説明

押出しソリッド本体を含む三元触媒

三元触媒は、10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、5-90重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の選択的に安定化したセリアを含む押出しソリッド本体を含み、少なくとも1つの貴金属と選択的に少なくとも1つの非貴金属を含み、(i)前記少なくとも1つの貴金属は、前記押出しソリッド本体の表面上の少なくとも1つのコーティング層に収容、(ii)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、少なくとも1つの貴金属も前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容、又は(iii)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在及び少なくとも1つの貴金属も前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に固定型発生源及び移動型装置分野(即ち、車両(自動車))で用いられる内燃機関から発生する排気ガスを処理するのに用いるための押出しソリッド本体を含む三元触媒に関する。
【0002】
US2002/0183191は、750psiの破断係数を示し、少なくとも300のシリカ/アルミナ比を有するゼオライトを備え、白金、ロジウム、イリジウム及びパラジウムからなる群より選択される貴金属で含浸されるゼオライト/アルミナ複合触媒担体を含む三元触媒を開示している。三元触媒は、高いセル密度と薄い壁を備え、ウォッシュコートは備えていない。一実施形態において、前記触媒担体は、ゼオライトとアルミナに加え、選択的に安定化したジルコニアを含む。ジルコニアドーパントは、ジルコニウムの全量に対して80重量%までのセリウム酸化物を含むことができる。しかしながら、選択的にドーピングされたジルコニアを含む例は提供されない。
【0003】
US‘191は、ハニカムのチャネルサイズの減少及び背圧の増加を防止するために、触媒-含有スラリによるウォッシュコーティングを明示的に除外している。また、シリカバインダの使用も、シリカと白金族金属間の両立不可性のため、除外される。従って、バインダとしてγアルミナが用いられる。しかしながら、提供される比較例において、本発明に係る触媒(特に、ゼオライト、γアルミナの重量比が50:50及び40:60である場合に対して)の三元触媒の性能(CO、NO及び炭化水素の転換のためのライトオフ温度として測定)は、アルミナのみの(alumina-only)押出担体又はゼオライト/シリカバインダ-基盤担体を含む比較例と比べると見劣りがする。
【0004】
US5,772,972は、内燃機関排気ガスを処理するための自動車触媒システムを開示している。このシステムは、ゼオライト炭化水素トラップと基材モノリスに収容されたパラジウム-基盤三元触媒物質のハイブリッドシステムを含む。一実施形態において、この三元触媒は、押出しゼオライト基材モノリス上に層を形成する。しかしながら、押出しゼオライト基材モノリスを含む特定の例は提供されない。
【0005】
EP1739066は、多重貫通ホールを備える多重ハニカムユニットと、前記貫通ホールが開放されない前記ハニカムユニットのそれぞれの閉鎖された外部表面を通じてハニカムユニットを互いに連結させる封止層を含むハニカム構造を開示している。前記ハニカムユニットは、少なくとも1つの無機物粒子、無機繊維及び/又はウィスカーを含む。前記無機物粒子の例としては、アルミナ、チタニア、シリカ及びジルコニアが挙げられ、前記無機繊維の例としては、シリカアルミナ繊維が挙げられ、前記無機物バインダの例としては、シリカゾル、アルミナゾル、セピオライト及びアタパルジャイトが挙げられる。触媒成分は、ハニカム構造上に収容され得る。前記触媒成分は白金、パラジウム及びロジウムを含む貴金属、ポタシウム及びソジウムのようなアルカリ金属、バリウムのようなアルカリ土金属及び酸化物の中から選択される少なくとも1つの形態を含むことができる。前記ハニカム構造は、触媒コンバータ(例えば、車両排気ガスの転換のための三元触媒又はNO貯蔵触媒)として使用され得る。
【0006】
本発明者らは、内燃機関排気ガスの排気ガス後処理の分野で特に応用される少なくとも1つの貴金属でコーティングされた押出しソリッド本体を含む触媒ファミリーを開発した。このような排気ガスは、固定型発生源に起因することもあり得るが、特に乗用車、トラック及びバスのような移動型発生源の排気ガスを処理するために使用する目的で開発された。
【0007】
一側面によれば、本発明は10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、5-90重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の選択的に安定化したセリアを含む押出しソリッド本体を含み、少なくとも1つの貴金属と選択的に少なくとも1つの非貴金属を含み、(i)前記少なくとも1つの貴金属は、前記押出しソリッド本体の表面上の少なくとも1つのコーティング層に収容、(ii)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、少なくとも1つの貴金属も前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容、又は(iii)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在及び少なくとも1つの貴金属も前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容される三元触媒を提供する。
【0008】
本発明に係る長所は、触媒コーティングで頻繁に用いられる触媒成分を除去することによって、コーティングの数を、例えば2つの層から1つの層に減少させることができるということにある。それにより、排気システムにおける背圧が減少し、エンジンの効率を増加させるようになる。
【0009】
本発明は上記で説明されたUS‘191による触媒よりも向上した幾つかの長所を有する。発明者らは、押し出された本体をコーティングすることで、US‘191に言及された欠点の一部が本発明に係る三元触媒の特定の構造で現れ得るという点に気づいたが、US‘191に開示された実施形態で特に50:50及び40:60のゼオライト:アルミナの重量比に対して、触媒活性度の基礎的な改善がこのような欠点よりも非常に重要である。また、本発明は非シリカ(non-silica)バインダの使用により制限されない。また、低いシリカ:アルミナ比のモレキュラシーブが本発明で使用され得るため、コールド-スタート(cold-start)HC排気ガスを還元させるためのHC吸着(イオン置換サイトがシリカ:アルミナ比の増加により除去される)を促進する金属でより広い範囲で前記モレキュラシーブがイオン-置換され得るようにする。
【0010】
押出しソリッド本体内で不活性基材モノリス上のコーティングに対する活性成分の量が増加することもあり得る。このように増加した触媒密度により長期間の耐久力と触媒性能を改善させ、これは自己診断装置(On-Board Diagnostics)において重要である。
【0011】
自動車における「自己診断装置(OBD)」は、適切な電子管理システムに連結されたセンサネットワークを備える車両システムの自己診断及び能力報告を説明する一般用語である。初期のOBDシステムでは、問題が検出された際に問題の根本的な情報を提供せず、単に故障指示灯を灯すものであった。より最近のOBDシステムは、標準化されたデジタルポートを用い、標準化された診断問題コードと車両システムの迅速な問題の確認及び解決を可能にするリアルタイムデータの選択を提供できる。
【0012】
現在のOBDは、排気ガスが義務基準を超える排気システムの故障又は低下の場合に、ドライバが認知しなければならないことを要求している。そのため、例えば、ガソリン車両の場合にユーロ(Euro)4のOBD制限は、以下のように制限する。CO-3.2g/km、HC-0.4g/km、NO-0.6g/km、及びPM-無制限。
【0013】
それ以上の車両排気ガス法律(特に米国と欧州で)は、診断機能において更に高い感度を要求し、排気ガス法律を満たす排気システム後処理触媒の能力を連続的にモニタリングするようにする。例えば、強制点火(ガソリン)乗用車に対して現在提案されたOBD制限は、以下の通りである:CO-1.9g/km、NMHC-0.25g/km、NO-0.54g/km、及びPM-無制限。
【0014】
米国において、ガソリン/ディーゼルエンジンの触媒モニタリングのためのOBDII法律(Title 13, California Code Regulations, Section 1968.2, Malfunction and Diagnostic System Requirements for 2004 and Subsequent Model-Year Passenger Cars, Light-Duty Trucks and Medium-Duty Vehicle and Engines)は、触媒システムのモニタリングされた部分のNMHC転換効率のための平均FTP(Federal Test Procedure)が50%以下に低下する故障信号を必要とする。
【0015】
本発明に係る押出しソリッド本体は、均一化された大きさと第1端部から第2端部まで延びる平行なチャネルを備えるハニカム形態の一体構造を一般に含む。一般に、前記チャネルは第1及び第2端部の両方で開放され、いわゆる「フロースルー(flow-through)」構造である。前記チャネルを限定するチャネル壁は、多孔性である。一般に、外部「スキン」は、前記押出しソリッド本体の前記チャネルを取り囲む。前記押出しソリッド本体は、好ましい断面(例えば、円形、正四角形又は楕円)で形成されることができる。多数のチャネルで個別チャネルは、正四角形、三角形、六角形、円形などであり得る。第1の上流側端部でのチャネルは例えば、適切なセラミックセメントで閉鎖され得、前記チャネルは第1の上流側端部で閉鎖されず、第2の下流側端部で閉鎖され得るため、いわゆるウォールフローフィルタを形成することもできる。 一般に、第1の上流側端部で閉鎖されたチャネルの配列は、チェッカーボード(chequer board)と類似しており、閉鎖され開放された下流側チャネル端部の類似する配列を有する。
【0016】
EP1739066に開示されたハニカム構造は、ハニカム構造が共に固まった個別ハニカムユニットの組立体を含むため、単一の一体の押出物として用いられるにはあまりにも低い熱衝撃パラメータ(TSP:Thermal Shock Parameter)を有するということは明確である。商業的に利用可能なシリコンカーバイドハニカムでも確認できるこのような構造は、前記押出物質の相対的に高い熱膨張係数(CTE)の結果として熱衝撃による重大な触媒基材の故障を避けるように設計される。しかしながら、個別ハニカムユニットからのハニカム構造の製造は複雑、かつ、困難であり、時間と費用が多くかかり、単一の押出しに比べて可能な物理的損傷モード(例えば、セメント結合)の数が増加する。TSPとCTEについてのより詳細な説明は、“Catalytic Air Pollution Control-Commercial Technology”(Second Edition, R.M. Heck et al., John Wiley&Sons, Inc., New York, 2002 Chapters 7(フロースルーモノリスに対して)and 9(ウォールフローフィルタに対して))にある。
【0017】
これにより、本発明者らは、本発明に係る触媒の前記押出しソリッド本体が、固定型又は移動型排気ガス発生源からの排気ガスを処理するために用いられるとき、前記押出しソリッド本体で半径方向の亀裂とリング亀裂を避けるのに十分な軸方向TSPと半径方向TSPを有すると主張する。このように、前記押出しソリッド本体は、単一の一体の押出物から形成され得る。特に、大きな断面を有する押出しソリッド本体に対して、共に結合するために前記押出しソリッド本体のセグメントを押し出す必要がある。しかしながら、これはこのような大きな断面の押出物を加工するにおける困難又は押出物ダイ工具の大きさにおける制限のためである。しかしながら、個別的に見ると、固定型又は移動型排気ガス発生源からの排気ガスを処理するために用いられるとき、全体触媒の各セグメントは、軸方向TSPと半径方向TSPが個別押出しソリッド本体セグメントで半径方向の亀裂及びリング亀裂を避けるのに十分な機能的な制限を満足させる。一実施形態において、半径方向TSPは750℃で>0.4(例えば、>0.5、>0.6、>0.7、>0.8、>0.9又は>1.0)である。800℃で、半径方向TSPは好ましくは>0.4であり、特に(高温で用いられる)三元触媒に対して1000℃で好ましくは>0.8である。
【0018】
ウォールフローフィルタのCTEは、ワンピースの押出物から形成されるために、好ましくは20×10-7/℃である。
【0019】
実施形態において、前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分は、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。
【0020】
スピネルはMgAlであり得るか、前記MgはCo、Zr、Zn又はMnからなる群よりの金属で部分的に置換され得る。実施形態において、MgAlでAlに対するMgOの含有量は0.8〜2.5(好ましくは、<1.0)であり得る。
【0021】
前記アルミナバインダ/マトリックス成分は、好ましくはγアルミナであるが、他の遷移アルミナ(即ち、αアルミナ、βアルミナ、χ(chi)アルミナ、η(eta)アルミナ、ρ(rho)アルミナ、κ(kappa)アルミナ、θ(theta)アルミナ、δアルミナ、ランタンβアルミナ及びこのような遷移アルミナの2つ以上の混合物)であり得る。
【0022】
前記アルミナは、前記アルミナの熱安定性を増加させるために、少なくとも1つの非アルミニウム成分でドーピングされることが好ましい。適切なドーパント(dopant)は、シリコン、ジルコニウム、バリウム、ランタナイド及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。適切なランタナイドドーパントは、La、Ce、Nd、Pr、Gd及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。
【0023】
シリカソースは、シリカ、シリカゾル、石英、溶融シリカ又は無定形のシリカ、珪酸ナトリウム、無定形のアルミノ珪酸塩、アルコキシシラン(alkoxysilane)、シリコン樹脂バインダ(例えば、メチルフェニルシリコン樹脂)、クレー、タルク又はこれらのうち2つ以上の混合物を含むことができる。
【0024】
このリストで、前記シリカは、長石(feldspar)、ムライト(mullite)、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア(thoria)、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、ターナリー(ternary)シリカ-アルミナ-ジルコニア、ターナリーシリカ-アルミナ-マグネシア(magnesia)、ターナリー-シリカ-マグネシア-ジルコニア、ターナリーシリカ-アルミナ-トリア及びこれらのうち2つ以上の混合物のようなSiOであり得る。これとは異なり、前記シリカは、押出混合物に付加されたTMOS(TetraMethyl Ortho Silicate)から得られる。
【0025】
適切なクレーは、フラー土、セピオライト、ヘクトライト(hectorite)、スメクタイト(smectite)、カオリン(kaolin)及びこれらのうち2つ以上の混合物を含み、前記カオリンは、サブベントナイト(subbentonite)、アナウキサイト(anauxite)、ハロイサイト(halloysite)、カオリナイト(kaolinite)、ディッカイト(dickite)、ナクライト(nacrite)及びこれらのうち2つ以上の混合物から選択されることができる。前記スメクタイトは、モンモリロナイト(montmorillonite)、ノントロナイト(nontronite)、蛭石(vermiculite)、サポナイト(saponite)及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。前記フラー土は、モンモリロナイト又はパリゴルスカイト(アタパルジャイト)であり得る。
【0026】
無機繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維及びセラミック繊維からなる群より選択される。
【0027】
本発明で用いるための適切なモレキュラシーブは、自動車エンジンのコールド-スタートにつながる燃焼されていない炭化水素を吸着し、周辺温度以上で(例えば、結合されている貴金属-基盤酸化触媒成分が例えばCO及びHC酸化又はNO還元に対する好ましいライト-オフ温度に到達したとき)吸着された炭化水素を脱着できる能力を有する。このようなモレキュラシーブは、一般に最大孔隙開口の構造として、しばしば「微細孔隙(small pore)」モレキュラシーブと呼ばれる8-リング孔隙開口の構造を有さない。好ましいモレキュラシーブは、中間孔隙(最大10-リング孔隙開口構造)、大孔隙(最大12-リング孔隙開口構造)又はメソ孔隙以上(>12-リング孔隙開口構造)モレキュラシーブである。
【0028】
前記各ゼオライトモレキュラシーブ又は前記各非ゼオライトモレキュラシーブは、次のフレームワーク形態のコードから選択されることができる:国際ゼオライト協会の構造委員会により定義されたABW、AEL、AET、AFG、AFI、AFO、AFR、AFS、AFY、AHT、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CFI、CGF、CGS、-CHI、-CLO、CON、CZP、DAC、DFO、DOH、DON、EMT、EON、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIU、GME、GON、HEU、IFR、IMF、ITH、ITR、IWS、IWV、IWW、JBW、JRY、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTF、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MFI、MFS、MOR、MOZ、MRE、MSE、MOS、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、OBW、OFF、OSI、OSO、-PAR、PON、-RON、RRO、RSN、RTE、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SGT、SOD、SOF、SOS、SSF、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、-SVR、SZR、TER、TOL、TON、TUN、UOS、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VSV、WEI又は-WEN及びこれらのうち2つ以上の混合物。
【0029】
好ましいゼオライト及び非ゼオライトモレキュラシーブは、BEA、FAU、FER、MFI、MFS、MOR、STI、SZR及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。
【0030】
特に好ましいゼオライト又は非ゼオライトモレキュラシーブは、BEA、FER、MFI、STI及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。特に好ましいゼオライトモレキュラシーブは、ZSM-5、ベータ、フェリエライト、SSZ-13及びこれらのうち2つ以上の混合物である。
【0031】
たとえ自然のゼオライトモレキュラシーブが本発明で使用され得ても、10以上(改善された熱安定性のために例えば、15〜150、20〜60又は25〜40)のシリカ-アルミナ比を有する合成アルミノ珪酸塩ゼオライトモレキュラシーブが好ましい。
【0032】
他の実施形態において、ゼオライトモレキュラシーブ又は非ゼオライトモレキュラシーブは、1つ以上の置換フレームワーク金属を含む同形体(isomorph)である。このような実施形態において、前記各置換フレームワーク金属は、As、B、Be、Ce、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Zn及びZrからなる群より選択されることができる。また、好ましい同形体のゼオライト又は非ゼオライトモレキュラシーブは、BEA、FER、MFI、STI及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択され得、特に好ましくは、フレームワークでFeを含むBEAである。1つ以上の置換されるフレームワーク金属を含有するこのような同形体を製造する過程は、最終製品においてフレームワーク内で単独で又はイオン置換されて存在し得る。
【0033】
1つ以上の置換されるフレーム金属を含有する同形体でシリカ-アルミナ比は、>25(例えば、30〜100又は40〜70)であり得る。対照的に、前記同形体は>20(例えば、30〜200又は50〜100)のシリカ-フレームワーク金属比を有することができる。
【0034】
好適な実施形態において、前記非ゼオライトモレキュラシーブは、AlPOsを含むリン酸アルミニウム、MeAlPOs、SAPOs又はMeAPSOsである。
【0035】
前記リン酸アルミニウムのシリカ-アルミナ比は、一般に同一のフレームワーク形態のコードを共有するアルミノ珪酸塩ゼオライトよりも遥かに低い。一般に、リン酸アルミニウムのシリカ-アルミナ比は<1.0であるが、<0.5又は<0.3であり得る。
【0036】
セリア成分は、セリアの熱安定性を増加させるために、少なくとも1つの非セリウム成分で選択的に安定化され得る。好ましいセリア安定化剤は、ジルコニウム、ランタナイド及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。ランタナイド安定化剤は、La、Nd、Pr、Gd及びこれらのうち2つ以上の混合物を含む。CeO:ZrO重量比は、80:20又は20:80の間であり得る。商業的に利用可能な物質は、30重量%のCeO、63重量%のZrO、5重量%のNd、2重量%のLa、及び40重量%のCeO、50重量%のZrO、4重量%のLa、4重量%のNd及び2重量%のYを含む。
【0037】
大体に、前記少なくとも1つの金属は、以下のように存在し得る。(a)前記押出しソリッド本体の全体に渡って(即ち、前記少なくとも1つの金属が押出物構造内に存在)、(b)前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在、及び/又は(c)特徴(ii)と(iii)で前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容、(a)、(b)及び(c)で互いに異なる位置のそれぞれに存在する少なくとも1つの金属と異なる。そのため、前記少なくとも1つの金属は、(c)、(a)プラス(c)又は(a)プラス(b)プラス(c)の位置に存在し得る。前記少なくとも1つの金属が(a)と(c)又は(a)、(b)と(c)に存在する場合、各位置で前記少なくとも1つの金属は同一であるか、異なり得る。
【0038】
前記少なくとも1つの金属が位置(a)に存在する場合に(即ち、前記押出しソリッド本体の全体に渡って)、前記少なくとも1つの金属は、ゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物と共に結合され得る。「結合されるもの」の例は、前記ゼオライトモレキュラシーブ成分、前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分又はこれらのうち少なくとも1つを含む混合物とのイオン交換を含む。2つ以上のモレキュラシーブの混合物で1つのモレキュラシーブと結合されている前記少なくとも1つの金属を備えることも可能である。例えば、第1モレキュラシーブは銅とイオン交換され、乾燥し、焼成された後、追加の金属結合なしに他のモレキュラシーブと混合され得る。
【0039】
ある結合金属は、本発明に有利にHC吸着に寄与できる。好ましい吸着促進金属は、Pd及び/又はCu、Ag、アルカリ土金属及びCsのようなアルカリ金属を含む。
【0040】
これとは異なり、混合物で2つのモレキュラシーブのうちの1つは、例えばイオン交換され、少なくとも1つの第1金属と結合された後、少なくとも1つの第2金属が前記押出物複合体に追加され得る(即ち、前記少なくとも1つの第2金属は、第2モレキュラシーブと特に結合されない)。
【0041】
前記各モレキュラシーブ成分と結合されるのに適した少なくとも1つの金属は、遷移金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より個別的に選択され得る。適切な遷移金属は、IB族金属、IVB族金属、VB族金属、VIIB族金属及びVIII族金属を含む。好ましくは、前記少なくとも1つの遷移金属は、Fe、Cu、Ce、Hf、La、Mn、Pt、Au、Ag、In、Rh、V、Ir、Ru及びOsとこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。前記ランタン金属は、La、Pr、Ce及びこれらのうち2つ以上の混合物であり得る。
【0042】
前記各モレキュラシーブ成分と結合されている前記少なくとも1つの金属の全体金属成分は、0.1〜20重量%(例えば、1〜9重量%)である。
【0043】
前記少なくとも1つの金属は、以下のように存在し、アルカリ金属、アルカリ土金属、遷移金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる:前記モレキュラシーブとの結合なしに前記押出しソリッド本体の全体に渡って、前記押出しソリッド本体の表面に位置する前記少なくとも1つの金属の大部分に、前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に、又は前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で。
【0044】
本発明で用いるための触媒金属を支持するための適切なコーティングは、1つ以上のアルミナ(Al)(特に、γ-アルミナ)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)、バナジア(V)、ランタン(La)及びゼオライトを含む。前記セリアとアルミナは、前記押出しソリッド本体で用いられる安定化剤と同一のものを用いて選択的に安定化され得る。適切な触媒金属は、1つ以上の貴金属(Au、Ag及びPt、PdとRhを含む白金族金属)を含む。セリアと安定化したセリアは一般に酸素貯蔵成分(OSC)として三元触媒に含まれる。貴金属含有ウォッシュコートでコーティングされた押出しゼオライトのHC吸着活性度を上げるために、貴金属用ウォッシュコート担体として、いわゆるワイド-ポア担体(例えば、アルミナ)を用いることが有利である(例えば、US6110862を参照、即ち、耐火物無機酸化担体相(phase)に散開した白金族金属成分を含む触媒物質、約98%の孔隙体積の孔隙サイズの分布を有する第1担体物質を含む前記担体相が30〜240Å範囲の半径を有する孔隙を有する。
【0045】
少なくとも1つの金属を前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で位置させるための技術は、含浸法を含むが、濃縮含浸法(thickened impregnation)(即ち、増粘剤で濃縮された含浸媒体)が好ましい。乾燥方法は、前記押出しソリッド本体の表面で金属を濃縮するために使用されることもあり得る。例えば、金属が表面で濃縮される、いわゆる「エッグシェル(egg shell)」技術は、含浸された押出しソリッド本体を相対的に徐々に乾燥させ、金属が表面に蒸着されて得られる。塩とpH条件の特別な選択は直接金属蒸着に例えば、前記押出しソリッド本体の等電点を決定した後、前記金属塩のカチオン又はアニオンと前記押出しソリッド本体間の静電気の引力により利得を得る正確なpHと金属塩の組み合わせを用いることで、使用され得る。
【0046】
適切な遷移金属は、IB族金属、IVB族金属、VB族金属、VIB族金属、VIIB族金属及びVIII族金属を含む。好ましくは、前記遷移金属は、Fe、Ni、W、Cu、Ce、Hf、La、Mn、Pt、Au、A、Ag、In、V、Ir、Ru、Rh、Os及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。ランタナイド金属は、La、Pr又はCe又はこれらのうち2つ以上の混合物であり得る。アルカリ金属は、KとCsを含む。アルカリ土金属は、Ba及びSrから選択されることができる。
【0047】
前記各モレキュラシーブ成分と結合されない前記押出しソリッド本体の全体に渡る、前記押出しソリッド本体の表面に位置、及び/又は前記押出しソリッド表面に更に高く濃縮された全体金属成分は0.1〜20重量%(例えば、1〜9重量%)であり得る。
【0048】
前記押出しソリッド本体の全体金属成分(即ち、前記各モレキュラシーブと結合されているあらゆる金属を含む)は、0.1〜25重量%(例えば、1〜15重量%)であり得る。
【0049】
少なくとも1つの金属を含む前記押出しソリッド本体の表面の1つ以上のコーティング層を含む前記触媒の全体金属成分は、0.1〜30重量%(例えば、1〜25重量%)であり得る。
【0050】
三元触媒の活性度を促進するための前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に用いるための特に好ましい貴金属は、Pd自体、PtとRhの組み合わせ、PdとRHの組み合わせ又はPt、PdとRhの組み合わせである。1つ以上の貴金属が存在する場合に、各金属は分離された層に位置するか、1つ以上の貴金属が1つの側に存在し、あらゆる貴金属よりも少ない金属が他の層に存在するか、あらゆる貴金属が各層に存在するが、各層は前記各他の貴金属に対する各貴金属の他の比率を含むことができる。
【0051】
特定の例において、本発明に係る触媒は、10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、0-80重量%のスピネル、それぞれが1つ以上の金属を選択的に含む5-90重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、0-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び0-25重量%の無機繊維、を含む押出しソリッド本体を含む。
【0052】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分の成分は、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%、>70重量%、>75重量%、>80重量%、>85重量%又は>90重量%であり得る。
【0053】
前記スピネルの成分は、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%又は>70重量%であり得る。
【0054】
前記モレキュラシーブの全体成分は、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%、>70重量%、>75重量%、>80重量%、>85重量%又は>90重量%であり得る。
【0055】
前記選択的に安定化したセリアの成分は、>5重量%、>10重量%、>15重量%、>20重量%、>30重量%、>35重量%、>40重量%、>45重量%、>50重量%、>55重量%、>60重量%、>65重量%又は>70重量%であり得る。
【0056】
前記無機繊維の成分は、>5重量%、>10重量%、>15重量%又は>20重量%であり得る。
【0057】
実施形態において、前記押出しソリッド本体は、基本的に以下のようになされる:10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれが1つ以上の金属を選択的に含む50-90重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-25重量%の無機繊維。このような押出しソリッド本体は、フロースルー基材モノリスとして配置されたり、ウォールフローフィルタを製造するのに使用され得る。好適な実施形態は無機繊維を含む。
【0058】
他の実施形態は、基本的に次のような構成の押出しソリッド本体を用いることができる:10-37重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にトーピングされたアルミナ、スピネル、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、60-88重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれは1つ以上の金属を選択的に含む、0-20重量%の無機繊維、又は:15-30重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、スピネル、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、2-20重量%のシリカソース、50-81重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれは1つ以上の金属を選択的に含む、及び2-10重量%の無機繊維。
【0059】
三元触媒として用いるのに適した他の実施形態において、前記押出しソリッド本体は、基本的に以下のように構成され得る:10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、スピネル、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、それぞれが1つ以上の金属を選択的に含む0-50重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、20-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び0-25重量%の無機繊維。好適な実施形態は、ゼオライトと無機繊維を含む。
【0060】
本発明によってNO吸収剤触媒として用いるために開発された押出しソリッド本体で、本発明者らは69重量%のCeO、及び23重量%のγ-Al及び8重量%のガラス繊維の構成を有する押出しソリッド本体は、強度が低いことを見つけた。強度の向上のための提案は、「グリーン」押出しソリッド本体の焼成中に表面損傷を低減させるためのCeO物質を事前-焼成する段階、アルミナ成分を50%+まで増加させる段階、アルミナ(例えば、商業的に利用可能なPuralTMからDisperalTMまで)及び/又は選択的に安定化したセリアの粒子サイズを変更する段階、機械的な安定性を増加させるために不活性バインダ(例えば、クレー)を添加する段階、他のアルミナ(例えば、アルミナゾル)を用いる段階、他のバインダシステム(例えば、TiOゾル、CeOゾル、酢酸セリウム、酢酸ジルコニウム)をテストする段階、pH最適化段階、表面改善剤(例えば、アルミニウム塩又は他の有機界面活性剤)を添加する段階を含む。事前テストで、本発明者らはシリカの存在がNOトラップの性能に影響を及ぼすことを見つけた。しかしながら、研究は続けられ、このような選択は更に調べられるだろう。しかしながら、一実施形態において、シリカソースの成分は減少するか、完全に除去される。
【0061】
前記押出しソリッド本体がウォールフローフィルタで製造される場合に、前記ウォールフローフィルタの孔隙率は30-80%(例えば、40-70%)であり得る。
【0062】
本発明に係る更に特定された例において:
(i)触媒媒煙フィルタは、ウォールフローフィルタで基本的に以下のように構成された押出しソリッド本体を含む:15-70重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア−ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、0-20重量%のシリカソース、それぞれが1つ以上の金属を含有する5-50重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、20-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び0-20重量%の無機繊維。押出しソリッド触媒本体は、少なくとも1つの貴金属と2つ以上の貴金属の組み合わせを含む1つ以上の層でコーティングされる。
(ii)三元触媒は、フロースルー構造で基本的に以下のように構成された押出しソリッド本体を含む:15-30重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア−ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、0-20重量%のシリカソース、それぞれが1つ以上の金属を含有する5-81重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、0-20重量%の無機繊維。押出しソリッド触媒本体は、大部分のγ-アルミナとパラジウムのみを担持する安定化したセリアの混合物、大部分のパラジウムとロジウムの混合物、白金とロジウムの混合物又は白金、パラジウム及びロジウムの混合物を含む単一層でコーティングされる。
【0063】
他の側面によれば、本発明は、本発明に係る三元触媒を製造する方法であって、次の粉末の出発物質を混合してソリッド押出し本体を形成する段階:少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分又はこれの1つ以上の前駆体、少なくとも1つの金属に結合されるゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、選択的に安定化したセリア、及び選択的な少なくとも1つの金属化合物、選択的無機繊維、選択的に添加された有機補助剤、少なくとも1つの金属の金属塩を選択的に含有する酸又はアルカリ水溶液でプラスチック化合物内に混合物を形成するように、混合及び/又は混練を通じて処理する段階、前記混合物は触媒本体に押し出し、前記触媒本体を乾燥させ、ソリッド押出し本体を形成するために焼成する段階、前記ソリッド押出し本体が10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、及び5-90重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の選択的に安定化したセリアを含有するように前記出発物質の比率を選択し、前記ソリッド押出し本体の表面を少なくとも1つの貴金属でコーティングし、選択的に前記ソリッド押出し本体の表面を少なくとも1つの金属で含浸する段階を含む製造工程を提供する。
【0064】
一般に、例えばEP1837063に開示されたように、ウォールフローフィルタを形成する押出し基材モノリスでチャネルの端部を浸透できないように防ぐためにセメントが用いられる。
【0065】
一般に、押出しソリッド本体の製造において、バインダ、有機増粘化合物及び混合を通じて前記物質を均質なペーストに転換するために液体がバインダ/マトリックス成分又はその前駆体及び選択的モレキュラシーブ、選択的に安定化したセリア、選択的無機繊維及び選択的に少なくとも1つの金属化合物に添加され、前記混合物は混合又は混練装置又は押出器で圧縮される。前記混合物は、バインダ、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤のような有機添加剤を含み、工程で濡れ性を向上させ、均一な配置を生成する。結果プラスチック物質は、特に押出プレス又は押出ダイを備える押出器を用いて成形され、結果成形物は乾燥し焼成される。前記有機添加剤は、押出しソリッド本体の焼成過程で燃焼してしまう。
【0066】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分は、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される。アルミナ前駆体は、アルミニウム水酸化物又はベーマイト(boehmite)が使用され得る。アルミニウム酸化物が用いられる場合に、前記アルミニウム酸化物との結合を確実にするために、水溶性金属塩の水溶液をアルミニウム酸化物又はアルミニウム酸化物の前駆体基材に他の出発物質を添加する前に添加することが有利である。
【0067】
実施形態において、前記シリカソースは、シリカ、シリカゾル、石英、溶融又は無定形シリカ、珪酸ナトリウム、無定形アルミノ珪酸塩、アルコキシシラン、シリコン樹脂バインダ、クレー、タルク、又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択されることができる。
【0068】
特定の実施形態において、前記シリカソースは、シリコン樹脂バインダであり、前記シリコン樹脂バインダ用ソルベントは、イソプロピルアルコール又は二塩基性エステルである。
【0069】
本発明に係る工程の一実施形態は、選択的にドーピングされたアルミナ又はその前駆体を溶液と混合する第1の混合段階と、前記ゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物と無機繊維を混合する追加の混合段階とを含む。
【0070】
本発明に係る工程で用いるための前記有機補助剤は、セルロース誘導体、有機可塑剤、潤滑剤及び水溶性樹脂からなる群より選択された1つ以上であり得る。適切なセルロース誘導体の例は、メチルセルロース(methylcellulose)、エチルセルロース(ethylcellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethylhydroxyethylcellulose)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、メチルヒドロキシエチルセルロース(methylhydorxyethylcellulose)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(methylhydroxypropylcellulose)及びこれらのうち2つ以上の組み合わせからなる群より選択されたセルロースエーテルを含む。セルロース誘導体は、最終製品の孔隙率を増加させ、ソリッド触媒本体の触媒活性に長所を提供する。初期に前記セルロースは、前記水性サスペンション(suspension)で膨張するが、結局のところ、焼成過程で除去される。
【0071】
本発明の工程で用いるための前記有機可塑剤は、ポリビニールアルコール、ポリビニールブチラール(butyral)、イオノマー(ionomer)、アクリル、コポリエチレン/アクリル酸(copolyethylene/acrylic acid)、ポリウレタン、熱可塑性弾性重合体(elastomer)、相対的に低い分子量のポリエステル、亜麻仁油(linseed oil)、リシノール酸塩(ricinoleate)及びこれらのうち2つ以上の組み合わせからなる群より選択される。
【0072】
前記水溶性樹脂は、ポリアクリレート(polyacrylate)であり得る。
【0073】
本発明に係る工程で用いるための前記潤滑剤は、グリコール、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸ナトリウム(stearate)、グリセリン及びグリコールからなる群の少なくとも1つから選択される。
【0074】
前記押出物の組成によって、前記pHは酸性であるか、アルカリ性であり得る。前記工程が酸性水溶液を用いる場合、前記溶液の前記pH-値は3〜4であり得る。好ましくは、酢酸が前記溶液を酸性化するために用いられる。
【0075】
前記工程がアルカリ性水溶液を用いる場合、前記溶液のpH-値は8〜9であり得る。アンモニアがアルカリ側でpHを調節するために使用され得る。
【0076】
他の側面によれば、本発明は、車両の内燃機関から発生する排気ガスを処理する方法を提供するが、前記方法は、前記排気ガスを本発明に係る三元触媒と接触させる段階を含む。排気ガスが触媒と接触する温度は、>100℃(例えば、>150℃、>175℃、>200℃、>225℃、>250℃、>275℃、又は>300℃)であることが好ましい。好ましくは、排気ガスが触媒と接触する温度は、<600℃(例えば、<550℃、<525℃又は<500℃)である。
【0077】
他の側面によれば、本発明は内燃機関用排気システムを提供するが、前記排気システムは、本発明に係る三元触媒を含む。
【0078】
他の側面によれば、本発明は、内燃機関と本発明に係る排気システムを含む車両(例えば、自動車)を提供する。好適な実施形態において、前記内燃機関は、ポジティブ点火エンジン(スパーク点火エンジン)である。ポジティブ点火エンジンは、一般にガソリン燃料の提供を受けるが、ガソリンとエタノールなどの混合を含む代替燃料の提供を受けてもよい。
【0079】
本発明を更に十分に理解できるように、次の実施形態が添付された図面と共に参照されて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、実施形態2に係る三元触媒の活性度を分析するための実験的なテスト手順を示すグラフである。
【図2】図2は、実施形態2に係る三元触媒の実施形態4によるテストで出口での累積炭化水素を、実施形態3による比較三元触媒と比較したグラフである。
【図3】図3は、フロースルーの構造で製造された参照製品に対して多様な孔隙変更剤を用いて製造された多様なV/WO-TiOの孔隙体積と孔隙率を比較するグラフである。
【図4】図4は、V/WO-TiO参照及び商業的に利用可能な壁流動フィルタ基材に対して孔隙変更剤の数による孔隙半径に対する孔隙体積を示すグラフである。
【0081】
実施形態1:押出しゼオライトモノリス基材
押出しゼオライトモノリス基材がUS7,507,684に開示されたものと類似の方法で製造された。水素形態の商業的に利用可能な粉末βゼオライトがガラス繊維、カオリンフィラー及び粉末合成ベーマイト(Pural SB)と混合され、5-6のpH値を有する水溶液で処理され、セルロース(CMC-QP10000H)、可塑剤Zusoplast(Zschimmer&Schwarz GmbH&Co KGのブランド名)と有機補助剤PEOアルコックス(ポリエチレン酸化物)の混合物により成形可能であり、流動可能なスリップに製造される。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が69重量%のゼオライト、23重量%のγ-Al及び5重量%のガラス繊維及び3重量%のカオリンを含むように選択される。前記成形可能な混合物は、300cpsi又は400cpsiのセル密度を有する1”直径×3”長さのフロースルーハニカム触媒本体(即ち、連続したチャネルと円形の断面を有する)内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で焼成される。
【0082】
実施形態2:圧縮ゼオライト基材モノリス上の単一層の三元触媒
実施形態1の300cpsi及び400cpi 1”×3”押出しゼオライトモノリス基材サンプルは、WO99/47260(ここで全体内容が参照として含まれる)に開示された方法(即ち、(a)モノリス式支持体の上部に保持手段を位置させる段階、(b)前記保持手段内に予め設定された量の液体成分を提供する段階((a)と(b)の順序は、(a)の次(b)、又は(b)の次(a))、(c)前記液体成分の全体を前記モノリス式支持体の少なくとも一部に吸い込むために真空を加え、前記液体成分の全体を前記モノリス式支持体内に再生なしに維持させる段階を含むモノリス式支持体のコーティング方法。)を用いて大部分のγ-アルミナとパラジウム(大部分)とロジウムを担持するセリア-ジルコニアの混合酸化物の混合物を含む三元触媒組成物の単一層でウォッシュコートされる。結果物は乾燥し、600℃で焼成される。
【0083】
比較実施形態3:2層の三元触媒
商業的に利用可能な300cpsiのコーディエライトモノリス基材が乾燥及び600℃での焼成後にβゼオライトとコロイド性シリカを含む第1層で(WO99/47260の技術によって)ウォッシュコートされた。実施形態2に係る第2の三元触媒層が前記第1のβゼオライト層の上を覆う層であって、ウォッシュコートで塗布された。結果物は乾燥し、600℃で焼成された。1”×3”のコアがコーティングされたモノリス基材から得られる。
【0084】
実施形態4:三元触媒テスト
実施形態2の触媒サンプルと比較実施形態3が、次の段階によって実験室SCAT(Synthetic Catalyst Activity Test)リグ(rig)を用いてテストされた:
(i)N(バランス)内5%の酸素で15分間希薄事前-処理後にNで30℃に冷却、
(ii)0.15%HC(17体積%のトルエン、24体積%のイソペンタン、59体積%のプロピレン)、0.1%CO、10%HO蒸気及びバランス圧縮空気の16L/min(25K/h SV)での触媒バイパスにベースラインの供給導入、
(iii)データ収集開始及び30秒待機、
(iv)HCの供給を30秒間サンプルに送り、30℃-40℃で吸着維持、
(iv)ガス供給を触媒バイパスを介して送る、
(v)供給から空気、HC及びCOの除去及び16L/minを維持するためにNでリバランス、
(vi)ガス供給をサンプルに再び提供し、30℃から550℃まで40℃/minで温度を変化、
(vii)データ収集終了、Nをサンプルを貫通させて30℃に冷却、及び
(viii)ガスの流れをバイパスに転換
【0085】
このようなテスト形態は、図1に示されるが、これからバイパス段階に出口温度は初期に入口温度を超えて増加し、その他には入口温度と出口温度は歩調を合わせるということが確認され得る。
【0086】
実施形態2と比較実施形態3の触媒サンプルに対する結果が図2に示されるが、これから実施形態2の触媒サンプルが比較例3のサンプルよりも顕著に向上したHC転換率(46%と比較したとき、400cpsi実施形態で54%、300cpsi実施形態で55%)を示すということが確認され得る。
【0087】
実施形態5:押出しゼオライトモノリス基材
実施形態1で他の押出しゼオライトモノリス基材がUS7,507,684に開示された方法と類似の方法により製造された。水素形態(Tosoh)の商業的に利用可能な粉末βゼオライトがガラス繊維(Vetrotex 4、5mm(Saint-Gobain))、低アルカリクレーフィラー及び粉末合成ベーマイト(Pural SB)と混合され、5-6のpH値を有する水溶液で処理され、8重量%のセルロース(全体無機ソリッド成分に基づく)(CVP-M-5280(Dow Wolff Cellulosics))により成形可能であり、流動可能なスリップに製造される。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が60重量%のゼオライト、25重量%のクレー、7重量%のγ-Al及び8重量%のガラス繊維を含むように選択される。前記成形可能な混合物は、適切なセル密度を有するフロースルーハニカム触媒本体(即ち、連続したチャネルと円形の断面を有する)内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で焼成される。
【0088】
実施形態6:押出しV/WO-TiOフィルタ
混練可能なペーストを製造するために、表1に記載された成分A、B、FとSを水と混合することで、参照押出しV/WO-TiOソリッド本体が実施形態1及び5と類似に用意された。添加剤H(孔隙変更剤)が追加され、前記物質は孔隙変更剤を分散させるために、10分間混練された。結果組成物は、実施形態1及び5で説明されたように押し出され、乾燥し、焼成された。最終的に焼成された製品に存在する無機ソリッド量の百分率は100%である。焼成過程で燃焼により除去される添加剤(HとS)の量は、100%無機ソリッド成分に対して重量%で提供される。
【表1】

A1=TiW(98、9%、MC 10/Cristal)
A2=V from AMV(78%V、GFE)
B1=ベントナイト(90%、ACE/Mizuka)
B2=カオリン(97、9%、TK0177/Thiele)
B3=SiO(100%、Tixosil/Novus)
F1=ガラス繊維(Vetrotex 4、5mm/Saint Cobain)
H1=セルロース(QP10000H/Nordmann)
H2=PEO(Alkox/Alroko)
H3=Zusoplast(Zschimmer & Schwarz)
S1=MEA(Imhoff & Stahl)
S2=NH
S3=C(fauth)
【0089】
次の孔隙変更斉剤が表1の押出し添加剤H1、H2及びH3の代りに用いられ、表1の方法による無機ソリッドの全体重量に対する量が表された。
【表2】

【0090】
孔隙率と孔隙体積と孔隙半径は、例えばMIP(Mercury Intrusion Porosimetry)を利用して測定され得る。
【0091】
孔隙体積と孔隙率を含む表2の結果は、図1にも示されている。このような結果から参照の前記孔隙率と孔隙体積は、適切な孔隙変更剤の選択により増加され得るため、このような孔隙変更剤を用いて製造された押出しソリッド本体は、ウォールフローフィルタの製造に使用され得る。
【0092】
このような結果は、孔隙率、孔隙体積など前記ソリッド押出し本体の活性成分に独立した性質を増加させるのに包括的である。即ち、たとえこのような実施形態6の孔隙率と孔隙体積などを増加させることがV/WO-TiO活性物質を用いて説明されていても、このような実施形態6で開示された孔隙率と孔隙体積などを増加させる原理は、あらゆる活性物質(例えば、三元触媒を含むガソリン媒煙フィルタで用いるための押出しソリッド本体)の押出物に適用され得るが、これは前記孔隙変更剤が焼成過程で燃焼し、後で無機ソリッドとして活性物質とフィルタなどを残すためである。
【0093】
図4は、他の参照の孔隙体積を、表2に記載された他の孔隙変更剤を用いて製造されたV/WO-TiO物質と比較するが、商業的に利用可能な壁流動フィルタ(NGK)とも比較される。グラフから、孔隙変更剤を含めることによって、参照押出しソリッド本体の孔隙率と孔隙体積が改善され、物質が商業的に利用可能なウォールフローフィルタのそれに接近する性質を有することが確認される。
【0094】
実施形態7:押出し触媒媒煙フィルタ
これは例示的な実施形態である。触媒ウォールフローフィルタモノリス基材が以下のように製造され得る。適切な量のCeO-ZrO混合酸化物が、ガラス繊維、粉末合成ベーマイト(Pural SB)及びβゼオライトと混合され、3.5のpH値を有する水溶液で処理され、1.5重量%のセルロース(CMC-QP1000H)、1.0重量%の有機補助剤PEOアルコックス(ポリエチレン酸化物)及び孔隙変更剤Rettenmaier BC200とポリアクリロニトリル(PAN)繊維の混合物13重量%を含む成形可能であり、流動可能なスリップに製造される。前記出発物質の量的比率は、最終ソリッド触媒本体の活性物質が25重量%のCeO、15重量%のβゼオライト、52重量%のγ-Al及び8重量%のガラス繊維を含むように選択される。前記成形可能な混合物は、300cpsiのセル密度を備え、連続したチャネルと円形の断面を有するフロースルーハニカム触媒本体内に押し出される。次に、前記触媒本体は、WO2009/080155(全体内容が参照としてここに含まれる)に説明された方法により1時間2mbarで冷却乾燥し、ソリッド触媒本体を形成するために、580℃の温度で焼成される。結果製品は一般に約10μmの平均孔隙サイズを有するようになる。
【0095】
多数のチャネルを含む前記押出しフロースルーモノリス基材は、ウォールフローフィルタ構造で製造され得、多数の第1チャネルが上流側端部に閉鎖され、上流側端部で閉鎖されない多数の第2チャネルは下流側端部で閉鎖され、前記第1及び第2チャネルの構造は、EP1837063(全体内容がここで参照として含まれる)による好ましいパターンで前記チャネルの端部で実質的にガス不浸透性プラグを挿入することで、水平、垂直に隣接するチャネルがチェッカーボードの形態で反対側端部で閉鎖される。このようなフィルタ構造は、SAE810114(全体内容がここで参照として含まれる)にも開示されている。前記焼成された製品は含浸された。前記焼成された押出しモノリス基材は、2011年1月4日に出願されたWO99/47260又はPCT/GB2011/050005に開示された方法によりPt-Rhを含むウォッシュコートでコーティングされ得る。後者の方法は、次のような段階を含む:(i)ハニカムモノリス基材を実質的に垂直に維持させる段階と、(ii)液体の予め設定された量を前記基材の下端で前記チャネルの開口端部を通じて前記基材内に供給する段階と、(iii)供給された液体を前記基材内で封止可能に維持させる段階と、(iv)前記収容された液体を含む前記基材をひっくり返す段階と、(v)前記基材のチャネルに沿って前記液体を吸い込むために前記基材の前記ひっくり返った下端で前記基材のチャネルの開口端部に真空を加える段階。
【0096】
疑問の余地を無くすために、ここで引用された文献の全体内容が参照としてここに含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出しソリッド本体を備えた三元触媒であって、
10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、
5-90重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び
0-80重量%の選択的に安定化したセリアを含む押出しソリッド本体を備えてなり、
前記触媒が、少なくとも1つの貴金属と選択的に少なくとも1つの非貴金属を含んでなり、
(i)前記少なくとも1つの貴金属が、前記押出しソリッド本体の表面上の少なくとも1つのコーティング層に収容されてなり、
(ii)少なくとも1つの金属が、前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、少なくとも1つの貴金属も前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容されてなり、又は
(iii)少なくとも1つの金属が前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在し、及び少なくとも1つの貴金属も前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容されてなる、三元触媒。
【請求項2】
前記少なくとも1つの金属が、前記混合物にゼオライトモレキュラシーブ成分、非ゼオライトモレキュラシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラシーブと前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分の少なくとも1つに結合される、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記押出しソリッド本体が、前記混合物にゼオライトモレキュラシーブ成分、非ゼオライトモレキュラシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラシーブと前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分の少なくとも1つに結合される少なくとも1つの第1金属と、
前記混合物にゼオライトモレキュラシーブ成分、非ゼオライトモレキュラシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラシーブと前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分の少なくとも1つに結合される少なくとも1つの第2金属とを含んでなる、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
前記少なくとも1つの金属が、
前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、
前記混合物に前記ゼオライトモレキュラシーブ成分、前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラシーブと前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分の少なくとも1つに結合されないものであり、
前記少なくとも1つの金属の大部分が前記押出しソリッド本体の表面に位置し、又は
前記押出しソリッド本体上の1つ以上のコーティング層に存在し、前記押出しソリッド本体が、アルカリ金属、アルカリ土金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される少なくとも1つの金属を含んでなるものである、請求項1〜3の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項5】
前記貴金属が、Pt、Au、Ag、Ir、Ru、Rh、Pd及びOsからなる群より選択される、請求項1〜4の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項6】
前記ランタナイド金属が、La、Pr及びCeからなる群より選択される、請求項4に記載の三元触媒。
【請求項7】
前記アルカリ金属が、Csである、請求項4に記載の三元触媒。
【請求項8】
前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在するが、前記混合物に前記ゼオライトモレキュラシーブ成分、前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラシーブと前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分の少なくとも1つに結合されないか、
前記少なくとも1つの金属の大部分が前記押出しソリッド本体の表面に位置するか、
前記押出しソリッド本体上の1つ以上のコーティング層に存在するか、アルカリ金属、アルカリ土金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される少なくとも1つの金属を含む前記押出しソリッド本体の表面に更に高い濃度で存在する前記全体金属成分が、0.1〜30重量%である、請求項1〜7の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項9】
前記押出しソリッド本体が、
10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
0-80重量%のスピネル、
5-90重量%のそれぞれが1つ以上の金属を選択的に含有するゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、
0-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び
0-25重量%の無機繊維を含んでなる、請求項1〜8の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項10】
前記押出しソリッド本体が、本的に、
10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
50-90重量%のそれぞれが1つ以上の金属を選択的に含有するゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び
0-25重量%の無機繊維からなる、請求項9に記載の三元触媒。
【請求項11】
前記押出しソリッド本体が、基本的に、
10-100重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、選択的にドーピングされたアルミナ、スピネル、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
50-90重量%のそれぞれが1つ以上の金属を選択的に含有するゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、
20-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び
0-25重量%の無機繊維からなる、請求項9に記載の三元触媒。
【請求項12】
ウォールフローフィルタの形態である、請求項1〜11の何れか一項による三元触媒。
【請求項13】
前記ウォールフローフィルタの孔隙率が、30-80%である、請求項12に記載の三元触媒。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか一項による三元触媒媒煙フィルタであって、
ウォールフローフィルタ構造として押出しソリッド本体を備えてなり、
前記押出しソリッド触媒本体が、基本的に、
15-70重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
0-20重量%のシリカソース、
5-50重量%のそれぞれが1つ以上の金属を選択的に含有するゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、
20-80重量%の選択的に安定化したセリア、及び
0-20重量%の無機繊維を含んでなり、
前記押出しソリッド触媒本体が、少なくとも1つの貴金属と2つ以上の貴金属の組み合わせを含む1つ以上の層でコーティングされた、三元触媒媒煙フィルタ。
【請求項15】
請求項1〜13の何れか一項による三元触媒であって、
フロースルー構造として押出しソリッド本体を備えてなり、
前記フロースルー構造が基本的に、
15-30重量%のコーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物、
0-20重量%のシリカソース、
50-81重量%のそれぞれが1つ以上の金属を選択的に含有するゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び
0-20重量%の無機繊維を含み、
前記押出しソリッド触媒本体が、多数のγ-アルミナとパラジウムのみを担持する安定化したセリアの混合物、パラジウムとロジウムの混合物、白金とロジウムの混合物又は白金、パラジウムとロジウムの混合物を含む単一層でコーティングされる、三元触媒。
【請求項16】
前記少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分が、コーディエライト、窒化物、炭化物、ホウ化物、合金、リチウムアルミノ珪酸塩、スピネル、選択的にドーピングされたアルミナ、シリカソース、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、ジルコン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1〜15の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項17】
前記スピネルがMgAlであるか、
前記MgがCo、Zr、Zn又はMnからなる群よりの金属で部分的に置換された、請求項1〜16の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項18】
前記シリカソースが、シリカ、シリカゾル、石英、溶融又は無定形のシリカ、珪酸ナトリウム、無定形のアルミノ珪酸塩、アルコキシシラン、シリコン樹脂バインダ、クレー、タルク又はこれらのうち2つ以上の混合物である、請求項16又は17に記載の三元触媒。
【請求項19】
前記クレーが、フラー土、セピオライト、ヘクトライト、スメクタイト、カオリン及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項18に記載の三元触媒。
【請求項20】
前記無機繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維及びセラミック繊維からなる群より選択される、請求項16〜19の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項21】
前記ゼオライトモレキュラシーブ又は非ゼオライトモレキュラシーブが、下記のフレームワーク形態のコード:
国際ゼオライト協会の構造委員会により定義されたABW、AEL、AET、AFG、AFI、AFO、AFR、AFS、AFY、AHT、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATV、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CFI、CGF、CGS、-CHI、-CLO、CON、CZP、DAC、DFO、DOH、DON、EMT、EON、ETR、EUO、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIU、GME、GON、HEU、IFR、IMF、ITH、ITR、IWS、IWV、IWW、JBW、JRY、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTF、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MFI、MFS、MOR、MOZ、MRE、MSE、MOS、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、OBW、OFF、OSI、OSO、-PAR、PON、-RON、RRO、RSN、RTE、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SGT、SOD、SOF、SOS、SSF、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、-SVR、SZR、TER、TOL、TON、TUN、UOS、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VSV、WEI又は-WEN及びこれらのうち2つ以上の混合物を有する、請求項1〜20の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項22】
前記ゼオライトモレキュラシーブが、ZSM-5、ベータ、フェリエライト及びこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1〜21の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項23】
前記ゼオライトモレキュラシーブが、10以上のシリカ-アルミナ比を有するアルミノ珪酸塩ゼオライトである、請求項1〜22の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項24】
前記ゼオライトモレキュラシーブ又は非ゼオライトモレキュラシーブは、1つ以上の置換フレームワーク金属を含む同形体である、請求項21〜23の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項25】
前記非ゼオライトモレキュラシーブが、リン酸アルミニウムである、請求項21に記載の三元触媒。
【請求項26】
前記セリアが、前記セリアの熱安定性を向上させるために、少なくとも1つの非セリウム成分で安定化される、請求項1〜25の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項27】
請求項1〜26の何れか一項に記載の三元触媒であって、
前記少なくとも1つの金属が、それぞれ
(a)前記押出しソリッド本体の全体に渡って存在し、
(b)前記押出しソリッド本体の表面で更に高い濃度で存在し、
(c)前記押出しソリッド本体の表面上の1つ以上のコーティング層に収容されてなり、
前記(ii)、又は前記(iii)における金属が、他の位置に存在する前記少なくとも1つの金属と異なるウォールフローフィルタ。
【請求項28】
ゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物を含んでなり、
前記少なくとも1つの金属が、前記混合物に前記ゼオライトモレキュラシーブ、前記非ゼオライトモレキュラシーブ又は前記ゼオライトモレキュラシーブと前記非ゼオライトモレキュラシーブのうち少なくとも1つと結合される、請求項1〜27の何れか一項に記載の三元触媒。
【請求項29】
前記ゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれら2つ以上の混合物内の2つのモレキュラシーブのうち少なくとも1つと結合されている前記各少なくとも1つの金属が、遷移金属、ランタナイド又はこれらのうち2つ以上の混合物からなる群より選択される1つ以上の金属を含んでなる、請求項28に記載の三元触媒。
【請求項30】
前記遷移金属が、Cu、Pd及びAgからなる群より選択される、請求項29に記載の三元触媒。
【請求項31】
前記混合物内で前記ゼオライトモレキュラシーブ成分、前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分又は前記ゼオライトモレキュラシーブ成分と前記非ゼオライトモレキュラシーブ成分のうちの少なくとも1つと結合されている前記少なくとも1つの金属で全体金属含有量が、0.1〜20重量%である、請求項28、29又は30に記載の三元触媒。
【請求項32】
請求項1〜31の何れか一項による三元触媒を製造する方法であって、
粉末の出発物質を混合してソリッド押出し本体を形成し、
前記粉末の出発物質が、少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分又はこれの1つ以上の前駆体、少なくとも1つの金属に結合されるゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、選択的に安定化したセリア、及び選択的な少なくとも1つの金属化合物、選択的無機繊維、選択的に添加された有機補助剤であり、
少なくとも1つの金属の金属塩を選択的に含有する酸又はアルカリ水溶液でプラスチック化合物内に混合物を形成するように、混合及び/又は混練を通じて処理し、
前記混合物が触媒本体に押し出し、前記触媒本体を乾燥させ、ソリッド押出し本体を形成するために焼成し、
前記ソリッド押出し本体が、10-100重量%の少なくとも1つのバインダ/マトリックス成分、及び5-90重量%のゼオライトモレキュラシーブ、非ゼオライトモレキュラシーブ又はこれらのうち2つ以上の混合物、及び0-80重量%の選択的に安定化したセリアを含有するように前記出発物質の比率を選択し、
前記ソリッド押出し本体の表面を少なくとも1つの貴金属でコーティングし、
選択的に前記ソリッド押出し本体の表面を少なくとも1つの金属で含浸することを含んでなる、製造方法。
【請求項33】
固定型発生源又は車両の内燃機関から発生した排気ガスを処理する方法であって、
前記排気ガスを請求項1〜31の何れか一項による三元触媒と接触させることを含んでなる、方法。
【請求項34】
請求項1〜39の何れか一項による三元触媒を含んでなる、内燃機関用排気システム。
【請求項35】
内燃機関及び請求項34による排気システムを備えてなる、車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−517934(P2013−517934A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550519(P2012−550519)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050158
【国際公開番号】WO2011/092517
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】