説明

抗結核剤であるリファンピシンとβ−シクロデキストリンまたは2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとの包接錯体およびその製法

本発明は、抗結核剤としての、リファンピシンとシクロデキストリンとの包接錯体に関する。さらに、抗結核剤「リファンピシン」とβ−CDおよびHP−β−CDとの包接錯体を合成する方法と、これらの包接錯体の特性評価とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リファンピシン(Rifampicin)およびシクロデキストリン(cyclodextrin)を有する、結核症に有用な包接錯体に関する。また、本発明は、薬物送達システムとして結核の治療に有用である、リファンピシン−シクロデキストリン包接錯体の合成にも関する。
【背景技術】
【0002】
リファンピシンは、国際一般名であり、使用されている別名としては、リファマイシンAMP、リファンピン、リファルダジン(Rifaldazine)が挙げられる。リファンピシンは、IUPAC規則によって、2,7−(エポキシペンタデカ[1,11,13]トリエンイミノ)ナフト[2,1−b]フラン1,11(2H)−ジオン5,6,9,17,19,21−ヘキサヒドロキシ−23−メトキシ−2,4,12,16,18,20,22−ヘプタメチル−8−[N−(4−メチル−1−ピペラジニル)ホルムイミドイル]−21−アセテート、と指定されている。
【0003】
シクロデキストリン(CD)は、疎水性空洞を持つ環状オリゴ糖である。CDは、薬剤においては、錯体化を目的として、または、賦形剤、可溶化剤、錠剤の材料などの添加剤として、使用することができる(Comprehensive Supramolecular Chemistry, Vol 3, Szejtli J, Osa T, Pergamon, UK, 1996)。CDを使用する利点は、主として、包接錯体の形成にある。錯体化は、分子を保護することができ、結果として調剤の可能性を広げることができる。包接錯体を形成することの有利な効果は、以下のとおりである。
i)混合できない二種類の薬剤を、一方をCDと錯体化することにより混合することができる。
ii)薬物の放出速度を制御することができる。
iii)水に溶けない薬物の溶解性を高めることができる。
iv)水中、または酸性状態の胃における薬剤の不安定性を向上させることができる。なぜなら、加水分解、光分解、自己触媒反応などの速度が相当に減少するためである。
v)軟膏剤または坐剤基剤からの薬物の放出性が向上するため、経皮吸収性または直腸吸収性を高めることができる。このように、薬剤とCDとの包接錯体は、いくつかの利点がある。
【0004】
包接錯体の形成は、粉末X線回折パターンと赤外分光法とによって同定することができる(Comprehensive Supramolecular Chemistry, Vol 3, Szejtli J, Osa T, Pergamon, UK, 1996)。
【0005】
多剤混合薬(FDC)中にイソニアジドが存在すると、リファンピシンが体に吸収される前に胃の中で分解するために、リファンピシンの生物学的利用能が低下することが最近判明した(Chronicle Pharmabiz, p.28, Dec.20, 2001)。これに促されて、リファンピシンとβ−シクロデキストリン、および、リファンピシンと(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンの包接錯体が作製され、これらの特性評価が行われた。これらの包接錯体は、安定性が良好で放出の遅い新しい薬物送達システムとして使用できる可能性がある。しかしながら、現時点までに報告されている組み合わせは、リファンピシンとシクロデキストリン(East.Pharm., p.133, vol.41(492), 1998)の分散のみであり、この包接錯体の単離、特性評価は行われていない。
【0006】
従って、リファンピシンとβ−シクロデキストリン(β−CD)、および、リファンピシンと2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)の包接錯体を作製するための研究に着手した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、結核症の治療を目的とする、リファンピシンとシクロデキストリンとを有する包接錯体、を確立することである。
【0008】
本発明の別の目的は、薬物送達システムとして使用できる可能性を持つ、β−CDまたはHP−β−CDを有するリファンピシンを形成する方法を確立することである。
【0009】
本発明の別の目的は、サイズが大きい分子とシクロデキストリンの包接錯体を形成する方法を確立することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、抗結核剤としての、リファンピシンとシクロデキストリンとの包接錯体を提供する。さらに、本発明は、抗結核剤「リファンピシン」とβ−CDまたはHP−β−CDとの包接錯体を合成する方法と、この包接錯体の特性評価とを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
従って、本発明は、抗結核剤としての、リファンピシンとシクロデキストリンとの包接錯体を提供する。
【0012】
本発明の1つの実施形態においては、使用するシクロデキストリンが、β−シクロデキストリンおよび2−ヒドロキシプロピルシクロデキストリンから選択される、包接錯体、を提供する。
【0013】
さらに別の実施形態においては、包接錯体は、X線回折と赤外法とによって特性評価が行われ、包接錯体は、後述する物理的および化学的特性を持つ。
【0014】
さらに別の実施形態においては、包接錯体は、薬剤リファンピシンの生物学的利用能と溶解性とを高める。
【0015】
さらに別の実施形態においては、包接錯体と薬剤は、カプセル形状の中に存在し、薬剤の放出性の制御につながる。
【0016】
さらに別の実施形態においては、包接錯体は、多剤混合薬におけるリファンピシンの安定性を向上させる。
【0017】
さらに別の実施形態においては、本発明の包接錯体は、多剤混合薬を含む抗結核治療の新しい手法を提供する。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態は、リファンピシンとβ−シクロデキストリンとの包接錯体を調合する方法であって、リファンピシンをシクロデキストリンに加えるステップと、メノウ乳鉢の中で挽いて、リファンピシン−デキストリン包接錯体の均一な粉末状物質を形成するステップと、を含んでいる、方法を提供する。
【0019】
別の実施形態においては、固体条件下での薬剤のカプセル化が達成され、これによって生物学的利用能と溶解性とが高まる。
【0020】
本発明の別の実施形態は、リファンピシンとβ−シクロデキストリン(β−CD)または2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)との包接錯体を調合する方法であって、自由状態の薬剤が固体状態の条件下でカプセル形状に変換される現象を有する、方法、を提供する。
【0021】
さらに別の実施形態においては、抗結核剤としてのリファンピシンとの包接錯体を形成するシクロデキストリンは、β−CDまたはHP−β−CDである。
【0022】
さらに別の実施形態においては、リファンピシンとのシクロデキストリン錯体の形成、これらはβ−CDまたはHP−β−CDとすることができる。
【0023】
本発明の実施形態は、抗結核剤としての、リファンピシンとシクロデキストリンとの包接錯体を提供する。
【0024】
本発明の別の実施形態においては、シクロデキストリンとの包接錯体を形成する基質は、抗結核剤「リファンピシン」である。
【0025】
本発明の別の実施形態においては、「リファンピシン」との包接錯体を形成するシクロデキストリンは、7個のグルコース単位から成る環状オリゴ糖であるβ−シクロデキストリンと、β−シクロデキストリンの2位(2-position)がヒドロキシプロピル基に置き換わった2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)である。HP−β−CDは、毒性が低いこと、耐性が高い(high tolerance)こと、可溶化/安定化能力が高いことから、薬剤担体としても使用されてきた。HP−β−CDは、一般的には安全性が判明しており、人の研究において副作用は観察されていない(Comprehensive Supramolecular Chemistry, Vol 3, Szejtli J, Osa T, Pergamon, UK, 1996)。
【0026】
上記の結果として、発明者は、上述した目的を達成する目的で集中的な研究を実施し、抗結核剤の包接錯体、すなわち、リファンピシンと、β−シクロデキストリン(β−CD)または2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)との包接錯体、を合成する方法を初めて実現した。
【0027】
従って、本発明は、リファンピシンとβ−CDまたはHP−β−CDとの、抗結核剤の包接錯体の合成に関する。各化合物の合成は、詳細に説明されている。
【0028】
この製法は、リファンピシンとシクロデキストリンとの包接錯体の形成を伴う。シクロデキストリン(図1)は、疎水性空洞を持つ環状オリゴ糖であり、基質を選択的に結合し、化学反応の触媒として作用できることにおいて、疑似酵素(mimic enzyme)である。β−シクロデキストリンは、7個のグルコース単位がα−1,4グリコシド結合によって連結している、疎水性空洞を持つ大環状分子から成る。HP−β−CDは、β−CDの2位が2−ヒドロキシプロピル基に置き換わったものである。それぞれのシクロデキストリンは、疎水性のシクロデキストリン空洞内に特定のゲストとの包接錯体を形成する能力を持つ。シクロデキストリンの薬学上最も重要な用途は、薬物分子の溶解性および生物学的利用能を高めることである。
【0029】
シクロデキストリンそれぞれにリファンピシンを等モル比で加え、乳鉢および乳棒を用いて混合物を十分に挽いて5〜8時間の範囲で反応時間を変えることによって、抗結核剤リファンピシンとシクロデキストリンとの包接錯体を調合した。以下の実施例は、一例としてのみ示すものであり、本発明の範囲の制限とは解釈されないものとする。
【実施例1】
【0030】
リファンピシン−β−シクロデキストリン包接錯体:
シクロデキストリン包接錯体を粉砕法によって固体状態条件下で調合した。β−シクロデキストリン(13.79g)をメノウ乳鉢にとり、リファンピシン(10g)を加えながら十分に混ぜた。この材料を5〜8時間連続的に挽き、均一な粉末状物質を形成した。こうして形成した「リファンピシン」とβ−シクロデキストリンとの包接錯体について、粉末X線回折パターンおよび赤外分光データによって特性評価を行った。包接錯体は、X線データおよび赤外分光データをリファンピシンおよびβ−CDと比較することによって同定した。
【0031】
粉末X線解析:
機器:粉末X線回折計(SiemensのD−5000)
粉末X線回折線を角度2(にて測定した。
最も重要な測定値は次のとおりである。
β−CD:
4.3、6.2、8.9、10.4、12.6、18.6、22.6、27.0、35.2
リファンピシン:
7.8、9.5、10.9、12.6、15.8、16.9、19.6、21.3、26.0
リファンピシン−β−シクロデキストリン包接錯体(Rif−β−CD):
4.3、8.7、10.6、12.6、15.7、18.8、25.5、35.2、46.4
【0032】
包接錯体においては、いくつかの大きなピークがずれる、または消失したり、新しいピークが現れたりした。β−CDにおける18.8および22.6のピークは、錯体では消失した。β−CDにおける4.3、12.6、および27.0のピークは、錯体では強度が減少した。錯体では、18.6、25.5、および46.4において新しいピークが現れた。リファンピシンのデータの同様の比較は、以下のとおりである。
【0033】
リファンピシンの9.5、10.9、19.6、および26.0のピークは、錯体では消失した。リファンピシンの12.6、15.8、16.9、および21.3の大きなピークは、強度が減少した。
【0034】
赤外スペクトル解析:
機器:Perkin Elmer Spectrum RX/Ft IRシステム(500〜3500cm-1
【0035】
薬剤リファンピシンとβ−CDとの錯体および薬剤リファンピシン単独の赤外スペクトルを、KBrペレットとして記録した。
【0036】
包接錯体の形成は、赤外分光法によっても証明された。ゲスト分子の包接部分に起因する帯域が、ずれるかまたは強度が変化した。リファンピシンの1728.2cm-1におけるアセトキシルC=O振動、および1730.4cm-1におけるカルボニルC=O吸収が低い周波数にずれ、1722.2cm-1における単一ピークとして現れた。これに対して、アミドNH−C=Oは、1651.2cm-1から1647.8cm-1への小さなずれを示すのみであった。しかしながら、C=C振動については、薬剤における1566.4cm-1から錯体における1565.1cm-1への小さなずれが観察されたのみであった。このことは、リファンピシンとβ−CDとの包接錯体の形成を明らかに示している。
【実施例2】
【0037】
リファンピシンと2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとの包接錯体:
メノウ乳鉢内のリファンピシン(10g)に2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(16.77g)を加え、5〜8時間十分に挽き、均一な粉末状物質を形成した。このように形成した薬剤の包接錯体を分離し、特性評価を行った。
【0038】
粉末X線解析:
リファンピシンと2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)との錯体を、元の薬剤およびHP−β−CDとX線回折パターンのデータを比較することによって確認した。
重要なピークを以下に示す。
2−HP−β−CD:
4.8、11.6、17.4、19.1、23.1、29.1、33.0、35.0、39.9
リファンピシンと2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)との包接錯体(Rif−2HP−β−CD):
1.4、5.9、12.8、14.2、16.3、18.2、21.4、25.8、30.6、31.8
【0039】
錯体とリファンピシンおよびHP−β−CDとのデータの比較を、以下に示す。リファンピシンの7.8、9.5、および10.9のピークは、錯体では消失した。21.3のピークは、リファンピシンと比較して強度が減少した。HP−β−CDとの比較では、14.2および25.8において新しいピークが現れ、4.8および11.6におけるピークの消失が観察された。23.1におけるピークは、強度が減少した。
【0040】
薬剤リファンピシンとβ−CDおよびHP−β−CDとの包接錯体のX線回折パターンと、個々の物質のX線回折パターンとの違い、すなわち、上記のように新しいピークが現れる、いくつかのピークが消失する、いくつかのピークの強度が減少することによる違いは、リファンピシンとβ−CDおよびHP−β−CDとの包接錯体の形成を明らかに示している。
【0041】
赤外スペクトル解析:
包接錯体の形成を確認する目的で、赤外スペクトル解析も実施した。
【0042】
リファンピシンとHP−β−CDの錯体の赤外スペクトルによると、リファンピシンの1728.2cm-1におけるアセトキシルC=Oと、1730.4cm-1におけるカルボニルC=O吸収とが一つになり、より低い周波数1719.8cm-1における単一ピークが現れたのに対し、リファンピシンの1651.2cm-1におけるアミドNH−C=O吸収は、より低い周波数1648.4cm-1に移動している。また、C=C吸収帯域の1566.4cm-1から1562.8cm-1への大きな移動も観察された。これらのデータは、リファンピシンとHP−β−CDとの包接錯体の形成を明らかに示している。
【0043】
本発明の主たる利点は、以下のとおりである。
1)リファンピシンとβ−CDおよびHP−β−CDとの包接錯体は、薬剤を保護し、このことは、調剤の可能性を広げることができる。
2)抗結核剤リファンピシンの放出速度を制御することが可能となりうる。
3)多剤混合薬(FDC)におけるリファンピシンの安定性を向上させる可能性もある。
4)本発明は、多剤混合薬を含む抗結核治療の新しい手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】β−シクロデキストリンおよび(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンの構造を示す図
【図2】リファンピシンを示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗結核剤としての、リファンピシンとシクロデキストリンとの包接錯体。
【請求項2】
使用する前記シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンおよび2−ヒドロキシプロピルシクロデキストリンから選択される、請求項1記載の包接錯体。
【請求項3】
X線回折および赤外法によって特性評価が行われる、請求項1記載の包接錯体。
【請求項4】
前記薬剤リファンピシンの生物学的利用能および溶解性を高める、請求項1記載の包接錯体。
【請求項5】
前記薬剤は、カプセル化された形で存在する、請求項1記載の包接錯体。
【請求項6】
前記薬剤の制御された放出をもたらす、請求項1記載の包接錯体。
【請求項7】
多剤混合薬におけるリファンピシンの安定性が向上する、請求項1記載の包接錯体。
【請求項8】
多剤混合薬を含む抗結核治療の新しい手法を提供する、請求項1記載の包接錯体。
【請求項9】
リファンピシンとβ−シクロデキストリンとの包接錯体を調合する方法であって、リファンピシンをシクロデキストリンに加えるステップと、メノウ乳鉢の中で5〜8時間の間挽いて、リファンピシン−デキストリン包接錯体の均一な粉末状物質を形成するステップとを有する。
【請求項10】
使用するシクロデキストリンは、β−シクロデキストリンおよび2−ヒドロキシプロピルシクロデキストリンから選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
固体条件下での前記薬剤のカプセル化が達成される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
得られた前記包接錯体は、高い生物学的利用能および溶解性を有する、請求項9記載の方法。
【請求項13】
得られた前記包接錯体は、前記薬剤リファンピシンの放出を制御できる特性を有する、請求項9記載の方法。
【請求項14】
得られた前記包接錯体は、多剤混合薬におけるリファンピシンの安定性を高める、請求項9記載の方法。
【請求項15】
リファンピシンとβ−シクロデキストリン(β−CD)または2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)との包接錯体を調合する請求項9記載の方法であって、自由状態の薬剤を固体状態の条件下でカプセル化する。
【請求項16】
抗結核剤としてのリファンピシンとの包接錯体を形成する前記シクロデキストリンは、β−CDまたはHP−β−CDである、請求項15記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗結核剤としての、リファンピシンとシクロデキストリンとの包接錯体。
【請求項2】
使用する前記シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンおよび2−ヒドロキシプロピルシクロデキストリンから成るグループから選択される、請求項1記載の包接錯体。
【請求項3】
X線回折および赤外法によって特性評価が行われる、請求項1記載の包接錯体。
【請求項4】
前記薬剤リファンピシンの生物学的利用能および溶解性を高める、請求項1記載の包接錯体。
【請求項5】
前記薬剤は、カプセル化された形で存在する、請求項1記載の包接錯体。
【請求項6】
前記薬剤の制御された放出をもたらす、請求項1記載の包接錯体。
【請求項7】
多剤混合薬におけるリファンピシンの安定性が向上する、請求項1記載の包接錯体。
【請求項8】
多剤混合薬を含む抗結核治療の新規な手法を提供する、請求項1記載の包接錯体。
【請求項9】
リファンピシンとβ−シクロデキストリンとの包接錯体を調合する方法であって、リファンピシンをシクロデキストリンに加えるステップと、メノウ乳鉢の中で5〜8時間の間挽いて、リファンピシン−デキストリン包接錯体の均一な粉末状物質を形成するステップとを有する。
【請求項10】
使用するシクロデキストリンは、β−シクロデキストリンおよび2−ヒドロキシプロピルシクロデキストリンから選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
固体条件下での前記薬剤のカプセル化が達成される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
得られた前記包接錯体は、高い生物学的利用能および溶解性を有する、請求項9記載の方法。
【請求項13】
得られた前記包接錯体は、前記薬剤リファンピシンの放出を制御できる特性を有する、請求項9記載の方法。
【請求項14】
得られた前記包接錯体は、多剤混合薬におけるリファンピシンの安定性を高める、請求項9記載の方法。
【請求項15】
リファンピシンとβ−シクロデキストリン(β−CD)または2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP−β−CD)との包接錯体を調合する請求項9記載の方法であって、自由状態の薬剤を固体状態の条件下でカプセル化する。
【請求項16】
抗結核剤としてのリファンピシンとの包接錯体を形成する前記シクロデキストリンは、β−CDまたはHP−β−CDである、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−509742(P2006−509742A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549396(P2004−549396)
【出願日】平成14年11月6日(2002.11.6)
【国際出願番号】PCT/IB2002/004705
【国際公開番号】WO2004/041284
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(595023873)カウンシル・オブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ (69)
【Fターム(参考)】