説明

抗酸化カンプトセシン誘導体及びその抗酸化、抗新生物ナノスフェア

本発明は、カンプトセシンの抗酸化誘導体、及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体、及びナノメートルサイズのカンプトセシンプロドラッグの調製を対象とする。カンプトセシンの抗酸化誘導体及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体を合成する方法、抗酸化カンプトセシンナノスフェアプロドラッグを生成するためのその自然乳化又はナノ沈殿、及び癌性疾患治療におけるその使用も提供される。本発明の別の一態様は、他の医薬品及び/又は薬物の送達装置を調製するためのこれらの抗酸化カンプトセシンナノスフェアプロドラッグの使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化カンプトセシン誘導体及びそのナノスフェアに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書におけるすべての刊行物は、個々の刊行物又は特許出願が参照により援用されるように具体的かつ個々に示されたかのごとく、同じ程度に参照により援用される。以下の記述は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書に記載の情報のいずれかが従来技術であり、又は本発明に関連することを認めるものではなく、具体的又は暗黙的に参照される任意の刊行物が従来技術であることを認めるものでもない。
【0003】
カンプトセシンの抗腫よう効果
カンプトセシンは、Camptotheca acuminate(Nyssaceae)の木及び樹皮から最初に単離された植物アルカロイドであり、DNAトポイソメラーゼIによるDNA弛緩を阻害することによってその抗腫よう効果を示す。しかし、カンプトセシンは、本質的に水不溶性であり、したがって多数の誘導体が、水溶性を増加させるために開発されてきた。(非特許文献1:非特許文献2)。
【0004】
カンプトセシンは、この分子の抗腫よう効果に不可欠であるE環中にラクトンを有する五環構造からなる。薬物の主な転換及び排出経路は、ラクトン加水分解及び尿中排せつを含むことが示された。実際、ラクトン体は投与後30分で50%加水分解されて開環する。ナトリウム塩は、pH7.4では不活性型(開環)がラクトン活性型(閉環)より優勢であるので、カンプトセシンよりも低活性である。
【0005】
α−リポ酸の抗酸化効果
ジチオラン部分を含む分子は、その抗酸化性のために広範に検討されている。α−リポ酸(チオクト酸、1,2−ジチオラン−3−ペンタン酸)は、その分子中にジチオラン環を有し、広範に分布する天然物質であり、最初に成長因子として発見された。生理学的に、それはαケトカルボン酸(例えば、ピルバート)の酸化的脱炭酸の補酵素として、さらに抗酸化剤として作用し、ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン及びコエンザイムQ10を再生することができる。病的状況では、リポ酸は、糖尿病性多発性神経障害、肝硬変及び金属中毒の治療に適用される。
【0006】
【化1】

リポ酸及びジヒドロリポ酸は、脂質と水系環境の両方において幾つかのラジカルを捕捉することができる。リポ酸及びジヒドロリポ酸は、直接ラジカル捕捉及び/又は金属キレート化によってだけでなく、別の抗酸化剤(例えば、ビタミンC、ビタミンE)を再循環させることによって、さらにグルタチオンを還元することによっても、抗酸化剤として作用する。グルタチオンはビタミンEを再循環させる。[1,2]−ジチオラン環構造中の2個のチオール基は、独特の抗酸化能力をそれに付与する。リポ酸などの5員環を有するジスルフィドは、シスチン、グルタチオンなどの開鎖誘導体よりも還元性及び/又は求核性攻撃に有効であることが見いだされた。
【0007】
化合物の抗酸化能力は、(1)遊離基捕捉の特異性、(2)別の抗酸化剤との相互作用、(3)金属キレート化活性、(4)遺伝子発現に対する効果、(5)吸収及び生物学的利用能、(6)位置(水溶液若しくは膜領域中、又は両方)、(7)酸化的損傷を修復する能力などの諸性質に基づいて評価することができる(非特許文献3)。上記判定基準によれば、[1,2]−ジチオラン含有リポ酸/ジヒドロリポ酸レドックス系は、汎用抗酸化剤とみなされてきた。
【0008】
抗酸化活性を有するリポ酸誘導体又は複合体を開発する多数の試みがなされてきた。特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6、特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12;特許文献13;特許文献14;及び特許文献15は一例である。
【0009】
多数の他の米国特許においては、天然及び合成リポ酸誘導体並びにその代謝産物が、皮膚老化防止用、並びに炎症性、増殖性、神経変性、代謝性及び感染性疾患を含めた遊離基媒介性疾患の治療用に開示されている。
【0010】
NOシンターゼに対する阻害活性、及び活性酸素種(ROS)の捕捉
様々な状態又は症状が、その生理病理学における一酸化窒素(NO)及びROS並びにグルタチオン代謝の潜在的役割を示してきた。一酸化窒素及びグルタチオン代謝、並びにチオール基の酸化還元状態が関係する状態又は症状としては、心血管及び脳血管障害(例えば、アテローム性動脈硬化症、片頭痛、動脈性高血圧、敗血症ショック、虚血性又は出血性心筋又は脳梗塞、虚血及び血栓症);中心又は末梢神経系(例えば、神経変性神経系)の障害;脳梗塞、くも膜下出血、加齢、老年認知症(例えば、Alzheimer病)、Huntington舞踏病、Parkinson病、プリオン病(例えば、Creutzfeld Jacob病)、筋萎縮性側索硬化症、とう痛、大脳及び脊髄外傷を含めた神経変性疾患;増殖性及び炎症性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)、アミロイドーシス、及び胃腸系炎症;臓器移植;糖尿病及びその合併症(例えば、網膜症、腎症及び多発性神経障害、多発性硬化症、筋疾患);癌;常染色体遺伝病(例えば、Unverricht−Lundborg病);中毒に不随する神経疾患(例えば、カドミウム中毒、n−ヘキサン吸入、殺虫剤、除草剤)、治療(例えば、放射線治療)に不随する神経疾患、又は遺伝的原因の障害(例えば、Wilson病);並びに糖尿病に関連する性交不能が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0011】
これらの状態及び症状は、一酸化窒素の過剰産生若しくは機能不全、及び/又はグルタチオン及びチオール基の酸化還元状態の代謝を特徴とする。(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。特許文献16、特許文献17及び特許文献18は、リポ酸誘導体が、一酸化窒素NOを産生するNOシンターゼ酵素の活性を阻害し、内在性抗酸化剤を再生することを開示している。内在性抗酸化剤は、ROSを捕捉し、より一般的な様式でチオール基の酸化還元状態に干渉する。特許文献19、特許文献20及び特許文献21は、I及びII型糖尿病治療薬の合成のためのラセミα−リポ酸又はその代謝産物、塩、アミド若しくはエステルの使用を開示している。特許文献22は、抗酸化活性を有する化合物が還元又は酸化型1,2−ジチオランを含む、遊離基媒介性疾患の治療方法、及び/又はかかる疾患に付随する症候の軽減方法を開示している。特許文献23は、ラセミアルファリポ酸、その鏡像異性体及び薬学的に許容される塩、アミド、エステル又はチオエステルからなる群から選択される活性成分の投与を含む、片頭痛の防止又は治療方法を開示している。特許文献24及び特許文献25は、リポ酸及び/又はリポ酸誘導体を含む組成物の適用による慢性炎症性障害酒さの治療を開示している。リポ酸及びジヒドロリポ酸の神経保護作用が抗酸化剤及び遊離基捕捉機序によって媒介される強力な証拠もある。(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,090,842号明細書
【特許文献2】米国特許第6,013,663号明細書
【特許文献3】米国特許第6,117,899号明細書
【特許文献4】米国特許第6,127,394号明細書
【特許文献5】米国特許第6,150,358号明細書
【特許文献6】米国特許第6,204,288号明細書
【特許文献7】米国特許第6,235,772号明細書
【特許文献8】米国特許第6,288,106号明細書
【特許文献9】米国特許第6,353,011号明細書
【特許文献10】米国特許第6,369,098号明細書
【特許文献11】米国特許第6,387,945号明細書
【特許文献12】米国特許第6,605,637号明細書
【特許文献13】米国特許第6,887,891号明細書
【特許文献14】米国特許第6,900,338号明細書
【特許文献15】米国特許第6,936,715号明細書
【特許文献16】米国特許第6,605,637号明細書
【特許文献17】米国特許第6,887,891号明細書
【特許文献18】米国特許第6,936,715号明細書
【特許文献19】米国特許第5,693,664号明細書
【特許文献20】米国特許第5,948,810号明細書
【特許文献21】米国特許第6,884,420号明細書
【特許文献22】米国特許第5,925,668号明細書
【特許文献23】米国特許第6,251,935号明細書
【特許文献24】米国特許第6,472,432号明細書
【特許文献25】米国特許第6,586,472号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Thomas et al.,Camptothecin:Current perspectives.BIOORG.MED.CHEM.,12,2004,1585−1604:
【非特許文献2】Pizzolato et al.,The Camptothecin.THE LANCET,361,2003,2235−2242
【非特許文献3】Packer et al.,FREE RADICAL BIOLOGY&MEDICINE.19(2):227−250,1995
【非特許文献4】Duncan and Heales,Nitric Oxide and Neurological Disorders,MOLECULAR ASPECTS OF MEDICINE.26:67−96,2005
【非特許文献5】Kerwin et al.,Nitric Oxide:A New Paradigm For Second Messengers,J.MED.CHEM.38:4343−4362,1995
【非特許文献6】Packer et al.,FREE RADICAL BIOLOGY&MEDICINE.19:227−250,1995
【非特許文献7】Packer et al.,FREE RADICAL BIOLOGY&MEDICINE.22:359−378,1997
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下の実施形態及びその態様を、範囲を限定しない例示的な説明のためのものであることを意図した組成物及び方法に関連して、記述及び説明する。
【0015】
本発明の一実施形態は、
【0016】
【化2】

式II
を含む、化合物を規定する。式中、A及びBは、−OC(O)−、−OC(O)O−及び−OC(O)N(R)−からなる群から独立に選択することができ、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖とすることができ、X及びYはリンカーとすることができ、各々独立に炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖を含み、ヘテロ原子を場合によっては含むことができ、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択することができ、各々ヘテロ原子を場合によっては含むことができる。
【0017】
一実施形態においては、化合物は、
【0018】
【化3】

式IV
で表すことができる。式中、Lは、ジオール上の2個のエステル化可能なフリーヒドロキシル基のエステル化によって形成される部分とすることができ、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基からなる群から各々独立に選択することができ、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる。
【0019】
種々の実施形態においては、ジオールは、以下からなる群から選択することができる。
【0020】
【化4−1】

(式中、Wは炭化水素基である。)、
【0021】
【化4−2】

(式中、nは1から100の整数である。)、
【0022】
【化5】

(式中、nは2から12の整数である。)、
【0023】
【化6】


【0024】
種々の実施形態においては、化合物は、以下からなる群から選択することができる。
【0025】
【化7】

【0026】
【化8】


【0027】
本発明の別の一実施形態は、
【0028】
【化9】

式III
を含む化合物も規定する。式中、Aは、−OC(O)−、−OC(O)O−及び−OC(O)N(R)−からなる群から選択することができ、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖とすることができ、Pは、−OC(O)−及び−N(R)C(O)−からなる群から選択することができ、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖とすることができ、Xは、炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖を含むリンカーとすることができ、ヘテロ原子を場合によっては含むことができ、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択することができ、各々ヘテロ原子を場合によっては含むことができる。
【0029】
一実施形態においては、化合物は、
【0030】
【化10】

式XI
とすることができる。式中、Lは、該化合物を生成するプロセスにおいてジアミンをリンカーとして使用することによって形成される部分とすることができ、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基からなる群から各々独立に選択することができ、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる。
【0031】
種々の実施形態においては、ジアミンは、以下からなる群から選択することができる。
【0032】
【化11】

(式中、Xは炭化水素基である。)、
【0033】
【化12】

(式中、nは1から100の整数である。)、及び
【0034】
【化13】

(式中、nは2から12の整数である。)。
【0035】
種々の実施形態においては、化合物は、以下からなる群から選択することができる。
【0036】
【化14】

および、
【0037】
【化15】


【0038】
種々の実施形態においては、化合物は、以下のように表すことができる。
【0039】
【化16】

式XVIII
式中、Lは、該化合物を生成するプロセスにおいてアミノアルコールをリンカーとして使用することによって形成される部分とすることができ、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、各々ヘテロ原子を含むことができる。
【0040】
種々の実施形態においては、アミノアルコールは、以下からなる群から選択することができる。
【0041】
【化17】

(式中、Yは炭化水素基であり、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる。)、
【0042】
【化18】

(式中、nは1から100の整数である。)、及び
【0043】
【化19】

(式中、nは2から12の整数である。)。
【0044】
種々の実施形態においては、化合物は、以下からなる群から選択することができる。
【0045】
【化20】

【0046】
【化21】


【0047】
本発明の別の一実施形態は、α−リポ酸と、カンプトセシンとの、又は無水コハク酸若しくは無水グルタル酸と反応させることによって修飾されたカンプトセシン類縁体との、複合化によって生成される化合物であって、カンプトセシン類縁体が式Iで表される、化合物も規定する。
【0048】
【化22】

式中、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択することができ、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる。
【0049】
種々の実施形態においては、化合物は、以下からなる群から選択することができる。
【0050】
【化23】

【0051】
【化24】

【0052】
【化25】

【0053】
【化26】

式中、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択することができ、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる。
【0054】
本実施形態は、以下の化合物も規定する。
【0055】
【化27】

【0056】
【化28】

【0057】
【化29】

【0058】
【化30】


【0059】
本発明は、本発明の化合物を含むナノスフェアも提供する。更なる一実施形態においては、ナノスフェアは、複数のα−リポ酸を含有する疎水性化合物、α−トコフェロール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導体、及びその組合せからなる群から選択される化合物を更に含むことができる。
【0060】
本発明は、それを必要とする被験体における癌を治療する方法であって、本発明の化合物を含む組成物を用意すること、及び治療有効量の該組成物を被験体に投与して癌を治療することを含む、方法も規定する。
【0061】
本発明は、それを必要とする被験体における癌を治療する方法であって、本発明のナノスフェアを用意すること、及び治療有効量の該ナノスフェアを被験体に投与して癌を治療することを含む、方法も提供する。
【0062】
本発明は、薬学的に許容される担体又は賦形剤と本発明の化合物とを含む、薬学的組成物も提供する。
【0063】
本発明の他の特徴及び効果は、添付図面と併せて、以下の詳細な説明から明白になるであろう。添付図面は、本発明の実施形態の様々な特徴を例示している。
【0064】
例示的な実施形態を参照図に示す。本明細書に開示する実施形態及び図は、限定的なものではなく説明のためのものと考えるべきであることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による化合物ALA−TEG−OHのHスペクトルを示す。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による化合物ALA−TEG−OHの13Cスペクトルを示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による化合物ALA(1,12−ドデカンジオール)のHスペクトルを示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による化合物ALA(1,12−ドデカンジオール)の13Cスペクトルを示す。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による神経こう腫細胞生存率に対する化合物10を含むナノスフェアの効果を示す。化合物10の非存在下でα−トコフェロールのみから調製された対照ナノスフェア(Toco);細胞は、化合物10 0.1〜2.0μMを含む、α−トコフェロールと化合物10の混合物から調製されたナノスフェアで処理される。エラーバーは、3回繰り返しの測定から計算された±S.D.である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による神経こう腫細胞生存率に対する化合物10を含むナノスフェアの効果を示す。化合物10の非存在下でALA(1,12−ドデカンジオール)のみから調製された対照ナノスフェア(DD(ALA2));化合物10 0.1〜2.0μMを含む、ALA(1,12−ドデカンジオール)と化合物10の混合物から調製されたナノスフェアで処理された細胞。エラーバーは、3回繰り返しの測定から計算された±S.D.である。
【図7】図7は、神経こう腫細胞生存率に対する化合物10及びIbuTEGを含むナノスフェアの効果を示す。化合物10 0.1〜2.0μMを含む、IbuTEGと化合物10の混合物から調製されたナノスフェアで処理された細胞。化合物10の非存在下でIbuTEGのみから調製されたナノスフェアを用いた対照実験については、図8を参照されたい。エラーバーは、3回繰り返しの測定から計算された±S.D.である。
【図8】図8は、神経こう腫細胞生存率に対するIbuTEGを含むナノスフェアの効果を示す。細胞は、IbuTEG16〜160μMを含む、IbuTEGのみから調製されたナノスフェアで処理された。この実験におけるIbuTEG量は、IbuTEGと化合物10の混合物から調製されたナノスフェアに含まれるIbuTEG量に等しい(図7)。したがって、この結果は、化合物10の非存在下での図7の実験の対照として役立つ。エラーバーは、3回繰り返しの測定から計算された±S.D.である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本明細書で引用されるすべての参考文献は、完全に記載されたかのごとく、参照によりその全体が援用される。特に断らない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.,J.Wiley&Sons(New York,NY 2001)、及びMarch,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 5th ed.,J.Wiley&Sons(New York,NY 2001)は、本願で使用する用語の多くに対する一般的指針を当業者に提供する。
【0067】
当業者は、本発明の実施において使用することができる、本明細書に記載の方法及び材料と類似した、又は等価である、多数の方法及び材料を認識するであろう。実際、本発明は、記載した方法及び材料に決して限定されない。本発明では、下記の用語を以下で定義する。
【0068】
本明細書では略語「CPT」は、下に示すカンプトセシン{(S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1H−ピラノ−[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン}を指す。この化合物は、多数の供給源、例えばSigma Chemical Co.(St.Louis、Mo)から市販されている。
【0069】
【化31】

本明細書では「カンプトセシン類縁体」とは、式Iの化合物を指す。
【0070】
【化32】

式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0071】
本明細書では「カンプトセシンの抗酸化誘導体」及び「抗酸化カンプトセシン誘導体」とは、抗酸化[1,2]−ジチオラン環を含むカンプトセシンの誘導体を指す。
【0072】
本明細書では「カンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体」及び「抗酸化カンプトセシン類縁体誘導体」とは、抗酸化[1,2]−ジチオラン環を含むカンプトセシン類縁体の誘導体を指す。
【0073】
本明細書では「カンプトセシンナノスフェア」及び「カンプトセシンナノスフェアプロドラッグ」とは、カンプトセシンの抗酸化誘導体又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体を含む、ナノスフェアを指す。ナノスフェアは、複数のα−リポ酸を含有する疎水性化合物、α−トコフェロール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導体、又はその組合せを更に含むことができる。
【0074】
「癌」及び「癌性」とは、典型的には未制御の細胞増殖を特徴とする、ほ乳動物における生理的状態を指し、又は記述する。癌の例としては、神経こう腫、グリア芽細胞腫、多形性こう芽腫(GBM)、乏突起こう腫、未分化神経外胚葉性腫よう、低悪性度、中悪性度及び高悪性度星細胞腫、上衣細胞腫(例えば、粘液乳頭状上衣腫 乳頭状上衣腫、上衣下腫、未分化上衣腫)、乏突起こう腫、髄芽腫、髄膜腫、下垂体癌、神経芽細胞腫、及び頭蓋咽頭腫を含めて、ただしそれだけに限定されない、乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、肝細胞癌、胃癌、すい癌、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、ぼうこう癌、尿路癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、黒色腫、頭頚部癌及び脳腫ようが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0075】
本明細書では「ほ乳動物」とは、ヒト及びチンパンジー、別の類人猿、サル種などの非ヒト霊長目;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマなどの家畜;イヌ、ネコなどの家庭内ほ乳動物;マウス、ラット、モルモットなどのげっ歯類を含めた実験動物を含めて、ただしそれだけに限定されないほ乳綱の任意のメンバーを指す。この用語は、特定の年齢も性別も表さない。したがって、成体及び新生仔被験体並びに胎仔は、雄性でも雌性でも、この用語の範囲内に包含されるものとする。
【0076】
本明細書では「ナノスフェア」とは、少なくとも1つの寸法が約10nmから約1000nmのサイズの粒子を指し、ナノエマルジョンも含むことができる。
【0077】
「ナノプロドラッグ」は、本願を通して「ナノスフェア」と区別なく使用される。
【0078】
本明細書では「非ステロイド性」は、類似の抗炎症作用を有するステロイドから抗炎症薬を区別する。
【0079】
本明細書では「NSAID誘導体」とは、少なくとも1個のNSAID分子が、例えばエステル化によって、ポリオールに結合した化合物を指す。
【0080】
本明細書では「ポリオール」とは、少なくとも2個のエステル化可能なフリーヒドロキシル基を含む化合物を指す。
【0081】
本明細書では「治療薬」とは、疾患又は障害の治療、治癒、防止、減速又は軽減が最終的に失敗した場合でも、疾患又は障害の治療、治癒、防止、減速又は軽減のための医薬品として内部的又は外部的に使用される任意の物質を指す。
【0082】
本明細書では「治療有効量」とは、治療が求められる状態又は症状を有する患者において有益な結果を得ることができる量を指す。治療有効量は、個体基準で決定することができ、ほ乳動物の生理学的特性、使用する送達系又は治療技術のタイプ、疾患進行に対する投与時間への考慮に少なくとも部分的に基づく。
【0083】
本明細書では「治療」及び「治療すること」とは、治療処置と予防又は防止措置の両方を指し、その目的は、治療が最終的に失敗した場合でも、疾患又は症状を防止、減速及び/又は軽減することである。
【0084】
本発明は、カンプトセシンの抗酸化誘導体及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体を規定する。これらの誘導体は、種々のタイプの癌を治療するのに有用である。さらに、本発明は、カンプトセシンの抗酸化誘導体又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体を含む抗酸化抗腫ようナノスフェア、並びに抗酸化抗腫ようナノスフェアを調製する方法を提供する。これらのナノスフェアは、プロドラッグとして作用することができる。
【0085】
一実施形態においては、カンプトセシンナノスフェアプロドラッグは、カンプトセシン又はカンプトセシン類縁体を長期間放出することができる。別の一実施形態においては、カンプトセシンナノスフェアプロドラッグは、追加の医薬品の送達用ビヒクルとして役立つことができる。
【0086】
一実施形態においては、カンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、式IIで表すことができる。
【0087】
【化33】

式中、A及びBは、−OC(O)−、−OC(O)O−及び−OC(O)N(R)−からなる群から独立に選択することができ、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖とすることができ、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)を含むことができ、X及びYは、各々、炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖であり得るリンカーとすることができ、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)を含むことができ、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0088】
一実施形態においては、カンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、カンプトセシン又はカンプトセシン類縁体とα−リポ酸の複合化によって調製され、式IIIで表される。
【0089】
【化34】

式中、Aは、−OC(O)−、−OC(O)O−及び−OC(O)N(R)−からなる群から選択することができ、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖とすることができ、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)を含むことができ、式中、Pは、−OC(O)−及び−N(R)C(O)−からなる群から選択することができ、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖とすることができ、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)を含むことができ、Xは、炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖であり得るリンカーとすることができ、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)を含むことができ、式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0090】
別の一実施形態においては、カンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、ジオールを介したカンプトセシン又はカンプトセシン類縁体とα−リポ酸の複合化によって調製され、式IVで表される。
【0091】
【化35】

式中、Lは、ジオール上の2個のエステル化可能な遊離ヒドロキシル基のエステル化によって形成される部分とすることができ、式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0092】
種々の実施形態においては、本発明に有用であるジオールは、以下の式で表すことができる。
【0093】
【化36】

式中、Wは炭化水素基、例えば、アルキル、アリール、脂環式又はアラルキル基とすることができ、飽和でも不飽和でもよい。Wはヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)も含むことができる。
【0094】
本発明に有用であるジオールの追加の例としては、以下の市販品が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0095】
【化37】

式中、nは1から100の整数である。
【0096】
【化38】

式中、nは2から12の整数である。
1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン
【0097】
【化39】

1,3−シクロペンタンジオール
【0098】
【化40】

1,4−シクロヘキサンジオール
【0099】
【化41】

この実施形態の特に有用であるカンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体の例は、以下の式で表される。
【0100】
【化42】

式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0101】
一例示化合物及びその合成を以下に示す。
【0102】
【化43】

別の一実施形態においては、カンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、ジアミンを介したカンプトセシン又はカンプトセシン類縁体とα−リポ酸の複合化によって調製され、式XIで表される。
【0103】
【化44】

式中、Lは、抗酸化カンプトセシン誘導体又は抗酸化カンプトセシン類縁体誘導体を生成するプロセスにおいてジアミンをリンカーとして使用することによって形成される部分とすることができ、式中、R、R、R、R、Rは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0104】
一実施形態においては、本発明に有用であるジアミンは、以下の式で表すことができる。
【0105】
【化45】

式中、Xは炭化水素基、例えば、アルキル、アリール、脂環式又はアラルキル基とすることができ、飽和でも不飽和でもよい。Xはヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)も含むことができる。
【0106】
別の実施形態においては、本発明の化合物に有用であるジアミンとしては、以下の市販品が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0107】
【化46】

(式中、nは1から100の整数である。)
【0108】
【化47】

(式中、nは2から12の整数である。)
この実施形態の特に有用であるカンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体の例は、以下の式で表される。
【0109】
【化48】

【0110】
【化49】

式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0111】
一例示化合物及びその合成を以下に示す。
【0112】
【化50】

別の一実施形態においては、カンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、アミノアルコールを介したカンプトセシン又はカンプトセシン類縁体とα−リポ酸の複合化によって調製され、式XVIIIで表される。
【0113】
【化51】

式中、Lは、抗酸化カンプトセシン誘導体又は抗酸化カンプトセシン類縁体誘導体を生成するプロセスにおいてアミノアルコールをリンカーとして使用することによって形成される部分とすることができ、式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0114】
本発明に有用であるアミノアルコールは、以下の式で表すことができる。
【0115】
【化52】

式中、Yは炭化水素基、例えば、アルキル、アリール、脂環式又はアラルキル基とすることができ、飽和でも不飽和でもよい。Yはヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄など)も含むことができる。
【0116】
本発明の化合物に有用であるアミノアルコールの例としては、以下の市販品が挙げられるが、それだけに限定されない。
【0117】
【化53】

(式中、nは1から100の整数である。)
【0118】
【化54】

(式中、nは2から12の整数である。)
この実施形態の特に有用であるカンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体の例は、以下の式で表される。
【0119】
【化55】

【0120】
【化56】

式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0121】
一例示化合物及びその合成を以下に示す。
【0122】
【化57】

本発明の追加の実施形態は、以下の化合物を規定する。
【0123】
【化58】

【0124】
【化59】


【0125】
別の一実施形態においては、カンプトセシン類縁体は、無水コハク酸又は無水グルタル酸との反応によって修飾され、カンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、α−リポ酸と修飾カンプトセシン又はカンプトセシン類縁体の複合化によって調製される。一例示化合物及びその合成を以下に示す。
【0126】
【化60】

【0127】
【化61】

式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0128】
特に有用であるカンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体の追加の例は、以下の式で表される。
【0129】
【化62】

【0130】
【化63】

【0131】
【化64】

【0132】
【化65】

式中、R、R、R、R及びRは、水素又はアルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基から選択される置換基から各々独立に選択することができ、飽和でも不飽和でもよく、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなど)を含むことができる。
【0133】
特定の一実施形態においては、上記式及び/又は化合物のRからRの各々はHであり、以下で示される。
【0134】
【化66】

カンプトセシンの抗酸化誘導体及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体の合成の一般的スキーム、並びに抗酸化抗腫ようナノスフェアの調製を後続の実施例に記載する。合成手順は、単純かつ汎用性があり、サイズ及び疎水性の異なるカンプトセシンの抗酸化誘導体及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体が合成される。
【0135】
本発明は、癌を治療する方法も規定する。一実施形態においては、抗酸化カンプトセシン誘導体及び抗酸化カンプトセシン類縁体誘導体は、癌治療に使用される。この方法は、本発明の抗酸化カンプトセシン誘導体又は抗酸化カンプトセシン類縁体誘導体を含む薬学的組成物を用意すること、及び治療有効量の薬学的組成物をそれを必要とする被験体に投与することを含む。更なる一実施形態においては、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む。
【0136】
特定の一実施形態においては、抗酸化カンプトセシン誘導体及び抗酸化カンプトセシン類縁体誘導体を使用して、脳腫ようを治療する。方法は、本発明の抗酸化カンプトセシン誘導体又は抗酸化カンプトセシン類縁体誘導体を含む薬学的組成物を用意すること、及び治療有効量の薬学的組成物を脳腫ようの治療を必要とする被験体に投与することを含む。
【0137】
本発明の追加の実施形態は、カンプトセシンの抗酸化誘導体及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体からカンプトセシンナノスフェアプロドラッグを調製する方法を規定する。
【0138】
一実施形態においては、カンプトセシンの抗酸化誘導体及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、他の抗酸化α−リポ酸含有疎水性化合物とブレンドすることによって抗酸化抗腫ようナノ粒子(例えば、ナノスフェア)に調製される。これらの化合物は、2008年1月3日に出願された米国仮特許出願第61/018,749号、及び2008年12月30日に出願された国際公開第2009/086547号に開示されており、完全に記載されたかのごとく、参照によりその全体が援用される。これらの抗酸化α−リポ酸含有疎水性化合物の例としては、以下のものが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0139】
式Iaで表される抗酸化α−リポ酸含有疎水性化合物。
【0140】
【化67】

式中、Xは、炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖からなる群から選択することができ、ヘテロ原子を場合によっては含むことができ、Yは、分枝及び非分枝アルキル、分枝及び非分枝アルケニル、分枝及び非分枝アルキニル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルキル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルケニル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルキニル、アリール、環式脂肪族、環式芳香族、複素環式、並びに芳香族複素環式基からなる群から選択することができ、nは少なくとも1の整数とすることができる。特定の実施形態においては、nは1から4の整数とすることができ、Xは1から6個の炭素原子の非置換非分枝鎖とすることができる。
【0141】
一実施形態においては、式Iaのジチオラン部分はα−リポ酸とすることができ、式IIaで表される。
【0142】
【化68】

種々の実施形態においては、Yは、ポリオールのヒドロキシル基のエステル化によって形成される部分とすることができる。種々の実施形態においては、ポリオールは、
【0143】
【化69】

(式中、nは1から4の整数である。)、及び
【0144】
【化70】

(式中、nは3から16の整数である。)
からなる群から選択することができる。
【0145】
特に有用である複数のα−リポ酸を含有する疎水性化合物の一例は、以下のように表される。
【0146】
【化71】

別の一実施形態においては、カンプトセシンの抗酸化誘導体及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、2009年4月8日に出願された国際出願第PCT/US09/39956号に開示された非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導体とブレンドすることによってナノ粒子(例えば、ナノスフェア)に調製される。この国際出願は、完全に記載されたかのごとく、参照によりその全体が援用される。これらのNSAID誘導体の例としては、以下のものが挙げられるが、それだけに限定されない。
【0147】
式IbのNSAID誘導体:
【0148】
【化72】

式中、Aは、分枝及び非分枝アルキル、分枝及び非分枝アルケニル、分枝及び非分枝アルキニル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルキル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルケニル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルキニル、アリール、環式脂肪族、環式芳香族、複素環式、並びに芳香族複素環式基からなる群から選択することができ、nは少なくとも2の整数とすることができる。
【0149】
種々の実施形態においては、Aは、ポリオールの少なくとも2個のエステル化可能な遊離ヒドロキシル基のエステル化によって形成される部分とすることができる。一実施形態においては、ポリオールは、
【0150】
【化73】

とすることができる。式中、ポリオールのnは、1から6の整数とすることができる。別の一実施形態においては、ポリオールは、
【0151】
【化74】

とすることができる。式中、ポリオールのnは、3から16の整数とすることができる。
【0152】
別の実施形態においては、Aは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールからなる群から選択されるポリオールのエステル化から形成することができる。
【0153】
種々の実施形態においては、NSAIDは、アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、ケトロラック、トルメチン、フルフェナム酸、メフェナム酸、トルフェナム酸、メクロフェナム酸、ニフルム酸、スリンダク、スリンダク硫化物及びその組合せからなる群から選択することができる。
【0154】
式IIbのNSAID誘導体
【0155】
【化75】

式中、Xは、炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖からなる群から選択することができ、ヘテロ原子を場合によっては含むことができ、Aは、分枝及び非分枝アルキル、分枝及び非分枝アルケニル、分枝及び非分枝アルキニル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルキル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルケニル、ヘテロ原子含有分枝及び非分枝アルキニル、アリール、環式脂肪族、環式芳香族、複素環式、並びに芳香族複素環式基からなる群から選択することができ、nは少なくとも1の整数とすることができ、mは少なくとも1の整数とすることができる。
【0156】
種々の実施形態においては、Aは、ポリオールの少なくとも2個のエステル化可能な遊離ヒドロキシル基のエステル化によって形成される部分とすることができる。特定の実施形態においては、ポリオールは、
【0157】
【化76】

(式中、ポリオールのnは、1から6の整数とすることができる。)、又は
【0158】
【化77】

(式中、ポリオールのnは、3から16の整数とすることができる。)とすることができる。
【0159】
種々の実施形態においては、NSAIDは、アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、ケトロラック、トルメチン、フルフェナム酸、メフェナム酸、トルフェナム酸、メクロフェナム酸、ニフルム酸、スリンダク、スリンダク硫化物及びその組合せからなる群から選択することができる。
【0160】
一実施形態においては、ジチオラン部分はα−リポ酸(「ALA」)とすることができ、式IIIbで表される。
【0161】
【化78】

別の一実施形態においては、カンプトセシンの抗酸化誘導体及びカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体は、それぞれ2008年1月3日に出願された米国仮特許出願第61/018,749号、及び2008年12月30日に出願された国際公開第2009/086547号、及び2009年4月8日に出願された国際出願第PCT/US09/39956号に開示された抗酸化α−リポ酸含有疎水性化合物及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導体とブレンドすることによってナノ粒子に調製される。これらの特許は、完全に記載されたかのごとく、参照によりその全体が援用される。
【0162】
更なる一実施形態においては、α−トコフェロールも、本発明のナノ粒子及びカンプトセシンナノスフェアの形成のために混合物に添加される。その添加は、本発明のナノ粒子及びナノスフェアに更なる安定性をもたらすことができる。
【0163】
上記カンプトセシンナノスフェアは、癌治療に使用することができる。それらは、上述したようにプロドラッグとして作用することができる。方法は、本発明のカンプトセシンナノスフェアを含む組成物を用意すること、及び治療有効量の組成物をそれを必要とする被験体に投与することを含む。
【0164】
特定の一実施形態においては、カンプトセシンナノスフェアを使用して、脳腫ようを治療する。方法は、カンプトセシンナノスフェアを含む組成物を用意すること、及び治療有効量の組成物を脳腫ようの治療を必要とする被験体に投与することを含む。
【0165】
別の一実施形態においては、カンプトセシンナノスフェアは、追加の治療薬の担体として使用することができる。一実施形態においては、第2の治療薬は、癌治療に有用である化学療法剤である。したがって、一実施形態は、本発明のカンプトセシンナノスフェアと追加の治療薬とを含む組成物を規定する。
【0166】
一実施形態においては、本発明は、異常細胞増殖障害の治療用抗腫よう薬の細胞傷害性を高める方法を規定する。この方法は、本発明のカンプトセシンナノスフェアを含む組成物を用意すること、並びに治療有効量の該組成物及び抗腫よう薬を治療を必要とする被験体に投与して、抗腫よう薬の細胞傷害性を高めることを含む。
【0167】
種々の実施形態においては、本発明は、治療有効量のカンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体、又はカンプトセシンナノスフェアプロドラッグと一緒に薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。「薬学的に許容される賦形剤」とは、一般に安全、無毒で望ましい薬学的組成物の調製に有用である賦形剤を意味し、獣医学用途及びヒトの医薬品用途に許容される賦形剤を含む。かかる賦形剤は、固体、液体、半固体とすることができ、エアロゾル組成物の場合にはガス状とすることができる。
【0168】
種々の実施形態においては、本発明による薬学的組成物は、任意の投与経路による送達用に処方することができる。「投与経路」とは、エアロゾル、経鼻、経口、経粘膜、経皮、非経口、経腸又は眼球を含めて、ただしそれだけに限定されない当分野で公知の任意の投与経路を指し得る。「経皮」投与は、局所クリーム若しくは軟膏剤を使用して、又は皮膚貼付剤によって、実施することができる。「非経口」とは、眼か内、注入、動脈内、嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、子宮内、静脈内、くも膜下、嚢下、皮下、経粘膜又は経気管を含めて、注射に一般に関連する投与経路を指す。非経口経路によって、組成物は、注入若しくは注射用の溶液若しくは懸濁液の形、又は凍結乾燥散剤とすることができる。経腸経路によって、薬学的組成物は、錠剤、ゲルカプセル剤、糖衣錠、シロップ剤、懸濁液剤、溶液剤、散剤、顆粒剤、乳濁液剤、制御放出可能なミクロスフェア、ナノスフェア、脂質小胞又はポリマー小胞の形とすることができる。非経口経路によって、組成物は、注入又は注射用の溶液又は懸濁液の形とすることができる。局所的経路によって、本発明による化合物に基づく薬学的組成物は、皮膚及び粘膜の治療用に処方することができ、軟膏剤、クリーム剤、乳剤、膏薬、散剤、含浸パッド、溶液剤、ゲル剤、噴霧剤、ローション剤又は懸濁液剤の形である。それらは、制御放出可能なミクロスフェア又はナノスフェア又は脂質小胞又はポリマー小胞又はポリマー貼付剤及びヒドロゲルの形とすることもできる。これらの局所経路組成物は、臨床適応症に応じて無水形態又は水溶液形態とすることができる。眼球経路によって、それらは点眼剤の形とすることができる。
【0169】
本発明による薬学的組成物は、任意の薬学的に許容される担体も含むことができる。本明細書では「薬学的に許容される担体」とは、体の一組織、器官又は部分から体の別の組織、器官又は部分への目的化合物の運搬又は輸送に関与する薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。例えば、担体は、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、カプセル化材料又はその組合せとすることができる。担体の各成分は、処方の他の成分と適合性でなければならないという点で「薬学的に許容され」なければならない。各成分は、それが接触し得る任意の組織又は器官との接触使用にも適していなければならない。これは、各成分が、その治療効果を過度に上回る毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性又は任意の他の合併症のリスクを有してはならないことを意味する。
【0170】
本発明による薬学的組成物は、経口投与のために封入する、錠剤化する、又は乳濁液剤若しくはシロップ剤として調製することもできる。薬学的に許容される固体又は液状担体を添加して、組成物を強化若しくは安定化する、又は組成物の調製を容易にすることができる。液状担体としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、グリセリン、食塩水、アルコール及び水が挙げられる。固体担体としては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム、二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸、タルク、ペクチン、アラビアゴム、寒天又はゼラチンが挙げられる。担体としては、単独又はワックスと一緒のモノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリンなどの徐放性材料を挙げることもできる。
【0171】
薬剤は、錠剤の場合、製粉、混合、顆粒化及び必要なときには圧縮、又は硬カプセル剤の場合、製粉、混合及び充填を含む従来の薬学技術に従って作製される。液状担体を使用するときには、製剤は、シロップ剤、エリキシル剤、乳濁液剤又は水性若しくは非水性懸濁液剤の形であろう。かかる液剤は、直接p.o.投与することができ、又は軟ゼラチンカプセルに充填することができる。
【0172】
本発明による薬学的組成物は、治療有効量で送達することができる。正確な治療有効量は、所与の被験体における治療効力の点で最も有効な結果が得られる組成物量である。この量は、(活性、薬物動態学、薬力学及び生物学的利用能を含めた)治療化合物の諸特性、(年齢、性別、疾患タイプ及びステージ、全身健康状態、所与の投与量に対する反応性、並びに投薬タイプを含めた)被験体の生理的条件、製剤中の薬学的に許容される担体(単数又は複数)の性質、及び投与経路を含めて、ただしそれだけに限定されない種々の要因に応じて変動する。臨床及び薬理学的技術の当業者は、通常の実験法によって、例えば、化合物投与に対する被験体の反応をモニターし、それに応じて投与量を調節することによって、治療有効量を決定することができる。追加のガイダンスについては、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro ed.20th edition,Williams&Wilkins PA,USA)(2000)を参照されたい。
【0173】
有効量のカンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体、又はカンプトセシンナノスフェアプロドラッグの典型的な投与量は、公知の治療化合物が使用される製造者によって推奨され、さらにin vitro反応又は動物モデルにおける反応によって当業者に示される範囲とすることができる。かかる投与量は、典型的には、関連する生物活性を失わずに、濃度又は量で最高約1桁低減することができる。したがって、実際の投与量は、医師の判断、患者の状態、及び、例えば、関連する初代培養細胞若しくは生検採取された悪性腫ようなどの組織培養組織試料のin vitro反応性又は前述のように適切な動物モデルにおいて観察された反応に基づく、治療方法の有効性に応じて決まるであろう。
【0174】
本発明は、癌治療キットも対象とする。キットは、本発明の組成物の少なくとも1つを含む、材料又は成分の集合体である。したがって、一部の実施形態においては、キットは、上述したカンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体、又は本発明のカンプトセシンナノスフェアを含む、組成物を含む。
【0175】
本発明のキットに設計された成分の正確な性質は、その意図された目的に応じて決まる。例えば、一部の実施形態は、癌治療の目的で設計される。一実施形態においては、キットは、特にほ乳動物被験体を治療する目的で設計される。別の一実施形態においては、キットは、特にヒト被験体を治療する目的で設計される。更なる実施形態においては、キットは、家畜、家庭内動物、実験動物など、ただしそれだけに限定されない被験体を治療する獣医学用途向けに設計される。
【0176】
使用説明書をキットに入れることができる。「使用説明書」は、典型的には、癌治療などの所望の結果をもたらすキットの成分の使用に用いられる技術を記述した明確な表現を含む。場合によっては、キットは、希釈剤、緩衝剤、薬学的に許容される担体、シリンジ、カテーテル、アプリケーター、ピペット、測定器などの他の有用な成分、又は当業者に容易に認識される他の有用な装備も含む。
【0177】
キット中に集められた材料又は成分は、その操作性及び有用性を維持する任意の好都合で適切な方法で貯蔵して、開業医に提供することができる。例えば、成分は、溶解、脱水又は凍結乾燥形態とすることができ、室温、冷蔵又は凍結温度で提供することができる。成分は、典型的には、適切なパッケージ材料(単数又は複数)に含まれる。本明細書では「パッケージ材料」という句は、発明組成物などのキットの内容物を収容するのに使用される1個以上の物理的構造を指す。パッケージ材料は、周知の方法で構築され、好ましくは無菌の、混入物のない環境を提供する。本明細書では「パッケージ」という用語は、個々のキット成分を保持することができるガラス、プラスチック、紙、箔などの適切な固体マトリックス又は材料を指す。したがって、例えば、パッケージは、カンプトセシンの抗酸化誘導体及び/又はカンプトセシン類縁体の抗酸化誘導体を含む適量の発明組成物、又は抗酸化抗腫ようナノスフェアを含む適量の発明組成物を含むのに使用されるガラスバイアルとすることができる。パッケージ材料は、一般に、キット及び/又はその成分の内容物及び/又は目的を示す外部ラベルを有する。
【実施例】
【0178】
以下の実施例は、本発明を更に説明するために提供するものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。具体的材料が言及される範囲で、それは単に説明のためであり、本発明を限定することを意図しない。当業者は、発明能力を働かせずに、かつ本発明の範囲から逸脱することなしに、等価な手段又は反応物を開発することができる。
【0179】
(実施例1)
一般的手順及び材料
別段の記載がない限り、溶媒及び化学物質は、Sigma−Aldrich Chemical Co.(St Louis,MO,USA)から最高純度として得られ、更なる調製なしに使用された。すべての新規合成された化合物のクロマトグラフィー精製をシリカゲル(60Å、200〜400メッシュ)を使用して実施した。化合物を薄層クロマトグラフィー(TLC):シリカゲルプレート(Merck 60 F254)によって分析した。HO 200mL中のKMnO 1.5g、KCO 10g及び10%NaOH 1.25mLの溶液で処理し、続いて穏やかに加熱して刺激することによって、化合物を可視化した。
【0180】
CAPCELL PAK、Type SG120(phenomenex)C18逆相カラム(250/4.6mm、5μm)を用いたMerck−Hitachi analytical LaChrom D−7000 HPLC/UV検出器システムによってHPLC分析を実施した。適切な保持時間及び分離を得るために、移動相(0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル/水混合物)の組成をカンプトセシン及びα−リポ酸誘導体、複数のα−リポ酸を含有する化合物、並びにNSAID誘導体用に調節した。
【0181】
(実施例2)
カンプトセシン及びα−リポ酸誘導体Aの合成
無水ジクロロメタン(DCM)50mL中のα−リポ酸(ALA、2.06g、10mmol)及びジオール化合物(テトラエチレングリコール、TEG)(30mmol)をモレキュラーシーブ(60Å、10〜20メッシュビーズ)の存在下で4−(ジメチルアミノ)−ピリジン(DMAP、15mmol)と室温で10分間反応させた。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、2.3g、12mmol)を10分間分割添加し、反応混合物を室温暗所で5時間撹拌し、ろ過し、次いで減圧濃縮して、体積を減少させた。生成した反応混合物を、更に調製せずにカラム上に直接充填することによってシリカゲルを使用して精製した。溶媒を減圧除去して、生成物を得た。
【0182】
無水DCM中のカンプトセシン(0.4mmol)、トリホスゲン(0.15mmol)及びDMAP(1.3mmol)の懸濁液を10分間撹拌した。モノALA−TEG(0.4mmol)を添加し、反応混合物を24時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、体積を減少させた。生成した反応混合物を、更に調製せずにカラム上に直接充填することによってシリカゲルを使用して精製した。溶媒を減圧除去して、生成物を得た。同じ手順を化合物1〜3の合成に使用した(スキーム1参照)。
【0183】
スキーム1
カンプトセシン及びα−リポ酸誘導体Aの合成
【0184】
【化79】

【0185】
【化80】

【0186】
【化81】


【0187】
(実施例3)
カンプトセシン及びα−リポ酸誘導体Bの合成
モノALA−TEGを実施例1に記載のように調製した。モノALA−TEG(10mmol)及び無水コハク酸(100mmol)をピリジン100mLに溶解させ、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、体積を減少させた。生成した反応混合物を、更に調製せずにカラム上に直接充填することによってシリカゲルを使用して精製した。溶媒を減圧除去して、生成物を得た。
【0188】
無水ジクロロメタン(DCM)10mL中のモノALA−TEG−SA(5mmol)及びカンプトセシン(5mmol)をモレキュラーシーブ(60Å、10〜20メッシュビーズ)の存在下で4−(ジメチルアミノ)−ピリジン(DMAP、10mmol)と室温で10分間反応させた。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、10mmol)を10分間分割添加し、反応混合物を室温暗所で5時間撹拌し、ろ過し、次いで減圧濃縮して、体積を減少させた。生成した反応混合物を、更に調製せずにカラム上に直接充填することによってシリカゲルを使用して精製した。溶媒を減圧除去して、生成物を得た。同じ手順を化合物4〜6の合成に使用した(スキーム2参照)。
【0189】
スキーム2
カンプトセシン及びα−リポ酸誘導体Bの合成
【0190】
【化82】

【0191】
【化83】

【0192】
【化84】

スキーム3
カンプトセシン及びα−リポ酸誘導体Cの合成
誘導体Cを実施例2に記載のように調製した。
【0193】
【化85】

【0194】
【化86】

【0195】
【化87】

(実施例4)
α−リポ酸誘導体ALA(1,12−ドデカンジオール)の合成
無水ジクロロメタン(DCM)20mL中のα−リポ酸(2.48g、12mmol、1.2当量)及び1,12−ドデカンジオール(10mmol OH、1.0当量)をモレキュラーシーブ(60Å、10〜20メッシュビーズ)の存在下で4−(ジメチルアミノ)−ピリジン(DMAP、1.47g、12mmol、1.2当量)と室温で10分間反応させた。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、2.3g、12mmol、1.2当量)を10分間分割添加し、反応混合物を室温暗所で12時間撹拌し、ろ過し、次いで減圧濃縮して、体積を減少させた。生成した反応混合物を、更に調製せずにカラム上に直接充填することによってシリカゲルを使用して精製した。溶媒を減圧除去して、生成物を得た。化合物のH NMR及び13C NMRスペクトルを得る。
【0196】
完全に記載されたかのごとく、参照によりその全体が本明細書に援用される、2008年1月3日に出願された米国仮特許出願第61/018,749号、及び2008年12月30日に出願された国際公開第2009/086547号は、本発明に使用されるα−リポ酸誘導体の合成の更なる例である。
【0197】
スキーム4
α−リポ酸誘導体Bの合成
【0198】
【化88】

(実施例5)
抗酸化抗腫ようナノスフェアの調製
自然乳化を使用した方法をわずかに修正してナノスフェアを調製した。手短に述べると、化合物(カンプトセシン誘導体とALA(1,12−ドデカンジオールの混合物)15mgをアセトン(5mL、0.1%ポリソルベート80)に溶解させた。有機溶液を磁気プレート上で適度に撹拌しながら、Pluronic F68 25mgを再蒸留水10mLに溶解させることによって調製された水相に注いだ(0.25%w/v)。磁気撹拌15分後、アセトンを室温で減圧除去した。ナノスフェアを0.8μm親水性シリンジフィルターでろ過し、4℃で貯蔵した。ナノスフェアの流体力学的サイズの測定及びサイズ分布をCoulter N4−Plus Submicron Particle Sizer(Coulter Corporation,Miami,FL)を使用した動的光散乱(DLS)によって実施した。
【0199】
さらに、化合物(抗酸化カンプトセシン誘導体、複数のα−リポ酸を含有する化合物及びα−トコフェロールの混合物)25mgをアセトン(5mL、0.1%ポリソルベート80)に溶解させた。有機溶液を磁気プレート上で適度に撹拌しながら、Pluronic F68 25mgを再蒸留水10mLに溶解させることによって調製された水相に注いだ(0.25%w/v)。磁気撹拌15分後、アセトンを室温で減圧除去した。ナノスフェアを0.8μm親水性シリンジフィルターでろ過し、4℃で貯蔵した。ナノスフェアの流体力学的サイズの測定及びサイズ分布をCoulter N4−Plus Submicron Particle Sizer(Coulter Corporation,Miami,FL)を使用した動的光散乱(DLS)によって実施した。対照ナノスフェアは、複数のα−リポ酸を含有する化合物及びα−トコフェロールからカンプトセシン誘導体の非存在下で調製された。
【0200】
【表1】

(実施例6)
抗酸化抗腫ようナノスフェアの調製
化合物(カンプトセシン誘導体とα−トコフェロールの混合物)25mgからの自然乳化を使用した実施例5に記載の方法に従ってナノスフェアを調製した。対照ナノスフェアをα−トコフェロール又はIbuTEGからカンプトセシン誘導体の非存在下で調製した。
【0201】
【表2】

(実施例7)
抗炎症抗腫ようナノスフェアの調製
化合物(カンプトセシン誘導体、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導体及びα−トコフェロールの混合物)25mgからの自然乳化を使用した実施例5に記載の方法に従ってナノスフェアを調製した。対照ナノスフェアをα−トコフェロール又はα−トコフェロールとNSAID誘導体の混合物からカンプトセシン誘導体の非存在下で調製した。
【0202】
【表3】

(実施例8)
カンプトセシン誘導体を含むナノスフェアの抗癌及び抗増殖効果
U87−MGヒト神経こう腫細胞系をAmerican Type Culture Collection(ATCC)(Rockville,Maryland,USA)から入手した。抗生物質100U/mLペニシリン(Invitrogen)及び100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen)を含み、10%ウシ胎仔血清(FBS)(Invitrogen)を補充したMinimum Essential Medium(MEM)(Invitrogen)中で細胞を増殖させ、維持した。細胞を5%COを含む加湿雰囲気中で37℃で維持した。
【0203】
実施例5、6及び7に記載のように、化合物10(1mg)、α−トコフェロール(25mg)及び複数のα−リポ酸を含有する化合物(ALA)グリセロールの混合物、又は化合物10(1mg)とα−トコフェロール(25mg)の混合物、又は化合物10(1mg)、α−トコフェロール(25mg)及びNSAID誘導体IbuTEGの混合物からナノスフェアを調製し、リン酸緩衝食塩水(PBS)中で終夜透析した。ヒト神経こう腫細胞(U87−MG)を6ウェルフラスコに10細胞/ウェルで蒔き、24時間増殖させた。培地を変え、細胞をナノスフェアを用いて化合物10の最終濃度0.1から2μMで処理した。4日間の処理後、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、0.25%トリプシン/EDTA(Gibco)1mLを添加して細胞を分離させた。細胞を即時に血球計算器で数えた(図5〜8参照)。対照培養物をナノスフェアの非存在下で増殖させた。
【0204】
(実施例9)
α−リポ酸とNSAIDの二機能性誘導体の合成
無水ジクロロメタン(DCM)50mL中のα−リポ酸(ALA、10mmol)及びテトラエチレングリコール(TEG、30mmol)をモレキュラーシーブ(Fluka、3Å、10〜20メッシュビーズ)の存在下で4−(ジメチルアミノ)−ピリジン(DMAP、15mmol)と室温で10分間反応させた。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、10mmol)を10分間分割添加し、反応混合物を室温暗所で5時間撹拌し、ろ過し、次いで減圧濃縮して、体積を減少させた。生成物ALA−TEG−OH及び二量体副生物ALA−TEG−ALAは、濃縮反応混合物を前調製なしでカラムに充填することによってカラムクロマトグラフィーを使用して精製され、上述したように特性分析された。無水DCM20ml中のTEGのモノALA誘導体(3.8mmol)及びNSAID(4.1mmol、インドメタシン:Ind、イブプロフェン:Ibu、ナプロキセン:Npx)をモレキュラーシーブの存在下でDMAP(4.1mmol)と室温で10分間反応させた。EDCI(4.1mmol)を10分間分割添加し、反応混合物を室温暗所で5時間撹拌し、ろ過し、次いで室温で減圧濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、上述したように特性分析した。
【0205】
完全に記載されたかのごとく、参照によりその全体が援用される、2009年4月8日に出願された国際出願第PCT/US09/39956号は、α−リポ酸及びNSAIDの二機能性誘導体を合成する追加の例を提供する。
【0206】
(実施例10)
NSAIDの二量体誘導体の合成
無水DCM40ml中のNSAID(6mmol)及びTEG(2.5mmol)をモレキュラーシーブの存在下でDMAP(6mmol)と室温で10分間反応させた。EDCI(6mmol)を10分間分割添加し、反応混合物を室温暗所で5時間撹拌し、ろ過し、次いで減圧濃縮した。生成物を精製し(カラムクロマトグラフィー、100:0.5 CHCl:MeOH)、上述したように特性分析した。
【0207】
完全に記載されたかのごとく、参照によりその全体が援用される、2009年4月8日に出願された国際出願第PCT/US09/39956号は、NSAIDの二量体誘導体を合成する追加の例を提供する。
【0208】
本発明の種々の実施形態を詳細な説明で上述した。これらの記述は上記実施形態を直接記述するものであるが、当業者は、本明細書に示し、記述した具体的実施形態の改変及び/又は変更を考案し得ることが理解される。この記述の範囲内にある任意のかかる改変又は変更もこの記述の範囲内に含まれるものとする。別段の記載がない限り、本発明者らの意図するところは、本明細書及び特許請求の範囲中の言葉及び句が当業者に通常の習慣的な意味を付与されることである。
【0209】
出願時点で本出願人に既知の本発明の種々の実施形態の上記記述が提示され、説明及び記述の目的で意図された。本記述は、網羅的なものではなく、開示した正確な形態に本発明を限定するものでもなく、多数の改変及び変更が上記教示に照らして可能である。記述した実施形態は、本発明の原理及びその実用化を説明するのに役立ち、他の当業者が種々の実施形態において、企図される特定の使用に適した種々の改変を加えて本発明を利用するのに役立つ。したがって、本発明は、本発明を実施するために開示された特定の実施形態に限定されないことが意図される。
【0210】
本発明の特定の実施形態を示し、記述したが、本明細書の教示に基づいて、本発明及びそのより広範な態様から逸脱することなく変化及び改変をなすことができ、したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神及び範囲内にあるすべてのかかる変化及び改変をその範囲に包含することは当業者に明らかであろう。一般に、本明細書において使用する用語は、「非限定(open)」用語として一般に意図されることが当業者に理解されるであろう(例えば、「含めて」という用語は「を含めて、ただしそれだけに限定されない」と解釈すべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈すべきであり、「含む」という用語は「含むが、それだけに限定されない」と解釈すべきである、など)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化89】

を有する、化合物であって:
式中、A及びBは、−OC(O)−、−OC(O)O−及び−OC(O)N(R)−からなる群から独立に選択され、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖であり、
X及びYはリンカーであり、各々独立に炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖を含み、ヘテロ原子を場合によっては含むことができ、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、各々ヘテロ原子を場合によっては含むことができる、化合物。
【請求項2】
式IVを有する、請求項1に記載の化合物であって:
【化90】

式中、Lは、ジオール上の2個のエステル化可能な遊離ヒドロキシル基のエステル化によって形成される部分であり、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基からなる群から各々独立に選択され、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる、化合物。
【請求項3】
前記ジオールが、以下からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物:
【化91】

(式中、Wは炭化水素基である)、
【化92】

(式中、nは1から100の整数である)、
【化93】

(式中、nは2から12の整数である)、
【化94】


【請求項4】
以下からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物:
【化95】

【化96】


【請求項5】
【化97】

を有する、化合物であって:
式中、Aは、−OC(O)−、−OC(O)O−及び−OC(O)N(R)−からなる群から選択され、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖であり、
Pは、−OC(O)−及び−N(R)C(O)−からなる群から選択され、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖であり、
Xは、炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖を含むリンカーであり、ヘテロ原子を場合によっては含むことができ、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、各々ヘテロ原子を場合によっては含むことができる、化合物。
【請求項6】
式XIを有する、請求項5に記載の化合物であって、
【化98】

式中、Lは、該化合物を生成するプロセスにおいてジアミンを前記リンカーとして使用することによって形成される部分であり、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基からなる群から各々独立に選択され、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる、化合物。
【請求項7】
前記ジアミンが、以下からなる群から選択される、請求項6に記載の化合物:
【化99】

(式中、Xは炭化水素基である)、
【化100】

(式中、nは1から100の整数である)、及び
【化101】

(式中、nは2から12の整数である)。
【請求項8】
以下からなる群から選択される、請求項6に記載の化合物:
【化102】

【化103】


【請求項9】
式XVIIIを有する、請求項5に記載の化合物であって、
【化104】

式中、Lは、該化合物を生成するプロセスにおいてアミノアルコールを前記リンカーとして使用することによって形成される部分であり、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、各々ヘテロ原子を含むことができる、化合物。
【請求項10】
前記アミノアルコールが、以下からなる群から選択される、請求項9に記載の化合物:
【化105】

(式中、該Yは炭化水素基であり、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる)、
【化106】

(式中、nは1から100の整数である)、及び
【化107】

(式中、nは2から12の整数である)。
【請求項11】
以下からなる群から選択される、請求項9に記載の化合物:
【化108】

【化109】


【請求項12】
α−リポ酸と、カンプトセシンとの、又は無水コハク酸若しくは無水グルタル酸と反応させることによって修飾されたカンプトセシン類縁体との、複合化によって生成される化合物であって、該カンプトセシン類縁体が式I
【化110】

で表される、化合物であって
式中、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる、化合物。
【請求項13】
以下からなる群から選択される、請求項12に記載の化合物:
【化111】

【化112】

【化113】

【化114】

【化115】

であって、
式中、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる、化合物。
【請求項14】
以下からなる群から選択される化合物:
【化116】

【化117】

【化118】

【化119】


【請求項15】
請求項1に記載の化合物を含む、ナノスフェア。
【請求項16】
複数のα−リポ酸を含有する疎水性化合物、α−トコフェロール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導体、及びその組合せからなる群から選択される化合物を更に含む、請求項15に記載のナノスフェア。
【請求項17】
請求項5に記載の化合物を含む、ナノスフェア。
【請求項18】
複数のα−リポ酸を含有する疎水性化合物、α−トコフェロール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導体、及びその組合せからなる群から選択される化合物を更に含む、請求項17に記載のナノスフェア。
【請求項19】
請求項12に記載の化合物を含む、ナノスフェア。
【請求項20】
複数のα−リポ酸を含有する疎水性化合物、α−トコフェロール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導体、及びその組合せからなる群から選択される化合物を更に含む、請求項19に記載のナノスフェア。
【請求項21】
癌の治療を必要とする被験体における癌を治療する方法であって、
請求項1に記載の化合物を含む組成物を提供すること、及び
治療有効量の該組成物を該被験体に投与して該癌を治療すること
を含む、方法。
【請求項22】
癌の治療を必要とする被験体における癌を治療する方法であって、
請求項5に記載の化合物を含む組成物を提供すること、及び
治療有効量の該組成物を該被験体に投与して該癌を治療すること
を含む、方法。
【請求項23】
癌の治療を必要とする被験体における癌を治療する方法であって、
請求項12に記載の化合物を含む組成物を提供すること、及び
治療有効量の該組成物を該被験体に投与して該癌を治療すること
を含む、方法。
【請求項24】
癌の治療を必要とする被験体における癌を治療する方法であって、
請求項15に記載のナノスフェアを提供すること、及び
治療有効量の該ナノスフェアを該被験体に投与して該癌を治療すること
を含む、方法。
【請求項25】
癌の治療を必要とする被験体における癌を治療する方法であって、
請求項17に記載のナノスフェアを提供すること、及び
治療有効量の該ナノスフェアを該被験体に投与して該癌を治療すること
を含む、方法。
【請求項26】
癌の治療を必要とする被験体における癌を治療する方法であって、
請求項19に記載のナノスフェアを提供すること、及び
治療有効量の該ナノスフェアを該被験体に投与して該癌を治療すること
を含む、方法。
【請求項27】
薬学的に許容される担体又は賦形剤と、
以下:
【化120】

(式中、A及びBは、−OC(O)−、−OC(O)O−及び−OC(O)N(R)−からなる群から独立に選択され、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖であり、
X及びYはリンカーであり、各々独立に炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖を含み、ヘテロ原子を場合によっては含むことができ、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、各々ヘテロ原子を場合によっては含むことができる);
【化121】

(式中、Lは、ジオール上の2個のエステル化可能な遊離ヒドロキシル基のエステル化によって形成される部分であり、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基からなる群から各々独立に選択され、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる);
【化122】

(式中、Aは、−OC(O)−、−OC(O)O−及び−OC(O)N(R)−からなる群から選択され、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖であり、
Pは、−OC(O)−及び−N(R)C(O)−からなる群から選択され、式中、Rは水素原子、又は炭素原子の置換、非置換、分枝若しくは非分枝鎖であり、
Xは、炭素原子の置換、非置換、分枝又は非分枝鎖を含むリンカーであり、ヘテロ原子を場合によっては含むことができ、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、各々ヘテロ原子を場合によっては含むことができる);
【化123】

(式中、Lは、該化合物を生成するプロセスにおいてジアミンを該リンカーとして使用することによって形成される部分であり、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキル基からなる群から各々独立に選択され、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる)、
【化124】

(式中、Lは、該化合物を生成するプロセスにおいてアミノアルコールを該リンカーとして使用することによって形成される部分であり、
、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、各々ヘテロ原子を含むことができる。);及び
α−リポ酸と、カンプトセシンとの、又は無水コハク酸若しくは無水グルタル酸と反応させることによって修飾されたカンプトセシン類縁体との、複合化によって生成される化合物であって、該カンプトセシン類縁体が式I
【化125】

で表される、化合物、
(式中、R、R、R、R及びRは、水素、アルキル、アリール、脂環式及びアラルキルからなる群から各々独立に選択され、ヘテロ原子を場合によっては含むことができる)からなる群から選択される化合物とを含む、薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−509901(P2012−509901A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537722(P2011−537722)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065776
【国際公開番号】WO2010/060098
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(398062149)セダーズ−シナイ メディカル センター (34)
【Fターム(参考)】