説明

抗炎症剤、免疫調節剤及び増殖抑制剤としての芳香族化合物

【課題】ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ(DHODH)を抑制する新規の化合物の提供。
【解決手段】次式


で示される化合物。具体的には、3−(ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸とか3−(2′−エトキシ−3、5−ジフルオル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸等が例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗炎症剤、免疫調節剤及び増殖抑制剤として使える新規の化合物に関するものである。特に、本発明はジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ(DHODH)を抑制する新規の化合物及びその製造方法、その化合物を含有する薬学組成物、及び疾病の治療及び予防のためのその用途、特にジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ(DHODH)の抑制が有益な疾病におけるその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リューマチ関節炎(RA)は、特に老人に大変ありふれた疾病である。例えば、非ステロイド性抗炎症剤のような通常的な薬物による疾病の治療は満足のいくものではない。増加する人口の老齢化に照らして、特に先進西洋諸国や日本では、RAの治療のための新しい薬物の開発が緊急に要求されている。
【0003】
特許文献1(WO99/38846)及び特許文献2(EP0646578)にはRAの治療に有用なものと報告された化合物が開示されている。
【0004】
リューマチ関節炎に対して新しい作用機序を有する薬物であるレフルノミドが最近ARAVAという商標名でアヴェンティス社(Aventis)により市販された(特許文献3(EP780128)、特許文献4(WO97/34600))。レフルノミドは炎症抑制性質だけでなく、免疫調節性を有する(特許文献5(EP217206)、特許文献6(DE2524929))。その作用機序はピリミジン生合成の酵素であるジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ(DHODH)の抑制を基本とする。
【0005】
DHODHは体内で、細胞成長に必要なピリミジンの合成を促進させる。DHODHの抑制は(病的に)速く増殖する細胞の成長を抑制する反面、正常速度で成長する細胞は正常な代謝サイクルからその必要なピリミジン基剤を得ることができる。免疫反応に最も重要な類型の細胞であるリンパ球は、その成長のためにピリミジンの合成を独占的に利用し、DHODH抑制に特に敏感に反応する。リンパ球の成長を抑制する物質は自家免疫疾患の治療のために重要な薬剤である。
【0006】
DHODH抑制レフルノミド(ARAVA)はリューマチ関節炎の治療のための化合物部類(レフルノミド)における最初の薬剤である。特許文献7(WO99/45926)はDHODHの抑制剤として作用する化合物を開示する追加の参考文献である。
【0007】
特許文献8(EP463444)、特許文献9(WO98/57937)、特許文献10(EP150034)、非特許文献1(Nucleosides&Nucleotides 1997、16(10&11)、2025−2033);非特許文献2(Egyptian Journal of Pharmaceutical Sciences 1991、32(1−2)、331−339)、非特許文献3(Journal Fur Praktische Chemie 1991、333(4)、619−624)、非特許文献4(Archives of Pharmacal Research 1990、13(4)、338−341)、非特許文献5(Sulfur Letters 1998、7(4)、127−136)、非特許文献6(Synthesis1988、6449−452)、非特許文献7(Sulfur Letters 1987、7(19)、19−24)、非特許文献8(Archiv der Pharmazie 1987、320(12)、1281−1283)、非特許文献9(Natl.Def.Med.Cent. 1983、35(1)、57−64 )及び非特許文献10(Sch.Pharm.Sci.1977、97(4)、410−415)には置換されたマレイミドに縮合された多数の5員芳香族環系が開示されている。
【特許文献1】WO99/38846
【特許文献2】EP0646578
【特許文献3】EP780128
【特許文献4】WO97/34600
【特許文献5】EP217206
【特許文献6】DE2524929
【特許文献7】WO99/45926
【特許文献8】EP463444
【特許文献9】WO98/57937
【特許文献10】EP150034
【非特許文献1】Nucleosides&Nucleotides 1997、16(10&11)、2025−2033
【非特許文献2】Egyptian Journal of Pharmaceutical Sciences 1991、32(1−2)、331−339
【非特許文献3】Journal Fur Praktische Chemie 1991、333(4)、619−624
【非特許文献4】Archives of Pharmacal Research 1990、13(4)、338−341
【非特許文献5】Sulfur Letters 1998、7(4)、127−136
【非特許文献6】Synthesis1988、6449−452
【非特許文献7】Sulfur Letters 1987、7(19)、19−24
【非特許文献8】Archiv der Pharmazie 1987、320(12)、1281−1283
【非特許文献9】Natl.Def.Med.Cent. 1983、35(1)、57−64
【非特許文献10】Sch.Pharm.Sci.1977、97(4)、410−415
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的はDHODHの抑制が必要な疾病の治療に使えるもう一つの有効作用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、DHODH、特に人間のDHODHに対して抑制効果を有する新しい部類の化合物を発見した。
【0010】
また、本発明は下記化学式IIの化合物に関するものである。
【化1】

上式で、
AはS、O、N、NR、SO及びSOからなるグループの中から選択された一つ以上の基Xを含有するヘテロ芳香族5員環系で、
DはO、S、SO、NRまたはCHで、
及びZは互いに独立的にO、SまたはNRで、
は独立的に、H、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、−COR"、−SOH、−OH、−CONR*R"、−CR"O、−SO−NR*R"、−NO、−SO−R"、−SO−R*、−CN、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、−NR"−CO−R′、−NR"−CO−R*、−NR"−SO−R′、−O−CO−R*、−O−CO−R*、−O−CO−NR*R"、シクロアルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノ、−SH、ヘテロアリールまたはアルキルを表わし、
*は独立的に、H、アルキル、シクロアルキル、アミノアルキル、アルコキシ、−OH、−SH、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アリールまたはヘテロアリールを表わし、
R′は独立的に、H、−COR"、−CONHR"、−CR"O、−SONR"、−NR"−CO−ハロアルキル、−NO、−NR"−SO−ハロアルキル、−NR"−SO−アルキル、−SO−アルキル、−NR"−CO−アルキル、−CN、アルキル、シクロアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノ、アルコキシ、−OH、−SH、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルアミノ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールを表わし、
R"は独立的に水素、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはアミノアルキルを表わし、
はHまたはOR、NHR、NROR、またはRはRに結合された窒素原子と共に5または6員複素環を形成するが、Rは−[CH]で、Rは存在せず、
はH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、O−アリール、O−シクロアルキル、ハロゲン、アミノアルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルオキシ、ヘテロアリール、アルキルチオ、S−アリール、S−シクロアルキル、アリールアルキルまたはハロアルキルで、
はH、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールで、
はH、OH、アルコキシ、O−アリール、アルキルまたはアリールで、
はH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシアルキル、アシルメチル、(アシルオキシ)アルキル、非対称(アシルオキシ)アルキルジエステルまたはジアルキルホスフェートで、
はH、OH、アルキル、アリール、アルコキシ、O−アリール、シクロアルキルまたはO−シクロアルキルで、
は水素またはアルキルで、
Eはアルキルまたはシクロアルキル基または一つ以上の基Xを含有でき、少なくとも一つの芳香族環を含有する置換または非置換された単環式または多環式環システムで、
Yは水素、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルキル、シクロアルキル、一つ以上の基Xを含有でき、少なくとも一つの芳香族環を含有する置換または非置換された単環式または多環式環系、または
【化2】

で、
mは0または1で、
nは0または1で、
pは0または1で、
qは0または1で、
sは0ないし2で、
tは0ないし3であるが、
下記の化合物は除外する。
環Aが五つの原子を含有し、Z=Z=Oで、RがRに結合された窒素原子と共に5員複素環を形成するが、Rは−[CH]で、Rは存在せず、sは0の化合物、
環Aが三つの炭素原子及び二つの窒素原子を含有し、Z=Z=Oで、RがRに結合された窒素原子と共に5員複素環を形成するが、Rは−[CH]で、Rは存在せず、sは0の化合物、
4−[4−(ナフタリン−2−イル)チアゾール−2−イルアミノカルボニル]−フラン−3−カルボキシル酸、及び
5−[4−(ナフタリン−2−イル)チアゾール−2−イルアミノカルボニル]−2H−[1、2、3]−トリアゾール−4−カルボキシル酸。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
アルキル基は、別に表示しない限り線形または分枝したC−C−アルキル、好ましくは炭素数1ないし5の線形または分枝した鎖、線形または分枝したC−C−アルケニルまたは線形または分枝したC−C−アルキニル基を表わし、これらは一つ以上の置換体R′、好ましくはハロゲンにより任意に置換でき、
−C−アルキル、C−C−アルケニル及びC−C−アルキニル残基は、−CH、−C、−CH=CH、−C≡CH、−C、−CH(CH、−CH−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CH−CH、-C≡C−CH、−CH−C≡CH、−C、−CH−CH(CH、−CH(CH)−C、-C(CH、−C11、−C13、−C(R′)、−C(R′)、−CH−C(R′)、−C(R′)、−C-C(R′)、−C−CH=CH、−CH=CH-C、−CH=C(CH、−CH-CH=CH-CH、−CH=CH-CH=CH、−C−C≡CH、−C≡C−C、−CH−C≡C−CH、−C≡C−CH=CH、-CH=CH−C≡CH、−C≡C−C=CH、−C−CH(CH、−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH(CH、−C(CH−C、−CH−C(CH、−C−CH=CH、−CH=CH−C、−C−CH=CH−CH、−CH−CH=CH−C、−CH−CH=CH−CH=CH,−CH=CH―CH=CH−CH,−CH=CH―CH−CH=CH,−C(CH)=CH−CH=CH,−CH=C(CH)−CH=CH,−CH=CH―C(CH)=CH,−CH−CH=C(CH,−C(CH)=C(CH,−C―C≡CH,−C≡C−C,−C−C≡C−CH,−CH−C≡C−C,−CH−C≡C−CH=CH,−CH−CH=CH−C≡CH,−CH−C≡C−C≡CH,−C≡C−CH=CH−CH,−CH=CH−C≡C−CH、−C≡C−C≡C−CH、−C≡C−CH−CH=CH,−CH=CH−CH−C≡CH、−C≡C−CH−C≡CH、−C(CH)=CH−CH=CH,−CH=C(CH)−CH=CH,−CH=CH−C(CH)=CH,−C(CH)=CH−C≡CH、−CH=C(CH)−C≡CH、−C≡C−C(CH)=CH、−C−CH(CH)、-C−CH(CH)−C,−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH−CH(CH,−CH(CH)−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−CH(CH、−CH−C(CH−C、−C(CH−C、−C(CH)−CH(CH、−C−C(CH、−CH(CH)−C(CH,−C−CH=CH、−CH=CH−C、-C−CH=CH−CH、-CH−CH=CH−C、−C−CH=CH−C、−CH−C(CH)=C(CH、-C−CH=C(CH,−C−C≡CH、−C≡C−C、−C−C≡C−CH、−CH−C≡C−C、−C−C≡C−C、を含むグループの中から選択することができ、
R′は独立的に、H、−COR"、−CONHR"、−CR"O、−SONR"、−NR"−CO−ハロアルキル、−NO、−NR"−SO−ハロアルキル、−NR"−SO−アルキル、−SO−アルキル、−NR"−CO−アルキル、−CN、アルキル、シクロアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノ、アルコキシ、−OH、−SH、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルアミノ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールを表わし、
R"は独立的に水素、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはアミノアルキルを表わし、
シクロアルキル基は炭素数3ないし8、好ましくは炭素数4ないし8を有する非芳香族環系を表わし、ここで環中の炭素原子の中で一つ以上は基Xにより置換でき、この時Xは上で定義した通りであり、C−C−シクロアルキル残基は−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C11、−シクロ−C13、−シクロ−C15を含むグループの中から選択することができ、
アルコキシ基はO−アルキル基を表わし、この時アルキル基は上で定義した通りであり、アルコキシ基は、好ましくはメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシまたはペントキシ基で、
アルキルチオ基はS−アルキル基を表わし、この時アルキル基は上で定義した通りである。
【0012】
ハロアルキル基は一つないし五つのハロゲン原子により置換されたアルキル基を表わし、この時アルキル基は上で定義した通りであり、ハロアルキル基は、好ましくは−C(R10、−CR10(R10′、−CR10(R10′)R10"、−C(R10、−CH−C(R10、−CH−CR10(R10′、−CH−CR10(R10′)R10"、−C(R10または−C−C(R10で、この時R10、R10′、R10"はF、Cl、BrまたはI、好ましくはFを表わし、
ヒドロキシアルキル基はHO−アルキル基を表わし、アルキル基は上で定義した通りであり、
ハロアルキルオキシ基は一つないし五つのハロゲン原子により置換されたアルコキシ基を表わし、この時アルキル基は上で定義した通りであり、ハロアルキルオキシ基は、好ましくは−OC(R10、−OCR10(R10′、−OCR10(R10′)R10"、−OC(R10、−OCH−C(R10、−OCH−CR10(R10′、−OCH−CR10(R10′)R10"、−OC(R10または−OC−C(R10で、この時R10、R10′、R10"はF、Cl、BrまたはI、好ましくはFを表わし、
ヒドロキシアルキルアミノ基は(HO−アルキル)−N−基またはHO−アルキル−NH−基を表わし、アルキル基は上で定義した通りであり、
アルキルアミノ基はHN−アルキルまたはN−ジアルキル基を表わし、アルキル基は上で定義した通りであり、
ハロゲン基は塩素、ブロム、ふっ素またはヨードであり、ここではふっ素が望ましく、
アリール基は、好ましくは炭素数5ないし15を有する芳香族基を表わし、これらは一つ以上の置換体R′により任意に置換でき、この時R′は上で定義した通りであり、アリール基は、好ましくはフェニル基、−CHPh、−CPh、−CH=CH−Ph、−C≡C−Ph、−o−C−R′、−m−C−R′、−p−C−R′、−o−CH−C−R′、−m−CH−C−R′、−p−CH−C−R′であり、
ヘテロアリール基はO、N、Sのような少なくとも一つのヘテロ原子を含有する5−または6員複素環基を表す。複素環基を他の環に縮合させることができる。例えば、この基をチアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、イソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、イソチアゾール−5−イル、1、2、4−オキサジアゾール−3−イル、1、2、4−オキサジアゾール−5−イル、1、2、4−チアジアゾリル−3−イル、1、2、4−チアジアゾリル−5−イル、1、2、5−オキサジアゾール−3−イル、1、2、5−オキサジアゾール−4−イル、1、2、5−チアジアゾリル−3−イル、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、1、2、5−チアジアゾリル−4−イル、4−イミダゾリル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−フラニル、3−フラニル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピラジニル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、1H−テトラゾル−2−イル、1H−テトラゾル−3−イル、テトラゾリル、インドリル、インドリニル、ベンゾ−[b]−フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンツイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キナゾリニル、キノキサゾリニルまたは、好ましくはキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル基の中から選択できる。この複素環基は一つ以上の置換体R′により任意に置換でき、この時R′は上で定義した通りである。
【0013】
Eの意味は、一つ以上の置換体R′により任意に置換されたアルキル基(この時アルキルは上で定義した通りである)または一つ以上の置換体R′により任意に置換されたシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルまたは炭素環式芳香族基、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントラセニル、特に1−アントラセニル及び2−アントラセニル、及び複素環芳香族基、例えば、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、2−チエニル、3−チエニル、2−フラニル、3−フラニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、2−ピラニル、3−ピラニル、4−ピラニル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル及び5−オキサゾリルを含む。更に、Eは縮合された多環式芳香族環系、例えば、9H−チオキサンテン−10、10−ダイオキサイドを含む。この時炭素環式芳香族環またはヘテロアリール環が一つ以上の他のヘテロアリール環に縮合される。
【0014】
また、本発明は遊離形態または薬学的に許容可能な塩及び生理学的官能性誘導体形態であり、薬学的に許容可能な希釈剤または担体と共に、放棄により除外された化合物を含有する化学式IIの化合物を含む薬学組成物を提供する。
【0015】
本発明に使われた「生理学的官能性誘導体」という用語は、それ自体が薬学的に活性ではないが、生体内で、すなわち、前述の化合物が投与される対象者において薬学的に活性の形態に転換される化合物を指す。生理学的官能性誘導体の例としては、前駆薬剤、例えば、本願の以下に開示するものなどがある。
【0016】
もう一つの態様において、本発明はまた、ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼ(DHODH)の抑制が有益な症状の治療または予防方法を提供し、その方法は有効量の化学式IIの化合物及び、その生理学的に許容可能な塩または生理学的官能性誘導体を投与することを含む。
【0017】
また、本発明はピリミジン生合成の抑制が有益な疾病の予防及び治療用薬剤の製造のための化学式IIの化合物及び、その薬学的に許容可能な塩または生理学的官能性誘導体の用途に関するものである。
【0018】
更に、本発明は化学式IIの化合物のような本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0019】
化学式IIの化合物を多様な方法を通じて得ることができる。本発明の好ましい実施態様においては、以下の方法を化学式IIの誘導体の合成に用いる。
【0020】
方法1:ジカルボン酸ジメチルエステルの合成は、WO02/07655に開示されている。
このジカルボン酸ジメチルエステルは、文献[T.Harrison et al.、Tetrahedron Vol.45、No.16、1989、5247−5262]に開示されたように環系上で置換させることができる。続いて、ジカルボン酸ジメチルエステルを相応する酸無水物に転換させることができる。
【0021】
続いて、無水物を相応するアミンと反応させて目的とする化学式IIのアミドを得ることができる。反応段階はWO02/07655に開示された反応段階に似ている。
【0022】
それぞれの場合、[r=0]化学式IIの化合物をWO02/07655に開示された四つの方法と同様に合成できる。
【0023】
また、本発明は目的とする化学式IIのヒドロキサム酸の製造方法を提供する。
【0024】
化学式IIの化合物の合成に関する一つの方法は、酸を相応する酸塩化物に転換させ、その酸塩化物をヒドロキシルアミンと反応させることを含む(Watanabe et al.、1989、J.Org.Chem.、54、17、4088−4097;Shishido et al.、1992、J.Org.Chem.、57、10、2876−2883)。
【0025】
化学式IIの他の製造方法が文献[Woo et al.、2002、J.Med.Chem.45、2877−2885;Knorr et al.、1989、Tetrahedron Lett.、30、1927−1930、Carpino 、1993、J.Am.Chem.Soc.、115、4397−4398 and Albericio et al.、1998、J.Org.Chem.63、9678−9683]に開示されている。
【0026】
化学式IIの化合物のもう一つの製造方法は、文献[Stowell et al.、1995、J.Med.Chem.、38、8、1411−1413]に開示されたように、相応するエステルとヒドロキシルアミンとの反応である。
【0027】
化学式IIのアミドの合成は、文献[J.Zabicky in「The Chemistry of Amides」、in the serial of S.Patai(ed.)、「The Chemistry of Functional Gruops」、 John Wiley&Sons、1975、p.74−131]に開示されている。チオアミドの製造方法は、文献[Houben−Weyl、 J.Falbe(ed.)、G.Thime Verlg vol.E5、p.1219−59]に開示されている。スルファアミドの製造方法は、文献[Caldwell et al.、J.Am.Chem.Soc.1944、66、1479−82、またはFlynn et al.、Med.Chem.Res.、1998、8、219−43及びDziadulewicz et al.、Bioorg.Med.Chem.Lett.2001、11、5、705−10]に開示されている。
【0028】
また、本発明はAが複素環系である化学式IIの化合物の製造方法を提供する。例えば、チオフェン、フラン及びピロールの3、4−ジカルボン酸を、DE3933573及び文献[D.P.Arnold、Aust.J.Chem.44、1991、323−330]と同様に、相応する無水物に転換させてアミンと反応させた。
【0029】
チオフェン、フラン及びピロールの3−カルボキサミド−2−カルボキシル酸または2−カルボキサミド−3−カルボキシル酸を、DE3933573によって酸基のアミド化及びそれぞれ2−または3−番位置での後続指示されたオルト−メタル化に続いて、親電子体として二酸化炭素を加え、それぞれ3−カルボキシル酸または2−カルボキシル酸から合成した。
【0030】
相異なるように4、5−置換された2、3−ピロールジカルボン酸及びエステルを文献の過程によって製造した:
a)1−ヒドロキシ−4、5−ジメチル:アセチレンジカルボン酸及びブータン−2、3−ジオンモノオキシムから[I.Yavari et al.、Synth.Commun.26、1996、4495−4499]。
b)3−ヒドロキシ−4−アルキルまたは−アリール:アセチレンジカルボン酸及びアミノ酸エステルから[P.Kolar et al.、Synth.Commun.24、1994、1887−1893]。
c)混合した4、5−アルキル/アリール:アセチレンジカルボン酸ジアルキル及びアリール−またはベンジルヒドラゾンから[J.Barluenga et al.、Synthesis、1975、642−643]。
d)4−メチル:N−アセトニルフタルイミド及びジエチルオキサルアセテートから[R.E.Lancaster et al.、J.Org.Chem.23、1958、1208−1209]。
【0031】
ピロールジエステルを追加のアミド化反応のために、相応する酸及び無水物に転換させるか、または相応するモノヒドラジノカルボニルに直接転換させることができる(M.T.Garcia−Lopez et al.、J.Chem.Soc.Perkin Trans.、1978、483−487)。ジエチル2−アルキル−、−アリール−または−アミノチアゾール−4、5−カルボキシレートを、文献[W.K.Anderson et al.、J.Med.Chem.27、1984、1559−1565;E.H.Huntress et al.、J.Am.Chem.Soc.65、1943、2167−2169;L.H.Conover et al.、J.Am.Chem.Soc.72、1950、5221−5225;M.Robba et al.、Bull.Soc.Chim.Fr.1969、1762−1768]と同様に、ジエチルα−ハロ−β−オキソコハク酸及びそれぞれのチオアミドまたはチオ尿素から合成した。
【0032】
全てのジエステルを前述したようにモノアミドに転換させた。アミド化反応から生成される位置異性体の混合物を分離させなければならなかった。
【0033】
芳香族構造内に黄原子を含有する芳香族系を、トリフルオロボーレートエーテル化物を添加するか、または添加せず、前述した複素環をm−クロロベンゾ酸で酸化させることによって、相応するS−モノオキサイドまたは−ジオキサイドに転換させることができる(N.Furukawa et al.、Heterocycles 44、1997、61−66)。
【0034】
更に、本発明はRがRに結合された窒素原子と共に6員複素環系を形成する化学式IIの化合物の製造方法を提供する。
【0035】
例えば、ジエチル3−アセチル−2−メチルフラン−4、5−ジカルボキシルレートは、文献[Tetrahedron 26、1970、4353−4360]によってアセチル化されたスルホニウムメチルライド及びジエチルアセチレンジカルボキシルレートで製造した。ジエステルを相応する無水物に転換させ、続いてこれを前述したようにアミンと反応させてモノアミド化生成物に対する位置異性体等の混合物を得た。塩化メチレン中のジシクロヘキシルカルボジイミド、4−ジメチルアミノピリジン及びエタノールを使用してカルボキシル酸をエステル化させる時、二つの位置異性体が分離し、エチル3−アセチル−2−メチル−4−カルボキサミド−フラン−5−カルボキシレートのアセチル作用基でのα−ブロム化を、文献[S.Laufer et al.、Arch.Pharm.330、1997、307−312;S.K.C.Devi et al.、Synth.Commun.32、2002、1523−1528]過程と同様に塩化メチレン中のブロムまたは酢酸エチル中の銅二臭化物を使用して得た。
【0036】
最終環閉鎖はテトラヒドロフラン中の水素化ナトリウムを使用して得た後、エステルを1−メチル−2−ピロリジノン中のフェニルチオフッ化カリウムを使用して中性条件下で石鹸化させた(M.K.Nayak et al.、Chem.Lett.、1998、297−298)。
【0037】
化学式IIの化合物で、芳香族環系Aは五つの炭素原子を含有する。好ましい実施態様において、本発明の化合物は二つの共役二重結合を含有する。環系A中の炭素原子のうち、一つ以上を基Xで置換させることができ、この時XはS、O、N、NR、SO、CO及びSOからなるグループの中から選択される。
一つの好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、芳香族環系Aは以下のようになるグループの中から選択される。
【化3】

【0038】
化学式IIの化合物で、Rは、好ましくはH、OH、COHまたはSOHまたはテトラゾルである。
【0039】
化学式IIの化合物で、Rは、好ましくはOH、NH、NHOH、NHR、NRORまたはORである。
【0040】
好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、Rはベンゾイルオキシメチル、イソブチリルオキシメチル、4−アミノ−ブチリルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、1−(ブチリルオキシ)エチル、1−(ブチリルオキシ)−2、2−ジメチルプロピル、1−ジエチルホスホノーオキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)−アセチルオキシメチル、p−アミノベンゾイルメチル、ニコチニロキシメチル、ピバリルオキシメチル、グルタリルオキシメチル、[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−アセチルオキシメチル、2−(モルホリン−4−イル)−エチル、1−ジエチル−ホスホノーオキシメチルである。
【0041】
化学式IIの化合物で、RはH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、O−アリール、O−シクロアルキル、ハロゲン、アミノアルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシルアミノ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルオキシ、ヘテロアリール、アルキルチオ、S−アリール、S−シクロアルキル、アリールアルキル、好ましくはHである。
【0042】
化学式IIの化合物で、RはH、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール、好ましくはHである。
【0043】
化学式IIでRは、Hまたはアルキル、好ましくはHまたはメチルである。
【0044】
化学式IIでZ及びZは、それぞれ独立的にO、SまたはNRで、好ましくは、両方がOである。
【0045】
化学式IIでYは、水素、ハロゲン、アルキル、置換または非置換されたシクロアルキル、置換または非置換のE、置換または非置換されたO−E、置換または非置換されたO−アルキルアリール、置換または非置換されたO−アリールアルキルで、置換の場合、アルキル−、シクロアルキル−、またはアリール−基の一つ以上の水素原子のハロゲンによる置換が好ましい。Yはまた下記の化学式でもよい。
【化4】

上式で、A、X、R、R、R、Z、Z及びpは上で定義した意味を有する。好ましくは、YはEであり、より好ましくは、Yは任意に置換されたフェニルである。
【0046】
化学式IIで、Eは一つ以上の置換体R′により任意に置換されたアルキルまたはシクロアルキル基であるか、またはEは、少なくとも一つの芳香族環を含有し、またS、O、N、NR、SO及びSOの中から選択された一つ以上の基Xを含有することができる置換または非置換された単環式または多環式環系である。好ましい実施態様において、Eは単環式芳香族環または芳香族二環式または三環式環系、またはシクロアルキルである。環系中の炭素原子の置換の場合、好ましくは一つ、二つまたは三つの炭素原子が上で定義したように基Xで置換される。
【0047】
化学式IIで、Eは、好ましくは一つ以上の置換体R′により任意に置換されたフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル及び2−アントラシルである。
【0048】
本発明の好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、Eは一つ以上の置換体R′により任意に置換されたフェニル、または一つ以上の置換体R′により任意に置換されたシクロアルキルである。
【0049】
化学式IIで、好ましい置換体R′は、ニトロ、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ヘテロアリール、アルキルまたはアリールであり、より好ましくは、R′はBr、F、Cl、CF、OCF、エトキシまたはメトキシである。
【0050】
化学式IIで好ましいヘテロアリール基は、イミダゾリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、1H−テトラゾル−2−イル、1H−テトラゾル−3−イルまたはオキサゾリルである。
【0051】
化学式IIで、tは、好ましくは0、1または2である。
【0052】
化学式IIでsは、好ましくは0または1である。
【0053】
化学式IIの化合物で、DはO、S、SO、NRまたはCHである。Dは、好ましくはS、またはより好ましくはO(m=1の場合)である。
【0054】
他の好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、m及びqは0であり、Yは、水素、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルキル、シクロアルキルまたはE、好ましくはF、CF、OCF、一つ以上の置換体R′により任意に置換されたフェニル、またはより好ましくは一つ以上のF、Cl、メトキシ、CFまたはOCFにより任意に置換されたフェニルである。
【0055】
化学式IIでqは、0ないし10であり、好ましくは、qは0、1または2である。qが1であり、nが0または1の場合、Dは、好ましくはO(したがってm=1)である。
【0056】
本発明の特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、qは0で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Aはチオフェン−2、3−ジカルボン酸モノアミドで、YはHまたはFであるか、またはEはCl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルである。
【0057】
本発明の特に好ましいもう一つの実施態様において、化学式IIの化合物で、qは0で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Aはチオフェン−2、3−ジカルボン酸モノアミドで、E及びYはそれぞれ置換または非置換されたフェニレン及びフェニルである。
【0058】
また、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはO(したがってm=1)で、RはH(したがってn=1)で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCFまたはOCF
非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aはチオフェン−2、3−ジカルボン酸モノアミドである。
【0059】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはO(したがってm=1)で、nは0で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aはチオフェン−2、3−ジカルボン酸モノアミドである。
【0060】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはS(したがってm=1)で、nは0で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで(したがってr=1)、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aはチオフェン−2、3−ジカルボン酸モノアミドである。
【0061】
本発明の特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、qは0で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Aはフラン−3、4−ジカルボン酸モノアミドで、YはHまたはFであるか、またはEはCl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルである。
【0062】
本発明の特に好ましいもう一つの実施態様において、化学式IIの化合物で、qは0で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Aはフラン−3、4−ジカルボン酸モノアミドで、E及びYはそれぞれ置換または非置換されたフェニレン及びフェニルである。
【0063】
また、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはO(したがってm=1)で、RはH(したがってn=1)で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aはフラン−3、4−ジカルボン酸モノアミドである。
【0064】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはO(したがってm=1)で、nは0で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aはフラン−3、4−ジカルボン酸モノアミドである。
【0065】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはS(したがってm=1)で、nは0で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで(したがってr=1)、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aはフラン−3、4−ジカルボン酸モノアミドである。
【0066】
本発明の特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、qは0で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Aは一つの炭素原子がOにより置換された5員芳香族環系であるか、またはYはHまたはFで、EはCl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルである。
【0067】
本発明の特に好ましいもう一つの実施態様において、化学式IIの化合物で、qは0で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Aは一つの炭素原子がOにより置換された5員芳香族環系であるか、またはE及びYはそれぞれ置換または非置換されたフェニレン及びフェニルである。
【0068】
また、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはO(したがってm=1)で、RはH(したがってn=1)で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aは一つの炭素原子がOにより置換された5員芳香族環系である。
【0069】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはO(したがってm=1)で、nは0で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Eは非置換、またはCl、F及び/またはCFまたはOCFで置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aは一つの炭素原子がOにより置換された5員芳香族環系である。
【0070】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはS(したがってm=1)で、nは0で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aは一つの炭素原子がOにより置換された5員芳香族環系である。
【0071】
本発明の特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、qは0で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Aは一つの炭素原子がSにより置換された5員芳香族環系であるか、またはYはHまたはFで、EはCl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルである。
【0072】
本発明の特に好ましいもう一つの実施態様において、化学式IIの化合物でqは0で、tは1で、ZはOで、ZはOで、Aは一つの炭素原子がSにより置換された5員芳香族環系であるか、またはE及びYはそれぞれ置換または非置換されたフェニレン及びフェニルである。
【0073】
また、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはO(したがってm=1)で、RはH(したがってn=1)で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aは一つの炭素原子がSにより置換された5員芳香族環系である。
【0074】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはO(したがってm=1)で、nは0で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aは一つの炭素原子がSにより置換された5員芳香族環系である。
【0075】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、DはS(したがってm=1)で、nは0で、qは1で、tは1で、ZはOで、ZはOで、EはCl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aは一つの炭素原子がSにより置換された5員芳香族環系である。
【0076】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、ZはOで(したがってr=1)、ZはOで、qは0で、tは1で、RはOHで、RはHで、EはCl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、Aは一つの炭素原子がSにより置換された5員芳香族環系である。
【0077】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、ZはOで、ZはOで、qは0または1で、tは2で、EはCl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、Yはまた、Cl、F及び/またはCFまたはOCFで非置換または置換されたフェニルで、RはRに結合された窒素原子と共に6員複素環を形成するが、Rは−[CH]sで、Rは存在せず、Aはフランである。
【0078】
更に、特に好ましい実施態様において、化学式IIの化合物で、ZはOで、ZはOで、qは0または1で、tは2で、EはCl、F及び/またはCF、OCH、OCHCHまたはOCFで非置換または置換されたフェニレンで、YはHまたはFで、RはRに結合された窒素原子と共に6員複素環を形成するが、Rは−[CH]で、Rは存在せず、Aはフランである。
【0079】
本発明で使う化学式IIの化合物は、無機または有機酸、または塩基の塩を形成できる。そのような塩の例としては、アルカリ金属塩、特にナトリウム及びカリウム塩、またはアンモニウム塩がある。
【0080】
本発明の化合物を、ピリミジン代謝の抑制が有益な人間及び動物の多様な疾病、好ましくは人間の疾病に使用することができる。そのような疾病には下記のものがある:
−繊維症、葡萄膜炎、鼻炎、喘息または関節病症、特に関節症
−全ての形態のリウマチ
−急性免疫学的事件及び疾患、例えば敗血症、敗血性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性菌敗血症、毒性ショック症候群、急性呼吸困難症候群、発作、再潅流傷害、CNS損傷、深刻な形態のアレルギー、移植片対宿主及び対宿主性移植片反応、アルツハイマー病または発熱、再狭窄症、慢性肺炎症性疾病、珪肺症、肺サルコイドー症、骨再吸収疾病。これらの免疫学的事件は、また、免疫システムの好ましい調節及び抑制を含む、
−全ての類型の自家免疫疾病、特にリマウチ関節炎、リマウチ脊椎炎、骨関節炎、通風性関節炎、多発性硬化症、インシュリン依存性糖尿病及び非インシュリン依存性糖尿病、及び紅班性狼瘡、潰瘍性大膓炎、慢性炎症、炎症性腸疾患だけでなく、他の慢性炎症、慢性下痢、
−乾癬のような皮膚疾患
−進行性網膜萎縮
−日和見感染を含む全ての種類の感染。
【0081】
本発明に係る化合物及びこれを使用して製造した薬剤は、細胞増殖疾患の治療、免疫学的疾病及び症状(例えば、炎症疾患、神経免疫学的疾患、自家免疫疾患等)の治療、または予防に一般的に有用である。
【0082】
本発明の化合物は、また、免疫調節及び消炎薬剤の開発、またより一般的には、ピリミジン生合成の抑制が有益な疾病の治療に有用である。
【0083】
本発明の化合物は、更に、悪性細胞増殖により引き起こされる疾病、例えば、全ての形態の血液癌及び固形癌の治療に有用である。従って、本発明に係る化合物及びこれを使用して製造した薬剤は、細胞活性化、細胞増殖、細胞生存、細胞分化、細胞周期、細胞成熟及び細胞死の調節、または代謝の体系的変化、例えば、糖、脂質、または蛋白質代謝変化を誘導するのに一般的に有用である。これらは、例えば、毒性剤、照射、免疫療法、成長欠陥、栄養失調、吸収不良、免疫調節障害、貧血等により引き起こされる細胞の減少、または破壊後血球成長及び発生(前造血効果)を含む細胞発生形成を支援するか、または組織発生及び退化の治療学的調節、及び細胞及び組織維持及び血球恒常性の治療学的変更を提供するために使用することもできる。
【0084】
これらの疾病及び症状には、非制限的に血液癌(例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫)または固形腫瘍(例えば、乳癌、前立腺癌、肝癌、膀胱癌、肺癌、食道癌、胃癌、結腸直膓癌、非尿生殖器癌、胃腸癌、皮膚癌、膵贓癌、脳癌、子宮癌、結腸癌、頭頸部癌、及び卵巣癌、黒色腫、星状細胞腫、小細胞肺癌、神経膠腫、基底及び扁平細胞癌腫、カポジ肉腫及び骨肉腫などの肉腫)、再生不良性貧血及びディジョージ症候群、グレーブス病等、T−細胞関連疾患がある。
【0085】
レフルノミドは、細胞培養液の中でHCMV複製を抑制することが既に明らかになっている。眼部帯状疱疹は、先進国で感染性失明の最も一般的な原因である。米国だけで年間略50、000件が発生する。このうち、90%は、初期感染の再発である。再発は抗ウイルス剤及びコルチコステロイドで治療する。もう一つのヘルペスウイルスである巨大細胞ウイルスは、エイズ患者においては、網膜損傷及び失明の一般的な原因になる。本発明の化合物を単独で、または他の抗ウイルス化合物、例えば、ガンシクロビル及びフォスカネットと共に使用することによって、そのような疾病を治療することができる。
【0086】
また、本発明の化合物は人間及び動物において、原生動物感染により引き起こされる疾病に使用することができる。そのような獣医及び人間病原性原生動物は、好ましくは、アピコンプレクサ門または肉質鞭毛虫門の細胞内活動寄生虫、特にトリパノソーマ、プラースモーディア、リーシュマニア、バベシア及びタイレリア、クリプトスポリジア(Cryptosporidia)、サクロシスチダ(Sacrocystida)、アメーバ症、コクシジウム類及びトリチョモナジア(Trichomonadia)である。これらの有効物質または相応する薬物は、熱帯熱マラリア原虫により引き起こされる熱帯型マラリア、三日熱マラリア原虫または卵形マラリア原虫により引き起こされる三日熱マラリアの治療、及び四日熱マラリア原虫により引き起こされる四日熱マラリアの治療に特に適している。これらの物質は、更にトキソプラズマゴンジ(Toxoplasma gondii)により引き起こされるトキソプラズマ症、例えば、イソスポラベリー(Isospora belli)により引き起こされるコクシジウム症、ブタ肉胞子虫により引き起こされるインテスチナルサーコスポリジオシス(Intestinal Sarcosporidiosis)、赤痢アメーバにより引き起こされる赤痢、クリプトスポリジウムパルヴムにより引き起こされるクリプトスポリジウム症、クルーズトリパノソーマにより引き起こされるシャーガス病、トリパノソーマブルーセイローデシエンス(Trypanosoma brucei rhodesiens)またはガンビエンス(gambiense)により引き起こされる睡眠病、皮膚と内臓のみならず、他の形態のリーシュマニオシス(Leishmaniosis)の治療に適している。これらの物質は、更に牛の東海岸熱を引き起こす病源体であるタイレリアパルブア(Theileria parva)、アフリカで家畜のナガナ病を引き起こす病源体であるトリパノソーマコンゴレンゼコンゴレンゼ(Trypanosoma congolense congolense)またはトリパノソーマビバクスビバクス(Trypanosoma vivax vivax)、トリパノソーマブルーセイブルーセイ(Trypanosoma brucei brucei)、スーラ病を引き起こすトリパノソーマブルーセイエバンシ(Trypanosoma brucei evansi)、牛及びバッファローのテキサス熱を引き起こす病源体であるバベシアビゲミナ、ヨーロッパ牛のバベシア症のみならず、犬や猫、及び羊のバベシア症を引き起こす病源体であるバベシアボビス、羊や牛、及び豚のサーコシスチオシス(Sarcocystiotis)を引き起こす病源体であるサーコシスチスオビカニス(Sarcocystis ovicanis)とサーコシスチスオビフェリス(Sarcocystis ovifelis)、牛及び鳥類のクリプトスポリジウム症を引き起こすクリプトスポリジア(Cryptosporidia)、うさぎ、牛、羊、ヤギ、豚及び鳥類、特に、ニワトリと七面鳥のコクシジウム症を引き起こす病源体であるアイメリア属及びイソスポラ属種のような、獣医病原性原生動物により感染された動物の治療に適している。本発明の化合物の用途は、コクシジウム症あるいはマラリア感染の治療、または疾病治療用の薬物、または飼料の製造に特に好ましい。そのような治療は予防的または治癒的に使用できる。マラリアの治療の際、本発明の化合物を他の抗マラリア剤と併用できる。
【0087】
本発明の化合物は、更に、ウイルス感染、また例えばニューモシスティスカリニにより引き起こされた他の感染に使用することができる。
【0088】
化学式IIの化合物及びその薬理学的に許容可能な塩を、動物、好ましくは哺乳動物、及び特に人間、犬及びニワトリに治療剤自体として、相互混合物として、または腸内や非経口使用を許容し、薬理学的に無毒性の通常の賦形剤と添加剤以外の有効成分として、化学式IIの一つ以上の化合物の有効容量、またはその塩を含む医薬品の形態で投与できる。化学式IIの化合物をまた、それぞれの化合物を生理学的に許容可能な酸、及び塩基と反応させることによって得られる化合物の塩の形態で投与できる。
【0089】
治療剤を、例えば丸薬、錠剤、コート錠剤、糖衣錠、硬質軟質ゼラチンカプセル、溶液、シロップ、エマルジョンまたは懸濁液の形態、またはエアロゾル混合物として経口で投与できる。一方、投与は例えば、坐剤の形態で直腸を通じ、または、例えば注射あるいは注入の形態の非経口で、または、例えば軟膏、クリームあるいはチンキ剤の形態で皮膚を通して行うこともできる。
【0090】
薬剤組成物は、化学式IIの有効化合物に加え、通常不活性のキャリア材料または賦形剤を含むことができる。従って、医薬品はまた添加剤、例えば充填剤、増量剤、錠剤分解物質、結合剤、流動促進剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味剤、着色剤、香味料、または芳香剤、緩衝物質、更に、溶媒や可溶化剤、またはデポ効果(depot effect)を得るのための作用剤だけでなく、浸透圧を変化させるための塩、コート錠剤、または酸化防止剤も含むことができる。薬剤組成物は、また、二つ以上の化学式IIの化合物、あるいはその薬理学的に許容可能な塩及び他の治療有効物質を含むことができる。
【0091】
従って、本発明の化合物を、一つの物質形態で単独または他の有効化合物等と共に、例えば、疾病の治療に対して、既に公知されている薬剤と共に使用することができ、併用の場合、有利で付加的な増大効果が注目される。人間に対する適合した投与量は5ないし500mgの範囲である。
【0092】
医薬品を製造するため、薬理学的に不活性の無機、または有機賦形剤を使用することができる。丸剤、錠剤、コート錠剤及び硬質ゼラチンカプセルを製造するため、例えば乳糖、とうもろこし澱粉、あるいはその誘導体、滑石、ステアル酸、またはその塩などを使用することができる。軟質ゼラチンカプセル及び坐剤に対する賦形剤としては、例えば脂肪、ワックス、半固体及び液体ポリオール、天然または硬化油などがある。溶液及びシロップを製造するのに適した賦形剤は、例えば、水、スクロース、転化糖、グルコース、ポリオールなどである。注射液の製造に適した賦形剤は、例えば、水、アルコール、グリセロール、ポリオールまたは植物性油脂である。
【0093】
容量は広範に変化させることができ、各個人の対しては、個人の状況に適したものでなければならない。前述の用途に対して適した投与量は、投与方式、治療する特定の症状及び目的とする効果により変わる。しかし、一般的には動物の体重1kg当たり約1ないし100mg、好ましくは1ないし50mgの容量で満足できる結果が得られる。大型哺乳類、例えば人間に適した容量は、便宜上一日一回投与、2ないし4回分割投与、または持続放出式の方法で、約10mgないし3g/日程度である。
【0094】
一般に、本発明に係る好ましい投与形態である経口投与の場合、一日の容量は、人間の場合、一人当たり10mgないし5000mg、好ましくは50ないし500mgが適している。他の投与形態の場合もまた、一日の容量はほぼ同じ範囲である。
【0095】
化学式IIの化合物を、また、生体内で有効化合物を放出するプロドラッグ(プロドラッグ)の形で、もしくは適切に変形した形態で使用することができる。RまたはRの好ましい実施態様のようなプロドラッグは、例えば遊離酸基をエステル基で遮断して得ることができ、順に生体内で遊離酸基に転換される[F.W.Sum et al.Bioorg.& Med.Chem.Lett.9(1999),1921−1926;Ada Rephaeli et al.Drug Development Research 50(2000)379−391;H.Ishikawa,Current Med.Chem.6(1999),575−597]。RまたはRの好ましい実施態様に対する追加のプロドラッグは、文献[J.Herr,Bioorg.& Med.Chem.Lett.10(2002),3379−3393]の開示の通り、カルボキシル酸基に対するもう一つの代謝−耐性等比体積の置換の場合のテトラゾールである。Rの好ましい実施態様に対する他のプロドラッグは、例えばアミジンをヒドロキシ基で遮断して得ることができ、順に生体内で遊離アミジンに転換される[R.M.Scarborough,J.Med.Chem.43,19,(2000),3454−3473]。
【0096】
方法A:5員ヘテロ芳香族2、3−ジカルボン酸モノアミド誘導体の合成のための一般的な方法
ビフェニル誘導体を不活性雰囲気下で無水ジクロロメタン中に溶解させた。トリエチレルアミン(1.2当量)を一度に添加した。ジクロロメタンに溶解された新しく製造したチオフェン−3−カルボニルクロライド(1.2当量)またはフラン−3−カルボニルクロライド(1.2当量)またはそれぞれのヘテロ芳香族2′−カルボニルクロライドを添加した。添加後に混合物を45℃で4時間加熱した。溶媒を真空で除去した。アミドをテトラヒドロフランに溶解させて−78℃まで冷却した。ブチルリチウム(2当量)を15分間添加して、混合物を−78℃で30分間撹拌した。固体二酸化炭素を一度に添加し、混合物を4時間以内に室温まで加温した。反応物を2nHClで急冷して酢酸エチルで3回抽出し、結合した有機層を重炭酸ナトリウム及び塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させてろ過した。溶媒を真空で除去した。物質をHPLC(水/アセトニトリル勾配使用)により精製して純粋な生成物を得た。
【0097】
方法C:5員ヘテロ芳香族3、4−カルボキシル酸モノアミド誘導体に対する一般的な方法
チオフェン−3、4−ジカルボン酸またはフラン−3、4−ジカルボン酸を酢酸無水物に懸濁させて、100℃で3時間加熱した。反応溶液を室温まで冷却した。溶媒を真空で除去した。結果物を6時間乾燥させて無水物を定量的な収率で得た。生成された無水物をジクロロメタンに溶解させた(0.36mol/ml)。溶液にビフェニルアミン(1当量)誘導体を添加し、反応混合物を45℃で12時間加熱した。溶媒を真空で除去した。生成物をHPLCで精製した。収率は30ないし70%であった。
【実施例1】
【0098】
方法Aにより合成した3−(ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.25(m、9H、CH)、3.17(m、6H、CH)、7.12−7.83(m、9H、CHAr)、7.26(m、1H、CH)、7.62(m、1H、CH)、14.88(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=324[M+H]
【実施例2】
【0099】
方法Aにより合成した3−(2′−エトキシ−3、5−ジフルオル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.22(m、12H、CH)、3.12(m、6H、CH)、3.99(m、2H、CH)、6.87−7.30(m、6H、CHAr)、7.27(m、1H、CH)、7.58(m、1H、CH)、14.47(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=404[M+H]
【実施例3】
【0100】
方法Aにより合成した3−(3′−エトキシ−3、5−ジフルオル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.21(m、9H、CH)、1.27(m、3H、CH)、3.11(m、6H、CH)、4.03(m、2H、CH)、6.81−7.25(m、6H、CHAr)、7.26(m、1H、CH)、7.57(m、1H、CH)、14.44(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=404[M+H]
【実施例4】
【0101】
方法Aにより合成した3−(3、5−ジフルオル−2′、4′−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.21(m、9H、CH)、3.09(m、6H、CH)、3.73(s、3H、CH)、3.74(s、3H、CH)、6.48−7.24(m、5H、CHAr)、7.26(m、1H、CH)、7.57(m、1H、CH)、14.44(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=420[M+H]
【実施例5】
【0102】
方法Aにより合成した3−(2、3、5、6−テトラフルオロ−2′−メトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.23(m、9H、CH)、3.14(m、6H、CH)、3.72(s、3H、CH)、6.94−7.42(m、H、CHAr)、7.31(m、1H、CH)、7.59(m、1H、CH)、14.67(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=426[M+H]
【実施例6】
【0103】
方法Aにより合成した3−(2′−クロロ−3、5−ジフルオル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.21(m、9H、CH)、3.08(m、6H、CH)、6.99−7.54(m、6H、CHAr)、7.28(m、1H、CH)、7.59(m、1H、CH)、14.67(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=394[M+H]
【実施例7】
【0104】
方法Aにより合成した3−(3、5、2′−トリフルオロ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.22(m、9H、CH)、3.11(m、6H、CH)、7.01−7.54(m、6H、CHAr)、7.27(m、1H、CH)、7.58(m、1H、CH)、14.74(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=378[M+H]
【実施例8】
【0105】
方法Aにより合成した3−(2−クロロ−2′−メトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.26(m、9H、CH)、3.17(m、6H、CH)、6.82−8.01(m、7H、CHAr)、7.26(m、1H、CH)、7.61(m、1H、CH)、15.1(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=388[M+H]
【実施例9】
【0106】
方法Aにより合成した3−(2、3、5、6−テトラフルオロ−3′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、LC/(+)−ESI−MS:m/z=480[M+H]
【実施例10】
【0107】
方法Aにより合成した3−(3−フルオロ−3′−メトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=3.75(s、3H、CH)、6.79−7.47(m、6H、CHAr)、7.77(m、2H、CH)、8.20(m、1H、CHAr)、11.10(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=372[M+H]
【実施例11】
【0108】
方法Aにより合成した3−(3、5−ジフルオル−3′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.22(m、9H、CH)、3.13(m、6H、CH)、7.22−7.68(m、6H、CHAr)、7.27(m、1H、CH)、7.57(m、1H、CH)、14.67(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=444[M+H]
【実施例12】
【0109】
方法Aにより合成した3−(ビフェニル−4−イルカルバモイル)−フラン−2−カルボキシル酸、LC/(+)−ESI−MS:m/z=308[M+H]
【実施例13】
【0110】
方法Cにより合成した4−(ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−3−カルボキシル酸、H−NMR:δ=7.24−8.0(m、9H、CHAr)、8.47(m、2H、CH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=324[M+H]
【実施例14】
【0111】
方法Cにより合成した4−(2−クロロ−2′−メトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−3−カルボキシル酸、H−NMR:δ=3.76(s、3H、CH)、6.97−8.14(m、7H、CHAr)、8.40−8.55(m、2H、CH)、11.92(s、1H、NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=388[M+H]
【実施例15】
【0112】
方法Cにより合成した4−(3、5、2′−トリフルオロ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−3−カルボキシル酸、H−NMR:δ=7.23−7.69(m、6H、CHAr)、8.56(m、2H、CH)、11.54(s、1H、1NH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=378[M+H]
【実施例16】
【0113】
方法Cにより合成した4−(3′−エトキシ−3、5−ジフルオル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−3−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.40(m、3H、CH)、4.17(m、2H、CH)、6.94−7.50(m、6H、CHAr)、8.58(m、2H、CH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=404[M+H]
【実施例17】
【0114】
方法Cにより合成した4−(2′−エトキシ−3、5−ジフルオル−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−3−カルボキシル酸、H−NMR:δ=1.37(m、3H、CH)、4.14(m、2H、CH)、7.01−7.47(m、6H、CHAr)、8.58(m、2H、CH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=404[M+H]
【実施例18】
【0115】
方法Cにより合成した4−(3、5−ジフルオル−3′−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−3−カルボキシル酸、H−NMR:δ=7.37−8.4(m、6H、CHAr)、8.58(m、2H、CH).LC/(+)−ESI−MS:m/z=444[M+H]
【実施例19】
【0116】
方法Cにより合成した4−(3−フルオロ−3′−メトキシ−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−3−カルボキシル酸、LC/(+)−ESI−MS:m/z=372[M+H]
【実施例20】
【0117】
方法Cにより合成した4−(ビフェニル−4−イルカルバモイル)−フラン−3−カルボキシル酸、LC/(+)−ESI−MS:m/z=308[M+H]
【実施例21】
【0118】
方法Aにより合成した2−(ビフェニル−4−イルカルバモイル)−チオフェン−3−カルボキシル酸、LC/(+)−ESI−MS:m/z=324[M+H]
【実施例22】
【0119】
方法Aにより合成した2−(ビフェニル−4−イルカルバモイル)−フラン−3−カルボキシル酸、LC/(+)−ESI−MS:m/z=308[M+H]+
【0120】
3.DHODH活性の抑制分析
標準分析混合物は50μMデシクロユビキノン(decyclo ubichinone)、100μMジヒドロオロテート、60μM2、6−ジクロロインドフェノール、及び20mU
DHOOHを含有した。使用した組換え酵素の体積活性は30U/mlであった。測定を50mMトリスHCl(150mM KCl、0.1%トリトンX−100、Ph8.0)の中で、30℃で最終体積1mlで行った。成分を混合し、反応はジヒドロオロテートの添加により出発した。反応過程の追跡は、600nmで2分間吸光度の減少を分光光度測定により測定することによって行った。
【0121】
抑制研究を追加の可変的な量の抑制剤を使用して標準分析で行った。IC50値(50%抑制に必要な抑制剤の濃度)を測定するために、五つ以上の相異なった抑制剤濃度を適用した。
【0122】
研究は人間の組換えDHODHだけでなく、M.Loffler教授(Marburg、ドイツ)[M.Loffler、Chem.Biol.Interact.124、(2000)、61−76]により提供されていたネズミの組換えDHODHを使用して行った。
【0123】
対照としてレフルノミドA77−1726の有効代謝産物を使用した[J.Jockel et al.Biochemical Pharmacology56(1998)、1053−1060]。
【0124】
実施例1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、14、15、16、17、18、19、21、13、12、22、20は人間のDHODH<1mlの抑制を示した。実施例9、21は1ないし5mlの人間のDHODHの抑制を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式IIの化合物及び、その塩及び生理学的官能性誘導体において、
【化1】

上式で、
AはS、O、N、NR、SO及びSOからなるグループの中から選択された一つ以上の基Xを含有するヘテロ芳香族5員環系で、
DはO、S、SO、NRまたはCHで、
及びZは互いに独立的にO、SまたはNRで、
は独立的に、H、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、−COR"、−SOH、−OH、−CONR*R"、−CR"O、−SO−NR*R"、−NO、−SO−R"、−SO−R*、−CN、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、−NR"−CO−R′、−NR"−CO−R*、−NR"−SO−R′、−O−CO−R*、−O−CO−R*、−O−CO−NR*R"、シクロアルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノ、−SH、ヘテロアリールまたはアルキルを表わし、
*は独立的に、H、アルキル、シクロアルキル、アミノアルキル、アルコキシ、−OH、−SH、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アリールまたはヘテロアリールを表わし、
R′は独立的に、H、−COR"、−CONHR"、−CR"O、−SONR"、−NR"−CO−ハロアルキル、−NO、−NR"−SO−ハロアルキル、−NR"−SO−アルキル、−SO−アルキル、−NR"−CO−アルキル、−CN、アルキル、シクロアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノ、アルコキシ、−OH、−SH、アルキルチオ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルアミノ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールを表わし、
R"は独立的に水素、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはアミノアルキルを表わし、
はHまたはOR、NHR、NROR、またはRはRに結合された窒素原子と共に5または6員複素環を形成するが、Rは−[CH]で、Rは存在せず、
はH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、O−アリール、O−シクロアルキル、ハロゲン、アミノアルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルオキシ、ヘテロアリール、アルキルチオ、S−アリール、S−シクロアルキル、アリールアルキルまたはハロアルキルで、
はH、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールで、
はH、OH、アルコキシ、O−アリール、アルキルまたはアリールで、
はH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシアルキル、アシルメチル、(アシルオキシ)アルキル、非対称(アシルオキシ)アルキルジエステルまたはジアルキルホスフェートで、
はH、OH、アルキル、アリール、アルコキシ、O−アリール、シクロアルキルまたはO−シクロアルキルで、
は水素またはアルキルで、
Eはアルキルまたはシクロアルキル基または一つ以上の基Xを含有でき、少なくとも一つの芳香族環を含有する置換または非置換された単環式または多環式環システムで、
Yは水素、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルキル、シクロアルキル、一つ以上の基Xを含有でき、少なくとも一つの芳香族環を含有する置換または非置換された単環式または多環式環系、または
【化2】

で、
mは0または1で、
nは0または1で、
pは0または1で、
qは0または1で、
sは0ないし2で、
tは0ないし3であるが、
下記の化合物は除外する。
環Aが五つの原子を含有し、Z=Z=Oで、RがRに結合された窒素原子と共に5員複素環を形成するが、Rは−[CH]で、Rは存在せず、sは0の化合物、
環Aが三つの炭素原子及び二つの窒素原子を含有し、Z=Z=Oで、RがRに結合された窒素原子と共に5員複素環を形成するが、Rは−[CH]で、Rは存在せず、sは0の化合物、
4−[4−(ナフタリン−2−イル)チアゾール−2−イルアミノカルボニル]−フラン−3−カルボキシル酸、及び
5−[4−(ナフタリン−2−イル)チアゾール−2−イルアミノカルボニル]−2H−[1、2、3]−トリアゾール−4−カルボキシル酸。
【請求項2】
遊離形態または薬学的に許容可能な塩または生理学的官能性誘導体形態の請求項1に記載の化合物、及び薬学的に許容可能な希釈剤または担体を含む薬学組成物。
【請求項3】
薬剤として使用するための請求項1による化合物。
【請求項4】
ジヒドロオロテートデヒドロゲナーゼの抑制が有益な疾病または治療徴候の治療に使用するための薬剤の製造において、請求項1に記載の化合物またはその生理学的官能性誘導体または薬学的に許容可能な塩の用途。
【請求項5】
疾病または徴候が、リウマチ、急性免疫学的疾患、自己免疫疾病、悪性細胞増殖により引き起こされる疾病、炎症性疾病、人間及び動物において、原生動物感染により引き起こされる疾病、ウイルス感染により引き起こされる疾病、及びニューモシスティスカリニ、線維症、葡萄膜炎、鼻炎、喘息及び関節病症からなるグループの中から選択される請求項4に記載の用途。
【請求項6】
DHODHの抑制のための請求項1に記載の化合物の用途。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物の製造方法。

【公開番号】特開2010−215655(P2010−215655A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127770(P2010−127770)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【分割の表示】特願2004−561331(P2004−561331)の分割
【原出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【出願人】(505236399)
【Fターム(参考)】