折畳型携帯端末装置
【課題】従来の透明EL素子を用いた両面発光表示装置を有する折畳み携帯端末装置は、折畳み時のサブディスプレイ表示に透明EL素子を用いることから消費電力が大きくなるという課題があった。
【解決手段】透明EL素子の裏側に透明と不透明を表現できる複数の画素からなる液晶素子を配置し、折畳み時には液晶素子に情報を表示するとともに、キーシート用LEDアレーを部分的に発光させることにより、低消費電力動作が可能で薄型な表示装置からなる携帯端末装置が実現できる。
【解決手段】透明EL素子の裏側に透明と不透明を表現できる複数の画素からなる液晶素子を配置し、折畳み時には液晶素子に情報を表示するとともに、キーシート用LEDアレーを部分的に発光させることにより、低消費電力動作が可能で薄型な表示装置からなる携帯端末装置が実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を含む携帯電話や携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯端末装置に使用される表示素子(ディスプレイ)として、バックライトが不要で薄型化が可能であるとともに高いコントラストを有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)などの自発光素子が注目されている。
【0003】
上下2つの筐体からなる折畳み型携帯電話または携帯端末において、上筐体には開状態で表示するメインディスプレイと、反対面には閉状態で表示するサブディスプレイが存在する。上筐体上のサブディスプレイは大型化が進むとともに、表示素子の薄型化が益々求められている。
【0004】
有機ELは自発光素子のためバックライトなどが不要であることから、ガラス基板と透明電極を利用することによって透明で両面発光が可能な表示装置が実現できる。(例えば特許文献1)
折畳み型携帯端末のディスプレイとして上記のような透明EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を用いれば、サブディスプレイが不要となり、薄型な携帯端末が実現できる。
【0005】
また、上筐体を透明やカラー表示が自由に可能になるため携帯電話の表示方法のバリエーションやデザイン性が高まる。
【0006】
また、折畳み型携帯端末が開状態で透明表示装置に表示された情報をユーザ以外の他者に見られないようにするには、上筐体の裏側(サブディスプレイ側)の表示のみを消す必要があり、透明EL表示素子の裏側(サブディスプレイ側)に液晶素子を貼り合せた構造が考案されている。(例えば特許文献2)
液晶素子は全面透明と全面不透明にする2つのモードがあり、携帯端末が開状態でメインディスプレイ表示中には上記液晶素子を不透明モードにすることによって、サブディスプレイ側の表示を消すことができる。
【0007】
また、携帯端末が閉状態では上記液晶素子を透明モードにすることによりサブディスプレイの表示が可能となる。
【0008】
さらに、透明EL素子の表側と裏側の両面に上記液晶素子を配置すると、表側(メインディスプレイ側)の液晶素子を不透明にすることにより、携帯端末が開状態でもサブディスプレイ表示が可能となる。(例えば特許文献3)
但し、メインディスプレイ表示は常に液晶素子を透過する必要があることから、上記特許文献2の場合に比べて表示画面の輝度が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−332392号公報
【特許文献2】特開2004−199033号公報
【特許文献3】特開2007−71948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献2の透明EL素子と液晶素子からなる表示装置では、折畳み型携帯端末が閉状態での表示のときに液晶素子を透過することから輝度が低下する。従って、透明EL素子はメインディスプレイ表示のときよりも大きな発光電流を必要とし、消費電力が大きくなる。
【0011】
また、折畳み型携帯端末が閉状態において、透明EL素子は黒表示の画素が透明になるため、透明EL素子の裏面の携帯端末のキーが透けて見えてしまい、サブディスプレイ表示が見にくくなる。
【0012】
上述の特許文献3では、メインディスプレイ側の液晶素子を不透明にすることによりキーが透けて見えることはなくなるが、メインディスプレイ表示の場合に、液晶素子を透過することから輝度が低下する。また、輝度劣化を補うため表示素子の消費電力が増大する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
次に、上記の課題を解決するための手段について述べる。
【0014】
本発明の携帯端末装置は、透明で両面表示可能な第一表示素子と、透明状態と不透明状態を表示することが可能な複数の画素で構成された第二表示素子と、を重ねて配置した表示装置を有する上筐体と、LEDとキーを含むキー手段を有する下筐体と、折畳型携帯端末装置において、前記上筐体と前記下筐体とが閉状態のときに前記下筐体と接する上筐体の表面側に、前記第一表示素子を配置し、前記上筐体の裏面側には前記第二表示素子を配置し、前記LEDは前記キー手段の表面または内部に配置され、前記上筐体と前記下筐体とが開状態で表示すべき第一表示情報が存在するときには、前記第一表示情報を前記第一表示素子で表示し、かつ、前記第一表示素子の表示部分の裏面の前記第二表示素子を不透明表示とし、前記上筐体と前記下筐体とが閉状態で表示すべき第二表示情報が存在するときには、前記第二表示素子に前記第二表示情報を表示し、かつ、前記第一表示素子は透明表示にし、前記第二表示素子の表示部分の近傍に存在する前記LEDを発光させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透明EL素子を用いた薄型携帯端末装置において、折畳み状態でも低消費電力表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1の携帯端末装置のブロック構成図
【図2】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の開状態での断面構造図
【図3】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の上筐体の詳細断面構造図
【図4】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の閉状態での断面構造図
【図5】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の下筐体の詳細断面構造図
【図6】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の閉状態での表示の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の携帯端末装置のブロック構成図である。
【0018】
携帯端末装置は上筐体と下筐体からなる折畳み型携帯端末装置であり、上筐体が開状態か閉状態かを検出する開閉検出手段7を有する。表示画像制御手段2は、主制御手段1または、開閉検出手段7からの開閉情報に応じて、第一表示素子3と第二表示素子4を制御する。さらに、キー8を照明するためのLEDアレー5を制御するLEDアレー制御手段6を有し、LEDアレー制御手段は表示制御手段からの情報に応じてLEDアレーの発光状態を制御する。具体的制御方法は後述する。
【0019】
図2は、本発明の携帯端末装置の断面の概略構造図である。上筐体9と下筐体11がヒンジ10を介して結合した折畳み型携帯端末装置である。上筐体9には第一表示素子3と第二表示素子4が配置されている。
【0020】
第一表示素子3は、透明な自発光表示素子で各画素は両面発光が可能であると同時に非表示の場合には画素が透明である。自発光表示素子は、例えば、ガラス基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子や無機ELなどである。
【0021】
なお、本実施の形態1において、透明とは、光の透過率が少なくとも約10%以上の場合を指すものとする。
【0022】
第二表示素子4は、透明と不透明を表現することが可能な複数の画素からなる表示素子である。この表示素子は、例えば、液晶層をガラスと二枚の偏光フィルムで挟んだ液晶表示素子などからなる。モノクロ液晶素子でもカラー液晶素子でも構わないが、カラー液晶素子はカラーフィルターが必要なことから、モノクロ液晶素子に比べて透過光が小さく表示画面が暗くなるため、モノクロ液晶素子の方が望ましい。
【0023】
図2のように第一表示素子3と第二表示素子4はほぼ同じサイズを有していて、それぞれがぴったり重なるように配置する。
【0024】
下筐体11の上にはキー(ボタン)8とLEDアレー5がある。
【0025】
図3に、上筐体の詳細な断面構造を示す。第一表示素子3と第二表示素子4の電気信号を伝達するフレキケーブル13はヒンジ側に配置されたサブ基板14に接続される。
【0026】
第一表示素子3と第二表示素子4の間の空気層に起因するフレネル反射を抑制するために、第一表示素子と第二表示素子を屈折率がガラス材料とほぼ同等の透明な樹脂を用いて貼り合わせて一体化することが望ましい。これにより透過損失が抑制できる。
【0027】
第一表示素子3と第二表示素子4の外側には保護カバーが付いている。保護カバーは例えばアクリル板やガラス板からなる。
【0028】
第一表示素子と保護カバー、及び第二表示素子と保護カバーの間を屈折率がガラス材料とほぼ同等の透明な樹脂を用いて貼り合わせて一体化すると、第一表示素子の表面、第二表示素子の表面、保護カバーの表面のフレネル反射による透過損失を抑制できる。
【0029】
次に、携帯端末装置が開状態のときの動作について説明する。
【0030】
携帯端末が開状態のときには、図2に示すように第一表示素子3に情報が表示され、第二表示素子4は黒(不透明)表示にすることにより、携帯端末の上筐体の裏側(サブディスプレイ側)の表示をなくすことができる。また、上筐体の裏側から表側への透過光もなくなるため、第一表示素子3の表示が見やすくなる。
【0031】
なお、キー8の上のLEDアレー5は、キーの表示を見やすくするために、外部環境が暗いときなど、必要に応じて発光させてキーの照明を行う。
【0032】
図4に、携帯端末装置が閉状態のときの断面概略図を示す。
【0033】
閉状態のサブディスプレイ表示においては、第二表示素子4に表示すべき情報をモノクロで表示する。第一表示素子3には情報を表示させず、黒表示すなわち透明とする。第二表示素子4のバックライトの代わりにLEDアレーを発光させる。第一表示素子3は透明であることからLED光は上筐体裏面に透過させることができる。
【0034】
図5(1)に、LEDアレーの周辺の詳細断面図を示す。
【0035】
キー8とLEDアレー8からなるキー手段12は、詳細にはキーシート16、光散乱体17、キーボタン18、LED19、シートキー基板20から構成される。
【0036】
キーシート16はキーの種類を表示する文字などが印刷された薄いフィルムである。必要に応じてLED19を発光させ、LED19で照明された光散乱体17が均一に光ることによって、暗い所においてもキーシートの文字が見やすくなる。このように、光散乱体17は、キーシート全体を均一に照明するために存在する。
【0037】
なお、図5(2)は、キーシートに光散乱機能をもつ、光散乱体付きキーシート21を用いた場合の構造である。
【0038】
キーボタン18とLED19は薄いフレキ基板などからなるシートキー基板の上に配置されている。LED19は、例えば図6に示すように、キーシート全体を照らすようにキーボタン18の間の隙間に配置される。なお、LEDアレーは光散乱体を介してキーシートを照明するため、必ずしも周期的に配置する必要はない。
【0039】
図6(1)はLEDアレーの配置と発光LEDの分布の一例を示し、図6(2)は第二表示素子の表示パターンの一例を示す。図6(1)の白色の四角で示すようにLEDアレーは第二表示情報の直下の部分のみ発光すればよい。これによりLEDアレーの総消費電流を極力小さくすることができる。
【0040】
キーシートの表面の色が黒以外の明るい色の場合は、屋外など明るい場所では、キーシートが太陽光で照らされるために、LEDアレーを発光させなくても表示情報が確認できる。すなわち、使用環境が明るい場所ではLEDアレーを発光させなくても構わない。
【0041】
図6(1)の22は、メール受信などを知らせるためのインジケータ用LEDであり、インジケータ用LED22の上部の第二表示素子の一部を透明にすることでインジケータの表示が可能になる。インジケータ用LEDの色はLEDアレーと異なる色にしても構わない。
【0042】
なお、閉状態のサブディスプレイ表示の場合に、カラー表示をしたい場合には次の方法が可能である。
【0043】
表示すべき情報を、第一表示素子を用いてカラー表示する。または、第二表示素子に表示して第一表示素子をカラーのバックライトの代わりとして使用する。
【0044】
しかしEL素子を用いることから、LEDアレーよりも発光効率が小さいため、消費電力が大きくなる。
【0045】
従って、低消費電力動作が必要なときには、上述の第二表示素子とLEDアレーを用いた表示方法が有効である。
【0046】
以上により、折畳み時には低消費電力で表示できる薄型の携帯端末装置が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は低消費電力の薄型の折畳み型携帯端末装置として有用であり、携帯電話、携帯ゲーム、携帯TV、PDA、等々の様々な電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 主制御手段
2 表示画像制御手段
3 第一表示素子
4 第二表示素子
5 LEDアレー
6 LED制御手段
7 筐体開閉検出手段
8 キー
9 上筐体
10 ヒンジ
11 下筐体
12 キー手段
13 保護カバー
14 フレキケーブル
15 サブ基板
16 キーシート
17 光拡散体
18 キーボタン
19 LED
20 シートキー基板
21 光散乱体付きキーシート
22 インジケータ用LED
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を含む携帯電話や携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯端末装置に使用される表示素子(ディスプレイ)として、バックライトが不要で薄型化が可能であるとともに高いコントラストを有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)などの自発光素子が注目されている。
【0003】
上下2つの筐体からなる折畳み型携帯電話または携帯端末において、上筐体には開状態で表示するメインディスプレイと、反対面には閉状態で表示するサブディスプレイが存在する。上筐体上のサブディスプレイは大型化が進むとともに、表示素子の薄型化が益々求められている。
【0004】
有機ELは自発光素子のためバックライトなどが不要であることから、ガラス基板と透明電極を利用することによって透明で両面発光が可能な表示装置が実現できる。(例えば特許文献1)
折畳み型携帯端末のディスプレイとして上記のような透明EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を用いれば、サブディスプレイが不要となり、薄型な携帯端末が実現できる。
【0005】
また、上筐体を透明やカラー表示が自由に可能になるため携帯電話の表示方法のバリエーションやデザイン性が高まる。
【0006】
また、折畳み型携帯端末が開状態で透明表示装置に表示された情報をユーザ以外の他者に見られないようにするには、上筐体の裏側(サブディスプレイ側)の表示のみを消す必要があり、透明EL表示素子の裏側(サブディスプレイ側)に液晶素子を貼り合せた構造が考案されている。(例えば特許文献2)
液晶素子は全面透明と全面不透明にする2つのモードがあり、携帯端末が開状態でメインディスプレイ表示中には上記液晶素子を不透明モードにすることによって、サブディスプレイ側の表示を消すことができる。
【0007】
また、携帯端末が閉状態では上記液晶素子を透明モードにすることによりサブディスプレイの表示が可能となる。
【0008】
さらに、透明EL素子の表側と裏側の両面に上記液晶素子を配置すると、表側(メインディスプレイ側)の液晶素子を不透明にすることにより、携帯端末が開状態でもサブディスプレイ表示が可能となる。(例えば特許文献3)
但し、メインディスプレイ表示は常に液晶素子を透過する必要があることから、上記特許文献2の場合に比べて表示画面の輝度が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−332392号公報
【特許文献2】特開2004−199033号公報
【特許文献3】特開2007−71948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献2の透明EL素子と液晶素子からなる表示装置では、折畳み型携帯端末が閉状態での表示のときに液晶素子を透過することから輝度が低下する。従って、透明EL素子はメインディスプレイ表示のときよりも大きな発光電流を必要とし、消費電力が大きくなる。
【0011】
また、折畳み型携帯端末が閉状態において、透明EL素子は黒表示の画素が透明になるため、透明EL素子の裏面の携帯端末のキーが透けて見えてしまい、サブディスプレイ表示が見にくくなる。
【0012】
上述の特許文献3では、メインディスプレイ側の液晶素子を不透明にすることによりキーが透けて見えることはなくなるが、メインディスプレイ表示の場合に、液晶素子を透過することから輝度が低下する。また、輝度劣化を補うため表示素子の消費電力が増大する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
次に、上記の課題を解決するための手段について述べる。
【0014】
本発明の携帯端末装置は、透明で両面表示可能な第一表示素子と、透明状態と不透明状態を表示することが可能な複数の画素で構成された第二表示素子と、を重ねて配置した表示装置を有する上筐体と、LEDとキーを含むキー手段を有する下筐体と、折畳型携帯端末装置において、前記上筐体と前記下筐体とが閉状態のときに前記下筐体と接する上筐体の表面側に、前記第一表示素子を配置し、前記上筐体の裏面側には前記第二表示素子を配置し、前記LEDは前記キー手段の表面または内部に配置され、前記上筐体と前記下筐体とが開状態で表示すべき第一表示情報が存在するときには、前記第一表示情報を前記第一表示素子で表示し、かつ、前記第一表示素子の表示部分の裏面の前記第二表示素子を不透明表示とし、前記上筐体と前記下筐体とが閉状態で表示すべき第二表示情報が存在するときには、前記第二表示素子に前記第二表示情報を表示し、かつ、前記第一表示素子は透明表示にし、前記第二表示素子の表示部分の近傍に存在する前記LEDを発光させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透明EL素子を用いた薄型携帯端末装置において、折畳み状態でも低消費電力表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1の携帯端末装置のブロック構成図
【図2】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の開状態での断面構造図
【図3】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の上筐体の詳細断面構造図
【図4】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の閉状態での断面構造図
【図5】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の下筐体の詳細断面構造図
【図6】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の閉状態での表示の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の携帯端末装置のブロック構成図である。
【0018】
携帯端末装置は上筐体と下筐体からなる折畳み型携帯端末装置であり、上筐体が開状態か閉状態かを検出する開閉検出手段7を有する。表示画像制御手段2は、主制御手段1または、開閉検出手段7からの開閉情報に応じて、第一表示素子3と第二表示素子4を制御する。さらに、キー8を照明するためのLEDアレー5を制御するLEDアレー制御手段6を有し、LEDアレー制御手段は表示制御手段からの情報に応じてLEDアレーの発光状態を制御する。具体的制御方法は後述する。
【0019】
図2は、本発明の携帯端末装置の断面の概略構造図である。上筐体9と下筐体11がヒンジ10を介して結合した折畳み型携帯端末装置である。上筐体9には第一表示素子3と第二表示素子4が配置されている。
【0020】
第一表示素子3は、透明な自発光表示素子で各画素は両面発光が可能であると同時に非表示の場合には画素が透明である。自発光表示素子は、例えば、ガラス基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子や無機ELなどである。
【0021】
なお、本実施の形態1において、透明とは、光の透過率が少なくとも約10%以上の場合を指すものとする。
【0022】
第二表示素子4は、透明と不透明を表現することが可能な複数の画素からなる表示素子である。この表示素子は、例えば、液晶層をガラスと二枚の偏光フィルムで挟んだ液晶表示素子などからなる。モノクロ液晶素子でもカラー液晶素子でも構わないが、カラー液晶素子はカラーフィルターが必要なことから、モノクロ液晶素子に比べて透過光が小さく表示画面が暗くなるため、モノクロ液晶素子の方が望ましい。
【0023】
図2のように第一表示素子3と第二表示素子4はほぼ同じサイズを有していて、それぞれがぴったり重なるように配置する。
【0024】
下筐体11の上にはキー(ボタン)8とLEDアレー5がある。
【0025】
図3に、上筐体の詳細な断面構造を示す。第一表示素子3と第二表示素子4の電気信号を伝達するフレキケーブル13はヒンジ側に配置されたサブ基板14に接続される。
【0026】
第一表示素子3と第二表示素子4の間の空気層に起因するフレネル反射を抑制するために、第一表示素子と第二表示素子を屈折率がガラス材料とほぼ同等の透明な樹脂を用いて貼り合わせて一体化することが望ましい。これにより透過損失が抑制できる。
【0027】
第一表示素子3と第二表示素子4の外側には保護カバーが付いている。保護カバーは例えばアクリル板やガラス板からなる。
【0028】
第一表示素子と保護カバー、及び第二表示素子と保護カバーの間を屈折率がガラス材料とほぼ同等の透明な樹脂を用いて貼り合わせて一体化すると、第一表示素子の表面、第二表示素子の表面、保護カバーの表面のフレネル反射による透過損失を抑制できる。
【0029】
次に、携帯端末装置が開状態のときの動作について説明する。
【0030】
携帯端末が開状態のときには、図2に示すように第一表示素子3に情報が表示され、第二表示素子4は黒(不透明)表示にすることにより、携帯端末の上筐体の裏側(サブディスプレイ側)の表示をなくすことができる。また、上筐体の裏側から表側への透過光もなくなるため、第一表示素子3の表示が見やすくなる。
【0031】
なお、キー8の上のLEDアレー5は、キーの表示を見やすくするために、外部環境が暗いときなど、必要に応じて発光させてキーの照明を行う。
【0032】
図4に、携帯端末装置が閉状態のときの断面概略図を示す。
【0033】
閉状態のサブディスプレイ表示においては、第二表示素子4に表示すべき情報をモノクロで表示する。第一表示素子3には情報を表示させず、黒表示すなわち透明とする。第二表示素子4のバックライトの代わりにLEDアレーを発光させる。第一表示素子3は透明であることからLED光は上筐体裏面に透過させることができる。
【0034】
図5(1)に、LEDアレーの周辺の詳細断面図を示す。
【0035】
キー8とLEDアレー8からなるキー手段12は、詳細にはキーシート16、光散乱体17、キーボタン18、LED19、シートキー基板20から構成される。
【0036】
キーシート16はキーの種類を表示する文字などが印刷された薄いフィルムである。必要に応じてLED19を発光させ、LED19で照明された光散乱体17が均一に光ることによって、暗い所においてもキーシートの文字が見やすくなる。このように、光散乱体17は、キーシート全体を均一に照明するために存在する。
【0037】
なお、図5(2)は、キーシートに光散乱機能をもつ、光散乱体付きキーシート21を用いた場合の構造である。
【0038】
キーボタン18とLED19は薄いフレキ基板などからなるシートキー基板の上に配置されている。LED19は、例えば図6に示すように、キーシート全体を照らすようにキーボタン18の間の隙間に配置される。なお、LEDアレーは光散乱体を介してキーシートを照明するため、必ずしも周期的に配置する必要はない。
【0039】
図6(1)はLEDアレーの配置と発光LEDの分布の一例を示し、図6(2)は第二表示素子の表示パターンの一例を示す。図6(1)の白色の四角で示すようにLEDアレーは第二表示情報の直下の部分のみ発光すればよい。これによりLEDアレーの総消費電流を極力小さくすることができる。
【0040】
キーシートの表面の色が黒以外の明るい色の場合は、屋外など明るい場所では、キーシートが太陽光で照らされるために、LEDアレーを発光させなくても表示情報が確認できる。すなわち、使用環境が明るい場所ではLEDアレーを発光させなくても構わない。
【0041】
図6(1)の22は、メール受信などを知らせるためのインジケータ用LEDであり、インジケータ用LED22の上部の第二表示素子の一部を透明にすることでインジケータの表示が可能になる。インジケータ用LEDの色はLEDアレーと異なる色にしても構わない。
【0042】
なお、閉状態のサブディスプレイ表示の場合に、カラー表示をしたい場合には次の方法が可能である。
【0043】
表示すべき情報を、第一表示素子を用いてカラー表示する。または、第二表示素子に表示して第一表示素子をカラーのバックライトの代わりとして使用する。
【0044】
しかしEL素子を用いることから、LEDアレーよりも発光効率が小さいため、消費電力が大きくなる。
【0045】
従って、低消費電力動作が必要なときには、上述の第二表示素子とLEDアレーを用いた表示方法が有効である。
【0046】
以上により、折畳み時には低消費電力で表示できる薄型の携帯端末装置が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は低消費電力の薄型の折畳み型携帯端末装置として有用であり、携帯電話、携帯ゲーム、携帯TV、PDA、等々の様々な電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 主制御手段
2 表示画像制御手段
3 第一表示素子
4 第二表示素子
5 LEDアレー
6 LED制御手段
7 筐体開閉検出手段
8 キー
9 上筐体
10 ヒンジ
11 下筐体
12 キー手段
13 保護カバー
14 フレキケーブル
15 サブ基板
16 キーシート
17 光拡散体
18 キーボタン
19 LED
20 シートキー基板
21 光散乱体付きキーシート
22 インジケータ用LED
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明で両面表示可能な第一表示素子と、透明状態と不透明状態を表示することが可能な複数の画素で構成された第二表示素子と、を重ねて配置した表示装置を有する上筐体と、LEDとキーを含むキー手段を有する下筐体と、折畳型携帯端末装置において、
前記上筐体と前記下筐体とが閉状態のときに前記下筐体と接する上筐体の表面側に、前記第一表示素子を配置し、前記上筐体の裏面側には前記第二表示素子を配置し、
前記LEDは前記キー手段の表面または内部に配置され、
前記上筐体と前記下筐体とが開状態で表示すべき第一表示情報が存在するときには、前記第一表示情報を前記第一表示素子で表示し、かつ、前記第一表示素子の表示部分の裏面の前記第二表示素子を不透明表示とし、
前記上筐体と前記下筐体とが閉状態で表示すべき第二表示情報が存在するときには、前記第二表示素子に前記第二表示情報を表示し、かつ、前記第一表示素子は透明表示にし、前記第二表示素子の表示部分の近傍に存在する前記LEDを発光させることを特徴とする、折畳型携帯端末装置。
【請求項2】
前記第一表示素子がエレクトロルミネッセンス表示素子であることを特徴とする請求項1記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項3】
前記第二表示素子がモノクロ液晶表示素子であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項4】
前記キー手段の表面にはキーシートがあり、前記キーシートの裏面に前記LEDが配置されていて、前記LEDの外側に半透明の光散乱体があることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項5】
前記キーシートが半透明の光散乱体であることを特徴とする請求項4記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項6】
前記キー手段の表面の背景色が黒以外の色であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項1】
透明で両面表示可能な第一表示素子と、透明状態と不透明状態を表示することが可能な複数の画素で構成された第二表示素子と、を重ねて配置した表示装置を有する上筐体と、LEDとキーを含むキー手段を有する下筐体と、折畳型携帯端末装置において、
前記上筐体と前記下筐体とが閉状態のときに前記下筐体と接する上筐体の表面側に、前記第一表示素子を配置し、前記上筐体の裏面側には前記第二表示素子を配置し、
前記LEDは前記キー手段の表面または内部に配置され、
前記上筐体と前記下筐体とが開状態で表示すべき第一表示情報が存在するときには、前記第一表示情報を前記第一表示素子で表示し、かつ、前記第一表示素子の表示部分の裏面の前記第二表示素子を不透明表示とし、
前記上筐体と前記下筐体とが閉状態で表示すべき第二表示情報が存在するときには、前記第二表示素子に前記第二表示情報を表示し、かつ、前記第一表示素子は透明表示にし、前記第二表示素子の表示部分の近傍に存在する前記LEDを発光させることを特徴とする、折畳型携帯端末装置。
【請求項2】
前記第一表示素子がエレクトロルミネッセンス表示素子であることを特徴とする請求項1記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項3】
前記第二表示素子がモノクロ液晶表示素子であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項4】
前記キー手段の表面にはキーシートがあり、前記キーシートの裏面に前記LEDが配置されていて、前記LEDの外側に半透明の光散乱体があることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項5】
前記キーシートが半透明の光散乱体であることを特徴とする請求項4記載の折畳型携帯端末装置。
【請求項6】
前記キー手段の表面の背景色が黒以外の色であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の折畳型携帯端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−61340(P2011−61340A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206636(P2009−206636)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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