抵抗記憶装置およびその製造方法
【課題】 電圧印加によりイオンを移動させることで伝導領域を形成・消滅させ、読み出し端子間の抵抗を変化させる抵抗記憶装置において、特性ばらつきが改善された抵抗記憶装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の抵抗記憶装置は、イオン源部材と、イオン源部材上に形成された粒状または島状の絶縁体部材と、絶縁体部材上に形成されたイオン伝導体部材と、イオン伝導体部材上に形成された電極部材とを有することを特徴とする。また、本発明の抵抗記憶装置の製造方法は、イオン源部材上に粒状または島状に絶縁部材を形成する工程と、この絶縁部材上にイオン伝導体部材を形成する工程と、イオン伝導体部材上に電極部材を形成する工程とを有することを特徴とする。
【解決手段】 本発明の抵抗記憶装置は、イオン源部材と、イオン源部材上に形成された粒状または島状の絶縁体部材と、絶縁体部材上に形成されたイオン伝導体部材と、イオン伝導体部材上に形成された電極部材とを有することを特徴とする。また、本発明の抵抗記憶装置の製造方法は、イオン源部材上に粒状または島状に絶縁部材を形成する工程と、この絶縁部材上にイオン伝導体部材を形成する工程と、イオン伝導体部材上に電極部材を形成する工程とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抵抗記憶装置に関し、特にイオン伝導体に金属イオンを導入、排除して導電性を変化させることで、抵抗を変化させる機能を有する抵抗記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の抵抗記憶装置としては、例えば、ナノブリッジ素子を抵抗記憶装置として用いてクロスバースイッチを構成するものがあった。
【0003】
まず、抵抗記憶装置の例として、ナノブリッジ素子と呼ばれる構造について説明する。図9に非特許文献1(2010 IEEE ELECTRON DEVICES MEETING TECHNICAL DIGEST (pp.303-306))で報告されたナノブリッジ素子の例を示す。同図では、ナノブリッジ素子の断面形状と動作を示し、ルテニウム(Ru)電極101と固体電解質層102と銅(Cu)電極103とを積層した構造のナノブリッジ素子である。素子抵抗を低抵抗に変化させるには、図9(a)に示すように、Cu電極103にプラスの電圧(+V)を印加することでCuイオン(Cu+)をRu電極101へ向かう方向に移動させ、固体電解質層102内にCu導電領域132を形成して(図9(b)参照)、Cu電極103とRu電極101の間を低抵抗(ON)にする。逆に、図9(c)に示すように、Ru電極101にプラスの電圧(+V)を印加するとCuイオンがCu電極103へ向かう方向に移動してCu電極103に回収されるため、Cu電極103とRu電極101の間は高抵抗(OFF)に変化する(図9(d)参照)。このように、図9に示すナノブリッジ素子では、電圧の印加方向により抵抗を変化させることができる。
【0004】
次に、このナノブリッジ素子を用いて構成したクロスバースイッチについて図10を用いて説明する。本例では交差する2系統の配線群、例えば、ビット線B1乃至B3とワード線W1乃至W3の交差部分に両配線を接続するようにナノブリッジ素子A11乃至A33が配置されている。初期状態ではすべてのナノブリッジ素子が高抵抗の状態とする。ナノブリッジ素子A11を低抵抗にして配線B1と配線W1間を電気的接続状態にするには、B1とW1にそれぞれ電圧Vddと0Vを、その他の配線にVdd/2を印加する。Vddをナノブリッジ素子が低抵抗に変化する閾値電圧Vthより大きく、かつVdd/2がVthより小さくなるように設定することで、所望のナノブリッジ素子A11だけ低抵抗に変化させることができる。これにより所望の1対の配線B1とW1が低抵抗で接続されることになる。
【0005】
配線間を電気的に切断するには逆向きの電圧−Vddを印加して、ナノブリッジ素子を高抵抗に変化させる。これらの動作により、2系統の配線群同士の接続を自由に切り替えるクロスバースイッチを構成することができる。
【0006】
ほかの抵抗記憶装置の例として、特許文献1、2、3に開示されているような例がある。その一例として、特許文献1(特開2009−212380)で示された抵抗記憶装置について図11を用いて示す。この抵抗記憶装置では、一対の電極間に抵抗変化層を挟んだ構造であるが、この抵抗変化層は、多結晶酸化物膜と、これよりも厚いアモルファス酸化物膜との積層を含んでいる。下部電極110としては白金(Pt)50nm、多結晶酸化物膜111としては多結晶酸化ニッケル(NiO)を5nm、アモルファス酸化物膜112としてはアモルファスNiOを10nm、上部電極113としてはPt50nmを使用している。動作方法は図9と同様であるが、本構造により、抵抗記憶装置を微細化しても、初期短絡不良を防ぎつつ、フィラメント114を形成して抵抗変化を開始させるフォーミング電圧を低く維持することができるとしている。
【0007】
このような抵抗記憶装置は、前述のような電気的接続経路を切り替えるスイッチ用途や、データを記憶するメモリ用途などに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−212380 (図2)
【特許文献2】特開2009−141225 (図1)
【特許文献3】特開2010−016381 (図1)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】2010 IEEE ELECTRON DEVICES MEETING TECHNICAL DIGEST (pp.303-306)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、抵抗変化層としてNiOや酸化チタン(TiO)を用いた関連技術の抵抗記憶装置の研究において、抵抗記憶装置特性のばらつきが大きく、抵抗記憶装置面積を小さくするとフォーミング電圧が大きくなるという問題が明らかになったとしている。そして、面積依存性については、成膜後の抵抗記憶装置中に存在するウイークスポットの程度と存在確率が変わるためとしている。
【0011】
特許文献1ではこの問題を解決する方法として、グレインバウンダリ115に電界が集中しやすいことを利用し、多結晶酸化物膜を用い、そのグレインバウンダリを起点としてフォーミングを生じさせている。グレインを抵抗記憶装置サイズより小さくすることで、抵抗記憶装置内に多数のグレインバウンダリ115、すなわちフォーミングの起点を設けることで、微細化による起点の減少から起こるフォーミング電圧の増大を防ぐとしている。
【0012】
さて、もう一つの問題である抵抗記憶装置特性のばらつきであるが、(1)抵抗記憶装置間のばらつきと(2)同一抵抗記憶装置での繰り返しばらつきの2種類が考えられる。抵抗記憶装置間ばらつきについては、前述の起点の減少による個体差や、フィラメントが形成される電極の表面形状の抵抗記憶装置間の違いが原因となる。ここで電極の表面形状の影響について図12を用いて説明する。
【0013】
図12は、電極表面形状が異なる3つの抵抗記憶装置R1、R2、R3についてフィラメント114が形成される位置を示した断面図である。図12(a)に示す抵抗記憶装置R1は、その電極103の表面が平坦な場合である。図12(b)および(c)に示す抵抗記憶素子R2およびR3は、その電極103の表面に異なる凹凸がある場合を示している。
【0014】
さらに図12には、書き込みを3回行い、フィラメント形成を繰り返し行ったときのフィラメント114の形成位置の変化を縦方向に1回目、2回目、3回目として示してある。抵抗記憶装置R2と抵抗記憶装置R3では表面形状が異なっており、突部の高さや鋭さで電界集中の程度が変わっている。電界強度はフィラメント形成に寄与するため、抵抗記憶装置R2と抵抗記憶装置R3とでは書き込み特性が異なることになり、電極表面形状が抵抗記憶装置間のばらつきに影響するのは明らかである。
【0015】
次に、繰り返し書き込み時の特性ばらつきについては、以下のように考える。抵抗記憶装置R1のように電極103を平坦化した場合、フィラメント114が形成される確率はどこでも同程度であり、図12(a)に示すように書き込むたびに異なる場所に形成されると考えられる。電極103の平坦化は、抵抗変化層102を薄膜化して動作の低電圧化をはかる上で、膜内の欠陥形成を抑制するために必要であるが、抵抗変化層102を完全に均質にすることは難しく、フィラメント114の太さや形状や形成電圧は形成される位置に影響を受けることは明らかである。
【0016】
一方、抵抗記憶装置R2や抵抗記憶装置R3のように電極103が平坦でなく突部がある場合は、繰り返して書き込みを行っても図12(b)および(c)に示すように、同じ場所にフィラメント114が形成される確率が高く、繰り返しばらつきは小さいと考えられる。しかし、電極自体がイオン化して移動するため、動作を繰り返すと形状が経時変化し、フィラメント形成点が移動する可能性がある。これらのような現象が繰り返しばらつきに影響すると考えられる。
【0017】
この問題に対し特許文献1に開示の構造を適用した場合、膜上方からみるとグレインバウンダリは網目状に全面につながっており、その上面は下部電極の表面形状を反映する。このため、前述の2つのばらつきに対しての改善効果はほとんどないことは明らかである。
【0018】
このように、特許文献1では下部電極表面形状に起因して特性がばらつくため、すべてのセルを書き込むためにはマージンを考慮した高い書き込み電圧が必要となり、消費電力が低減できないという問題があった。
【0019】
本発明の目的は、上述した課題を解決した抵抗記憶装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の抵抗記憶装置は、イオン源部材と、イオン源部材上に形成された粒状または島状の絶縁体部材と、絶縁体部材上に形成されたイオン伝導体部材と、イオン伝導体部材上に形成された電極部材とを有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の抵抗記憶装置の製造方法は、イオン源部材上に粒状または島状に絶縁部材を形成する工程と、この絶縁部材上にイオン伝導体部材を形成する工程と、イオン伝導体部材上に電極部材を形成する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、特性ばらつきが改善されてマージン電圧を小さくできるため低い電圧での書き込みが可能となり、低消費電力の抵抗記憶装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施の形態の要部概略断面図である。
【図2】(a) 本発明の第一の実施の形態の動作説明のための概略断面図である。
【0024】
(b) 比較参考例の動作説明のための概略断面図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態の要部概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施例の要部概略平面図と概略断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例の代表的な製造工程での概略平面図と概略断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例の要部概略平面図と概略断面図である。
【図8】本発明の第2の実施例の代表的な製造工程での概略平面図と概略断面図である。
【図9】非特許文献1に開示の抵抗記憶装置とその動作を示す概略断面図である。
【図10】図6に示す抵抗記憶装置を用いたクロスバースイッチ回路を示す要部概要図である。
【図11】特許文献1に開示の抵抗記憶装置を示す要部概略断面図である。
【図12】特許文献1に開示の抵抗記憶装置の動作を示す要部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0026】
図1を参照すると、本発明の第一の実施の形態として抵抗記憶装置の要部概略断面図が示されている。
【0027】
第一の実施の形態の抵抗記憶装置は、図1に示すように、第1のイオン源1と、第1の電極2と、第1のイオン伝導体3と、第1の絶縁体4とを有する。第1のイオン源1と第1の電極2は、第1のイオン伝導体3を挟んで配置される。第1の絶縁体4は、第1のイオン伝導体3と接する第1のイオン源1の表面に配置される。さらに第1の絶縁体4は、粒形状または島形状を有する。すなわち、第1のイオン伝導体3は、第1のイオン源1と第1の絶縁体4との両方に面する領域を有する。
【0028】
次に本抵抗記憶装置の動作について図2を用いて説明する。図2(a)を参照すると、本発明の第一の実施の形態の要部断面が示されている。まず、本抵抗記憶装置の第1のイオン源1と第1の電極2との間の抵抗値を、高抵抗から低抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。
【0029】
高抵抗状態では、図2(a)に示すように第1のイオン伝導体3には金属イオンがほとんど存在せず、第1のイオン源1と第1の電極2との間にはほとんど電流が流れない。ここで第1のイオン源1と第1の電極2との間に、イオン源1の金属イオンが第1の電極2の方向に流れる第1の極性で所望の値の電圧を所望の時間印加する。このとき、電界は導電体である第1のイオン源1と第1の電極2との間に形成されるため、まず金属イオンは移動しやすい第1のイオン伝導体3と第1の絶縁体4との界面を移動する。そして図2(a)の点線の矢印で示すように第1のイオン伝導体3を通り、第1の電極2に向けてフィラメントを形成する。このようにして、低抵抗に変化させる。
【0030】
次に、低抵抗から高抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。第1のイオン源1と第1の電極2との間に、第1の極性とは逆向きで所望の値の電圧を所望の時間印加する。これにより、第1のイオン伝導体3内の金属イオンが第1のイオン源1の方向に移動する。さらに、第1のイオン伝導体1と第1の絶縁体4との界面では、金属イオンが移動しやすいため、金属イオンが第1のイオン源1に回収される。このようにして第1のイオン伝導体3に金属イオンが存在しなくなるため、高抵抗を示すようになる。
【0031】
次に、本抵抗記憶装置の読み出し方法について説明する。読み出しは第1のイオン源1と第1の電極2との間の抵抗を評価することで行う。たとえば、第1のイオン源1に電圧を印加して第1の読み出し端子1と第2の読み出し端子2との間に電位差を与えることにより、第1の電極2を充電し、一定時間後の第1の電極2の電位と所望の電位とをセンスアンプを用いて比較する。ほかには、定電流源から所望の電流を流したときの電位と所望の電位とをセンスアンプを用いて比較するなどの方法がある。
【0032】
第1のイオン伝導体に薄い部分があると、電界が強くなるためフィラメントが形成されやすくなる。これは、繰り返し書き込み時に同じ場所にフィラメントが形成されることになるため、繰り返し書き込み特性が安定することを意味する。
【0033】
凹凸に対し均一な膜厚となる成膜方法でも、第1のイオン伝導体3が薄いと粒に沿って一様な膜厚で形成されるが、厚くなるにつれ第1の絶縁体4の上部が薄く、それ以外が厚くなる傾向がある。このため、第1のイオン伝導体3の厚さは第1の絶縁体4の粒の大きさに比べ、厚いほうが望ましい。凹凸があっても平坦な膜が形成できる成膜方法では、第1の絶縁体4上部の第1のイオン伝導体3が薄くなるので、この限りではない。また、フィラメントの形成確率が第1のイオン源表面の凹凸ではなく、粒のサイズ分布に支配される必要があるため、粒サイズのばらつきを第1のイオン源表面の凹凸ばらつきより大きくする必要がある。
【0034】
また、図2(b)に、絶縁体粒ではなく金属粒5を用いた場合について説明する。この場合、書き込み時の電界は、金属粒最頂部で終端してしまい、第1のイオン源1近傍では電界がほとんどなくなってしまう。このため、金属イオンが移動しにくい。このことから、絶縁体粒のほうがフィラメント形成に適している。イオン源は、イオン化量を調整するためイオン源と第1のイオン伝導体3および/または第1の絶縁体4との間にイオン源以外の材料を挟んでも良い。
【0035】
書き込み時に印加する電圧は矩形波であっても、印加中に変化する波形であってもよく、電位を変えて複数回印加しても良い。第1の絶縁体4の粒は、孤立した粒でなくても、いくつかの粒がつながった島状でも、第1のイオン伝導体3と第1のイオン源1が接する領域さえあれば同様の効果が得られる。
【0036】
本実施の形態では、フィラメント形成点となる確率は主に書き込み電界の強さに依存するため、第1のイオン伝導体1の薄さ、すなわち第1の絶縁体4の粒の大きさで決まる。このため、第1のイオン源1と第1の電極2とが対向する領域の中で、もっとも大きい第2の絶縁体4の粒、およびこれに近い条件の粒からフィラメントが形成されやすくなる。フィラメントの形成点が絞られることにより、繰り返し書き込みを行ったときのばらつきが低減される。
【0037】
さらに、第1の絶縁体4を複数の抵抗記憶装置にわたり一様に形成することで、各抵抗記憶装置内に多数、たとえば10以上、できれば100以上の粒を設けることで、それぞれの抵抗記憶装置の粒サイズ分布を同様にすることができる。この結果、フィラメントの形成条件が抵抗記憶装置によらず同程度となり、抵抗記憶装置間の書き込み特性ばらつきを低減することができる。これにより、必要なマージン電圧が小さくなり、書き込み電圧を低減できる抵抗記憶装置を得ることができる。これらを複数用いて回路制御することで、メモリ抵抗記憶装置やスイッチ抵抗記憶装置を構成することができる。
【0038】
図3を参照すると、本発明の第二の実施の形態として抵抗記憶装置の要部断面図が示されている。
【0039】
第二の実施の形態の抵抗記憶装置は、図3に示すように、第1のイオン源1と、第1の電極2と、第1のイオン伝導体3と、第1の絶縁体4とを有する。第1のイオン源1と第1の電極2は、第1のイオン伝導体3を挟んで対向して配置される。第1の絶縁体4は、第1のイオン伝導体3と接する第1のイオン源1の表面に配置される。さらに第1の絶縁体4は、粒形状を有する。すなわち、第1のイオン源1と第1のイオン伝導体3とは接する領域を有する。さらに、第1の読み出し電極6と第2の読み出し電極7とを有する。読み出し電極は、第1のイオン伝導体3に接して形成される。
【0040】
次に、本抵抗記憶装置の動作について説明する。まず、本抵抗記憶装置の読み出し方法であるが、読み出し端子間の抵抗を評価することで行う。次に、本抵抗記憶装置の読み出し電極間の抵抗を、高抵抗から低抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。
【0041】
高抵抗状態では、図3に示すように第1のイオン伝導体3には金属イオンがほとんど存在せず、読み出し電極間にはほとんど電流が流れない。ここで第1のイオン源1と第1の電極2との間に、イオン源1の金属イオンが第1の電極2の方向に流れる第1の極性で所望の値の電圧を所望の時間印加する。このとき、電界は導電体である第1のイオン源1と第1の電極2との間に形成されるため、まず金属イオンは移動しやすい第1のイオン伝導体3と第1の絶縁体4との界面を移動する。次に、第1のイオン伝導体3を通り、第1の電極2に向けてフィラメントを形成する。このとき、第1の読み出し電極6と第2の読み出し電極7との間に電圧を印加すると、フィラメント部分を介して電子がトンネルするようになるため、電流が流れるようになる。このようにして、読み出し電極6、7間を低抵抗に変化させる。
【0042】
次に、低抵抗から高抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。第1のイオン源1と第1の電極2との間に、第1の極性とは逆向きで所望の値の電圧を所望の時間印加する。これにより、第1のイオン伝導体3内の金属イオンが第1のイオン源1の方向に移動する。さらに、第1のイオン伝導体1と第1の絶縁体4との界面では、金属イオンが移動しやすいため、金属イオンが第1のイオン源1に回収される。このようにして第1のイオン伝導体3に金属イオンが存在しなくなるため、読み出し電極6、7間は高抵抗を示すようになる。
【0043】
それぞれの読み出し電極6、7は第1のイオン源1や第1の電極2と共用しても良い。読み出し電極間の電流は、フィラメントまでをトンネルして流れるため、第1のイオン伝導体3の厚さ、電極サイズは、所望の電流量から設計する。
【0044】
本実施の形態では、書き込み電流経路と読み出し電流経路とが異なるため、読み出しにより金属イオンが移動しても抵抗値への影響が小さく、誤書き込みが発生しにくいという特徴がある。
【0045】
絶縁体粒の大きさの目安について図4を用いて説明する。一辺xで正方形の抵抗記憶装置に、半径rの絶縁体粒を並べたときの平面概要図を図4(a)に、一部の断面図を図4(b)に示す。抵抗記憶装置内にy個の半球状の絶縁体粒が並んでいるとすると、絶縁体粒の直径2rは式(1)で、また抵抗記憶装置全体でみた絶縁体の平均膜厚hは式(2)で表現される。一方、第1のイオン伝導体の厚さtは、絶縁体粒の半径以上とすると、式(3)で表現される。
【0046】
2r=(x2/y)0.5 (1)
h=πr/6 (2)
t=6h/π (3)
【0047】
一辺が0.2μmの正方形の抵抗記憶装置内に100個の絶縁体粒を設けることを仮定すると、絶縁体粒の直径は20nm、その平均膜厚は5.2nmとなる。ここでは整列した状態を仮定しているため、実際にこの条件下では隣接する粒がつながり部分的に島が形成されている状態になると考える。
【実施例】
【0048】
次に、具体的な実施例を用いて本発明の動作を説明する。
図5に示した抵抗記憶装置を用いて、本発明の第一の実施例を説明する。図5(a)は抵抗記憶装置の平面図、(b)は(a)におけるI−I線に沿った断面図である。
【0049】
本発明の第一の実施例は、第1の電極部材であるルテニウム(Ru)56と、イオン源部材である銅(Cu)52と、イオン伝導体部材である珪酸タンタル(TaSiO)55と、イオン源部材の表面に形成された粒状または島状の絶縁体部材である二酸化シリコン(SiO2)54とを有している。第1の電極56とイオン源52は制御回路と電気的に接続されている。
【0050】
次に、本実施例の製造方法について図6を用いて説明する。図6(a)および(c)は、代表的な製造行程における平面図であり、図6(b)および(d)は図6(a)および(c)におけるII−II線およびIII−III線に沿った断面図である。まず、集積回路などが形成されたシリコンなどの基板(図示略)上に絶縁膜としてSiO2層間膜51を400nmの厚さに成膜し、フォトリソグラフィ技術によりイオン源形成部以外をレジスト(図示略)で保護し、反応性イオンエッチング技術(以降RIEと称す)によりSiO2層間膜51を200nmの深さにエッチングする。
【0051】
レジスト除去後、全面にシード層(図示略)とイオン源52となるCuを300nmの厚さにスパッタリング法とメッキ法を用いて形成した後、化学的機械的研磨技術(以降CMPと称す)により平坦化することでイオン源52部分にCuを残す。全面に絶縁膜53としてのSiO2を化学蒸着法(CHEMICAL VAPOR DEPOSITION)法(以降CVDと称す)で50nmの厚さに成膜する。抵抗記憶装置を形成する領域以外をレジストで保護し、SiO2絶縁膜53を除去し、イオン源52(Cu)を露出させる。レジスト除去後、全面に粒状絶縁体54となるSiO2をスパッタリング法で0.8nmの厚さに成膜する(図6(a) および(b))。
【0052】
成膜工程において、スパッタ時のエネルギーを下げたり、ガス圧をあげたり、低温で成膜することで、その膜は粒状になりやすくなる。前もってパラメータを調整して評価し、所望のサイズとサイズばらつきの粒を形成する条件を用いる。
【0053】
次に、全面にイオン伝導体55(TaSiO)を10nm、第1の電極56(Ru)を20nmの厚さに、スパッタリング法で成膜する。次に、抵抗記憶装置となる領域にレジストを形成し、第1の電極56、イオン伝導体55をRIEにより除去する(図6(c)および(d))。これにより、抵抗記憶装置を形成する。
【0054】
次に、本実施例の動作方法について説明する。まず、記憶状態の読み出し方法について説明する。記憶状態は、第1の電極56(Ru)とイオン源52(Cu)との間の抵抗として記憶される。このため、第1の電極56とイオン源52との間に電圧を印加して流れる電流を評価したり、定電流を流すための印加電圧を評価したりすることで、抵抗値を評価して記憶状態を判別する。メモリなどのようにデータ記憶抵抗記憶装置として用いる場合は、読み出した抵抗値からデータを判別する。また、クロスバースイッチのような用途では、抵抗値により接続、非接続として働くように回路を構成する。
【0055】
次に、抵抗記憶装置の抵抗値を高抵抗から低抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。第1の電極56(Ru)を接地し、イオン源52(Cu)に正の電位、たとえば2Vを10ns印加する。電界はイオン源52の表面に印加するため、Cuの正イオン(Cu+)はイオン伝導体55(TaSiO)内を移動するが、特にイオン伝導体55と粒状絶縁体54の界面が移動しやすく、粒状絶縁体54の周りに広がる。さらに、イオン伝導体55を通ってフィラメントが形成される。特に抵抗記憶装置全体で粒状絶縁体54の粒部材の外径が大きく、イオン伝導体55が薄くなっている部分で電界が最も大きくなるため、この部分を通ってフィラメントが形成される確率が高い。フィラメントの形成により、低抵抗を示すようになる。
【0056】
次に、抵抗記憶装置の抵抗値を低抵抗から高抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。イオン源52(Cu)を接地し、第1の電極56(Ru)に正の電位、たとえば3Vを1μs印加する。Cuイオンはイオン源52方向に移動するため、フィラメントは切断される。特に、イオン伝導体55(TaSiO)と粒状絶縁体54(SiO2)の界面では移動しやすい。このようにして、イオン伝導体内にCuイオンがなくなるため、高抵抗を示すようになる。
【0057】
イオン伝導体は、本実施例のように固体電解質や、膜内に空気との界面をもつポーラスSiO2などの材料、およびこれらの積層構造も利用可能である。本実施例では、イオン源52(Cu)と第1の電極56(Ru)は直接イオン伝導体55(TaSiO)に接しているが、たとえばチタン(Ti)やSiO2などの金属や絶縁体を介して、イオン化を調整することも可能である。また、粒状絶縁体54は粒状としたが、粒同士がくっつき島状になったものが含まれても、イオン源52が露出する限りは、粒の凹凸が残るため同様の効果が得られる。
【0058】
本実施例によれば、フィラメントが形成される場所が絞られ、繰り返し書き込み時の書き込み特性ばらつきが抑制される。また、抵抗記憶装置間のフィラメントの形成しやすさの分布も同程度となるため、抵抗記憶装置間のばらつきも抑制される。これにより、書き込み時のマージンを小さくすることができるため、小さい書き込み電圧での利用が可能な抵抗記憶装置が得られる。
【0059】
図7に示した抵抗記憶装置を用いて、本発明の第二の実施例を説明する。図7(a)は抵抗記憶装置の平面図、図7(b)は(a)におけるIV−IV線に沿った断面図である。
【0060】
本発明の第二の実施例は、第1の電極77であるタンタル(Ta)と、イオン源72であるCuと、イオン伝導体75である硫化銅(Cu2S)と、イオン源表面に形成された絶縁体粒、すなわち粒状絶縁体74としての窒化シリコン(SiN)とを有している。また、第1の読み出し電極73としてのTa電極と第2の読み出し電極76としてのTa電極とを有している。各電極とイオン源は制御回路と電気的に接続されている。
【0061】
次に、本実施例の製造方法について図8を用いて説明する。図8(a)および(c)は、代表的な製造行程における平面図であり、図8(b)および(d)は図8(a)および(c)におけるV−V線およびVI−VI線に沿ったそれぞれの断面図である。
【0062】
まず、集積回路などが形成されたシリコン基板等の基板(図示略)上に絶縁体(SiO2)層間膜71を400nmの厚さに成膜し、フォトリソグラフィ技術により第1の読み出し電極73(Ta)の形成部以外をレジスト(図示略)で保護し、RIEにより絶縁体層間膜71を200nmの深さまでエッチングする。レジスト除去後、全面にスパッタリング法により第1の読み出し電極73となるTaを300nmの厚さに形成した後、CMPにより平坦化することで第1の読み出し電極73のパターンを形成する。
【0063】
次に、イオン源形成部以外をレジスト(図示略)で保護し、RIEにより絶縁体層間膜71を200nmの深さまでエッチングする。レジスト除去後、全面にシード層とイオン源72となるCuを合計厚さ300nmとなるようスパッタリング法とメッキ法を用いて形成した後、CMPにより平坦化することでイオン源72の部分にCuを残す。その後、全面に粒状絶縁体74となるSiNをプラズマCVD法で0.3nmの厚みに成膜する(図8(a)および(b))。
【0064】
成膜工程において、プラズマエネルギーを下げたり、ガス圧をあげたり、低温で成膜することで、SiN膜は粒状になりやすくなる。前もってパラメータを調整して評価し、所望のサイズとサイズばらつきの粒を形成する条件を用いる。
【0065】
次に、全面にイオン伝導体75となるCu2S膜を4nm厚、上部電極となるTa膜を50nm厚となるようにスパッタリング法で順次成膜する。次に、上部電極となるTa膜をレジスト(図示略)で保護し、RIEによりTa膜を選択除去し、第2の読み出し電極76としてのTa電極と第1の電極77としてのTa電極を同時に形成する。さらに、抵抗記憶装置となる領域上にレジスト(図示略)を形成し、イオン伝導体75(Cu2S)と粒状絶縁体74(SiN)をRIEにより選択除去する(図8(c)および(d))。このようにして、抵抗記憶装置が形成される。
【0066】
次に、本実施例の動作方法について説明する。まず、記憶状態の読み出し方法について説明する。記憶状態は、第1の読み出し電極73(Ta)と第2の読み出し電極76(Ta)との間の抵抗値として記憶される。このため、両読み出し電極間に電圧を印加して流れる電流を評価したり、定電流を流すための印加電圧を評価したりすることで、抵抗値を評価して記憶状態を判別する。
【0067】
次に、抵抗記憶装置抵抗を高抵抗から低抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。第1の電極77(Ta)を接地し、イオン源72(Cu)に正の電位、たとえば2Vを100ns印加する。Cuの正イオン(Cu+)はイオン源72からイオン伝導体75(Cu2S)内を移動するが、特にイオン伝導体75と粒状絶縁体74の界面が移動しやすく、粒状絶縁体74の粒の周りに広がる。さらに、イオン伝導体75を通って第1の電極77に向かうフィラメントが形成される。特に抵抗記憶装置全体の中で粒状絶縁体74の粒径が大きく、第1の電極77と粒状絶縁体74との距離が近い部分で電界が最も大きくなるため、この部分を通ってフィラメントが形成される確率が高い。フィラメントの形成により、第1の読み出し電極73と第2の読み出し電極76との間にフィラメントを介してトンネル電流が流れるようになるため低抵抗を示すようになる。
【0068】
次に、抵抗記憶装置の抵抗値を低抵抗から高抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。イオン源72(Cu)を接地し、第1の電極77(Ta)に正の電位、たとえば3Vを10μs印加する。Cuイオンはイオン源72へ向かう方向に移動するため、フィラメントは切断される。特に、イオン伝導体75(Cu2S)と粒状絶縁体74(SiN)の界面では移動しやすい。このようにして、イオン伝導体内にCuイオンがなくなるため、高抵抗を示すようになる。
【0069】
低抵抗時、読み出し電流はフィラメントを介して電子がイオン伝導体をトンネルするため、イオン伝導体は薄い必要がある。たとえばイオン伝導体厚さが4nm以下になるようにする。
【0070】
本実施例によれば、書き込み電流経路と読み出し電流経路が異なるため、読み出し電流による誤書き込みは起こりにくい。
【0071】
以上の実施例において、電極を構成する材料としてはTi,Ta,Pt,タングステン(W),モリブデン(Mo),シリサイドなどがあげられる。また、イオン源としてはCu,銀(Ag),鉛(Pb)などが利用できる。イオン伝導体としては、カルコゲン元素(酸素(O),硫黄(S),セレン(Se),テリウム(Te))と金属の化合物、シリコンを含む絶縁物(酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン)、ペロブスカイト型酸化物(ABO3:A:マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba)、ホウ素(B):Ti)などでもよい。絶縁体としては、酸化物、窒化物、酸窒化物やイオン伝導体などが利用できる。
【0072】
なお、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得ることは明らかである。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
イオン源部材と、前記イオン源部材上に形成された粒状または島状の絶縁体部材と、前記絶縁体部材上に形成されたイオン伝導体部材と、前記イオン伝導体部材上に形成された電極部材とを有することを特徴とする抵抗記憶装置。
(付記2)
前記イオン伝導体部材が、前記イオン源部材と前記絶縁体部材との両方に面した領域を有することを特徴とする付記1記載の抵抗記憶装置。
(付記3)
前記イオン伝導体部材には、第1の読み出し電極と第2の読み出し電極とがさらに電気的に接続されていることを特徴とする付記1乃至2のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記4)
前記島状の絶縁体部材は複数の前記粒状の絶縁体部材が連結された島形状を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記5)
前記絶縁体部材の高さのばらつきが、前記イオン源部材の表面の凹凸ばらつきより大きいことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記6)
前記イオン伝導体部材の厚さが、前記絶縁体部材の平均膜厚の6倍を円周率で割った値以上であることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記7)
前記イオン伝導体部材が固体電解質を含むことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記8)
前記イオン伝導体部材が空気の領域を有する構造を含むことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記9)
前記絶縁体部材を構成する粒部材の平均的な合計数が、10個以上であることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記10)
前記絶縁体部材を構成する粒部材の平均的な合計数が、100個以上であることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記11)
前記絶縁体部材を構成する粒部材の平均直径が、20nm以下であることを特徴とする付記1乃至10の抵抗記憶装置。
(付記12)
前記絶縁体部材の平均膜厚が、5.2nm以下であることを特徴とする付記1乃至11のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記13)
イオン源部材上に粒状または島状に絶縁部材を形成する工程と、前記絶縁部材上にイオン伝導体部材を共通に形成する工程と、前記イオン伝導体部材上に電極部材を形成する工程とを有することを特徴とする抵抗記憶装置の製造方法。
(付記14)
前記絶縁部材は前記イオン源部材の複数個所が露出するように形成されており、前記絶縁部材から露出する前記イオン源部材表面および前記絶縁部材表面上に前記イオン伝導体部材を共通に形成する工程を有することを特徴とする付記14記載の抵抗記憶装置の製造方法。
【符号の説明】
【0074】
1 第1のイオン源
2 第1の電極
3 第1のイオン伝導体
4 第1の絶縁体
【技術分野】
【0001】
本発明は抵抗記憶装置に関し、特にイオン伝導体に金属イオンを導入、排除して導電性を変化させることで、抵抗を変化させる機能を有する抵抗記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の抵抗記憶装置としては、例えば、ナノブリッジ素子を抵抗記憶装置として用いてクロスバースイッチを構成するものがあった。
【0003】
まず、抵抗記憶装置の例として、ナノブリッジ素子と呼ばれる構造について説明する。図9に非特許文献1(2010 IEEE ELECTRON DEVICES MEETING TECHNICAL DIGEST (pp.303-306))で報告されたナノブリッジ素子の例を示す。同図では、ナノブリッジ素子の断面形状と動作を示し、ルテニウム(Ru)電極101と固体電解質層102と銅(Cu)電極103とを積層した構造のナノブリッジ素子である。素子抵抗を低抵抗に変化させるには、図9(a)に示すように、Cu電極103にプラスの電圧(+V)を印加することでCuイオン(Cu+)をRu電極101へ向かう方向に移動させ、固体電解質層102内にCu導電領域132を形成して(図9(b)参照)、Cu電極103とRu電極101の間を低抵抗(ON)にする。逆に、図9(c)に示すように、Ru電極101にプラスの電圧(+V)を印加するとCuイオンがCu電極103へ向かう方向に移動してCu電極103に回収されるため、Cu電極103とRu電極101の間は高抵抗(OFF)に変化する(図9(d)参照)。このように、図9に示すナノブリッジ素子では、電圧の印加方向により抵抗を変化させることができる。
【0004】
次に、このナノブリッジ素子を用いて構成したクロスバースイッチについて図10を用いて説明する。本例では交差する2系統の配線群、例えば、ビット線B1乃至B3とワード線W1乃至W3の交差部分に両配線を接続するようにナノブリッジ素子A11乃至A33が配置されている。初期状態ではすべてのナノブリッジ素子が高抵抗の状態とする。ナノブリッジ素子A11を低抵抗にして配線B1と配線W1間を電気的接続状態にするには、B1とW1にそれぞれ電圧Vddと0Vを、その他の配線にVdd/2を印加する。Vddをナノブリッジ素子が低抵抗に変化する閾値電圧Vthより大きく、かつVdd/2がVthより小さくなるように設定することで、所望のナノブリッジ素子A11だけ低抵抗に変化させることができる。これにより所望の1対の配線B1とW1が低抵抗で接続されることになる。
【0005】
配線間を電気的に切断するには逆向きの電圧−Vddを印加して、ナノブリッジ素子を高抵抗に変化させる。これらの動作により、2系統の配線群同士の接続を自由に切り替えるクロスバースイッチを構成することができる。
【0006】
ほかの抵抗記憶装置の例として、特許文献1、2、3に開示されているような例がある。その一例として、特許文献1(特開2009−212380)で示された抵抗記憶装置について図11を用いて示す。この抵抗記憶装置では、一対の電極間に抵抗変化層を挟んだ構造であるが、この抵抗変化層は、多結晶酸化物膜と、これよりも厚いアモルファス酸化物膜との積層を含んでいる。下部電極110としては白金(Pt)50nm、多結晶酸化物膜111としては多結晶酸化ニッケル(NiO)を5nm、アモルファス酸化物膜112としてはアモルファスNiOを10nm、上部電極113としてはPt50nmを使用している。動作方法は図9と同様であるが、本構造により、抵抗記憶装置を微細化しても、初期短絡不良を防ぎつつ、フィラメント114を形成して抵抗変化を開始させるフォーミング電圧を低く維持することができるとしている。
【0007】
このような抵抗記憶装置は、前述のような電気的接続経路を切り替えるスイッチ用途や、データを記憶するメモリ用途などに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−212380 (図2)
【特許文献2】特開2009−141225 (図1)
【特許文献3】特開2010−016381 (図1)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】2010 IEEE ELECTRON DEVICES MEETING TECHNICAL DIGEST (pp.303-306)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、抵抗変化層としてNiOや酸化チタン(TiO)を用いた関連技術の抵抗記憶装置の研究において、抵抗記憶装置特性のばらつきが大きく、抵抗記憶装置面積を小さくするとフォーミング電圧が大きくなるという問題が明らかになったとしている。そして、面積依存性については、成膜後の抵抗記憶装置中に存在するウイークスポットの程度と存在確率が変わるためとしている。
【0011】
特許文献1ではこの問題を解決する方法として、グレインバウンダリ115に電界が集中しやすいことを利用し、多結晶酸化物膜を用い、そのグレインバウンダリを起点としてフォーミングを生じさせている。グレインを抵抗記憶装置サイズより小さくすることで、抵抗記憶装置内に多数のグレインバウンダリ115、すなわちフォーミングの起点を設けることで、微細化による起点の減少から起こるフォーミング電圧の増大を防ぐとしている。
【0012】
さて、もう一つの問題である抵抗記憶装置特性のばらつきであるが、(1)抵抗記憶装置間のばらつきと(2)同一抵抗記憶装置での繰り返しばらつきの2種類が考えられる。抵抗記憶装置間ばらつきについては、前述の起点の減少による個体差や、フィラメントが形成される電極の表面形状の抵抗記憶装置間の違いが原因となる。ここで電極の表面形状の影響について図12を用いて説明する。
【0013】
図12は、電極表面形状が異なる3つの抵抗記憶装置R1、R2、R3についてフィラメント114が形成される位置を示した断面図である。図12(a)に示す抵抗記憶装置R1は、その電極103の表面が平坦な場合である。図12(b)および(c)に示す抵抗記憶素子R2およびR3は、その電極103の表面に異なる凹凸がある場合を示している。
【0014】
さらに図12には、書き込みを3回行い、フィラメント形成を繰り返し行ったときのフィラメント114の形成位置の変化を縦方向に1回目、2回目、3回目として示してある。抵抗記憶装置R2と抵抗記憶装置R3では表面形状が異なっており、突部の高さや鋭さで電界集中の程度が変わっている。電界強度はフィラメント形成に寄与するため、抵抗記憶装置R2と抵抗記憶装置R3とでは書き込み特性が異なることになり、電極表面形状が抵抗記憶装置間のばらつきに影響するのは明らかである。
【0015】
次に、繰り返し書き込み時の特性ばらつきについては、以下のように考える。抵抗記憶装置R1のように電極103を平坦化した場合、フィラメント114が形成される確率はどこでも同程度であり、図12(a)に示すように書き込むたびに異なる場所に形成されると考えられる。電極103の平坦化は、抵抗変化層102を薄膜化して動作の低電圧化をはかる上で、膜内の欠陥形成を抑制するために必要であるが、抵抗変化層102を完全に均質にすることは難しく、フィラメント114の太さや形状や形成電圧は形成される位置に影響を受けることは明らかである。
【0016】
一方、抵抗記憶装置R2や抵抗記憶装置R3のように電極103が平坦でなく突部がある場合は、繰り返して書き込みを行っても図12(b)および(c)に示すように、同じ場所にフィラメント114が形成される確率が高く、繰り返しばらつきは小さいと考えられる。しかし、電極自体がイオン化して移動するため、動作を繰り返すと形状が経時変化し、フィラメント形成点が移動する可能性がある。これらのような現象が繰り返しばらつきに影響すると考えられる。
【0017】
この問題に対し特許文献1に開示の構造を適用した場合、膜上方からみるとグレインバウンダリは網目状に全面につながっており、その上面は下部電極の表面形状を反映する。このため、前述の2つのばらつきに対しての改善効果はほとんどないことは明らかである。
【0018】
このように、特許文献1では下部電極表面形状に起因して特性がばらつくため、すべてのセルを書き込むためにはマージンを考慮した高い書き込み電圧が必要となり、消費電力が低減できないという問題があった。
【0019】
本発明の目的は、上述した課題を解決した抵抗記憶装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の抵抗記憶装置は、イオン源部材と、イオン源部材上に形成された粒状または島状の絶縁体部材と、絶縁体部材上に形成されたイオン伝導体部材と、イオン伝導体部材上に形成された電極部材とを有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の抵抗記憶装置の製造方法は、イオン源部材上に粒状または島状に絶縁部材を形成する工程と、この絶縁部材上にイオン伝導体部材を形成する工程と、イオン伝導体部材上に電極部材を形成する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、特性ばらつきが改善されてマージン電圧を小さくできるため低い電圧での書き込みが可能となり、低消費電力の抵抗記憶装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一の実施の形態の要部概略断面図である。
【図2】(a) 本発明の第一の実施の形態の動作説明のための概略断面図である。
【0024】
(b) 比較参考例の動作説明のための概略断面図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態の要部概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施例の要部概略平面図と概略断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例の代表的な製造工程での概略平面図と概略断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例の要部概略平面図と概略断面図である。
【図8】本発明の第2の実施例の代表的な製造工程での概略平面図と概略断面図である。
【図9】非特許文献1に開示の抵抗記憶装置とその動作を示す概略断面図である。
【図10】図6に示す抵抗記憶装置を用いたクロスバースイッチ回路を示す要部概要図である。
【図11】特許文献1に開示の抵抗記憶装置を示す要部概略断面図である。
【図12】特許文献1に開示の抵抗記憶装置の動作を示す要部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0026】
図1を参照すると、本発明の第一の実施の形態として抵抗記憶装置の要部概略断面図が示されている。
【0027】
第一の実施の形態の抵抗記憶装置は、図1に示すように、第1のイオン源1と、第1の電極2と、第1のイオン伝導体3と、第1の絶縁体4とを有する。第1のイオン源1と第1の電極2は、第1のイオン伝導体3を挟んで配置される。第1の絶縁体4は、第1のイオン伝導体3と接する第1のイオン源1の表面に配置される。さらに第1の絶縁体4は、粒形状または島形状を有する。すなわち、第1のイオン伝導体3は、第1のイオン源1と第1の絶縁体4との両方に面する領域を有する。
【0028】
次に本抵抗記憶装置の動作について図2を用いて説明する。図2(a)を参照すると、本発明の第一の実施の形態の要部断面が示されている。まず、本抵抗記憶装置の第1のイオン源1と第1の電極2との間の抵抗値を、高抵抗から低抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。
【0029】
高抵抗状態では、図2(a)に示すように第1のイオン伝導体3には金属イオンがほとんど存在せず、第1のイオン源1と第1の電極2との間にはほとんど電流が流れない。ここで第1のイオン源1と第1の電極2との間に、イオン源1の金属イオンが第1の電極2の方向に流れる第1の極性で所望の値の電圧を所望の時間印加する。このとき、電界は導電体である第1のイオン源1と第1の電極2との間に形成されるため、まず金属イオンは移動しやすい第1のイオン伝導体3と第1の絶縁体4との界面を移動する。そして図2(a)の点線の矢印で示すように第1のイオン伝導体3を通り、第1の電極2に向けてフィラメントを形成する。このようにして、低抵抗に変化させる。
【0030】
次に、低抵抗から高抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。第1のイオン源1と第1の電極2との間に、第1の極性とは逆向きで所望の値の電圧を所望の時間印加する。これにより、第1のイオン伝導体3内の金属イオンが第1のイオン源1の方向に移動する。さらに、第1のイオン伝導体1と第1の絶縁体4との界面では、金属イオンが移動しやすいため、金属イオンが第1のイオン源1に回収される。このようにして第1のイオン伝導体3に金属イオンが存在しなくなるため、高抵抗を示すようになる。
【0031】
次に、本抵抗記憶装置の読み出し方法について説明する。読み出しは第1のイオン源1と第1の電極2との間の抵抗を評価することで行う。たとえば、第1のイオン源1に電圧を印加して第1の読み出し端子1と第2の読み出し端子2との間に電位差を与えることにより、第1の電極2を充電し、一定時間後の第1の電極2の電位と所望の電位とをセンスアンプを用いて比較する。ほかには、定電流源から所望の電流を流したときの電位と所望の電位とをセンスアンプを用いて比較するなどの方法がある。
【0032】
第1のイオン伝導体に薄い部分があると、電界が強くなるためフィラメントが形成されやすくなる。これは、繰り返し書き込み時に同じ場所にフィラメントが形成されることになるため、繰り返し書き込み特性が安定することを意味する。
【0033】
凹凸に対し均一な膜厚となる成膜方法でも、第1のイオン伝導体3が薄いと粒に沿って一様な膜厚で形成されるが、厚くなるにつれ第1の絶縁体4の上部が薄く、それ以外が厚くなる傾向がある。このため、第1のイオン伝導体3の厚さは第1の絶縁体4の粒の大きさに比べ、厚いほうが望ましい。凹凸があっても平坦な膜が形成できる成膜方法では、第1の絶縁体4上部の第1のイオン伝導体3が薄くなるので、この限りではない。また、フィラメントの形成確率が第1のイオン源表面の凹凸ではなく、粒のサイズ分布に支配される必要があるため、粒サイズのばらつきを第1のイオン源表面の凹凸ばらつきより大きくする必要がある。
【0034】
また、図2(b)に、絶縁体粒ではなく金属粒5を用いた場合について説明する。この場合、書き込み時の電界は、金属粒最頂部で終端してしまい、第1のイオン源1近傍では電界がほとんどなくなってしまう。このため、金属イオンが移動しにくい。このことから、絶縁体粒のほうがフィラメント形成に適している。イオン源は、イオン化量を調整するためイオン源と第1のイオン伝導体3および/または第1の絶縁体4との間にイオン源以外の材料を挟んでも良い。
【0035】
書き込み時に印加する電圧は矩形波であっても、印加中に変化する波形であってもよく、電位を変えて複数回印加しても良い。第1の絶縁体4の粒は、孤立した粒でなくても、いくつかの粒がつながった島状でも、第1のイオン伝導体3と第1のイオン源1が接する領域さえあれば同様の効果が得られる。
【0036】
本実施の形態では、フィラメント形成点となる確率は主に書き込み電界の強さに依存するため、第1のイオン伝導体1の薄さ、すなわち第1の絶縁体4の粒の大きさで決まる。このため、第1のイオン源1と第1の電極2とが対向する領域の中で、もっとも大きい第2の絶縁体4の粒、およびこれに近い条件の粒からフィラメントが形成されやすくなる。フィラメントの形成点が絞られることにより、繰り返し書き込みを行ったときのばらつきが低減される。
【0037】
さらに、第1の絶縁体4を複数の抵抗記憶装置にわたり一様に形成することで、各抵抗記憶装置内に多数、たとえば10以上、できれば100以上の粒を設けることで、それぞれの抵抗記憶装置の粒サイズ分布を同様にすることができる。この結果、フィラメントの形成条件が抵抗記憶装置によらず同程度となり、抵抗記憶装置間の書き込み特性ばらつきを低減することができる。これにより、必要なマージン電圧が小さくなり、書き込み電圧を低減できる抵抗記憶装置を得ることができる。これらを複数用いて回路制御することで、メモリ抵抗記憶装置やスイッチ抵抗記憶装置を構成することができる。
【0038】
図3を参照すると、本発明の第二の実施の形態として抵抗記憶装置の要部断面図が示されている。
【0039】
第二の実施の形態の抵抗記憶装置は、図3に示すように、第1のイオン源1と、第1の電極2と、第1のイオン伝導体3と、第1の絶縁体4とを有する。第1のイオン源1と第1の電極2は、第1のイオン伝導体3を挟んで対向して配置される。第1の絶縁体4は、第1のイオン伝導体3と接する第1のイオン源1の表面に配置される。さらに第1の絶縁体4は、粒形状を有する。すなわち、第1のイオン源1と第1のイオン伝導体3とは接する領域を有する。さらに、第1の読み出し電極6と第2の読み出し電極7とを有する。読み出し電極は、第1のイオン伝導体3に接して形成される。
【0040】
次に、本抵抗記憶装置の動作について説明する。まず、本抵抗記憶装置の読み出し方法であるが、読み出し端子間の抵抗を評価することで行う。次に、本抵抗記憶装置の読み出し電極間の抵抗を、高抵抗から低抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。
【0041】
高抵抗状態では、図3に示すように第1のイオン伝導体3には金属イオンがほとんど存在せず、読み出し電極間にはほとんど電流が流れない。ここで第1のイオン源1と第1の電極2との間に、イオン源1の金属イオンが第1の電極2の方向に流れる第1の極性で所望の値の電圧を所望の時間印加する。このとき、電界は導電体である第1のイオン源1と第1の電極2との間に形成されるため、まず金属イオンは移動しやすい第1のイオン伝導体3と第1の絶縁体4との界面を移動する。次に、第1のイオン伝導体3を通り、第1の電極2に向けてフィラメントを形成する。このとき、第1の読み出し電極6と第2の読み出し電極7との間に電圧を印加すると、フィラメント部分を介して電子がトンネルするようになるため、電流が流れるようになる。このようにして、読み出し電極6、7間を低抵抗に変化させる。
【0042】
次に、低抵抗から高抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。第1のイオン源1と第1の電極2との間に、第1の極性とは逆向きで所望の値の電圧を所望の時間印加する。これにより、第1のイオン伝導体3内の金属イオンが第1のイオン源1の方向に移動する。さらに、第1のイオン伝導体1と第1の絶縁体4との界面では、金属イオンが移動しやすいため、金属イオンが第1のイオン源1に回収される。このようにして第1のイオン伝導体3に金属イオンが存在しなくなるため、読み出し電極6、7間は高抵抗を示すようになる。
【0043】
それぞれの読み出し電極6、7は第1のイオン源1や第1の電極2と共用しても良い。読み出し電極間の電流は、フィラメントまでをトンネルして流れるため、第1のイオン伝導体3の厚さ、電極サイズは、所望の電流量から設計する。
【0044】
本実施の形態では、書き込み電流経路と読み出し電流経路とが異なるため、読み出しにより金属イオンが移動しても抵抗値への影響が小さく、誤書き込みが発生しにくいという特徴がある。
【0045】
絶縁体粒の大きさの目安について図4を用いて説明する。一辺xで正方形の抵抗記憶装置に、半径rの絶縁体粒を並べたときの平面概要図を図4(a)に、一部の断面図を図4(b)に示す。抵抗記憶装置内にy個の半球状の絶縁体粒が並んでいるとすると、絶縁体粒の直径2rは式(1)で、また抵抗記憶装置全体でみた絶縁体の平均膜厚hは式(2)で表現される。一方、第1のイオン伝導体の厚さtは、絶縁体粒の半径以上とすると、式(3)で表現される。
【0046】
2r=(x2/y)0.5 (1)
h=πr/6 (2)
t=6h/π (3)
【0047】
一辺が0.2μmの正方形の抵抗記憶装置内に100個の絶縁体粒を設けることを仮定すると、絶縁体粒の直径は20nm、その平均膜厚は5.2nmとなる。ここでは整列した状態を仮定しているため、実際にこの条件下では隣接する粒がつながり部分的に島が形成されている状態になると考える。
【実施例】
【0048】
次に、具体的な実施例を用いて本発明の動作を説明する。
図5に示した抵抗記憶装置を用いて、本発明の第一の実施例を説明する。図5(a)は抵抗記憶装置の平面図、(b)は(a)におけるI−I線に沿った断面図である。
【0049】
本発明の第一の実施例は、第1の電極部材であるルテニウム(Ru)56と、イオン源部材である銅(Cu)52と、イオン伝導体部材である珪酸タンタル(TaSiO)55と、イオン源部材の表面に形成された粒状または島状の絶縁体部材である二酸化シリコン(SiO2)54とを有している。第1の電極56とイオン源52は制御回路と電気的に接続されている。
【0050】
次に、本実施例の製造方法について図6を用いて説明する。図6(a)および(c)は、代表的な製造行程における平面図であり、図6(b)および(d)は図6(a)および(c)におけるII−II線およびIII−III線に沿った断面図である。まず、集積回路などが形成されたシリコンなどの基板(図示略)上に絶縁膜としてSiO2層間膜51を400nmの厚さに成膜し、フォトリソグラフィ技術によりイオン源形成部以外をレジスト(図示略)で保護し、反応性イオンエッチング技術(以降RIEと称す)によりSiO2層間膜51を200nmの深さにエッチングする。
【0051】
レジスト除去後、全面にシード層(図示略)とイオン源52となるCuを300nmの厚さにスパッタリング法とメッキ法を用いて形成した後、化学的機械的研磨技術(以降CMPと称す)により平坦化することでイオン源52部分にCuを残す。全面に絶縁膜53としてのSiO2を化学蒸着法(CHEMICAL VAPOR DEPOSITION)法(以降CVDと称す)で50nmの厚さに成膜する。抵抗記憶装置を形成する領域以外をレジストで保護し、SiO2絶縁膜53を除去し、イオン源52(Cu)を露出させる。レジスト除去後、全面に粒状絶縁体54となるSiO2をスパッタリング法で0.8nmの厚さに成膜する(図6(a) および(b))。
【0052】
成膜工程において、スパッタ時のエネルギーを下げたり、ガス圧をあげたり、低温で成膜することで、その膜は粒状になりやすくなる。前もってパラメータを調整して評価し、所望のサイズとサイズばらつきの粒を形成する条件を用いる。
【0053】
次に、全面にイオン伝導体55(TaSiO)を10nm、第1の電極56(Ru)を20nmの厚さに、スパッタリング法で成膜する。次に、抵抗記憶装置となる領域にレジストを形成し、第1の電極56、イオン伝導体55をRIEにより除去する(図6(c)および(d))。これにより、抵抗記憶装置を形成する。
【0054】
次に、本実施例の動作方法について説明する。まず、記憶状態の読み出し方法について説明する。記憶状態は、第1の電極56(Ru)とイオン源52(Cu)との間の抵抗として記憶される。このため、第1の電極56とイオン源52との間に電圧を印加して流れる電流を評価したり、定電流を流すための印加電圧を評価したりすることで、抵抗値を評価して記憶状態を判別する。メモリなどのようにデータ記憶抵抗記憶装置として用いる場合は、読み出した抵抗値からデータを判別する。また、クロスバースイッチのような用途では、抵抗値により接続、非接続として働くように回路を構成する。
【0055】
次に、抵抗記憶装置の抵抗値を高抵抗から低抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。第1の電極56(Ru)を接地し、イオン源52(Cu)に正の電位、たとえば2Vを10ns印加する。電界はイオン源52の表面に印加するため、Cuの正イオン(Cu+)はイオン伝導体55(TaSiO)内を移動するが、特にイオン伝導体55と粒状絶縁体54の界面が移動しやすく、粒状絶縁体54の周りに広がる。さらに、イオン伝導体55を通ってフィラメントが形成される。特に抵抗記憶装置全体で粒状絶縁体54の粒部材の外径が大きく、イオン伝導体55が薄くなっている部分で電界が最も大きくなるため、この部分を通ってフィラメントが形成される確率が高い。フィラメントの形成により、低抵抗を示すようになる。
【0056】
次に、抵抗記憶装置の抵抗値を低抵抗から高抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。イオン源52(Cu)を接地し、第1の電極56(Ru)に正の電位、たとえば3Vを1μs印加する。Cuイオンはイオン源52方向に移動するため、フィラメントは切断される。特に、イオン伝導体55(TaSiO)と粒状絶縁体54(SiO2)の界面では移動しやすい。このようにして、イオン伝導体内にCuイオンがなくなるため、高抵抗を示すようになる。
【0057】
イオン伝導体は、本実施例のように固体電解質や、膜内に空気との界面をもつポーラスSiO2などの材料、およびこれらの積層構造も利用可能である。本実施例では、イオン源52(Cu)と第1の電極56(Ru)は直接イオン伝導体55(TaSiO)に接しているが、たとえばチタン(Ti)やSiO2などの金属や絶縁体を介して、イオン化を調整することも可能である。また、粒状絶縁体54は粒状としたが、粒同士がくっつき島状になったものが含まれても、イオン源52が露出する限りは、粒の凹凸が残るため同様の効果が得られる。
【0058】
本実施例によれば、フィラメントが形成される場所が絞られ、繰り返し書き込み時の書き込み特性ばらつきが抑制される。また、抵抗記憶装置間のフィラメントの形成しやすさの分布も同程度となるため、抵抗記憶装置間のばらつきも抑制される。これにより、書き込み時のマージンを小さくすることができるため、小さい書き込み電圧での利用が可能な抵抗記憶装置が得られる。
【0059】
図7に示した抵抗記憶装置を用いて、本発明の第二の実施例を説明する。図7(a)は抵抗記憶装置の平面図、図7(b)は(a)におけるIV−IV線に沿った断面図である。
【0060】
本発明の第二の実施例は、第1の電極77であるタンタル(Ta)と、イオン源72であるCuと、イオン伝導体75である硫化銅(Cu2S)と、イオン源表面に形成された絶縁体粒、すなわち粒状絶縁体74としての窒化シリコン(SiN)とを有している。また、第1の読み出し電極73としてのTa電極と第2の読み出し電極76としてのTa電極とを有している。各電極とイオン源は制御回路と電気的に接続されている。
【0061】
次に、本実施例の製造方法について図8を用いて説明する。図8(a)および(c)は、代表的な製造行程における平面図であり、図8(b)および(d)は図8(a)および(c)におけるV−V線およびVI−VI線に沿ったそれぞれの断面図である。
【0062】
まず、集積回路などが形成されたシリコン基板等の基板(図示略)上に絶縁体(SiO2)層間膜71を400nmの厚さに成膜し、フォトリソグラフィ技術により第1の読み出し電極73(Ta)の形成部以外をレジスト(図示略)で保護し、RIEにより絶縁体層間膜71を200nmの深さまでエッチングする。レジスト除去後、全面にスパッタリング法により第1の読み出し電極73となるTaを300nmの厚さに形成した後、CMPにより平坦化することで第1の読み出し電極73のパターンを形成する。
【0063】
次に、イオン源形成部以外をレジスト(図示略)で保護し、RIEにより絶縁体層間膜71を200nmの深さまでエッチングする。レジスト除去後、全面にシード層とイオン源72となるCuを合計厚さ300nmとなるようスパッタリング法とメッキ法を用いて形成した後、CMPにより平坦化することでイオン源72の部分にCuを残す。その後、全面に粒状絶縁体74となるSiNをプラズマCVD法で0.3nmの厚みに成膜する(図8(a)および(b))。
【0064】
成膜工程において、プラズマエネルギーを下げたり、ガス圧をあげたり、低温で成膜することで、SiN膜は粒状になりやすくなる。前もってパラメータを調整して評価し、所望のサイズとサイズばらつきの粒を形成する条件を用いる。
【0065】
次に、全面にイオン伝導体75となるCu2S膜を4nm厚、上部電極となるTa膜を50nm厚となるようにスパッタリング法で順次成膜する。次に、上部電極となるTa膜をレジスト(図示略)で保護し、RIEによりTa膜を選択除去し、第2の読み出し電極76としてのTa電極と第1の電極77としてのTa電極を同時に形成する。さらに、抵抗記憶装置となる領域上にレジスト(図示略)を形成し、イオン伝導体75(Cu2S)と粒状絶縁体74(SiN)をRIEにより選択除去する(図8(c)および(d))。このようにして、抵抗記憶装置が形成される。
【0066】
次に、本実施例の動作方法について説明する。まず、記憶状態の読み出し方法について説明する。記憶状態は、第1の読み出し電極73(Ta)と第2の読み出し電極76(Ta)との間の抵抗値として記憶される。このため、両読み出し電極間に電圧を印加して流れる電流を評価したり、定電流を流すための印加電圧を評価したりすることで、抵抗値を評価して記憶状態を判別する。
【0067】
次に、抵抗記憶装置抵抗を高抵抗から低抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。第1の電極77(Ta)を接地し、イオン源72(Cu)に正の電位、たとえば2Vを100ns印加する。Cuの正イオン(Cu+)はイオン源72からイオン伝導体75(Cu2S)内を移動するが、特にイオン伝導体75と粒状絶縁体74の界面が移動しやすく、粒状絶縁体74の粒の周りに広がる。さらに、イオン伝導体75を通って第1の電極77に向かうフィラメントが形成される。特に抵抗記憶装置全体の中で粒状絶縁体74の粒径が大きく、第1の電極77と粒状絶縁体74との距離が近い部分で電界が最も大きくなるため、この部分を通ってフィラメントが形成される確率が高い。フィラメントの形成により、第1の読み出し電極73と第2の読み出し電極76との間にフィラメントを介してトンネル電流が流れるようになるため低抵抗を示すようになる。
【0068】
次に、抵抗記憶装置の抵抗値を低抵抗から高抵抗に変化させる書き込み方法について説明する。イオン源72(Cu)を接地し、第1の電極77(Ta)に正の電位、たとえば3Vを10μs印加する。Cuイオンはイオン源72へ向かう方向に移動するため、フィラメントは切断される。特に、イオン伝導体75(Cu2S)と粒状絶縁体74(SiN)の界面では移動しやすい。このようにして、イオン伝導体内にCuイオンがなくなるため、高抵抗を示すようになる。
【0069】
低抵抗時、読み出し電流はフィラメントを介して電子がイオン伝導体をトンネルするため、イオン伝導体は薄い必要がある。たとえばイオン伝導体厚さが4nm以下になるようにする。
【0070】
本実施例によれば、書き込み電流経路と読み出し電流経路が異なるため、読み出し電流による誤書き込みは起こりにくい。
【0071】
以上の実施例において、電極を構成する材料としてはTi,Ta,Pt,タングステン(W),モリブデン(Mo),シリサイドなどがあげられる。また、イオン源としてはCu,銀(Ag),鉛(Pb)などが利用できる。イオン伝導体としては、カルコゲン元素(酸素(O),硫黄(S),セレン(Se),テリウム(Te))と金属の化合物、シリコンを含む絶縁物(酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン)、ペロブスカイト型酸化物(ABO3:A:マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba)、ホウ素(B):Ti)などでもよい。絶縁体としては、酸化物、窒化物、酸窒化物やイオン伝導体などが利用できる。
【0072】
なお、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得ることは明らかである。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
イオン源部材と、前記イオン源部材上に形成された粒状または島状の絶縁体部材と、前記絶縁体部材上に形成されたイオン伝導体部材と、前記イオン伝導体部材上に形成された電極部材とを有することを特徴とする抵抗記憶装置。
(付記2)
前記イオン伝導体部材が、前記イオン源部材と前記絶縁体部材との両方に面した領域を有することを特徴とする付記1記載の抵抗記憶装置。
(付記3)
前記イオン伝導体部材には、第1の読み出し電極と第2の読み出し電極とがさらに電気的に接続されていることを特徴とする付記1乃至2のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記4)
前記島状の絶縁体部材は複数の前記粒状の絶縁体部材が連結された島形状を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記5)
前記絶縁体部材の高さのばらつきが、前記イオン源部材の表面の凹凸ばらつきより大きいことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記6)
前記イオン伝導体部材の厚さが、前記絶縁体部材の平均膜厚の6倍を円周率で割った値以上であることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記7)
前記イオン伝導体部材が固体電解質を含むことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記8)
前記イオン伝導体部材が空気の領域を有する構造を含むことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記9)
前記絶縁体部材を構成する粒部材の平均的な合計数が、10個以上であることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記10)
前記絶縁体部材を構成する粒部材の平均的な合計数が、100個以上であることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記11)
前記絶縁体部材を構成する粒部材の平均直径が、20nm以下であることを特徴とする付記1乃至10の抵抗記憶装置。
(付記12)
前記絶縁体部材の平均膜厚が、5.2nm以下であることを特徴とする付記1乃至11のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
(付記13)
イオン源部材上に粒状または島状に絶縁部材を形成する工程と、前記絶縁部材上にイオン伝導体部材を共通に形成する工程と、前記イオン伝導体部材上に電極部材を形成する工程とを有することを特徴とする抵抗記憶装置の製造方法。
(付記14)
前記絶縁部材は前記イオン源部材の複数個所が露出するように形成されており、前記絶縁部材から露出する前記イオン源部材表面および前記絶縁部材表面上に前記イオン伝導体部材を共通に形成する工程を有することを特徴とする付記14記載の抵抗記憶装置の製造方法。
【符号の説明】
【0074】
1 第1のイオン源
2 第1の電極
3 第1のイオン伝導体
4 第1の絶縁体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン源部材と、前記イオン源部材上に形成された粒状または島状の絶縁体部材と、前記絶縁体部材上に形成されたイオン伝導体部材と、前記イオン伝導体部材上に形成された電極部材とを有することを特徴とする抵抗記憶装置。
【請求項2】
前記イオン伝導体部材が、前記イオン源部材と前記絶縁体部材との両方に面した領域を有することを特徴とする請求項1記載の抵抗記憶装置。
【請求項3】
前記イオン伝導体部材には、第1の読み出し電極と第2の読み出し電極とがさらに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項4】
前記島状の絶縁体部材は複数の前記粒状の絶縁体部材が連結された島形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項5】
前記絶縁体部材の高さのばらつきが、前記イオン源部材の表面の凹凸ばらつきより大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項6】
前記イオン伝導体部材の厚さが、前記絶縁体部材の平均膜厚の6倍を円周率で割った値以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項7】
前記イオン伝導体部材が固体電解質を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項8】
前記イオン伝導体部材が空気の領域を有する構造を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項9】
イオン源部材上に粒状または島状に絶縁部材を形成する工程と、前記絶縁部材上にイオン伝導体部材を形成する工程と、前記イオン伝導体部材上に電極部材を形成する工程とを有することを特徴とする抵抗記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁部材は前記イオン源部材の複数個所が露出するように形成されており、前記絶縁部材から露出する前記イオン源部材表面および前記絶縁部材表面上に前記イオン伝導体部材を共通に形成する工程を有することを特徴とする請求項9記載の抵抗記憶装置の製造方法。
【請求項1】
イオン源部材と、前記イオン源部材上に形成された粒状または島状の絶縁体部材と、前記絶縁体部材上に形成されたイオン伝導体部材と、前記イオン伝導体部材上に形成された電極部材とを有することを特徴とする抵抗記憶装置。
【請求項2】
前記イオン伝導体部材が、前記イオン源部材と前記絶縁体部材との両方に面した領域を有することを特徴とする請求項1記載の抵抗記憶装置。
【請求項3】
前記イオン伝導体部材には、第1の読み出し電極と第2の読み出し電極とがさらに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項4】
前記島状の絶縁体部材は複数の前記粒状の絶縁体部材が連結された島形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項5】
前記絶縁体部材の高さのばらつきが、前記イオン源部材の表面の凹凸ばらつきより大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項6】
前記イオン伝導体部材の厚さが、前記絶縁体部材の平均膜厚の6倍を円周率で割った値以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項7】
前記イオン伝導体部材が固体電解質を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項8】
前記イオン伝導体部材が空気の領域を有する構造を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の抵抗記憶装置。
【請求項9】
イオン源部材上に粒状または島状に絶縁部材を形成する工程と、前記絶縁部材上にイオン伝導体部材を形成する工程と、前記イオン伝導体部材上に電極部材を形成する工程とを有することを特徴とする抵抗記憶装置の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁部材は前記イオン源部材の複数個所が露出するように形成されており、前記絶縁部材から露出する前記イオン源部材表面および前記絶縁部材表面上に前記イオン伝導体部材を共通に形成する工程を有することを特徴とする請求項9記載の抵抗記憶装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−216725(P2012−216725A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82098(P2011−82098)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]