説明

抗腫瘍二元機能融合タンパク質の調製および適用

Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメント、およびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質、およびその用途、特に悪性腫瘍の治療におけるその用途が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の参照
本明細書は中国特許出願第03129290.9号(2003年6月13日出願)および2003101199300号(2003年11月25日出願);米国特許出願第10/723,003号(2003年11月26日出願);および台湾特許出願第092133577号(2003年11月28日出願)(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)の利益を主張するものである。
【0002】
連邦政府のスポンサーによる研究または開発に関する記載
不適用。
【0003】
発明の背景
発明の属する分野
本発明は腫瘍免疫学の分野、主に抗腫瘍二元機能(bifunctional)融合タンパク質およびその核酸配列、それらの製造方法および抗腫瘍薬の調製における適用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
関連技術の記載
腫瘍の免疫療法は、宿主が本来保有する防御機構の調節または免疫物質での処置による腫瘍退縮の誘導を伴う。免疫療法は、外科切除、放射線療法、および化学療法といった伝統的な療法と共に、悪性病変の治療のための認知された療法である。事実、免疫療法は手術および放射線のようなより一般的な療法の“補足療法”として使用される場合がある。そのような併用療法が強く望まれるのは伝統的な療法の短所のためである。例えば中国では、肝臓癌、乳癌、およびリンパ腫は最も一般的に見られる癌である。しかしながら、肝癌患者の3分の2は診断時に手術不可能な量の腫瘍を有する。更に重要なことに、外科切除による療法がそれらの患者に可能な場合でも、遠隔した検出されない微小転移の問題はそれらの療法では処理されないまま残存する。同様に、伝統的療法である放射線療法および化学療法には著しい制限があり、最も顕著なものは造血系および免疫系の全身性阻害である。このため、放射線療法が最も所望される場合(診断時に顕著な量の腫瘍を有する患者)において、放射線療法および化学療法の毒性効果によってこれらの療法の有効性は制限される。従って、伝統的な療法を補足する新規の有効な方法を発見することが所望される。
【0005】
腫瘍の免疫療法は、腫瘍抗原に特異的な抗体の投与によって行うことができる。一般に抗体は毒性部分への運搬剤として使用されてきたが、最近の研究で、ある種の細胞表面分子(例えばFAS、EGFR、およびHER2)に対するモノクローナル抗体(mAb)がアポトーシス経路の誘発によって腫瘍細胞死を直接誘導することが明かとなった。例えばShimizuら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 228 (2 : 375-79 (1996)参照。これは、特定のシグナリング経路(特に腫瘍細胞死を起こすもの)の調節によって抗体介在型の腫瘍免疫療法のための有効な手段が得られうることを示唆している。この手段を利用した少なくとも1つの抗体について、臨床試験が成功している。ハーセプチン(Herceptin)はヒトHER2に特異的な抗体であり、Her2+腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導し、インビボでの乳癌治療への使用が成功している。例えばBursteinら, J. Clin. Oncol. 21: 2889-95 (2003)参照。しかしながら、それらの抗体療法で認識されている制限の一つは、遠隔転移がそれらの療法から逃れるか、または抗原陰性変異体が発生し、それによって後に転移疾患が再発する可能性があることである。
【0006】
免疫療法は、腫瘍ワクチン投与後に患者から活性抗腫瘍免疫応答を引き出すことによって行うこともできる。理想的には、腫瘍ワクチンは免疫原性の腫瘍抗原を好適な抗原提示細胞に運搬し、それによって有効な長期間にわたる抗腫瘍免疫応答を生じさせる。研究で明らかになっているところによれば、樹状細胞(DC)(抗原提示細胞の一種)は有効な抗腫瘍免疫応答において重要な役割を果たす。例えばZitvogelら, J Exp. Med. 183: 87-97 (1996);Choudhuryら, Blood 89: 1133-42 (1997);および DiNicolaら, Cytokines Cell Mol. Therapy 4: 265-73 (1998)参照。DCはナイーブのCD4+およびCD8+T細胞が分化してそれぞれTヘルパー細胞(Th)および細胞障害性Tリンパ球(CTL)になるのを刺激する。DCは高レベルの主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)抗原のクラスIおよびクラスII、共刺激分子、接着分子を発現し、高レベルのIL-12(CTLの分化および活性化における有効なサイトカイン)を分泌する。例えばBanchereauら, Nature 392: 245-52 (1998);Banchereauら, Ann. Rev. Immunol. 18: 767-811 (2000)参照。CTLが介在する抗腫瘍応答は腫瘍の再生に対して長期的な防御作用を生ずると考えられているので、DCは腫瘍免疫療法のために選択すべき抗原提示細胞であると考えられる。
【0007】
腫瘍ワクチンによって明らかに腫瘍の転移増殖およびその後の腫瘍攻撃に対する長期的な防御作用が得られるが、この知見の臨床的な適用は困難であることが明らかになっている。例えばFongら, Ann. Rev. Immunol. 18: 245-73 (2000)参照。第一に、エクスビボの増殖プロトコールでは機能性DCの信頼度の高い増殖を行うことが困難であることが証明されている。免疫は必然的にMHC制限的であるため、免疫療法で使用されるエクスビボのDCは治療される患者のDCでなければならない。第二に、インビボにおけるDCの再現性のある活性化にはまだ成功していない。第三に、所望のDC集団の活性化および抗原負荷が可能な、すなわち抗腫瘍応答を誘引する能力のある、明らかなプロトコールが未だ確立されていない。要するに、免疫原性の腫瘍抗原を提示する腫瘍部位に選択的に局在化された活性DCの増殖が、未解決の問題である。
【0008】
従って、免疫分子、例えば腫瘍特異的抗体および免疫応答を誘発するワクチンは腫瘍増殖に有効であることは明らかであるが、腫瘍増殖の同時低下および長期的防御免疫応答の生成を可能とする統一された方法は未だ得られていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の簡単な概要
腫瘍細胞の同時根絶および有効な抗腫瘍免疫応答の刺激を可能とするキメラタンパク質を本明細書で提供する。特に、キメラタンパク質は少なくとも2つの成分を含む。第一の成分はFlt3リガンド(FL)、または生物学的に活性なそのフラグメントである。FLは有効な走化性分子であり、DCおよび他の抗腫瘍エフェクター(例えばNK細胞)の活性化物質である。第二の成分は細胞死を誘引する殺腫瘍物質(tumoricidal agent)である。それらの物質は、直接(すなわちアポトーシスカスケードを直接開始させることによって)アポトーシスを誘導するリガンドもしくは腫瘍特異的抗体(例えばFasリガンド)、または間接的に(すなわちサイトカインの欠乏が関連するアポトーシスによって)アポトーシスに介在する腫瘍特異的抗体(例えば抗EGFR抗体)であってもよい。従って、キメラタンパク質は腫瘍細胞のアポトーシスを直接誘導すると同時に、DCおよび他の抗腫瘍エフェクター(例えばNK細胞)を標的化および活性化して腫瘍組織に浸潤させることによって腫瘍の量を減少させる。次いで、死滅する腫瘍細胞によって放出される腫瘍抗原を処理し、FL活性化DCによって提示させ、特定の抗腫瘍免疫応答の抗原提示細胞として有効に使用することもできる。従って、このキメラタンパク質は直接的および間接的な腫瘍細胞の除去を同時に行うと共に、腫瘍細胞に対する有効な活性免疫応答を誘引し、これによって腫瘍増殖の再発が防止される。
【0010】
ある観点では本発明は、Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質に関する。
【0011】
別の態様では、本発明はFlt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質をコードする単離された核酸に関する。核酸を含む組換え細胞および核酸を使用するキメラタンパク質の製造法も提供する。
【0012】
更に別の観点では、本発明はFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質および医薬的に許容されるキャリアーまたは賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0013】
本発明のある態様では、キメラタンパク質のアミノ酸配列およびキメラタンパク質をコードするヌクレオチド配列は図16-18、20-22、27-29、35-37、および39-42に示す配列を含む。ヌクレオチド配列を含むプラスミドは受託番号 で寄託されている。
【0014】
更なる観点では、本発明は、a)Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質;およびb)有効量の抗新生物物質、を含有する複合剤に関する。
【0015】
更に別の観点では、本発明は哺乳動物における新生物の治療法に関し、方法は同治療が必要または所望される哺乳動物に有効量の上記複合剤を投与することを含む。
【0016】
別の観点では、本発明はFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質および該キメラタンパク質を投与するための説明書を含むキットに関する。
【0017】
ある観点では、本発明は哺乳動物における新生物の治療法に関し、方法は同治療が必要または所望される哺乳動物にFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質を投与することを含む。
【0018】
別の観点では、本発明は細胞においてカスペース3介在型アポトーシスを誘導するための方法に関し、方法は同誘導が必要または所望される細胞にFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質を投与することを含む。
【0019】
更に別の観点では、本発明はFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質および免疫応答増強剤を含むワクチンに関する。
【0020】
別の観点では、本発明は哺乳動物における抗新生物免疫応答を誘引する方法に関し、方法は同誘引が必要または所望される哺乳動物に有効量の本明細書に開示するワクチンを投与することを含む。
【0021】
更に別の観点では、本発明は腫瘍特異的リンパ球の製造法に関し、この方法は、Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質を哺乳動物に投与して腫瘍特異的リンパ球を生成させ、該哺乳動物から該生成させた腫瘍特異的リンパ球を回収することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の詳細な説明
限定する目的ではなく開示内容を明確にするために、本発明の詳細な説明を以下の項に分割して記載する。
【0023】
A.定義
特に記載しない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は全て、本発明が属する分野の技術者によって一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書で引用される全ての特許、出願書、公開された出願書、および他の文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この項に記載される定義が参照によって本明細書に組み込まれる特許、出願書、公開された出願書、および他の文献に記載される定義と反対であるか矛盾する場合、この項に記載される定義が参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0024】
本明細書で使用する“a”または“an”は“少なくとも1つの”または“1つ以上の”を意味する。
【0025】
本明細書で使用する“核酸”は、いずれかの形態(特に1本鎖、2本鎖、3本鎖、直鎖、および環状型)のデオキシリボ核酸(DNA)および/またはリボ核酸(RNA)をいう。また、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸のキメラ、およびその類似体も含む。本明細書に記載される核酸は周知のデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドから構成されてもよく、それらはアデノシン、シトシン、グアニン、チミジン、およびウリジンから構成されるか、またはそれらの塩基の類似体もしくは誘導体から構成されてもよい。更に、慣例的でないホスホジエステル骨格を有する種々の他のオリゴヌクレオチド誘導体も含まれ、それらには例えばホスホトリエステル、ポリヌクレオペプチド(PNA)、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ポリヌクレオチドプライマー、ロックト核酸(LNA)などがある。
【0026】
本明細書で使用する“組成物”とは2つ以上の産物または化合物の混合物をいう。これは溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらを組み合わせたものでもよい。
【0027】
本明細書で使用する“組み合わせ”とは、2つ以上のものを合わせることをいう。
【0028】
B.Flt3リガンドおよび殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質およびそれをコードする核酸
ある観点では本発明は、Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質に関する。好ましくはキメラタンパク質は単離されたタンパク質である。すなわち他のタンパク質、ポリペプチド、または他の分子を含有しない。ある態様では、キメラタンパク質は組換え宿主細胞培養液の精製産物または精製された抽出物である。
【0029】
任意の好適なFlt3リガンドを本明細書に記載する組成物および方法に含んでもよい。本明細書で使用する“Flt3リガンド”という用語は、前駆細胞中に見いだされる、Flt3受容体に結合し、それを介するシグナリングを誘導するポリペプチドの種類をいう。Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントは、その活性を実質的に変更しない保存的なアミノ酸置換を含んでもよい。好適なアミノ酸の保存的置換は当業者に周知であり、一般に、得られる分子の生物学的活性を変更することなく施与することができる。当業者に認識されるように、一般にポリペプチドの非本質的な領域における1個のアミノ酸置換は生物学的活性を実質的に変更しない。例えばWatsonら, MOLECULAR BIOLOGY OF THE GENE, 第4版, 1987, The Benjamin/Cummirigs Pub. Co. , p. 224参照。それらの代表的な置換は好ましくは以下の表1に記載されるものに従って施与される。
【0030】
【表1】

他の置換も可能であり、経験的に、または既知の保存的置換に従って決定することができる。
【0031】
Flt3リガンドは可溶性ホモダイマータンパク質として放出されうるI型膜貫通タンパク質である。例えばLymanら, Flt3 ligand in THE CYTOKINE HANDBOOK (Thomsonら編, 第4版(2003))参照。ある態様では、Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントは可溶性Flt3リガンドである。本明細書に記載する組成物および方法のある態様では、Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントは、哺乳動物Flt3リガンド、より好ましくはヒトFlt3リガンドである。ヒトFlt3リガンドはマウスタンパク質とアミノ酸レベルで72%の同一性を有し、マウスタンパク質の多くの特徴(グリコシル化部位、重要なシステイン残基、およびスプライス部位を含む)を保存している。好適なFlt3リガンドタンパク質にはLymanら, Cell 75: 1157-67 (1993);Hannumら, Nature, 368 : 364-67 (1996);米国特許第5,843,423号;米国特許出願第200030113341号および20030148516号に開示されるもの、およびGenebank登録番号NM 001459、U2 9874、U03858、およびU04806がある。
【0032】
Flt3リガンド受容体、Flt3はクラスIII受容体チロシンキナーゼ(RTKIII)受容体ファミリーのメンバーである。正常細胞では、Flt3は未成熟造血細胞、一般にCD34+細胞、胎盤、生殖腺、および脳で発現する。例えばRosnetら, Blood 82: 1110-19 (1993);Smallら, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 91: 459-63 (1994);およびRosnetら, Leukemia 10: 238-48 (1996)参照。Flt3は、急性骨髄性白血病、B前駆細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成白血病、T細胞急性リンパ芽球性白血病、および慢性骨髄性白血病を含む血液腫瘍でも高度に発現される。Flt3リガンドによるその受容体の刺激により、STAT5、ホスホチジルイノシトール3’-キナーゼ、PLCy、MAPK、SHC、SHP2、およびSHIPを含むシグナル変換経路が活性化される。例えばGilliandら, Curr. Opin. Hemato. 9: 274-81 (2002)参照。膜結合型および可溶性FLはいずれもFlt3受容体に結合し、これを活性化する。
【0033】
ある態様では、Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントは造血性の幹細胞または前駆細胞の増殖を刺激する。特定の態様では、Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントは骨髄前駆細胞、単核細胞、マクロファージ、B細胞、樹状細胞(DC)、およびナチュラルキラー細胞(NK)からなる群から選択される細胞の増殖を刺激する。Flt3リガンドは骨髄環境における造血細胞および他の細胞(線維芽細胞、並びにB、T、および骨髄細胞前駆体を含む)で主に発現される。Flt3リガンドはCD34+前駆細胞の増殖因子であり、樹状細胞およびNK細胞の増殖および分化の両方を刺激する。例えばある研究では、Flt3はNK細胞の活性化を通して、有意な抗癌活性に介在することが示唆されている。Peronら, J. Immunol. 161: 6164-70 (1998)。
【0034】
Flt3リガンドはDCの成熟も促進し、これによってDCは腫瘍抗原の抗原提示細胞としてより有効となる。例えばFongら, Gene Ther. 9 (17) : 1127-38 (2002)参照。更に重要なことに、成熟DCはFlt3リガンドによって誘導されると骨髄から末梢組織に放出され、それによって免疫応答を刺激できる抗原提示細胞の数が増加する。しかしながら、Flt3リガンドによる増殖の効率的な誘導には、一般に他の造血増殖因子およびインターロイキンの存在が必要とされる。
【0035】
FLのいずれの生物学的フラグメントも本発明の組成物および方法に使用することができる。本明細書で使用する“生物学的に活性な”という用語は、Flt3の刺激物質としてのその機能を実質的に保持しているFLの誘導体またはフラグメントをいう。一般に、Flt3リガンドは細胞上のFlt3に結合し、1つ以上のシグナル変換経路を刺激し、細胞応答、例えば増殖を引き起こす。通常、誘導体またはフラグメントはそのFlt3刺激活性の少なくとも50%を保持する。好ましくは、誘導体またはフラグメントはそのFlt3刺激活性の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%、および100%を保持する。Flt3刺激活性は好適な方法で測定することができ、それらには、限定されるわけではないがシグナリング分子(例えばSTAT5、PLCγ)の活性化の測定、またはFlt3依存型細胞系におけるインビトロでの増殖活性の評価がある。例えば、BAF/BO3細胞系はFlt3受容体を有さず、IL-3に依存的である。しかしながら、BAFBO3細胞系にFlt3をトランスフェクトすると、Flt3リガンド誘導型増殖に応答するようになる。Hatakeyamaら, Cell 59: 837-45 (1989)参照。
【0036】
ある態様では、キメラタンパク質中のFlt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を有する。ある態様では、Flt3リガンドはSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体に結合し、Flt3リガンドは実質的にその生物学的活性を保持する。いずれのFlt3リガンド特異的抗体を使用してもよい。別の態様では、Flt3リガンドはSEQ ID NO:2のアミノ酸28から128と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に別の態様では、Flt3リガンドはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基28-160、およびSEQ ID NO:2のアミノ酸残基28-182からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の態様では、Flt3リガンドはSEQ ID NO:2のアミノ酸28から128を含む。別の態様では、Flt3リガンドは少なくとも100個のアミノ酸残基を含み、Flt3リガンドはSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列と少なくとも40%の同一性を有し(同一性のパーセンテージはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列と同一サイズのアミノ酸配列について測定する)、そしてFlt3リガンドはその生物学的活性を実質的に保持する。
【0037】
任意の殺腫瘍物質または生物学的に活性なそのフラグメントを本明細書に記載する方法および組成物に使用することができる。本明細書で使用する“殺腫瘍物質”という用語は腫瘍細胞の細胞死を引き起こす物質をいう。殺腫瘍物質は好ましくはタンパク質性またはペプチド性の物質である。細胞死はアポトーシス性、壊死性などである。ある態様では、細胞死はアポトーシスから起こる。アポトーシスはアポトーシスシグナリング経路を誘導するリガンド(例えばFasリガンド)を通して直接的に、または例えば増殖因子の喪失によって間接的に誘導できる。本明細書で使用する“アポトーシス”という用語は、最終的にクロマチンの濃縮およびDNAのフラグメンテーションを起こす、腫瘍細胞のプログラムされた細胞死をいう。好適な方法を使用してアポトーシスを評価することができ、それらには、限定されるわけではないが、フローサイトメトリー分析、例えばTUNEL分析、アガロースゲル分析、およびカスペース3活性化がある。別の態様では、キメラタンパク質の殺腫瘍物質は天然に存在する抗腫瘍物質である。それらの物質には、腫瘍細胞において活動停止状態(stasis)または細胞死を誘発する受容体のリガンドが含まれる。アポトーシスを誘導する天然に存在する分子(例えばリガンド)の代表的なものには、TNF-α、Fas(CD95)リガンド、TRAIL、リンホトキシン(LT)、TWEAK、およびTNFリガンド・スーパーファミリーの他のメンバーがある。ある態様では、殺腫瘍物質はFasリガンド、TNF、TRAIL、または生物学的に活性なそれらの細胞外ドメインからなる群から選択される。別の態様では、殺腫瘍物質の生物学的に活性なフラグメントはそのアポトーシス活性の少なくとも50%を保持する。好ましくは誘導体またはフラグメントはそのアポトーシス活性の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%、および100%を保持する。
【0038】
別の態様では、キメラタンパク質の殺腫瘍物質は腫瘍の増殖を阻害し、場合によってはアポトーシスを誘導する抗体である。それらの抗体の代表的な標的には増殖因子受容体がある。例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)サブファミリーはEGFR、HER2、HER3、およびHER4から成り、それらは全てチロシンキナーゼ活性を有する膜貫通タンパク質である。これらのタンパク質は多くの悪性腫瘍(前立腺癌、大腸癌、乳癌、膵臓癌、腎臓癌、卵巣癌、および肺癌を含む)で高レベルに発現される。特定の抗EGFRまたは抗HER2 mAbはEGFRまたはHER2がそのリガンドに結合するのを阻害し、それに伴って腫瘍の増殖シグナリング経路を阻害して腫瘍の増殖を阻止し、腫瘍細胞のアポトーシスを直接的または間接的に誘導する。例えばClin. Cancer Res. 8: 1720-30 (2002);Brodowiczら, Br. J. Cancer 85: 1764- 70 (2001);Crombet-Ramosら, Int. J Cancer 101: 567-75 (2002);Herbstら, Expert Opin. Biol. Ther. 1: 719-32 (2001)参照。
【0039】
更に別の態様では、キメラタンパク質の殺腫瘍物質はアポトーシスを誘導する、腫瘍特異的または腫瘍関連抗原に結合する抗体である。例えばp230はヒト肝臓癌、乳癌、および黒色腫細胞で特異的に発現するタンパク質である。その名称の由来は、mAb SM5-1を使用するウェスタンブロットで現れる明白な特有の230KDのバンドである。例えば米国特許出願第09/915,746号参照。P230は非常に特異的であるため、腫瘍の免疫療法において標的遺伝子として使用できる。アポトーシスはP230とそのリガンドまたは抗体との結合によって誘導される。抗SM5-1抗体の一部を実施例3に記載する。特定の態様では、抗体は共出願中の特許出願(Attorney Docket No. 54906-2000100 ;標題: ANTIBODIES SPECIFIC FOR CANCER ASSOCIATED ANTIGEN SM5-1 AND USES THEREOF)(2003年11月26日出願;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるSM5-1抗体である。本明細書に記載するヒト化抗SM5-1抗体は、共出願特許中のReSM5-1をさす。
【0040】
ある態様では、殺腫瘍物質は抗体または生物学的に活性なそのフラグメントである。本明細書で使用する“抗体”という用語は、無傷の抗体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、ダイアボディー、1本鎖抗体、および抗体フラグメントから生成される多特異性抗体を指し、ここで分子はその所望される生物学的活性の全てを実質的に保持する。本発明の方法および組成物に有用な抗体は細胞培養液、ファージ、または種々の動物内で生成でき、それらの動物には、限定されるわけではないが以下がある:ウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、類人猿。従って本発明の方法に有用な抗体は哺乳動物抗体である。
【0041】
ファージ技術を使用して最初の抗体の単離、または特異性もしくは結合活性を変化させた変異体の生成を行うことができる。それらの技術は当該分野で慣例的かつ周知である。ある態様では、抗体を当該分野で知られる組換え法によって生成する。例えば、抗体をコードするDNA配列を含むベクターを宿主細胞にトランスフェクトして組換え抗体を生成することができる。1つ以上のベクターを使用して、宿主細胞において少なくとも1つのVLおよび1つのVH領域を発現するDNA配列をトランスフェクトすることができる。抗体の創製および生成のための組換え法に関する代表的な記述はDelves, ANTIBODY PRODUCTION: ESSENTIAL TECHNIQUES (Wiley, 1997);Shephardら, MONOCLONAL ANTIBODIES (Oxford University Press, 2000);およびGoding, MONOCLONAL ANTIBODIES : PRINCIPLES AND PRACTICE (Academic Press, 1993)に見られる。
【0042】
本発明の方法に有用な抗体を組換え法によって修飾し、所望の機能への介在における抗体の有効性を増加することができる。組換え法を使用して、置換によって抗体を修飾することも企図される。一般に、置換は保存的な置換である。例えば抗体の不変領域の少なくとも1つのアミノ酸を異なる残基で置換することができる。例えば米国特許第5,624,821号、米国特許第6,194,551号、国際特許出願WO 9958572号;およびAngalら, Mol. Immunol. 30: 105-08 (1993)参照。アミノ酸の修飾にはアミノ酸の欠失、付加、置換がある。場合によっては、所望しない活性(例えば補体依存性細胞障害)を低下させるためにそれらの変更を行う。
【0043】
抗体はヒト化抗体であってもよい。ここで使用する“ヒト化抗体”という用語は、非抗原結合領域におけるアミノ酸配列を変化させて、元の抗原特異性は保持しつつ、ヒト抗体により近似させた抗体をいう。一般に可変領域は1つの種(例えばマウス)、不変領域はヒトに由来する。抗体はキメラ抗体であってもよい。本明細書で使用する“キメラ抗体”という用語は、アミノ酸配列を変化させて、元の抗原特異性は保持しつつ、1つより多い哺乳動物由来の配列を含有させた抗体をいう。本明細書で使用する“1本鎖可変フラグメント(ScFv)”という用語は、フレキシブルなペプチドリンカーで連結された免疫グロブリンの可変重鎖(VH)および軽鎖(VL)から成る遺伝子組換え抗体を言う。
【0044】
好ましくは、本発明の方法および組成物の抗体はモノクローナル抗体である。本明細書で使用する“モノクローナル抗体”という用語は単一のB細胞によって生成される単一の抗体をいう。
【0045】
抗体はヒト抗体であってもよい。本明細書で使用する“ヒト抗体”という用語は、軽鎖および重鎖配列の本質的に全ての配列(相補性決定領域(CDR)を含む)がヒト遺伝子由来である抗体をいう。ある態様では、ヒトモノクローナル抗体の調製はトリオーマ法、ヒトB細胞法(例えばKozborら, Immunol. Today 4; 72 (1983)参照)、EBV形質転換法(例えばColeら, MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY 77-96 (1985)参照)、またはファージディスプレー法(例えばMarksら, J. Mol. Biol. 222: 581 (1991)参照)を使用して行う。特定の態様では、ヒト抗体をトランスジェニックマウスにおいて産生させる。そのような部分的または完全長のヒト抗体の生成法は当該分野で周知であり、それらの方法を使用することができる。ある特定の好ましい態様では、ヒト重鎖および軽鎖抗体遺伝子を発現するように操作したトランスジェニックマウスで完全長のヒト抗体配列を生成させる。ヒト抗体を産生するトランスジェニックマウスの調製に関する代表的な記述は国際特許出願WO 02/43478号に見られる。次いで、所望の抗体を産生するトランスジェニックマウス由来のB細胞を融合させ、抗体の連続的産生のためのハイブリドーマ細胞系を生成することができる。例えば米国特許第5,569,825号;5,625,126号;5,633,425号;5,661,016号;および;5,545, 806号;並びにJakobovits, Adv. DrugDel. Rev. 31: 33- 42 (1998);Greenら, J. Exp. Med. 188: 483-495 (1998)参照。
【0046】
ある態様では、本明細書に記載する抗体は標的とされた腫瘍細胞の増殖を阻害する。抗体が細胞の増殖を抗体の非存在下または非結合性抗体の存在下における細胞の増殖に比較して阻害している場合、同抗体は増殖阻害性である。増殖は任意の好適な方法を使用して定量してもよい。一般に、増殖の測定はインビトロにおけるDNAへの放射性標識ヌクレオチドの取り込みの評価によって行う(例えば3H-チミジン)。ある態様では、増殖はATP発光、例えばCellTiter-GIo(商標) Luminescent Cell Viability Assay (Promega)によって測定する。従って抗体は細胞の生存能力または細胞増殖を調節する分子に特異的であるか、またはそれを標的とするものであってもよい。
【0047】
ある態様では、抗体は抗p230抗体、抗CD20抗体、抗Her2抗体、抗Her3抗体、抗Her4抗体、抗EGFR抗体、または生物学的に活性なそれらのフラグメントからなる群から選択される。これらの抗体の代表的な態様には下記の実施例の項並びに米国特許第5,677,171号; 6,399,061号;6,458,356号;6,455,043号;および5,705,157号に開示されるものがある。
【0048】
Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントおよび殺腫瘍物質を含有するキメラタンパク質は任意の好適な結合で連結させてもよい。例えばFlt3リガンドおよび殺腫瘍物質はペプチド性リンカー、開裂可能なリンカーなどで結合してもよい。特定の態様では、結合ペプチドは(Gly4Ser)3である。
【0049】
本明細書に記載する組成物および方法のキメラタンパク質は、任意の順で結合したFlt3リガンドおよび殺腫瘍物質を含むことができる。ある態様では、Flt3リガンドはキメラタンパク質のN末端に位置する。別の態様では、Flt3リガンドはキメラタンパク質のC末端に位置する。
【0050】
キメラタンパク質は、ペプチド性タグを含むペプチド性フラグメントをそのC末端に更に含んでもよい。任意の好適なタグを使用してもよい。例えばタグはFLAG、HA、HA1、c-Myc、6-His、AU1、EE、T7、4A6、ε、B、gE、およびTy1タグであってもよい(表2参照)。それらのタグはキメラタンパク質の精製プロトコールに有用である。
【0051】
【表2】

【0052】
ある態様では、キメラタンパク質はSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:22、またはSEQ ID NO:26で表されるアミノ酸配列を含む。
【0053】
別の態様では本発明はキメラタンパク質をコードする単離された核酸またはその相補鎖に関し、同キメラタンパク質はFlt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む。ある態様では、キメラタンパク質はSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:21、またはSEQ ID NO:25で表されるヌクレオチド配列を含む単離された核酸にコードされる。キメラタンパク質をコードする単離された核酸を含むベクターも企図される。ベクターはFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質をコードする核酸に機能的に結合する発現調節配列を更に含んでもよい。
【0054】
Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントをコードする好適なDNAコンストラクトを本発明に使用することができる。それらのコンストラクトには、限定されるわけではないがGenbank登録番号U03858およびATCC登録番号ATCC 69382の核酸配列がある。米国特許第5,843,423号;および米国特許出願第200030113341号および第20030148516号に記載されるDNA配列およびそれから得られるタンパク質も本発明における使用が企図される。
【0055】
殺腫瘍物質または生物学的に活性なそのフラグメントをコードする好適なDNAコンストラクトを本明細書の組成物および方法に使用することができる。代表的な配列には下記の実施例の項に開示するものがある。
【0056】
任意の好適なベクターを使用することができる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主と共に使用するための代表的なクローニングおよび発現ベクターは例えばPouwelsら, CLONING VECTORS: A LABORATORY MANUAL (Elsevier最新版)に記載されている。
【0057】
発現ベクターには好適な転写または翻訳調節ヌクレオチド配列(例えば哺乳動物、微生物、ウィルス、または昆虫遺伝子由来のもの)に機能的に結合したキメラタンパク質DNA配列がある。調節配列の例には転写プロモーター、オペレーター、またはエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、並びに転写および翻訳の開始および停止を調節する好適な配列がある。調節配列がキメラタンパク質DNA配列と機能的に関係するとき、ヌクレオチド配列は“機能的に結合している”。従って、プロモーターヌクレオチド配列がキメラタンパク質をコードするDNA配列の転写を調節するとき、プロモーターヌクレオチド配列はキメラタンパク質をコードするDNA配列に機能的に結合する。所望の宿主細胞における複製能力(通常、複製起点によって与えられる)およびトランスフォーマントを同定するための選択遺伝子を発現ベクターに更に導入してもよい。
【0058】
更に、天然ではFlt3リガンドまたは殺腫瘍物質と結合しない好適なシグナルペプチドをコードする配列を発現ベクターに導入することができる。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNA配列をキメラタンパク質をコードする配列にインフレームで融合し、配列がまずシグナルペプチドを含む融合タンパク質として翻訳されるようにしてもよい。企図する宿主細胞において機能的であるシグナルペプチドはキメラポリペプチドの細胞外分泌を促進する。シグナルペプチドは細胞からのキメラポリペプチドの分泌の際、キメラポリペプチドから開裂される。
【0059】
哺乳動物または昆虫宿主細胞培養系を使用して組換えキメラポリペプチドを発現させてもよい。昆虫細胞における異種タンパク質の生成のためのバキュロウィルス系はLuckowおよびSummers, Bio/Technology 6: 47 (1988)に記載されている。哺乳動物由来の確立された細胞系を使用してもよい。好適な哺乳動物宿主細胞系の例には以下がある:サル腎臓細胞のCOS-7系(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら, Cell23 : 175, 1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、およびBHK(ATCC CRL 10)細胞系、およびアフリカミドリザル腎臓細胞系CVI(ATCC CCL 70)由来のCV-1/EBNA-1細胞系(McMahanら(EMBO J : 10: 2821, 1991)に記載)、およびNSO細胞系(Galfreら, Methods Enzymol. 73: 3-46 (1981))。
【0060】
哺乳動物宿主細胞発現ベクターの転写および翻訳調節配列はウィルスゲノムから切り出してもよい。一般に使用されるプロモーター配列およびエンハンサー配列はポリオーマウィルス、アデノウィルス2、シミアンウィルス40(SV40)、およびヒトサイトメガロウィルスに由来する。SV40ウィルスゲノムに由来するDNA配列(例えばSV40の起点、初期および後期プロモーター、エンハンサー、スプライス、およびポリアデニル化部位)を使用して、哺乳動物宿主細胞における構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝要素を提供してもよい。ウィルスの初期および後期プロモーターはいずれも、ウィルス複製起点も含むフラグメントとしてウィルスゲノムから容易に得られるので、特に有用である。例えばFiersら, Nature 273 : 113 (1978)参照。より小さい、またはより大きいSV40フラグメントを使用してもよく、これはSV40ウィルス複製起点部位に位置するHindIII部位からBgl1部位までの約250bp配列で提供される。
【0061】
哺乳動物宿主細胞で使用するための代表的な発現ベクターはOkayamaおよびBerg, Mol. Cell. Biol. 3 : 280 (1983)に開示されるように構築できる。C127マウス乳房上皮細胞における哺乳動物cDNAの安定な高レベル発現に有用な系を実質的にCosmanら(Mol. Immunol. 23: 935, 1986)に記載されるようにして構築することができる。有用な高度発現ベクター、PMLSV N1/N4(Cosman ら, Nature 312: 768, 1984に記載)は登録番号ATCC 39890で寄託されている。更なる有用な哺乳動物発現ベクターはヨーロッパ特許出願EP-A-0367566号および米国特許出願第07/701,415号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。ベクターはレトロウィルス由来でもよい。天然のシグナル配列の代わりに以下のような異種シグナル配列を付加してもよい:米国特許第4,965,195号に記載されるIL-7のシグナル配列;Cosmanら, Nature 312: 768 (1984)に記載されるIL-2受容体のシグナル配列;ヨーロッパ特許EP 367,566号に記載されるIL-4シグナルペプチド;米国特許第4, 968,607号に記載されるI型IL-1受容体シグナルペプチド;およびヨーロッパ特許EP 460,846号に記載されるII型IL-1受容体シグナルペプチド。
【0062】
キメラタンパク質の生成法も企図され、方法は、Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントおよび殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質をコードする核酸を含む組換え細胞を増殖させ、コードされるキメラタンパク質を細胞で発現させ、発現されたキメラタンパク質を回収することを含む。ある態様では、方法は回収されたキメラタンパク質を単離および/または精製することを更に含む。方法の産物も更に企図される。キメラタンパク質は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)による分析で1本のタンパク質バンドで示されるように実質的に均質にすることができる。例えば、組換えタンパク質を分泌する発現系を使用する場合、市販のタンパク濃縮フィルター(例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニット)を使用して培養液をまず濃縮してもよい。濃縮段階に続き、濃縮物を精製マトリクス(例えばゲル濾過メディウム)に適用することができる。あるいはまたアニオン交換樹脂、例えばペンダント・ジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリクスまたは基質を使用することができる。マトリクスはアクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、または一般にタンパク質精製に使用される他の型のものであってもよい。あるいはまた、カチオン交換段階を使用してもよい。好適なカチオン交換にはスルホプロピルまたはカルボキシメチル基を含む種々の不溶性マトリクスがある。スルホプロピル基は好ましい。最後に、1つ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)段階(疎水性RP-HPLCメディア、例えばペンダント・メチルまたは他の脂肪族基を使用)を使用してキメラタンパク質を更に精製することができる。上記の精製段階の一部または全部を種々に組み合わせたものは周知であり、これを使用して実質的に均質な組換えタンパク質を提供することができる。
【0063】
Flt3受容体のリガンド結合ドメインを含むアフィニティーカラムを使用して、発現されたキメラポリペプチドのアフィニティー精製を行うことができる。アフィニティーカラムからのキメラポリペプチドの除去は慣例的な方法を使用して(例えば高塩溶出バッファーを使用し、その後低塩バッファーに対して透析して使用するか、または使用するアフィニティーマトリクスによってpHもしくは他の成分を変化させることによって)行うことができる。あるいはまた、アフィニティーカラムはFLに結合する抗体を含んでもよい。
【0064】
形質転換した酵母宿主細胞を使用し、分泌されたポリペプチドとしてキメラタンパク質を発現させ、精製を容易にしてもよい。酵母宿主細胞発酵からの分泌された組換えポリペプチドをUrdalら(J. Chromatog. 296: 171, 1984)に開示されるのと類似した方法で精製できる。
【0065】
核酸を含む組換え細胞も提供される。ある態様では、細胞は真核細胞である。特定の態様では、細胞はCHO、COS、またはNSO細胞である。
【0066】
キメラタンパク質およびキメラタンパク質をコードする核酸は任意の好適な方法、例えば化学合成、組換え生成、またはそれらを組み合わせて調製してもよい。例えばCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, Ausubelら編, John Wiley & Sons, Inc. (2000)および Sambrookら, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory press, (1989)参照。代表的な方法では、キメラタンパク質をコードする核酸を、Prodromouら, Protein Eng. 5(8) : 827-29 (1992)に開示されるように再帰的PCR法を使用して調製する。
【0067】
Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントおよびまたはペプチド性殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質および医薬的に許容されるキャリアーまたは賦形剤を含有する医薬組成物が企図される。従って、本発明の方法に従って使用するための医薬組成物の調製は、慣例的な方法によって、活性化合物を医薬的に使用できる製剤に加工するのを容易にする添加剤および補助剤を含む1つ以上の生理学的に許容されるキャリアーを使用して行ってもよい。これらの医薬組成物の製造は周知の方法(例えば慣例的な混合、溶解、顆粒化、糖衣、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥加工)で行ってもよい。好適な製剤は選択する投与経路に依存する。液体投与の場合、液体キャリアー、例えば水、石油、動物もしくは植物由来の油(例えばピーナツ油、鉱油、大豆油、またはゴマ油)、または合成油を添加してもよい。液体の医薬組成物は生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖溶液、またはグリコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール)を更に含んでもよい。液体投与の場合、医薬組成物は約0.5から90%(重量比)、好ましくは約1から50%の本発明のタンパク質を含む。
【0068】
別の観点では、a)Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質;およびb)有効量の抗新生物物質を含有する複合剤を提供する。ある態様では、抗新生物物質は黒色腫、乳癌、または肝細胞癌の増殖を阻害する物質である。増殖阻害は腫瘍細胞における活動停止状態または細胞死の誘導を通して起こりうる。代表的な抗新生物物質にはサイトカイン、リガンド、抗体、放射性核種、および化学療法薬がある。それらの物質には以下がある:インターロイキン2(IL-2)、インターフェロン(IFN)、TNF;光増感剤(アルミニウム(III)フタロシアニンテトラスルホネート、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニンを含む);放射性核種(例えばイオジン-131(131I)、イットリウム-90(90Y)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、テクネチウム-99m(99mTc)、レニウム-186(186Re)、およびレニウム-188(188Re));化学療法薬(例えばドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、ダウノマイシン、ネオカルジノスタチン、およびカルボプラチン);細菌、植物、および他の毒素(例えばジフテリア毒素、シュードモナス・エキソトキシンA、ブドウ球菌エンテロトキシンA、アブリンA毒素、リシンA(脱グリコシル化リシンAおよび天然のリシンA)、TGF-α毒素、チャイニーズコブラ(naja naja atra)由来のサイトトキシン、およびゲロニン(gelonin;植物毒));植物、細菌、および真菌由来のリボソーム不活性化タンパク質(例えばレストリクトシン(restrictocin)(アスペルギウス・レストリクツス(Aspergillus restrictus)由来のリボソーム不活性化タンパク質)、サポリン(サボンソウ(Saponaria officinalis)由来のリボソーム不活性化タンパク質)、およびRNアーゼ);チロシンキナーゼ阻害剤;ly207702(2フッ化プリンヌクレオシド);リポソーム含有抗腫瘍物質(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素をコードするプラスミド、メトトレキサートなど);および他の抗体または抗体フラグメント(例えばF(ab))。
【0069】
ある観点では、本明細書に開示する方法を実施するためのキットを提供する。それらのキットは1つ以上の容器、医薬的に許容される形態のFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質、および企図されるキメラタンパク質の投与のための説明書を含む。ある態様では、キットは有効量の上記の抗新生物物質を更に含む。好ましい医薬形態は無菌食塩水、デキストロース溶液、もしくはバッファー溶液、または他の医薬的に許容される無菌液と組み合わせたものである。あるいはまた、組成物を凍結乾燥または乾燥してもよい;その場合、キットは必要により容器に入れた医薬的に許容される溶液(好ましくは無菌)を更に含み、複合物を再構成して注射用の溶液を調製する。医薬的に許容される溶液の代表的なものは食塩水およびデキストロース溶液である。別の態様では、本発明のキットは組成物を注射するための(好ましくは無菌包装した)針またはシリンジ、および/またはパッケージングしたアルコールパッドを更に含む。必要により医師または患者が組成物を投与するための説明書を含んでもよい。
【0070】
本明細書で使用する“治療的有用量”または“有効量”という用語は、単独で、または更なる治療物質と併せて細胞、組織、または被験体に投与した際に、腫瘍もしくは腫瘍関連疾患の症状または腫瘍増殖の進行を阻害または改善するのに有効なキメラタンパク質の量をいう。更に治療的有効量は、症状の改善、例えば関連する医学的状態の治療、治癒、予防、もしくは改善、またはそれらの症状の治療、治癒、予防、もしくは改善の速度の増加をもたらすのに十分な化合物の量も指す。個別の活性成分の単独投与に適用する場合、治療的有効量はその成分だけをいう。複合剤に適用する場合、治療的有効量は、連続的または同時に組み合わせて投与した際に治療的有効性が得られる、活性成分の合わせた量をいう。
【0071】
C.Flt3リガンドおよび殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質を使用する方法
別の観点では、細胞においてカスペース-3介在型アポトーシスを誘導する方法を提供し、方法はそれらの誘導が必要または所望される細胞に、Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質を投与することを含む。ある態様では、細胞は哺乳動物細胞である。特定の態様では、細胞は哺乳動物新生物細胞である。ある態様では、細胞は哺乳動物に含まれる。
【0072】
カスペース活性化は細胞におけるアポトーシス変化において重要な役割を果たす。例えばBudihardjoら, Ann. Rev. Cell Dev. Biol. 15: 269-90 (1999)参照。カスペースはシステインプロテアーゼのファミリーであり、開裂はアスパラギン酸の直後であり、開裂部位まで少なくとも4個のN末端アミノ酸から成る認識配列が存在することを絶対条件とする。例えばGrutter, Curr. Op. Struct. Biol. 10: 649-55 (2000)参照。カスペース3はCPP32、YAMA、およびアポパイン(apopain)としても知られ、WEHD開裂部位への特異性を有する。これはラミン、PARP、DFFなどのような種々の基質を開裂するように作用する下流または実行カスペースである。細胞内に不活性チモーゲンとして存在するカスペース3の活性化は、リガンド(例えばFasリガンド、TNF、またはTRAIL)が好適なその受容体に結合することによって誘引される細胞外アポトーシス刺激に次いで活性化されるカスペース9およびApaf-1(上流カスペース)による開裂に続いて起こる。カスペースの活性化は当該分野で周知の方法を使用して容易に測定できる。代表的な方法は、例えばAPOPTOSIS: A PRACTICAL APPROACH (Studzinski, 編 1999)に記載されている。
【0073】
カスペース3はアポトーシスまたはプログラム細胞死に重要なシステインプロテアーゼ・ファミリーのメンバーである。例えばGrutter, Curr. Opin. Structural Biol. 10: 649-55 (2000); Budihardjoら, Annu. Rev. Cell. Dev. Biol. 15: 269-90 (1999)参照。カスペース3はプロ酵素として細胞内に存在し、(一般に“開始(initiator)カスペース”、例えばカスペース8、9、または10による)タンパク質分解によって活性化される。次いで活性カスペース3は他のタンパク質(主にDNA修復過程または細胞骨格もしくは核の足場(scaffold)の構成要素に関係するもの)を、認識配列DEVDを含む部位のアスパラギン酸の後で開裂する。カスペース3の活性化の検出は当該分野で慣例的かつ周知である。例えば米国特許第6,342,611号;6,391,575号;6,335,429号;および米国特許出願第20030186214号参照。従って、カスペース3の活性化を検出する好適な方法を本明細書で使用してもよい。
【0074】
本明細書は、哺乳動物の新生物の治療におけるFlt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質の使用法を提供し、方法はそれらの治療が必要または所望される哺乳動物に有効量の上記B項に開示するキメラタンパク質を投与することを含む。ある態様では、新生物は黒色腫、乳癌、または肝細胞癌である。
【0075】
更に別の観点では、本明細書は腫瘍特異的リンパ球の生成法を提供し、方法は哺乳動物にFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質を投与して腫瘍特異的リンパ球を生成させ、該生成された腫瘍特異的リンパ球を該哺乳動物から回収することを含む。
【0076】
B項に開示するキメラタンパク質およびB項に開示する抗新生物物質の複合剤の有効量を、それらの治療が必要または所望される哺乳動物に投与する方法も企図される。
【0077】
任意の被験体を本明細書に記載する方法および組成物で治療することができる。それらの被験体は哺乳動物、好ましくはヒトである。ある特定の態様では、被験体は癌を有する。開示する方法および組成物の獣医学における使用も企図される。
【0078】
本発明の方法で治療する被験体には腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、肉腫、または奇形癌を有する被験体がある。腫瘍は以下の癌であってもよい:副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頸、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、および子宮。それらの腫瘍には、限定されるわけではないが以下がある:中枢神経系の新生物;多形神経膠芽腫、星状細胞腫、乏突起膠細胞腫、上衣細胞および脈絡叢腫瘍、松果体部腫瘍、ニューロン性腫瘍(neuronal tumors)、髄芽腫、神経鞘腫、髄膜腫、髄膜肉腫;眼部の新生物;基底細胞癌;扁平上皮癌、黒色腫、横紋筋肉腫、網膜芽腫;内分泌腺の新生物;脳下垂体の新生物、甲状腺の新生物、副腎皮質の新生物、神経内分泌系の新生物、胃腸膵管内分泌系の新生物、性腺の新生物;頭頚部の新生物;頭頚部癌、口腔、咽頭、喉頭、歯性腫瘍;胸部の新生物;大細胞肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胸部の新生物、悪性中皮腫、胸腺腫、胸部の原発性胚細胞癌;消化管の新生物;食道の新生物、胃の新生物、肝臓の新生物、胆嚢の新生物、膵臓外分泌腺の新生物、小腸、虫垂、および腹膜の新生物、結腸および直腸の腺癌、肛門の新生物;尿生殖路の新生物;腎細胞癌、腎盂の新生物、膀胱の新生物、尿道の新生物、前立腺の新生物、陰茎の新生物、精巣の新生物;女性生殖器の新生物;外陰および膣部の新生物、子宮頚の新生物、子宮体の腺腫、卵巣癌、婦人科の肉腫;乳房の新生物;皮膚の新生物;基底膜癌、扁平上皮癌、皮幹線維肉腫、メルケル細胞腫瘍;悪性黒色腫;骨および軟組織の新生物;骨原性肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、原始神経外胚葉腫瘍、血管肉腫;造血系の新生物;脊髄形成異常症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、HTLV-1およびT細胞性白血病/リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキン氏病、非ホジキン氏リンパ腫、肥満細胞性白血病;小児の新生物;急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄球性白血病、神経芽腫、骨腫瘍、横紋筋肉腫、リンパ腫、腎臓および肝臓腫瘍。
【0079】
本明細書で使用する“阻害する”または“治療する”もしくは“治療”とは、制御されていない腫瘍増殖に伴う症状の発生の遅延および/または発生が予想される症状の重篤度の低減を含む。用語は更に、存在する制御されていないもしくは所望されない、または腫瘍増殖に関連する症状の改善、更なる症状の予防、そして潜在的な症状の代謝原因の改善または予防を含む。従って用語は、悪性腫瘍を有する、またはそれらの疾病もしくは症状を発生する可能性のある哺乳動物に有益な結果がもたらされることを意味する。
【0080】
本明細書に記載する治療法または使用法の実施において、治療的有効量の本明細書に記載するキメラタンパク質を治療すべき症状を有する哺乳動物に投与する。キメラタンパク質の投与は本明細書に記載する方法に従って単独で、または他の療法(例えば他の免疫強化因子(例えばサイトカイン)、化学療法薬、抗新生物物質などを使用する治療)と組み合わせて行ってもよい。1つ以上の生物学的に活性な物質と共投与する場合、本明細書に記載するキメラタンパク質を生物学的に活性な物質と同時に、あるいは連続的に投与してもよい。連続的に投与する場合、治療を行う医師が本発明のタンパク質を生物学的に活性な物質と併せて投与するための好適な順序を決定する。それらの治療計画の毒性および治療有効性の測定は細胞培養液または実験動物において標準的な医薬的方法によって、例えばLD50(集団の50%致死量)およびED50(集団の50%治療的有効量)の測定によって行うことができる。毒性および治療有効性間の用量比が治療指数であり、LD50およびED50間の比で表すことができる。高い治療指数を示すキメラタンパク質が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータを使用して、ヒトへの使用のための用量範囲を公式化することができる。それらの化合物の投与量は好ましくは、ED50を含み、毒性をほとんどまたは全く含まない循環濃度範囲内である。投与量は使用する投与形態および使用する投与経路によってこの範囲内で変化しうる。正確な処方、投与経路、および投与量は個々の医師が患者の状態を考慮して選択できる。例えばFinglら, THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS 1(最新版)参照。投与量および間隔を個々に調整して、活性部分の血漿レベルが所望の治療効果または最小有効濃度(MEC)を保持するのに十分であるようにしてもよい。MECは各化合物で変化するが、インビトロのデータ(例えば本明細書に記載するアッセイを使用して腫瘍増殖を50-90%阻害するのに必要な濃度)から算出できる。
【0081】
任意の好適な投与経路を使用してもよい。投与の様式は特に重要ではない。投与の形態には錠剤、トローチ剤、カシェ剤、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、パッチなどがある。例えばREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, Mack Publishing Co., Easton, Pa.(最新版)参照。
【0082】
ある態様では、投与の様式は静脈内ボーラスである。通常、処方者が本明細書に記載する抗体の投与量を決定する。投与量は個々の患者の年齢、体重、および反応に従って変化すると予想される。
【0083】
本発明の方法のタンパク質を調製および投与する方法はREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, Mack Publishing Co. , Easton, Pa.(最新版)に見られうる。本明細書に記載するキメラタンパク質を考慮した調製および投与は抗体のものと同様であると考えられる。好適な投与経路には例えば経口、直腸、経粘膜、または腸管投与;非経口運搬、例えば筋肉内、皮下、骨髄内注射、並びに髄腔内注射、心室内への直接注射、静脈内、腹膜内、鼻腔内、または眼内注射がある。医薬組成物に使用する、または本発明の方法の実施のためのキメラタンパク質の投与は種々の慣例的な方法、例えば経口摂取、吸入、局所適用または皮膚適用、皮下、腹膜内、非経口、動脈内、または静脈内注射で行うことができる。患者に静脈内投与するのが好ましい。
【0084】
あるいはまた、例えば抗体の腫瘍への直接注射によって、キメラタンパク質を全身ではなく局所投与してもよく、これは多くの場合デポー剤または徐放剤で行われる。更に、標的化した薬剤運搬系、例えば(例えば腫瘍を標的とする)組織特異的抗体でコーティングしたリポソームでキメラタンパク質を投与してもよい。リポソームは腫瘍組織に標的化され、これによって選択的に吸収される。
【0085】
本明細書に記載する治療的有効量のキメラタンパク質を静脈内、皮膚、または皮下注射によって投与する場合、本明細書に記載するタンパク質は発熱性物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形態である。それらの非経口的に許容されるタンパク質溶液の調製は、pH、等張性、安定性などを考慮して、当業者の技術範囲内である。静脈内、皮膚、または皮下注射のための好ましい医薬組成物は本発明のタンパク質に加えて等張賦形剤、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸リンゲル液、または当該分野で知られるその他の賦形剤を含むべきである。本発明の医薬組成物は安定化剤、保存剤、バッファー、抗酸化剤、または当業者に周知の他の添加剤を含んでもよい。経粘膜投与では、浸透させるべきバリアに好適な浸透剤を製剤に使用する。それらの浸透剤は一般的に当業者に周知である。
【0086】
吸入による投与では、本発明の方法に従って使用するためのキメラタンパク質を、好適な噴射剤(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガス)を使用して圧縮パックまたはネブライザーから噴射させるエアロゾルスプレーの形態で便宜に運搬する。圧縮エアロゾルの場合、一定量を運搬するためのバルブを付けることによって投与単位を測定してもよい。吸入または通気に使用するための(例えばゼラチンの)カプセルおよびカートリッジを、化合物および好適な粉末基剤(例えばラクトースまたはデンプン)の粉末混合物を含有するように調製してもよい。化合物を注射(例えばボーラス注射または持続点滴)による非経口投与用に調製してもよい。注射用製剤は保存剤を添加して、例えばアンプルまたはマルチドーズ容器に封入した単位投与の形態であってもよい。組成物は油性または水性媒質中の懸濁液、液体、またはエマルジョンの形態であってもよく、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤のような製剤化物質を含んでもよい。
【0087】
非経口投与のための医薬製剤には水溶性の形態の活性化合物の水溶液がある。更に、活性化合物の懸濁液を好適な油性注射用懸濁液として調製してもよい。好適な親油性溶媒または賦形剤には脂肪油(例えばゴマ油)もしくは合成脂肪酸エステル(例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド)、またはリポソームがある。注射用水性懸濁液は懸濁液の粘性を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含んでもよい。必要により、懸濁液は好適な安定化剤または化合物の溶解度を増加して高濃度溶液の調製を可能にする物質を含んでもよい。あるいはまた、活性成分は粉末であって、使用前に好適な賦形剤(例えば発熱物質を含有しない無菌水)と調合してもよい。
【0088】
本明細書に記載する医薬組成物に有用なキメラ抗体の量は治療すべき症状の性質および重篤度、および患者が以前に受けた治療の性質に依存する。最終的には治療を行う医師が本発明のタンパク質の量を決定し、それによって個別の患者を治療する。まず、治療を行う医師は低量の本発明のキメラタンパク質を投与し、患者の反応を観察する。患者に最適な治療効果が得られるまで本発明のキメラタンパク質の投与量を増加させ、その時点で投与量の増加を中止する。本明細書に記載する方法の実施のために使用する種々の医薬組成物は体重1kg当たり約0.01μgから約100mg(好ましくは約0.1μgから約10mg、より好ましくは約0.1μgから約1mg)の本発明のキメラタンパク質を含有すべきことが考えられる。投与の際、本発明に使用する治療組成物は、当然発熱物質を含有しない、生理学的に許容される形態である。必要により上記の組成物に含有されてもよい本発明のキメラタンパク質以外の治療的に有用な物質を代替として、または付加的に、本発明の方法において医薬組成物と同時または連続的に投与してもよい。キメラタンパク質と合一する代表的な物質には上記C項に開示するような抗新生物物質がある。
【0089】
本明細書に記載するキメラタンパク質は単独で、または他の治療法と併用して投与できる。例えば治療法はキメラタンパク質に接触させた細胞にイオン化放射線を運搬する段階を更に含んでもよい。イオン化放射線は、有害な増殖をする細胞においてかなりの程度の細胞死が誘導されるのに十分な投与量で運搬し、この判断は生存可能な悪性細胞を測定するアッセイによって行う。好ましくは誘導される細胞の死滅の程度は、抗体単独で、またはイオン化放射線単独で誘導されるものより実質的に高い。イオン化放射線の典型的な形態にはベータ線、ガンマ線、アルファ粒子、およびX線がある。これらは外部の線源、例えばX線装置もしくはガンマ線カメラから運搬するか、または患者に投与した放射線核種から悪性組織へ運搬してもよい。当該分野で周知の方法を使用して放射線核種を利用することもできる。悪性腫瘍の治療におけるイオン化放射線の使用は、例えばS. Hellman, Principles of Radiation Therapy, in CANCER: PRINCIPLES & PRACTICE OF ONCOLOGY 248 (V. T. DeVita, Jr.,ら編 , 第4版 , 1993)に報告されている。一般に使用できる投与量の範囲は約1から500cGy(すなわち約1から約500ラド)である。
【0090】
ある観点では、Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質および免疫応答増強剤を含むワクチンを提供する。
【0091】
別の観点では、哺乳動物において抗新生物免疫応答を誘引するための方法を提供し、方法はそれらの誘引が必要または所望される哺乳動物にFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質および免疫応答増強剤を含む有効量のワクチンを投与することを含む。
【0092】
本明細書で使用する“免疫応答増強剤”という用語は標的抗原(例えば腫瘍抗原)への免疫応答を向上または延長する物質をいう。免疫応答の向上は相加的であっても相乗的であってもよい。本明細書で使用する“免疫応答”という用語はB細胞介在型応答、T細胞介在型応答、またはB細胞介在型応答およびT細胞介在型応答を組み合わせたものを含む。代表的な免疫応答増強剤には、他のサイトカイン、例えばIL-12、IL-2、IFN-γ、アジュバント、免疫刺激ペプチドなどがある。本発明の組成物および方法の免疫応答増強剤は、キメラタンパク質と同時に、または連続的に、同じ投与経路で、または異なる経路で投与できる。
【0093】
ワクチン接種は慣例的な方法で実施できる。例えば免疫原を好適な希釈剤、例えば食塩水もしくは水、または完全もしくは不完全アジュバントに混合して使用してもよい。更に、免疫原はキャリアーに結合して免疫原タンパク質を形成しても、あるいはキャリアーに結合しなくてもよい。それらのキャリアー分子の例には、限定されるわけではないがウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、破傷風トキソイドなどがある。免疫原をリポタンパクに結合させるか、またはリポソームの形態で、もしくはアジュバントと共に投与してもよい。免疫原は抗体産生に好適な任意の経路で投与してもよく、それらには静脈内、腹膜内、筋肉内、皮下などがある。免疫原は一度に投与するか、または有意な力価の抗腫瘍細胞T細胞応答もしくは抗腫瘍細胞抗体が産生されるまで一定間隔をあけて投与してもよい。抗腫瘍細胞応答の存在は免疫化の前後での腫瘍抗原に対する前駆CTL(細胞障害性Tリンパ球)の頻度の測定によって評価してもよい。例えばCoulie, P.ら, Int. J. Cancer 50: 289-97 (1992)参照。抗体は当該分野で知られる免疫アッセイを使用して血清中で検出してもよい。
【0094】
本発明のワクチンの投与は予防または治療目的のいずれであってもよい。予防的に用いる場合、いずれの形跡にも先立って、または悪性腫瘍による症状に先立って、キメラタンパク質を投与する。キメラタンパク質の予防的投与は哺乳動物、好ましくはヒトにおける悪性腫瘍を予防する、または減衰させる役割を果たす。治療的に用いる場合、疾病の発症時(またはその直後)、または疾病の症状の発生時にキメラタンパク質を投与する。キメラタンパク質の治療的投与は疾病を減衰させる役割を果たす。
【0095】
罹患部位への局所投与は当該分野で周知の方法によって行ってもよく、それらには、限定されるわけではないが局所適用、注射、および組換えにより融合体を発現する細胞を含む多孔性装置のインプラント、キメラタンパク質を単独または免疫応答増強剤と共に含む多孔性装置のインプラントがある。
【0096】
ワクチン製剤はまず動物モデルで、最初に齧歯類、そして非ヒト霊長類、そして最後にヒトで評価してもよい。免疫化法の安全性は免疫化した動物の一般的な健康状態に対する免疫化の影響の観察(体重変化、発熱、食欲など)、および剖検での病理学的変化の観察によって測定する。動物における初期試験後、癌患者を試験することができる。慣例的な方法を使用して患者の免疫応答を評価し、ワクチンの有効性を確認する。例えばCURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(最新版)参照。Tリンパ球が単離できる例には、限定されるわけではないが末梢血細胞リンパ球(PBL)、リンパ節、または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)がある。それらのリンパ球を治療すべき個体またはドナーから当該分野で周知の方法によって単離し、インビトロで培養できる。例えばKawakami, Y. ら, J. Immunol. 142: 2453-61 (1989)参照。リンパ球は当該分野で周知の技術を使用して培地中で培養することができる。増殖力はトリパンブルー色素の排除能アッセイで評価する。これらの感作Tリンパ球の有効性を確認するために評価しうるパラメーターには、それらに限定されるわけではないが、治療すべき哺乳動物における免疫細胞の生成または腫瘍の退縮がある。慣例的な方法を使用してこれらのパラメーターを評価する。それらの方法には細胞障害性アッセイ、混合リンパ球反応、およびサイトカイン生成アッセイがある。
【0097】
好適な腫瘍モデルを使用してキメラタンパク質の試験のためのモデルを提供することができる。マウス腫瘍レシピエントは任意の好適な系であってもよい。腫瘍は、腫瘍と同系、同種異系、または異系であってもよい。レシピエントは1つ以上の免疫関連機能において免疫競合的または免疫無防備状態であってもよく、それらには、限定されるわけではないがnu/nu、scid、およびbeigeマウスがある。ある態様では、レシピエントはトランスジェニックマウスである。ある特定の態様では、マウスはBalb/cまたはC57BL/6マウスである。任意の好適な腫瘍源を動物モデル実験に使用してもよく、それらには確立された細胞系、新鮮腫瘍サンプルから分離した細胞、および短期ポリクローナル腫瘍細胞がある。代表的な腫瘍細胞系にはRenca細胞、B16黒色腫細胞、Hepal細胞、BT-474細胞、Raji細胞、QYC細胞、D2F2細胞、4T1細胞、A20細胞がある。キメラタンパク質の投与量は少なくとも1回の投与で、1μg/マウスから1mg/マウスの範囲である。抗体は任意の好適な経路によって投与できる。ある態様では、抗体の投与量は週2回、100μg/マウスである。特定の態様では、0日目に腫瘍を皮下注射し、所定の時点でキャピラリ-を使用して原発腫瘍の体積を測定する。任意の好適なコントロールタンパク質を使用することができる。ある例ではコントロール抗体は、パプテン(ジニトロフェニル)に対して産生させた精製IgG1アイソタイプコントロール抗体である。
【実施例】
【0098】
本発明の広範な範囲については、以下の実施例を参照にすると最も理解されるが、それらの実施例は本発明を特定の態様に限定することを意図するものではない。
【0099】
D.実施例
実施例1 ヒトFlt3リガンド細胞外領域(hFLex)cDNAの合成
目的:Flt3リガンドはI型膜貫通タンパク質で、その細胞外領域はN末端であるため、FLのN末端の修飾はその生物学的活性に不利な影響を与えうる。従って出願人は四価の生物学的特異的抗体の構築に使用される方法を使用した(図1A参照)。Columnら, Nat Biotech 15: 159-163 (1997)参照。一般に、1本鎖抗体をコードするDNAを異なる特異性を有する抗体のC末端で融合させることによって四価の二重特異性抗体を構築した。生物学的活性の高い二元機能融合タンパク質を得るために、出願人はN末端にFLex、C末端に抗体分子を有する融合タンパク質を構築した(図1B参照)。まず、FLex遺伝子をヒトIgG1 cDNA(ヒンジ+CH2+CH3)の5’末端に融合させてFlex-Ig融合遺伝子を生成した。次いでhFLex-Ig融合遺伝子を1本鎖抗体遺伝子の5’末端に融合させ、Flex-Ig-scFv融合遺伝子を生成した。
【0100】
hFLex cDNAの合成:ヒトFLt3リガンド遺伝子のcDNA配列、Genbankデータベース(登録番号U03858)。ヌクレオチド84から161はFLt3リガンドのシグナルペプチドをコードし、ヌクレオチド162から629はFlt3リガンドの細胞外領域をコードした。従って、Flt3リガンドのシグナルペプチドおよび細胞外領域の両方をコードする遺伝子のサイズは546bpであった。
【0101】
Prodromou Cら, Protein Eng. 5 (8): 827-829に記載されるようにFLex遺伝子を合成した。簡単に記載すると、FLex cDNAを約75bpの10個のDNAフラグメントに分割した。フラグメントは以下の基準を使用して設計した:(1)各フラグメントは隣接するフラグメントと20bp長重複する;(2)最後のフラグメントのサイズは75bpより短くなりうる;そして(3)アンチセンス鎖を最後のフラグメントのプライマーとして選択し、センス鎖を他の全てのフラグメントに関するプライマーとして選択する。次いで上記のプライマーを市販の方法で合成した(Shengong Biotechnology Inc. (Shanghai, China))。
【0102】
85nMの各プライマー、1.5mM MgCl2、200mM dNTP、および2.5ユニットのPfu DNAポリメラーゼを含有する50μl容量でPCRを実施した。PCRサイクルのプロトコールは以下である:プレインキュベーション(94℃で5分間);変性(94℃で1分間)、アニーリング(56℃で1分間)、および伸長(72℃)を30サイクル。伸長時間はプライマーの数によって変化し、以下の等式を使用して時間を算出した:伸長時間(秒)=プライマー数x6(秒)。最後の伸長は72℃で5分間行った。
【0103】
PCR反応産物を1%アガロースゲルで分離した。正しいDNAフラグメントをゲル精製し、pGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した。図2(SEQ ID NO:1および2)参照。クローンをpGEM-T/hFlexで示す。
【0104】
実施例2 ヒトIgG1不変領域のクローニングおよび同定
天然のヒトIgG1 cDNA(1416bp)は471個のアミノ酸および翻訳終止コドンをコードする。IgG1の不変領域を以下のプロトコールを使用してRT-PCRでクローニングした:フィコール・ハイパーク(Ficoll-Hypaque)密度勾配遠心分離によって健常なボランティアのヘパリン化した血液からヒト末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。TRIzol試薬(Gibco BRL)を用いてPBMCからRNAを単離した。Onestep RT-PCR(Qiagen)によってIgG1 FcフラグメントのcDNAを得た。RT-PCRのプライマーは以下である:Fcセンス、5'-gca ctc gag ttt tac ccg gag aca ggg aga g-3';Fcアンチセンス、5'-gag ccc aaa tct tgt gac aaa ac-3'。RT-PCR産物をアガロースゲルで分離した。正しいDNAフラグメントをゲル精製し、pGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した。クローンをpGEM-T/IgFcで示す。
【0105】
実施例3 SM5-1キメラ抗体およびヒト化抗体の構築
1.マウスSM5-1重鎖および軽鎖可変領域遺伝子のクローニング。TRIzol試薬(Gibco BRL, Grand Island, NY)を使用してSM5-1(IgG1、κ)ハイブリドーマ細胞(登録番号HB-12588でATCCに寄託されている)からRNAを単離した。SM5-1の重鎖および軽鎖可変領域のcDNAのクローニングを、5’RACE系(Gibco BRL, Gaithersburg, MD)を使用し、製造者の説明書に従って行った。Nested PCR産物をアガロースゲル電気泳動で分析した(図5)。明確な重鎖PCRフラグメント(約590bp)および軽鎖フラグメント(約530bp)をそれぞれゲル精製し、pGEM-Tベクター(Promega, Madison, WI)にクローニングし、配列を確認した。重鎖(SM VH)および軽鎖(SM VL)可変領域のDNA配列はそれぞれSEQ ID NO:7(図6)およびSEQ ID NO:9(図7)である。
【0106】
2.キメラ抗体の発現ベクターの構築。SL Morrison博士(Dept. of Microbiology and Molecular Genetics, UCLA)より2つのベクターpAH4604およびpAG4622の供与を受けた。Colomaら, J Immunol Methods 152: 89 (1992)参照。PCR法を用いてEcoRVおよびXbaI部位を重鎖可変領域遺伝子(VH)の5’末端に、NheI部位を3’末端に付加した。PCR産物をpGEM-Tベクターにクローニングし、その配列を確認した。EcoRVおよびNheIによってVHを切り出し、ヒトガンマ-1不変領域遺伝子(CH)を含有するpAH4604ベクターのEcoRV/NheI部位に挿入した。得られたpAH4604-VHベクターをXbaIおよびBamHIで開裂し、齧歯動物/ヒトキメラ抗体重鎖遺伝子を含む3.3kbのフラグメントをpDRベクターにクローニングし、キメラ重鎖発現ベクター、pDR-SMVHHを得た。SM5-1キメラ重鎖(chSMVHCH)のヌクレオチドおよび推論されるアミノ酸配列をSEQ ID NO:11および12に示す(図8)。
【0107】
ヒトκ鎖不変領域cDNA(CL)をpAG4622由来の0.3kb PCR産物として得た。S. L. Morrison博士(Department of Microbiology and Molecular Genetics, UCLA)よりpAG4622の供与を受けた。オーバーラップPCR法により、SM5-1の軽鎖可変領域遺伝子(VL)をCLの5’末端に融合させた。得られたキメラ軽鎖遺伝子(VLL)は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いでキメラ軽鎖をpGEM-Tベクター遺伝子にクローニングし、その配列を確認した。HindIIIおよびEcoRI消化によってVLL遺伝子を切り出し、pDRベクターにライゲートし、キメラ軽鎖発現ベクターpDR-SMVLLを得た。SM5-1キメラ軽鎖(chSMVLCL)のヌクレオチド配列および推論されるアミノ酸配列をSEQ ID NO:13および14に示す(図9)。発現ベクターpDR-SMVHHおよびpDR-SMVLLを図10および図11に示す。
【0108】
3.ヒト化抗体遺伝子の構築。ヒト化重鎖の骨格としてヒト抗体KOLのVHを選択し、ヒト化軽鎖にはヒト・ベンス・ジョーンズタンパク質REIのVLを選択した。ヒト化抗体の軽鎖および重鎖可変領域遺伝子の合成を、実施例1に記載するPCR法によって行った。ヒト化抗体の軽鎖および重鎖発現ベクターを、上記のキメラ抗体と同じ方法で構築した。まず、SM5-1軽鎖または重鎖由来の3つのCDRをヒト抗体軽鎖または重鎖骨格領域に直接移入し、ヒト化抗体遺伝子を得た。ヒト化VLおよびVHをそれぞれ発現ベクターにクローニングし、次いでCOS細胞で一時的に共発現させた。トランスフェクトしたCOS細胞はヒト化SM5-1 Abを産生した。COS細胞培養液上清中のヒト化抗体をELISAで定量し、黒色腫細胞への抗体の結合をフローサイトメトリー分析で測定した。抗原結合活性アッセイから、この抗体はヒト・ヘパトーマ細胞QYCにわずかにしか結合しないことが明らかになり、これは完全な結合活性を再構築するためにはいくつかのヒトFR残基を変更しなければならないことを示唆している。結合活性に影響を及ぼしうる重要なFR残基を分析し、逆変異(backmutation)アッセイを行った。非ヒト化SM5-1と同じ抗原結合活性を示すヒト化抗体を得、これを“huSM”とした。競合結合アッセイにおいて、huSM5-1抗体はマウスSM5-1抗体またはキメラSM5-1抗体と同等の結合活性を示した。軽鎖および重鎖発現ベクターをpDR-huSMVHHおよびpDR-huSMVLLで表す。huSMの重鎖および軽鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列をそれぞれSEQ ID NO:15および16(図12)、並びにSEQ ID NO:17および18(図13)に示す。huSMの重鎖および軽鎖のヌクレオチドおよびアミノ酸配列をそれぞれSEQ ID NO:19および20(図14)、並びにSEQ ID NO:21および22(図15)に示す。
【0109】
4.キメラおよびヒト化抗体の発現。トランスフェクションに先立ち、CHOdhfr-細胞をグリシン、ヒポキサンチン、およびチミジン(GHT)を含有するDMEM完全培地中で保持した。リポフェクタミン2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用し、製造者の説明書に従って、好適な軽鎖および重鎖発現ベクターをCHOdhfr-細胞へ共トランスフェクトした。次いで、MTXを1.0μMまで段階的に濃度を増加させて含有するGHT未含有DMEM培地中で、トランスフェクトした細胞を選択した。薬剤耐性クローンを選別し、増殖させて更なる分析を行った。サンドイッチELISA(ヤギ抗ヒトIgG(Fc)(KPL)を捕捉抗体、ヤギ抗ヒトκ-HRP(KPL)を検出抗体として使用)により、融合タンパク質の生成について細胞クローンからの培養液上清を分析した。精製したヒトIgG1/κ(Sigma)をELISAアッセイの標準物質として使用した。最も多量の抗体を産生するクローンを選択し、血清未含有培地中で増殖させた。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより、血清未含有培地上清から組換え抗体を精製した。
【0110】
5.アフィニティー測定。キメラおよびヒト化抗体のアフィニティー(Kd)の測定は、BIAcore(Pharmacia)を使用してKarlsson Rら. J Immunol. Methods 145: 229 (1991)に記載されるように行った。キメラ抗体およびヒト化抗体のKd値はそれぞれ3.78x10-9および9.31x10-9である。
【0111】
これらの結果は、ヒト化SM5-1抗体が好ましい結合活性を有し、ヒトの治療に使用してもよいことを示している。
【0112】
実施例4 huSM/FLおよびchSM/FL二元機能融合タンパク質の構築
3つの異なる融合タンパク質を構築し、その生体機能を更に検討した。
A.huSMVH/Fc/FLの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域(hFLex)のcDNAを、pGEM-T/hFLex5由来の500bpのPCR増幅フラグメントとして得た。オーバーラップPCRを用いてFLex遺伝子をhuSM重鎖遺伝子の3’末端に融合させた。得られた融合遺伝子PCR産物は開始コドンの上流にHindIII部位を、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。融合産物をpGEM-Tベクターにクローニングし、その配列を確認した。huSMVH/Fc/FLのヌクレオチド配列および推論されるアミノ酸配列をSEQ ID NO:23および24に示す(図16)。HindIIIおよびEcoRI消化によってhuSMVH/Fc/FL融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-huSMVH/Fc/FLを得た。
【0113】
リポフェクタミン2000を使用して、好適な軽鎖(pDR-huSMVLCL)および融合遺伝子(pDR-huSMFv/Fc/FL)発現ベクターをCHOdhfr細胞に共トランスフェクトした。次いで、MTXを1.0μMまで段階的に濃度を増加させて含有するGHT未含有DMEM培地中で、トランスフェクトした細胞を選択した。薬剤耐性クローンを選別し、増殖させて更なる分析を行った。サンドイッチELISA(ヤギ抗ヒトIgG(Fc)(KPL)を捕捉抗体、ヤギ抗ヒトκ-HRP(KPL)を検出抗体として使用)により、融合タンパク質の生成について細胞クローンからの培養液上清を分析した。精製したヒトIgG1/κ(Sigma)をELISAアッセイの標準物質として使用した。最も多量の融合タンパク質を産生するクローンを選択し、血清未含有培地中で増殖させた。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで血清未含有培地上清から融合タンパク質を精製した。
【0114】
B.huSMFv/Fc/Link/FLの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域(hFLex)のcDNAを、pGEM-T/hFlex由来の500bpのPCR増幅フラグメントとして得た。オーバーラップPCRを用いてhFLex遺伝子をhuSM重鎖遺伝子の3’末端にリンカー遺伝子を介して融合させた。リンカーペプチドのアミノ酸配列は(Gly4Ser)3である(SEQ ID NO:6。図4)。開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有する最終的なPCR産物をpGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した(図17のSEQ ID NO:25および26)。HindIIIおよびEcoRI消化によってhuSMFv/Fc/Link/FL融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-huSVHv/Fc/Link/FLを得た。
【0115】
リポフェクタミン2000を使用して、好適な軽鎖(pDR-huSMVLCL)および融合遺伝子(huSMVH/Fc/Link/FL)発現ベクターをCHOdhfr-細胞に共トランスフェクトした。次いで、MTXを1.0μMまで段階的に濃度を増加させて含有するGHT未含有DMEM培地中で、トランスフェクトした細胞を選択した。薬剤耐性クローンを選別し、増殖させて更なる分析を行った。サンドイッチELISA(ヤギ抗ヒトIgG(Fc)(KPL)を捕捉抗体、ヤギ抗ヒトκ-HRP(KPL)を検出抗体として使用)により、融合タンパク質の生成について細胞クローンからの培養液上清を分析した。精製したヒトIgG1/κ(Sigma)をELISAアッセイの標準物質として使用した。最も多量のタンパク質を産生するクローンを選択し、血清未含有培地中で増殖させた。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで血清未含有培地上清から融合タンパク質を精製した。
【0116】
C.FL/Fc/huSMFvの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域+シグナルペプチドのcDNAをpGEM-T/hFlex由来の550bpのPCR増幅フラグメントとして得た。hFLex PCR産物は5’末端にHindIII部位、次いで発現を促進するKozak配列を含有した。ヒトIgG1のcDNA(ヒンジ+CH2+CH3)をpGEM-T/IgFcからPCRによって増幅させた。オーバーラップPCR法によりFlex遺伝子をヒトIgG1 cDNAの5’末端に融合させ、FL/Fc融合遺伝子を生成した(図3のSEQ ID NO:3および4)。
【0117】
オーバーラップPCR法によってhuSM重鎖可変領域のcDNAを軽鎖可変領域遺伝子の5’末端にリンカー遺伝子を介して融合させ、huSM1本鎖抗体(ScFv)遺伝子を生成した。リンカーペプチドのアミノ酸配列は(Gly4Ser)3(SEQ ID NO:6)である。次いでオーバーラップPCR法によってFL/Fc融合遺伝子をhuSM ScFv遺伝子の5’末端に融合させ、FL/Fc/huSMFv融合遺伝子を生成した。FL/Fc/huSMFv融合遺伝子のPCR産物は5’末端にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した(図18のSEQ ID NO:27および28)。その後、HindIIIおよびEcoRI消化によって融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-FL/Fc/huSMFvを得た。FL/Fc/huSMFv融合遺伝子の図式を図19に示す。
【0118】
リポフェクタミン2000を使用して、好適な融合遺伝子発現ベクター(pDR-FL/Fc/huSMFv)をCHOdhfr-細胞にトランスフェクトした。次いで、MTXを1.0μMまで段階的に濃度を増加させて含有するGHT未含有DMEM培地中で、トランスフェクトした細胞を選択した。薬剤耐性クローンを選別し、増殖させて更なる分析を行った。サンドイッチELISA(ヤギ抗ヒトIgG(Fc)を捕捉抗体、ヤギ抗ヒトFLexを検出抗体として使用)により、融合タンパク質の生成について細胞クローンからの培養液上清を分析した。最も多量の融合タンパク質を産生するクローンを選択し、血清未含有培地中で増殖させた。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで血清未含有培地上清から融合タンパク質を精製した。
【0119】
上記のhuSM/FL融合タンパク質と同じ方法で、3つの異なるChSM/FL融合タンパク質を構築、発現、および精製した。chSMVH/Fc/FL、chSMVH/Fc/Link/FL、FL/Fc/chSMFvのヌクレオチド配列および推論されるアミノ酸配列をそれぞれSEQ ID NO:29および30(図20)、SEQ ID NO:31および32(図21)、並びにSEQ ID NO:33およびSEQ ID NO:34(図22)に示す。
【0120】
実施例5 CD20/FL二元機能融合タンパク質の構築
1.抗CD20 mAb 2B8の可変領域遺伝子の合成。抗CD20マウスモノクローナル抗体2B8の可変領域cDNAの合成を実施例1に記載するように、米国特許第6,399,061号に開示される配列を使用して行った。PCR反応産物を1%アガロースゲルで分離した。正しいDNAフラグメントをゲル精製し、pGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した。2B8の重鎖および軽鎖可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をSEQ ID NO:35および36(図23)、SEQ ID NO:37および38(図24)に示す。本実施例では、2B8の軽鎖および重鎖ベクターのための正しいクローンをそれぞれpGEM-T/CD20HおよびpGEM-T/CD20Lで表す。
【0121】
2.キメラ抗体の発現ベクターの構築。PCRを使用して、EcoRVおよびXbaI部位を重鎖可変領域遺伝子(VH)の5’末端に、NheI部位を3’末端に付加した。PCR産物をpGEM-Tベクターにクローニングし、その配列を確認した。EcoRVおよびNheI消化によってVHを切り出し、ヒトγ-1不変領域遺伝子(CH)を含有するpAH4604ベクターのEcoRV/NheI部位に挿入した。得られたpAH4604-VHベクターをXbaIおよびBamHIで開裂し、齧歯動物/ヒトキメラ抗体重鎖遺伝子を含む3.3kbのフラグメントをpDRベクターにクローニングし、キメラ重鎖発現ベクター、pDR-CD20VHHを得た。抗CD20キメラ重鎖(CD20VHH)のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をSEQ ID NO:39および40に示す(図25)。
【0122】
ヒトκ鎖不変領域cDNA(CL)をpAG4622由来の0.3kb PCR産物として得た。オーバーラップPCR法によって2B8の軽鎖可変領域遺伝子(VL)をCLの5’末端に融合させた。得られたキメラ軽鎖遺伝子(VLL)は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いでキメラ軽鎖をpGEM-Tベクター遺伝子にクローニングし、その配列を確認した。HindIIIおよびEcoRI消化によってVLL遺伝子を切り出し、pDRベクターにライゲートし、キメラ軽鎖発現ベクターpDR-CD20VLLを得た。抗CD20キメラ軽鎖(CD20VLL)のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をSEQ ID NO:41および42に示す(図26)。
【0123】
3.CD20VH/Fc/FLの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域(hFLex)のcDNAをpGEM-T/hFlex由来の500bp PCR増幅フラグメントとして得た。オーバーラップPCR法によってFLex遺伝子を2B8重鎖遺伝子の3’末端に融合させた。得られた融合遺伝子PCR産物は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクターにクローニングし、その配列を確認した。CD20VH/Fc/FLのヌクレオチド配列および推論されるアミノ酸配列をSEQ ID NO:43および44(図27)に示す。HindIIIおよびEcoRI消化によってCD20VH/Fc/FL融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-CD20VH/Fc/FLを得た。
【0124】
4.CD20VH/Fc/Link/FLの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域(hFLex)のcDNAを、pGEM-T/hFlex由来の500bpのPCR増幅フラグメントとして得た。オーバーラップPCR法を用いてhFLex遺伝子を2B8重鎖遺伝子の3’末端にリンカー遺伝子を介して融合させた。リンカーペプチドのアミノ酸配列は(Gly4Ser)3(SEQ ID NO:6)である。開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有する最終的なPCR産物をpGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した(図28のSEQ ID NO:45および46)。HindIIIおよびEcoRI消化によってCD20VH/Fc/Link/FL融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-CD20VH/Link/FLを得た。
【0125】
5.FL/Fc/CD20Fvの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域+シグナルペプチドのcDNAをpGEM-T/hFlex由来の550bpのPCR増幅フラグメントとして得た。hFLex PCR産物は5’末端にHindIII部位、次いで発現を促進するKozak配列を含有した。ヒトIgG1のcDNA(ヒンジ+CH2+CH3)をpGEM-T/IgFcからPCRによって増幅させた。オーバーラップPCR法によりFlex遺伝子をヒトIgG1 cDNAの5’末端に融合させ、FL/Fc融合遺伝子を生成した。
【0126】
オーバーラップPCR法によって2B8重鎖可変領域のcDNAを軽鎖可変領域遺伝子の5’末端にリンカー遺伝子を介して融合させ、2B8 1本鎖抗体(ScFv)遺伝子を生成した。リンカーペプチドのアミノ酸配列は(Gly4Ser)3である。次いでオーバーラップPCR法によってFL/Fc融合遺伝子を2B8 ScFv遺伝子の5’末端に融合させ、FL/Fc/CD20Fv融合遺伝子を生成した。FL/Fc/CD20Fv融合遺伝子のPCR産物は5’末端にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した(図29のSEQ ID NO:47および48)。その後、HindIIIおよびEcoRI消化によって融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-FL/Fc/CD20Fvを得た。FL/Fc/CD20Fv融合遺伝子の図式を図30に示す。
【0127】
6.2B8キメラ軽鎖発現ベクターの構築。ヒトκ鎖不変領域cDNA(CL)をpAG4622由来の0.3kb PCR産物として得た。SL Morrison博士(Department of Microbiology and Molecular Genetics, UCLA)よりpAG4622の供与を受けた。オーバーラップPCR法により、SM5-1の軽鎖可変領域遺伝子(VL)をCLの5’末端に融合させた。得られたキメラ軽鎖遺伝子(VLL)は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクター遺伝子にクローニングし、その配列を確認した。HindIIIおよびEcoRI消化によってVLL遺伝子を切り出し、pDRベクターにライゲートし、キメラ軽鎖発現ベクターpDR-CD20VLLを得た。
【0128】
7.融合タンパク質の発現および精製。3つの異なる融合タンパク質を実施例4に記載するように発現および精製した。
【0129】
実施例6 her2/FL二元機能融合タンパク質の構築
1.抗HER2 mAb rhuMAb HER2の可変領域遺伝子の合成。組換えヒト化抗HER2抗体(rhuMAb HER2、ハーセプチン)の可変領域cDNAの合成を実施例1に記載するように、Carterら, Proc Natl Acad Sci USA, 89: 4285 (1992)にか開示される配列を使用して行った。PCR反応産物を1%アガロースゲルで分離した。正しいDNAフラグメントをゲル精製し、pGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した。抗her2抗体の重鎖および軽鎖可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をSEQ ID NO:49および50(図31)、SEQ ID NO:51および52(図32)に示す。本実施例では、rhuMAb HER2軽鎖(VL)および重鎖(VH)ベクターのためのクローンをそれぞれpGEM-T/her2HおよびpGEM-T/her2Lで表す。
【0130】
2.キメラ抗体発現ベクターの構築。PCR法を使用して、EcoRVおよびXbaI部位を重鎖可変領域遺伝子(VH)の5’末端に、NheI部位を3’末端に付加した。PCR産物をpGEM-Tベクターにクローニングし、その配列を確認した。EcoRVおよびNheI消化によってVHを切り出し、ヒトγ-1不変領域遺伝子(CH)を含有するpAH4604ベクターのEcoRV/NheI部位に挿入した。得られたpAH4604-VHベクターをXbaIおよびBamHIで開裂し、齧歯動物/ヒトキメラ抗体重鎖遺伝子を含む3.3kbのフラグメントをpDRベクターにクローニングし、キメラ重鎖発現ベクターpDR-her2VHHを得た。抗her2ヒト化重鎖(her2VHH)のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をSEQ ID NO:53および54に示す(図33)。
【0131】
ヒトκ鎖不変領域cDNA(CL)をpAG4622由来の0.3kb PCR産物として得た。オーバーラップPCR法により、ヒト化軽鎖可変領域遺伝子(VL)をCLの5’末端に融合させた。得られたヒト化軽鎖遺伝子(VLL)は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いでヒト化軽鎖をpGEM-Tベクター遺伝子にクローニングし、その配列を確認した。HindIIIおよびEcoRI消化によってVLL遺伝子を切り出し、pDRベクターにライゲートし、ヒト化軽鎖発現ベクターpDR-her2VLLを得た。抗her2ヒト化軽鎖(her2VLL)のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をSEQ ID NO:55および56に示す(図34)。
【0132】
3.Her2Fv/Fc/FLの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域(hFLex)のcDNAをpGEM-T/hFlex由来の500bp PCR増幅フラグメントとして得た。オーバーラップPCR法によってFLex遺伝子をrhuMAb HER2重鎖遺伝子の3’末端に融合させた。得られた融合遺伝子のPCR産物は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクターにクローニングし、その配列を確認した。Her2/Fv/Fc/FLのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列をSEQ ID NO:57および58(図35)に示す。HindIIIおよびEcoRI消化によってHer2/Fv/Fc/FL融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-Her2/Fv/Fc/FLを得た。
【0133】
4.Her2VH/Fv/Fc/FLの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域(hFLex)のcDNAをpGEM-T/hFlex由来の500bp PCR増幅フラグメントとして得た。オーバーラップPCR法によってhFLex遺伝子をrhuMAb HER2重鎖遺伝子の3’末端にリンカー遺伝子を介して融合させた。リンカーペプチドのアミノ酸配列は(Gly4Ser)3である。最終的なPCR産物は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した(図36のSEQ ID NO:59および60)。HindIIIおよびEcoRI消化によってHer2VH/Fv/Fc/FL融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-Her2VH/Fv/Fc/FLを得た。
【0134】
5.FL/Fc/HER2Fvの構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域+シグナルペプチドのcDNAをpGEM-T/hFlex由来の550bpのPCR増幅フラグメントとして得た。hFLex PCR産物は5’末端にHindIII部位、次いで発現を促進するKozak配列を含有した。ヒトIgG1のcDNA(ヒンジ+CH2+CH3)をpGEM-T/IgFcからPCRによって増幅させた。オーバーラップPCR法によりFlex遺伝子をヒトIgG1 cDNAの5’末端に融合させ、FL/Fc融合遺伝子を生成した。
【0135】
オーバーラップPCR法によってrhuMAb HER2重鎖可変領域のcDNAを軽鎖可変領域遺伝子の5’末端にリンカー遺伝子を介して融合させ、rhuMAb HER2 1本鎖抗体(ScFv)遺伝子を生成した。リンカーペプチドのアミノ酸配列は(Gly4Ser)3である。次いでオーバーラップPCR法によってFL/Fc融合遺伝子をrhuMAb HER2 ScFv遺伝子の5’末端に融合させ、FL/Fc/HER2Fv融合遺伝子を生成した。FL/Fc/HER2Fv融合遺伝子のPCR産物は5’末端にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した(図37のSEQ ID NO:61および62)。その後、HindIIIおよびEcoRI消化によって融合遺伝子を切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入し、融合遺伝子発現ベクターpDR-FL/Fc/HER2Fvを得た。FL/Fc/HER2Fv融合遺伝子の図式を図38に示す。
【0136】
6.rhuMAb HER2キメラ軽鎖発現ベクターの構築。ヒトκ鎖不変領域のcDNA(CL)をpAG4622由来の0.3kb PCR産物として得た。オーバーラップPCR法により、SM5-1の軽鎖可変領域遺伝子(VL)をCLの5’末端に融合させた。得られたキメラ軽鎖遺伝子(VLL)は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクターにクローニングし、その配列を確認した(図34のSEQ ID NO:55および56)。HindIIIおよびEcoRI消化によってVLL遺伝子を切り出し、同じ制限酵素で開裂したpDRベクターにライゲートし、キメラ軽鎖発現ベクターpDR-HER2VLLを得た。
【0137】
7.融合タンパク質の発現および精製。3つの異なる融合タンパク質を実施例4に記載するように発現および精製した。
【0138】
実施例7 hFL/Trail融合タンパク質の構築
1.hFLex/Trailex融合タンパク質の構築。使用したヒトFlt3リガンド遺伝子のcDNA配列はGenbank登録番号HSU37518である。ヒトTrailの細胞外ドメインcDNA(アミノ酸残基95-281)を実施例1に記載するように合成した。PCR反応産物を1%アガロースゲルで分離した。正しいDNAフラグメントをゲル精製し、pGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した。同クローンをpGEM-T/hTrailで表す。
【0139】
ヒトFLex cDNAをpGEM-T/hFlex由来の550bpのPCR増幅フラグメントとして得た。オーバーラップPCRによってhFLex遺伝子をTrailex遺伝子(Pittiら, J. Biol. Chem. 271: 12687-90 (1996))の5’末端にリンカー遺伝子を介して融合させた。リンカーペプチドのアミノ酸配列は(Gly4Ser)3(SEQ ID NO:6)である。融合遺伝子のPCR産物は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した(図39のSEQ ID NO:63および64)。HindIIIおよびEcoRI消化によってhFLex/Trailex融合遺伝子フラグメントを切り出し、pDRベクターのHindIII/EcoRI部位に挿入した。hFLex/Trailex融合遺伝子の図式を図40に示す。
【0140】
リポフェクタミン2000試薬(Gibco BRL)を使用し、製造者の説明書に従って、好適なpDR-hFLex/Trailex発現ベクターをCHOdhfr-細胞にトランスフェクトした。次いで、MTXを1.0μMまで段階的に濃度を増加させて含有するGHT未含有DMEM培地中で、トランスフェクトした細胞を選択した。薬剤耐性クローンを選別し、増殖させて更なる分析を行った。サンドイッチELISA(ヤギ抗ヒトTrailexを捕捉抗体、ヤギ抗ヒトFLex-HRPを検出抗体として使用)により、融合タンパク質の生成について、細胞クローンからの培養液上清を分析した。最も多量の融合タンパク質を産生するクローンを選択し、血清未含有培地中で増殖させた。その後、アフィニティークロマトグラフィー(セファロース-4Bに固定化させたヤギ抗ヒトtrail抗体)でhFLex/Trailex融合タンパク質を血清未含有培地上清から精製した。
【0141】
2.hFLex/IZ/Trailex融合タンパク質の構築。オーバーラップPCRにより、イソロイシン・ジッパー(isoleucine zipper;IZ)をコードするDNA配列を介してhFLex遺伝子をTrailex遺伝子の5’末端に融合させた。Harbury ら, Science, 1993, 262: 1401 (1993)参照。融合遺伝子PCR産物は開始コドンの上流にHindIII部位、終止コドンの下流にEcoRI部位を含有した。次いで産物をpGEM-Tベクター(Promega)にクローニングし、その配列を確認した(図41のSEQ ID NO:65および66)。最後に実施例7.1に記載するhFLex/Trailex融合遺伝子と同じ方法で、hFLex/IZ/Trailex融合遺伝子を発現ベクターpGSにクローニングした。実施例7.1に記載するように融合タンパク質の発現および精製を行った。
【0142】
3.hFLex/Fc/Trailex融合タンパク質の構築。ヒトFlt3リガンド細胞外領域+シグナルペプチドのcDNAをpGEM-T/hFlex由来の550bpのPCR増幅フラグメントとして得た。hFLexのPCR産物は5’末端にHindIII部位、次いで発現を促進するKozak配列を含有した。ヒトIgG1のcDNA(ヒンジ+CH2+CH3)をpGEM-T/IgFcからPCRによって増幅させた。オーバーラップPCR法によりFlex遺伝子をヒトIgG1 cDNAの5’末端に融合させ、hFLex/Fc融合遺伝子を生成した。
【0143】
PCR増幅によってヒトTrailの細胞外ドメインのcDNA(Trailex)をpGEM-T/hTrailから得た。Trailex PCRフラグメントは3’末端にEcoRI部位を含有した。既に得られていたhFLex/Fc融合遺伝子を、オーバーラップPCR法によってTrailex遺伝子の5’末端に融合させた。最終のPCR産物を精製し、pGEM-Tベクター(Promega)にクローニングして配列を確認した(図42のSEQ ID NO:67および68)。次いで、HindIIIおよびEcoRI消化によってhFLex/Fc/Trailex融合遺伝子フラグメントを切り出し、同じ制限酵素で開裂したpDRベクターに挿入した。hFLex/Fc/Trailex融合遺伝子の図式を図43に示す。
【0144】
リポフェクタミン2000(Gibco BRL)を使用し、製造者の説明書に従って、好適なpDR-hFLex/Fc/Trailex発現ベクターをCHOdhfr-細胞にトランスフェクトした。次いで、MTXを1.0μMまで段階的に濃度を増加させて含有するGHT未含有DMEM培地中で、トランスフェクトした細胞を選択した。薬剤耐性クローンを選別し、増殖させて更なる分析を行った。サンドイッチELISA(ヤギ抗ヒトTrailを捕捉抗体、ヤギ抗ヒトFL-HRPを検出抗体として使用)により、融合タンパク質の生成について細胞クローンからの培養液上清を分析した。最も多量の融合タンパク質を産生するクローンを選択し、血清未含有培地中で増殖させた。その後、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーでhFLex/Fc/Trailex融合タンパク質を血清未含有培地上清から精製した。
【0145】
実施例8-16において、chSM/FL、SM/FL、huSM/FL、CD20/FL、her2/FL、Trail/FLはそれぞれFL/Fc/chSMFv、FL/Fc/huSMFv、FL/Fc/CD20Fv、FL/Fc/HER2Fv、およびhFLex/IZ/Trailexを表す。
【0146】
実施例8 chSM/FL(FL/Fc/chSMFv)およびhuSM/FL(FL/Fc/huSMFv)二元機能融合タンパク質のキャラクタリゼーション
1.インビトロにおけるヒト臍帯血CD34+細胞の増殖に対するSM/FLの影響。ヒト臍帯血由来のCD34+細胞を、免疫磁気ビーズ(Pharmacia)を使用し、製造者の説明書に従って単離した。CD34+細胞の純度をフローサイトメトリーで分析した。培地は10% スクリーニング済(prescreened)熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)(Hyclone, Logan, UT)存在中の0.4%アガロースまたは0.3%寒天培地とし、これを用いてインビトロにおけるSMまたはSM融合タンパク質の非存在下および存在下でのGM-CSF、IL-3、G-CSF、SCF、またはCSF-1に応答するCFU-GM、CFU-G、OF CUR-Mコロニーの評価を行った。細胞を5% CO2中、37℃でインキュベートし、培地の半量を週1回、培養開始時に交換した。14日目に各群のCD34+細胞のクローン数を計数した。
【0147】
結果(図44)はSM/FLがFLと同様にCD34+細胞の増殖を刺激する能力を有することを示している。
【0148】
2.インビボにおけるchSM/FLおよびhuSM/FLのNKおよびDC細胞に対する影響。C57BL/6マウスはExperimental Animal Center (Shanghai, China)から購入した。FITCコンジュゲート抗CD3、PEコンジュゲート抗NK1.1、およびFITCコンジュゲート抗CD11cを購入した(R&DまたはSigma)。
【0149】
C57BL/6マウスに0、3、6、8、10、12、15、または18日間、1日1回、10μgのchSM/FLおよびhuSM/FLまたはFLを腹膜内注射した。最後の注射の24時間後にマウスを殺処分した。骨髄、脾臓、および肝臓を回収し、単一の細胞懸濁液を調製した。FITCコンジュゲート抗CD3およびPEコンジュゲート抗NK1.1で二色染色してNK細胞を同定した。細胞をFITCコンジュゲート抗CD11cで染色してDC細胞を同定した。フローサイトメトリー分析を実施してNKおよびDC細胞のパーセンテージを評価した。各臓器におけるNKおよびDC細胞の絶対数を図45に示す。
【0150】
結果は、SM/FL二元機能タンパク質が脾臓、肝臓、および骨髄においてFLに匹敵するNKおよびDC細胞の増殖誘導能力を有することを示している。NKおよびDC細胞の数は10から13日目でピークとなり、そのピークは3から4日間続いた。これはSM/FLが癌治療にかなりの可能性を有していることを示唆している。
【0151】
3.腫瘍細胞増殖に対するSM/FL二元機能融合タンパク質の阻害効果
細胞系(Hepal-6、B16)をATCCから得た。細胞系Hepal-6にp230遺伝子をトランスフェクトしてHepal-6/230細胞系を創製した。細胞B16にp230遺伝子をトランスフェクトしてB16p230細胞系を創製した。フローサイトメトリー分析を行ったところ、p230は細胞系Hepal-6/230およびB16p230の細胞表面で高度に発現されていた。対数増殖期の細胞(SMMU、B16p230、Hepal-6p230、またはRaji)を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化した後、1%FBSを含有するPBSで2回洗浄した。細胞を1640/DMEM+10%FCSに再懸濁し、6x104細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を96ウェルプレートに添加し(100ul/ウェル)、chSM/FLまたはhuSM/FLの連続希釈液と共に7%CO2中、37℃で7日間インキュベートした。CellTiter96 AQueous非放射性細胞増殖アッセイ(Promega)を使用し、製造者の説明書に従って3つの腫瘍細胞系の増殖を測定した。図46に示す結果は、chSM/FLおよびhuSM/FLがSMMU、B16p230、Hepal-6p230腫瘍細胞の増殖を有効に阻害するが、コントロール細胞(Raji細胞)の増殖は阻害しないことを示している。これはSM/FLの阻害効果がこれら3つの腫瘍細胞に特異的であることを示唆している。
【0152】
4.インビトロにおけるchSM/FLおよびhuSM/FLの抗腫瘍活性。細胞系(SK-BR-3、QYC)をInternational Joint Cancer Institute (Shanghai, China)から得た。細胞系(Hepal-6、B16)をATCCから得た。細胞系Hepal-6にp230遺伝子をトランスフェクトし、Hepal-6/230細胞系を創製した。細胞B16にp230遺伝子をトランスフェクトし、B16p230細胞系を創製した。フローサイトメトリー分析を行ったところ、p230は細胞系Hepal-6/230およびB16p230の細胞表面で高度に発現されていた。
【0153】
対数増殖期の細胞(Hepal-6、B16、Hepap230、またはB16p230)を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化した後、10%FBSを含有するPBSで2回洗浄した。細胞を1640/DMEM+10%FCSに再懸濁し、6x104細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を96ウェルプレートに添加し(100ul/ウェル)、chSM/FLまたはhuSM/FLの連続希釈液と共に7%CO2中、37℃で7日間インキュベートした。CellTiter96 AQueous非放射性細胞増殖アッセイ(Promega)を使用し、製造者の説明書に従って腫瘍細胞系の増殖を測定した。図47に示す結果はchSM/FLおよびhuSM/FLがHepap230およびB16p230腫瘍細胞の増殖を有効に阻害することを示している。Hepal-6およびB16の増殖は融合タンパク質によって阻害されなかった。
【0154】
実施例9 インビトロにおけるHer2/FL(FL/Fc/HER2Fv)、CD20/FL(FL/FcCD20Fv)、およびTrail/FL(hFlex/IZ/Trailex)のキャラクタリゼーション
この実験で、インビトロにおける3つの二元機能融合タンパク質、Her2/FL、CD20/FL、およびTrail/FLによる腫瘍細胞に対する腫瘍阻害効果を評価した。結果はHer2/FL、CD20/FL、およびTrail/FLがそれぞれハーセプチン、リツキシマブ、およびTrailと同様の有効な腫瘍阻害活性を有することを示した。
【0155】
1.腫瘍細胞増殖に対するHer2/FL二元機能融合タンパク質の阻害効果。細胞系SK-BR-3をInternational Joint Cancer Institute (Shanghai, China)から得た。細胞系BT-474、D2F2、4T1をATCCから得た。細胞系D2F2にヒトher2遺伝子をトランスフェクトし、D2F2/E2細胞系を創製した。細胞系4T1にher2遺伝子をトランスフェクトして4T1her2細胞系を創製した。フローサイトメトリー分析を行ったところ、her2抗原は細胞系D2F2/E2および4T1her2の細胞表面で高度に発現されていた。
【0156】
2.対数増殖期の細胞(SK-BR-3、BT-474、D2F2、4T1、D2F2/E2、または4T1her2)を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化した後、1%FBSを含有するPBSで2回洗浄した。細胞を1640/DMEM+10%FCSに再懸濁し、6x104細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を96ウェルプレートに添加し(100ul/ウェル)、her2/FL融合タンパク質またはポジティブコントロール、ハーセプチンの連続希釈液と共に7%CO2中、37℃で7日間インキュベートした。CellTiter96 AQueous非放射性細胞増殖アッセイ(Promega)を使用し、製造者の説明書に従って腫瘍細胞系の増殖を測定した。融合タンパク質またはハーセプチンのED50値を4変数演算Y=(A-B)/[1+(X/C)D]+Bを使用して算出した。図48に示す結果はher2/FLおよびハーセプチンがSK-BR-3、BT-474、D2F2/her2、および4T1/her2腫瘍細胞の増殖を有効に阻害することを示している。D2F2および4T1細胞の増殖は融合タンパク質またはハーセプチンによって阻害されなかった。
【0157】
3.腫瘍細胞に対するHer2/FL融合タンパク質の細胞障害性。細胞系SK-BR-3をInternational Joint Cancer Institute (Shanghai, China)から得た。細胞系BT-474、D2F2、4T1をATCCから得た。細胞系D2F2にヒトher2遺伝子をトランスフェクトし、D2F2/E2細胞系を創製した。細胞系4T1her2はヒトher2遺伝子をトランスフェクトした細胞系4T1である。フローサイトメトリー分析を行ったところ、her2抗原は細胞系D2F2/E2および4T1her2の細胞表面で高度に発現されていた。
【0158】
対数増殖期の細胞(SK-BR-3、BT-474、D2F2、4T1、D2F2/E2、または4T1her2)を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化した後、1%FBSを含有するPBSで2回洗浄した。細胞を1640/DMEM+10%FCSに再懸濁し、6x104細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を96ウェルプレートに添加し(100ul/ウェル)、Her2/FL融合タンパク質またはポジティブコントロール(ハーセプチン)の連続希釈液と共に7%CO2中、37℃で7日間インキュベートした。CytoTox96非放射性細胞障害性アッセイ(Promega)を使用し、製造者の説明書に従ってHer2/FLおよびハーセプチンの細胞障害性を測定した。融合タンパク質またはハーセプチンのED50値を4変数演算を使用して算出した。図49に示す結果はher2/FLおよびハーセプチンがSK-BR-3、BT-474、D2F2/E2、および4T1her2腫瘍細胞の溶解を効果的に誘導することを示している。D2F2および4T1細胞の溶解はher2/FLまたはハーセプチンのいずれでも誘導されなかった。
【0159】
4.腫瘍細胞に対するCD20/FL融合タンパク質の細胞障害性。細胞系RajiをATCCから得た。対数増殖期のRaji細胞を10%FBSを含有するPBSで2回洗浄した。細胞を1640/DMEM+10%FCSに再懸濁し、2x105細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を96ウェルプレートに添加し(100ul/ウェル)、CD20/FL融合タンパク質またはポジティブコントロール(リツキシマブ)の連続希釈液と共に7%CO2中、37℃で7日間インキュベートした。CytoTox96非放射性細胞障害性アッセイ(Promega)を使用し、製造者の説明書に従ってCD20/FLおよびリツキシマブの細胞障害性を測定した。図50に示す結果は、CD20/FLおよびリツキシマブがRaji腫瘍細胞を効果的に死滅させることを示している。
【0160】
5.腫瘍細胞増殖に対するTrail/FL二元機能融合タンパク質の阻害効果。細胞系L929、MDA-MB-231およびU-138MGをATCCから得た。細胞系RencaをKorea Cancer Instituteから得た。対数増殖期の細胞(L929、MDA-MB-231またはRenca)を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化した後、1%FBSを含有するPBSで2回洗浄した。細胞を1640/DMEM+10%FCSに再懸濁し、5x105細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を96ウェルプレートに添加し(100ul/ウェル)、Trail/FL融合タンパク質またはポジティブコントロール(Trail)の連続希釈液と共に7%CO2中、37℃で12時間インキュベートした。CellTiter96 AQueous非放射性細胞増殖アッセイ(Promega)を使用し、製造者の説明書に従って腫瘍細胞の増殖を測定した。図51に示す結果はTrail/FLがTrailと同様にL929、MDA-MB-231、およびRenca腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。Trail/FLまたはTrailはいずれもネガティブコントロール細胞U-138MGの増殖を阻害しなかった。これはTrail/FLおよびTrailの阻害効果が特異的であることを示している。
【0161】
6.Trail/FL融合タンパク質の細胞障害性。対数増殖期のL929およびU-138MG細胞を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化した後、10%FBSを含有するPBSで2回洗浄した。細胞を1640/DMEM+10%FCSに再懸濁し、5x105細胞/mlに調整した。細胞懸濁液を96ウェルプレートに添加し(100ul/ウェル)、Trail/FL融合タンパク質またはポジティブコントロール(Trail)の連続希釈液と共に7%CO2中、37℃で14または16時間インキュベートした。CytoTox96非放射性細胞障害性アッセイ(Promega)を使用し、製造者の説明書に従ってTrail/FLおよびTrailの細胞障害性を測定した。融合タンパク質またはハーセプチンのED50値を4変数演算を使用して算出した。図52に示す結果はTrail/FLおよびTrailがL929細胞の溶解を効果的に誘導することを示している。コントロール(U-138MG)細胞の溶解はTrail/FLまたはTrailのいずれでも誘導されなかった。
【0162】
実施例10 インビボにおけるchSM/FLおよびhuSM/FLの抗腫瘍活性
これらの実験で使用したタンパク質には以下がある:SM5-1キメラ抗体(chSM);SM5-1ヒト化抗体(huSM);chSM/FL二元機能融合タンパク質;huSM/FL二元機能融合タンパク質;抗CD3キメラ抗体-FL融合タンパク質(chCD3/FL);抗CD3ヒト化抗体-FL融合タンパク質(huCD3/FL)。
【0163】
メスC57BL/6マウスにB16、Hepal-6、B16p230、またはhepap230腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、マウスを無作為に10匹ずつ7群に分けた。6群のマウスに、chCD3/FL、huCD3/FL、chSM、huSM、chSM/FL、またはhuSM/FLの静脈注射を4mg/kg/週の用量で連続6週間行った。PBSを静脈注射したマウスの群をネガティブコントロール群とした。処理後、腫瘍の退縮を観察した。
【0164】
実験結果(表3)はchSM、huSM、chSM/FL、およびhuSM/FLがp230抗原を発現する腫瘍の退縮を効果的に誘導することを示している。FL融合タンパク質はchSMまたはhuSM抗体の抗腫瘍活性を有意に向上した。
【0165】
【表3】

【0166】
実施例11 インビボにおけるchSM/FLおよびhuSM/FLによって誘導される特異的腫瘍免疫応答
これらの実験に使用されたタンパク質には以下がある:SM5-1キメラ抗体(chSM);SM5-1ヒト化抗体(huSM);chSM/FL二元機能融合タンパク質;huSM/FL二元機能融合タンパク質;抗CD3キメラ抗体-FL融合タンパク質(chCD3/FL);および抗CD3ヒト化抗体-FL融合タンパク質(huCD3/FL)。
【0167】
メスC57BL/6マウスにB16p230またはhepap230腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、マウスを無作為に8匹ずつ7群に分けた。6群のマウスに、chSM、huSM、FLと組み合わせたchSM、FLと組み合わせたhuSM、chSM/FL、またはhuSM/FLの静脈注射を4mg/kg/週の用量で連続6週間行った。PBSを静脈注射したマウスの群をネガティブコントロール群とした。処理後、腫瘍の退縮を観察した。
【0168】
実験結果(表4)は、FLと組み合わせたchSM(またはhuSM)の投与からはchSM(またはhuSM)単独より高い抗腫瘍活性が得られることを示している。この試験で二元機能融合タンパク質chSM(またはhuSM)はこの試験で最も強い抗腫瘍活性を示した。
【0169】
【表4】

【0170】
融合タンパク質によって誘導された腫瘍退縮によって活性抗腫瘍免疫応答が起こるのかどうかを確認するために、マウス(例えば融合タンパク質を静脈注射したもの)に腫瘍細胞の親株(例えばB16p230またはhepap230細胞のいずれか)を再び皮下接種して攻撃感染させた。接種後、腫瘍の退縮を観察した。結果(表5)はchSMまたはhuSMが活性抗腫瘍免疫応答を誘導しないことを示している。しかしながら、chSM/FLおよびhuSM/FLは共に親腫瘍に対する活性抗腫瘍免疫応答を誘導し、腫瘍細胞の第2の攻撃感染から腫瘍の増殖は起こらなかった。
【0171】
【表5】

【0172】
上記の実験で観察された抗腫瘍免疫応答の特異性を確認するために、融合タンパク質処理で退縮したB16p230腫瘍を有するマウスにB16またはhepal-6腫瘍細胞を攻撃感染した。融合タンパク質処理後に退縮したhepap230腫瘍を有するマウスに再びhepal-6またはB16を皮下注射して攻撃感染した。処理後、腫瘍の退縮を観察した。結果(表5)は、B16p230腫瘍の退縮が誘導されたマウスにおいてB16腫瘍は排除されたが、B16p230腫瘍の退縮が誘導されたマウスにおいてhepal-6腫瘍は漸進的に増加することを示している。他の実験で、hepap230腫瘍の退縮が誘導されたマウスにおいてhepal-6腫瘍は排除されたが、B16は漸進的に増殖した。これらの結果から、二元機能融合タンパク質によって誘導される抗腫瘍免疫応答は攻撃感染によって得られる腫瘍に特異的であることが明らかになった。
【0173】
実施例12 インビボにおける Her2/FL、CD20/FL、Trail/FL融合タンパク質の抗腫瘍活性
腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する他の抗体または分子にFLを融合することによって構築される二元機能融合タンパク質のインビボにおける抗腫瘍活性を研究するために、以下の実験を行った。実験結果から、抗her2 mAb、抗CD20 mAb、またはTrailにFLを融合させて構築される二元機能融合タンパク質は全て、腫瘍増殖に対して阻害性を有することが明らかになった。
【0174】
1.インビボにおけるher2/FLの抗腫瘍活性。ヒト乳癌細胞系BT474をATCCから得た。オスBalb/cヌードマウスをExperimental Animal Center (Shanghai, China)から得た。
【0175】
Balb/cヌードマウスに5x106のBT-474腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、マウスを無作為に10匹ずつ実験群およびコントロール群に分けた。実験群のマウスに、her2/FLの静脈注射を10mg/kg/週の用量で連続6週間行った。コントロール群のマウスにはPBSを静脈注射した。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0176】
差異の統計分析を、スチューデントのt検定を用いて行った。結果(図53)は、her2/FL融合タンパク質での処理は非常に有意な抗腫瘍活性を有することを示している(p<0.038)。
【0177】
2.インビボにおけるCD20/FLの抗腫瘍活性。細胞系RajiをATCCから得た。メスBalb/cヌードマウスをExperimental Animal Center (Shanghai, China)から得た。
【0178】
Balb/cヌードマウスに週1回で連続3週間、2GY照射を行った。その後、照射したヌードマウスに2x107のRaji腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、マウスを無作為に10匹ずつ実験群およびコントロール群に分けた。実験群のマウスに、CD20/FLの静脈注射を10mg/kg/週の用量で連続6週間行った。コントロール群のマウスにはPBSを静脈注射した。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0179】
差異の統計分析を、スチューデントのt検定を用いて行った。結果(図54)は、CD20/FL融合タンパク質での処理は非常に有意な抗腫瘍活性を有することを示している(p<0.03)。
【0180】
3.インビボにおけるTrail/FLの抗腫瘍活性。ヒト肝細胞癌細胞系QYCをInternational Joint Cancer Institute (Shanghai, China)から得た。メスBalb/cヌードマウスをExperimental Animal Center (Shanghai, China)から得た。
【0181】
Balb/cヌードマウスに1x107のQYC腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、マウスを無作為に10匹ずつ実験群およびコントロール群に分けた。実験群のマウスに、Trail/FLの静脈注射を10mg/kg/週の用量で連続6週間行った。コントロール群のマウスにはPBSを静脈注射した。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0182】
差異の統計分析を、スチューデントのt検定を用いて行った。結果(図55)は、Trail/FL融合タンパク質での処理は非常に有意な抗腫瘍活性を有することを示している(p<0.039)。
【0183】
実施例13 her2/FL、CD20/FL、およびTrail/FLによって誘導される特異的腫瘍免疫応答
1.her2/FLによって誘導される特異的腫瘍免疫応答。Balb/c由来のマウス乳癌細胞系D2F2、4T1をATCCから得た。細胞系D2F2/E2はヒトher2遺伝子をトランスフェクトしたD2F2細胞系である。細胞系4T1her2はher2遺伝子をトランスフェクトした4T1細胞系である。her2抗原は細胞系D2F2/E2および4T1her2の細胞表面で高度に発現された。D2F2/E2および4T1her2腫瘍細胞系により、Balb/cマウスに皮下腫瘍が発生した。マウスにおけるD2F2/E2および4T1her2腫瘍の増殖は抗her2 mAbによって有効に阻害された。
【0184】
メスBalb/cマウスにD2F2、4T1、D2F2/E2、または4T1her2腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、腫瘍細胞を接種したマウスを無作為に8匹ずつ5群に分けた。マウスに、FL、抗her2 mAb、FLと組み合わせた抗her2 mAb、またはhuSM/FLの静脈注射を4mg/kg/週の用量で連続6週間行った。PBSを静脈注射したマウス群をコントロール群とした。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0185】
実験結果(表6)は、二元機能融合タンパク質her2/FLが抗her2 mAbに匹敵するD2F2/E2および4T1her2増殖阻害能を有することを示している。
【0186】
融合タンパク質またはmAbでの処理後にD2F2/E2または4T1her2が退縮したマウスに親腫瘍細胞を再び皮下注射して攻撃感染した。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。結果(表6)は抗her2 mAbが活性免疫応答の誘導に有効ではないことを示している。しかしながら、her2/FLは親腫瘍に対する活性な免疫応答を誘引した。
【0187】
【表6】

【0188】
融合タンパク質mAbでの処理後にD2F2/E2が退縮したマウスにD2F2または4T1腫瘍細胞を再び皮下注射して攻撃感染した。融合タンパク質での処理後に4T1her2腫瘍が退縮したマウスにD2F2または4T1腫瘍細胞を再び皮下注射して攻撃感染した。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。結果(表6)は、D2F2/E2腫瘍の退縮が誘導されたマウスではD2F2腫瘍が排除されたが、4T1腫瘍は漸進的に増殖することを示している。別の実験では、4T1her2腫瘍の退縮が誘導されたマウスにおいて4T1腫瘍は排除されたが、D2F2は漸進的に増殖した。これらの結果から、二元機能融合タンパク質によって誘導される抗腫瘍免疫応答が腫瘍特異的であることが明らかになった。
【0189】
2.CD20/FLによって誘導される活性腫瘍免疫応答。細胞系A20をATCCから得た。D2F2細胞系にヒトCD20遺伝子をトランスフェクトして細胞系A20/CD20を創製した。フローサイトメトリー分析を行ったところ、CD20抗原はA20/CD20細胞の表面で高度に発現されていた。A20/CD20腫瘍細胞系により、Balb/cマウスにおいて皮下腫瘍が発生した。マウスにおけるA20/CD20腫瘍の増殖は、抗CD20 mAb処理で有効に阻害された。
【0190】
メスBalb/cマウスに2x106のA20/CD20腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、マウスを無作為に8匹ずつの群に分けた。マウスにFL、抗CD20 mAb、FLと組み合わせた抗CD20 mAb、またはCD20/FLの静脈注射を4mg/kg/週の用量で連続6週間行った。PBSを静脈注射したマウス群をネガティブコントロール群とした。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0191】
実験結果(表7)は、二元機能融合タンパク質CD20/FLが抗CD20 mAb処理に匹敵するA20/CD20腫瘍増殖阻害能を有することを示している。
【0192】
融合タンパク質またはmAbでの処理後にA20/CD20腫瘍が退縮したマウスに再び親腫瘍細胞を皮下注射して攻撃感染した。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。結果(表7)は抗CD20 mAbが活性な抗腫瘍免疫応答を誘導しなかったことを示している。しかしながら、CD20/FLは親腫瘍に対する活性免疫応答を誘引した。
【0193】
【表7】

【0194】
3.Trail/FLによって誘導される活性腫瘍免疫応答。細胞系RencaをKorea Cancer Instituteから得た。メスBalb/cマウスにRenca腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、マウスを無作為に8匹ずつの群に分けた。マウスにFL、Trail、FLと組み合わせたTrail、またはTrail/FLの静脈注射を4mg/kg/週の用量で連続6週間行った。PBSを静脈注射したマウス群をコントロール群とした。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0195】
実験結果(表8)は二元機能融合タンパク質Trail/FLがTrailに匹敵するRenca腫瘍増殖阻害能を有することを示している。
【0196】
融合タンパク質またはTrailでの処理後にRenca腫瘍が退縮したマウスに再び親腫瘍細胞を皮下注射して攻撃感染した。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。結果(表8)はTrailが活性な免疫応答を有効に誘導しなかったことを示している。しかしながら、Trail/FLは親腫瘍に対する活性免疫応答を誘引した。
【0197】
【表8】

【0198】
要約すると、本研究により、二元機能融合タンパク質はインビボにおいて腫瘍の退縮を誘導するだけでなく、その後の親腫瘍に対する強い活性をもつ抗腫瘍免疫応答も誘引することが明らかになった。
【0199】
実施例14 腫瘍の免疫組織化学的分析
SM/FLおよびhSM/FL融合タンパク質の機構を更に明らかにするために、融合タンパク質で処理したマウスについて腫瘍の免疫組織化学的分析を行った。これらの実験で、ほとんどの腫瘍細胞はchSM/FLおよびhuSM/FL融合タンパク質の投与後に死滅した。腫瘍の周辺にはDC、NK、または他のリンパ球細胞が広範に浸潤しており、これはchSM/FLおよびhuSM/FL融合タンパク質によって腫瘍組織へのDCおよびNK細胞の集合が起こり、腫瘍細胞の死滅が仲介または促進されることを示している。
【0200】
1.接種および腫瘍増殖。これらの実験に使用した物質はリポフェクタミン2000形質転換キット(Invitrogen);HepaP230細胞系を含む。
【0201】
Hepa/P230細胞を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化し、2.7x107細胞/mlに調整した。Hepa/P230細胞を200ulの腫瘍細胞懸濁液としてC57BL/6マウスに皮下接種した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、chSM/FLの静脈注射を4mg/kg/週の用量で連続3週間行った。全ての動物について、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。処理後、腫瘍サンプルの免疫組織化学的分析を行った。
【0202】
2.免疫組織化学的分析(HE染色)。標準的な方法を用いてHE染色による免疫組織化学的分析を行った。簡潔に記載すると、腫瘍サンプルを10%ホルマリン中で24時間固定化し、パラフィンに包埋した。その後4μm厚の切片をヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。
【0203】
結果はFLの単独投与が腫瘍細胞の死滅に有意な有効性を有さないことを示した。しかしながら、SM5-1キメラまたはヒト化mAbをFLと組み合わせた場合、観察される細胞の死滅のレベルは上昇した。同時に、DC、NK、T細胞、およびB細胞を含むリンパ球の浸潤が腫瘍組織中およびその周辺に観察された。留意すべきことに、SM/FL融合タンパク質はインビボで腫瘍細胞の溶解を誘導し、それによって腫瘍塊へのリンパ球の広範な浸潤が起こるが、コントロール融合タンパク質(すなわち抗CD3mAb/FL)ではこれが起こらなかった。
【0204】
これは、インビボにおいてSM/FL融合タンパク質がDC、NK、および他のリンパ球を誘導して腫瘍部位に集合させる能力を有することを示唆している。結果を表9に示す。
【0205】
【表9】

【0206】
3.her2/FL、CD20/FL、またはTrail/FL融合タンパク質投与後の腫瘍の免疫組織化学的分析。他の融合タンパク質の機構を更に明らかにするために、her2/FL、CD20/FL、またはTrail/FL融合タンパク質処理をしたマウス(D2F2/E2、A20/CD20、またはRencaを有する)から切除した腫瘍の免疫組織化学的分析を上記のように行った。結果を表10に示す。
【0207】
【表10】

【0208】
結果はchSM/FL、huSM/FL、her2/FL、CD20/FL、およびTRAIL/FL融合タンパク質がリクルーティングおよび活性化によって腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。融合タンパク質はNKおよびDC細胞の腫瘍部位への集合を誘導し、DC、NK、および他のリンパ球はその抗腫瘍活性を誘導した。
【0209】
実施例15 インビボにおける融合タンパク質の生態分布
chSM/FLまたはhuSM/FLの腫瘍細胞への特異的結合を研究するために、融合タンパク質の生態分布特性を試験した。
【0210】
B16p230腫瘍を有するマウスにそれぞれ125I-標識したSM、chSM/FL、huSM、およびhuSM/FLを静脈注射した。48時間後、選択した臓器を直ちに除去し、放射活性を測定した。
【0211】
結果(図56)はchSM/FLおよびhSM/FL融合タンパク質の生態分布がキメラmAb chSMまたはヒト化mAb huSMのものと同様であることを示している。融合タンパク質は全て、その親mAbの特異性を保持し、腫瘍部位に高度に濃縮されていた。
【0212】
mAbおよび融合タンパク質の生態分布はその特異性に依存し、これは臨床における有意な因子である。特異的な組織分布により、所望の効果を得るために必要な薬剤の量が低減され、同時に非標的組織への損傷が低減される。
【0213】
her2/FL、CD20/FL、およびTRAIL/FL融合タンパク質のインビボにおける分布特性も試験した。4T1/her2、A20/20、およびRenca腫瘍を有するマウスに125I-標識したher2/FL、CD20/FL、TRAIL/FL、およびhuSM/FLをそれぞれ静脈注射した。48時間後、選択した臓器を直ちに除去し、放射活性を測定した。
【0214】
試験結果(図57)はher2/FL、CD20/FL、およびTRAIL/FL融合タンパク質がchSM/FLおよびhSM/FLと同様に腫瘍部位に局在化していることを示している。
【0215】
実施例16 腫瘍特異的リンパ球での養子免疫療法
hepaP230細胞またはB16p230細胞を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化し、2.7x107細胞/mlに調整した。Hepal-6/P230またはB16/P230細胞を200ulの腫瘍細胞懸濁液としてC57BL/6マウスに皮下接種した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、chSM/FLの静脈注射を4mg/kg/週の用量で連続3週間行った。全ての動物について、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0216】
融合タンパク質chSM/FLまたはhuSM/FLで処理し、腫瘍hepap230またはB16p230の退縮が起きたマウスを殺処分し、脾臓を回収した。脾臓細胞を単離し、1.0x109細胞/mlに調整した。次いで、未処理のマウスに、hepap230またはB16p230腫瘍の退縮が起きたマウス由来の脾臓細胞(5.0x107)を注射し、それぞれhepap230またはB16p230腫瘍で攻撃感染した。全ての動物について、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0217】
結果(表11)は、融合タンパク質chSM/FLまたはhuSM/FLで処理し、腫瘍hepap230またはB16p230の退縮が起きたマウスの脾臓細胞由来のマウス養子脾臓細胞は親腫瘍を排除することを示している。非融合タンパク質の組み合わせ、すなわちchSM、huSM、FL、FLと組み合わせたchSM、またはFLと組み合わせたhuSMで処理したマウス由来の脾臓細胞の移植ではレシピエント・マウスにおける腫瘍の排除は誘導されなかった。これらの結果は、移植したリンパ球が特異的抗腫瘍免疫応答を保有し、特異的免疫応答がDCおよびNK細胞によって促進されることを示唆している。
【0218】
【表11】

【0219】
結果はまた、chSM/FLおよびhuSM/FL融合タンパク質の抗腫瘍機構が特異的活性腫瘍免疫応答に依存することを示している。
【0220】
4T1/her2、A20/20、およびRenca細胞を0.05%トリプシンおよび0.02%EDTAで消化し、2.7x107細胞/mlに調整した。4T1/her2、A20/20、またはRenca細胞を200ulの腫瘍細胞懸濁液としてマウスに皮下接種した。腫瘍の直径が0.5cmに達した時点で、マウスにher2/FL、CD20/FL、またはTrail/FLの静脈注射を4mg/kg/週の用量で連続3週間行った。全ての動物について、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0221】
融合タンパク質her2/FL、CD20/FL、またはTrail/FLで処理し、腫瘍4T1/her2、A20/20、またはRenca細胞の退縮が起きたマウスを殺処分し、脾臓を回収した。脾臓細胞を単離し、1.0x109細胞/mlに調整した。次いで、未処理のマウスに、T1/her2、A20/20、またはRenca腫瘍の退縮が起きたマウス由来の脾臓細胞(5.0x107)を注射し、それぞれ4T1/her2、A20/20、またはRenca腫瘍で攻撃感染した。全ての動物について6週間、連続的な腫瘍増殖の観察を行った。
【0222】
結果(表11)は、融合chSM/FLまたはhuSM/FLで処理し、腫瘍hepap230またはB16p230の退縮が起きたマウスの脾臓細胞由来のマウス養子脾臓細胞は親腫瘍を排除することを示している。
【0223】
結果(表12)はchSM/FLおよびhuSM/FLのものと一致しており、chSM/FL、huSM/FL、her2/FL、CD20/FL、およびTrail/FLがリンパ球の活性化によって抗腫瘍活性を仲介することを示している。
【0224】
【表12】

【0225】
当業者に明白なように、本発明の多くの修飾および変更をその意図および範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載する特定の態様は単に例として記載するものであり、本発明は付記する特許請求の範囲、およびそれらの請求の範囲に与えられるものに相当する全範囲によって制限されるものである;そして本発明は例として本明細書に記載する特定の態様に制限されることはない。
【0226】
上記の出版物および文献の引用は上記のいずれかが適切な従前技術であることを容認することを意図するものではなく、また、これらの出版物または文献の内容または日付を容認するものでもない。本明細書で引用する米国特許および他の文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1】(A)四価の二重特異性抗体および(B)FLex/Fc/Fv二元機能融合タンパク質の構造を示す。
【図2】hFlexのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:1)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図3】FL/FCのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:3)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:4)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図4】リンカー(Gly4Ser)3のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:5)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:6)を示す。
【図5】1%アガロースゲル上での抗p230抗体(SM5-1)可変領域遺伝子のPCR産物のアガロースゲル分析を示す。
【図6】mSM5-1重鎖可変領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:7)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:8)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図7】mSM5-1軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:9)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:10)を示す。
【図8】SM5-1キメラ抗体(ChSM)の重鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:11)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:12)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図9】SM5-1キメラ抗体の軽鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:13)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:14)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。
【図10】SM5-1キメラ重鎖発現ベクターの図式を示す。異なる機能をコードする発現ベクター領域部分を示す:HCMV prom(ヒト・サイトメガロウィルス主要即時型初期プロモーター);VH(huSMの重鎖可変領域遺伝子);CH(ヒトγl鎖不変領域遺伝子);BGHpA(ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル);SV40 ori(シミアンウィルス40初期プロモーターおよび複製起点);DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子);pUC起点(プラスミド複製起点);Ampはβ-ラクタマーゼ遺伝子を示す。
【図11】SM5-1キメラ軽鎖発現ベクターの図式を示す。異なる機能をコードするベクター領域部分を示す:HCMV prom(ヒト・サイトメガロウィルス主要即時型初期プロモーター);VL(huSMの軽鎖可変領域遺伝子);CL(ヒトκ鎖不変領域遺伝子);BGHpA(ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル);SV40 ori(シミアンウィルス40初期プロモーターおよび複製起点);DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子);pUC起点(プラスミド複製起点);Ampはβ-ラクタマーゼ遺伝子を示す。
【図12】SM5-1ヒト化抗体(huSM)重鎖可変領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:15)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:16)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図13】SM5-1ヒト化抗体(huSM)軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:17)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:18)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図14】SM5-1ヒト化抗体(huSM)重鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:19)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:20)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図15】SM5-1ヒト化抗体軽鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:21)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:22)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。
【図16A】HuSMVH/Fc/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:23)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:24)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図16B】HuSMVH/Fc/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:23)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:24)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図17A】huSMVH/Fc/Link/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:25)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:26)を示す。
【図17B】huSMVH/Fc/Link/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:25)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:26)を示す。
【図18A】FL/Fc/huSMFvのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:27)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:28)を示す。
【図18B】FL/Fc/huSMFvのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:27)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:28)を示す。
【図19】SM5-1AbおよびFLexの融合遺伝子産物hFLex/Fc/Fvの構造を示す。
【図20A】chSMVH/Fc/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:29)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:30)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図20B】chSMVH/Fc/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:29)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:30)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図21A】chSMVH/Fc/Link/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:31)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:32)を示す。
【図21B】chSMVH/Fc/Link/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:31)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:32)を示す。
【図22A】FL/Fc/chSMFvのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:33)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:34)を示す。
【図22B】FL/Fc/chSMFvのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:33)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:34)を示す。
【図23】2B8重鎖可変領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:35)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:36)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図24】2B8軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:37)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:38)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図25】抗CD20キメラ抗体重鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:39)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:40)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図26】抗CD20キメラ抗体の軽鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:41)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:42)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。
【図27A】CD20VH/Fc/FL重鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:43)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:44)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図27B】CD20VH/Fc/FL重鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:43)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:44)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図28A】CD20VH/Fc/Link/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:45)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:46)を示す。
【図28B】CD20VH/Fc/Link/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:45)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:46)を示す。
【図29A】FL/Fc/CD20Fvのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:47)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:48)を示す。
【図29B】FL/Fc/CD20Fvのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:47)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:48)を示す。
【図30】抗CD20AbおよびFLexの融合遺伝子産物hFLex/Fc/Fvの構造を示す。
【図31】抗her2重鎖可変領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:49)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:50)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図32】抗her2軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:51)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:52)を示す。SPはシグナルペプチド。
【図33】抗her2ヒト化抗体重鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:53)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:54)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図34】抗her2ヒト化抗体軽鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:55)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:56)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。
【図35A】her2VH/Fc/FLの重鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:57)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:58)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図35B】her2VH/Fc/FLの重鎖のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:57)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:58)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図36A】her2VH/Fc/Link/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:59)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:60)を示す。
【図36B】her2VH/Fc/Link/FLのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:59)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:60)を示す。
【図37A】FL/Fc/her2Fvのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:61)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:62)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図37B】FL/Fc/her2Fvのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:61)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:62)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。影付きの部分はイントロンを示す。
【図38】抗her2AbおよびFLexの融合遺伝子産物hFLex/Fc/Fvの構造を示す。
【図39】hFLex/Trailexのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:63)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:64)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。
【図40】TrailおよびFLexの融合遺伝子hFlex/Trailexの構造を示す。
【図41】hFLex/IZ/Trailexのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:65)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:66)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。
【図42】hFLex/Fc/Trailexのヌクレオチド配列(SEQ ID NO:67)およびアミノ酸配列(SEQ ID NO:68)を示す。SPはシグナルペプチド;Stopは翻訳停止コドン。
【図43】TrailおよびFLexの融合遺伝子hFLex/Fc/Trailexの構造を示す。
【図44】ヒト臍帯血CD34(+)細胞に対するSM/FLの増殖効果を示す。
【図45】インビボでのNKおよびDC細胞に対するchSM/FLおよhuSM/FLの効果を示す。
【図46A】インビトロでの異なる細胞系に対するchSM/FL融合タンパク質の阻害効果を示す。
【図46B】インビトロでの異なる細胞系に対するhuSM/FLの阻害効果を示す。
【図47A】インビトロでのB16黒色腫細胞に対する種々のFL融合タンパク質の阻害効果を示す。
【図47B】インビトロでのHepal-6細胞増殖に対する種々のFL融合タンパク質の阻害効果を示す。
【図47C】インビトロでのB16/p230細胞増殖に対する種々のFL融合タンパク質の阻害効果を示す。
【図47D】インビトロでのHepa1-6/p230細胞増殖に対する種々のFL融合タンパク質の阻害効果を示す。
【図48A】インビトロでのher2/FLの阻害効果を示す。
【図48B】インビトロでのハーセプチンの阻害効果を示す。
【図49A】インビトロでのher2/FLの細胞障害性を示す。
【図49B】インビトロでのハーセプチンの細胞障害性を示す。
【図50】インビトロでのCD20/FLの細胞障害性を示す。
【図51A】インビトロでの異なる細胞系に対するTrail/FLの阻害効果を示す。
【図51B】インビトロでの異なる細胞系に対するTrailの阻害効果を示す。
【図52A】インビトロでのTrail/FLの細胞障害性を示す。
【図52B】インビトロでのTrailの細胞障害性を示す。
【図53】インビボでの腫瘍増殖に対するher2/FLの効果を示す。
【図54】インビボでの腫瘍増殖に対するCD20/FLの効果を示す。
【図55】インビボでの腫瘍増殖に対するTrail/FLの効果を示す。
【図56】SM/FLおよびhuSM/FLの生体内分布を示す。
【図57】her2/FL、CD20/FL、およびTrail/FLの生体内分布を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメント、およびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含むキメラタンパク質。
【請求項2】
殺腫瘍物質がアポトーシスを誘導する、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項3】
Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントが造血性の幹細胞または前駆細胞の増殖を刺激する、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントが骨髄前駆細胞、単球細胞、マクロファージ、B細胞、樹状細胞、およびNK細胞からなる群から選択される細胞の増殖を刺激する、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項5】
Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントが哺乳動物Flt3リガンドである、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項6】
哺乳動物Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントがヒトFlt3リガンドである、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項7】
Flt3リガンドまたは生物学的に活性なそのフラグメントが可溶性Flt3リガンドである、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項8】
Flt3リガンドが少なくとも100個のアミノ酸残基を含み、Flt3リガンドがSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列と少なくとも40%の同一性を有し、ここで、同一性のパーセンテージはSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列と同サイズのアミノ酸配列に関して測定され、Flt3リガンドがその生物学的活性を実質的に保持している、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項9】
Flt3リガンドがSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体に結合し、Flt3リガンドがその生物学的活性を実質的に保持している、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項10】
Flt3リガンドがSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項11】
Flt3リガンドがSEQ ID NO:2のアミノ酸28から128と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項12】
Flt3リガンドがSEQ ID NO:2のアミノ酸28から128を含む、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項13】
Flt3リガンドがSEQ ID NO:2のアミノ酸残基28-160およびSEQ ID NO:2のアミノ酸残基28-182からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項14】
殺腫瘍物質が抗体である、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項15】
抗体が、無傷の抗体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、ダイアボディー、1本鎖抗体、および抗体フラグメントから生成される多特異性抗体からなる群から選択される、請求項14記載のキメラタンパク質。
【請求項16】
抗体が、抗p230抗体、抗CD29抗体、抗Her2抗体、抗Her3抗体、抗Her4抗体、抗EGFR抗体、または生物学的に活性なそのフラグメントからなる群から選択される、請求項14記載のキメラタンパク質。
【請求項17】
抗体がヒトまたはヒト化抗体である、請求項14記載のキメラタンパク質。
【請求項18】
殺腫瘍物質が、Fasリガンド、TNF、TRAIL、または生物学的に活性なその細胞外ドメインからなる群から選択される、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項19】
Flt3リガンドがキメラタンパク質のN末端に位置する、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項20】
Flt3リガンドがキメラタンパク質のC末端に位置する、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項21】
Flt3リガンドおよび殺腫瘍物質が連結ペプチドで分離されている、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項22】
連結ペプチドが(Gly4Ser)3である、請求項21記載のキメラタンパク質。
【請求項23】
SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:66、またはSEQ ID NO:68で表されるアミノ酸配列を含む、請求項1記載のキメラタンパク質。
【請求項24】
請求項1記載のキメラタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸。
【請求項25】
SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:65、またはSEQ ID NO:67で表されるヌクレオチド配列を含む、請求項24記載の核酸。
【請求項26】
請求項24記載のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む単離された核酸。
【請求項27】
請求項1記載のキメラタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むベクター。
【請求項28】
Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質をコードする核酸に機能的に結合した発現調節配列を更に含む、請求項27記載のベクター。
【請求項29】
請求項24記載の核酸を含む組換え細胞。
【請求項30】
真核細胞である、請求項29記載の組換え細胞。
【請求項31】
CHO、COS、またはNSO細胞である、請求項30記載の組換え細胞。
【請求項32】
キメラタンパク質の生成法であって、請求項24記載の核酸を含有する組換え細胞を増殖させてコードされるキメラタンパク質を細胞によって発現させ、発現したキメラタンパク質を回収することを含む上記方法。
【請求項33】
回収されたキメラタンパク質を単離および/または精製することを更に含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
請求項32記載の方法の生成物。
【請求項35】
Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質および医薬的に許容されるキャリアーまたは賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項36】
Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質、および該キメラタンパク質の投与法の説明書を含むキット。
【請求項37】
哺乳動物において新生物を治療する方法であって、同治療が必要または所望される哺乳動物にFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質を投与することを含む上記方法。
【請求項38】
哺乳動物がヒトである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
新生物が黒色腫、乳癌、または肝細胞癌である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
a)Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質;および
b)有効量の抗新生物物質
を含む複合剤。
【請求項41】
抗新生物剤が黒色腫、乳癌、または肝細胞癌を治療する物質である、請求項40記載の複合剤。
【請求項42】
哺乳動物において新生物を治療する方法であって、同治療が必要または所望される哺乳動物に有効量の請求項40記載の複合剤を投与することを含む上記方法。
【請求項43】
細胞においてカスペース3介在型アポトーシスを誘導する方法であって、同誘導が必要または所望される細胞にFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質を投与することを含む上記方法。
【請求項44】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
細胞が哺乳動物新生物細胞である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
細胞が哺乳動物中に含まれる、請求項43記載の方法。
【請求項47】
Flt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質および免疫応答増強剤を含むワクチン。
【請求項48】
哺乳動物において抗新生物免疫応答を誘発する方法であって、同誘発が必要または所望される哺乳動物に有効量の請求項47記載のワクチンを投与することを含む上記方法。
【請求項49】
腫瘍特異的リンパ球を製造する方法であって、哺乳動物にFlt3リガンドおよびタンパク質性またはペプチド性の殺腫瘍物質を含む有効量のキメラタンパク質を投与して腫瘍特異的リンパ球を生成させ、該生成させた腫瘍特異的リンパ球を該哺乳動物から回収することを含む上記方法。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20A】
image rotate

【図20B】
image rotate

【図21A】
image rotate

【図21B】
image rotate

【図22A】
image rotate

【図22B】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27A】
image rotate

【図27B】
image rotate

【図28A】
image rotate

【図28B】
image rotate

【図29A】
image rotate

【図29B】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35A】
image rotate

【図35B】
image rotate

【図36A】
image rotate

【図36B】
image rotate

【図37A】
image rotate

【図37B】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46A】
image rotate

【図46B】
image rotate

【図47A】
image rotate

【図47B】
image rotate

【図47C】
image rotate

【図47D】
image rotate

【図48A】
image rotate

【図48B】
image rotate

【図49A】
image rotate

【図49B】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51A】
image rotate

【図51B】
image rotate

【図52A】
image rotate

【図52B】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate

【図57】
image rotate


【公表番号】特表2007−515946(P2007−515946A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533567(P2006−533567)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017765
【国際公開番号】WO2005/001048
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505448970)オンコマックス アクイジション コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】