説明

折り畳み式ツールバー

【課題】 トラクタの走行に支障とならないように、ツールバーを容易に折り畳んだり元に戻したりすることができる、折り畳み式ツールバーを提供することである。
【解決手段】 本発明のトラクタに取り付けられる折り畳み式ツールバー(10)は、中央に位置する第1部材(12)と、右側に位置する第2部材(14)と、左側に位置する第3部材(16)と、第1部材と第2部材を折り畳み可能に連結するための第1連結部材(18)と、第1部材と第3部材を折り畳み可能に連結するための第2連結部材(20)とを備えていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、トラクタに取り付けられるツールバーに関する。より詳細には、本発明は、折り畳み可能なツールバーに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来の一般的なマスト付きツールバーを示した斜視図である。図10のツールバーには、5基のカルチベータが装備されている。このようなマスト付きツールバーにカルチベータや中耕具、除草具等の各種農機具を装着し、マストをトラクタの油圧3点支持装置に連結してトラクタを作動させることによって、種々の農作業が行われるのは、周知の事項である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ツールバーがトラクタの進行方向と直交方向に延びているため、トラクタの横幅よりもツールバーが長く(幅広に)なる場合には、トラクタの走行に支障を来すこととなる。とりわけ、トラクタが道路上を走行する際には、ツールバーが道路脇の障害物に接触する等の事態が生じ得る。このような事態を回避するため、ツールバーを折り畳み式にする試みが一部でなされているが、ツールバー自体が50kg〜80kgの重量があって重いため、ツールバーを折り畳んだり、元に戻したする作業が容易ではない、という課題がある。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、トラクタの走行に支障とならないように、ツールバーを容易に折り畳んだり元に戻したりすることができる、折り畳み式ツールバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載のトラクタに取り付けられる折り畳み式ツールバーは、中央に位置する第1部材と、右側に位置する第2部材と、左側に位置する第3部材と、前記第1部材と前記第2部材を折り畳み可能に連結するための第1連結部材と、前記第1部材と前記第3部材を折り畳み可能に連結するための第2連結部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0006】
本願請求項2に記載の折り畳み式ツールバーは、前記請求項1のツールバーにおいて、前記第1連結具および第2連結具が各々、基壁と、前記基壁の両側縁に沿ってそれぞれ取り付けられた一対の側壁とから成る、全体としてコの字形横断面の第1部分と、基壁と、前記第1部分の前記両側壁に外側にそれぞれ位置し、前記基壁の両側縁に沿ってそれぞれ取り付けられた一対の側壁とから成る、全体としてコの字形横断面の第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を回転可能に連結するためのボルトと、前記第2部分を上方に回転させるように付勢するための弾性手段とを有し、前記第1連結具の前記基壁が前記第2部材の一端に堅固に固定され、前記第2連結具の前記基壁が前記第3部材の一端に堅固に固定されていることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項3に記載の折り畳み式ツールバーは、前記請求項2のツールバーにおいて、前記弾性手段が、コイルばね又は螺旋状板ばねであることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項4に記載の折り畳み式ツールバーは、前記請求項3のツールバーにおいて、前記弾性手段の内側に、弾性手段が潰れるのを防止するためのカラーが配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ばね力によりツールバーを容易に折り畳むことができるので、トラクタの走行に支障を来すことなく、農作業に従事することができる。本発明のツールバーは、構造が簡単であるため、製造コストが安価であるとともに、故障が少ないので、維持管理コストを低廉に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る折り畳み式ツールバーについて詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る折り畳み式ツールバーを示した斜視図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の好ましい実施の形態に係る折り畳み式ツールバーは、中央に位置する第1部材12と、右側に位置する第2部材14と、左側に位置する第3部材16と、第1部材12と第2部材14を折り畳み可能に連結するための第1連結具18と、第1部材12と第3部材16を折り畳み可能に連結するための第2連結具20とを有している。
【0011】
第1部材12、第2部材14および第3部材16は好ましくは、角パイプで形成されている。
【0012】
第1連結具18は、基壁18a1と、基壁18a1の両側縁に沿ってそれぞれ取り付けられた一対の側壁18a2、18a3とから成る、全体としてコの字形横断面の第1部分18aを有しており、基壁18a1が第1部材12の一端に溶接等で堅固に固定されている。
【0013】
第1連結具18は又、基壁18b1と、第1部分18aの側壁18a2、18a3の外側にそれぞれ位置し(図4参照)、基壁18b1の両側縁に沿ってそれぞれ取り付けられた一対の側壁18b2、18b3とから成る、全体としてコの字形横断面の第1部分18bを有しており、基壁18b1が第2部材14の一端に溶接等で堅固に固定されている。第1連結具18は又、第1部分18aと第2部分18bを回転可能に連結するためのボルト18cを有している。
【0014】
第1連結具18は更に、第2部分18b(すなわち、第2部材14)を上方に回転させるように付勢するためのコイルばね18dを有している。コイルばね18dは、図4に示されるように、回転中心となるボルト18cの周囲に配置されている。
【0015】
図6および図7において、参照符号18eは、第2部材14が水平位置よりも下方に移動するのを阻止するためのストッパを示している。また、図4〜図7において、参照符号18a2−2、18a3−2、18b2−2は、ツールバー10の水平状態を維持するためにボルト(図示せず)を挿入する孔を示しており、18a2−3、18a3−3、18b2−3は、ツールバー10の折り畳み状態を維持するためにボルト(図示せず)を挿入する孔を示している。
【0016】
なお、図6および図7では、図示されていないが、好ましくは、コイルばね18dの内側には、コイルばね18dが潰れるのを防止するための円筒形のカラー18fが配置されている(図8参照)。
【0017】
以上、第1連結具18の構成を説明したが、第2連結具20も第1連結具18と実質的に同一の構成を有している。
【0018】
すなわち、第2連結具20は、基壁20a1と、基壁20a1の両側縁に沿ってそれぞれ取り付けられた一対の側壁20a2、20a3とから成る、全体としてコの字形横断面の第1部分20aと、基壁20b1と、第1部分20aの側壁20a2、20a3の外側にそれぞれ位置し、基壁20b1の両側縁に沿ってそれぞれ取り付けられた一対の側壁20b2、20b3とから成る、全体としてコの字形横断面の第2部分20とを有しており、第1部分20aの基壁20a1が第1部材12の他端に溶接等で堅固に固定され、第2部分20bの基壁20b1が第2部材14の一端に溶接等で堅固に固定されている。第2連結具20は又、第1部分20aと第2部分20bを回転可能に連結するためのボルト20cと、第2部分20b(すなわち、第3部材16)を上方に回転させるように付勢するためのコイルばね20dを有しており、コイルばね20dは、回転中心となるボルト20cの周囲に配置されている。
【0019】
以上のように構成された本発明の折り畳み式ツールバー10の作動について説明する。本発明の折り畳み式ツールバー10は、使用時(すなわち、農作業時)においては、図1に示されるように、水平状態である。トラクタで移動する場合等の折り畳み式ツールバー10の不使用時においては、ツールバー10の水平状態を維持するために18a2−2、18a3−2、18b2−2等に挿入されているボルト(図示せず)を取り外して、第2部材14と第3部材16のいずれか一方又は両方を上方に持ち上げる。すると、第2部材14及び/又は第3部材16は、コイルばね18d、20dのばね力により、第1連結具18、第2連結具20を中心として折り畳まれる(図2および図3参照)。そして、折り畳み状態を維持するため、18a2−3、18a3−3、18b2−3等にボルト(図示せず)を挿入する。ツールバー10の不使用時には、折り畳み状態を維持するためのボルトを取り外して、第2部材14及び/又は第3部材16を押し下げて水平にし、18a2−3、18a3−3、18b2−3等にボルト(図示せず)を挿入する。
【0020】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0021】
たとえば、前記実施の形態において、コイルばね18d、20dが使用されているが、他の弾性手段(例えば、螺旋状板ばね(図9参照))を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る折り畳み式ツールバーを示した斜視図である。
【図2】図1の折り畳み式ツールバーを折り畳む途中の状態を示した背面図である。
【図3】図1の折り畳み式ツールバーを完全に折り畳んだ状態を示した背面図である。
【図4】第1連結具を示した分解拡大斜視図である。
【図5】第1連結具を示した拡大斜視図である。
【図6】第1連結具を示した断面図である。
【図7】折り畳む途中の状態の第1連結具を示した断面図である。
【図8】コイルばねを示した斜視図である。
【図9】螺旋状板ばねを示した斜視図である。
【図10】従来のツールバーを示した斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
10 折り畳み式ツールバー
12 第1部材
14 第2部材
16 第3部材
18 第1連結具
18a 第1部分
18b 第2部分
18c ボルト
18d コイルばね
18e ストッパ
18f カラー
20 第2連結具
20a 第1部分
20b 第2部分
20c ボルト
20d コイルばね
20e ストッパ
20f カラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに取り付けられる折り畳み式ツールバーであって、
中央に位置する第1部材と、
右側に位置する第2部材と、
左側に位置する第3部材と、
前記第1部材と前記第2部材を折り畳み可能に連結するための第1連結部材と、
前記第1部材と前記第3部材を折り畳み可能に連結するための第2連結部材と、
を備えていることを特徴とするツールバー。
【請求項2】
前記第1連結具および第2連結具が各々、
基壁と、前記基壁の両側縁に沿ってそれぞれ取り付けられた一対の側壁とから成る、全体としてコの字形横断面の第1部分と、
基壁と、前記第1部分の前記両側壁に外側にそれぞれ位置し、前記基壁の両側縁に沿ってそれぞれ取り付けられた一対の側壁とから成る、全体としてコの字形横断面の第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分を回転可能に連結するためのボルトと、
前記第2部分を上方に回転させるように付勢するための弾性手段とを有し、
前記第1連結具の前記基壁が前記第2部材の一端に堅固に固定され、前記第2連結具の前記基壁が前記第3部材の一端に堅固に固定されていることを特徴とする請求項1に記載されたツールバー。
【請求項3】
前記弾性手段が、コイルばね又は螺旋状板ばねであることを特徴とする請求項2に記載されたツールバー。
【請求項4】
前記弾性手段の内側に、弾性手段が潰れるのを防止するためのカラーが配置されていることを特徴とする請求項3に記載されたツールバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−200664(P2010−200664A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49000(P2009−49000)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(595034891)株式会社キュウホー (14)
【Fターム(参考)】