説明

押圧スイッチ用弾性材及びこれを備えた操作装置

【課題】操作装置を構成する操作パネルと回路基板との間に容易に組付けることが可能であり、かつ設定寸法も容易な押圧スイッチ用弾性材を提供する。
【解決手段】押圧スイッチ用弾性材50は、操作ボタン20Eが設けられた操作パネル10Bと、基板側接点が実装される回路基板40との間に設けられる。この弾性材50は、操作パネル10Bと回路基板40との間に挟み込まれるベース52と、前記基板側接点と接触する接点をもつ弾性変位部とを有する。ベース52は、パネル−回路基板間の離間寸法dbよりも小さい肉厚を有するベース本体52aと、このベース本体52aの表側面から突出する突出部52bとを有する。この突出部52bが形成された弾性材50の厚み方向の寸法tbは前記離間寸法dbよりも大きく、その寸法差を突出部52bの弾性変形が吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に設けられる操作装置及びこの操作装置を構成する押圧スイッチ用弾性材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のインストゥルメントパネル等に設けられる操作装置として、押圧操作を受ける操作部材が設けられた操作パネルと、その裏側に配されてスイッチ用接点を有する回路基板との間に、ゴム等の押圧スイッチ用弾性材が介在するものが知られている。この押圧スイッチ用弾性材は、前記回路基板上に配設される板状のベースと、前記操作部材の押圧操作に伴って弾性変位する弾性変位部とを有し、この弾性変位部に設けられた接点が当該弾性変位部の弾性変位に伴って前記回路基板側の接点に接触することにより、スイッチが閉じられる。
【0003】
その一例として、下記特許文献1に記載された操作装置の要部を図7に示す。図示の弾性材は、板状のベース1を有し、このベース1が図略の回路基板上に配設される。前記ベース1には貫通孔5が設けられ、その貫通孔5の内側の領域に押圧変位部6が配され、この押圧変位部6が薄肉の連結部2を介して前記貫通孔5の上端周縁部につながっている。前記押圧変位部6の上端は図略の操作部材(例えば操作パネルに設けられるスイッチノブ)に当接する操作部材側当接部3であり、下端に可動接点部4が設けられる。この可動接点部4は、通常は前記回路基板に設けられた接点から距離δだけ離間しているが、前記操作部材の押圧操作に伴ってその操作方向(図では下向き)に押圧変位部が押圧変位することにより、前記可動接点部4が前記回路基板側の接点と接触してスイッチを閉じる。
【特許文献1】特開平7−201249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような弾性材を簡易に固定するための方法として、そのベース1を前記操作パネルの裏面と回路基板の表面との間に挟み込むことが行われるが、この固定方法では、前記ベース1の厚み寸法の管理がきわめて難しいという課題がある。すなわち、前記操作パネルの裏面と前記回路基板の表面との離間寸法にはばらつきがあるので、この離間寸法と前記ベース1の厚み寸法との整合に困難がある。
【0005】
具体的に、前記ベース1の厚み寸法を小さめに設定すると、当該ベース1と前記操作パネルの裏面または前記回路基板の表面との間に隙間が生じるおそれがある。この隙間は弾性材をその厚み方向にがたつかせ、その押圧変位部6を媒介とする押圧操作性を低下させる。逆に、前記ベース1の厚み寸法を大きめに設定すると、当該厚み寸法と前記離間寸法との差が前記ベース1の厚み方向の弾性変形の限界を超えるおそれがある。この場合、無理に操作装置を組付けると、ベース1や他の部品が破損し、あるいは組付不能となるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、操作装置を構成する操作パネルと回路基板との間に容易に組付けることが可能であり、かつ設定寸法も容易な押圧スイッチ用弾性材、及びこれを備えた操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、押圧操作を受ける操作部材が設けられた操作パネルと、この操作パネルの裏側に配置されて基板側接点を有する回路基板との間に設けられ、前記操作部材の押圧操作に伴って前記基板側接点と接触する操作側接点を有する押圧スイッチ用弾性材であって、前記操作パネルの裏面と前記回路基板の表面との間に挟み込まれるベースと、このベースに対して前記操作部材の押圧操作方向に弾性変位可能となるように当該ベースにつながり、当該弾性変位に伴って前記操作側接点を前記基板側接点に接触させることが可能な位置に当該操作側接点が設けられた弾性変位部とを一体に有し、前記ベースは、前記操作パネルの裏面と前記回路基板の表面との間に規定される離間寸法よりも小さい肉厚を有する板状のベース本体と、このベース本体の表側面から部分的に突出する突出部とを有し、この突出部は、当該突出部が存在する部分のベースの厚み方向の寸法を前記離間寸法よりも大きくし、かつ、その寸法差を吸収できる程度に前記ベースの厚み方向に弾性変形が可能な形状を有するものである。
【0008】
この押圧スイッチ用弾性材では、その突出部が形成された位置でのベースの厚み方向の寸法が操作パネルの裏面と回路基板の表面との離間寸法よりも大きいため、当該突出部が弾性変形した状態で当該ベースががたつくことなく安定した状態で当該操作パネルと当該回路基板との間に挟持される。しかも、前記突出部は前記ベース本体から部分的に突出するものであるため、その弾性変形が可能な量はベース全体が弾性変形可能な量よりも大きく、その分、前記離間寸法のばらつきをより広範囲にわたって吸収することが可能である。このことは、当該押圧スイッチ用弾性材の寸法管理を容易にする。
【0009】
前記突出部には、その裏側に空洞が形成されたものが含まれ、この空洞が形成された部分でのベースの肉厚がベース本体の肉厚より小さいことが、より好ましい。この空洞が形成された部分の肉厚が減少することは、当該部分(前記突出部が形成されている部分)のベースの厚み方向の弾性変形可能な量を増やし、その分、弾性材の寸法管理をより容易にする。
【0010】
さらに、前記空洞が形成された部分でのベースの肉厚が前記ベース本体からの前記突出部の突出寸法より小さいものであれば、その部分の弾性変形可能な量は著しく増大する。
【0011】
前記突出部は、前記ベース本体の表面上に並ぶ複数の位置にそれぞれ形成されていることが、好ましい。このような突出部の分散配置は、操作パネルと回路基板とによる押圧スイッチ用弾性材の挟持状態をより安定させる。
【0012】
この場合、前記各突出部が形成される位置には、前記弾性変位部の周囲に並ぶ複数の位置が含まれることが、より好ましい。これらの位置に突出部が存在することは、前記弾性変位部の動作をより安定させる。
【0013】
また本発明は、押圧操作を受ける操作部材を含む操作装置であって、前記操作部材が設けられた操作パネルと、この操作パネルの裏側に配置されて基板側接点を有する回路基板と、前記操作パネルと前記回路基板との間に設けられる前記の押圧スイッチ用弾性材とを備え、前記押圧スイッチ用弾性材のベースのベース本体の厚み寸法が前記操作パネルの裏面と前記回路基板の表面との間に規定される離間寸法よりも小さく、当該ベースの突出部は、当該突出部が存在する部分のベースの厚み寸法が前記離間寸法よりも大きく、かつ、その寸法差を吸収できる程度に前記突出部が前記ベースの厚み方向に弾性変形可能である形状を有するものである。
【0014】
この操作装置では、前記押圧スイッチ用弾性材の適用により、当該弾性材の厚み寸法や前記操作パネルと前記回路基板との離間寸法の設定が容易になる。
【0015】
この場合、前記操作パネルは、前記突出部に対応する位置で局所的にパネル裏側に突出し、当該突出部を押圧する押圧面をもつ押圧部を有し、その押圧面は前記突出部の外形よりも小さい形状を有するものが、好適である。このような小面積の押圧面は、前記突出部よりも大きくてその全体を押圧する面に比べて当該突出部をより圧縮弾性変形させ易く、その分寸法許容範囲を拡大する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、操作パネルと回路基板との間に押圧スイッチ用弾性材を挟み込むことによって、その取付を簡易に行うことができる。しかも、当該押圧スイッチ用弾性材に部分的に形成された突出部の弾性変形が、当該押圧スイッチ用弾性材の厚み寸法及び前記操作パネルと前記回路基板との離間寸法の許容範囲を拡大し、その寸法管理を容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1及び図2に示される操作装置は、自動車の車室内等に設けられるもので、操作パネル10と、操作部材に相当する複数の操作ボタン20A,20B,20C,20D,20Eと、装飾用リング30と、回路基板40と、押圧スイッチ用弾性材50と、導光材60とを備える。
【0019】
前記操作パネル10は、本体パネル10Aと保持パネル10Bとを有する。本体パネル10Aは、前記車室内等に臨むように配置される。この本体パネル10Aには、操作部用窓12が設けられる。この操作部用窓12の内側に、前記操作ボタン20A〜20E及び前記装飾用リング30が配設され、これらが前記保持パネル10Bにより保持される。この保持パネル10Bは図略の構造により前記本体パネル10Aの適所に固定される。
【0020】
前記各操作ボタン20A〜20Eは、前記回路基板40と押圧スイッチ用弾性材50とにより構成される押圧スイッチをオンにするために押圧操作を受けるもので、パネル表面に露出して奥行き方向(図2では下方向)に押圧操作を受けることが可能なボタン本体22と、このボタン本体22からその押圧操作方向に延びる押圧部24とを有する。この実施の形態では、各ボタン本体22はキャップ状をなす。具体的には、押圧操作を受ける被操作壁22aと、当該被操作壁22aから前記押圧操作方向に延びる側壁22bとを有する。
【0021】
一方、前記保持パネル10Bには前記各側壁22bがパネル表側(図2では上側)から挿入可能な案内溝14が形成される。そして、これらの案内溝14に前記各側壁22bが挿入された状態で、各操作ボタン20A〜20Eがその押圧操作方向に案内されるように前記保持パネル10Bに保持される。
【0022】
前記操作ボタン20A〜20Eのうち、図1に示すようにパネル正面側から見て(図2では上側から見て)操作ボタン20Aは小さな円形をなし、残りの操作ボタン20B〜20Eは前記操作ボタン20Aの周囲を取り巻くように配置される。これら操作ボタン20B〜20Eの外周縁は全体として大きな円形をなし、当該外周縁をさらに取り巻くように前記装飾用リング30が配置される。
【0023】
この装飾用リング30は、筒状のリング本体32と、このリング本体32の表側端(図2では上端)から外向きに突出する反射部34とを有し、前記リング本体32が前記保持パネル10Bに保持される。この装飾用リング30は、合成樹脂等の母体と、その表面に施された金属光沢を有するめっき(例えば三価クロムめっき)とからなる。
【0024】
前記回路基板40は、前記本体パネル10Aと略平行な姿勢で前記操作パネル10の裏側に配置され、前記押圧スイッチ用弾性材50とともに複数の押圧スイッチを構成する。具体的に、この回路基板40の表面上には複数の基板側接点42が設けられ、これらの基板側接点42は前記各操作ボタン20A〜20Eの押圧部24に対応する位置に配せられている。
【0025】
なお、この実施の形態では、前記回路基板40上に複数の照明用光源44が実装されている。これらの光源44は、前記操作部を構成する装飾用リング30の周縁を間接的に照明するためのものであり、前記装飾用リング30に沿う位置に設けられている。当該光源44から発せられた光は、前記装飾用リング30の反射部34と回路基板40との間に介在する前記導光材60によって前記反射部34の裏面に導かれ、当該裏面で装飾用リング30の径方向外側に反射する。当該装飾用リング30の径方向外側の位置には、前記本体パネル10Aの表面により構成されたパネル反射面13が存在し、このパネル反射面13が前記光をパネル表面側に反射させて照明光として提供する。
【0026】
前記回路基板40は、この実施の形態では、前記本体パネル10Aに形成された保持片17(図2)によって当該本体パネル10A側に保持される。この保持片17は、本体パネル10Aの下面から下方に延び、その先端に係止爪17aを有する。また、この保持片17の途中部分からは押え片17bが分岐する。これに対し、前記回路基板40には前記係止爪17aが通過可能な貫通孔47が設けられ、この貫通孔47の周縁の下面に前記係止爪17aが前記本体パネル10Aと反対の側(図2では下側)に圧接すると同時に、前記押え片17bが前記貫通孔47の周縁の上面に圧接することにより、回路基板40が本体パネル10Aに保持される。
【0027】
前記押圧スイッチ用弾性材50は、ゴムなどの弾性材により全体が一体に成形されたもので、板状のベース52と、複数の弾性変位部54とを有する。
【0028】
前記ベース52は、前記操作パネル10と前記回路基板40との間に挟み込まれることによりこれらの間に固定される。このベース52には、前記基板側接点42を表側に露出させるように位置する複数の円形の貫通孔が設けられ、各貫通孔の内側の領域に前記各弾性変位部54が位置する。
【0029】
各弾性変位部54は、略円柱状をなし、前記基板側接点42と対向する底面を有する。この底面に操作側接点56が設けられている。各弾性変位部54の外周面は薄肉部53を介して前記ベース52における各貫通孔の周縁部につながっている。当該薄肉部53は、無変形の状態では、前記操作側接点56と前記基板側接点42とが互いに離間するような位置に前記弾性変位部54を保持する一方、前記押圧部24から前記弾性変位部54に回路基板40側への押圧操作力が与えられると弾性変形する。この弾性変形により、前記押圧操作方向への弾性変位部54の弾性変位が許容され、両接点56,42同士が接触する。この接触により、両接点56,42を含む押圧スイッチがオンに切換えられる。
【0030】
この実施の形態では、前記押圧部24の先端部から前記押圧操作方向と直交する方向(すなわち回路基板40と平行な方向)に被係止部26が突出し、この被係止部26が前記押圧部24の先端とともに押圧面を構成する。一方、前記保持パネル10Bからは前記回路基板40側に向かって撓み片16が延び、この撓み片16の先端が前記被係止部26に対して前記回路基板40と反対の側から当接することにより、各操作ボタン20A〜20Eの戻り位置(押圧操作が解除されたときの復帰位置)を規定している。
【0031】
前記スイッチ用弾性材50のベース52は、その特徴として、板状のベース本体52aと、このベース本体52aの表側面から部分的に突出する複数の突出部52b及び複数の突出部52cとを一体に有する。
【0032】
前記各突出部52bは、図1に示されるように、前記操作ボタン20A〜20Eの周囲に並ぶ複数の位置に形成されており、パネル正面からみて円形をなしている。また、前記各突出部52cは、本体パネル10Aの裏側の適当な位置にそれぞれ形成され、パネル正面からみて矩形状をなしている。
【0033】
前記各突出部52b,52cの裏側には図3及び図4にそれぞれ示すような空洞55が形成されている。この空洞55は、ベース本体52aの肉厚よりも大きな高さ寸法を有しており、当該突出部52bの肉厚を当該突出部52bのベース本体52aからの突出量よりも小さくしている。
【0034】
一方、図3に示すように、前記突出部52bと対向する保持パネル10Bの裏面からは当該突出部52bに向かって押圧部15が突出する。この押圧部15は、この実施の形態では円柱状をなし、その端面が前記突出部52bを押圧する押圧面に相当しており、この押圧面は前記突出部52bよりも一回り小さい外形を有している。また、図4に示すように、前記突出部52cに対しては前記本体パネル10Aの裏面がそのまま圧接する。
【0035】
前記のように保持片17が前記回路基板40を保持することにより、前記保持パネル10Bにおける押圧部15の押圧面と前記回路基板40との間の離間寸法db(図3)及び、前記本体パネル10Aの裏面と前記回路基板40との間の離間寸法da(図4)がそれぞれ定められる。そして、当該離間寸法db,daと前記ベース52の厚み方向の寸法との関係において前記押圧スイッチ用弾性材50の形状に次のような著しい特徴が存在する。
【0036】
まず、前記ベース本体52aは、前記離間寸法db,daよりも小さい肉厚を有する。一方、前記突出部52bが存在する部分のベース52の厚み方向の寸法tb(図3)は前記離間寸法dbよりも大きく、その寸法差を吸収できる程度に前記突出部52bが前記ベース52の厚み方向に弾性変形することが可能な形状を有している。同様に、前記突出部52cが存在する部分のベース52の厚み方向の寸法ta(図4)は前記離間寸法daよりも大きく、その寸法差を吸収できる程度に前記突出部52cが前記ベース52の厚み方向に弾性変形することが可能な形状を有している。
【0037】
なお、図3及び図4では便宜上、各突出部52b,52cの形状として弾性変形前の形状がそのまま描かれているため、当該突出部52b,52cの外形とパネル10B,10Aの裏面の外形とが重複しているが、実際はその重複分(前記寸法差の分)を吸収するように当該突出部52b,52cが変形している。
【0038】
この押圧スイッチ用弾性材50では、前記突出部52b,52cが形成された位置でのベースの厚み方向の寸法tb,taが、当該位置において規定される操作パネル10の裏面と回路基板40の表面との離間寸法db,daよりも大きいため、当該突出部52b,52cが操作パネル10からの押圧(押圧部15からの押圧または本体パネル10Aの裏面からの押圧)を受けて弾性変形した状態で当該ベース52ががたつくことなく安定した状態で当該操作パネル10と当該回路基板40との間に挟持される。しかも、前記突出部52b,52cは、前記離間寸法db,daよりも小さな肉厚を有するベース本体52aから部分的に突出するものであるため、その弾性変形が可能な量はベース52全体が弾性変形可能な量よりも大きく、その分、前記離間寸法db,daのばらつきをより広範囲にわたって吸収することが可能である。これにより、当該押圧スイッチ用弾性材50の寸法管理が著しく容易化される。
【0039】
さらに、この実施の形態では、前記突出部52b,52cの裏側に空洞55が形成され、この空洞55が形成された部分でのベース52の肉厚がベース本体52aの肉厚より小さいため、当該空洞55が形成されていない場合よりもベース52の厚み方向の弾性変形可能な量が大きく、このことは、弾性材50の寸法管理をより容易にしている。特に、図3及び図4に示されるように前記空洞50が形成された部分でのベース52の肉厚(すなわち突出部52b,52cの肉厚)が当該突出部52b,52cのベース本体52aからの突出寸法よりも小さい構造においては、当該突出部52b,52cの弾性変形可能な量が著しく増大することとなる。
【0040】
さらに、図3に示すようなベース52の形状は、当該突出部52bの弾性変位量をより増大させることが可能である。すなわち、同図に示されるベース52は、空洞55を囲む内周縁から当該空洞55の内側に向かって延びるリング状の薄肉片52eを有し、その薄肉片52eの内周端から前記突出部52bが保持パネル10B側に突出するものであるため、当該薄肉片52eの撓みが前記突出部52bの弾性変位量をさらに増加する。
【0041】
また、前記各突出部52bは、前記押圧スイッチを構成する弾性変位部54の周囲に並ぶ位置にそれぞれ存在するので、当該弾性変位部54の近傍におけるベース52の厚み方向の変位を有効に抑えることができ、これにより、当該弾性変位部54の動作をより安定させることが可能である。
【0042】
さらに、前記各突出部52bを押圧する保持パネル10Bの押圧部15の押圧面は、当該突出部52bの外形よりも小さい外形を有するから、当該押圧に伴う突出部52bの弾性変形量を増大させることができる。このことは、寸法の許容範囲を拡大し、また弾性材50のより安定した保持を可能にする。
【0043】
なお、本発明において突出部の具体的な形状や位置は限定されない。例えば、当該突出部は特定領域を囲むような突条であってもよい。また、図5に示す突出部52dのように、ベース本体52aから操作パネル10側に向かって膨出する舌片状のものであってもよい。
【0044】
また、前記回路基板40の位置を固定する手段、すなわち、当該回路基板40の表面と操作パネル10との離間寸法を規定する手段も特に限定されない。例えば図6に示すような固定用ねじ58により回路基板40と操作パネル10とが締結される構造であってもよい。図において、操作パネル10の裏面から回路基板40に向かって筒状の支持部18が突出し、この支持部18の中心軸上にねじ孔18aに対し、回路基板40に設けられた貫通孔48を通じて固定用ねじ58が挿入され、ねじ込まれる。
【0045】
この構造では、前記支持部18の突出寸法が回路基板40の表面と操作パネル10の裏面との離間寸法dに相当する。従って、押圧スイッチ用弾性材のベース52の形状は、そのベース本体52aの肉厚が前記離間寸法dよりも小さく、かつ、突出部52bが形成されている部分の厚み方向の寸法tが前記離間寸法dより小さければよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る操作装置の正面図である。
【図2】前記操作装置の内部構造を示す断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】突出部の形状の変形例を示す断面図である。
【図6】回路基板の固定構造の変形例を示す断面図である。
【図7】従来の押圧スイッチ用弾性材の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 操作パネル
10A 本体パネル
10B 保持パネル
20A〜20E 操作ボタン(操作部材)
40 回路基板
42 基板側接点
50 押圧スイッチ用弾性材
52 ベース
52a ベース本体
52b〜52d 突出部
54 弾性変位部
55 空洞
56 操作側接点
db,da,d 操作パネルと回路基板との離間寸法
tb,ta,t 突出部が形成された部分のベースの厚み方向の寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作を受ける操作部材が設けられた操作パネルと、この操作パネルの裏側に配置されて基板側接点を有する回路基板との間に設けられ、前記操作部材の押圧操作に伴って前記基板側接点と接触する操作側接点を有する押圧スイッチ用弾性材であって、
前記操作パネルの裏面と前記回路基板の表面との間に挟み込まれるベースと、
このベースに対して前記操作部材の押圧操作方向に弾性変位可能となるように当該ベースにつながり、当該弾性変位に伴って前記操作側接点を前記基板側接点に接触させることが可能な位置に当該操作側接点が設けられた弾性変位部とを一体に有し、
前記ベースは、前記操作パネルの裏面と前記回路基板の表面との間に規定される離間寸法よりも小さい肉厚を有する板状のベース本体と、このベース本体の表側面から部分的に突出する突出部とを有し、この突出部は、当該突出部が存在する部分のベースの厚み方向の寸法を前記離間寸法よりも大きくし、かつ、その寸法差を吸収できる程度に前記ベースの厚み方向に弾性変形が可能な形状を有することを特徴とする押圧スイッチ用弾性材。
【請求項2】
請求項1記載の押圧スイッチ用弾性材において、前記突出部には、その裏側に空洞が形成されたものが含まれ、この空洞が形成された部分のベースの肉厚がベース本体の肉厚より小さいことを特徴とする押圧スイッチ用弾性材。
【請求項3】
請求項2記載の押圧スイッチ用弾性材において、前記空洞が形成された部分でのベースの肉厚が前記ベース本体からの前記突出部の突出寸法より小さいことを特徴とする押圧スイッチ用弾性材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の押圧スイッチ用弾性材において、前記突出部が前記ベース本体の表面上に並ぶ複数の位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする押圧スイッチ用弾性材。
【請求項5】
請求項4記載の押圧スイッチ用弾性材において、前記各突出部が形成される位置には、前記弾性変位部の周囲に並ぶ複数の位置が含まれることを特徴とする押圧スイッチ用弾性材。
【請求項6】
押圧操作を受ける操作部材を含む操作装置であって、
前記操作部材が設けられた操作パネルと、
この操作パネルの裏側に配置されて基板側接点を有する回路基板と、
前記操作パネルと前記回路基板との間に設けられる請求項1〜5のいずれかに記載の押圧スイッチ用弾性材とを備え、
前記押圧スイッチ用弾性材のベースにおけるベース本体の肉厚が前記操作パネルの裏面と前記回路基板の表面との間に規定される離間寸法よりも小さく、
当該ベースの突出部は、当該突出部が存在する部分のベースの厚み方向の寸法を前記離間寸法よりも大きくし、かつ、その寸法差を吸収できる程度に前記突出部が前記ベースの厚み方向に弾性変形可能である形状を有することを特徴とする操作装置。
【請求項7】
請求項6記載の操作装置において、
前記操作パネルは、前記突出部に対応する位置で局所的にパネル裏側に突出する押圧部を含み、この押圧部は当該突出部を押圧する押圧面を有し、その押圧面は前記突出部の外形よりも小さい形状を有することを特徴とする操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−193717(P2009−193717A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30643(P2008−30643)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】