説明

折りたたみ式電子機器

【課題】 旋回軸に固定される取付金具が組立時に障害とならないような折りたたみ式電子機器を提供する。
【解決手段】 操作部11を設けた本体部10と、表示部21を設けた開閉部20とを開閉自在に枢着する回動軸33と、この回動軸33にほぼ直交して設けられ上記開閉部20を上記本体部10に対して旋回自在に支承する旋回軸34とを有する折りたたみ式電子機器において、上記開閉部20に上記旋回軸34との結合部となる取付金具38を設けると共に、上記取付金具38と上記旋回軸34とを着脱可能に結合した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折りたたみ式電子機器、例えば携帯電話機のように、本体部と開閉部とが折りたたみ式に開閉し得るようにされると共に、開閉部が本体部に対して旋回可能とされた構成を有する折りたたみ式電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の折りたたみ式電子機器、例えば携帯電話機は、数字キーやファンクションキーを配列した操作部を設けた本体部と、この操作部のキー操作等により所定の表示がなされる液晶パネルなどの表示部を設けた開閉部とを回動軸によって開閉自在に枢着すると共に、回動軸にほぼ直交するように突設され上記開閉部を上記本体部に対して旋回自在に支承する旋回軸が設けられている。
【0003】
また、旋回軸と開閉部との結合のために取付金具が設けられ、この取付金具を上記旋回軸の先端部にカシメ固定する一方、開閉部の端部にねじ等によって固定するようにしていた。(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−310134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の折りたたみ式電子機器は上記のように構成され、旋回軸と開閉部とを結合するための取付金具が旋回軸にカシメ固定されていて取り外しできなかったため、電子機器の組立に際して、本体部のケース部に旋回軸付きの回動軸を固定した後、本体部の蓋部を上記ケース部に装着する際、上記蓋部が上記取付金具に当接してそのままの状態では装着することができないことから、上記本体部側に上記取付金具を通すための通し孔あるいは切り欠きを形成する必要が生じ、そのため本体部の筐体剛性の低下を招くことになる他、電子機器の小型化への障害になるなどの問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、旋回軸に固定される取付金具が組立時に障害とならないようにした折りたたみ式電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る折りたたみ式電子機器は、操作部を設けた本体部と、表示部を設けた開閉部とを開閉自在に枢着する回動軸と、この回動軸にほぼ直交して設けられ上記開閉部を上記本体部に対して旋回自在に支承する旋回軸とを有する折りたたみ式電子機器において、上記開閉部に上記旋回軸との結合部となる取付金具を設けると共に、上記取付金具と上記旋回軸とを着脱可能に結合したものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る折りたたみ式電子機器は上記のように構成され、旋回軸と取付金具とを着脱可能に結合しているため、電子機器の組立時には取付金具を旋回軸から取り外すことにより、本体部と回動軸とを容易に組み立てることができ、本体側に通し孔や切り欠きを形成する必要がない。従って、筐体剛性の低下を防ぐことが出来ると共に、組立作業性を改善することができ、小型化への障害になることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、折りたたみ式電子機器の一例として携帯電話機の概略構成を示す斜視図、図2は、図1の携帯電話機において本体部と開閉部とを開閉自在に枢着する回動軸と、これに設けられた旋回軸との構成を示す斜視図である。
【0010】
携帯電話機1は、数字やファンクションキーを配列した操作部11を設けた本体部10と、上記操作部11のキー操作等によって所定の表示がなされる液晶パネルなどの表示部21を設けた開閉部20と、本体部10及び開閉部20を開閉自在に枢着する枢着部30とから構成されている。
【0011】
図2は、枢着部30の詳細構成を示す斜視図で、一対のブラケット31間に、回転可能に支承された回動軸32と、回動軸の中央部に形成された四角断面の回動体33と、回動体33の一面にほぼ垂直方向に突設され、回動体33に対して旋回し得るようにされた旋回軸34と、旋回軸34の端面に形成された非円形の突出部35と、突出部35に形成された雌ねじ部36と、突出部35に嵌合する突出部と同形状の孔37を有し、表示部21の取付部となる取付金具38と、孔37が突出部35に嵌合された状態で雌ねじ部36に螺合され、取付金具38を旋回軸34に固定する雄ねじ部39とから構成されている。
【0012】
雄ねじ部39で固定する場合、ねじの緩みが問題であるため、突出部35と孔37による嵌合は、ねじの緩みによっても取付金具38と旋回軸34との固定状態を保持するためのものである。
【0013】
なお、取付金具38には2個所の折曲部38Aと、この折曲部に形成された孔38Bとが設けられ、上記折曲部38Aを後述するように、開閉部20の端部に当接すると共に、孔38Bに挿通される適宜のねじ44によって取付金具38を開閉部20に固定するようになっている。
【0014】
また、ブラケット31には折曲部31Aと、この折曲部に形成された孔31Bとが設けられ、上記折曲部31Aを後述するように、本体部10の内側に配設し、孔31Bに挿通される適宜のねじによってブラケット31を本体部10に固定するようになっている。
【0015】
次に、本体部10と開閉部20と枢着部30との組立手順を図3に示す分解斜視図にもとづいて説明する。図3の左側は本体部10の分解斜視図を示すものであり、図3の右側は開閉部20の分解斜視図を示すものである。
【0016】
先ず、本体部10のケース部10Aの一端部に枢着部30から雄ねじ部39を緩めて取付金具38を取り外した状態でブラケット31の折曲部31Aを図示のように収納し、ねじ止めする。
【0017】
次いで、ケース部10A内に基板10B及びその上に配設されるボタン基板10Cをそれぞれ収納し、基板10Bから引き出されたフレキシブル配線基板40を枢着部30の所定の位置に巻き付けた後、蓋部10Dをかぶせ、枢着部30の回動体33と旋回軸34とを上カバー41と下カバー42とで覆った後、ケース部10A、基板10B、ボタン基板10C、蓋部10Dに跨る4本のねじ43をケース部10Aの下方から螺合して全体を固定し、本体部10を形成する。
【0018】
次に、枢着部30の旋回軸34の先端の突出部35に取付金具38の孔37を嵌合し、雄ねじ部39を雌ねじ部36に螺合して取付金具38を旋回軸34に固定する。
【0019】
その後、開閉部20の組立に移り、取付金具38の折曲部38Aを表示部21を有する基板20Bの端部上面に当接した状態でケース部20Aに収納し、ねじ44によって基板20Bとケース部20Aとを結合する。
【0020】
その上に蓋板20Cを重ね合わせ、4本のねじ45によって蓋板20Cとケース部20Aとを固定することにより開閉部20を形成する。
【0021】
この状態では、開閉部20は枢着部30を介して本体部10に対して図1の矢印Aで示すように開閉できると共に、開閉部20は旋回軸34に固定されているため、開いた状態で図1の矢印Bで示すように表側と裏側とを逆転させ表示部21が表側となるように180度の旋回が可能となる。
【0022】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図にもとづいて説明する。図4は、実施の形態2における枢着部30の構成を示す斜視図である。この図において、図2と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0023】
図2と異なる点は、旋回軸34の先端の突出部35から更に突出する雄ねじ部46を設け、取付金具38の孔37を突出部35に嵌合した状態でナット47を雄ねじ部46に螺合し、取付金具38を旋回軸34に固定するようにした点である。
このような構成とすることにより、実施の形態1と同様な作用効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】折りたたみ式電子機器の一例として携帯電話機の概略構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1における枢着部の詳細構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1の本体部と開閉部と枢着部との組立手順を示す分解斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態2における枢着部の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 携帯電話機、 10 本体部、 10A ケース部、 10B 基板、
10C ボタン基板、 10D 蓋部、 11 操作部、 20 開閉部、
20A ケース部、 20B 基板、 20C 蓋板、 21 表示部、
30 枢着部、 31 ブラケット、 32 回動軸、 33 回動体、
34 旋回軸、 35 突出部、 36 雌ねじ部、 37 孔、 38 取付金具、
39 雄ねじ部、 40 フレキシブル配線基板、 46 雄ねじ部、
47 ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を設けた本体部と、表示部を設けた開閉部とを開閉自在に枢着する回動軸と、この回動軸にほぼ直交して設けられ上記開閉部を上記本体部に対して旋回自在に支承する旋回軸とを有する折りたたみ式電子機器において、上記開閉部に上記旋回軸との結合部となる取付金具を設けると共に、上記取付金具と上記旋回軸とを着脱可能に結合したことを特徴とする折りたたみ式電子機器。
【請求項2】
上記取付金具と上記旋回軸とをねじによって固定したことを特徴とする請求項1記載の折りたたみ式電子機器。
【請求項3】
上記旋回軸の端面に雌ねじを形成すると共に、上記取付金具を貫通させた雄ねじを上記雌ねじに螺合させることにより上記取付金具と旋回軸とを固定することを特徴とする請求項2記載の折りたたみ式電子機器。
【請求項4】
上記旋回軸にその端面から突出する雄ねじを設けると共に、上記取付金具に形成した孔を上記雄ねじに嵌合し、上記雄ねじにナットを螺合することにより上記取付金具と旋回軸とを固定することを特徴とする請求項2記載の折りたたみ式電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−125493(P2006−125493A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313866(P2004−313866)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】