説明

抗コリン作用薬を投与することを含む心不全の予防用又は治療用の薬剤

本発明は、抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む心不全の予防又は治療のための方法、1つ以上、好ましくは1つの抗コリン作用薬1を含む心不全の予防又は治療用の薬剤及びこれらの薬剤の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む心不全の予防又は治療のための方法、1つ以上、好ましくは1つの抗コリン作用薬1を含む心不全の予防又は治療用の薬剤及びこれらの薬剤の調製方法に関する。
【0002】
本発明は、抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含み、抗コリン作用薬1と共に薬学的に許容しうる賦形剤を投与してもよい、心不全の予防又は治療のための方法に関する。
好ましい実施態様においては、本発明は、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩、フルトロピウム塩、イプラトロピウム塩、グリコピロニウム塩及びトロスピウム塩より選ばれる抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含み、薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい、心不全の予防又は治療のための方法に関する。
上述の塩においてカチオンチオトロピウム、オキシトロピウム、フルトロピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム、トロスピウムが薬理的に活性な成分である。本特許出願の範囲内の上記のカチオンについて明らかに述べることは、番号1'の使用で示される。上述の塩1について述べることは、当然、成分1'(チオトロピウム、オキシトロピウム、フルトロピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム又はトロスピウム)にもあてはまる。本発明の範囲内で用いることができる塩1は、対イオン(アニオン)としてのチオトロピウム、オキシトロピウム、フルトロピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム又はトロスピウムに加えて、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン又はp-トルエンスルホン酸アニオンを含有する化合物を意味し、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン又はパラトルエンスルホン酸アニオンが好ましい。本発明の範囲内の全ての塩1の中でメタンスルホン酸アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオンが好ましい。トロスピウム塩が用いられる場合には、塩素アニオンが特に重要である。上文に述べたその他の塩からは、メタンスルホン酸アニオン、臭素アニオンが特に重要である。本発明によれば、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩及びイプラトロピウム塩より選ばれる塩1が特に重要である。本発明によれば、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム及び臭化イプラトロピウムより選ばれる塩1が顕著に重要である。臭化チオトロピウムが特に好ましい。上述の塩は、溶媒和物又は水和物の形で、好ましくは水和物の形で存在してもよい。臭化チオトロピウムが用いられる場合には、国際出願公開第02/30928号に開示される結晶性臭化チオトロピウム一水和物の形で存在することが好ましい。臭化チオトロピウムが無水形で用いられる場合には、国際出願公開第03/000265号に開示される結晶性臭化チオトロピウム無水物の形で存在することが好ましい。
上文に述べた抗コリン作用薬はキラル炭素中心を有してもよい。この場合、本発明による医薬組成物は、抗コリン作用薬をエナンチオマー、エナンチオマーの混合物又はラセミ体の形で含有することができる。好ましくは、キラル抗コリン作用薬は純粋なエナンチオマーの1つの形で存在する。
他の好ましい実施態様においては、本発明は、下記式1aを特徴とするLAS 34273の塩より、そのラセミ体、エナンチオマー、及び水和物の形で選ばれてもよい抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む、薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい、心不全の予防又は治療のための方法に関する。


【0003】
【化1】

【0004】
(式中、X - は、1個の負電荷をもつアニオン、好ましくはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸からなる群より選ばれるアニオンである。)
好ましくは、本発明による方法の範囲内の式1a
(式中、X - はフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、4-トルエンスルホン酸アニオン及びメタンスルホン酸アニオン、好ましくは臭素アニオンより選ばれる1個の負電荷をもつアニオンである。)
の塩が、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形で用いられてもよい。
より好ましくは、X - が塩素アニオン、臭素アニオン及びメタンスルホン酸アニオンより選ばれる1個の負電荷をもつアニオンである式1aの塩が、そのラセミ体、エナンチオマー、及び水和物の形で用いられてもよい。
本発明によれば、X - が臭素イオンである式1aの塩が特に好ましい。
下記式1a-enのエナンチオマーが本発明の方法において特に興味深い。
【0005】
【化2】

【0006】
(式中、X - は上文に述べた意味を有する。)
更に他の好ましい実施態様において、本発明は、下記式1bの化合物より選ばれる抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む心不全の予防又は治療のための方法に関する。




【0007】
【化3】

【0008】
(式中、Rはメチルか又はエチルであり、X - は上文に述べた意味を有する。)
或いは、式1bの化合物は、下記式1b-baseの遊離塩基の形で薬学的に許容しうる賦形剤と共に存在してもよい。
【0009】
【化4】

【0010】
本発明の方法において、式1b(又は1b-base)の抗コリン作用薬は、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物又はラセミ体の形で適用することができる。好ましくは、式1b(又は1b-base)の抗コリン作用薬は、R-エナンチオマーの形で適用される。
更に他の好ましい実施態様において、本発明は、式1cの化合物より選ばれる抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含み、薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい、心不全の予防又は治療のための方法に関する。












【0011】
【化5】

【0012】
(式中、Aは下記基より選ばれる二重結合基であり、
【0013】
【化6】

【0014】
X - は上文に述べた意味、好ましくは塩素イオン、臭素イオン又はメタンスルホン酸イオンを有するものであり、
R1及びR2は、同じでも異なってもよく、ヒドロキシ又はフッ素で置換されていてもよい、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルより選ばれる基、好ましくは置換されていないメチルであり、
R3、R4、R5及びR6は、同じでも異なってもよく、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、CN、CF3又はNO2であり、
R7は水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、-CH2-F、-CH2-CH2-F、-O-CH2-F、-O-CH2-CH2-F、-CH2-OH、-CH2-CH2-OH、CF3、-CH2-OMe、-CH2-CH2-OMe、-CH2-OEt、-CH2-CH2-OEt、-O-COMe、-O-COEt、-O-COCF3、-O-COCF3、フッ素、塩素又は臭素である。)
1cの化合物は、当該技術において既知である(国際出願公開第02/32899号)。
本発明の好ましい実施態様において、方法は、式1c
(式中、X - は臭素イオンであり、
R1及びR2は、同じでも異なってもよく、メチル及びエチルより選ばれる基、好ましくはメチルであり、
R3、R4、R5及びR6は、同じでも異なってもよく、水素、メチル、メチルオキシ、塩素又はフッ素であり、
R7は水素、メチル又はフッ素である。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
一般式1c
(式中、Aは下記基



【0015】
【化7】

【0016】
より選ばれる二重結合基である。)
の化合物が本発明による方法の範囲内で特に重要である。
1cの化合物は、その個々の光学異性体、個々のエナンチオマーの混合物又はラセミ体の形で投与されてもよい。
1cの次の化合物が本発明による方法の範囲内で特に重要である。
- トロペノール2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロマイド、
- スコピン2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロマイド、
- スコピン2-フルオロ-2,2-ジフェニル酢酸エステルメトブロマイド
- トロエノール2-フルオロ-2,2-ジフェニル酢酸エステルメトブロマイド。
更に他の好ましい実施態様において、本発明は、式1dの化合物より選ばれる抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む心不全の予防又は治療のための方法に関する。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
【0017】
【化8】

【0018】
(式中、A、X -、R1、R2は上文に述べた意味を有するものであり、
R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、同じでも異なってもよく、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、CN、CF3又はNO2である。但し、基R7、R8、R9、R10、R11、R12の少なくとも1つは水素ではない。)
1dの化合物は、当該技術において既知である(国際出願公開第02/32898号)。
本発明の好ましい実施態様において、本発明の方法は、式1d
(式中、Aは下記基より選ばれる二重結合基であり、
【0019】
【化9】

【0020】
X - は臭素アニオンであり、
R1及びR2は、同じでも異なってもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルであり、
R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、同じでも異なってもよく、水素、フッ素、塩素又は臭素、好ましくはフッ素である。但し、R7、R8、R9、R10、R11、R12の少なくとも1つは水素ではない。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
次の式1dの化合物が本発明の方法の範囲内で特に重要である。
- トロペノール3,3',4,4'-テトラフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
- スコピン3,3',4,4'-テトラフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
- スコピン4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
- トロペノール4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
- スコピン3,3'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
- トロペノール3,3'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド。
本発明の医薬組成物は、式1dの化合物をその個々の光学異性体、個々のエナンチオマーの混合物又はラセミ体の形で含有してもよい。
更に他の好ましい実施態様において、本発明は、下記式1eの化合物より選ばれる抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む心不全の予防又は治療のための方法に関する。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
【0021】
【化10】

【0022】
(式中、A、X - は上文に述べた意味を有し、
R15は水素、ヒドロキシ、メチル、エチル、-CF3、CHF2又はフッ素であり、
R1'及びR2'は、同じでも異なってもよく、C3-C6-シクロアルキル、ヒドロキシ又はハロゲンで置換されていてもよいC1-C5-アルキルであるか、又は
R1'とR2'とが一緒になって-C3-C5-アルキレン-架橋を示し、
R13、R14、R13'及びR14'は、同じでも異なってもよく、水素、-C1-C4-アルキル、-C1-C4-アルキルオキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンである。)
1eの化合物は、当該技術において既知である(国際出願公開第03/064419号)。
本発明の好ましい実施態様において、本発明の方法は、式1e
(式中、Aは下記基より選ばれる二重結合基であり、
【0023】
【化11】

【0024】
X - は塩素アニオン、臭素アニオン及びメタンスルホン酸アニオンより選ばれるアニオン、好ましくは臭素アニオンであり、
R15はヒドロキシ、メチル又はフッ素、好ましくはメチル又はヒドロキシであり、
R1'及びR2'は、同じでも異なってもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルであり、
R13、R14、R13'及びR14'は、同じでも異なってもよく、水素、CF3、-CHF2又はフッ素、好ましくは水素又はフッ素である。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容しうる賦形剤と共に投与してもよい。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の方法は、下記式1e
(式中、Aは下記基より選ばれる二重結合基であり、
【0025】
【化12】

【0026】
X - は臭素アニオンであり、
R15はヒドロキシ又はメチル、好ましくはメチルであり、
R1'及びR2'は、同じでも異なってもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルであり、
R13、R14、R13'及びR14'は、同じでも異なってもよく、水素又はフッ素である。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
1eの次の化合物が本発明の方法の範囲内で特に重要である:
- トロペノール9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- トロペノール9-フルオロフルオレン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- スコピン9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- スコピン9-フルオロフルオレン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- トロペノール9-メチルフルオレン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- スコピン9-メチルフルオレン-9-カルボキシレートメトブロマイド。
本発明の医薬組成物は、式1eの化合物をその個々の光学異性体、個々のエナンチオマーの混合物又はラセミ体の形で含有してもよい。
更に他の好ましい実施態様において、本発明は、下記式1fの化合物より選ばれる抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む心不全の予防又は治療のための方法に関する。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。














【0027】
【化13】

【0028】
(式中、X - は上文に述べた意味を有するものであり、
D、Bは、同じでも異なってもよく、好ましくは異なり、-O、-S、-NH、-CH2、-CH=CH、又は-N(C1-C4-アルキル)-であり、
R16は水素、ヒドロキシ、-C1-C4-アルキル、-C1-C4-アルキルオキシ、-C1-C4-アルキレン-ハロゲン、-O-C1-C4-アルキレン-ハロゲン、-C1-C4-アルキレン-OH、-CF3、CHF2、-C1-C4-アルキレン-C1-C4-アルキルオキシ、-O-COC1-C4-アルキル、-O-COC1-C4-アルキレン-ハロゲン、-C1-C4-アルキレン-C3-C6-シクロアルキル、-O-COCF3又はハロゲンであり、
R1"及びR2"は、同じでも異なってもよく、-C3-C6-シクロアルキル、ヒドロキシ又はハロゲンで置換されていてもよい-C1-C5-アルキルであるか、又は
R1"とR2"とが一緒になって-C3-C5-アルキレン架橋を示し、
R17、R18、R17'及びR18'は、同じでも異なってもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4-アルコキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンであり、
Rx及びRx'は、同じでも異なってもよく、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルオキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンであるか、又は
RxとRx'とが一緒になって単結合又は架橋-O、-S、-NH、-CH2、-CH2-CH2-、-N(C1-C4-アルキル)、-CH(C1-C4-アルキル)-及び-C(C1-C4-アルキル)2より選ばれる架橋基を示す。)
1fの化合物は、当該技術において既知である(国際出願公開第03/064418号)。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の方法は、式1f
(式中、X - は塩素イオン、臭素イオン又はメタンスルホン酸、好ましくは臭素イオンであり、
D、Bは、同じでも異なってもよく、好ましくは同じであり、-O、-S、-NH又は-CH=CH-であり、
R16は水素、ヒドロキシ、-C1-C4-アルキル、-C1-C4-アルキルオキシ、-CF3、-CHF2、フッ素、塩素又は臭素であり、
R1"とR2"は、同じでも異なってもよく、ヒドロキシ、フッ素、塩素又は臭素で置換されていてもよいC1-C4-アルキルであるか、又は
R1"とR2"とが一緒になって-C3-C4-アルキレン-架橋を示し、
R17、R18、R17'及びR18'は、同じでも異なってもよく、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルオキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素であり、
Rx及びRx'は、同じでも異なってもよく、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルオキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素であるか、又は
RxとRx'とが一緒になって単結合又は架橋-O、-S、-NH-及び-CH2-より選ばれる架橋基である。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
【0029】
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の方法は、式1f
(式中、X - は塩素アニオン、臭素アニオン、又はメタンスルホン酸アニオン、好ましくは臭素アニオンであり、
DとBは、同じでも異なってもよく、好ましくは同じであり、S又は-CH=CH-であり、
R16は水素、ヒドロキシ又はメチルであり、
R1"とR2"は、同じでも異なってもよく、メチル又はエチルであり、
R17、R18、R17'及びR18'は、同じでも異なってもよく、水素、CF3又はフッ素、好ましくは水素であり、
Rx及びRx'は、同じでも異なってもよく、水素、-CF3又はフッ素、好ましくは水素であるか、又は
RxとRx'とが一緒になって単結合又は架橋基O-である。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の方法は、式1f
(式中、X - は臭素イオンであり、
DとBは-CH=CH-であり、
R16は水素、ヒドロキシ又はメチルであり、
R1"及びR2"はメチルであり、
R17、R18、R17'及びR18'は、同じでも異なってもよく、水素又はフッ素、好ましくは水素であり、
Rx及びRx'は、同じでも異なってもよく、水素又はフッ素、好ましくは水素であるか、又は
RxとRx'とが一緒になって単結合又は架橋基O-である。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容できる賦形剤を共に投与してもよい。
1fの次の化合物が本発明の方法の範囲内で特に重要である。
- シクロプロピルトロピンベンジレートメトブロマイド;
- シクロプロピルトロピン2,2-ジフェニルプロピオネートメトブロマイド;
- シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- シクロプロピルトロピン9-メチルフルオレン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- シクロプロピルトロピン9-メチルキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシフルオレン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- シクロプロピルトロピンメチル4,4'-ジフルオロベンジレートメトブロマイド。
本発明の医薬組成物は、式1fの化合物をその個々の光学異性体、個々のエナンチオマーの混合物又はラセミ体の形で含有してもよい。
更に他の好ましい実施態様において、本発明は、下記式1gの化合物より選ばれる抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む心不全の予防又は治療のための方法に関する。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。











【0030】
【化14】

【0031】
(式中、X - は上文に述べられる意味を有し、
A'は下記基より選ばれる二重結合基であり、
【0032】
【化15】

【0033】
R19はヒドロキシ、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、-CF3、CHF2又はフッ素であり、
R1'"及びR2'"は、C3-C6-シクロアルキル、ヒドロキシ又はハロゲンで置換されていてもよいC1-C5-アルキルであるか、又は
R1'"とR2'"とが一緒になって-C3-C5-アルキレン-架橋であり、
R20、R21、R20'及びR21'は、同じでも異なってもよく、水素、-C1-C4-アルキル、-C1-C4-アルキルオキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンである。)
1gの化合物は、当該技術において既知である(国際出願公開第03/064417号)。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の方法は、式1g
(式中、A'は下記基より選ばれる二重結合基であり、
【0034】
【化16】

【0035】
X - は塩素アニオン、臭素アニオン又はメタンスルホン酸アニオン、好ましくは臭素アニオンであり、
R19はヒドロキシ又はメチルであり、
R1'"及びR2'"は、同じでも異なってもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルであり、
R20、R21、R20'及びR21'は、同じでも異なってもよく、水素、CF3、-CHF2又はフッ素、好ましくは水素又はフッ素である。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
本発明の他の好ましい実施態様において、本発明の方法は、式1g
(式中、A'は下記基より選ばれる二重結合基であり、
【0036】
【化17】

【0037】
X - は臭素アニオンであり、
R19はヒドロキシ又はメチル、好ましくはメチルであり、
R1'"及びR2'"は、メチル又はエチル、好ましくはメチルであり、
R3、R4、R3'及びR4'は、同じでも異なってもよく、水素又はフッ素である。)
の化合物を投与することを含む。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
1gの次の化合物が本発明の方法の範囲内で特に重要である
- トロペノール9-ヒドロキシキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- スコピン9-ヒドロキシキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- トロペノール9-メチルキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- スコピン9-メチルキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- トロペノール9-エチルキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- トロペノール9-ジフルオロメチルキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド;
- スコピン9-ヒドロキシメチルキサンテン-9-カルボキシレートメトブロマイド。
本発明の医薬組成物は、式1gの化合物をその個々の光学異性体、個々のエナンチオマーの混合物又はラセミ体の形で含有してもよい。
用いられるアルキル基は、特に明記しない限り、炭素原子1〜5個を有する分枝鎖又は直鎖アルキル基である。例としては、メチル、エチル、プロピル又はブチルが挙げられる。基メチル、エチル、プロピル又はブチルは、略号Me、Et、Prop又はBuで表されてもよい。特に明記しない限り、定義プロピル及びブチルには、問題の基の全ての可能な異性体の形が包含される。従って、例えば、プロピルには、n-プロピル、イソプロピルが含まれ、ブチルには、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が含まれる。
用いられるシクロアルキル基は、特に明記しない限り、炭素原子3〜6個を有する脂環基である。これらは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。本発明によれば、シクロプロピルが本発明の範囲内で特に重要である。
用いられるアルキレン基は、特に明記しない限り、炭素原子1〜5個を有する分枝鎖又は直鎖二重結合アルキル架橋である。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン又はブチレンが挙げられる。
【0038】
用いられるアルキレン-ハロゲン基は、特に明記しない限り、ハロゲンで一、二又は三置換、好ましくは二置換されていてもよい炭素原子1〜4個を有する分枝鎖又は直鎖二重結合アルキル架橋である。従って、特に明記しない限り、アルキレン-OH基という用語は、ヒドロキシで一、二又は三置換、好ましくは二置換されていてもよい炭素原子1〜4個を有する分枝鎖又は直鎖二重結合アルキル架橋である。
用いられるアルキルオキシ基は、特に明記しない限り、酸素原子を介して結合されている炭素原子1〜5個を有する分枝鎖又は直鎖アルキル基である。以下の基、例えば、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ又はブチルオキシを挙げることができる。基メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ又はブチルオキシは、略号MeO、EtO、PropO又はBuOで表されてもよい。特に明記しない限り、定義プロピルオキシ及びブチロキシには、問題の基の全ての可能な異性体の形が包含される。従って、例えば、プロピルオキシには、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシが含まれ、ブチルオキシには、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ等が含まれる。アルコキシという語は、おそらくアルキルオキシという語の代わりに本発明の範囲内で用いられることがある。基メチルオキシ、エチル、プロピルオキシ又はブチルオキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシと表されてもよい。
用いられるアルキレン-アルキルオキシ基は、特に明記しない限り、アルキルオキシ基で一、二又は三置換、好ましくは一置換されていてもよい、炭素原子1〜5個を有する分枝鎖又は直鎖二重結合アルキル架橋である。
用いられる-O-COアルキル基は、特に明記しない限り、エステル基を介して結合される炭素原子1〜4個を有する分枝鎖又は直鎖アルキル基である。アルキル基は、エステル基のカルボニル炭素に直接結合される。-O-CO-アルキルハロゲン基という用語も同様に理解されなければならない。基-O-CO-CF3は、トリフルオロアセテートである。
本発明の範囲内のハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。特に明記しない限り、フッ素及び臭素が好ましいハロゲンである。基COは、カルボニル基である。
【0039】
“治療的に有効な量”という用語は、研究者又は臨床医が求めている組織、体系、動物又はヒトの生物学的又は医学的な応答を誘発する薬剤又は医薬剤のその量を意味する。
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、チオトロピウムを、例えば、個々の服用量が0.1-80μg、好ましくは0.5-60μg、最も好ましくは約1-50μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、2.5μg、5μg、10μg、18μg、20μg、36μg又は40μgのチオトロピウム(カチオンに基づく計算)を一回量につき投与することができる。
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、オキシトロピウムを、例えば、個々の服用量が1-300μg、好ましくは5-250μg、最も好ましくは約15-200μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、15μg、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg、95μg、105μg、115μg、125μg、135μg、145μg、155μg、165μg、175μg、185μg又は195μgのオキシトロピウム(カチオンに基づく計算)を一回量につき投与することができる。好ましくは、上述の服用量を1日1回、2回又は3回、好ましくは1日2回又は3回投与する。
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、フルトロピウムを、例えば、個々の服用量が1-300μg、好ましくは5-250μg、最も好ましくは約15-200μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、15μg、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg、95μg、105μg、115μg、125μg、135μg、145μg、155μg、165μg、175μg、185μg又は195μgのフルトロピウム(カチオンに基づく計算)を一回量につき投与することができる。好ましくは、上述の服用量を1日1回、2回又は3回、好ましくは1日2回又は3回投与する。
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、イプラトロピウムを、例えば、個々の服用量が1-300μg、好ましくは5-250μg、最も好ましくは約20-200μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg、95μg、105μg、115μg、125μg、135μg、145μg、155μg、165μg、175μg、185μg又は195μgのイプラトロピウム(カチオンに基づく計算)を一回量につき投与することができる。好ましくは、上述の服用量を1日2回、3回又は4回、好ましくは1日2回又は3回、最も好ましくは1日3回投与する。
【0040】
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、グリコピロニウムを、例えば、個々の服用量が1-300μg、好ましくは5-250μg、最も好ましくは20-200μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg、95μg、105μg、115μg、125μg、135μg、145μg、155μg、165μg、175μg、185μg又は195μgのグリコピロニウム(カチオンに基づく計算)を一回量につき投与することができる。好ましくは、上述の服用量を1日1回、2回又は3回、好ましくは1日2回又は3回投与する。
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、式1cの化合物を、例えば、個々の服用量が1-300μg、好ましくは5-250μg、最も好ましくは約20-200μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg、95μg、105μg、115μg、125μg、135μg、145μg、155μg、165μg、175μg、185μg又は195μgの1c'を一回量につき投与することができる。
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、式1dの化合物を、例えば、個々の服用量が1-300μg、好ましくは5-250μg、最も好ましくは約20-200μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg、95μg、105μg、115μg、125μg、135μg、145μg、155μg、165μg、175μg、185μg又は195μgの1d'を一回量につき投与することができる。好ましくは、上述の服用量を1日1回又は2回、好ましくは1日1回投与する。
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、式1eの化合物を、例えば、個々の服用量が1-250μg、好ましくは5-150μg、最も好ましくは約10-100μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、15μg、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg又は95μgの1e'を一回量につき投与することができる。好ましくは、上述の服用量を1日1回又は2回、好ましくは1日1回投与する。
【0041】
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、式1eの化合物を、例えば、個々の服用量が1-300μg、好ましくは5-150μg、最も好ましくは約20-200μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg、95μg、105μg、115μg、125μg、135μg、145μg、155μg、165μg、175μg、185μg又は195μgの1f'を一回量につき投与することができる。好ましくは、上述の服用量を1日1回又は2回、好ましくは1日1回投与する。
例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、本発明による方法において、式1gの化合物を、例えば、個々の服用量が1-250μg、好ましくは5-150μg、最も好ましくは約10-100μgを含有するような量で投与することができる。例えば、また、本発明の範囲をそれに限定せずに、15μg、25μg、35μg、45μg、55μg、65μg、75μg、85μg又は95μgの1g'を一回量につき投与することができる。好ましくは、上述の服用量を1日1回又は2回、好ましくは1日1回投与する。
本発明の範囲内で、化合物1'について述べることは塩1に含まれる薬理的に活性なカチオンについて述べることとみなされるべきである。これらは、カチオンチオトロピウム、オキシトロピウム、フルトロピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウム、トロスピウム又は次式のカチオンである。












【0042】
【化18】

【0043】
心不全は、心臓の筋肉(心筋)の収縮性が、心臓の血管の動脈硬化症(冠状動脈疾患)、遺伝子疾患、肺疾患から生じる循環障害(肺高血圧症)を含む種々の理由により損なわれる心臓の一般的な疾患である。
心不全の代償不全は、肺水腫、著しい死亡率を有する深刻な急性病態に至る。心不全を改善するチオトロピウムの可能性は、肺水腫の発症に対するチオトロピウムの保護作用を示すものである。
従って、他の実施態様において、本発明は、抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む、上文に述べた抗コリン作用薬の1つ以上、好ましくは1つの治療的に有効な量を投与することを含む、肺水腫、好ましくは心不全に関連する肺水腫の予防又は治療のための方法に関する。薬学的に許容しうる賦形剤を共に投与してもよい。
心房細動は、心不全の典型的な合併症である。心臓の収縮性が損なわれたことによるうっ血は心臓の前庭の筋線維を伸ばし、リエントリー性頻拍のようなリズム異常の引き金になる細胞の電気不安定性の潜在的結果が心房粗動又は心房性細動を生じる。つまり、抗コリン作用薬1による心不全の改善は、心房細動のリスクを低下させる。従って、他の実施態様において、本発明は、抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含む、上文に述べた抗コリン作用薬の1つ以上、好ましくは1つの治療的に有効な量を投与することを含む心房細動の予防又は治療のための方法に関する。薬学的に許容できる賦形剤を共に投与してもよい。
本発明による方法において、抗コリン作用薬の治療的に有効な量は、他の有効成分2の治療的に有効な量と共に投与されてもよい。好ましくは、第二の有効成分はβ2作動薬(β模倣薬(betamimetics)とも呼ばれる)、PDEIV-阻害剤、吸入コルチコステロイド又はLTB4-拮抗薬より選ばれる。
上述の薬剤併用において、活性物質は、単一製剤で組合わせてもよく、2つの別個の製剤に含有してもよい。
【0044】
本発明による方法の範囲内で、好ましくは、β2作動薬が抗コリン作用薬と同時投与される。本発明によるこれらの併用において好ましいβ2作動薬2は、アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、クレンブテロール、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、イソエタリン、イソプレナリン、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテレノール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメテロール、サルメファモール、ソテレノット、スルホンテロール、チアラミド、テルブタリン、トルブテロール、CHF-1035、HOKU-81、KUL-1248、3-(4-{6-[2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルフェニル)エチルアミノ]ヘキシルオキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、5-[2-(5,6-ジエチルインダン-2-イルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン、4-ヒドロキシ-7-[2-{[2-{[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]-2(3H)-ベンゾチアゾロン、1-(2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[3-(4-メトキシベンジルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-n-ブチルオキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-{4-[3-(4-メトキシフェニル)-1,2,4-トリアゾル-3-イル]-2-メチル-2-ブチルアミノ}エタノール、5-ヒドロキシ-8-(1-ヒドロキシ-2-イソプロピルアミノブチル)-2H-1,4-ベンゾキサジン-3-(4H)-オン、1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチルフェニル)-2-tert-ブチルアミノ)エタノール及び1-(4-エトキシカルボニルアミノ-3-シアノ-5-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタノールからなる群より、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び薬理的に許容しうる酸付加塩及びそれらの水和物の形で選ばれてもよい。
【0045】
本発明によれば、より好ましいβ2作動薬2は、バンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、サルメテロール、スルホンテルオル、テルブタリン、トルブテロール、3-(4-{6-[2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルフェニル)エチルアミノ]ヘキシルオキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、5-[2-(5,6-ジエチルインダン-2-イルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン、4-ヒドロキシ-7-[2-{[2-{[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]-2(3H)-ベンゾチアゾロン、1-(2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[3-(4-メトキシベンジルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-n-ブチルオキシフェニル)-2-メチル2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-{4-[3-(4-メトキシフェニル)-1,2,4-トリアゾル-3-イル]-2-メチル-2-ブチルアミノ}エタノール、5-ヒドロキシ-8-(1-ヒドロキシ-2-イソプロピルアミノブチル)-2H-1,4-ベンゾキサジン-3-(4H)-オン、1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチルフェニル)-2-tert-ブチルアミノ)エタノール及び1-(4-エトキシカルボニル-3-シアノ-5-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタノールからなる群より、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及び薬理的に許容しうる酸付加塩及びそれらの水和物の形で選ばれてもよい。
【0046】
より好ましくは、本発明による組成物の範囲内で用いられるβ模倣薬2は、フェノテロール、フォルモテロール、サルメテロール、3-(4-{6-[2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルフェニル)エチルアミノ]ヘキシルオキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、5-[2-(5,6-ジエチルインダン-2-イルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン、1-[3-(4-メトキシベンジルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル2-ブチルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-n-ブチルオキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-{4-[3-(4-メトキシフェニル)-1,2,4-トリアゾル-3-イル]-2-メチル-2-ブチルアミノ}エタノールより、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの薬理的に許容できる酸付加塩、及びそれらの水和物の形で選ばれてもよい。上述のβ模倣薬の中で、化合物フォルモテロール、サルメテロール、3-(4-{6-[2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルフェニル)エチルアミノ]ヘキシルオキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド及び5-[2-(5,6-ジエチルインダン-2-イルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オンのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの薬理的に許容しうる酸付加塩、及びそれらの水和物の形が特に好ましい。上述のβ模倣薬の中で、化合物フォルモテロール及びサルメテロールのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの薬理的に許容しうる酸付加塩及びそれらの水和物の形が特に好ましい。
本発明によるβ模倣薬2の薬理的に許容しうる酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、4-フェニルケイ皮酸、5-(2.4-ジフルオロフェニル)サリチル酸又はマレイン酸塩より選ばれる薬学的に許容しうる塩である。所望される場合には、上記の酸の混合物は、塩2を調製するために用いることができる。
【0047】
本発明によれば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、4-フェニルケイ皮酸塩、5-(2.4-ジフルオロフェニル)サリチル酸塩、マレイン酸塩及びキシナホ酸塩より選ばれるβ模倣薬2の塩が好ましい。サルメテロールの場合には塩酸塩、硫酸塩、4-フェニルケイ皮酸塩、5-(2.4-ジフルオロフェニル)サリチル酸塩及びキシナホ酸塩より選ばれる2の塩が特に好ましく、4-フェニルケイ皮酸塩、5-(2.4-ジフルオロフェニル、サリチル酸塩及び特にキシナホ酸塩が特に重要である。フォルモテロールの場合には塩酸塩、硫酸塩及びフマル酸塩より選ばれる2の塩が特に好ましく、塩酸塩、フマル酸塩が特に好ましい。本発明によればフマル酸ホルモテロールが例外的に重要である。
本発明によるβ模倣薬2としてサルメテロール、フォルモテロール、3-(4-{6-[2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルフェニル)エチルアミノ]ヘキシルオキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、及び5-[2-(5,6-ジエチルインダン-2-イルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オンの塩を用いることが好ましい。本発明によればサルメテロール塩、フォルモテロール塩が特に重要である。β模倣薬2の用語について述べることは、その関連したエナンチオマー又は混合物についてもあてはまる。
本発明による医薬組成物において、化合物2はそれらのラセミ体、エナンチオマー又はそれらの混合物の形で存在することができる。エナンチオマーのラセミ体からの分離は、当該技術において既知の方法を用いて行われることができる(例えば、キラル相等によるクロマトグラフィーによって)。化合物2がそれらのエナンチオマーの形で用いられる場合には、C-OH基にR配置のエナンチオマーを用いることが特に好ましい。
一例として、本発明による最も好ましい化合物2、サルメテロールとフォルモテロールの塩について述べることは、R-サルメテロール、S-サルメテロール、R,R-フォルモテロール、S,S-フォルモテロール、R,S-フォルモテロール、S,R-フォルモテロール及びそれらの混合物の関連したエナンチオマーの塩にもあてはまり、R-サルメテロールとR,R-フォルモテロールのエナンチオマーの塩が特に重要である。化合物2は、また、本発明に従ってそれらの水和物又は溶媒和物の形で存在することができる。
【0048】
本発明が塩の形でないβ模倣薬を示す場合には、化合物2'についても述べることを意味する。例えば、塩の形でない本発明による好ましいβ模倣薬2'にはフォルモテロール、サルメテロールの遊離塩基が含まれるが、本発明による特に好ましい化合物2は、キシナホ酸サルメテロール又はフマル酸フォルモテロールである。
本発明の範囲内のβ模倣薬2は、おそらく交感神経興奮剤又はベータ-2-作動薬(β2-作動薬)と呼ばれてもよい。これらの用語は全て、本発明のために同じ意味とみなされるべきである。
本発明による方法の範囲内のステロイドは、抗コリン作用薬と同時投与されることが好ましい。本発明によるこれらの併用における好ましいステロイド2は、メチルプレドニソロン、プレドニゾン、プロピオン酸ブチキソコルト、RPR-106541、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニド、ロフレポニド、ST-126、デキサメサゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸(S)-フルオロメチルエステル、及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸(S)-(2-オキソテトラヒドロフラン-3S-イル)エステルより選ばれる化合物からなる群より選ばれる。
好ましくは、ステロイド2は、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニド、ロフレポニド、ST-126、デキサメサゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸(S)-フルオロメチルエステル、及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸(S)-(2-オキソテトラヒドロフラン-3S-イル)エステルより選ばれる。より好ましくは、ステロイド2は、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニド、及び6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸酸(S)-フルオロメチルエステルより選ばれ、より好ましくは、ステロイド2は、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニドより選ばれる。
【0049】
本発明の範囲内のステロイド2について述べることは、ステロイドから形成することができる塩又は誘導体にもあてはまる。可能な塩又は誘導体の例としては、ナトリウム塩、スルホ安息香酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、二水素リン酸塩、パルミチン酸塩、ピバル酸塩又はフラン酸塩が挙げられる。場合によっては、ステロイド2は、それらの水和物の形で存在してもよい。本発明の範囲内のステロイド2についてのべることは、それらのジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物の形で又はラセミ体の形でのステロイド2にもあてはまる。
本発明は、また、心不全の予防又は治療用の医薬組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。本発明は、また、肺水腫、好ましくは心不全に関連する肺水腫の予防又は治療用の医薬品組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。本発明は、また、心房細動の予防又は治療用の医薬組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。
本発明は、好ましくは、心不全の予防用の医薬組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。更にまた、本発明は、好ましくは、肺水腫、好ましくは心不全に関連する肺水腫の予防用の医薬組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。更にまた、本発明は、好ましくは、心房細動の予防用の医薬組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。
他の好ましい実施態様において、本発明は、心不全の治療用の医薬組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。他の好ましい実施態様において、本発明は、好ましくは、肺水腫、好ましくは心不全に関連する肺水腫の治療用の医薬組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。他の好ましい実施態様において、本発明は、好ましくは、心房細動の治療用の医薬組成物を調製するための塩1の治療的に有効な量の使用に関する。
本発明による方法の範囲内の抗コリン作用薬及び他の有効成分は、好ましくは吸入によって投与される。本発明による吸入用製剤としては、吸入用粉末、噴射剤含有定量エアゾール又は噴射剤を含有しない吸入用溶液が挙げられる。活性物質を含有する本発明による吸入用粉末は、活性物質だけ又は活性物質と生理的に許容しうる賦形剤との混合物からなってもよい。本発明の範囲内の担体という用語は、賦形剤という用語の代わりに用いられてもよい。本発明の範囲内の噴射剤を含有しない吸入用溶液という用語には、また、濃縮物又は用時調製吸入用滅菌溶液が含まれる。本発明の範囲内で用いることができるこれらの製剤は、明細書の次の部分で更に詳細に記載される。
【0050】
A) 吸入用粉末:
本発明による吸入用粉末は、1(2と併用してもよい)だけで又は適切な生理的に許容しうる賦形剤と混合して含有することができる。活性物質1(2と併用してもよい)が生理的に許容しうる賦形剤と混合して存在する場合には、本発明による吸入用粉末を調製するために次の生理的に許容しうる賦形剤: 単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクロース、サッカロース、マルトース、トレハロース)、オリゴ糖類又は多糖類(例えば、デキストラン)、多価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、シクロデキストリン、(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、χ-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤と互いの混合物を用いることができる。好ましくは単糖類又は二糖類が用いられ、ラクトース、トレハロース又はグルコースの使用が好ましく、特に、全部ではないが水和物の形で用いられる。
本発明による吸入用粉末の範囲内の賦形剤の最大平均粒径は、250μmまで、好ましくは10〜150μm、最も好ましくは15〜80μmである。上記賦形剤に平均粒径が1〜9μmの微細な賦形剤部分を加えることがしばしば適切であると思われることがある。これらの微細な賦形剤は、可能な上記賦形剤の群より選ばれる。最後に、本発明による吸入用粉末を調製するために、平均粒径が、好ましくは0.5〜10μm、更に好ましくは1〜6μmの微粉化活性物質が賦形剤混合物に添加される。粉砕し微粉化し、最後にそれらの成分を共に混合することによる、本発明の吸入用粉末を製造する方法は、従来技術から既知である。
本発明による吸入用粉末は、従来技術から既知の吸入器を用いて投与することができる。1に加えて生理的に許容しうる賦形剤を含有する本発明による吸入用粉末は、例えば、米国特許出願第4570630号に記載される計量チャンバを用いて又はドイツ特許出願第36 25 685号に記載される他の手段によって供給部から一回量を送り出す吸入器によって投与することができる。1を生理的に許容しうる賦形剤と共に含有してもよい本発明の吸入用粉末は、例えば、名称Turbuhaler(登録商標)で知られる吸入器を用いて又は、例えば、欧州特許第237507号に開示される吸入器を用いて投与することができる。好ましくは、1に加えて生理的に許容しうる賦形剤を含有する本発明の吸入用粉末は、例えば、国際出願公開第94/28958号に記載される吸入器に用いられるカプセル(いわゆるインハレットを製造するために)へ充填される。
本発明による方法の範囲内の上記医薬品を用いるのに特に好ましい吸入器を図1に示す。
カプセルから粉末医薬組成物を吸入するこの吸入器は、2つの窓2を有するハウジング1、空気注入口があり且つスクリーンハウジング4によって固定されたスクリーン5を備えているデッキ3と、2つの鋭いピン7とスプリング8に対して可動カウンタを備えた押しボタンがあるデッキ3に接続した吸入チャンバ6、及びハウジング1、デッキ3と、ぱっと開いたり閉じたりすることを可能にするスピンドル10によるカバー11に接続したマウスピース12、並びに流動抵抗を調整するエアスルーホール13を特徴とする。
本発明の吸入用粉末を上記好ましい使用のカプセル(吸入器)へ充填する場合には、各カプセルへ充填する量は、1カプセル当たり1〜30mgでなければならない。
【0051】
B) 噴射剤ガス駆動吸入エアゾール:
本発明による噴射剤ガスを含有する吸入エアゾールは、噴射剤ガスに溶解した又は分散した形の物質1を含有することができる。本発明による吸入エアゾールを調製するために用いることができる噴射剤ガスは、従来技術から既知である。適切な噴射剤ガスは、n-プロパン、n-ブタン又はイソブタンのような炭化水素又はメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ素化誘導体のようなハロゲン炭化水素より選ばれる。上記噴射剤ガスは、それだけで又はその混合物で用いることができる。特に好ましい噴射剤ガスは、TG11、TG12、TG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)及びTG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びそれらの混合物より選ばれたハロゲン化アルカン誘導体であり、噴射剤ガスTG134a、TG227及びそれらの混合物が好ましい。
本発明による噴射剤駆動吸入エアゾールは、共溶媒、安定剤、界面活性剤、抗酸化剤、滑沢剤又はpH調整剤のような他の成分を含むことができる。これらの成分はすべて当該技術において既知である。
本発明の噴射剤を含む吸入エアゾールは、5 wt.%までの活性物質1を含有することができる。本発明によるエアゾールは、例えば、0.002〜5 wt.%、0.01〜3 wt.%、0.015〜2 wt.%、0.1〜2 wt.%、0.5〜2 wt.%又は0.5〜1 wt.%の活性物質1を含有する。
活性物質1が分散された形で存在する場合には、活性物質粒子の平均粒径は、10μmまで、好ましくは0.1〜5μm、更に好ましくは1〜5μmであることが好ましい。
上記本発明による噴射剤駆動吸入エアゾールは、当該技術において既知の吸入器(MDI = 定量吸入器)を用いて投与することができる。
従って、他の態様において、本発明は、これらのエアゾールを投与するのに適した1つ以上の吸入器と組合わせた上記噴射剤駆動エアゾールの形での医薬組成物に関する。更に、本発明は、本発明による上記噴射剤ガス含有エアゾールを含有することを特徴とする吸入器に関する。本発明は、また、適切な吸入器に用いることができる適切なバルブを備えるとともに本発明による上記噴射剤ガス含有吸入エアゾールの1つを含有するカートリッジに関する。適切なカートリッジ及びこれらのカートリッジを本発明の噴射剤ガスを含有する吸入用エアゾールで充填する方法は従来技術から既知である。
【0052】
C) 噴射剤を含有しない吸入用溶液又は懸濁液:
本発明による噴射剤を含有しない吸入用溶液や懸濁液は、例えば、水性又はアルコール溶媒、好ましエタノール溶媒、水性溶媒と混合したエタノール溶媒を含有する。水/エタノール溶媒混合物を用いる場合には、水と比較したエタノールの相対割合は制限されず、最大が70容量%まで、特に60容量%までのエタノールである。残りの容量は水を利用する。1を含有する溶液又は懸濁液は、適切な酸を用いてpH2〜7、好ましくは2〜5に調整される。pHは無機又は有機酸より選ばれた酸を用いて調整することができる。特に適切な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に適切な有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸が挙げられる。好ましい無機酸は、塩酸や硫酸である。酸付加塩を既に形成された酸を活性物質の1つと用いることも可能である。有機酸の中で、アスコルビン酸、フマル酸、クエン酸が好ましい。所望される場合には、特に酸化する性質のほかに他の性質を、例えば、香味剤、抗酸化剤又は錯化剤としてもつ酸、例えば、クエン酸又はアスコルビン酸の場合に上記酸の混合物を用いることができる。本発明によれば、pHを調整するために塩酸を用いることが特に好ましい。
本発明によれば、安定剤又は錯化剤としてエデト酸(EDTA)又はその既知の塩の1つ、エデト酸ナトリウムの添加は本発明に不要である。他の実施態様は、この化合物又はこれらの化合物を含有することができる。好適実施態様においては、エデト酸ナトリウムに基づく含量は100mg/100ml未満、好ましくは50mg/100ml未満、更に好ましくは20mg/100ml未満である。一般的には、エデト酸ナトリウムの含量が0〜10mg/100mlである吸入用溶液が好ましい。
共溶媒及び/又は他の賦形剤は本発明による噴射剤を含有しない吸入用溶液に添加することができる。好ましい共溶媒は、ヒドロキシル基又は他の極性基を有するもの、例えば、アルコール-特にイソプロピルアルコール、グリコール-特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール又はポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。これに関連した賦形剤や添加剤という用語は、活性物質でなく、活性物質製剤の定性的性質を改善するために生理的に適切な溶媒中で1つ又は複数の物質と配合され得る薬理的に許容しうる物質を意味する。好ましくは、これらの物質は、薬理作用がなく、所望の治療に関連して認知できる薬理作用がなく、少なくとも望ましくない薬理作用がない。賦形剤や添加剤としては、大豆レシチン、オレイン酸、ソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート、ポリビニルピロリドンのような界面活性剤、他の安定剤、錯化剤、最終医薬製剤の寿命を保証又は延長する抗酸化剤及び/又は保存剤、香味剤、ビタミン及び/又は当該技術において既知の他の添加剤が含まれる。添加剤には、また、等張剤として塩化ナトリウムのような生理的に許容しうる塩が含まれる。好ましい賦形剤としては、pH、ビタミンA、ビタミンE、トコフェノロ−ル又はヒト体内で生じる同様のビタミン又はプロビタミンを調整するために既に用いられていなければ、例えば、アスコルビン酸のような抗酸化剤が含まれる。
【0053】
保存剤は、病原体による汚染から製剤を保護するために用いることができる。適切な保存剤は、当該技術において既知のもの、特に塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸又は安息香酸ナトリウムのような安息香酸塩の従来技術より既知の濃度のものである。上記保存剤は、好ましくは50mg/100mlまで、更に好ましくは5〜20mg/100mlの濃度で存在する。
好ましい製剤は、溶媒の水と活性物質1に加えて、塩化ベンザルコニウムとエデト酸のみを含有する。他の好適実施態様において、エデト酸ナトリウムは存在しない。
本発明による噴射剤を含有しない吸入用溶液は、特に治療的吸入に適したエアゾールを生じる数秒以内で少量の液体製剤を治療的必要量で噴射させることができる種類の吸入器を用いて投与される。本発明の範囲内の好ましいネブライザは、エアゾールの吸入用部分が治療的に有効な量に相当するようにして100μl未満、好ましくは50μl未満、更に好ましくは20〜30μlの活性物質溶液の量を、好ましくは1回の噴霧作用で平均粒径が20μm未満、好ましくは10μm未満のエアゾールを形成するように噴射させることができるものである。
吸入用液体医薬組成物の定量の噴射剤を含まずに送り出すこの種類の装置は、例えば、国際出願公開第91/14468号や国際出願公開第97/12687号(特に図6aと図6bを参照のこと)に記載されている。その中に記載されているネブライザ(装置)はRespimat(登録商標)の名前で知られている。
このネブライザ(Respimat(登録商標))は、活性物質1を含有する本発明の吸入用エアゾールを生じるように有利に用いることができる。形が円筒状であり、便利なサイズの長さが9cm未満から15cmまで、幅が2〜4cmであることから、患者がその装置をどこにでも運ぶことができる。ネブライザによって、吸入用エアゾールを生じるように小さなノズルを通って高圧を用いて一定量の医薬製剤がスプレーされる。
好ましいアトマイザは、本質的にハウジング上部と、ポンプハウジングと、ノズルと、ロッキングメカニズムと、スプリングハウジングと、スプリングと、貯蔵容器とからなり、
- 該ハウジング上部に固定されかつ一端に該ノズル又はノズル配置をもつノズルボディを含むポンプハウジング、
- バルブボディをもつ中空プランジャ、
- 該中空プランジャが固定され且つ該ハウジング上部内にあるパワーテイクオフフランジ、
- 該ハウジング上部内にあるロッキングメカニズム、
- 回転軸受によって該ハウジング上部に回転可能に取り付けられた、スプリングがその中にあるスプリングハウジング、
- スプリングハウジングに軸方向に取り付けられたハウジング下部
を特徴とする。
【0054】
バルブボディをもつ中空プランジャは、国際出願公開第97/12687号に開示された装置に対応している。ポンプハウジングのシリンダの中に部分的に突出し、シリンダ内で軸方向に移動可能である。特に図1〜図4、特に図3と説明の関連部分に言及されている。スプリングが作動する時にバルブボディをもつ中空プランジャによって5〜60 Mpa(約50〜600 bar)、好ましくは10〜60 Mpa(約100〜600 bar)が液体、計量の活性物質溶液に高圧の最後に加えられる。1スプレーにつき10〜50μlの容量が好ましくは、10〜20μlの容量が更に好ましく、15μlの容量が最も好ましい。
バルブボディは、ノズルボディに面した中空プランジャの端に取り付けられていることが好ましい。
ノズルボディ内のノズルは微細構造であること、即ち、マイクロテクノロジーによって製造されることが好ましい。微細構造バルブボディは、例えば、国際出願公開第94/07607号に開示され、その明細書の内容、特にその中の図1と、関連がある説明は本願明細書に含まれるものとする。
ノズルボディは、例えば、2枚のシートが一緒に固定されたガラス及び/又はシリコンからなり、少なくとも1枚はノズル入口端をノズル出口端に接続する1以上の微細構造チャンネルを有する。ノズル出口端に深さ2〜10μm(ミクロン)、幅5〜15μm(ミクロン)の少なくとも1つの丸い又は丸くない穴があり、深さ4.5〜6.5μm(ミクロン)、長さ7〜9μm(ミクロン)が好ましい。
ノズル穴が複数、好ましくは2つある場合には、ノズルボディのノズルの噴霧の向きは互いに平行してもよく、ノズル穴の向きに互いに傾斜してもよい。出口端に少なくとも2つのノズル穴をもつノズルボディにおいては、噴霧の向きは互いに20〜160oの角度、好ましくは60〜150oの角度、最も好ましくは80〜100oの角度であってもよい。ノズル穴は、好ましくは10〜200μm(ミクロン)の間隔、更に好ましくは10〜100μm(ミクロン)の間隔、最も好ましくは30〜70μm(ミクロン)で配列している。50μm(ミクロン)の間隔が最も好ましい。それ故、噴霧の向きはノズル穴の領域に適合する。
液体医薬製剤は600 barまで、好ましくは200〜300 barのエントリー圧でノズルボディに当たり、ノズル穴を通って吸入用エアゾールへ噴霧される。エアゾールの好ましい粒子径又は小滴は20μm(ミクロン)まで、好ましくは3〜10μm(ミクロン)である。
ロッキングメカニズムは、機械エネルギーの貯蔵としてスプリング、好ましくは円筒形圧縮コイルばねを有する。スプリングは、ロッキング部分の位置で決まる動きを作動部分としてのパワーテイクオフフランジに作用する。パワーテイクオフフランジの移動は上止め具と下止め具によって正確に制限される。スプリングは、好ましくは、パワーステップアップギア、例えば、ヘリカルスラストギアを介してハウジング上部がハウジング下部のスプリングハウジングに対して回転するときに生じる外部トルクによってバイアスがかかる。この場合、ハウジング上部とパワーテイクオフフランジは単一又は複数のV形ギアを有する。
【0055】
ロッキング面が係合しているロッキング部分は、パワーテイクオフフランジの周りにリングで配列している。例えば、固有に半径方向に弾性的に変形可能であるプラスチック又は金属のリングからなる。リングはアトマイザ軸に対して垂直な角度の面に配列している。スプリングにバイアスがかけられた後、ロッキング部分のロッキング面はパワーテイクオフフランジの通路に移動し、スプリングが緩むのを防止する。ロッキング部分はボタンによって作動する。作動ボタンはロッキング部分に接続又は結合している。ロッキングメカニズムを作動させるために、作動ボタンを環状面に平行に、好ましくはアトマイザの中に移動し、それにより変形可能リングが環状面で変形する。ロッキングメカニズムの構成の詳細は、国際出願公開第97/20590号に記載されている。
ハウジング下部は、スプリングハウジング上に軸方向に押され、取付部と、スピンドルの駆動部と、液体用貯蔵容器とを包含している。
アトマイザが作動したとき、ハウジングの上部はスプリングハウジングを保持している下部に相対して回転する。それによりスプリングが圧縮し、コイルスラストギアによってバイアスがかけられ、ロッキングメカニズムが自動的に係合する。回転角度は、好ましくは360度の整数部分、例えば、180度である。スプリングにバイアスがかかると同時に、ハウジング上部のパワーテイクオフ部分が一定距離だけ移動し、中空プランジャがポンプハウジングのシリンダー内に引っ張られ、結果として貯蔵容器から液体の一部がノズルの前の高圧チャンバへ吸引される。
所望される場合、噴霧させるべき液体を含有する多くの取り替え可能な貯蔵容器をアトマイザへ次々に押入れ、続けて用いることができる。貯蔵容器は、本発明による水性エアゾール製剤を含有する。噴霧プロセスは、作動ボタンを弱く押圧することにより開始する。結果として、ロッキングメカニズムがパワーテイクオフ部分の通路を開放する。バイアスをかけたスプリングがプランジャを押してポンプハウジングのシリンダーへ入る。液体がアトマイザのノズルから噴霧の形で出る。
構成の詳細は、本願明細書に含まれるものとする国際出願公開第97/12683号と同第97/20590号に開示されている。
アトマイザ(ネブライザ)の部品は、その機能に適した材料から製造されている。アトマイザのハウジングと動作が可能である場合には他の部分もプラスチックから、例えば、射出成形によって製造されることが好ましい。医療用の場合、生理的に安全な材料が用いられる。
国際出願公開第97/12687号の図6a/bは、本発明の水性エアゾール製剤を吸入させるために有利に使用し得るRespimat(登録商標)ネブライザを示した図である。国際出願公開第97/12687号の図6aは、スプリングにバイアスがかけられたアトマイザの中の縦断面図であり、国際出願公開第97/12687号の図6bはスプリングが緩んだアトマイザの中の縦断面図である。
【0056】
ハウジング上部(51)はポンプハウジング(52)を有し、その端にアトマイザノズルのためのホルダ(53)が取り付けられる。ホルダ内にノズルボディ(54)とフィルタ(55)がある。ロッキングメカニズムのパワーテイクオフフランジ(56)に固定された中空プランジャ(57)がポンプハウジングのシリンダの中に一部突出する。その端に中空プランジャがバルブボディ(58)を備えている。中空プランジャはシール(59)によって密封される。スプリングが緩んだときにパワーテイクオフフランジが載っている止め具(60)はハウジング上部内側にある。スプリングのバイアスがかけられたときにパワーテイクオフフランジが載っている止め具(61)はパワーテイクオフフランジ上にある。スプリングにバイアスがかけられた後、ロッキング部分(62)は止め具(61)とハウジング上部の支持体(63)との間に移動する。作動ボタン(64)はロッキング部分に接続する。ハウジング上部の端は口金(65)であり、載置し得る保護カバー(66)によって密封される。
圧縮スプリング(68)をもつスプリングハウジング(67)は、スナップインラグ(69)と回転軸受によってハウジング上部に回転可能に取り付けられる。ハウジング下部(70)は、スプリングハウジングの上に押される。スプリングハウジング内部に噴霧すべき液体(72)の取り替え可能な貯蔵容器(71)がある。貯蔵容器はストッパ(73)で密封され、中空プランジャが貯蔵容器の中に突出し、その端が液体(活性物質溶液の供給部)に浸漬する。
機械的カウンタのスピンドル(74)はスプリングハウジングの外側に取り付けられる。駆動ピニオン(75)はハウジング上部に面したスピンドルの端にある。スピンドル上にスライダ(76)がある。
上記ネブライザは、吸入に適したエアゾールを生じる本発明のエアゾール製剤を噴霧させるのに適する。
本発明による製剤を上記方法(Respimat(登録商標))を用いて噴霧させる場合には、吸入器の全動作(スプレー動作)のすべての少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%で追い出される量は、許容する一定量がこの量の25%以下、好ましくは20%に対応しなければならない。好ましくは5〜30mg、最も好ましくは5〜20mgの製剤が各動作に対する一定質量として送り出される。
しかしながら、本発明の製剤は上記以外の吸入器、例えば、ジェットストリーム吸入器又は他の固定ネブライザを用いて噴霧させることもできる。
以下の実施例は、本発明の範囲を一例としての以下の実施態様に制限せずに詳細に本発明を説明するためのものである。
【0057】
製剤の実施例
当該技術において既知である方法に同様にして得ることができる、製剤の以下の実施例は、これらの実施例の内容に限定せずに更に十分に本発明を示すためのものである。以下の実施例において、立体異性体的に純粋な形は、有効成分として用いられる。
吸入用粉末:




1)

2)

3)

4)

【0058】
5)

6)

7)



8)

【0059】
9)

10)

11)

12)

13)







【0060】
14)

15)

16)

17)

【0061】
18)

19)




20)

21)

【0062】
22)

23)

24)











25)

【0063】
26)

27)

28)

29)





30)

【0064】
B) 噴射剤含有吸入用エアゾール:
31)

32)

33)

34)









35)

【0065】
36)


37)

38)

39)










【0066】
40)

41)

42)

43)

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による方法の範囲内の医薬品を用いるのに特に好ましい吸入器である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心不全の予防又は治療のための方法であって、抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含み、抗コリン作用薬1と共に薬学的に許容しうる賦形剤を投与してもよい、前記方法。
【請求項2】
抗コリン作用薬1が、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩、フルトロピウム塩、イプラトロピウム塩、グリコピロニウム塩及びトロスピウム塩からなる群から選ばれ、それらのジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ラセミ体又は生理的に許容しうる酸付加塩の形であってもよく、また、それらの水和物又は溶媒和物の形であってもよい、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1が、対イオン(アニオン)として、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン又はp-トルエンスルホン酸アニオンを含有することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
1が、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム及び臭化イプラトロピウムより選ばれることを特徴とする、請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
1が、下記式1aの塩であり、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【化1】

(式中、X - は、1個の負電荷をもつアニオン、好ましくはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸からなる群より選ばれるアニオンである。)
【請求項6】
1が、下記式1a-enのエナンチオマー形で存在することを特徴とする、請求項5記載の方法。
【化2】

【請求項7】
1が、下記式1bの化合物であり、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【化3】

(式中、Rはメチルか又はエチルであり、X - は、1個の負電荷をもつアニオン、好ましくはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸からなる群より選ばれるアニオンである。)
【請求項8】
1が、下記式1b-baseの化合物であり、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【化4】

【請求項9】
1b又は1b-baseが、そのR-エナンチオマーの形であることを特徴とする、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
1が、下記式1cの化合物の形であり、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【化5】

(式中、Aは下記基より選ばれる二重結合基であり、
【化6】

X - は、1個の負電荷をもつアニオン、好ましくはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸からなる群より選ばれるアニオンであり、
R1及びR2は、同じでも異なってもよく、ヒドロキシ又はフッ素で置換されていてもよい、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルより選ばれる基、好ましくは置換されていないメチルであり、
R3、R4、R5及びR6は、同じでも異なってもよく、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、CN、CF3又はNO2であり、
R7は水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、-CH2-F、-CH2-CH2-F、-O-CH2-F、-O-CH2-CH2-F、-CH2-OH、-CH2-CH2-OH、CF3、-CH2-OMe、-CH2-CH2-OMe、-CH2-OEt、-CH2-CH2-OEt、-O-COMe、-O-COEt、-O-COCF3、-O-COCF3、フッ素、塩素又は臭素である。)
【請求項11】
1が、下記式1dの化合物の形で、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【化7】

(式中、Aは下記基より選ばれる二重結合基であり、
【化8】

X - は、1個の負電荷をもつアニオン、好ましくはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸からなる群より選ばれるアニオンであり、
R1及びR2は、同じでも異なってもよく、ヒドロキシ又はフッ素で置換されていてもよい、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルより選ばれる基、好ましくは置換されていないメチルであり、
R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、同じでも異なってもよく、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、CN、CF3又はNO2である。但し、基R7、R8、R9、R10、R11及びR12の少なくとも1つは水素ではない。)
【請求項12】
1が、下記式1eの化合物の形であり、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【化9】

(式中、Aは下記基より選ばれる二重結合基であり、
【化10】

X - は、1個の負電荷をもつアニオン、好ましくはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸からなる群より選ばれるアニオンであり、
R15は水素、ヒドロキシ、メチル、エチル、-CF3、CHF2又はフッ素であり、
R1'及びR2'は、同じでも異なってもよく、C3-C6-シクロアルキル、ヒドロキシ又はハロゲンで置換されていてもよいC1-C5-アルキルであるか、又は
R1'とR2'とが一緒になって-C3-C5-アルキレン-架橋を示し、
R13、R14、R13'及びR14'は、同じでも異なってもよく、水素、-C1-C4-アルキル、-C1-C4-アルキルオキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンである。)
【請求項13】
1が、下記式1fの化合物の形であり、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【化11】

(式中、X - は、1個の負電荷をもつアニオン、好ましくはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸からなる群より選ばれるアニオンであり、
D及びBは、同じでも異なってもよく、好ましくは異なり、-O、-S、-NH、-CH2、-CH=CH、又は-N(C1-C4-アルキル)-であり、
R16は水素、ヒドロキシ、-C1-C4-アルキル、-C1-C4-アルキルオキシ、-C1-C4-アルキレン-ハロゲン、-O-C1-C4-アルキレン-ハロゲン、-C1-C4-アルキレン-OH、-CF3、CHF2、-C1-C4-アルキレン-C1-C4-アルキルオキシ、-O-COC1-C4-アルキル、-O-COC1-C4-アルキレン-ハロゲン、-C1-C4-アルキレン-C3-C6-シクロアルキル、-O-COCF3又はハロゲンであり、
R1"及びR2"は、同じでも異なってもよく、-C3-C6-シクロアルキル、ヒドロキシ又はハロゲンで置換されていてもよい-C1-C5-アルキルであるか、又は
R1"とR2"とが一緒になって-C3-C5-アルキレン架橋を示し、
R17、R18、R17'及びR18'は、同じでも異なってもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4-アルコキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンであり、
Rx及びRx'は、同じでも異なってもよく、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルオキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンであるか、又は
RxとRx'とが一緒になって単結合又は架橋-O、-S、-NH、-CH2、-CH2-CH2-、-N(C1-C4-アルキル)、-CH(C1-C4-アルキル)-及び-C(C1-C4-アルキル)2より選ばれる架橋基である。)
【請求項14】
1が、下記式1gの化合物の形であり、そのラセミ体、エナンチオマー、水和物の形であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【化12】

(式中、X - は、1個の負電荷をもつアニオン、好ましくはフッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、クエン酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸からなる群より選ばれるアニオンであり、
A'は下記基より選ばれる二重結合基であり、
【化13】

R19はヒドロキシ、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、-CF3、CHF2又はフッ素であり、
R1'"及びR2'"は、C3-C6-シクロアルキル、ヒドロキシ又はハロゲンで置換されていてもよいC1-C5-アルキルであるか、又は
R1'"とR2'"とが一緒になって-C3-C5-アルキレン-架橋を示し、
R20、R21、R20'及びR21'は、同じでも異なってもよく、水素、-C1-C4-アルキル、-C1-C4-アルキルオキシ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンである。)
【請求項15】
1が、吸入に適した製剤の形で投与されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
吸入用粉末、噴射剤含有定量エアゾール及び噴射剤を含有しない吸入用溶液より選ばれる製剤であることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
製剤が、1を単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、多価アルコール、塩、又はこれらの賦形剤の混合物より選ばれる適切な生理的に許容しうる賦形剤と混合した状態で含有する吸入用粉末であることを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
製剤が、噴射剤含有吸入用エアゾールであることを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項19】
製剤が、溶媒として水、エタノール又は水とエタノールとの混合物を含有する噴射剤を含有しない吸入用溶液であることを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項20】
肺水腫の予防又は治療のための方法であって、抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含み、抗コリン作用薬1と共に薬学的に許容しうる賦形剤を投与してもよい、前記方法。
【請求項21】
心房細動の予防又は治療のための方法であって、抗コリン作用薬1の治療的に有効な量を投与することを含み、抗コリン作用薬1と共に薬学的に許容しうる賦形剤を投与してもよい、前記方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−528547(P2008−528547A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552632(P2007−552632)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050408
【国際公開番号】WO2006/079625
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】