押出成形用金型と押出成形方法
【課題】樹脂積層体を構成する樹脂間の界面形状を大きく歪めることなく、また端部の樹脂層の幅を連続的に変更可能であり、異物等の混入の問題が少ない、リサイクル性や利便性に富んだ樹脂膜の押出成形を実施するための金型及び押出成形方法を提供する。
【解決手段】樹脂導入部31,32を金型10の同一端部側に設け、各樹脂導入部から供給される樹脂がマニホールド部12内で前記端部側からリップ開口部14側まで連続して流れ、各樹脂が樹脂の流れ方向に直交する方向に、樹脂毎の領域が形成されることを特徴とする押出成形用金型により、樹脂積層体を構成する樹脂間の界面形状を大きく歪めることなく、また端部の樹脂層の幅を連続的に変更可能であり、異物等の混入の問題が少ない、リサイクル性や利便性に富んだ樹脂フィルム又は樹脂シートの押出成形を提供する。
【解決手段】樹脂導入部31,32を金型10の同一端部側に設け、各樹脂導入部から供給される樹脂がマニホールド部12内で前記端部側からリップ開口部14側まで連続して流れ、各樹脂が樹脂の流れ方向に直交する方向に、樹脂毎の領域が形成されることを特徴とする押出成形用金型により、樹脂積層体を構成する樹脂間の界面形状を大きく歪めることなく、また端部の樹脂層の幅を連続的に変更可能であり、異物等の混入の問題が少ない、リサイクル性や利便性に富んだ樹脂フィルム又は樹脂シートの押出成形を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂積層体の製造に関するものであり、さらに詳細には押出成形で使用する金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に押出成形でフィルムまたはシートを成形する場合、ネックイン現象が発生するという問題がある。
ここで、ネックイン現象とは溶融状態で押出された樹脂が、自重若しくは引き取り等によって流れ方向に引き伸ばされた際に生じる幅方向の収縮により、生成されたフィルム又はシートの幅が金型出口の幅より狭くなる現象である。
【0003】
ネックイン現象が生じると、生成された樹脂積層体の端部側に皺が発生したり、端部側の厚さが不均一となるので、成形されたフィルムやシートの両端側は不良領域として切除する場合がある。
【0004】
また、押出成形でフィルムまたはシートを成形する場合において、熱劣化しやすい等の熱に対して不安定な樹脂を用いた際、金型端部より押し出される樹脂は金型内での滞留時間が長く、両端部の樹脂組成が変化してしまうという問題がある。
このような問題や延伸等、後工程の都合上、成形された樹脂フィルムの両端側が切り落とされることがある。
【0005】
そこで、樹脂フィルムの両端側に再生樹脂等の安価な樹脂を配し、切除する領域を安価な樹脂やリサイクルしやすい樹脂で成形することにより、切除した際の経済的負担を軽減する方法が考えられる。
また、熱劣化しやすい樹脂を用いて、フィルムまたはシートを成形する際に、樹脂フィルムを幅方向に多層化させ、樹脂フィルムの端部側に熱劣化しにくい樹脂を配することで、フィルムまたはシートの成形を安定させる方法が考えられる。
【0006】
このような、樹脂フィルムを幅方向に多層化させる技術として、特許文献1乃至特許文献2に開示されている発明がある。
【0007】
ここで、特許文献1に開示されている発明は、金型の上部に樹脂を合流させるフィードブロックを設け、使用する樹脂に応じて使用するフィードブロックを変更することにより、中央部の樹脂と端部の樹脂の界面を安定させる装置又は方法である。
さらにまた、特許文献2に開示されている発明は、金型内部に流路の幅を調節するための部位を設けて、流路の幅を決定して樹脂を流すことにより、端部の樹脂を確実に目的とする幅で積層させる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−181753号公報
【特許文献2】特開平7−76038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示されている発明のように、樹脂の種類等の生産条件に合わせてフィードブロック(流路)を変更すると、端部の樹脂と他の樹脂との境界線の形状を安定させることができるが、流路変更毎に清掃や異物対策を行う必要があり、利便性に欠けるという問題がある。
【0010】
そして、特許文献2に開示されている発明のように、金型内部に流路の幅を調節するための部位を設けて摺動させると、生産中に端部の幅を変更する際に樹脂が焼け焦げて生成物内に異物が混入する等の問題が発生する場合がある。
また、後述する比較例1に示すように、端部の幅が広くなると厚さの制御が難しくなるという問題がある。
加えて、金型の構造が複雑になりコストがかかるという問題も考えられる。
【0011】
そこで本発明は、樹脂積層体を構成する樹脂間の界面形状を大きく歪めることなく、また端部の樹脂層の幅を連続的に変更可能であり、異物等の混入の問題が少ない、リサイクル性や利便性に富んだ樹脂膜の押出成形技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための、請求項1に記載の発明は、溶融状の樹脂をシート状或いはフィルム状に押し出す開口部を備えた押出成形用金型であって、金型内に溶融状の樹脂を導入する樹脂導入部と、溶融状の樹脂の流れを拡幅するマニホールド部とを有し、前記樹脂導入部がマニホールド部に連通する押出成形用金型において、2つ以上の樹脂導入部を有し、樹脂導入部の少なくとも一つは、主たる樹脂をマニホールド部の中央側に供給する主樹脂導入部であり、前記樹脂導入部の少なくとも一つは、補助的樹脂をマニホールド部の幅方向の辺部側に供給する補助樹脂導入部であることを特徴とする押出成形用金型である。
【0013】
本発明の押出成形用金型では、樹脂の流れの上流側2ヵ所以上の樹脂導入部が設けられているため、金型内にそれぞれの導入部から別個の樹脂を導入可能である。したがって、導入される樹脂の導入速度や導入量を樹脂毎に調整することが容易である。さらに、主たる樹脂をマニホールド部の中央側に供給する主樹脂導入部と、補助的樹脂をマニホールド部の辺部側に供給する補助樹脂導入部が配されている。そのため、導入されたそれぞれの樹脂をマニホールド部で合流させることが容易であり、また、合流した樹脂が流れる際に、金型の幅方向に各樹脂による領域(層)を形成させることが可能である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、樹脂の金型外への押出方向に直交し、且つ前記補助樹脂導入部の接続位置から主樹脂導入部側へ向かう半直線である仮想線を想定し、前記仮想線と補助樹脂導入部の接続方向の成す角が0度を超えて120度以下となるように、補助樹脂導入部がマニホールド部に接続されることを特徴とする請求項1に記載の押出成形用金型である。
【0015】
本発明の押出成形用金型では、樹脂が合流するときの合流角度が0度より大きく120度以下になる。そのため、樹脂間の合流がスムーズに行われ、樹脂の流れを安定させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、3つ以上の樹脂導入部を有し、前記樹脂導入部の内の2つが、補助的樹脂をマニホールド部の両辺部側にそれぞれ供給する補助樹脂導入部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の押出成形用金型である。
【0017】
本発明の押出成形用金型では、樹脂積層体の両端を安価な樹脂やリサイクルしやすい樹脂で形成することができるので、樹脂積層体の生成時に両端を切除する場合の生成コストをより低減することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の押出成形用金型に、主たる樹脂と補助的樹脂を導入して行う押出成形方法であって、マニホールド部内に導入された主たる樹脂と補助的樹脂との補助樹脂導入部の近傍部分における界面の接線と、樹脂の金型外への押出方向に直交し、且つ前記補助樹脂導入部の接続位置から辺部側へ向かう半直線である仮想線との成す角が0度を超えて90度以下となるように、主たる樹脂と補助的樹脂の導入量を調節して行うことを特徴とする押出成形方法である。
【0019】
本発明の押出成形方法では、樹脂の流れの上流側2ヵ所以上の樹脂導入部から金型内に導入した夫々の樹脂が、金型の幅方向(樹脂の金型外への押出方向と直交する方向)に樹脂が流動するマニホールド部で合流する。そして、合流した樹脂は、リップ開口部に向かって一方の樹脂(例えば中央部を形成する樹脂)が流れ、その流れに沿って、もう一方の樹脂(例えば端部を形成する樹脂)が流れる。そのことにより、金型内にそれぞれの樹脂が流れる領域が形成され、押出される樹脂積層体には金型の幅方向に各樹脂による領域(層)が形成される。
このことにより、樹脂積層体を構成する各樹脂(例えば、中央部を形成する樹脂と端部を形成する樹脂の間)の流量の比により、合流した樹脂間の境界線の位置が決定するので、端部の樹脂層の幅を変更するために、流路の位置や角度等を変更する必要がない。また、各樹脂の導入量の割合を変更することで、端部の樹脂層の幅を連続して変更可能なため、利便性が高い。また、金型内の樹脂の流路の形状が複雑でないことにより、合流界面が大きく歪まない。さらに、摺動する部位などの機構を伴わないので、樹脂の焼け焦げ等による異物混入の問題も少なくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、樹脂積層体を構成する樹脂間の界面形状を大きく歪めることなく、また端部の樹脂層の幅を連続的に変更可能であり、異物等の混入の問題が少ない、リサイクル性や利便性に富んだ樹脂フィルム又は樹脂シートの押出成形を実施するための金型及び押出成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施形態における金型の斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における金型の内部空間を示す斜視図である。
【図3】図2の金型の内部空間に樹脂を流した状態を示す正面図である。
【図4】図3の金型の合流部の拡大図である。
【図5】金型から押出された樹脂が成形される際の説明図である。
【図6】本発明の第二の実施形態における金型の内部空間を示す斜視図である。
【図7】図6の金型の内部空間に樹脂を流した状態を示す正面図である。
【図8】本発明の第三の実施形態における金型の内部空間を示す斜視図である。
【図9】図8の金型の内部空間に樹脂を流した状態を示す正面図である。
【図10】図2の金型の主樹脂導入部の位置を変更した状態の内部空間を示す斜視図である。
【図11】補助樹脂導入部を樹脂の流れの上流側に設けない場合の金型の内部空間を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の具体的な実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態における金型10(押出成形用金型)は、図1,図2に図示されるように内部空間11を有している。そして、この内部空間11に樹脂が通過して成形が行われるものである。具体的に説明すると、金型10に導入した樹脂(主たる樹脂40、補助的樹脂41)は内部空間11に設けられたマニホールド部12で幅方向に広がり、ランド部13を通過した後、リップ開口部14から積層シート91として押し出される。
【0023】
金型10は図1、図2に示される様に、内部空間11、マニホールド部12、ランド部13、リップ開口部14、樹脂導入部31(主樹脂導入部)、樹脂導入部32(補助樹脂導入部)が設けられている。具体的に説明すると、内部空間11の上流側(樹脂の流れ方向Sの図2における上側)に樹脂導入部31,32が配されており、樹脂導入部31,32と向かい合うようにランド部13へ樹脂を押し出し可能な開口(符番せず)が設けられている。また、内部空間11から樹脂導入部31,32を除いた形状は左右対称の略直方体状であり、略直方体状の部分から突出するように上流側に突出するように樹脂導入部31,32が設けられている。
なお、本実施形態の金型10は、通常の物と同様に、少なくとも2個の金型片から構成されているが、図1では各金型片の境界を示す線は省略している。また、金型10の外形は一般的な押出成形用金型と同一である。
【0024】
マニホールド部12は後述する導入口31a,32aから入った樹脂を幅方向(図2においてWで示す方向)に行き渡らせるように展開する空間である。具体的に説明すると、図2に示すように、正面12a、側面12b,12c、上面12d、下面12e、裏面12fにより囲まれた空間である。
ここで上面12dは、少なくとも樹脂導入部32が設けられている上流側を形成する面であり、下面12eはランド部13に樹脂を送り出すための開口が設けられている下流側を形成する面である。さらに、正面12aは、図2における手前側の面であり、幅方向W方向に伸びる面である。裏面12fは正面12aと同一の形状であり、正面12aと対向する位置に設けられた面である。そして、側面12b,12cは幅方向の端部側に配された、上面12dと下面12eとを繋ぐ位置に配されている面である。
そして、マニホールド部12の下面12e近傍は、ランド部13の導入口(符番せず)に合わせて絞ってあるため、他の部分に比べ薄くなっている。(図2における厚さ方向Tにおける正面から背面の距離がランド部13に近づくにつれ短くなる。)
また、マニホールド部12は導入部33と合流部34を有している。ここで、導入部33は樹脂導入部31がマニホールド部12へと繋がっている部分であり、合流部34は樹脂導入部31から導入された樹脂と樹脂導入部32から導入された樹脂が合流する部分である。
【0025】
ランド部13は、断面が長方形状の流路であり、マニホールド部12で幅方向に展開された樹脂をリップ開口部14まで誘導させるものである。
【0026】
リップ開口部14は成形された樹脂を吐出する開口部分であり、成形物を賦形するものである。
【0027】
樹脂導入部31(主樹脂導入部)と樹脂導入部32(補助樹脂導入部)は四角柱状の空間(通路)であり、それぞれ一方の端部には導入口31a,32aが配されており、他方の端部はマニホールド部12に接続している。樹脂導入部31が接続している位置は、マニホールド部12の幅方向Wにおける中央付近である。
導入口31a,32aは、それぞれ個別に押出機やフィードブロックのような樹脂を積層させる目的で設置されている装置と接続され、導入口31aからは樹脂積層体を構成する主たる樹脂40を導入可能であり、導入口32aからは補助的樹脂41を導入可能である。
なお、導入口31aは導入口32aと比べて径(面積)が大きくなっており、樹脂導入部31は樹脂導入部32に比べて、樹脂を多量に導入可能である。
【0028】
次に本発明の第1の実施形態における金型10を用いて、シート及びフィルム等を製造する方法について説明する。
まず、押出機(図示せず)や、押出機に接続されたノズルやフィードブロック等の部材(図示せず)から、溶融樹脂である主たる樹脂40と補助的樹脂41をそれぞれ、導入口31aと導入口32aに導入する。
【0029】
ここで、本実施形態において使用される主たる樹脂40と補助的樹脂41は熱可塑性樹脂であり、具体的には、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン塩化ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンエチルアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、マレイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリレート、セルロースエステル、ポリノルボルネン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、上記熱可塑性樹脂には可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤が添加されていてもよく、上記以外の樹脂を用いてもよい。
【0030】
導入口31aと導入口32aから導入した各樹脂は、それぞれ樹脂導入部31、32を流れる。そして、樹脂導入部31を通過した樹脂はマニホールド部12を流れ、幅方向(図3における左右の方向)に広がり、樹脂導入部32を通過した樹脂と合流部34で衝突して夫々の樹脂が合流する。
【0031】
ここで合流部34は、マニホールド部12の上面12d近傍(図3における上側)にあることが望ましい。もし、図11のように、上面12dから主たる樹脂40を、裏面12f側から補助的樹脂41をそれぞれマニホールド部12に導入すると、主たる樹脂40が補助的樹脂41に覆い被さったり、主たる樹脂40が補助的樹脂41の流れを阻害したりする可能性がある。それにより、合流界面35が大きく歪んだり、補助的樹脂41が樹脂積層体(積層シート91)の端部に流れないおそれがあるためである。
【0032】
合流部34は前述のように、マニホールド部12のランド部13と接続している側とは反対側にあることが望ましいが、幅方向Wの位置に関しては特に制限はない。ただし、補助的樹脂41を主たる樹脂40のマニホールド部12内での流れに沿うように合流させる必要がある。
したがって、図4に示されるように、合流界面35の接線Eと仮想線Dが成す角C(以下合流の角度)は、90度以下が望ましく、更には、60度以下であることがより望ましい。
なぜなら、合流の角度が大きすぎると補助的樹脂41の流れが主たる樹脂40の流れに加える力が必要以上に大きくなり、合流界面35が乱れる原因になる。
加えて、図5に示されるように、マニホールド部12の端部から合流部34までの距離W1は、樹脂積層体(積層シート91)の端部の幅W2よりも大きくすることが望ましい。なぜなら、W1がW2より小さいと補助的樹脂41の流れが主たる樹脂40の流れを押し戻すように流す必要があるため、各樹脂の導入量や粘度の調整が難しいためである。
【0033】
合流部34でぶつかって合流した夫々の樹脂は、主たる樹脂40が形成する領域の境界線に沿うように補助的樹脂41により形成される領域が形成され、各樹脂は共にランド部13に向かって流れる。つまり、補助的樹脂41による流れは、主たる樹脂40による流れに押されて、マニホールド部12の辺部側を流れる。(補助的樹脂41はマニホールド部12の端部側に押し流される。)なお、本実施形態においてマニホールド部12の辺部側とは、マニホールド部12の上面12d及び側面12bの付近の空間のことを指す。
具体的に説明すると、マニホールド部12に導入された主たる樹脂40は、幅方向W(図2)の方向に広がっていき、導入口32aから導入された補助的樹脂41に衝突する。
ここで、主たる樹脂40と補助的樹脂41はそれぞれ押出機(図示せず)から押し出されているため、それぞれ下流に向かう方向(図2における樹脂の流れ方向Sの下側向き)と幅方向Wに広がる方向、マニホールド部12の厚さ方向(図2における厚さ方向T)に広がる方向に流れようとする。すなわち、マニホールド部12内を充填しようとする。そのため、主たる樹脂40による流れと補助的樹脂41による流れは互いに押し合う。しかし、補助的樹脂41に比べて主たる樹脂40の導入量が多いため、補助的樹脂41による流れが、主たる樹脂40による流れに辺部側まで押されることにより、補助的樹脂41はマニホールド部12の辺部側を流れる。そして、主たる樹脂40による流れと補助的樹脂41による流れは互いに幅方向Wに押し合いながら、下流に向かう方向に流れてランド部13に押し出される。
【0034】
ランド部13に押し出された各樹脂は、ランド部13を通過し、リップ開口部14から積層シート91として吐出される。
このとき、マニホールド部12からランド部13へと流れる内に、互いに幅方向Wに押し合う力が徐々に均衡し、安定することで、樹脂の領域の界面は安定する。
【0035】
そして、図5に示されるように、吐出された積層シート91は従来周知のカッター92で端部を切除され、巻き取り機93により冷却されつつ巻き取られる。即ち、吐出された積層シート91を冷却し、必要に応じて延伸したり、巻き取りを行うなどして、フィルム状やシート状にすることにより製造が完了するものである。
なお、ここで冷却や巻き取りの手段は任意の手段で実行することができる。例えば、積層シート91をロール延伸しながらチルロールで冷却しても良いし、エアーナイフやタッチロール、静電ピニングを用いて樹脂積層体をチルロールに押し付けても良い。また水槽に漬けて冷却しても良い。
【0036】
上記したように本実施形態の金型10を使用すると、合流部34で合流がスムーズに行われ、合流後の補助的樹脂41はマニホールド部12の端部へ流れ、樹脂積層体の端部を形成することができる。また、予め樹脂積層体の最大幅よりも合流部34を幅方向Wの内側に設けていれば、生産中でも補助的樹脂41と主たる樹脂40の流量比を変化させるだけで樹脂積層体の端部の幅を変化させることができる。また、補助的樹脂41が合流してからは複雑な流れにはならないので、合流界面35が大きく歪むことはない。さらに金型10は特許文献2に開示されている金型のような摺動部や、複雑な機構を有しないので、摺動部の動作による樹脂の焼け焦げ等のトラブルも少ない。
【0037】
また、本実施形態の金型10のように、主樹脂導入部と補助樹脂導入部が同一の端部側に開いていると、各樹脂導入部から開口部までの距離を長く確保することができる。そのことにより、開口部に向かって樹脂が流れていくと、合流部において不安定な界面が、樹脂の流れ方向に対して平行且つ直線状になり、界面はより確実に直線の状態で安定する。
具体的に説明すると、合流部では、主たる樹脂と補助的樹脂がぶつかり、各樹脂の流れが他方の樹脂の流れに相互に干渉することにより合流界面が不安定になってしまう。しかし、各樹脂が開口部に向かって流れていくとともに、樹脂の流れが他方の樹脂の流れに及ぼす力が均衡していくので、合流界面は、直線状且つ樹脂の流れ方向に対して平行な状態となり易い。したがって、生成した樹脂フィルム、または樹脂シートの切り取り幅を一定にし易くなる。
【0038】
そして、第1の実施形態における金型10に対して、樹脂導入部32等の樹脂導入部のみを変えた実施形態として、以下の様なものがあり、これらを用いて積層シート91を成形することができる。
なお、これらの実施形態も第1の実施形態と同様に補助的樹脂41を主たる樹脂40の幅方向の端部側に積層させるものである。
なお、以下の説明において、特に説明がない限り、第1の実施形態における金型10と同様の構造については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0039】
本発明の第2の実施形態における金型20(押出成形用金型)は、図6、図7に示されているように、樹脂導入部32がマニホールド部12付近で折曲されており、合流の角度(補助的樹脂41を導入させる角度)を調整している。
そして、マニホールド部12と樹脂導入部32が合流する角度Aが0度超120度以下の範囲にあるものである。
これにより、合流部34でよりスムーズな主たる樹脂40と補助的樹脂41の合流が行われ、合流界面35はさらに歪みにくくなり、安定的に生産が可能となる。
なお、ここで、樹脂導入部32はAが10度以上90度以下となるように折曲されることが望ましく、更には、30度以上60度以下になるように折曲されることがより望ましい。なぜなら、角度Aが小さすぎると樹脂導入部32内で樹脂が詰まったり、マニホールド部12aの端部の角(側面12bと上面12dがなす上側端部の角)近傍にたまった樹脂が流れにくいといった不具合が起こり易くなる。一方、角度Aが大きすぎると補助的樹脂41の流れが主たる樹脂40の流れを必要以上に押圧し、合流界面35が安定しないためである。
【0040】
本発明の第3の実施形態における金型21(押出成形用金型)は、図8、図9に示されているように、3つの樹脂導入部31,32,36を有しており、樹脂導入部32,36はマニホールド12付近でマニホールド部12の辺部側へ折曲されている。
そして、主たる樹脂40と補助的樹脂41の合流部34で合流し、樹脂導入部36(補助樹脂導入部)に導入した補助的樹脂42が主たる樹脂40と合流部37にて合流する。また、合流部34及び合流部37を形成するための樹脂導入部32とマニホールド部12の合流の角度A、樹脂導入部36とマニホールド部12の合流の角度Bは、いずれも0度超120度以下の範囲にある。
これにより、主たる樹脂40の両端に補助的樹脂41、42を積層させることができる。したがって、金型で成形したフィルムまたはシートの両端部を切り落とさなければならない成形の場合においても、本発明の第3の実施形態の金型21を使用することにより、さらにリサイクル性をあげることができる。
【0041】
次に本発明の効果を確認するために行った実験について説明する。
なお、実施例及び比較例では、金型内部で幅方向に多層成形したものであり、金型から出てきた樹脂はチルロールにて引取った。そして、この成形品の厚み分布、合流界面形状を評価した。
【0042】
上記した実施形態において、金型10,20,21の内部空間の形状(マニホールド部12、ランド部13、リップ開口部14の形状)は一般的に使用される形状を用いたが、金型の内部空間の形状はこれに限るものではない。所謂コートハンガーダイの様な形状でもよいし、ストレートマニホールドダイのような形状でもよい。要は、マニホールド部12で積層させる樹脂が合流可能であり、樹脂の流れによって積層され、積層された状態でリップ開口部14まで樹脂が流れればよい。
【0043】
上記した実施形態において、樹脂導入部31(主樹脂導入部)はマニホールド部12の上面12dに設けたが、樹脂導入部31を設ける位置はこれに限るものではなく、正面12aや裏面12fの図2における上側に設けてもよい。
具体的に説明すると、例えば、図10に示すように、樹脂導入部31を裏面12f側に設けてもよい。
要は、マニホールド部12内で、主たる樹脂40と補助的樹脂41がぶつかって合流した際に、主たる樹脂40が形成する領域の境界線に沿うように補助的樹脂41により形成される領域が形成された上で、各樹脂が共にランド部13に向かって流れればよい。
【0044】
上記した実施形態において、樹脂導入部31,32,33はいずれも、マニホールド部12から突出するように設けられ、それぞれ導入口を有しているが、樹脂導入部の形状はこれに限るものではない。例えば、マニホールド部に直接開口を設けて、そこから樹脂をマニホールド部に導入させてもよい。即ち、使用する金型のマニホールド部12で導入した樹脂が合流可能であり、一方の樹脂の流れに沿って他方の樹脂が流れればよい。
【0045】
(実施例1)
図4,図5に示す金型20を用いて実施例1の幅方向2層フィルムを成形した。金型幅は1700mm、合流部34の位置はマニホールド部の端部から250mmの位置とした。
また、供給される樹脂の量である押出量は、総押出量を変化させずに1時間当たり80kgと一定にし、主たる樹脂40と補助的樹脂41の比率を変化させていき、補助的樹脂41の幅が、40mm、80mm、120mmになるように変化させた。
主たる樹脂40と補助的樹脂41としては共にポリビニルブチラール(PVB)を採用し、ゼロせん断粘度は、共に2000Pa・sのものを使用した。
なお、せん断粘度の測定はレオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製メカニカルスペクトロメータ(RMS800)で行い、せん断速度0.05/sのせん断粘度をゼロせん断粘度とした。
【0046】
(比較例1)
特許文献2に記載の従来の金型内での合流方式を使用したこと以外は実施例1と同じ条件にてテストを行った。
金型も同様の1700mmのものであり、マニホールド部の形状、ランド部の形状も同じ形状のものを使用した。
【0047】
上記、実施例1と比較例1で成形した、2層フィルムの端部の幅の違いによる幅方向積層時の厚みのバラつきの有無と合流界面形状の良し悪しを表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示すように、実施例1の2層フィルムには厚みのバラつき、合流界面形状の乱れはなかったが、比較例1の2層フィルムには端部樹脂幅が120cmのときに厚みにバラつきが発生した。
【0050】
以上のことから、本実施形態の金型20を用いることで、生成する幅方向積層シート(2層フィルム)の端部の厚みが均一なシートあるいはフィルムを生成できることが示された。
【符号の説明】
【0051】
10,20,21 金型(押出成形用金型)
11 内部空間
12 マニホールド部
13 ランド部
14 リップ開口部
31 樹脂導入部(主樹脂導入部)
31a 導入口
32,36 樹脂導入部(補助樹脂導入部)
32a,36a 導入口
35 合流界面
40 主たる樹脂
41,42 補助的樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂積層体の製造に関するものであり、さらに詳細には押出成形で使用する金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に押出成形でフィルムまたはシートを成形する場合、ネックイン現象が発生するという問題がある。
ここで、ネックイン現象とは溶融状態で押出された樹脂が、自重若しくは引き取り等によって流れ方向に引き伸ばされた際に生じる幅方向の収縮により、生成されたフィルム又はシートの幅が金型出口の幅より狭くなる現象である。
【0003】
ネックイン現象が生じると、生成された樹脂積層体の端部側に皺が発生したり、端部側の厚さが不均一となるので、成形されたフィルムやシートの両端側は不良領域として切除する場合がある。
【0004】
また、押出成形でフィルムまたはシートを成形する場合において、熱劣化しやすい等の熱に対して不安定な樹脂を用いた際、金型端部より押し出される樹脂は金型内での滞留時間が長く、両端部の樹脂組成が変化してしまうという問題がある。
このような問題や延伸等、後工程の都合上、成形された樹脂フィルムの両端側が切り落とされることがある。
【0005】
そこで、樹脂フィルムの両端側に再生樹脂等の安価な樹脂を配し、切除する領域を安価な樹脂やリサイクルしやすい樹脂で成形することにより、切除した際の経済的負担を軽減する方法が考えられる。
また、熱劣化しやすい樹脂を用いて、フィルムまたはシートを成形する際に、樹脂フィルムを幅方向に多層化させ、樹脂フィルムの端部側に熱劣化しにくい樹脂を配することで、フィルムまたはシートの成形を安定させる方法が考えられる。
【0006】
このような、樹脂フィルムを幅方向に多層化させる技術として、特許文献1乃至特許文献2に開示されている発明がある。
【0007】
ここで、特許文献1に開示されている発明は、金型の上部に樹脂を合流させるフィードブロックを設け、使用する樹脂に応じて使用するフィードブロックを変更することにより、中央部の樹脂と端部の樹脂の界面を安定させる装置又は方法である。
さらにまた、特許文献2に開示されている発明は、金型内部に流路の幅を調節するための部位を設けて、流路の幅を決定して樹脂を流すことにより、端部の樹脂を確実に目的とする幅で積層させる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−181753号公報
【特許文献2】特開平7−76038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示されている発明のように、樹脂の種類等の生産条件に合わせてフィードブロック(流路)を変更すると、端部の樹脂と他の樹脂との境界線の形状を安定させることができるが、流路変更毎に清掃や異物対策を行う必要があり、利便性に欠けるという問題がある。
【0010】
そして、特許文献2に開示されている発明のように、金型内部に流路の幅を調節するための部位を設けて摺動させると、生産中に端部の幅を変更する際に樹脂が焼け焦げて生成物内に異物が混入する等の問題が発生する場合がある。
また、後述する比較例1に示すように、端部の幅が広くなると厚さの制御が難しくなるという問題がある。
加えて、金型の構造が複雑になりコストがかかるという問題も考えられる。
【0011】
そこで本発明は、樹脂積層体を構成する樹脂間の界面形状を大きく歪めることなく、また端部の樹脂層の幅を連続的に変更可能であり、異物等の混入の問題が少ない、リサイクル性や利便性に富んだ樹脂膜の押出成形技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための、請求項1に記載の発明は、溶融状の樹脂をシート状或いはフィルム状に押し出す開口部を備えた押出成形用金型であって、金型内に溶融状の樹脂を導入する樹脂導入部と、溶融状の樹脂の流れを拡幅するマニホールド部とを有し、前記樹脂導入部がマニホールド部に連通する押出成形用金型において、2つ以上の樹脂導入部を有し、樹脂導入部の少なくとも一つは、主たる樹脂をマニホールド部の中央側に供給する主樹脂導入部であり、前記樹脂導入部の少なくとも一つは、補助的樹脂をマニホールド部の幅方向の辺部側に供給する補助樹脂導入部であることを特徴とする押出成形用金型である。
【0013】
本発明の押出成形用金型では、樹脂の流れの上流側2ヵ所以上の樹脂導入部が設けられているため、金型内にそれぞれの導入部から別個の樹脂を導入可能である。したがって、導入される樹脂の導入速度や導入量を樹脂毎に調整することが容易である。さらに、主たる樹脂をマニホールド部の中央側に供給する主樹脂導入部と、補助的樹脂をマニホールド部の辺部側に供給する補助樹脂導入部が配されている。そのため、導入されたそれぞれの樹脂をマニホールド部で合流させることが容易であり、また、合流した樹脂が流れる際に、金型の幅方向に各樹脂による領域(層)を形成させることが可能である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、樹脂の金型外への押出方向に直交し、且つ前記補助樹脂導入部の接続位置から主樹脂導入部側へ向かう半直線である仮想線を想定し、前記仮想線と補助樹脂導入部の接続方向の成す角が0度を超えて120度以下となるように、補助樹脂導入部がマニホールド部に接続されることを特徴とする請求項1に記載の押出成形用金型である。
【0015】
本発明の押出成形用金型では、樹脂が合流するときの合流角度が0度より大きく120度以下になる。そのため、樹脂間の合流がスムーズに行われ、樹脂の流れを安定させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、3つ以上の樹脂導入部を有し、前記樹脂導入部の内の2つが、補助的樹脂をマニホールド部の両辺部側にそれぞれ供給する補助樹脂導入部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の押出成形用金型である。
【0017】
本発明の押出成形用金型では、樹脂積層体の両端を安価な樹脂やリサイクルしやすい樹脂で形成することができるので、樹脂積層体の生成時に両端を切除する場合の生成コストをより低減することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の押出成形用金型に、主たる樹脂と補助的樹脂を導入して行う押出成形方法であって、マニホールド部内に導入された主たる樹脂と補助的樹脂との補助樹脂導入部の近傍部分における界面の接線と、樹脂の金型外への押出方向に直交し、且つ前記補助樹脂導入部の接続位置から辺部側へ向かう半直線である仮想線との成す角が0度を超えて90度以下となるように、主たる樹脂と補助的樹脂の導入量を調節して行うことを特徴とする押出成形方法である。
【0019】
本発明の押出成形方法では、樹脂の流れの上流側2ヵ所以上の樹脂導入部から金型内に導入した夫々の樹脂が、金型の幅方向(樹脂の金型外への押出方向と直交する方向)に樹脂が流動するマニホールド部で合流する。そして、合流した樹脂は、リップ開口部に向かって一方の樹脂(例えば中央部を形成する樹脂)が流れ、その流れに沿って、もう一方の樹脂(例えば端部を形成する樹脂)が流れる。そのことにより、金型内にそれぞれの樹脂が流れる領域が形成され、押出される樹脂積層体には金型の幅方向に各樹脂による領域(層)が形成される。
このことにより、樹脂積層体を構成する各樹脂(例えば、中央部を形成する樹脂と端部を形成する樹脂の間)の流量の比により、合流した樹脂間の境界線の位置が決定するので、端部の樹脂層の幅を変更するために、流路の位置や角度等を変更する必要がない。また、各樹脂の導入量の割合を変更することで、端部の樹脂層の幅を連続して変更可能なため、利便性が高い。また、金型内の樹脂の流路の形状が複雑でないことにより、合流界面が大きく歪まない。さらに、摺動する部位などの機構を伴わないので、樹脂の焼け焦げ等による異物混入の問題も少なくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、樹脂積層体を構成する樹脂間の界面形状を大きく歪めることなく、また端部の樹脂層の幅を連続的に変更可能であり、異物等の混入の問題が少ない、リサイクル性や利便性に富んだ樹脂フィルム又は樹脂シートの押出成形を実施するための金型及び押出成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施形態における金型の斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における金型の内部空間を示す斜視図である。
【図3】図2の金型の内部空間に樹脂を流した状態を示す正面図である。
【図4】図3の金型の合流部の拡大図である。
【図5】金型から押出された樹脂が成形される際の説明図である。
【図6】本発明の第二の実施形態における金型の内部空間を示す斜視図である。
【図7】図6の金型の内部空間に樹脂を流した状態を示す正面図である。
【図8】本発明の第三の実施形態における金型の内部空間を示す斜視図である。
【図9】図8の金型の内部空間に樹脂を流した状態を示す正面図である。
【図10】図2の金型の主樹脂導入部の位置を変更した状態の内部空間を示す斜視図である。
【図11】補助樹脂導入部を樹脂の流れの上流側に設けない場合の金型の内部空間を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の具体的な実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態における金型10(押出成形用金型)は、図1,図2に図示されるように内部空間11を有している。そして、この内部空間11に樹脂が通過して成形が行われるものである。具体的に説明すると、金型10に導入した樹脂(主たる樹脂40、補助的樹脂41)は内部空間11に設けられたマニホールド部12で幅方向に広がり、ランド部13を通過した後、リップ開口部14から積層シート91として押し出される。
【0023】
金型10は図1、図2に示される様に、内部空間11、マニホールド部12、ランド部13、リップ開口部14、樹脂導入部31(主樹脂導入部)、樹脂導入部32(補助樹脂導入部)が設けられている。具体的に説明すると、内部空間11の上流側(樹脂の流れ方向Sの図2における上側)に樹脂導入部31,32が配されており、樹脂導入部31,32と向かい合うようにランド部13へ樹脂を押し出し可能な開口(符番せず)が設けられている。また、内部空間11から樹脂導入部31,32を除いた形状は左右対称の略直方体状であり、略直方体状の部分から突出するように上流側に突出するように樹脂導入部31,32が設けられている。
なお、本実施形態の金型10は、通常の物と同様に、少なくとも2個の金型片から構成されているが、図1では各金型片の境界を示す線は省略している。また、金型10の外形は一般的な押出成形用金型と同一である。
【0024】
マニホールド部12は後述する導入口31a,32aから入った樹脂を幅方向(図2においてWで示す方向)に行き渡らせるように展開する空間である。具体的に説明すると、図2に示すように、正面12a、側面12b,12c、上面12d、下面12e、裏面12fにより囲まれた空間である。
ここで上面12dは、少なくとも樹脂導入部32が設けられている上流側を形成する面であり、下面12eはランド部13に樹脂を送り出すための開口が設けられている下流側を形成する面である。さらに、正面12aは、図2における手前側の面であり、幅方向W方向に伸びる面である。裏面12fは正面12aと同一の形状であり、正面12aと対向する位置に設けられた面である。そして、側面12b,12cは幅方向の端部側に配された、上面12dと下面12eとを繋ぐ位置に配されている面である。
そして、マニホールド部12の下面12e近傍は、ランド部13の導入口(符番せず)に合わせて絞ってあるため、他の部分に比べ薄くなっている。(図2における厚さ方向Tにおける正面から背面の距離がランド部13に近づくにつれ短くなる。)
また、マニホールド部12は導入部33と合流部34を有している。ここで、導入部33は樹脂導入部31がマニホールド部12へと繋がっている部分であり、合流部34は樹脂導入部31から導入された樹脂と樹脂導入部32から導入された樹脂が合流する部分である。
【0025】
ランド部13は、断面が長方形状の流路であり、マニホールド部12で幅方向に展開された樹脂をリップ開口部14まで誘導させるものである。
【0026】
リップ開口部14は成形された樹脂を吐出する開口部分であり、成形物を賦形するものである。
【0027】
樹脂導入部31(主樹脂導入部)と樹脂導入部32(補助樹脂導入部)は四角柱状の空間(通路)であり、それぞれ一方の端部には導入口31a,32aが配されており、他方の端部はマニホールド部12に接続している。樹脂導入部31が接続している位置は、マニホールド部12の幅方向Wにおける中央付近である。
導入口31a,32aは、それぞれ個別に押出機やフィードブロックのような樹脂を積層させる目的で設置されている装置と接続され、導入口31aからは樹脂積層体を構成する主たる樹脂40を導入可能であり、導入口32aからは補助的樹脂41を導入可能である。
なお、導入口31aは導入口32aと比べて径(面積)が大きくなっており、樹脂導入部31は樹脂導入部32に比べて、樹脂を多量に導入可能である。
【0028】
次に本発明の第1の実施形態における金型10を用いて、シート及びフィルム等を製造する方法について説明する。
まず、押出機(図示せず)や、押出機に接続されたノズルやフィードブロック等の部材(図示せず)から、溶融樹脂である主たる樹脂40と補助的樹脂41をそれぞれ、導入口31aと導入口32aに導入する。
【0029】
ここで、本実施形態において使用される主たる樹脂40と補助的樹脂41は熱可塑性樹脂であり、具体的には、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン塩化ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンエチルアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、マレイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリレート、セルロースエステル、ポリノルボルネン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、上記熱可塑性樹脂には可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤が添加されていてもよく、上記以外の樹脂を用いてもよい。
【0030】
導入口31aと導入口32aから導入した各樹脂は、それぞれ樹脂導入部31、32を流れる。そして、樹脂導入部31を通過した樹脂はマニホールド部12を流れ、幅方向(図3における左右の方向)に広がり、樹脂導入部32を通過した樹脂と合流部34で衝突して夫々の樹脂が合流する。
【0031】
ここで合流部34は、マニホールド部12の上面12d近傍(図3における上側)にあることが望ましい。もし、図11のように、上面12dから主たる樹脂40を、裏面12f側から補助的樹脂41をそれぞれマニホールド部12に導入すると、主たる樹脂40が補助的樹脂41に覆い被さったり、主たる樹脂40が補助的樹脂41の流れを阻害したりする可能性がある。それにより、合流界面35が大きく歪んだり、補助的樹脂41が樹脂積層体(積層シート91)の端部に流れないおそれがあるためである。
【0032】
合流部34は前述のように、マニホールド部12のランド部13と接続している側とは反対側にあることが望ましいが、幅方向Wの位置に関しては特に制限はない。ただし、補助的樹脂41を主たる樹脂40のマニホールド部12内での流れに沿うように合流させる必要がある。
したがって、図4に示されるように、合流界面35の接線Eと仮想線Dが成す角C(以下合流の角度)は、90度以下が望ましく、更には、60度以下であることがより望ましい。
なぜなら、合流の角度が大きすぎると補助的樹脂41の流れが主たる樹脂40の流れに加える力が必要以上に大きくなり、合流界面35が乱れる原因になる。
加えて、図5に示されるように、マニホールド部12の端部から合流部34までの距離W1は、樹脂積層体(積層シート91)の端部の幅W2よりも大きくすることが望ましい。なぜなら、W1がW2より小さいと補助的樹脂41の流れが主たる樹脂40の流れを押し戻すように流す必要があるため、各樹脂の導入量や粘度の調整が難しいためである。
【0033】
合流部34でぶつかって合流した夫々の樹脂は、主たる樹脂40が形成する領域の境界線に沿うように補助的樹脂41により形成される領域が形成され、各樹脂は共にランド部13に向かって流れる。つまり、補助的樹脂41による流れは、主たる樹脂40による流れに押されて、マニホールド部12の辺部側を流れる。(補助的樹脂41はマニホールド部12の端部側に押し流される。)なお、本実施形態においてマニホールド部12の辺部側とは、マニホールド部12の上面12d及び側面12bの付近の空間のことを指す。
具体的に説明すると、マニホールド部12に導入された主たる樹脂40は、幅方向W(図2)の方向に広がっていき、導入口32aから導入された補助的樹脂41に衝突する。
ここで、主たる樹脂40と補助的樹脂41はそれぞれ押出機(図示せず)から押し出されているため、それぞれ下流に向かう方向(図2における樹脂の流れ方向Sの下側向き)と幅方向Wに広がる方向、マニホールド部12の厚さ方向(図2における厚さ方向T)に広がる方向に流れようとする。すなわち、マニホールド部12内を充填しようとする。そのため、主たる樹脂40による流れと補助的樹脂41による流れは互いに押し合う。しかし、補助的樹脂41に比べて主たる樹脂40の導入量が多いため、補助的樹脂41による流れが、主たる樹脂40による流れに辺部側まで押されることにより、補助的樹脂41はマニホールド部12の辺部側を流れる。そして、主たる樹脂40による流れと補助的樹脂41による流れは互いに幅方向Wに押し合いながら、下流に向かう方向に流れてランド部13に押し出される。
【0034】
ランド部13に押し出された各樹脂は、ランド部13を通過し、リップ開口部14から積層シート91として吐出される。
このとき、マニホールド部12からランド部13へと流れる内に、互いに幅方向Wに押し合う力が徐々に均衡し、安定することで、樹脂の領域の界面は安定する。
【0035】
そして、図5に示されるように、吐出された積層シート91は従来周知のカッター92で端部を切除され、巻き取り機93により冷却されつつ巻き取られる。即ち、吐出された積層シート91を冷却し、必要に応じて延伸したり、巻き取りを行うなどして、フィルム状やシート状にすることにより製造が完了するものである。
なお、ここで冷却や巻き取りの手段は任意の手段で実行することができる。例えば、積層シート91をロール延伸しながらチルロールで冷却しても良いし、エアーナイフやタッチロール、静電ピニングを用いて樹脂積層体をチルロールに押し付けても良い。また水槽に漬けて冷却しても良い。
【0036】
上記したように本実施形態の金型10を使用すると、合流部34で合流がスムーズに行われ、合流後の補助的樹脂41はマニホールド部12の端部へ流れ、樹脂積層体の端部を形成することができる。また、予め樹脂積層体の最大幅よりも合流部34を幅方向Wの内側に設けていれば、生産中でも補助的樹脂41と主たる樹脂40の流量比を変化させるだけで樹脂積層体の端部の幅を変化させることができる。また、補助的樹脂41が合流してからは複雑な流れにはならないので、合流界面35が大きく歪むことはない。さらに金型10は特許文献2に開示されている金型のような摺動部や、複雑な機構を有しないので、摺動部の動作による樹脂の焼け焦げ等のトラブルも少ない。
【0037】
また、本実施形態の金型10のように、主樹脂導入部と補助樹脂導入部が同一の端部側に開いていると、各樹脂導入部から開口部までの距離を長く確保することができる。そのことにより、開口部に向かって樹脂が流れていくと、合流部において不安定な界面が、樹脂の流れ方向に対して平行且つ直線状になり、界面はより確実に直線の状態で安定する。
具体的に説明すると、合流部では、主たる樹脂と補助的樹脂がぶつかり、各樹脂の流れが他方の樹脂の流れに相互に干渉することにより合流界面が不安定になってしまう。しかし、各樹脂が開口部に向かって流れていくとともに、樹脂の流れが他方の樹脂の流れに及ぼす力が均衡していくので、合流界面は、直線状且つ樹脂の流れ方向に対して平行な状態となり易い。したがって、生成した樹脂フィルム、または樹脂シートの切り取り幅を一定にし易くなる。
【0038】
そして、第1の実施形態における金型10に対して、樹脂導入部32等の樹脂導入部のみを変えた実施形態として、以下の様なものがあり、これらを用いて積層シート91を成形することができる。
なお、これらの実施形態も第1の実施形態と同様に補助的樹脂41を主たる樹脂40の幅方向の端部側に積層させるものである。
なお、以下の説明において、特に説明がない限り、第1の実施形態における金型10と同様の構造については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0039】
本発明の第2の実施形態における金型20(押出成形用金型)は、図6、図7に示されているように、樹脂導入部32がマニホールド部12付近で折曲されており、合流の角度(補助的樹脂41を導入させる角度)を調整している。
そして、マニホールド部12と樹脂導入部32が合流する角度Aが0度超120度以下の範囲にあるものである。
これにより、合流部34でよりスムーズな主たる樹脂40と補助的樹脂41の合流が行われ、合流界面35はさらに歪みにくくなり、安定的に生産が可能となる。
なお、ここで、樹脂導入部32はAが10度以上90度以下となるように折曲されることが望ましく、更には、30度以上60度以下になるように折曲されることがより望ましい。なぜなら、角度Aが小さすぎると樹脂導入部32内で樹脂が詰まったり、マニホールド部12aの端部の角(側面12bと上面12dがなす上側端部の角)近傍にたまった樹脂が流れにくいといった不具合が起こり易くなる。一方、角度Aが大きすぎると補助的樹脂41の流れが主たる樹脂40の流れを必要以上に押圧し、合流界面35が安定しないためである。
【0040】
本発明の第3の実施形態における金型21(押出成形用金型)は、図8、図9に示されているように、3つの樹脂導入部31,32,36を有しており、樹脂導入部32,36はマニホールド12付近でマニホールド部12の辺部側へ折曲されている。
そして、主たる樹脂40と補助的樹脂41の合流部34で合流し、樹脂導入部36(補助樹脂導入部)に導入した補助的樹脂42が主たる樹脂40と合流部37にて合流する。また、合流部34及び合流部37を形成するための樹脂導入部32とマニホールド部12の合流の角度A、樹脂導入部36とマニホールド部12の合流の角度Bは、いずれも0度超120度以下の範囲にある。
これにより、主たる樹脂40の両端に補助的樹脂41、42を積層させることができる。したがって、金型で成形したフィルムまたはシートの両端部を切り落とさなければならない成形の場合においても、本発明の第3の実施形態の金型21を使用することにより、さらにリサイクル性をあげることができる。
【0041】
次に本発明の効果を確認するために行った実験について説明する。
なお、実施例及び比較例では、金型内部で幅方向に多層成形したものであり、金型から出てきた樹脂はチルロールにて引取った。そして、この成形品の厚み分布、合流界面形状を評価した。
【0042】
上記した実施形態において、金型10,20,21の内部空間の形状(マニホールド部12、ランド部13、リップ開口部14の形状)は一般的に使用される形状を用いたが、金型の内部空間の形状はこれに限るものではない。所謂コートハンガーダイの様な形状でもよいし、ストレートマニホールドダイのような形状でもよい。要は、マニホールド部12で積層させる樹脂が合流可能であり、樹脂の流れによって積層され、積層された状態でリップ開口部14まで樹脂が流れればよい。
【0043】
上記した実施形態において、樹脂導入部31(主樹脂導入部)はマニホールド部12の上面12dに設けたが、樹脂導入部31を設ける位置はこれに限るものではなく、正面12aや裏面12fの図2における上側に設けてもよい。
具体的に説明すると、例えば、図10に示すように、樹脂導入部31を裏面12f側に設けてもよい。
要は、マニホールド部12内で、主たる樹脂40と補助的樹脂41がぶつかって合流した際に、主たる樹脂40が形成する領域の境界線に沿うように補助的樹脂41により形成される領域が形成された上で、各樹脂が共にランド部13に向かって流れればよい。
【0044】
上記した実施形態において、樹脂導入部31,32,33はいずれも、マニホールド部12から突出するように設けられ、それぞれ導入口を有しているが、樹脂導入部の形状はこれに限るものではない。例えば、マニホールド部に直接開口を設けて、そこから樹脂をマニホールド部に導入させてもよい。即ち、使用する金型のマニホールド部12で導入した樹脂が合流可能であり、一方の樹脂の流れに沿って他方の樹脂が流れればよい。
【0045】
(実施例1)
図4,図5に示す金型20を用いて実施例1の幅方向2層フィルムを成形した。金型幅は1700mm、合流部34の位置はマニホールド部の端部から250mmの位置とした。
また、供給される樹脂の量である押出量は、総押出量を変化させずに1時間当たり80kgと一定にし、主たる樹脂40と補助的樹脂41の比率を変化させていき、補助的樹脂41の幅が、40mm、80mm、120mmになるように変化させた。
主たる樹脂40と補助的樹脂41としては共にポリビニルブチラール(PVB)を採用し、ゼロせん断粘度は、共に2000Pa・sのものを使用した。
なお、せん断粘度の測定はレオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製メカニカルスペクトロメータ(RMS800)で行い、せん断速度0.05/sのせん断粘度をゼロせん断粘度とした。
【0046】
(比較例1)
特許文献2に記載の従来の金型内での合流方式を使用したこと以外は実施例1と同じ条件にてテストを行った。
金型も同様の1700mmのものであり、マニホールド部の形状、ランド部の形状も同じ形状のものを使用した。
【0047】
上記、実施例1と比較例1で成形した、2層フィルムの端部の幅の違いによる幅方向積層時の厚みのバラつきの有無と合流界面形状の良し悪しを表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示すように、実施例1の2層フィルムには厚みのバラつき、合流界面形状の乱れはなかったが、比較例1の2層フィルムには端部樹脂幅が120cmのときに厚みにバラつきが発生した。
【0050】
以上のことから、本実施形態の金型20を用いることで、生成する幅方向積層シート(2層フィルム)の端部の厚みが均一なシートあるいはフィルムを生成できることが示された。
【符号の説明】
【0051】
10,20,21 金型(押出成形用金型)
11 内部空間
12 マニホールド部
13 ランド部
14 リップ開口部
31 樹脂導入部(主樹脂導入部)
31a 導入口
32,36 樹脂導入部(補助樹脂導入部)
32a,36a 導入口
35 合流界面
40 主たる樹脂
41,42 補助的樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融状の樹脂をシート状或いはフィルム状に押し出す開口部を備えた押出成形用金型であって、金型内に溶融状の樹脂を導入する樹脂導入部と、溶融状の樹脂の流れを拡幅するマニホールド部とを有し、前記樹脂導入部がマニホールド部に連通する押出成形用金型において、
2つ以上の樹脂導入部を有し、樹脂導入部の少なくとも一つは、主たる樹脂をマニホールド部の中央側に供給する主樹脂導入部であり、前記樹脂導入部の少なくとも一つは、補助的樹脂をマニホールド部の幅方向の辺部側に供給する補助樹脂導入部であることを特徴とする押出成形用金型。
【請求項2】
樹脂の金型外への押出方向に直交し、且つ前記補助樹脂導入部の接続位置から主樹脂導入部側へ向かう半直線である仮想線を想定し、前記仮想線と補助樹脂導入部の接続方向の成す角が0度を超えて120度以下となるように、補助樹脂導入部がマニホールド部に接続されることを特徴とする請求項1に記載の押出成形用金型。
【請求項3】
3つ以上の樹脂導入部を有し、前記樹脂導入部の内の2つが、補助的樹脂をマニホールド部の両辺部側にそれぞれ供給する補助樹脂導入部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の押出成形用金型。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の押出成形用金型に、主たる樹脂と補助的樹脂を導入して行う押出成形方法であって、
マニホールド部内に導入された主たる樹脂と補助的樹脂との補助樹脂導入部の近傍部分における界面の接線と、樹脂の金型外への押出方向に直交し、且つ前記補助樹脂導入部の接続位置から辺部側へ向かう半直線である仮想線との成す角が0度を超えて90度以下となるように、主たる樹脂と補助的樹脂の導入量を調節して行うことを特徴とする押出成形方法。
【請求項1】
溶融状の樹脂をシート状或いはフィルム状に押し出す開口部を備えた押出成形用金型であって、金型内に溶融状の樹脂を導入する樹脂導入部と、溶融状の樹脂の流れを拡幅するマニホールド部とを有し、前記樹脂導入部がマニホールド部に連通する押出成形用金型において、
2つ以上の樹脂導入部を有し、樹脂導入部の少なくとも一つは、主たる樹脂をマニホールド部の中央側に供給する主樹脂導入部であり、前記樹脂導入部の少なくとも一つは、補助的樹脂をマニホールド部の幅方向の辺部側に供給する補助樹脂導入部であることを特徴とする押出成形用金型。
【請求項2】
樹脂の金型外への押出方向に直交し、且つ前記補助樹脂導入部の接続位置から主樹脂導入部側へ向かう半直線である仮想線を想定し、前記仮想線と補助樹脂導入部の接続方向の成す角が0度を超えて120度以下となるように、補助樹脂導入部がマニホールド部に接続されることを特徴とする請求項1に記載の押出成形用金型。
【請求項3】
3つ以上の樹脂導入部を有し、前記樹脂導入部の内の2つが、補助的樹脂をマニホールド部の両辺部側にそれぞれ供給する補助樹脂導入部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の押出成形用金型。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の押出成形用金型に、主たる樹脂と補助的樹脂を導入して行う押出成形方法であって、
マニホールド部内に導入された主たる樹脂と補助的樹脂との補助樹脂導入部の近傍部分における界面の接線と、樹脂の金型外への押出方向に直交し、且つ前記補助樹脂導入部の接続位置から辺部側へ向かう半直線である仮想線との成す角が0度を超えて90度以下となるように、主たる樹脂と補助的樹脂の導入量を調節して行うことを特徴とする押出成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−280157(P2010−280157A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136115(P2009−136115)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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