説明

押釦スイッチ付き回転式電子部品及びその組み立て方法

【課題】小型化が図れ、組み立てが容易な押釦スイッチ付き回転式電子部品及びその組み立て方法を提供する。
【解決手段】回転つまみ20を回転することで第1回路基板150の回路パターン153の電気的出力を変化させる回転式電子部品10を基台60上に取り付けるとともに、基台60を取付台90に上下動自在に取り付け、回転つまみ20をその真上から半径方向に押圧して基台60を含む回転式電子部品10全体を取付台90に対して下降させることで第2回路基板170のスイッチ180を押圧部73によって押圧する。第1回路基板150と第2回路基板170とを連結部160を介してフレキシブル回路基板140に一体に形成する。取付台90にはスイッチ挿入部113を設け、スイッチ挿入部113に第2回路基板170のスイッチ180を取付板190と共にスライド挿入することでスイッチ180を押圧部73に対向する位置に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式スイッチ等の回転式電子部品に押釦スイッチの機能を設けた押釦スイッチ付き回転式電子部品及びその組み立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転式スイッチの回転つまみを回転することによってそのスイッチの切り換えを行うと共に、回転つまみを回転しないで半径方向に押し込むことで別の押釦スイッチをオンオフ操作する構造の押釦スイッチ付き回転式電子部品がある。図6はこの種従来の押釦スイッチ付き回転式電子部品500の概略断面図である(特許文献1参照)。同図に示す押釦スイッチ付き回転式電子部品500は、取付台510に上下動自在に基台520を取り付け、基台520の一方の面にフレキシブル回路基板からなる第1回路基板530を取り付け、基台520の第1回路基板530を取り付けた面から軸521を突出してこの軸521に回転つまみ540を回転自在に取り付け、その際回転つまみ540に取り付けた摺動子545を前記第1回路基板530に設けた摺接パターン(図示せず)に摺接させ、一方取付台510の下部に設置したフレキシブル回路基板からなる第2回路基板550に設けたスイッチ560上に前記基台520の下部に設けた押圧部523を当接させて構成されている。ここで前記第1回路基板530と回転つまみ540と摺動子545とによって回転式電子部品505が構成される。そして回転つまみ540を回転すれば摺動子545が第1回路基板530に設けた摺接パターンに摺接してその電気的出力を変化する。一方回転つまみ540をその半径方向に押圧すれば、基台520を含む回転式電子部品505全体が取付台510に対して下降することでその押圧部523がスイッチ560を押圧してこれをオンする。
【0003】
しかしながら上記従来の押釦スイッチ付き回転式電子部品500には、以下のような問題点があった。
(1)上記押釦スイッチ付き回転式電子部品500では、部品点数削減のため、第1回路基板530と第2回路基板550とを同一のフレキシブル回路基板に一体に設けているが、その際、両者を連結する帯状の連結部を、押釦スイッチ付き回転式電子部品500の側部の方向(図6の紙面手前又は奥方向)に引き出す必要が生じる。しかしながら近年の電子機器の小型化の要求で、この押釦スイッチ付き回転式電子部品500の側部に接近して別の電子部品が設置される等のため、前記連結部の外部への引き出しが困難になっている。
【0004】
(2)上記押釦スイッチ付き回転式電子部品500の組み立ては、その構造上、まず基台520に回転式電子部品505を組み付け、且つ第2回路基板550にスイッチ560を取り付けておき、次に第2回路基板550を取付台510に固定してから基台520を取付台510に上下動自在に取り付けることとなる。この順番で組み立てるのは、もし回転式電子部品505を取り付けた基台520を取付台510に取り付けた後に取付台510に第2回路基板550を取り付けようとすると、回転式電子部品505が障害となって第2回路基板550の取付台510への取り付けが困難になるからである。しかしながら、第2回路基板550の取付台510への取付作業は、前述のように第1回路基板530と第2回路基板550とが連結部で連結されているので、第2回路基板550を取付台510に取り付ける際、その近傍に連結部で連結された回転式電子部品505及び基台520が常に位置し、第2回路基板550の取り付け作業の邪魔になっていた。この問題は取付台510が小型化すればするほど大きくなり、また連結部が短くなればなるほど大きくなる。
【特許文献1】特開2000−3641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、小型化が図れ、小型化してもその組み立てが容易に行える押釦スイッチ付き回転式電子部品及びその組み立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の発明は、回転つまみを回転することでこの回転つまみの回転軸方向に隣接して設置した第1回路基板の回路パターンの電気的出力を変化させる回転式電子部品を基台上に取り付けるとともに、前記基台を取付台に上下動自在に取り付け、回転つまみをその半径方向に押圧して基台を含む回転式電子部品全体を取付台に対して下降させることで前記基台に設けた押圧部によってこの押圧部に対向して取付台に設置した第2回路基板のスイッチを押圧する構造の押釦スイッチ付き回転式電子部品において、前記第1回路基板と第2回路基板とを連結部を介してフレキシブル回路基板に一体に形成し、前記取付台には前記第2回路基板に設けたスイッチを挿入することでこのスイッチを前記基台の押圧部に対向する位置に設置させるスイッチ挿入部を設けたことを特徴とする押釦スイッチ付き回転式電子部品にある。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、前記第2回路基板には、この第2回路基板のスイッチと共に、前記取付台のスイッチ挿入部内に挿入される取付部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ付き回転式電子部品にある。
【0008】
本願請求項3に記載の発明は、前記基台には前記フレキシブル回路基板の連結部を挿通する挿通部を設け、前記第1回路基板を基台の基板取付面に取り付けると共に、その連結部を前記挿通部に挿通して第2回路基板のスイッチを前記押圧部に対向する取付台上に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の押釦スイッチ付き回転式電子部品にある。
【0009】
本願請求項4に記載の発明は、回転つまみを回転することでこの回転つまみの回転軸方向に隣接して設置した第1回路基板の回路パターンの電気的出力を変化させる回転式電子部品を基台上に取り付けるとともに、前記基台を取付台に上下動自在に取り付け、回転つまみをその半径方向に押圧して基台を含む回転式電子部品全体を取付台に対して下降させることで前記基台に設けた押圧部によってこの押圧部に対向して取付台に設置した第2回路基板のスイッチを押圧する構造の押釦スイッチ付き回転式電子部品の組立て方法において、前記第1回路基板と第2回路基板を連結部を介して一体に形成してなるフレキシブル回路基板を用意し、前記第1回路基板を前記回転つまみと共に前記基台に取り付けることで回転式電子部品を組み立てる工程と、前記基台を前記取付台に上下動自在に取り付ける工程と、前記取付台に設けたスイッチ挿入部に前記第2回路基板に設けたスイッチを挿入設置することで前記基台の押圧部に対向する位置に前記スイッチを設置する工程と、を具備することを特徴とする押釦スイッチ付き回転式電子部品の組み立て方法にある。
【0010】
本願請求項5に記載の発明は、前記取付台に設けたスイッチ挿入部への前記第2回路基板に設けたスイッチの挿入設置は、予め前記第2回路基板に取付部材を取り付けておき、この取付部材を取り付けた第2回路基板のスイッチを、取付台に設けた挿入口からスライド挿入することで行うことを特徴とする請求項4に記載の押釦スイッチ付き回転式電子部品の組み立て方法にある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、取付台に第2回路基板に設けたスイッチを直接固定するのではなく、第2回路基板に設けたスイッチを取付台に設けたスイッチ挿入部に挿入することでその設置を行うので、取付台へのスイッチの組み付けが容易になり、たとえこの押釦スイッチ付き回転式電子部品を小型化してもその組み立てが容易に行えるようになる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第2回路基板に取付部材を取り付けたので、取付台のスイッチ挿入部内にスイッチを容易に挿入することができるようになり、従ってさらにこの押釦スイッチ付き回転式電子部品の組み立てが容易に行えるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、基台の基板取付面に取り付けた第1回路基板に接続されている連結部を基台に設けた挿通部に挿通して基台の押圧部を設けた面側に第2回路基板を引き出す構造としたので、連結部をこの押釦スイッチ付き回転式電子部品の外部に突出するように引き出す必要がなく、この押釦スイッチ付き回転式電子部品の小型化が図れる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、取付台に第2回路基板に設けたスイッチを直接固定するのではなく、第2回路基板に設けたスイッチを取付台に設けたスイッチ挿入部に挿入設置することでその設置を行うので、取付台へのスイッチの組み付けが容易になり、たとえこの押釦スイッチ付き回転式電子部品を小型化してもその組み立てが容易に行えるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、第2回路基板に取付部材を取り付けたので、取付台の挿入口からスイッチ挿入部内にスイッチを容易にスライド挿入することができるようになり、従ってさらにこの押釦スイッチ付き回転式電子部品の組み立てが容易に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる押釦スイッチ付き回転式電子部品1の分解斜視図であり、図2はこの押釦スイッチ付き回転式電子部品1を図1の反対側から見た分解斜視図である。両図に示すように押釦スイッチ付き回転式電子部品1は、摺動子30を取り付けた回転つまみ20と第1回路基板150とクリック板40と押え板50とからなる回転式電子部品10と、前記回転式電子部品10を取り付ける基台60と、基台60を上下動自在に取り付ける取付台90と、前記第1回路基板150と連結部160を介して連結される第2回路基板170と、第2回路基板170に取り付けられる取付部材(以下この実施形態では「取付板」という)190とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0017】
回転つまみ20は合成樹脂を円板状に成形して構成されており、その中央に貫通孔21を設け、その一方の面(第1回路基板150に対向する側の面)に金属板製の摺動子30を固定し、他方の面に円形凹状のクリック機構収納部27を設けその内底面にリング状の凹凸からなるクリック係合部25を設けて構成されている。摺動子30は弾性金属板製の基部31から複数本の摺動接点33を突出して構成され、基部31の所定位置に設けた小孔に回転つまみ20から突出する小突起状の固定部29を挿入しその先端を熱カシメすることで回転つまみ20に固定される。
【0018】
クリック板40は弾性金属板を略円板状に加工して構成されており、その中央に下記する基台60の軸支突起64先端の長円形状部分を嵌合する長円形の孔からなる嵌合部41を設け、嵌合部41の周囲に一対の円弧状のスリット43を設けることでその外周側に円弧状の一対の弾発アーム45を形成し、各弾発アーム45の中央に回転つまみ20側に向かって突出するように彎曲してなる弾発部47を設けて構成されている。
【0019】
押え板50は合成樹脂を円板状に成形して構成されており、その中央に前記クリック板40の嵌合部41と同一寸法形状の長円形の孔からなる係合部51を設けて構成されている。
【0020】
基台60は合成樹脂を成形することで構成されており、略平板状でその上端辺が円弧状の基板取付部61と、基板取付部61の下部から略直角に屈曲する押圧部取付部81とを一体に設けて構成されている。基板取付部61はその一方の面(回転つまみ20を取り付ける側の面)が第1回路基板150を取り付ける基板取付面63A、他方の面が取付台取付面63Bとなっており、基板取付面63Aの中央に軸支突起64を突出して設け、さらに基板取付面63Aの外周を囲むようにリング状に突出する縁部65が設けられている。基板取付面63Aの下方には一対の小突起からなる基板固定部67が設けられ、その両外側には開口69が設けられている。なお軸支突起64は回転つまみ20の貫通孔21に回転自在に挿入される柱状部分の先端部分に横断面略長円形状の部分(この先端部分に下記するクリック板40の嵌合部41が嵌合して固定される)を設けて構成されている。
【0021】
一方基台60の取付台取付面63Bの上端近傍の中央部分には略T字状に突出するガイド部71が設けられ、またガイド部71の下方には略舌片状に突出する係止片73が設けられ、また係止片73の下側には略舌片状に突出する係合部75が設けられ、また係止片73の左右両側にはそれぞれその先端が内向きにL字状に折り曲げられてなる係合片77が突設されている。ここで前記係合部75の幅は下記する取付台90に設けた孔99の幅とほぼ同一(孔99の幅よりも若干小さい寸法)に形成され、また係止片73の幅は係合部75の幅より小さく形成され、さらに係止片73の下面は先端に向かって係止片73の幅を薄くするテーパ面に形成されている。
【0022】
次に押圧部取付部81の下面中央には、下方向に突出する小突起からなる押圧部74が設けられている。また基板取付部61と押圧部取付部81が接続されている辺の部分には、辺方向に伸びる貫通するスリット状の挿通部75が設けられている。
【0023】
取付台90は、略平板状の基台取付部91と、基台取付部91の下部を基台60側に略直角に折り曲げてなる底部93と、基台取付部91の両側辺を基台60側に略直角に折り曲げてなる側板部95とを一体に成形することで構成されている。基台取付部91の上端辺中央には上下方向に伸びる切り欠きからなるガイド受け部97が設けられ、ガイド受け部97の真下には上下方向に延びる長方形状の貫通する孔99が設けられ、孔99の内部には孔99の下端面から棒状の弾性係止部材101を上方向に向かって突出している。弾性係止部材101の上部には爪形状の係止部103が設けられている。孔99の両側には上下方向に延びる貫通する孔105が設けられており、孔105のそれぞれの孔99側の内側面には上下方向に延びるレール107が設けられている。一方底部93にはその中央部分を凹状に下方向に向けて屈曲させることで基板収納部109を設け、同時に基板収納部109の両側の肩部を基板載置部111とし、これら基板載置部111の面からこの取付台90に取り付けられる基台60の押圧部取付部81の下部に至る略矩形状の空間をスイッチ挿入部113としている。スイッチ挿入部113の下記する第2回路基板170を挿入する側の開口を挿入口113Aとしている。なお基板収納部109とスイッチ挿入部113の基台取付部91側の面は開口115となっている。また側板部95の先端辺95Aの上下からは2本ずつ細い柱状の取付部117が突設されている。
【0024】
第1回路基板150と第2回路基板170と連結部160は1枚のフレキシブル回路基板140に一体に形成されており、第1回路基板150と第2回路基板170の出力は第2回路基板170の外周辺に接続された引出部141から外部に引き出されている。フレキシブル回路基板140は合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルムやポリイミドフイルム等)上に所望の回路パターンを形成して構成されている。そして第1回路基板150は円形であってその中央に前記基台60の軸支突起64を挿入する挿入部151を設け、また第1回路基板150の回転つまみ20を設置する側の面に所望の回路パターン(図2に点線で示している。前記フレキシブル回路基板140上に形成する回路パターンの一部であり、例えば円弧状に形成されたスイッチパターンや抵抗体パターン等の摺接パターンで構成される。)153を設けて構成されている。連結部160の所定位置(前記基台60の基板固定部67に対向する位置)には基板固定部67を挿入する小孔からなる固定部161が設けられている。第2回路基板170は略矩形状であり、その中央にスイッチ180を設置し、またスイッチ180の周囲2ヶ所に小孔からなる取付固定部171を設けて構成されている。スイッチ180は第2回路基板170上に設けた図示しないスイッチパターン上に可動接点板となる反転板181を取り付けて構成されている。スイッチパターンは前記反転板181の外周辺が当接するスイッチパターンと反転板181の中央に対向する位置に設置されるスイッチパターンとで構成され、反転板181を押圧することでその下面中央を中央のスイッチパターンに当接して両スイッチパターンを導通することでオンする。なおスイッチ180はこの構造のものに限定されず、例えばメンブレンスイッチ(2枚のフレキシブル回路基板を重ね合わせて両フレキシブル基板の対向する位置に設けた接点パターンを所定の隙間を介して対向して構成したもの)で構成しても良い等、種々の変更が可能である。
【0025】
取付板190は合成樹脂を略矩形平板状に成形して構成されており、その外形は前記第2回路基板170よりも少し大きい外形を有し、その長手方向(この取付板190を取付台90に挿入していく方向に垂直な方向)の幅寸法は前記取付台90のスイッチ挿入部113の長手方向の幅寸法(即ち両側板部95の対向する内側面間の幅寸法)と略同一の幅寸法に形成され、またその短手方向(この取付板190を取付台90に挿入していく方向)の幅寸法は前記取付台90のスイッチ挿入部113の短手方向の幅寸法と略同一に形成されている。つまり取付板190はスイッチ挿入部113にぴったり収納される外形寸法に形成されている。取付板190の上面の前記第2回路基板170の取付固定部171に対向する位置(2ヶ所)には取付固定部171を挿入される小孔からなる取付部191が設けられている。
【0026】
押釦スイッチ付き回転式電子部品1の組み立ては、予め第2回路基板170に取付板190を取り付け、一方基台60の基板取付部61に第1回路基板150等からなる回転式電子部品10を組み付け、その後これら基台60と第2回路基板170とをそれぞれ取付台90に装着することによって行う。以下具体的に説明する。第2回路基板170への取付板190の取り付けは、第2回路基板170の下面に取付板190を当接し、その際取付板190の各取付部191を第2回路基板170の各取付固定部171に挿入し、各取付部191の先端を熱カシメすることによって行う。一方基台60への回転式電子部品10の組み付けは、まず取付板190を取り付けた第2回路基板170を基台60の押圧部取付部81の押圧部74を設けた面側に配置した状態で、第1回路基板150を基台60の挿通部75に通して基板取付面63A上に載置する。その際基台60の軸支突起64を第1回路基板150の挿入部151に挿入し、同時に基台60の基板固定部67を連結部160の固定部161に挿入し、基板固定部67の先端を熱カシメすることで第1回路基板150を基台60に固定する。なお前記取付部191の熱カシメと基板固定部67の熱カシメとは、連結部160を基台60の挿通部75に通して平面状にした第1,第2回路基板150,170に対して同時に行っても良い。また逆に基板固定部67の熱カシメ(さらには基台60への回転つまみ20等の組み付け)を取付部191の熱カシメよりも先に行っても良い。そして第1回路基板150の挿入部151に挿通した軸支突起64を回転つまみ20の貫通孔21とクリック板40の嵌合部41と押え板50の係合部51に挿入し、押え板50から突出した軸支突起64の先端を熱カシメすれば、回転式電子部品10の取付台60への組み付けが完了し、図3に示すように、回転式電子部品10を組み付けた基台60と取付板190を取り付けた第2回路基板170とを連結部160によって連結した状態となる。
【0027】
そして図3に示す状態からまず取付台90に基台60を取り付けるには、図4(a)に示すように、基台60の取付台取付面63Bを取付台90の基台取付部91のこれに対向する面に当接又は接近する。その際基台60のガイド部71を取付台90のガイド受け部97の上方に位置させ、同時に基台60の係止片73を取付台90の係止部103の上方に位置させ、同時に基台60の係合片77(図1参照)を取付台90の孔105内に挿入してレール107の上方に位置させる。そして取付台90に対して基台60を接近した位置のまま下降させれば、基台60の係合片77が取付台90のレール107に係合され、同時に基台60のガイド部71が取付台90のガイド受け部97に挿入され、基台60の係止片73と取付台90の係止部103とが弾性係止部材101が撓むことでスナップイン係合し、図4(b)に示す状態となる。つまりこの実施形態の場合、回転式電子部品10を取り付けた基台60の取付台取付面63Bを取付台90の基台取付部91の一方の面に向けて移動して接近させた後に少し下降してスナップイン係合することで、この基台60を取付台90にワンタッチで容易に取り付けることができる。
【0028】
次に図4(b)に示す状態から取付台90のスイッチ挿入部113に、取付板190を取り付けた第2回路基板170及びスイッチ180をその挿入口113A側から挿入し、スイッチ180の真上に押圧部74を設置する。これによって図5に示す押釦スイッチ付き回転式電子部品1が完成する。なおスイッチ挿入部113に挿入して収納した取付板190を取り付けた第2回路基板170がスイッチ挿入部113から飛び出さないようにするため、図5に点線で示すカバー(金属板でも合成樹脂板でも良い)200を取付台90の側板部95の先端辺95Aの部分に取り付け、カバー200に設けた図示しない貫通孔に取付台90の取付部117を挿入してその先端を熱カシメによって固定し、挿入口113Aをカバー200で塞ぐ。なおこのとき取付台90に設けた基板収納部109には必要に応じてフレキシブル回路基板140の弛んだ部分(この実施形態では引出部141の部分)を収納する。なお上記組み立て方法では基台60を第2回路基板170等よりも先に取付台90に取り付けたが、その逆に取付板190を取り付けた第2回路基板170及びスイッチ180を先に取付台90に挿入して取り付けても良い。
【0029】
そして回転つまみ20を回転すれば、摺動子30がこの回転つまみ20の回転軸方向に隣接して設置した第1回路基板150上の回路パターン153上を摺動してその電気的出力(例えば抵抗値の出力やオンオフ状態の出力)が変化する。なお回転つまみ20の回転時にはクリック板40の弾発部47が回転つまみ20のクリック係合部25に係合離脱してクリック感覚を生じる。一方回転つまみ20を真上方向(半径方向)、即ち図5に示す回転つまみ20の最も上部の部分を真下に向かって押圧すると、基台60を含む回転式電子部品10全体が取付台90に対して真下にスライド移動(下降)して押圧部74がこの押圧部74に対向して取付台90に設置した第2回路基板170の反転板181を押圧してスイッチ180をオンする。
【0030】
以上のように本実施形態によれば、第2回路基板170を直接取付台90に固定するのではなく、第2回路基板170に設けたスイッチ180を取付台90に設けたスイッチ挿入部113に挿入することでその設置を行うので、取付台90へのスイッチ180の組み付けが容易になり、たとえこの押釦スイッチ付き回転式電子部品1を小型化してもその組み立てが容易に行えるようになる。特にこの実施形態においては、第2回路基板170にこれを補強する取付板190を取り付けたので、取付台90のスイッチ挿入部113内にスイッチ180を容易に挿入することができるようになり、従ってさらにこの押釦スイッチ付き回転式電子部品1の組み立てが容易に行えるようになる。言い換えれば、たとえ第1,第2回路基板150,170が一体であってしかも小型化のために連結部160の長さを短くしたとしても、回転式電子部品10を取り付けた基台60の取付台90への取り付けと、第2回路基板170に設けたスイッチ180の取付台90への取り付けとを容易に行うことができる。
【0031】
また基台60の基板取付面63Aに取り付けた第1回路基板150に接続されている連結部160を基台60に設けた挿通部75に挿通して基台60の押圧部74を設けた面側に第2回路基板170を引き出す構造としたので、連結部160をこの押釦スイッチ付き回転式電子部品1の外部に突出するように引き出す必要がなく、この押釦スイッチ付き回転式電子部品1の小型化が図れる。
【0032】
またこの実施形態では、基台60の取付台取付面63Bを取付台90の基板取付部91の面に向かって接近するように移動して組み付けるが、取付板190を取り付けたスイッチ180もこれと同じ方向からスイッチ挿入部113に向かって挿入して組み付けるので、何れの組み付け方向も同一で、その組み立てが容易になり、また連結部160の長さもより短くて済む。
【0033】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば基台60を取付台90に上下動自在に取り付ける構造は上記実施形態の構造に限定されず、他の種々構造であっても良い。なお上記実施形態では取付台90の底部93に基板収納部109を設けたが、この基板収納部109は省略しても良い。また第2回路基板170に取り付ける取付板190の形状、構造、材質は種々の変更が可能であり、第2回路基板170のスイッチ180と共に取付台90に設けた挿入口113Aからスイッチ挿入部113内にスライド挿入されて設置されるものであればどのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】押釦スイッチ付き回転式電子部品1の分解斜視図である。
【図2】押釦スイッチ付き回転式電子部品1を図1の反対側から見た分解斜視図である。
【図3】押釦スイッチ付き回転式電子部品1の組立方法説明図である。
【図4】押釦スイッチ付き回転式電子部品1の組立方法説明図である。
【図5】押釦スイッチ付き回転式電子部品1の概略断面図である。
【図6】従来の押釦スイッチ付き回転式電子部品500の概略断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 押釦スイッチ付き回転式電子部品
10 回転式電子部品
20 回転つまみ
30 摺動子
40 クリック板
50 押え板
60 基台
63A 基板取付面
63B 取付台取付面
74 押圧部
75 挿通部
81 押圧部取付部
90 取付台
113 スイッチ挿入部
113A 挿入口
140 フレキシブル回路基板
150 第1回路基板
153 回路パターン
160 連結部
170 第2回路基板
180 スイッチ
190 取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転つまみを回転することでこの回転つまみの回転軸方向に隣接して設置した第1回路基板の回路パターンの電気的出力を変化させる回転式電子部品を基台上に取り付けるとともに、前記基台を取付台に上下動自在に取り付け、回転つまみをその半径方向に押圧して基台を含む回転式電子部品全体を取付台に対して下降させることで前記基台に設けた押圧部によってこの押圧部に対向して取付台に設置した第2回路基板のスイッチを押圧する構造の押釦スイッチ付き回転式電子部品において、
前記第1回路基板と第2回路基板とを連結部を介してフレキシブル回路基板に一体に形成し、
前記取付台には前記第2回路基板に設けたスイッチを挿入することでこのスイッチを前記基台の押圧部に対向する位置に設置させるスイッチ挿入部を設けたことを特徴とする押釦スイッチ付き回転式電子部品。
【請求項2】
前記第2回路基板には、この第2回路基板のスイッチと共に、前記取付台のスイッチ挿入部内に挿入される取付部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ付き回転式電子部品。
【請求項3】
前記基台には前記フレキシブル回路基板の連結部を挿通する挿通部を設け、
前記第1回路基板を基台の基板取付面に取り付けると共に、その連結部を前記挿通部に挿通して第2回路基板のスイッチを前記押圧部に対向する取付台上に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の押釦スイッチ付き回転式電子部品。
【請求項4】
回転つまみを回転することでこの回転つまみの回転軸方向に隣接して設置した第1回路基板の回路パターンの電気的出力を変化させる回転式電子部品を基台上に取り付けるとともに、前記基台を取付台に上下動自在に取り付け、回転つまみをその半径方向に押圧して基台を含む回転式電子部品全体を取付台に対して下降させることで前記基台に設けた押圧部によってこの押圧部に対向して取付台に設置した第2回路基板のスイッチを押圧する構造の押釦スイッチ付き回転式電子部品の組立て方法において、
前記第1回路基板と第2回路基板を連結部を介して一体に形成してなるフレキシブル回路基板を用意し、
前記第1回路基板を前記回転つまみと共に前記基台に取り付けることで回転式電子部品を組み立てる工程と、
前記基台を前記取付台に上下動自在に取り付ける工程と、
前記取付台に設けたスイッチ挿入部に前記第2回路基板に設けたスイッチを挿入設置することで前記基台の押圧部に対向する位置に前記スイッチを設置する工程と、
を具備することを特徴とする押釦スイッチ付き回転式電子部品の組み立て方法。
【請求項5】
前記取付台に設けたスイッチ挿入部への前記第2回路基板に設けたスイッチの挿入設置は、
予め前記第2回路基板に取付部材を取り付けておき、この取付部材を取り付けた第2回路基板のスイッチを、取付台に設けた挿入口からスライド挿入することで行うことを特徴とする請求項4に記載の押釦スイッチ付き回転式電子部品の組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−48620(P2007−48620A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232299(P2005−232299)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】