説明

抗コリン作用薬、コルチコステロイドおよび長時間作用性βアゴニストを合わせる薬物および方法

【課題】呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のための、コルチコステロイドおよび長時間作用性βアゴニストと組み合わせた抗コリン作用薬を基にした、吸入可能な薬物および方法を提供すること。
【解決手段】さらに、開示されているのは、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のための、抗コリン作用薬およびコルチコステロイド;抗コリン作用薬および長時間作用性βアゴニスト;もしくはコルチコステロイドおよび長時間作用性βアゴニストの組み合わせを基にした、吸入可能な薬物および方法である。また、開示されているのは、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における投与のための、ホスホジエステラーゼIVインヒビターを含む、吸入可能な薬物および方法である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における、同時投与もしくは逐次投与のための、コルチコステロイドおよび長時間作用性βアゴニストと組み合わせた抗コリン作用薬を基にした、新規な吸入可能な薬物および方法に関連している。さらに、本発明は、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における、同時投与もしくは逐次投与のための、抗コリン作用薬とコルチコステロイド;抗コリン作用薬と長時間作用性βアゴニスト;もしくはコルチコステロイドと長時間作用性βアゴニストの組み合わせを基にした、新規な吸入可能な薬物および方法に関連している。本発明はまた、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における、投与のためのホスホジエステラーゼIVインヒビターを含む、新規な吸入可能な薬物および方法にも関連している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
(発明の要旨)
したがって、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のための、(A)抗コリン作用薬、(B)コルチコステロイドおよび(C)長時間作用性βアゴニストを別々にもしくは一緒に含む薬物が開示されており、(A)、(B)および(C)のそれぞれは、吸入可能な形態にある。
【0003】
一つの実施形態において、薬物は、有効量の(A)および(B)および(C)の吸入可能な混合物を含み、薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて一緒に含む、薬学的組成物である。好ましくは、薬物は、プロペラント中に溶解もしくは分散した(A)および(B)および(C)の混合物を含むエアゾールであるか、あるいはプロペラント中に溶解もしくは分散した(A)を含むエアゾールと、プロペラント中に溶解もしくは分散した(B)を含むエアゾールと、プロペラント中に溶解もしくは分散した(C)を含むエアゾールとの組み合わせである。さらに好ましくは、プロペラント中に(A)もしくは(B)もしくは(C)、あるいは(A)および(B)および(C)が分散しており、そしてこのプロペラントはハロゲン置換炭化水素である。さらに好ましくは、(A)もしくは(B)もしくは(C)、あるいは(A)および(B)および(C)のそれぞれが、最大10ミクロンの平均粒子直径を有する。
【0004】
別の実施形態において、薬物は、水性媒質、有機媒質もしくは水性/有機媒質中の(A)および(B)および(C)の分散物を含む噴霧可能な組成物であるか、または前述の媒質中の(A)の分散物と前述の媒質中の(B)の分散物と前述の媒質中の(C)の分散物との組み合わせである。
【0005】
一つの実施形態において、薬物は、細分された(A)もしくは(B)もしくは(C)、あるいは細分された(A)および(B)および(C)を含み、細分された形態の薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて一緒に含む乾燥粉末である。好ましくは、キャリアは存在し、かつ糖類である。さらに好ましくは、キャリアはラクトースである。好ましくは、(A)もしくは(B)もしくは(C)、あるいは(A)および(B)および(C)のそれぞれは、最大10ミクロンの平均粒子直径を有する。
【0006】
呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のための、(A)抗コリン作用薬、(B)コルチコステロイドおよび(C)長時間作用性βアゴニストを別々にもしくは一緒に含む薬物もまた開示されており、(A)、(B)および(C)のそれぞれは、吸入可能な形態にあり、ここで、抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン(Mometasone Furoate)、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そして長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール(Carmoterol)、インダカテロール(Indacaterol)あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。
【0007】
同様に、吸性性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のための、(A)抗コリン作用薬、(B)コルチコステロイドおよび(C)長時間作用性βアゴニストを別々にもしくは一緒に含む薬物が開示されており、(A)、(B)および(C)のそれぞれは、吸入可能な形態にあり、ここで、抗コリン作用薬は、グリコピロレート、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そして、長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。
【0008】
一つの実施形態において、抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、硝酸メチルアトロピン、硫酸アトロピン、イプラトロピウム、ベラドンナエキス、スコポラミン、臭化メチルスコポラミン(Scopolamine Methobromide)、メチルスコポラミン(Methscopolamine)、臭化メチルホマトロピン(Homatropine Methobromide)、ヒヨスチアミン、イソプリオプラミド(Isopriopramide)、オルフェナドリン、塩化ベンザルコニウム、臭化チオトロピウム、GSK202405、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。一つの好ましい実施形態において、抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。別の好ましい実施形態において、抗コリン作用薬は、グリコピロレート、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。
【0009】
一つの実施形態において、コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン;ジプロピオン酸ベクロメタゾン;ブデソニド;フルチカゾン;デキサメタゾン;フルニソリド;トリアムシノロン;(22R)−6α,9α−ジフルオロ−11β,21−ジヒドロキシ−16α,17α−プロピルメチレンジオキシ−4−プレグネン−3,20−ジオン、チプレダン(Tipredane)、GSK685698、GSK799943、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。
【0010】
一つの好ましい実施形態において、抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そしてコルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。別の好ましい実施形態において、抗コリン作用薬は、グリコピロレート、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そしてコルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。
【0011】
一つの実施形態において、長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、TA−2005、アルブテロール、テルブタリン、サルメテロール(Salmeterol)、ビトルテロール(Bitolterol)、ホルモテロール、フェノテロール、メタプロテネロール(Metaprotenerol)、GSK159802、GSK642444、GSK159797、GSK597901、GSK678077、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。一つの好ましい実施形態において、長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。別の好ましい実施形態において、長時間作用性βアゴニストは、インダカテロール、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。
【0012】
一つの好ましい実施形態において、長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そしてコルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。別の好ましい実施形態において、長時間作用性βアゴニストは、インダカテロール、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そしてコルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。
【0013】
一つの実施形態において、上記に定義したような(A)、(B)および(C)を含む薬物は、少なくとも1つのブチルエーテルスペーサー基(spacer group)によってポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体の親油性空洞(cavity)から離れている約1〜約7個のスルホン酸ナトリウム基を有するポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体と混合されている。
【0014】
別の実施形態において、薬物はさらに、(D)ホスホジエステラーゼIVインヒビターを含み、ここで、(D)は、吸入可能な形態にある。一つの好ましい実施形態において、ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、シロミラスト(Cilomilast)、ロフルミラスト、テトミラスト(Tetomilast)、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステル、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。好ましくは、ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステル、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。さらに好ましくは、ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステルのキシナホエート塩(xinafoate salt)である。
【0015】
一つの実施形態において、抗コリン作用薬は、グリコピロレート、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの二つ以上の組み合わせであり、そしてここで、ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステルのキシナホエート塩である。
【0016】
別の実施形態において、抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり、そしてここで、ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステルのキシナホエート塩である。
【0017】
一つの実施形態において、上記で定義したとおりの(A)、(B)、(C)および(D)を含む薬物は、少なくとも1つのブチルエーテルスペーサー基によってポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体の親油性空洞から離れている約1〜約7個のスルホン酸ナトリウム基を有するポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体と混合されている。
【0018】
吸入可能な形態のホスホジエステラーゼIVインヒビターを含む薬剤もまた開示されている。一つの好ましい実施形態において、ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、シロミラスト、ロフルミラスト、テトミラスト、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステル、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。好ましくは、ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステル、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。さらに好ましくは、ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステルのキシナホエート塩である。
【0019】
一つの実施形態において、吸入可能な形態のホスホジエステラーゼIVインヒビターを含む薬物はさらに、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のために、以下のうちの1つ以上を別々にもしくは一緒に含む:(A)吸入可能な形態の抗コリン作用薬、(B)吸入可能な形態のコルチコステロイド、(C)吸入可能な形態の長時間作用性βアゴニスト。
【0020】
別々の単位投薬形態の上記で定義したとおりの(A)、(B)および(C)を、(A)および(B)および(C)の投与のための1つ以上の吸入デバイス、ならびに(A)および(B)および(C)を投与することについての使用説明書とともに含む薬学的キットであって、この形態は、有効量の(A)および(B)および(C)の投与に適している薬学的キットもまた開示されている。
【0021】
別々の単位投薬形態の上記で定義したとおりの(A)、(B)、(C)および(D)を、(A)および(B)および(C)および(D)の投与のための1つ以上の吸入デバイスならびに(A)および(B)および(C)および(D)を投与することについての使用説明書とともに含む薬学的キットであって、この形態は、有効量の(A)および(B)および(C)および(D)の投与に適している薬学的キットもまた開示されている。
【0022】
さらに、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のための、(A)抗コリン作用薬および(B)コルチコステロイドを別々にもしくは一緒に含む薬物が開示されており、(A)および(B)のそれぞれは、吸入可能な形態にある。一つの実施形態において、抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、グリコピロレート、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり、そしてコルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である。
【0023】
さらに、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のための、(A)抗コリン作用薬および(C)長時間作用性βアゴニストを別々にもしくは一緒に含む薬物が開示されており、(A)および(C)のそれぞれは、吸入可能な形態にある。一つの実施形態において、抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そして長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。別の実施形態において、抗コリン作用薬は、グリコピロレート、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そして長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。
【0024】
さらに、呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における同時投与もしくは逐次投与のための、(B)コルチコステロイドおよび(C)長時間作用性βアゴニストを別々にもしくは一緒に含む薬物が開示されており、(B)および(C)のそれぞれは、吸入可能な形態にある。一つの実施形態において、コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そして長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。
【0025】
一つの実施形態において、薬物は、有効量の(A)および(B);(A)および(C);もしくは(B)および(C)の吸入可能な混合物を含み、薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて一緒に含む薬学的組成物である。
【0026】
薬学的組成物および薬物は、予防的に予防薬として、あるいは病状の経過の間に処置薬もしくは治療薬として投与され得る。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における、同時投与もしくは逐次投与のための、(A)抗コリン作用性薬、(B)コルチコステロイド、および(C)長時間作用性βアゴニストを、別々にもしくは一緒に含む薬物であって、ここで、(A)、(B)および(C)のそれぞれは、吸入可能な形態にある、薬物。
(項目2)
有効量の(A)および(B)および(C)の吸入可能な混合物を含み、薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて一緒に含む薬学的組成物である、項目1に記載の薬物。
(項目3)
プロペラント中に溶解もしくは分散した(A)および(B)および(C)の混合物を含むエアゾール、あるいはプロペラント中に溶解もしくは分散した(A)を含むエアゾールと、プロペラント中に溶解もしくは分散した(B)を含むエアゾールと、プロペラント中に溶解もしくは分散した(C)を含むエアゾールとの組み合わせである、項目2に記載の薬物。
(項目4)
前記プロペラント中に(A)もしくは(B)もしくは(C)、あるいは(A)および(B)および(C)が分散しており、そしてこのプロペラントがハロゲン置換炭化水素である、項目3に記載の薬物。
(項目5)
(A)もしくは(B)もしくは(C)、あるいは(A)および(B)および(C)のそれぞれが、最大10ミクロンの平均粒子直径を有する、項目4に記載の薬物。
(項目6)
水性媒質、有機媒質もしくは水性/有機媒質中の(A)および(B)および(C)の分散物を含む噴霧可能な組成物、あるいは該媒質中の(A)の分散物と該媒質中の(B)の分散物と該媒質中の(C)の分散物との組み合わせである、項目3に記載の薬物。
(項目7)
細分された(A)もしくは(B)もしくは(C)、あるいは細分された(A)および(B)および(C)を含み、細分された形態の薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて一緒に含む乾燥粉末である、項目2に記載の薬物。
(項目8)
前記キャリアが存在し、そして糖類である、項目7に記載の薬物。
(項目9)
前記キャリアがラクトースである、項目8に記載の薬物。
(項目10)
(A)もしくは(B)もしくは(C)、あるいは(A)および(B)および(C)のそれぞれが、最大10ミクロンの平均粒子直径を有する、項目9に記載の薬物。
(項目11)
呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における、同時投与もしくは逐次投与のための、(A)抗コリン作用性薬、(B)コルチコステロイド、および(C)長時間作用性βアゴニストを、別々にもしくは一緒に含む薬物であって、ここで、(A)、(B)および(C)のそれぞれは、吸入可能な形態にあり、ここで、該抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、該コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そして該長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである、薬物。
(項目12)
呼吸性、炎症性もしくは閉塞性の気道疾患の予防もしくは処置における、同時投与もしくは逐次投与のための、(A)抗コリン作用性薬、(B)コルチコステロイド、および(C)長時間作用性βアゴニストを、別々にもしくは一緒に含む薬物であって、ここで、(A)、(B)および(C)のそれぞれは、吸入可能な形態にあり、ここで、該抗コリン作用薬は、グリコピロレート、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、該コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、そして、ここで、該長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである、薬物。
(項目13)
前記抗コリン作用薬が、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、硝酸メチルアトロピン、硫酸アトロピン、イプラトロピウム、ベラドンナエキス、スコポラミン、臭化メチルスコポラミン、メチルスコポラミン、臭化メチルホマトロピン、ヒヨスチアミン、イソプリオプラミド、オルフェナドリン、塩化ベンザルコニウム、臭化チオトロピウム、GSK202405、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらの2つ以上の組み合わせである、項目1に記載の薬物。
(項目14)
前記抗コリン作用薬が、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目1に記載の薬物。
(項目15)
前記抗コリン作用薬が、グリコピロレート、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目1に記載の薬物。
(項目16)
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン;ジプロピオン酸ベクロメタゾン;ブデソニド;フルチカゾン;デキサメタゾン;フルニソリド;トリアムシノロン;(22R)−6α,9α−ジフルオロ−11β,21−ジヒドロキシ−16α,17α−プロピルメチレンジオキシ−4−プレグネン−3,20−ジオン、チプレダン、GSK685698、GSK799943、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである、項目1に記載の薬物。
(項目17)
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目14に記載の薬物。
(項目18)
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目15に記載の薬物。
(項目19)
前記長時間作用性βアゴニストが、カルモテロール、インダカテロール、TA−2005、アルブテロール、テルブタリン、サルメテロール、ビトルテロール、ホルモテロール、フェノテロール、メタプロテネロール、GSK159802、GSK642444、GSK159797、GSK597901、GSK678077、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである、項目1に記載の薬物。
(項目20)
前記長時間作用性βアゴニストが、カルモテロール、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目1に記載の薬物。
(項目21)
前記長時間作用性βアゴニストが、インダカテロール、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目1に記載の薬物。
(項目22)
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目20に記載の薬物。
(項目23)
前記コルチコステロイドが、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目21に記載の薬物。
(項目24)
少なくとも1つのブチルエーテルスペーサー基によってポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体の親油性空洞から離れている約1〜約7個のスルホン酸ナトリウム基を有するポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体と混合された、項目1に記載の薬物。
(項目25)
吸入可能な形態にある(D)ホスホジエステラーゼIVインヒビターをさらに含む、項目1に記載の薬物。
(項目26)
前記ホスホジエステラーゼIVインヒビターが、シロミラスト、ロフルミラスト、テトミラスト、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステル、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである、項目25に記載の薬物。
(項目27)
前記ホスホジエステラーゼIVインヒビターが、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステル、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目25に記載の薬物。
(項目28)
前記ホスホジエステラーゼIVインヒビターが、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステルのキシナホエート塩である、項目25に記載の薬物。
(項目29)
前記抗コリン作用薬は、グリコピロレート、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、前記コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、前記長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり、そしてここで、前記ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステルのキシナホエート塩である、項目25に記載の薬物。
(項目30)
前記抗コリン作用薬は、(R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、前記コルチコステロイドは、フランカルボン酸モメタゾン、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物であり、ここで、前記長時間作用性βアゴニストは、カルモテロール、インダカテロール、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせであり、そしてここで、前記ホスホジエステラーゼIVインヒビターは、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステルのキシナホエート塩である、項目25に記載の薬物。
(項目31)
少なくとも1つのブチルエーテルスペーサー基によってポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体の親油性空洞から離れている約1〜約7個のスルホン酸ナトリウム基を有するポリアニオン性β−シクロデキストリン誘導体と混合された、項目25に記載の薬物。
(項目32)
吸入可能な形態のホスホジエステラーゼIVインヒビターを含む薬物。
(項目33)
前記ホスホジエステラーゼIVインヒビターが、シロミラスト、ロフルミラスト、テトミラスト、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステル、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである、項目32に記載の薬物。
(項目34)
前記ホスホジエステラーゼIVインヒビターが、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステル、あるいはその薬学的に受容可能な塩もしくは水和物である、項目32に記載の薬物。
(項目35)
前記ホスホジエステラーゼIVインヒビターが、1−[[5−(1(S)−アミノエチル)−2−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリニル]−4−オキサゾリル]カルボニル]−4(R)−[(シクロプロピルカルボニル)アミノ]−L−プロリン,エチルエステルのキシナホエート塩である、項目32に記載の薬物。
(項目36)
別々の単位投薬形態の項目1に定義するとおりの(A)、および項目1に定義するとおりの(B)、および項目1に定義するとおりの(C)を、(A)および(B)および(C)の投与のための1つ以上の吸入デバイス、ならびに(A)および(B)および(C)を投与することについての使用説明書とともに含む薬学的キットであって、該形態は、有効量の(A)および(B)および(C)の投与に適している、薬学的キット。
(項目37)
別々の単位投薬形態の項目25に定義するとおりの(A)、および項目25に定義するとおりの(B)、および項目25に定義するとおりの(C)、および項目25に定義するとおりの(D)を、(A)および(B)および(C)および(D)の投与のための1つ以上の吸入デバイス、ならびに(A)および(B)および(C)および(D)を投与することについての使用説明書とともに含む薬学的キットであって、該形態は、有効量の(A)および(B)および(C)および(D)の投与に適している、薬学的キット。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
最も好ましくは、本発明にしたがって、薬物は、吸入可能な乾燥粉末の形態で呼吸器系(肺を含む)に投与されることが可能である物質であるか、あるいはその物質を含む。例えば、本発明にしたがう薬物は、肺をとおして血流中に吸収されるように投与され得る。しかしながら、さらに好ましくは、薬物は、肺もしくは呼吸器系の何らかの状態を直接的および/もしくは局所的に処置するのに有効な、乾燥粉末の形態の粉末状薬剤である。
【0028】
本発明にしたがう特に好ましいコルチコステロイドとしては、フランカルボン酸モメタゾン;ジプロピオン酸ベクロメタゾン;ブデソニド;フルチカゾン;デキサメタゾン;フルニソリド;トリアムシノロン;(22R)−6α,9α−ジフルオロ−11β,21−ジヒドロキシ−16α,17α−プロピルメチレンジオキシ−4−プレグネン−3,20−ジオン、チプレダン、GSK685698、GSK799943、あるいはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明における使用に好ましいコルチコステロイドは、好ましくは、フランカルボン酸モメタゾン(Nasonex(登録商標)およびAsmanex(登録商標)の活性因子)である。これらの製品は、Schering−Plough Corporation、Kenilworth、New Jerseyより入手可能である。これは、化学名、9,21−ジクロロ−11(β),17−ジヒドロキシ−16(α)−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン17−(2フロエート)を有する抗炎症性コルチコステロイドである。この活性因子は、MDIもしくはDPIの作動(actuation)1回あたり約25μg〜1000μgの量で存在し得る。25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、250μg、300μg、400μgおよび/もしくは500μgの用量が好まれる。
【0030】
本発明における使用のための他の吸入可能なコルチコステロイドとしては、GlaxoSmithKlineより入手可能である、GSK685698(GW686698Xとしても、そしてAvamys(登録商標)もしくはAllernmist(登録商標)の商標でも公知である)およびGSK799943が挙げられる。
【0031】
好ましい抗コリン作用薬は、Almirall Prodesfarma SAより入手可能である、LAS 34273((R)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−(ジチエン−2−イル)アセトキシ]−1−1[2−(フェニル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンとして、化学的に同定される)として公知である。これは、WO01/04118および米国特許第6,750,226号中に述べられている手順(これらの両方は、本明細書中に参考として援用される)にしたがって調製され得る。これは、1日1回で効力を有する新たな長時間作用性抗コリン作用薬である。この活性因子は、1日あたり約10μg〜約1000μgの量で存在し得、好ましくは、1日あたり約100μg〜約500μgの量である。
【0032】
臭化グリコピロニウムとしても公知である、グリコピロレートは、気管気管支および咽頭の分泌物を減少させる抗コリン作用薬剤である。これは、アトロピンおよびスコポラミンのように血液脳関門を容易に横切ることがなく、それゆえに、これはCNSへの副作用がより少ない。この活性因子は、MDIもしくはDPIの作動1回あたり約25μg〜約1000μgの量で存在し得る。
【0033】
長時間作用性βアゴニストは、多くの異なる薬学的活性因子のうちの1つであり得る。長時間作用とは、その薬剤が気管支に対して、約6時間以上(場合によっては、最大約12時間、そして他の場合によっては、最大約24時間)持続する効果を有することを意味する。この活性因子は、1日あたり約10μg〜約1000μgの量で存在し得る。
【0034】
本発明における使用のための長時間作用性βアゴニストとしては、カルモテロール、インダカテロール(Indacterol)、TA−2005、アルブテロール、テルブタリン、サルメテロール、ビトルテロール、ホルモテロール、フェノテロール、メタプロテネロール、GSK159802、GSK642444、GSK159797、GSK597901、GSK678077、あるいは以下の特許:6,949,568、6,919,482、6,916,961、6,713,651、6,683,115、6,670,376、6,653,323、6,593,497、6,576,793および6,541,669中に記載のもののうちの任意のもの(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される)(これらは、すべてCaliforniaのTheravance
Inc.に譲渡されている)、またはこれらのうちのいずれかの薬学的に受容可能な塩もしくは水和物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
カルモテロリス(Karmoterolis)およびカルモテロルム(Carmoterolum)としても公知である、カルモテロールは、8−ヒドロキシ−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ)+エチル]キノリン−2(1H)−オンとして化学的に同定される。これは、Chiesi Farmaceutici、Parma、Italyより入手可能である、新たな長時間作用性βアゴニストである。
【0036】
ホルモテロール(エホルモテロール(eformoterol)としても公知)は、(例えば、フマル酸塩もしくは酒石酸塩として)は、気管支拡張効果を有する、非常に選択的な、長時間持続のβ−アドレナリン作用性のアゴニストであり、種々の起源の可逆性の閉塞性の肺の病気(reversible obstrucvtive lung ailment)(特にぜんそく状態)の処置において有効である。
【0037】
別の長時間作用性βアゴニストである、TA−2005は、2(1H)−キノリノン,8−ヒドロキシ−5−[1−ヒドロキシ−2−[[2−(4−(メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−モノヒドロクロリド,[R−(R,R)]−−として化学的に同定され、またChemical Abstract Service Registry Number 137888−11−0によっても同定されており、そして米国特許第4,579,854号中に開示されており、この本文は本明細書中に参考として援用される。この化学名は、(±)−2−ヒドロキシ−5−[(1RS)−1−ヒドロキシ−2−[[(1RS)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]−アミノ]エチル]ホルムアニリドフマレート二水和物である。この活性因子は、MDIもしくはDPIの作動1回あたり約3μg〜50μgの量で存在し得る。これは、Foradil(登録商標)の商用名で入手可能である。
【0038】
本発明における使用のための別の長時間作用性の選択的β−アドレナリン作用性気管支拡張薬は、インダカテロール(QAB149としても公知)であり、報告によれば、ぜんそくおよび慢性の閉塞性肺障害の処置のために有用であり、これは、Novartis
Corporation、East Hanover、New Jerseyによって開発されている。この活性因子は、1日あたり約10μg〜約1000μgの量で存在し得る。
【0039】
本発明における使用のための別の長時間作用性の選択的β−アドレナリン作用性気管支拡張薬は、メタプロテレノール(Metaproterenol)であり、これは、米国特許第3,341,594号の主題であり、これはAlotec、Alupent、MetaprelもしくはNovasmasolの商用名で市販されている。
【0040】
本発明における使用のための別の長時間作用性の選択的β−アドレナリン作用性気管支拡張薬は、テルブタリンであり、これは米国特許第3,938,838号中に記載されており、そしてBrethineとしてNovartisより市販されている。フェノテロールの調製は、米国特許第4,341,593号中に述べられている。これは、いくつかの商用名(Airum、Berotec、DosberotecおよびPartusistenを含む)で販売されている。アルブテロール(サルブタモールとしても公知)は、Proventil(登録商標)の商標でSchering Corporationによって販売されている。サルメテロールは、Serevent(登録商標)の商標でGlaxoSmithKlineより販売されている。
【0041】
本発明の別の実施形態における使用のための他の活性因子としては、ホスホジエステラーゼIVインヒビターが挙げられる。このような活性因子の一つは、SB 207499(c−4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−r−L−シクロヘキサンカルボン酸)であり、これは、Ariflo(登録商標)の商用名で入手可能である。シロミラストとしても公知である、Arifloは、COPDの処置のためにGlaxoSmithKline Pharmaceuticalsによって開発中である、経口の選択的ホスホジエステラーゼ(PDE)IVインヒビターである。
【0042】
本発明の別の実施形態において、本発明の組成物はさらに、ホスホジエステラーゼIVインヒビターである、ロフルミラストを含み得る。ロフルミラストは、ぜんそくおよびCOPDの可能性のある処置としてAltana Pharmaによって開発されている。ヨーロッパにおける規制当局の認可を待っているところであり、そして第三相臨床試験が米国において進行中である。シロミラストのように、この活性因子はまた、高い耐性があり、そして吐き気および嘔吐のような以前のPDE−IVインヒビターを使用した際にはみられた問題との関連はないようである。複数施設での(multicentre)ランダム化研究において、26週間の投薬を受けた後、COPDを患った516人の患者において観察された耐性プロフィールは、プラセボ受容者にみられるものと同等であった。Altanaは、ロフルミラストが、乾癬およびアレルギー性鼻炎の処置においても役割を果たし得ると述べた。
【0043】
本発明の別の実施形態において、本発明の組成物はさらにテトミラストを含み得る。テトミラスト(OPC−6535としても公知)は、COPDの処置として、米国において大塚によって現在、第二相開発中である、ホスホジエステラーゼ−4インヒビターである。前臨床研究は、テトミラストのCOPDの気道炎症の阻害における効能を実証し、そしてタバコの煙にさらされることによって誘発されたCOPDのモルモットモデルにおいては、テトミラストは、特定の気道抵抗および好中球増加における改善をもたらした(O’Mahoney、IDrugs、8(6):502−507(2005))。
【0044】
一つの実施形態によれば、薬物の全ての活性因子は、同時に投与されるか、もしくは非常に接近して調子を合わせて投与される。あるいは、1つの活性因子は朝に服用され得、そして1つをその日のうちの後に服用され得る。あるいは、別のシナリオでは、1つの活性因子は1日に2回、そして他のものは1日に1回、この1日に2回の投薬のうちの1回と同時に、もしくは別々に投与され得る。好ましくは、全ての活性因子は、同時に一緒に服用される。
【0045】
本発明の一つの実施形態において、薬物の吸入可能な形態は、乾燥粉末であり、すなわち、(A)および/もしくは(B)および/もしくは(C)が、乾燥粉末中に存在し、この乾燥粉末は、細分された(A)および(B)および(C)を含み、細分された薬学的に受容可能なキャリアを必要に応じて一緒に含み、このキャリアは、好ましくは、存在し、そして薬学的に受容可能なキャリアとして公知な1つ以上の物質であり得、好ましくは、乾燥粉末の吸入組成物中のキャリアとして公知の物質(例えば、糖類(単糖類、二糖類、多糖類、および糖アルコール(例えば、アラビノース、グルコース、フルクトース、リボース、マンノース、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、デンプン、デキストラン、もしくはマンニトール)を含む))より選択される。特に好ましいキャリアは、ラクトースである。乾燥粉末は、乾燥粉末吸入デバイス中での使用のために、ゼラチンもしくはプラスチックのカプセル中、あるいはブリスター中に存在し得、好ましくは、1カプセルあたりの散剤の総重量を5mg〜50mgにする量のキャリアをともなって(A)および/もしくは(B)および/もしくは(C)の投薬単位で存在し得る。あるいは、乾燥粉末は、レザバーとして複数回用量(multi−dose)乾燥粉末吸入デバイス中に含まれ得る。複数回用量乾燥粉末吸入デバイス中の活性因子の量は、1日2回の作動によって1日あたりに必要な量の活性因子を送達するような量である。
【0046】
一つの実施形態において、本発明の薬物は、米国特許第6,503,537号(これは本明細書中にその全体が参考として援用される)に記載の薬剤および固体バインダーの凝集体を生成する方法にしたがって調製される。
【0047】
一つの実施形態において、本発明の薬物は、米国特許第6,240,918号、同第5,687,710号もしくは同第5,829,434号(これらは本明細書中にその全体が参考として援用される)に記載のとおりの吸入器を使用して送達される。
【0048】
別の実施形態において、本発明の薬物は、欧州特許公報第1420759号(これは本明細書中にその全体が参考として援用される)に記載のとおりに液状プロペラント中に懸濁される。
【0049】
下部の呼吸器系障害(例えば、ぜんそく)の処置に適した本発明の処方物において、活性薬剤の少なくとも実質的な部分が、呼吸可能なサイズ(例えば、その最も大きな寸法で、約0.5マイクロメートル〜約10マイクロメートル)を有する懸濁された粒子として存在する。上部の呼吸器系障害(例えば、鼻炎)の処置に適した処方物において、多少はより大きな活性薬剤の粒子が許容され得るが、前述のサイズの範囲が依然として好ましい。活性因子が懸濁液を形成する場合、粒子のサイズは、実質的に全ての粒子が、好ましくは、約0.1ミクロン〜25ミクロンの範囲(好ましくは、0.5ミクロン〜10ミクロン、さらに好ましくは、1ミクロン〜5ミクロン)にあって、比較的均一であるべきである。25ミクロンより大きい粒子は、口腔咽頭腔中に留められ得る一方、約0.5ミクロンより小さい粒子は、これらはより吐き出されやすく、それゆえに患者の肺まで届かないので、好ましくは利用されない。
【0050】
別の実施形態において、薬物は、噴霧化をとおして投与され得る。本発明の懸濁処方物は、任意の通常の噴霧器デバイスを使用して患者に送達され得る。典型的な市販の噴霧器デバイスは、2つの方法のうちの1つによって気流中に小滴の分散物を生成する。ジェット噴霧器は、圧縮空気供給を使用して、ベンチュリ作用(venturi action)によって流体を汲み上げ、そしてそれを流れる気流中に導入し、その後、この流体は、1つ以上の定置バッフルに衝突させられ、過度に大きい液滴が取り除かれる。超音波噴霧器は、電気によって駆動される変換器を使用して、流体に高周波数の振動をあて、移動する気流中に流入され得る雲状の小滴を生成する;これらのデバイスは、懸濁液を送達するのにそれほど好ましくない。圧搾バルブの空気供給で流体を噴霧化するハンドヘルド噴霧器があるが、より広く使用される装置は、電気動力の圧縮器と一体化しているか、もしくは圧縮ガスのシリンダーに接続されている。市販されている種々のデバイスは、所定の薬剤についてのそれらの送達効率がかなり変わるが、これらは全て、本発明の処置に有用であり;これらのそれぞれの呼吸可能な小滴の排出量は決して同一ではないので、処方者は、それぞれの特定のデバイスに入れられる薬物処方物の正確な量を特定することが必要である。
【0051】
噴霧化に適切な懸濁処方物はもちろん、呼吸可能なサイズ(例えば、好ましくは、最大の寸法が平均約5μm未満、そしてさらに好ましくは、平均約2μm未満)の固体粒子を含まなければならず、そして貯蔵の間はこれらの懸濁粒子のサイズ分布を維持しなければならない。さらに、処方物の噴霧化の間に形成された粒子を含む小滴は、呼吸器系の所望する領域に沈着するのに適切なサイズでなければならない。
【0052】
本発明の処方物は、吸入されるべきであるので、これらは病原性生物がないことが必要である。ゆえに、これらは、無菌状態で、調製され、そして操作され得るか、もしくは、包装の前もしくは後に滅菌され得る。さらに、もしくは滅菌の代わりに、微生物汚染の可能性を最小限にするために、保存剤が混合され得る。さらに、処置される組織は、刺激に対して大変敏感であるので、処方物の全ての活性因子は、吸入の安全性のために選択されなければならない(一般的な保存剤の多くは、刺激を引き起こす可能性をかなり有することは、一般的に公知である)。
【0053】
処方物中で使用される水は、吸入される薬剤における使用のための適用できる規制必要条件を満たすもしくは超えるべきである。「Sterile Water for Injection」もしくは「Sterile Water for Inhalation」に関するUnited States Pharmacopoeiaによって確立された仕様は、本発明の処方物を調製するのに使用されるために適切な水の例である。
【0054】
界面活性剤はしばしば、これらの化学的特質によって(すなわち、陽イオン性、陰イオン性あるいは非イオン性として)分類される。陽イオン性界面活性剤(例えば、塩化セチルピリジニウム)および陰イオン性界面活性剤(例えば、ドキュセートナトリウム)は、噴霧可能な処方物中の粒子の適切な分散物を提供しないようである。
【0055】
多くの非イオン性界面活性剤は、本発明の微粒子懸濁液を維持するのに適している。これらは、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary中で「ポリソルベート」として同定される界面活性剤を含み;このような界面活性剤は、エチレンオキシドで縮合されたソルビトールおよびソルビトール無水物の脂肪酸エステル(主にモノエステル)の混合物である。これらの界面活性剤は、これらの親水−親油バランス(「HLB」)数が幅広く変化するが、これらは全て、本発明においてよく機能するようである。
【0056】
本発明において有用な市販されているポリソルベートとしては、以下の表に列挙されているものが挙げられ、この表は、CTFA名称(ポリソルベート番号)、その材料を生成するために使用された脂肪酸の素性、および1モルのエステルと反応したエチレンオキシドのモル数を示している。アスタリスクで同定される組成物は、主にトリエステルである。
【0057】
【表1】

一般的に、ポリソルベート界面活性剤は、処方物中に、約50μg/mL〜500μg/mLで存在する。界面活性剤の濃度が、約20μg/mL未満である場合、粒子は、容易には再分散されない固まりを形成する傾向がある。
【0058】
適切な界面活性剤としては、ポリエーテルグリコール(例えば、Pluronic(登録商標)F−68(エチレングリコールおよびプロピレングリコールのブロックコポリマーである、ポロキサマー188)、Pluronic(登録商標)F87(ポロキサマー237)、Pluronic(登録商標)F108(ポロキサマー338)、Pluronic(登録商標)F127(ポロキサマー407)など)が挙げられる。好ましくは、Pluronic(登録商標)F−68が使用される。BASF Corporation’s Technical Bulletin(1995)によると、Pluronic(登録商標)は、BASF Corporationの、HO(CO)(CO)(CO)Hの化学構造で表される、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーの登録された商用名であり、ここで:(a)Pluronic(登録商標)F−68では、aは80、bは27であり;(b)Pluronic(登録商標)F87では、aは64、bは37であり;(c)Pluronic(登録商標)F108では、aは141、bは44であり;そしてPluronic(登録商標)F127では、aは101、bは56である。これらのブロックコポリマーの平均分子量は、(a)Pluronic(登録商標)F−68、8400;(b)Pluronic(登録商標)F87、7700;(c)Pluronic(登録商標)F108、14600およびPluronic(登録商標)F127、12600である。
【0059】
ポロキサマー界面活性剤は、特定のメンバーは、最大約1mg/mLの濃度において有用であるが、ポリソルベートの濃度と類似した濃度で使用される。
【0060】
一般的に、噴霧化プロセスの効率は特に粘度に敏感であるので、選択された界面活性剤は、懸濁処方物の粘度を実質的に増加させるべきではない。多くの非イオン性界面活性剤は、吸入および/もしくは注入可能な薬剤処方物を調製するのに有用であり、これらのいずれも、本発明における使用において適切であるはずである。
【0061】
処方物はさらに、可溶性塩を含む。この塩は、少なくとも2つの機能を果たす:これは、気道細胞の正常な細胞液のバランスへの吸入された処方物の影響を最小限にし、そしてまた、薬物の懸濁液を安定させる。第一の機能では、処方物を等張性にするに充分な塩濃度を使用することが好ましく;塩化ナトリウムおよび塩化カリウムがこの目的において好ましい。約0.2重量%〜約2重量%の濃度が有用ではあるが、等張濃度(すなわち、約0.9重量%)の塩化ナトリウムによって、適切な懸濁安定性が生じることが見出された。生理的に適合する任意のアルカリ金属可溶性塩もしくはアルカリ土類金属可溶性塩が本発明において使用され得る。
【0062】
必要に応じて、処方物のpHを約3と約7との間に維持するために処方物はpH緩衝剤を含む。pH条件を約6未満に維持することによって、(分解反応生成物が存在しないことによって測定したところ)懸濁液中の薬剤の安定性が向上したことが見出された。細胞適合性の理由で、過度の酸性生成物は所望されないので、pHは、約3未満にすべきではない。本発明における使用のための特定の緩衝剤を定量するために、いくつかの実験が必要になり得る(1ミリモル濃度〜50ミリモル濃度の濃度のリン酸緩衝剤は、可溶性塩が加えられない場合、懸濁液中での微粒子の凝固を十分には防止しないようである)。pHを約4と約5との間に維持するクエン酸塩−クエン酸緩衝剤が使用され、貯蔵している間のpHの維持、および可溶性塩がない場合にあらゆる微粒子の凝固を防止することの両方において特に優れた効果を有した。
【0063】
クエン酸塩−クエン酸緩衝剤は、懸濁処方物中に、少なくとも約2ミリモル濃度から最大約50ミリモル濃度の濃度で存在し得る。文献は、咳がこのような緩衝剤系により誘発されたといういくつかの報告を有し、1つの報告は、わずか35ミリモル濃度の濃度が咳の原因であると考えたが、これは、主に150ミリモル濃度〜200ミリモル濃度のレベルで起こるようである。
【0064】
最終的に包装された処方物の滅菌性もしくは充分な抗菌保存が、患者の保護のために必要である。抗菌保存剤の使用は、これらの特定のものが臨床的な悪影響(たとえば、気管支痙攣)に関連しているので、より望ましくない。γ線照射条件および滅菌加熱条件の影響下で薬剤が分解されることが見出されたので、滅菌を達成するために考慮され得る代替プロセスは通常、微粉化された薬剤物質もしくは処方物の滅菌の工程を含まない。処方物の懸濁特質のために、ろ過による滅菌は、通常実行可能でない。ゆえに、薬理学的活性因子(例えば、フランカルボン酸モメタゾン一水和物)を滅菌状態下で生成し、滅菌環境内で薬剤の微粉化を行ない、そして無菌包装操作を行なうことが好ましい。
【0065】
粒子サイズをマイクロメートルの範囲に小さくするための方法(機械的粉砕、超音波エネルギーの適用および他の技術を含む)は、公知である。機械的粉砕はしばしば、粒子上に高い表面温度を生じ、そしてこれはフランカルボン酸モメタゾン一水和物、長時間作用性βアゴニストおよび/もしくはグリコピロレート(これは、高温の影響下で、この水和のいくつかの部分を失う傾向がある)にとって望ましくない。超音波技術は、これらの作用が極めて遅く、一般的に、非常に長い加工時間を要するが、受容可能な懸濁液を生成することが可能である。
【0066】
薬剤粒子の懸濁液は、「ジェットミル(jet milling)」(液体中の粒子の高圧粉砕)技術に供された際に、迅速に微粒子サイズが低下し得る。本発明の処方物を生成するのに現在好ましいジェットミルの手順は、Microfluidics International Corporation(Newton、Mass.、U.S.A.)より販売されている「マイクロフルイダイザー(Microfluidizer)」システムの使用を含む。このデバイスは、高圧下(最大約40,000ポンド/平方インチもしくは2.76×10ニュートン/メートル)で流れる流体の流れを、2つの別々のマイクロチャンネル(microchannel)経路間に分け、その後、それらをほぼ垂直な方向から再び合わせて、極めて高い剪断力、衝突力およびキャビテーション力を生じる。懸濁液を、あらかじめ決めた時間にわたってこのシステムに連続的に再循環させることによって、ミクロンサイズおよびサブミクロンサイズの粒子の所望する分布を再現性よく生じることが可能である。粒子は常に完全に液体によって囲われているので、これらの表面は、サイズを減じる力の影響下で高温を生じず、そして薬剤結晶中の水和水はインタクトに残る。関連技術を利用する他の有用な装置は、Avestin Inc.、Ottawa、Ontario、Canadaより入手可能である。
【0067】
別の実施形態において、薬学的活性因子は、シクロデキストリンを使用して可溶化され得る。このようなシクロデキストリンは、例えば、Captisolの名前で販売されている。さらに特定的には、Captisol(登録商標)は、シクロデキストリン1分子あたり平均7個のスルホブチルエーテル基を有する、β−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体である。スルホン酸基の極めて低いpKaのために、Captisol(登録商標)は、生理的に適合するpH値において複数の負電荷を有する。末端基の負電荷の反発力と結びついた4−炭素のブチル鎖は、シクロデキストリンの空洞の延長を可能にする。これはしばしば、他の修飾されたシクロデキストリンで示されたものに比べて比較的大きな分子体積の活性因子と包接複合体形成(inclusion complexation)の可能性を増加させる。さらに、これらの誘導体は、分子に非常に優れた可溶性を付与する。この製品は、Cydex,Inc(Overland Park、Kansas)より入手可能である。これは、国際公開第91/11172号(これは本明細書中にその全体が参考として援用される)内に述べられている手順にしたがって調製され得る。
【0068】
本発明の種々の実施形態の前述の説明は、本発明の種々の局面の例であって、開示された正確な形態を網羅もしくは限定するものとして意図されていない。多くの改変および変更は当業者に疑いなく思い浮かぶ。本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲によってのみ完全に定義されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2012−82229(P2012−82229A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−15402(P2012−15402)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2008−504421(P2008−504421)の分割
【原出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】