折りたたみ可能/拡張可能な人工心臓弁の送達及び回収システム
折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者内に送達するためのシステムは、折りたたまれた状態で弁(10)が周りに配置される弁支持構造体(140)を含む。外筒構造体(110)は、折りたたまれた弁を取り囲むが、患者の所望の移植部位での拡張のために、弁の覆いを取るよう弁に対して移動させることができる。外筒構造体は、種々の方法で弁を展開するために、さまざまに装備する及び移動させることができる。例えば、外筒構造体は、多数のパーツを含むことができ、前記パーツのそれぞれを別々に移動させて、弁の種々のパーツを別々に展開することができる。当該装置は、弁の展開を逆にする能力、弁送達装置に他の器具を通す能力、弁の展開後に患者から滑らかに引き抜く能力等、他の態様を有することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工心臓弁に関する。特に、本発明は、患者に対して減らされた侵襲性で患者の体内に送達するために、比較的小さい外周サイズに折りたたむことができ、次に、患者の意図された移植部位にて再び作動サイズまで拡張することができる人工心臓弁に関する。さらに、本発明は、上記の種類の弁を患者に送達し、移植部位にてその弁を再び拡張する方法及び装置に特に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明における別の可能な態様は、患者の中にある弁の位置を変える、及び/又は、所望であれば、患者から弁を回収する方法及び装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
折りたたみ可能/拡張可能な弁を折りたたむ、維持する、送達する、展開する、再配置する、及び、(所望であれば)回収するための送達システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明における特定の可能な態様によると、折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置は、折りたたまれた状態で弁が周囲に配置される弁支持構造体を含み得る。外筒構造体が、弁支持構造体上の弁を取り囲むことができる。当該装置は、移植部位での拡張のために、弁の覆いを取るよう弁支持構造体に対して外筒構造体を動かす移動手段をさらに含み得る。前記弁は、第一及び第二の表面部分を有することができ、前記第一及び第二の表面部分は、弁支持構造体上で弁が周囲に配置される軸に沿って、それぞれ反対の第一及び第二方向に面し、前記弁支持構造体は、第三及び第四の表面部分を有することができ、前記第三及び第四の表面部分は、それぞれ第二及び第一方向に面している。折りたたまれた状態で弁支持構造体の周囲に弁を配置させながら、前記軸に沿った弁と弁支持構造体との相対的移動を実質的に防ぐために、第一及び第三表面部分を、互いに隣接させ向き合うよう配置することができ、第二及び第四の表面部分を、互いに隣接させ向き合うよう配置することができる。
【0005】
本発明におけるさらなる可能な態様によると、外筒構造体は、折りたたまれた状態の弁のうち第一の軸上端部を覆う第一の外筒部分、及び、折りたたまれた状態の弁のうち第二の軸上端部を覆う第二の外筒部分を含み得る。そのような場合、前記移動手段は、前記外筒部分のうちの1つにその他の外筒部分に対する可能な動きをさせることができる。さらに、そのような場合、前記移動手段は、弁のうち第二の軸上端部から離れる第一の方向に第一の外筒部分を移動させる第一の手段を含むことができ、前記移動手段は、弁のうち第一の軸上端部から離れる第二の方向に第二の外筒部分を移動させる第二の手段をさらに含むことができる。供給されるのならば、第一及び第二の外筒部分は、互いに部分的に重なり合うことができる。
【0006】
本発明における別の可能な態様によると、弁支持構造体は、弁支持構造体の周りを弁が回転するのを実質的に防ぐよう構成することができる。
【0007】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該装置は、外筒構造体による覆いが取られた弁の一部を放射状に弁支持構造体に向かって内側に引く手段をさらに含み得る。
【0008】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、前記移動手段は、さらに、弁の拡張後、外筒構造体が弁支持構造体を覆うように外筒構造体を弁支持構造体に対して再度移動させることができる。
【0009】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、弁支持構造体は、弁の近位にある第一の位置から弁の遠位にある第二の位置まで延びる通路を画定することができ、第一の位置は第二の位置よりも、当該装置のオペレータに近い。
【0010】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、弁支持構造体は、弁の近位にある位置から弁までの流体連絡のための通路を画定することができ、前記位置は弁よりも、当該装置のオペレータに近い。
【0011】
前述のように、弁が第一及び第二の軸上端部を有する場合において、前記軸上端部のうちの1つは弁リーフレットを含むことができ、もう一方の軸上端部は、リーフレットを有さない弁フレーム構造体を含むことができる。
【0012】
本発明における別の可能な態様によると、当該装置は、当該装置のオペレータから最も遠い外筒構造体の一部に固定される遠位端構造体を含み得る。遠位端構造体は、外筒構造体の内部の脱気を容易にするために外筒構造体の内側から当該装置の外側まで続く孔を有することができる。
【0013】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該装置は、当該装置のオペレータから最も遠い外筒構造体の一部に固定される遠位端構造体、及び、遠位端構造体と前記外筒構造体の一部とを弁支持体から離れるよう動かすことを可能にするシャフトを含み得る。前記シャフトは、前記外筒構造体の一部に近接した結合部位を含み得る。
【0014】
本発明における他の特定の可能な態様によると、折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置は、折りたたまれた状態の弁が周りに配置される弁支持構造体を含むことができ、前記弁支持構造体は、軸方向に離れた近位部分及び遠位部分を有し、近位部分は遠位部分よりも当該装置のオペレータに近い。当該装置は、弁支持構造体上の弁を取り囲む外筒構造体をさらに含み得る。当該装置は、さらに、移植部位での拡張のために弁の覆いを取るよう、弁支持構造体に対して遠位方向に外筒構造体を動かす移動手段を含み得る。
【0015】
すぐ前の段落で記述したような場合において、当該装置は、前記外筒構造体を取り囲む第二の外筒構造体、及び、前記外筒構造体の覆いを取るよう、弁支持構造体に対して近位方向に前記第二の外筒構造体を動かす第二の移動手段をさらに含み得る。
【0016】
さらに、すぐ前の2つの段落で記述したような場合において、弁支持構造体は、折りたたまれた弁のフレーム構造体が配置されている管状で幾何学的な形態内に放射状に外側に延びる要素を含むことができ、前記要素は、弁支持体に対して(管状で幾何学的な形態の縦軸に平行な)弁の動きを妨害するよう置かれる。
【0017】
さらに、すぐ前の3つの段落で記述したような場合において、前記移動手段が弁の覆いを完全に取るよう外筒構造体を動かした場合に外筒構造体には近位であるが、弁支持構造体からは遠位の結合部位を前記移動手段は含むことができる。
【0018】
さらに、すぐ前の4つの段落で記述したような場合において、当該装置は、外筒構造体の遠位端に固定される遠位端構造体をさらに含むことができ、遠位端構造体は、外筒構造体の内側から当該装置の外側まで続く孔を画定している。
【0019】
本発明における他の特定の可能な態様によると、折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置を作動させる方法は、弁支持構造体の周りに折りたたまれた状態で配置された弁を有し、及び、その弁を取り囲む外筒構造体を有した当該装置を患者に導入するステップを含み得る。当該方法は、移植部位での拡張のために弁の覆いを取るよう、弁支持構造体に対して外筒構造体を移動させるステップをさらに含み得る。
【0020】
本発明におけるさらに可能な態様によると、当該方法は、外筒構造体が弁支持構造体を覆うように、弁の拡張後に弁支持構造体に対して外筒構造体を移動させるステップを含み得る。当該方法は、次に、患者から当該装置を引き抜くステップをさらに含み得る。
【0021】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、前記弁は、当該装置のオペレータから離れた当該装置における第一の位置にありえ、前記移動させるステップは、第一の位置よりもオペレータからさらに離れた第二の位置まで外筒構造体を移動させることができる。そのような場合において、前記導入ステップの間、外筒構造体を、第二の外筒構造体によって覆うことができ、当該方法は、前記移動させるステップに先立ち、第一の位置よりもオペレータに近い第三の位置まで第二の外筒構造体を移動させるステップをさらに含み得る。
【0022】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該方法は、弁支持構造体よりも当該装置のオペレータから離れた患者の位置まで、さらなる器具を弁支持構造体に通すステップをさらに含み得る。
【0023】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該方法は、(弁支持構造体よりも当該装置のオペレータに近い)位置から弁まで、弁支持構造体の一部に流体を通すステップをさらに含み得る。
【0024】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該方法は、前記移動させるステップが弁の一部の覆いを取った後、放射状に弁支持構造体に向かって内側に前記弁の一部を引くステップをさらに含み得る。
【0025】
本発明のさらなる特徴、その性質、及び、種々の利点は、付随の図面及び以下の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による装置の一部における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図2】本発明による図1の装置における別の作動状態に対する図1に類似した図である。
【図3】ここでも、本発明による図1の装置におけるさらなる別の作動状態に対する図1に類似した図である。
【図4】本発明による装置における別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図5】ここでも、本発明による図1の装置におけるさらに別の作動状態に対する図1に類似した図である。
【図6】ここでも、本発明による図1の装置におけるさらに別の作動状態に対する図1に類似した図である。
【図7】本発明による装置における別の例証的な実施形態の一部に対する図1に類似した図である。
【図8】本発明による図7の装置における別の作動状態に対する図7に類似した図である。
【図9】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図10】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図11】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図12】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図13】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な等角図又は斜視図である。
【図14】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な等角図又は斜視図である。
【図15】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な等角図又は斜視図である。
【図16】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図17】本発明による図16の装置における別の作動状態に対する図16に類似した図である。
【図18】ここでも、図16の装置におけるさらに別の作動状態に対する図16に類似した図である。
【図19】本発明による装置の構成要素における例証的な実施形態の、図20から直角をなして描かれた、概略的な正面図である。
【図20】本発明による装置の構成要素における例証的な実施形態の、図19から直角をなして描かれた、概略的な立面図である。
【図21】図19及び20に示された構成要素の概略的な等角図又は斜視図である。
【図22】本発明による図19〜21に示された構成要素における別の実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図23】本発明による装置の別の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図24】本発明による図23の構成要素における別の実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図25】本発明による装置の他の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図26】本発明による装置の他の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図27】本発明による装置の一部における例証的な実施形態の、部分的に断面化された概略的な立面図である。
【図28】本発明による装置の一部における例証的な実施形態の概略的な透視図又は等角図である。
【図29】本発明による装置の一部における例証的な実施形態の概略的な正面図である。
【図30】本発明による別の例証的な実施形態に対する図29に類似した図である。
【図31】本発明による装置の例証的な実施形態の一部における概略的な等角図又は斜視図である。
【図32】本発明による装置の例証的な実施形態の他の部分における概略的な等角図又は斜視図である。
【図33】本発明による装置の例証的な実施形態の一部における概略的な立面図である。
【図34】本発明による装置の例証的な実施形態の他の部分における概略的な立面図である。
【図35】本発明による装置の別の例証的な実施形態の一部における概略的な立面図である。
【図36】図35からのいくつかのサブアセンブリーにおける概略的な立面図である。
【図37】本発明の特定の可能な態様をさらに例示している概略的で部分的な断面図である。
【図38】本発明の特定の可能な態様をさらに例示している、別の概略的で部分的な断面図である。
【図39】本発明による装置に含まれ得る構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図40】本発明による装置に含まれ得る別の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図41】本発明による装置に含まれ得る別の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図42】本発明による装置の例証的な実施形態における概略的な等角図又は斜視図であり、当該装置の別の可能な特徴を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明が使用することができる弁の例は、全内容を本出願において援用する、2007年9月28日に出願したBraido等による米国特許出願第11/906,133号に示されている。そのような弁は、一般的に、(例えば、金属又は他の適切な材料等の)比較的堅いフレーム、及び、そのフレームに取り付けられる(例えば、織物又は他の適切な材料等の)可撓性のあるリーフレットを含む。そのような弁は、(例えば緩衝のための)さらなる織物の層、及び、(例えば、織物が内に延びるのを容易にするために)布地の層等、他の構成要素も含み得る。本発明の一部を形成する図は、描かれた弁のフレームに集中し、リーフレット、他の織物及び/若しくは布地の層、縫合糸等、他の弁の構成要素を省くか又は大変簡略化する傾向がある。これは、図を簡略化する、及び、弁が本発明の構造体の特徴を不明瞭にする度合を減らすために行われる。しかし、本明細書において弁のフレームが示された場合はいつでも、完全な人工弁の他の全ての構成要素が、上記の理由により(全く又は完全には)たとえ描かれていなくても、フレームと共に存在することも理解されたい。
【0028】
本発明は、本明細書において、主に人工大動脈弁の状況で示され記述される。本発明は、心臓における他の弁のための装具にも適用することができると理解されるはずである。本発明は、本明細書において、取り替え(人工)大動脈弁を患者の心臓の頂(下の先端部)の左心室を介して患者の心臓に導入する状況で言及される場合がある。そのような頂端のアクセスポイントから、弁は、患者の本来の大動脈弁の弁輪の周辺まで上方向に動かされ、取り替え心臓弁は、送達装置から解き放たれ、その結果、患者に移植される。(「上方向」という単語及び他の類似の用語は、当然ながら、患者は心臓弁取り替え処置中起立してはいないけれども、まるで患者が起立しているかのように使用される)。この(例証的な)移植部位には、(例えば、経皮経管、経皮経大動脈、経皮経大腿、又は、上行大動脈又は下行大動脈の長手方向に沿ったいかなる切開も使用する)他の方法で近づくことができるということを理解されるはずである。
【0029】
本発明の送達装置及び方法は、人工心臓弁が送達され且つ種々の方法で解放されるのを可能にする。例えば、送達装置の構造は、取り替え心臓弁の種々の部分が、他の部分が解放される前に解放されるのを可能にし、さらに、送達装置は、弁の種々の部分が解放される順が状況によって変わることを可能にする。全ての場合において、近位という単語は、当該装置のオペレータ(医師)により近い弁の一部又は弁送達装置の一部を意味するよう使用される。遠位という単語は、オペレータからより離れた弁又は装置の一部を意味するよう使用される。送達装置は、弁の遠位部分が、弁の近位部分が解放される前又は後に装置から解放されるのを可能にする。また、送達装置における弁の向きは、状況によって異なり得る。一部の場合において、弁が移植された場合に患者の血流において上流にある弁の部分を、送達装置の近位に位置づけることができる。他の場合において、弁が移植された場合に患者の血流において下流にある弁の部分を、送達装置の近位に位置づけることができる。前述の選択肢における種々の組合せが可能であるため、例えば、送達装置から解放される弁の一部は、第一に、(1)近位及び下流、(2)遠位及び下流、(3)近位及び上流、又は(4)遠位及び上流であり得る。
【0030】
図1は、本発明による人工弁送達装置100の遠位部分の例証となる実施形態を示している。図1は、展開前の人工大動脈心臓弁10を含有する装置100を示している。装置100の外側にあり空洞で管状の外筒100a−bが、実際は不透明であり得るけれども、まるで実質的に透明であるかのように示されているため、弁10は装置100内で可視である。送達装置100の遠位部分のみが図1に示されている。装置100は近位方向(図1で見られるように下側及び左)に続き、最終的には、図1で可視の装置の遠位部分を(遠隔)制御するようオペレータ(医師)によって使用され得るオペレータ制御手段まで延びることが理解されるはずである。いくつか異なる経路のいずれをとっても、装置100の遠位部分が一般的に患者の体内に入るという事実からみれば、近位の制御手段は、オペレータによって操作され得る患者の体外に残る傾向がある。
【0031】
弁10の主要な構成要素は、比較的堅いフレーム20及び可撓性のリーフレット30である。弁10は送達装置100の内側にあるため、弁10は、その未展開で、外周が比較的小さい(折りたたまれた)状態で示されている。フレーム20は、3つの主な部分:(1)上流(血液流入側)の空洞管状部分20a、(2)下流(血液流出側)の空洞管状部分20c、及び、(3)上流部分20aと下流部分20cとの間を延びて接続する、軸方向に延びる支柱20bの管状アレイを含む。装置100から解放されると、上流部分20aは、患者の本来の大動脈弁輪の付近で環状になって広がり、そこで患者の本来の組織に係合する。同様に、装置100から解放されると、下流部分20cは、ヴァルサルヴァ洞から患者の大動脈の下流で環状になって広がり、その大動脈の組織に係合する。さらに、弁10が装置100から解放されると、支柱20bは患者のヴァルサルヴァ洞を通り抜けるため、これらの支柱は、フレームのその他の部分20a及び20cと連結し続ける。
【0032】
弁10の可撓性リーフレット30は、少なくとも第一にそのフレーム部分の内側にあるように、上流のフレーム部分20aに取り付けられる。
【0033】
送達装置100は、最も中央にあるシャフトを含む(図1では可視ではないが、内部シャフト120と同軸で、内部シャフトに対して軸方向に動かせる(参照番号132にてこの最も中央にあるシャフトが部分的に可視である図5を参照))。非外傷性先端部130は、この最も中央にあるシャフトの遠位端上にしっかりと装備される。所望であれば、送達装置100は、前もって患者に導入されたガイドワイヤに沿って患者内にはめ込み可能であり得る。この目的のため、先端部130は、先端部を通して軸上の孔を有することができ、他の上流構成要素は、同様に空洞であり得るか、又は、内腔が提供され得る。例えば、先端部130の通り孔は、装置の近位端にて現れるまで近位方向に延び得る最も中央にあるシャフト132を通る空洞内腔と接触することができる。
【0034】
装置100の分離する外筒の遠位部分110bは、先端部130にしっかりと取り付けられ、そこから外筒分離又は分離線110cまで近位方向に延びる。特に、分離線110cは環状であり、弁フレーム20の支柱部分20bの付近に位置づけられる。分離線110cは、遠位外筒部分110bの近位端が近位外筒部分110aの遠位端に接し、これら2つの外筒部分が所望であれば引き離され得る位置にある。これら2つの外筒部分110a及び110bの隣接する末端は、初めに分離線110cにて互いに接することができるか、又は、初めに分離線110cの付近にて軸方向に互いに重なり合うことができる。(本明細書において使用されている場合、軸方向等という用語は、装置100の縦軸に平行であることを意味している)。前記のことから、最も内部のシャフト132が軸方向に動かれる場合に、シャフト132のサブアセンブリー全体、外筒部分110b、及び、先端部130が1つのユニットとして共に動くことがわかるはずである。
【0035】
先端部130が装備される(図1では図示されていない)最も中央にあるシャフト132を環状になって取り巻いているのは、別の軸方向に延びる縦シャフト120である。シャフト120は、前述の最も中央にあるシャフトに対して軸方向に動かすことができる。環状のプランジャー140は、シャフト120の遠位端上にしっかり装備される。プランジャー140は、(1)比較的大きな外径を有した遠位片140a;(2)近位片140cであって、そのプランジャーの切片の周りを環状の方向に進むに従い、比較的大きいサイズと比較的小さいサイズとが交互に切り替わる外径を有する近位片140c;及び、(3)比較的小さい外径を有した中間片を含む。前述の比較的大きい外径は、外筒110bの内側にある比較的小さい隙間のみ有して適合する。前述の比較的小さい外径は、そのような比較的小さい外径を有したプランジャー表面と外筒110bの内表面との間の弁フレーム20の厚さを容易に受け入れるのに十分な程小さい。中間部分140bは、比較的ぴったりと弁フレーム20の遠位部分20cの軸方向長さを受けるのに十分な程軸方向に長い。同様に、弁フレーム20の支柱20bは、プランジャー140の近位部分140cにおける小さくなった外径の領域を軸方向に通り抜けることができる。
【0036】
上記の記載から、プランジャー140の中間部分140bの外表面と遠位外筒部分110bの内表面との間で、弁フレーム20の遠位部分20cが放射状に捕獲されること、及び、プランジャー140の遠位部分140aとプランジャーの近位部分140cのうち比較的大きい外径部分との間で弁フレーム20の遠位部分20cが軸方向に捕獲されることを正しく理解されるであろう。近位プランジャー部分140cをその近位部分の比較的大きい外径の領域の間で通り抜ける支柱20bの結果として、プランジャー140に対する弁フレーム20の回転保証さえ存在する。
【0037】
弁10の近位にあるのは、シャフト120にしっかりと装備され、そのシャフトの周りで同軸(環状)の別のプランジャー150である。近位プランジャー150は、比較的大きい外径を有しており、比較的小さい隙間を有して近位外筒部分110a内に適合する。
【0038】
図1に示されている構造体は、いかなる所望の程度の横可撓性(横剛性の反対)でも組み立てることができる。(横可撓性は、構造体100の、その縦軸に対して横向きにそる(曲がる)能力を意味している)。例えば、送達装置100が、患者への弁10の経皮送達を意図している場合、装置100は、患者内の曲がった血管通路の内側に沿って進み、弁10の所望の移植部位まで到達することができるように、比較的高い程度の横可撓性を有するよう要求され得る。一方、装置100が、患者への弁10の経心尖部送達に使用するよう意図される場合、経皮的使用に対して最良の剛性よりもいくぶん横に剛性であるのが装置100にとって望ましい場合がある。
【0039】
図2は、患者内の弁10を展開し始めるためにどのようにして図1の装置を操作することができるかということの1つの例を示している。この例において、弁10が患者の意図された移植部位にあると、近位外筒110aは、図2の残りのもの全てに対して近位方向に引き戻される。これは、弁10の近位部分をあらわにし始める。しかし、弁10の遠位部分は、送達装置100の遠位部分によってしっかり保たれたまま残る。この送達装置100の操作は、(図3及び4に示されているように)弁10の近位部分全体があらわになるまで続けることができる。図3は、この結果を簡略化された形態で示しており、結果として生ずる弁10の近位部分における放射状の拡大の描写は省いている。しかし、図4は、近位外筒110aによる抑制からの解放の結果として外側に向かって放射状に拡大している、弁10の近位部分20aを示している。(本明細書において描写及び/又は記述されている弁の拡大のうち全てが、弁フレーム20のはね返り及び/又は形状記憶的拡大によるものであり得る。形状記憶的拡大は、弁フレーム20が曝露されている外気温を制御することによって部分的に制御することができる)。
【0040】
図5は、(図3及び4に示された状態が達成された後の)さらなる弁10の展開を示している。(ここでも、図5は、弁10の近位部分における放射状の拡大を示さないことによって簡略化されている)。図5では、シャフト120に対して(先端部130が装備されている)シャフト132を遠位方向に押すことによって、先端部130は図中の他の構造体に対して遠位方向に押される。(シャフト132は前に記述しているが、図5より前の図では可視ではなかった)。先端部130が遠位方向に移動するに従い、遠位外筒部分110bを共に運び、その結果、弁10の遠位部分をあらわにし始め、遠位弁部分は、(少なくとも初めのうちは)遠位外筒部分110bの内側のプランジャー140によってしっかりと保持され続ける。
【0041】
図6は、遠位外筒部分110bが完全に弁10の遠位端を超えて移動し、弁が、従って、完全にあらわにされ、患者内で展開された後の図5の装置の状態を示している(ただし、ここでも、このステージで、弁10が周囲の患者本来の体組織に係合するよう長手方向にそって環状になって拡大され、その結果、患者の所望の移植部位にて弁を固定するという事実を図6は省いている)。次に、弁10が患者内で環状になって拡大し展開した後、弁送達装置100は、患者から抜き取ることができる。そのような引き抜きを容易にするために、近位外筒部分110aを、弁のリーフレット構造体30に通して他の構成要素に対して遠位方向に押すことができる。遠位先端部130及び遠位外筒部分110bを、次に、外筒110bの近位端が外筒110aの遠位端に接触するまで(又は、他の実施形態であるように、遠位外筒部分110bが近位外筒部分110aの内側にくるまで)他の構成要素に対して近位方向に引っ張ることができ、その結果、ここでも、送達装置100に滑らかな外表面を与えている。これによって、リーフレット30を損なうことなく展開された弁10を通った近位方向への装置100の引き抜きが容易になる。
【0042】
図7は、前に記述した実施形態からの2つの可能な変形を示している。(前の実施形態からいくつか変形があるけれども、一般参照番号100が送達装置に対して使用され続ける)。これらの可能な変形のうちの1つは、近位端保持装置150を使用するため、弁10の近位端をそこに載せることができ、その結果、折りたたまれた弁の内径を制御することができるということである。他の可能な変形は、分離110cが弁10の近位にあるように、近位外筒部分110aと遠位外筒部分110bとの間の分離110cを再配置することである。弁は、次に、図8に示されているような最終位置まで遠位外筒部分110bを遠位方向に動かすことによって単独で展開される。言い換えると、(初めは完全に弁10を覆っていた)遠位外筒部分110bを遠位方向に動かすことによって、患者内での展開のために弁の覆いが完全に取られる。(図8は、ここでも、外筒110bを動かして弁をあらわにすることに続く弁10の環状拡大の描写を省いている)。
【0043】
図1乃至6に示されているような実施形態に戻ると、図9は、別の可能な使用を示している。この別の使用は、第一に遠位部分20cの展開である。これは、外筒部分110aを近位方向に移動させる前に、要素130、132、及び、110bを他の構成要素に対して遠位方向に移動させることによって達成される。これは、図9において示されている装置の状態であり、その図が示しているように、近位部分20aは依然として近位外筒部分110a内に閉じこめられているけれども、弁10の遠位部分20cを解放して環状に拡大している。図9で示されている状態の後には、外筒部分110aを近位方向に移動させ、弁10の近位部分20aをあわらにして展開する(すなわち、その環状拡大を可能にする)ことが続く。
【0044】
図10は、外筒110が2つの軸方向に異なる部分に分離されないさらに別の手段を示している。代わりに、図10では、1つの外筒110が遠位先端部130までずっと延びている。しかし、弁20が患者の所望の位置にある場合に、外筒110は遠位先端部130から近位方向に引き戻すことができる。図10は、そのような外筒110の近位方向への引っ込みの始まりを示している。これによって、第一に、弁20遠位端があらわになる(及び、展開される)。
【0045】
図11及び12は、軸方向に分離する外筒110の110a及び110bの部分が一緒になり得るいくつか可能な方法を示している。図11では、110aの部分の遠位部分がわずかに拡大されるため、110bの部分の近位部分における外側の周囲に適合することができる。図12に示されている別の手段において、この配置は逆にされている。特に、図12では、110bの部分の近位部分がわずかに拡大されるため、110aの部分の遠位部分における外側の周囲に適合することができる。同じサイズの110a及び110bの部分の末端を有するため、それらは(図11及び12でそうしているように)重なり合うことはなく単に互いに接する等、他の変形が可能である。
【0046】
図13は、孔152が軸方向に貫いて延びている近位端保持装置150の可能な構造を示している。これらの孔は、送達装置の近位部分から、保持装置150を抜けて、弁20に到達するまで流体を通過させることができる。例えば、そのような流体は、弁を冷却するか又は温めて、(例えば、弁10のフレーム20がニチノールのような材料から作製される場合にそのフレームの形状記憶特性を使用して)弁が制御された様式で患者内に展開するのに寄与するよう制御される温度を有することができる。
【0047】
図14は、遠位端保持器140の拡大したものであり、その可能な構造をおそらくより明確に見ることができる。
【0048】
図15は、「バンパー」140’又は150’が弁10のフレーム20における各軸の末端に隣接してシャフト120上に装備されている別の設計を示している。各バンパーは、当該装置の縦軸に垂直した、そのバンパーに隣接した弁フレーム20の軸の末端に向かって面した表面を有している。これらのバンパーの面は、送達装置の所望の軸位置に置かれた弁10を、外筒部分110a及び110bの軸方向の移動の結果としてその弁があらわにされ、従って、環状になって拡大することができるまで保つ。弁10とは反対の方向を向いているバンパー140’又は150’の表面は、示されているように円錐形であることが好ましい。これは、患者からの送達装置の引き抜きを容易にするよう装置100の滑らかな外側が再度所望される場合に、外筒部分110a及び110bが、弁の展開後、再度一緒になることに寄与する。
【0049】
図16乃至18は、送達装置100の別の可能な構造を例示している。この構造において、近位外筒部分110aは、初めに、遠位先端部130までずっと遠位方向に延びている。外筒部分110aの遠位部分の内側で、遠位外筒部分110bは、遠位先端部130から初めに弁10を完全に覆うまで近位方向に延びている(すなわち、プランジャー150の遠位部分といくらか重なって終わっている)。弁10は、第一に、図17に示されているように、外筒110aをその遠位端がプランジャー150に隣接するように近位方向に引き戻すことによって展開される。しかし、弁は依然として完全に外筒110bの内側にあるため、弁のうちまだ展開される部分はない。次に、図18に示されているように、遠位先端部130及び外筒110bを遠位方向に押して、弁10をあらわにし始めることができる。この弁の露出は、(図18で示されているように)近位端で始まり、次に、弁が完全にあらわにされ展開されるまで続く。(ここでも、図18は、弁があらわにされると生ずる弁10の環状拡大の描写を省いている)。
【0050】
図16乃至18に示されているものの可能な変形は、近位外筒110aが遠位外筒110bの近位端を越して引っ込められた場合に弁の近位端が展開し始めるよう遠位外筒110bを短くすることである。
【0051】
図19乃至21は、近位保持装置150の例証となる実施形態の図をいくつか示している。図22は、保持装置の(図16乃至18で使用された実施形態のような)別の実施形態を示している。図23は、遠位保持装置140の例証となる実施形態を示している。図24は、展開されたか又は部分的に展開された後に弁10が再度折りたたまれるのを可能にする(例えば、弁の再配置又は再除去を可能にする)送達装置100の実施形態において使用できる放射状に延びる孔142の環状のアレイを含んだ遠位保持装置140の別の実施形態を示している。このような送達装置の特徴は、本明細書において後により詳細に記述される。
【0052】
図25は、上記のバンパー140’/150’のうち典型的なバンパーの例証となる実施形態の別の図である。
【0053】
図26は、遠位先端部材130の例証となる実施形態の別の図である。
【0054】
図27は、図7及び8に示されているような実施形態の縦断面図である。
【0055】
図28は、弁が患者内で少なくとも部分的に展開された後だが送達装置から最終的に解放される前に弁が患者内に再配置されるか又は患者から取り除かれるのを可能にするといったような目的のために、弁10を再度折りたたむことを容易にするための本発明の特定の可能な態様による構造体の例証となる実施形態を示している。図28は、弁10の遠位部分20cのみを示している(弁のその他の部分は明瞭性を得るため省かれている)。図28(また、図29)に示されているように、可撓性で再度折りたたむ材料の3つのストランド210a−cが、弁10のフレーム(ステント)の遠位部分20cに突き通されている。例えば、図29は、これらのストランド210のそれぞれが、遠位部分20cの環状部のうち3つの異なる弓状片のそれぞれ1つに突き通されていることをより明瞭に示している。ストランド210を突き通すために、(図28において可視の)アイレットを部分20c内に提供することができる。各ストランドは、部分20cの周りを環状の方向に進むに従い部分20cの内部から交互に出たり入ったりして縫うように進められるか又は曲がりくねった軌道に沿って進むことができる。部分20cから延びる各ストランド210の末端は、図24に示されているように、送達システム構造体120に取り付けられた遠位保持装置140の側壁を通り抜ける放射状の孔142を介して構造体120の内腔に入る。前述の内腔の内側に入ると、これらのストランドの末端は、患者の体外からの送達装置のオペレータによる制御の影響をうけやすくなる所まで内腔に沿って近位の方向に延びる。前記(図24の142のような)孔は、ストランド210を部分20cに突き通すのとほぼ同じ面(実質的には送達装置の縦軸に垂直)にあることが好ましい。この方法で、ストランド210の末端が近位方向(送達装置の縦軸と平行)に引き抜かれると、前述の(142のような)孔は、ストランドにおける張力を部分20cに対する放射状に内部へ向かう力に変える。これらの力は放射状であるため、引き込みにおける最も優れた能率を部分20cに対して有し、その結果、(例えば要素140の外表面に対して)その部分を再度折りたたむ。そのような放射状の内側へと向かう力は、また、いかなる再度折りたたむ動作の間にも弁10の軸上の移動を回避する傾向があるため好ましい。
【0056】
ストランド210の数、及び/又は、ストランド210が部分20cに取り付けられるパターンは、図28及び29に示されているものとは異なり得る。例えば、図30は、3つのストランド210よりもかなり多くのストランドの使用を示しており、図30は、部分20cへの取り付けのポイントを基本的に1つだけ各ストランドが有していることも示している。そのような取り付けのポイントそれぞれが(142のような)孔から放射状に出ていることが好ましく、その孔を介して関連するストランド210は構造体120/140の内側の内腔に入り、各取り付けのポイント及び関連する(142のような)孔は、送達装置の縦軸に対して実質的に垂直であることが好ましい関連する半径上にある。
【0057】
弁10が患者内で部分的に展開された後、弁の位置が所望されたように(例えば蛍光顕微鏡で)見えない場合、ストランド210の近位末端を引っ張ることによって弁を送達装置上に再度折りたたむことができる。次に、(患者から送達装置を引き抜くことによって)弁を患者から取り除くか、又は、患者内に弁を再配置することが(そのような再配置を生じるよう送達装置を操作することによって)できる。そのような弁の除去又は再配置は、ここでも、弁の外側の周りにある1又は複数の外筒構造体110a及び/又は110bを閉じることも含み得る。弁の再配置が目的であると仮定すると、弁が新たな位置にある場合、ストランド210に対する張力を解放することによって再度拡張させることができ、外筒110a及び/又は110bが弁の周りで再度閉じられていた場合、その外筒構造体を再度開ける。弁が最終的に満足のいくように患者内に置かれた場合、各ストランド210の1つの近位末端をそのストランドのもう一方の末端がオペレータ制御側にて送達システムから出るまで近位方向に引っ張ることによって、弁を最終的に送達装置から解放することができる。
【0058】
上記の弁の回収/再配置構造は、弁のうち部分20cに適用するよう示されているけれども、あるいは、又は、さらに、20a等の他の弁の部分に適用することができるということが理解されるはずである。
【0059】
ストランド210は、いかなる適した、十分に強く、十分に可撓性で、且つ、十分に細い材料及び構造体からも作製することができる。その例は、(例えばニチノールの)ワイヤ、縫合糸、又は、ナイロンの糸等である。120/140のような構造体の側壁にストランド210を通すための(142のような)孔の数及び配置は、使用されるストランドの数及び配置に対して適切であり得る。
【0060】
以下は、送達装置100の近位部分(常に患者の体外であるオペレータ制御)の、特に図31乃至36を参考にした例証となる実施形態の説明である。
【0061】
要素110a−bは、ここでも、送達装置の主要な外側のシャフトであり、部分110aは近位外筒である。この構造は流体の導入を容易にすることができ、この構造を利用して、(例えば空気等の)気泡が患者の循環系内に導入されないように送達装置に準備措置を施すことができる。要素110a−bは、システム内に詰め込まれた時間から患者内に移植されるまで弁を水和したまま保つ塩水を収容する容器としても使用することができる。構造体110aは、クリンプされた弁の近位末端を制御/収容する近位外筒としても機能することができる。
【0062】
要素320は、(1)流体が漏れるのを防ぐ、(2)シャフト120が通り抜けるのを可能にする、及び、(3)マニホールド370への接続を可能にするエンドキャップである。
【0063】
シャフト又は導管120は、クリンプされた弁の展開及び回収に対する軸上移動を制御する。構造体120は、出入口360aを介する流体の導入を容易にし、送達装置を洗い流す及び送達装置に準備措置を施すことに寄与する。
【0064】
ハブ340は、シャフト120で取り付けられる/シャフト120と統合され、マニホールド360を接続するためのスタンダードなルアー接続を有する。
【0065】
内腔132は、それだけに限らないが、ガイドワイヤ、塞栓保護装置、移植部位を予め拡張するためのバルーン、流体等の補助装置の導入を可能にするハイポチューブ又はいかなる他の導管でもあり得る。また、シャフト132は、遠位外筒110bを遠位方向に移動させてクリンプされた弁の遠位端を解放する手段である。図35は、(図32乃至34に示されている成形されたハンドル134の代わりに)内腔132の近位端に取り付けられる弁コネクタ390を有した別の手段を示している。図36は、(ここでも成形されたハンドル134の代わりに)マニホールドコネクタ390等を内腔132の近位端に取り付けることができるさらに別の手段を示している。図36の実施形態は、内腔132の近位端内に貫通出入口(through port)を提供することができ、それによって、(例えば、送達装置100は患者のしかるべき所にあるままで)前述したタイプの流体及び他の装置(例えば、ガイドワイヤ、塞栓保護装置、移植部位を予め拡張するためのバルーン等)を入れて、送達装置の全長を通過させることができる。
【0066】
マニホールド360は、ノブ380(近位に存在)が時計回りに回された場合にシャフト132上で密封を形成する液密弁制御として機能する。ロックされる(締められる)と、シャフト132は動かすことができない。レバー390(近位に存在)は、内腔120内への流体入口の開閉を制御する。流体は、(例えば注射器等の)補助装置取り付けのためのスタンダードなルアーを有したこの入口から導入される。
【0067】
マニホールド370は、ノブ380(遠位に存在)が時計回りに回された場合にシャフト120上で密封を形成する液密弁制御として機能する。ロックされる(締められる)と、シャフト120は動かすことができない。レバー390(遠位に存在)は、内腔110内への流体入口の開閉を制御する。
【0068】
ノブ380(どちらにも存在)は、流体を流出させるが、そこを通り抜けるシャフトの自由な動きも可能にする。これらのノブが閉められた場合、関連するシャフトをそのしかるべき位置でロックし、流体の漏れを防ぐ。ノブは、重大な流体の漏れを生じることなく、関連するシャフトの相対的移動を可能にするように十分に開けることができる。
【0069】
弁のレバー390(どちらにも存在)を、流体の導入を可能にするために開けることができる。閉められると、レバーは流体の導入又は漏れを防ぐ。
【0070】
前記のものは、(患者内に移植された後に弁を通る血流という点で)弁の下流部分20cになるものが送達装置の遠位端に向けられるように送達装置100内で方向づけられた弁10を示す傾向があるけれども、この弁の向きは、所望であれば、逆にすることができるということが理解されるはずである。本明細書において全般的に示されている弁の向きは、例えば、順行性の方法(すなわち、血流方向に挿入された送達装置100)を介して大動脈弁を移植するために適している。そのような順行性送達の例は、いわゆる心臓の頂(例えば、左心室の底付近)での切開、及び、弁を送達装置から展開することができその結果患者内に移植することができる、弁が患者の本来の大動脈弁輪に隣接して配置されるまでの送達装置100の遠位部分の左心室を抜けた通路を介した送達装置100の挿入である。(これは、経心尖部法と呼ばれる場合がある)。弁の典型的な最終配置は、弁フレーム部分20aのうち極度に低い部分が下に向かって漏斗状に開いて本来の弁輪に対してひっかかり、フレーム部分20aのうちより遠位な部分が本来の弁輪をぴったりと通り抜け、支柱20bが本来のヴァルサルヴァ洞を通り抜け、弁フレーム部分20cがヴァルサルヴァ洞から本来の大動脈下流にきつくひっかかるものである。
【0071】
しかしあるいは前述のように、送達装置における弁10の向きは逆にすることができ、従って、逆行性の方向(すなわち、血流の反対方向)で移植部位に近づけることができる。例えば、送達装置の遠位部分は、患者の大動脈を通り抜けた後、患者内の移植部位(例えば、本来の大動脈弁の位置)に到達することができる。アクセスは、大動脈の側壁における切開を介して、又は、大動脈まで導く患者の循環系におけるより離れた位置からのもの(いわゆる、経皮又は経腔的送達)であり得る。患者内での弁の究極の最終配置は、ちょうど記述したものと同じであり得る。本発明の送達装置は、どんな順が所望されても弁の異なる部分がその順で解放されることを可能にし、その順は、順行性又は逆行性の方法が使用されるかに応じて異なり得る。
【0072】
図37は、どのようにして140等の弁支持構造体を折りたたまれた弁10と協同させて折りたたまれた弁が弁及び送達装置の縦軸と平行に送達装置に対して動くことを実質的に防ぐように構築することができるかということに関して上記で主張した点をより詳細に例示している。図37は、例えば図1乃至10、14、16乃至18、23、24、27、及び、31で示されているような構造体を示している。特に、図37は、そのような構造体の遠位部分における簡略化された部分的な断面図を示している。図37は、折りたたまれた弁10のフレームの遠位部分20cが、送達装置の弁支持構造体における遠位保持装置140部分の外表面の凹部に配置されていることを示している。参考のため、弁10及び送達装置100の幾何学的な縦軸が101で示されている。(図37は、図37に示されているものの外周に存在し得る外筒又はスリーブ構造体110の描写を省いている)。
【0073】
前述の弁支持構造体140内の凹部に配置された弁フレーム20の部分は、第1及び第2の表面部分21a及び21bを有しており、前記第1及び第2の表面部分21a及び21bは、軸101に沿ったそれぞれ反対の第1及び第2の方向に面している。弁支持構造体140(特に、前述の凹部)は、それぞれ第2及び第1方向に面している第3及び第4の表面部分141a及び141bを有している。第1及び第3の表面部分21aと141aは、互いに隣接して向き合うように置かれている。同様に、第2及び第4の表面部分21bと141bは、互いに隣接して向き合うように置かれている。これらの表面21a/b及び141a/b間の関係は、弁を弁支持構造体の周りに折りたたまれた状態で配置しながら、軸101に沿った弁10と弁支持構造体140との相対的移動を実質的に防ぐ。例えば、この確実な弁の保持は、患者の所望する箇所に弁を置くことができるということを意味し、従って、110a/bのようないかなる外筒又はスリーブ構造体も、患者内の所望の弁の位置を妨害することなく弁及び弁支持構造体に対して動かすことができる。これは、取り囲む外筒に対して外側に押すよう弁フレームを弾性的に偏らせる場合に特に重要であり得る。弁支持体に対して外筒が移動される場合に、弁をその支持構造体に対して確実に配置することなく、弁を外筒と共に引っ張ることができる。これは、患者の弁の位置を妨害する恐れがあり、及び/又は、外筒から弁を抜き出すことを困難にし得る。
【0074】
図38は、図15に示されているような実施形態に対して(図37に関して上記で主張されたのと)同じ点を提示している。従って、図38は、弁10のフレーム20が、弁支持構造体の遠位バンパー140’と近位バンパー150’との間にある凹部内に受けられていることを示している。弁フレーム20は、第1及び第2の表面21a及び21bを有しており、前記第1及び第2の表面部分21a及び21bは、軸101に沿ったそれぞれ反対の第1及び第2の方向に面している。弁支持構造体120/140’/150’は、それぞれ第2及び第1方向に面している第3及び第4の表面部分141a及び151bを有している。第1及び第3の表面部分21aと141aは、互いに隣接して向き合うように置かれている。同様に、第2及び第4の表面部分21bと151bは、互いに隣接して向き合うように置かれている。これらの表面21a/b及び141a/151b間の関係は、弁を弁支持構造体の周りに折りたたまれた状態で配置しながら、軸101に沿った弁10と弁支持構造体120/140’/150’との相対的移動を実質的に防ぐ。例えば、この確実な弁の保持は、患者の所望する箇所に弁を置くことができるということを意味し、従って、110a/bのようないかなる外筒又はスリーブ構造体も、患者内の所望の弁の位置を妨害することなく弁及び弁支持構造体に対して動かすことができる。
【0075】
図37及び38によって強調されたタイプの本発明の可能な特徴を記述する別の方法は、弁支持構造体が、折りたたまれた弁のフレームが弁支持構造体上に配置されている管状幾何学的形状に少なくとも放射状に延びる要素を有していると述べることである。これらの要素は、折りたたまれた弁と弁支持構造体との相対的な軸上移動を確かに妨げその結果防ぐよう置かれている。弁支持構造体上のそのような外側に突き出る要素の特定の例は、要素140a、140c、140’、及び、150’の外側部分である。これらの要素は、弁が支持構造体に対して軸方向に移動しようとする場合に、軸方向に面する弁フレームの表面を接触させることによって、折りたたまれた弁を、送達装置の弁支持構造体上の固定された軸上位置にて保持するよう作動する。
【0076】
図39乃至41は、さらなる可能な本発明の特徴を例示している。これらの特徴は、弁支持構造体140を通して縦に延びる孔149であり、及び/又は、遠位端構造体130を通して縦に延び、使用に先立ち当該装置の脱気を容易にするよう使用することができる孔139である。例えば、当該装置は、そのような脱気の間、遠位端130を上にして垂直に保持することができる。生理食塩水を(例えば弁390等を介して)スリーブ110の底に導入することができる。塩水のレベルが当該装置内で上がるに従い、通気孔139を介して空気は外へ押しやられる。孔149は、下の支持体140からの空気及び塩水がその支持体を通り遠位端130に達することを確実にする。塩水が通気孔139から流れ出る場合、空気全てが当該装置から出されると知られている。(シャフト120内の全ての空気も通気孔139を介して当該装置から出るようにそのシャフトの下端に塩水を導入することを含む並行操作によって、シャフト120の内部を同様に脱気することができる)。
【0077】
図42は、本発明によるさらに別の可能な特徴を例示している。これは、シャフト132を、結合領域又は位置132aにおいてつなぐ(比較的容易に曲がる)ことができるようにしている。この結合位置132aは、いくぶん外筒部分110bの近位端より近位にあることが好ましい。これの目的は、遠位構造体130、110b、及び、シャフト132のうち結合部位132aを、これらの要素が大動脈弓内に遠位方向に押されて、患者の本来の大動脈弁環等の付近で弁を展開にさらす場合に、遠位方向に越す部分が横にそれて、患者の大動脈弓の湾曲に沿っていくぶん進むことを可能にすることである。これは、要素130等の遠位移動に対する抵抗を減らすことに寄与し、さもなければ、それらの要素による大動脈弓の接触が生じ得る。
【0078】
以下は、記述されてきた種々の態様を要約し且つ広げる。
【0079】
本発明は、折りたたみ可能/拡張可能な弁の送達システムに関し、当該送達システムは、最小侵襲外科的出入口アクセス又は経皮方法を介して、折りたたみ可能な弁を折りたたむ、保持する、維持する、移す、展開させる、解放する、及び、固定するのに寄与することができる。
【0080】
当該システムは、折りたたまれた弁の接近、送達、展開、拡張、及び、(所望であれば)回収を容易にするよう共に働くいくつかの構成要素を含む。当該送達システムは、送達装置の遠位端にて位置づけられた折りたたまれた弁の(他の機能に加えて)正確な展開を保持し容易にする細長いシャフト及び導管をいくつか有している。近位端では、いくつかのシャフト/導管が互いの上を/互いに相対して滑り、弁の前進、展開、流体送達、及び、再度の折りたたみを制御している。弁は、特別に設計された保持装置を利用する中間シャフト上に装備される。折りたたまれた弁は、2つの管状外筒を介してその折りたたまれた状態で保持される。その2つの外筒は、連帯して弁全体を覆い、含み、且つ、保護する。2つの外筒は、弁の近位端又は遠位端を第一に展開することにおける順応性をオペレータに与える方法で動く。一部の実施形態は、1つの外筒のみを使用する。
【0081】
本発明は、順行性又は逆行性の方法を使用して、取替え人工弁を移植することにおける順応性を可能にする。当該システムは、送達装置の近位端にあるマニホールドポートを遠位端(先端部)にある開口部又は出入口に接続する多数の内腔を有する。これらの内腔は、(温度が調節された塩水、造影剤等の)流体の送達、及び、塞栓保護装置、弁形成術のためのバルーンの展開等の種々の機能に利用することができる。
【0082】
当該送達システムは、送達装置は永久移植物ではないため、短期間のヒト相互作用に対して生物学的に適合性のあるものであると既知の材料から製造することができる。この装置は永久移植物(人工弁)に接触するため、材料選択が考慮される。
【0083】
製造ステップ
成形された、射出成形された、インサート成形された、機械加工された、引抜き加工された外科用グレードss管状材料及び他のパーツの組合せを使用して、送達装置を製造することができる。一貫した作用システムの組立てを容易にするために、(締まりばめ、接着、溶接、タブ、スロット、熱接着等の)機械的、熱的、又は、化学的接着といった種々の手段を使用して、装置の構成要素をはめ込むことができる。
【0084】
作動ステップ
当該送達装置は、上記の方法のうちいずれからでも導入することができる。十分な軸上及び放射状の位置決めが達成されると、展開手順が始まる。弁は、近位端から先又は遠位端から先に展開することができる。大動脈弁の場合では(弁の設計及び/又は幾何学に応じて)、漏斗状に開かせるために、弁の近位端を第一に展開することが好ましい。そうすることで、抵抗が感じられるまで、送達装置をわずかに前に進めることができる。オペレータに対するこの触覚フィードバックは、弁の端が本来の弁のほぼ環状の端であるため、最適な軸上配列が達成されたことのしるしである。弁の軸上の位置を維持するよう送達装置に対する前方へのわずかな圧力を維持しながら、遠位外筒を前方に進めることによって遠位端をここで展開することができる。近位及び/又は遠位端が展開している間、感温ニチノール弁フレームの緩やかな制御された展開を容易にするよう温度が調節された塩水を注入することができる。これは、移植部位にて切開又は他のダメージを引き起こし得るため望まれていない場合がある弁の突然の「スナップオープン」を防ぐことができる。塩水の温度は、最終的に体温に達するまで緩やかに上げることができる。これは、弁がその完全に拡張した最適な幾何学まで拡張するのを可能にする。
【0085】
弁が部分的又は完全に展開されるが完全には解放されていない間、所望であれば、再配置又は完全な回収のために弁を回復させることが可能である。弁フレームの特別に設計されたアイレットは、弁の再度の折りたたみを制御することができるように取り付けられた、細いニチノールワイヤ、釣糸、ステンレス綱線材等の適切な材料から作製された部材の使用を容易にすることができる。再度折りたたまれると、弁を再配置又は完全に回収することができる。
【0086】
送達システムは、耐久性があり能率的な弁の設計に基づいて設計されることが好ましく、従って、弁の長期の移植における性能要求のうちいずれも妥協しない。送達システムは、オペレータに順応性、及び、選んだ方法、患者の解剖学的構造、及び、疾患の状態に、他の重要な考慮に加えて、基づき弁の展開を制御する自由を与えることが好ましい。当該システムは、弁をより容易に送達及び回収させ、手順を首尾良く完全にするために使用することができる捕捉の現存する補助装置を受け入れる所望の機能をいくつか提供することが好ましい。
【0087】
この送達装置の設計は、大腿部からのアクセス、経心尖部のアクセス、経中隔のアクセス、又は、上行大動脈における直接スモールポートのアクセスに使用することができる。好ましい送達システムの設計を用いて、心臓の弁(大動脈弁、憎帽弁、肺動脈弁、及び、三尖弁)のうちいずれに対するアクセスも、欠陥のある本来の弁の修復及び/又は取替えという目的のために達成することができる。
【0088】
以下は、本発明における種々の可能な特徴の要約である。
−折りたたみ可能/拡張可能な弁を折りたたむ、維持する、送達する、展開する、再配置する、及び、(所望であれば)回収するための薄型送達システム。
−送達方法(逆行性又は順行性)に対して送達システムを微調整することができる。
−蛍光透視又は他の可視化システム下での弁及び送達システムの遠位端の案内並びに可視化のために、放射線不透過性マーカーを戦略的に重要な領域、及び、弁の周りに置くことができる。
−再配置又は回収のために完全に回復させる場合に、弁を完全に展開するが解放しない能力が所望される。
−ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、塞栓保護装置、流体送達(フラッシング又は可視化)等の補助装置を使用することによって処置上の支持を促進するための多数の内腔の能力を有した送達システム。
−以下のように互いに対して移動するいくつかのシャフト/内腔:(1)外側のシャフト:弁を覆い、折りたたみ、さらに、解放する;弁の周りに流体を流すための導管を生じる。(2)中間シャフト:外側及び内側のシャフトに対してクリンプされた弁を進める、及び、引っ込める。(3)内側のシャフト:弁の遠位端の展開のために遠位の外筒を進める;流体送達のための導管だけでなく、ワイヤ上での前進を可能にする内腔も有している。
−外筒及び保持装置を使用して弁は所定の位置に固定される。保持装置は、中間シャフトに装備され、弁と共に移動する。外筒は、クリンプされた弁上を移動する。
−弁の保持/折りたたみ機構として機能する移動可能な外筒。折りたたまれた状態で弁を維持及び保護することもできる。温度が調節された塩水等の流体のための導管の外縁を生じる。
−独特な分離外筒設計(近位及び遠位の外筒の半分)。遠位の半分は先端部に取り付けられ、近位端にて制御及び作動させられる細長いシャフトにも取り付けられる。この外筒を遠位方向に押すことによって、弁の遠位端が展開される。外筒の他の半分は、送達装置の残りに取り付けられ、弁に対して近位方向に移動し、弁の近位端を展開する。
−(例えば、本来の弁の交連と合わせて並べるため、及び、冠状動脈の閉塞を回避するために)正確な放射状の向きで展開することができるように送達システム内での弁の回転(角度)の向きを制御する機能。
−マニホールドコネクタに戻った内腔の出入口のうちいずれに対するアクセスも開け閉めする能力。
−送達装置のシャフトを適切な所で互いに相対してロックし、その適切な所でロックすることに加えて、導管をふさぐ能力。
−近位の弁保持装置:(1)近位の外筒を主要な送達装置の縦軸上の中央に置く。(2)送達装置の準備中及び温度が調節された塩水の適用中の流体の通過を可能にする。(3)前進している/引っ込んでいる要素を縁がじゃま/捕らえるのを防ぐためのテーパエンド。(4)弁の近位端に対する静止場所を亢進することができる。
−遠位の弁保持装置:(1)遠位の調圧環及び接続支柱の一部を保持及び制御する。(2)最終的な解放のために覆いを取り払われるまで、弁の軸上の移動を防ぐ。(3)保持装置の幾何学は、特定の弁フレームの幾何学と一致し、必要に応じて解放する。(4)前進している/引っ込んでいる要素を縁がじゃま/捕らえるのを防ぐテーパエンド。(5)展開手順が始まるに従い、最終的な解放中に弁が跳ねるのを防ぐ。
−近位及び/又は遠位の保持装置は、再度折りたたむ要素の通過を容易にする孔を含み得る。前記要素は、弁の近位又は遠位部分(若しくはその両方)に取り付けられ、再配置又は回収のために弁を再度折りたたむよう使用される。
−近位及び遠位の外筒インターフェースは、塞ぐ及び連結するよう設計することができる。
−描写されてはいないけれども、送達システムは、遠位端にてシャフトの外まで延び、弁の展開及び解放に先立ち、石灰化した本来のリーフレットをこじあけることができる機能を組み入れることができる。
−種々の設計の変形が可能であるが、いくつかの設計のみが例証用に含まれている。例えば、近位の外筒が遠位の外筒を完全に内部に封じ込める別の設計を参照されたい。これは、遠位外筒に対する保護を提供し、同時に、2つの外筒IDサイズにさらなる設計の変形を提供する。これは、遠位端よりもわずかに大きい折りたたまれた直径を弁の近位端が有することを可能にし、より空間を、従って、より少ないリーフレットの組織の圧縮を提供する。近位外筒の内側にある遠位外筒におけるさらなる可能な利点は、経心尖部方法等の順行性の方法中のスムーザーシステムの引っ込みである。当該システムから弁が解放されると、近位外筒を、リーフレットを超えるまで前に進めることができる。送達システムの遠位外筒を、次に、近位外筒の内側まで引っ込めることができ、弁を介してシステム全体を戻し除くことができる。引っ込み中、リーフレットは、システム全体を取り除く前に、リーフレットを介して近位外筒の内側に遠位外筒の引っ張ることを試みるシナリオと比較して、滑らかで継続する管の表面にのみ直面することに留意されたい。
【0089】
前記のものは、単に本発明の原理の例証となるものであり、本発明の範囲及び真意から逸脱することなく、当業者によって種々の変更を行うことができるということを理解されるはずである。例えば、種々の構成要素に対して示された形状に関する多くの詳細は、どのようにしてこれらの詳細をまとめることができるかということの単なる例である。
【0090】
本出願は、2008年1月16日に出願した米国仮特許出願第61/011,393号に基づく優先権を主張するものであり、全内容を本出願において援用する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工心臓弁に関する。特に、本発明は、患者に対して減らされた侵襲性で患者の体内に送達するために、比較的小さい外周サイズに折りたたむことができ、次に、患者の意図された移植部位にて再び作動サイズまで拡張することができる人工心臓弁に関する。さらに、本発明は、上記の種類の弁を患者に送達し、移植部位にてその弁を再び拡張する方法及び装置に特に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明における別の可能な態様は、患者の中にある弁の位置を変える、及び/又は、所望であれば、患者から弁を回収する方法及び装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
折りたたみ可能/拡張可能な弁を折りたたむ、維持する、送達する、展開する、再配置する、及び、(所望であれば)回収するための送達システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明における特定の可能な態様によると、折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置は、折りたたまれた状態で弁が周囲に配置される弁支持構造体を含み得る。外筒構造体が、弁支持構造体上の弁を取り囲むことができる。当該装置は、移植部位での拡張のために、弁の覆いを取るよう弁支持構造体に対して外筒構造体を動かす移動手段をさらに含み得る。前記弁は、第一及び第二の表面部分を有することができ、前記第一及び第二の表面部分は、弁支持構造体上で弁が周囲に配置される軸に沿って、それぞれ反対の第一及び第二方向に面し、前記弁支持構造体は、第三及び第四の表面部分を有することができ、前記第三及び第四の表面部分は、それぞれ第二及び第一方向に面している。折りたたまれた状態で弁支持構造体の周囲に弁を配置させながら、前記軸に沿った弁と弁支持構造体との相対的移動を実質的に防ぐために、第一及び第三表面部分を、互いに隣接させ向き合うよう配置することができ、第二及び第四の表面部分を、互いに隣接させ向き合うよう配置することができる。
【0005】
本発明におけるさらなる可能な態様によると、外筒構造体は、折りたたまれた状態の弁のうち第一の軸上端部を覆う第一の外筒部分、及び、折りたたまれた状態の弁のうち第二の軸上端部を覆う第二の外筒部分を含み得る。そのような場合、前記移動手段は、前記外筒部分のうちの1つにその他の外筒部分に対する可能な動きをさせることができる。さらに、そのような場合、前記移動手段は、弁のうち第二の軸上端部から離れる第一の方向に第一の外筒部分を移動させる第一の手段を含むことができ、前記移動手段は、弁のうち第一の軸上端部から離れる第二の方向に第二の外筒部分を移動させる第二の手段をさらに含むことができる。供給されるのならば、第一及び第二の外筒部分は、互いに部分的に重なり合うことができる。
【0006】
本発明における別の可能な態様によると、弁支持構造体は、弁支持構造体の周りを弁が回転するのを実質的に防ぐよう構成することができる。
【0007】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該装置は、外筒構造体による覆いが取られた弁の一部を放射状に弁支持構造体に向かって内側に引く手段をさらに含み得る。
【0008】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、前記移動手段は、さらに、弁の拡張後、外筒構造体が弁支持構造体を覆うように外筒構造体を弁支持構造体に対して再度移動させることができる。
【0009】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、弁支持構造体は、弁の近位にある第一の位置から弁の遠位にある第二の位置まで延びる通路を画定することができ、第一の位置は第二の位置よりも、当該装置のオペレータに近い。
【0010】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、弁支持構造体は、弁の近位にある位置から弁までの流体連絡のための通路を画定することができ、前記位置は弁よりも、当該装置のオペレータに近い。
【0011】
前述のように、弁が第一及び第二の軸上端部を有する場合において、前記軸上端部のうちの1つは弁リーフレットを含むことができ、もう一方の軸上端部は、リーフレットを有さない弁フレーム構造体を含むことができる。
【0012】
本発明における別の可能な態様によると、当該装置は、当該装置のオペレータから最も遠い外筒構造体の一部に固定される遠位端構造体を含み得る。遠位端構造体は、外筒構造体の内部の脱気を容易にするために外筒構造体の内側から当該装置の外側まで続く孔を有することができる。
【0013】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該装置は、当該装置のオペレータから最も遠い外筒構造体の一部に固定される遠位端構造体、及び、遠位端構造体と前記外筒構造体の一部とを弁支持体から離れるよう動かすことを可能にするシャフトを含み得る。前記シャフトは、前記外筒構造体の一部に近接した結合部位を含み得る。
【0014】
本発明における他の特定の可能な態様によると、折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置は、折りたたまれた状態の弁が周りに配置される弁支持構造体を含むことができ、前記弁支持構造体は、軸方向に離れた近位部分及び遠位部分を有し、近位部分は遠位部分よりも当該装置のオペレータに近い。当該装置は、弁支持構造体上の弁を取り囲む外筒構造体をさらに含み得る。当該装置は、さらに、移植部位での拡張のために弁の覆いを取るよう、弁支持構造体に対して遠位方向に外筒構造体を動かす移動手段を含み得る。
【0015】
すぐ前の段落で記述したような場合において、当該装置は、前記外筒構造体を取り囲む第二の外筒構造体、及び、前記外筒構造体の覆いを取るよう、弁支持構造体に対して近位方向に前記第二の外筒構造体を動かす第二の移動手段をさらに含み得る。
【0016】
さらに、すぐ前の2つの段落で記述したような場合において、弁支持構造体は、折りたたまれた弁のフレーム構造体が配置されている管状で幾何学的な形態内に放射状に外側に延びる要素を含むことができ、前記要素は、弁支持体に対して(管状で幾何学的な形態の縦軸に平行な)弁の動きを妨害するよう置かれる。
【0017】
さらに、すぐ前の3つの段落で記述したような場合において、前記移動手段が弁の覆いを完全に取るよう外筒構造体を動かした場合に外筒構造体には近位であるが、弁支持構造体からは遠位の結合部位を前記移動手段は含むことができる。
【0018】
さらに、すぐ前の4つの段落で記述したような場合において、当該装置は、外筒構造体の遠位端に固定される遠位端構造体をさらに含むことができ、遠位端構造体は、外筒構造体の内側から当該装置の外側まで続く孔を画定している。
【0019】
本発明における他の特定の可能な態様によると、折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置を作動させる方法は、弁支持構造体の周りに折りたたまれた状態で配置された弁を有し、及び、その弁を取り囲む外筒構造体を有した当該装置を患者に導入するステップを含み得る。当該方法は、移植部位での拡張のために弁の覆いを取るよう、弁支持構造体に対して外筒構造体を移動させるステップをさらに含み得る。
【0020】
本発明におけるさらに可能な態様によると、当該方法は、外筒構造体が弁支持構造体を覆うように、弁の拡張後に弁支持構造体に対して外筒構造体を移動させるステップを含み得る。当該方法は、次に、患者から当該装置を引き抜くステップをさらに含み得る。
【0021】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、前記弁は、当該装置のオペレータから離れた当該装置における第一の位置にありえ、前記移動させるステップは、第一の位置よりもオペレータからさらに離れた第二の位置まで外筒構造体を移動させることができる。そのような場合において、前記導入ステップの間、外筒構造体を、第二の外筒構造体によって覆うことができ、当該方法は、前記移動させるステップに先立ち、第一の位置よりもオペレータに近い第三の位置まで第二の外筒構造体を移動させるステップをさらに含み得る。
【0022】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該方法は、弁支持構造体よりも当該装置のオペレータから離れた患者の位置まで、さらなる器具を弁支持構造体に通すステップをさらに含み得る。
【0023】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該方法は、(弁支持構造体よりも当該装置のオペレータに近い)位置から弁まで、弁支持構造体の一部に流体を通すステップをさらに含み得る。
【0024】
本発明におけるさらに別の可能な態様によると、当該方法は、前記移動させるステップが弁の一部の覆いを取った後、放射状に弁支持構造体に向かって内側に前記弁の一部を引くステップをさらに含み得る。
【0025】
本発明のさらなる特徴、その性質、及び、種々の利点は、付随の図面及び以下の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による装置の一部における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図2】本発明による図1の装置における別の作動状態に対する図1に類似した図である。
【図3】ここでも、本発明による図1の装置におけるさらなる別の作動状態に対する図1に類似した図である。
【図4】本発明による装置における別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図5】ここでも、本発明による図1の装置におけるさらに別の作動状態に対する図1に類似した図である。
【図6】ここでも、本発明による図1の装置におけるさらに別の作動状態に対する図1に類似した図である。
【図7】本発明による装置における別の例証的な実施形態の一部に対する図1に類似した図である。
【図8】本発明による図7の装置における別の作動状態に対する図7に類似した図である。
【図9】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図10】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図11】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図12】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図13】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な等角図又は斜視図である。
【図14】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な等角図又は斜視図である。
【図15】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な等角図又は斜視図である。
【図16】本発明による装置におけるさらに別の例証的な実施形態の一部の概略的な立面図である。
【図17】本発明による図16の装置における別の作動状態に対する図16に類似した図である。
【図18】ここでも、図16の装置におけるさらに別の作動状態に対する図16に類似した図である。
【図19】本発明による装置の構成要素における例証的な実施形態の、図20から直角をなして描かれた、概略的な正面図である。
【図20】本発明による装置の構成要素における例証的な実施形態の、図19から直角をなして描かれた、概略的な立面図である。
【図21】図19及び20に示された構成要素の概略的な等角図又は斜視図である。
【図22】本発明による図19〜21に示された構成要素における別の実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図23】本発明による装置の別の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図24】本発明による図23の構成要素における別の実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図25】本発明による装置の他の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図26】本発明による装置の他の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図27】本発明による装置の一部における例証的な実施形態の、部分的に断面化された概略的な立面図である。
【図28】本発明による装置の一部における例証的な実施形態の概略的な透視図又は等角図である。
【図29】本発明による装置の一部における例証的な実施形態の概略的な正面図である。
【図30】本発明による別の例証的な実施形態に対する図29に類似した図である。
【図31】本発明による装置の例証的な実施形態の一部における概略的な等角図又は斜視図である。
【図32】本発明による装置の例証的な実施形態の他の部分における概略的な等角図又は斜視図である。
【図33】本発明による装置の例証的な実施形態の一部における概略的な立面図である。
【図34】本発明による装置の例証的な実施形態の他の部分における概略的な立面図である。
【図35】本発明による装置の別の例証的な実施形態の一部における概略的な立面図である。
【図36】図35からのいくつかのサブアセンブリーにおける概略的な立面図である。
【図37】本発明の特定の可能な態様をさらに例示している概略的で部分的な断面図である。
【図38】本発明の特定の可能な態様をさらに例示している、別の概略的で部分的な断面図である。
【図39】本発明による装置に含まれ得る構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図40】本発明による装置に含まれ得る別の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図41】本発明による装置に含まれ得る別の構成要素における例証的な実施形態の概略的な等角図又は斜視図である。
【図42】本発明による装置の例証的な実施形態における概略的な等角図又は斜視図であり、当該装置の別の可能な特徴を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明が使用することができる弁の例は、全内容を本出願において援用する、2007年9月28日に出願したBraido等による米国特許出願第11/906,133号に示されている。そのような弁は、一般的に、(例えば、金属又は他の適切な材料等の)比較的堅いフレーム、及び、そのフレームに取り付けられる(例えば、織物又は他の適切な材料等の)可撓性のあるリーフレットを含む。そのような弁は、(例えば緩衝のための)さらなる織物の層、及び、(例えば、織物が内に延びるのを容易にするために)布地の層等、他の構成要素も含み得る。本発明の一部を形成する図は、描かれた弁のフレームに集中し、リーフレット、他の織物及び/若しくは布地の層、縫合糸等、他の弁の構成要素を省くか又は大変簡略化する傾向がある。これは、図を簡略化する、及び、弁が本発明の構造体の特徴を不明瞭にする度合を減らすために行われる。しかし、本明細書において弁のフレームが示された場合はいつでも、完全な人工弁の他の全ての構成要素が、上記の理由により(全く又は完全には)たとえ描かれていなくても、フレームと共に存在することも理解されたい。
【0028】
本発明は、本明細書において、主に人工大動脈弁の状況で示され記述される。本発明は、心臓における他の弁のための装具にも適用することができると理解されるはずである。本発明は、本明細書において、取り替え(人工)大動脈弁を患者の心臓の頂(下の先端部)の左心室を介して患者の心臓に導入する状況で言及される場合がある。そのような頂端のアクセスポイントから、弁は、患者の本来の大動脈弁の弁輪の周辺まで上方向に動かされ、取り替え心臓弁は、送達装置から解き放たれ、その結果、患者に移植される。(「上方向」という単語及び他の類似の用語は、当然ながら、患者は心臓弁取り替え処置中起立してはいないけれども、まるで患者が起立しているかのように使用される)。この(例証的な)移植部位には、(例えば、経皮経管、経皮経大動脈、経皮経大腿、又は、上行大動脈又は下行大動脈の長手方向に沿ったいかなる切開も使用する)他の方法で近づくことができるということを理解されるはずである。
【0029】
本発明の送達装置及び方法は、人工心臓弁が送達され且つ種々の方法で解放されるのを可能にする。例えば、送達装置の構造は、取り替え心臓弁の種々の部分が、他の部分が解放される前に解放されるのを可能にし、さらに、送達装置は、弁の種々の部分が解放される順が状況によって変わることを可能にする。全ての場合において、近位という単語は、当該装置のオペレータ(医師)により近い弁の一部又は弁送達装置の一部を意味するよう使用される。遠位という単語は、オペレータからより離れた弁又は装置の一部を意味するよう使用される。送達装置は、弁の遠位部分が、弁の近位部分が解放される前又は後に装置から解放されるのを可能にする。また、送達装置における弁の向きは、状況によって異なり得る。一部の場合において、弁が移植された場合に患者の血流において上流にある弁の部分を、送達装置の近位に位置づけることができる。他の場合において、弁が移植された場合に患者の血流において下流にある弁の部分を、送達装置の近位に位置づけることができる。前述の選択肢における種々の組合せが可能であるため、例えば、送達装置から解放される弁の一部は、第一に、(1)近位及び下流、(2)遠位及び下流、(3)近位及び上流、又は(4)遠位及び上流であり得る。
【0030】
図1は、本発明による人工弁送達装置100の遠位部分の例証となる実施形態を示している。図1は、展開前の人工大動脈心臓弁10を含有する装置100を示している。装置100の外側にあり空洞で管状の外筒100a−bが、実際は不透明であり得るけれども、まるで実質的に透明であるかのように示されているため、弁10は装置100内で可視である。送達装置100の遠位部分のみが図1に示されている。装置100は近位方向(図1で見られるように下側及び左)に続き、最終的には、図1で可視の装置の遠位部分を(遠隔)制御するようオペレータ(医師)によって使用され得るオペレータ制御手段まで延びることが理解されるはずである。いくつか異なる経路のいずれをとっても、装置100の遠位部分が一般的に患者の体内に入るという事実からみれば、近位の制御手段は、オペレータによって操作され得る患者の体外に残る傾向がある。
【0031】
弁10の主要な構成要素は、比較的堅いフレーム20及び可撓性のリーフレット30である。弁10は送達装置100の内側にあるため、弁10は、その未展開で、外周が比較的小さい(折りたたまれた)状態で示されている。フレーム20は、3つの主な部分:(1)上流(血液流入側)の空洞管状部分20a、(2)下流(血液流出側)の空洞管状部分20c、及び、(3)上流部分20aと下流部分20cとの間を延びて接続する、軸方向に延びる支柱20bの管状アレイを含む。装置100から解放されると、上流部分20aは、患者の本来の大動脈弁輪の付近で環状になって広がり、そこで患者の本来の組織に係合する。同様に、装置100から解放されると、下流部分20cは、ヴァルサルヴァ洞から患者の大動脈の下流で環状になって広がり、その大動脈の組織に係合する。さらに、弁10が装置100から解放されると、支柱20bは患者のヴァルサルヴァ洞を通り抜けるため、これらの支柱は、フレームのその他の部分20a及び20cと連結し続ける。
【0032】
弁10の可撓性リーフレット30は、少なくとも第一にそのフレーム部分の内側にあるように、上流のフレーム部分20aに取り付けられる。
【0033】
送達装置100は、最も中央にあるシャフトを含む(図1では可視ではないが、内部シャフト120と同軸で、内部シャフトに対して軸方向に動かせる(参照番号132にてこの最も中央にあるシャフトが部分的に可視である図5を参照))。非外傷性先端部130は、この最も中央にあるシャフトの遠位端上にしっかりと装備される。所望であれば、送達装置100は、前もって患者に導入されたガイドワイヤに沿って患者内にはめ込み可能であり得る。この目的のため、先端部130は、先端部を通して軸上の孔を有することができ、他の上流構成要素は、同様に空洞であり得るか、又は、内腔が提供され得る。例えば、先端部130の通り孔は、装置の近位端にて現れるまで近位方向に延び得る最も中央にあるシャフト132を通る空洞内腔と接触することができる。
【0034】
装置100の分離する外筒の遠位部分110bは、先端部130にしっかりと取り付けられ、そこから外筒分離又は分離線110cまで近位方向に延びる。特に、分離線110cは環状であり、弁フレーム20の支柱部分20bの付近に位置づけられる。分離線110cは、遠位外筒部分110bの近位端が近位外筒部分110aの遠位端に接し、これら2つの外筒部分が所望であれば引き離され得る位置にある。これら2つの外筒部分110a及び110bの隣接する末端は、初めに分離線110cにて互いに接することができるか、又は、初めに分離線110cの付近にて軸方向に互いに重なり合うことができる。(本明細書において使用されている場合、軸方向等という用語は、装置100の縦軸に平行であることを意味している)。前記のことから、最も内部のシャフト132が軸方向に動かれる場合に、シャフト132のサブアセンブリー全体、外筒部分110b、及び、先端部130が1つのユニットとして共に動くことがわかるはずである。
【0035】
先端部130が装備される(図1では図示されていない)最も中央にあるシャフト132を環状になって取り巻いているのは、別の軸方向に延びる縦シャフト120である。シャフト120は、前述の最も中央にあるシャフトに対して軸方向に動かすことができる。環状のプランジャー140は、シャフト120の遠位端上にしっかり装備される。プランジャー140は、(1)比較的大きな外径を有した遠位片140a;(2)近位片140cであって、そのプランジャーの切片の周りを環状の方向に進むに従い、比較的大きいサイズと比較的小さいサイズとが交互に切り替わる外径を有する近位片140c;及び、(3)比較的小さい外径を有した中間片を含む。前述の比較的大きい外径は、外筒110bの内側にある比較的小さい隙間のみ有して適合する。前述の比較的小さい外径は、そのような比較的小さい外径を有したプランジャー表面と外筒110bの内表面との間の弁フレーム20の厚さを容易に受け入れるのに十分な程小さい。中間部分140bは、比較的ぴったりと弁フレーム20の遠位部分20cの軸方向長さを受けるのに十分な程軸方向に長い。同様に、弁フレーム20の支柱20bは、プランジャー140の近位部分140cにおける小さくなった外径の領域を軸方向に通り抜けることができる。
【0036】
上記の記載から、プランジャー140の中間部分140bの外表面と遠位外筒部分110bの内表面との間で、弁フレーム20の遠位部分20cが放射状に捕獲されること、及び、プランジャー140の遠位部分140aとプランジャーの近位部分140cのうち比較的大きい外径部分との間で弁フレーム20の遠位部分20cが軸方向に捕獲されることを正しく理解されるであろう。近位プランジャー部分140cをその近位部分の比較的大きい外径の領域の間で通り抜ける支柱20bの結果として、プランジャー140に対する弁フレーム20の回転保証さえ存在する。
【0037】
弁10の近位にあるのは、シャフト120にしっかりと装備され、そのシャフトの周りで同軸(環状)の別のプランジャー150である。近位プランジャー150は、比較的大きい外径を有しており、比較的小さい隙間を有して近位外筒部分110a内に適合する。
【0038】
図1に示されている構造体は、いかなる所望の程度の横可撓性(横剛性の反対)でも組み立てることができる。(横可撓性は、構造体100の、その縦軸に対して横向きにそる(曲がる)能力を意味している)。例えば、送達装置100が、患者への弁10の経皮送達を意図している場合、装置100は、患者内の曲がった血管通路の内側に沿って進み、弁10の所望の移植部位まで到達することができるように、比較的高い程度の横可撓性を有するよう要求され得る。一方、装置100が、患者への弁10の経心尖部送達に使用するよう意図される場合、経皮的使用に対して最良の剛性よりもいくぶん横に剛性であるのが装置100にとって望ましい場合がある。
【0039】
図2は、患者内の弁10を展開し始めるためにどのようにして図1の装置を操作することができるかということの1つの例を示している。この例において、弁10が患者の意図された移植部位にあると、近位外筒110aは、図2の残りのもの全てに対して近位方向に引き戻される。これは、弁10の近位部分をあらわにし始める。しかし、弁10の遠位部分は、送達装置100の遠位部分によってしっかり保たれたまま残る。この送達装置100の操作は、(図3及び4に示されているように)弁10の近位部分全体があらわになるまで続けることができる。図3は、この結果を簡略化された形態で示しており、結果として生ずる弁10の近位部分における放射状の拡大の描写は省いている。しかし、図4は、近位外筒110aによる抑制からの解放の結果として外側に向かって放射状に拡大している、弁10の近位部分20aを示している。(本明細書において描写及び/又は記述されている弁の拡大のうち全てが、弁フレーム20のはね返り及び/又は形状記憶的拡大によるものであり得る。形状記憶的拡大は、弁フレーム20が曝露されている外気温を制御することによって部分的に制御することができる)。
【0040】
図5は、(図3及び4に示された状態が達成された後の)さらなる弁10の展開を示している。(ここでも、図5は、弁10の近位部分における放射状の拡大を示さないことによって簡略化されている)。図5では、シャフト120に対して(先端部130が装備されている)シャフト132を遠位方向に押すことによって、先端部130は図中の他の構造体に対して遠位方向に押される。(シャフト132は前に記述しているが、図5より前の図では可視ではなかった)。先端部130が遠位方向に移動するに従い、遠位外筒部分110bを共に運び、その結果、弁10の遠位部分をあらわにし始め、遠位弁部分は、(少なくとも初めのうちは)遠位外筒部分110bの内側のプランジャー140によってしっかりと保持され続ける。
【0041】
図6は、遠位外筒部分110bが完全に弁10の遠位端を超えて移動し、弁が、従って、完全にあらわにされ、患者内で展開された後の図5の装置の状態を示している(ただし、ここでも、このステージで、弁10が周囲の患者本来の体組織に係合するよう長手方向にそって環状になって拡大され、その結果、患者の所望の移植部位にて弁を固定するという事実を図6は省いている)。次に、弁10が患者内で環状になって拡大し展開した後、弁送達装置100は、患者から抜き取ることができる。そのような引き抜きを容易にするために、近位外筒部分110aを、弁のリーフレット構造体30に通して他の構成要素に対して遠位方向に押すことができる。遠位先端部130及び遠位外筒部分110bを、次に、外筒110bの近位端が外筒110aの遠位端に接触するまで(又は、他の実施形態であるように、遠位外筒部分110bが近位外筒部分110aの内側にくるまで)他の構成要素に対して近位方向に引っ張ることができ、その結果、ここでも、送達装置100に滑らかな外表面を与えている。これによって、リーフレット30を損なうことなく展開された弁10を通った近位方向への装置100の引き抜きが容易になる。
【0042】
図7は、前に記述した実施形態からの2つの可能な変形を示している。(前の実施形態からいくつか変形があるけれども、一般参照番号100が送達装置に対して使用され続ける)。これらの可能な変形のうちの1つは、近位端保持装置150を使用するため、弁10の近位端をそこに載せることができ、その結果、折りたたまれた弁の内径を制御することができるということである。他の可能な変形は、分離110cが弁10の近位にあるように、近位外筒部分110aと遠位外筒部分110bとの間の分離110cを再配置することである。弁は、次に、図8に示されているような最終位置まで遠位外筒部分110bを遠位方向に動かすことによって単独で展開される。言い換えると、(初めは完全に弁10を覆っていた)遠位外筒部分110bを遠位方向に動かすことによって、患者内での展開のために弁の覆いが完全に取られる。(図8は、ここでも、外筒110bを動かして弁をあらわにすることに続く弁10の環状拡大の描写を省いている)。
【0043】
図1乃至6に示されているような実施形態に戻ると、図9は、別の可能な使用を示している。この別の使用は、第一に遠位部分20cの展開である。これは、外筒部分110aを近位方向に移動させる前に、要素130、132、及び、110bを他の構成要素に対して遠位方向に移動させることによって達成される。これは、図9において示されている装置の状態であり、その図が示しているように、近位部分20aは依然として近位外筒部分110a内に閉じこめられているけれども、弁10の遠位部分20cを解放して環状に拡大している。図9で示されている状態の後には、外筒部分110aを近位方向に移動させ、弁10の近位部分20aをあわらにして展開する(すなわち、その環状拡大を可能にする)ことが続く。
【0044】
図10は、外筒110が2つの軸方向に異なる部分に分離されないさらに別の手段を示している。代わりに、図10では、1つの外筒110が遠位先端部130までずっと延びている。しかし、弁20が患者の所望の位置にある場合に、外筒110は遠位先端部130から近位方向に引き戻すことができる。図10は、そのような外筒110の近位方向への引っ込みの始まりを示している。これによって、第一に、弁20遠位端があらわになる(及び、展開される)。
【0045】
図11及び12は、軸方向に分離する外筒110の110a及び110bの部分が一緒になり得るいくつか可能な方法を示している。図11では、110aの部分の遠位部分がわずかに拡大されるため、110bの部分の近位部分における外側の周囲に適合することができる。図12に示されている別の手段において、この配置は逆にされている。特に、図12では、110bの部分の近位部分がわずかに拡大されるため、110aの部分の遠位部分における外側の周囲に適合することができる。同じサイズの110a及び110bの部分の末端を有するため、それらは(図11及び12でそうしているように)重なり合うことはなく単に互いに接する等、他の変形が可能である。
【0046】
図13は、孔152が軸方向に貫いて延びている近位端保持装置150の可能な構造を示している。これらの孔は、送達装置の近位部分から、保持装置150を抜けて、弁20に到達するまで流体を通過させることができる。例えば、そのような流体は、弁を冷却するか又は温めて、(例えば、弁10のフレーム20がニチノールのような材料から作製される場合にそのフレームの形状記憶特性を使用して)弁が制御された様式で患者内に展開するのに寄与するよう制御される温度を有することができる。
【0047】
図14は、遠位端保持器140の拡大したものであり、その可能な構造をおそらくより明確に見ることができる。
【0048】
図15は、「バンパー」140’又は150’が弁10のフレーム20における各軸の末端に隣接してシャフト120上に装備されている別の設計を示している。各バンパーは、当該装置の縦軸に垂直した、そのバンパーに隣接した弁フレーム20の軸の末端に向かって面した表面を有している。これらのバンパーの面は、送達装置の所望の軸位置に置かれた弁10を、外筒部分110a及び110bの軸方向の移動の結果としてその弁があらわにされ、従って、環状になって拡大することができるまで保つ。弁10とは反対の方向を向いているバンパー140’又は150’の表面は、示されているように円錐形であることが好ましい。これは、患者からの送達装置の引き抜きを容易にするよう装置100の滑らかな外側が再度所望される場合に、外筒部分110a及び110bが、弁の展開後、再度一緒になることに寄与する。
【0049】
図16乃至18は、送達装置100の別の可能な構造を例示している。この構造において、近位外筒部分110aは、初めに、遠位先端部130までずっと遠位方向に延びている。外筒部分110aの遠位部分の内側で、遠位外筒部分110bは、遠位先端部130から初めに弁10を完全に覆うまで近位方向に延びている(すなわち、プランジャー150の遠位部分といくらか重なって終わっている)。弁10は、第一に、図17に示されているように、外筒110aをその遠位端がプランジャー150に隣接するように近位方向に引き戻すことによって展開される。しかし、弁は依然として完全に外筒110bの内側にあるため、弁のうちまだ展開される部分はない。次に、図18に示されているように、遠位先端部130及び外筒110bを遠位方向に押して、弁10をあらわにし始めることができる。この弁の露出は、(図18で示されているように)近位端で始まり、次に、弁が完全にあらわにされ展開されるまで続く。(ここでも、図18は、弁があらわにされると生ずる弁10の環状拡大の描写を省いている)。
【0050】
図16乃至18に示されているものの可能な変形は、近位外筒110aが遠位外筒110bの近位端を越して引っ込められた場合に弁の近位端が展開し始めるよう遠位外筒110bを短くすることである。
【0051】
図19乃至21は、近位保持装置150の例証となる実施形態の図をいくつか示している。図22は、保持装置の(図16乃至18で使用された実施形態のような)別の実施形態を示している。図23は、遠位保持装置140の例証となる実施形態を示している。図24は、展開されたか又は部分的に展開された後に弁10が再度折りたたまれるのを可能にする(例えば、弁の再配置又は再除去を可能にする)送達装置100の実施形態において使用できる放射状に延びる孔142の環状のアレイを含んだ遠位保持装置140の別の実施形態を示している。このような送達装置の特徴は、本明細書において後により詳細に記述される。
【0052】
図25は、上記のバンパー140’/150’のうち典型的なバンパーの例証となる実施形態の別の図である。
【0053】
図26は、遠位先端部材130の例証となる実施形態の別の図である。
【0054】
図27は、図7及び8に示されているような実施形態の縦断面図である。
【0055】
図28は、弁が患者内で少なくとも部分的に展開された後だが送達装置から最終的に解放される前に弁が患者内に再配置されるか又は患者から取り除かれるのを可能にするといったような目的のために、弁10を再度折りたたむことを容易にするための本発明の特定の可能な態様による構造体の例証となる実施形態を示している。図28は、弁10の遠位部分20cのみを示している(弁のその他の部分は明瞭性を得るため省かれている)。図28(また、図29)に示されているように、可撓性で再度折りたたむ材料の3つのストランド210a−cが、弁10のフレーム(ステント)の遠位部分20cに突き通されている。例えば、図29は、これらのストランド210のそれぞれが、遠位部分20cの環状部のうち3つの異なる弓状片のそれぞれ1つに突き通されていることをより明瞭に示している。ストランド210を突き通すために、(図28において可視の)アイレットを部分20c内に提供することができる。各ストランドは、部分20cの周りを環状の方向に進むに従い部分20cの内部から交互に出たり入ったりして縫うように進められるか又は曲がりくねった軌道に沿って進むことができる。部分20cから延びる各ストランド210の末端は、図24に示されているように、送達システム構造体120に取り付けられた遠位保持装置140の側壁を通り抜ける放射状の孔142を介して構造体120の内腔に入る。前述の内腔の内側に入ると、これらのストランドの末端は、患者の体外からの送達装置のオペレータによる制御の影響をうけやすくなる所まで内腔に沿って近位の方向に延びる。前記(図24の142のような)孔は、ストランド210を部分20cに突き通すのとほぼ同じ面(実質的には送達装置の縦軸に垂直)にあることが好ましい。この方法で、ストランド210の末端が近位方向(送達装置の縦軸と平行)に引き抜かれると、前述の(142のような)孔は、ストランドにおける張力を部分20cに対する放射状に内部へ向かう力に変える。これらの力は放射状であるため、引き込みにおける最も優れた能率を部分20cに対して有し、その結果、(例えば要素140の外表面に対して)その部分を再度折りたたむ。そのような放射状の内側へと向かう力は、また、いかなる再度折りたたむ動作の間にも弁10の軸上の移動を回避する傾向があるため好ましい。
【0056】
ストランド210の数、及び/又は、ストランド210が部分20cに取り付けられるパターンは、図28及び29に示されているものとは異なり得る。例えば、図30は、3つのストランド210よりもかなり多くのストランドの使用を示しており、図30は、部分20cへの取り付けのポイントを基本的に1つだけ各ストランドが有していることも示している。そのような取り付けのポイントそれぞれが(142のような)孔から放射状に出ていることが好ましく、その孔を介して関連するストランド210は構造体120/140の内側の内腔に入り、各取り付けのポイント及び関連する(142のような)孔は、送達装置の縦軸に対して実質的に垂直であることが好ましい関連する半径上にある。
【0057】
弁10が患者内で部分的に展開された後、弁の位置が所望されたように(例えば蛍光顕微鏡で)見えない場合、ストランド210の近位末端を引っ張ることによって弁を送達装置上に再度折りたたむことができる。次に、(患者から送達装置を引き抜くことによって)弁を患者から取り除くか、又は、患者内に弁を再配置することが(そのような再配置を生じるよう送達装置を操作することによって)できる。そのような弁の除去又は再配置は、ここでも、弁の外側の周りにある1又は複数の外筒構造体110a及び/又は110bを閉じることも含み得る。弁の再配置が目的であると仮定すると、弁が新たな位置にある場合、ストランド210に対する張力を解放することによって再度拡張させることができ、外筒110a及び/又は110bが弁の周りで再度閉じられていた場合、その外筒構造体を再度開ける。弁が最終的に満足のいくように患者内に置かれた場合、各ストランド210の1つの近位末端をそのストランドのもう一方の末端がオペレータ制御側にて送達システムから出るまで近位方向に引っ張ることによって、弁を最終的に送達装置から解放することができる。
【0058】
上記の弁の回収/再配置構造は、弁のうち部分20cに適用するよう示されているけれども、あるいは、又は、さらに、20a等の他の弁の部分に適用することができるということが理解されるはずである。
【0059】
ストランド210は、いかなる適した、十分に強く、十分に可撓性で、且つ、十分に細い材料及び構造体からも作製することができる。その例は、(例えばニチノールの)ワイヤ、縫合糸、又は、ナイロンの糸等である。120/140のような構造体の側壁にストランド210を通すための(142のような)孔の数及び配置は、使用されるストランドの数及び配置に対して適切であり得る。
【0060】
以下は、送達装置100の近位部分(常に患者の体外であるオペレータ制御)の、特に図31乃至36を参考にした例証となる実施形態の説明である。
【0061】
要素110a−bは、ここでも、送達装置の主要な外側のシャフトであり、部分110aは近位外筒である。この構造は流体の導入を容易にすることができ、この構造を利用して、(例えば空気等の)気泡が患者の循環系内に導入されないように送達装置に準備措置を施すことができる。要素110a−bは、システム内に詰め込まれた時間から患者内に移植されるまで弁を水和したまま保つ塩水を収容する容器としても使用することができる。構造体110aは、クリンプされた弁の近位末端を制御/収容する近位外筒としても機能することができる。
【0062】
要素320は、(1)流体が漏れるのを防ぐ、(2)シャフト120が通り抜けるのを可能にする、及び、(3)マニホールド370への接続を可能にするエンドキャップである。
【0063】
シャフト又は導管120は、クリンプされた弁の展開及び回収に対する軸上移動を制御する。構造体120は、出入口360aを介する流体の導入を容易にし、送達装置を洗い流す及び送達装置に準備措置を施すことに寄与する。
【0064】
ハブ340は、シャフト120で取り付けられる/シャフト120と統合され、マニホールド360を接続するためのスタンダードなルアー接続を有する。
【0065】
内腔132は、それだけに限らないが、ガイドワイヤ、塞栓保護装置、移植部位を予め拡張するためのバルーン、流体等の補助装置の導入を可能にするハイポチューブ又はいかなる他の導管でもあり得る。また、シャフト132は、遠位外筒110bを遠位方向に移動させてクリンプされた弁の遠位端を解放する手段である。図35は、(図32乃至34に示されている成形されたハンドル134の代わりに)内腔132の近位端に取り付けられる弁コネクタ390を有した別の手段を示している。図36は、(ここでも成形されたハンドル134の代わりに)マニホールドコネクタ390等を内腔132の近位端に取り付けることができるさらに別の手段を示している。図36の実施形態は、内腔132の近位端内に貫通出入口(through port)を提供することができ、それによって、(例えば、送達装置100は患者のしかるべき所にあるままで)前述したタイプの流体及び他の装置(例えば、ガイドワイヤ、塞栓保護装置、移植部位を予め拡張するためのバルーン等)を入れて、送達装置の全長を通過させることができる。
【0066】
マニホールド360は、ノブ380(近位に存在)が時計回りに回された場合にシャフト132上で密封を形成する液密弁制御として機能する。ロックされる(締められる)と、シャフト132は動かすことができない。レバー390(近位に存在)は、内腔120内への流体入口の開閉を制御する。流体は、(例えば注射器等の)補助装置取り付けのためのスタンダードなルアーを有したこの入口から導入される。
【0067】
マニホールド370は、ノブ380(遠位に存在)が時計回りに回された場合にシャフト120上で密封を形成する液密弁制御として機能する。ロックされる(締められる)と、シャフト120は動かすことができない。レバー390(遠位に存在)は、内腔110内への流体入口の開閉を制御する。
【0068】
ノブ380(どちらにも存在)は、流体を流出させるが、そこを通り抜けるシャフトの自由な動きも可能にする。これらのノブが閉められた場合、関連するシャフトをそのしかるべき位置でロックし、流体の漏れを防ぐ。ノブは、重大な流体の漏れを生じることなく、関連するシャフトの相対的移動を可能にするように十分に開けることができる。
【0069】
弁のレバー390(どちらにも存在)を、流体の導入を可能にするために開けることができる。閉められると、レバーは流体の導入又は漏れを防ぐ。
【0070】
前記のものは、(患者内に移植された後に弁を通る血流という点で)弁の下流部分20cになるものが送達装置の遠位端に向けられるように送達装置100内で方向づけられた弁10を示す傾向があるけれども、この弁の向きは、所望であれば、逆にすることができるということが理解されるはずである。本明細書において全般的に示されている弁の向きは、例えば、順行性の方法(すなわち、血流方向に挿入された送達装置100)を介して大動脈弁を移植するために適している。そのような順行性送達の例は、いわゆる心臓の頂(例えば、左心室の底付近)での切開、及び、弁を送達装置から展開することができその結果患者内に移植することができる、弁が患者の本来の大動脈弁輪に隣接して配置されるまでの送達装置100の遠位部分の左心室を抜けた通路を介した送達装置100の挿入である。(これは、経心尖部法と呼ばれる場合がある)。弁の典型的な最終配置は、弁フレーム部分20aのうち極度に低い部分が下に向かって漏斗状に開いて本来の弁輪に対してひっかかり、フレーム部分20aのうちより遠位な部分が本来の弁輪をぴったりと通り抜け、支柱20bが本来のヴァルサルヴァ洞を通り抜け、弁フレーム部分20cがヴァルサルヴァ洞から本来の大動脈下流にきつくひっかかるものである。
【0071】
しかしあるいは前述のように、送達装置における弁10の向きは逆にすることができ、従って、逆行性の方向(すなわち、血流の反対方向)で移植部位に近づけることができる。例えば、送達装置の遠位部分は、患者の大動脈を通り抜けた後、患者内の移植部位(例えば、本来の大動脈弁の位置)に到達することができる。アクセスは、大動脈の側壁における切開を介して、又は、大動脈まで導く患者の循環系におけるより離れた位置からのもの(いわゆる、経皮又は経腔的送達)であり得る。患者内での弁の究極の最終配置は、ちょうど記述したものと同じであり得る。本発明の送達装置は、どんな順が所望されても弁の異なる部分がその順で解放されることを可能にし、その順は、順行性又は逆行性の方法が使用されるかに応じて異なり得る。
【0072】
図37は、どのようにして140等の弁支持構造体を折りたたまれた弁10と協同させて折りたたまれた弁が弁及び送達装置の縦軸と平行に送達装置に対して動くことを実質的に防ぐように構築することができるかということに関して上記で主張した点をより詳細に例示している。図37は、例えば図1乃至10、14、16乃至18、23、24、27、及び、31で示されているような構造体を示している。特に、図37は、そのような構造体の遠位部分における簡略化された部分的な断面図を示している。図37は、折りたたまれた弁10のフレームの遠位部分20cが、送達装置の弁支持構造体における遠位保持装置140部分の外表面の凹部に配置されていることを示している。参考のため、弁10及び送達装置100の幾何学的な縦軸が101で示されている。(図37は、図37に示されているものの外周に存在し得る外筒又はスリーブ構造体110の描写を省いている)。
【0073】
前述の弁支持構造体140内の凹部に配置された弁フレーム20の部分は、第1及び第2の表面部分21a及び21bを有しており、前記第1及び第2の表面部分21a及び21bは、軸101に沿ったそれぞれ反対の第1及び第2の方向に面している。弁支持構造体140(特に、前述の凹部)は、それぞれ第2及び第1方向に面している第3及び第4の表面部分141a及び141bを有している。第1及び第3の表面部分21aと141aは、互いに隣接して向き合うように置かれている。同様に、第2及び第4の表面部分21bと141bは、互いに隣接して向き合うように置かれている。これらの表面21a/b及び141a/b間の関係は、弁を弁支持構造体の周りに折りたたまれた状態で配置しながら、軸101に沿った弁10と弁支持構造体140との相対的移動を実質的に防ぐ。例えば、この確実な弁の保持は、患者の所望する箇所に弁を置くことができるということを意味し、従って、110a/bのようないかなる外筒又はスリーブ構造体も、患者内の所望の弁の位置を妨害することなく弁及び弁支持構造体に対して動かすことができる。これは、取り囲む外筒に対して外側に押すよう弁フレームを弾性的に偏らせる場合に特に重要であり得る。弁支持体に対して外筒が移動される場合に、弁をその支持構造体に対して確実に配置することなく、弁を外筒と共に引っ張ることができる。これは、患者の弁の位置を妨害する恐れがあり、及び/又は、外筒から弁を抜き出すことを困難にし得る。
【0074】
図38は、図15に示されているような実施形態に対して(図37に関して上記で主張されたのと)同じ点を提示している。従って、図38は、弁10のフレーム20が、弁支持構造体の遠位バンパー140’と近位バンパー150’との間にある凹部内に受けられていることを示している。弁フレーム20は、第1及び第2の表面21a及び21bを有しており、前記第1及び第2の表面部分21a及び21bは、軸101に沿ったそれぞれ反対の第1及び第2の方向に面している。弁支持構造体120/140’/150’は、それぞれ第2及び第1方向に面している第3及び第4の表面部分141a及び151bを有している。第1及び第3の表面部分21aと141aは、互いに隣接して向き合うように置かれている。同様に、第2及び第4の表面部分21bと151bは、互いに隣接して向き合うように置かれている。これらの表面21a/b及び141a/151b間の関係は、弁を弁支持構造体の周りに折りたたまれた状態で配置しながら、軸101に沿った弁10と弁支持構造体120/140’/150’との相対的移動を実質的に防ぐ。例えば、この確実な弁の保持は、患者の所望する箇所に弁を置くことができるということを意味し、従って、110a/bのようないかなる外筒又はスリーブ構造体も、患者内の所望の弁の位置を妨害することなく弁及び弁支持構造体に対して動かすことができる。
【0075】
図37及び38によって強調されたタイプの本発明の可能な特徴を記述する別の方法は、弁支持構造体が、折りたたまれた弁のフレームが弁支持構造体上に配置されている管状幾何学的形状に少なくとも放射状に延びる要素を有していると述べることである。これらの要素は、折りたたまれた弁と弁支持構造体との相対的な軸上移動を確かに妨げその結果防ぐよう置かれている。弁支持構造体上のそのような外側に突き出る要素の特定の例は、要素140a、140c、140’、及び、150’の外側部分である。これらの要素は、弁が支持構造体に対して軸方向に移動しようとする場合に、軸方向に面する弁フレームの表面を接触させることによって、折りたたまれた弁を、送達装置の弁支持構造体上の固定された軸上位置にて保持するよう作動する。
【0076】
図39乃至41は、さらなる可能な本発明の特徴を例示している。これらの特徴は、弁支持構造体140を通して縦に延びる孔149であり、及び/又は、遠位端構造体130を通して縦に延び、使用に先立ち当該装置の脱気を容易にするよう使用することができる孔139である。例えば、当該装置は、そのような脱気の間、遠位端130を上にして垂直に保持することができる。生理食塩水を(例えば弁390等を介して)スリーブ110の底に導入することができる。塩水のレベルが当該装置内で上がるに従い、通気孔139を介して空気は外へ押しやられる。孔149は、下の支持体140からの空気及び塩水がその支持体を通り遠位端130に達することを確実にする。塩水が通気孔139から流れ出る場合、空気全てが当該装置から出されると知られている。(シャフト120内の全ての空気も通気孔139を介して当該装置から出るようにそのシャフトの下端に塩水を導入することを含む並行操作によって、シャフト120の内部を同様に脱気することができる)。
【0077】
図42は、本発明によるさらに別の可能な特徴を例示している。これは、シャフト132を、結合領域又は位置132aにおいてつなぐ(比較的容易に曲がる)ことができるようにしている。この結合位置132aは、いくぶん外筒部分110bの近位端より近位にあることが好ましい。これの目的は、遠位構造体130、110b、及び、シャフト132のうち結合部位132aを、これらの要素が大動脈弓内に遠位方向に押されて、患者の本来の大動脈弁環等の付近で弁を展開にさらす場合に、遠位方向に越す部分が横にそれて、患者の大動脈弓の湾曲に沿っていくぶん進むことを可能にすることである。これは、要素130等の遠位移動に対する抵抗を減らすことに寄与し、さもなければ、それらの要素による大動脈弓の接触が生じ得る。
【0078】
以下は、記述されてきた種々の態様を要約し且つ広げる。
【0079】
本発明は、折りたたみ可能/拡張可能な弁の送達システムに関し、当該送達システムは、最小侵襲外科的出入口アクセス又は経皮方法を介して、折りたたみ可能な弁を折りたたむ、保持する、維持する、移す、展開させる、解放する、及び、固定するのに寄与することができる。
【0080】
当該システムは、折りたたまれた弁の接近、送達、展開、拡張、及び、(所望であれば)回収を容易にするよう共に働くいくつかの構成要素を含む。当該送達システムは、送達装置の遠位端にて位置づけられた折りたたまれた弁の(他の機能に加えて)正確な展開を保持し容易にする細長いシャフト及び導管をいくつか有している。近位端では、いくつかのシャフト/導管が互いの上を/互いに相対して滑り、弁の前進、展開、流体送達、及び、再度の折りたたみを制御している。弁は、特別に設計された保持装置を利用する中間シャフト上に装備される。折りたたまれた弁は、2つの管状外筒を介してその折りたたまれた状態で保持される。その2つの外筒は、連帯して弁全体を覆い、含み、且つ、保護する。2つの外筒は、弁の近位端又は遠位端を第一に展開することにおける順応性をオペレータに与える方法で動く。一部の実施形態は、1つの外筒のみを使用する。
【0081】
本発明は、順行性又は逆行性の方法を使用して、取替え人工弁を移植することにおける順応性を可能にする。当該システムは、送達装置の近位端にあるマニホールドポートを遠位端(先端部)にある開口部又は出入口に接続する多数の内腔を有する。これらの内腔は、(温度が調節された塩水、造影剤等の)流体の送達、及び、塞栓保護装置、弁形成術のためのバルーンの展開等の種々の機能に利用することができる。
【0082】
当該送達システムは、送達装置は永久移植物ではないため、短期間のヒト相互作用に対して生物学的に適合性のあるものであると既知の材料から製造することができる。この装置は永久移植物(人工弁)に接触するため、材料選択が考慮される。
【0083】
製造ステップ
成形された、射出成形された、インサート成形された、機械加工された、引抜き加工された外科用グレードss管状材料及び他のパーツの組合せを使用して、送達装置を製造することができる。一貫した作用システムの組立てを容易にするために、(締まりばめ、接着、溶接、タブ、スロット、熱接着等の)機械的、熱的、又は、化学的接着といった種々の手段を使用して、装置の構成要素をはめ込むことができる。
【0084】
作動ステップ
当該送達装置は、上記の方法のうちいずれからでも導入することができる。十分な軸上及び放射状の位置決めが達成されると、展開手順が始まる。弁は、近位端から先又は遠位端から先に展開することができる。大動脈弁の場合では(弁の設計及び/又は幾何学に応じて)、漏斗状に開かせるために、弁の近位端を第一に展開することが好ましい。そうすることで、抵抗が感じられるまで、送達装置をわずかに前に進めることができる。オペレータに対するこの触覚フィードバックは、弁の端が本来の弁のほぼ環状の端であるため、最適な軸上配列が達成されたことのしるしである。弁の軸上の位置を維持するよう送達装置に対する前方へのわずかな圧力を維持しながら、遠位外筒を前方に進めることによって遠位端をここで展開することができる。近位及び/又は遠位端が展開している間、感温ニチノール弁フレームの緩やかな制御された展開を容易にするよう温度が調節された塩水を注入することができる。これは、移植部位にて切開又は他のダメージを引き起こし得るため望まれていない場合がある弁の突然の「スナップオープン」を防ぐことができる。塩水の温度は、最終的に体温に達するまで緩やかに上げることができる。これは、弁がその完全に拡張した最適な幾何学まで拡張するのを可能にする。
【0085】
弁が部分的又は完全に展開されるが完全には解放されていない間、所望であれば、再配置又は完全な回収のために弁を回復させることが可能である。弁フレームの特別に設計されたアイレットは、弁の再度の折りたたみを制御することができるように取り付けられた、細いニチノールワイヤ、釣糸、ステンレス綱線材等の適切な材料から作製された部材の使用を容易にすることができる。再度折りたたまれると、弁を再配置又は完全に回収することができる。
【0086】
送達システムは、耐久性があり能率的な弁の設計に基づいて設計されることが好ましく、従って、弁の長期の移植における性能要求のうちいずれも妥協しない。送達システムは、オペレータに順応性、及び、選んだ方法、患者の解剖学的構造、及び、疾患の状態に、他の重要な考慮に加えて、基づき弁の展開を制御する自由を与えることが好ましい。当該システムは、弁をより容易に送達及び回収させ、手順を首尾良く完全にするために使用することができる捕捉の現存する補助装置を受け入れる所望の機能をいくつか提供することが好ましい。
【0087】
この送達装置の設計は、大腿部からのアクセス、経心尖部のアクセス、経中隔のアクセス、又は、上行大動脈における直接スモールポートのアクセスに使用することができる。好ましい送達システムの設計を用いて、心臓の弁(大動脈弁、憎帽弁、肺動脈弁、及び、三尖弁)のうちいずれに対するアクセスも、欠陥のある本来の弁の修復及び/又は取替えという目的のために達成することができる。
【0088】
以下は、本発明における種々の可能な特徴の要約である。
−折りたたみ可能/拡張可能な弁を折りたたむ、維持する、送達する、展開する、再配置する、及び、(所望であれば)回収するための薄型送達システム。
−送達方法(逆行性又は順行性)に対して送達システムを微調整することができる。
−蛍光透視又は他の可視化システム下での弁及び送達システムの遠位端の案内並びに可視化のために、放射線不透過性マーカーを戦略的に重要な領域、及び、弁の周りに置くことができる。
−再配置又は回収のために完全に回復させる場合に、弁を完全に展開するが解放しない能力が所望される。
−ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、塞栓保護装置、流体送達(フラッシング又は可視化)等の補助装置を使用することによって処置上の支持を促進するための多数の内腔の能力を有した送達システム。
−以下のように互いに対して移動するいくつかのシャフト/内腔:(1)外側のシャフト:弁を覆い、折りたたみ、さらに、解放する;弁の周りに流体を流すための導管を生じる。(2)中間シャフト:外側及び内側のシャフトに対してクリンプされた弁を進める、及び、引っ込める。(3)内側のシャフト:弁の遠位端の展開のために遠位の外筒を進める;流体送達のための導管だけでなく、ワイヤ上での前進を可能にする内腔も有している。
−外筒及び保持装置を使用して弁は所定の位置に固定される。保持装置は、中間シャフトに装備され、弁と共に移動する。外筒は、クリンプされた弁上を移動する。
−弁の保持/折りたたみ機構として機能する移動可能な外筒。折りたたまれた状態で弁を維持及び保護することもできる。温度が調節された塩水等の流体のための導管の外縁を生じる。
−独特な分離外筒設計(近位及び遠位の外筒の半分)。遠位の半分は先端部に取り付けられ、近位端にて制御及び作動させられる細長いシャフトにも取り付けられる。この外筒を遠位方向に押すことによって、弁の遠位端が展開される。外筒の他の半分は、送達装置の残りに取り付けられ、弁に対して近位方向に移動し、弁の近位端を展開する。
−(例えば、本来の弁の交連と合わせて並べるため、及び、冠状動脈の閉塞を回避するために)正確な放射状の向きで展開することができるように送達システム内での弁の回転(角度)の向きを制御する機能。
−マニホールドコネクタに戻った内腔の出入口のうちいずれに対するアクセスも開け閉めする能力。
−送達装置のシャフトを適切な所で互いに相対してロックし、その適切な所でロックすることに加えて、導管をふさぐ能力。
−近位の弁保持装置:(1)近位の外筒を主要な送達装置の縦軸上の中央に置く。(2)送達装置の準備中及び温度が調節された塩水の適用中の流体の通過を可能にする。(3)前進している/引っ込んでいる要素を縁がじゃま/捕らえるのを防ぐためのテーパエンド。(4)弁の近位端に対する静止場所を亢進することができる。
−遠位の弁保持装置:(1)遠位の調圧環及び接続支柱の一部を保持及び制御する。(2)最終的な解放のために覆いを取り払われるまで、弁の軸上の移動を防ぐ。(3)保持装置の幾何学は、特定の弁フレームの幾何学と一致し、必要に応じて解放する。(4)前進している/引っ込んでいる要素を縁がじゃま/捕らえるのを防ぐテーパエンド。(5)展開手順が始まるに従い、最終的な解放中に弁が跳ねるのを防ぐ。
−近位及び/又は遠位の保持装置は、再度折りたたむ要素の通過を容易にする孔を含み得る。前記要素は、弁の近位又は遠位部分(若しくはその両方)に取り付けられ、再配置又は回収のために弁を再度折りたたむよう使用される。
−近位及び遠位の外筒インターフェースは、塞ぐ及び連結するよう設計することができる。
−描写されてはいないけれども、送達システムは、遠位端にてシャフトの外まで延び、弁の展開及び解放に先立ち、石灰化した本来のリーフレットをこじあけることができる機能を組み入れることができる。
−種々の設計の変形が可能であるが、いくつかの設計のみが例証用に含まれている。例えば、近位の外筒が遠位の外筒を完全に内部に封じ込める別の設計を参照されたい。これは、遠位外筒に対する保護を提供し、同時に、2つの外筒IDサイズにさらなる設計の変形を提供する。これは、遠位端よりもわずかに大きい折りたたまれた直径を弁の近位端が有することを可能にし、より空間を、従って、より少ないリーフレットの組織の圧縮を提供する。近位外筒の内側にある遠位外筒におけるさらなる可能な利点は、経心尖部方法等の順行性の方法中のスムーザーシステムの引っ込みである。当該システムから弁が解放されると、近位外筒を、リーフレットを超えるまで前に進めることができる。送達システムの遠位外筒を、次に、近位外筒の内側まで引っ込めることができ、弁を介してシステム全体を戻し除くことができる。引っ込み中、リーフレットは、システム全体を取り除く前に、リーフレットを介して近位外筒の内側に遠位外筒の引っ張ることを試みるシナリオと比較して、滑らかで継続する管の表面にのみ直面することに留意されたい。
【0089】
前記のものは、単に本発明の原理の例証となるものであり、本発明の範囲及び真意から逸脱することなく、当業者によって種々の変更を行うことができるということを理解されるはずである。例えば、種々の構成要素に対して示された形状に関する多くの詳細は、どのようにしてこれらの詳細をまとめることができるかということの単なる例である。
【0090】
本出願は、2008年1月16日に出願した米国仮特許出願第61/011,393号に基づく優先権を主張するものであり、全内容を本出願において援用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置であって:
折りたたまれた状態で前記弁が周囲に配置される弁支持構造体;
該弁支持構造体上の前記弁を取り囲む外筒構造体;及び、
前記移植部位での拡張のために、前記弁の覆いを取るよう前記弁支持構造体に対して前記外筒構造体を動かす移動手段;
を含み、
前記弁は、第一及び第二の表面部分を有し、該第一及び第二の表面部分は、前記弁支持構造体上で前記弁が周囲に配置される軸に沿って、それぞれ反対の第一及び第二方向に面し、前記弁支持構造体は、第三及び第四の表面部分を有し、該第三及び第四の表面部分は、それぞれ第二及び第一方向に面し、前記折りたたまれた状態で前記弁支持構造体の周囲に前記弁が配置されながら、前記軸に沿った前記弁と前記弁支持構造体との相対的移動を実質的に防ぐために、前記第一及び第三表面部分は互いに隣接して向き合うよう配置され、前記第二及び第四の表面部分は互いに隣接して向き合うよう配置される、装置。
【請求項2】
前記外筒構造体が、前記折りたたまれた状態の弁のうち第一の軸上端部を覆う第一の外筒部分、及び、前記折りたたまれた状態の弁のうち第二の軸上端部を覆う第二の外筒部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記移動手段が、前記外筒部分のうちの1つにその他の外筒部分に対する可能な動きをさせる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記移動手段が:
前記弁のうち第二の軸上端部から離れる第一の方向に前記第一の外筒部分を移動させる第一の手段;及び
前記弁のうち第一の軸上端部から離れる第二の方向に前記第二の外筒部分を移動させる第二の手段;
を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第一及び第二の外筒部分が、互いに部分的に重なり合う、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記弁支持構造体が、前記折りたたまれた状態の弁に係合して、前記弁支持構造体の周りを前記弁が回転するのを実質的に防ぐ、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記外筒構造体による覆いが取られた前記弁の一部を放射状に前記弁支持構造体に向かって内側に引く手段をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記移動手段が、さらに、前記弁の拡張後、前記外筒構造体が前記弁支持構造体を覆うように前記外筒構造体を前記弁支持構造体に対して再度移動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記弁支持構造体は、前記弁の近位にある第一の位置から前記弁の遠位にある第二の位置まで延びる通路を画定し、前記第一の位置は前記第二の位置よりも当該装置のオペレータに近い、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記弁支持構造体は、前記弁の近位にある位置から前記弁までの流体連絡のための通路を画定し、前記位置は前記弁よりも当該装置のオペレータに近い、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記弁の軸上端部のうちの1つは弁リーフレットを含み、前記弁のもう一方の軸上端部は、リーフレットを有さない弁フレーム構造体を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
当該装置のオペレータから最も遠い前記外筒構造体の一部に固定される遠位端構造体をさらに含み、前記遠位端構造体は、前記外筒構造体の内部の脱気を容易にするために前記外筒構造体の内側から当該装置の外側まで続く孔を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
当該装置のオペレータから最も遠い前記外筒構造体の一部に固定される遠位端構造体、及び、
前記遠位端構造体と前記外筒構造体の一部とを前記弁支持体から離れるよう動かすことを可能にするシャフトをさらに含み、前記シャフトは、前記外筒構造体の一部に近接した結合部位を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置であって:
折りたたまれた状態の前記弁が周りに配置される弁支持構造体であり、軸方向に離れた近位部分及び遠位部分を有し、前記近位部分は前記遠位部分よりも当該装置のオペレータに近い、弁支持構造体;
前記弁支持構造体上の前記弁を取り囲む外筒構造体;及び、
前記移植部位での拡張のために前記弁の覆いを完全に取るよう、前記弁支持構造体に対して遠位方向に前記外筒構造体を動かす移動手段;
を含む、装置。
【請求項15】
前記外筒構造体を取り囲む第二の外筒構造体、及び、
前記外筒構造体の覆いを取るよう、弁支持構造体に対して近位方向に前記第二の外筒構造体を動かす第二の移動手段、
をさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記弁支持構造体は、前記折りたたまれた弁のフレーム構造体が配置される管状で幾何学的な形態内に放射状に外側に延びる要素を含み、前記要素は、前記弁支持体に対して、管状で幾何学的な形態の縦軸に平行な前記弁の動きを妨害するよう置かれる、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記移動手段が前記弁の覆いを完全に取るよう前記外筒構造体を動かした場合に前記外筒構造体の近位であるが、前記弁支持構造体からは遠位の結合部位を前記移動手段は含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記外筒構造体の遠位端に固定される遠位端構造体をさらに含み、前記遠位端構造体は、前記外筒構造体の内側から当該装置の外側まで続く孔を画定している、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置を作動させる方法であって:
前記装置を患者の通路に沿って遠位方向に前記患者内に導入するステップであり、前記弁は、前記装置の弁支持構造体の周りに折りたたまれた状態で配置され、前記装置の外筒構造体が前記弁を取り囲む、ステップ;及び
前記移植部位での拡張のために前記弁の覆いを完全に取るよう、前記弁支持構造体に対して遠位方向に前記外筒構造体を移動させるステップ;
を含む、方法。
【請求項20】
前記外筒構造体が前記弁支持構造体を覆うように、前記弁の拡張後に前記弁支持構造体に対して前記外筒構造体を移動させるステップ、及び
前記患者から前記装置を引き抜くステップ、
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記弁が、前記装置のオペレータから離れた前記装置における第一の位置にあり、前記移動させるステップは、前記第一の位置よりも前記オペレータからさらに離れた第二の位置まで前記外筒構造体を移動させる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記導入するステップの間、前記外筒構造体は第二の外筒構造体によって覆われ、当該方法は、前記移動させるステップに先立ち、前記第一の位置よりも前記オペレータに近い第三の位置まで前記第二の外筒構造体を移動させるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記弁支持構造体よりも前記装置のオペレータから離れた患者の位置まで、さらなる器具を前記弁支持構造体に通すステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記弁支持構造体よりも前記装置のオペレータに近い位置から前記弁まで、前記弁支持構造体の一部に流体を通すステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記移動させるステップが前記弁の一部の覆いを取った後、放射状に前記弁支持構造体に向かって内側に前記弁の一部を引くステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項1】
折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置であって:
折りたたまれた状態で前記弁が周囲に配置される弁支持構造体;
該弁支持構造体上の前記弁を取り囲む外筒構造体;及び、
前記移植部位での拡張のために、前記弁の覆いを取るよう前記弁支持構造体に対して前記外筒構造体を動かす移動手段;
を含み、
前記弁は、第一及び第二の表面部分を有し、該第一及び第二の表面部分は、前記弁支持構造体上で前記弁が周囲に配置される軸に沿って、それぞれ反対の第一及び第二方向に面し、前記弁支持構造体は、第三及び第四の表面部分を有し、該第三及び第四の表面部分は、それぞれ第二及び第一方向に面し、前記折りたたまれた状態で前記弁支持構造体の周囲に前記弁が配置されながら、前記軸に沿った前記弁と前記弁支持構造体との相対的移動を実質的に防ぐために、前記第一及び第三表面部分は互いに隣接して向き合うよう配置され、前記第二及び第四の表面部分は互いに隣接して向き合うよう配置される、装置。
【請求項2】
前記外筒構造体が、前記折りたたまれた状態の弁のうち第一の軸上端部を覆う第一の外筒部分、及び、前記折りたたまれた状態の弁のうち第二の軸上端部を覆う第二の外筒部分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記移動手段が、前記外筒部分のうちの1つにその他の外筒部分に対する可能な動きをさせる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記移動手段が:
前記弁のうち第二の軸上端部から離れる第一の方向に前記第一の外筒部分を移動させる第一の手段;及び
前記弁のうち第一の軸上端部から離れる第二の方向に前記第二の外筒部分を移動させる第二の手段;
を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第一及び第二の外筒部分が、互いに部分的に重なり合う、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記弁支持構造体が、前記折りたたまれた状態の弁に係合して、前記弁支持構造体の周りを前記弁が回転するのを実質的に防ぐ、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記外筒構造体による覆いが取られた前記弁の一部を放射状に前記弁支持構造体に向かって内側に引く手段をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記移動手段が、さらに、前記弁の拡張後、前記外筒構造体が前記弁支持構造体を覆うように前記外筒構造体を前記弁支持構造体に対して再度移動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記弁支持構造体は、前記弁の近位にある第一の位置から前記弁の遠位にある第二の位置まで延びる通路を画定し、前記第一の位置は前記第二の位置よりも当該装置のオペレータに近い、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記弁支持構造体は、前記弁の近位にある位置から前記弁までの流体連絡のための通路を画定し、前記位置は前記弁よりも当該装置のオペレータに近い、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記弁の軸上端部のうちの1つは弁リーフレットを含み、前記弁のもう一方の軸上端部は、リーフレットを有さない弁フレーム構造体を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
当該装置のオペレータから最も遠い前記外筒構造体の一部に固定される遠位端構造体をさらに含み、前記遠位端構造体は、前記外筒構造体の内部の脱気を容易にするために前記外筒構造体の内側から当該装置の外側まで続く孔を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
当該装置のオペレータから最も遠い前記外筒構造体の一部に固定される遠位端構造体、及び、
前記遠位端構造体と前記外筒構造体の一部とを前記弁支持体から離れるよう動かすことを可能にするシャフトをさらに含み、前記シャフトは、前記外筒構造体の一部に近接した結合部位を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置であって:
折りたたまれた状態の前記弁が周りに配置される弁支持構造体であり、軸方向に離れた近位部分及び遠位部分を有し、前記近位部分は前記遠位部分よりも当該装置のオペレータに近い、弁支持構造体;
前記弁支持構造体上の前記弁を取り囲む外筒構造体;及び、
前記移植部位での拡張のために前記弁の覆いを完全に取るよう、前記弁支持構造体に対して遠位方向に前記外筒構造体を動かす移動手段;
を含む、装置。
【請求項15】
前記外筒構造体を取り囲む第二の外筒構造体、及び、
前記外筒構造体の覆いを取るよう、弁支持構造体に対して近位方向に前記第二の外筒構造体を動かす第二の移動手段、
をさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記弁支持構造体は、前記折りたたまれた弁のフレーム構造体が配置される管状で幾何学的な形態内に放射状に外側に延びる要素を含み、前記要素は、前記弁支持体に対して、管状で幾何学的な形態の縦軸に平行な前記弁の動きを妨害するよう置かれる、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記移動手段が前記弁の覆いを完全に取るよう前記外筒構造体を動かした場合に前記外筒構造体の近位であるが、前記弁支持構造体からは遠位の結合部位を前記移動手段は含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記外筒構造体の遠位端に固定される遠位端構造体をさらに含み、前記遠位端構造体は、前記外筒構造体の内側から当該装置の外側まで続く孔を画定している、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
折りたたみ可能及び再拡張可能な人工心臓弁を患者の移植部位まで送達するための装置を作動させる方法であって:
前記装置を患者の通路に沿って遠位方向に前記患者内に導入するステップであり、前記弁は、前記装置の弁支持構造体の周りに折りたたまれた状態で配置され、前記装置の外筒構造体が前記弁を取り囲む、ステップ;及び
前記移植部位での拡張のために前記弁の覆いを完全に取るよう、前記弁支持構造体に対して遠位方向に前記外筒構造体を移動させるステップ;
を含む、方法。
【請求項20】
前記外筒構造体が前記弁支持構造体を覆うように、前記弁の拡張後に前記弁支持構造体に対して前記外筒構造体を移動させるステップ、及び
前記患者から前記装置を引き抜くステップ、
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記弁が、前記装置のオペレータから離れた前記装置における第一の位置にあり、前記移動させるステップは、前記第一の位置よりも前記オペレータからさらに離れた第二の位置まで前記外筒構造体を移動させる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記導入するステップの間、前記外筒構造体は第二の外筒構造体によって覆われ、当該方法は、前記移動させるステップに先立ち、前記第一の位置よりも前記オペレータに近い第三の位置まで前記第二の外筒構造体を移動させるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記弁支持構造体よりも前記装置のオペレータから離れた患者の位置まで、さらなる器具を前記弁支持構造体に通すステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記弁支持構造体よりも前記装置のオペレータに近い位置から前記弁まで、前記弁支持構造体の一部に流体を通すステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記移動させるステップが前記弁の一部の覆いを取った後、放射状に前記弁支持構造体に向かって内側に前記弁の一部を引くステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公表番号】特表2011−509742(P2011−509742A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543120(P2010−543120)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/000104
【国際公開番号】WO2009/091509
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(500232466)セント ジュード メディカル インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/000104
【国際公開番号】WO2009/091509
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(500232466)セント ジュード メディカル インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]