説明

抗増殖活性を有し、そして/または核酸損傷剤を増大するペプチドおよびペプチド模倣物あるいは処置

【課題】細胞増殖障害、例えば、良性腫瘍細胞に関連する障害および悪性腫瘍細胞に関連する障害を処置するために使用され得る、ペプチドおよびペプチド模倣物を含有する化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、細胞増殖障害、例えば、良性腫瘍細胞に関連する障害および悪性腫瘍細胞に関連する障害を処置するために使用され得る、ペプチドおよびペプチド模倣物を含有する化合物を提供する。本発明は、いずれの特定の機構にも限定されないが、本発明の化合物は、少なくとも部分的には、G2細胞周期チェックポイントを阻害することによって機能するようである。従って、本発明の化合物は、細胞増殖を阻害するために、単独で使用され得るか、または核酸損傷処置と組み合わせて、細胞増殖を阻害するために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許出願第60/350,208号(2002年1月17日出願)に対する優先権を主張する。
(技術分野)
本発明は、膠細胞増殖活性のみを有するペプチドおよびペプチド模倣物を含む化合物、ならびに核酸(例えば、DNA)を直接的もしくは間接的のいずれかで損傷する処置と組み合わせた、その化合物に関する。従って、本発明の化合物は、細胞増殖を阻害するために有用であり、よって、癌を含む細胞増殖障害を処置するために有用である。特に、本発明の化合物は、転移性および非転移性の固形腫瘍または液状腫瘍を処置するにおいて有用である。
【背景技術】
【0002】
(背景)
細胞周期は、S期(DNA複製)、M期(減数分裂)、およびS期とM期の間の2つのギャップ期(G1期およびG2期)を含む。DNA完全性、DNA複製、細胞サイズ、および周辺環境の状態のモニタリングのような細胞周期におけるチェックポイントは、正確な連続を保証する(非特許文献1)。多細胞器官にとってゲノムの完全性を維持することは特に重要であり、ゲノムの状態をモニタリングする多くのチェックポイントがある。中には、DNA複製および減数分裂の前に存在する、それぞれ、G1チェックポイントおよびG2チェックポイントがある。S期に入る前にDNA損傷を修正することは重要である。なぜなら、一旦損傷したDNAが複製されると、しばしば変異を生じるからである(非特許文献2)。広範なDNA損傷を修復することなくG1チェックポイントとG2チェックポイントを通ることが続くと、アポトーシスおよび/またはカタストロフィーが誘導される。
【0003】
大部分の癌細胞は、G1チェックポイント関連タンパク質(例えば、p53、Rb、MDM−2、pl6INK4およびp19ARF(非特許文献3)において異常を有する。あるいは、変異により、G1チェックポイントの厳密性を低下させる癌遺伝子産物(例えば、Ras、MDM−2およびサイクリンD)の過剰発現および/または過剰活性化が引き起こされ得る。これらの変異に加えて、過剰な増殖因子シグナル伝達は、増殖因子の過剰発現によって引き起こされ得、G1チェックポイントの厳密性を低下させ得る。機能低下変異および機能増加変異とともに、増殖因子レセプターまたは下流シグナル伝達分子の連続的活性化は、G1チェックポイントを無効にすることによって細胞形質転換を引き起こし得る。妨げられたG1チェックポイントは、より高い変異率に寄与し、多くの変異は、癌細胞において認められる。結果として、大部分の癌細胞は、過剰なDNA損傷に逆らって生き残るために、G2チェックポイントに依存する(非特許文献4)。
【0004】
DNA損傷後の細胞周期G2抑制を促進する機構は、酵母からヒトにいたるまで、種間で保存されていると考えられる。損傷したDNAの存在下で、Cdc2/サイクリンBキナーゼは、Cdc2キナーゼ上のスレオニン−14およびチロシン−15残基の阻害性リン酸化が原因で不活性なままであるか、またはサイクリンBのタンパク質レベルが、低下される。減数分裂の開始時に、二重ホスファターゼCdc25は、これらの阻害性ホスフェートを除去し、それによってCdc2/サイクリンBキナーゼを活性化する。Cdc2/サイクリンBの活性化は、M期の開始と等しい。
【0005】
分裂酵母において、プロテインキナーゼChk1は、損傷したDNAに応答した細胞周期抑制のために必要である。Chk1キナーゼは、いくつかのrad遺伝子産物の下流で作用し、DNA損傷の際に、リン酸化によって改変される。出芽酵母のキナーゼRad53および分裂酵母のCds1は、非複製DNAからのシグナルを伝達することが公知である。Chk1とCds1との間にいくらかの重複性が存在するようである。なぜなら、Chk1とCds1両方の排除は、損傷したDNAによって誘導されるG2抑制の破壊をもたらしたからである。興味深いことに、Chk1およびCds1はともに、Cdc25をリン酸化し、Cdc25へのRad24結合を促進し、このことによって、Cdc25をサイトゾルへ隔離し、Cdc2/サイクリンB活性化を防止する。従って、Cdc25は、これらのキナーゼの共通した標的であるようである。このことは、この分子が、G2チェックポイントにおける必須の要因であることを暗示する。
【0006】
ヒトにおいて、hChkl(分裂酵母Chk1のヒトホモログ)およびChk2/HuCds1(出芽酵母Rad53および分裂酵母Cds1のヒトホモログ)はともに、DNA損傷に応答して、セリン−216(重要な調節部位)においてCdc25Cをリン酸化する。このリン酸化は、小さな酸性タンパク質14−3−3s(分裂酵母のRad24およびRad25のヒトホモログ)の結合部位を作り出す。このリン酸化の調節の役割は、Cdc25C上のセリン−216のアラニンへの置換が、ヒト細胞における細胞周期G2抑制を破壊するという事実によって明らかに示された。しかし、G2チェックポイントの機構は、完全には理解されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Maller,J.L.Curr.Opin.CellBiol.,3:26(1991)
【非特許文献2】Hartwell,L. Cell,71:543(1992)
【非特許文献3】Levine,A.J. Cell,88:323(1997)
【非特許文献4】O’ConnorおよびFan,Prog.CellCycle Res.,2:165(1996)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
本発明に従って、細胞増殖障害によって特徴付けられるような、細胞増殖を阻害し、アポトーシスもしくはカタストロフィーを刺激し、または望ましくない細胞増殖もしくは生存を処置するために、1以上の活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物が提供される。1つの実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号1)またはP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号2)。P1はCha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、類似の側鎖空間を占有するアミノ酸(例えば、TyrもしくはPhe)、あるいは1もしくは2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリンもしくはピリミジン基を有するか、または1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、もしくはキナゾリン基を側鎖に有する任意のアミノ酸であり;P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、Phe4NO2、類似の側鎖空間を占有するアミノ酸(例えば、TyrもしくはPhe)、あるいは1または2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリンもしくはピリミジン基を有するか、または1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、もしくはキナゾリン基を側鎖に有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸である(例えば、P4はTrpである)か、またはここでP3、P4、P5のうちの1以上は、単純な炭素鎖である(例えば、11−アミノウンデカン酸、10−アミノデカン酸、9−アミノノナン酸、8−アミノカプリル酸、7−アミノヘプタン酸、6−アミノカプロン酸、または1個以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造)。その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、Bpa、Phe4NO2、任意の1つのアミノ酸とTyr(例えば、Ser−Tyr)、任意の1つのアミノ酸とPhe(例えば、Ser−Phe)、任意のアミノ酸、またはなしである。
【0009】
別の実施形態において、連続するペプチド配列もしくはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号3);P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号4);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号5);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号6);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号7);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号8);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号9);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号10);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号11);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号12);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号13);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号14);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号15);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号16)。P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、Phe4NO2、類似の側鎖空間を占有するアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは1もしくは2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリンもしくはピリミジン基を有するか、または1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、もしくはキナゾリン基を側鎖に有する任意のアミノ酸であり;P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、または類似の側鎖空間を占有するアミノ酸(例えば、TyrもしくはPhe)、あるいは1または2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリンもしくはピリミジン基を有するか、または1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、もしくはキナゾリン基を側鎖に有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸である(たとえば、P4はTrpである)か、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上が、単純な炭素鎖である(例えば、11−アミノウンデカン酸、10−アミノデカン酸、9−アミノノナン酸、8−アミノカプリル酸、7−アミノヘプタン酸、6−アミノカプロン酸、または1個以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造)。その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、Bpa、Phe4NO2、任意の1つのアミノ酸とTyr(例えば、Ser−Tyr)、任意の1つのアミノ酸とPhe(例えば、Ser−Phe)であり;そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12のうちの少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、残りは、任意のアミノ酸またはなしである。
【0010】
さらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号17);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号18);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号19);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号20)。P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、Phe4NO2、類似の側鎖空間を占有するアミノ酸、あるいは1もしくは2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリンもしくはピリミジン基を有するか、または1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、もしくはキナゾリン基を側鎖に有する任意のアミノ酸であり;P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、または類似の側鎖空間を占有するアミノ酸(例えば、TyrもしくはPhe)、あるいは1または2個の芳香族、ピペリジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリンもしくはピリミジン基を有するか、または1個のインドール、ペンタレン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、インドリン、クロマン、キノキサリン、もしくはキナゾリン基を側鎖に有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸である(例えば、P4はTrpである)か、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上が、単純な炭素鎖である(例えば、アミノウンデカン酸または8−アミノカプリル酸)。その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、Bpa、Phe4NO2、任意の1つのアミノ酸とTyr(例えば、Ser−Tyr)、任意の1つのアミノ酸とPhe(例えば、Ser−Phe)であり;そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12のうちの少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、残りは、任意のアミノ酸またはなしである。
【0011】
さらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号21)またはP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号22)。P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、Phe4NO2、TyrまたはPheであり;P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、Phe4NO2、TyrまたはPheであり;P3は、Ser、Arg、Cys、Pro、またはAsnであり;P4は、Trpであり;P5は、Ser、Arg、またはAsnであるか;またはP3、P4、P5は、単純なアミノウンデカン酸または単純な8−アミノカプリル酸であり;そしてP6は、Bpa、Phe4NO2、(Ser−Tyr)または(Ser−Phe)である。
【0012】
なお別の実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号23);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号24);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号25);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号26);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号27);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号28);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号29);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号30);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号31);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号32);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号33);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号34)。P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、Phe4NO2、TyrまたはPheであり;P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、Phe4NO2、TyrまたはPheであり;P3は、Ser、Arg、Cys、Pro、またはAsnであり;P4は、Trpであり;P5は、Ser、Arg、またはAsnであるか;またはP3、P4、P5は、単純なアミノウンデカン酸または単純な8−アミノカプリル酸であり;P6は、Bpa、Phe4NO2、(d−Ser−d−Tyr)または(d−Ser−d−Phe)であり;そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12のうちの少なくとも3つは、ArgまたはLysであり、残りは、任意のアミノ酸またはなしである。
【0013】
なお別の実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号35);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号36);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号37);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号38)。P1は、ChaまたはNal(2)であり;P2は、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)であり;P3は、Serであり;P4は、Trpであり;P5は、SerまたはArgであり;P6は、Bpa、Phe4NO2、(Ser−Tyr)または(Ser−Phe)であり;そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12のうちの少なくとも3つは、Argであり、残りは、任意のアミノ酸またはなしである。
【0014】
なお、さらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号39)またはP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号40)。P1はCha、またはNal(2)であり;P2は(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)または(Phe−4CF3)であり;P3はSerであり;P4はTrpであり;P5はSerであり;そしてP6はBpaまたは(Ser−Tyr)である。
【0015】
なお、さらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号41);P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号42);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号43);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号44);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号45);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号46);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号47);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号48);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号49);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号50);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号51);P12、Pll、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号52);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号53);あるいはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号54)。P1はCha、またはNal(2)であり;P2は(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)または(Phe−4CF3)であり;P3は任意のアミノ酸であり(例えば、Ser、またはPro);P4はd−Trpまたはl−Trpであり;P5は任意のアミノ酸であり(例えば、Ser、またはPro);P6はBpaまたは(Ser−Tyr)であり;P7はArgであり;P8はArgであり;P9はArgであり;P10はGlnまたはArgであり;P11はArgであり;そして、P12はd−Argまたはl−Argである。
【0016】
なお、さらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号55);P12、Pll、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号56);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号57);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号58)。P1はChaまたはNal(2)であり;P2は(Phe−2,3,4,5,6−F)であり;P3はSerであり;P4はTrpであり;P5はSerであり;P6はBpaまたは(Ser−Tyr)であり;P7はArgであり;P8はArgであり;P9はArgであり;P10はGlnまたはArgであり;P11はArgであり;そしてP12はArgである。
【0017】
特定の局面において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号99);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号100);(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号59);(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号60);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号61);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号62);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号63);(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号64);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号65);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号66);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号67);(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号68);(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号69);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号70);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号71);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号72);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号73);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号74);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号75);または(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号76);(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号77)。
【0018】
さらなる局面において、ペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下を含む:1つ以上のl型またはd型残基;d−残基のl−残基への置換;あるいはl−残基のd−残基への置換。
【0019】
ペプチド配列およびペプチド模倣物配列は、以下の活性の1つ以上を含む:細胞増殖を阻害する;細胞周期のG2チェックポイントを抑制する;細胞のアポトーシスを刺激する;細胞の破局を刺激する。
【0020】
ペプチド配列およびペプチド模倣物配列は、以下を含む:約6から約12、10から約20、18から約25、25から約100、25から約200、または50から約300残基長の長さを有する配列。
【0021】
本発明のペプチド配列およびペプチド模倣物配列を含む組成物が、さらに提供される。1つの実施形態において、組成物は、ペプチド配列またはペプチド模倣物配列および核酸損傷剤を含む。別の実施形態において、組成物は、ペプチド配列またはペプチド模倣物配列および抗増殖剤(anti−proliferativeagent)を含む。さらなる実施形態において、組成物は、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤およびペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含み、そして、必要に応じて、核酸損傷剤または抗増殖剤を含む。
【0022】
さらに、本発明において、必要に応じて核酸損傷処置(例えば、核酸損傷剤)、または抗増殖剤と組み合わせられた、本発明のペプチド配列およびペプチド模倣物配列を含むキットが提供される。1つの実施形態において、キットは、ペプチド配列またはペプチド模倣物配列、および本発明の方法の実施における使用のための指示書を含む。特定の局面において、指示書は、細胞増殖を阻害するためである。
【0023】
本発明はまた、本発明のペプチド配列およびペプチド模倣物配列を使用する方法を提供する。1つの実施形態において、方法は、細胞を、その細胞の増殖を阻害するのに十分な量のペプチドまたはペプチド模倣物と接触させる工程を包含する。別の実施形態において、方法は、細胞を、核酸損傷剤と接触させる工程か、または細胞を、核酸損傷処置に曝露する工程を包含する。
【0024】
本発明は、核酸損傷剤または核酸損傷処置に対する細胞の感受性を増加させる方法を提供する。1つの実施形態において、方法は、核酸損傷剤または核酸損傷処置に対する細胞感受性を増加するのに十分な量の、ペプチドまたはペプチド模倣物と細胞を接触させる工程を包含する。
【0025】
本発明はさらに、細胞に対する核酸損傷を増加する方法を提供する。1つの実施形態において、方法は、細胞の核酸損傷を増加するのに十分な量のペプチドまたはペプチド模倣物を、その細胞に接触させる工程を包含する。
【0026】
本発明の方法の種々の局面において、細胞は、培養細胞であるか、または被験体中に存在する。さらなる局面において、方法は、さらに、その細胞を、核酸損傷剤を接触させる工程、または細胞を核酸損傷処置に曝露する工程を包含する。
【0027】
本発明はさらに、細胞増殖障害を処置する方法を提供する。1つの局面において、方法は、細胞増殖障害を有する被験体、または細胞増殖障害のリスクを有する被験体に対して、細胞増殖障害を処置するのに有効な量のペプチドまたはペプチド模倣物を投与する工程を包含する。特定の局面において、細胞増殖障害は、良性または悪性の、固形腫瘍または液体腫瘍(例えば、転移性または非転移性の肉腫または癌腫、あるいは骨髄腫、リンパ腫、または白血病のような造血性の癌)を含む。さらなる特定の局面において、細胞増殖障害を含む細胞の少なくとも一部は、血液、胸部、肺、甲状腺、頭部または頸部、脳、リンパ、胃腸管、鼻咽頭、尿生殖器管、膀胱、腎臓、すい臓、肝臓、骨、筋肉、あるいは皮膚の中に局在する。
【0028】
本発明の方法は、任意の経路での投与を包含する。特定の実施形態において、ペプチドまたはペプチド模倣物が、局所的に、局部的に、または全身に投与される。
【0029】
本発明の方法は、被験体の状態を改善する結果を生じる処置を包含する。特定の実施形態において、改善とは、細胞増殖障害を含む細胞の少なくとも部分の、細胞増殖の減少、細胞数の減少、細胞増殖の増加の阻害、細胞数増加の阻害、アポトーシスの増大、または生存の減少の1つ以上を含む。
【0030】
本発明の方法は、被験体に対する、核酸損傷剤、核酸損傷処置、抗増殖剤、または抗増殖処置の投与を含む。特定の局面において、薬剤または処置は、薬物(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、レベカマイシン(rebeccamycin)、アドリアマイシン(ADR)、ブレオマイシン(Bleo)、ペプロマイシン、シスプラチン(CDDP)またはオキザリプラチン(oxaliplatin)のようなシスプラチン誘導体、あるいは、カンプトセシン(CPT)のような化学治療剤)、照射(例えば、UV照射、IR照射、あるいはα線照射、β線照射、またはγ線照射)、放射性同位体(例えば、I131、I12590Y、177Lu、213Bi、または211At)、環境ショック(例えば、高熱)を含む。
【0031】
本発明はまた、以下の項目を含む。
(項目1)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号1)またはP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号2);
ここで、P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、類似の側鎖間隔を占有するアミノ酸、あるいは側鎖において、1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;
ここで、P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、PheNO、類似の側鎖間隔を占有するアミノ酸、あるいは側鎖において、1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;
ここで、P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、あるいはここで、P3、P4、P5のうちの1つ以上は、単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とおよそ同じであり;
ここで、P6は、Bpa、PheNO、任意の1つのアミノ酸およびTyr、任意の1つのアミノ酸およびPhe、任意のアミノ酸、または非存在である、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目2)
上記単純な炭素鎖を有するアミノ酸が、11−アミノウンデカン酸、10−アミノデカン酸、9−アミノノナン酸、8−アミノカプリン酸、7−アミノヘプタン酸、6−アミノカプロン酸、または1つ以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造である、項目1に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目3)
上記任意の1つのアミノ酸が、Serである、項目1に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目4)
P4がTrpである、項目1に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目5)
類似の側鎖間隔を占有する上記アミノ酸が、TyrまたはPheである、項目1に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目6)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号3);P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号4);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号5);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号6);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号7);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号8);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号9);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号10);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号11);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号12);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号13);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号14);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号15);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号16);
ここで、P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、PheNO、類似の側鎖間隔を占有するアミノ酸(例えば、d−Tyrまたはl−Tyr、d−Pheまたはl−Phe)、あるいは側鎖において、1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;
ここで、P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、または類似の側鎖間隔を占有するアミノ酸、あるいは側鎖において、1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;
ここで、P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、あるいはここで、P3、P4、P5のうちの1つ以上は、単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とおよそ同じであり;
ここで、P6は、Bpa、PheNO、任意の1つのアミノ酸およびTyr、任意の1つのアミノ酸およびPheであり;そして
ここで、P7、P8、P9、P10、P11、P12のうちの少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、そして残りは、任意のアミノ酸であるかもしくは非存在である、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目7)
上記単純な炭素鎖を有するアミノ酸が、11−アミノウンデカン酸、10−アミノデカン酸、9−アミノノナン酸、8−アミノカプリン酸、7−アミノヘプタン酸、6−アミノカプロン酸、または1つ以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造である、項目6に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目8)
上記任意の1つのアミノ酸が、Serである、項目6に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目9)
P4がTrpである、項目6に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目10)
類似の側鎖間隔を占有する上記アミノ酸が、TyrまたはPheである、項目6に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目11)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号17);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号18);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号19);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号20);
ここで、P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、PheNO、類似の側鎖間隔を占有するアミノ酸、あるいは側鎖において、1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;
ここで、P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、類似の側鎖間隔を占有するアミノ酸、あるいは側鎖において、1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;
ここで、P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、あるいはここで、P3、P4、P5のうちの1つ以上は、単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とおよそ同じであり;
ここで、P6は、Bpa、PheNO、任意の1つのアミノ酸およびTyr、任意の1つのアミノ酸およびPhe、任意のアミノ酸、または非存在であり;そして
ここで、P7、P8、P9、P10、P11、P12のうちの少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、そして残りは、任意のアミノ酸であるかもしくは非存在である、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目12)
上記単純な炭素鎖を有するアミノ酸が、アミノウンデカン酸または8−アミノカプリル酸である、項目11に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目13)
上記任意の1つのアミノ酸が、Serである、項目11に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目14)
P4がTrpである、項目11に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目15)
類似の側鎖間隔を占有する上記アミノ酸が、TyrまたはPheである、項目11に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目16)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号21)またはP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号22);
ここで、P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、PheNO、Tyr、またはPheであり;
ここで、P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、PheNO、Tyr、またはPheであり;
ここで、P3は、Ser、Arg、Cys、Pro、またはAsnであり;
ここで、P4は、Trpであり;
ここで、P5は、Ser、Arg、またはAsnであるか;あるいは
ここで、P3、P4、P5は、単一のアミノウンデカン酸または単一の8−アミノカプリン酸であり;そして
ここで、P6は、Bpa、PheNO、(Ser−Tyr)、または(Ser−Phe)である、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目17)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号23);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号24);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号25);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号26);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号27);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号28);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号29);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号30);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号31);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号32);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号33);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号34);
ここで、P1は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、PheNO、Tyr、またはPheであり;
ここで、P2は、Cha、Nal(2)、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)、Bpa、PheNO、Tyr、またはPheであり;
ここで、P3は、Ser、Arg、Cys、Pro、またはAsnであり;
ここで、P4は、Trpであり;
ここで、P5は、Ser、Arg、またはAsnであるか;あるいは
ここで、P3、P4、P5は、単一のアミノウンデカン酸または単一の8−アミノカプリン酸であり;
ここで、P6は、Bpa、PheNO、(d−Ser−d−Tyr)、または(d−Ser−d−Phe)であり;そして
ここで、P7、P8、P9、P10、P11、P12のうちの少なくとも3つは、ArgまたはLysであり、そして残りは、任意のアミノ酸または非存在である、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目18)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号35);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号36);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号37);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号38);
ここで、P1は、Cha、またはNal(2)であり;
ここで、P2は、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)、(Phe−4CF3)であり;
ここで、P3は、Serであり;
ここで、P4は、Trpであり;
ここで、P5は、SerまたはAsnであり;
ここで、P6は、Bpa、PheNO、(Ser−Tyr)、または(Ser−Phe)であり;そして
ここで、P7、P8、P9、P10、P11、P12のうちの少なくとも3つは、Argであり、そして残りは、任意のアミノ酸または非存在である、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目19)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号39)またはP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号40);
ここで、P1は、Cha、またはNal(2)であり;
ここで、P2は、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)または(Phe−4CF3)であり;
ここで、P3は、Serであり;
ここで、P4は、Trpであり;
ここで、P5は、Serであり;そして
ここで、P6は、Bpa、または(Ser−Tyr)である、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目20)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号41);P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号42);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号43);P1、P2、P3、P4、P5、P6、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号44);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号45);P6、P5、P4、P3、P2、P1、P12、P11、P10、P9、P8、P7(配列番号46);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号47);P7、P8、P9、P10、P11、P12、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号48);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号49);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号50);P12、P11、P6、P9、P8、P7、P2、P1(配列番号51);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号52);P1、P2、P7、P8、P9、P6、P11、P12(配列番号53);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号54);
ここで、P1は、Cha、またはNal(2)であり;
ここで、P2は、(Phe−2,3,4,5,6−F)、(Phe−3,4,5F)または(Phe−4CF3)であり;
ここで、P3は、任意のアミノ酸であり;
ここで、P4は、d−Trpまたはl−Trpであり;
ここで、P5は、任意のアミノ酸であり;
ここで、P6は、Bpaまたは(Ser−Tyr)であり;
ここで、P7は、Argであり;
ここで、P8は、Argであり;
ここで、P9は、Argであり;
ここで、P10は、GlnまたはArgであり;
ここで、P11は、Argであり;そして
ここで、P12は、d−Argまたはl−Argである、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目21)
上記任意のアミノ酸が、Ser、またはProである、項目20に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目22)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12(配列番号55);P12、P11、P10、P9、P8、P7、P6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号56);P12、P11、P10、P6、P9、P4、P7、P2、P1(配列番号57);またはP1、P2、P7、P4、P9、P6、P10、P11、P12(配列番号58);
ここで、P1は、ChaまたはNal(2)であり;
ここで、P2は、(Phe−2,3,4,5,6−F)であり;
ここで、P3は、Serであり;
ここで、P4は、Trpであり;
ここで、P5は、Serであり;
ここで、P6は、Bpaまたは(Ser−Tyr)であり;
ここで、P7は、Argであり;
ここで、P8は、Argであり;
ここで、P9は、Argであり;
ここで、P10は、GlnまたはArgであり;
ここで、P11は、Argであり;そして
ここで、P12は、Argである、
連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目23)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号99);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号100);(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号59);(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号60);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号61);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号62);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号63);(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号64);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号65);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号66);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号67);(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号68);(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号69);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号70);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号71);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号72);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号73);(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号74);(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号75);または(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号76)。
(項目24)
以下の構造を含む、連続的なペプチド配列またはペプチド模倣物配列:
(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号77)。
(項目25)
1つ以上の残基が、l型である、項目1、6、11、16〜20または22のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目26)
1つ以上の残基が、d型である、項目1、6、11、16〜20または22のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目27)
d残基が、l残基で置換されている、項目23または24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目28)
上記配列が、細胞の増殖を阻害する、項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目29)
上記配列が、細胞の細胞周期G2チェックポイントを抑制する、項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目30)
上記配列が、約6〜約12残基長、10〜約20残基長、18〜約25残基長、25〜約100残基長、25〜約200残基長、または50〜約300残基長の長さを有する、項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列。
(項目31)
項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列、ならびに核酸損傷剤を含有する、組成物。
(項目32)
項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列、ならびに抗増殖剤を含有する、組成物。
(項目33)
項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含有する、薬学的組成物。
(項目34)
項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列、ならびに核酸損傷剤または抗増殖剤を含有する、薬学的組成物。
(項目35)
項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列、ならびに使用指示書を備える、キット。
(項目36)
上記使用指示書が、核酸損傷処置と組み合わせて、細胞増殖を阻害するための指示を含む、項目35に記載のキット。
(項目37)
核酸損傷剤をさらに備える、項目35に記載のキット。
(項目38)
抗増殖剤をさらに備える、項目35に記載のキット。
(項目39)
細胞の増殖を阻害する方法であって、細胞を、該細胞の増殖を阻害するために十分な量の項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチドまたはペプチド模倣物と接触させる工程を包含する、方法。
(項目40)
上記細胞を核酸損傷剤と接触させる工程、または該細胞を核酸損傷処置に曝露する工程をさらに包含する、項目39に記載の方法。
(項目41)
上記細胞が、培養された細胞であるか、または被験体中に存在する、項目40に記載の方法。
(項目42)
細胞の、核酸損傷剤または処置に対する感受性を増加させる方法であって、該細胞を、該細胞の核酸損傷剤または処置に対する感受性を増加させるために十分な量の項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチドまたはペプチド模倣物と接触させる工程を包含する、方法。
(項目43)
上記細胞を、核酸損傷剤と接触させる工程、または該細胞を、核酸損傷処置に暴露する工程をさらに包含する、項目42に記載の方法。
(項目44)
上記細胞が、培養された細胞であるか、または被験体中に存在する、項目57に記載の方法。
(項目45)
細胞に対する核酸損傷を増加させる方法であって、細胞を、該細胞の核酸損傷を増加させるために十分な量の項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列と接触させる工程を包含する、方法。
(項目46)
上記細胞を、核酸損傷剤と接触させる工程、または該細胞を、核酸損傷処置に暴露する工程をさらに包含する、項目45に記載の方法。
(項目47)
上記細胞が、培養された細胞であるか、または被験体中に存在する、項目45に記載の方法。
(項目48)
細胞増殖障害を処置する方法であって、細胞増殖障害を有するか、または細胞増殖障害を有する危険のある被験体に、該細胞増殖障害を処置するために有効な量の項目1、6、11、16〜20および22〜24のいずれか1項に記載のペプチド配列またはペプチド模倣物配列を投与する工程を包含する、方法。
(項目49)
上記細胞増殖障害を構成する細胞の少なくとも一部が、血液、胸部、肺、甲状腺、頭部または頸部、脳、リンパ、胃腸管、鼻咽腔、生殖泌尿器管、膀胱、腎臓、膵臓、肝臓、骨、筋肉、あるいは皮膚中に位置する、項目48に記載の方法。
(項目50)
上記ペプチドまたはペプチド模倣物が、局部的、局所的、または全身的に投与される、項目48に記載の方法。
(項目51)
上記細胞増殖障害が、良性または悪性の、固形または液体の腫瘍を含む、項目48に記載の方法。
(項目52)
上記腫瘍が、転移性または非転移性である、項目51に記載の方法。
(項目53)
上記固形腫瘍が、肉腫または癌腫を含む、項目51に記載の方法。
(項目54)
上記液体腫瘍が、造血癌を含む、項目51に記載の方法。
(項目55)
上記造血癌が、骨髄腫、リンパ腫または白血病を含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
上記処置が、被験体の状態の改善を生じる、項目51に記載の方法。
(項目57)
上記改善が、上記細胞増殖障害を構成する細胞の少なくとも一部の、減少した細胞増殖、減少した細胞数、増加した細胞増殖の阻害、細胞数の増加の阻害、増加したアポトーシス、または減少した生存を含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
核酸損傷剤、核酸損傷処置、抗増殖剤または抗増殖処置を、上記被験体に投与する工程をさらに包含する、項目54に記載の方法。
(項目59)
上記薬剤または処置が、薬物、放射線、放射性同位元素、環境ショックを含む、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記薬物が、化学療法薬物を含有する、項目59に記載の方法。
(項目61)
上記薬物が、5−フルオロウラシル(5−FU)、レベッカマイシン、アドリアマイシン(ADR)、ブレオマイシン(Bleo)、ペプレオマイシン、シスプラチン誘導体、またはカンプトテシン(CPT)を含有する、項目58に記載の方法。
(項目62)
上記シスプラチン誘導体が、シスプラチン(CDDP)またはオキサリプラチンを含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
上記放射性同位元素が、I131、I12590Y、177Lu、213Bi、または221Atを含む、項目59に記載の方法。
(項目64)
上記放射線が、UV放射線、IR放射線、またはα放射線、β放射線もしくはγ放射線を含む、項目59に記載の方法。
(項目65)
上記環境ショックが、高熱を含む、項目59に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ブレオマイシン処理したジャーカット細胞に対して使用した場合の、各化合物の用量応答曲線を示す。X軸は、用量を示し、そしてY軸は、処理後のG2/M細胞(%)を示す。
【図2】図2は、コルヒチン処理したジャーカット細胞に対して使用した場合の、各化合物の用量応答曲線を示す。X軸は、用量を示し、そしてY軸は、処理後のG2/M細胞(%)を示す。
【図3A】図3Aおよび3B。種々の用量の化合物で、(A)ブレオマイシン(Bleo)処理または(B)アドリアマイシン(ADR)処理した、ヒト膵臓癌由来細胞株MIAPaCa2。収集した細胞を、細胞のDNAについて染色し、そしてフローサイトメトリーを用いて分析した。G1下の細胞集団のパーセンテージを、死細胞として示す。
【図3B】図3Aおよび3B。種々の用量の化合物で、(A)ブレオマイシン(Bleo)処理または(B)アドリアマイシン(ADR)処理した、ヒト膵臓癌由来細胞株MIAPaCa2。収集した細胞を、細胞のDNAについて染色し、そしてフローサイトメトリーを用いて分析した。G1下の細胞集団のパーセンテージを、死細胞として示す。
【図4】図4A〜4Cは、G2チェックポイント抑制剤(l−Gly)(l−Arg)(l−Lys)(l−Lys)(l−Arg)(l−Arg)(l−Gln)(l−Arg)(l−Arg)(l−Cha)(l−Phe−2,3,4,5,6−F)(l−Arg)(l−Ser)(l−Pro)(l−Ser)(l−Tyr)(l−Tyr)(配列番号78)の、構造活性相関の説明図である:(A)ブレオマイシン処理したジャーカット細胞における、1−Chaのアミノ酸置換のG2チェックポイント抑制活性を順番で示す、[l−Cha=l−Nal(2)]> [l−Ala(3−Bzt)=l−Nal(l)=l−Trp=l−Dph] > [l−Ala(tBu)=Cys(tBu)=Leu];(B)コルヒチン処理したジャーカット細胞における、1−Chaのアミノ酸置換のM期チェックポイント抑制活性および/または非特異的毒性を順番で示す、[Ala(3−Bzt)=l−Nal(l)=l−Dph]> [l−Cha=l−Nal(2)];(C)l−Phe−2,3,4,5,6−Fのアミノ酸置換のG2チェックポイント抑制活性を順番で示す、l−(Phe−2,3,4,5,6−F)=l−(Phe−3,4,5−F)=l−(Phe−4CF3)]> [l−(Phe−3Br,4Cl,5Br)=l−(Phe−4Cl)=l−Tyr]。
【図5】図5は、種々のアルギニンリッチ配列のG2抑制活性を示す。示されたペプチドを、ブレオマイシンとともに、またはブレオマイシンを用いずに、ジャーカット細胞に添加した。G2/M細胞のパーセントを、Y軸に示す。X軸は、以下のとおりである:1、ブレオマイシン単独;2、0.2μg/ml;3、0.39μg/ml;4、0.78μg/ml;5、1.56μg/ml;6、3.125μg/ml;7、6.25μg/ml;8、12.5μg/ml;9、25μg/ml;および10、50μg/ml。ペプチド配列は以下の通りである:rrrqrrkkr、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Lys)(d−Lys)(d−Arg)(配列番号79);CBP501、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号80);TATなし(noTAT)、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号81);rqrr、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号82);rrqrr、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号83);rrrq、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(配列番号84);およびrrrqr、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(配列番号85)。
【図6】図6は、(d−Bpa)を有さない種々のペプチドのG2抑制活性を示す。示されたペプチドを、ブレオマイシンとともに、またはブレオマイシンを用いずに、ジャーカット細胞に添加した。G2/M細胞のパーセントを、Y軸に示す。X軸は、以下のとおりである:1、ブレオマイシン単独;2,0.2μg/ml;3、0.39μg/ml;4、0.78μg/ml;5、1.56μg/ml;6、3.125μg/ml;7、6.25μg/ml;8、12.5μg/ml;9、25μg/ml;および10、50μg/ml。ペプチド配列は以下のとおりである:CBP0、(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号86);CBP451、(d−Tyr)(d−Ser)(d−Pro)(l−Trp)(l−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号87);CBP452、(d−Tyr)(d−Ser)(l−Pro)(l−Trp)(l−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号88);およびCBP501、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号80)。
【図7】図7は、種々のアルギニンリッチペプチド配列およびリジンリッチペプチド配列のG2抑制活性を示す。示されたペプチドを、上記のようにジャーカット細胞に添加した。G2/M細胞のパーセントを、計算した(Y軸)。ペプチド配列は、以下のとおりである:CBP603、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe4NO2)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号89);CBP607、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号90);CBP608、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号91);およびCBP609、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Lys)(d−Lys)(d−Lys)(d−Lys)(d−Lys)(d−Lys)(配列番号92)。
【図8】図8は、配列のアルギニンリッチ部分の位置を改変できることを示す。示されたペプチドを、上記のようにジャーカット細胞に添加した。G2/M細胞のパーセントを、計算した(Y軸)。ペプチド配列は、以下のとおりである:CBP501、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2、3,4、5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号80);CBP510、(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号93);CBP511、(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号94);およびCBP512、(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Cha)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Bpa)(配列番号95)。
【図9】図9は、いくつかの研究された置換ペプチド配列の構造を示す。G2抑制活性は、明るく網掛けした置換の場合に増加し()、M期チェックポイント抑制活性および/または非特異的毒性は、暗い網掛けした置換の場合に増加し(**)、そしてその他は、他の置換について、ほぼ同一のままであった。
【図10】図10は、CBP501およびシスプラチンを用いて処理した後の、SCIDマウスにおける、腫瘍(ヒト膵臓癌腫)増殖の阻害を示す。「0日目」は、処置の開始を示す。各処理群について、標準偏差とともに、平均腫瘍サイズをY軸に示し、そして処置開始後の日数をX軸に示す。
【図11】図11は、上記のように、キナーゼ阻害配列領域、およびHIV−TAT形質導入配列に基づく配列領域を有するペプチドのG2抑制活性を示す。G2/M細胞のパーセントを、Y軸に示す。X軸は、以下のとおりである:1、ブレオマイシン単独;2,0.2μg/ml;3、0.39μg/ml;4、0.78μg/ml;5、1.56μg/ml;6、3.125μg/ml;7、6.25μg/ml;8、12.5μg/ml;9、25μg/ml;および10、50μg/ml。ペプチド配列は以下のとおりである:CBP501、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号80);CBP700、(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号96);CBP701、(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号97);CBP702、(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Trp)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号98);CBP703、(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Bpa)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(配列番号99)。
【図12】図12は、G2抑制分析についてブレオマイシンを用い、そしてM抑制活性および/または非特異的毒性についてコルヒチンを用いた、ペプチドのG2抑制活性、およびM抑制活性、および/または非特異的毒性の間の比較を示す。示したペプチドを、ブレオマイシンまたはコルヒチンとともに、ジャーカット細胞に添加した。G2/M細胞のパーセントを、Y軸に示す。X軸は、以下のとおりである:1、ブレオマイシンまたはコルヒチン単独;2,0.2μg/ml;3、0.39μg/ml;4,0.78μg/ml;5、1.56μg/ml;6、3.125μg/ml;7、6.25μg/ml;8、12.5μg/ml;9、25μg/ml;および10、50μg/ml。ペプチド配列は、以下の通りである:CBP501、(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号80)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(詳細な説明)
本発明は、細胞増殖を阻害するペプチドおよびペプチド模倣物を含む化合物を提供する。従って、本発明の化合物は、細胞増殖障害を処置するのに、または所望されないまたは不必要な細胞増殖(例えば、良性腫瘍細胞および悪性腫瘍細胞)によって特徴付けられる生理学的条件を処置するのに有用である。本発明のペプチドおよびペプチド模倣物の細胞増殖を阻害する能力は、細胞周期G2チェックポイントの抑制に少なくともある程度起因しているように思われる。細胞が、核酸損傷に応答して細胞周期G2チェックポイントに入るよう誘導されて、細胞がDNA複製および細胞分割が生じる前に損傷を修復することを可能にし得るために、G2チェックポイントを阻害することによって、発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、細胞を核酸損傷剤および処置プロトコールに対して敏感にする。十分な核酸損傷を蓄積する細胞は、G2チェックポイントが破壊されるために、損傷した核酸の修復を完了できない。このような細胞が、減少した増殖(例えば、修復されない生存のために不可欠な遺伝子の変異に起因する)を示し、結局アポトーシスを経る。
【0034】
正常なG1を有する細胞は、核酸修復がまた、G1の間に起こり得るために、損傷された核酸を蓄積しやすさが小さい。従って、正常な細胞は、本発明の化合物の効果の受けやすさが小さい。しかし、損なわれたまたは妨害された細胞周期G1チェックポイントを有する細胞は、G1チェックポイントが、損なわれまたは破壊されて、細胞が損傷された核酸を完全に修復し得る可能性をより小さくするために、損傷された核酸をより蓄積しやすい。従って、G2チェックポイントを破壊する発明のペプチドまたはペプチド模倣物でG1が損なわれたまたは破壊された細胞を処置することは、この細胞が損傷された核酸の修復を完了し得る可能性を、いっそう小さくする。従って、G1が損なわれた細胞または破壊された細胞が、このような発明ペプチドおよびペプチド模倣物に特に感受性である。従って、ペプチドおよびペプチド模倣物を含む発明の化合物は、一般に、細胞増殖を阻害するまたは妨げるのに、および特に、損傷されたまたは破壊されたG1チェックポイントを有する細胞の増殖を阻害するのに用いられ得る。
【0035】
損なわれたまたは破壊されたG1細胞周期チェックポイントを有する細胞としては、迅速に増殖する細胞が挙げられるが、これに限定されない。細胞増殖障害および迅速に増殖する細胞、所望されないで増殖する細胞またはアポトーシスを経る代わりに生き残る細胞によって特徴付けられる生理学的状態は、損なわれたまたは破壊されたG1細胞周期チェックポイントをしばしば有する。従って、増殖を阻害する、またはアポトーシスを刺激する発明のペプチドおよびペプチド模倣物の能力が、少なくともある部分、G2細胞周期チェックポイントを破壊することに起因するように見えるために、損傷されたまたは破壊されたG1チェックポイントに起因して迅速にまたは所望されないで増殖する細胞は、特に魅力的な標的である。
【0036】
G2チェックポイントを破壊することが、細胞が分割する場合に核酸損傷の蓄積を導く可能性があるために、ぺプチドおよびペプチド模倣物を含む発明の化合物はまた、核酸を損傷する、または抗増殖活性を有するさらなる処置なしに、化合物自体によって細胞増殖を抑圧し得る。従って、異常なまたは所望されない増殖または生存細胞が、細胞の増殖を阻害もしくは妨げるために、または細胞アポトーシス/カタストロフィーを刺激するために、発明の化合物のみで、または核酸損傷処置(例えば、化学剤または処置プロトコール)と組み合わせて、処置され得る。
【0037】
細胞が通常か異常(例えば、癌細胞)かにかかわらず、迅速に増殖する細胞を標的化する従来の抗細胞増殖剤と違い、発明の化合物は、損なわれたまたは破壊された細胞周期G1チェックポイントを有する細胞を優先的に標的化する。例えば、CBP501は、シスプラチンと異なり、HUVEC細胞の増殖に作用しない(例えば、表3を参照のこと)。CBP501はまた、M期細胞周期阻止および/またはコルヒチンによって誘導される非特異的毒性に作用しない(例えば、図12を参照のこと)。結果としては、発明の化合物は、従来の抗細胞増殖処置剤に関連した過剰な所望されない副作用(例えば、骨髄抑制、悪心、欲求喪失、下痢、および毛髪喪失)を生成する可能性が低い。さらに、癌細胞の非常に多数が、損なわれたまたは破壊された細胞周期G1チェックポイントを有するので、癌細胞は、細胞周期G2チェックポイントを抑制する発明の化合物に対する増加された感受性を示す。正常の細胞があまり感受性でないことはまた、ペプチドおよびペプチド模倣物を含む発明の化合物が、より大きな量で使用され得ることを意味する。
【0038】
本発明に従って、抗細胞増殖活性を有し、そして/またはG2細胞周期チェックポイントを抑制するペプチドおよびペプチド模倣物を含む化合物が提供される。ペプチドまたはペプチド模倣物は、細胞の増殖を阻害する、または細胞のアポトーシスを刺激する配列を含む。ペプチドまたはペプチド模倣物はまた、細胞周期G2チェックポイントを抑制する配列を含む。ある実施形態において、連続的なペプチドまたはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:P1、P2、P3、P4、P5、P6(配列番号:1)またはP6、P5、P4、P3、P2、P1(配列番号:2);ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2、3、4、5、6−F)もしくはl−(Phe−2、3、4、5、6−F)、d−(Phe−3、4、5F)もしくはl−(Phe−3、4、5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、同様の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr,d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは側鎖において1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を持つ任意のアミノ酸である;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F),d−(Phe−4CF3)もしくは1−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、同様の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)あるいは側鎖において1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を持つ任意のアミノ酸である;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5の1つ以上が、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−Trpまたはl−Trpが、P4での例である)である場合の距離とほぼ同じであるような、単純な炭素鎖である;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNO、もしくはl−PheNO、任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)、任意のアミノ酸、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−11−アミノウンデカン酸もしくはl−11−アミノウンデカン酸、d−10−アミノデカン酸もしくはl−10−アミノデカン酸、d−9−アミノノナン酸もしくはl−9−アミノノナン酸、d−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸、d−7−アミノヘプタン酸もしくはl−7−アミノヘプタン酸、d−6−アミノカプロン酸もしくはl−6−アミノカプロン酸、または1つ以上の不飽和炭素結合を持つ類似の構造である。
【0039】
別の実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0040】
【数1】

【0041】
ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F),d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F),d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3),d−Bpaもしくはl−Bpa,d−PheNOもしくはl−PheNO、同様の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)または側鎖において1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、あるいは1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を持つ任意のアミノ酸である;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、同様の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)あるいは側鎖において1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を持つ任意のアミノ酸である;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5の1つ以上が、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−Trpまたはl−Trpが、P4での例である)である場合の距離とほぼ同じであるような、単純な炭素鎖である;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)であり、そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つが塩基性アミノ酸であり、残りは任意のアミノ酸であるか、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−11−アミノウンデカン酸もしくはl−11−アミノウンデカン酸、d−10−アミノデカン酸もしくはl−10−アミノデカン酸、d−9−アミノノナン酸もしくはl−9−アミノノナン酸、d−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸、d−7−アミノヘプタン酸もしくはl−7−アミノヘプタン酸、d−6−アミノカプロン酸もしくはl−6−アミノカプロン酸、または1つ以上の不飽和炭素結合を持つ類似の構造である。
【0042】
さらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0043】
【数2】

【0044】
ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、同様の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)あるいは側鎖において1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、またはキナゾリン基を持つ任意のアミノ酸である;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、同様の側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)あるいは側鎖において1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を持つ任意のアミノ酸である;P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であり、またはP3、P4、P5の1つ以上が、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−Trpまたはl−Trpが、P4での例である)である場合の距離とほぼ同じであるような、単純な炭素鎖である;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)、任意のアミノ酸、または存在しない;そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つが塩基性アミノ酸であり、残りは任意のアミノ酸であるか、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−アミノウンデカン酸もしくはl−アミノウンデカン酸、またはd−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸である。
【0045】
さらに別の実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0046】
【数3】

【0047】
ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、d−Tyrもしくはl−Tyr、またはd−Pheもしくはl−Pheである;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、d−Tyrもしくはl−Tyr、またはd−Pheもしくはl−Pheである;P3は、d−セリンもしくはl−セリン、d−アルギニンもしくはl−アルギニン、d−システインもしくはl−システイン、d−プロリンもしくはl−プロリン、またはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンである;P4は、d−トリプトファンもしくはl−トリプトファンである;そしてP5は、d−セリンもしくはl−セリン、d−アルギニンもしくはl−アルギニン、またはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンである;またはP3、P4、P5は、1つのd−アミノウンデカン酸もしくはl−アミノウンデカン酸または1つのd−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸である;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、(d−Ser−d−Tyr)、または(d−Ser−d−Phe)である。
【0048】
なお別の実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0049】
【数4】

【0050】
ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、d−Tyrもしくはl−Tyr、またはd−Pheもしくはl−Pheである;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、d−Tyrもしくはl−Tyr、またはd−Pheもしくはl−Pheである;P3は、d−セリンもしくはl−セリン、d−アルギニンもしくはl−アルギニン、d−システインもしくはl−システイン、d−プロリンもしくはl−プロリン、またはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンである;P4は、d−トリプトファンもしくはl−トリプトファンである;P5は、d−セリンもしくはl−セリン、d−アルギニンもしくはl−アルギニン、またはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンである;またはP3、P4、P5は、1つのd−アミノウンデカン酸もしくはl−アミノウンデカン酸または1つのd−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸である;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、(d−Ser−d−Tyr)、または(d−Ser−d−Phe)である;そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つがd−Argもしくはl−Argまたはd−Lysもしくはl−Lysであり、残りは任意のアミノ酸であるか、または存在しない。
【0051】
さらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0052】
【数5】

【0053】
ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、またはd−Nal(2)もしくはl−Nal(2)である;P2は、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)である;そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つがd−Argまたはl−Argであり、残りは任意のアミノ酸であるかまたは存在しない;P3は、d−セリンもしくはl−セリンである;P4は、d−トリプトファンもしくはl−トリプトファンである;P5は、d−セリンもしくはl−セリンまたはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンである;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、(d−Serもしくはl−Ser−d−Tyrもしくは−l−Tyr)、または(d−Serもしくはl−Ser−d−Pheもしくはl−Phe)である。
【0054】
さらに追加の実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0055】
【数6】

【0056】
ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、またはd−Nal(2)もしくはl−Nal(2)である;P2は、(d−Phe−2,3,4,5,6−F)もしくは(l−Phe−2,3,4,5,6−F)、(d−Phe−3,4,5F)もしくは(l−Phe−3,4,5F)または(d−Phe−4CF3)もしくは(l−Phe−4CF3)である;P3は、d−Serもしくはl−Serである;P4は、d−Trpもしくはl−Trpである;P5は、d−Serもしくはl−Serである;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、または(d−Serもしくはl−Ser−d−Tyrもしくは−l−Tyr)である。
【0057】
さらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0058】
【数7】

【0059】
ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、またはd−Nal(2)もしくはl−Nal(2)である;P2は、(d−Phe−2,3,4,5,6−F)もしくは(l−Phe−2,3,4,5,6−F)、(d−Phe−3,4,5F)もしくは(l−Phe−3,4,5F)または(d−Phe−4CF3)もしくは(l−Phe−4CF3)である;P3は、任意のアミノ酸(例えば、d−Serもしくはl−Serまたはd−Proもしくはl−Pro)である;P4は、d−Trpまたはl−Trpである;P5は、任意のアミノ酸(例えば、d−Serまたはl−Ser)である;P7は、d−Argまたはl−Argである;P8は、d−Argまたはl−Argである;P9は、d−Argまたはl−Argである;P10は、d−Glnもしくはl−Glnまたはd−Argもしくはl−Argである;P11は、d−Argまたはl−Argである;P12は、d−Argまたはl−Argである;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpaまたは(d−Serもしくはl−Ser−d−Tyrもしくは−l−Tyr)である。
【0060】
なお別の実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0061】
【数8】

【0062】
ここでP1は、d−Chaもしくはl−Cha、またはd−Nal(2)もしくはl−Nal(2)である;P2は、(d−Phe−2,3,4,5,6−F)もしくは(l−Phe−2,3,4,5,6−F)である;P3は、d−Serまたはl−Serである;P4は、d−Trpまたはl−Trpである;P5は、d−Serまたはl−Serである;P7は、d−Argまたはl−Argである;P8は、d−Argまたはl−Argである;P9は、d−Argまたはl−Argである;P10は、d−Glnもしくはl−Glnまたはd−Argもしくはl−Argである;P11は、d−Argまたはl−Argである;P12は、d−Argまたはl−Argである;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpaまたは(d−Serもしくはl−Ser−d−Tyrもしくは−l−Tyr)である。
【0063】
なおさらなる実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0064】
【数9】

【0065】
【数10】

【0066】
なお追加の実施形態において、連続するペプチド配列またはペプチド模倣物配列は、以下の構造を含む:
【0067】
【数11】

【0068】
発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、細胞膜を横断するのを補助するために、必要に応じてポリlys配列および/またはポリarg配列を含む。他のアミノ酸配列(例えば、HIVtat、細胞表面レセプター/タンパク質に対するリガンドなど)は、膜を横断するのが可能であり、そして他の分子が、G2抑制ペプチドおよびペプチド模倣物の細胞侵入を容易にするために使用され得る(例えば、リポソーム、ミセルおよび他の脂質分子、ウイルスおよび他のベクター、エレクトロポレーションなど)ため、ポリlys配列および/またはポリarg配列を含むことは任意である。従って、追加の実施形態において、ペプチドおよびペプチド模倣物は、細胞侵入を補助するポリlys配列および/またはポリarg配列を有さない。例えば、2つの特定の実施形態において、細胞膜横断を補助するポリlys配列/ポリarg配列のない最小の配列は、P6、P5、P4、P3、P2、P1(例えば、d−Bpa、d−Ser、d−Trp、d−Ser、d−Phe−2、3、4、5、6F、d−Cha(配列番号:101);およびd−Tyr、d−Ser、d−Pro、d−Trp、d−Ser、d−Phe−2、3、4、5、6F、d−Cha(配列番号:102))を含む。2つの追加の特定の実施形態において、細胞膜横断を補助するポリlys配列/ポリarg配列のない最小の配列は、例えば、d−Bpa、d−Cys、d−Trp、d−Ser、d−Phe−2、3、4、5、6F、d−Cha、d−Cys(配列番号:103);およびd−Tyr、d−Cys、d−Pro、d−Trp、d−Ser、d−Phe−2、3、4、5、6F、d−Cha、d−Cys(配列番号:104)を含む;Cys残基は、必要に応じて環化される。
【0069】
議論されるように、発明の化合物は、単独で、抗細胞増殖活性またはG2抑制活性を有する。抗細胞増殖活性は、直接的または間接的に核酸損傷を引き起こす処置とこのような発明の化合物とを組み合わせることで増加し得る。抗細胞増殖活性はまた、処置が核酸を損傷するかしないかにかかわらず、細胞増殖を阻害する処置とこのような発明の化合物とを組み合わせることで増加し得る。従って、本発明はさらに、本発明の化合物(例えば、ペプチド配列またはペプチド模倣物配列)および核酸損傷剤を含む組成物、ならびに本発明の化合物(例えば、ペプチド配列またはペプチド模倣物配列)および抗増殖剤を含む組成物を提供する。
【0070】
本明細書中で使用される場合、用語「細胞周期G2チェックポイントを抑制する」「細胞周期G2チェックポイントを破壊する」「細胞周期G2チェックポイントを損なう」およびその文法上の変化が、G2チェックポイントで細胞周期を阻止する細胞を阻害することを意味する。細胞周期G2チェックポイントが抑制される細胞は、細胞がG2チェックポイント内にいる時間の長さにおける減少を示し、これは、G2チェックポイントの全くの不在から、適切な条件下で分単位、時間単位、日単位、週単位、またはそれ以上の持続時間の減少を有するG2チェックポイントにわたり得る。従って、本発明の化合物に接触された細胞は、細胞が化合物の存在しない間に通常有するよりも、長さにおいてより短いG2チェックポイント時間を有する。例えば、G2チェックポイント時間の長さにおける減少は、本発明の化合物と接触した時、特定の時間(例えば、4時間)の間G2中にある細胞が、4時間よりも短い間(例えば、3.5時間、3時間、2.5時間、2時間、1時間またはより少ない時間)G2中にあることを意味する。
【0071】
本明細書中で使用される場合、用語「アポトーシス」は、プログラムされた細胞死、および当該分野で理解されるような細胞生理学における関連した変化(例えば、核酸断片化、カスパーゼ活性化など)をいう。用語「カタストロフィー」は、分裂プロセスにおける誤りから生じる細胞死を意味する。カタストロフィーにおいて、アポトーシスを特徴付ける特徴(例えば、カスパーゼ活性化、染色体濃縮など)は、あまり存在しない。
【0072】
本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、交換可能に使用され、アミド結合または非アミド等価物によって共有結合された2以上のアミノ酸をいう。本発明のペプチドは、任意の長さであり得る。例えば、ペプチドは、約5〜100以上の残基長(例えば、5〜12残基長、12〜15残基長、15〜18残基長、18〜25残基長、25〜50残基長、50〜75残基長、75〜100残基長)またはそれ以上の残基長を有し得る。本発明のペプチドは、l−異性体およびd−異性体ならびにl−異性体とd−異性体との組み合わせを含む。ペプチドは、代表的に、タンパク質の翻訳後プロセシング(例えば、環化(例えば、ジスルフィド結合またはアミド結合)、リン酸化、グリコシル化、カルボキシル化、ユビキチン化、ミリスチル化、または脂質化)に関連する改変を含み得る。
【0073】
本明細書中に開示されるペプチドは、模倣物が1つ以上の機能または活性を有する限り、アミノ酸構造アナログおよびアミノ酸機能アナログ(例えば、合成アミノ酸または非天然アミノ酸あるいはアミノ酸アナログを有するペプチド模倣物)を有する化合物をさらに含む。従って、本発明の化合物は、「模倣物」形態および「ペプチド模倣物」形態を含む。
【0074】
本明細書中に使用される場合、用語「模倣物」および「ペプチド模倣物」は、合成化学的化合物をいい、本発明のペプチドと実質的に同じ構造特性および/または機能特性を有する。類似物は、全体として、合成、非天然アミノ酸アナログから構成され得るか、または1つ以上の天然ペプチドアミノ酸および1つ以上の非天然アミノ酸アナログを含むキメラ分子であり得る。類似物はまた、置換が模倣物の活性を破壊しない限り、任意の数の天然アミノ酸保存的置換を組込み得る。保存的改変体である本発明のポリペプチドを用いる際に、慣用的な試験が、模倣物が必要不可欠な活性を有するかどうか(例えば、検出可能な細胞周期G2チェックポイント抑制活性を有すること)を決定するために使用され得る。従って、G2細胞周期チェックポイントを検出可能に破壊する模倣物は、被験体に投与されるか、または細胞に接触される場合に、G2チェックポイント抑制活性を有する。
【0075】
ペプチド模倣物組成物は、非天然構造成分の組み合わせを含み、これらは、代表的に以下の3つの構造的官能基由来である:a)天然アミド結合(「ペプチド結合」)連結以外の残基連結基;b)天然に存在するアミノ酸残基の代わりの非天然残基;またはc)二次構造擬態を誘導する(すなわち、二次構造(例えば、βターン、γターン、βシート、αヘリックスコンフォメーションなど)を誘導するか、または安定化する)残基。例えば、ポリペプチドは、1つ以上の残基が、アミド結合以外の化学的手段によって結合される場合、模倣物として特徴付けられ得る。個々のペプチド模倣物残基は、アミド結合、非天然化学結合および非アミド化学結合(他の化学結合またはカップリング手段)(例えば、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、二官能性マレイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を含む)によって結合され得る。アミド結合の代替である結合基としては、例えば、ケトメチレン(例えば、−C(=O)−NH−の代わりに、−C(=O)−CH−)、アミノメチレン(CH−NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH−O)、チオエーテル(CH−S)、テトラゾール(CN−)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、またはエステルが挙げられる(例えば、Spatola(1983)Chemistryand Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins,第7巻,第267頁−第357頁,「Peptide andBackbone Modifications」、Marcel Decker,NYを参照のこと)。
【0076】
議論されるように、ペプチドは、天然に存在するアミノ酸残基の代わりに、1つ以上の非天然残基を含むことによって模倣物として特徴付けられ得る。非天然残基は、当該分野で公知である。天然アミノ酸残基の模倣物として有用な非天然残基の特定の非限定的な例は、芳香族アミノ酸の模倣物であり、これらとしては、例えば、D−ナフチルアラニン(naphylalanine)またはL−ナフチルアラニン(naphylalanine);D−フェニルグリシンまたはL−フェニルグリシン;D−2チエニルアラニン(thieneylalanine)またはL−2チエニルアラニン(thieneylalanine);D−1ピレニルアラニン(pyreneylalanine)、D−2ピレニルアラニン(pyreneylalanine)、D−3ピレニルアラニン(pyreneylalanine)、もしくはD−4ピレニルアラニン(pyreneylalanine)またはL−1ピレニルアラニン(pyreneylalanine)、L−2ピレニルアラニン(pyreneylalanine)、L−3ピレニルアラニン(pyreneylalanine)、もしくはL−4ピレニルアラニン(pyreneylalanine);D−3チエニルアラニン(thieneylalanine)またはL−3チエニルアラニン(thieneylalanine);D−(2−ピリジニル)−アラニンまたはL−(2−ピリジニル)−アラニン;D−(3−ピリジニル)−アラニンまたはL−(3−ピリジニル)−アラニン;D−(2−ピラジニル)−アラニンまたはL−(2−ピラジニル)−アラニン;D−(4−イソプロピル)−フェニルグリシンまたはL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン;D−p−フルオロ−フェニルアラニン;D−またはL−p−ビフェニルフェニルアラニン;D(K)−p−メトキシ−ビフェニルフェニルアラニンまたはL−p−メトキシ−ビフェニルフェニルアラニン;D−2−インドール(アルキル)アラニンまたはL−2−インドール(アルキル)アラニン;およびD−アルキルアラニンまたはL−アルキルアラニンが挙げられ、ここで、アルキルは、置換または非置換のメチルアミノ酸、エチルアミノ酸、プロピルアミノ酸、ヘキシルアミノ酸、ブチルアミノ酸、ペンチルアミノ酸、イソプロピルアミノ酸、イソ−ブチルアミノ酸、sec−イソブチル(iso−isotyl)アミノ酸、イソ−ペンチルアミノ酸、または非酸性アミノ酸であり得る。天然芳香環の代わりに使用され得る非天然アミノ酸の芳香環としては、例えば、チアゾール芳香環、チオフェニル芳香環、ピラゾリル芳香環、ベンズイミダゾール芳香環、ナフチル芳香環、フラニル芳香環、ピロリル芳香環、およびピリジル芳香環が挙げられる。
【0077】
酸性アミノ酸の模倣物は、非カルボン酸アミノ酸で置換することによって生成され得、その一方で、負電荷を維持する;(ホスホノ)アラニンおよび硫酸化スレオニン。カルボキシ側鎖基(例えば、アスパラチルまたはグルタミル)はまた、カルボジイミド(R’−N−C−N−R’)との反応によって選択的に改変され得、このカルボジイミドとしては、例えば、1−シクロヘキシル−3(2−モルホリニル−(4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル(dimetholpentyl))カルボジイミドが挙げられる。アスパルチル基またはグルタミル基はまた、アンモニウムイオンとの反応によって、アスパラギニル基およびグルタミニル基に転換され得る。
【0078】
塩基性アミノ酸の模倣物は、例えば、リジンおよびアルギニンに加えて、アミノ酸オルニチン、シトルリン、または(グアニジノ)−酢酸、あるいは(グアニジノ)アルキル−酢酸での置換によって生成され得、ここで、アルキルは、置換または非置換のメチルアミノ酸、エチルアミノ酸、プロピルアミノ酸、ヘキシルアミノ酸、ブチルアミノ酸、ペンチルアミノ酸、イソプロピルアミノ酸、イソ−ブチルアミノ酸、sec−イソブチルアミノ酸、イソ−ペンチルアミノ酸、または非酸性アミノ酸であり得る。ニトリル誘導体(例えば、COOHの代わりにCN−部分を含む)は、アスパラギンまたはグルタミンについて置換され得る。アスパラギニル残基およびグルタミニル残基は、対応するアスパルチル残基またはグルタミル残基に脱アミノ化され得る。
【0079】
アルギニン模倣物は、必要に応じて、アルカリ条件下で、アルギニルを1つ以上の試薬(例えば、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、またはニンヒドリンが挙げられる)と反応させることによって生成し得る。チロシン残基模倣物は、チロシルを、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンと反応させることによって生成され得る。N−アセチルイミダゾールおよびテトラニトロメタンは、それぞれ、O−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を形成するために使用され得る。
【0080】
リジン模倣物は、リジニルを、コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応させることによって生成され得る(そして末端アミノ酸残基は、変更され得る)。リジンおよび他のα−アミノ−含有残基模倣物はまた、イミドエステル(例えば、メチルピコリンイミデート、ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、クロロボロヒドリド(chloroborohydride)、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、2,4、ペンタンジオン)との反応およびグリオキシル酸とのトランスアミダーゼ触媒反応によって生成され得る。
【0081】
メチオニン模倣物は、メチオニンスルホキシドとの反応によって生成され得る。プロリン模倣物としては、例えば、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、3−ヒドロキシプロリンまたは4−ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、3−メチルプロリンまたは4−メチルプロリンおよび3,3−ジメチルプロリンが挙げられる。ヒスチジン模倣物は、ヒスチジルをジエチルプロカーボネート(diethylprocarbonate)またはパラ−ブロモフェナシルブロミドと反応させることによって生成され得る。他の模倣物としては、例えば、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化によって生成される模倣物;セリル残基またはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化;リジン、アルギニンおよびヒスチジンンのα−アミノ基のメチル化;N−末端アミンのアセチル化;主鎖アミド残基のメチル化またはN−メチルアミノ酸での置換;あるいはC−末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0082】
1つ以上の残基はまた、反対のキラリティーのアミノ酸(またはペプチド模倣物残基)によって置換され得る。従って、L配置(化学的実体の構造に依存して、RまたはSとしてもいわれ得る)の天然に存在する任意のアミノ酸は、同じアミノ酸または模倣物であるが、反対のキラリティーの同じアミノ酸または模倣物(D−アミノ酸といわれるが、さらに、R−形態またはS−形態としていわれ得る)で置換され得る。
【0083】
本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、本明細書中に示される配列の改変形態をさらに含み、但し、この改変形態は、少なくとも一部の、非改変(すなわち参照)ペプチドまたはペプチド模倣物の機能を保持する。例えば、改変ペプチドまたはペプチド模倣物は、細胞増殖阻害活性またはG2破壊活性の少なくとも一部を保持するが、参照ペプチドまたはペプチド模倣物に対して、増加したまたは減少した、細胞増殖阻害活性またはG2破壊活性を有し得る。
【0084】
改変されたペプチドおよびペプチド模倣物は、別のアミノ酸で置換された1つ以上のアミノ酸残基を有し得るか、配列に付加された1つ以上のアミノ酸を有し得るか、または配列から1つ以上のアミノ酸を欠失され得る。1つの実施形態において、改変されたペプチドまたはペプチド模倣物は、1つ以上(例えば、1〜3個、3〜5個、5〜10個か、またはそれ以上)のアミノ酸置換、付加または欠失を有する。1つの局面において、置換は、側鎖が、参照アミノ酸または模倣物(置換されるアミノ酸または模倣物)と類似する空間を占めるアミノ酸または模倣物による。なお別の局面において、置換は、ヒト残基に構造的に類似する非ヒトアミノ酸による。特定の局面において、置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0085】
本明細書中で使用される場合、用語「類似の空間」は、参照部分にサイズが類似する三次元空間を占める化学部分を意味する。代表的には、類似の空間を占める部分は、参照部分にサイズが類似する。「類似の側鎖空間を占める」アミノ酸または模倣物は、参照アミノ酸または模倣物にサイズが類似する三次元空間を占める側鎖を有する。d−(Phe−2,3,4,5,6−F)、l−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)、l−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)またはl−(Phe−4CF3)に対する特定の例は、(lまたはd−Phe−2R1,3R2,4R3,5R4,6R5)であり、ここで、R1、R2、R3、R4、R5は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、水素、酸化水素であっても、または存在しなくてもよい。低分子(例えば、約1Åのサイズを有するフルオリド)について、類似の空間は、部分が存在しなくても良い。
【0086】
用語「保存的置換」は、生物学的にか、化学的にか、または構造的に類似する残基による、1つのアミノ酸の置換を意味する。生物学的に類似するは、置換が、生物学的活性(例えば、抗細胞増殖活性またはG2破壊活性)に適合性であることを意味する。構造的に類似するは、アミノ酸が、類似の長さを有する側鎖を有する(例えば、アラニン、グリシン、およびセリン)か、または類似のサイズを有することを意味する。化学的に類似するは、残基が、同じ電荷を有するか、または親水性もしくは疎水性の両方であることを意味する。特定の例としては、別の残基の代わりの1つの疎水性残基(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニン)の置換、または別の残基の代わりの1つの極性残基(例えば、リジンの代わりのアルギニンの置換、アスパラギン酸の代わりのグルタミン酸の置換、またはアスパラギンの代わりのグルタミンの置換、スレオニンの代わりのセリンの置換など)の置換が挙げられる。
【0087】
従って、本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、表1に示されるペプチド配列およびペプチド模倣物の配列に同一でない配列を有するペプチドおよびペプチド模倣物を包含する。1つの実施形態において、ペプチドまたはペプチド模倣物は、表1に示される配列と50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上の同一性を有する配列を有する。1つの局面において、同一性は、配列の規定された領域(例えば、アミノ末端3〜5残基またはカルボキシ末端3〜5残基)にわたる。
【0088】
本発明の化合物(ペプチドおよびペプチド模倣物を含む)は、当該分野で公知の任意の方法を使用して産生され、そして単離され得る。ペプチドは、当該分野で公知の化学的方法を使用して、全体または部分的に、合成され得る(例えば、Caruthers(1980)NucleicAcids Res.Symp.Ser.215−223;Horn(1980)Nucleic Acids Res.Symp.Ser.225−232;およびBanga,A.K.,TherapeuticPeptides and Proteins,Formulation,Processing and Delivery Systems(1995)TechnomicPublishing Co.,Lancaster,PAを参照のこと)。ペプチド合成は、種々の固相合成技術を使用して実施され得(例えば、Roberge(1995)Science269:202;Merrifield(1997)Methods Enzymol.289:3−13を参照のこと)、自動化合成は、製造業者の指示書に従って、例えば、ABI431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を使用して、達成され得る。
【0089】
個々の合成残基およびポリペプチド組込み模倣物は、当該分野で公知の種々の手順および方法論を使用して合成され得る(例えば、OrganicSyntheses Collective Volumes,Gilmanら(編)John Wiley & Sons,Inc.,NYを参照のこと)。ペプチドおよびペプチド模倣物はまた、コンビナトリアル方法論を使用して合成され得る。ペプチドライブラリーおよびペプチド模倣物ライブラリーを生成するための技術は、周知であり、これらとしては、例えば、マルチピン(multipin)技術、ティーバッグ(teabag)技術、およびスプリット−カップル−混合(split−couple−mix)技術が挙げられる(例えば、al−Obeidi(1998)Mol.Biotechnol.9:205−223;Hruby(1997)Curr.Opin.Chem.Biol.1:114−119;Ostergaard(1997)Mol.Divers.3:17−27;およびOstresh(1996)MethodsEnzymol.267:220−234を参照のこと)。改変ペプチドは、化学修飾法によってさらに生成され得る(例えば、Belousov(1997)NucleicAcids Res.25:3440−3444;Frenkel(1995)Free Radic.Biol.Med.19:373−380;およびBlommers(1994)Biochemistry33:7886−7896を参照のこと)。
【0090】
ペプチドはまた、より免疫原性のペプチドを産生し、組換え合成されたペプチドをより容易に単離するか、または抗体または抗体発現B細胞を同定し、そして単離するために、それに連結される1つ以上のさらなるドメインとの融合タンパク質として合成され、そして発現され得る。検出および精製を容易にするドメインとしては、例えば、固定化された金属上での精製を可能にする金属キレートペプチド(例えば、ポリヒスチジントラクトおよびヒスチジン−トリプトファンモジュール);固定化された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン;およびFLAGS伸長/アフィニティー精製系(ImmunexCorp,Seattle WA)において使用されるドメインが挙げられる。精製ドメインとペプチドとの間の切断可能リンカー配列(例えば、第Xa因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen,SanDiego CA))の含入は、ペプチド精製を容易にするために使用され得る。例えば、発現ベクターは、6個のヒスチジン残基、続くチオレドキシンおよびエンテロキナーゼ切断部位に連結されたペプチドコード核酸を含み得る(例えば、Williams(1995)Biochemistry34:1787−1797;Dobeli(1998)Protein Expr.Purif.12:404−14を参照のこと)。ヒスチジン残基は、融合タンパク質の検出および精製を容易にし、その一方で、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質の残りからペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質をコードするベクターおよび融合タンパク質の適用に関する技術は、当該分野で公知である(例えば、Kroll(1993)DNACell.Biol.,12:441−53を参照のこと)。
【0091】
本発明は、本発明のペプチドをコードする核酸をさらに提供する。特定の実施形態において、核酸は、約8〜約12アミノ酸長、約12〜約15アミノ酸長、約15〜約18アミノ酸長、約15〜約20アミノ酸長、約18〜約25アミノ酸長、約20〜約25アミノ酸長、約25〜約35アミノ酸長、約25〜約50アミノ酸長または約50〜約100アミノ酸長あるいはそれを超える長さを有する本発明のペプチド配列をコードする。
【0092】
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、全ての形態の核酸をいうために本明細書中で交換可能に使用され、これらとしては、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)が挙げられる。核酸は、二本鎖、一本鎖、または三本鎖の直鎖状または環状であり得る。核酸としては、ゲノムDNA、cDNA、およびアンチセンスが挙げられる。RNA核酸は、スプライスされたか、またはスプライスされない、mRNA、rRNA、tRNAまたはアンチセンス(例えば、RNAi)であり得る。本発明の核酸としては、天然核酸、合成核酸ならびにヌクレオチドアナログおよびヌクレオチド誘導体が挙げられる。このような変更または改変されたポリヌクレオチドとしては、例えば、ヌクレアーゼ耐性を提供するアナログが挙げられる。核酸長はまた、例示的なペプチド配列より短くあり得る。例えば、ペプチド配列のいずれかの部分配列は、抗増殖活性またはG2破壊活性を有するペプチドをコードする。
【0093】
核酸は、種々の周知の標準的なクローニング法および化学合成法のいずれかを使用して生成され得、そして、部位特異的変異誘発または当業者に公知の他の組換え技術によって計画的に変更され得る。ポリヌクレオチドの純度は、配列決定、ゲル電気泳動などによって決定され得る。
【0094】
本発明の核酸は、核酸の発現が「発現制御エレメント」によって影響を受けるか、または調節される核酸構築物に挿入され得、この組み合わせは、発現カセットといわれる。用語「発現制御エレメント」は、作動可能に連結された核酸配列の発現を制御するかまたは影響を与える、1つ以上の配列エレメントを意味する。核酸配列に作動可能に連結された発現制御エレメントは、転写を制御し、そして適切な場合、核酸配列の翻訳を制御する。
【0095】
用語「作動可能に連結される」は、機能的な並置をいい、ここで、このように記載される成分は、これらの意図される様式においてこれらが機能するのを可能にする関係にある。代表的な発現調節エレメントは、遺伝子の5’末端または3’末端に並置されるが、これはまた、イントロン性であり得る。プロモーターは、一般的に、コード配列の5’位置決めされる。「プロモーター」は、転写を指向するのに十分な最小の配列エレメントを意味する。
【0096】
発現調節エレメントとしては、プロモーター、エンハンサー、転写終結因子、遺伝子サイレンサー、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(例えば、ATG)が挙げられる。発現調節エレメントは、構成性転写、誘導性転写を活性化する(すなわち、活性化のための外部シグナルを必要とする)か、または転写を抑制する(すなわち、シグナルが、転写を止め;シグナルを除去することによって、転写が活性化される)。発現カセットはまた、遺伝子発現を特定の細胞型または特定の組織について調節可能にするのに十分である調節エレメント(すなわち、組織特異的調節エレメント)を含み得る。
【0097】
本発明の核酸は、宿主細胞中で増殖するために、そして、続いての遺伝子操作のためにプラスミドに挿入され得る。プラスミドは、宿主細胞中で安定して増殖される核酸であり得;プラスミドは、宿主細胞中でペプチドコード核酸の発現を駆動するために発現調節エレメントを、必要に応じて含む。用語「ベクター」は、本明細書中でプラスミドと同義的に使用され、これはまた、宿主細胞中での発現のために発現調節エレメントを含み得る。プラスミドおよびベクターは、一般的に、少なくとも細胞中での増殖のための複製起点およびプロモーターを含む。従って、プラスミドおよびベクターは、例えば、ペプチドコード核酸の遺伝子操作、ペプチドの産生、および、宿主細胞または生物体全体におけるペプチドの発現に有用である。
【0098】
従って、ペプチドは、構成性プロモーター(例えば、T7)または誘導性プロモーター(例えば、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター))を使用して細菌系において;構成性プロモーター(例えば、ADHまたはLEU2)または誘導性プロモーター(例えば、GAL)を使用して酵母系において(例えば、Ausubelら、CurrentProtocols in Molecular Biology,第2巻,第13章,Greene Publish.Assoc. & Wiley Interscience編,1988;Grantら、Methodsin Enzvmolosy.153:516(1987),Wu & Grossman編;Bitter Methods in Enzvmology,152:673(1987),Berger& Kimmel編,Acad.Press,N.Y.;およびStrathernら、The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces(1982)ColdSpring Harbor Press編,第I巻および第II巻;R.Rothstein:DNA Cloning A Practical Approach,第11巻,第3章,D.M.Glover編,IRLPress,Wash.,D.C.,1986を参照のこと);構成性プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、エクジソン)を使用して昆虫細胞系において;および構成性プロモーター(例えば、SV40、RSV)または哺乳動物細胞のゲノムに由来する誘導性プロモーター(例えば、メタロプロテインIIAプロモーター、熱ショックプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスに由来する誘導性プロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーターまたは誘導性マウス乳腺腫瘍ウイルスの長い末端反復)を使用して哺乳動物細胞系において、発現され得る。ペプチド発現系は、インビボ使用のために設計されたベクターをさらに含み、これとしては、アデノウイルスベクター(米国特許第5,700,470号および同第5,731,172号)、アデノ随伴ウイルスベクター(米国特許第5,604,090号)、単純疱疹ウイルスベクター(米国特許第5,501,979号)およびレトロウイルスベクター(米国特許第5,624,820号、同第5,693,508号および同第5,674,703号ならびにWIPO公報WO92/05266およびWO92/14829)が挙げられる。ウシパピローマウイルス(BPV)がまた、遺伝子治療において使用されてきた(米国特許第5,719,054号)。このような遺伝子治療ベクターとしてはまた、CMVベースのベクターが挙げられる(米国特許第5,561,063)。
【0099】
従って、本発明はまた、宿主に挿入された、本発明のペプチドをコードする核酸を提供する。1つの実施形態において、宿主細胞は、原核生物細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は、真核生物細胞である。種々の局面において、真核生物細胞は、酵母細胞または哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類など)細胞である。
【0100】
本明細書中で使用される場合、「宿主細胞」は、増殖され得るか、転写され得るか、またはコードされるペプチドを発現され得る、核酸が導入される、細胞である。この用語はまた、本宿主細胞の任意の子孫を含む。
【0101】
宿主細胞としては、微生物(例えば、細菌細胞または酵母細胞;および植物細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、組換えバクテリオファージ核酸発現ベクター、プラスミド核酸発現ベクターまたはコスミド核酸発現ベクターで形質転換された細菌;組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染させた植物細胞系または組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;あるいは組換えウイルス発現ベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス)で感染させた動物細胞系、あるいは安定な発現のために操作された、形質転換された動物細胞系が、提供される。
【0102】
発現ベクターはまた、選択圧に対する耐性を付与する選択マーカーまたは識別マーカー(例えば、β−ガラクトシダーゼ)をコードする核酸を含み得、その結果、ベクターを有する細胞が、同定され、増殖(grownand expanded)されるのを可能にする。あるいは、選択マーカーは、第2のベクター上に存在し得、このベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含む第1のベクターと宿主細胞中に共トランスフェクトされる。多くの選択系が使用され得、これらとしては、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerら、Cell11:223(1977))、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalskaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA48:2026(1962))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell 22:817(1980))が挙げられるがこれらに限定されず、遺伝子は、それぞれ、tk−細胞、hgprt−細胞またはaprt−細胞中で使用され得る。抗代謝耐性は、dhfr(これは、メトトレキサートに対する耐性を付与する(O’Hareら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA78:1527(1981)));gpt遺伝子(ミコフェノール酸に対する耐性を付与する(Mulliganら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981)));ネオマイシン遺伝子(アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与する(Colberre−Garapinら、J.Mol.Biol.150:1(1981)));およびハイグロマイシン遺伝子(ハイグロマイシンに対する耐性を付与する(Santerreら、Gene30:147(1984)))に対する選択の基準として使用され得る。さらなる選択遺伝子としては、trpB(細胞が、トリプトファンの代わりにインドールを使用することを可能にする);hisD(細胞が、ヒスチジンの代わりにヒスチノールを使用することを可能にする(Hartmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:8047(1988)));およびODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(オルニチンデカルボキシラーゼインヒビター(2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン)に対する耐性を付与する)、DFMOが挙げられる(McConlogue(1987)CurrentCommunications in Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory)。
【0103】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸損傷処置」および「核酸損傷剤」は、直接的または間接的に核酸(例えば、DNA、cDNA、ゲノムDNA、mRNA、tRNA、またはrRNA)に損傷を与える任意の処置レジメンを意味する。このような薬剤の特定の例としては、アルキル化剤、ニトロソ尿素、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、植物抽出物、および放射性同位元素が挙げられる。また、薬剤の特定の例としては、核酸損傷剤(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン、S−1(テガフール、5−クロロ−2,4−ジヒドロキシピリジンおよびオキソ酸)、5−エチニルウラシル、アラビノシルシトシン(ara−C)、5−アザシチジン(5−AC)、2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジン(dFdC)、プリン代謝拮抗剤(メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン)、塩酸ゲンシタビン(Gemzar)、ペントスタチン、アロプリノール、2−フルオロ−アラビノシル−アデニン(2F−ara−A)、ヒドロキシ尿素、硫黄マスタード(ビスクロロエチルスルフィド)、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテーパ、AZQ、マイトマイシンC、ジアンヒドロガラクチトール、ジブロモダシトール(dibromoducitol)、スルホン酸アルキル(ブスルファン)、ニトロソ尿素(BCNU、CCNU、4−メチルCCNU、またはACNU)、プロカルバジン、デカルバジン、レベッカマイシン、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン:ADR)、ダウノルビシン(Ceruubicine)、イダルビシン(Idamycin)、およびエピルビシン(Ellence))、アントラサイクリンアナログ(例えば、ミトキサントロン、アクチニマイシンD、非インターカレートトポイソメラーゼインヒビター(例えば、エピポドフィロトキシン(エトポシド=VP16、テニポシド=VM−26)、ポドフィロトキシン、ブレオマイシン(Bleo)、ペプレオマイシン、核酸付加物を形成する化合物(パラジウム誘導体(例えば、シスプラチン(CDDP)、シスプラチンのトランスアナログ、カルボプラチン、イプロプラチン、テトラプラチン、およびオキサリプラチンを含む))、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン(CPT−11)、ならびにSN−38)が挙げられる。核酸損傷処置の特定の例としては、放射線照射(例えば、紫外線(UV)、赤外線(IR)、またはα線、β線、もしくはγ線の照射)および環境的ショック(例えば、温熱療法)が挙げられる。
【0104】
本明細書中で使用される場合、用語「抗増殖処置」および「抗増殖剤」は、その処置または薬剤が核酸に損傷を与えるか否かに拘らず、細胞、ウイルス、細菌、または他の単細胞生物もしくは多細胞生物の増殖を直接的または間接的に阻害する任意の処置レジメンを意味する。抗増殖剤の特定の例は、細胞増殖またはウイルス増殖もしくは複製を阻害する抗腫瘍薬および抗ウイルス薬である。特定の例としては、特に、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、プレドニソロン、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、チオグアニン、シトシンアラビノシド、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、ミトタン、プロカルバジン、ダカルバジン、およびジブロモマンニトールが挙げられる。核酸複製の失敗を引き起こすかまたは核酸複製を阻害する抗増殖剤としては、ヌクレオシドおよびヌクレオチドアナログ(例えば、AZTまたは5−AZC)が挙げられる。
【0105】
本発明のペプチドおよびペプチド模倣物はまた、微小管安定化剤または微小管不安定化剤(例えば、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン=VLB、ビンクリスチン=VCR、ビンオレルビン=VRLB、ビンフルニン=VFL)およびタキサン(パクリタキセルおよびドセタキセル=タキソテール))の抗細胞増殖活性を増強し得る。従って、このような薬剤はさらに、本発明の組成物中に含まれ得、そして本発明の方法において使用され得る。
【0106】
本発明の化合物を用いて処置される細胞は、その増殖がインビトロ、エキソビボ、またはインビボで阻害または防止されることが望まれる任意の細胞を含む。特定の標的細胞は、正常細胞よりも短い細胞周期G1チェックポイント時間を示すか、またはその細胞が核酸複製を完了するのに十分な時間が経過する前にG1チェックポイントを出るように減少した細胞周期G1チェックポイントを有する。従って、候補細胞としては、細胞が正常であろうが異常であろうが迅速に増殖する細胞が挙げられる。特定の例は、良性細胞または腫瘍性細胞、転移性細胞または非転移性細胞である。さらなる候補細胞は、それらの増殖速度または細胞がG1期で維持される時間の長さを測定することによって同定され得る。候補細胞はまた、試験細胞と本発明の化合物を、単独でかまたは核酸損傷処置と組み合わせて接触させ、そしてその接触細胞が減少した増殖または増加した細胞死もしくはアポトーシス/カタストロフを示すか否かを決定することにより同定され得る。
【0107】
従って、本発明の化合物は、インビトロ、エキソビボ、およびインビボで細胞増殖を阻害するのに有用である。従って、異常かまたは望ましくないかまたは求められない細胞増殖または細胞生存、あるいは異常かまたは欠損した細胞分化により特徴付けられる障害または生理学的状態を有するかまたはその危険にある被験体は、本発明の化合物単独でかまたは核酸損傷を直接的または間接的に引き起こす処置もしくは抗増殖処置と組み合わせて処置され得る。
【0108】
従って、本発明に従って、細胞増殖を阻害する方法、核酸損傷剤または核酸損傷処置に対する細胞の感受性を増大する方法、およびインビトロ、エキソビボ、およびインビボで細胞に対する核酸損傷を増大する方法が提供される。1つの実施形態において、方法は、細胞の増殖を阻害するのに十分な量の本発明のペプチドまたはペプチド模倣物と細胞(例えば、培養細胞または被験体中に存在する細胞)とを接触させる工程を包含する。別の実施形態において、方法は、核酸損傷剤または核酸損傷処置に対する細胞の感受性を増大するのに十分な量の本発明のペプチドまたはペプチド模倣物と細胞とを接触させる工程を包含する。さらに別の実施形態において、方法は、細胞の核酸損傷を増加させるのに十分な量の本発明のペプチドまたはペプチド模倣物と細胞とを接触させる工程を包含する。種々の局面において、方法はさらに、核酸損傷剤と細胞とを接触させる工程、または細胞を核酸損傷処置に供する工程を包含する。
【0109】
被験体における細胞増殖障害または細胞分化障害(所望でないまたは必要でない、細胞増殖または細胞生存によって特徴付けられる状態、欠損性アポトーシスまたは異常なアポトーシスによって特徴付けられる状態、異常な細胞生存または欠損性細胞生存によって特徴付けられる状態、および異常な細胞分化または欠損性細胞分化によって特徴付けられる状態が挙げられる)を処置するための方法が、さらに提供される。1つの実施形態において、この方法は、細胞増殖障害を有する被験体または細胞増殖障害を有する危険性のある被験体に、その細胞増殖障害を処置するのに有効な量の、本発明のペプチドまたはペプチド模倣物を投与する工程を包含する。1つの局面において、この量は、被験体の状態を改善するのに十分である。特定の局面において、この改善としては、標的細胞(例えば、異常に増殖している細胞)の少なくとも一部における、細胞増殖の減少、細胞数の減少、この細胞数の増加の阻害、アポトーシスの減少、または生存の減少が挙げられる。なお別の局面において、この被験体に、細胞増殖を阻害する処置を投与する前、この投与と同時またはこの投与の後に、本発明の化合物を投与する。さらなる特定の局面において、細胞増殖障害である細胞の少なくとも一部は、血液、胸部、肺、甲状腺、頭部または頸部、脳、リンパ、胃腸管、尿生殖器管、腎臓、膵臓、肝臓、骨、筋肉、または皮膚に位置する。
【0110】
別の実施形態において、この方法は、一定量の化合物を被験体に投与して、固形腫瘍を処置する工程を包含する。なお別の実施形態において、この方法は、一定量の化合物を被験体に投与して、液体腫瘍を処置する工程を包含する。種々の局面において、腫瘍を有する被験体に、別の抗腫瘍治療の前、この抗腫瘍治療と同時またはこの抗腫瘍治療の後に、本発明の化合物を投与する。
【0111】
本明細書中で使用される場合、用語「増殖障害」および「増殖状態」は、任意の病理学的または非病理学的な生理学的状態を意味し、これらは、(例えば、細胞、ウイルス、細菌、真菌などの)異常な増殖または所望でない増殖によって特徴付けられる。用語「細胞増殖障害」および「細胞増殖状態」は、任意の病理学的または非病理学的な生理学的状態を意味し、これらは、異常な細胞増殖または所望でない細胞増殖によって特徴付けられる。これらの状態としては、(例えば、欠損性アポトーシスに起因する)所望でないまたは必要でない、細胞増殖または細胞生存によって特徴付けられる状態、欠損性アポトーシスもしくは異常なアポトーシスまたは欠損性アポトーシスによって特徴付けられる状態、および異常な細胞生存または望ましくない細胞生存もしくは必要でない細胞生存によって特徴付けられる状態が挙げられる。用語「分化障害」は、任意の病理学的または非病理学的な生理学的状態を意味し、これらは、異常な分化または欠損性分化によって特徴付けられる。
【0112】
処置に従順な増殖障害または分化障害としては、良性および腫瘍性の両方の、疾患および非病理学的な生理学的状態が挙げられ、これらは、異常なまたは所望でない、細胞数、細胞増殖または細胞生存によって特徴付けられる。従って、このような障害または状態は、疾患状態を構成し得、これらとしては、癌性増殖または腫瘍プロセスの全ての型、転移性組織、または悪性に形質転換された細胞、組織もしくは器官が挙げられるか、あるいはこれらは、非病理学的であり得る(すなわち、正常から逸脱するが、代表的に疾患に関連しない)。本発明に従って処置され得る非病理学的状態の特定の例は、瘢痕を生じ得る創傷修復からの組織再生である。
【0113】
増殖障害または分化障害を含む細胞は、細胞塊において凝集され得るか、または分散され得る。用語「固形腫瘍」とは、代表的に一緒に凝集して塊を形成する、新形成または転移をいう。特定の例としては、内臓腫瘍(例えば、胃癌または結腸癌)、ヘパトーム、細静脈(venal)癌腫、肺および脳の腫瘍/癌が挙げられる。「液体腫瘍」とは、造血系の新形成(例えば、リンパ腫、骨髄腫および白血病)、またはそれらが代表的に固形塊を形成しない場合に、天然に拡散する新形成をいう。白血病の特定の例としては、急性または慢性の、リンパ芽球性骨髄腫、骨髄芽球性骨髄腫および多発性骨髄腫が挙げられる。
【0114】
このような障害としては、実質的に任意の細胞または組織型に影響を及ぼし得る、新生物または癌(例えば、癌腫、肉腫、黒色腫、転移性障害または造血性の新生物障害)が挙げられる。転移性腫瘍は、複数の原発腫瘍型から生じ得、これらとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:胸部、肺、甲状腺、頭部および頸部、脳、リンパ、胃腸(口、食道、胃、小腸、結腸、直腸)、尿生殖器管(子宮、卵巣、頸、膀胱、精巣、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、肝臓、骨、筋肉、皮膚など。
【0115】
癌腫とは、上皮組織または内分泌組織の悪性疾患をいい、これらとしては、呼吸器系癌腫、胃腸系癌腫、泌尿生殖器系癌腫、精巣癌腫、胸部癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫、および黒色腫が挙げられる。例示的な癌腫としては、頸、肺、前立腺、胸部、頭部および頸部、結腸、肝臓および卵巣から生じる癌腫が挙げられる。この用語はまた、例えば、癌性組織および肉腫性組織から構成される悪性腫瘍を含む癌肉腫を含む。腺癌としては、腺組織の癌腫が挙げられ、ここにおいて、その腫瘍は、腺様構造を形成する。
【0116】
肉腫とは、間葉細胞起源の悪性腫瘍をいう。例示的な肉腫としては、例えば、リンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、および線維肉腫が挙げられる。
【0117】
本明細書中で使用される場合、用語「造血性増殖障害」は、例えば、骨髄性細胞、リンパ球系細胞または赤血球系細胞の系統、またはそれらの前駆体細胞から生じる、造血性起源の過形成細胞/新生物性細胞を含む疾患を意味する。代表的には、この疾患は、未分化型急性白血病(例えば、正赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病)から生じる。さらなる例示的な骨髄性障害としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:急性前骨髄球白血病(acutepromyeloid leukemia(APML))、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML);リンパ球系悪性腫瘍としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:急性リンパ芽球性白血病(ALL)(これは、B細胞系統ALLおよびT細胞系統ALLを含む)、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(prolymphocyticleukemia(PLL))、ヘアリーセル白血病(HLL)およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)。さらなる悪性リンパ腫としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:非ホジキンリンパ腫およびその改変体、抹消T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞白血病(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(largegranular lymphocytic leukemia(LGF))、ホジキン病およびリード−シュテルンベルグ病。
【0118】
本発明の化合物と組み合わせて使用するための処置は、本明細書中に開示されるかまたは当該分野で公知である、任意の抗増殖処置、核酸損傷処置、または抗腫瘍処置を包含する。例えば、抗細胞増殖処置または抗腫瘍処置は、必要に応じて薬物処置と組み合わせた、照射処置または外科的切除を包含し得る。この処置は、化学物質(例えば、放射性同位体)、薬物(例えば、化学療法剤)、または遺伝子治療(例えば、抗オンコジーン(例えば、Rb、DCC、p53など)、ドミナントネガティブオンコジーン、もしくはオンコジーンに対するアンチセンス)の投与を包含し得る。この化合物は、他の処置プロトコルの前にか、それと同時にか、またはその後に、投与され得る。例えば、抗細胞増殖治療(例えば、照射療法、化学療法、遺伝子治療、外科的切除など)のための候補被験体は、抗細胞増殖治療を開始する前に、本発明の化合物を投与され得る。従って、予防的処置方法が、提供される。
【0119】
用語「被験体」とは、動物を指し、代表的には哺乳動物を指し、例えば、霊長類(ヒト、サル、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、マカク)、家畜(イヌおよびネコ)、牧場動物(ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、および実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)を指す。被験体は、動物疾患モデル(たとえば、腫瘍保有マウス)を包含する。
【0120】
処置のために適切な被験体は、増殖障害もしくは分化障害についての処置または例えば抗腫瘍治療を、現在受けている被験体、またはその処置についての候補である被験体を包含する。さらなる候補被験体としては、例えば、細胞増殖障害を発症する危険がある被験体が挙げられる。従って、本発明の方法は、細胞増殖障害の危険があるが未だその障害の明白な症状を示していない被験体を処置するために、適用可能である。危険がある被験体は、細胞増殖障害を発症する遺伝的素因または家族歴を有するものとして、同定され得る。例えば、活性化オンコジーンを有するかまたは腫瘍サプレッサ遺伝子の変異もしくは欠失を有する被験体は、候補被験体である。従って、危険がある被験体は、遺伝子損傷の存在について慣用的遺伝子スクリーニングを使用してか、またはその被験体がその障害の危険があることを確立するためのその被験体の家族歴への照会を使用して、同定され得る。危険がある被験体の特定の例は、新形成細胞もしくは薬物耐性新形成細胞がCD40を発現する癌に対する素因を示す家族歴または他の遺伝的特徴を有する、被験体である。遺伝子疾患の特定の詳細な例は、網膜芽細胞腫であり、これは、Rb腫瘍サプレッサ遺伝子における欠損によって引き起こされる。
【0121】
投与量は、代表的には、望ましい影響を生じるために充分な量である、「有効量」または「十分量」である。従って、有効量は、増殖細胞を含む細胞の少なくとも一部(例えば、標的細胞の少なくともいくらか)の、細胞増殖の減少、細胞数の減少、増殖増大の阻害、細胞数増加の阻害、アポトーシス増加、または生存の減少のうちの1つ以上を包含する。従って、例えば、細胞増殖を阻害することが望ましい場合、有効量は、細胞増殖もしくは増殖細胞数を検出可能に減少する量、または細胞アポトーシスを増加する量、または細胞生存を減少する量である。従って、この量は、標的細胞数を減少するため、標的細胞数を安定化するため、または標的細胞数の増加を阻害するために、十分であり得る。例えば、この障害が固形腫瘍を包含する場合、その腫瘍の少なくとも一部の、腫瘍サイズの減少、腫瘍サイズの安定化、またはさらなる腫瘍増殖の防止(例えば、その細胞の5〜10%の増殖阻害、または腫瘍塊を含む細胞の10〜20%以上の増殖阻害)が、満足な臨床的終点である。その障害が液体腫瘍を含む場合、その腫瘍細胞のうちの少なくとも部分集団の、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞数の安定化、または腫瘍細胞数の更なる増加の阻害(例えば、その細胞のうちの5%〜10%の増殖阻害、またはその細胞のうちの10%〜20%以上の増殖阻害)は、満足な臨床終点である。
【0122】
さらに、有効であると考慮される量は、この状態または障害の進行を、予防または阻害し得る。たとえば、特定の腫瘍は、進行するにつれて、次第に攻撃的になる(転移形態への進行を含む)。従って、有効であると考慮される量はまた、腫瘍が次第に攻撃的になることまたは転移することを、減少するかまたは防ぐ。従って、この障害または状態の悪化の阻害または予防(すなわち、この状態の安定化)が、さらなる満足な臨床的終点である。
【0123】
液体腫瘍を含む生物学的サンプル(例えば、血液または組織サンプル)の試験は、腫瘍細胞塊もしくは腫瘍細胞数が減少したか否か、または腫瘍細胞増殖の阻害が生じたか否かを、確立し得る。固形腫瘍について、侵襲的画像化法および非侵襲的画像化法が、腫瘍サイズの減少または腫瘍サイズ増加の阻害を確認し得る。レセプター陽性腫瘍のレセプター計数の減少は、腫瘍細胞増殖の減少または阻害を評価するために使用され得る。ホルモン産生腫瘍(例えば、乳癌、精巣癌、または卵巣癌)のホルモン量は、その腫瘍の増殖の減少または阻害を評価するために使用され得る。
【0124】
有効量はまた、その障害または状態に関係する症状の重篤度もしくは頻度を、客観的または主観的に低下もしくは減少し得る。例えば、疼痛、悪心、もしくは他の不快感を減少するかまたは食欲もしくは主観的福祉を増大する、本発明の化合物の量は、満足な臨床的終点である。
【0125】
有効量はまた、別のプロトコルを用いる処置の量(例えば、投与量)または頻度の減少を包含する。これは、満足な臨床終点と見なされる。例えば、本発明の化合物を用いて処置される癌患者には、癌細胞増殖を阻害するための核酸損傷処置がより少なくしか必要とされ得ない。この場合、有効量は、本発明の化合物を用いる処置を伴わずに投与される投与の頻度もしくは量と比較して、その被験体が投与される核酸損傷剤の投与頻度もしくは投与量を減少させる、量を包含する。
【0126】
被験体の状態または治療利点の改善をもたらす本発明の方法は、期間が比較的短くあり得る。例えば、その改善は、数時間、数日間〜数週間継続し得るか、または長期間(例えば、数ヶ月もしくは数ヵ年)にわたり延長し得る。有効量は、その状態または障害の何らかの症状もしくはすべての症状を完全に除去する必要はない。従って、有効量についての満足な臨床終点は、その障害もしくは状態の状況を決定するために適切な上記の基準もしくは当該分野で公知の他の基準を使用して決定される、短期間または長期間にわたる被験体の状態の主観的改善もしくは客観的改善が存在する場合に、達成される。本明細書中に記載されるかまたは当該分野で公知であるような1つ以上の有益な効果を提供するために有効な量は、被験体の状態の「改善」または被験体への「治療効果」と呼ばれる。
【0127】
本発明の化合物の有効量は、動物研究に基づいて、または必要に応じてヒト臨床試験に基づいて、決定され得る。特定の被験体を処置するために必要な投与量および時機に影響を与え得る種々の要因(例えば、被験体の全身の健康、年齢、もしくは性別、その障害もしくは状態の重篤度もしくは段階、以前の処置、望ましくない副作用に対する感受性、望ましい臨床結果、および他の障害もしくは状態の存在)を、当業者は認識する。このような要因は、治療利点のために充分な量を提供するために必要な投与量および時機に影響を与え得る。投与レジメンはまた、薬物速度論(すなわち、薬学的組成物の吸収速度、バイオアベイラビリティ、代謝、およびクリアランス)を考慮する(例えば、Egleton(1997)「Bioavailabilityand transport of peptides and peptide drugs into the brain」 Peptides 18:1431〜1439;およびLanger(1990)Science249:1527〜1533を参照のこと)。さらに、用量または処置プロトコルは、被験体に特に合わせられ得るか、または薬理遺伝学的データに基づいて改変され得る。
【0128】
従って、本発明の化合物は、単独でか、または薬学的組成物として、望ましい効果を達成するための任意のプロトコルもしくは経路に従って、全身投与され得るか、(例えば、器官または組織に向かって、例えば、肝臓の細胞増殖障害を処置するために門脈中に注射することによって)局所(regionally)投与され得るか、または(例えば、腫瘍塊中に直接)局所(locally)投与され得る。この化合物および薬学的組成物は、単回用量としてか、あるいは、多回用量として、(例えば、低用量で)毎日か、または(例えば、より高用量で、1日毎、1週間に1回など)断続的に、投与され得る。この化合物および薬学的組成物は、吸入(例えば、気管内吸入)を介してか、経口的にか、静脈内にか、動脈内にか、脈管内にか、髄腔内にか、腹腔内にか、筋肉内にか、皮下にか、腔内にか、経皮的(例えば、局所投与)にか、経粘膜的(例えば、頬投与、膀胱投与、膣投与、子宮投与、直腸投与、もしくは鼻投与)にか、多回投与によってか、徐放(例えば、経時的な逐次灌流)によってか、または単回ボーラスによって、投与され得る。薬物を投与するための移植可能なデバイス(微小製造デバイスを含む)は、周知であり、そしてまた、被験体に本発明の化合物を送達するために適用可能である。
【0129】
静脈内(IV)投与される化合物は、数時間(代表的には、1時間、3時間、もしくは6時間)にわたって、約0.01mg/時間〜約1.0mg/時間であり、これは、断続的周期で1週間以上反復され得る。かなり高い投与量(約10mg/mlまでの範囲)が、特に薬物を隔離部位に投与して血流中には投与しない場合(例えば、体腔または器官管腔(例えば、脳脊髄液(CSF))中に投与する場合)には、使用され得る。
【0130】
従って、本発明は、薬学的組成物をさらに提供する。そのような薬学的組成物は、被験体にインビボもしくはエキソビボで投与するため、および例えば、被験体を本発明の化合物で処置するために、有用である。
【0131】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能」および「生理学的に受容可能」は、薬学的投与に適合性である、溶媒(水性溶媒もしくは非水性溶媒)、溶液、乳濁物、分散媒、コーティング、等張剤、および吸収促進剤もしくは吸収遅延剤を包含する。従って、「薬学的組成物」または「薬学的処方物」は、被験体における薬学的使用のために適切な組成物を指す。この薬学的組成物および処方物は、一定量の本発明の化合物(例えば、有効量の本発明のペプチドもしくはペプチド模倣物、それをコードする核酸、ベクター、もしくは細胞)と、薬学的もしくは生理学的に受容可能なキャリアとを含む。
【0132】
薬学的組成物は、特定の投与経路(全身投与または局所投与)と適合性であるように処方され得る。従って、薬学的組成物は、種々の経路による投与のために適切な、キャリア、希釈剤、もしくは賦形剤を含む。
【0133】
経腸(経口)投与のための処方物は、錠剤(コーティング錠剤または非コーティング錠剤)、カプセル剤(硬カプセル剤または軟カプセル剤)、ミクロスフェア、乳濁剤、散剤、顆粒、結晶、懸濁物、シロップ剤、またはエリキシル剤中に含まれ得る。従来の非毒性固体キャリア(例えば、薬剤グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム)が、固形処方物を調製するために使用され得る。補助的活性化合物(例えば、保存剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗真菌剤)もまた、この処方物中に組み込まれ得る。液体処方物もまた、経腸投与のために使用され得る。このキャリアは、種々の油(石油、動物油、植物油、または合成油(例えば、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油)を含む)から選択され得る。適切な薬学的賦形剤としては、例えば、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、コムギ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールが、挙げられる。
【0134】
経腸送達、非経口送達、または経粘膜送達のための薬学的組成物は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、ハンクス溶液、リンゲル溶液、デキストロース/生理食塩水、およびグルコース溶液を含む。この処方物は、生理学的条件に近づけるための補助物質(例えば、緩衝化剤、張度調整剤、湿潤剤、界面活性剤など)を含み得る。添加物としてはまた、さらなる活性成分(例えば、殺菌剤または安定化剤)も挙げられ得る。例えば、この溶液は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、またはオレイン酸トリエタノールアミンを含み得る。さらなる非経口処方物および非経口方法が、Bai(1997)J.Neuroimmunol.80:65〜75;Warren(1997)J.Neurol.Sci.152:31〜38およびTonegawa(1997)J.Exp.Med.186:507〜515に記載される。非経口調製物は、ガラス製またはプラスチック製の、アンプル、使い捨てシリンジ、または多用量バイアル中に封入され得る。
【0135】
皮内投与または皮下投与のための薬学的組成物は、滅菌希釈剤(例えば、水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはパラベンメチル);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素グルタチオンまたは亜硫酸水素ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩);ならびに張度調整剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)を含み得る。
【0136】
注射のための薬学的組成物としては、水溶液(水溶性である場合)または分散剤および滅菌した注入可能な溶液もしくは分散剤の即座調製のための滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与のために適切なキャリアとしては、生理食塩水、静菌水、CremophorELTM(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。このキャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにこれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒であり得る。流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散体の場合において要求される粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。抗菌剤および抗真菌剤としては、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサールが挙げられる。等張剤(例えば、糖類、ポリアルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム)が、この組成物中に含まれ得る。得られる溶液は、そのままでの使用のためにパッケージされ得るか、または凍結乾燥され得、この凍結乾燥された調製物は、投与の前に滅菌溶液と後に組み合わされ得る。
【0137】
薬学的受容可能なキャリアは、吸収もしくはクリアランスを安定化、増加または遅延させる化合物を含み得る。このような化合物としては、以下が挙げられる:例えば、糖質(例えば、グルコース、スクロース、またはデキストラン);低分子量タンパク質;ペプチドのクリアランスもしくは加水分解を低減させる組成物;または賦形剤または他の安定化剤および/もしくは緩衝液。吸収を遅延させる薬剤としては、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンが挙げられる。界面活性剤もまた使用して、薬学的組成物(リポソームキャリアを含む)の吸収を安定化、増加または減少させ得る。消化から保護するために、化合物は、組成物と複合体化され、酸および酵素的加水分解に対する抵抗性を付与され得るか、または化合物は、適度に抵抗性のあるキャリア(例えば、リポソーム)中で複合体化され得る。化合物を消化から保護するための手段は、当該分野で公知である(例えば、Fix(1996)PharmRes.13:1760〜1764;Samanen(1996)J.Pharm.Pharmacol.48:119〜135;および米国特許第5,391,377号(これは、治療薬剤の経口送達のための脂質組成物を記載する)を参照のこと)。
【0138】
経粘膜投与または経皮投与について、透過されるバリアに対して適切な透過剤が、処方物中で使用される。このような透過剤は、一般的に、当該分野で公知であり、そして、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤を介し得る(例えば、Sayani(1996)「Systemicdelivery of Peptide and Proteins across absoptive mucosae」Crit.Rev.Ther.Drug CarrierSyst.13:85〜184)。経皮投与については、この活性化合物は、当該分野で一般的に公知である軟膏剤、軟膏、ゲル、またはクリーム剤へ処方される。経皮的送達系はまた、パッチを使用して達成され得る。
【0139】
吸入送達について、薬学的処方物は、エアロゾルまたは霧の形態で送達され得る。エアロゾル投与について、処方物は、界面活性剤および推進剤とともに微細に分割された形態で供給され得る。別の実施形態において、処方物を呼吸器組織に送達するためのデバイスは、処方物が蒸発するデバイスである。当該分野で公知の他の送達系としては、乾燥粉末エアロゾル、液体送達系、吸入器、空気噴射噴霧器および推進剤系が挙げられる(例えば、Patton(1998)Biotechniques16:141〜143;Dura Pharmaceuticals,San Diego,CA;Aradigm,Hayward,CA;Aerogen,Santa Clara,CA;およびInhaleTherapeutic Systems,San Carlos,CA)。
【0140】
生分解性の生体適合性ポリマーが使用され得る(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)。このような処方物の調製のための方法は、当業者には公知である。これらの材料はまた、AlzaCorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手可能である。リポソーム懸濁液(抗体またはウイルスコートタンパク質を使用して、細胞または組織へ標的化されたリポソームを含む)がまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,235,871号;同第4,501,728号;同第4,522,811号;同第4,837,028号;同第6,110,490号;同第6,096,716号;同第5,283,185号;同第5,279,833号;Akimaru(1995)CytokinesMol.Ther.1:197−210;Alving(1995)Immunol.Rev.145:5−31;およびSzoka(1980)Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467に記載されるような、当該分野で公知の方法に従って調製され得る。低分子(ペプチドを含む)の持続性送達が可能なマイクロスフィアもしくは生分解性カプセルまたは他の生分解性ポリマー構成は、当該分野で公知である(例えば、Putney(1998)Nat.Biotechnol.16:153−157を参照のこと)。本発明の化合物は、ミセル中に組み込まれ得る(例えば、Suntres(1994)J.Pharm.Pharmacol.46:23−28;Woodle(1992)Pharm.Res.9:260−265を参照のこと)。ペプチドは、脂質単層または脂質二重層の表面に結合され得る。例えば、ペプチドは、ヒドラジド−PEG−(ジステアロイルホスファチジル)エタノールアミン含有リポソーム(例えば、Zalipsky(1995)Bioconjug.Chem.6:705−708を参照のこと)に結合され得る。あるいは、任意の形態の脂質膜(例えば、平面脂質膜またはインタクトな細胞(例えば、赤血球)の細胞膜)が、使用され得る。リポソーム処方物および脂質含有処方物は、任意の手段(例えば、静脈内投与、経皮投与(例えば、Vutla(1996)J.Pharm.Sci.85:5〜8を参照のこと)、経粘膜投与、または経口投与)によって送達され得る。
【0141】
薬学的に受容可能な処方物は、約1%〜約99.9%の活性な成分(例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物)を組み込み得る。薬学的組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌され得るか、または濾過滅菌され得る。
【0142】
さらなる薬学的処方物および送達システムは、当該分野で公知であり、本発明の方法および組成物に適用可能である(例えば、Remington’sPharmaceutical Sciences(1990)18版,Mack Publishing Co.,Easton,PA;The Merck Index(1996)12版,MerckPublishing Group,Whitehouse,NJ;Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,TechnonicPublishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.,(1993);およびPoznanskyら,Drug Delivery Systems,R.L.Juliano編,Oxford,N.Y.(1980),253〜315ページを参照のこと)。
【0143】
薬学的処方物は、投与の容易性および投薬量の均一性のために単位投与量形態でパッケージされ得る。「単位投与量形態」とは、本明細書で使用される場合、処置される被験体への投与のための物理的に個々の単位投与量をいい;各単位は、薬学的キャリアまたは賦形剤と組み合わせて、所望の効果を生じる所定量の化合物を含む。
【0144】
本発明はさらに、必要に応じて適切なパッケージ材料にパッケージされた本発明の化合物およびその薬学的処方物を含むキットを提供する。キットは、代表的に、ラベルまたはパッケージ挿入物(構成要素の説明、またはその中の構成要素のインビトロ、インビボ、もしくはエキソビボでの使用のための指示書を含む)を備える。キットは、このような構成要素の集合体(例えば、2つ以上の本発明の化合物、または核酸損傷剤もしくは抗増殖剤と組み合わせた本発明の化合物)を含む。
【0145】
用語「パッケージ材料」とは、キットの構成要素を収容する物理的構造体をいう。パッケージ材料は、構成要素の滅菌性を維持し得、そして、このような目的に一般的に使用される材料(例えば、紙、波形繊維、ガラス、プラスチック、ホイル、アンプルなど)から作製され得る。ラベルまたはパッケージ挿入物は、適切な書面での指示書を含み得る。従って、本発明のキットは、本発明の任意の方法においてキット構成要素を使用するためのラベルまたは指示書をさらに備え得る。指示書は、本明細書に記載される本発明の任意の方法(処置方法、検出方法、モニタリング方法または診断方法を含む)を実施するための指示を備える。従って、例えば、キットは、本発明の処置方法において化合物を投与するための指示書と一緒に、パックまたはディスペンサー中に本発明の化合物を含み得る。指示書は、満足のいく臨床的指標もしくは生じ得る任意の有害症状の指標、またはヒト被験体に対する使用について規制機関(例えば、米国食品医薬品局)によって必要とされるさらなる情報をさらに含み得る。
【0146】
指示書は、「印刷物」(例えば、キット内かまたはキットに添付された、紙もしくは厚紙上にあっても、またはキットもしくはパッケージ材料に添付されたラベル上にあっても、または、キットの構成要素を含むバイアルもしくは管に添付されてもよい。指示書はさらに、コンピューター読み取り可能媒体(例えば、ディスク(フロッピー(登録商標)ディスクまたはハードディスク)、光学CD(例えば、CD−ROM/RAMまたはDVD−ROM/RAM)、磁気テープ、電気的記憶媒体(例えば、RAMおよびROM)、ICチップおよびこれらのこのような磁気/光学記憶媒体の混成物)上に含まれ得る。
【0147】
本発明のキットは、薬学的処方物中に緩衝剤、または保存剤または安定化剤をさらに含み得る。キットの各構成要素は、個々の容器内に封入され得、そして全ての種々の容器は、単一のパッケージ内にあり得る。本発明のキットは、冷却保存用として設計され得る。
以下は、本明細書で使用される略号である:
Cha:シクロヘキシルアラニン
Phe−2,3,4,5,6−F:フルオリドが、フェニルアラニンのフェニル残基上の2位,3位,4位,5位,6位にある
F:フッ化物
Bpa:ベンゾイルフェニルアラニン
Nal(2):2−ナフチル−アラニル
Ala(3−Bzt):(3−ベンゾチエニル)−アラニン
Nal(1):1−ナフチル−アラニル
Dph:ジフェニル−アラニン
Ala(tBu):t−ブチル−アラニル
Cys(tBu):t−ブチル−システイン
Phe−3,4,5−F:フルオリドが、フェニルアラニンのフェニル上の3位,4位,5位にある
Phe−4CF3:CF3が、フェニルアラニンのフェニル残基上の4位にある
Phe−3Br,4CI,5Br:ブロミドが、フェニルアラニンのフェニル上の3位にあり,クロリドが、フェニルアラニンのフェニル上の4位にあり,ブロミドが、フェニル
アラニンのフェニル上の5位にある
Phe−4CI:クロリドが、フェニルアラニンのフェニル上の4位にある
Pl,P2,P3,P4,P5,P6など,および(Pl,P2,P3,P4,P5,P6など);およびP7,P8,P9,P10,Pll,P12など,および(P7,P8,P9,P10,P11,P12など):それぞれ、Pl,P2,P3,P4,P5,P6などの連続配列;およびP7,P8,P9,P10,P11,P12などの連続配列。
【0148】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるような同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または等価な方法および材料は、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料は、本明細書に記載される。
【0149】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許および他の参考文献は、それらの全体が参考として援用される。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が制御する。
【0150】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「and」、「the」および「is」は、文脈が明らかに別のものを示していない限り、複数形を含む。従って、例えば、「化合物」に対する言及は、複数の化合物を含み、「残基」または「アミノ酸」に対する言及は、1つ以上の残基およびアミノ酸に対する言及を含む。
【0151】
本発明の多数の実施形態が、記載されている。しかしながら、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。従って、以下の実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を実証するが、限定はしないことが意図される。
【実施例】
【0152】
(実施例1)
本実施例は、材料および幾つかの方法を記載する。本実施例はまた、分析されたペプチド/ペプチド模倣物の配列を記載する。
【0153】
(化学物質および試薬)ブレオマイシンとは、WakoPure Chemical Co.(Osaka,Japan)から購入し、それを、10mg/mlまで蒸留したHO中に溶解した。ヨウ化プロピジウム(PI)およびアドリアマイシンを、Sigma(St.Louis,MO)から購入した。
【0154】
(細胞培養)ヒトT細胞白血球由来細胞株であるJurketを、10%ウシ胎仔血清(IBL:Immuno−BiologicalLaboratories,Gunma,Japan)を補充された、RPMI 1640(Sigma)中で37℃/5%COで培養した。ヒト膵臓癌由来細胞株であるMIAPaCa2を、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM中で37℃/5%COで培養した。
【0155】
(細胞周期分析)ブレオマイシンまたはアドリアマイシンにより処理した細胞の細胞周期状態を、Kawabe(1997)Nature385:454−458によって記載されるようにフローサイトメトリーによって分析した。簡単に言うと、2百万個の細胞を再懸濁し、そして200μlのKrishan’s溶液(0.1%クエン酸ナトリウム,50μg/mlPI,20μg/ml RNase Aおよび0.5% NP−40)中、4℃で1時間インキュベートし、そしてプログラムCELLQuestTM(BecktonDickinson)を用いて、フローサイトメトリー、FACScanTM(Beckton Dickinson,Mountain View,CA)によって分析した。
【0156】
(表1.例示的なペプチド/ペプチド模倣物の配列および対応するコード名)
【0157】
【表1−1】

【0158】
【表1−2】

【0159】
(実施例2)
本実施例は、種々のペプチドのG2抑制活性および活性に対する種々の配列置換の影響(配列長の減少の影響を含む)を示すデータを記載する。
【0160】
G2チェックポイント抑制のフローサイトメトリー分析を、ヒト白血球由来Jurket細胞株を使用して実施した。簡単には、培養した細胞を、種々の用量のペプチド/ペプチド模倣物および40μg/mlのブレオマイシンで24時間処理した。細胞のDNAをヨウ化プロピジウムにより染色し、フローサイトメトリーによって分析した。これらの結果を、表2にまとめる。
【0161】
ブレオマイシン処理したJurket細胞株に対して使用した場合の各ペプチド/ペプチド模倣物の用量応答曲線は、図1、5、6、7、8、11および12に示される;Y軸は、処理の24時間後のG2/MJurket細胞%を示す。
【0162】
化合物によるM期チェックポイント抑制のフローサイトメトリー分析を、コルチシン(0.5μg/mlまたは5μg/ml)および種々の用量のペプチド/ペプチド模倣物により24時間処理したヒトT細胞白血球Jurket細胞株を用いて実施した(図12)。細胞のDNAを染色して、上記のようにフローサイトメトリーによって分析した。これらの結果をまた、表2にまとめる。
【0163】
コルチシン処理したJurket細胞に対して使用した場合の各ペプチド/ペプチド模倣物の用量応答曲線は、図2および14に示される;Y軸は、処理の24時間後のG2/MJurket細胞%を示す。
【0164】
(表2.G2チェックポイント抑制または副作用を示す化合物の用量)
【0165】
【表2】

【0166】
「単独で使用された場合の副作用の出現」は、Jurket細胞周期妨害(すなわち、有意な量のSubG1細胞(死細胞)または各々のDNA含量が通常より多くの変化している細胞の出現)を生じたペプチド/ペプチド模倣物用量を示す。例えば、G1細胞は、通常、FACS分析において鋭いピークを呈するが、処理後、細胞周期が妨害された場合、そのピークは、より幅広く、かつより低下する。このことは、不適切な細胞周期進行または細胞死の開始を示す。「G2抑制用量」は、24時間処理した後に検出可能なG2チェックポイント抑制活性を生成した40μg/mlのブレオマイシンによるペプチド/ペプチド模倣物用量を示す。「コルチシンとともに使用された場合の副作用の出現」は、24時間の処理後にJurket細胞周期妨害を生じた5μg/mlコルチシンによるペプチド/ペプチド模倣物用量を示す。
【0167】
シスプラチンと組み合わされた場合のCBP501のG2チェックポイント抑制活性を、種々の細胞株において研究した。簡単には、シスプラチン(3μg/ml)およびCBP501(0.4μM、2μMおよび10μM)を、同時に細胞培養物に加え、これを37℃で3時間5%COとともにインキュベートした。培地を吸引し、これらの化合物を含まない新鮮な培地を加え、そして細胞をさらに45時間インキュベートした。浮遊細胞を含む細胞をトリプシン−EDTA溶液を用いて収集し、Krishan’s溶液とともにインキュベートして、前に記載したようにフローサイトメトリーによってDNA含量について分析した。これらの結果を表3にまとめる。HUVEC以外の陰をつけた強調は、G2集団の有意な損失および増加したsubG1集団を有する細胞株を示し、これは、G2チェックポイント抑制およびCBP501によるシスプラチンに対する感作を示す。少なくとも50μMCBP501まで、HUVEC細胞(これらは、正常G1チェックポイントを有する細胞である)が感作されなかったという観察は、CBP501が、非特異的ではなくG2チェックポイントに特異的であることを示す。
【0168】
(表3.種々の細胞株に対するCBP501のG2チェックポイント抑制用量)
【0169】
【表3】

【0170】
ブレオマイシン(Bleo)またはアドリアマイシン(ADR)により処理したヒト膵臓癌由来細胞株MIAPaCa2に対する異なる用量での種々の化合物のG2チェックポイント抑制活性を研究した。簡単には、細胞を、化合物およびブレオマイシン(10μg/ml)またはアドリアマイシン(1μg/ml)とともに3時間インキュベートした。培地を交換し、さらに21時間インキュベートした。収集した細胞を、ヨウ化プロピウムによってDNAについて染色し、前に記載したようにフローサイトメトリーにより分析した。subG1細胞集団の%を図3において死細胞として示す。結果は、CBP501は、ブレオマイシンおよびアドリアマイシンの両方に対してMIAPaCa2細胞を、用量依存様式で感作したことを示す。
【0171】
図4Aおよび4Cは、複数のペプチド対(ここで、一方のアミノ酸残基は、他方のアミノ酸残基とは異なる)を用いて実施したG2チェックポイント抑制活性の要約である。これらのペプチドのG2チェックポイント抑制活性を、上記のようにブレオマイシン処理したJurket細胞を用いて分析した。図4Bは、複数のペプチド対(ここで、一方のアミノ酸残基は、他方のアミノ酸残基とは異なる)を用いて実施したMチェックポイント抑制活性および/または非特異的毒性分析の要約である。これらのペプチドのMチェックポイント抑制活性および/または非特異的毒性を、上記のようにコルチシン処理したJurket細胞を用いて分析した。
【0172】
ブレオマイシンで処理した細胞に対する、異なる用量の種々のアルギニンリッチな配列のG2チェックポイント抑制活性を研究した。簡単には、ブレオマイシン(40μg/ml)を含むJurkat細胞の培養培地に0.2μg/ml、0.39μg/ml、0.78μg/ml、1.56μg/ml、3.125μg/ml、6.25μg/ml、12.5μg/ml、25μg/mlおよび50μg/mlのペプチドを添加した。引き続いて、24時間後に細胞を回収し、Krishan溶液で染色し、以前に記載されたようにフローサイトメトリーで分析した。%G2/M細胞(Y軸)をペプチド用量(X軸)に対してプロットした(図5)。このデータは、「(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)(配列番号:137)」塩基性残基リッチな配列が、より少ないかまたはより多い数の残基を有する配列と比較して最もよい配列であることを示す。
【0173】
ブレオマイシンで処理した細胞に対する、異なる用量での(D−Bpa)を有さないペプチドのG2チェックポイント抑制活性を研究した。簡単には、ブレオマイシン(40μg/ml)を含むJurkat細胞の培養培地に0.2μg/ml、0.39μg/ml、0.78μg/ml、1.56μg/ml、3.125μg/ml、6.25μg/ml、12.5μg/ml、25μg/mlおよび50μg/mlのペプチドを添加した。引き続いて、細胞を回収し、以前に記載されたようにフローサイトメトリーで分析した。%G2/M細胞(Y軸)をペプチド用量(X軸)に対してプロットした(図6)。この結果は、配列(Tyr)(Ser)(Pro)(Trp)(Ser)(Phe−2,3,4,5,6F)(Cha)(配列番号:138)が、配列(Bpa)(Ser)(Trp)(Ser)(Phe−2,3,4,5,6F)(Cha)(配列番号:139)に対して類似するG2チェックポイント抑制活性を有することを示す。
【0174】
異なる用量でブレオマイシンで処理した細胞のアルギニンリッチな配列およびリジンリッチな配列のG2チェックポイント抑制活性を研究した。簡単には、ブレオマイシン(40μg/ml)を含むJurkat細胞の培養培地に示される用量(X軸)のペプチドを添加した。引き続いて、細胞を回収し、以前に記載されたようにフローサイトメトリーで分析した。%G2/M細胞(Y軸)をペプチド用量(X軸)に対してプロットした(図7)。結果は、塩基性アミノ酸リッチな配列について、Arg配列がLys配列よりもよい活性を提供し、Glnがこれらの配列の機能に必須でないように見えることを示す。
【0175】
アルギニンリッチな領域の位置が変化する配列のG2チェックポイント抑制活性を研究した。簡単には、24時間にわたって、ブレオマイシン(40μg/ml)を含むJurkat細胞の培養培地に示される用量(X軸)のペプチドを添加した。引き続いて、細胞を回収し、以前に記載されたようにフローサイトメトリーで分析した。%G2/M細胞(Y軸)をペプチド用量に対してプロットした(図8)。
【0176】
データは、このペプチドのG2抑制活性がアルギニンリッチな領域の位置を変化することによって有意には変更されないことを示す。さらに、CBP501は水溶性であったが、CBP511は水溶性でなかった。この違いは、いくつかの系が水に不溶性の化合物を好むため、特定の薬物送達系に有利であり得る。
【0177】
図9は、種々のペプチド対で実施された分析の概要を示し、ここで、1つのアミノ酸残基のみが対の間で異なった。これらのペプチドのG2チェックポイント抑制活性を記載のようにブレオマイシン処理したJurkat細胞を使用して分析した。
【0178】
各アミノ酸のサイズ、電荷および疎水性が、その配列がいかに効率的に標的分子に適合するかを決定する。ペプチドまたはペプチド模倣物の側鎖は、自由に移動し、1つまたは2つの好ましくない側鎖を有してさえもペプチドまたはペプチド模倣物は標的分子のポケットまたは溝に適合し得る。この概要は、各側鎖について好ましいサイズが存在することを示し、このことは、各側鎖に対する標的タンパク質の結合領域(ポケットまたは溝)のサイズを示唆する。例えば、環状構造(例えば、ベンゼン、インドールおよびシクロヘキサン)を有する側鎖は、G2抑制またはM抑制の強さおよび/または非特異的な毒性を決定する;図9および4を参照のこと、ここで、5員より大きい環状構造はG2抑制活性に影響を及ぼし、P1およびP2の中等度のサイズはG2抑制活性を増加するが、大き過ぎる構造(P1、P5およびP6)は、M抑制および/または非特異的毒性を増加する。
【0179】
環状構造を有さない側鎖は、中性のように見える。従って、よりよい活性を得るために、P1、P2、P4およびP6の適切なサイズの環状構造ならびにP3およびP5の非環状構造かまたは6員未満の環状構造のいずれかが望ましい。P1、P2およびP6についての適切な環は、5員または6員のいずれかの2環を縮合した1〜6員環である。P4について、適切なサイズの環は、2つの環の縮合であり、その各々は、5員または6員である。従って、P1について、ChaまたはNal(2)が最も適合するように見え;P2については、Phe−2,3,4,5,6F、Phe−3,4,5FまたはPhe−CF3が最良であるようである。これらの側鎖サイズは、標的分子におけるこの領域が相互作用する位置に2つのポケットかまたは1つの大きなポケットのいずれかが存在することを示す。P3およびP5について、小さな側鎖(例えば、SerまたはPro)が受容可能であり、そして、より大きな側鎖(例えば、Arg)がまた受容可能であり、このことは、標的分子のこの領域にはポケットが存在せず、従って、側鎖は単に標的に対向して置かれ得ることを示す。しかし、環状構造は、ペプチドまたはペプチド模倣物が別の分子(すなわち標的分子以外)と相互作用させ得ることが可能であり、このことは、次に、副作用を増やし得る。P6について、BpaまたはSer−TyrがTyr単独またはより小さい側鎖よりも良いように見える(標的内に水平に横たわるより深い溝を示す)。P4に対する残基の大きさに基づくと、標的内に、P4についての浅くてより広いポケットがまた存在し得る。
【0180】
以下のペプチドを、Jurkatおよびブレオマイシンを使用して、記載のように分析した。ペプチドの配列は以下の通りである:
【0181】
【数12】

【0182】
この結果は、CBP700、701、702、703が他の例示的なペプチドよりも短いが、有意なG2チェックポイント抑制活性を有する他のペプチドに匹敵する、G2チェックポイント抑制活性を保持することを示す(図11)。
【0183】
CB501によるG2チェックポイント抑制活性と非特異的毒性(Mチェックポイント抑制)との間の比較を行った。簡単には、Jurkat細胞を、G2チェックポイント抑制活性および非特異的毒性のそれぞれについて、40μg/mlのブレオマイシンまたは0.5μg/mlのコルヒチンで処理した。処理した細胞の各々のDNA量を、以前に記載されるように、フローサイトメトリーにより分析した。データは、G2チェックポイントがCBP501の用量依存する様式で抑制されたのに対し、非特異的毒性は、50μM(M期阻止細胞の未変化割合によって決定した)までのペプチドでは存在しなかったことを示す(図12)。
【0184】
(実施例3)
この実施例は、ペプチド/ペプチド模倣物のキナーゼ阻害活性および種々のペプチドの血清安定性分析を記載する。
【0185】
2つのキナーゼ(Chk1およびChk2)がG2チェックポイント機構に重要であるため、両方の酵素のキナーゼ阻害分析を実施した。インビトロキナーゼ阻害分析を、「PepTag(登録商標)Non−RadioactiveProtein Kinase Assays」(Promega)を使用して、PKCの代わりに精製CHK2キナーゼを使用した以外は、会社のプロトコルに従って実施した。精製PKCは、UpstateBiotechnology,Inc.より購入した。これらの結果を表4Aに示す。
【0186】
(表4A 化合物のキナーゼ阻害分析)
【0187】
【表4A】

【0188】
インビトロキナーゼ阻害分析を、CycLex,Co.Ltd.(Nagano,Japan)により実施した。簡単には、ヒスチジンタグを有するバキュロウイルス由来の組換えヒト全長Chk1、またはGSTと融合したE.Coli由来の組換えヒト全長Chk2をキナーゼとして使用した。E.Coli由来組換えGST−Cdc25C(アミノ酸167〜267)を基質として使用した。反応条件は、20mMHepes−KOH(pH7.5)、1mM DTT、80μg/ml BSA、10mM MgClおよび50mM ATP(30℃で60分間)であった。GST−Cdc25Cのセリン216のリン酸化を、酵素結合免疫アッセイを用い、抗Cdc25C−リン酸化S216抗体により検出した。これらの結果を表4Bに示す。
【0189】
(表4B ペプチドのキナーゼ阻害分析)
【0190】
【表4B】

【0191】
このデータは、Chk1とChk2のキナーゼ阻害の両方がG2抑制用量よりも高い用量(CBP500、501、505、506、603によるG2抑制についてのIC50は、全て1μM未満である)で生じることを示す。これらの結果は、これらのペプチドがChk1/2分子を阻害するのに加え、作用の機構を有することを示唆する。あるいは、ペプチドはおそらく細胞内で蓄積され、その結果、この濃度が取り囲む培地よりも細胞内で高くなる。
【0192】
マウスおよびヒトの血清中でのペプチドの安定性を決定するために、血清分析を行った。簡単には、ペプチド(10mMまたは2.5mM)を、新しく調製したヒト血清とともに、37℃で1時間インキュベートした。CBP501(10mM)を、新しく調製したマウス血清とともに、37℃で1時間インキュベートした。Jurkat細胞をペプチドおよびブレオマイシン(40μg/ml)を伴ってかまたは伴わないで、血清で処理し、24時間インキュベートした。G2期細胞の集団を、以前に記載されるようにフローサイトメトリーにより決定した。血清処理ペプチドの残存G2チェックポイント抑制活性を、処理血清のG2細胞%と培地処理ペプチド、ブレオマイシンおよびJurkat細胞で作製した標準曲線とを比較することにより決定した(表5A)。残存CBP501量を、エタノール処理での除タンパクの後にHPLCにより決定した(表5B)。このデータは、d型アミノ酸(例えば、CBP501およびCBP603)を有するペプチドが、l型アミノ酸(例えば、CBP413)を有するペプチドよりも、血清中で安定であることを示す。
【0193】
(表5A ヒト血清処理分析)
【0194】
【表5A】

【0195】
(表5B マウス血清処理分析)
【0196】
【表5B】

【0197】
(実施例4)
この実施例は、培養細胞上のCBP501の抗細胞増殖活性を記載する。この実施例はまた、ペプチド/ペプチド模倣物のインビボ活性を示すデータを記載する。
【0198】
化合物の抗細胞増殖活性を示すために、培養MIAPaCa2ヒト膵臓癌細胞を、CBP501(10μmM)、シスプラチン(1、3または9μg/ml)およびオキサリプラチン(1、3または9μg/ml)の単独、ならびに組み合せで処理した。簡単には、細胞を1ウェルあたり300細胞で6ウェルプレートに撒き、一晩インキュベートし、そして、化合物で3時間処理した。培地を交換し、さらに10日間培養した。引き続き、細胞を70%メタノールで固定し、0.1%クリスタルバイオレットで染色し、可視化した。コロニー形成分析結果は、CBP501がシスプラチンとオキサリプラチンの両方のMIAPaCa2細胞に対する細胞傷害活性を増強することを示した。
【0199】
正常ヒト臍内皮細胞(HUVEC)を用いて同様の研究を行った。正常細胞はコロニーを形成しないので、これらを1ウェルあたり300細胞の代わりに1ウェルあたり3000細胞を撒いた。この結果は、ペプチド単独では正常細胞の増殖を妨害しないか、またはペプチドがシスプラチンおよびオキサリプラチンの細胞に対する細胞傷害活性を増強しないかのいずれかを示す。従って、ペプチドは、核酸傷害処置に感作された過剰増殖細胞(hyperoliferatingcell)(例えば癌細胞)とは対照的に、核酸傷害処置を受けた正常細胞に対する有意なG2抑制活性を示すようにはみえない。この結果は、正常細胞ではなく、感作した増殖細胞における、核酸傷害処置に対するペプチドの特異性を示す。
【0200】
(表6 アラマーブルー(alamar blue)を用いたMIAPaCa2の増殖阻害分析)
【0201】
【表6】

【0202】
アラマーブルー分析を行い、シスプラチンを伴うおよび伴わないCBP501の増殖阻害活性を分析した。簡単には、MIAPaCa2細胞を1、3、10、30、100μMのシスプラチン、または10μMのシスプラチンを伴うかまたは伴わない0.22、0.67、2、6および18μMのCBP501に、二連様式で1ウェルあたり2500細胞で、96ウェルプレートにて3時間曝露した。培地を交換し、さらに24、48または72時間インキュベートした。インキュベーションの後、20μlのアラマーブルー90%試薬を各ウェルに添加し、さらに6時間、蛍光強度により細胞生存度を検出するためにインキュベートした。蛍光強度をSpectrafluor Plusプレートリーダーを使用して、530nm励起および590nm発光で測定した。IC50を算出した(表6)。
【0203】
この研究は、CBP501単独がモル用量のシスプラチンよりも良好に細胞増殖を阻害することを示す。CBP501は、10μMのシスプラチン(およそ癌処置のために使用されるシスプラチンの量である)と組合された場合、より低い用量で細胞増殖を抑制した。さらに、CBP501の増殖抑制活性は、シスプラチンよりも長かった;72時間でのIC50は、シスプラチンよりもCBP501を使用する場合の方がより良好であった。
【0204】
CBP501のインビボ半減期を、CBP501の腹腔内注入(40mg/kg)の、1、3および6時間後のマウス血清中のCBP501を定量することにより決定した。残存するインタクトなCBP501の量を、注入したマウスから採取したマウス血清をエタノール処置により脱タンパクした後に、HPLCにより決定した(表7)。
【0205】
(表7 CBP501のインビボ半減期)
【0206】
【表7】

【0207】
ペプチドの耐性を決定するために、10匹のマウスの群にCBP501(5、8または10mg/kg)を静脈内に一度かまたはCBP501(50、80または100mg/kg)を腹腔内に一度、注入した。注入したマウスを、その生存について1週間観察した(表8)。
【0208】
(表8 単回注入によるマウスの最大耐用量)
【0209】
【表8】

【0210】
化合物のインビボ効力を検討するために、MIAPaCa2ヒト膵臓癌細胞をscidマウスに皮下移植した。原発腫瘍のサイズが0.1cm以上(例えば、直径7または8mm)になったときに処置を開始した(0日目)。CDDP(3mg/kg)およびCBP501(10または40mg/kg)を単独でか組み合せで腹腔内投与した。ノギスを用いて1週間に3回腫瘍サイズを測定し、体積を以下の式:
重量(mg)=[幅(mm)×長さ(mm)]/2
を用いて計算した。各処置群に対する平均腫瘍サイズを処置開始後の日数に対してプロットする(n=4)(図10)。
この結果は、CBP501処置単独がインビボでヒト膵臓癌細胞の増殖を抑制することを示す。この結果はさらに、CBP501がシスプラチンの抗腫瘍活性を増加したことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−37896(P2011−37896A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251327(P2010−251327)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【分割の表示】特願2007−218979(P2007−218979)の分割
【原出願日】平成15年1月17日(2003.1.17)
【出願人】(504275568)株式会社 キャンバス (6)
【Fターム(参考)】