説明

抗ウイルス性組成物および使用方法

特に、脂肪酸エステル、脂肪エーテル、またはこれらのアルコキシド誘導体などの抗ウイルス性脂質成分を含む、特に粘膜組織(すなわち、粘膜)に局所的に適用されるとき、特に有用である抗ウイルス性組成物。このような組成物は、効果的な局所的抗菌活性を提供すると共に、従って、微生物(ウイルスを含む)によって引き起こされるまたは悪化する状態の治療および/または予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
抗菌剤(例えば、抗生物質、消毒薬)の使用は、現代の医学的治療の重要な役割を果たしている。これは、皮膚科学の分野ならびに、細菌性、真菌性、またはウイルス感染症または病変によって冒された皮膚または粘膜に対する治療の最も効果的な過程が、頻繁に、局所的抗菌剤の使用を含む皮膚および創傷消毒法の分野に特に当てはまる。
【0002】
ウイルス感染症によって引き起こされた口唇ヘルペスおよび帯状疱疹などの皮膚病は、身体内からもたらされる。ヘルペスウイルス(例えば、「HSV」として称される、ヘルペスシンプレックスウイルス属1または2)によって引き起こされる感染症は、一般に「発熱疱疹」として知られ、または「口唇ヘルペス」が普通である。ヒギンズ(Higgins)CRら、「ナチュラルヒストリー、口唇ヘルペスの治療および複雑性(Natural History,management and complications of herpes labialis)」、J.Med.Virol.1(追補):22〜26ページ、1993年に記載のとおり、米国人成人のおよそ80%がHSV−1に感染しており、および成人の推定20〜40%が、反復的な流行に苦しんでいる。多くの公知の抗ウイルス性化合物は、皮膚への浸透力が限定的であるため、これらの感染症の局所的治療については不適当であり得る。
【0003】
既知の抗ウイルス性化合物を含有する多くの局所的組成物は、皮膚ウイルス感染症または皮膚病変に度々伴う疼痛、炎症および/またはそう痒などの症状を軽減できない場合がある。さらに、多くは、これらの細菌または真菌による病変の二次感染症を予防できない場合があり、遷延性の疾病状態および永久的な瘢痕の可能性を引き起こす。
【0004】
従って、追加の抗ウイルス性組成物についての需要が未だある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、抗ウイルス性組成物および組成物を使用および製造する方法を提供する。このような組成物は、広く多様な表面が治療される可能性がある場合でも、典型的には、特に皮膚、創傷、または粘膜組織(すなわち、粘膜)に局所的に適用されたときに有用である。これらは、微生体、特にウイルスの効果的な低減、阻害、予防、または排除を提供することができる。ウイルスによって引き起こされた病変の組成物はまた、低減または予防を提供し、臨床的改善をもたらす。
【0006】
本発明の組成物は、効果的な局所的抗ウイルス活性を提供し、従って、種々の哺乳類組織、特に皮膚、創傷、および/または粘膜の上のウイルスによって引き起こされたまたは悪化された状態の局所的な治療および/または予防に有用である。
【0007】
本発明の一定の実施形態はまた、効果的な低減、細菌および真菌を含む他の微生体の予防、または排除を提供し、それ故、度々1次ウイルス感染症を伴う2次細菌性または真菌性感染症の治療に特に有用であることができる。このような組成物は、エンハンサー成分(すなわちエンハンサー)を含み得る。
【0008】
有意には、本発明の一定の実施形態は、微小生体耐性の形成に対してきわめて低い可能性を有する。従って、このような組成物は、1日または複数日にわたって、局所的感染症を治療するために、また不要な細菌を根絶するために複数回適用することができる。しかも、本発明の組成物は、同一の患者に対する複数回の処置計画に、抗菌耐性を形成することなく用いられることができる。
【0009】
また、本発明の好ましい組成物は、一般に、皮膚、皮膚病変、および粘液性メンブランに対して低い刺激作用レベルを有する。
【0010】
本発明の組成物は、抗ウイルス性脂質成分を含む。一定の実施形態において、抗ウイルス性脂質成分は、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪エーテル、ヒドロキシ酸の脂肪アルコールエステル、これらのアルコキシル化誘導体(脂肪酸エステル、エーテル、または脂肪アルコールエステルのいずれかの)、またはこれらの組み合わせを含む。一定のこれらの抗ウイルス性脂質は、角質層を通って移動する能力を有すると見られ、抗ウイルス活性を、皮膚の深層部に表面と同様に提供する。
【0011】
一定の組成物は、外部鎮痛薬成分をさらに含んで、疼痛および/またはそう痒の軽減などの症状の軽減を提供する。驚くべきことに、一定の抗ウイルス性脂質成分の皮膚に浸透する能力は、外部鎮痛薬の有効性を増強すると見られる。同様に含まれることができる他の成分は、増粘剤、皮膚軟化剤および湿潤剤を含む湿潤剤、皮膚保護剤、香料、他の化粧品または医薬品活性剤、および界面活性剤である。
【0012】
重要なことに、本発明の組成物は、哺乳類組織上または中の微生物を破壊することができる。従って、使用される成分の濃度は、一般に、単に一定の局所的に適用された組成物を維持するために、すなわち、消毒法以外の目的のために局所的組成物における微生物の増殖を予防するために用いられる濃度より濃い。
【0013】
一実施形態においては、本発明は、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸モノエステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸モノエステル、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪族モノエーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪族モノエーテル、(C2〜C8)ヒドロキシ酸の(C7〜C14)飽和脂肪アルコールエステル、(C2〜C8)ヒドロキシ酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールエステル、上記のいずれかのアルコキシル化誘導体(ここで、アルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する)、またはこれらの組み合わせを含む有効量の抗ウイルス性脂質成分と、外部鎮痛薬とを含む抗ウイルス性組成物を提供する。
【0014】
好ましくは、抗ウイルス性脂質成分は、5wt%を超える、より好ましくは10wt%を超える、さらにより好ましくは15wt%を超える、およびさらにより好ましくは20wt%を超える量で存在する。他に規定されていない限りにおいて、すべての重量パーセントは、「直ちに使用可能な」または「用いたとおりの」組成物の総重量に基づいている。好ましくは、抗ウイルス性脂質成分が、多価アルコールのモノエステル、多価アルコールのモノエーテル、またはこれらのアルコキシル化誘導体を含む場合には、抗ウイルス性脂質成分の総重量に基づいて、50wt%以下、より好ましくは40wt%以下、さらにより好ましくは25wt%以下、およびさらにより好ましくは15wt%以下の、ジエステル、ジエーテル、トリエステル、トリエーテル、またはこれらのアルコキシル化誘導体が存在する。
【0015】
好ましくは、抗ウイルス性脂質成分は、プロピレングリコールの(C8〜C12)脂肪酸エステルを含む。ほとんどの実施形態において、抗ウイルス性脂質成分は、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、およびこれらの組み合わせを含む。
【0016】
好ましくは、抗ウイルス性組成物は、外部鎮痛薬を含む。安全で効果的な外部鎮痛薬としては、アミンおよび「カイン」タイプから選択されるもの、アルコールおよびケトンタイプから選択されるもの、抗ヒスタミン剤タイプから選択されるもの、ヒドロコルチゾン製剤から選択されるもの、およびこれらの混合物を含む。適切なwt%で用いられるとき、これらは、一時的に、ウイルス感染症に伴う疼痛またはそう痒などの症状を軽減する。好ましいアミンおよび「カイン」タイプ外部鎮痛薬は、ベンゾカイン、ブタンベンピクレート、ジブカイン(またはジブカインHCl)、ジメチソキンHCl、ジクロニンHCl、リドカイン(またはリドカインHCl)、プラモキシンHCl、テトラカイン(またはテトラカインHCl)、およびこれらの混合物を含む。好ましいアルコールおよびケトンタイプ外部鎮痛薬は、ベンジルアルコール、樟脳、樟脳化メタクレゾール、カデ油、メントール、フェノール、ナトリウムフェノレート、レソルシノール、およびこれらの混合物を含む。好ましい抗ヒスタミン剤タイプ外部鎮痛薬は、ジフェンヒドラミンHCl、トリペレナミンHCl、およびこれらの混合物を含む。好ましいヒドロコルチゾン製剤は、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、およびこれらの混合物を含む。2つ以上のタイプからの外部鎮痛薬の混合物がまた有用である。さらに、安全なおよび効果的な鎮痛薬に関する情報が、「市販ヒト使用のための外部鎮痛薬製剤についての仮最終モノグラフ(Tentative Final Monograph on External Analgesic Drug Products for Over−the−counter Human Use)」、米国食品医薬品局によって刊行された連邦公報、第48巻、第27号、1983年2月8日、5852〜5869ページに提供されている。
【0017】
好ましくは、抗ウイルス性組成物は湿潤剤を含む。湿潤剤は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、α−ヒドロキシ酸、尿素、アミノ酸、エトキシ化アミド、ピロリドンカルボン酸ナトリウムおよびこれらの組み合わせなどの湿潤剤を含む親水性成分であることができる。さらに、湿潤剤は、鉱物油、スクアレン、ペトロラタム、カカオバター、蜜蝋、ホホバ油、ラノリンおよび誘導体、シリコーン、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、脂肪酸トリグリセリド、およびこれらの組み合わせなどの皮膚軟化剤を含む水分の保持を補助する疎水性封止成分であることができる。
【0018】
いくつかの湿潤剤または皮膚軟化剤を含む一定の材料は、安全で効果的な皮膚保護の提供に特に有用である。好ましい皮膚保護剤は、アラントイン、水酸化アルミニウムゲル、カラミン、カカオバター、タラ肝油、コロイド状オートミール、ジメチコン、グリセリン、硬い脂肪、カオリン、ラノリン、鉱物油、ペトロラタム、重炭酸ナトリウム、局所的スターチ、酢酸亜鉛、亜鉛カーボネート、酸化亜鉛、アルミニウムアセテート、硫酸アルミニウム、およびマンサクを含む。
【0019】
本発明はまた、本発明の組成物の使用方法を提供する。一実施形態においては、本発明は、哺乳類組織、特に皮膚および/または粘膜上の微生物によって引き起こされた、または悪化されたウイルス感染症を予防する方法および/または治療する方法を提供する。方法は、哺乳類組織、特に皮膚および/または粘膜に、本発明の抗ウイルス性組成物を接触させることを含む。
【0020】
他の実施形態において、本発明は、微生物を殺傷するまたは不活性化する方法を提供する。本明細書において、「殺傷するまたは不活性化する」とは、微生物(例えば、細菌および真菌)を殺傷することにより微生物を非効果的にする、またはそうでなければ、それらを(例えば、ウイルス)不活性にすることを意味する。本発明は、特に限定されないが、ヘルペスシンプレックス属I、ヘルペスシンプレックス属II、ヘルペスシンプレックス属VI、帯状疱疹などのヘルペスファミリー;ポックスウイルス;コロナウイルス;パラミクソウイルス;およびトガウイルスのウイルスを含む、被膜ウイルスを不活性化させる方法を提供する。
【0021】
一定の実施形態において、本発明の組成物は、ブドウ球菌(Staphylococcus spp.)、連鎖球菌属(Streptococcus ssp.)、大腸菌属(Escherichia spp.)、腸球菌属(Enterococcus spp.)、シュードモナス属(Pseudamonas spp.)細菌およびこれらの組み合わせ、およびより具体的には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などの抗生物質耐性菌株を含む)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、シュードモナスエルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(Pseudomonas ae.)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、およびこれらの組み合わせであって、度々、被験者の皮膚または粘液性組織上または中にあるものなどについて、細菌を殺傷するおよび/または細菌性感染症を予防する方法を提供する。方法は、微生物に、本発明の抗ウイルス性組成物を有効量で接触させて、1種以上の微生物(例えば、細菌および真菌)を殺傷する、または1種以上の微生物(例えば、ウイルス、特にヘルペスウイルス)を不活性化することを含む。
【0022】
一実施形態においては、ウイルス感染症によって引き起こされた病変を治療する方法もまた提供されている。方法は、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪エーテル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C7〜C14)飽和脂肪アルコールモノエステル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールモノエステル、これらのアルコキシル化誘導体、またはこれらの組み合わせを含み、アルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する有効量の抗ウイルス性脂質成分と、外部鎮痛薬とを含む抗ウイルス性組成物を患部に接触させることを含む。
【0023】
例えば、一実施形態においては、本発明は、被験者の哺乳類組織(特に、皮膚、粘液性組織、および/または創傷中の)のウイルス感染症を治療する方法を提供する。方法は、(C2〜C8)ヒドロキシ酸の(C8〜C14)脂肪アルコールエステル、(C2〜C8)ヒドロキシ酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールエステル、これらのアルコキシル化誘導体、またはこれらの組み合わせを含み、アルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する有効量の抗ウイルス性脂質成分を含む抗ウイルス性組成物を患部に接触させることを含む。
【0024】
他の実施形態において、本発明は、ヘルペスファミリーのウイルスに引き起こされた哺乳動物におけるウイルス感染症を局所的に治療する方法を提供する。ヘルペスファミリーのウイルスによって引き起こされたウイルス感染症は、口唇ヘルペス、帯状疱疹、水疱、および性器ヘルペスを含む。方法は、プロピレングリコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル、プロピレングリコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、またはこれらの組み合わせを、20重量%を超える量で含む有効量の抗ウイルス性脂質成分を含む抗ウイルス性組成物を患部に接触させることを含む。
【0025】
さらに他の実施形態において、本発明は、HSV感染症の局所的治療に有用な組成物を提供すると共に、プロピレングリコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル、プロピレングリコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、またはこれらの組み合わせを含む有効量の抗ウイルス性脂質成分を、外部鎮痛薬と組み合わせて含む抗ウイルス性組成物を患部に接触させることにより前記感染症を局所的に治療する方法を提供する。好適な外部鎮痛薬は、ベンゾカイン、ブタンベンピクレート、ジブカイン、ジブカインHCl、ジメチソキンHCl、ジクロニンHCl、リドカイン、リドカインHCl、プラモキシンHCl、テトラカイン、テトラカインHCl、ベンジルアルコール、樟脳、樟脳化メタクレゾール、カデ油、メントール、フェノール、ナトリウムフェノレート、レソルシノール、ジフェンヒドラミンHCl、トリペレナミンHCl、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、およびこれらの混合物を含む。
【0026】
本発明の組成物はまた、残渣を留置することによりもたらされる、または表面(例えば、皮膚、粘液性組織、および/または創傷)に、効果を維持すると共に、顕著な抗菌活性を提供する状態を付与することによりもたらされる、残存抗菌効力を表面上に提供するために用いられることができる。これは、とりわけ麻疹、口唇ヘルペス、水痘、手足口病、風疹、およびバラ疹によって引き起こされた、特に発疹、皮疹、および病変の感染性を低減し得る。さらに、このような組成物は、ウイルス性サイトでの2次細菌性感染症を予防するために用いられ得る。
【0027】
製造方法もまた提供されている。
【0028】
定義
以下の用語が、以下の定義に従って本明細書において用いられている。
【0029】
「外部鎮痛薬」とは、皮膚感覚受容器を抑制することにより、鎮痛性、麻酔性、または鎮痒性効果を有する、または皮膚感覚受容器を刺激することにより、局所的反対刺激効果を有する、局所的に適用される化合物を意味する。
【0030】
「有効量」とは、抗ウイルス性脂質成分および/またはエンハンサー成分の、組成物中にあるときに、全体として、微生体の許容可能なレベルがもたらされるよう、微生体の1種以上の種を低減、予防、または排除する抗菌活性(例えば、抗ウイルス性、抗細菌性、または抗真菌性を含む)を提供する量を意味する。典型的には、これは、臨床的症状を生じさせないように十分に低レベルであると共に、望ましくは検出不可能なレベルである。
【0031】
すべての成分の列挙した濃度は(他に規定されていない限りにおいて)、「直ちに使用可能」または「用いたとおり」の組成物についてであることが理解されるべきである。組成物は、濃縮形態にあることができる。すなわち、組成物の一定の実施形態は、適切なビヒクルで使用者によって希釈されることとなる濃縮物の形態であることができる。
【0032】
「湿潤剤」は、皮膚、粘膜、創傷、病変、または瘡蓋の水和レベルを高めるであろう材料を指す。
【0033】
「保湿剤」は、皮膚の上層における水の維持を補助するために、環境から吸水することによって、水和性を高める極性引湿性材料である。
【0034】
「皮膚軟化剤」は、軟らかさ、滑性、および滑らかさを皮膚にもたらし、および、度々、経皮水分損失(TEWL)を低減することにより水和性を高める薄い封止性フィルムを形成する、疎水性材料である。
【0035】
「安定」とは、物理的に安定または化学的に安定であることを意味し、その両方は、以下にさらに詳細に定義されている。
【0036】
「エンハンサー」とは、抗菌性脂質成分の効力を増強する成分を意味し、抗ウイルス性脂質成分の欠けた組成物およびエンハンサー成分の欠けた組成物が個別に用いられる場合、これらは、組成物全体と同一レベルの抗菌活性を提供しない。例えば、抗ウイルス性脂質成分に欠けるエンハンサー成分は、ほとんど抗菌活性を提供し得ない。増強効果は、殺傷するレベル、殺傷する速度および/または殺傷する微生物のスペクトラムに関することとすることができ、およびすべての微生物については見られなくてもよい。実際、殺傷の増強されたレベルは、ほとんどの場合、大腸菌(Escherichia coli)などのグラム陰性細菌において見られる。エンハンサーは、組成物の残りと組み合わされたときに、組成物全体として活性、すなわち、エンハンサー成分に欠ける組成物および抗ウイルス性脂質成分に欠ける組成物の活性の総和を超える活性を示すような共力剤であり得る。
【0037】
「微生物」または「細菌(microbe)」または「微生物の」は、細菌、イースト菌、カビ、真菌、原生動物、マイコプラズマ、ならびにウイルス(脂質膜を有するRNAおよびDNAウイルスを含む)を指す。
【0038】
「抗生物質」とは、濃度を希釈して微生物を破壊または阻害する能力を有すると共に、感染性の疾病の処置に用いられる、微生物によって産生された有機化学的を意味する。これはまた、細胞の生存のために必要なきわめて特異的な生化学的経路に作用する、微生物によって産生された化合物の化学的誘導体である半合成化合物または合成化合物をも包含し得る。
【0039】
「消毒薬」とは、病原性および非病原性微生物を殺傷する化学剤を意味する。消毒薬は、一般に、細胞代謝および/または細胞表層と広く干渉する。
【0040】
「粘膜」、「粘液性メンブラン」および「粘液性組織」は同義的に用いられ、および鼻(前鼻孔、鼻咽頭(nasoparangyl)腔部等を含む)、口頭(例えば、内側唇、頬側腔部および歯肉を含む口)、外耳、中耳、膣腔部、および他の同様の組織の表面を指す。例としては、頬側、歯肉、鼻、眼球、気管、気管支、胃腸管系、肛門直腸、尿道、尿管、膣、子宮頚部、および子宮粘液性メンブランなどの粘液性メンブランが挙げられる。
【0041】
「抗ウイルス性脂質」とは、少なくとも6個の炭素原子、好ましくは少なくとも7個の炭素原子、さらにより好ましくは少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキルまたはアルキレン基を有し、および6.2以下、より好ましくは5.8以下、およびさらにより好ましくは5.5以下の親水性・親油性バランス(HLB)を有する消毒薬を意味する。抗ウイルス性脂質は、好ましくは、少なくとも3、好ましくは少なくとも3.2、およびさらにより好ましくは少なくとも3.4のHLBを有する。
【0042】
「脂肪族」は、本明細書において用いられるところ、他に規定されていない限りにおいて、少なくとも6個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルキレン部位を指す。
【0043】
「病気」とは、病、疾病、外傷、細菌性コロニー形成等からもたらされる身体の状態を意味する。
【0044】
「治療する」または「治療」とは、病気に関連する被験者の状態の、典型的には状態の臨床的症状の観点での改善を意味する。
【0045】
「被験者」および「患者」は、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、または他の哺乳動物を含む。
【0046】
「創傷」は、褥瘡、循環不足等などの、その下の組織を露出させる、通常の皮膚または粘液性組織バリアの破壊であって、下部の組織への例えば、裂創、手術、熱傷、損傷によって引き起こされるものを伴う被験者への外傷を指す。創傷は、急性および慢性的創傷の両方を含むと理解されている。
【0047】
「病変」は、本明細書において用いられるところ、微生物(例えば、細菌、ウイルス性、および/または真菌性)の感染症によって引き起こされる組織(例えば、皮膚および/または粘液膜)の異常な状態である。
【0048】
用語「を含む(comprise)」およびその変形は、これらの用語が明細書および特許請求の範囲において現れる場合、限定的な意味を有さない。
【0049】
本明細書において用いられるところ、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」および「1種以上の」は同義的に用いられている。用語「および/または」は、列挙した要素の一つまたはすべてを意味する(例えば、病気を予防および/または治療する、とは、病気を予防し、治療し、または治療およびさらに予防の両方をすることを意味する)。
【0050】
また、本明細書においては、終点による数値範囲の列挙は、その範囲内に属するすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
【0051】
上記の発明の概要は、開示された実施形態の各々またはすべての本発明の実施を説明することを目的としていない。以下の記載はさらに具体的に例示する事例的実施形態を例示する。出願全体にわたる複数の箇所に、実施例の列挙をとおしてガイダンスが提供されており、これらの実施例は種々の組み合わせで用いられることができる。各事例において、引用した列挙は、代表的なグループとしてのみ役立ち、および限定的な列挙として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
実施態様の詳細な説明
本発明は、抗菌性(例えば、抗ウイルス性、抗細菌性、および抗真菌性を含む)組成物を提供する。これらの組成物は、例えば、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪エーテル、ヒドロキシ酸の脂肪アルコールエステル、またはこれらのアルコキシル化誘導体(エステルまたはエーテルのいずれかの)を含む1種以上の抗ウイルス性脂質を含む。一定の組成物はまた、1種以上の外部鎮痛薬、および/または1種以上のモイスチャライザーを含む。一定の実施形態において、湿潤剤は抗ウイルス性脂質成分と同一であることができる。
【0053】
本発明の組成物は、ヘルペスウイルスによって引き起こされた感染症の治療に有用である。局所的クリームおよび軟膏剤を含む組成物は、特に限定されないが、口唇ヘルペス、帯状疱疹、および性器ヘルペスを含むヘルペスウイルスによって引き起こされた局所的皮膚感染症の治療に有用である。本発明の配合物は、ヘルペスウイルスファミリーのメンバーによって引き起こされた。
【0054】
本発明は、ヘルペスシンプレックス属Iウイルスによって引き起こされた口唇ヘルペスの治療および予防に特に有用である。米国における成人個体群の約15〜20%が、時折、このウイルスによって引き起こされる、唇上の有痛性の開いた傷を患っている。組成物はまた、身体上のどこの皮膚、ほとんどの場合体躯および臀部上の帯状の小さい疱疹の有痛性の吹き出物である帯状疱疹の治療に有用である。帯状疱疹は、帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる。動物モデルは、本発明の配合物は、市販の抗ウイルス性処方製剤、特に5%アシクロビル軟膏剤と同等の性能を有することを示す。配合物は、消毒薬の様に脂質メンブランを攻撃すると共に、抗ウイルス性耐性の発現に対して低い可能性を有するために、現在の薬を超える利点を有する。しかも、組成物は、開いた傷または感染症サイトにおける二次細菌性感染症を形成を予防するであろう。それ故、ウイルス感染症を患う患者は、経口抗生物質などの他の予防的抗菌性治療を回避することが可能であり得る。
【0055】
このような組成物は、身体組織(すなわち、皮膚、粘液性組織、および創傷などの哺乳類組織)によく付着し、従って、局所的にきわめて効果的である。従って、本発明は、広く多様な組成物の使用法を提供する。特に好ましい方法は、特に皮膚(例えば、皮膚病変)および創傷への局所的な適用を含む。本明細書において、このような組織は、哺乳類組織の好ましい例である。
【0056】
本発明の組成物は、効果的な局所的抗菌活性を提供するために用いられることができ、およびこれにより広く多様な病気を治療および/または予防することができる。例えば、これらは、鼻、外耳、および中耳、口、直腸、膣、または他の類似の組織におけるものなどの皮膚および/または粘膜上の微生物(例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、原生動物、マイコプラズマ、イースト菌、ウイルス、および脂質−被膜ウイルスも)によって引き起こされた、または悪化された病気の治療および/または予防に用いられることができる。このような病気を引き起こすまたは悪化させる特に関連性のある生物としては、ヘルペスシンプレックス属I、ヘルペスシンプレックス属II、ヘルペスシンプレックス属VI、帯状疱疹;ポックスウイルス、コロナウイルス、パラミクソウイルス、およびトガウイルスなどのヘルペスファミリーのウイルスが挙げられる。
【0057】
本発明の組成物は、1種以上の、微生物−起因感染症または他の病気の予防および/または治療に用いられることができる。特に、本発明の組成物は、口唇ヘルペスの予防および/または治療に用いられることができる。
【0058】
HSV−1および/またはHSV−2によって引き起こされる反復的な流行の発生ステージは周知である。第1の、または前駆ステージは、ピリピリ感、灼熱痛、有痛性の、またはそう痒感覚を伴う通常の外観の皮膚によって特徴付けられる。続くステージは、小さく、固い小水疱または疱疹に発達する斑点状丘疹状病変の形成を含む。小水疱は、最終的には、潰瘍の形成を伴いながら、または伴わずに破れまたは崩壊する。最終的には、病変は痂皮を形成する。全体的には、病変は、7〜10日間続き得る。
【0059】
本発明の好ましい組成物は、HSV−1および/またはHSV−2によって引き起こされる病変の流行の治療に用いられることができる。組成物の適用は、病変の数を減少および/または流行の時間の長さを短縮させるために、病変の流行のいずれのステージにおいても適用されることができる。前駆ステージの最中の組成物の適用は、病変の流行の長さまたは重症度を、予防または低減し得る。しかも、これらは、感染症サイトでのウイルス負荷を低減させる。
【0060】
本発明の好ましい組成物は、有効量の抗ウイルス性脂質成分を含有して、皮膚、皮膚病変、および粘液性メンブラン上の微生物を迅速に殺傷するまたは不活性化する。好ましい組成物は、ビリオンを不活性化して、人から人への感染性ビリオンの感染を予防する。
【0061】
本発明の好ましい組成物は、一般に低い刺激作用レベルを、皮膚、皮膚病変、および粘液性メンブランに対して有する。
【0062】
本発明の好ましい組成物は、適切な効力を保障するために比較的長時間の間持続的である。例えば、本発明の一定の組成物は、適用サイトに、抗菌活性と共に、少なくとも4時間およびより好ましくは少なくとも8時間残留する。
【0063】
一定の実施形態において、組成物は、任意により浸透剤を含み得る。浸透剤は、(存在する場合には)抗菌性成分および薬理学的活性剤の組織への浸透性を高めることにより皮膚または粘液性組織へのまたは中への消毒薬分散性を高めて、薬剤が組織へまたは中へ分散する速度を高める化合物である。浸透剤の例が、米国仮特許出願第60/660,593号に記載されている。
【0064】
本明細書に記載の好ましい組成物は、物理的に安定である。本願明細書に定義されるところ、「物理的に安定」な組成物は、それらの元の状態から、23℃で少なくとも3ヶ月、および好ましくは少なくとも6ヶ月の保管中に、実質的な沈殿、結晶化、相分離等により著しく変化しないものである。特に好ましい組成物は、組成物の10ミリリットル(10ml)サンプルを、15mlの円錐形状目盛付きプラスチック遠心分離チューブ(コーニング)に入れて、および西独国オステロードのヘレウスセパテック(Heraeus Sepatech GmbH,Osterode,West Germany)製のラボフュージ(Labofuge)Bモデル2650を用いて1分当たり3,000回転(rpm)で10分間遠心分離(または2275×gでの同様の遠心分離)しても、チューブの底部または上部に視認可能な相分離有さないほどに物理的に安定である。
【0065】
本発明の好ましい組成物は、良好な化学的安定性を示す。これは、特に、例えば、度々、エステル交換を受けることができる抗ウイルス性脂肪酸エステルに対する懸念であることができる。好ましい組成物は、再度、23℃での初期の5日間の均衡化時間を過ぎて、40℃で、4週間後(3つのサンプルの平均)、抗ウイルス性脂質成分の、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも92%、およびさらにより好ましくは少なくとも95%を保留する。最も好ましい組成物は、再度、23℃での初期の5日間の均衡化時間を過ぎて、40℃で、4週間後、シールされたコンテナ内で、平均で、抗ウイルス性脂質成分の少なくとも97%を保留する。保留割合は、保留された抗ウイルス性脂質成分の重量パーセントを意味すると理解される。これは、分解を生じないシールされたコンテナ内の老化サンプル中に残留する量(すなわち、初期の5日間の均衡化時間を過ぎて老化された)と、同等に調製したサンプル(好ましくは同一のバッチから)であって、23℃で5日間静置させたものにおける実際の計測レベルとを比較することによって測定される。抗ウイルス性脂質成分のレベルは、好ましくは、米国特許出願公開第2005/0089539−A1号に記載の「ガスクロマトグラフィ試験法方法を用いる老化研究(Aging Study Using Gas Chromatography)」に記載のとおり、ガスクロマトグラフィを用いて測定される。
【0066】
一般に、本発明の組成物は、以下の形態の一つであり得る。
疎水性または親水性軟膏剤:組成物は、任意により微少量の水溶性相を有する疎水性基剤(例えば、ペトロラタム、濃縮またはゲル化不水溶性油等)と配合される。親水性軟膏剤は、一般に、1種以上の界面活性剤または湿潤剤を含有する。
【0067】
水中油型エマルジョン:組成物は、抗ウイルス性脂質成分が、疎水性成分の個別相と、水および任意により1種以上の極性親水性キャリア、ならびに塩、界面活性剤、乳化剤、および他の成分を含む連続水性相とを含むエマルジョン中に乳化された配合物であり得る。これらのエマルジョンは、水溶性または水膨潤性ポリマー、ならびにエマルジョンの安定化を補助する1種以上の乳化剤を含み得る。これらのエマルジョンは、一般に、米国特許出願公開第2003/0149106−A1号に記載のとおり、高い伝導率値を有する。
【0068】
油中水型エマルジョン:組成物は、抗ウイルス性脂質成分が、疎水性成分の連続相と、水および任意により1種以上の極性親水性キャリア、ならびに塩または他の成分を含む水性相の連続相とを含むエマルジョン中に組み込まれた配合物であり得る。これらのエマルジョンは、油溶性または油膨潤性ポリマー、ならびにエマルジョンの安定化を補助する1種以上の乳化剤を含み得る。
【0069】
濃縮化水性ゲル:これらの系は、以下に記載のとおり、好適な天然、変性化天然、または合成ポリマーによって濃縮された水性相を含む。あるいは、濃縮化水性ゲルは、効果的に組成物を濃縮させる好適なポリエトキシ化アルキル鎖界面活性剤、ならびに他のノニオン性、カチオン性、またはアニオン性乳化剤系を用いて濃縮されることができる。好ましくは、いくつかのポリエトキシ化乳化剤は、抗ウイルス性脂質を、特により高濃度で、不活性化することができるため、カチオン性またはアニオン性乳化剤系が選択される。
【0070】
親水性ゲル:これらは、連続相が、少なくとも1種の、水以外の水溶性または水分散性親水性成分を含む系である。配合物はまた、任意により、20重量%以下の水を含有し得る。より高いレベルが、同一の組成物中において好適であり得る。好適な親水性成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等などのポリオール、ポリエチレングリコール(PEG)などの1種以上のグリコール;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシドのランダムまたはブロックコポリマー;分子当たり1つ以上の疎水性部位を有するポリアルコキシル化界面活性剤;シリコーンコポリオール;ならびにこれらの組み合わせ等が挙げられる。当業者は、エトキシ化のレベルは、親水性成分に、23℃で水溶性または水分散性を付与するに十分であるべきであることは認識するであろう。ほとんどの実施形態において、含水量は、組成物の20%未満、好ましくは10%未満、およびより好ましくは5重量%未満である。
【0071】
抗ウイルス性脂質成分
抗ウイルス性脂質成分は、抗ウイルス活性の少なくとも一部を提供する組成物の成分である。すなわち、抗ウイルス性脂質成分は、少なくともいくらかの抗ウイルス活性を、少なくとも1種のウイルスに対して有する。これは、一般に、本発明の組成物の主活性成分であると見なされる。
【0072】
抗ウイルス性脂質は、好ましくは、7.5以下、より好ましくは5.8以下、およびさらにより好ましくは5.5以下の親水性・親油性バランス(HLB)を有する。抗ウイルス性脂質は、好ましくは、少なくとも3、好ましくは少なくとも3.2、およびさらにより好ましくは少なくとも3.4のHLBを有する。
【0073】
好ましい抗ウイルス性脂質は無電荷であり、および少なくとも7個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルケニル炭化水素鎖を有する。
【0074】
一定の実施形態において、抗ウイルス性脂質成分としては、好ましくは、1種以上の多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪エーテル、ヒドロキシ酸の脂肪アルコールエステル、またはこれらのアルコキシル化誘導体(エステルおよびエーテルのいずれか一方または両方)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。より具体的には、および好ましくは、抗ウイルス性脂質成分は、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル(好ましくは、多価アルコールの(C8〜C12)飽和脂肪酸エステル);多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル(好ましくは、多価アルコールの(C12〜C22)不飽和脂肪酸エステル);多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪エーテル(好ましくは、多価アルコールの(C8〜C12)飽和脂肪エーテル);多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪エーテル(好ましくは、多価アルコールの(C12〜C22)不飽和脂肪エーテル);(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C7〜C14)飽和脂肪アルコールモノエステル(好ましくは、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C7〜C12)飽和脂肪アルコールモノエステル、より好ましくは、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C8〜C12)飽和脂肪アルコールモノエステル);(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールモノエステル;前記のいずれかのもののアルコキシル化誘導体;およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。モノエステル、ジエステル、モノエーテル、およびジエーテルの種々の組み合わせが、本発明の組成物において用いられることができる。
【0075】
多価アルコールの脂肪酸エステルは、好ましくは以下の式のものである。
1−C(O)−O−R2、式中、R1は、(C7〜C14)飽和脂肪酸(好ましくは、(C8〜C12)飽和脂肪酸)、または(C8〜C22)不飽和好ましくは、(C12〜C22)不飽和、多価不飽和を含む)脂肪酸の残渣であり、R2は、多価アルコール(典型的にはおよび好ましくは、プロピレングリコールであるが、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリグリセロール等を含む広く多様な他のものも用いられることができる)の残渣である。R2基としては、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基(好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、またはスクロースの残渣)が挙げられる。好ましい多価アルコールの脂肪酸エステルは、C8、C9、C10、C11、およびC12飽和脂肪酸由来のエステルである。
【0076】
例証的な脂肪酸モノエステルとしては、限定されないが、ラウリン酸(モノラウリン)、カプリル酸(モノカプリリン)、およびカプリン酸(モノカプリン)のグリセロールモノエステル;およびラウリン酸、カプリル酸、およびカプリン酸、ならびにラウリン酸、カプリル酸のプロピレングリコールモノエステル;およびスクロースのカプリン酸モノエステルが挙げられる。他の脂肪酸モノエステルとしては、グリセリンおよび、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、およびアラキドン酸(20:4)不飽和(多価不飽和を含む)脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルが挙げられる。一般に既知であるとおり、18:1とは、例えば、化合物が18個の炭素原子および1つの炭素−炭素二重結合を有することを意味する。好ましい不飽和鎖は、シス異性体形態で少なくとも1つの不飽和基を有する。
【0077】
一定の好ましい実施形態において、本組成物における使用に好適である脂肪酸モノエステルとしては、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、およびこれらの組み合わせの公知のモノエステルが挙げられる。プロピレングリコールモノエステルが、それらの加水分解安定性、液体形態、および皮膚への浸透能のため好ましい。
【0078】
多価アルコールの脂肪エーテルは、好ましくは式R3−O−R4であり、式中、R3は、(C7〜C14)飽和脂肪族基(好ましくは、(C8〜C12)飽和脂肪族基)、または(C8〜C22)不飽和(好ましくは、(C12〜C22)不飽和、多価不飽和を含む)脂肪族基であり、およびR4は、グリセリン、スクロース、またはプロピレングリコールの残渣である。好ましい脂肪エーテルは、(C7〜C14)アルキル基(より好ましくは、(C8〜C12)アルキル基)のモノエーテルである。
【0079】
例証的な脂肪族モノエーテルとしては、限定されないが、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、およびカプリリルプロピレングリコールエーテルが挙げられる。他の脂肪族モノエーテルとしては、グリセリンおよびオレイル(18:1)、リノリル(18:2)、リノレニル(18:3)、およびアラキドン酸(20:4)不飽和および多価不飽和脂肪アルコールのプロピレングリコールモノエーテルが挙げられる。一定の好ましい実施形態において、本組成物における使用に好適である脂肪族モノエーテルとしては、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、カプリリルプロピレングリコールエーテル、およびこれらの組み合わせが挙げられる。不飽和鎖は、好ましくは、少なくとも1つの不飽和結合をシス異性体形態中に有する。
【0080】
ヒドロキシル官能性カルボン酸の脂肪アルコールエステルは、好ましくは以下の式を有する。
1−O−(−C(O)-R2−O)n
式中:R1は、(C7〜C14)飽和アルキルアルコール(好ましくは(C7〜C12)飽和アルキルアルコール、より好ましくは、(C8〜C12)飽和アルキルアルコール)、または(C8〜C22)不飽和アルコール(多価不飽和アルコールを含む)の残渣であり;R2は、ヒドロキシカルボン酸の残渣であり、ここで、ヒドロキシカルボン酸は以下の式を有する。
3(CR4OH)p(CH2qCOOH
式中:R3およびR4は、各々独立にHまたは(C1〜C8)飽和直鎖、分岐、または環式アルキル基、(C6〜C12)アリール基、(C6〜C12)アラルキルまたはアルカリール基(ここで、アルキル基は、飽和直鎖、分岐、または環状である)であり、ここで、R3およびR4は、任意により1つ以上のカルボン酸基で置換されていてもよく;p=1または2であり;およびq=0〜3であり;およびn=1、2、または3である。R3基は1種以上の遊離ヒドロキシル基を含み得るが、好ましくは、ヒドロキシル基を含まない。好ましいヒドロキシカルボン酸の脂肪アルコールエステルは、分岐または直鎖C8、C9、C10、C11、およびC12アルキルアルコールから供給されたエステルである。ヒドロキシ酸は、典型的には、1つのヒドロキシル基および1つのカルボン酸基を有する。ヒドロキシカルボン酸部位は、脂肪族および/または芳香族基を含むことができる。例えば、サリチル酸の脂肪アルコールエステルが可能である。本明細書において用いられるところ、「脂肪アルコール」は、偶数または奇数の数の炭素原子を有するアルキルまたはアルキレン単官能性アルコールである。
【0081】
ヒドロキシカルボン酸の例証的な脂肪アルコールモノエステルとしては、限定されないが、オクチル乳酸塩、2−エチルヘキシル乳酸塩(イリノイ州リンコルンシャーのプラク(Purac,Lincolnshire,IL)製のプラソルブ(Purasolv)EHL)、ラウリル乳酸塩(マサチューセッツ州カントンのケミックラボラトリーズ(Chemic Laboratories,Canton,MA)製のクリスタフィル(Chrystaphyl)98)、ラウリルラクチル乳酸塩、2−エチルヘキシルラクチル乳酸塩;3−ヒドロキシ酪酸、マンデル酸、グルコン酸、酒石酸、およびサリチル酸の(C8〜C12)脂肪アルコールエステルなどの乳酸の(C8〜C12)脂肪アルコールエステルが挙げられる。好ましい脂肪アルコールエステルは、C12(またはラウリル)アルコールエステルである。
【0082】
前述の脂肪酸エステルのアルコキシル化誘導体、脂肪アルコールエステル、および脂肪エーテル(例えば、残留しているアルコール基上でエトキシ化および/またはプロポキシ化されるもの)はまた、総アルコキシレートが比較的低く維持されている限りは抗菌活性を有する。エステルおよびエーテルがエトキシ化されている場合には、エチレンオキシドの総モルは、好ましくは5未満、およびより好ましくは2未満である。
【0083】
脂肪酸エステルまたは多価アルコールの脂肪エーテル、またはヒドロキシ酸の脂肪アルコールエステルは、従来の技術によって、アルコキシル化、好ましくはエトキシ化および/またはプロポキシ化されることができる。アルコシキ化化合物は、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびこれらの混合物、および類似のオキシラン化合物からなる群から選択される。
【0084】
本発明の組成物としては、所望の結果を得るために好適なレベルでの、1種以上の脂肪酸エステル、脂肪アルコールエステル、脂肪エーテル、アルコキシル化脂肪酸エステル、アルコキシル化脂肪アルコールエステル、またはアルコキシル化脂肪エーテルが挙げられる。このような組成物は、好ましくは、「直ちに使用可能な」または「用いたとおりの」組成物の総重量に基づいて、5重量パーセント(wt%)を超える、より好ましくは10wt%を超える、さらにより好ましくは15wt%を超える、さらにより好ましくは20wt%を超える、およびさらにより好ましくは少なくとも25wt%のこのような材料の総量を含む。好ましい実施形態において、それらは、「直ちに使用可能な」または「用いたとおりの」組成物に基づいて、95wt%以下、より好ましくは90wt%以下、さらにより好ましくは80wt%以下、およびさらにより好ましくは70wt%以下の総量で存在する。一定の組成物は、それらが使用前に希釈されることが意図される場合、より高い濃度であり得る。
【0085】
1種以上の脂肪酸モノエステル、脂肪族モノエーテル、またはこれらのアルコキシル化誘導体を含む本発明の好ましい組成物はまた、少量のジ−またはトリ−脂肪酸エステル(すなわち、脂肪酸ジ−またはトリ−エステル)、ジ−またはトリ−脂肪エーテル(すなわち、脂肪酸ジ−またはトリ−エーテル)、またはこれらのアルコキシル化誘導体を含むことができる。好ましくは、このような成分は、抗ウイルス性脂質成分の総重量に基づいて、50wt%以下、より好ましくは40wt%以下、さらにより好ましくは25wt%以下、さらにより好ましくは15wt%以下、さらにより好ましくは10wt%以下、さらにより好ましくは7wt%以下、さらにより好ましくは6wt%以下、およびさらにより好ましくは5wt%以下の量で存在する。例えば、モノエステル、モノエーテル、またはグリセリンのアルコキシル化誘導体については、組成物中に存在する抗ウイルス性脂質成分の総重量に基づいて、好ましくは15wt%以下、より好ましくは10wt%以下、さらにより好ましくは7wt%以下、さらにより好ましくは6wt%以下、およびさらにより好ましくは5wt%以下のジエステル、ジエーテル、トリエステル、トリエーテル、またはこれらのアルコキシル化誘導体が存在する。しかしながら、以下において詳細に説明するとおり、より高濃度のジ−およびトリ−エステルは、配合物がエステル交換反応によって初期に遊離グリセリンを含む場合には、原材料中において耐容性を示し得る。
【0086】
いくつかの状況においては、ジ−またはトリ−エステルは、出発材料の成分としては回避することが好ましいが、比較的純粋なトリ−エステルを、本発明の一定の組成物の調製において、(例えば、疎水性成分として)用いることが可能であり、および効果的な抗菌活性を有する。
【0087】
外部鎮痛薬
安全でおよび効果的な外部鎮痛薬としては、FDA−認可非−ステロイド系抗炎症剤、局所麻酔薬、局所的ステロイド等が挙げられる。好ましい鎮痛薬としては、アミンおよび「カイン」タイプ;アルコールおよびケトン;抗ヒスタミン剤;ヒドロコルチゾン製剤;およびこれらの混合物が挙げられる。好ましいアミンおよび「カイン」タイプ外部鎮痛薬としては、ベンゾカイン、ブタンベンピクレート、ジブカイン(またはジブカインHCl)、ジメチソキンHCl、ジクロニンHCl、リドカイン(またはリドカインHCl)、プラモキシンHCl、テトラカイン(またはテトラカインHCl)、およびこれらの混合物プリロカインおよび、EMLA(2.5%リドカインおよび2.5%プリロカインを含む局所麻酔薬の共融点混合物)などのこれらの混合物が挙げられる。好ましいアルコールおよびケトンタイプ外部鎮痛薬としては、ベンジルアルコール、樟脳、樟脳化メタクレゾール、カデ油、メントール、フェノール、ナトリウムフェノレート、レソルシノール、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい抗ヒスタミン剤タイプ外部鎮痛薬としては、ジフェンヒドラミンHCl、トリペレナミンHCl、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましいヒドロコルチゾン製剤としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、およびこれらの混合物が挙げられる。2つ以上のタイプからの外部鎮痛薬の混合物もまた有用である。
【0088】
適切なwt%で用いられれば、これらは、ウイルス感染症に関連する疼痛、炎症またはそう痒などの症状を、一時的に軽減する。アミンおよび「カイン」タイプ外部鎮痛薬の好ましい量としては、5〜20wt%ベンゾカイン、1wt%ブタンベンピクレート、0.25〜1wt%ジブカイン(またはジブカインHCl)、0.3〜0.5wt%ジメチソキンHCl、0.5〜1.0wt%ジクロニンHCl、0.5〜5wt%リドカイン(またはリドカインHCl)、0.5〜1wt%プラモキシンHCl、1〜2wt%テトラカイン(またはテトラカインHCl)、およびこれらの混合が挙げられる。アルコールおよびケトンタイプ外部鎮痛薬の好ましい量としては、10〜33wt%ベンジルアルコール、0.1〜3wt%樟脳、樟脳化メタクレゾール(3〜10.8wt%樟脳および1〜3.6wt%メタクレゾールと共に)、1〜5wt%カデ油、0.1〜1wt%メントール、0.5〜1.5wt%フェノール、0.5〜1.5wt%ナトリウムフェノレート、0.5〜3wt%レソルシノール、およびこれらの混合が挙げられる。抗ヒスタミン剤タイプ外部鎮痛薬の好ましい量としては、1〜2wt%ジフェンヒドラミンHCl、0.5〜2%トリペレナミンHCl、およびこれらの混合が挙げられる。ヒドロコルチゾン製剤の好ましい量としては、0.25〜0.5wt%ヒドロコルチゾン、0.25〜0.5wt%ヒドロコルチゾンアセテート、およびこれらの混合が挙げられる。2つ以上のタイプからの外部鎮痛薬の混合もまた有用である。
【0089】
外部鎮痛薬について、「市販ヒト使用のための外部鎮痛薬製剤モノグラフにおける発熱疱疹および口唇ヘルペス処置製剤に対する最終規則化案(Proposed Final Rulemaking for Fever Blister and Cold Sore Treatment Drug Products in the External Analgesic Drug Products for Over−the−counter Human Use Monograph)」、米国食品医薬品局によって刊行された連邦公報、第55巻、第21号、1990年1月31日、3370〜3383ページ、詳細:a)アミンおよび「カイン」−タイプ局所麻酔薬としては、1)5〜20%ベンゾカイン、7)0.5〜4%リドカイン、9)0.5〜1%塩酸プラモキシン、10)1〜2%テトラカインが挙げられ、およびb)アルコールおよびケトンとしては、1)10〜33%ベンジルアルコール、2)0.1〜3%樟脳、6)0.1〜1%メントール、7)0.5〜1.5%フェノール、10)0.5〜3%レソルシノールが挙げられる。「a」と「b」との組み合わせはまた、メントールおよび/または樟脳と、ベンジルアルコール、フェノール、樟脳、または他のカテゴリーb材料とのブレンドであるため、許容される。3〜10.8%樟脳と、4.7%フェノールとの軽鉱物油中での特別な組み合わせが許容される。
【0090】
湿潤剤
本発明の組成物は、皮膚、粘膜、創傷、病変、または瘡蓋の水和レベルを高めるために湿潤剤を含み得る。湿潤剤は、湿潤剤を含む親水性材料であることができ、または皮膚軟化剤を含む疎水性材料であることができる。保湿剤は、水を環境から誘引して皮膚の上層中に水を保持することを助けることにより水和を高める極性引湿性材料である。皮膚軟化剤は、軟らかさ、滑性、および滑らかさを皮膚に提供し、および度々、経皮水分損失(TEWL)を低減させることにより水和を高める薄い密封性フィルムを形成する疎水性材料である。
【0091】
親水性湿潤剤。例証的な親水性湿潤剤としては、限定されないが、水、多価アルコール、低級アルキルエーテル、N−メチルピロリドン、低級アルキルエステル、尿素、アミノ酸、エトキシ化アミド、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ならびに、以下にエンハンサーとして検討した低級モノヒドロキシアルコールおよびヒドロキシ酸、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。従って、低級モノヒドロキシアルコールは、親水性化合物およびエンハンサーの両方として機能することができる。好ましくは、親水性成分としては、多価アルコール、低級アルキルエーテル、および短鎖エステルが挙げられる。より好ましくは、親水性成分は多価アルコールを含む。
【0092】
好適な多価アルコール(すなわち、2つ以上のヒドロキシル基を有する有機化合物)は、500未満、好ましくは400未満、およびより好ましくは200未満の分子量を有する。多価アルコールの例としては、限定されないが、グリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、パントテノール、多価アルコールのエチレングリコール付加物、多価アルコールのプロピレンオキシド付加物、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、エリスリトール、ソルビタン、糖質(例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース、蔗糖、トレハロース)、糖質アルコール等が挙げられる。一定の好ましい多価アルコールとしては、グリコール(すなわち、2つのヒドロキシル基を含有するもの)、グリセリン、およびプロピレングリコールが挙げられる。一定の他の好ましい多価アルコールとしては、スクロース、キシリトール、マンニトール、およびソルビトールが挙げられる。
【0093】
エーテルとしては、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコールおよびメトキシポリエチレングリコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックおよびランダムコポリマー、およびラウレス−4などの材料が挙げられる。アルキルエステルとしては、トリアセチン、酢酸メチル、メチル乳酸塩、エチル乳酸塩エステル、ポリエトキシ化グリコールのエステル、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0094】
一定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用である親水性成分としては、グリコール、グリセリンおよびプロピレングリコール、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。最も好ましくは、親水性成分は、存在する多価アルコール抗ウイルス性のいずれかの脂肪酸モノエステルの多価アルコール部分に合致するよう選択される。例えば、抗ウイルス剤がグリセロールモノラウレート(モノラウリン)であった場合、最も好ましい親水性成分は、グリセリンである。この方策においては、キャリア溶剤と生じ得るいずれかのエステル交換反応は、不要な副生物を生成しない。ヒドロキシ官能性親水性成分とエステル化し得る組成物中に他の成分がある場合、この発生を最低とするため条件が選択される。例えば、成分は長時間の間一緒に加熱されず、および/または可能である場合にはpHが中性に近くされる等である。
【0095】
1種以上の親水性材料が、本発明の組成物において、所望の結果を得るために好適なレベルで用いられ得る。親水性成分をも主成分(すなわち、最大量で用いられる成分であって、「ビヒクル」として称される)として含有する一定の好ましい実施形態において、親水性成分は、直ちに使用可能な組成物の重量に基づいて、少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも1wt%、より好ましくは少なくとも4wt%、およびさらにより好ましくは少なくとも8wt%の総量で存在する。一定の実施形態においては、より高レベルの親水性成分が用いられ得る。これらの場合には、親水性成分は、少なくとも10wt%、より好ましくは少なくとも20wt%、およびさらにより好ましくは少なくとも25wt%の総量で存在する。
【0096】
好ましい実施形態において、親水性成分は、直ちに使用可能な組成物に基づいて、70wt%以下、好ましくは60wt%以下、より好ましくは40wt%以下、さらにより好ましくは30wt%以下の総量で存在する。親水性成分が最大量で存在するとき、「ビヒクル」として称される。
【0097】
疎水性湿潤剤。例証的な疎水性湿潤剤としては、限定されないが、長鎖(すなわち、C8〜C36)直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルアルコールまたは酸の短鎖(すなわち、C1〜C6)アルキルまたは(C6〜C12)アリールエステル、およびアルコールのポリエトキシ化誘導体;任意により−OHによって利用可能な位置で置換される(C4〜C12)二酸または(C4〜C12)ジオールの短鎖(すなわち、C1〜C6)アルキルまたは(C6〜C12)アリールエステル;グリセロールの(C2〜C18)アルキルまたは(C6〜C12)アリールエステル、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ならびにこれらのポリエトキシ化誘導体;ポリプロピレングリコールの(C12〜C22)アルキルエステルまたは(C12〜C22)エーテル;ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールコポリマーの(C12〜C22)アルキルエステルまたは(C12〜C22)エーテル;およびポリエーテルポリシロキサンコポリマーが挙げられる。疎水性成分の追加の例としては、D4およびD5などの揮発性環状シリコーン、ポリジアルキルシロキサン、ポリアリール/アルキルシロキサン、シリコーンコポリオール、カカオバター、蜜蝋、ホホバ油、ラノリンおよび誘導体、長鎖(すなわち、C8〜C18)直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルアルコールまたは酸の長鎖(すなわち、C8〜C36)アルキルおよびアルケニルエステル、長直鎖または分岐鎖(すなわち、C8〜C36)アルキルまたはアルケニルアミンまたは酸の長鎖(すなわち、C8〜C36)アルキルおよびアルケニルアミドを含む環状ジメチコン;イソパラフィン(例えば、イソオクタン、イソドデカン、イソオクタデカン等)などの直鎖および分岐鎖アルカンおよびアルケン、スクアレン、および鉱物油、ポリシロキサンポリアルキレンコポリマー、ジアルコキシジメチルポリシロキサンを含む炭化水素;(C12〜C22)アルキルおよび(C12〜C22)アルケニルアルコール、およびイソパラフィンなどの石油由来アルカン、ペトロラタム、ペトロラタムUSP、ならびにオリーブ油NF、綿実油、ヒマシ油、落花生油、コーン油、ゴマ油、ベニバナ油、大豆油等などの精製天然油(特にNFまたはUSPグレード)、およびこれらのブレンドが挙げられる。一定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用である疎水性成分としては、ペトロラタムUSPおよび長鎖(すなわち、C8〜C36)直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルアルコールまたは酸の短鎖(すなわち、C1〜C6)アルキルまたは(C6〜C12)アリールエステルおよびアルコールのポリエトキシ化誘導体;任意により−OH(ジイソプロピルアジピン酸塩、ジイソプロピルセバシン酸塩などの)によって利用可能な位置で置換される(C4〜C12)二酸または(C4〜C12)ジオールの短鎖(すなわち、C1〜C6)アルキルまたは(C6〜C12)アリールエステル;グリセロール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール(グリセリルトリカプリル酸塩/カプリン酸塩などの)の(C1〜C9)アルキルまたは(C6〜C12)アリールエステル;およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0098】
皮膚保護剤
いくつかの湿潤剤または皮膚軟化剤を含む一定の材料が、安全でおよび効果的な皮膚保護の提供に特に有用である。適切なwt%で用いられれば、これらは、損傷したまたは露出した皮膚または粘膜表面を、有害なまたは煩わしい刺激から一時的に保護し、およびこのような表面に低減を提供し得る。好ましい皮膚保護剤としては、0.5〜2wt%アラントイン、0.15〜5wt%水酸化アルミニウムゲル、1〜25wt%カラミン、50〜100wt%カカオバター、5〜13.56wt%タラ肝油、少なくとも0.007wt%コロイド状オートミール、1〜30wt%ジメチコン、20〜45wt%グリセリン、50〜100wt%硬い脂肪、4〜20wt%カオリン、12.5〜50wt%ラノリン、50〜100wt%鉱物油、30〜100wt%ペトロラタム、重炭酸ナトリウム、10〜98wt%局所的スターチ、0.1〜2wt%酢酸亜鉛、0.2〜2wt%亜鉛カーボネート、1〜25wt%酸化亜鉛、0.13〜0.5wt%アルミニウムアセテート、46〜63wt%硫酸アルミニウム、およびマンサクが挙げられる。安全でおよび効果的な皮膚保護剤に関するさらなる情報が、「市販ヒト使用のための外部鎮痛薬製剤モノグラフにおける発熱疱疹および口唇ヘルペス処置製剤に対する最終規則化案(Proposed Final Rulemaking for Fever Blister and Cold Sore Treatment Drug Products in the Skin Protectant Drug Products for Over−the−counter Human Use Monograph)」、米国食品医薬品局によって刊行された連邦公報、第51巻、第21号、1990年1月31日、3362〜3370ページに提供されている。
【0099】
エンハンサー成分
本発明の組成物は、任意により、特に大腸菌(E.coli)およびシュードモナス属(Pseudomonas sp)などのグラム陰性細菌に対する抗菌活性を増強するためにエンハンサー(好ましくは共力剤)を含み得る。エンハンサー成分としては、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、他のカルボン酸、(C1〜C4)アルキルカルボン酸、(C6〜C12)アリールカルボン酸、(C6〜C12)アラルキルカルボン酸、(C6〜C12)アルカリールカルボン酸、フェノール系化合物(一定の酸化防止剤およびパラベンなどの)、(C1〜C10)モノヒドロキシアルコール、キレート化剤、または米国特許出願公開第2005/0089539−A1号に記載のグリコールエーテル(すなわち、エーテルグリコール)を挙げ得る。所望の場合には、エンハンサーの種々の組合わせを用いることができる。
【0100】
1種以上のエンハンサーが、本発明の組成物において、所望の結果を得るために好適なレベルで用いられ得る。好ましい実施形態において、これらは、直ちに使用可能な組成物の総重量に基づいて、0.01wt%を超える総量、より好ましくは0.1wt%を超える量で、さらにより好ましくは0.2wt%を超える量で、さらにより好ましくは0.25wt%を超える量で、および最も好ましくは0.4wt%を超える量で存在する。好ましい実施形態において、これらは、直ちに使用可能な組成物の総重量に基づいて、20wt%以下の総量で存在する。このような濃度は、典型的には、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、他のカルボン酸、キレート化剤、フェノール、エーテルグリコール、および(C5〜C10)モノヒドロキシアルコールに適用される。一般に、(C1〜C4)モノヒドロキシアルコールについてはより高濃度が必要である。
【0101】
好ましい実施形態において、短鎖(すなわち、C1〜C4)アルコールは、直ちに使用可能な組成物の総重量に基づいて、少なくとも10wt%、さらにより好ましくは少なくとも15wt%、さらにより好ましくは少なくとも20wt%、およびさらにより好ましくは少なくとも25wt%の総量で存在する。
【0102】
好ましい実施形態において、(C1〜C4)アルコールは、直ちに使用可能な組成物の総重量に基づいて、90wt%以下、より好ましくは70wt%以下、さらにより好ましくは60wt%以下、およびさらにより好ましくは50wt%以下の総量で存在する。
【0103】
界面活性剤
本発明の組成物は、任意により、組成物を乳化すると共に、表面を濡らすことを助けおよび/または微生物に接触することを補助するために、1種以上の界面活性剤を含むことができる。本願明細書において用いられるところ、用語「界面活性剤」とは、水の表面張力および/または水および不混和性の液体の間の界面張力を低減させることができる両親媒性物質(共有的にバインドされる極性および非極性領域の両方を備える分子)を意味する。用語は、石鹸、洗剤、乳化剤、表面活性剤等を含むことを意味する。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、または両性であることができる。好ましい実施形態において、界面活性剤としては、ポロキサマー、エトキシ化ステアレート、オレイン酸ソルビタン、アクリル酸および疎水性コモノマーの高分子量架橋コポリマー、および共表面活性剤としてのセチルおよびステアリルアルコールが挙げられる。
【0104】
広く多様な従来の界面活性剤が用いられることができるが、しかしながら、一定のエトキシ化界面活性剤は、抗ウイルス性脂質成分の抗菌効力を低減または除去することができる。これの正確なメカニズムは知られておらず、すべてのエトキシ化界面活性剤がこの負の効果を示すわけではない。例えば、ポロキサマー(ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド)界面活性剤は、抗ウイルス性脂質成分と適合するとみられているが、商品名トゥイーン(TWEEN)でICIによって販売されているものなどのエトキシ化ソルビタン脂肪酸エステルは適合していない。これらは広い総括であり、活性は配合に依存する可能性があることに留意すべきである。当業者は、配合物を形成すると共に、抗菌活性を米国特許出願公開第2005/0089539−A1号に記載のとおりテストすることにより、界面活性剤の親和性を容易に測定することができる。所望の場合には、種々の界面活性剤の組み合わせを用いることができる。
【0105】
一定の抗ウイルス性脂質は両親媒性物質であると共に、表面活性であり得ることに留意すべきである。例えば、本明細書に記載の一定の抗ウイルス性アルキルモノグリセリドは表面活性である。本発明の一定の実施形態について、抗ウイルス性脂質成分は、「界面活性剤」成分とは区別されると考えられている。
【0106】
増粘剤
一定の用途については、ポリアクリル酸、ポリ(N−ビニルピロリドン)、セルロース系誘導体、およびキサンタンまたはグアーガムを含む天然および合成ポリマーなどの可溶性、膨潤性、または不溶性有機高分子増粘剤;または、シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカエアロゲルおよびカーボンブラック等などの無機増粘剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、珪藻土、第二鉄オキシドおよび酸化亜鉛、粘土等;セラミック微小球またはガラス微小バブルなどの他の粒子充填材;商品名「ゼオスフェア(ZEOSPHERES)」または「ゼットライト(Z−LIGHT)」で、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)から入手可能であるものなどのセラミック微小球sucで増粘された組成物中に抗ウイルス性脂質を配合することが望ましい。上記の充填材は、単独でまたは組み合わせて用いられることができる。
【0107】
任意選択の添加剤
本発明の組成物は、従来から化粧品および医薬品組成物に見いだされる付加成分を、それらの技術分野で確立された態様およびそれらの技術分野で確立されたレベルで、追加的に使用し得る。従って、例えば、組成物は、追加の薬学的に適合する活性材料を、併用治療(補足的抗菌性、抗寄生虫薬、鎮痒剤、収斂薬、治癒促進剤、ステロイド、非ステロイド系抗炎症剤、または他の抗炎症剤などの)のために含有し得、または、賦形物、染料、顔料、香料、芳香剤、滑剤、増粘剤、安定化剤、皮膚浸透促進剤、防腐剤、フィルム形成性ポリマー、または酸化防止剤などの本発明の種々の剤形の物理的な配合に有用である材料を含有し得る。組成物はまた、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンAなどのビタミン、およびそれらの誘導体を含有し得る。
【0108】
生体接着性ポリマーが任意選択的に添加されてもよい。数多くの好適な生体接着性ポリマーが、国際公開第93/21906号に記載されている。特に興味深い代表的な生体接着性ポリマーとしては、巨大分子(Macromolecules)、26:581〜587ページ(1993年)において、H.S.ソーネイ(Sawhney)らによって記載された生体内分解性ヒドロゲルが挙げられ、ポリヒアルロン酸、カゼイン、膠、グルテン、酸無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、およびポリ(オクタデシルアクリレート)が挙げられる。好ましいポリマーは、ポリアクリル酸(例えば、カルボマー(CARBOMER)ポリマー)およびポリ(フマル−コ−セバシン)酸である。他の生体接着性および生体内分解性ポリマーが米国特許第6,746,635号に記載されている。特に好ましいのは、カルボポール(CARBOPOL)ブランドでノベオン・インコーポレーテッド(Noveon,Incorporated)によって販売されているものなどの、わずかに架橋されたポリアクリル酸である。
【0109】
追加の消毒薬、消毒剤、抗ウイルス薬、または抗生物質が含有され得ることもまた認識されると共に、予期されるであろう。これらとしては、例えば、銀、銅、亜鉛などの金属;ヨウ素およびヨードフォール;クロルヘキシジンおよびグルコン酸クロルヘキシジンなどのその種々の塩;ポリヘキサメチレンビグアナイド、パラクロロメタキシレノール、トリクロサン、塩化ベンズエトニウムを含む抗菌性第4級アミン、塩化ベンズアルコニウム、およびクロトリマゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、およびこれらの塩を含む高分子第4級アミン「アゾール」抗真菌剤等の添加が挙げられる。硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ムピロシン、ポリミキシン、リファンピン、テトラサイクリン等などの抗生物質もまた含まれ得る。好ましい組成物は、しかしながら、耐性形成の可能性により抗生物質を含まない。抗ウイルス剤としては、限定されないが:アシクロビル(acydovir)、ペンシクロビル(pencidovir)、ファムシクロビル(famcidovir)およびバラシクロビル(valacyovir)が挙げられる。
【0110】
本明細書に記載の必須または任意選択の成分について選択されたレベルまたは範囲は、配合される組成物が直接用いられるか、または使用前に希釈される濃縮物か、ならびに選択された特異的な成分、最終的な組成物の最終用途、および当業者に周知である他の要因に依存するであるあろうことは、当業者によって認識されるであろう。
【0111】
本発明の組成物の多くが例外的に広いスペクトラムの抗菌活性を有し、従って、一般に、最後に滅菌されないが、必要な場合には、多様な産業標準的な技術によって滅菌されてもよい。例えば、組成物を、それらの最終梱包形態で、電子ビームを用いて滅菌することが好ましい場合がある。サンプルを、ガンマ線または熱によって滅菌することもまた可能である。滅菌の他の形態が許容され得る。防腐剤を配合物内に含有させて、一定の生物の増殖を予防することも好適である場合もある。好適な防腐剤としては、パラベン(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル等)、2−ブロモ−2ニトロ−1,3ジオール;5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、クロルブタノール、ジアゾリジニル尿素;ヨードプロピルニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、ハロゲン化クレゾール、メチルクロロイソチアゾリノン等、ならびにこれらの化合物の組み合わせなどの産業標準的な化合物が挙げられる。
【0112】
配合物および調製方法
本発明の組成物は、好ましくは、発汗の存在下においても、抗ウイルス剤を意図されるサイトに遷延的な期間にわたって送達するために、哺乳類組織(特に、皮膚、粘液性組織、および創傷)に良好に付着する。本発明の配合物中の最大量の成分(すなわち、ビヒクル)は、ヒトまたは動物皮膚の局所的処置について普通用いられる従来のビヒクルのいずれでもあり得る。クリームまたはローションの形態をとることができる疎水性軟膏剤および水中油型エマルジョンが、本発明の好ましい実施形態である。
【0113】
配合物は、典型的には以下のタイプから選択される。
(1)疎水性軟膏剤:組成物は、疎水性基剤(例えば、ペトロラタム、増粘化またはゲル化不水溶性油等)と配合され、および任意により、微量の水溶性相を有する。
【0114】
疎水性軟膏剤は、疎水性ビヒクルを有する無水物またはほぼ無水の配合物である。典型的には、軟膏剤の成分は、皮膚温度で軟化または溶融して広がりを補助する、半固体軟度を室温で提供するよう選択される。これを達成するために好適な成分としては、低〜中程度の量の、天然および合成ワックス、例えば蜜蝋、カルナバワックス、カンデリラワックス、セレシン、オゾケライト、微結晶性ワックス、およびパラフィンが挙げられる。ペトロラタムおよびラノリンなどの粘性半結晶性材料が、多量で有用である。軟膏剤の粘度はまた、疎水的に変性された粘土を含む油相増粘剤で調節されることができる。本発明の一定の好ましい実施形態において、組成物は、容易に広がると共に、比較的迅速に表皮に吸収されるよう選択される。この迅速な吸収は、なめとられる量、または食品に移る量が制限されるため、組成物が口の周囲の口唇ヘルペスを処置するために用いられるときに特に望ましい。用いられる高融点ワックスの量を最低とし、およびペトロラタムおよび鉱物油などの非極性炭化水素材料の使用を制限することにより迅速な吸収が達成される。既述の好ましい外部鎮痛薬および皮膚保護剤材料の多くは、疎水性ビヒクルに(特に多少極性の抗ウイルス性脂質成分の存在下においては)可溶性である。アラントイン、またはエンハンサーのいくつかなどの容易に可溶性ではない材料について、これらは、軟膏剤中に固形分として懸濁されることができ、または少量の親水性成分で可溶化されることができる。例えば、ペトロラタム中に、有機酸エンハンサーまたは一定の固形界面活性剤と配合するとき、多くのエンハンサーおよび界面活性剤はペトロラタム中に、85℃を超える温度で溶解することとなるが、しかしながら、冷却されると、エンハンサーおよび/または界面活性剤結晶または沈殿物が、溶液から析出して均質な配合物を形成することが困難となる。少なくとも0.1%、および好ましくは少なくとも1.0%、より好ましくは少なくとも2%、および最も好ましくは少なくとも3wt%の親水性化合物(例えばグリコール)が添加される場合には、安定な配合物を得ることができる。これらの配合物は、疎水性成分中に乳化された親水性成分中に、エンハンサーおよび/または界面活性剤が溶解し、乳化し、または分散したエマルジョンを形成すると考えられている。これらの組成物は、冷却および遠心分離に安定である。
【0115】
しかも、親水性成分の配合物中への取り込みは、抗菌活性を向上すると考えられている。これについてのメカニズムは知られていないが、しかしながら、エンハンサー成分および/または抗ウイルス性脂質成分の放出を速くし得る。
【0116】
これらの配合物の含水量は、存在するエステルベース抗ウイルス性脂質のいずれかの加水分解を最低限とするために、好ましくは20%未満、好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満、およびさらにより好ましくは2wt%未満である。
【0117】
しかも、抗ウイルス性脂質成分がエステルを含む場合、親水性成分中にグリセリンまたはプロピレングリコールのいずれかを用いることが特に望ましいことが見出された。抗ウイルス性脂質のグリコール部分と同等の親水性化合物、例えば、プロピレングリコールエステルと共にプロピレングリコールをおよびグリセリンエステルと共にグリセリンを用いることが最も好ましい。この方策においては、抗ウイルス性脂質エステルの、親水性化合物とのエステル交換は、追加の既存の化学種をもたらさないであろう。実際には、95%純度のグリセロールモノラウレートの使用は、親水性化合物としてグリセリンと配合されるとき、2モルのモノエステルを生成するジエステルのグリセリンとのエステル交換により、追加のグリセロールモノラウレートの形成をもたらすことを示すいくつかの証拠がある。この理由のため、最初は、製造および/または保管中にエステル交換して、存在する抗ウイルス性脂質の総重量に基づいて15%未満のジエステルおよび好ましくは5%未満のジエステルを含む配合物を生成する限りにおいて、存在するジエステルをかなりのレベルで含有する低グレードのグリセリンエステルと配合することが可能であり得る。
【0118】
これらの配合物は、先ず、疎水性成分を85℃に加熱し、疎水性成分とは異なる場合、皮膚保護剤中に界面活性剤、親水性成分、およびエンハンサー成分を添加し、65℃に冷却し、およびその融点より高温で外部鎮痛薬、および抗ウイルス性脂質成分を添加することにより比較的容易に製造されることができる。あるいは、エンハンサー成分は、親水性成分(任意により界面活性剤と共に)中に予め溶解されることができ、および疎水性成分に、抗ウイルス性脂質成分の添加の前または後のいずれかに添加される。抗ウイルス性脂質成分または疎水性成分の一方が室温で固体である場合には、これは、すべての成分を溶融させるために必要な最低温度で行われる。エステル含有抗ウイルス性脂質の、酸またはエーテル基のいずれかを含むエンハンサーに対する長時間の高い温度での露出は、エステル交換反応を予防するために回避するべきである(上述のとおり、低純度脂肪酸エステルをグリコール親水性成分と組み合わせて用いてモノエステルを生成する場合においてこれが故意でなければ)。
【0119】
皮膚での使用に意図されるこれらの配合物の粘度は、好ましくは少なくとも500センチポアズ(cps)、より好ましくは少なくとも1,000cps、およびさらにより好ましくは少なくとも10,000cpsである。粘度は、米国特許出願公開第2005/0089539−A1号に記載の粘度テストによって計測することができる。
【0120】
同様に、粘度および/または溶融温度は、結晶性または高融点ペトロラタムなどの半結晶性疎水性キャリアの組み込み、不溶性充填材/チクソトロープの添加、または高分子増粘剤(例えば、ペトロラタムビヒクル中のポリエチレンワックス)の添加のいずれかにより増加されることができる。高分子増粘剤は、直鎖、分岐、またはわずかに架橋されていてもよい。配合物は比較的やわらかく、および容易に広がって、創傷、吹き出物、または感染部へ容易に適用できることが快適性のために重要である。
【0121】
(2)油中水型エマルジョン:組成物は、抗ウイルス性脂質成分が、疎水性成分の連続相と、水および任意により1種以上の極性親水性キャリア、ならびに塩または他の成分を含む水性相の連続相とを含むエマルジョン中に組み込まれた配合物であり得る。これらのエマルジョンは、油溶性または油膨潤性ポリマー、ならびにエマルジョンの安定化を補助する1種以上の乳化剤を含み得る。
【0122】
(3)濃縮化水性ゲル:これらの系は、好適な天然、変性化天然、または合成ポリマーによって濃縮された水性相を含む。あるいは、濃縮化水性ゲルは、効果的に組成物を濃縮させる好適なポリエトキシ化アルキル鎖界面活性剤、ならびに他のノニオン性、カチオン性、またはアニオン性乳化剤系を用いて濃縮されることができる。好ましくは、いくつかのポリエトキシ化乳化剤は、抗ウイルス性脂質を、特により高濃度で、不活性化することができるため、カチオン性またはアニオン性乳化剤系が選択される。
【0123】
(4)親水性ゲル:これらは、連続相が、水以外の水溶性親水性成分を少なくとも1種含む系である。配合物はまた、任意により、20重量%以下の水を含有し得る。より高いレベルが、同一の組成物中において好適であり得る。好適な親水性成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等などの1種以上のポリオール;ポリエチレングリコール(PEG);エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシドのランダムまたはブロックコポリマー;分子当たり1つ以上の疎水性部位を有するポリアルコキシル化界面活性剤;シリコーンコポリオール;ならびにこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0124】
(5)水中油型エマルジョン。組成物は、抗ウイルス性脂質成分が、疎水性成分の個別相と、水および任意により1種以上の極性親水性キャリア、ならびに塩、界面活性剤、乳化剤、および他の成分を含む連続水性相とを含むエマルジョン中に乳化された配合物であり得る。これらのエマルジョンは、水溶性または水膨潤性ポリマー、ならびにエマルジョンの安定化を補助する1種以上の乳化剤を含み得る。これらのエマルジョンは、一般に、米国特許出願公開第2003/0149106−A1号に記載のとおり、高い伝導率値を有する。
【0125】
本発明の抗ウイルス性脂質成分はまた、外部鎮痛薬と組み合わせて水中油型エマルジョンに配合されることができる。特に好ましい組成物は、水相重量の、少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、および最も好ましくは少なくとも50%を構成する。本明細書において用いられるところ、水相は、23℃で水溶性であるすべての成分を含む。安定水中油型エマルジョンを形成する数々の方法が、当業者に公知であり、ステアレート石鹸、ノニオン性界面活性剤、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、および位相反転乳化の使用を含む。一般的に言えば、疎水性成分(油)は、コンテナA中に、任意により高分子乳化剤を含むいずれかの乳化剤と混合され、均質な組成物およびその後の安定なエマルジョンを保障する十分な温度に加熱される。疎水性成分の一定の組み合わせについては、均質な組成物が室温でもたらされ得、および加熱は必要ではない。温度は、典型的には、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも80℃、およびより好ましくは100℃以上に昇温される。個別のコンテナB中に、以下の1種以上を含む親水性要素:水、親水性成分、エンハンサー、界面活性剤、および酸/塩基が混合されて、最終組成物のpHが調節される。コンテナBの内容物は、いずれかの成分を著しく劣化させることなく、安定な最終エマルジョン組成物を保障するに十分な温度、典型的には40℃を超える、好ましくは50℃を超える、およびより好ましくは60℃を超える温度に加熱させる。また熱いうちに、高せん断ミキサを用いてコンテナBをコンテナAに添加する。組成物は、冷えるまで連続的に混合され得(例えば、40℃未満の温度まで)、または含有物が均一に混合され続けている限り、静置されることができる。抗ウイルス性脂質が感熱性である場合には、冷却時間の間に混合しながら添加される。感熱性でない場合には、コンテナAまたはコンテナBの一方に添加され得る。これらの組成物の粘度は乳化剤のレベルを変化させる(水対油相の比を変更し;油相(例えば、より粘性であるか、粘性の低い油(疎水性成分)から選択される)の選択;高分子または粒状増粘剤等の組み込みで)ことにより調節し得る。
【0126】
(6)原組成物。本発明の組成物はまた、原形態で、または迅速に蒸発して原組成物を残留させる揮発性溶剤中に処置サイトに送達され得る。これは耳管への送達に特に好適であり得るが、耳導管または鼓膜メンブランの表面への送達にも利用されることができる。このような組成物は、固体、半固体、または液体であり得る。組成物が固体である場合には、抗菌剤および/またはエンハンサーおよび/または界面活性剤は、任意により、送達を持続させるためにまたは容易に送達されるパウダーの製造を促進するかのいずれかのために、マイクロカプセル化され得る。あるいは、組成物は、微粉パウダーに、他の成分の添加させることなく微粉化されることができ、または任意により、パウダー製造を促進する充填材および他の要素を含有することができる。好適なパウダーとしては、限定されないが、炭酸カルシウム、カルシウムリン酸、種々の糖質、デンプン、セルロース誘導体、膠、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられる。
【0127】
疎水性抗菌性脂質が用いられるとき、疎水性剤の微粉化方法が用いられ得、ここで、疎水性剤は、有効量の第1の溶剤、すなわちポリマーを含まない溶剤に溶解される(米国特許第6,746,635号に記載の方法などの)。疎水性剤および溶剤は、連続相を有する混合物を形成する。第2の溶剤次いで水溶液が、混合物中に導入される。水溶液の導入は、疎水性剤の沈殿を生じさせると共に、平均粒径1ミクロン以下の微粉化疎水性剤の組成物を生成する。
【0128】
粘度
本発明の一定の好ましい組成物は、局所的な適用の容易性のために500センチポアズ(cps)の粘度を有する。より好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1,000cps、さらにより好ましくは少なくとも10,000cpsの粘度を有する。
【0129】
送達方法およびデバイス
本発明の実施による局所的処置計画は、本明細書に記載の組成物を、安全かつ有効な量で、感染したまたは危険状態にある皮膚、創傷、または粘膜に対して直接的に適用するステップを含む。典型的には、組成物は、組織を通って血液流へ向かわせるのとは対照的に、皮膚および/または粘液性組織に浸透させられる方策で皮膚および/または粘液性組織に送達される。これは、組成物を、処置が必要とされるサイトで局所的に濃縮する。好ましくは処置は、ウイルス感染症の前駆ステージで、吹き出物、潰瘍または発疹の発現の前に開始される。送達は、被処置領域への吹付け、浸漬、ワイピング、滴下、注入、拭き取り等によって達成されることができる。
【0130】
本発明の方法において、組成物は、哺乳類組織(例えば、皮膚および/または粘液性表面)への送達に好適な配合物として提供され得る。好適な配合物としては、限定されないが、クリーム、ゲル、フォーム、軟膏剤、ローション、香油、ワックス、軟膏、溶液、懸濁液、分散体、油中水型または水中油型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ペースト、パウダー、油、舐剤、ボーラス、およびスプレー等を有することができる。
【0131】
投与の種々の他の方式が、本発明の抗ウイルス性組成物が接触する所望の位置に応じて当業者に周知であるとおり用いられることができる。
【0132】
皮膚または粘液性組織への適用については、例えば、組成物は、可撓性チューブ、ブロー/フィル/シールコンテナ、ポーチ、カプセル等などの押し出し可能なコンテナから組織に直接的に適用され得る。この実施形態においては、主コンテナ自体は、組成物を直接的に組織上に分取するために用いられ、または組成物を個別のアプリケータ上に分取するために用いられることができる。フォームチップ、ブラシ等を備えるアプリケータを含む他の適用デバイスもまた好適であり得る。重要なことには、アプリケータは、必要量の組成物を組織に送達することができなければならない。従って、ほとんどの場合、ウェブおよびスワブなどのアプリケータデバイスは、アプリケータウェブ上に、乾燥ウェブの50重量%を超える、および好ましくは乾燥ウェブの100重量%を超えてコートされる(スワブ上では、これは、ウェブの重量のみを含むこととなり、アプリケータスティックの重量は含まない)。
【0133】
押し出しコンテナは、多数の単層、積層体、または共押出し構造で形成され得る。構造の材料としては、低および直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ならびにエチレンおよび/またはプロピレンと他の極性または非極性コモノマーとのコポリマー;ナイロンなどのポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリウレタン;ポリアクリレート等を含む、低、中、または高密度ポリエチレンなどのポリオレフィンを挙げ得る。いくつかの構造においては、配合物の成分の1種以上の蒸散を回避するために、バリア材料を含むことが望ましい。好適なバリア材料としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化層(PTFE、例えば、テフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標)))、ポリアミド(例えばナイロン)、クロロトリフロロエチレン(アクラー(ACLAR))、ポリフッ化ビニリデン、ならびにテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンのコポリマー(ダイニオンカンパニー(Dyneon Company)製のTHVフルオロサーモプラスチック(Fluorothermoplastic))などのパーフッ素化モノマーと部分フッ素化モノマーとのコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC、例えば、サラン(SARAN)HB)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの組み合わせ)が挙げられる。配向および二軸延伸ポリマーが特に好ましい場合がある。
【0134】
特に好ましいバリア構造としては、アルミニウムフォイル積層体などの金属フォイルバリア、HDPE、PET、PETG、ポリエステルおよびポリオレフィンのPEN積層体(特にPET/HDPEまたはHDPE/PET/HDPE)、PETおよびEVOHの積層体、二軸延伸ナイロン、PVDC、ナイロン/EVOH/ナイロン(オキシシールド(OXYSHIELD)OUB−R)、クロロトリフルオロエチレンおよびその積層体、シリコンオキシドで(SiOx、ここでx=0.5〜2および好ましくは1〜2である)コートされた熱可塑性樹脂を含むセラミック層、およびセラミックコートPET(ニュージャージー州オークリッジのCCLコンテナ/チューブディビジョン(Container/Tube Division,Oak Ridge,NJ)から入手可能であるセラミス(CERAMIS))が挙げられる。
【0135】
本発明の組成物は、組織への送達のために種々の基材から送達されることができる。例えば、組成物は、組織と接触すると組成物の少なくとも一部分を組織に送達するワイプまたはパッドから送達されることができる。
【0136】
投与量および適用頻度は、処置されるべき状態、抗ウイルス性脂質およびエンハンサーの濃度、殺傷する微生体等を含む多数の要因に依存するであろう。典型的には、組成物は、ほとんどの適用については、少なくとも組織1平方センチメートル(mg/cm2)当たり10ミリグラム、好ましくは少なくとも20mg/cm2の組織、より好ましくは少なくとも30mg/cm2の組織、および最も好ましくは少なくとも50mg/cm2の組織の投与量で送達されることとなる。適用は、1日またはそれ以上の間に、1日に1度または数回(例えば、2〜6)でなされることができる。典型的には、組成物は、1〜7日間、3〜5回/日で適用される。
【0137】
あるいは(またはさらに)、抗菌性成分は、他の抗菌剤、特に他の消毒薬を含むことができる。好適な消毒薬の例としては、例えば、本出願人の譲受人の、2004年9月7日出願の同時継続中の米国特許出願第10/936,133号に記載の過酸化物、(C6〜C14)アルキルカルボン酸およびアルキルエステルカルボン酸、抗菌性天然油;本出願人の譲受人の、2004年9月7日に出願の同時継続中の米国特許出願第10/936,171号に記載のハロゲン化フェノール、ジフェニルエーテル、ビスフェノール(特に限定されないが、p−クロロm−キシレノール(PCMX)およびトリクロサンを含む)、およびハロゲン化カルバニリド;ジグルコネート、ジアセテート、ジメトサルフェート、および二乳酸塩;ポリヘキサメチレンビグアナイドなどの高分子第4級アンモニウム化合物;銀および種々の銀錯体;塩化ベンズアルコニウムなどの小分子第4級アンモニウム化合物およびアルキル置換誘導体;ジ−長鎖アルキル(C8〜C18)第4級アンモニウム化合物;セチルピリジニウムハロゲン化物およびそれらの誘導体;塩化ベンズエトニウムおよびそのアルキル置換誘導体;および本出願人の譲受人の、2004年9月7日に出願の同時継続中の米国特許出願第10/936,135号に記載のオクテニジン;および適合するこれらの組み合わせが挙げられる。
【0138】
本明細書において提供された事例的実施形態の詳細な説明(特に外部鎮痛薬、湿潤剤、エンハンサー、他の添加剤、およびこのような組成物の形成に関して)は、明確に抗ウイルス性脂質成分に言及しているが、このような記載はまた、他の抗菌剤、特に消毒薬に適用される。
【0139】
テスト手順
ヘルペス動物モデル
メス23〜28g無毛のマウスを、チャールズリバーラブ(Charles River Labs)(マサチューセッツ州ウィルミントン(Wilmington,MA))から購入した。これらは、使用前に1週間検疫し、ステンレス鋼頂部を備えた靴箱型ポリカーボネートかご中に入れ、および標準的なマウス餌および水道水を自由に与えた。
【0140】
8匹のマウスのグループの各々が、動物の右肩および右尻の皮膚を、20ゲージ皮下針を用いて10mm直径の四角内に平行に5回軽く引っ掻き、次いで、ウイルスの1:10希釈物を引っ掻き傷に滴下し、およびピペットの先端でウイルスを引っ掻き傷にすりつけることによって内皮感染された。
【0141】
ウイルスは、最初は、ハーバージェネラルホスピタル(Harbor General Hospital)(カルフォルニア州ロサンジェルス(Los Angeles,CA))のドクターミランフィアーラ(Dr.Milan Fiala)から臨床的単離物として得た、タイプ1ヘルペスウイルス、菌株KOSであった。これをベロ細胞に継代し、および実験において用いる前にマウスに用量設定した。
【0142】
以下に記載したすべての配合物での局所的処置は、ウイルスの塗布から4時間後に開始し、および1日4回(6時間毎)で5日間続けた。処置は、テフロン(登録商標)(Teflon)−コート金属スパチュラを用いて、各病変におよそ同一の量の配合物をすりつけて達成した。標準回数の「すりつけ」を各病変に。動物を、死亡の発生について、21日間毎日観察した。
【0143】
各病変には、0(通常の皮膚)から4(最大の病変強度)までの範囲の「病変スコア」と定義されるスコアを定め、および各病変の垂直長さおよび水平長さの2つの計測値を、1日目から10日目まで毎日行った。これらの計測値を一緒に乗算しておよび「四角面積」を記録し、「病変サイズ」と定義した。病変スコアは、バイアスを排除するために、どのグループの動物がテストされているかを知らない技能者によっておこなった。この10日間の期間の間に、新しい、サテライト病変(例えば、初期の病変サイト以外の他の箇所に位置する他の病変)の発生もまた記録した。病変スコアの平均および病変サイズの平均を、8匹のマウスからの計測値の平均に基づいて算出した。
【0144】
2匹の追加のマウスを毒性対照として用いた。これらの動物の各々の肩を上述のように引っ掻いたが、ウイルスには露出しなかった。配合物を、引っ掻いた肩および尻の無傷の皮膚の両方にすりつけた。これらの動物は、最初の処置の前および再度、最終処置の18時間後に計量した。これらはまた、皮膚刺激作用または他の有毒性の徴候の発現について、処置の全期間にわたって毎日観察した。死亡を、発生した場合には、21日間にわたって毎日記録した。
【実施例】
【0145】
実施例
本発明の目的および利点が、以下の実施例によりさらに例示されているが、これらの実施例中に引用したそれらの特定の材料および量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を不当に制限すると解釈されるべきではない。
【0146】
【表1A】

【0147】
【表1B】

【0148】
実施例1
混合物A
24.38gカプムル(Capmul)PG−12
7.21gセトステアリルアルコールNF
0.22gプロピルパラベン
3.95g白色蜜蝋
4.51gBrij 721
1.00gBrij 72
1.01gスクアラン
0.51gL−メントール
混合物B
4.03gプロピレングリコール
3.17gプルラケア(pluracare)P65
0.14gメチルパラベン
50.81g脱イオン水
【0149】
油相中の混合物Aを、ガラス容器中に実験用ホットプレート上で68℃に加熱し、磁気攪拌棒を用いて、およそ15分間、溶液が清透になるまで攪拌した。これを、次いで、混合物Bの溶液に、およそ68℃の同じ温度で、連続攪拌下に添加して、明るい白色エマルジョンを形成した。生成物を32℃に冷却すると、増粘されて、クリームが形成された。
【0150】
比較例A
混合物A
9.12gセトステアリルアルコールNF
2.32gBrij 721
2.48gBrij 72
1.33gスクアラン
8.11gドラケオール(Drakeol)21鉱物油USP
0.51gL−メントール
0.21gプロピルパラベン
混合物B
3.46gプロピレングリコールUSP
1.20gプルラケア(Pluracare)P65
71.41g脱イオン水
【0151】
この配合物を、実施例1と同様に調製した。溶液は、増粘されて、冷却されると白色クリームを形成した。
【0152】
実施例2
19.20gカプムル(Capmul)PG−12
9.95g白色蜜蝋
1.47gプルラケア(Pluracare)P65
0.34gL−メントール
0.16gプロピルパラベン
1.58gセトステアリルアルコールNF
11.11gエクストラバージンオイル(extra virgin olive oil)
6.49gスノーホワイトペトロラタム(Snow white petrolatum)USP
【0153】
成分を、ガラス容器中に組み合わせ、およびおよそ75℃に、すべての成分が溶融するまで加熱した。混合物を攪拌し、およびおよそ50℃に冷却して、他のガラス容器に注入した。室温まで冷却すると、混合物は、固化して快い感触の粘性軟膏剤を形成した。
【0154】
比較例B
1.67gプルラケア(Pluracare)P65
3.10gセトステアリルアルコールNF
5.09g白色蜜蝋
11.58gメディランウルトラ(Medilan Ultra)ラノリン
4.11gフィンソルブ(FINS(登録商標)OLV)TN
0.15gプロピルパラベン
74.29gウルティマホワイトペトロラタム(Ultima white petrolatum)USP
【0155】
この配合物を、実施例2におけるように調製した。室温に冷却するとしては、混合物は、固化して粘性軟膏剤を形成した。
【0156】
実施例3
0.259g安息香酸USP
0.258gL−メントール
9.999gカプムル(Capmul)PG−12
0.642gトコフェロールアセテートUSP
38.851gオリーブ油
【0157】
すべての要素を、ガラス容器内で組み合わせ、および室温で(摂氏23度)4時間攪拌した。最終生成物は、皮膚に直接的に適用されることができる軽油を形成した。
【0158】
動物モデルにおける実施例1〜3の評価
実施例1〜3および比較例A〜Bの各々を、無毛のマウスを用いる上述の動物モデルでテストした。いずれの配合物も、毒性対照に1グループ当たり2匹のマウスを用いて、マウスにいかなる毒性の徴候も示さなかった。実施例1,2、および3についての結果は、比較例AおよびBと共に表1に要約してある。ゾビラックス(ZOVIRAX)、5%局所的アシクロビル軟膏剤(地域の薬局で処方薬として入手可能である)を、陽性対照として用い、およびこれも表1に含ませた。
【0159】
【表2】

【0160】
実施例1および実施例2は、5%アシクロビル陽性対照に匹敵する、病変スコアおよび病変サイズの統計的に顕著な減少を示した。
【0161】
実施例4
他のマウスでの研究を、プロピレングリコールモノラウレート(カプムル(Capmul)PG−12)を原組成物中に用いて実施した。ウイルス種菌の毎日3回の5日間での適用の24時間後にエステルを適用した。原液体エステルは、プラセボ軟膏剤に比して、病変スコアおよびサイズの統計的に顕著な減少を示した。平均7日目病変サイズは、ペトロラタムビヒクル対照の64.4mm2と比して、3.1mm2であった。7日目平均病変スコアは、抗菌性のないペトロラタムを含有する対照サンプルの1.5に対して、0.2であった。
【0162】
実施例5
19.5グラムプロピレングリコールモノラウレート、2.5グラムエチルオレアート、3グラムグリセロールトリ(2−エチルヘキサノエート)、0.75gトコフェリルアセテート、0.4グラムメントール、0.15グラムプロピルパラベン、1グラムの50センチストークスポリジメチルシロキサン体液、10グラムの蜜蝋、6.25グラムのイソドデカン、6.25グラムのイソエイコサン、および0.2グラムのバターラム香味剤剤を、4オンスガラスジャーに充填することにより軟膏剤を調製した。これを65℃に保持した水浴中に浸し、およびオーバーヘッド攪拌機およびプロペラブレードで、穏やかな速度で、30分間混合し、この時点では、固体材料は溶解し、およびワックスは溶融して清透な黄色の溶液が得られた。ジャーを水浴から外し、および一晩室温で冷却させて、濁った軟膏剤を得た。
【0163】
実施例6
12.5グラムプロピレングリコールモノラウレート、1.25グラムエチルオレアート、0.75gトコフェリルアセテート、0.5グラムプルラケア(Pluracare)P65ポロキサマー(polaxomer)、0.4グラムメントール、0.08グラムプロピルパラベン、および0.05グラムメチルパラベンを、4オンスガラスジャーに充填することにより水中油型クリームを調製した。これを、室温で、オーバーヘッド攪拌機およびプロペラブレードで、穏やかな速度で攪拌し、および0.5グラムアラントイン、0.12グラムペムレン(Pemulen)TR−2、および0.05グラムウルトレツ(Ultrez)21を添加した。得られた、油中のパウダーの懸濁液を、2グラム1N水性NaOH、2.5グラムのグリセリン、および29.3グラム水の溶液に添加した。攪拌速度を高めて、同時に、ボルテックス(Vortex)で空気が混入するほどは高めずに、今は粘性白色クリームの良好な混合を保障した。室温での30分間の攪拌後、頂部を保持するクリーム状の白色エマルジョンを得た。pH計測値は7.6であった。
【0164】
動物モデルにおける実施例5および6の評価
実施例5および6ならびに実施例2(再テストとして)の各々を、無毛のマウスを用いる上述の動物モデルでテストした。いずれの配合物も、毒性対照に1グループ当たり2匹のマウスを用いて、マウスにいかなる毒性の徴候も示さなかった。実施例2、5、および6についての結果は、未処置対照と共に表1に要約してある。ゾビロックス(ZOVIROX)、5%局所的アシクロビル軟膏剤(地域の薬局で処方薬として入手可能である)を陽性対照として用い、およびこれも表1に含ませた。ネオスポリンLTリップ(Neosporin LT Lip)処置およびアブレバ(Abreva)を含む他の市販口唇ヘルペス医薬をも、本研究において調べた。アブレバ(Abreva)は、FDAによって認可された、口唇ヘルペスを治療する市販薬である。
【0165】
【表3】

【0166】
表2に示すとおり、本発明の組成物は、ヘルペスシンプレックス属Iなどのウイルス感染症の処置に有用である。
【0167】
本特許、特許書面および本明細書において引用された刊行物の完全な開示は、各々が個別に援用されたかのように、それらの全体が参照により援用される。本発明に対する種々の改良および改変は、本発明の範囲および思想から逸脱することなく、当業者にとって明らかとなるであろう。本発明は、事例的実施形態および本明細書において規定の実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、およびこのような実施例および実施形態は例示のためのみ提示されており、意図される本発明の範囲は、本明細書において添付のとおり規定される特許請求の範囲によってのみ限定されることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚または粘膜中または上にヘルペスウイルスによって引き起こされたウイルス感染症の治療方法であって、
多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪エーテル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C7〜C14)飽和脂肪アルコールエステル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールエステル、これらのアルコキシル化誘導体、またはこれらの組み合わせを含み、前記アルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する、有効量の抗ウイルス性脂質成分;そして
外部鎮痛薬
を含む抗ウイルス性組成物と患部を接触させることを含む前記方法。
【請求項2】
前記抗ウイルス性脂質成分が、5wt%を超える量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗ウイルス性脂質成分が、15wt%を超える量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
湿潤剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記湿潤剤が、保湿剤、皮膚軟化剤、およびこれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記保湿剤が、グリコール、尿素、グリセロール、およびこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗ウイルス性脂質成分から分離した疎水性成分をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記抗ウイルス性脂質成分が、前記抗ウイルス性脂質成分の総重量に基づいて15wt%以下の、ジ−またはトリ−エステル、ジ−またはトリ−エーテル、これらのアルコキシル化誘導体、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記外部鎮痛薬が、ベンゾカイン、ブタンベンピクレート、ジブカイン、ジブカインHCl、ジメチソキンHCl、ジクロニンHCl、リドカイン、リドカインHCl、プラモキシンHCl、テトラカイン、テトラカインHCl、ベンジルアルコール、樟脳、樟脳化メタクレゾール、カデ油、メントール、フェノール、ナトリウムフェノレート、レソルシノール、ジフェンヒドラミンHCl、トリペレナミンHCl、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
皮膚保護剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記皮膚保護剤が、アラントイン、水酸化アルミニウムゲル、カラミン、カカオバター、タラ肝油、コロイド状オートミール、ジメチコン、グリセリン、硬い脂肪、カオリン、ラノリン、鉱物油、ペトロラタム、重炭酸ナトリウム、局所的スターチ、酢酸亜鉛、亜鉛カーボネート、酸化亜鉛、アルミニウムアセテート、硫酸アルミニウム、およびマンサクからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗ウイルス性脂質成分が、プロピレングリコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル、プロピレングリコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステルおよびこれらの組み合わせを含む有効量の抗ウイルス性脂質成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記抗ウイルス性脂質成分が、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
20重量%を超える量でプロピレングリコール脂肪酸モノエステルを含む抗ウイルス性組成物と微生物を接触させることを含む、微生物を殺傷するまたは不活性化する方法。
【請求項17】
前記微生物が1種以上のウイルスを含み、および前記抗ウイルス性組成物が1種以上のウイルスを不活性化させる有効量で用いられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
被験者の哺乳類組織におけるウイルス感染症を治療および/または予防する方法であって、前記方法が、前記哺乳類組織を、1種以上の微生物を殺傷しまたは不活性化する有効量の抗ウイルス性組成物と接触させることを含み、前記抗ウイルス性組成物が、
多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪エーテル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C7〜C14)飽和脂肪アルコールエステル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールエステル、これらのアルコキシル化誘導体、またはこれらの組み合わせを含み、前記アルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する有効量の抗ウイルス性脂質成分;そして
外部鎮痛薬
を含む前記方法。
【請求項19】
多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸モノエステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸モノエステル、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪族モノエーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪族モノエーテル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C7〜C14)飽和脂肪アルコールモノエステル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールモノエステル、これらのアルコキシル化誘導体、またはこれらの組み合わせを含み、組成物の総重量に基づいて5%を超える量で存在する抗ウイルス性脂質成分;そして
外部鎮痛薬
を含む局所的抗ウイルス性組成物。
【請求項20】
前記抗ウイルス性脂質が、10wt%を超える量で存在する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記抗ウイルス性脂質が、15wt%を超える量で存在する、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
湿潤剤をさらに含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
前記湿潤剤が、保湿剤、皮膚軟化剤、およびこれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記保湿剤が、グリコール、尿素、グリセロール、およびこれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記外部鎮痛薬が、ベンゾカイン、ブタンベンピクレート、ジブカイン、ジブカインHCl、ジメチソキンHCl、ジクロニンHCl、リドカイン、リドカインHCl、プラモキシンHCl、テトラカイン、テトラカインHCl、ベンジルアルコール、樟脳、樟脳化メタクレゾール、カデ油、メントール、フェノール、ナトリウムフェノレート、レソルシノール、ジフェンヒドラミンHCl、トリペレナミンHCl、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項26】
皮膚保護剤をさらに含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項27】
前記皮膚保護剤が、アラントイン、水酸化アルミニウムゲル、カラミン、カカオバター、タラ肝油、コロイド状オートミール、ジメチコン、グリセリン、硬い脂肪、カオリン、ラノリン、鉱物油、ペトロラタム、重炭酸ナトリウム、局所的スターチ、酢酸亜鉛、亜鉛カーボネート、酸化亜鉛、アルミニウムアセテート、硫酸アルミニウム、およびマンサクからなる群から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記抗ウイルス性脂質成分が、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項29】
被験者の皮膚または粘液膜上または中のヘルペス病変を治療する方法であって、
多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪エーテル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C7〜C14)飽和脂肪アルコールエステル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールエステル、これらのアルコキシル化誘導体、またはこれらの組み合わせを含み、前記アルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する有効量の抗ウイルス性脂質成分;そして
外部鎮痛薬
を含む抗ウイルス性組成物と患部を接触させることを含む前記方法。
【請求項30】
前記ヘルペス病変が粘液性組織上に存在する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
被験者の皮膚または粘液膜上または中のウイルス感染症を治療する方法であって、
(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C7〜C14)飽和脂肪アルコールエステル、(C2〜C8)ヒドロキシカルボン酸の(C8〜C22)モノ−またはポリ−不飽和脂肪アルコールエステル、これらのアルコキシル化誘導体、またはこれらの組み合わせを含み、前記アルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する有効量の抗ウイルス性脂質成分
を含む抗ウイルス性組成物と患部を接触させることを含む前記方法。

【公表番号】特表2008−533052(P2008−533052A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501059(P2008−501059)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/009036
【国際公開番号】WO2006/099374
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】