説明

折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置

【課題】折畳み式パネルの各パネルを容易にかつ見栄えを良好にして高品質に組立てる。
【解決手段】このパネル連結装置10では、各パネルの上下各端部を挟持して支持可能な溝形形状をなす複数のパネルフレーム18と、各パネルフレーム18の端部間に取り付けられ、各パネルフレーム18を所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に各パネルフレーム18の展開時にのみ各パネルフレーム18の端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形に規制して保持可能なチェーン20とを備え、各パネルを上下の各パネルフレーム18間に支持し、各連結部材19の案内により折り畳み又は展開するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置に関し、特に、工事現場などにおいて工事用車両が出入するための出入口に仮設する仮設パネルゲートや、工場、倉庫、又は各種施設で比較的大きな屋内空間の間仕切りとして使用する各種の間仕切りパネルなど、屋外及び屋内で使用する複数のパネルを折り畳み可能に連結するのに用いるパネル連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設工事現場や資材置場などは、安全管理の必要から、当該現場の周囲に、組立式の仮設フェンスが設置され、その一部に、資材や機材等を搬入、搬出するための工事用車両などが出入りするための出入口が設けられて、そこに、組立式の仮設パネルゲートが設置される。
この種の仮設パネルゲートは、左右に相互に対向して立設される一対の支柱、及びこれら支柱の上部間に架設される支持梁と、支持梁の下部にガイドレールと複数のガイドローラからなるパネル走行案内手段を介して走行可能にかつ回転軸を介して回動可能に吊り下げられる複数の走行棒と、各走行棒に折り畳み可能に取り付けられる複数のパネルとを備える。複数のパネルはそれぞれ2枚のパネル材が蝶番を介して連結されて形成され、これら2枚のパネル材が各走行棒間に一端が一方の走行棒に蝶番を介して、他端が他方の走行棒に蝶番を介して折り畳み可能にかつ展開可能に取り付けられる。このようにして各支柱及び支持梁により仮設ゲートが形成され、この仮設ゲートを各パネルの折り畳み又は展開により開閉するようになっている。このような仮設パネルゲートが例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
また、工場、倉庫、又は各種施設などでは、比較的大きな屋内空間の間仕切りとして間仕切りパネルが使用されることがある。この種の間仕切りパネルは、複数のパネルがヒンジを介して折り畳み可能に連結され、パネル走行案内手段をなす天井側に架設されるガイドレールに複数のガイドローラを介して走行可能に、又は床側に敷設されるガイドレールに複数のガイドローラを介して若しくは床上を直接転動可能な複数のガイドローラを介して走行可能に、各間仕切り位置に設置される。このようにして屋内空間の間仕切り位置を各パネルの折り畳み又は展開により開閉するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−76424公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種のパネルの連結形式では、複数のパネルがそれぞれ蝶番を介して連結されていて、各パネルの組み立てに多くの蝶番を用いるので、組み立てが容易でなく、各パネルが比較的厚みがあって大きいものになると、組み立てがより困難となる、という問題がある。また、このような連結形式では、特に吊り下げ式のパネルの場合、各パネルを折り畳んでいくと、各パネルがガイドレールの片側一方に折り畳まれ、各パネルが偏荷重により斜めになって、見栄えが悪く、他面で、各パネルが偏荷重により斜めになっていると、各パネルを展開する場合に、各パネルの走行性を損なうことになり、各パネルが比較的厚みがあって大きいものになると、かかる外観不良や動作性能の低下がより顕著となる、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置において、複数のパネルを、その大きさに関わらず、蝶番を用いることなく簡易に、しかも折り畳みやすくかつ展開しやすく組み立てること、特に吊り下げ式のパネルの場合、各パネルの大きさに関わらず、各パネルを折り畳む場合でも展開する場合でも各パネルを斜めにすることなく正常な姿勢に保持して見栄えを良好にすること、併せて、各パネルの走行性を良好に維持することなど、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のパネルが相互に折り畳み可能に連結され、屋外又は屋内にパネル走行案内手段を介して走行可能に設置される各種の折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置であって、前記各パネルの上下各端部を前記各パネルの正面側及び背面側から挟持して支持可能な溝形形状をなす上下の複数のパネルフレームと、前記上下の各パネルフレームにおいて相互に隣り合う各パネルフレームの端部間に取り付けられ、当該各パネルフレームを所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に前記隣り合う各パネルフレームの展開時にのみ当該隣り合う各パネルフレームの端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制して保持可能な前記上下の各パネルフレームの動きにフレキシブルに変形可能な上下の複数の連結部材とを備え、前記各パネルを前記上下の各パネルフレーム間に嵌め込み固定し、前記隣り合う各パネルフレーム間の各連結部材の案内により折り畳み又は展開する、ことを要旨とする。
また、この装置は、さらに次のような構成を備えることが好ましい。
(1)上下の各連結部材にチェーンを含む索状部材が採用され、前記索状部材は、上下の各パネルフレームの上面、下面で当該上面、下面の端部付近の所定の位置にリング形状を有する取付部材が当該リング形状を前記各パネルフレームの折り畳み時の相互の対向面となる一方の側面から外側に突出して取り付けられ、当該取付部材に着脱可能に連結されて、前記各パネルフレームに着脱可能に取り付けられる。
(2)複数のパネルが上方に設置されるガイドレールに複数のガイドローラを介して吊り下げられる複数の走行棒に取り付けられる形式の場合、上下のパネルフレームはそれぞれ前記各パネルの上端部及び下端部の延びる方向に対応する長さ方向略中央を各走行棒の所定の位置に合わせて略十字形に取り付けられ、前記各走行棒が前記各パネルを前記各パネルの背面側の両側部間略中央で支持可能な支持構造とする。
(3)上記(2)において、上下の各パネルフレームと各走行棒との取付位置で前記各パネルフレームに略筒状の取付部材が設けられ、前記各走行棒に前記略筒状の取付部材が嵌挿可能な開口が形成されて、前記各パネルフレームは、前記各パネルフレームの前記取付部材が前記各走行棒の前記開口に嵌挿され、当該各取付部材に取付棒が挿着されて、前記各走行棒に着脱可能に取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置によれば、上記の各構成により、次のような効果を奏する。
(1)このパネル連結装置では、各パネルの上下各端部を各パネルの正面側及び背面側から挟持して支持可能な溝形形状をなす上下の複数のパネルフレームと、上下の各パネルフレームにおいて相互に隣り合う各パネルフレームの端部間に取り付けられ、当該各パネルフレームを所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に隣り合う各パネルフレームの展開時にのみ当該隣り合う各パネルフレームの端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制して保持可能な上下の各パネルフレームの動きにフレキシブルに変形可能な上下の複数の連結部材とを備え、各パネルを上下の各パネルフレーム間に嵌め込み固定し、隣り合う各パネルフレーム間の各連結部材の案内により折り畳み又は展開するようにしたので、複数のパネルを、その大きさに関わらず、蝶番を用いることなく簡易に、しかも折り畳みやすくかつ展開しやすく組み立てることができる。
(2)特に、複数のパネルが上方に設置されるガイドレールに複数のガイドローラを介して吊り下げられる複数の走行棒に取り付けられる吊り下げ式のパネルの場合、上下のパネルフレームをそれぞれ長さ方向略中央を各走行棒の所定の位置に合わせて略十字形に取り付け、各走行棒が各パネルを各パネルの背面側の両側部間略中央で支持可能な支持構造とすることにより、各パネルの大きさに関わらず、各パネルを折り畳む場合でも展開する場合でも各パネルを斜めにすることなく正常な姿勢に保持して見栄えを良好にすることができ、併せて、各パネルの走行性を良好に維持することができる。この場合、各パネルフレームに略筒状の取付部材を設け、各走行棒に略筒状の取付部材が嵌挿可能な開口を形成して、各パネルフレームを、各パネルフレームの取付部材を各走行棒の開口に嵌挿し、当該各取付部材に取付棒を挿着して、各走行棒に着脱可能に取り付けることにより、上下の各パネルフレームの各走行棒への取り付けと、上下の各パネルフレームへの各パネルの取り付けを共に少ない部品点数で容易に行え、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態による折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置を示す 斜視図
【図2】同パネル連結装置を図1とは異なる方向から示す斜視図
【図3】同パネル連結装置の使用例を示し、同パネル連結装置を用いて仮設パネルゲー トの複数のパネルを連結した状態を示す正面図
【図4】図3の要部を示す正面図
【図5】図3の要部を拡大して示す一部省略拡大斜視図
【図6】同パネル連結装置と図3に例示する仮設パネルゲートに用いる走行棒との取付構造を示す部分拡大背面図
【図7】同パネル連結装置の他の使用例を示し、同パネル連結装置を用いて間仕切りパネルの複数のパネルを連結した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1及び図2に折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置を示している。
図1及び図2に示すように、符号10は、複数のパネルが相互に折り畳み可能に連結され、屋外又は屋内にパネル走行案内手段を介して走行可能に設置される各種の折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置であり、このパネル連結装置10は、各パネルの上下各端部を各パネルの正面側及び背面側から挟持して支持可能な溝形形状をなす上下の複数のパネルフレーム18と、上下の各パネルフレーム18において相互に隣り合う各パネルフレーム18の端部間に取り付けられ、当該各パネルフレーム18を所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に隣り合う各パネルフレーム18の展開時にのみ当該隣り合う各パネルフレーム18の端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制して保持可能な上下の各パネルフレームの動きに合せてフレキシブルに変形可能な上下の複数の連結部材19とを備える。
この場合、上下の各連結部材19にチェーンを含む索状部材が採用され、索状部材は、上下の各パネルフレーム18の上面、下面で当該上面、下面の端部付近の所定の位置にリング形状を有する取付部材20が当該リング形状を各パネルフレーム18の折り畳み時の相互の対向面となる一方の側面から外側に突出して取り付けられ、当該取付部材20に着脱可能に連結されて、各パネルフレーム18に着脱可能に取り付けられる。
また、複数のパネルが上方に設置されるガイドレールに複数のガイドローラを介して吊り下げられる複数の走行棒に取り付けられる形式の場合、上下のパネルフレーム18はそれぞれ各パネルの上端部及び下端部の延びる方向に対応する長さ方向略中央を各走行棒の所定の位置に合わせて略十字形に取り付けられ、各走行棒が各パネルを各パネルの背面側の両側部間略中央で支持可能な支持構造とする。
この場合、上下の各パネルフレーム18と各走行棒との取付位置で各パネルフレーム18に略筒状の取付部材182が設けられ、各走行棒に略筒状の取付部材が嵌挿可能な開口が形成されて、各パネルフレーム18は、各パネルフレーム18の取付部材182が各走行棒の開口に嵌挿され、当該各取付部材182に取付棒が挿着されて、各走行棒に着脱可能に取り付けられる。
このようにして各パネルを上下の各パネルフレーム18間に嵌め込み固定し、隣り合う各パネルフレーム18間の各連結部材19の案内により折り畳み又は展開するようになっている。
以下、このパネル連結装置10の使用例を示しながら、その具体的な構成及びその作用効果について詳しく説明する。
【0011】
図3にこのパネル連結装置10を用いて仮設パネルゲートの複数のパネルを連結した状態を示している。図3に示すように、仮設パネルゲート1は、左右に相互に対向して立設される一対の支柱11,11、及びこれら支柱11,11の上部間に架設される支持梁12と、支持梁12の下部に走行手段を介して走行可能にかつ回動手段を介して回動可能に吊り下げられる複数の走行棒14と、各走行棒14に折り畳み可能に取り付けられる複数のパネル21とを備えて構成される。なお、このパネルゲート1では、略中央の2枚のパネル21,21間を境に右側の各パネル21と左側の各パネル21が左右に分かれて折り畳まれ、両開き可能に構成される。
【0012】
一対の支柱11,11はそれぞれ鋼材からなり、各種工事現場などの出入口の左右両側にそれぞれアンカーを介して立ち上げ設置される。
支持梁12は鋼材からなり、その下面に沿って各走行棒14の走行手段としてガイドレール13が取り付けられる。この場合、ガイドレール13は鋼材により支持梁12の下面の長手方向に向けて当該下面と略同じ長さに延びる断面略C字形のガイドレールとして形成され、その上面及び左右両側面(の内面)がガイド面、下面(の内面)が走行面で、下面の走行面に幅方向中央に長手方向に向けてスリットが設けられている。このガイドレール13は支持梁12の下面に溶接などにより接合される。このようにして支持梁12はガイドレール13が形成されて両端を各支柱11,11の上部にボルトにより固定されて各支柱11,11の上部間に架け渡される。
【0013】
複数の走行棒14はそれぞれ鋼材からなり、上部に軸151を介して走行棒14の走行手段となる走行用ローラ15が取り付けられ、下部に軸161を介して走行棒14を振れ止めするためのリング16が取り付けられる。この場合、走行用ローラ15はガイドレール13のガイド面内で下面の走行面上を走行可能に構成され、上部の軸151はガイドレール13のスリットを挿通可能な軸で走行用ローラ15に一体的に連結される。かかる走行用ローラ15が軸151により走行棒14の上部に相互に回動可能に取り付けられる。このようにして上部の走行用ローラ15がガイドレール13のガイド面内で走行面上に走行可能に組み入れられ、回転軸151がガイドレール13の走行面のスリットに通されて、複数の走行棒14はそれぞれガイドレール13に沿って走行可能にかつガイドレール13の各走行用ローラ15に対して回動可能に吊り下げられる。また、下部のリング16は軸161と一体に形成され、軸161により、各走行棒14の下部に相互に回転可能に取り付けられる。各走行棒14は下部のリング16に左右の支柱11,11の下部間で地面より僅かに上方の所定の高さに張り渡される振れ止め用のワイヤ17が通され、各走行棒14の走行方向及び回動方向の動きを許容されて振れ止めされる。
【0014】
これらの走行棒14の上下所定の位置にそれぞれ、既述の上下の複数のパネルフレーム18が取り付けられる。
この場合、走行棒14は、図5に示すように、断面コ字形の角材により形成され、上下のパネルフレーム18,18はそれぞれ、鋼材により、後述する各パネル21に対応させて各パネル21の上端部又は下端部が嵌合可能な下面、上面に開口を有する箱形に形成され、一方の長い側面の両端に開口に連通する略矩形の切り欠き181が併せて形成される。このような上下のパネルフレーム18,18はそれぞれ、図4に示すように、各パネル21の上端部及び下端部の延びる方向に対応する長さ方向略中央、この場合、上下の各パネルフレーム18,18の切り欠き181のない他方の側面の長さ方向中央を各走行棒14の中央の面の上下所定の位置に略直角に合わせて略十字形に取り付けられ、各走行棒14が各パネル21を各パネル21の背面側の左右両側部間の略中央で支持する支持構造になっている。
また、この場合、上下の各パネルフレーム18,18と各走行棒14との取付位置、すなわち、各パネルフレーム18の側面中央に、図6に示すように、略円筒状の取付部材182が2本その軸方向を上下に向けて平行に設けられ、各走行棒14の中央の面に各パネルフレーム18の各取付部材182が嵌挿可能に略矩形状の開口141が2箇所平行に形成されて、各パネルフレーム18は、各パネルフレーム18の各取付部材182が各走行棒14の各開口141に嵌挿され、各走行棒14の各取付部材182が嵌挿された側(走行棒14の背面側)で各取付部材182に取付棒183が挿着されて、各走行棒14に着脱可能に取り付けられる。
【0015】
そして、図5に示すように、中央の一方の走行棒14から右側の各走行棒14に取り付けられる上下のパネルフレーム18,18と中央の他方の走行棒14から左側の各走行棒14に取り付けられる上下のパネルフレーム18,18と分けて、これら右側、左側の上下の各パネルフレーム18において相互に隣り合う各パネルフレーム18の端部間に、当該各パネルフレーム18を所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に、隣り合う各パネルフレーム18の展開時にのみ当該隣り合う各パネルフレーム18の端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制して保持可能な、上下の各パネルフレーム18,18の動きに合わせてフレキシブルに変形可能な上下の複数の連結部材19が取り付けられる。
この場合、上下の各連結部材19に、既述のとおり、索状部材、ここでは金属製のチェーンが採用される。図5に示すように、チェーン19は、上下の各パネルフレーム18,18の上面、下面で当該上面、下面の端部付近の所定の位置にリング形状を有する取付部材20が当該リング形状を各パネルフレーム18の折り畳み時の相互の対向面となる一方の側面から外側に突出して取り付けられ、この取付部材20に連結される。
また、この場合、取付部材20はリング形状を開閉可能な例えばレバー式(リング形状の一部がレバーで、このレバーでリング形状を開閉できる形式)の周知の連結解除手段を有し、チェーン20は取付部材20に連結解除手段により着脱可能に連結され、隣り合う各パネルフレーム18,18間に着脱可能に取り付けられる。
【0016】
なお、このパネルゲート1では、各パネル21に多孔質吸音材からなる平板状のパネル基材とこのパネル基材を被覆する遮音性を有するパネルシートとからなり、全体が上下方向に長い長方形で少し厚みのある平板状に構成され、吸音性・防音性に優れたパネルが採用される。これらのパネル21には、各パネル21の側部間に各パネル21の側部間を補助的に連結し、各パネル21の側部間の隙間を塞ぐカバー22が着脱可能に設けられる。この場合、カバー22は、図3に示すように、相互に隣り合うパネル21の一方のパネル21のパネルシートの一端に他方のパネル21のパネルシートの他端に重合可能な閉じ代として形成され、カバー22の内面に雄側又は雌側の面ファスナが設けられ、他方のパネル21のパネルシートの他端に雌側又は雄側の面ファスナが設けられて、各パネル21の谷折の端部間は一方のパネル21のパネルシート一端のカバー22を他方のパネル21のパネルシートの他端に重合接続し、山折りの端部間は一方のパネル21のパネルシート一端のカバー22と他方のパネル21のパネルシートの他端との間にさらに同じ遮音材からなる別体の延長カバーを雄側及び雌側の面ファスナを介して接続するようになっている。これらのパネル21は各走行棒14への上下の各パネルフレーム18,18の取り付けとともに、上下の各パネルフレーム18,18間に差し込まれて取り付けられ、各パネルフレーム18,18の一端の切り欠き181から各カバー22が外側に取り出されて各パネルフレーム18,18の他端の切り欠き181を通じてパネルシートの他端に重合され、各パネル21,21間で面ファスナを介して接続される。なお、この場合、最も左側及び右側の上下の各パネルフレーム18,18は支柱11,11側の端部がチェーンなどを用いて左右両側の各支柱11,11に連結固定される。
【0017】
このようにしてこの仮設パネルゲート1では、各支柱11,11及び支持梁12により仮設ゲートが形成され、支持梁12の下面のガイドレール13に吊り下げられる各走行棒14の上下の各パネルフレーム18,18間に各パネル21が支持されて、各パネル21を隣り合う各パネルフレーム18,18間の各連結部材19、この場合、各チェーン19の案内により折り畳み又は展開することにより、仮設ゲートを開閉するようになっている。
【0018】
図3では仮設パネルゲート1の各パネル21を展開して、仮設ゲートを閉じた状態を示している。この場合、各パネル21は各パネルフレーム18,18間のチェーン19が伸び切った状態になっていて、これらのチェーン19により隣り合う各パネルフレーム18,18の端部間が所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制され、各パネルフレーム18,18の端部間に各パネルフレーム18の開動時の引き動作によって各パネルフレーム18を所定の一方向に折り畳み可能な角度状態が保持される。したがって、中央の各パネル18,18をそれぞれ右方向、左方向に引けば、右側中央のパネル21は右側の折り畳み方向に回動して中央のパネル21から順次右側の各パネル21が右側方向に折り畳まれ、左側中央のパネル21は左側の折り畳み方向に回動して中央のパネル21から順次左側の各パネル21が左側方向に折り畳まれる。このようにして左右のパネル21がすべて右側、左側に分けて折り畳まれ、仮設ゲートが開かれる。また、この仮設パネルゲート1では各走行棒14が各パネル21を各パネル21の背面側の左右両側部間の略中央で支持する支持構造になっているので、仮設ゲートの開状態で左右の各パネル21の左右両側は支持梁12の前後に略均等に張り出されてバランスが取れるので、各パネル21が従来のように偏荷重により斜めになることがなく、正常な姿勢に保持され、また、各走行棒14の走行性が良好に維持されることになる。
そして、この仮設ゲートの各パネル21が折り畳まれて開放された状態から各パネル21を展開して仮設ゲートを閉じる場合は、左右に折り畳まれた状態のパネル21から手前にある中央のパネル21をそれぞれ中央に向けて引けば、右側中央のパネル21は走行用ローラ15のスムーズな走行によりパネルフレーム18が所定の一方向、すなわち展開方向に回動して中央のパネル21から順次右側の各パネル21が中央に向けて移動しながら展開され、左側中央のパネル21もまた走行用ローラ15のスムーズな走行によりパネルフレーム18が所定の一方向、すなわち展開方向に回動して中央のパネル21から順次左側の各パネル21が中央に向けて移動しながら展開される。そして、各パネル21は上下の隣り合う各パネルフレーム18,18間の各チェーン19が伸び切った状態になると、これらのチェーン19により上下の隣り合う各パネルフレーム18,18の端部間が所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制され、各パネルフレーム18,18の端部間に各パネルフレーム18の開動時の引き動作によって各パネルフレーム18を所定の一方向に折り畳み可能な角度状態が保持される。これにより、既述のとおり、各パネル21は従来のように偏荷重により斜めになることがなく、正常な姿勢に保持され、また、各走行棒14の走行性が良好に維持されることになる。このようにしてすべてのパネル21が展開されて、仮設ゲートが閉じられる。
【0019】
このようにこの仮設パネルゲート1では、各走行棒14の上下所定の位置にそれぞれ、各パネル21の上下各端部を各パネル21の正面側及び背面側から挟持して支持可能な溝形形状をなす上下の複数のパネルフレーム18,18を取り付け、上下の各パネルフレーム18,18において相互に隣り合う各パネルフレーム18,18の端部間に、当該各パネルフレーム18,18を所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に隣り合う各パネルフレーム18,18の展開時にのみ当該隣り合う各パネルフレーム18,18の端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制して保持可能な、上下の各パネルフレーム18,18の動きに合せてフレキシブルに変形可能な上下の複数の連結部材、この場合、チェーン19を取り付け、各パネル21を上下の各パネルフレーム18,18間に支持して、隣り合う各パネルフレーム18,18間の各チェーン19の案内により折り畳み又は展開するようにしたので、各パネル21を従来のように多くの蝶番を用いることなく、容易に組み立てることができ、また、各パネル21の大きさに関わらず、各パネル21を折り畳む場合でも展開する場合でも各パネル21を斜めにすることなく正常な姿勢に保持して見栄えを良好にすることができる。そして、各パネル21を斜めにすることなく正常な姿勢に保持することで、各走行棒14の走行性を良好に維持することができる。
【0020】
また、この仮設パネルゲート1の場合、さらに次のような構成により次のような作用効果を得ることができる。
(1)上下のパネルフレーム18,18をそれぞれ各パネル21の上端部及び下端部の延びる方向に対応する長さ方向略中央を各走行棒14の所定の位置に合わせて略十字形に取り付けて、各走行棒14が各パネル21を各パネル21の背面側の左右両側部間の略中央で支持する支持構造としたので、仮設ゲート1の開状態で左右に折り畳まれた各パネル21の左右両側を支持梁12の前後に略均等に張り出してバランスを取ることができ、各パネル21に偏荷重が生じることがなく、各パネル21の正常な姿勢の保持と、各走行棒14の良好な走行性に資することができる。
(2)上下の各パネルフレーム18,18と各走行棒14との取付位置で各パネルフレーム18に略円筒状の取付部材182を設け、各走行棒14に略円筒状の取付部材182を嵌挿可能な矩形状の開口141を形成して、各パネルフレーム18を、各パネルフレーム18の取付部材182を各走行棒14の開口141に嵌挿し、当該各取付部材182に取付棒183を挿着して、各走行棒14に着脱可能に取り付けるので、上下の各パネルフレーム18,18の各走行棒14への取り付けと、上下の各パネルフレーム18,18への各パネル21の取り付けを共に少ない部品点数で容易に行え、コストの低減を図ることができる。
(3)上下の各連結部材19にチェーンを採用し、チェーン19を、上下の各パネルフレーム18,18の上面及び下面で当該上面及び下面の端部付近の所定の位置にリング形状を有する取付部材20を当該リング形状を各パネルフレーム18の折り畳み時の相互の対向面となる一方の側面から外側に突出するように取り付け、この取付部材20に当該取付部材20に有する連結解除手段を介して着脱可能に連結して、各パネルフレーム18に着脱可能に取り付けるので、上下の各パネルフレーム18,18の連結部材19を簡易な構成で容易に取り付けることができ、この簡易な構成によりコストの低減を図ることができる。
【0021】
なお、この使用例では、連結部材19に索状部材が採用され、特に、チェーンが例示されているが、金属製のワイヤやロープ、ゴム製や布製の紐などを利用することもでき、さらに、複数のリンク部材を連結してなる連結部材を採用することもできる。また、この連結部材19はチェーンその他の索状部材に限定されるものではなく、チェーンなどと同じ作用を有するものであれば、他のものに適宜変更される。
また、ここで例示したパネルゲート1では、各複数のパネル21が上方に設置されるガイドレール13に複数の走行用ローラ15を介して吊り下げられる複数の走行棒14に取り付けられる形式になっているが、複数のパネル21が地面上に敷設されるガイドレールに複数のガイドローラを介して或は地面上を直接転動可能な複数のガイドローラを介して走行可能に設置される形式であっても、各パネル21を複数のパネルフレーム18及び連結部材19を同様に用いて同様に連結することができ、上記と概ね同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
図7にこのパネル連結装置10を用いて、工場、倉庫、又は各種施設などで使用される間仕切りパネルの複数のパネルを連結した状態を示している。
図7に示すように、この種の間仕切りパネル3は、複数のパネル31が相互に折り畳み可能に連結され、パネル走行案内手段をなす床上若しくは地上を直接転動可能な複数のガイドローラ32を介して走行可能に、各間仕切り位置に設置される。
このパネル連結装置10では、各パネル31の上下各端部を各パネルの正面側及び背面側から挟持して支持可能な溝形形状をなす上下の複数のパネルフレーム18と、上下の各パネルフレーム18において相互に隣り合う各パネルフレーム18の端部間に取り付けられ、当該各パネルフレーム18を所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に隣り合う各パネルフレーム18の展開時にのみ当該隣り合う各パネルフレーム18の端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制して保持可能な、上下の各パネルフレームの動きに合せてフレキシブルに変形可能な上下の複数の連結部材19とを備え、屋内空間の間仕切り位置を各パネル31の折り畳み又は展開により開閉するようになっている。
この場合、各パネル31は金属材又は合成樹脂材により縦方向に長い長方形の平板に形成され、上下のパネルフレーム18,18はそれぞれ、金属材又は合成樹脂材により、各パネル31に対応させて各パネル31の上端部又は下端部が嵌合可能な下面、上面に開口を有する箱形に形成される。なお、このパネルフレーム18,18の場合、いずれの側面にも切り欠きは形成されない。これら上下の各パネルフレーム18,18はそれぞれ、各パネル31の上下の各端部に外嵌固定される。また、下部のパネルフレーム18のうち、適宜の位置のパネルフレーム18に2個のローラ320,320を並列に有するガイドローラ32が取り付けられる。
【0023】
そして、これら上下の各パネルフレーム18,18において相互に隣り合う各パネルフレーム18,18の端部間に、当該各パネルフレーム18,18を所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に、隣り合う各パネルフレーム18,18の展開時にのみ当該隣り合う各パネルフレーム18,18の端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制して保持可能な、上下の各パネルフレーム18,18の動きに合わせてフレキシブルに変形可能な上下の複数の連結部材19が取り付けられる。
この場合も、上記と同様に、上下の各連結部材19に金属製のチェーンが採用され、このチェーン19は、上下の各パネルフレーム18,18の上面、下面で当該上面、下面の端部付近の所定の位置にリング形状を有する取付部材20が当該リング形状を各パネルフレーム18の折り畳み時の相互の対向面となる一方の側面から外側に突出して取り付けられ、この取付部材20に着脱可能に連結される。
このようにしても上記と同様に、複数のパネル31を、その大きさに関わらず、蝶番を用いることなく簡易に、しかも折り畳みやすくかつ展開しやすく組み立てることができる。
【0024】
なお、この使用例でも、連結部材19に索状部材が採用され、特に、チェーンが例示されているが、金属製のワイヤやロープ、ゴム製や布製の紐などを利用することもでき、さらに、複数のリンク部材を連結してなる連結部材を採用することもできる。また、この連結部材19はチェーンその他の索状部材に限定されるものではなく、チェーンなどと同じ作用を有するものであれば、他のものに適宜変更される。
また、ここで例示した間仕切りパネルでは、複数のパネル31が地面上を直接転動可能な複数のガイドローラ32を介して走行可能に設置される形式になっているが、複数のパネルが地面上に敷設されるガイドレールに複数のガイドローラを介して走行される形式でもよく、また、各複数のパネルが上方に設置されるガイドレールに複数のガイドローラを介して吊り下げられる形式であってもよく、いずれの形式でも、各パネルを複数のパネルフレーム及び連結部材を同様に用いて同様に連結することができ、上記と概ね同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 仮設パネルゲート
10 折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置
11 支柱
12 支持梁
13 ガイドレール
14 走行棒
141 開口
15 走行用ローラ
151 軸
16 リング
161 軸
17 ワイヤ
18 パネルフレーム
181 切り欠き
182 取付部材
183 取付棒
19 連結部材(チェーン)
20 取付部材
21 パネル
22 カバー
3 間仕切りパネル
31 パネル
32 ガイドローラ
320 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルが相互に折り畳み可能に連結され、屋外又は屋内にパネル走行案内手段を介して走行可能に設置される各種の折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置であって、
前記各パネルの上下各端部を前記各パネルの正面側及び背面側から挟持して支持可能な溝形形状をなす上下の複数のパネルフレームと、
前記上下の各パネルフレームにおいて相互に隣り合う各パネルフレームの端部間に取り付けられ、当該各パネルフレームを所定の一方向に折り畳み可能にかつ展開可能に前記隣り合う各パネルフレームの展開時にのみ当該隣り合う各パネルフレームの端部間を所定角度の略V字形若しくは略逆V字形又は略逆ハの字形若しくは略ハの字形に規制して保持可能な前記上下の各パネルフレームの動きにフレキシブルに変形可能な上下の複数の連結部材と、
を備え、
前記各パネルを前記上下の各パネルフレーム間に嵌め込み固定し、前記隣り合う各パネルフレーム間の各連結部材の案内により折り畳み又は展開する、
ことを特徴とする折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置。
【請求項2】
上下の各連結部材にチェーンを含む索状部材が採用され、前記索状部材は、上下の各パネルフレームの上面、下面で当該上面、下面の端部付近の所定の位置にリング形状を有する取付部材が当該リング形状を前記各パネルフレームの折り畳み時の相互の対向面となる一方の側面から外側に突出して取り付けられ、当該取付部材に着脱可能に連結されて、前記各パネルフレームに着脱可能に取り付けられる請求項1に記載の折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置。
【請求項3】
複数のパネルが上方に設置されるガイドレールに複数のガイドローラを介して吊り下げられる複数の走行棒に取り付けられる形式の場合、上下のパネルフレームはそれぞれ前記各パネルの上端部及び下端部の延びる方向に対応する長さ方向略中央を各走行棒の所定の位置に合わせて略十字形に取り付けられ、前記各走行棒が前記各パネルを前記各パネルの背面側の両側部間略中央で支持可能な支持構造とする請求項1又は2に記載の折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置。
【請求項4】
上下の各パネルフレームと各走行棒との取付位置で前記各パネルフレームに略筒状の取付部材が設けられ、前記各走行棒に前記略筒状の取付部材が嵌挿可能な開口が形成されて、前記各パネルフレームは、前記各パネルフレームの前記取付部材が前記各走行棒の前記開口に嵌挿され、当該各取付部材に取付棒が挿着されて、前記各走行棒に着脱可能に取り付けられる請求項3に記載の折り畳み式パネルに用いるパネル連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−219492(P2012−219492A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85399(P2011−85399)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(596086206)カワモリ産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】