説明

折り畳みパネル

【課題】
解決しようとする課題は、熱可塑性樹脂をブロー成形することにより製造される表皮つき折り畳みパネルの中間部にヒンジ部を必要とするような場合、該ヒンジ部を薄く成形しなければならないが、木目込み用の周溝と該ヒンジ部とが交差する位置における溝裏凸部によって生じる段差がリブの役目をはたすため、該ヒンジ部の屈曲方向の断面二次モーメントの増大を招いて該ヒンジ部の屈曲性を著しく損なうという点である。
【解決手段】
表面に設けられた周溝と、該周溝に端縁をはめ込まれた表皮と、折り畳むためのヒンジ部と、該周溝と該ヒンジ部とが交差する位置近傍における該周溝に、該周溝の溝の標準深さよりも浅い浅溝部を設けることにより前記課題を解決した。
【選択図】図5


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂をブロー成形することにより製造される表皮つき折り畳みパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は従来の表皮つきの折り畳みパネル、図2は図1のA−A断面、図3は同じく図1のB−B断面を表す。
【0003】
従来、図1ないし図3に示すような、表皮2が装着された折り畳みパネル1をブロー成形により製造する場合、該表皮2を見栄え良く装着する方法として「木目込み」と言う技法がある。これは表皮の端縁をパネルの表面の周溝にはめ込んで隠す手法として特許文献1に示されるように公知である。
【特許文献1】特開2005−280250号公報
【0004】
しかるに、該折り畳みパネル1の中間部にヒンジ部4を必要とするような場合、該ヒンジ部4を薄く成形しなければならないが、図2に示すように該周溝3と該ヒンジ部4とが交差する位置における溝裏凸部6によって生じる段差がリブの役目をはたすため、該ヒンジ部4の屈曲方向の断面二次モーメントの増大を招いて該ヒンジ部4の屈曲性を著しく損なっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、表皮つき折り畳みパネルの中間部にヒンジ部を必要とするような場合、該ヒンジ部を薄く成形しなければならないが、木目込み用の周溝と該ヒンジ部とが交差する位置における溝裏凸部によって生じる段差がリブの役目をはたすため、該ヒンジ部の屈曲方向の断面二次モーメントの増大を招いて該ヒンジ部の屈曲性を著しく損なうという点である。本発明は上記の点を解決するためになされた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、熱可塑性樹脂をブロー成形することにより製造される折り畳みパネルであって、表面に設けられた周溝と、該周溝に端縁をはめ込まれた表皮と、折り畳むためのヒンジ部と、該周溝と該ヒンジ部とが交差する位置近傍における該周溝に、該周溝の溝の標準深さよりも浅い浅溝部を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来例に見られるような該周溝と該ヒンジ部とが交差する位置における該溝裏凸部が無いため該ヒンジ部の屈曲方向の断面二次モーメントは従来例よりはるかに小さく、該折り畳みパネルの屈曲性に問題が生ずることはないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
ヒンジ部の屈曲性を損なうことなく、見栄えの良い、表皮つきの折り畳みパネルを得るという目的を、表面に設けられた周溝と、該周溝に端縁をはめ込まれた表皮と、折り畳むためのヒンジ部と、該周溝と該ヒンジ部とが交差する位置近傍における該周溝に、該周溝の溝の標準深さよりも浅い浅溝部を設けることによって、ブロー成形の持つ経済性を損なわずに実現した。
【実施例1】
【0009】
本発明の構成を発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。尚、従来例と同一の符号は同一の部材を表す。
【0010】
図4は本発明の1実施例を示すものであり、図1のB−B断面に相当する部分断面図であるが、解り易くするため表皮の表示は割愛されている。折り畳みパネル1の周溝3とヒンジ部4とが交差する位置近傍における該周溝3に、該周溝3の溝の標準深さよりも浅い浅溝部13を設けたことで、図4に示すように該折り畳みパネル1の該ヒンジ部4は該周溝3内に盛り上がり、該浅溝部13が形成されている。
【0011】
上記「該周溝3の溝の標準深さ」とは、該周溝3と該ヒンジ部4とが交差する位置近傍を除く個所における該周溝3の平均的な深さを意味する。
【0012】
図5も本発明の1実施例を示すものである。図1のB−B断面に相当するものを斜めから見た部分斜視図であり、解り易くするために同じく表皮の表示は割愛されている。図4に示すと同様該折り畳みパネル1の該ヒンジ部4は該周溝3内に盛り上がり、該浅溝部13が形成されている。
【0013】
尚、図4、5においては該浅溝部13は該折り畳みパネル1の表面より下に設定されているが、該折り畳みパネル1の表面と同一高さでも良く、該折り畳みパネル1の表面よりも上に出ても勿論構わない。即ち、段落番号0010にて述べた「該周溝3の溝の標準深さよりも浅い浅溝部13」とは、該浅溝部13が該折り畳みパネル1の表面と同一の高さである場合、及び該浅溝部13が該折り畳みパネル1の表面よりも上に出る場合を包含することを意味する。
【0014】
尚、図6も本発明の1実施例を示すものである。図1のA−A断面に相当する断面図であり、図6に示すようにこの断面上では従来例に見られるような該溝裏凸部6が無いことが特徴である。尚、図6では該表皮2が表示されている。
【0015】
該折り畳みパネル1の成形に際しては、不織布あるいは織布、編み物、皮革等で作製された表皮2の端縁を該周溝3の位置に相当する、金型(図示せず)の所定の位置にセットし、該金型内にポリプロピレン等の半溶融の熱可塑性樹脂パリソン(図示せず)を押出してブロー成形する。
【0016】
尚、該パリソンに適用される該熱可塑性樹脂としてはポリプロピレンに限らず、ポリエチレンや他のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート等、ブロー成形が可能な樹脂であれば何でも良い。また、該熱可塑性樹脂にガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、硫酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末等を混錬させた複合材であってもよい。
【0017】
成形後該金型内から取出された該折り畳みパネル1の該ヒンジ部4は、図4〜6から明らかなように従来例に見られるような該周溝3と該ヒンジ部4とが交差する位置における該溝裏凸部6が無いため該ヒンジ部4の屈曲方向の断面二次モーメントは従来例よりはるかに小さく、該折り畳みパネル1の屈曲性に問題が生ずることはない。
【0018】
図7は本発明による該折り畳みパネル1を折りたたんだ状態を示したものである。該浅溝部13(図7中には図示せず)の形成により該ヒンジ部4の屈曲方向の断面二次モーメントは従来例にくらべて小さく、従来例よりも該ヒンジ部4の屈曲性は格段に向上している。
【0019】
以上、実施例に示したように本発明によると、折り畳みパネルの周溝とヒンジ部とが交差する位置近傍における周溝に、該周溝の溝の標準深さよりも浅い浅溝部を設けたため、該ヒンジ部の屈曲性を損なうことなく、見栄えの良い、表皮つきの折り畳みパネルを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、熱可塑性樹脂をブロー成形することにより製造される自動車用デッキボード等の表皮つき折り畳みパネルに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の表皮つきの折り畳みパネルの斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】本発明に係る、折り畳みパネルの浅溝部近傍の部分断面図
【図5】本発明に係る、折り畳みパネルの浅溝部近傍の部分断面斜視図
【図6】本発明に係る、折り畳みパネルのヒンジ部の断面図
【図7】本発明に係る、折り畳みパネルを折り畳んだ状態を表す概念図
【符号の説明】
【0022】
1 折り畳みパネル
2 表皮
3 周溝
4 ヒンジ部
6 溝裏凸部
13 浅溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂をブロー成形することにより製造される折り畳みパネルであって、表面に設けられた周溝と、該周溝に端縁をはめ込まれた表皮と、折り畳むためのヒンジ部と、該周溝と該ヒンジ部とが交差する位置近傍における該周溝に、該周溝の溝の標準深さよりも浅い浅溝部を設けたことを特徴とする折り畳みパネル

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−105237(P2008−105237A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289303(P2006−289303)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(503233130)株式会社アイテック (96)
【Fターム(参考)】