説明

折り畳み支柱式屋根形天幕

【課題】本発明は折り畳み支柱式屋根形天幕に関し、夜営をしたり、物品の収納・保管をするのに用い、簡単な取り扱い操作により設営や分解が迅速かつ確実に行え、比較的多人数や大容量の物品を収容可能であり、日照や風雨を防ぐものである。
【解決手段】切妻形等の屋根部2を有する天幕本体1と、上部支柱材3Aと下部支柱材3Cを中部支柱材3Bに伸縮可能に組込み、所定長さLに止着される1本の棟支柱3、中部支柱材の上端部外周に一端4aが枢着され、他端4b側が略水平に回動可能に設けられた一対の棟張り材4,4、上部支柱材の上端部外周に一端5aが取付けられ、他端5bが棟張り材の他端4b側に取付けられた懸吊部材5とで構成され、棟6を張る支柱組立体7と、軒下四隅、および軒下Nに建て込まれる複数本の側柱8とを備え、天幕本体を引綱9を介して外側へ張力をかけて張設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折り畳み支柱式屋根形天幕に関し、伸縮可能に組み込まれた1本の棟支柱材を用いて夜営をしたり、または、物品を収納・保管をするのに用い、簡単な取り扱い操作により設営や分解が迅速かつ確実に行え、比較的多人数と、また、大容積に物品を収容可能であり、日照や風雨を防ごうとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、設営が容易な折畳みテントとして、天幕の中央部に立設される一定長さの1本の支柱と、該支柱に移動自在に嵌合した摺動筒と、前記支柱の上端に一端を回動可能に枢着した復数の主バーと、該主バーの中間部に一端を枢着し、前記摺動筒を前記各主バーが展開した状態に支持される係合子とを備えた傘形形式の折畳みテントがあった(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】実用新案登録第3013187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の上記従来の折畳みテントは、天幕の中央部に立設される一定長さの1本の支柱と、該支柱に移動自在に嵌合した摺動筒と、前記支柱の上端に一端を回動可能に枢着した復数の主バーと、該主バーの中間部に一端を枢着し、前記摺動筒を前記各主バーが展開した状態に支持される係合子とを備えた傘形形式の折畳みテントであり、支柱に対して摺動筒を移動自在に嵌合することによって該摺動筒に一端が枢着され、他端が主バーに枢着されたヒンジバーを介して前記主バーを回動させて天幕を拡張し、テントを設営するものである。従って、特許文献1記載の上記従来の折畳みテントは、支柱の長さが伸縮可能に変化しない、一定長さであり、支柱の長さを長くできないので、テントの屋根部の高さが低く、比較的小型であり、少人数の人員を収容するとともに小容量の貨物や物品を収容するためのものであった。しかも、特許文献1記載の上記従来の折畳みテントは、支柱は伸縮可能に折り畳めるものではないので、移動、運搬に嵩張り、取り扱いが容易ではないとともに、広い保管場所を必要としていた。
【0004】
また、特許文献1記載の上記従来の折畳みテントは、テントを設営した場合に、屋根部の高さが低く、比較的小型であり、少人数の人員を収容するとともに小容量の貨物や物品を収容するものであった。しかも、移動、運搬に嵩張り、取り扱いが容易ではないとともに、保管場所に大面積を必要としていた。
【0005】
本発明は上記従来の折畳みテントの欠点を解決し、屋根部の高さが高く、比較的大型に設営でき、多人数の人員を収容できるとともに大容量の貨物や物品を収容し、また、移動、運搬に嵩張らずにコンパクト化され、取り扱いが容易であるとともに、保管場所に大面積を必要とせず、また、日照や雨雪を防ぐのに充分であり、また、強風に対する倒壊を予防して強度が向上して構造堅牢になり、さらには、構造が簡単で部品数が少なく、組立操作および分解操作が容易かつ迅速に行える折り畳み支柱式屋根形天幕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、
切妻形、または寄せ棟形の屋根部を有する天幕本体と、
上部支柱材、並びに、下部支柱材を中部支柱材の上部および下部に伸縮可能に組込むとともに、所定長さに止着可能に組付けられる1本の棟支柱、および前記中部支柱材の上端部外周に一端が枢着され、他端側が略垂直から略水平へと回動可能に設けられた一対の棟張り材、そして、前記上部支柱材の上端部外周に一端が取付けられ、他端が前記棟張り材の他端側に設けられた懸吊部材とで構成され、前記天幕本体の頂上部における棟を張る支柱組立体と、
前記天幕本体の軒下四隅、および軒下に等間隔毎に建て込まれる複数本の側柱とを備え、
前記天幕本体を引綱を介して外側へ張力をかけて張設することを特徴とした。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記上部支柱材、および前記下部支柱材は、小径をなし、大径の前記中部支柱材の上下の内部に伸縮可能に収納されることを特徴とした。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2の何れかにおいて、前記上部支柱材の下端と前記中部支柱材の上端、並びに該中部支柱材の下端と前記下部支柱材の上端とは、前記上部支柱材の下端および前記中部支柱材の上端、並びに該中部支柱材の下端と前記下部支柱材の上端とにそれぞれ止めピンが内挿され、該止めピンは、前記上部支柱材、並びに前記下部支柱材の前記中部支柱材に対する伸縮長さを設定可能に余裕をもって閉鎖状の連結環状体内に配挿されることを特徴とした。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかにおいて、前記下部支柱材の下端部外周には、基台が回動可能に枢着されたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れかにおいて、前記懸吊部材は、前記上部支柱材の上端に設けられた保持リングと、該保持リングに一端が連結され、他端が止めリング並びに座金を介して止めボルトにて棟張り材の他端に取付けられる懸吊金具棒、またはチェーンにて形成されることを特徴とした。
【0011】
さらに、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れかにおいて、前記引綱は、一端が前記屋根部の頂上における棟の外端部に取付けられ、他端は地面に打ち込まれた杭に取付けられる棟引綱と、一端が前記屋根部の軒先部に取付けられ、他端が他の杭に取付けられることにより長手方向に所定間隔に対設され、左右の前記側壁支柱、および側壁部に外方向に張力を与える軒引綱とで構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、切妻形、または寄せ棟形の屋根部を有する天幕本体と、上部支柱材、並びに、下部支柱材を中部支柱材の上部および下部に伸縮可能に組込むとともに、所定長さに止着可能に組付けられる1本の棟支柱、および前記中部支柱材の上端部外周に一端が枢着され、他端側が略垂直から略水平へと回動可能に設けられた一対の棟張り材、そして、前記上部支柱材の上端部外周に一端が取付けられ、他端が前記棟張り材の他端側に設けられた懸吊部材とで構成され、前記天幕本体の頂上部における棟を張る支柱組立体と、前記天幕本体の軒下四隅、および軒下に、等間隔毎に建て込まれる複数本の側柱とを備え、前記天幕本体を引綱を介して外側へ張力をかけて張設することを特徴としたので、屋根部の高さが高く、比較的大型に設営が行え、多人数の人員を収容できるとともに大容量の貨物や物品を収容できる。また、移動、運搬に嵩張らずにコンパクト化され、取り扱いが容易であるとともに、保管場所に大面積を必要としない。また、日照や雨雪を防ぐのに充分であり、また、強風に対する倒壊を予防して強度が向上して構造堅牢になる。さらには、構造が簡単で部品数が少なく、組立操作および分解操作が容易かつ迅速に行える。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、前記上部支柱材、および前記下部支柱材は、小径をなし、大径の前記中部支柱材の上下の内部に伸縮可能に収納されることを特徴としたので、折り畳み支柱式屋根形天幕を造設する場合に、中部支柱材に対して上部支柱材および下部支柱材を伸長することにより、屋根部の高さが高く、比較的大型に天幕の設営が行えるため、多人数の人員を収容できるとともに大容量の貨物や物品を収容できる。また、屋根形天幕を移動したり、運搬するのに中部支柱材に対して上部支柱材および下部支柱材を縮小することにより、嵩張らずにコンパクト化され、取り扱いが容易であるとともに、保管場所に大面積を必要としないで済む。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、前記上部支柱材の下端と前記中部支柱材の上端、並びに該中部支柱材の下端と前記下部支柱材の上端とは、前記上部支柱材の下端および前記中部支柱材の上端、並びに該中部支柱材の下端と前記下部支柱材の上端とにそれぞれ止めピンが内挿され、該止めピンは、前記上部支柱材、並びに前記下部支柱材の前記中部支柱材に対する伸縮長さを設定可能に余裕をもって閉鎖状の連結環状体内に配挿されることを特徴としたので、折り畳み支柱式屋根形天幕を設営する場合に、中部支柱材に対して上部支柱材および下部支柱材を伸長すると、前記上部支柱材の下端および前記中部支柱材の上端、並びに該中部支柱材の下端と前記下部支柱材の上端とに内挿した止めピンが、余裕をもって内挿された閉鎖状の連結環状体に衝突して移動が阻止されるまで、前記上部支柱材、並びに前記下部支柱材は、中部支柱材に対して伸長される。また、上部支柱材、並びに前記下部支柱材の伸長後は、止めピンが閉鎖状の連結環状体に衝突して移動が阻止されるから、上部支柱材、並びに前記下部支柱材の中部支柱材に対する不用意な抜け出しは防止される。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、前記下部支柱材の下端部外周には、基台が回動可能に枢着されたことを特徴とするので、折り畳み支柱式屋根形天幕の造設時に、上部支柱材、並びに下部支柱材を中部支柱材に伸長し、基台を回動操作することにより、地面に棟支柱を前記基台を介して安定に立設することができる。
【0016】
また、本発明の請求項5に記載の発明によれば、前記懸吊部材は、前記上部支柱材の上端に設けられた保持リングと、該保持リングに一端が連結され、他端が止めリング並びに座金を介して止めボルトにて棟張り材の他端に取付けられる懸吊金具棒、またはチェーンにて形成されることを特徴としたので、簡単な取り扱い操作により、構造堅牢に天幕本体の切妻形、または寄せ棟形の屋根部を設営することができる。
【0017】
さらに、本発明の請求項6に記載の発明によれば、前記引綱は、一端が前記屋根部の頂上における棟の外端部に取付けられ、他端は地面に打ち込まれた杭に取付けられる棟引綱と、一端が前記屋根部の軒先部に取付けられ、他端が他の杭に取付けられることにより長手方向に所定間隔に対設され、左右の前記側壁支柱、および側壁部に外方向に張力を与える軒引綱とで構成されるので、簡単な取り扱い操作により、切妻形、または寄せ棟形の屋根部の高さが高く、比較的大型に天幕の造設が行える、多人数の人員を収容できるとともに大容量の貨物や物品を収容できる。また、天幕本体を構造堅牢に設営することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面に従い、本発明を実施するための最良の形態につき詳細を説明する。
【0019】
図1は本発明の折り畳み支柱式屋根形天幕の実施形態1を示し、設営した状態の斜視図、図2は本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を設営するのに使用する支柱組立体を示す正面図、図3は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を設営するのに使用する棟支柱を示す拡大一部断面図、図4は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を設営するのに使用する支柱を構成する下部支柱を示す拡大一部断面図、図5は同じく棟支柱を構成する中部支柱材の拡大一部断面図、図6は同じく中部支柱材の拡大平面図、図7は同じく棟支柱を構成する下部支柱材の拡大一部断面図、図8は同じく下部支柱材の拡大平面図、図9は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕で使用する棟張り材を示す拡大正面図、図10は同じく棟張り材の拡大側面図、図11は同じく実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕で使用する懸吊部材を示す拡大一部断面図、図12は同じく保持リングの拡大平面図、図13は同じく止めリングの拡大平面図、図14は同じく実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕で使用する側柱の拡大一部断面図、図15は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を展開した状態の斜視図、図16は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕で使用する支柱組立体を伸長する状態を示す斜視図、図17は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕の下面に支柱組立体の上方を差し込んだ状態の斜視図、図18は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を建て込む状態の斜視図である。
【0020】
本発明の折り畳み支柱式屋根形天幕の本実施形態1は、切妻形、または寄せ棟形の屋根部2を有する天幕本体1と、上部支柱材3A、並びに、下部支柱材3Cを中部支柱材3Bの上部および下部に伸縮可能に、かつ、所定長さL1に組込むとともに、所定長さLに止着可能に組付けられる1本の棟支柱3、および前記中部支柱材3Bの上端部外周に一端4aが枢着され、他端4b側が略垂直から略水平へと回動可能に設けられた一対の棟張り材4,4、そして、前記上部支柱材3Aの上端部外周に一端5aが取付けられ、他端5bが前記棟張り材4,4の他端4b側に取付けられた懸吊部材5とで構成され、前記天幕本体1の頂上部における棟6を張る支柱組立体7と、前記天幕本体1の軒下四隅、および軒下Nに、等間隔L2毎に建て込まれる複数本の側柱8とを備え、前記天幕本体1を引綱9を介して外側へ張力をかけて張設することを特徴とした。
【0021】
図示する本実施形態1では、前記上部支柱材3A、および前記下部支柱材3Cは、小径をなし、大径の前記中部支柱材3Bの上下の内部に伸縮可能に収納されるが、前記棟支柱3を伸縮可能、かつ止着可能に設けるのには、図示する実施形態1に限ることなく、例えばアンテナロッド状に前記上部支柱材3Aは小径、および、前記中部支柱材3Bは中径、さらに前記下部支柱材3Cは大径に形成することにより伸縮可能に組み込むとともに、伸長して止着可能にするようにしてもよい。
【0022】
4Aは前記中部支柱材3Bの上端部外周に一対の棟張り材4,4の一端4aを回動可能に枢着するために、前記中部支柱材3Bの上端に設けられた断面略コ字状の保持金具である。
【0023】
10は前記上部支柱材3Aの下端と前記中部支柱材3Bの上端、並びに該中部支柱材3Bの下端と前記下部支柱材3Cの上端との内部に直径方向に内挿される止ボルトであり、この止ボルト10,10は、閉鎖状の連結環状体11,11内に余裕をもって止めピン10′,10′と対向して配挿されることにより、前記中部支柱材3Bに対して前記上部支柱材3A、並びに前記下部支柱材3Cを伸長する場合に、前記連結環状体11,11内に内挿した止ボルト10と、止めピン10′とが、閉鎖状の連結環状体11,11の内周側の上端または下端に衝突して移動が阻止されるまで、前記上部支柱材3A、並びに前記下部支柱材3Cは、中部支柱材3Bに対して伸長されるように伸長長さを設定する。10Aは伸長後の上部支柱材3A、並びに下部支柱材3Cを、中部支柱材3Bに対して止着するために、止ボルト10のねじ部に螺合、締定されるナットである。また、止めピン10′は上部支柱材3Aの下端、および下部支柱材3Cの上端に内挿され、これらの止めピン10′,10′に前記連結環状体11,11は溶接等の固着手段により取付けられている。
【0024】
12は前記下部支柱材3Cの下端部外周に回動可能に設けられた基台であり、この基台12は屋根形天幕の造設時に、回動操作することにより、上部支柱材3A、並びに下部支柱材3Cを中部支柱材3Bに伸長し、地面Eに棟支柱3を前記基台12を介して安定に立設するためのものである。
【0025】
また、前記懸吊部材5は、前記上部支柱材3Aの上端に設けられた保持リング13と、該保持リング13に一端5aが連結され、他端が止めリング14並びに座金15,15を介して止めボルト16にて他端5bに取付けられる懸吊金具棒17、または図には示さないチェーンにて形成される。
【0026】
前記側柱8は、図14に示すように下端が円錐形の石突き部8aとなして地面Eに打ち込み可能であり、上端部には屋根部2の四隅、および軒先N,Nに等間隔に設けた金環材W内に突出されるピン体8bを突設している。そして、この側柱8は、屋根部2の四隅、および軒先N下面に等間隔L2に立設されることにより、本実施形態1では合計6本の側柱8を用いて屋根部2を支持する。
【0027】
前記引綱9は、一端9Aが前記屋根部2の頂上における棟6の外端部6aに取付けられて他端9Aは地面Eに打ち込まれた杭19に取付けられる棟引綱9Aと、一端9Bが前記屋根部2の軒先部に取付けられ、他端9Bが他の杭19′に取付けられることにより長手方向Iに所定間隔L2に対設され、左右の前記側柱8,8,8;8,8,8に外方向に張力を与える軒引綱9Bとで構成される。このうち、四隅に立設される4本の側柱8は、2本づつの軒引綱9Bを左右に振り分けて張設される。
【0028】
前記棟引綱9Aは、図示する実施形態1では、天幕本体1の前後に左右に振り分けて2本づつ、合計4本が張設される。また、前記軒引綱9Bは、屋根部2の四隅、および軒先N下面に等間隔L2に立設された合計6本の側柱8の設置位置において屋根部2に外方向に張力をかけるとともに、前記側柱8の転倒を防止する。
【0029】
本発明の折り畳み支柱式屋根形天幕の実施形態1は以上の構成からなり、野外での設営を行うのには、先ず、野外の設営個所に天幕本体1を組立し易いように屋根部2を四方に展開しておく(図15参照)。
【0030】
次いで、支柱組立体7の棟支柱3を伸長し、天幕本体1への建て込みの準備を行う。すなわち、上部支柱材3A、および下部支柱材3Cを中部支柱材3Bの上下から引き出して伸長する。この際、上部支柱材3Aの下端および中部支柱材3Bの上端、並びに該中部支柱材3Bの下端と下部支柱材3Cの上端とに止ボルト10と止めピン10′とが、閉鎖状の連結環状体11,11の内周の上端または下端に衝突して移動が阻止されるまで、上部支柱材3A、並びに下部支柱材3Cは、中部支柱材3Bに対して伸長される。上部支持材3Aおよび下部支持材3Cを中部支持材3Bに対して伸長後は、止ボルト10のねじ部にナット10Aを螺合することにより緊締し、上部支持材3Aおよび下部支持材3Cが縮小しないように止着を行う。また、上部支柱材3A、並びに下部支柱材3Cの伸長後は、止ボルト10と止めピン10′が閉鎖状の連結環状体11,11内周の上端または下端に衝突して移動が阻止されるから、上部支柱材3A、並びに前記下部支柱材3Cの中部支柱材3Bに対する不用意な抜け出しは防止される。
【0031】
その後、中部支柱材3Bの上端部外周に一端4aが枢着された一対の棟張り材4,4を回動操作することにより、他端4b側を略垂直から略水平へと回動させ、伸長した棟支柱3と一対の棟張り材4,4とを交差した状態に展開する(図16参照)。
【0032】
それから、支柱組立体7を天幕本体1の下に潜らせて棟支柱3の上方部を差込み、一対の棟張り材4,4を屋根部2の中間部における長手方向Iに位置させる。
【0033】
そして、上部支柱材3Aの上端に設けられた保持リング13に一端5aが連結された1対の懸吊部材5,5としての懸吊金具棒17,17の他端5bを止めリング14並びに座金15,15を介して止めボルト16にて棟張り材4,4の他端側に取付けることにより、座金15,15と、棟張り材4,4との間に屋根部2の棟6の外縁部6a,6aを挟み、棟張り材4,4に対して屋根部2がずれ動かないようにする。
【0034】
その後、棟部6の外端部6aに一端9Aが取付けられた棟引綱9Aの他端9Aは地面Eに打ち込まれた杭19に掛けておき、天幕本体1の設営が進むのにつれて張力を調整するようにする。張力の調整は、ターンバックルを用いれば、容易に調整できる。
【0035】
また、一端9Bが屋根部2の四隅と軒先部に等間隔に取付けられた軒引綱9Bの他端9Bを他の杭19′に掛けて置く。
【0036】
それから、支柱組立体7を天幕本体1の下に潜らせて棟支柱3の上方部を差込み、一対の棟張り材4,4を屋根部2の中間部における長手方向Iに位置させる。そして、基台12を水平に回動操作することにより、地面Eに棟支柱3を前記基台12を介して安定に立設し、天幕本体1の屋根部2における棟6を上方に持ち上げる。
【0037】
次いで、天幕本体1の軒下四隅、および軒下Nに、等間隔L3毎に図示する実施形態1では6本の側柱8を建て込む。
【0038】
そして、屋根部2に対して前方および後方の各2本づつの棟引綱9A,9A;9A,9Aの張力を強くするとともに、屋根部2の四隅、および等間隔L2に一端9Bを軒先部に取付けている軒引綱9Bの張力を強くする。このうち、四隅に立設される4本の側柱8は、2本づつの軒引綱9Bを用いて張設される。こうして、簡単な取り扱い操作により支柱式屋根形天幕の設営を終える。
【0039】
このようにして設営された本実施形態1の支柱式屋根形天幕は、上部支柱材3A、並びに、下部支柱材3Cを中部支柱材3Bの上部および下部に多段に伸長し、かつ、所定長さLに止着された長さの長い棟支柱3を用いるのと、この棟支柱3の中部支柱材3Bの上端部外周に一端4aが枢着されて水平に展開された一対の棟張り材4,4が切妻形屋根の屋根部2における棟6の下面を支持するのと、この一対の棟張り材4,4の他端4bには一端5bが取り付けられ、他端5aが上部支柱材3Aの上端に設けられた保持リング13に連結された1対の懸吊部材5,5としての懸吊金具棒17,17とにより正面三角形に形成される構造材により屋根部2を懸吊するように支持するので、屋根部2は高さHが高く、比較的大型に造設が行える。従って、多人数の人員を収容できるとともに大容量の貨物や物品を収容できる。また、日照や雨雪を防ぐのに充分である。
【0040】
また、支柱組立体7の棟支柱3は、下部支柱材3Cの下端に回動可能に設けられ、地面Eの上に水平に置かれる基台12の上に垂直に支持されて安定化されるのと、前述のように棟支柱3の中部支柱材3Bの上端部外周に一端4aが枢着されて水平に展開された一対の棟張り材4,4と、この一対の棟張り材4,4の他端4bに一端5bが取り付けられ、他端5aが上部支柱材3Aの上端に連結された1対の懸吊部材5,5としての懸吊金具棒17,17とで正面三角形に形成される構造材により屋根部2が支持されるのと、棟支柱3は前方および後方を4本の棟引綱9A,9A;9A,9Aにより前後左右を均衡して四方へ向かう張力が付与されるのと、天幕本体1の軒下四隅、および軒下Nに、等間隔L2毎に対設して建て込まれた6本の側柱8は軒引綱9Bにより棟6に対して平面交差する外方向へ向かう張力が付与されるのとから、屋根部2は前後左右へと引綱9により均衡して張力が働き、構造的に堅牢であり、強い強度を発揮するため、強風に対する倒壊が防止され、しかも屋根部2は降雪による荷重によって損壊されるのが防止される。
【0041】
また、設営された本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕の設営を解いて分解するのには、前述の設営時の逆の手順、操作により分解を行えばよい。すなわち、軒引綱9Bの杭19′に対する取付を解いて張力を緩め、また棟引綱9Aに対する杭19に対する取付を解いて張力を緩め、止ボルト16を緩めて1対の棟張り材4,4に対する懸吊部材5,5と屋根部2への挟持を解き、それから、止ボルト10とナット10Aの螺合を解いて棟支柱3の中部支柱材3Bに対して上部支柱材3A、下部支柱材3Cを縮小し、天幕本体1を折り畳み、収納することにより分解作業を行う。
【0042】
また、本実施形態1の畳み支柱式屋根形天幕では、支柱組立体7の棟支柱3は、中部支柱材3Bに対して上部支柱材3A、下部支柱材3Cが縮小され、しかも、1対の棟張り材4,4は一端4aの枢着点を中心として中部支柱材3Bの外周に回動されて窄まり、また、懸吊部材5の一端5aは上部支柱材3Aの上端部への枢着点を中心として上部支柱材3Aの外周に回動されてコンパクト化されるので、移動、運搬が容易に行え、取り扱いが容易であるとともに、保管場所に大面積を必要としない。
【0043】
また、上記実施形態1では、屋根部2の形状を切妻屋根形状に形成した場合を図示しているが、屋根部2の形状は図示するものに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えば寄せ棟形状の場合も本発明は適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は屋根部の高さが高く、比較的大型に造設が行え、多人数の人員を収容できるとともに大容量の貨物や物品を収容でき、また、移動、運搬に嵩張らずにコンパクト化され、取り扱いが容易であるとともに、保管場所に大面積を必要とせず、また、日照や雨雪を防ぐのに充分であり、また、強風に対する倒壊を予防して強度が向上して構造堅牢になり、さらには、構造が簡単で部品数が少なく、組立操作および分解操作が容易かつ迅速に行えるという用途・機能に適する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は本発明の折り畳み支柱式屋根形天幕の実施形態1を示し、設営した状態の斜視図である。
【図2】図2は本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を設営するのに使用する支柱組立体を示す正面図である。
【図3】図3は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を設営するのに使用する棟支柱を示す拡大一部断面図である。
【図4】図4は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を設営するのに使用する支柱を構成する下部支柱を示す拡大一部断面図である。
【図5】図5は同じく棟支柱を構成する中部支柱材の拡大一部断面図である。
【図6】図6は同じく中部支柱材の拡大平面図である。
【図7】図7は同じく棟支柱を構成する下部支柱材の拡大一部断面図である。
【図8】図8は同じく下部支柱材の拡大平面図である。
【図9】図9は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕で使用する棟張り材を示す拡大正面図である。
【図10】図10は同じく棟張り材の拡大側面図である。
【図11】図11は同じく実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕で使用する懸吊部材を示す拡大一部断面図である。
【図12】図12は同じく保持リングの拡大平面図である。
【図13】図13は同じく止めリングの拡大平面図である。
【図14】図14は同じく実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕で使用する側柱の拡大一部断面図である。
【図15】図15は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を展開した状態の斜視図である。
【図16】図16は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕で使用する支柱組立体を伸長する状態を示す斜視図である。
【図17】図17は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕の下面に支柱組立体の上方を差し込んだ状態の斜視図である。
【図18】図18は同じく本実施形態1の折り畳み支柱式屋根形天幕を建て込む状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 天幕本体
2 屋根部
3A 上部支柱材
3B 中部支柱材
3C 下部支柱材
4 棟張り材
5 懸吊部材
6 棟
7 支柱組立体
8 側柱
9 引綱
9A 棟引綱
9B 軒引綱
10 止ボルト
19 杭
19′ 杭
I 長手方向
N 軒下

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切妻形、または寄せ棟形の屋根部を有する天幕本体と、
上部支柱材、並びに、下部支柱材を上部および下部に伸縮可能に中部支柱材に組込むとともに、所定長さに止着可能に組付けられる1本の棟支柱、および前記中部支柱材の上端部外周に一端が枢着され、他端側が略垂直から略水平へと回動可能に設けられた一対の棟張り材、そして、前記上部支柱材の上端部外周に一端が取付けられ、他端が前記棟張り材の他端側に設けられた懸吊部材とで構成され、前記天幕本体の頂上部における棟を張る支柱組立体と、
前記天幕本体の軒下四隅、および軒下に等間隔毎に建て込まれる複数本の側柱とを備え、
前記天幕本体を引綱を介して外側へ張力をかけて張設することを特徴とした折り畳み支柱式屋根形天幕。
【請求項2】
前記上部支柱材、および前記下部支柱材は、小径をなし、大径の前記中部支柱材の上下の内部に伸縮可能に収納されることを特徴とした請求項1に記載の折り畳み支柱式屋根形天幕。
【請求項3】
前記上部支柱材の下端と前記中部支柱材の上端、並びに該中部支柱材の下端と前記下部支柱材の上端とは、前記上部支柱材の下端および前記中部支柱材の上端、並びに該中部支柱材の下端と前記下部支柱材の上端とにそれぞれ止めピンが内挿され、該止めピンは、前記上部支柱材、並びに前記下部支柱材の前記中部支柱材に対する伸縮長さを設定可能に余裕をもって閉鎖状の連結環状体内に配挿されることを特徴とした請求項1または2の何れかに記載の折り畳み支柱式屋根形天幕。
【請求項4】
前記下部支柱材の下端部外周には、基台が回動可能に枢着されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の折り畳み支柱式屋根形天幕。
【請求項5】
前記懸吊部材は、前記上部支柱材の上端に設けられた保持リングと、該保持リングに一端が連結され、他端が止めリング並びに座金を介して止めボルトにて棟張り材の他端に取付けられる懸吊金具棒、またはチェーンにて形成されることを特徴とした請求項1〜4の何れかに記載の折り畳み支柱式屋根形天幕。
【請求項6】
前記引綱は、一端が前記屋根部の頂上における棟の外端部に取付けられ、他端は地面に打ち込まれた杭に取付けられる棟引綱と、一端が前記屋根部の軒先部に取付けられ、他端が他の杭に取付けられることにより長手方向に所定間隔に対設され、左右の前記側壁支柱、および側壁部に外方向に張力を与える軒引綱とで構成される請求項1〜5の何れかに記載の折り畳み支柱式屋根形天幕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−101406(P2008−101406A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285318(P2006−285318)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(000215822)帝国繊維株式会社 (24)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】