説明

抗癌剤として新規な4β−アミノポドフィロトキシン同属体とその製造方法

抗癌薬になりうる新規な4β-アミノポドフィロトキシン同属体とその製造方法に関する。本発明は、次式(4)で表わされる構造式を有する新規なクラスの 4β-[4”-(1”,
3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]ポドフィロトキシン類縁体を提供する。


式中、R = H or CH3 R1 = H, ハロゲン, CH3 、R2 = H, ハロゲン, OCH3
本発明はまた、有用な抗癌薬として新規な4β-[4”-(1”, 3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]ポドフィロトキシン類縁体の製造方法を提供することを特徴とする。特に、ポドフィロトキシンの4β-[4”-(1”, 3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]誘導体の製造法を提供するものである。抗癌薬として新規なポドフィロトキシン類縁体のための本製造法は、これら類縁体を合成するための重要なステップとなるC-4β-ヨード中間体の直接的な求核的置換反応によって良好な収率で新規なそして立体選択的なポドフィロトキシンの誘導体を提供するものである。この4β-ヨードポドフィロトキシンを置換あるいは無置換4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリンと立体選択的な手法で反応させてポ
ドフィロトキシンの多様な4β-[4”-(1”, 3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]誘導体を得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗腫瘍抗生物質として新規な4β-アミノポドフィロトキシン同属体の製造方法に関する。特に、本発明は、有用な抗癌剤あるいは抗腫瘍剤としてポドフィロトキシンの新規なクラスの4β-アミノ誘導体の合成に関する。
【背景技術】
【0002】
エトポシドやテニポシドは、抗癌剤として臨床で使用されている半合成ポドフィロトキシン誘導体である(図1)(Chen. Y. Z.; Wang. Y. G.; Tian, X.; Li, J. X. Curr. Sci 1990, 59, 517.; Wang, J. Z.; Tian, X.; Tsumura, H.; Shimura, K.; Ito, H. Anti-cancer Drug Design, 1993, 8, 193)。4’-デメチルエピポドフィロトキシン類縁体はDNAとタイプIIのDNAトポイソメラーゼ間の開裂複合体の安定化を通して抗腫瘍活性を発揮し、
最終的にDNAの連結活性の阻害に繋がり、一本鎖および二本鎖切断に導くと言われている
(Satio, H.; Yoshikawa, H.; Nishimura, Y.; Kondo, S.; Takeuchi, T.; Umezawa, H. Chem Pharm. Bull. 1986, 34, 3733.; Chen, Y. Z.; Wang, Y. G.; Li, J. X.; Tian, X.; Jia. Z. P.; Zhang, Z. Y. Life Sci. 1989, 45, 2569)。
【0003】
細胞蛋白鎖のDNA切断を引き起こすことによる活性の向上と同様に、ヒトDNAトポイソメラーゼIIの阻害活性を向上させるアミノ置換基によるグリコシドの構造修飾に関する多くの研究がなされてきている(Lee, K. H.; Imakura, Y.; Haruna, M.; Beers, S. A.; Thurston, L. S.; Dai, H. J.; Chen, C. H.; Liu, S. Y.; Cheng, Y. C. J. Nat. Prod.1989, 52, 606.; Liu, S. Y.; Hawang, B. D.; Haruna, M.; Imakura, Y.; Lee, K. H.; Cheng, Y. C. Mol. Pharmcol. 1989, 36, 8.; Lee, K, H.; Beers, S. A.; Mori, M.; Wang, Z. Q.; Kuo, Y. H.; Li, L.; Liu, S. Y.; Cheng, Y. C.; J. Med. Chem. 1990, 33,1364.; Kamal, A.; Gayatri, N. L.; Reddy, D. R.; Reddy, P. S. M. M.; Arifuddin, M.; Dastidar, S. G.; Kondapi, M. A.; Rajkumar M. Bioorg. Med. Chem. 2005, 13, 6218; Kamal, A.; Kumar, B. A.; Arifuddin, M.; Dastidar, S. G. Bioorg. Med. Chem. 2003, 11, 5135)。
【0004】
このような背景のもとで、数多くのポドフィロトキシンと4’-O-デメチルエピポドフィロトキシンを基本とした4β-アミノ誘導体を合成しその抗腫瘍活性を調べた。
(図1)

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、有用な抗腫瘍抗生物質として新規な4β-アミノポドフィロトキシン同属体を提供するものである。
更に本発明は、有用な抗癌剤あるいは抗腫瘍剤としてポドフィロトキシンのそれら新規な4β-アミノ誘導体の製造方法を提供するものである。
更に本発明は、ポドフィロトキシンと4’-O-デメチルエピポドフィロトキシンを基本とした新規な立体選択的な化合物を良好な収率で提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、

一般式4(式中、Rは水素原子あるいはメチル基を意味し、R1は水素原子、ハロゲン原子およびメチル基から選ばれ、R2は水素原子、ハロゲン原子およびメトキシ基から選ばれる基を意味する)で表わされる新規なポドフィロトキシンを提供するものである。
【0007】
本発明を実施するための形態として、一般式4で表わされるポドフィロトキシンの代表
化合物が次の通りであることを特徴とする:
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン(4a);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デス
オキシ ポドフィロトキシン(4b);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン(4c);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン(4d);
4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン(4e);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン(4f);
4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン (4g);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン(4h);
4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4i);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン(4j);
4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デ
スオキシポドフィロトキシン(4k);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン(4l);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4m);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアニリ
ノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン(4n);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン(4o)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン(4p).
【0008】
更に他の形態として、式4で表わされるポドフィロトキシンの代表化合物の一般構造は
次の通りである。




【0009】
更に他の形態として、式4で表わされる新規なポドフィロトキシンはヒト細胞株に対し
てインビトロ(in vitro)抗癌活性を示す。
更に他の形態として、用いたヒト癌細胞株は、大腸 (Colo205)、肺(Hop-62)、頸部(SiHa)、前立腺(DU145, PC3)、口腔(DWD, HT1080)、そして胸部 (MCF7, Zr-75-1)からなる群
から選ばれる癌腫に由来する。
【0010】
更に他の実施形態によると、新規なポドフィロトキシンの代表化合物は、細胞増殖を50%阻害(IC50)する薬剤濃度の試験した標準薬と比較して癌細胞株に対して以下の細胞毒性(インビトロ)データを示す。
【0011】

【0012】
本発明は、更に一般式4で表わされる新規なポドフィロトキシンの製造方法を提供する
ものである。

式中、Rは水素原子あるいはメチル基を意味し、R1は水素原子、ハロゲン原子およびメ
チル基から選ばれ、R2は水素原子、ハロゲン原子およびメトキシ基から選ばれる基を意味し、前記製造方法は次のステップからなる:
a) ヨウ化ナトリウムを、乾燥アセトニトリル、乾燥ジクロロメタン(DCM)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)およびそれらの混合物からなる群から選ばれた溶媒中のポドフ
ィロトキシンの溶液に、5-10分間、攪拌下で加える、
b) メタンスルホン酸をステップ(a)で得られた反応混合物に約0℃で攪拌しながら滴下後、0.5-5時間、20-30℃で更に攪拌し、この反応混合物を窒素で泡立たせて過剰のヨウ化水素を除去し、濃縮して粗混合物を得る、
c) 乾燥テトラヒドロフラン(THF)中の、無水炭酸バリウムと一般式3で表わされる化合物

(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子およびメチル基から選ばれ、R2は水素原子、ハロ
ゲン原子およびメトキシ基から選ばれる基を意味する)を、ステップ(b)で得られた粗
混合物に加え、窒素雰囲気下、6-9時間、20-30℃で攪拌し既知の方法で精製して所望の化合物を得る。
【0013】
本発明の実施の形態では、用いた一般式3で表わされる化合物は、4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-クロロアニリン、4-(6-メ
トキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(4-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(4,6-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-ブロ
モアニリンそして 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-メチルアニリンからなる群から
選ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】エトポシド、テニポシド、およびポドフィロトキシンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって、本発明は、次式で表わされる構造式(4)を有する新規なクラスの4β-[4
”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]ポドフィロトキシン類縁体を提供す
る:

式中、Rは水素原子あるいはメチル基を意味し、R1は水素原子、ハロゲン原子およびメ
チル基から選ばれ、R2は水素原子、ハロゲン原子およびメトキシ基から選ばれる基を意味する。
【0016】
本発明はまた、有用な抗癌剤として新規な4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-
イル)アニリノ]ポドフィロトキシン類縁体の製造方法を提供する。特に、ポドフィロトキシンの4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ] 誘導体の製造方法を提供する。
【0017】
抗癌剤として新規なポドフィロトキシン類縁体の合成工程は、これらの類縁体の合成の
ための重要なステップとなるC-4β-ヨード中間体の直接的な求核置換によって、新規で立体選択的なポドフィロトキシン誘導体を良好な収率で提供するものである。この4β-ヨードポドフィロトキシンは、置換あるいは無置換4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリ
ンと立体選択的な手法で反応させてポドフィロトキシンの4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ] 誘導体を与えるものである。
【0018】
これら4-ヨードポドフィロトキシン中間体は、文献で報告されているポドフィロトキシン関連化合物のヨード化によって合成される(Kamal, A.; Laxman, N.; Ramesh. G. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000, 10, 2059.)。
本発明では、天然に見出されるポドフィロトキシンのリグナンはPodophyllum peltatum
linnaeusから単離された。
4β-中間体の合成は、ポドフィロトキシンのヨード化から実施される。
本発明の更なる実施形態として、置換および無置換4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)
アニリン化合物1-2等量が用いられる。
本発明の更なる実施形態として、ジクロロメタン、クロロホルムおよびテトラヒドロフランのような多種の溶媒が求核置換工程で用いられる。
本発明の更なる実施形態として、炭酸カリウムおよびトリエチルアミンのような塩基が用いられる。
本発明の更なる実施形態として、それらの類縁体の精製は、溶出溶媒として酢酸エチル/ヘキサンを用いたカラムクロマトグラフィで行われる。
【0019】
すなわち、本発明は、立体選択的な手法で合成される新規なクラスのポドフィロトキシン類縁体を提供するものである。
【0020】
抗腫瘍活性および/またはエトポシド耐性腫瘍細胞株に対する活性を向上させた新規な4β-アリルアミノ置換ポドフィロトキシン同属体のデザインと合成のためのプログラムが
研究室で開始された。鋭意検討した結果、ポドフィロトキシンの新規な4β-[4”-(1”, 3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ] 誘導体が合成され、それらの細胞毒性と抗癌
活性の資質をアドリアマイシンと比較して評価した。それらの化合物の合成は、樹脂から得られたポドフィロトキシンを用いてスキーム1で示した経路で実施した。
【0021】
本発明の化合物の幾つかを以下に示す:
a) 4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン
b) 4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デス
オキシポドフィロトキシン
c) 4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン
d) 4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン
e) 4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン
f) 4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン
g) 4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン
h) 4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン
i) 4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン
j) 4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン
k) 4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デ
スオキシポドフィロトキシン
l) 4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン
m) 4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアミリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン
n) 4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアミリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン
o) 4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン
p) 4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を記すが、これによって本発明を制限するものと解釈されるものではない。
【0023】
(実施例1)
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4a):
乾燥アセトニトリル (10 ml)中のポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)溶液に、ヨウ化ナトリウム(298 mg, 2 mmol)を加え、5分間攪拌した。この反応混合物に、攪拌下、メタ
ンスルホン酸(0.13 ml, 2 mmol)を 0 oCで滴下し、更に0.5時間、室温で攪拌した。窒素
をこの溶液に通して泡立たせ、過剰のヨウ化水素を除去した。この溶液を濃縮し、次の反応に精製することなく用いた。この粗生成物に、無水炭酸バリウム (395 mg, 2 mmol)と
乾燥テトラヒドロフラン10ml中の4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン( 271 mg, 1.2 mmol)とを窒素雰囲気下で加え、8時間、室温で攪拌した。反応混合物を乾固し、溶離
液として酢酸エチル/ヘキサンの混合液を用いてカラムクロマトグラフィで精製して、80
%の収率で標記精製物を得た。
m.p:172-175 oC [α]D: -120.00
1H-NMR(CDCl3): δ3.04 (m, 2H), 3.77 (s, 6H), 3.8 (s, 3H), 3.97 (t, 1H, J = 9.66 Hz), 4.40 (m, 2H), 4.55 (d, 1H, J = 4.46 Hz), 4.76 (m, 1H), 5.96 (d, 2H, J = 4.7
Hz), 6.27 (s, 2H), 6.52 (s, 1H), 6.63 (d, 2H, J = 8.17 Hz), 6.8 (s, 1H), 7.32 (t, 1H, J= 7.43 Hz), 7.44 (t, 1H, J = 7.43 Hz), 7.84 (d, 1H, J = 8.17 Hz), 7.96 (m, 3H).
IR(KBr)cm-1: 3362, 2925, 1772, 1604.
MS (FAB): 622 [M+].
【0024】
(実施例 2)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン(4b):
乾燥 DCM (10ml)中のポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)溶液に、ヨウ化ナトリウム (298 mg, 2 mmol)を加え、5分間攪拌した。この反応混合物に、攪拌下、メタンスルホン
酸(0.13 ml, 2 mmol)を0 oCで滴下し、更に5時間、室温で攪拌を続けた。窒素をこの溶液に通して泡立たせ過剰のヨウ化水素を除去した。この溶液を濃縮し、次の反応に精製することなく用いた。この粗生成物に、無水炭酸バリウム(395 mg, 2 mmol)と乾燥テトラヒドロフラン10ml 中の4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(271 mg, 1.2 mmol)とを窒素雰囲気下で加え、8時間、室温で攪拌した。この反応混合物を乾固し、溶離液として酢
酸エチル/ヘキサンの混合液を用いてカラムクロマトグラフィで精製して55%の収率で標
記精製物を得た。
m.p :143-147 oC [α]D : -116.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.04 (m, 1H), 3.28 (dd, 1H, J = 14.37, 4.49 Hz), 3.76 (s, 6H), 3.88 (m, 2H), 4.34 (t, 1H, J = 8.98 Hz), 4.53(d, 1H, J = 4.5 Hz), 4.85(br, 1H), 5.95(d, 2H, J = 4.6 Hz), 6.28(s, 2H), 6.50 (s, 1H), 6.72 (d, 2H, J = 8.98 Hz), 6.8 (s, 1H), 7.28 (t, 1H, J= 7.18 Hz), 7.4 (t, 1H, J = 7.18 Hz), 7.84 (m, 4H).
IR(KBr)cm-1: 3392, 2914, 1773, 1610.
MS (FAB): 608 [M+].
【0025】
(実施例 3)
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキシ
ポドフィロトキシン(4c):
4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-クロロアニリン(312 mg, 1.2 mmol) とポドフィ
ロトキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4aで述べられた方法に従って合成、精製して75%の
収率で標記精製物を得た。
m.p :156-160 oC [α]D : -122.0
1H-NMR(CDCl3): δ2.93 (m, 2H), 3.73 (s, 3H), 3.76 (s, 6H), 3.94 (t, 1H, J = 9.06
Hz), 4.38 (t, 2H, J = 7.55 Hz), 4.45 (m, 1H), 4.72 (m, 1H), 5.85 (s, 1H), 5.93 (s, 1H), 6.23 (s, 2H), 6.46 (s, 1H), 6.6 (d, 1H, J = 8.31 Hz), 6.7 (s, 1H), 6.75
(s, 1H), 7.34 (t, 1H, J = 8.31 Hz), 7.45 (t, 1H, J = 8.31 Hz), 7.87 (d, 1H, J =
7.554 Hz), 7.98 (d, 1H, J = 8.31 Hz), 8.21 (d, 1H, J = 8.31 Hz).
IR(KBr)cm-1: 3398, 2924, 1771, 1615.
MS (FAB): 657 [M+].
【0026】
(実施例 4)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4d):
4-(1,3-ベンゾチアゾール-2イル)-3-クロロアニリン(312 mg, 1.2 mmol)とポドフィロ
トキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4bで述べられた方法に従って合成、精製して60%の収
率で標記精製物を得た。
m.p :157-160 oC [α]D : -124.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.02 (m, 2H), 3.8 (s, 6H), 4.4 (m, 2H), 4.55 (m, 1H), 4.75 (m, 1H,), 5.40 (br, 1H), 5.85 (s, 1H), 5.98 and 5.93 (ABq, 2H, J = 1.51), 6.29 (s, 2H), 6.51 (s, 1H), 6.6 (dd, 1H, J = 9.06, 2.26 Hz), 6.69 (d, 1H, J = 2.26 Hz), 6.77 (s, 1H), 7.37 (t, 1H, J= 8.31), 7.48 (t, 1H, J = 8.31 Hz), 7.9 (d, 1H, J = 7.55 Hz), 8.03 (d, 1H, J = 7.55 Hz), 8.22 (d, 1H, J = 9.06 Hz).
IR(KBr)cm-1: 3395, 2920, 1772, 1607.
MS (FAB): 643 [M+].
【0027】
(実施例 5)
4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4e):
4-(6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(307 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を4aで述べた方法に従って合成し、精製して75%の収率で標
記精製物を得た。
m.p :102-105 oC [α]D : -85.0
1H-NMR(CDCl3):δ3.0 (m, 2H), 3.75 (s, 6H), 3.78 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 4.39 (m, 2H), 4.51(d, 1H, J = 3.77 Hz), 4.73 (m, 1H), 5.92 and 5.95 (ABq, 2H, J= 1.51 Hz), 6.25 (s, 2H), 6.48 (s, 1H), 6.60 (d, 2H, J = 8.31), 6.77 (s, 1H), 7.0 (dd, 1H,
J = 9.07, 2.26 Hz), 7.28 (d, 1H, J = 2.26 Hz), 7.80-7.88 (m, 3H).
IR(KBr)cm-1: 3366, 2924, 2853, 1772, 1606.
MS (FAB): 652 [M+].
【0028】
(実施例 6)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4f):
4-(6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(307mg, 1.2 mmol) とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4bで述べた方法に従って合成し、精製して58%の収率で標記精製物を得た。
m.p :142-146 oC [α]D : -109.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.06 (m, 2H), 3.80 (s, 6H), 3.89 (s, 3H), 4.35 (m, 2H), 4.6 (d,
1H, J = 4.01 Hz), 4.77 (m, 1H), 5.4 (br, 1H), 5.95 (s, 1H), 5.98 (s, 1H), 6.3(s, 2H), 6.52 (s, 1H), 6.61 (d, 2H, J = 8.82 Hz), 6.79 (s, 1H), 7.02 (dd, 1H, J = 9.22, 2.41 Hz), 7.31 (d, 1H, J= 2.41 Hz), 7.82-7.91 (m, 3H).
IR(KBr)cm-1: 3367, 2922, 1771, 1605.
MS (FAB): 638 [M+].
【0029】
(実施例 7)
4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4g):
4-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(293 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を4aで述べた方法に従って合成し、精製して75%の収率で標記精製物を得た。
m.p :168-172 oC [α]D : -130.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.0 (m, 2H), 3.75 (s, 6H), 3.78 (s, 3H), 3.83-3.99 (m, 1H), 4.34-4.54 (m, 3H), 4.75 (m, 1H), 4.76 (m, 1H), 5.93 (s, 1H), 5.96 (s, 1H), 6.25 (s,
2H), 6.49 (s, 1H), 6.61 (d, 2H, J = 8.69 Hz), 6.77 (s, 1H), 7.15 (m, 1H), 7.5 (dd, 1H, J = 8.69, 2.64 Hz), 7.88 (m, 3H).
IR(KBr)cm-1: 3334, 2912, 2839, 1774, 1604.
MS (FAB): 640 [M+].
【0030】
(実施例 8)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4h):
4-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(293 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を4bで述べた方法に従って合成し、精製して60%の収率で標記精製物を得た。
m.p :200-205 oC [α]D : -128.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.0 (m, 1H), 3.24 (dd, 1H, J = 14.12, 5.2 Hz), 3.7 (s, 6H), 3.8
(t, 1H, J = 10.4 Hz), 4.29 (t, 1H, J = 7.43 Hz), 4.48 (d, 1H, J = 5.2 Hz), 4.82
(m, 1H), 5.9(s, 2H), 6.23 (s, 1H), 6.45 (s, 1H), 6.67 (d, 2H, J = 8.92 Hz), 6.75 (s, 1H), 7.1 (m, 1H), 7.52 (dd, 1H, J = 8.18, 2.97 Hz), 7.76 (m, 3H).
IR(KBr)cm-1: 3356, 2903, 2834, 1773, 1605.
MS (FAB) 626 [M+].
【0031】
(実施例 9)
4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシ
ポドフィロトキシン(4i):
4-(4-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(312 mg, 1.2 mmol)とポドフィロ
トキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4aで述べた方法に従って合成し、精製して75%の収率で標記精製物を得た。
m.p :136-140 oC [α]D : -117.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.01 (m, 2H), 3.76 (s, 6H), 3.8 (s, 3H), 4.37 (m, 2H), 4.53 (m,
1H), 4.75 (m, 1H), 5.93 and 5.97 (ABq, 2H, J = 1.51 Hz), 6.26 (s, 2H), 6.5 (s, 1H), 6.59 (d, 2H, J = 9.06 Hz), 6.8 (s, 1H), 7.21 (m, 1H), 7.44 (d, 1H, J= 8.31 Hz), 7.72 (d, 1H, J = 8.31 Hz), 7.96 (d, 2H, J = 8.31 Hz).
IR(KBr)cm-1: 3392, ,2923,1773, 1610.
MS (FAB): 657 [M+].
【0032】
(実施例 10)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4j):
4-(4-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(312 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4bで述べた方法に従って合成し、精製して60%の収率で標記精製物を得た。
m.p :155-158 oC [α]D : -124.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.08 (m, 2H), 3.8 (s, 6H), 4.35 (m, 2H), 4.6 (d, 1H, J = 3.56 Hz), 4.8 (m, 1H), 5.42 (br, 1H), 5.94 and 5.97 (ABq, 2H, J= 1.43 Hz), 6.32 (s, 2H), 6.53 (s, 1H), 6.62 (d, 2H, J = 8.55 Hz), 6.79 (s, 1H), 7.24 (m, 1H), 7.47 (dd, 1H, J = 8.24, 1.43 Hz), 7.74 (dd, 1H, J = 8.24, 1.43 Hz), 7.78 (d, 2H, J = 8.55 Hz).
IR(KBr)cm-1: 3364, 2925, 1773, 1610.
MS (FAB) 643 [M+].
【0033】
(実施例 11)
4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デス
オキシポドフィロトキシン (4k):
4-(4,6-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(354mg, 1.2 mmol)とポドフ
ィロトキシン(414 mg, 1mmol)を用いて4aで述べた方法に従って合成し、精製して70%の
収率で標記精製物を得た。
m.p :160-163 oC [α]D : -102.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.02 (m, 2H), 3.76 (s, 6H), 3.8 (s, 3H), 4.38 (m, 2H), 4.55 (m,
1H), 4.75 (m, 1H), 5.95 (s, 1H), 5.98 (s, 1H), 6.28 (s, 2H), 6.5 (s, 1H), 6.61 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 6.79 (s, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 8.95 (d, 2H, J = 8.3 Hz).
IR(KBr)cm-1: 3390, 2908, 1773, 1605.
MS (FAB): 691 [M+].
【0034】
(実施例 12)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4l):
4-(4,6-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン(354 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4bで述べた方法に従って合成し、精製して50%の収率で標記精製物を得た。
m.p :155-158 oC [α]D : -124.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.0-3.77 (m, 2H), 3.79 (s, 6H), 3.88 (m, 1H), 4.34 (m, 1H), 4.54 (m, 1H), 4.86 (m, 1H), 5.38 (br, 1H), 5.98 (s, 2H), 6.32 (s, 2H), 6.53 (s, 1H), 6.73 (d, 2H, J = 8.51 Hz), 6.83 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.89 (d, 2H, J = 8.51 Hz).
IR(KBr)cm-1: 3362, , 2925, 1774, 1597.
MS (FAB): 677 [M+].
【0035】
(実施例 13)
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアニリノ]-4-デスオキシ
ポドフィロトキシン (4m):
4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-ブロモアニリン(366 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1mmol)を用いて4aで述べた方法に従って合成し、精製して75%の収率
で標記精製物を得た。
m.p :125-128 oC [α]D : -90.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.1 (m, 2H), 3.18 (dd, 1H, J = 14.6, 4.5 Hz), 3.78 (s, 6H), 3.82 (s, 3H), 4.42 (t, 1H, J = 7.57 Hz), 4.68 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 4.88 (m, 2H), 6.01 (s, 2H), 6.35(s, 2H), 6.58 (s, 1H), 6.63 (d, 1H, J = 8.04), 6.79 (s, 1H), 7.32-7.55 (m, 2H), 7.85-8.1 (m, 3H), 8.29 (d, 1H, J = 2.19 Hz).
IR(KBr)cm-1: 3394, 2924, 2854, 1776, 1594.
MS (FAB): 703 [M+2].
【0036】
(実施例 14)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4n):
4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-ブロモアニリン(366 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4bで述べた方法に従って合成し、精製して60%の収率で標記精製物を得た。
m.p :177-180 oC [α]D : -91.0
1H-NMR(CDCl3): δ3.13 (m, 2H), 3.81 (s, 6H), 4.4( t, 1H, J = 7.58 Hz), 4.68 (d, 1H, J = 3.8 Hz), 4.85 (m, 2H), 5.45(s, 1H), 6.01(s, 2H), 6.35(s, 2H), 6.59(s, 1H), 6.64 (d, 1H, J = 8.04 Hz), 6.79 (s, 1H), 7.32-7.56 (m, 2H), 7.85-8.06 (m, 3H), 8.29 (d, 1H, J = 2.26 Hz).
IR(KBr)cm-1: 3393, 2923, 2852,1774, 1598.
MS (FAB): 689 [M+2].
【0037】
(実施例 15)
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキシ
ポドフィロトキシン (4o):
4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-メチルアニリン(288 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4aで述べた方法に従って合成し、精製して75%の収率で標記精製物を得た。
m.p :152-155 oC [α]D : -139.0
1H-NMR(CDCl3): δ2.16 (s, 3H), 3.08 (m, 1H), 3.15 (dd, 1H, J = 14.6, 4.4 Hz), 3.78 (s, 6H), 3.82 (s, 3H), 3.9 (t, 1H, J = 9.2 Hz), 4.42 (t, 1H, J = 7.7 Hz), 4.63 (d, 1H, J = 4.2 Hz), 4.85 (m, 1H), 5.98 (s, 2H), 6.32 (s, 2H), 6.56 (s, 1H), 6.8 (s, 1H), 7.1-7.5 (m, 4H), 7.82-8.04 (m, 3H).
IR(KBr): 3411, 2923, 1773, 1607.
MS (FAB): 636 [M+].
【0038】
(実施例 16)
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4p):
4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-メチルアニリン(288 mg, 1.2 mmol)とポドフィロトキシン(414 mg, 1 mmol)を用いて4bで述べた方法に従って合成し、精製して60%の収率
で標記精製物を得た。
m.p :133-135 oC [α]D: -130.0
1H-NMR(CDCl3): δ2.21 (s, 3H), 3.10 (m, 1H), 3.18 (dd, 1H, J = 14.5, 4.5 Hz), 3.8 (s, 6H), 3.9 (t, 1H, J = 9.7 Hz), 4.41 (t, 1H, J = 7.6 Hz), 4.64 (d, 1H, J = 4.2 Hz), 4.88 (m, 1H), 5.45 (s, 1H), 6.0 (d, 2H, J = 4.1 Hz), 6.35 (s, 2H), 6.58 (s, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.14-7.5 (m, 4H), 7.82-8.05 (m, 3H).
IR(KBr)cm-1: 3397, 2907, 1773, 1607.
MS (FAB): 622 [M+].
【0039】
[表2]ポドフィロトキシンン類縁体

【0040】
スキーム1 生物活性:
(インビトロ細胞毒性活性評価)
化合物4a, 4b, 4c, 4d, 4g および 4hのインビトロ細胞毒性に関して、大腸(Colo205)
、肺(Hop-62)、

頸部(SiHa)、前立腺(DU145, PC3)、口腔(DWD, HT1080)、および胸部(MCF7, Zr-75-1)由来のヒト癌細胞株を選び、スルホローダミンB(SRB)アッセイ法(Skehn, P.; Storeng, R.;
Scudiero, A.; Monks, J.; McMohan, D.; Vistica, D.; Jonathan, T. W.; Bokesch, H.; Kenney, S.; Boyd M. R. J. Natl. Cancer Inst. 1990, 82, 1107)を用いて評価した。評価結果(μg/ml)を下記表1にポドフィロトキシンと標準薬であるアドリアマイシンとともに、幾つかの代表化合物の細胞毒性(インビトロ)データを示した。細胞増殖を50%阻害(IC50)する薬剤濃度を有する試験した標準薬と比較すると、全ての新規化合物は大腸や口腔細胞株に対して顕著な細胞毒性を示した。
【0041】
(SRBアッセイの手順)
組織培養でそれぞれの腫瘍細胞をけん濁増殖させ、細胞数をカウントし、1x105 から 5x105 cells/mlになるように調整した。96穴(well)プレートにこの細胞けん濁液を100
μl/wellになるように播種し、24時間CO2培養器で37℃で培養した。24時間培養後に薬剤
を適度な濃度で加え更に48時間培養した。30%TCAでwell中の細胞を静かに層にすること
によって培養を収束させ、プレートを1時間冷蔵室に保管し、水道水で完全に洗浄後、乾
燥し、1%酢酸中の0.4%SRB溶液を加え、最終的に固定化したSRBは10mMのトリスで可溶化した。微量定量プレートリーダーで波長540nmでの吸収を測定した。薬剤処理した細胞の
光学密度は対照細胞のそれと比較し、細胞阻害はパーセント値で算出した。それぞれの化合物はヒト悪性細胞株で、10, 20, 40 および 80 μg/mlの濃度で3連で試験した。
【0042】
[表1]幾つかの代表化合物の細胞毒性(インビトロ)データ

1 = ポドフィロトキシン
ADR = アドリアマイシン(対照薬)
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の主な利点は、これら新規なポドフィロトキシンの4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ] 類縁体はインビトロで期待できる細胞毒性活性を示すということである。更にこれらの化合物はポドフィロトキシンをメタンスルホン酸/ヨウ化ナ
トリウムで反応させ、室温でBaCO3の存在下、対応する4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン類を加えることによって、様々な4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イ
ル)アニリノ]ポドフィロトキシン類縁体を非常に高い収率で、そしてほぼ立体選択的な手法で得られるということである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式4で表わされる新規なポドフィロトキシン。
【化1】

式中、Rは水素原子あるいはメチル基を意味し、R1は水素原子、ハロゲン原子およびメ
チル基から選ばれ、R2は水素原子、ハロゲン原子およびメトキシ基から選ばれる基を意味する。
【請求項2】
一般式4で表わされるポドフィロトキシンは以下の化合物のいずれかである請求項1に記載の新規なポドフィロトキシン:
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル) アニリノ]-4-デスオキシポドフィ
ロトキシン(4a);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デス
オキシポドフィロトキシン(4b);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン(4c);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4d);
4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン(4e);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4f);
4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン (4g);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4h);
4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4i);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4j);
4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デ
スオキシポドフィロトキシン (4k);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4l);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4m);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4n);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4o) および
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4p).
【請求項3】
前記一般式4で表わされるポドフィロトキシンの構造が以下の構造のいずれかである請
求項1または2に記載の新規なポドフィロトキシン:
【化2】



【請求項4】
ヒト細胞株に対してインビトロ抗癌活性を示す請求項1ないし3のいずれかに記載の新
規なポドフィロトキシン。
【請求項5】
用いたヒト癌細胞株は、大腸(Colo205), 肺(Hop-62),頸部(SiHa),前立腺(DU145, PC3),
口腔(DWD, HT1080)および胸部(MCF7, Zr-75-1)からなる群から選ばれた癌腫に由来する
請求項4に記載の新規なポドフィロトキシン。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のポドフィロトキシンであって、その代表化合物が、細胞増殖を50%阻害(IC50)する薬剤濃度の試験した標準薬と比較して癌細胞株に対して以下の細胞毒性(インビトロ)データを示す新規なポドフィロトキシン。
【表1】

【請求項7】
下記一般式4で表わされる新規なポドフィロトキシンの製造方法。

式中、Rは水素原子あるいはメチル基を意味し、R1は水素原子、ハロゲン原子およびメ
チル基から選ばれ、R2は水素原子、ハロゲン原子およびメトキシ基から選ばれる基を意味し、前記製造方法は次のステップからなる:
a) ヨウ化ナトリウムを、乾燥アセトニトリル、乾燥ジクロロメタン(DCM)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)およびそれらの混合物からなる群から選ばれた溶媒中のポドフ
ィロトキシンの溶液に、5-10分間、攪拌下で加える、
b) メタンスルホン酸をステップ(a)で得られた反応混合物に約0℃で攪拌しながら
滴下後、0.5-5時間、20-30℃で更に攪拌し、この反応混合物を窒素で泡立たせて過剰のヨウ化水素を除去し濃縮して粗混合物を得る、
c) 乾燥テトラヒドロフラン(THF)中、無水炭酸バリウムおよび下記一般式3で表わされる化合物(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子およびメチル基から選ばれ、R2は水素原子、ハロゲン原子およびメトキシ基から選ばれる基を意味する)を、ステップ(b)で
得られた粗混合物に加え、窒素雰囲気下、6-9時間、20-30℃で攪拌し既知の方法で精製して所望の化合物を得る。

【請求項8】
用いた前記一般式3の化合物は、4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(1,3-
ベンゾチアゾール-2-イル)-3-クロロアニリン、4-(6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、 4-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(4-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(4,6-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アニリン、4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-ブロモアニリン および 4-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-メチルアニリンからなる群から選ばれる請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
一般式4で表わされるポドフィロトキシンは以下の化合物のいずれかである請求項7に
記載の製造方法:
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル) アニリノ]-4-デスオキシポドフィ
ロトキシン(4a);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デス
オキシポドフィロトキシン(4b);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン(4c);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-3”-クロロアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4d);
4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン(4e);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-メトキシ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4f);
4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオ
キシポドフィロトキシン (4g);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(6”-フルオロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4h);
4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4- デスオキシポドフィロトキシン (4i);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”-クロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4j);
4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デ
スオキシポドフィロトキシン (4k);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(4”,6”-ジクロロ-1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)アニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4l);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4m);
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-ブロモアニリ
ノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4n);
4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキ
シポドフィロトキシン (4o) および
4’-O-デメチル-4β-[4”-(1”,3”-ベンゾチアゾール-2”-イル)-2”-メチルアニリノ]-4-デスオキシポドフィロトキシン (4p).

【公表番号】特表2010−526058(P2010−526058A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−505015(P2010−505015)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【国際出願番号】PCT/IN2008/000256
【国際公開番号】WO2008/136018
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(596020691)カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (42)
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
【Fターム(参考)】