説明

押出しセラミック生体溶解性繊維基材のための方法および装置

【課題】
【解決手段】
生体溶解性サラミック繊維から製作された多孔質セラミック基材が開示されている。基材の空隙率および透過性は、押出工程を通してハニカム形状基材に形成されうる、絡み合った生体溶解性繊維により提供される。繊維状構造は、生体溶解性繊維を、結合剤を含む添加物および流体と混合することによって形成され、押出可能混合物を提供する。当該構造は、結合剤のガラス転移温度を超えるが、生体溶解性繊維の最高動作限界より低い温度で焼結され、濾過用および/または触媒ホストとして十分な強度および空隙率を持つ構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般には、触媒母体などの濾過および/または高温化学反応処理に有用な多孔質セラミック基材に関連する。本発明は、さらに特定すれば、実質的に生体溶解性繊維状のセラミック基材および同左を生成する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
セラミックハニカム基材は、高い動作温度で固有の材料安定性および構造整合性が必要とされる工業的自動車関連の用途で一般に使用される。セラミックハニカム基材では、効果的な濾過のための高い比表面積と、効率的な触媒反応のための補助が提供される。例えば、自動車関連用途では、セラミック基材は、排出ガスの触媒作用による酸化および還元を行い、粒子状排出物を濾過する触媒コンバータで使用される。
【0003】
繊維状セラミック基材は、高多孔質でありながら、化学的および機械的に耐久性のある高温用途用の基材を提供するために生成され得る。共同所有の米国特許6,946,013および共同所有の米国特許出願番号11/323,429(2005年12月30日出願)、11/322,777(2005年12月30日出願)、および11/323,430(2005年12月30日出願)は、すべてを参照にて本書に組み込むが、高多孔質繊維状基材のさまざまな方法および用途を記述している。
【0004】
かかる基材を製作するために使用される原料は、特別な取り扱いおよび/または危険製品表示を必要とする一部の管轄では規制の対象となる場合がある。取締り管理の影響を避け、かかる基材の製造に関わる者の潜在的に危険な物質への可能性を最小化するために、生体溶解性、すなわちヒトまたは生物内で可溶性であると見なされる組成を持つセラミック繊維を使用できる。
【0005】
生体溶解性繊維は、耐火セラミック繊維の代替品として開発された。これらの繊維は、現在知られている規制指示において危険物質としての分類を免れることができる。これらの生体溶解性代替品は、一般に断熱および耐火用途を目的としており、強度および化学的耐久性は主な懸案事項ではない。しかし、既知の製作方法を使用して、高温濾過および/または化学的反応理処理用の孔質セラミック基材の主要成分として実行された場合、これらの繊維の強度および耐久性の低下は、対象用途での本基材の性能を損なう。
【0006】
従って、高温濾過および/または化学反応処理のために十分な強度および耐久性を提供する基材を作るための方法を使用して製造されうる生体溶解性繊維状セラミック基材が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は生体溶解性繊維状セラミック基材およびこれを製造する方法を提供する。従って、本発明の目的は、生体溶解性繊維状構造および装置を形成する方法および過程、または生体溶解性繊維から形成される多孔質繊維状構造を持つ形状に向けられる。
【0008】
具体的には、本発明は生体溶解性繊維から形成される押出しハニカム基材に対して行なわれる。当該ハニカム基材は、隣接する経路間に壁を形成する一連の経路を持ち、壁は絡み合った生体溶解性繊維から形成される。基材の強度は、生体溶解性繊維および構造内の重複および隣接繊維間の結合に由来する。ガラス、ガラス・セラミックおよびセラミックの前駆体などの結合剤が、反応形成性または焼結結合を提供するために含まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、繊維間の結合の形成を通して、生体溶解性繊維に機械的、化学的および熱的耐久性を与えることである。一態様において、結合の熱膨張係数は生体溶解性繊維の熱膨張係数と実質的に同じである。
【0010】
本発明は、生体溶解性繊維を使用して多孔質基材を製造する製造に対して行なわれる。本発明のこの態様では、生体溶解性繊維は添加物および流体と混合されて押出可能混合物を形成する。押出可能混合物は未焼成基材に押し出され、その後硬化されて多孔質基材を形成する。無機添加物は押出可能混合物に含まれており、硬化過程中に生体溶解性繊維間の結合を反応形成するために使用される。
【0011】
本発明の別の態様では、シリカおよびカルシウム、マグネシウムまたは酸化ホウ素化合物などのアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物から成る絡み合った繊維を持つ押出ハニカム基材を含むフィルタを提供する。
本発明のこれらおよび他の特徴を以下の説明により明らかにするが、これらは添付の請求項で特に示す手段および組み合わせにより実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明による基材の微細構造の画像である。
【図2】図2は本発明による方法のフローチャートである。
【図3】図3は本発明の方法の硬化ステップのフローチャートである。
【図4】図4は、本発明による各種のハニカム基材を描写したものである。
【図5】図5は、本発明によるハニカム基材を含む濾過装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の例に関する詳細説明をここに示す。ただし、本発明はさまざまな形で例示される場合があることを理解すべきである。そのため、ここに開示する特定の詳細は制限的なものとして解釈されるべきではなく、むしろ実質的にすべての詳述したシステム、構造または様式において本発明を使用する方法を当業者に教示するための代表的な基本として捉えられるべきである。
【0014】
耐火セラミック繊維(RCF)は一般にアルミノケイ酸セラミック材料として知られ、ガラス繊維およびミネラルウールと共に一般的には合成ガラス繊維として分類される。ヒトが空中に浮遊する合成ガラス繊維に暴露されると、眼、鼻、のど、および肺の炎症が起こる場合がある。これらの暴露の影響は可逆性で、かかる影響は暴露が終わると消失する。アスベストとは異なり、合成ガラス繊維はヒトにおける疾患の原因とは関連付けられていないが、動物実験では大量の合成ガラス繊維を含む空気を繰り返し吸い込むと、肺の炎症および線維症につながる可能性があることが示されている。これらの動物実験に基づき、米国環境保護庁および国際癌研究機関(IARC)を含む幾つかの国内および国際規制団体により、RCFは潜在的発癌物質であると見なされている。これらの組織によって提起された懸念は、肺炎症が長期間にわたって続くと、肺(肺線維症)および肺を囲む胸膜(胸膜線維症)に瘢痕組織が発現する可能性があるというものである。
【0015】
RCFは、キルン、オーブン、ボイラーおよび炉などの高温処理装置の断熱耐火煉瓦またはパネルとして一般的に使用されているが、例えば繊維状多孔質セラミック基材の製造を含むこれらの製品の製造において、職業性暴露の潜在的リスクが存在する。RCFを使用するほとんどの用途では、一般に繊維を最終製品内に封入するため、かかる繊維を含む製品を使用する時、一般の人に暴露の危険性はない。さらに、一般に、暴露のリスクを最小化するために適切な取り扱い方法を制定しうることが理解され、RCFを使用して製作する押出ハニカムフィルタは、稼動中に繊維を放出しないことが示されている。しかしながら、IARCは、その比較的高い生体内持続性および高レベルの繊維材料に暴露した動物を使用した研究に関する結果から、RCFがヒトに対する潜在的発癌物質であると決定した。同様に、米国環境保護庁はRCFを、おそらくヒト発癌物質であると分類した。
【0016】
RCFへの暴露の健康リスクを低減するため、これらのセラミック繊維の化学組成物は、当該繊維を生体溶解性として分類するよう適合しうる。本書での使用において、「生体溶解性繊維」という用語は、生体内持続性試験の結果、発癌性物質としての分類から除外されることができる合成ガラス繊維を含む。生体溶解性繊維には、例えば、シリカから成る無機繊維(約60〜85重量パーセント)およびアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物またはホウ素化合物(約15〜40重量パーセント)を含む。アルカリ金属化合物の例にはナトリウムおよびカリウムの酸化物を含む。アルカリ土類金属化合物の例にはマグネシウム、カルシウムおよびバリウムの酸化物を含む。ホウ素化合物の例にはホウ素の酸化物を含む。特定量のこれらの化合物をシリカに含有することによって、結果得られる繊維の生体内持続性の程度のみでなく、熱的、化学的、および機械的特性(例えば、融点、化学的活性環境での反応性、および引張強度など)、および押出繊維状ハニカム基材などこれらの繊維を使用して製作された品物の特性も決定する。生体溶解性繊維は、例えば合成骨などの生物学的化合物および材料から作られた繊維も含みうる。
【0017】
市販の生体溶解性繊維はニューヨーク州ナイアガラフォールズのUnifrax Corporationから入手可能で「ISOFRAX」と呼ばれるが、これは体外溶解度特性および、最高1260°Cの動作温度能力を持つケイ酸マグネシウム繊維である。Unifrax社の INSULFRAX繊維状製品は、RCFに関する現在の欧州規制要件に適合するケイ酸カルシウムマグネシウム生体溶解性繊維である。また、ジョージア州オーガスタのThermal Ceramics社から入手可能な一連のSUPERWOOL製品は、生体溶解性で、立証された低い生体内持続性評価を有する特別アルカリ土類組成繊維を含む。
【0018】
生体溶解性を獲得するためのセラミック組成の適応は、材料の熱的、化学的および機械的耐久性に影響する。これらの繊維が多孔質セラミック基材の基礎として使用されるとき、許容レベルの生体内持続性を獲得するために必要な組成的適応は、繊維の作動耐久性の低下をもたらし、結果的に当該繊維を使用して形成された弱くなる可能性がある構造になる。従来方法を使用した基材の製作中のガラスまたはセラミック結合の形成は、失透、腐食分解、および融解によって生じる高温における繊維完全性を破壊する。さらに、従来技術による方法を使用したガラスまたはセラミック結合の形成など、多孔質基材形成時の生体溶解性繊維の特定の処理は、遊離シリカ、非晶質または結晶形を生じうることがわかっている。シリカが一部の触媒材料の使用を妨げる可能性のある一部の用途では、シリカは望ましくないことがある。さらに、シリカは、例えば繊維の失透温度など特定の温度で、クリストバライト(結晶シリカ)を析出させる場合がある。クリストバライトは、粉末状で長期暴露した場合の既知発癌物質として指定されているシリカの結晶相で、このため、危険を減少させる試みにおいて新しい危険を生み出すことになる。本発明は、生体分解性繊維を分解することなく、またクリストバライトを形成することもなく、耐久性のある繊維基材を形成することがわかった。
【0019】
生体溶解性繊維を使用して、十分な機械的、化学的および熱的耐久性のある多孔質構造を形成するために、本書では反応形成結合相が提供されている。ここで図1を参照するが、 本発明の多孔質セラミック構造の走査型電子顕微鏡像が示されている。生体溶解性繊維100は、構造中の隣接繊維間の結合110で、隣接繊維と絡み合っている。絡み合った生体溶解性繊維100は、繊維間に開放細孔網を形成し、約40%〜80%の範囲の空隙率をもたらす。
【0020】
生体溶解性繊維100間の結合110は、結合形成を促進するが生体溶解性繊維の化学的組成を低下させたり、繊維からクリストバライトを析出させない結合過程での結合剤との反応によって形成される。本発明の一つの実施例では、ガラス原料組成物は、繊維間のガラス結合を形成するための結合剤として使用され、隣接繊維間の反応結合を提供した。かかる結合に適切なガラス原料の選択は、生体溶解性繊維の熱膨張係数を厳密に合わせるよう行なうべきで、ガラス原料は生体溶解性繊維の作動温度限界より低いガラス転移温度を持つべきである。
【0021】
例えば、ガラス転移温度が約1,100°Cのホウケイ酸ガラス原料を、動作温度限度が1,260°CのSOFRAX繊維と共に使用して、ガラス結合を形成しうる。かかる結合の反応形成中、形成する結合110はガラス結合で、生体溶解性繊維100の表面と反応およびその表面を覆って隣接繊維と結合する。本結合過程は以下にさらに詳細に記述されるが、これは少なくともガラス原料のガラス遷移温度、またはそれ以上の温度で行なわれる一方、繊維の最高動作温度未満に維持される。
【0022】
本発明の2番目の実施例では、繊維間のガラス結合を形成するための結合剤としてゾルが使用され、隣接繊維間の反応結合を提供する。ゾル溶液は、望ましいガラス転移温度、粘度および熱膨張特性を得るための特定の組成のガラス結合を形成するために適切な成分で提供されうる。理想的には、ガラス組成は繊維の熱膨張特性と適合しており、流動および結合形成のために動作限度より低いガラス転移温度で十分に低い粘度を持つべきである。例えば、ホウ酸アルミナゾルは以下にさらに詳細に記述するが、これは 動作温度限度1,260°C未満の温度でISOFRAX繊維とガラス結合を形成するために提供されうる。他の例および実施例をさらに以下に記述する。
【0023】
ここで図2を参照するが、 生体溶解性繊維を使用した多孔質基材の形成方法が示されている。一般に、生体溶解性繊維100は、混合ステップ140で添加剤120および流体130と混合されて、押出可能混合物を提供する。押出可能混合物はその後、押出しステップ150で未焼成基材として押し出され、硬化ステップ160で硬化され、組立てステップ170で最終組立てが行なわれる。開放細孔網からなる多孔質構造が、隣接する繊維間の結合を持つ絡み合った生体溶解性繊維から形成された。
【0024】
生体溶解性繊維100はバルク形態または切断繊維として提供されうる。生体溶解性繊維100の直径は、直径1〜30ミクロンでありうるが、繊維の最適直径は使用目的による。高温粒子抽出などの排気濾過用途に使用する場合、3〜10ミクロンの好ましい繊維直径が使用されうる。その後の混合および押出処理は、押出後の最終状態で繊維が3〜50,000の間の長さ対直径アスペクト比を持つように、繊維の少なくとも一部分の長さを短くするせん断力をもたらすが、アスペクト比は1:100,000の範囲であることが期待できる。
【0025】
添加物120には、結合剤、バインダー、細孔形成剤、押出助剤、可塑剤、レオロジー調節剤、または他の処理助剤などの有機および無機添加物を含む。以下にさらに詳細に記述されるように、結合剤は生体溶解性繊維間の結合を反応形成することを目的とした材料である。
【0026】
添加物120のバインダー成分は、生体溶解性繊維100の相対位置を維持することにより、硬化ステップ160で最終構造が形成されるまで、基材の未焼成強度を提供するために必要である。一部の例では、バインダーシステムは、結合剤のガラス転移温度および/または生体溶解性繊維100の動作温度限度よりはるかに低い温度で揮発性種に変換することにより熱崩壊されうる。許容されるバインダーには、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロースおよびその組み合わせが含まれる。
【0027】
最終構造の空隙率を向上するために細孔形成剤を添加物120として含めることができる。細孔形成剤は非反応性材料で、混合ステップ140および押出ステップ150の間、押出可能混合物中で体積を占領するが、硬化ステップ160中に熱分解または熱劣化または揮発により容易に除去される。例えば、マイクロワックス乳剤、フェノール樹脂粒子、小麦粉、でんぷん、または炭素粒子を添加物120として加えることができ、これはその後の硬化ステップ160中に燃き尽くされる。細孔形成剤もまた、粒子形状の配分またはアスペクト比に応じて、押出中に繊維配列特性を与えうる。結合剤は、中空の球またはエアロゲルなど低密度の形態で提供されるときには細孔形成剤として作用しうる。
【0028】
その後の押出ステップ150中の押出混合物の押出し性を改善または最適化するために、可塑剤やレオロジー調節剤などの他の処理助剤を添加物120として加えることができる。細孔形成剤材料または結合剤も、材料が押出可能混合物の潤滑性またはレオロジーを向上するように選択されたときは、処理助剤として作用しうる。例えば、細孔形成剤としての炭素粒子の使用は、押出ステップ150中に潤滑剤として作用し、押出金型によって材料に与えられる摩擦力を減少させ、それにより金型の圧力および磨耗を低減する。
【0029】
流体130は、押出に適切な望ましいレオロジーを達成するために、必要に応じて追加される。一般に水が使用されるが、結合剤などの添加物120に関連した液体、または液体のコロイドまたはゾル懸濁液として混合物に導入されることのある他の添加物と共に、さまざまな種類の溶剤が使用できる。混合工程140中に、押出ステップ150に望ましいレオロジーと比較した混合物のレオロジーを評価するために、レオロジー的(流動学的)測定を行うことができる。
【0030】
生体溶解性繊維100、添加物120、および流体130は混合ステップ140で混合され、その後の押出ステップ150の押出に望ましいレオロジーを持つ均質な塊となるように均一に分布させる。この混合には、乾式混合、湿式混合、せん断混合、および混錬などが含まれ、これは繊維、粒子および流体を分散させ、分布または分解させるために必要なせん断力を与えつつ材料を均質な塊へと均一に分布させる上で必要である。混合、せん断、および混錬の量、またかかる混合工程の持続時間は、押出工程150に望ましいレオロジー特性を持つ、均一かつ一貫性のある材料の分布を混合物内で得るために、混合ステップ140中に使用される混合装置の選択とともに、繊維100、添加物120、および流体130の選択に依存する。
【0031】
セラミック材料の押出は、一般的にハニカムセラミック基材の製造に最も費用効率の高い方法であると考えられている。鋳造、射出成形、ブローチ削り他などハニカム基材を形成するその他の方法が当業者に知られており、これらは添付の請求項の範囲に含まれるものとして意図される。この説明の目的として、混合物をハニカム基材形状に成形するための方法を望ましい押出工程として説明する。
【0032】
本発明による生体溶解性繊維100、添加物120、および流体130の混合物の押出工程は、粉末状セラミック材料の押出と類似している。HPMCなどの適切な可塑剤を含み、また適切なレオロジーを持つ混合物は、圧力がかけられてハニカム金型を通り、一般的に連続的なハニカムブロックが形成され、これが望ましい長さに切断される。ハニカム金型により、ハニカム経路の寸法および幾何学的形状が決定され、押出金型の設計に応じて長方形、三角形、六角形、またはその他の多角形の経路となりうる。さらに、非対称経路などの別のデザインで、より大きな入口経路を持つものも、適切な押出金型を使用して実施できる。押出ステップ150用に使用される押出システムには、例えばピストン押出機または、ねじタイプの押出機など、粉末状セラミック材料の押出に一般に使用されているタイプのものでありうる。混合ステップ140の特定の態様は、押出ステップ150中にスクリュー押出機で実施できることを、当業者は理解するであろう。押出ステップ150により未焼成基材が製造されるが、これはその後に続く硬化ステップ160中にその形状および繊維の配置を保持するために十分な未焼成強度を持つ。
【0033】
生体溶解性繊維100、添加物120および流体130の押出成形可能な混合物を押し出すことで、ハニカム基材に絡み合った繊維のユニークな微小構造が生成される。金型を強制的に通過させる際に材料に作用するせん断力によって、結果的に繊維がハニカム経路の壁表面に沿った押出方向を向く傾向になる。当然のことながら、特定の長さおよび直径の繊維分布の仕様を含む、特定の金型設計および材料レオロジー、配向挙動は変更および制御することができる。経路の壁内で、押し出し中に材料に与えられえるせん断力によって繊維は一般的に押出方向に配列されるが、この整列度は、壁表面での繊維の整列度よりも低いことがある。結果的に生じる微小構造では、経路壁の表面に整列した繊維間の間隔が比較的小さい均一な分布となり、経路壁内の繊維間の間隔はこれよりも広い範囲となる。その後に続く硬化ステップ160の後、一定の割合の添加物120および流体130が除去される一方、基材全体にわたり相対的な繊維間隔が維持されると、結果的に生じる構造は多孔性となる。押し出し中の繊維の整列の結果としての基材の有孔性は、経路壁での小さな細孔の均一な分布を示し、繊維間の間隔から結果的に生じる開放細孔網内での細孔の分布はより広くなる。さらに、経路壁の表面は、連鎖的で相互に繋がった繊維の三次元構造を有する経路壁の内部領域で顕著なように、連鎖的で相互に繋がった繊維の二次元のマットにより類似したものとして見ることができる一方、経路壁の表面は完全に平面であるわけではない。繊維の終端は、表面からある角度で突き出している傾向にある。突出しは煤煙の核形成、凝固または捕捉場所の役目を果たし、効果的で均一な煤煙「ケーキ」形成につながるため、基材がディーゼル微粒子フィルタなどのフィルタとして使用されるときにこれらの突出しは特に有用である。経路壁の表面全体でのこれらの場所の分布によって、微粒子の一様な蓄積が確保され、これが捕捉効率の改善およびより均一な沈着およびフィルタ上の煤煙の再生の役割を果たす。
【0034】
繊維の配置、細孔の寸法、細孔の分布、核形成、凝固、および捕捉場所の分布、ならびに壁表面と内部領域との間の細孔の特性は、押出工程のパラメーターを変化させることで調整できる。例えば、混合物のレオロジー、繊維の直径およびアスペクト比の分布、添加物の特性、押出金型の設計、および押し出しの圧力や速度は、結果的に生じる基材の構造の望ましい特性を得るために変化させることができる。
【0035】
硬化ステップ160は、図3を参照してさらに説明する。3. 硬化ステップは、流体除去ステップ180、有機物除去ステップ190、および焼結/結合ステップ200の、一連の三つの相として実施されうる。流体除去180の第一の相では、強制的な対流の有無にかかわらず、比較的低温の熱を使用して流体を徐々に除去して流体をなくすことで、未焼成基材を乾燥させる。加熱空気対流加熱、真空凍結乾燥、溶剤抽出、マイクロ波または電磁気/無線周波(RF)乾燥の各種方法など、比較的低温の熱を未焼成基材に加えるさまざまな方法で流体を除去する。収縮による乾燥ひび割れが形成されないように、未焼成基材からの流体の除去は急激過ぎてはならない。水溶性系のシステムでは一般に、未焼成基材は90〜150°Cの温度に約1時間さらして乾燥させることができるが、実際の乾燥時間は基材の大きさおよび形状によって変化し、大きめの部品では、完全乾燥するまでに長い時間かかることがよくある。マイクロ波またはRFエネルギーによる乾燥の場合、流体自体または押出材料の他の成分は放射線を吸収し、材料全体にさらに均一に熱を生成する。添加物120として使用される材料の選択によっては、流体除去ステップ180中に、バインダーとして働く材料は凝固またはゲル化して、取り扱い目的に十分な未焼成強度の基材を提供する。
【0036】
流体除去ステップ180により、未焼成基材が乾燥されるか、または実質的に流体130がなくなると、次の相の硬化ステップ160から有機物除去ステップ190に進む。硬化ステップ160のこの相では、熱分解または熱劣化または揮発によって添加物120のすべての有機化合物が除去され、実質的に生体溶解性繊維100および添加物120の無機成分のみが残る。硬化ステップ160により連続して成分が除去されるように添加物120の有機成分が選択されると、有機物除去ステップ190は、バインダー燃焼ステップ210とその次の細孔形成剤燃焼ステップ220など、さらに一連の成分除去ステップとして解釈されうる。
【0037】
例えば、HPMCはバインダーとして使用されたとき、約300°Cで熱分解する。炭素粒子細孔形成剤が使用された場合、酸素の存在下で約600°Cに加熱された時、炭素は二酸化炭素に酸化される。同様に、小麦粉またはでんぷんは細孔形成剤として使用された場合、300°C〜600°Cの間の温度で熱分解する。従って、HPMCを添加物120のバインダー成分として、また添加物120の炭素粒子細孔形成剤成分として使用した未焼成基材は、基材を2ステップ焼成してバインダーとその後に細孔形成剤を除去することにより、有機物除去190の処理を行うことができる。この例では、バインダー燃焼ステップ210は少なくとも300°Cだが、600°C未満の温度で一定時間行ない、次に、少なくとも600°Cだが添加物120の結合剤成分のガラス転移温度未満の温度で細孔形成剤燃焼ステップ220を行なうことができる。熱連続硬化ステップにより、押出工程の促進に必要であり、基材の最終微小構造を向上させる添加物120が制御除去される。
【0038】
あるいは、硬化ステップ160は、環境を熱的および/または化学的に制御することにより、任意の数のステップとして連続して制御されうる。例えば、バインダー燃焼ステップ210は、アルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスで環境をパージすることにより、または真空環境または低分圧の不活性ガスでパージされた部分真空で加熱することにより、不活性環境において一定の温度で実施できる。その後、細孔形成燃焼ステップ220を開始することができ、硬化環境への酸素の導入を通して維持される。このように、温度は添加物120の結合剤成分のガラス転移温度以下、また生体溶解性繊維100の動作温度限度以下にも維持しなければならない。
【0039】
さらに、各バインダー燃焼ステップ210および細孔形成剤燃焼ステップ220を含む有機物除去ステップ190は、いかなる発熱反応も、添加物120の結合剤成分のガラス転移温度または生体溶解性繊維100の動作限界温度以内の基材内部の温度を上昇させないように、熱的または化学的に制御しなければならない。このレベルの制御は、加熱環境の工程制御を通して、または加熱環境への酸素の流れを計測することによって実施することができる。
【0040】
硬化ステップ160の有機物除去ステップ190中に、添加物120の有機化合物が除去される時、生体溶解性繊維100の相対的位置は、押出ステップ150中に未焼成基材が形成される時と実質的に同じように維持される。生体溶解性繊維は、絡み合った関係にあり、添加物120がサポートを提供している。添加物120の有機成分が除去された時、結合剤などの無機成分は残存して繊維にサポートを提供する。有機物除去ステップ190が完了すると、基材の機械的強度は非常に脆弱なことがあるので、基材は注意深く取り扱わなければならない場合がある。有機物除去ステップ190およびその後の焼結ステップ200を同じオーブンまたはキルンで行ない、取り扱いによる基材への損傷を最小化するのが有利な場合がある。
【0041】
硬化ステップ160の最終相は焼結ステップ200である。この相では、実質的に流体130が存在せず実質的に添加物120の有機成分が存在しない未焼成基材は、添加物120の結合剤成分のガラス転移温度を超える温度に加熱され、隣接する生体溶解性繊維100間の結合110を反応形成する。この焼結ステップ200では、生体溶解性繊維100の動作温度限界を超えることなく、基材は処理環境によって望ましい温度に加熱される必要がある。このため、動作温度限界は、望ましい焼結温度となるが、これは繊維の失透温度より低く、繊維の非晶質シリカからのクリストバライトの析出を防止するよう測定されなければならない。流体および有機材料を除去すると、添加物120の結合剤成分は繊維状構造全体に均一に分配される。添加物120の結合剤成分がそのガラス転移温度を超えて加熱されると、結合剤は生体溶解性繊維の周りに流れ、繊維と反応し、絡み合った生体溶解性繊維の隣接繊維にガラスコーティングおよび/またはガラス結合を形成する。さらに、隣接して集まった繊維は互いに結合して、他の隣接または近接繊維または繊維塊に結合する繊維塊となりうる。
【0042】
絡み合った生体溶解性繊維100の隣接繊維間の反応形成結合110は、実質的に添加物120の結合剤成分と同じ組成を持つガラス結合であり得る。結合110の反応形成も、添加物120の結合剤成分と生体溶解性繊維100の組成の特定成分との反応であり、添加物120の結合剤成分の組成とは実質的に異なる組成を持つガラス結合を形成する。このように、結果得られる構造の組成は、生体溶解性繊維100の元の組成とは異なることがあり、これにより例えば、動作温度限界の上昇、および/または化学的耐久性の向上につながる場合がある。さらに、焼結ステップ200中に生体溶解性繊維100中のシリカが結合剤と反応すると、結果得られる構造のクリストバライトを析出させる傾向が減少することがあるが、これはシリカが非晶質ガラス化合物または結晶セラミックなどのより安定な形状であるためである。
【0043】
本発明の最初の模範的実施例では、Ferro Corporationから入手可能なFrit 3249などのガラス原料が、ISOFRAX繊維などの生体溶解性繊維100に添加物120の結合剤として使用される。Frit 3249は以下の化学的組成を持つ。3.5% CaO; 12.2% MgO; 28.9% B2O3; 13.3% Al2O3;および 42.1 SiO2。硬化ステップ160は、流体除去ステップ180で部品を乾燥し、有機物除去ステップ190でHPMCなどの有機バインダーおよび炭素粒子などの細孔形成剤を除去することにより実施されうる。このシステムでは、細孔形成剤燃焼ステップ220は、炭素細孔形成剤酸化の発熱反応が、基材の温度をガラス原料のガラス転移温度(800°C)またはその近くに、または生体溶解性繊維の動作温度限度(1,250°C)またはその近くに上昇しないように制御されなければならない。この模範的実施例では、焼結ステップ200は、結合110の反応形成を可能にするために押出基材を1,100°Cまで加熱することにより実施できる。
本発明の2番目の模範的実施例では、酸アルミナリン酸塩が、添加物120の結合剤として生体溶解性繊維100に使用される。酸アルミナリン酸塩は、リン酸(H3PO4)の溶液およびアルミニウム塩(例えば水酸化アルミニウム)を指し、酸の割合は固体リン酸アルミニウム(例えばAl(PO3)3またはAlPO4)を形成するための必要量以上である。リン酸自体を結合剤として使用できるが、アルミニウムを添加すると結合能力が強化される。この実施例では、ISOFRAX繊維は酸アルミナリン酸塩、HPMCや炭素粒子などの有機バインダーと細孔形成剤、および小麦粉と混合され、必要に応じて水を加えて押出しに望ましいレオロジーを得る。焼結ステップ200において、結晶および非晶質リン酸アルミニウム固体相の形成とともに、生体溶解性繊維間のガラス結合の反応形成が起こる。本実施例はこれにおいてより堅牢であり、細孔形成剤燃焼ステップ220の発熱効果に対して影響を受けにくいが、硬化ステップ160中は基材の温度が生体溶解性繊維の動作限度を超えてはならない。
【0044】
結果得られる構造が、焼結ステップ200の完了後に生体溶解性繊維100の生体内持続性を維持することは必要ではない。耐火セラミック繊維の取り扱いに伴うとされる職業上の危険は、繊維が、本発明の押出および完全焼結基材など、最終製品に封入されている場合大きく減少する。結合110の反応形成は、本書に記述のように生体溶解性繊維100の化学的特性を変化させるが、これは性能の向上をもたらすことがあり、一方、危険物としての指定を受けない材料を取り扱うという職業上の利益を提供する。さらに、結合セラミック繊維は、環境中でほぐれた繊維になって健康に有害な影響を生じることがないと期待されている。
【0045】
ここで図2を参照するが、 本発明の方法は、硬化ステップ170の焼結工程200の完了後、最終組立てステップ170に進む。この最終組立てステップ170では、完全に焼結された基材が、その使用目的用の形状数に構成されうる。これらには、コアリング、閉塞、皮張り、および被覆作業が含まれるがこれに限定されず、完成基材を最終的に完成形状および形態に調製および包装する。当然のことであるが、処理の特定の順序はいかなる数の形態にも変更することができる。例えば、基材を壁流形態に構成するための交互の経路の閉塞は、閉塞材料の焼成が焼結/結合ステップ200と同時に実施できるように行なって、作成の全体コストを節約することができる。
【0046】
ここで図4を参照するが、 ハニカム基材510が示されている。基材510には、本書で説明した生体溶解性繊維から得られる繊維状構造で構成される経路壁でそれぞれ分離された一連の経路580がある。基材510は、貼り合わせて一つの列にしてセメント化した基材を形成しうる円筒、パイ型のくさび形(ややシリンダー状の部分)もしくは四角形のモジュールなどいかなる数の形状にも製作できる。基材セグメントを張り合わせるために使用される接着剤には、潜在的に危険な耐火セラミック繊維への職業暴露の可能性を伴わずに効果的に接着材料の弾性係数を低下させて弾力性を増加させる生体溶解性繊維が含まれうる。
【0047】
図 5は、本発明の方法で作成したハニカムフィルタ510を持つ濾過装置500の断面図を描写したものである。濾過装置510の形態は通常、ハウジング520とフィルタ510の間の密閉を形成するために膨張、非拡張、もしくはハイブリッドマット530付のハニカムフィルタ510をサポートするハウジング520である。ここに示されるようにフィルタ510は、入口経路ブロック560および出口経路ブロック570を持つ交互の経路を選択的に塞ぎ、それぞれ複数の入口経路540および出口経路ブロック570を形成して、それぞれ複数の入口経路540および出口経路550を形成することにより、壁流形態に構成される。この形態では、本発明による製造方法で結果的に生じる反応結合生体溶解性繊維100から形成される繊維状構造間の空間により生成される開放細孔網は、入口経路と隣接した出口経路との間で多孔性の壁内を流れるために必要とされる十分な空隙率および透過性を提供する。このように、粒子状物質は入口経路壁の表面上に蓄積され、そのためフィルタ装置500でろ液の流れから除去される。反応結合生体溶解性繊維から形成される基材510内に結果的に生じる繊維状構造は、蓄積した煤煙の酸化を促進し、排出ガスのより有害性の低い成分への変換を促進させるために、触媒で被覆することもできる。
【0048】
触媒作用による排気流に含まれる燃焼副産物を化学的に変化させるために、任意の数の触媒およびウォッシュコートをハニカムフィルタ510内に蒸着させることができる。こうした触媒には、白金、パラジウム(酸化パラジウムなど)、ロジウム、酸化物を含めたその誘導体、およびその混合物などが含まれるがこれらに限定はされない。さらに、触媒は貴金属、貴金属の組み合わせ、または酸化触媒のみに制限されない。その他の適切な触媒およびウォッシュコートには、クロム、ニッケル、レニウム、ルテニウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、タングステン、バリウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ガドリニウム、プラセオジム、および金、その誘導体、およびその混合物が含まれる。その他の適切な触媒には、パラジウム、アルミニウム、タングステン、セリウム、ジルコニウム、および希土類金属の二元系酸化物が含まれる。その他の適切な触媒には、バナジウムおよびその誘導体(V2O5など)、またはバナジン酸銀またはバナジン酸銅(特に硫黄が燃料または潤滑剤内に存在する時)などが含まれる。触媒材料にはまた、ゼオライト、金属置換ゼオライト(例えば、Cuゼオライト、Feゼオライトなど)、アルミナ、セリア、ジルコニア、およびチタンベースのウォッシュコートが含まれる。またさらに、異なる部分またはゾーンに適用される触媒の組み合わせにより構成を行い、基材510は複数機能のコンバータ(例えば、四方コンバータ)、または窒素酸化物除去フィルタを提供することができる。例えば、基材510は、入口経路の壁に適用される煤を酸化する触媒、NOx吸着器、または経路壁の内部繊維構造に適用される選択的な触媒還元触媒とともに、微粒子フィルタとして使用できる。希薄NOxトラップ(LNT)、NOx吸収剤、または四方触媒コンバータを提供するために類似の形態を適用できる。
【0049】
さらに、生体溶解性繊維として指定されるために許容される生体内持続性試験結果を生じる繊維の成分は、触媒ホストとしての基材の反応性も強化させうる。例えば、酸化バリウム、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム、およびアルカリ金属組成物は、NOx保管および低減用ハニカム基材に適用されるウォッシュコートに使用することができる。これらのアルカリ金属成分、および元の繊維の生体溶解性を増加させる他の組成物は、本発明のハニカム基材の触媒機能に寄与しうる。さらに、ウォッシュコートおよび触媒的材料は、ハニカムフィルタ510に適用して、遊離シリカおよび/またはクリストバライトの形成または析出をさらに抑制し、ならびに繊維を被覆して強度および化学的環境に対する抵抗を増加させうる。
【0050】
本発明の別の実施例は、例えば従来的三方触媒コンバータのような非濾過触媒ホストなど、フロースルー形態でも提供できる。さらに、触媒ホスト用の、および/またはフィルタとしての生体溶解性繊維の使用は、処理流体または濾液が特定の材料または環境に対して敏感な場合、有利な可能性がある。例えば、血液、体液、および生物学的流体の濾過は、生物または生体の血流中に導入された時、拒絶などの反応を示すことがある。この実施例では、生体溶解性繊維は、本書に記述のように基材を作成するための合成骨材料から成りうる。さまざまな血液濾過および/または医療または臨床プロセスを、この実施例による基材を使用して実施することができる。
【0051】
本発明は、ここでその一定の例証的および具体的な実施態様に関連して詳細に説明したが、添付の請求項の精神および範囲を逸脱することなく多数の改良が可能であることから、本説明に制限されるものと考慮されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する経路間の壁を形成する一連の押出ハニカム経路と、
絡み合った生体溶解性繊維から形成された開放細孔網で構成される多孔性構造を持つ壁と、
構造内の隣接繊維間の結合を持つ生体溶解性繊維から成る押出多孔質ハニカム基材。
【請求項2】
構造内の隣接繊維間の結合がガラス結合である請求項1による押出多孔質ハニカム基材。
【請求項3】
ガラス結合が、生体溶解性繊維の熱膨張係数と実質的に同じ熱膨張係数を持つガラスから成る請求項2による押出多孔質ハニカム基材。
【請求項4】
開放細孔網から成る多孔質構造が40%〜80%の間の空隙率を持つ請求項1による押出多孔質ハニカム基材。
【請求項5】
生体溶解性繊維が多孔質構造組成の75%を超える請求項1による押出多孔質ハニカム基材。
【請求項6】
生体溶解性繊維のモードのアスペクト比が3〜50,000の間である請求項1による押出多孔質ハニカム基材。
【請求項7】
生体溶解性繊維を有機添加物、無機添加物および流体と混合して押出可能混合物を提供し、
押出可能混合物を未焼成ハニカム基材として押し出し、
未焼成基材を過熱して流体および有機添加物を除去し、
未焼成基材を焼結し、
無機添加物を使用して生体溶解性繊維間に反応形成結合を作る工程から成る多孔質基材の形成方法。
【請求項8】
無機添加物がゾルから成る請求項7による多孔質基材の形成方法。
【請求項9】
有機添加物がバインダーから成る請求項7による多孔質基材の形成方法。
【請求項10】
ゾルがさらにホウ酸溶液中のアルミナ粒子の分散からなる請求項9による多孔質基材の形成方法。
【請求項11】
有機添加物がバインダーからなる請求項7による多孔質基材の形成方法。
【請求項12】
有機添加物がさらに細孔形成剤から成る請求項11による多孔質基材の形成方法。
【請求項13】
未焼成基材を生体溶解性繊維のガラス転移温度より低い第一の温度に加熱して流体を除去し、
未焼成基材を生体溶解性繊維のガラス転移温度より低い第二の温度に加熱して、バインダーを除去し、
未焼成基材を生体溶解性繊維のガラス転移温度より低い第三の温度に加熱して細孔形成剤を除去しすることを特徴とする加熱ステップにより加熱される請求項12による多孔質基材の形成方法。
【請求項14】
焼結ステップが生体溶解性繊維の失透温度より低い温度で行なわれる請求項7による方法。
【請求項15】
生体溶解性繊維間の反応形成結合が、生体溶解性繊維の熱膨張係数とほぼ実質的に同じ熱膨張係数を持つガラスから成る請求項14による方法。
【請求項16】
入口および出口を持つハウジング、
ハウジング内に取り付けられた押出成形したハニカム基材で、
隣接する経路間の多孔質壁を形成する一連の押出ハニカム経路、
シリカの重量パーセントが60〜85%で、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ホウ素化合物からなるグループから選択された少なくとも一種の化合物の重量パーセントが14〜40%の組成を持つ絡み合った無機繊維から形成された開放細孔網で構成される構造を持つ壁から構成されるフィルタ。
【請求項17】
押出基材がさらに、接着剤で一つのユニットに張り合わされた複数の基材セグメントから成る請求項16によるフィルタ。
【請求項18】
接着剤が生体溶解性繊維から成る請求項17によるフィルタ。
【請求項19】
押出基材がさらに壁流形態からなる請求項16によるフィルタ。
【請求項20】
押出基材がさらに無機繊維上に蒸着された少なくとも一つの触媒から成る請求項19によるフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−528828(P2010−528828A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508529(P2010−508529)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/063491
【国際公開番号】WO2008/141313
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(507280435)ジーイーオー2 テクノロジーズ,インク. (12)
【Fターム(参考)】