酸に対して非常に安定である。この基の切断は、E1 β−脱離機構を受ける塩基(アンモニア、ピペリジン、モルホリン、DBU)による触媒作用で可能である。
【0020】
該エステル化は、ミツノブ条件(Mitsunobu, Synthesis, January 1981, 1-28)下で行なうことが好ましい。
【化10】

【0021】
該塩酸塩は、該エステル(V)を、THF中のHClの溶液を用いて処理することによって製造し得る。
【0022】
好ましくは、Rはn−ペンチルであり、X、YおよびZは全てOであり、そしてRおよびRは共にメチルである。
【0023】
本発明の化合物、およびその塩酸塩(例えば、化合物6(以下を参照))は、WO 01/83501 A1の化合物1と比べて、有利な薬物動態(PK)性質および改善されたバイオアベイラビリティを有する。
【化11】

【0024】
バイオアベイラビリティは、治療剤としての薬物、および例えそれらのインビトロ力価が同様であり得ても有利さが劣るPK性質を有する化合物を超えて一般的にインビボでの改善された力価を有する増大されたPKおよび/または溶解度を示す化合物、の実用的な使用における重要な因子であることが多い。そのような化合物、すなわち、公知のインビトロで活性な化合物の誘導体は、プロドラッグと呼称されることが多い。新規な化合物5およびその塩酸塩の化合物6は、2個のそのようなプロドラッグの例である。
【0025】
化合物5および6を、以下に記載する抗ウイルス活性について試験し、そして活性であることを見出した。加えて、化合物1および5の薬物動態的な挙動の比較研究をマウスモデルにおいて実施し、これにより、化合物1と比較して化合物5の改善されたバイオアベイラビリティを立証する。
【0026】
従って、本発明の別の態様によれば、特にウイルス感染症の予防または処置などの処置の方法に使用するための本発明の化合物を提供する。ある実施態様において、該化合物を、水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症の治療または予防における使用のために供し得る。
【0027】
本発明の更に別の態様によれば、ウイルス感染症(特に、水痘帯状疱疹ウイルスが原因のウイルス感染症、例えば水痘または帯状疱疹)の予防または処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0028】
本発明の更なる別の態様によれば、ウイルス感染症の予防または治療の方法を提供し、該方法は、処置の必要なヒトまたは非ヒト動物の患者に本発明の化合物の有効量を投与することを含む。
【0029】
本発明の更なる別の態様によれば、本発明の化合物を医薬的に許容し得る賦形剤と組み合わせて含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬は、経口、腸内または非経口の経路(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、直腸、膣内、および局所(頬側および舌下を含む)の投与を含む)によって投与し得る。
【0030】
経口投与の場合には、本発明の化合物は通常、錠剤もしくはカプセル剤の形態で、散剤もしくは顆粒剤として、または水溶液もしくは懸濁液として、供する。
【0031】
経口使用のための錠剤は、医薬的に許容し得る賦形剤(例えば、不活性な希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、芳香剤、着色剤、および保存剤)と混合された、有効成分を含み得る。適当な不活性な希釈剤とは、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カルシウム、およびラクトースを含み、一方で、コーンスターチおよびアルギン酸は適当な崩壊剤である。結合剤はデンプンおよびゲラチンを含み得て、一方で、崩壊剤(存在する場合)は通常、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクである。所望する場合には、錠剤は、例えばグリセリルモノステアリン酸またはグリセリルジステアリン酸などの物質を用いてコーティングして、胃腸管中での吸収を遅延し得る。
【0032】
経口使用のためのカプセル剤は、硬ゼラチンカプセル剤(ここでは、有効成分は固体の希釈剤と混合する)および軟ゼラチンカプセル剤(ここでは、有効成分は水または油(例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン、またはオリーブ油)と混合する)を含む。
【0033】
直腸投与のための製剤は、例えばココアバターまたはサリチル酸を含有する適当な基剤との坐剤として供し得る。
【0034】
膣投与に適当な製剤は、有効成分に加えて当該分野において適当であると知られる担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡剤またはスプレー製剤として供し得る。
【0035】
筋肉内、腹腔内、皮下および静脈内の使用の場合には、本発明の化合物は通常、適当なpHおよび等張度に緩衝化された、滅菌性の水溶液または懸濁液で供する。適当な水性ビヒクルは、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウムを含む。本発明の水性懸濁液は、懸濁化剤(例えば、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、およびトラガカントガム)および湿潤剤(例えば、レシチン)を含み得る。水性懸濁剤のための適当な保存剤は、p−ヒドロキシ安息香酸エチルおよびp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルを含む。
【0036】
本発明の化合物は、リポソーム製剤として供し得る。
【0037】
通常、適当な用量は、1日当たりレシピエントの体重キログラム当たり0.001〜300mgの範囲(1日当たり体重キログラム当たり0.01〜25mgの範囲が好ましく、1日当たり体重キログラム当たり0.05〜10mgの範囲が最も好ましい)である。所望の用量は、1日を通して適当な間隔で投与される、2、3、4、5または6以上のサブ用量として供することが好ましい。これらのサブ用量は、1回剤形(例えば、1回剤形当たり有効成分の0.1〜1500mg(0.2〜1000mgが好ましく、0.5〜700mgが最も好ましい)を含有する)で投与し得る。
【0038】
以下に、添付の図面を参照して本発明の様々な例を挙げるが、当該例から本発明の化合物の更なる利点および効果は明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、化合物1(25mg/kg)または化合物5(31.25mg/kg、化合物1の25mg/kgに相当)の1回強制経口投与後の雌性マウスにおける血漿中化合物1の平均値±SDのグラフを示す図面である。
【実施例】
【0040】
実験方法および生物学的な結果
化合物の製造
実施例1
化合物5の製造;バリンエステルの生成
【化12】

化合物1(200mg、0.5mmol、WO 01/83501 A1の実施例3、15頁中に記載する通りに製造)を乾燥DMF(5mL)中に溶解し、続いて該混合物に、高分子と結合したトリフェニルホスフィン[370mg、1.1mmol(3mmol p/g樹脂)]およびアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(DBAD)(231mg、1.0mmol)を加え、そしてこれを20分間撹拌した。DMF(5mL)中のFmoc−Val−OH(340mg、1.0mmol)の溶液を30分間かけて滴下した。反応混合物を、出発物質の完全な消失まで(終夜)、アルゴン雰囲気下、室温で撹拌した。該樹脂をろ取し、そして酢酸エチルで洗浄した。ピペリジン(1mL、10mmol)を該溶液に加え、そして10分間撹拌した。該溶媒を35℃以上で温めることなく、減圧下で除去し、そして該残渣を酢酸エチル(20mL)中に溶解し、10%NaHCO(3×20mL)およびブライン(2×20mL)を用いて洗浄した。最終的な残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配;CHCl:MeOH 100%、98%、95%、90%)によって精製して、黄色固体の化合物5(137mg、55%収率)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.3 (1H, s), 7.55 (2H, d), 7.15 (2H, d), 6.6 (1H, s), 6.25 (1H, t), 4.45-4.30 (4H, m), 3.23 (1H, d), 2.80 (1H, m), 2.53 (2H, t), 2.12 (1H, m), 1.97 (1H, m), 1.60 (2H, m), 1.24 (4H, m), 0.90-0.78 (9H, m)。
13C-NMR (CDCl3) δ: 175.16, 171.62,156.26, 154.89, 145.19, 135.29, 129.02, 125.69, 124.95, 108.60, 96.82, 88.73, 85.08, 70.90, 64.19, 60.19, 41.91, 35.82, 32.32, 31.44, 30.89, 22.50, 19.30, 17.24, 13.99。
【0041】
実施例2
化合物6の製造;HCl塩の生成
【化13】

化合物5(300mg)をTHF(3mL)中に溶解した。激しい撹拌下、1M HCl(2mL)を0℃で加え、そして該混合物を10分間撹拌した。該溶媒を減圧下で乾燥して、黄色油状物(322mg、100%)を得て、このものはエーテルを加えることによって固化した。
1H-NMR (d6-DMSO) δ: 8.6 (4H, bs), 7.70 (2H, d), 7.30 (2H, d), 7.20 (1H, s), 6.22 (1H, t), 5.60 (1H, bs), 4.48 (2H, m), 4.30 (1H, m), 4.16 (1H, m), 3.98 (1H, m), 2.61 (2H, t), 2.44 (1H, m), 2.25 (1H, m), 2.18 (1H, m), 1.57 (2H, m), 1.32 (4H, m), 1.00-0.83 (9H, m)。
13C-NMR (d6-DMSO) δ: 171.13, 168.88, 153.97, 153.70, 144.18, 137.94, 129.04, 125.77, 124.58, 107.22, 98.75, 87.71, 84.13, 69.73, 65.26, 57.35, 40.18, 34.88, 30.88, 30.39, 29.38, 21.91, 18.26, 17.55, 13.90。
【0042】
生物学的および薬物動態学的な研究
化合物5の改善された曝露プロファイルを実証するために、いくつかの実験をマウス動物モデルを用いて行なった。以下に、代表的な結果を挙げる。
【0043】
化合物1および化合物5とのパイロット比較ウイルス学研究
このパイロット研究の目的は、チミジン−キナーゼ欠損Oka VZV菌株を接種されたHEL細胞中の化合物1および化合物5の抗ウイルス活性を比較することであった。抗ウイルス活性を、未処置のコントロール培養物と比較した、3〜7日の間に及ぶインキュベート期間後のウイルスのプラーク形成を減少させる、化合物1または化合物5の能力として評価した。2つの化合物の間の匹敵する効力を示す抗ウイルス効力の研究の予備的な結果を表4.2に示す。
【表1】

【0044】
結論として、これらの比較パイロットインビトロ研究の結果は、化合物5が化合物1に対して匹敵するインビトロ抗ウイルス活性を有することを示した。
【0045】
化合物5を用いる非臨床的な薬物動態的な研究
パイロット研究は化合物1および化合物5を用いて行なって、マウスにおける経口投与後の化合物1の相対的なバイオアベイラビリティを比較した。雌性マウスの2群は、0.5%カルボキシメチルセルロース中に製剤化された1回強制経口投与として、化合物1(25mg/kg)または化合物5(31.25mg/kg;化合物1の25mg/kgに相当)の当モル用量を与えた。該マウスは連続的に、投与後の0.25〜3時間の範囲の時点で殺され(3マウス/時点)、そして血漿標本を採取し、蛍光検出を伴うノンバリデート(non-validated)HPLC方法を用いて、化合物1の濃度について分析した。結果は化合物1についての相対ピーク面積として報告し、ここで、ピーク面積はこれらの濃度の範囲にわたって濃度に正比例すると仮定する。
【0046】
この研究の結果を添付の図面中に示す。化合物1の血漿中濃度は、化合物1を与えたマウスと比較して化合物5を与えたマウスにおいて非常に高かった。これらのデータは化合物1の絶対的な血漿中濃度を供するものではないが、該ピーク面積から、化合物5は化合物1の経口バイオアベイラビリティを約8.4〜10倍増大する(例えば、AUCは〜840%増大し、そしてC最大値は〜1000%増大する)と見積もることができる、と述べる。
【0047】
結論として、このデータは、化合物5が化合物1のプロドラッグであり、そして化合物1の経口バイオアベイラビリティを非常に増大するとの仮説を支持する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(II):
【化1】

[式中、
Xは、O、S、NH、またはCHであり;
Yは、O、S、またはNHであり;
Zは、O、S、またはCHであり;
は、C1〜6アルキルであり、n−ペンチルまたはn−ヘキシルを含むn−アルキルが好ましく;
およびRの1つはOHであり、そしてRおよびRの他方は中性で非極性のアミノ酸分子である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩もしくは水和物。
【請求項2】
中性で非極性のアミノ酸分子であるRまたはRは、式:
【化2】

[式中、
、R、RおよびRは各々独立してHまたはC1〜2アルキルである]
である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびRは共にHである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
およびRの1つはバリン、ロイシン、イソロイシン、またはアラニンである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
またはRはバリンである、請求項1または請求項4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
バリンはL−バリン、D−バリン、またはD,L−バリンである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
X、YおよびZは好ましくは全てOである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
式:
【化3】

【化4】

である請求項1記載の化合物、または化合物3もしくは化合物5の塩酸塩。
【請求項9】
式:
【化5】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
式(III):
【化6】

の化合物を、保護された中性で非極性のアミノ酸(ここで、R、X、YおよびZは請求項1に定義する通りである)を用いてエステル化し、その後に適宜得られたエステルを酸と反応させて医薬的に許容し得る塩を得ることを含む、
請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物の製造方法。
【請求項11】
アミノ酸は式(IV):
【化7】

(式中、R、R、R、およびRは請求項2に定義する通りである)
を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
およびRは共にHであり、そして該α−アミノ基は、3,9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)保護基によってエステル化反応の間に保護される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
エステル化はミツノブ条件下で行なう、請求項10〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
更に、エステルをHClの溶液を用いて処理して塩酸塩を得ることを含む、請求項10〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
はn−ペンチルまたはn−ヘキシルであり、X、YおよびZは全てOであり、そしてRおよびRは共にメチルである、請求項10〜14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
ヒトまたは動物の身体の処置方法における使用のための、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項17】
ウイルス感染症の予防または治療のための医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項18】
処置が必要なヒトまたは非ヒト動物の患者に請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物の有効量を投与することを含む、ウイルス感染症の予防または治療のための方法。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物を医薬的に許容し得る賦形剤と組み合わせて含有する、医薬組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−536188(P2009−536188A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508479(P2009−508479)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001677
【国際公開番号】WO2007/129083
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508006115)ユニバーシティ・カレッジ・カーディフ・コンサルタンツ・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY COLLEGE CARDIFF CONSULTANTS LTD
【出願人】(599098493)カー・イュー・ルーベン・リサーチ・アンド・ディベロップメント (83)
【氏名又は名称原語表記】K.U.LEUVEN RESEARCH & DEVELOPMENT
【Fターム(参考)】