説明

押出成形板の製造方法及び押出成形板の製造装置

【課題】 押出成形板の表面に対して目地模様等の凹凸模様を、見栄えよく、簡単で、しかも高速で成形すること。
【解決手段】 水硬性材料を含む混練物20を口金部13から押し出し、その押し出されて成形されていく生板14の上面に合成樹脂製の成形型ベルト15を押し付けながら生板14の押出し方向8に走行させることによって、表面に凹凸模様25が成形された押出成形セメント板を製造する押出成形板の製造装置11おいて、成形型ベルト15に固着して埋設され、生板14の押出し方向8と略直交する方向に延びるように配置されてそれぞれの端部27aが成形型ベルト15から突出する複数の補強部材27と、それぞれの補強部材27の端部27aを、それぞれの間隔を維持した状態で保持溝30で保持しながら生板14に伴って移動する矯正チェーン33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント等の水硬性材料を含む混練物を口金部から押し出し、その押し出されて成形されていく生板の表面に凹凸模様を成形して、例えば外壁材、間仕切材、床材等の建築材を含む押出成形板を製造することができる押出成形板の製造方法、及び押出成形板の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の押出成形板の製造装置の一例として図12に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。この押出成形板の製造装置1は、セメント等の水硬性材料を含む混練物を、押出成形機2の口金部3から押し出し、その押し出されて成形されていく生板4を、上側の合成樹脂製のエンドレス成形型ベルト5と、下側の搬送コンベア6との間に挟み込んで両者の間に通すことによって、その生板4の上面に凹凸模様7を成形することができるものである。このようにして表面に凹凸模様7が成形された生板4を所定の長さに切断等することによって、例えば外壁材、間仕切材、床材等の建築材を含む押出成形セメント板を製造することができる。
【0003】
そして、この押出成形セメント板の表面に成形される凹凸模様7には、例えば多数の縦横の細い溝が格子状(碁盤目状)に形成されたものがあり、この格子状の模様は、外壁材の表面に目地のように見える模様である。
【特許文献1】特開2005−297508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図12に示す従来の押出成形板の製造装置1によって製造された押出成形セメント板では、生板4の状態でその上面に成形された例えば目地模様7のそれぞれの直線溝が、直線とはならずにゆがんだ形状となることがある。
【0005】
このように、目地模様7を構成するそれぞれの溝がゆがむことがあるのは、口金部3から押し出されてくる生板4の上面に成形型ベルト5を押し付けているときに、生板4がその内圧によって押出し方向8、及びその押出し方向8と直交する横幅方向に膨張又は収縮し、この生板4の膨張又は収縮によって成形型ベルト5が変形してしまい、この変形した成形型ベルト5によって生板4の上面にゆがんだ目地模様7を成形することとなるからである。
【0006】
また、成形型ベルト5が走行しているときに、成形型ベルト5自体が走行方向及び横幅方向に伸縮することがあり、これによって成形型ベルト5が変形するので、これによっても生板4の上面にゆがんだ目地模様7を成形してしまうことがある。
【0007】
そこで、成形型の変形を防止するために、金属製の成形ロールを使用することが考えられる。しかし、金属製の成形ロールでは、目地模様等の凹凸模様7の繰り返しパターンの長さが成形型ベルト5を使用する場合と比較して短くなり、凹凸模様7が単調となってしまう。
【0008】
そして、一般的に成形型の材質を金属製とすると、その材質を比較的軟質の合成樹脂製とする場合と比較して、押出成形セメント板の表面に成形される目地模様等の凹凸模様7の見栄えが劣るという問題がある。これは、成形の際にセメント等の水硬性材料を含む混練物が、金属製成形型の凹部の隅々に入り込み難いからであると考えられる。これに対して、比較的軟質の合成樹脂製成形型では、その弾性的性質によって、成形の際に混練物が合成樹脂製成形型の凹部の隅々に入り込み易いからであると考えられる。
【0009】
また、従来の成形型の他の例として、混練物が接触する成形面を合成樹脂製の型板部で形成し、この合成樹脂製の型板部の変形を防止するために、その型板部の下面に金属製の補強板を貼着したものがある。
【0010】
しかし、このように金属製補強板で剛性が高められた成形型とすると、型板部の変形を防止できるが、この成形型を、押出成形機2の口金部3の出口付近に搬送して、口金部3から押し出されてくる生板4の表面に、ローラ9等を介して押し付けることが困難である。つまり、例えば図12に示すように、成形型ベルト5とローラ9との間に生板4を挟み込むことによって、見栄えよく、簡単でしかも比較的高速で生板4の表面に目地模様等の凹凸模様7を成形できるようにすることが望まれている。
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、押出成形板の表面に対して目地模様等の凹凸模様を、見栄えよく、簡単で、しかも高速で成形することができる押出成形板の製造方法及び押出成形板の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明の押出成形板の製造方法は、水硬性材料を含む混練物を口金部から押し出し、その押し出されて成形されていく生板の表面に合成樹脂製の成形型を押し付けながら前記生板の押出し方向に移動させることによって、表面に凹凸模様が成形された押出成形板を製造する押出成形板の製造方法において、前記合成樹脂製の成形型には、前記生板の押出し方向と略直交する方向に延びる複数の補強部材が固定して埋設され、前記それぞれの補強部材の前記成形型から突出する端部を、それぞれの間隔を維持した状態で矯正部によって保持し、前記矯正部を前記生板の押し出される方向に移動させることを特徴とするものである。
【0013】
請求項1に係る発明の押出成形板の製造方法によると、口金部から押し出されて成形されていく生板の表面に、合成樹脂製の成形型を押し付けながら生板の押出し方向に移動させることによって、凹凸模様が成形された生板を製造することができる。そして、このように凹凸模様が成形された生板を所定の寸法に切断等することによって押出成形板を製造することができる。そして、口金部から押し出されて、表面に成形型が押し付けられた生板には、その内圧によって押出し方向、及びその押出し方向と直交する幅方向に膨張又は収縮する力が働くが、合成樹脂製の成形型には、生板の押出し方向と略直交する方向に延びる複数の補強部材が固定した状態で埋設され、それぞれの補強部材の成形型から突出する各端部を、それぞれの間隔を維持した状態で矯正部によって保持しているので、生板の押出し方向及びそれと直交する方向の膨張又は収縮する力によって、成形型が変形することを防止することができる。更に、補強部材は、合成樹脂製の成形型を生板に押し付ける際に、成形型が変形することも防止することができる。これによって、生板の表面に例えば格子状の直線溝(目地模様)を精度よく成形することができ、その結果、そのように精度のよい目地模様を有する押出成形板を製造することができる。
【0014】
そして、成形型を合成樹脂製としたので、成形型の凹部にセメント等の水硬性材料を含む混練物が入り込み易く、よって、押出成形板の表面に見栄えのよい凹凸模様を成形することができる。
【0015】
請求項2に係る発明の押出成形板の製造方法は、請求項1の発明において、前記成形型が、エンドレス成形型ベルトであり、前記口金部から押し出されていく前記生板の表面に押し付けられた状態で、前記生板と同一の速度で同方向に走行することを特徴とするものである。このように、成形型をエンドレス成形型ベルトとして形成すると、エンドレス成形型ベルトを走行させながらその成形型ベルトを、口金部から押し出されていく生板の表面に連続して順次押し付けることができ、これによって生板の表面に対して目地模様等の凹凸模様を、見栄えよく、簡単で、しかも高速で成形することができる。
【0016】
請求項3に係る発明の押出成形板の製造方法は、請求項1の発明において、前記成形型が、板状の成形型板であり、前記口金部から押し出されていく前記生板の表面に押し付けられ、所定時間経過後に、前記成形型板を前記生板の表面から取り外すことを特徴とするものである。このようにすると、例えば多数の板状の成形型板を、口金部から押し出されていく生板の表面に順次押し付けていき、所定時間経過後ごとに、各成形型板を生板の表面から順次取り外すことによって、生板の表面に対して目地模様等の凹凸模様を、見栄えよく、簡単で、しかも高速で成形することができる。そして、成形型板には、複数の補強部材が固定して埋設されているので、この成形型板が生板の表面に押し付けられている状態では、生板を移送しているときでも、補強部材によって生板の変形を抑制することができる。よって、例えば生板を養生させるとき等のように、その生板に外力が掛からない状態となったときに、生板から成形型板を取り外すようにすれば、生板及びその表面に成形された凹凸模様の変形を防止することができる。
【0017】
請求項4に係る発明の押出成形板の製造装置は、水硬性材料を含む混練物を口金部から押し出し、その押し出されて成形されていく生板の表面に合成樹脂製の成形型を押し付けながら前記生板の押出し方向に移動させることによって、表面に凹凸模様が成形された押出成形板を製造する押出成形板の製造装置において、前記合成樹脂製の成形型に固定して埋設され、前記生板の押出し方向と略直交する方向に延びるように配置されてそれぞれの端部が前記成形型から突出する複数の補強部材と、前記それぞれの補強部材の前記端部を、それぞれの間隔を維持した状態で保持しながら前記生板に伴って移動する矯正部とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
この請求項4に係る発明の押出成形板の製造装置は、請求項1に係る発明の押出成形板の製造方法と同様にして押出成形板を製造することができるので、その説明を省略する。
【0019】
請求項5に係る発明の押出成形板の製造装置は、請求項4の発明において、前記成形型が、エンドレス成形型ベルトであり、前記口金部から押し出されていく前記生板の表面に押し付けられた状態で、前記生板と同一の速度で同方向に走行することを特徴とするものである。
【0020】
この請求項5に係る発明の押出成形板の製造装置は、請求項2に係る発明の押出成形板の製造方法と同様に作用するのでその説明を省略する。
【0021】
請求項6に係る発明の押出成形板の製造装置は、請求項4の発明において、前記成形型が、板状の成形型板であり、前記口金部から押し出されていく前記生板の表面に押し付けられ、所定時間経過後に、前記成形型板が前記生板の表面から取り外されることを特徴とするものである。
【0022】
この請求項6に係る発明の押出成形板の製造装置によると、請求項3に係る発明の押出成形板の製造方法と同様に作用するのでその説明を省略する。
【0023】
請求項7に係る発明の押出成形板の製造装置は、請求項4乃至6のいずれかの発明において、前記成形型には、前記押出成形板に溝を成形するための突条を有し、この突条は、前記口金部から押し出されていく前記生板の押出し方向と略直交し、又は略平行することを特徴とするものである。
【0024】
請求項7に係る発明の押出成形板の製造装置によると、成形型に形成されている突条によって、生板の表面に対してその押出し方向と略直交する方向、又は略平行する方向に直線状の溝(目地模様)を成形することができる。従って、例えばこのようにして製造された多数の押出成形板である外壁材を使用して外壁を施工する場合は、上下左右方向に延びる目地模様を略ぴったりと一致させることができ、見栄えのよい外壁を施工することができる。
【0025】
請求項8に係る発明の押出成形板の製造装置は、請求項7の発明において、前記突条が前記生板の押出し方向と略直交し、この突条に、棒状に形成された前記補強部材が固定して埋設されていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項8に係る発明の押出成形板の製造装置によると、押出成形板に溝を成形するための成形型の突条部分に補強部材を埋設してあるので、この突条の変形を効果的に防止することができ、これによって、この突条によって成形される溝、例えば目地模様のゆがみを効果的に防止することができる。そして、補強部材を成形型の突条部分に埋設する構成とすると、補強部材を埋設するために必要とされるスペースを容易に確保することができる。
【0027】
請求項9に係る発明の押出成形板の製造装置は、請求項4乃至8のいずれかの発明において、前記補強部材には、前記成形型が前記生板の押出し方向と直交する方向に位置ずれすることを防止するための位置ずれ防止部が設けられていることを特徴とするものである。
【0028】
請求項9に係る発明の押出成形板の製造装置によると、成形型が生板の押出し方向と直交する方向に位置ずれすることを位置ずれ防止部によって防止することができる。これによって、生板に成形される凹凸模様が、生板の押出し方向と直交する方向にゆがむことを防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明に係る押出成形板の製造方法、及び押出成形板の製造装置によると、生板の表面に成形されていく例えば目地模様のそれぞれの直線溝を、その直線溝の形状の状態で、殆どゆがみが生じることなく押出成形板の表面に形成することができる。従って、例えばこのようにして製造された多数の押出成形板である外壁材を、建物の下地材に上下左右方向に整列させて取り付けたときに、互いに隣接して取り付けられている外壁材の、上下左右に延びる直線溝(目地模様)を略ぴったりと一致させることができ、見栄えのよい外壁を施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る押出成形板の製造方法及び押出成形板の製造装置の第1実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。この押出成形板の製造装置11は、押出成形板の製造方法を使用するものであり、図1に示すように、セメント系材料、セラミック系材料、石膏系材料等の水硬性材料を含む混練物20を押出成形機12の口金部13から押し出し、その押し出されて成形されていく生板14の上面に、合成樹脂製の成形型ベルト(成形型)15を押し付けながら生板14の押出し方向8に走行させることによって、上面に凹凸模様25が成形された長尺の生板14を成形することができるものである。そして、この生板14を所定寸法に切断して養生、加工工程を経て押出成形セメント板等の押出成形板(図4(a)、(b)、(c)参照。)16、17、又は18を製造することができる。
【0031】
押出成形機12は、図1に示すように、セメント等の水硬性材料、補強繊維、混和剤等の混練物20をスクリューで圧送するための圧送部19を有し、この圧送部19の先端に口金部13が取り付けられている。この口金部13は、横幅方向に長い矩形の押出開口部13aを有している。これによって、口金部13から押し出される未硬化状態の水硬性材料を含む混練物20は、断面矩形の生板14となって押出成形される。
【0032】
口金部13には、図3に示すように、その内側に中玉21が配置されている。この中玉21は、口金部13から押し出されて成形されていく生板14の内部に、中空部14aを形成するためのものである。中空部14aは、生板14の押出し方向8と平行する方向に形成される。この中玉21は、中玉取付部(中玉ステー)22に取り付けられている。そして、図1に示すように、口金部13の後段には、搬送コンベア23が配置されている。
【0033】
搬送コンベア23は、例えばベルトコンベアであり、口金部13から順次押し出されてくる長尺の生板14を受け取り、後段側に搬送するためのものである。そして、この搬送コンベア23は、所定の間隔を隔てて配置されている搬送駆動ローラ23aと搬送従動ローラ23bとを備え、この搬送駆動ローラ23a及び搬送従動ローラ23bに環状の搬送ベルト23cを掛けた構成としたものである。そして、この搬送駆動ローラ23aが、駆動モータ(図示せず)によって回転駆動制御される構成となっている。この搬送コンベア23の上方に成形装置24が設けられている。
【0034】
成形装置24は、図1に示すように、押出成形機12の口金部13から押し出されて成形されていく生板14の上面に、合成樹脂製の成形型ベルト(成形型)15を押し付けながら生板14の押出し方向8に走行させることによって、生板14の上面に凹凸模様25を順次成形することができるものである。この成形装置24は、図2(a)に示すように、所定の間隔を隔てて配置されている押え駆動ローラ24aと押え従動ローラ24bとを備え、この押え駆動ローラ24a及び押え従動ローラ24bに環状の成形型ベルト15を掛けた構成としたものである。そして、この押え駆動ローラ24aが駆動モータ(図示せず)によって回転駆動制御される構成となっている。なお、成形型ベルト15の材質は、例えばウレタン系、シリコン系のゴム系の合成樹脂である。
【0035】
成形型ベルト15は、図2(b)の部分拡大斜斜視図(図2(a)のA部分の拡大図)に示すように、その外周面に凹凸模様型26が形成されている。この成形型ベルト15に形成されている凹凸模様型26は、生板14、つまり図4(a)、(b)、(c)に示す押出成形板16、17、18の上面に凹凸模様25、25、25を成形するためのものである。この押出成形板16、17、18の上面に成形される凹凸模様25、25、25は、成形型ベルト15に形成されている凹凸模様型26の凹部及び凸部を反転させた形状となっている。そして、例えば図4(a)に示す押出成形板の凹凸模様25を成形するための成形用の凹凸模様型26が、成形型ベルト15の外周面に複数形成されている。
【0036】
そして、押え従動ローラ24bは、図3に示すように、口金部13の押出開口部13aの近傍に配置され、口金部13から押し出されてくる生板14の上面に成形型ベルト15を押し付けて、その生板14の上面に凹凸模様25を成形するように設けられている。このとき、成形型ベルト15は、生板14の押出し速度と同じ速度で同方向に走行している。また、図3に示すように、押え従動ローラ24bと、口金部13の押出開口部13aを形成する底壁部13bとの間に挟み込まれている生板14の内部には、中玉21が配置されている。これによって、生板14に対して成形型ベルト15が押し付けられたときに、中空部14aが変形することを防止することができるし、成形型ベルト15の凹凸模様型26を綺麗に生板14の上面に成形することができる。
【0037】
また、図2(b)に示すように、成形型ベルト15の凹凸模様型26は、断面形状が台形の多数の第1及び第2突条26a、26bが格子状に形成されたものであり、この格子状に形成された多数の第1及び第2突条26a、26bは、図4(a)に示す押出成形板16の凹凸模様25を成形することができる。ただし、図2(b)に示す第1突条26aは、口金部13から押し出される生板14の押出し方向8と直交する方向に形成されているものであり、同図には、押出し方向8と平行する第2突条26bは表れていない。つまり、格子状に形成された第1及び第2突条26a、26bは、生板14の上面に溝を格子状に成形するためのものであり、この格子状の溝は、目地のように見える目地模様である。
【0038】
そして、図2(b)に示すように、これら多数の各第1突条26aの部分には、補強部材27が固着した状態で埋設されている。各補強部材27は、鉄鋼、ステンレス鋼等の金属製の棒状体であり、各補強部材27の両方の各端部27a、27aが第1突条26aの対応する両方の各端部から突出している。
【0039】
そして、図3に示すように、押え従動ローラ24bの左右の各端部には、円形側板28、28が設けられ、各円形側板28の外周縁には所定のピッチで係合溝28a、・・・が形成されている。この係合溝28aは、押え従動ローラ24bに巻き掛けられた成形型ベルト15の各補強部材27の端部27aが係合するように設けられており、これによって、成形型ベルト15の各補強部材27の端部27aが、後述する矯正装置29に設けられている各保持溝30に確実に嵌まり込むことができるようにタイミングをとるようにしている。なお、図には示さないが、押え駆動ローラ24aにも円形側板28、28が設けられ、それらに多数の係合溝28aが形成されている。
【0040】
次に、図1及び図3を参照して、矯正装置29を説明する。この図1に示す矯正装置29は、成形型ベルト15の多数の第1突条26a及び第2突条26bによって、生板(押出成形セメント板16)14の上面に成形される凹凸模様25、例えば格子状の目地模様(溝)のピッチのばらつきや、目地模様の直線性が、予め定めた許容範囲内となるようにするためのものである。
【0041】
矯正装置29は、図1に示すように、第1矯正部31と第2矯正部(図示せず)31とを備えており、これら第1及び第2矯正部31、31は、成形装置24の下方であって、口金部13から押し出される生板14の左右の各側面と対向する位置に配置され、基台32に設けられている。これら第1矯正部31と第2矯正部31は、同等のものであり、それぞれに設けられている矯正チェーン33、33が互いに同一の速度で走行するように構成されている。この第1矯正部31を説明し、第2矯正部31の説明を省略する。
【0042】
第1矯正部31は、図1に示すように、所定の間隔を隔てて配置されている矯正駆動スプロケット31aと矯正従動スプロケット31bとを備え、この矯正駆動スプロケット31a及び矯正従動スプロケット31bに環状の矯正チェーン33を掛けた構成としたものである。そして、この第1及び第2矯正部31、31のそれぞれの矯正駆動スプロケット31aが、駆動モータ(図示せず)によって回転駆動制御される構成となっている。
【0043】
矯正チェーン33は、図3の部分拡大断面図に示すように、剛性の高い多数の各リンク34、・・・と各連結部材(図示せず)がピン35、・・・を介して連結するものであり、各リンク34の上縁に保持溝30が1つずつ形成されている。そして、これら多数の各保持溝30は、補強部材27の端部27aを収容して保持するためのものである。従って、成形型ベルト15の走行によって、多数の補強部材27、・・・の各端部27a、・・・が成形型ベルト15の下側走行路を押出し方向8に移動すると共に、矯正チェーン33の走行によって、各保持溝30、・・・が矯正チェーン33の上側走行路を押出し方向8に移動するときに、各補強部材27、・・・の各端部27a、・・・が各保持溝30、・・・に収容されて保持されるように、成形型ベルト15及び矯正チェーン33が配置されており、互いに同一の速度で同方向に走行するように制御されている。そして、各補強部材27のピッチは、各保持溝30のピッチと一致している。
【0044】
なお、搬送コンベア23によって生板14を後段に搬送する搬送速度、成形装置24に取り付けられている成形型ベルト15の走行速度、及び矯正装置29に取り付けられている矯正チェーン33の走行速度は、口金部13から押し出されてくる生板14の押出し速度と一致するように速度制御されている。
【0045】
なお、図1には、搬送コンベア23は、生板14よりも横幅を大きく示してあるが、これは、図面上理解し易くするためにしたものであり、実際には、搬送コンベア23は、生板14と同程度の横幅であり、搬送コンベア23及び矯正装置29は、互いに干渉しないように形成されている。
【0046】
次に、上記のように構成された押出成形板の製造装置11を使用して、押出成形セメント板16を製造する手順を説明する。まず、図1に示す成形装置24、矯正装置29、及び搬送コンベア23を駆動させ、押出成形機12を作動させる。押出成形機12が作動すると、図3に示すように、セメント等の水硬性材料を含む混練物20を口金部13から押し出して、断面矩形の長尺の生板14を順次成形することができる。このとき、成形装置24は、その押し出されて成形されていく中空部14aを有する生板14の上面に、合成樹脂製の成形型ベルト15の凹凸模様型26を押し付けながら、その成形型ベルト15を生板14の押出し方向8に走行させているので、上面に凹凸模様25が成形された長尺の生板14を順次成形することができる。そして、上面に凹凸模様25が成形された長尺の生板14は、搬送コンベア23によって後段に搬送される。そして、この生板14を、凹凸模様25のパターンの切れ目となる所定の長さに切断し、養生、加工工程を経て押出成形セメント板16を製造することができる。
【0047】
この押出成形板の製造装置11及びその製造方法によると、図3に示すように、口金部13から押し出されて、上面に成形型ベルト15が押し付けられた生板14には、その内圧によって押出し方向8、及びその押出し方向8と直交する横幅方向に膨張又は収縮する力が働くが、この力によって成形型ベルト15が変形することを防止できる。
【0048】
つまり、合成樹脂製の成形型ベルト15には、生板14の押出し方向8と略直交する方向に延びる複数の補強部材27が固着して埋設され、それぞれの補強部材27の成形型ベルト15の左右の各側面から突出する各端部27a、・・・を、それぞれの間隔を維持した状態で第1及び第2矯正部31、31の各保持溝30、・・・によって保持しているので、生板14の押出し方向8及びそれと直交する方向の膨張又は収縮する力によって、成形型ベルト15、及び第1及び第2突条26a、26bが変形することを防止することができる。
【0049】
これによって、例えば生板14の上面に目地模様(凹凸模様25)の格子状の直線溝を精度よく成形することができ、その結果、そのように精度のよい目地模様を有する押出成形セメント板16を製造することができる。
【0050】
従って、例えばこのようにして製造された多数の押出成形セメント板16、・・・を、外壁材として建物の下地材に上下左右方向に整列させて取り付けたときに、互いに隣接して取り付けられている外壁材の、上下左右に延びる直線溝(目地模様)を略ぴったりと一致させることができ、見栄えのよい外壁を施工することができる。
【0051】
また、成形型ベルト15を合成樹脂製としたので、成形型ベルト15の凹凸模様型26の凹部にセメント等の水硬性材料を含む混練物20が入り込み易く、よって、押出成形セメント板16の上面に見栄えのよい凹凸模様25を成形することができる。
【0052】
更に、図3に示すように、成形型ベルト15を所定方向に走行させながらその成形型ベルト15の凹凸模様型26を、口金部13から押し出されていく生板14の上面に連続して順次押し付けることができるので、生板14の上面に対して目地模様等の凹凸模様25を、見栄えよく、簡単で、しかも高速で成形することができる。
【0053】
そして、図2(a)、(b)に示す成形型ベルト15によると、棒状の補強部材27を、押出成形セメント板16の上面に溝を成形するための第1突条26a部分に埋設してあるので、それぞれの第1突条26aの変形を効果的に防止することができ、これによって、各第1突条26aによって成形される各溝、例えば目地模様のゆがみを効果的に防止することができる。そして、各補強部材27を成形型ベルト15の第1突条26a部分に埋設する構成とすると、補強部材27を埋設するために必要とされるスペースを容易に確保することができる。
【0054】
次に、図5(a)、(b)を参照して、押出成形セメント板16の上面に形成された格子状の目地模様(凹凸模様25)の精度について、第1実施形態の押出成形板の製造装置11を使用して製造した押出成形セメント板16と、補強部材27が設けられていない押出成形板の製造装置を使用して製造した比較例の押出成形セメント板とを比較して説明する。
【0055】
第1実施形態の押出成形板の製造装置11と、比較例の押出成形セメント板を製造するための押出成形板の製造装置(比較例の製造装置)とが相違するところは、図2(b)に示すように、第1実施形態の押出成形板の製造装置11の成形型ベルト15には、多数の補強部材27、・・・が埋設されているのに対して、比較例の製造装置では、このような補強部材27が埋設されていないところであり、これ以外は同等である。
【0056】
因みに、両者の成形型ベルトの材質は、ウレタンゴムであり、その横幅が約1,200mm、周囲の長さが約5,000mm、厚みcが約30mm、ベース部の厚みaが約15mm、第1及び第2突条26a、26bの高さbが約15mmである。そして、補強部材27は、直径が約3mmのステンレス鋼棒であり、埋設間隔は、約50mmである。製造された押出成形セメント板は、横幅が約1,000mm、縦の長さが約3,000mmである。
【0057】
図5(a)、(b)は、第1実施形態の製造装置11及び比較例の製造装置で製造した押出成形セメント板16の上面に成形されている格子状の目地模様の寸法精度を比較するための図である。図5(a)に示す押出成形セメント板16の上面に成形されている格子状の目地模様は、図4(a)に示すものである。この格子状の目地模様は、四角錐台形の多数の突起が押出成形セメント板16の上面に成形されている。
【0058】
図5(b)に示す目地模様ピッチの縦方向A、Eのばらつきとは、図5(a)に示すA点とE点との間隔の、規定値の3,000mmに対するばらつきであり、実施例では±0.5mm、比較例では±4.0mmである。目地模様ピッチの横方向C、Fのばらつきとは、図5(a)に示すC点とF点との間隔の、規定値の1,000mmに対するばらつきであり、実施例では±0.5mm、比較例では±1.5mmである。
【0059】
図5(b)に示す目地模様の直線性の縦方向C、Dのばらつきとは、図5(a)に示すC点とD点(間隔が3,000mm)とのずれのばらつきであり、実施例では±1.0mm、比較例では±2.0mmである。目地模様直線性の横方向A、Bのばらつきとは、図5(a)に示すA点とB点(間隔が1,000mm)とのずれのばらつきであり、実施例では±0.5mm、比較例では±1.0mmである。
【0060】
このように、実施例では、比較例と比較して、目地模様のピッチ及び目地模様の直線性のばらつきを極めて小さくすることができる。
【0061】
次に、本発明に係る押出成形板の製造方法及び押出成形板の製造装置の第2実施形態を、図6〜図9を参照して説明する。この図6〜図9に示す第2実施形態の押出成形板の製造装置37は、押出成形板の製造方法を使用するものであり、図1及び図2に示す第1実施形態の押出成形板の製造装置11と相違するところは、成形装置38と24及び矯正装置39と29が相違するところである。
【0062】
つまり、図6〜図9に示す第2実施形態の押出成形板の製造装置37は、セメント等の水硬性材料を含む混練物20を押出成形機12の口金部13から押し出し、その押し出されて成形されていく生板14の上面に、所定の長さに形成された可撓性を有する合成樹脂製の成形型板(成形型)40を押し付けながら生板14の押出し方向8に送り出し、これと共に成形型板40が押し付けられて載置されている長尺の生板14を、その成形型板40の長さ寸法に順次切断することができる構成となっている。
【0063】
なお、図6、図8及び図9には、搬送コンベア23及び受取り板41は、生板14よりも横幅を大きく示してあるが、これは、図面上理解し易くするためにしたものであり、実際には、搬送コンベア23及び受取り板41は、生板14と同程度の横幅であり、搬送コンベア23及び受取り板41と矯正装置39とが、互いに干渉しないように形成されている。
【0064】
成形装置38は、図6に示すように、押出成形機12の口金部13から押し出されて成形されていく生板14の上面に、可撓性を有する合成樹脂製の成形型板40を押し付けながら生板14の押出し方向8に送り出していくことによって、生板14の例えば上面に凹凸模様25を順次成形することができるものである。そして、この成形装置38は、押え駆動ローラ24aを備え、この押え駆動ローラ24aは、駆動モータ(図示せず)によって回転駆動制御される構成となっている。そして、押え駆動ローラ24aは、図6に示すように、口金部13の押出開口部13aの近傍に配置され、口金部13から押し出されてくる生板14の上面に成形型板40を押し付けて、その生板14の上面に凹凸模様25を成形するように設けられている。このとき、成形型板40は、生板14の押出し速度と同じ速度で送り出されている。
【0065】
成形型板40は、図7(a)、(b)の部分拡大斜斜視図に示すように、第1実施形態の成形型ベルト15の外周面に形成されている凹凸模様型26と同等の凹凸模様型26がその一方の面に形成されている。なお、成形型板40は、押出成形セメント板16と略同一の寸法に形成され、その成形型板40の材質は、例えばウレタン系、シリコン系のゴム系の合成樹脂である。
【0066】
また、図7(b)に示すように(図7(b)は、図7(a)のB部分の拡大図)、成形型板40の表面には、第1実施形態の成形型ベルト15と同様に、断面形状が台形の多数の第1及び第2突条26a、26bが格子状に形成されており、これら多数の各第1突条26aの部分には、補強部材27が固着した状態で埋設されている。
【0067】
なお、図には示さないが、押出成形板の製造装置37には、生板14を所定の長さに切断するための切断機が設けられている。この切断機によると、成形型板40が押し付けられて載置された長尺の生板14を、図8及び図9に示すように、その成形型板40の長さに順次切断することができるものである。このようにして切断された生板14は、矩形の板状体であって、その上面に成形型板40が押し付けられて載置されている。これ以外は、図1に示す第1実施形態の成形装置11と同等であるので、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0068】
次に、図6〜図9を参照して、矯正装置39を説明する。この矯正装置39は、第1実施形態の矯正装置29と同様に、成形型板40の多数の第1突条26a及び第2突条26bによって、生板(押出成形セメント板16)14の上面に成形される格子状の目地模様(溝)等の凹凸模様25のピッチのばらつきや、目地模様の直線性が、予め定めた許容範囲内となるように矯正するためのものである。
【0069】
そして、図1に示す第1実施形態の矯正装置29と、図6〜図9に示す第2実施形態の矯正装置39とが相違するところは、図1に示す第1実施形態の矯正装置29が、成形装置24の押出し方向8の長さと略等しい長さに形成されているのに対して、図6〜図9に示す第2実施形態の矯正装置39は、この矯正装置39の入口部が口金部13の近傍に配置され、その箇所から搬送コンベア23の出口部から更に後段側に延びて形成され、図9に示すように、受取り板41上を通ってその受取り板41の後端縁近傍で終端している。これ以外は、図1に示す第1実施形態の矯正装置29と同等であるので、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0070】
次に、上記のように構成された押出成形板の製造装置37を使用して、押出成形セメント板16を製造する手順を説明する。まず、第1実施形態と同様に、図6に示す成形装置38、矯正装置39、及び搬送コンベア23を駆動させ、押出成形機12を作動させる。押出成形機12が作動すると、セメント等の水硬性材料を含む混練物20を口金部13から押し出して、断面矩形の長尺の生板14を順次成形することができる。そして、図6に示すように、所定のタイミングで自動的に、押え駆動ローラ24aと生板14との間に成形型板40を挿入することによって、その押し出されて成形されていく中空部14aを有する生板14の上面に、合成樹脂製の成形型板40の凹凸模様型26を押し付けながら、その成形型板40を生板14の押出し方向8に送り出すことができる。
【0071】
そして、上面に成形型板40が押し付けられて載置された長尺の生板14を、切断機が所定長さに順次切断して、所定長さの生板14を製造することができる。この所定長さに切断された生板14は、図8に示すように、搬送コンベア23によって後段に搬送される。更に、図9に示すように、この所定長さに切断された生板14は、搬送コンベア23から送り出されて、その後段に配置されている受取り板41の上方に送り出される。そして、生板14は、この受取り板41の上方に送り出されたときに、成形型板40から外されて受取り板41上に移し替えられる。この受取り板41上に載置された生板14は、養生工程、加工工程を経て押出成形セメント板16が製造される。そして、生板14が取り外された成形型板40は、図6に示すように、矯正装置39に搬送されて、上記と同様に矯正装置39から送り出される。この送り出された成形型板40は、次の生板14の上面に目地模様等の凹凸模様25を成形するのに使用される。
【0072】
この図8及び図9に示すように、所定の寸法に切断された生板14が搬送コンベア23によって搬送されるとき、及び受取り板41の上面に移し替えられるときは、生板14の上面に成形型板40が押し付けられて載置されている。そして、この成形型板40に埋設されている補強部材27の左右の各端部27aは、それぞれの間隔を維持した状態で第1及び第2矯正部31、31の各保持溝30によって保持されている。従って、生板14が口金部13から押し出されて受取り板41の上面に載置される手前までの間は、生板14の押出し方向8及びそれと直交する方向の膨張又は収縮する力によって、成形型板40、つまり第1及び第2突条26a、26bが変形することを防止することができる。
【0073】
そして、生板14が受取り板41上に載置された後において、成形型板40が生板14から外れるが、養生工程が終了するまでは、生板14が受取り板41上に載置された状態であって、生板14自体の受渡しが行われないので、生板14及びその上面に成形された凹凸模様25が変形する可能性は、極めて少なくなっている。
【0074】
これによって、例えば生板14の上面に目地模様の格子状の直線溝を精度よく成形することができ、その結果、そのように精度のよい目地模様を有する押出成形セメント板16を簡単で、しかも高速で製造することができる。
【0075】
従って、例えばこのようにして製造された多数の押出成形セメント板16である外壁材を、建物の下地材に上下左右方向に整列させて取り付けたときに、互いに隣接して取り付けられている外壁材の、上下左右に延びる直線溝(目地模様)を略ぴったりと一致させることができ、見栄えのよい外壁を施工することができる。
【0076】
ただし、図2及び図7に示す第1及び第2実施形態の各補強部材27、・・・において、第1突条26aに埋設されている部分に、凹部又は凸部で形成された位置ずれ防止部を設けた構成としてもよい。このように、補強部材27に位置ずれ防止部を設けた構成とすることによって、成形型ベルト15又は成形型板40が補強部材27に沿ってずれることを確実に防止することができる。
【0077】
そして、第1及び第2実施形態では、図3等に示すように、中玉21を設けて中空部14aを有する生板14を成形したが、中玉21を設けないこととすることによって、中空部14aが形成されていない生板14を成形することができる。
【0078】
また、第1実施形態では、図10に示すように、矯正装置39の矯正従動スプロケット31bを、押え従動ローラ24bの真下の位置よりも押出し方向8の後段側に位置をずらして配置したが、これに代えて、一点鎖線で示すように、矯正装置39の矯正従動スプロケット31bを、押え従動ローラ24bの真下の位置に配置してもよい。このようにすると、押え従動ローラ24bの係合溝28aから外れた補強部材27の端部27aを、直ちに矯正装置39の保持溝30で保持することができ、これによって、生板14に成形された凹凸模様25のゆがみが発生することを確実に防止することができる。
【0079】
更に、図11に示すように、第1及び第2実施形態のそれぞれの補強部材27、・・・の両端部27a、27aに、鍔状部(突起)42、42を設けるとよい。この鍔状部42、42は、補強部材27の両端部27a、27aが矯正チェーン33、33の保持溝30、30に係合したときに、矯正チェーン33、33の内側面に当接することによって、成形型ベルト15又は40が補強部材27の軸方向(左右の方向)にずれることを防止することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明に係る押出成形板の製造方法及び押出成形板の製造装置は、押出成形板の表面に対して目地模様等の凹凸模様を、見栄えよく、簡単で、しかも高速で成形することができる優れた効果を有し、このような押出成形板の製造方法及び押出成形板の製造装置に適用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の第1実施形態に係る押出成形板の製造装置を示す斜視図である。
【図2】同第1実施形態に係る同製造装置に設けられている成形装置を示す図であり、(a)は成形装置の斜視図、(b)は成形型ベルトの補強部材を示す部分拡大斜視図である。
【図3】同第1実施形態に係る同製造装置を示す部分拡大断面図である。
【図4】同第1実施形態に係る同製造装置によって製造される押出成形セメント板の平面図であり、(a)は第1押出成形セメント板の平面図、(b)は第2押出成形セメント板の平面図、(c)は第3押出成形セメント板の平面図である。
【図5】同第1実施形態に係る同製造装置によって製造される押出成形セメント板の成形精度を説明するための図であり、(a)は押出成形セメント板の模式平面図、(b)は押出成形セメント板の各部分の寸法ばらつきを示す図である。
【図6】同発明の第2実施形態に係る押出成形板の製造装置を示す斜視図である。
【図7】同第2実施形態に係る同製造装置に設けられている成形型板を示す図であり、(a)は成形型板の斜視図、(b)は成形型板の補強部材を示す部分拡大斜視図である。
【図8】同第2実施形態に係る同製造装置の矯正装置及び搬送コンベアによって生板が保持されて搬送されている状態を示す斜視図である。
【図9】同第2実施形態に係る同製造装置の矯正装置によって生板が受取り板の上方に搬送された状態を示す斜視図である。
【図10】同発明の他の実施形態に係る同製造装置を示す部分拡大断面図である。
【図11】同第1及び第2実施形態のそれぞれの補強部材にその軸方向のずれを防止するための鍔状部を設けた例を示す部分拡大斜視図である。
【図12】従来の押出成形板の製造装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0082】
8 押出し方向
11、37 押出成形板の製造装置
12 押出成形機
13 口金部
13a 押出開口部
13b 底壁部
14 生板
14a 中空部
15 成形型ベルト
16、17、18 押出成形セメント板
19 圧送部
20 混練物
21 中玉
22 中玉取付部
23 搬送コンベア
23a 搬送駆動ローラ
23b 搬送従動ローラ
23c 搬送ベルト
24、38 成形装置
24a 押え駆動ローラ
24b 押え従動ローラ
25 生板の凹凸模様
26 成形型ベルトの凹凸模様
26a 第1突条
26b 第2突条
27 補強部材
27a 補強部材の端部
28 円形側板
28a 係合溝
29、39 矯正装置
30 保持溝
31 第1矯正部、第2矯正部
31a 矯正駆動スプロケット
31b 矯正従動スプロケット
32 基台
33 矯正チェーン
34 リンク
35 ピン
40 成形型板
41 受取り板
42 鍔状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬性材料を含む混練物を口金部から押し出し、その押し出されて成形されていく生板の表面に合成樹脂製の成形型を押し付けながら前記生板の押出し方向に移動させることによって、表面に凹凸模様が成形された押出成形板を製造する押出成形板の製造方法において、
前記合成樹脂製の成形型には、前記生板の押出し方向と略直交する方向に延びる複数の補強部材が固定して埋設され、前記それぞれの補強部材の前記成形型から突出する端部を、それぞれの間隔を維持した状態で矯正部によって保持し、前記矯正部を前記生板の押し出される方向に移動させることを特徴とする押出成形板の製造方法。
【請求項2】
前記成形型は、エンドレス成形型ベルトであり、前記口金部から押し出されていく前記生板の表面に押し付けられた状態で、前記生板と同一の速度で同方向に走行することを特徴とする請求項1記載の押出成形板の製造方法。
【請求項3】
前記成形型は、板状の成形型板であり、前記口金部から押し出されていく前記生板の表面に押し付けられ、所定時間経過後に、前記成形型板を前記生板の表面から取り外すことを特徴とする請求項1記載の押出成形板の製造方法。
【請求項4】
水硬性材料を含む混練物を口金部から押し出し、その押し出されて成形されていく生板の表面に合成樹脂製の成形型を押し付けながら前記生板の押出し方向に移動させることによって、表面に凹凸模様が成形された押出成形板を製造する押出成形板の製造装置において、
前記合成樹脂製の成形型に固定して埋設され、前記生板の押出し方向と略直交する方向に延びるように配置されてそれぞれの端部が前記成形型から突出する複数の補強部材と、前記それぞれの補強部材の前記端部を、それぞれの間隔を維持した状態で保持しながら前記生板に伴って移動する矯正部とを備えることを特徴とする押出成形板の製造装置。
【請求項5】
前記成形型は、エンドレス成形型ベルトであり、前記口金部から押し出されていく前記生板の表面に押し付けられた状態で、前記生板と同一の速度で同方向に走行することを特徴とする請求項4記載の押出成形板の製造装置。
【請求項6】
前記成形型は、板状の成形型板であり、前記口金部から押し出されていく前記生板の表面に押し付けられ、所定時間経過後に、前記成形型板が前記生板の表面から取り外されることを特徴とする請求項4記載の押出成形板の製造装置。
【請求項7】
前記成形型には、前記押出成形板に溝を成形するための突条を有し、この突条は、前記口金部から押し出されていく前記生板の押出し方向と略直交し、又は略平行することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の押出成形板の製造装置。
【請求項8】
前記突条が前記生板の押出し方向と略直交し、この突条に、棒状に形成された前記補強部材が固定して埋設されていることを特徴とする請求項7記載の押出成形板の製造装置。
【請求項9】
前記補強部材には、前記成形型が前記生板の押出し方向と直交する方向に位置ずれすることを防止するための位置ずれ防止部が設けられていることを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の押出成形板の製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−260157(P2008−260157A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102979(P2007−102979)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000135335)株式会社ノザワ (52)
【Fターム(参考)】