説明

押出樹脂シートの製造方法

【課題】破断し難い押出樹脂シートの製造方法を提供することである。
【解決手段】ダイから押出されるシート状の溶融熱可塑性樹脂4を、第1ロールと金属ロール10(第2ロール)との間に挟み込み、金属ロール10に巻き掛けて成形する押出樹脂シートの製造方法であって、金属ロール10の両端部11,11の外周面には、外径がロール中央部12の外径よりも小さい段差13,13がそれぞれ形成されており、溶融熱可塑性樹脂4を第1ロールと金属ロール10との間に挟み込むときに、該樹脂を段差13と第1ロールとの間にも挟み込んで成形するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる押出樹脂シートの製造方法に関し、より詳しくは、破断し難い押出樹脂シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂からなる押出樹脂シートは、自動車の内装や外装、家庭電気製品の外装、液晶テレビやモニター等の光学用途等、極めて広い範囲で利用されている。一般に、熱可塑性樹脂からなる押出樹脂シートの製造は、ダイから押出されるシート状の溶融熱可塑性樹脂を、第1ロールと第2ロールとの間に挟み込み、第2ロールに巻き掛けて成形し、引取りロールにより搬送ロール上を冷却しながら引取ってロール状に巻き取る。
【0003】
ところが、アクリル系樹脂等の割れやすいシートを製造する際、厚みが薄くなるほどシートの端部が不安定になり、該端部から裂けて巻き取る前にライン内で破断することが頻発していた。この傾向は厚さ0.2mm以下の薄いフィルム状のシートを成形する場合に顕著である。
【0004】
例えば、外周部に金属製薄膜を備えた弾性ロールを第1ロール、高剛性の金属ロールを第2ロールとするロール構成がある(特許文献1参照)。特許文献1では、このロール構成を用いて厚さ0.1〜0.6mm程度のシートを成形している。
【0005】
しかしながら、前記ロール構成でシートを成形すると、得られるシートの端部が不安定になり、該端部から裂けて巻き取る前にライン内で破断するおそれがある。
【特許文献1】特許第3194904号公報(第1図、第8図および第10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、破断し難い押出樹脂シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)ダイから押出されるシート状の溶融熱可塑性樹脂を、第1ロールと第2ロールとの間に挟み込み、第2ロールに巻き掛けて成形する押出樹脂シートの製造方法であって、前記第2ロールの両端部の外周面には、外径がロール中央部の外径よりも小さい段差がそれぞれ形成されており、前記溶融熱可塑性樹脂を第1ロールと第2ロールとの間に挟み込むときに、該樹脂を前記段差と第1ロールとの間にも挟み込んで成形することを特徴とする押出樹脂シートの製造方法。
(2)前記熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である前記(1)記載の押出樹脂シートの製造方法。
(3)前記段差が25〜75μmである前記(1)または(2)記載の押出樹脂シートの製造方法。
(4)前記第1ロールが、外周部に金属製薄膜を備えた弾性ロールであり、前記第2ロールが、高剛性の金属ロールである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の押出樹脂シートの製造方法。
(5)前記弾性ロールは、略円柱状の軸ロールと、この軸ロールの外周面を覆うように配置された円筒形の金属製薄膜と、前記軸ロールと金属製薄膜との間に封入された流体とを備えており、前記流体を温度制御することによって、前記弾性ロールが温度制御可能に構成されている前記(4)記載の押出樹脂シートの製造方法。
(6)押出樹脂シートの厚さが0.2mm以下である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の押出樹脂シートの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1,第2ロール間に挟み込んだ後のシート状の熱可塑性樹脂を巻き掛ける第2ロールとして、その両端部の外周面に外径がロール中央部の外径よりも小さい段差が形成された特定のロールを用いる。そして、溶融熱可塑性樹脂を第1,第2ロール間に挟み込むときに、該樹脂を前記段差と第1ロールとの間にも挟み込んで成形する。これにより、シート両端部の厚さをシート中央部の厚さよりも大きく成形することができるので、シート両端部の剛性を向上させることができる。したがって、成形後のシートに対して引っ張り力が掛かっても、該シートがシート端部から破断するのを抑制することができる。
特に、本発明を、前記(2)のように割れやすいアクリル系樹脂シートや前記(6)のように厚さの薄いシートを製造するのに適用すると、本発明の有用性がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の押出樹脂シートは、熱可塑性樹脂からなる。該熱可塑性樹脂としては、溶融加工可能な樹脂なら特に制限はなく、例えばポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖低密度ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、セルロースアセテート樹脂、エチレン−ビニルアセテート樹脂、アクリル−アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリル−塩素化ポリエチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、フッ素樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、脂環構造含有エチレン性不飽和単量体単位を含有する樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の汎用またはエンジニアリングプラスチックの他に、ポリ塩化ビニル系エラストマー、塩素化ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エチル樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレン・ブタジエンブロックポリマー、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエン樹脂、アクリル系ゴム等のゴム状重合体が挙げられ、これらは1種または2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0010】
これらの樹脂の中で、光学特性の良好なメタクリル酸メチル単位を50質量%以上含むメタクリル酸メチル系樹脂、上述のメタクリル酸メチル系樹脂100重量部にゴム状重合体を100重量部以下添加した樹脂組成物、スチレン単位を50質量%以上含むスチレン系樹脂、上述のスチレン系樹脂100重量部にゴム状重合体を100重量部以下添加した樹脂組成物、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂環構造含有エチレン性不飽和単量体単位を含有する樹脂から選ばれたものが好ましい。特に、メタクリル酸メチル系樹脂、メタクリル酸メチル系樹脂100重量部にゴム状重合体を100重量部以下添加した樹脂組成物等のアクリル系樹脂が好ましい。
【0011】
メタクリル酸メチル単位を50質量%以上含むメタクリル酸メチル系樹脂は、単量体単位としてメタクリル酸メチル単位を含む重合体であり、メタクリル酸メチル単位の含有量は50質量%以上、好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。メタクリル酸メチル単位が100質量%の重合体は、メタクリル酸メチルを単独で重合させて得られるメタクリル酸メチル単独重合体である。
【0012】
また、かかるメタクリル酸メチル重合体は、メタクリル酸メチルと共重合し得る単量体との共重合体であってもよい。メタクリル酸メチルと共重合し得る単量体としては、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類も挙げられる。かかるメタクリル酸エステル類としては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。また、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和酸類、クロロスチレン、ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のアルキルスチレン類等の置換スチレン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等も挙げられる。かかる単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
本発明におけるゴム状重合体とは、アクリル系多層構造重合体もしくは5〜80重量部のゴム状重合体にエチレン性不飽和単量体、なかでもアクリル系不飽和単量体95〜20重量部をグラフト重合したグラフト共重合体等がある。
【0014】
アクリル系多層構造重合体は、ゴム弾性の層またはエラストマーの層を20〜60重量部を内在させるものであって、最外には硬質層を有するもので、最内層として硬質層をさらに含む構造のものでも良い。
【0015】
ゴム弾性の層またはエラストマーの層とは、ガラス転移点(Tg)が25℃未満のアクリル系重合体の層であり、低級アルキルアクリレートおよびメタクリレート、低級アルコキシアクリレート、シアノエチルアクリレート、アクリルアミド、ヒドロキシ低級アルキルアクリレート、ヒドロキシ低級メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のモノエチレン性不飽和単量体の1種以上をアリルメタクリレートや前述の多官能単量体で架橋させた重合体からなる。
【0016】
硬質層とは、Tgが25℃以上のアクリル系重合体の層であり、炭素数1〜4個のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを単独または主成分とし、他のアルキルメタクリレートやアルキルアクリレート、スチレン、置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な単官能単量体の重合体からなり、さらに多官能単量体を加えて重合させた架橋重合体でも構わない。
【0017】
このようなゴム状重合体としては、例えば特公昭55−27576号公報または特開平6−80739号公報や特開昭49−23292号公報等に記載のものが該当する。
【0018】
5〜80重量部のゴム状重合体にエチレン性不飽和単量体を95〜20重量部グラフト重合したグラフト共重合体は、ゴム状重合体として例えばポリブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体ゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル系ゴム、およびエチレン/プロピレン/非共役ジエン系ゴム等を用いることができる。このゴム状重合体にグラフト共重合するのに用いられるエチレン性単量体およびそれらの混合物としては、例えばスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのグラフト共重合体としては、例えば特開昭55−147514号公報や特公昭47−9740号公報等に記載のものを用いることができる。
【0019】
ゴム状重合体の分散割合は、メタクリル酸メチル系またはスチレン系樹脂100重量部に対して、0〜100重量部、好ましくは3〜50重量部である。100重量部を超えると、シートの剛性が低下するので好ましくない。
【0020】
スチレン単位を50質量%以上含むスチレン系樹脂は、スチレン系単官能単量体単位を主成分とする重合体、例えば50質量%以上含む重合体であって、スチレン系単官能単量体の単独重合体であってもよいし、スチレン系単官能単量体およびこれと共重合可能な単官能単量体の共重合体であってもよい。
【0021】
スチレン系単官能単量体とは、例えばスチレンのほか、クロロスチレン、ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等アルキルスチレン類等の置換スチレン等のような、スチレン骨格を有し、ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有する化合物である。
【0022】
かかるスチレン系単官能単量体と共重合可能な単官能単量体とは、ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有し、この二重結合でスチレン系単官能単量体と共重合可能な化合物であって、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類、アクリロニトリル等が挙げられ、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類が好ましく用いられ、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0023】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0024】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0025】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選択される少なくとも1種の二価フェノールとの共重合体が好ましく使用される。
【0026】
カーボネート前駆体としては、例えばカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0027】
脂環構造含有エチレン性不飽和単量体単位を含有する樹脂とは、例えばノルボルネン系重合体やビニル脂環式炭化水素系重合体等が挙げられる。重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有するのが特徴であり、脂環式構造は、主鎖および/または側鎖のいずれに有していても良い。光透過性の観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
【0028】
こうした脂環式構造を含有する重合体樹脂の具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、およびこれらの水素添加物等が挙げられる。これらの中でも、光透過性の観点から、ノルボルネン系重合体水素添加物、ビニル脂環式炭化水素系重合体またはその水素化物等が好ましく、ノルボルネン系重合体水素添加物がより好ましい。
【0029】
なお、本発明に使用される熱可塑性樹脂には、目的に応じて、例えば光拡散剤や艶消し剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、耐衝撃剤、高分子型帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、染料、顔料等を加えても何ら問題はない。
【0030】
本発明における押出樹脂シートは、厚さが通常2mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下であり、厚さが薄いほど本発明の有用性が向上すると共に、シートとして取り扱いやすくなる。一方、厚さが薄すぎると、シートの剛性が低下して破断しやすくなるので、通常0.03mm以上、好ましくは0.04mm以上であるのがよい。押出樹脂シートの厚みは、後述するダイ3から押し出される溶融熱可塑性樹脂4の厚み、2本の冷却ロール5の間隔等により調整することができる。
【0031】
前記熱可塑性樹脂からなる本発明の押出樹脂シートは、次のようして製造することができる。以下、本発明にかかる押出樹脂シートの製造方法の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる押出樹脂シートの製造方法を示す概略説明図である。図2は、本実施形態にかかるロール構成を示す概略断面説明図である。図3は、図2に示す矢印A方向から見た溶融熱可塑性樹脂と第2ロールとを示す概略説明図である。図4は、本実施形態にかかるロール構成で成形されたシート両端部を示す概略断面説明図である。
【0032】
本実施形態の押出樹脂シートは、通常の押出成形法により製造することができる。すなわち、図1に示すように、基材となる熱可塑性樹脂を押出機1および/または押出機2で加熱して溶融混練しながら、ダイ3からシート状に押出しを行う。
【0033】
押出樹脂シートを複層構造とする場合には、共押出成形法により製造することができる。すなわち、例えば押出機1から基材となる熱可塑性樹脂を、押出機2から積層したい別の熱可塑性樹脂をそれぞれ共押出しすればよい。共押出しするには、各熱可塑性樹脂をそれぞれ別個の押出機1,2で加熱して溶融混練しながら、共押出成形用のダイ3から押出し、積層一体化すればよい。
【0034】
押出機1,2としては、例えば一軸押出機、二軸押出機等が挙げられる。なお、押出機の数は2台に限定されるものではなく、3台以上の複数台にしてもよい。ダイ3としては、通常、Tダイが用いられ、熱可塑性樹脂を単層で押出す単層ダイの他、フィードブロックダイ、マルチマニホールドダイ等のように、それぞれ独立して押出機1,2から圧送された2種以上の熱可塑性樹脂を積層して共押出しする多層ダイ等を採用することができる。
【0035】
上記のようにしてダイ3から押出される溶融熱可塑性樹脂4を、略水平方向に対向配置された2本の冷却ロール5に挟み込んで成形し、冷却することで押出樹脂シート15を得る。冷却ロール5は第1,第2ロールで構成されており、本実施形態では、図2に示すように、外周部に金属製薄膜8を備えた弾性ロール、すなわち金属弾性ロール6を第1ロール、高剛性の金属ロール10を第2ロールとする。金属弾性ロール6および金属ロール10は、少なくとも一方がモータ等の回転駆動手段に接続されており、両ロールが所定の周速度で回転するように構成されている。
【0036】
第1ロールである金属弾性ロール6は、略円柱状の回転自在に設けられた軸ロール7と、この軸ロール7の外周面を覆うように配置され、溶融熱可塑性樹脂4に接触する円筒形の金属製薄膜8とを備えており、これら軸ロール7と金属製薄膜8との間には流体9が封入されており、これにより金属弾性ロール6は弾性を示すことができる。前記軸ロール7は、特に限定されるものではなく、例えばステンレス鋼等からなる。
【0037】
金属製薄膜8は、例えばステンレス鋼等からなり、その厚さとしては2〜5mm程度が好ましい。この金属製薄膜8は、屈曲性や可撓性等を有しているのが好ましく、溶接継ぎ部のないシームレス構造が好ましい。このような金属製薄膜8を備えた金属弾性ロール6は、耐久性に優れると共に、金属製薄膜8を鏡面化すれば通常の鏡面ロールと同様の取り扱いができ、金属製薄膜8に模様や凹凸を付与すればその形状を転写できるロールになるので、使い勝手がよい。
【0038】
この金属製薄膜8が軸ロール7の両端部で固定され、軸ロール7と金属製薄膜8との間に流体9が封入される。流体9としては、例えば水、油等が挙げられる。この流体9を温度制御することによって、金属弾性ロール6を温度制御可能にすることができる。これにより、後述する金属弾性ロール6,金属ロール10の表面温度(Tr)と、押出樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂の熱変形温度(Th)とを所定の関係に調整しやすくなり、生産能力を向上させることができる。前記温度制御には、例えばPID制御やON−OFF制御等の公知の制御方法を採用することができる。なお、流体9に代えて、空気等の気体を用いることもできる。
【0039】
このような金属弾性ロール6を用いると、該金属弾性ロール6の弾性変形を利用してシートに歪みが残るのを抑制することができる。すなわち、金属弾性ロール6,金属ロール10間に溶融熱可塑性樹脂4を挟み込むと、金属弾性ロール6が溶融熱可塑性樹脂4を介して金属ロール10の外周面に沿って凹状に弾性変形し、金属弾性ロール6と金属ロール10とが溶融熱可塑性樹脂4を介して所定の接触長さLで接触する。これにより、金属弾性ロール6および金属ロール10は、溶融熱可塑性樹脂4に対して面接触で圧着するようになり、これらロール間に挟み込まれた溶融熱可塑性樹脂4は面状に均一加圧されながらシート化される。このようにしてシート化すると、シート内に歪が残留するのを抑制することができる。
【0040】
前記接触長さLとしては、得られる押出樹脂シート15に歪が残留するのを抑制することができる長さであればよい。したがって、金属弾性ロール6は、該金属弾性ロール6が弾性変形した際にこのような接触長さLを形成することができる程度の弾性を備えていればよい。前記接触長さLとしては、1〜20mm、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1〜7mmであるのがよい。前記接触長さLを所定の値にするには、例えば金属製薄膜8の厚み、流体9の封入量等を調整することによって任意に行うことができる。
【0041】
第2ロールである高剛性の金属ロール10は、金属弾性ロール6,金属ロール10間で挟み込まれた後のシート状の熱可塑性樹脂が巻き掛けられる、巻き掛けロールであり、例えばドリルドロールやスパイラルロール等が挙げられる。金属ロール10の表面状態は、例えば鏡面であってもよく、模様や凹凸等があってもよい。
【0042】
ここで、本実施形態にかかる金属ロール10は、図3に示すように、その両端部11,11の外周面に、外径がロール中央部12の外径よりも小さい段差13,13が形成されている。本実施形態にかかる段差13は、ロール中央部12から端部11に向かって傾斜する傾斜面である。
【0043】
そして、溶融熱可塑性樹脂4を金属弾性ロール6,金属ロール10間に挟み込むときに、該樹脂を段差13と、該段差13に対向する金属弾性ロール6との間にも挟み込んで成形する。これにより、図4に示すように、シート両端部16,16の厚さを、シート中央部17の厚さよりも大きく成形することができるので、シート両端部16,16の剛性を向上させることができる。したがって、成形後のシートに対して引っ張り力が掛かっても、該シートがシート端部から破断するのを抑制することができる。なお、シート両端部16,16は、後述する引取り過程において、シート両端部16,16を裁断するためのスリッターにて裁断され、シート両端部16,16を裁断した後のシート中央部17が押出樹脂シート15となる。
【0044】
段差dとしては、25〜75μmであるのが好ましい。これに対し、前記段差dが25μmよりも低いと、シート端部16に十分な剛性を付与できないおそれがあり、75μmよりも高いと、シート端部16に必要以上の剛性を付与し、逆に割れやすくなるので好ましくない。なお、この段差dと、シート中央部17の厚さ(すなわち押出樹脂シート15の厚さ)の合計値が、シート端部16の厚さになる。
【0045】
段差13の長さa1としては、金属ロール10の面長100%に対して0.2〜5%程度であるのが好ましい。これに対し、前記段差13の長さa1が0.2%よりも小さいと、シート端部16に十分な剛性を付与できないおそれがあり、5%よりも大きいと、シート中央部17の長さ、すなわち押出樹脂シート15の幅が狭くなるので好ましくない。段差13の長さa1とは、金属ロール10を平面視したときの該段差13の長さを意味する。金属ロール10の面長とは、両段差13,13の長さa1,a1と、ロール中央部12の長さa2との合計値を意味する。なお、金属ロール10の面長は、成形する押出樹脂シートの幅に応じて任意の値を採用することができ、特に限定されるものではない。
【0046】
溶融熱可塑性樹脂4を金属弾性ロール6,金属ロール10間に挟み込んで成形する際には、溶融熱可塑性樹脂4を冷却固化前ないし冷却固化させる過程で両ロールに挟み込む必要がある。具体的には、金属弾性ロール6および金属ロール10の表面温度(Tr)を、熱可塑性樹脂の熱変形温度(Th)に対して、(Th−20℃)≦Tr≦(Th+20℃)、好ましくは(Th−15℃)≦Tr≦(Th+10℃)、より好ましくは(Th−10℃)≦Tr≦(Th+5℃)の範囲とすることが望ましい。なお、前記熱可塑性樹脂の熱変形温度(Th)としては、特に限定されるものではないが、通常、60〜200℃程度である。熱可塑性樹脂の熱変形温度(Th)は、ASTM D−648に準拠して測定される温度である。
【0047】
一方、表面温度(Tr)が(Th−20℃)よりも低い温度になると、シートの熱収縮性が大きくなる。表面温度(Tr)が(Th+20℃)よりも高い温度になると、ロールからの剥離マークが目立ちやすくなる。
【0048】
なお、本発明では異種材料を積層した複層樹脂シートも対象としており、この場合の表面温度(Tr)については、熱変形温度(Th)が最も高い樹脂を基準とする。
【0049】
金属弾性ロール6,金属ロール10間に挟み込まれた後のシート状の熱可塑性樹脂は、金属ロール10に巻き掛けられた後、図示しない引取りロールにより搬送ロール上を冷却されながら引取られる。この引取り過程において、シート両端部16,16を裁断するための図示しないスリッターによりシート両端部16,16を裁断して、押出樹脂シート15を得る。
【0050】
押出樹脂シート15は、例えば自動車の内装や外装、家庭電気製品の外装、液晶テレビやモニター、携帯電話等の導光板や拡散板等の光学用途、携帯電話の外装や保護板用途等に適用することができるが、本発明はこれらの用途に限定されるものではない。
【0051】
以上、本発明にかかる好ましい実施形態について説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において種々の改善や変更が可能である。例えば前記実施形態では、第2ロールに形成される段差13が、ロール中央部12から端部11に向かって傾斜する傾斜面で構成されているが、本発明にかかる段差の形状はこれに限定されるものではなく、例えば図5(a)、(b)に示すような形状を採用することもできる。
【0052】
すなわち、図5(a)に示すような第2ロール20の両端部の外周面に形成されている段差21、図5(b)に示すような第2ロール25の両端部の外周面に形成されている湾曲面状の段差26等を採用することもできる。その他の構成は、前記した一実施形態にかかる段差13と同様である。
【0053】
また、前記実施形態では、第2ロールにのみ段差13が形成されているが、第2ロールに加えて、第1ロールにも段差が形成されていてもよい。この場合には、第2ロールの段差dと、第1ロールの段差dとの合計値が25〜75μmであるのが好ましい。
【0054】
また、金属弾性ロール6に代えて、図6に示す金属弾性ロール30を採用することもできる。金属弾性ロール30は、略円柱状の回転自在に設けられた軸ロール31の外周面を、円筒形の金属製薄膜32で被覆したものである。
【0055】
軸ロール31は、例えばシリコンゴム等のゴムからなるゴムロールであり、これにより金属弾性ロール30は弾性を示すことができる。前記ゴムの硬度を調整することによっても、前記接触長さLを所定の値にすることができる。
【0056】
金属製薄膜32は、例えばステンレス鋼等からなり、その厚さとしては0.2〜1mm程度が好ましい。
【0057】
金属弾性ロール30を温度制御可能に構成するには、例えばバックアップ冷却ロールを金属弾性ロール30に取り付ければよい。その他の構成は、前記した一実施形態にかかる金属弾性ロール6と同様である。
【0058】
また、金属ロール10以降に複数本のロールを設け、金属ロール10に巻き掛けたシート状の熱可塑性樹脂を順次、次のロールとの間に挟み込み、巻き掛けるようにしてもよい。
【0059】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例で使用した押出装置の構成は、次の通りである。
【0060】
押出機1:スクリュー径100mm、一軸、ベント付き(日立造船(株)製)。
ダイ3:Tダイ、リップ幅1500mm、リップ間隔1mm(日立造船(株)製)。
ロール:横型、面長1600mm、外径300mmφの冷却ロール2本。
【0061】
押出機1、ダイ3を図1に示すように配置した。ついで、前記2本の冷却ロールのうち、押出機1に最も近いロールを第1ロール、巻き掛けロールを第2ロールとし、各ロールを以下のように構成した。
【0062】
<ロール構成1>
図2,図3に示した構成をロール構成1とした。具体的には、第1ロールおよび第2ロールを以下のように構成した。
【0063】
(第1ロール)
軸ロール7の外周面を覆うように金属製薄膜8を配置し、軸ロール7と金属製薄膜8との間に流体9を封入した金属弾性ロール6を第1ロールとした。軸ロール7、金属製薄膜8および流体9は、次の通りである。
軸ロール7:ステンレス鋼製
金属製薄膜8:厚さ2mmのステンレス鋼製の鏡面金属スリーブ
流体9:油であり、この油を温度制御することによって、金属弾性ロール6を温度制御可能にした。より具体的には、温度調節機のON−OFF制御により前記油を加熱、冷却して温度制御可能にし、軸ロール7と金属製薄膜8との間に循環させた。
【0064】
(第2ロール)
両端部11,11の外周面に、段差13,13(傾斜面)が形成され、表面状態を鏡面にしたステンレス鋼製のスパイラルロールを高剛性の金属ロール10とし、これを第2ロールとした。
なお、段差13は、段差dを50μmにし、長さa1を金属ロール10の面長100%に対して0.3%(すなわち5mm)にした。また、金属弾性ロール6と金属ロール10との接触長さLは、5mmにした。
【0065】
<ロール構成2>
第1,第2ロールを、いずれも両端部に段差が形成されていない高剛性の金属ロール(表面状態を鏡面にしたステンレス鋼製のスパイラルロール)とした。
【0066】
以下の実施例および比較例で使用した熱可塑性樹脂は、次の通りである。
樹脂1:メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体70重量%に下記参考例で得たアクリル系多層弾性体を30重量%含有させたアクリル系組成物。熱変形温度(Th)は100℃。
樹脂2:メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=94/6(重量比)の共重合体。熱変形温度(Th)は100℃。
【0067】
[参考例]
(ゴム状重合体の製造)
特公昭55−27576号の実施例に記載の方法に準拠して、三層構造からなるアクリル系多層弾性体を製造した。具体的には、まず、内容積5Lのガラス製反応容器に、イオン交換水1700g、炭酸ナトリウム0.7g、過硫酸ナトリウム0.3gを仕込み、窒素気流下で撹拌後、ペレックスOT−P((株)花王製)4.46g、イオン交換水150g、メチルメタクリレート150g、アリルメタクリレート0.3gを仕込んだ後、75℃に昇温し150分間撹拌を続けた。
【0068】
続いてブチルアクリレート689g、スチレン162g、アリルメタクリレート17gの混合物と過硫酸ナトリウム0.85g、ペレックスOT−P7.4gとイオン交換水50gの混合物を別の入口から90分間にわたり添加し、さらに90分間重合を続けた。
【0069】
重合を完了後、さらにメチルアクリレート326g、エチルアクリレート14gの混合物と過硫酸ナトリウム0.34gを溶解させたイオン交換水30gを別々の口から30分間にわたって添加した。
【0070】
添加終了後、さらに60分間保持し重合を完了した。得られたラテックスを0.5%塩化アルミニウム水溶液に投入して重合体を凝集させた。これを温水にて5回洗浄後、乾燥してアクリル系多層弾性体を得た。
【0071】
[実施例1〜3および比較例1〜3]
<押出樹脂シートの作製>
表1に示す種類の樹脂を押出機1にて溶融混練し、ダイ3に供給した。そして、ダイ3から押出された溶融熱可塑性樹脂4を、表1に示すロール構成の第1,第2ロール間に挟み込み、第2ロールに巻き掛けて成形し、引取りロールにより搬送ロール上を冷却しながら引取って表1に示す厚さの押出樹脂シートを得た。実施例1〜3では、溶融熱可塑性樹脂4を第1,第2ロール間に挟み込むときに、該樹脂を段差13と第1ロールとの間にも挟み込んで成形した。また、表1中の「第1ロール表面温度」および「第2ロール表面温度」は、いずれもロールの表面温度を実測した値である。
【0072】
<評価>
各押出樹脂シート(実施例1〜3および比較例1〜3)の成形状態を目視で確認した。なお、判定基準は以下のものを用いた。
○:問題なく成形できた
×:シート端部から破断した
【0073】
【表1】

【0074】
表1から明らかなように、厚み50μm,80μm,150μmのシートを、実施例1〜3では問題なく成形できているのに対し、比較例1〜3ではシート端部から破断しているのがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態にかかる押出樹脂シートの製造方法を示す概略説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるロール構成を示す概略断面説明図である。
【図3】図2に示す矢印A方向から見た溶融熱可塑性樹脂と第2ロールとを示す概略説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるロール構成で成形されたシート両端部を示す概略断面説明図である。
【図5】(a),(b)は、本発明の他の実施形態にかかる第2ロールを示す概略説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態にかかるロール構成を示す概略断面説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1,2 押出機
3 ダイ
4 溶融熱可塑性樹脂
5 冷却ロール
6,30 金属弾性ロール
7,31 軸ロール
8,32 金属製薄膜
9 流体
10 金属ロール
11 端部
12 ロール中央部
13,21,26 段差
15 押出樹脂シート
16 シート端部
17 シート中央部
20,25 第2ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイから押出されるシート状の溶融熱可塑性樹脂を、第1ロールと第2ロールとの間に挟み込み、第2ロールに巻き掛けて成形する押出樹脂シートの製造方法であって、
前記第2ロールの両端部の外周面には、外径がロール中央部の外径よりも小さい段差がそれぞれ形成されており、
前記溶融熱可塑性樹脂を第1ロールと第2ロールとの間に挟み込むときに、該樹脂を前記段差と第1ロールとの間にも挟み込んで成形することを特徴とする押出樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である請求項1記載の押出樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記段差が25〜75μmである請求項1または2記載の押出樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
前記第1ロールが、外周部に金属製薄膜を備えた弾性ロールであり、前記第2ロールが、高剛性の金属ロールである請求項1〜3のいずれかに記載の押出樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
前記弾性ロールは、略円柱状の軸ロールと、この軸ロールの外周面を覆うように配置された円筒形の金属製薄膜と、前記軸ロールと金属製薄膜との間に封入された流体とを備えており、
前記流体を温度制御することによって、前記弾性ロールが温度制御可能に構成されている請求項4記載の押出樹脂シートの製造方法。
【請求項6】
押出樹脂シートの厚さが0.2mm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の押出樹脂シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−149038(P2009−149038A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331093(P2007−331093)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(507403263)エスカーボシート株式会社 (22)
【Fターム(参考)】