説明

抗コリン作用薬を含有する吸入用エアロゾル製剤

本発明は唯一の活性物質として下記式の化合物と、溶媒としてエタノール又はエタノールと水の混合物と、少なくとも1つの薬理学的に容認できる酸とを含み、さらに薬理学的に適合性の助剤及び/又は錯化剤を含む吸入用医薬製剤に関するものである。


(式中、
-は、好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージド、スルファート、ホスファート、メタンスルホナート、ニトラート、マレアート、アセタート、シトラート、フマラート、タータラート、オキサラート、スクシナート、ベンゾアート及びp-トルエンスルホナートを含む群から選ばれる陰イオンを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は単独の活性物質として下記式の化合物と、溶媒としてエタノール又はエタノールと水の混合物と、少なくとも1つの薬理学的に容認できる酸とを含み、必要により他の薬理学的に容認できる賦形剤及び/又は錯化剤を含んでいてもよい吸入用医薬製剤に関するものである。
【化1】

(式中、
-は、好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージド、スルファート、ホスファート、メタンスルホナート、ニトラート、マレアート、アセタート、シトラート、フマラート、タータラート、オキサラート、スクシナート、ベンゾアート及びp-トルエンスルホナートの中から選ばれる陰イオンを表す。)
【背景技術】
【0002】
の化合物はWO 02/32899で知られている。前記化合物は有用な薬理学的特性を有し、非常に効果的な抗コリン作用薬として呼吸器疾患の治療において、特に炎症性及び/又は閉塞性呼吸器疾患の治療において、特に喘息又はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療において治療上の利益を与え得る。
本発明は、吸入によって投与され得るこれらの化合物の液体活性物質製剤に関するものであり、本発明の液体製剤は高い品質基準を満たす必要がある。本発明の製剤は経口又は経鼻により吸入されてもよい。肺において活性物質の最適分配を達成するために、適した吸入器を用いて噴霧剤ガスを含まない液体製剤を使用することは意味がある。また、この種の製剤は経口又は経鼻により吸入されてもよい。数秒以内に治療目的で必要な投与量の、少量の液体製剤を噴霧して、治療吸入に適したエアロゾルとすることができる吸入器は特に適している。本発明の範囲内で、好ましいネブライザーは100マイクロリットル未満、好ましくは50マイクロリットル未満、最も好ましくは20マイクロリットル未満の量の活性物質溶液を、好ましくは一吹き又は二吹きで噴霧して20ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満の平均粒子サイズを有するエアロゾルを形成できるものであり、それ故エアロゾルの吸入可能な部分はすでに治療上有効な量に相当する。
【0003】
吸入用液体医薬組成物の計量された量の噴霧剤を含まない投与のためのこの種の装置は、例えば国際特許出願WO 91/14468 “Atomizing Device and Methods”及びWO 97/12687(図6a及び6b並びに明細書を参照)に詳細に記載されている。この種のネブライザーにおいて、医薬溶液は600バールまでの高圧で、肺に向かうことになっているエアロゾルに変換される(噴霧される)。本明細書の範囲内の参照によって、上記文献の全内容が組み込まれる。
この種の吸入器において、溶液製剤はリザーバに貯蔵される。使用される活性物質製剤は、貯蔵される場合に十分安定であり、同時に、可能であれば、さらに処理することなく医療目的に従って直接投与できることが必須である。さらに、吸入器又は生成された溶液若しくはエアロゾルの医薬品質を損なうように吸入器と相互作用するかもしれない成分を含んではいけない。
溶液を噴霧するために、特別のノズルが、例えばWO 94/07607又はWO 99/16530に開示されるように使用される。これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前記吸入器を用いて溶液の最適な噴霧を与えるために必要な高い品質基準を満足する式の化合物の製剤を提供することである。本発明の活性物質製剤は十分に高い医薬品質でなければならない(すなわち、数年、好ましくは少なくとも1年、より好ましくは2年の保管期間にわたって薬剤的に安定でなければならない)。
また、これらの噴霧剤を含まない液体製剤は吸入器を用いて圧力を受けて噴霧されることができなければならず、生成されるエアロゾルによって与えられる組成物は特定の範囲内に再現よく含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の範囲内で、好ましくは、陰イオンX-がクロリド、ブロミド、ヨージド、スルファート、ホスファート、メタンスルホナート、ニトラート、マレアート、アセタート、シトラート、フマラート、タータラート、オキサラート、スクシナート、ベンゾアート及びp-トルエンスルホナートの中から選ばれる式の化合物が使用される。
好ましくは、X-がクロリド、ブロミド、4-トルエンスルホナート及びメタンスルホナートからなる群より選ばれる陰イオンを表す式の塩が使用される。
特に好ましくは、本発明の範囲内で、X-がブロミドを表す式の化合物を含む製剤である。
の化合物への言及は、本発明の範囲内で、この化合物の可能なアモルファス及び結晶変形の全てを常に含む。また、式の化合物への言及は、本発明の範囲内で、この化合物から形成され得る可能な溶媒和物及び水和物の全てを含む。
本発明の範囲内で、化合物1’への任意の言及は、塩に含まれる下記式の薬理学的に活性な陽イオンへの言及とみなされるべきである。
【0006】
【化2】

【0007】
本発明の製剤において、化合物はエタノール又はエタノールと水の混合物中に溶解されて存在する。
本発明によれば、製剤は、好ましくは化合物の単一の塩のみを含む。しかしながら、製剤は化合物の異なる塩の混合物を含んでもよい。化合物以外の活性物質を含む製剤は本発明の対象ではない。
本発明の医薬製剤における薬剤的に活性な陽イオン1’の割合に基づく式の化合物の濃度は、本発明によれば、100ml当たり約4〜2000mg、好ましくは100ml当たり約8〜1600mgである。特に好ましくは、100mlの本発明の製剤は約80〜約1360mgの1’を含む。
使用される式の化合物が、X-がブロミドを表す特に好ましい化合物である場合、本発明のの割合は医薬製剤100ml当たり約5〜2500mg、好ましくは医薬製剤100ml当たり約10〜2000mgである。最も好ましくは、100mlの本発明の製剤は約100〜約1700mgのを含む。
本発明の製剤は溶媒として純粋なエタノール又はエタノールと水の混合物を含む。エタノール−水混合物を使用する場合、これらの混合物中に存在するエタノールの質量割合は、好ましくは5〜99%エタノールの範囲内であり、より好ましくは10〜96%エタノールの範囲内である。本発明によれば、最も特に好ましくは、溶媒として使用されるエタノール−水混合物は50〜92%、最も好ましくは69〜91%のエタノールを含む。
エタノール及び水以外に、他の共溶媒を使用してもよい。しかしながら、本発明によれば、好ましくは、他の溶媒を使用しない。
【0008】
本発明の製剤はpHを調製するために薬理学的に容認できる有機又は無機酸を含む。本発明の製剤のpHは、本発明によれば、好ましくは2.5〜6.5であり、より好ましくは3.0〜5.0であり、最も好ましくは約3.5〜4.5である。
好ましい無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸からなる群より選ばれる。
特に適した有機酸の例は、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及びプロピオン酸からなる群より選ばれる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸であり、中でも塩酸は、本発明によれば、特に好ましい。有機酸の中で、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましく、クエン酸は特に好ましい。所望により、特にその酸性化特性に加えて他の特性を有する酸、例えば香料添加剤又は酸化防止剤として作用するもの、例えばクエン酸又はアスコルビン酸のような酸の場合に、上記酸の混合物を使用してもよい。
【0009】
所望により、薬理学的に容認できる塩基は、pHを正確に滴定するために使用してもよい。適した塩基としては、例えばアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属カルボナートが挙げられる。好ましいアルカリ金属イオンはナトリウムである。この種の塩基を使用する場合、得られる塩(最終医薬製剤に含まれる)が上記酸と薬理学的に適合性であることを保証するためには注意が必要である。
本発明の製剤は、他の成分として錯化剤を含んでもよい。錯化剤とは、本発明の範囲内で、錯体結合することができる分子を意味する。好ましくは、これらの化合物は錯化剤陽イオン、最も好ましくは金属陽イオンの効果を有する必要がある。本発明の製剤は、好ましくはエデト酸(EDTA)又はその公知の塩の1つ、例えばナトリウムEDTA又は2ナトリウムEDTA2水和物を錯化剤として含む。好ましくは、エデト酸ナトリウムが、必要によりその水和物の形態で、より好ましくはその2水和物の形態で使用される。錯化剤が本発明の製剤において使用される場合、その含有量は、好ましくは本発明の製剤100ml当たり1〜100mg、より好ましくは5〜50mgの範囲である。好ましくは本発明の製剤は、本発明の製剤100ml当たり約6〜30mg、より好ましくは約7〜20mgの量で錯化剤を含む。
また、エデト酸ナトリウムに関する記述は、EDTA又はその塩に匹敵する、錯化剤特性を有する他の可能な添加剤であって、例えばニトリロ3酢酸及びその塩のような、それらに代えて使用できる添加剤に対して同様に適用する。
【0010】
また、他の薬理学的に容認できる賦形剤を本発明の製剤に添加してもよい。本明細書において、アジュバント及び添加剤とは、薬理学的に容認でき、かつ、治療上有効な任意の物質を意味し、活性物質ではないが、活性物質製剤の品質を向上させるために、薬理学的に適した溶媒中で活性物質と一緒に製剤化することができる物質である。好ましくは、これらの物質は、所望の治療との関連で、薬理効果を持たず、又は明らかな若しくは少なくとも望ましくない薬理効果を持たない。アジュバント及び添加剤としては、例えば安定剤、最終医薬製剤の貯蔵寿命を延ばす酸化防止剤及び/又は防腐剤、並びに香料添加剤、ビタミン及び/又は技術的に公知の他の添加剤が挙げられる。また、添加剤としては、例えば塩化ナトリウムのような薬理学的に容認できる塩が挙げられる。
好ましい賦形剤としては、例えばpHを調整するためにすでに使用されていないことを条件としてアスコルビン酸のような酸化防止剤、ビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び同様のビタミン又は人体で生じるプロビタミンが挙げられる。
防腐剤は、病原菌を含む汚染物質から製剤を保護するために添加できる。適した防腐剤は従来技術で公知のものであり、特に従来技術で公知の濃度の塩化ベンザルコニウム又は安息香酸若しくは安息香酸ナトリウムのようなベンゾアートである。好ましくは、塩化ベンザルコニウムは本発明の製剤に添加される。塩化ベンザルコニウムの量は、本発明の製剤100ml当たり1〜50mgであり、好ましくは約7〜15mgであり、より好ましくは約9〜12mgである。しかしながら、本発明によれば、防腐剤を含まない製剤は特に好ましい。
好ましい製剤は、溶媒としてのエタノール又はエタノール/水混合物及び式の化合物に加えて、塩化ベンザルコニウム、エデト酸ナトリウム及びpHを調整するために必要な酸のみを含む。
【0011】
の化合物を含む本発明の医薬製剤は、好ましくは上述の種類の吸入器で使用されて、本発明の噴霧剤を含まないエアロゾルを生成する。ここで、上述の特許文献は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれることを再度明確に付言しておく。
最初に記載したように、好ましい吸入器のさらに改良された実施態様はWO 97/12687(特に、図6a及び6b並びに明細書の関連部分を参照)に開示されている。このネブライザー(Respimat(商標))を使用して、本発明の吸入可能なエアロゾルを生成できることは有利である。その円筒型及び使いやすいサイズのために、この装置は、患者がどこにでも持ち運ぶことができる。このネブライザーは高圧で小さなノズルを通って所定容量の医薬製剤を噴霧して、吸入可能なエアロゾルを生成する。
好ましいアトマイザーは上部ハウジング部分、ポンプハウジング、ノズル、ロッキングクランプ、スプリングハウジング、スプリング及び貯蔵容器から本質的になり、
- 上部ハウジング部分に固定され、ノズル又はノズルアレンジメントを有するノズル本体を一方の端部に有するポンプハウジング、
- バルブ本体を有する中空ピストン、
- 中空本体が固定され、かつ、上部ハウジング部分に位置するパワーテイクオフフランジ、
- 上部ハウジング部分に位置するロッキングクランピング機構、
- その中に位置するスプリングを有するスプリングハウジング(ロータリーベアリングによって上部ハウジング部分に回転できるように取りつけられている)、
- 軸方向にスプリングハウジング上に取りつけられた下部ハウジング部分によって特徴付けられる。
【0012】
バルブ本体を有する中空ピストンはWO 97/12687に開示される装置に相当する。それはポンプハウジングのシリンダーに部分的に突き出ており、そのシリンダー内で軸方向に移動可能であるように配置される。特に図1〜4、とりわけ図3及び上記国際特許出願の明細書の関連部分を参照する。スプリングの解放の瞬間に、バルブ本体を有する中空ピストンは、その高圧端部で、流体(計量された量の活性物質溶液)に5〜60Mpa(約50〜600バール)、好ましくは10〜60Mpa(約100〜600バール)の圧力を与える。1作動当たり10〜50マイクロリットルの容量が好ましく、10〜20マイクロリットルの容量がより好ましいが、10〜15マイクロリットルの容量が特に好ましい。
バルブ本体は、好ましくはノズル本体に面した中空ピストンの端部に取りつけられる。
ノズル本体のノズルは、好ましくはミクロ構造化される(mircostructured)(すなわち、マイクロ技術(microengineering)によって生成される)。ミクロ構造化ノズル本体は、例えばWO 99/16530に開示され、特に図1及び関連する記載は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0013】
ノズル本体は、例えば一緒にしっかりと固定された2枚のガラス及び/又はシリコンからなり、その少なくとも1枚は、ノズル入り口端部とノズル出口端部を繋ぐ1つ又は2つ以上のミクロ構造化チャネルを有する。ノズル出口端部に、深さが2〜10ミクロンで幅が5〜15ミクロン、好ましくは深さが4.5〜6.5ミクロンで幅が7〜9ミクロンの少なくとも1つの円形又は非円形開口部がある。
複数個、好ましくは2個のノズル開口部がある場合、ノズル本体におけるノズルの噴霧の方向は、互いに平行であってもよく、又はノズル開口部の方向において、互いに対して傾斜していてもよい。出口端部に少なくとも2個のノズル開口部を有するノズル本体の場合、噴霧の方向は、20〜160°、好ましくは60〜150°、最も好ましくは80〜100°の角度で互いに対して傾斜していてもよい。
ノズル開口部は、好ましくは10〜200ミクロン、より好ましくは10〜100ミクロン、さらにより好ましくは30〜70ミクロンの間隔で配置される。250ミクロンの間隔が最も好ましい。
したがって、噴霧の方向はノズル開口部の領域に集まる。
【0014】
すでに記載されるように、液体医薬製剤は、最大600バール、好ましくは200〜300バールの入り口圧力でノズル本体をヒットし、ノズル開口部を通って吸入可能なエアロゾルに噴霧される。エアロゾルの好ましい粒子サイズは最大20ミクロン、好ましくは3〜10ミクロンである。
ロッキングクランピング機構は、力学的エネルギーを蓄えるためのスプリング、好ましくは円筒状圧縮コイルバネを含む。このスプリングは、スプリング部材としてパワーテイクオフフランジに作用し、スプリング部材の移動はロッキング部材の位置によって決定される。パワーテイクオフフランジの移動は、上部停止及び下部停止によって正確に制限される。スプリングは、好ましくはステッピングアップギア、例えばヘリカルスライディングギアを介して、上部ハウジング部分が下部ハウジング部分のスプリングハウジングに対して回転される場合に生成される外部トルクによって伸ばされる。この場合、上部ハウジング部分とパワーテイクオフフランジは、シングル又はマルチスピードスプラインギアを含む。
かみ合うロッキング面を有するロッキング部材は、パワーテイクオフフランジのまわりに環状に配置される。それは、例えば本質的に半径方向に伸縮自在に変形可能であるプラスチック又は金属のリングからなる。このリングは、アトマイザーの軸に垂直な面に配置される。スプリングに張力をかけた後、ロッキング部材のロッキング表面は、パワーテイクオフフランジの軌道にスライドし、スプリングが解放されないようにする。ロッキング部材は、ボタンによって作動する。作動ボタンはロッキング部材と連結又は結合している。ロッキングクランピング機構を作動させるために、作動ボタンを環状面に平行に、好ましくはアトマイザーに移動させ、変形可能なリングは、これによって環状面で変形される。ロッキングクランピング機構の構造の詳細はWO 97/20590に開示される。
【0015】
下部ハウジング部分は、スプリングハウジングに対して軸方向に押され、ベアリング、スピンドルの駆動部及び流体のための貯蔵容器を覆う。
アトマイザーが作動される場合、ハウジングの上部部分は下部部分に対して回転され、下部部分はそれとともにスプリングハウジングを受け取る。一方、スプリングはヘリカルスライディングギアによって圧縮及び偏向され、クランピング機構は自動的にかみ合う。回転角は、好ましくは360°の自然数分数、例えば180℃である。スプリングが伸ばされると同時に、上部ハウジング部分のパワーテイクオフ部材は所定量進み、中空ピストンはポンプハウジングのシリンダー内部に後退し、その結果として、貯蔵容器から一部の流体をノズルの前の高圧チャンバーに吸引する。
必要に応じて、噴霧される流体を含む複数個の交換可能な貯蔵容器は、次ぎから次ぎへとアトマイザーに挿入され、そして使用される。貯蔵容器は本発明のエアロゾル製剤を含む。
噴霧プロセスは作動ボタンを徐々に押すことによって開始される。次いで、クランピング機構はパワーテイクオフ部材の道を開く。偏向されたスプリングはピストンをポンプハウジングのシリンダーに押し込む。流体はスプレーの形態でアトマイザーのノズルから出てくる。
この構造のより詳細な説明はPCT出願WO 97/12683及びWO 97/20590に開示され、それらは参照により本明細書に組み込まれる。
アトマイザー(ネブライザー)の部材は、その機能に適した材料から作られる。アトマイザーのハウジング及び機能が許せば同様に他の部分は、好ましくはプラスチックから、例えば射出成形によって作られる。医療用途で、生理学的に容認できる材料が使用される。
【0016】
WO 97/12687の図6a/bは、本発明の水性エアロゾル製剤が吸入されるのに有利であるRespimat(商標)ネブライザーを示す。
図6aは張力を受けているスプリングを有するアトマイザーの縦断面図を示し、図6bは解放されたスプリングを有するアトマイザーの縦断面図を示す。
上部ハウジング部分(51)はポンプハウジング(52)を含み、その端部にアトマイザーノズル用のホルダー(53)が取りつけられる。ホルダーには、ノズル本体(54)及びフィルター(55)がある。ロッキングクランピング機構のパワーテイクオフフランジ(56)に固定された中空ピストン(57)はポンプハウジングのシリンダーに部分的に突出している。その端部に、中空ピストンはバルブ本体(58)を有する。中空ピストンはガスケット(59)によって密封される。停止(60)は上部ハウジング部分の内部にあり、パワーテイクオフフランジは、スプリングが解放される場合にそこで停止する。停止(61)はパワーテイクオフフランジ上に位置し、パワーテイクオフフランジは、スプリングが張力を受けている場合にそこで停止する。スプリングに張力をかけた後、ロッキング部材(62)は上部ハウジング部分の停止(61)と支持体(63)の間にスライドする。作動ボタン(64)はロッキング部材に連結される。上部ハウジング部材は、マウスピース(65)で終わり、取り外し可能な保護キャップ(66)によって閉鎖される。
【0017】
圧縮バネ(68)を有するスプリングハウジング(67)はスナップ式ラグ(69)及び回転ベアリングによって上部ハウジング部分に回転できるように固定される。下部ハウジング部分(70)はスプリングハウジングを押す。噴霧される流体(72)用の取り外し可能な貯蔵容器(71)はスプリングハウジングの内部にある。貯蔵容器はストッパー(73)によって閉鎖され、それによって中空ピストンは貯蔵容器に突出し、その端部を流体中に沈める(活性物質溶液を供給する)。
機械的なカウンター用スピンドル(74)は、スプリングハウジングの外側に取りつけられる。ドライブピニオン(75)は上部ハウジング部分に面するスピンドルの端部に位置する。スライダー(76)はスピンドル上にある。
上述のネブライザーは本発明のエアロゾル製剤を噴霧して吸入に適したエアロゾルを生成するのに適している。
【0018】
別の好ましい実施態様において、本発明の医薬製剤は、WO 99/443571に記載されるようなガス及び液体密封容器内部に本発明の医薬製剤を含む取り外し可能な貯蔵容器が使用される上記ネブライザーを用いて投与される。この容器の構成の一部の詳細な説明は本明細書に記載され、以下の記載で引用される参照番号はWO 99/43571に開示されるものに一致する。以下の記載には、参照によりWO 99/43571の開示が組み込まれるものとする。
したがって、本発明の製剤を投与するために、噴霧剤を含まないアトマイザーにおいて医薬溶液用の取り外し可能なカートリッジとしてガス及び液体密封容器を使用することは特に好ましく、前記アトマイザーは、WO 99/43571に開示されるように、中空ピストンの形態で投薬出口を有し、前記容器は、
- 両端部で密封されたホイルバッグ(11、21、31)を含み、少なくとも1つの端部はバッグの軸に実質的に直角に行われたシーム溶接(13、23、32)によって閉鎖され、ホイルバッグは、容器の内部とその回りの圧力差が300hPa(300ミリバール)未満である外部圧力によって変形可能であり、
- ホイルバッグに強固に固定され、かつ、容器を投薬出口(67)に固定するための取り外し可能な接続部材として構成される本質的に固定のフランジ(15、25、34)と、
- 前記フランジのガイドチャネル(42、54)と、
- ガイドチャネルに形成される、投薬出口を囲むシーリングポイント(56、64、74)及び/又は圧力ばめ(55、66、77)と、
- 医薬液体に浸漬するために、使用中に中空ピストンが突き出るガイドチャネルの近くの液体のための移動ポイントとを有する。
【0019】
本発明の製剤は上記方法(Respimat(商標))を用いて噴霧される場合、吸入器の全作動(噴霧作動)の少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%で投与された量は、この量の25%以下、好ましくは20%の許容範囲で所定の量に一致すべきである。好ましくは、5〜30mg、より好ましくは5〜20mgの製剤は一吹き当たりの所定量として投与される。
しかしながら、本発明の製剤は、上述の吸入器以外の吸入器、例えばジェットストリーム吸入器又は超音波ネブライザーを用いて噴霧してもよい。
また、本発明は上述の本発明の医薬製剤の1つ及びこの医薬製剤を噴霧するのに適した吸入器からなる吸入キットに関するものである。好ましくは、本発明は上述の本発明の医薬製剤の1つ及び上述の器Respimat(商標)吸入からなる吸入キットに関するものである。
以下に与えられる製剤の例は、本発明の主題を一例として示された組成物に限定することなく説明として与えられる。
【実施例】
【0020】
(I.製剤の例)
100mlの医薬製剤の含有量:

【0021】
本発明の製剤は技術的に公知の方法と同様に、例えば溶媒であるエタノール又はエタノール/水に製剤の成分を溶解することによって調製される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独の活性物質として下記式の化合物と、溶媒としてエタノール又はエタノールと水の混合物と、少なくとも1つの薬理学的に容認できる酸とを含み、必要により他の薬理学的に容認できる賦形剤及び/又は錯化剤を含んでいてもよい吸入用医薬製剤。
【化1】

(式中、
-は、好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージド、スルファート、ホスファート、メタンスルホナート、ニトラート、マレアート、アセタート、シトラート、フマラート、タータラート、オキサラート、スクシナート、ベンゾアート及びp-トルエンスルホナートの中から選ばれる陰イオンを表す。)
【請求項2】
-がクロリド、ブロミド、4-トルエンスルホナート及びメタンスルホナートの中から選ばれる少なくとも1つの式の化合物を含む、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
溶媒としてエタノールと水の混合物を含み、この混合物におけるエタノールの質量割合が5〜99%の範囲である、請求項1又は請求項2記載の医薬製剤。
【請求項4】
溶媒としてエタノールと水の混合物を含み、この混合物におけるエタノールの質量割合が10〜96%の範囲である、請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項5】
薬理学的に容認できる酸が無機酸である塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸から、又は有機酸であるアスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及びプロピオン酸から選ばれる、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項6】
pHが2.5〜6.5である、請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項7】
1’の含有量が溶液100ml当たり約4〜2000mgである、請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項8】
追加の成分として錯化剤を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項9】
錯化剤の含有量が溶液100ml当たり1〜100mgである、請求項1〜請求項8のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項10】
賦形剤として塩化ベンザルコニウムを含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項記載の医薬製剤。
【請求項11】
塩化ベンザルコニウムの含有量が溶液100ml当たり1〜50mgである、請求項10記載の医薬製剤。
【請求項12】
気道障害の治療用医薬組成物を調製するための請求項1〜請求項11のいずれか1項記載の医薬製剤の使用。
【請求項13】
経口又は経鼻経路による吸入によって、請求項1〜請求項12のいずれか1項記載の医薬製剤を投与する方法。
【請求項14】
WO 91/14468の吸入器又はWO 97/12687の図6a及び6bに記載される吸入器において噴霧するための請求項1〜請求項13のいずれか1項記載の医薬製剤の使用。
【請求項15】
請求項1〜請求項14のいずれか1項記載の医薬製剤及びこの医薬製剤を噴霧するのに適した吸入器からなる吸入キット。
【請求項16】
吸入器がRespimat(商標)である請求項15項記載の吸入キット。

【公表番号】特表2007−506693(P2007−506693A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527333(P2006−527333)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010564
【国際公開番号】WO2005/030211
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】