説明

抗オーロラ−Aモノクローナル抗体、該抗体を得る方法、並びに癌の診断および処置のための該抗体の使用

本発明は、哺乳動物オーロラ−Aキナーゼに対するモノクローナル抗体、該抗体を得る方法、並びに癌の診断および予後における該抗体の使用および癌処置用の医薬組成物における該抗体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、哺乳動物のオーロラ−Aキナーゼに対するモノクローナル抗体、該抗体を得る方法、並びに癌の診断または予後に関連する該抗体の使用および癌処置用の医薬組成物での該抗体の使用である。
【0002】
オーロラ−Aタンパク質キナーゼは癌遺伝子であり、ラット−1細胞でのその過剰発現は形質転換された表現型の出現を引き起こすのに十分であり、これらの形質転換細胞を免疫不全マウスへ移植することにより腫瘍が現れる(Bischoffら、1998; Zhouら、1998)。このキナーゼをコードする遺伝子は、20q13で染色体20上に位置し、多数の腫瘍(乳癌、大腸癌、胃癌)で頻繁に検出される単位複製配列である。
【0003】
オーロラ−Aタンパク質キナーゼの過剰発現は多数の腫瘍で観察されている。興味深いことに、異常な量でのこのキナーゼの存在は、PCNAなどの特異的な増殖マーカーで染色されることにより検出される増殖には相関しない。したがって、オーロラ−Aは細胞の腫瘍態様の特異的なマーカーである(Tanakaら、1999; Takahashiら、2000)。
【0004】
オーロラ−Aは、オーロラと呼ばれるタンパク質キナーゼの複遺伝子性のファミリーに属し、このファミリーは、オーロラ−A(先に記載)、オーロラ−B(Prigentら、1999)、およびオーロラ−C(Bernardら、1998)の3つのメンバーを含む。オーロラ−Aだけが真の腫瘍誘発力を有するが、他2つのキナーゼもまた、同じ腫瘍で過剰発現することが見出された(GietおよびPrigent, 1999)。
【0005】
オーロラ−Aをコードする遺伝子の増幅は、これらの腫瘍におけるタンパク質キナーゼの異常に高い活性の存在に関係している。さらに、培養細胞におけるこのキナーゼの異所性過剰発現は、形質転換された表現型を出現させるのに十分であり、免疫不全マウスへ移植されたこれらの細胞により腫瘍の出現が引き起される。
【0006】
オーロラ−Aキナーゼの過剰発現は、細胞の癌状態に非常に密接に関連している。オーロラ−Aキナーゼのこの過剰発現により、細胞の多倍数性が誘導され、中心体の増幅が引き起こされるが、これら2つの事象は例えば乳癌の劣悪な(poor)予後に先行して起こる。
【0007】
したがって、癌の病理でこのキナーゼの発現をmRNAおよびタンパク質のレベルの双方で正確に測定することができることが重要である。
【0008】
今や、オーロラ−Aタンパク質キナーゼの発現の測定は優良なモノクローナル抗体の使用に完全に依存している。
【0009】
しかしながら、オーロラ−Aタンパク質キナーゼに対する十分に特異的なモノクローナル抗体は今まで得ることができていないし、市販されてもいない。
【0010】
本発明の対象は、実験研究の目的での使用並びに癌の診断、予後、および処置の分野での使用を考えて、十分な特異性及び感応性をもってこのタンパク質と結合する信頼性のある抗オーロラ−Aモノクローナル抗体を提供することである。
【0011】
本発明は、ヒトおよびマウスのオーロラ−Aキナーゼを特異的に認識し、以下の特性:
上記ヒトまたはマウスのオーロラタンパク質を含有するメンブレン上に固定することができる、
免疫沈降により上記ヒトおよびマウスのオーロラ−Aタンパク質の検出、適切な場合には精製を可能にする、
上記オーロラ−Aタンパク質が分泌される生物組織の染色を可能にする、および
上記ヒトおよびマウスのオーロラ−Aタンパク質の酵素活性を阻害しない、
を有する抗オーロラ−Aモノクローナル抗体であって、
該モノクローナル抗体が、以下の工程:
−ゲノム中にオーロラ−AをコードするヒトcDNAが挿入された細菌発現ベクターにより形質転換されたE.coli細菌により産生された組み換えオーロラ−Aタンパク質キナーゼを15日間にわたってマウスに5回注射し、上記マウスを犠牲死させ、これらのマウスの脾臓細胞と培養物中で不死化されたハムスター細胞とを融合させてハイブリドーマを得る工程、
−前の工程中で上記マウスの免疫感作に用いられた上記組み換えタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する上記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第1のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養ヒトHeLa細胞の抽出物由来の内因性(endogenous)オーロラ−Aタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する、前の工程で回収された上記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第2のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養ヒト細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができる抗体を産生する、前の工程で回収された上記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第3のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養マウス細胞の抽出物由来のマウスの内因性オーロラ−Aタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する、前の工程で回収された上記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第4のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養マウス細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができる抗体を産生する、前の工程で回収した上記ハイブリドーマをスクリーニングする工程、
−前のスクリーニング工程後に陽性のハイブリドーマをクローニングすることにより回収および精製し、先に定義した特性をすべて有するモノクローナル抗体を産生する工程、
により得られるモノクローナル抗体に関する。
【0012】
したがって、本発明の対象は、より具体的には、35CI抗体とも呼ばれる先に記載のモノクローナル抗体であり、該抗体は、2003年6月12日にパスツール研究所のCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に番号I−3050として寄託されたハイブリドーマにより分泌される。
【0013】
本発明の対象はまた、ヒトまたは動物における癌のインビトロ診断法または予後法を行うための、上記定義のモノクローナル抗体の使用、より具体的には先に言及した35C1抗体の使用である。
【0014】
本発明の対象は、より具体的には、乳癌、胃癌、および結腸直腸癌などの充実性腫瘍のインビトロ診断法または予後法を行うための上記定義のモノクローナル抗体の使用、より具体的には先に言及した35C1抗体の使用である。
【0015】
本発明は、PCNAタンパク質のマーカーなどの細胞増殖マーカー(Tanakaら、1999; Takahashiら、2000)と、上記定義のモノクローナル抗体の併用、より具体的には先に言及した35C1抗体の併用にも関する。
【0016】
本発明の対象はまた、ヒトまたは動物における先に定義した癌のインビトロ診断法または予後法であって、以下の工程:
個体から採取した生物学的試料の存在下に先に定義したモノクローナル抗体、より具体的には先に言及した35C1抗体を置く工程(該抗体は適切な場合には固体支持体上に固定される)、
前の工程中にモノクローナル抗体と生物試料中に存在し得る上記オーロラ−Aタンパク質との間で形成された複合体中の上記オーロラ−Aタンパク質に結合した上記モノクローナル抗体または上記モノクローナル抗体に結合した上記オーロラ−Aタンパク質のいずれかを認識する有標の試薬、特に有標の抗体を用いて、上記生物学的試料中に存在し得る前記オーロラ−Aタンパク質を検出し、適切な場合には定量化する工程(これは必要な場合には上記固体支持体を適当にリンスした後に行う)、
を含むことを特徴とする方法である。
【0017】
有利なことに、先に言及した方法に関連し、生物試料の関数として決定される生理学的閾値より低いまたは高いオーロラ−Aタンパク質の量の決定は、診断される癌に対してそれぞれ良好なまたは劣悪な予後を示す。
【0018】
本発明の対象はまた、以下:
先に定義した抗オーロラ−Aモノクローナル抗体、より具体的には先に言及した35C1抗体、
適切な場合には、PCNAタンパク質のマーカー、特に抗PCNA抗体などの細胞増殖マーカー、
を含むことを特徴とする先に定義した診断方法を行うためのキットである。
【0019】
本発明はまた乳癌、結腸直腸癌、および胃癌などの癌の処置を意図した医薬の調製のための、上記定義のモノクローナル抗体の使用、より具体的には先に言及した35C1抗体の使用にも関する。
【0020】
したがって、本発明の対象は、より具体的には、上記定義のモノクローナル抗体、より具体的には先に言及した35C1抗体を、薬学的に許容し得るビヒクルと併せて含有する医薬組成物である。
【0021】
本発明の対象はまた、オーロラ−Aキナーゼ活性の低下を上記抗体を用いて測定する、オーロラ−Aキナーゼの阻害剤のスクリーニング方法を行うための上記定義のモノクローナル抗体の使用、より具体的には先に言及した35C1抗体の使用である。
【0022】
本発明の対象は、より具体的には、以下:
−種々の癌(乳癌、結腸癌など)に由来する系などの細胞を、試験された阻害剤により処置する工程、
−上記定義のモノクローナル抗体、より具体的には先に言及した35C1抗体を用いてオーロラ−Aタンパク質キナーゼを免疫沈降し、具体的には以下のパラグラフ3.g)に従った方法によりキナーゼ活性を測定する工程、
を含むことを特徴とするオーロラ−Aキナーゼの阻害剤をスクリーニングする方法である。
【0023】
本発明はまた、以下の工程:
−ゲノム中にオーロラ−AをコードするヒトcDNAが挿入された細菌発現ベクターにより形質転換されたE.coli細菌により産生された組み換えオーロラ−Aタンパク質キナーゼを15日間にわたってマウスに5回注射し、上記マウスを犠牲死させ、これらのマウスの脾臓細胞と培養において不死化されたハムスター細胞とを融合させてハイブリドーマを得る工程、
−前の工程中で上記マウスの免疫感作に用いられた上記組み換えタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する上記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第1のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養ヒトHeLa細胞の抽出物由来の内因性オーロラ−Aタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する、前の工程で回収された上記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第2のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養ヒト細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができる抗体を産生する、前の工程で回収された上記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第3のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養マウス細胞の抽出物由来のマウスの内因性オーロラ−Aタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する、前の工程で回収された上記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第4のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養マウス細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができる抗体を産生する、前の工程で回収した上記ハイブリドーマをスクリーニングする工程、
−前のスクリーニング工程後に陽性のハイブリドーマをクローニングすることにより回収および精製し、上記定義の特性をすべて有するモノクローナル抗体を産生する工程、
を含むことを特徴とする、上記定義のモノクローナル抗体、より具体的には先に言及した35C1抗体の調製方法に関する。
【0024】
上記定義の35C1モノクローナル抗体の詳細な説明およびそれを得る方法により本発明をさらに例説する。
【0025】
オーロラ−A(配列番号1)をコードするヒトcDNAを細菌発現ベクター(pET29 Novagene)に挿入した。
【0026】
タンパク質キナーゼをBL21(DE3)pLysS細菌中で産生し、Ni−NTAアガロースカラム(Qiagen)でのアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
【0027】
次いで、実験室で精製されたタンパク質をマウス(BALB/c)に注射した。
【0028】
15日にわたる5回の注射後、マウスを犠牲死させ、マウスの脾臓細胞と培養において不死化されたハムスターの細胞とを融合させてハイブリドーマを得た。
【0029】
次いで、960の量で得られたハイブリドーマを、ウエスタンブロットを用いて、免疫化に用いられたタンパク質を認識する抗体を産生するそれらの能力につき試験した。
【0030】
次いで、この第1のスクリーニング後の陽性のハイブリドーマを、ウエスタンブロットを用いて、培養ヒトHeLa細胞の抽出物由来の内因性オーロラ−Aタンパク質を認識するそれらの能力につき試験した。
【0031】
次いで、この第2のスクリーニング後の陽性のハイブリドーマを、培養ヒト細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができるそれらの能力につき試験した。
【0032】
次いで、この第3のスクリーニング後の陽性のハイブリドーマを、ウエスタンブロットを用いて、培養マウス細胞の抽出物由来のマウスの内因性オーロラ−Aタンパク質を認識するそれらの能力につき試験した。
【0033】
この第4のスクリーニング後の陽性のハイブリドーマを、培養マウス細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識するそれらの能力につき試験した。
【0034】
これらのすべての基準に対応するハイブリドーマを保持し、クローニングして純粋なクローンを得た。このクローンを35C1と命名した。
【0035】
該35C1は、ヒトおよびマウスのオーロラ−Aキナーゼを認識する抗オーロラ−Aモノクローナル抗体を分泌する。
【0036】
ヒトおよびマウスのオーロラ−Aキナーゼを特異的に認識するこの抗オーロラ−Aモノクローナル抗体は以下の特性を有する:
該抗体は、ウエスタンブロット(ニトロセルロースまたはナイロンメンブレン上でのタンパク質の間接免疫検出)に用いることができる、
該抗体は、培養細胞中のタンパク質を間接免疫検出により位置を特定することを可能にする、
該抗体は、インビトロでのキナーゼの酵素活性を阻害しない、
該抗体は、無細胞抽出物由来のオーロラ−Aキナーゼを免疫沈降により精製することを可能にする、
該抗体は、オーロラ−Aのキナーゼ活性を阻害しないので、病理を示す組織から調製されるタンパク質抽出物でのキナーゼ活性をアッセイするのに用いることができる。
【0037】
1)組み換えオーロラ−Aタンパク質の精製
ヒトオーロラ−AキナーゼをコードするcDNAを、6個の追加のヒスチジン残基を含有する組み換えタンパク質の産生を可能とする細菌発現ベクターpET29(供給者Novagen)中にクローニングした。タンパク質分解酵素が欠失し、かつ、凍結融解後にリゾチームの産生によって自己溶解する(これらの特性はすべてタンパク質の精製を容易にする)E.coli細菌(供給者Promega)のBL21(DE3)pLysS株を用いた。増殖期(OD600=0.6)における細菌中のオーロラ−A−(His)6−タンパク質の過剰発現は、1mMのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトシド)を添加することにより22℃で4時間にわたって誘導する。次いで、自己溶解特性に加えてリゾチームおよび超音波を用い、4℃で細菌を溶解した。次いで、オーロラ−A−(His)6−タンパク質をニッケルカラムNi−NTA−アガロース(供給者Qiagen)でのアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。Qiagenの指示書に従って、250mMのイミダゾールでタンパク質を溶出した。次いで、精製タンパク質をcentricon YM-10(供給者Millipore)に通過させ、PBS溶液(NaCl 136mM、KCl 26mM、Na2HPO4 2mM、KH2PO4 2mM、pH7.2)中に置いた。タンパク質画分15μgを調製し、凍結乾燥し、4℃で保存した。
【0038】
2)マウスの免疫感作
50%フロイント完全アジュバント(供給者Sigma)に希釈した組み換えオーロラ−Aタンパク質15μgで、腹腔内経路により、BALB/cマウスを免疫感作した。次いで、3週間の間隔をおいて、50%フロイント完全アジュバントに希釈したオーロラ−Aタンパク質15μgでマウスに2度注射した。抗オーロラ−A抗体がマウスの血液中に検出されたとき、該マウスを犠牲死させ、脾臓を取り除いた。ダウンス型のホモジェナイザーにより、懸濁している細胞をこの脾臓から得た。
【0039】
これらの脾臓細胞を、マウスミエローマに由来し、かつ、ECACCから得られるSP2/O−Ag14細胞(Shulmanら、1978)と融合した。50%ポリエチレングリコール1500(供給者Roche)中で37℃において90分にわたり、脾臓細胞100×106個とSP2/O−Ag14細胞20×106個との間で融合を行った。次いで、HAT選択培地(供給者Sigma Chemicals)を含有する10個の96ウェルの皿内に細胞を分注した。
【0040】
3)ハイブリドーマのスクリーニング
a)ELISA
4μg/mlの組み換えオーロラ−Aタンパクを含有するPBS100μlをElisaプレート(96ウェルプレート)の各ウェル中に投入し、4℃で36時間インキュベートした。PBSで2回洗浄した後、ウェルを3%BSA(ウシ血清アルブミン、供給者Sigma)を含有するPBSで満たし、該プレートを4℃で一晩インキュベートした。次の日、各々の融合上清100μlを、組み換えオーロラ−Aを含有するこれらの96ウェルプレートに移した。これらのプレートを周囲温度で2時間インキュベートした。PBS/BSAで2回洗浄した後、ホスファターゼ結合抗マウス抗体(Sigma Biochemical)とともにインキュベートした。次いで、ウェルをPBSで2回、AP溶液(100mM Tris pH9.5、100mM NaClおよび5mM MgCl2)で1回洗浄した。合成ホスファターゼ基質(4−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム六水和物塩)(供給者Merck)を5mg/ml含有するAP溶液50μlでウェルを満たした後、ウェル中に黄色の染色が現れることにより、モノクローナル抗体の存在を検出した。
【0041】
b)組み換えタンパク質に対するウエスタンブロット
96ウェルプレート(8×12)10枚をELISA試験により分析したが、あまり再現性ある結果が出なかった。次いで、以下の方式により、これらのプレートをウエスタンブロットにより試験した。従来に記載された技術(Roghiら、1998)に従い、組み換えオーロラ−Aタンパク質をポリアクリルアミド−SDSゲル電気泳動にかけ、ニトロセルロースメンブレン上に移した。メンブレンを切り取りオーロラ−Aタンパク質が移動した位置に対応する領域を単離した。5%ミルクを含有するTBST溶液(20mM Tris−HCl pH7.5、150mM NaCl、0.05% Tween 20)中で4℃で2時間インキュベーションすることにより、メンブレン側をブロッキングした。次いで、2.5%ミルクを含有するTBST溶液で1:100に希釈された細胞上清とともに4℃で1時間、各メンブレン端をインキュベーションした。製造者が薦める希釈でペルオキシダーゼまたはホスファターゼ(供給者Sigma Chemicals)のいずれかと結合させた第2の抗マウス抗体を用いて、免疫複合体を同定した。反応物の現像を、ペルオキシダーゼ(供給者Amersham Pharmacia Biotech)の場合には、供給者の指示書に従って化学発光技術により実施し、ホスファターゼの場合には製造者の指示書に従って2つの基質NBT/BCIP(供給者Sigma Chemicals)を用いて比色法により実施した。
【0042】
各プレートのウェルを、各プレートの各縦列に対応する8個のプールにグループ分けした。組み換えオーロラ−Aタンパク質に対するウエスタンブロットにより、各プールにおけるモノクローナルの存在を分析した。試験された120個のプールのうち、19個のプールだけが陽性反応を生じた。
【0043】
各陽性プールに対応する8ウェルの各々を、どのウェルが抗体を含有しているかを特定する目的で、同じウエスタンブロット技術により、別々に試験した。図1はプール番号2で得られた結果の例を示しているが、この特定の場合ではウェルAおよびBだけが抗体を含有しており、該ウェルを保持した。
【0044】
試験された120個のプールのうち、19個のプールだけを保持したが、その理由はそれらが非常に強い陽性反応を示したからである。これらの19個のプールの中で、23ウェルだけが組み換えオーロラ−Aタンパク質に対する抗体を含有していた。
【0045】
c)内因性ヒトオーロラ−Aタンパク質に対するウエスタンブロット
今回は同じウエスタンブロット技術を用いて、培養ヒト細胞から調製された全無細胞抽出物のすべてのタンパク質からオーロラ−Aタンパク質を認識することができる上清を特定した。
【0046】
選んだ細胞はHeLa細胞であった。抽出物を約106個の細胞を含有する培養皿から調製し、ポリアクリルアミド−SDSゲル上に堆積させる溶液に対応するいわゆるLaemmli溶液(Laemmli 1970)1mlで皿中の細胞を溶解し、溶液を90℃で10分間インキュベートし、音波処理し、遠心分離し、上清10μlをゲル上に堆積させた。
【0047】
HeLa細胞の抽出物に対して行ったウエスタンブロットにより、先に選択した23の上清のうち、12だけが46kD(オーロラ−Aの予想サイズ)のタンパク質を認識することができる抗体を含有していた。
【0048】
d)ヒト細胞に対する免疫蛍光法
培養ヒト細胞の中心体を装飾することができる抗体を選択するために、追加の工程をスクリーニングに取り入れた。細胞の選択は乳癌に由来する細胞系MCF7に対するものとしたが、その理由はこれらの細胞中でオーロラ−Aタンパク質が過剰発現することが報告されていたからである。
【0049】
用いた技術は間接免疫蛍光法である。細胞を12ウェルの皿(供給者Corning Inc)中の丸いガラススリップ上で48時間培養した。次いで、スリップをPBS溶液で洗浄し、冷メタノール(−20℃)で細胞を固定した。次いで、3%BSAを含有するPBS中において周囲温度で30分間、細胞をインキュベーションした。PBSで3回洗浄した後、スリップをPBSに1:50に希釈したハイブリドーマ上清とともに周囲温度で1時間インキュベーションした。細胞を再びPBSで3回洗浄した後、フルオレセイン<<FITC>>(供給者Sigma Chemicals)と結合した第2の抗マウス抗体とともに周囲温度で1時間インキュベーションした。スリップをPBSで3回洗浄し、抗退色剤を含有するMowiol中でブレードとスリップとの間に細胞を置いた。Leica DMRXA蛍光顕微鏡で観察を行い、白黒カメラ(COHU)で撮った画像をLeica Qfishソフトウエアで処理した。
【0050】
先に保持した12の上清のうち、4つだけがMCF7細胞の中心体および紡錘体極を装飾することができる抗体を含有していた。この位置特定は、オーロラ−Aキナーゼに対して予期した位置づけと正確に対応する。
【0051】
e)内因性マウスオーロラ−Aタンパク質に対するウエスタンブロット
スクリーニングの選択性を増大させる目的で、マウスのオーロラ−Aのオーソロガスなタンパク質に対して4つの上清を試験した。培養マウス細胞であるm−ICc12細胞の無細胞抽出物に対するウエスタンブロットにより第1のスクリーニングを行った。ヒト細胞について無細胞抽出物を調製し、上述と同じ方法でウエスタンブロットを行った。上清のうち2つは、46kD(マウスオーロラ−Aキナーゼに対しても予想されるサイズ)のタンパク質を認識することができた。
【0052】
f)マウス細胞に対する免疫蛍光法
ウエスタンブロットを用いて先に特定した2つの上清が培養マウス細胞の中心体を装飾することができるかどうかを検証した。LLC1細胞を選択したが、その理由は該LLC1細胞が非常に高い分裂指数を示すためである。2つの抗体のうち1つだけが中心体および紡錘体極におけるタンパク質の位置特定を可能とし、この位置特定はマウスのオーロラ−Aタンパク質キナーゼについて予想されたものであった。
【0053】
g)オーロラ−Aキナーゼ活性のアッセイ
オーロラ−Aキナーゼ活性の測定を、図5ではミエリン塩基性タンパク質(MBP)4μg(供給者Sigma Chemicals)をまたは図6ではGST−H3タンパク質を産生する細菌の抽出物10μlを含有する、1μCiの[γ−32P]ATP3000Ci/mmoleを含むTris−HCl 50mM pH7.5、NaCl 50mM、DDT 1mM、MgCl2 10mM、およびATP 10μM(供給者Amersham Pharmacia Chemicals)20μl中で行った。反応物を37℃で10分間インキュベーションした。反応物10μlを計数中(図5)、またはポリアクリルアミド−SDSゲル上での移動、乾燥、オートラジオグラフィーによる検査の後(図6)に解析した。
【0054】
h)選択されたモノクローナルのクローニング
選択した上清は、融合後に得られた細胞の不均一混合物(heterogeneous mixture)を含有していた。限界希釈を行ってこれらの細胞を継代培養し、20のクローンを得た。組み換えオーロラ−Aタンパク質に対するウエスタンブロットを用いてこれらの20のクローンの上清を試験すると、8つが陽性反応を生じた。これらの8つの上清をヒトHeLa細胞の抽出物、マウスm−ICc12細胞の抽出物に対して試験した。2つの上清だけを保持した。
【0055】
これらの2つの上清を限界希釈により再び再クローニングし、前述のように再試験した。この最後のクローニングの目的は、継代培養後に再生産され得る抗体産生レベルを維持するクローンを選択することであった。
【0056】
2つのクローンのうち1つだけが安定であることが分かり、それを35C1と命名し、モノクローナルの保存および産生のために保持した。
【0057】
i)35C1モノクローナルの特性(図を参照のこと)
該抗体は、ウエスタンブロットを用いて全無細胞抽出物中でヒトおよびマウスのオーロラ−Aタンパク質キナーゼを特異的に認識する(図1)。
【0058】
該抗体は、培養ヒト細胞およびマウス細胞内でオーロラ−Aタンパク質キナーゼを位置を特定する(図3)。
【0059】
該抗体は、ヒトMCF7の抽出物由来のオーロラ−Aタンパク質キナーゼを免疫沈降させる(図4)。
【0060】
該抗体は、オーロラ−Aのキナーゼ活性を阻害しない(図5)。
【0061】
したがって、該抗体は、オーロラ−Aタンパク質が該抗体と未だ組み合わさっている間、該オーロラ−Aタンパク質の免疫沈降およびそのキナーゼ活性の測定を可能にする(図6)。
【0062】
35C1モノクローナルのこれらの特性により、該抗体はオーロラ−Aタンパク質キナーゼの研究に選択すべきツールとなる。
【0063】
該抗体を充実性腫瘍の診断法および予後法で用いることができる。オーロラ−Aタンパク質をコードするmRNAの発現レベルは、乳癌細胞の遺伝的不安定性およびグレードのい高い腫瘍と密接に相関している(Miyoshiら、2001)。このことは乳癌では非常に明確に確立された。一方、十分に特異的なモノクローナル抗体がないゆえに、オーロラ−AmRNAの量と癌のグレードとのこうした相関関係は、タンパク質レベルではまだ明らかにすることができていない。抗オーロラ−A35C1モノクローナルにより、このタイプの測定が可能となる。該抗オーロラ−A35C1モノクローナルにより、一方ではオーロラ−Aタンパク質の量の測定(ウエスタンブロットおよび免疫組織化学的測定)が可能となり、他方では腫瘍中のオーロラ−A活性の測定(免疫沈降)が可能となり、したがって、それを下回るおよび上回る場合に決定される癌の予後がそれぞれ良好または劣悪である、オーロラ−Aの量の閾値の決定が可能となる。
【0064】
さらに、35C1抗体により、インビボにおけるオーロラ−Aキナーゼ活性の阻害剤の有効性試験が可能になる。例えば阻害剤で先に処置したHeLa細胞からオーロラ−Aタンパク質キナーゼを免疫沈降させ、その活性をインビボで測定する。これにより、とりわけ、インビボにおける阻害剤の安定性の評価が可能になる。
【0065】
【表1】



【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ウエスタンブロットによるハイブリドーマのスキャニング。精製組み換えオーロラ−Aタンパク質をポリアクリルアミド−SDSゲル上に沈着させ、ニトロセルロースメンブレン上に移した。メンブレンをケシ色(poppy red)に染色し、オーロラ−Aに対応するバンドを切り出した。各パネルはオーロラ−Aを有するメンブレン片に対応する。融合後、細胞を96ウェルの皿に分注した。上清のアリコートの抗オーロラ−Aモノクローナルの存在をスクリーニングするために、各列のウェルをプールでグループ分けし、これを各皿に対して行う。次いで、各プールをウエスタンブロットの1〜12の右側列を用いて試験した。プールが陽性であるとみなされる(ここではプール番号1)と、このプールを構成する各ウェル(AからHまで)の上清を個別に再試験した。この特定の場合に、ウェルAおよびBが抗体を含有したが、ウェルBだけを保持した。
【図2】ウエスタンブロット。全無細胞抽出物をポリアクリルアミドSDSゲル上で分離し、ゲルをニトロセルロースメンブレン上に移した。ウェル1は抽出物を含有しないが、ウェル2は抽出物10μl(1mlあたり106個の細胞に相当する)を含有する。46kDのオーロラ−Aタンパク質だけが検出される。
【図3】ヒトおよびマウス細胞中のオーロラ−Aの間接免疫検出。ヒト細胞はMCF7であり、マウス細胞はLLC1である。免疫蛍光法において、DAPI(青)、γ−チューブリン(赤)、およびオーロラ−A(緑)を染色することによりDNAを検出した。
【図4】オーロラ−Aの免疫沈降。タンパク質をプロテインA−セファロースに結合した35C1抗体により免疫沈降させる。免疫沈降物をポリアクリルアミド−SDSゲル上で分離し、ゲルを移し、免疫複合体を35C1モノクローナルで明らかにした。ウェル1:35C1抗体のみ;ウェル2:プロテインA−セファロースのみで行う免疫沈降;ウェル3:35C1モノクローナル抗体で行った免疫沈降;ウェル4:実験室で調製された抗体で行った免疫沈降。
【図5】35C1モノクローナル抗体の存在下で測定された精製ヒト組み換えオーロラ−Aキナーゼの活性。アフリカツメガエル(xenopus)属のオーロラ−Aタンパク質に対する、ヒトタンパク質と交差しない1C1抗体を対照として用いる。MBP(ミエリン塩基性タンパク質)を基質として用いてキナーゼ活性を測定する。
【図6】ダイナビーズプロテインA上に固定された35C1抗体により免疫沈降された内因性オーロラ−Aタンパク質の活性。リン酸化することができるたった1つのセリンを含む基質上でキナーゼ活性を測定する。該基質はH3ヒストンの尾部(セリン10を有する)と融合したGST構築物である。セリン10をアラニンに置き換えた対照の基質も用いる。ウェル1、4、および7は精製組み換えオーロラ−Aを含有し、用いる。ウェル2、5、および8は免疫沈降された組み換えオーロラ−Aを含有し、抗体およびプロテインA−セファロースに固定される。ウェル3および6はキナーゼを含有しない。ウェル3、4、および5はリン酸化可能な基質であるGST−H3(S)を含有し、ウェル6、7、および8はリン酸化が可能でない、キナーゼに対するGST−H3(S/A)基質を含有する。
【配列表】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトおよびマウスのオーロラ−Aキナーゼを特異的に認識し、以下の特性:
前記ヒトまたはマウスのオーロラタンパク質を含有するメンブレン上に固定することができる、
免疫沈降により前記ヒトおよびマウスのオーロラ−Aタンパク質の検出、適切な場合には精製を可能にする、
前記オーロラ−Aタンパク質が分泌される生物組織の染色を可能にする、および
前記ヒトおよびマウスのオーロラ−Aタンパク質の酵素活性を阻害しない、
を有する抗オーロラ−Aモノクローナル抗体であって、
該モノクローナル抗体が、以下の工程:
−ゲノム中にオーロラ−AをコードするヒトcDNAが挿入された細菌発現ベクターにより形質転換されたE.coli細菌により産生された組み換えオーロラ−Aタンパク質キナーゼを15日間にわたってマウスに5回注射し、前記マウスを犠牲死させ、これらのマウスの脾臓細胞と培養において不死化されたハムスター細胞とを融合させてハイブリドーマを得る工程、
−前の工程中で前記マウスの免疫感作に用いられた前記組み換えタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングし、この第1のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養ヒトHeLa細胞の抽出物由来の内因性オーロラ−Aタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する、前の工程で回収された前記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第2のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養ヒト細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができる抗体を産生する、前の工程で回収された前記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第3のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養マウス細胞の抽出物由来のマウスの内因性オーロラ−Aタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する、前の工程で回収された前記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第4のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養マウス細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができる抗体を産生する、前の工程で回収した前記ハイブリドーマをスクリーニングする工程、
−前のスクリーニング工程後に陽性のハイブリドーマをクローニングすることにより回収および精製し、先に定義した特性をすべて有するモノクローナル抗体を産生する工程、
により得られる、前記抗オーロラ−Aモノクローナル抗体。
【請求項2】
パスツール研究所のCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に番号I−3050で寄託されているハイブリドーマにより分泌され、35CI抗体とも呼ばれる、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
ヒトまたは動物での癌のインビトロ診断法または予後法を行うための、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体の使用。
【請求項4】
乳癌、胃癌、および結腸直腸癌などの充実性腫瘍のインビトロ診断法または予後法を行うための、請求項3項に記載のモノクローナル抗体の使用。
【請求項5】
PCNAタンパク質のマーカーなどの細胞増殖マーカーを併用する、請求項3または4に記載の使用。
【請求項6】
ヒトまたは動物での、請求項4に記載の癌のインビトロ診断法または予後法であって、以下の工程:
−個体から採取した生物試料の存在下に請求項1または2に記載のモノクローナル抗体を置く工程(該抗体は、適切な場合には固体支持体上に固定される)、
−前の工程中に前記モノクローナル抗体と前記生物試料中に存在し得る前記オーロラ−Aタンパク質とで形成された複合体中の前記オーロラ−Aタンパク質に結合した前記モノクローナル抗体または前記モノクローナル抗体に結合した前記オーロラ−Aタンパク質のいずれかを認識する、標識化された試薬、特に標識化された抗体を用いて、前記生物試料中に存在し得る前記オーロラ−Aタンパク質を検出し、適切な場合には定量化する工程(これは必要な場合には前記固体支持体を適当にリンスした後に行う)、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項7】
前記生物試料中の、正常な生理学的値より低いまたは高いオーロラ−Aタンパク質の量の決定が、診断される癌に対してそれぞれ良好なまたは劣悪な予後を示すことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
以下:
請求項1または2に記載の抗オーロラ−Aモノクローナル抗体、
適切な場合には、PCNAタンパク質のマーカー、特に抗PCNA抗体などの細胞増殖マーカー、
を含むことを特徴とする、請求項6または7に記載の診断方法を行うためのキット。
【請求項9】
乳癌、結腸直腸癌、および胃癌などの癌の処置を意図する医薬の調製のための、請求項1または2に記載の抗体の使用。
【請求項10】
請求項1または2に記載の抗体を薬学的に許容し得るベクターと併せて含有する医薬組成物。
【請求項11】
オーロラ−Aキナーゼ活性の低下を前記抗体を用いて測定するオーロラ−Aキナーゼの阻害剤のスクリーニング方法を行うための、請求項1または2に記載の抗オーロラ−Aモノクローナル抗体の使用。
【請求項12】
以下の工程:
種々の癌に由来する系などの細胞を試験された阻害剤により処置する工程、
請求項1または2に記載の抗体を用いて前記オーロラ−Aタンパク質キナーゼを免疫沈降し、前記キナーゼの活性を測定する工程、
を含むことを特徴とする、オーロラ−Aキナーゼの阻害剤のスクリーニング方法。
【請求項13】
以下の工程:
−ゲノム中にオーロラ−AをコードするヒトcDNAが挿入された細菌発現ベクターにより形質転換されたE.coli細菌により産生された組み換えオーロラ−Aタンパク質キナーゼを15日間にわたってマウスに5回注射し、前記マウスを犠牲死させ、これらのマウスの脾臓細胞と培養において不死化されたハムスター細胞とを融合させてハイブリドーマを得る工程、
−前の工程中で前記マウスの免疫感作に用いられた前記組み換えタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する前記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第1のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養ヒトHeLa細胞の抽出物由来の内因性オーロラ−Aタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する、前の工程で回収された前記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第2のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養ヒト細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができる抗体を産生する、前の工程で回収された前記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第3のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養マウス細胞の抽出物由来のマウスの内因性オーロラ−Aタンパク質を免疫沈降することができる抗体を産生する、前の工程で回収された前記ハイブリドーマをスクリーニングし、この第4のスクリーニング後に陽性のハイブリドーマを回収する工程、
−培養マウス細胞の中心体および紡錘体極を間接免疫蛍光法で認識することができる抗体を産生する、前の工程で回収した前記ハイブリドーマをスクリーニングする工程、
−前のスクリーニング工程後に陽性のハイブリドーマをクローニングすることにより回収および精製し、請求項1に記載の特性をすべて有するモノクローナル抗体を産生する工程、
を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の抗オーロラ−Aモノクローナル抗体の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−513135(P2006−513135A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−513330(P2004−513330)
【出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【国際出願番号】PCT/FR2003/001772
【国際公開番号】WO2003/106500
【国際公開日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【出願人】(504457304)
【氏名又は名称原語表記】ETABLISSEMENT FRANCAIS DU SANG−BRETAGNE
【Fターム(参考)】