説明

抗体ジスルフィド異性体、その使用及びその分析法

本発明はヒト腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)の抗原決定基に特異性を有する抗体のジスルフィド異性体に関する。本発明はまた、その異性体を含む組成物及びその抗体の治療上の使用にも関する。本発明はまた、TNFα抗体ジスルフィド異性体及びTNFα抗体の酸化されたメチオニル形の検出の分析方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法119条35項に基づいて、2002年3月20日出願の米国仮出願第60/366,350号に対して優先権を主張する。
(技術分野)
本発明は組換えタンパク質ジスルフィド異性体及びそのジスルフィド異性体及びその抗体の酸化されたメチオニル形を検出する分析法に関する。より具体的には、ヒト腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)の抗原決定基に特異性を有する抗体のジスルフィド異性体に関する。本発明はまた、TNFα抗体ジスルフィド異性体及びTNFα抗体の酸化されたメチオニル形の検出の分析方法にも関する。本発明はまた、その異性体を含む組成物及びその抗体の治療上の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
抗体分子には、2つの重鎖と2つの軽鎖がある。それぞれの重鎖と軽鎖はそのN末端に可変領域を有する。各可変領域は3つの相補的な決定領域(CDRs)とともに変化する4つのフレームワーク領域(FRs)で形成されている。可変領域中の残基は、従来、Kabatらによって考案されたシステムに従って番号が付けられている。このシステムは、US Department of Health and Human Service,NIH,USA(以後「Kabatら(上記参照)」)の「免疫学的に重要なタンパク質の配列、1987」に規定されている。この番号システムは、特に断らない限り、本明細書中で使用している。
【0003】
Kabatの残基の名称はアミノ酸残基の直線的な番号と直接対応していない。実際の直線的なアミノ酸配列は、フレームワークとCDRを問わず、基本的な可変領域構造の構造成分の短縮又は構造成分への挿入に対応して、厳密なKabatの番号に比べてより少ないか、又はアミノ酸を多く含む可能性がある。正確なKabatの残基の番号は、与えられた抗体について、「標準」のKabatの番号配列を有する抗体の配列中の相同性の残基配列によって決定してよい。
【0004】
重鎖可変領域のCDRsはKabatの番号付に従って、残基31−335(CDRH1)、残基50−56(CDRH2)及び残基95−102(CDRHI)に位置している。
【0005】
軽鎖可変領域のCDRsはKabatの番号付に従って、残基24−34(CDRH1)、残基50−56(CDRH2)及び残基89−97(CDRHI)に位置している。
【0006】
CDRがグラフトされた抗体の構造はEP−A−0239400に記載されており、それはマウスモノクロナール抗体のCDRsが、長いオリゴヌクレオチドを用いて、部位指向変異誘発によって、ヒト免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域にグラフトされることを開示している。CDRsは抗体の抗原結合特異性を決定し、可変領域のフレームワーク領域上に担持されている、比較的短いペプチド配列である。
【0007】
CDRグラフトによるヒト化モノクロナール抗体に関する初期の研究はNPのような合成抗原を認識するモノクロナール抗体について行われた。
【0008】
しかしながら、リゾチームを認識するマウスモノクロナール抗体及びヒトT細胞上の抗原を認識するラットモノクロナール抗体が、CDRグラフトによってヒト化された実施例が、それぞれVerhoeyenら(Science,239,1534−1536,1988)及びRiechmannら(Nature,332,323−324,1988)によって記載されている。
【0009】
Riechmannらは、Kabatによって定義されたCDRs単独(Kabatら(上記参照)及びWuら(J.Exp.Med.,132,211−250,1970)によって記載されている)の転移はCDRフラフト製品中に満足な抗原結合活性を与えるのに十分でないことを見出した。フレームワーク残基の数がドナーのフレームワーク残領域の数に対応するように、フレームワーク残基の数を変えなければならないことが見出された。変更を要するフレームワーク残基の選択基準の提案が国際出願番号WO90/07861に記載されている。
【0010】
Vaughamら(Nature Biotechnology,16,535−539,1998)を含め、CDRをグラフトした抗体について考察した多くの総説が公表されている。
【0011】
TNFαは免疫系の細胞によって遊離され、又は免疫系の細胞と相互作用する催炎症性サイトカインである。従って、TNFαはグラム陰性細菌のリポポリサッカライド(LPS)によって活性化されたマクロファージによって遊離される。従って、TNFαは、細菌性敗血症に関連したエンドトキシンショックの発症と発生機序に関与する特に重要な内因性メディエーターと思われる。TNFαはまた、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎及び多発性硬化症のような慢性疾患を含む多数のヒトの疾患でアップレギュレートされていることも示されている。ヒトTNFαの遺伝子移植マウスは本質的にTNFαの濃度を高め、関節リウマチに似た自発的な、破壊的な多発関節炎を発症する(Kafferら、EMBO J.,10,4025,4031,1991)。TNFαは従って、催炎症性サイトカインと呼ばれる。
【0012】
TNFαに対するモノクロナール抗体は従来の技術に記載されている。Meagerら(Hybridoma,,305−311,1987)は組換えTNFαに対するネズミのモノクロナール抗体を記載している。Fendleyら(Hybridoma,,359−370,1987)はTNF上の中和エピトープを定義するにおいて組換えTNFαに対するネズミのモノクロナール抗体の使用を記載している。Shimamotoらは(Immunology Letters,17,311−318,1988)はTNF7に対するネズミのモノクロナール抗体の使用を記載し、マウスにおけるエンドトキシンショックの予防におけるそれらの使用を記載している。更に、国際出願番号WO92/11383には、CDRグラフト抗体を含む、TNFαに特異的な組換え抗体が開示されている。Raikinら(British J.Rheumatology,34,334−342,1995)は関節リウマチの治療における、そのようなCDRグラフト抗体の使用を記載している。米国特許第5,919,452号は抗TNFキメラ抗体と5TNFの存在に関連した病理の治療におけるその使用を開示している。
【0013】
エンドトキシンショックの予防と治療に、TNFαに対する抗体が提案されている(Bauterら、Science,234,470−474,1985)。Bodmerら(Critical Care Medicine,21,S441−S446,1993)及びWherryら(Critical Care Medicine,21,S436−S440,1993)は敗血症ショックの治療における抗TNFα抗体の治療の可能性を考察している。敗血症ショックの治療における抗TNFα抗体の使用は、Kirschenbaumら(Critical Care Medicine,26,1625−1626,1998)も考察している。コラーゲン誘発関節炎は、抗TNFαモノクロナール抗体を使用して効果的に治療できる(Williamsら(PNAS−USA,89,9784−9788,1992))。
【0014】
関節リウマチ患者の滑液及び抹消血の両方で、TNFαの濃度の増加が見られた。関節リウマチ患者にTNFα遮断剤を投与すると、炎症が低減し、症状が改善し、関節の障害が遅れた(McKownら、Arthritis Rheum.,42,1204−1208,1999)。
【0015】
関節リウマチと20名のクローン病の治療における抗TNFα抗体の使用がFeldmanら(Transplantation Proceedings,30,4126−4127,1998)、Adoriniら(Trends in Immunology Today,18,209−211,1997)及びFeldmanら(Advances in Immunology、64、283−350、1997))によって考察されている。そのような治療で使用されるTNFαに対する抗体は、一般に米国特許第5919452号に記載されているようなキメラ抗体である。
【0016】
現在、2つのTNFα遮断剤が関節リウマチの治療に許可されている。エタナーセプト(etanerceptb)と云う第一の製品は、Immunex CorporationがEnbrelの商標名で販売している。これはヒト免疫グロブリンに結合した2つのp75可溶性TNF受容体領域を含む組換え融合タンパク質である。infliximabと云う第二の製品は、Centocor CorporationがRemicadeの商標名で販売している。これはネズミの抗TNFα可変領域とヒトIgGI不変領域を有するキメラ抗体である。
【0017】
従来の技術の組換え抗TNFα抗体分子は一般に、それからその可変領域又はCDRsが誘導される抗体に比べて、TNFαに対する親和性が低く、一般に哺乳動物細胞中で作られねばならず、製造コストが高い。従来の技術の抗TNFα抗体はStephensらがImmunology,85,668−674,1995,GB−A−2 246 570及びGB−A−2 297 145に記載している。
【0018】
国際公開番号WO01/94585はTNFαに対して高親和性を有し、ヒトの免疫原性が低い抗体分子を記載し、これは慢性炎症性疾患の治療に繰り返し使用でき、容易に且つ効率的に製造できる。
【0019】
混合有機−水溶媒系におけるタンパク質分解の方法が記載されている(Russell,WKら、Anal.Chem.73:2682−2685、2001)。しかしながら、Fabsのような抗体断片のタンパク質分解には特有の問題がある。本発明の方法とRusselらの方法の差は、溶媒の添加順序の違いである。本方法では、Fabはアセトニトリルに直接溶解され、次いで消化緩衝液と酵素が添加された。Russellらの方法では、先ず有機溶媒と緩衝液を混合し、ついでタンパク質と酵素がその溶液に添加された。しかしながら、Russellらの方法では、Fabが折り込まれた構造であるために、Fabは効率的に消化されない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の要約)
本発明は組換えタンパク質ジスルフィド、好ましくは、ヒト腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)に特異性を有する抗体のジスルフィド異性体を含む。本発明はまた、抗体を有機溶媒で前処理し、抗体をプロテアーゼで消化し、その断片を分離する(resolve)段階を含む抗体のジスルフィド異性体を検出する方法も含む。本発明はまた、TNFα抗体のジスルフィド異性体及び酸化されたメチオニル形を検出する分析法にも関する。本発明はまた、異性体を含む組成物と抗体の治療上の使用に関する。
【0021】
最初の態様において、本発明はジスルフィド結合が相互の向きを有する組換えタンパク質ジスルフィドを提供する。「抗体ジスルフィド異性体」は、優先的なジスルフィド対以外の軽鎖と重鎖上のシステイン間のジスルフィド対を有する抗体と定義される。好ましくは、ジスルフィド異性体はヒト腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)の抗原決定基に特異性を有する抗体のジスルフィド異性体である。好ましくは、TNFα抗体は国際公開番号WO01/04585に開示されたTNFα抗体である。好ましくは、抗体はCDP870である。
【0022】
国際公開番号WO01/04585は、可変領域が、CDRH1に対して、国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号1)の図3にH1として示した配列、CDRH2に対して、国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号2)の図3にH2’として、又は国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号7)の図3にH2として示した配列、CDRH3に対して、国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号3)の図3にH3として示した配列を有するCDR(Kabaら(上記参照)による定義)を含む重鎖を含む、TNFαに特異性を有する抗体分子を提供する。
【0023】
国際公開番号WO01/04585の抗体分子は、重鎖の可変領域にH1、H2’又はH2及びH3(国際公開番号WO01/04585の配列番号1;配列番号2;配列番号7及び配列番号3)から選ばれた少なくとも1つのCDRを含む。好ましくは、抗体分子は重鎖の可変領域に少なくとも2つ、より好ましくは、3つのすべてのCDRsを含む。
【0024】
国際公開番号WO01/04585には、可変領域が、CDRL1に対して、国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号4)の図3にL1として示した配列、CDRL2に対して、国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号5)の図3にL2として示した配列、CDRL3に対して、国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号6)の図3にL3として示した配列を有するCDR(Kabatら(上記参照)による定義)を含む軽鎖を含む、TNFαに特異性を有する抗体分子を提供する。
【0025】
国際公開番号WO01/04585の抗体分子は、軽鎖の可変領域にL1、L2及びH3(国際公開番号WO01/04585の配列番号4から配列番号6)から選ばれた少なくとも1つのCDRを含む。好ましくは、抗体分子は軽鎖の可変領域に少なくとも2つ、より好ましくは、3つのすべてのCDRsを含む。
【0026】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585の抗体分子は、それぞれ相補的軽鎖又は相補的重鎖を有する。
【0027】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585の抗体分子は、可変領域が、CDRH1に対して国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号1)の図3にH1として示した配列、CDRH2に対して国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号2又は配列番号7)の図3にH2’又はH2として示した配列、CDRH3に対して国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号3)の図3にH3として示した配列を有するCDR(Kabaら(上記参照)による定義)を含む重鎖、及び可変領域が、CDRL1に対して国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号4)の図3にL1として示した配列、CDRL2に対して国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号5)の図3にL2として示した配列、又はCDRL3に対して国際公開番号WO01/04585(国際公開番号WO01/04585の配列番号6)の図3にL3として示した配列を有するCDR(Kabatら(上記参照)による定義)を含む軽鎖を含む。
【0028】
国際公開番号WO01/04585の配列番号1及び3から7及び国際公開番号WO01/04585の図3に示したCDRsはマウスモノクロナール抗体hTNF40から誘導される。しかしながら、国際公開番号WO01/04585の配列番号2はハイブリッドCDRから構成される。ハイブリッドCDRはマウスモノクロナール抗体hTNF40(国際公開番号WO01/04585の配列番号7)からの重鎖CDR2の一部及びヒト群3の生殖細胞系V領域の配列からの重鎖CDR2の一部を含む。
【0029】
マウスモノクロナール抗体hTNF40の可変領域の完全な配列を国際公開番号WO01/04585(軽鎖)(国際公開番号WO01/04585の配列番号99)の図6及び国際公開番号WO01/04585(重鎖)(国際公開番号WO01/04585の配列番号100)の図7に示す。このマウスの抗体は「ドナー抗体」と云う。
【0030】
国際公開番号WO01/04585の最初の別の態様は、それぞれ国際公開番号WO01/04585(軽鎖)(国際公開番号WO01/04585の配列番号99)の図6及び国際公開番号WO01/04585(重鎖)(国際公開番号WO01/04585の配列番号100)の図7に示した軽鎖と重鎖の可変領域配列を有するマウスモノクロナール抗体hTNF40である。hTNF40の軽鎖の不変領域はカッパであり、重鎖の不変領域はIgG2aである。
【0031】
国際公開番号WO01/04585の第二の別の態様は、国際公開番号WO01/04585の第一又は第二の態様のいずれかによる抗体がマウス/ヒトのキメラ抗体分子であり、本明細書でキメラhTNF40抗体分子と云う。キメラ抗体分子はマウスモノクロナール抗体hTNF40(国際公開番号WO01/04585の配列番号99及び100)の可変領域とヒト不変領域を含む。好ましくは、キメラhTNF40抗体分子は軽鎖にヒトCカッパ領域(Hieterら、Cell,22,197−207,1980)を含み、重鎖にヒトガンマ4領域(Flanaganら、Nature,300,709−713、1982)を含む。
【0032】
国際公開番号WO01/04585の第三の別の態様は、抗体分子がCDRグラフト抗体分子である。用語「CDRグラフト抗体分子」は、本明細書に使用されているように、軽鎖及び/又は重鎖が、アクセプター(例えばヒト抗体)の軽鎖及び/又は重鎖の可変領域のフレームワークにグラフトされた1つ又はそれ以上のドナー抗体からのCDRs(望むならばハイブリッドCDRを含む)を含む抗体分子を意味する。
【0033】
好ましくは、そのようなCDRグラフト抗体は、ヒトのアクセプターフレームワーク領域を含む可変領域及び1つ又はそれ以上の上記のドナーのCDRsを含む。
【0034】
CDRsがグラフトされる時、CDRsが、それから誘導されるドナー抗体のクラス/型に関して、マウス、霊長類及びヒトのフレームワーク領域を有する、すべての適切なアクセプターの可変領域のフレームワーク配列を用いてよい。国際公開番号WO01/04585のヒトのフレームワークの例はKOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAY及びPOM(Kabatら(上記参照))である。例えば、KOLとNEWMは重鎖に使用でき、REIは軽鎖に使用でき、EU、LAY及びPOMは重鎖と軽鎖両方に使用できる。軽鎖に対する好適なフレームワーク領域は図1(国際公開番号WO01/04585の配列番号83、85、87及び89)に示すヒト群1のフレームワーク領域である。重鎖に対する好適なフレームワーク領域は図2(国際公開番号WO01/04585の配列番号91、93、95及び配列番号106、107、108及び109)に示す、ヒト群1及び3のフレームワーク領域である。
【0035】
また、国際公開番号WO01/04585のCDRグラフト抗体において、アクセプター抗体として、ドナー抗体の鎖と相同性の鎖を有する抗体を使用するのが好適である。アクセプターの重鎖及び軽鎖は同じ抗体から誘導される必要はなく、所望であれば、異なった鎖から誘導されるフレームワーク領域を有する複合鎖を含んでもよい。
【0036】
国際公開番号WO01/04585のCDRグラフト抗体において、フレームワーク領域は、アクセプター抗体のそれらと正確に同じ配列を有する必要はない。例えば、普通でない残基はそのアクセプター鎖のクラス又は型に対してより頻繁に生じる残基に変えてよい。代わりに、アクセプターフレームワーク領域中の選択された残基はドナー抗体中の同じ位置に見られる残基に対応するように、変えてよい。そのような変化は、ドナー抗体の親和性を回復するのに必要な最低限に留めるべきである。変更が必要な可能性があるアクセプターフレームワーク領域における、残基の選択のためのプロトコールは、国際公開番号WO91/09967に規定されている。
【0037】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585のCDRグラフト抗体分子中で、アクセプター重鎖がヒト群1のフレームワーク領域(国際公開番号WO01/04585の図2に示す)(国際公開番号WO01/04585の配列番号91、93、95及び97)を有する場合、重鎖のアクセプターフレームワーク領域は1つ又はそれ以上のドナーCDRsに加えて、位置28、69及び71でドナー残基を含む(Kabatら(上記参照)による)。
【0038】
代わりに、アクセプター重鎖が群1のフレームワーク領域を有する場合、重鎖のアクセプターフレームワーク領域は1つ又はそれ以上のドナーCDRsに加えて、位置28、38、46、67、69及び71にドナー残基を含む(Kabatら(上記参照)による)。
【0039】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585のCDRグラフト抗体分子中で、アクセプター重鎖がヒト群3のフレームワーク領域(国際公開番号WO01/04585の図2に示す)(国際公開番号WO01/04585の配列番号106、107、108及び109)を有する場合、重鎖のアクセプターフレームワーク領域は1つ又はそれ以上のドナーCDRsに加えて、位置27、28、30、48、49、69、71、73、76及び78にドナー残基を含む(Kabatら(上記参照)による)。
【0040】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585のCDRグラフト抗体分子中で、アクセプター軽鎖がヒト群1のフレームワーク領域(国際公開番号WO01/04585の図1に示す)(国際公開番号WO01/04585の配列番号83、85、87及び89)を有する場合、軽鎖のアクセプターフレームワーク領域は位置46と60にドナー残基を含む(Kabatら(上記参照)による)。
【0041】
ドナー残基はドナー抗体、即ちCDRsがそれから始めに誘導された抗体である。
【0042】
国際公開番号WO01/04585の抗体分子は完全長の重鎖及び軽鎖を有する完全な抗体分子、Fab、修飾Fab、Fab’、F(ab’)2又はFv断片のようなその断片、軽鎖及び重鎖のモノマー又はダイマー、例えば重鎖及び軽鎖の可変領域がペプチドリンカーで結合されている単鎖Fvのような単鎖抗体を含む。同様に、重鎖及び軽鎖の可変領域は適宜他の抗体領域と結合してよい。
【0043】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585の抗体分子はFab断片である。好ましくは、Fab断片は国際公開番号WO01/04585の配列番号111で示される重鎖及び国際公開番号WO01/04585の配列番号113で示される軽鎖を有する。国際公開番号WO01/04585の配列番号111と配列番号113で示されるアミノ酸配列は、好ましくは、それぞれ国際公開番号WO01/04585の配列番号110と配列番号112で示されるヌクレオチド配列でコード化される。
【0044】
代わりに、国際公開番号WO01/04585の抗体分子は、その修飾が重鎖のC末端に、1つ又はそれ以上のアミノ酸を付加することにより、エフェクター又はリポータ分子の付着を可能にする修飾されたFab断片であることが好適である。追加のアミノ酸は、それにエフェクター又はリポータ分子が付着できる1つ又は2つのシステイン残基を含む修飾された蝶番領域を形成する。そのようなFab断片は、好ましくは、国際公開番号WO01/04585の配列番号115で示される配列を有する重鎖及び国際公開番号WO01/04585の配列番号113で示される配列を有する軽鎖を有する。国際公開番号WO01/04585の配列番号115で示されるアミノ酸配列は、好ましくは、国際公開番号WO01/04585の配列番号114で示されるヌクレオチド配列によってコード化される。
【0045】
国際公開番号WO01/04585の好適なエフェクター群はポリマー分子であり、それはインビボでの半減期を増加するために修飾したFab断片に付着してよい。
【0046】
ポリマー分子は一般に、合成又は天然のポリマー、例えばオプションで置換された直鎖又は分枝鎖のポリアルキレン、ポリアルケニレン又はポリオキシアルキレンポリマー、又は、例えばホモ又はヘテロポリサッカライドのような分枝鎖又は非分枝鎖のポリサッカライドであってよい。
【0047】
オプションで上記合成ポリマー上に存在してよい、特別な置換基には、1つ又はそれ以上のヒドロキシ、メチル又はメトキシ基が含まれる。合成ポリマーの特別な例には、オプションで置換された直鎖又は分枝鎖のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)又はその誘導体、特にオプションで置換された、例えばメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体のようなポリ(エチレングリコール)である。特別な天然由来のポリマーには、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン又はその誘導体が含まれる。本明細書で使われているように、「誘導体」は例えば、マレイミド類及び類似物のようなチオール選択性反応基のような反応性誘導体を含むことを意図している。反応基はポリマーに直接又はリンカー部分を介して結合してよい。そのような群の残基は、ある実施例では、抗体断片とポリマー間の結合基として、製品の一部を形成する。
【0048】
ポリマーの大きさは所望によって変え得るが、一般的に平均分子量は500Daから50000Daの範囲であり、好ましくは、5000から40000Da、より好ましくは、15000から40000Daの範囲である。ポリマーの大きさは、特にその製品の意図されている用途に基づいて選択される。従って、例えば、製品が循環を離れて組織に浸透する場合、例えば腫瘍の治療に用いる場合は、例えば、約5000Daの小さな分子量のポリマーを使用するのが有利である。製品が循環に留まるような用途の場合は、例えば、15000Daから40000Daの範囲の分子量を有する高分子量を使うのが有利である。
【0049】
特に好適なポリマーには、ポリ(エチレングリコール)又は、特にメトキシポリ(エチレングリコール)又はその誘導体、及び特に約15000Daから40000Daの分子量範囲のポリアルキレンポリマーが含まれる。
【0050】
修飾抗体断片に付着した各ポリマー分子は、断片中のシステイン残基の硫黄原子に共有結合してよい。共有結合は一般にジスルフィド結合又は特に硫黄−炭素結合である。
【0051】
所望の場合は、抗体断片はそれに付着した1つ又はそれ以上のエフェクター又はレポーター分子を有してよい。エフェクター又はレポーター分子は、例えばすべての遊離のアミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基又は5カルボキシ基のような断片中に位置する利用できるアミノ酸側鎖又はアミノ酸機能性基を介して抗体断片に付着してよい。
【0052】
上記の様に、ポリマー修飾抗体断片の調製において、出発物質として活性化ポリマーを使用してよい。活性化ポリマーは例えばインドアセタミドの様なα−ハロカルボン酸、例えばマレイミドのようなイミド、ビニルスルホン又はジスルフィドのようなチオール反応性基を含むすべてのポリマーであってよい。そのような出発物質は商業的に(例えばShearwater Polymers Inc.,Huntsville,AL,USA)入手できるか、又は商業的に入手できる物質から従来の化学的手順を用いて調製できる。
【0053】
付着しているポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に関しては、“Poly(ethyleneglycol)Chemistry,Biotechnical and Biomedical Applications”,1992,J.Milton Harris(ed),Plenum Press,“New York, Poly(ethyleneglycol)Chemistry,Biotechnical and Biomedical Applications”,1997,J. Milton Harris and S. Zalipsky(eds),American Chemical Society,Washington DC and “Bioconjunction Protein Coupling Techniques for the Biomedical Science”,1998,M.Aslam and A.Dent,Grove Publishers,New Yorkを参照のこと。
【0054】
エフェクター又はレポーター分子と結合した抗体断片を得ることを望む場合は、抗体断片が、活性化ポリマーとの反応前又は反応後に、エフェクター又はレポーター分子と直接又はカプリング剤を介して結合される標準的な化学手順又は組換えDNA手順によって適宜調製してよい。特別な化学手順には、例えば国際公開番号WO93/62331、国際公開番号WO92/22583、国際公開番号WO90/00195及び国際公開番号WO89/01476に記載されたものが含まれる。代わりに、エフェクター又はレポーター分子がタンパク質又はポリペプチドの場合は、結合は、例えば国際公開番号WO86/01533及びEP−A 392 745に記載されている組換えDNA手順を用いて達成してよい。
【0055】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585の修飾Fab断片は、EP−A948544に記載の方法に従ってPEG化(即ち共有結合でそれに付着したPEG(ポリ(エチレングリコール))を有する)される。好ましくは、国際公開番号WO01/04585の抗体分子は国際公開番号WO01/04585の図13に示したように、PEG化した修飾Fab断片である。国際公開番号WO01/04585の図13に示したように、修飾Fab断片は、修飾した蝶番領域中の単一のチオール基に共有結合で結合したマレイミド基を有する。リジン残基がマレイミド基に共有結合で結合している。リジン残基上のアミン基のそれぞれに分子量が約20,000Daのメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーが付着している。従って、エフェクター分子全体の全分子量は約40,000Daである。これらのリジンが結合したPEGsは米国特許第6,113,906号、米国特許第5,919,455号、米国特許第5,643,575号及び米国特許第5,932,462号に開示されているように、「分枝PEG」又は「U−PEG」と云われる。
【0056】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585の図13に示した化合物において、抗体部分の重鎖は国際公開番号WO01/04585の配列番号115として示されている配列を有し、軽鎖は国際公開番号WO01/04585の配列番号113として示されている配列を有する。この化合物は国際公開番号WO01/04585の中で、CDP870と云われている。
【0057】
国際公開番号WO01/04585の抗体分子に不変領域がある場合は、提案された抗体分子の機能、特に要求されるエフェクター機能に関連して選択してよい。例えば、不変領域はIgA、IgD、IgE、IgG又はIgM領域であってよい。特にヒトのIgG不変領域を使用してよく、抗体分子が治療用に意図され、抗体エフェクター機能が要求される場合は、IgG1及びIgG2アイソタイプを使用する。代わりに、抗体分子が治療目的に意図され、抗体エフェクター機能が要求されない場合、例えば単にTNFα活性を遮断するような場合は、IgG2及びIgG4アイソタイプを使用してよい。
【0058】
また、国際公開番号WO01/04585の抗体分子は、それに付着したエフェクター又はレポーター分子を有してよい。例えば、重金属原子をキレートするためのマクロサイクル(macrocycle)又は、それに共有結合によって付着したリシンのようなトキシンを有してよい。代わりに、完全な免疫グロブリン分子のFc断片(CH2、CH3及び蝶番領域)、CH2とCH3領域、又はCH3領域が、酵素又はトキシン分子のような、機能性非免疫グロブリンタンパク質で置換され、又はペプチド結合で、酵素又はトキシン分子のような、機能性非免疫グロブリン分子に結合した抗体分子を作るために、組換えDNA技術の手順を用いてよい。
【0059】
国際公開番号WO01/04585の抗体分子は、好ましくは、少なくとも0.85x10−10M、より好ましくは、少なくとも0.75x10−10M、最も好ましくは、少なくとも0.5x10−10M(下記のように、国際公開番号WO01/04585の好適なヒト化抗体は少なくとも0.5x10−10Mの親和性を有し、これは、それが由来するネズミのモノクロナール抗体の親和性よりもよいことに留意することは有意義である。)ネズミの抗体の親和性は約0.85x10−10Mである。
【0060】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585の抗体分子は、軽鎖の可変領域hTNF40−gh3h(国際公開番号WO01/04585の配列番号8)及び重鎖の可変領域gh3hTNF40.4(国際公開番号WO01/04585の配列番号11)を含む。これら軽鎖及び重鎖の可変領域の配列をそれぞれ国際公開番号WO01/04585の図8と11に示す。
【0061】
国際公開番号WO01/04585はまた、TNFαへの親和性が改善された抗体分子の変種にも関する。そのような変種はCDRsの変異(YangらJ.Mol.Biol.,254,392−403,1995)、チェインシャフリング(chain shuffling)(Marksら、Bio/Technology,10,779−783,1992)、E.coliのミューテ−ター(mutator)菌株の使用(Lowら、J.Mol.Biol.,250,359−368,1996)、DNAシャフリング(DNA shuffling)(Pattenら、Curr.Opin.Biotechnol,,724‐733,1997)、ファージディスプレイ(phage display)(Thompsonら、J.Mol.Biol.,256,77−88,1996)及び性別(sexual)PCR(Crameriら,Nature,391,288−291,1998)を含む多くの親和性変異プロトコールで得られる。Vaughanら(上記参照)は親和性成熟のこれらの方法について考察している。
【0062】
国際公開番号WO01/04585はまた、抗体分子の重鎖及び/又は軽鎖をコード化しているDNA配列を提供する。
【0063】
国際公開番号WO01/04585はまた、1つ又はそれ以上のDNA配列を含むクローニング又は発現ベクターに関する。好ましくは、クローニング又は発現ベクターは、抗体分子の軽鎖及び重鎖をコード化している2つのDNAを含む。
【0064】
国際公開番号WO01/04585はまた、抗体分子をコード化しているDNA鎖の発現に用いられる宿主細胞/ベクター系にも関する。Fab及びF(ab’)2断片、特にFv断片、及び例えば単鎖Fvsのような単鎖抗体断片の発現に、例えばE.coliのようなバクテリア及び他の微生物系を一部使用してよい。完全な抗体分子を含む、大きな抗体分子の生産に、例えば哺乳類のような真核宿主細胞発現系を用いてよい。適した哺乳類の宿主細胞にはCHO、メラノーマ又はハイブリドーマ細胞が含まれる。
【0065】
国際公開番号WO01/04585はまた、ベクターを含む宿主細胞を、抗体分子をコード化するDNAからタンパク質の発現に導くのに適した条件下で培養すること、及び抗体分子を単離することを含む抗体分子の生産方法を提供する。
【0066】
好ましくは、国際公開番号WO01/04585の抗体分子の生産方法はDNA配列を含むE.coli発現ベクターを含むE.coliを、DNA配列からタンパク質の発現に導くのに適した条件下で培養すること、及び抗体分子を単離することを含む。抗体分子は細胞から分泌され、又は適したシグナル配列によってペリプラズムに標的化されてよい。代わりに、抗体分子は細胞の細胞質に蓄積してよい。好ましくは、抗体分子はペリプラズムに標的化されてよい。生産されている抗体分子と使用される方法によって、抗体分子が再び折りたたまれ、機能的な形状を採るようにすることが望ましい。抗体分子を再び折りたたむようにする手順は当業者には周知である。
【0067】
抗体分子は単に重鎖又は軽鎖のポリペプチドだけを含んでよく、その場合、配列をコード化している重鎖又は軽鎖のポリペプチドだけを宿主細胞をトランスフェクトするために用いる必要がある。重鎖及び軽鎖の両方を含む製品の生産のために、軽鎖のポリペプチドをコード化している第一のベクターと重鎖のポリペプチドをコード化している第二のベクターの2つのベクターで細胞系をトランスフェクトしてよい。代わりに、軽鎖と重鎖のポリペプチドをコード化している配列を含む単一のベクターを用いてよい。
【0068】
本発明の好適な態様は、軽鎖のCys214と重鎖のCys227の間にジスルフィド結合を有するCDP870のジスルフィド異性体である。CDP870の重鎖と軽鎖を連結する主な結合は軽鎖のCys214と重鎖のCys227の間に生じる。CDP870中に予期しない位置のジスルフィド異性体が同定され、それは軽鎖のCys214と重鎖のCys227の間にジスルフィド結合を含む。
【0069】
本発明の他の態様は、抗体と、抗体の少なくとも1つのジスルフィド異性体とを製剤学的に許容できる賦形剤、希釈剤又は担体との組み合わせで含む治療及び診断用組成物である。好ましくは、組成物はCDP870とCDP870の少なくとも1つのジスルフィド異性体を製剤学的に許容できる賦形剤、希釈剤又は担体との組み合わせで含む。好適な態様では、組成物は、軽鎖のCys214と重鎖のCys227の間にジスルフィド結合を含むCDP870ジスルフィド異性体を含む。組成物の好適な態様では、ジスルフィド異性体は全体の抗体濃度の1%から60%を含む。より好適な態様では、ジスルフィド異性体は全体の抗体濃度の約10%から20%を含む。より好適な態様では、ジスルフィド異性体は全体の抗体濃度の約20%未満を含む。より好適な態様では、ジスルフィド異性体は全体の抗体濃度の約15%未満を含む。好適な態様では、ジスルフィド異性体は全体の抗体濃度の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%を含む。より好適な態様では、ジスルフィド異性体は全体の抗体濃度の約13%を含む。治療又は診断組成物は、例えば抗T細胞、抗IFNY又は抗LPS抗体又はキサンチンのような非抗体成分のような他の抗体成分を含む他の活性成分を伴ってよい。
【0070】
医薬組成物は、好ましくは、本発明の抗体の治療有効量を含むべきである。「治療有効量」と言う用語は、本明細書に用いられているように、標的疾患又は状態を治療し、軽減し、予防し、又は検出可能な治療又は予防効果を示すのに必要な治療剤の量を意味する。すべての抗体について、治療有効量は最初に、細胞培養アッセイ又はげっ歯類、ウサギ、イヌ、ブタ又は霊長類の動物モデルで推定できる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲及び投与経路を決定するために用いてよい。そのような情報はヒトでの有用用量及び投与経路を決定するのに用いることができる。
【0071】
ヒト対象についての正確な有効量は疾患の重症度、対象の一般的健康、年令、体重、性別、食事、投与時間と回数、併用薬、反応感受性及び治療への忍容性/応答に依存する。この量は日常的な検査で決定でき、医師の判断の範囲内である。一般に、有効用量は0.01mg/kgから50mg/kg、好ましくは、0.1mg/kgから20mg/kg、より好ましくは、約15mg/kgである。下記の実施例に示すように、リウマチ患者の治療には、1.5から20mg/kgの用量が用いられている。
【0072】
組成物は患者に単剤で投与してもよく、又は他の薬剤、薬物又はホルモンと組み合わせて投与してよい。
【0073】
本発明の抗体分子が投与される用量は、治療される状態の性質、TNFαがそこまで中和されるべき程度、又は望ましい濃度以上に上昇が期待される濃度の程度、及び抗体分子が予防的に用いられているか、既存の状態を治療するために用いられるかによる。
【0074】
従って、例えば、製品が、関節リウマチのような慢性炎症疾患の治療又は予防に用いられる場合、本発明の抗体分子の適した用量は0.5と50mg/kgの間の範囲、より好ましくは、1と20mg/kgの間の範囲、最も好ましくは、約15mg/kgである。投与回数は抗体分子の半減期とその効果の持続による。
【0075】
抗体分子の半減期が短い場合(例えば2から10時間)は、1日当たり1回又はそれ以上投与する必要がある。代わりに、抗体分子の半減期が長い場合(例えば2から15日)は、1日1回、1週間又は1月又は2月あたり1回投与するだけでよい。
【0076】
医薬組成物は抗体の投与のために製剤学的に許容できる担体を含んでよい。担体は、それ自体、組成物を投与されている個体に有害な抗体の産生を誘導してはならないし、また毒性があってはならない。適した担体はタンパク質、ポリペプチド、リポソーム、ポリサッカライド、ポリアクリル酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸共重合体及び不活性ウイルス粒子のような、大きな代謝の遅い高分子であってよい。
【0077】
製剤学的に許容できる塩、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸塩及び硫酸塩又は酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩及び安息香酸塩のような有機酸の塩を用いることができる。
【0078】
治療用の組成物中の製剤学的に許容できる担体は更に、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノールのような液体を含んでよい。そのような組成物中に、更に湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤のような助剤があってよい。そのような担体は患者の服用のために医薬組成物を錠剤、ピル、糖剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー及び懸濁液に製剤化することを可能にする。
【0079】
投与のための好適な剤型は非経口投与、例えばボーラス注射又は連続注入のような、注射又は注入による投与に適した剤型を含む。製品が注射又は注入用の場合は、油性又は水性溶媒中の懸濁液、溶液又はエマルジオンの剤型を採ってもよく、且つそれは懸濁剤、保存剤、安定化剤及び/又は分散剤のような製剤用剤を含んでよい。代わりに、抗体分子は使用前に適切な滅菌液で再構成する乾燥剤型であってよい。
【0080】
一度製剤化されると、本発明の組成物は直接対象に投与できる。対象は動物であることができる。しかしながら、組成物はヒトの対象への投与に適合することが好ましい。
【0081】
本発明の医薬組成物は経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、くも膜下、脳室内、経皮(国際公開番号WO098/20743)、皮下、腹腔内、鼻腔内、経腸、局所、舌下、経膣又は直腸経路を含むすべての経路で投与してよい。本発明の医薬組成物を投与するためにハイポスプレー(hypospray)を用いてよい。通常、治療組成物は液体溶液又は懸濁液のいづれかの注射剤として調製してよい。注射前の液体溶媒中の溶液又は懸濁液に適した固体の剤型も調製してよい。
【0082】
組成物の直接のデリバリーは一般に皮下、腹腔内、筋肉内の注射によって達成されるか、又は組織の間質空間にデリバリーされる。組成物は病変に投与することもできる。投与は単回投与又は反復投与計画であってよい。
【0083】
組成物の中の活性成分は抗体分子であることが評価されよう。従って、胃腸管内での分解に敏感であろう。従って、組成物が胃腸管を使う経路によって投与される場合は、組成物には、抗体を分解から保護するが、抗体が胃腸管から一旦吸収されたならば抗体を放出する薬剤が十分含まれる必要があろう。
【0084】
製剤学的に許容できる担体の完全な考察はRemington’s Pharmaceutical Science(Mack Publishing Company,N.J.1991)で得られる。
【0085】
本発明はまた、TNFαが介在する疾患の治療に使用する本発明の抗体分子又は組成物を提供する。
【0086】
本発明は更に、TNFαが介在する疾患の治療のための医薬品の製造における本発明の抗体分子又は組成物の使用を提供する。
【0087】
本発明の抗体分子又は組成物はヒト又は動物の体内に存在する生物学的に活性なTNFαの濃度を低減することが望まれるすべての治療に利用してよい。TNFαは体内を循環していてもよく、又は体内の特別な部位に望ましくない高濃度で存在してよい。
【0088】
例えば、TNFαの濃度の上昇は急性及び慢性の免疫及び免疫調整障害、敗血症、エンドトキシン及び心血管ショックを含む感染、炎症性障害、神経変性疾患、悪性疾患アルコール誘発肝炎に関係する。TNFαの濃度の上昇に関連した多数の障害の詳細は米国特許第5,919,452号に規定されている。本発明の抗体分子又は組成物はTNFαが介在する疾患の治療に利用してよい。本発明の抗体分子によって治療してよい特に関連した疾患には、敗血症、うっ血性心不全、敗血症及びエンドトキシンショック、悪液質、成人呼吸困難症候群、エイズ、アレルギー、乾癬、TB、炎症性骨障害、血液凝固障害、火傷、臓器又は組織移植後の拒絶反応、クローン病、甲状腺炎及びリウマチ性関節炎及び骨関節炎のような自己免疫疾患が含まれる。
【0089】
更に、抗体分子又は組成物は新生物治療中のTNFαの発生に関連した副作用の低減、抗リンパ球抗体の使用による移植片拒絶の治療又は予防に関連したショック関連の症状の排除又は低減、又は多臓器不全の治療に用いてよい。
【0090】
本発明の抗体分子又は組成物は、好ましくは、リウマチ又は骨関節炎の治療に使用する。
【0091】
本発明はまた、TNFαが介在する障害のある又は障害の危険性のあるヒト又は動物対象の治療法を提供し、その治療法は本発明の抗体分子又は組成物の有効量を対象に投与することを含む。
【0092】
本発明の抗体分子又は組成物は、例えばインビボの診断及び上昇したTNFαの濃度を含む疾患の状態のイメージングのような診断に用いてよい。
【0093】
本発明の他の態様は、ジスルフィド異性体、メチオニル酸化、切断(truncation)、アスパラギンの脱アミド化(deamidation)誤取り込み(misincorporation)、延長(exrension)又は組換えタンパク質中の他の通例のタンパク質分解又はタンパク質不純物を性質決定(characterization)及び定量するための分析法である。好ましくは、タンパク質は抗体である。より好ましくは、タンパク質はTNFαに特異性を有する。より好ましくは、TNFαはCDP870である。
【0094】
本発明はPEG抗体断片を分析特性化するために、PEG抗体を例えばFab、修飾Fab、Fab’、F(ab’)2又はFv断片、軽鎖又は重鎖のモノマー又はダイマー、及びこの場合はCDP870である単鎖抗体(これらに限定されない)に消化する新しい手法である。PEGが明らかにプロテアーゼのタンパク質骨格への接近を妨げる事実によって、これらの化合物は通常のプロテアーゼで消化することは非常に困難である。これは、反応混合物中に正確な量の有機溶媒の効果の評価によって解決された。アセトニトリル及び他の溶媒が完全な消化を可能にするのに十分な3次元構造を修飾する能力があることが発見された。この発見に基づいて、CDP870はLys−Cを含む多数のプロテアーゼによって消化でき、切断されたタンパク質はHPLC、質量分析及び他の手段で解析できた。この技術がCDP870に応用され、ジスルフィド異性体は、軽鎖のC末端システイン残基が重鎖のシステイン残基227に結合した物質を約10−20%含むことが見出された。
【0095】
分析法には、組換えタンパク質を有機溶媒で前処理する段階、有機溶媒の存在下で前処理したタンパク質をプロテアーゼで消化する段階、及びプロテアーゼで消化した断片を分離する手段が含まれる。好ましくは、有機溶媒はアセトニトリルである。好ましくは、プロテアーゼはメチオニル残基とLys−Cをジスルフィド異性体に酸化するためのトリプシンである。
【0096】
好ましくは、分離の手段は逆相HPLCである。分析法はジスルフィド異性体とメチオニル酸化の分析と定量に用いられたが、それはまた、切断(truncation)、アスパラギンの脱アミド化(deamidation)、誤取り込み(misincorporation)、延長(exrension)又は他の通例の(common)タンパク質分解又はタンパク質不純物の分析に用いることができた。
【0097】
本開示に引用したすべての出版物、特許及び特許出願の完全な内容を、それぞれの出版物、特許及び特許出願が特別に、且つ個々に参考として組み入れを指示されているかのように、本明細書に組み入れてある。過去の発明は理解を明確にする目的で説明と実施例によって、いくらか詳細に記載してあるが、当業者には、本発明の教示に照らして、本発明の精神と範囲から外れることなく、変更及び修飾ができることは明白であろう。次の実施例は例示のためにのみ提供するもので、上に広義に記載した本発明の範囲を制限することを意図していない。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
ジスルフィド異性体を検出する方法
ストックタンパク質溶液は、50mM酢酸塩、125mM NaCl、pH5.5の緩衝液中で、CDP870を20mg/mL又はCDP870Fab’を10mg/mLに希釈して調製した。Lys−Cは100mMトリス、pH8.5中で1mg/mLに調製されたものをWako(大阪、日本)から購入した。
【0099】
アセトニトリルによる前処理
20μLの希釈試料を40μLのアセトニトリルと混合し、短時間攪拌し、5分間静置した。
【0100】
Lys−Cの消化
130μLの100mMトリス−HCl、pH8.5を加え、混合し、ついで10μLのLys−Cストック溶液と一緒にした。Lys−C消化混合物は37°Cで約12−16時間インキュベート(incubate)した。
【0101】
逆相HPLC
消化物はクエンチ(quench)せず、50μLを流速0.5mL/分を用いて直接HPLCカラム(Phenomenex Jupiter 300オングストローム、5μ、2.1mm×250mm)に注入した。検出波長は214nmであった。可動相Aは0.1%TFA水溶液、可動相Bは0.1%TFAアセトニトリル溶液であった。勾配(2成分系)は次の通りであった。

時間 可動相B
0分 0%
3分 6%
8分 10%
9分 11%
21分 15%
21.1分 95%
27分 95%
27.1分 0%
【0102】
図5はCDP870のジスルフィド異性体Lys−Cのマップである。
【0103】
(実施例2)
メチオニン酸化の検出法
ストックタンパク質溶液は50mL酢酸塩、125mM NaCl、pH5.5の緩衝液中で、CDP870を20mg/mL又はCDP870Fab’を10mg/mLに希釈して調製した。トリプシン溶液は50mL酢酸緩衝液中のトリプシン濃度0.4mg/mLでPromega(Madison WI)から購入した。
【0104】
アセトニトリルによる前処理
200μLの希釈試料を200μLのアセトニトリルと混合し、短時間攪拌し、5分間静置した。
【0105】
トリプシン消化
500μLの消化緩衝液(50mMトリス−HCl、1mMCaCl2、pH8.5)を加え、混合し、ついで100μLトリプシンのストック溶液と一緒にした。トリプシン消化混合物を37°Cで約12−16時間培養した。
【0106】
逆相HPLC
消化物を100μLの1.0N HClでクエンチし、流速0.5mL/分を用いて直接HPLCカラム(Zorbax 300SB−C18(Bodman;Aston,PA)、3.5μ、4.6mm×15cm)に注入した。検出波長は214nmであった。可動相Aは0.1%TFA水溶液、可動相Bは0.1%TFAアセトニトリル溶液であった。勾配(2成分系)は次の通りであった。

時間 可動相B
0分 16%
15分 25% リニアー(Linear)
25分 27% リニアー
50分 42% リニアー
52分 90% リニアー
60分 90% ホールド(Hold)
63分 16% リニアー
78分 16% ホールド
【0107】
図4はCDP870のメチオニン酸化トリプシンのマップである。
【0108】
(実施例3)
TNFアフィニティー法
TNFαアフィニティーカラムは、ヒト組換えTNFα(Biosource International,CA*)を製品の指示書に従って、UltraLink(商標)Biosupport Medium(Pierce,Rockford,IL)にカップリングして調製した。TNFαをカップリング緩衝液、0.6Mクエン酸ナトリウム、50mM CHES、pH9.0に溶解した。1mLのカラムを作るために、カップリング緩衝液中で、0.126g(乾燥重量)のUltraLink(商標)Biosupportを750μLのTNFαとインキュベートした。反応は混合下、室温で72時間インキュベートした。ビーズを、エッペンドルフ5415マイクロチューブを用いて4℃で5分間1000rpmで遠心分離した。上清を傾寫し、樹脂を10mLのクエンチ緩衝液に再懸濁し、先述した緩やかな反転下、室温で、15mLのスクリュートップコニカル中で2.5時間インキュベートした。クエンチ緩衝液は3Mのエタノールアミン、pH9.0であった。クエンチング後、コニカルを10分間遠心分離し(上記のように)、上清を傾寫し、樹脂を緩やかな反転下、室温で、20分間、10mLのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4(Invitrogen(商標)life technology,Carlsbad,CA)に再懸濁した。洗浄したビーズを10分間遠心分離し(上記のように)、上清を傾寫し、ビーズを10mLの1Mの塩化ナトリウム中に再懸濁し、緩やかな混合下、室温で20分間インキュベートした。再度ビーズを遠心分離し、上清を傾寫し、ビーズを10mLのPBS、pH7.4に再懸濁した。これを20分間混合し、この段階をもう一度繰り返した。ビーズをついで4mLのPBS、pH7.4に再懸濁し、HR5/5カラムに注入した。得られた1mカラムを緩衝液Aの50カラム容量中で平衡化した。緩衝液Aは10mM HEPES、150mM NaCL、pH7.4である。
【0109】
カラムを平衡化し、負荷し、洗浄し、溶出し、UV900、pH、温度、及び伝導度メーター及びUnicorn4.0操作システム及び分析ソフトウェアを装備したAKTA Explorer 100 Air上のライン(line)において0.5mL/分で洗浄した。カラムを平衡化し、10mM HEPES、150mM NaCl、pH7.4中で洗浄した。カラムに緩衝液Aで2mg/mlに希釈したCDP870(36426803、200mg/mlストック)を負荷し、0.5ml/回で注入した。カラムを100mM グリシン、pH3.4で定組成的に(isocratically)溶出した。カラムを10mM HEPES、2M NaCl、pH7.4中で洗浄した。負荷後、流れ通った分画(結合しない)及び溶出した(結合した)分画を集め、また溶出分画(結合した)を集めた。これらの2つの分画及びカラムフィード物質をLysC消化で分析し、質量分光測定を行った。ペプチドマップのプロフィルはすべての試料中で、異性体#1に対応したペプチドの類似した量を示し、これは異性体#1種は結合TNAαに関して未変化体(parent)と異ならないことを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】CDP870の軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列、分子内ジスルフィドペアリング、軽鎖と重鎖間の顕著なジスルフィドペアリング及びPEG接合のシステインを示す。
【図2】CDP870のデザインされたジスルフィドペアLys−C断片及びCDP870の異性体のジスルフィドペアLys−C断片を示し、重要な残基(軽鎖cys−214、重鎖cys−221及び重鎖cys−227が強調されている。)矢印Lys−Cの開裂パターンを示す。
【図3】CDP870のメチオニンを含むトリプシンの断片を緑色で示す。
【図4】CDP870のメチオニンの酸化のトリプシンマップを示す。メチオニル残基が酸化されたトリプシン断片は、O1−O5と記載されている。例えば、トリプシン断片M1は、酸化されると、O2等としてO1、M2として記載される。
【図5】CDP870についてのジスルフィド異性体Lys−Cを示す。1411.6amuに対して相対的に1260.5amuがより多いことが明らかである。
【配列表】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えタンパク質ジスルフィド異性体。
【請求項2】
組換えタンパク質が抗体である、請求項1記載のジスルフィド異性体。
【請求項3】
抗体がTNFαに特異性を有する、請求項2記載のジスルフィド異性体。
【請求項4】
抗体がFabである、請求項2記載のジスルフィド異性体。
【請求項5】
Fabが修飾Fab断片を含み、当該修飾が、その重鎖のC末端に1つ又はそれ以上のアミノ酸を付加してエフェクター又はレポーター分子の付着を可能とする修飾である、請求項4記載のジスルフィド異性体。
【請求項6】
付加するアミノ酸の1つがシステインである、請求項5記載のジスルフィド異性体。
【請求項7】
エフェクターがポリマーである、請求項6記載のジスルフィド異性体。
【請求項8】
ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項7記載のジスルフィド異性体。
【請求項9】
ポリエチレングリコールが分枝PEGである、請求項8記載のジスルフィド異性体。
【請求項10】
TNFα抗体がCDP870である、請求項3記載のジスルフィド異性体。
【請求項11】
ジスルフィド結合が、CDP870の軽鎖のCys214と重鎖のCys227との間である、請求項10記載のジスルフィド異性体。
【請求項12】
組換えタンパク質及び当該タンパク質の少なくとも1つのジスルフィド異性体とを製剤学的に許容できる賦形剤、希釈剤又は担体と組み合わせて含む、治療用又は診断用組成物。
【請求項13】
組換えタンパク質が抗体である、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
抗体がTNFαに特異性を有する、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
TNFαがCDP870である、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
ジスルフィド結合が、CDP870の軽鎖のCys214と重鎖のCys227との間である、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
ジスルフィド異性体が全抗体濃度の約1%及び約60%の間を含む、請求項12、13、14、15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
ジスルフィドの濃度が全抗体濃度の約10%及び約20%の間である、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
ジスルフィドの濃度が全抗体濃度の20%未満である、請求項17記載の組成物。
【請求項20】
ジスルフィドの濃度が約15%未満である、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
ジスルフィドの濃度が約13%である、請求項19記載の組成物。
【請求項22】
(a)抗体断片を有機溶媒で前処理する段階、
(b)当該前処理した抗体断片を有機溶媒の存在下でプロテアーゼで消化する段階、及び
(c)プロテアーゼで消化した断片を分離する(resolve)手段、
を含む、抗体断片ジスルフィド異性体の定性と定量のための分析法。
【請求項23】
有機溶媒がアセトニトリルである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前処理段階(a)のアセトニトリル濃度が約40%と80%の間である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前処理段階(a)のアセトニトリル濃度が約67%である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
プロテアーゼ消化段階(b)のアセトニトリル濃度が約20%と50%の間である、請求項23記載の方法。
【請求項27】
プロテアーゼ消化段階(b)のアセトニトリル濃度が約20%である、請求項24記載の方法。
【請求項28】
プロテアーゼがLys−C又はトリプシンである、請求項22記載の方法。
【請求項29】
プロテアーゼ消化断片を分離する手段が逆相HPCLである、請求項22記載の方法。
【請求項30】
抗体断片が、Fab、修飾Fab、Fab’、F(ab’)2又はFv断片;軽鎖又は重鎖のモノマー又はダイマー;及び単鎖抗体からなる群から選ばれる、請求項22、23、24、25、26、27、28又は29に記載の方法。
【請求項31】
抗体断片がFabである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
FabがCD870である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
メチオニル酸化、切断(truncation)、アスパラギンの脱アミド化(deamidation)、 誤取り込み(misincorporation)、延長(exrension)又は他の通例(common)からなる群から選ばれた組換えタンパク質中の抗体断片分解産物及び抗体断片不純物の性質決定及び定量のための分析法であって、
(a)タンパク質を有機溶媒で前処理する段階、
(b)当該前処理したタンパク質を有機溶媒の存在下でプロテアーゼで消化する段階、及び
(c)プロテアーゼで消化した断片を分離する手段、
を含む、分析法。
【請求項34】
前処理段階(a)中のアセトニトリル濃度が約50%である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
プロテアーゼ消化段階(b)中のアセトニトリル濃度が約20%である、請求項34記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2006−505497(P2006−505497A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−578427(P2003−578427)
【出願日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/008608
【国際公開番号】WO2003/080674
【国際公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願人】(504353811)ファルマシア コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】