説明

押釦スイッチ

【課題】組立作業時間を短縮することができるとともに、コストの低廉化を図ることができる押釦スイッチを提供する。
【解決手段】押釦スイッチ1は、保持部材2と、保持部材2にプッシュ操作可能に保持され、かつプッシュ操作方向Pと反対の方向のばね力が復帰用スプリング11によって付与され、互いに直交する2つの面内で弾性変形可能なフック4を有してスイッチ動作を実行するためのスイッチ操作部材3と、スイッチ操作部材3のフック4を係止する係止面を有し、保持部材2に一体に形成された係止部材5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押釦スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の押釦スイッチには、部品収容用のケースと、このケースに対してプッシュ操作可能なスライド部材と、このスライド部材をロック状態とする係止ピンと、この係止ピンの移動方向と直交する方向に移動可能な可動部材とを備えたものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
ケースは、部品収容空間を有し、上ケース及び下ケースからなる分割ケースによって形成されている。下ケースには固定端子が取り付けられている。
【0004】
スライド部材は、ハート形カム溝(一部)及び摺動孔を有し、ケースにプッシュ操作可能に配置されている。スライド部材には、固定端子に対応する可動端子が取り付けられている。また、スライド部材には、初期位置に復帰する方向のばね力が復帰用ばねによって付与されている。
【0005】
係止ピンは、略コ字状のロック部材からなり、ケースに保持され、かつハート形カム溝側へのばね力が板ばねによって付与されている。そして、係止ピンは、その溝側端部がスライド部材の第1のプッシュ操作による移動に伴いハート形カム溝上を移動し、ハート形カム溝の係合位置での係合によってスライド部材をロック状態とするように構成されている。また、係止ピンは、ハート形カム溝の係合位置に対する係合状態において、スライド部材の第2のプッシュ操作によってハート形カム溝との係合状態を解除してスライド部材をアンロック状態とするように構成されている。
【0006】
可動部材は、駆動部を有し、スライド部材の摺動孔に移動可能に配置され、かつ駆動部をケース外に露出させる方向のばね力がコイルばねによって付与されている。そして、可動部材は、スライド部材と共にハート形カム溝を形成するように構成されている。
【0007】
以上の構成により、スライド部材を復帰用ばねのばね力に抗してプッシュ操作すると、係止ピンとハート形カム溝との相対位置が変化し、係止ピンが板ばねを支点としてハート形カム溝内を移動する。
【0008】
これにより、係止ピンがハート形カム溝の係合位置で係合され、スライド部材がロック状態とされる。
【0009】
一方、スライド部材をロック状態からプッシュ操作すると、係止ピンがハート形カム溝内を移動し、スライド部材が復帰用ばねによって初期位置に復帰する。
【0010】
このように、スライド部材が往復動作すると、この往復動作に連動して可動端子と固定端子との接触状態が変化して押釦スイッチの切り替えが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−331563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に示す押釦スイッチによると、スイッチ操作部材としてのスライド部材を係止する係止ピンのみならず、係止ピンを移動させてロック状態及びアンロック状態とする機構を必要としていた。この結果、部品点数が嵩み、組立作業に多大の時間を費やすばかりか、コスト高になるという問題があった。
【0013】
従って、本発明の目的は、組立作業時間を短縮することができるとともに、コストの低廉化を図ることができる押釦スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、(1)〜(4)の押釦スイッチを提供する。
【0015】
(1)保持部材と、前記保持部材にプッシュ操作可能に保持され、かつプッシュ操作方向と反対の方向のばね力が復帰用スプリングによって付与され、互いに直交する2つの面内で弾性変形可能なフックを有してスイッチ動作を実行するためのスイッチ操作部材と、前記スイッチ操作部材の前記フックを係止する係止面を有し、前記保持部材に一体に形成された係止部材とを備えた押釦スイッチ。
【0016】
(2)上記(1)に記載の押釦スイッチにおいて、前記係止部材は、前記復帰用スプリングによる前記ばね力を含んで互いに直交する3方向のばね力を受けるばね力受面を前記係止面が有する。
【0017】
(3)上記(1)又は(2)に記載の押釦スイッチにおいて、前記係止部材は、第1のプッシュ操作による前記スイッチ操作部材の往動によって前記フックを案内する第1のガイド面、及び前記第1のプッシュ操作の解除による前記スイッチ操作部材の復動によって前記フックを案内する第2のガイド面を有する。
【0018】
(4)上記(3)に記載の押釦スイッチにおいて、前記係止部材は、第2のプッシュ操作による前記スイッチ操作部材の往動によって前記フックを案内する第3のガイド面、及び前記第2のプッシュ操作の解除による前記スイッチ操作部材の復動によって前記フックを案内する第4のガイド面を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、組立作業時間を短縮することができるとともに、コストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る押釦スイッチの全体を説明するために分解して示す断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る押釦スイッチにおけるスイッチ操作部材のフックを説明するために示す斜視図。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る押釦スイッチにおけるスイッチ操作部材のフックの動作を説明するために示す正面図と側面図。(a)は正面図を、また(b)は側面図をそれぞれ示す。
【図4】本発明の実施の形態に係る押釦スイッチにおけるスイッチ操作部材の係止状態を示す斜視図。
【図5】本発明の実施の形態に係る押釦スイッチの係止部材を説明するために示す斜視図。
【図6】(a),(b)及び(c)は、本発明の実施の形態に係る押釦スイッチにおける係止部材を説明するために示す平面図,正面図及び側面図。(a)は平面図を、(b)は正面図を、また(c)は側面図をそれぞれ示す。
【図7】(a)〜(i)は、本発明の実施の形態に係る押釦スイッチの動作を説明するために概略化して示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施の形態〕
以下、本発明の実施の形態に係る押釦スイッチにつき、図面を参照して説明する。
【0022】
(押釦スイッチの全体構成)
図1は押釦スイッチを示す。図1に示すように、押釦スイッチ1は、下ケースを形成する保持部材2と、この保持部材2に嵌合してスイッチ動作を実行するための上ケースを形成するスイッチ操作部材3と、このスイッチ操作部材3のフック4を係止する係止部材5とを備え、自動車搭載用のECU(Electronic Control Unit:図示せず)を介して例えばハザードランプ(図示せず)に接続されている。
【0023】
そして、押釦スイッチ1は、スイッチ操作部材3を第1のプッシュ操作の解除で所定の位置に係止してスイッチオン状態とし、続く第2のプッシュ操作でスイッチ操作部材3の係止状態を解除してスイッチオフ状態とするセルフロック型のスイッチとして機能するように構成されている。
【0024】
(保持部材2の構成)
保持部材2は、回路基板6を内蔵し、底面を突出するスプリング位置決め用の凸部7を有し、全体が図1において上方に開口する例えばPC(ポリカーボネート)樹脂などのプラスチック材料からなる略角形箱状の成形体によって形成されている。
【0025】
保持部材2には、スイッチ操作部材3をプッシュ操作方向P及びその反対の方向に案内するための凹部2a、及び側方に開口する型抜き用孔2bが設けられている。また、保持部材2には、回路基板6に接続する外部接続用端子8が挿通されている。
【0026】
回路基板6には、保持部材2の開口面に対向する固定端子9、及びこの固定端子9と共にスイッチ素子を構成する弾性変形可能な可動端子10が配置されている。また、回路基板6には、押釦スイッチ1のスイッチオンによって点灯し、かつそのスイッチオフによって消灯する発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)素子(図示せず)が実装されている。
【0027】
(スイッチ操作部材3の構成)
スイッチ操作部材3は、本体部3a及び窓部3bを有し、保持部材2にプッシュ操作可能に保持され、かつプッシュ操作方向Pと反対方向のばね力が復帰用スプリング11によって付与され、全体が図1において下方に開口する例えば着色PC樹脂及び透明PC樹脂などのプラスチック材料からなる略角形箱状の2色成形体によって形成されている。
【0028】
そして、スイッチ操作部材3は、初期位置から第1のプッシュ操作で往動して固定端子9に可動端子10を接触させ、スイッチオン動作を実行するように構成されている。その後、スイッチ操作部材3は、第1のプッシュ操作の解除で復動して固定端子9と可動端子10との接触状態を維持しつつ係止部材5に係止される。また、スイッチ操作部材3は、スイッチオン動作状態から第2のプッシュ操作で往動してスイッチオフ動作を実行するとともに、係止部材5との係止状態を解除するように構成されている。その後、スイッチ操作部材3は、第2のプッシュ操作の解除で復動して固定端子9から可動端子10を離間させ、初期位置に復帰する。
【0029】
復帰用スプリング11は、スプリング位置決め用の凸部7に位置決めされ、かつ保持部材2の底面とスイッチ操作部材3の内面との間に介在して配置されている。
【0030】
スイッチ操作部材3には、凹部2aに嵌合する凸部3c、及び可動端子10を固定端子9に圧接可能なスイッチ押圧部3dが一体に設けられている。また、スイッチ操作部材3には、互いに直交する2つの仮想面内で弾性変形可能なフック4が一体に設けられている。
【0031】
図2はスイッチ操作部材のフックを示す。図3(a)及び(b)はスイッチ操作部材及び係止部材を示す。図2に示すように、フック4は、互いに対向する一対のフィンガー部4a、これら一対のフィンガー部4aを連結する連結部4b、この連結部4bに所定の間隔をもって対向して一対のフィンガー部4aから突出する一対の爪部4c、及びこれら一対の爪部4cと一対のフィンガー部4aとの間に介在する一対の補強部4dを有し、スイッチ操作部材3の内面に一体に設けられている。
【0032】
そして、フック4は、一方の仮想面内において、図3(a)に実線で示すように各爪部4cの先端が互いに離間する方向(矢印a方向)に弾性変形するとともに、図3(a)に二点鎖線で示すように各爪部4cの先端が互いに接近する方向(矢印a方向)に弾性復帰するように構成されている。また、フック4は、他方の仮想面内において、図3(b)に二点鎖線で示すように矢印b方向に弾性変形するとともに、図3(a)に実線で示すように矢印b方向に弾性復帰するように構成されている。
【0033】
(係止部材5)
図4は係止部材へのスイッチ操作部材の係止状態を示す。図5及び図6(a)〜(c)は係止部材を示す。図4,図5及び図6(a)〜(c)に示すように、係止部材5は、本体部12及び係止部13を有し、保持部材2の底面に一体に形成されている。
【0034】
本体部12は、スイッチ組立時に爪部4cを案内するスイッチ組立用の第1のガイド面14、及びスイッチ動作時に爪部4cを案内するスイッチ組立用の第2のガイド面15を有し、係止部材5の厚さ方向一方側に配置されている。
【0035】
スイッチ組立用の第1のガイド面14は、所定の曲率をもつ曲面14a、一対の爪部4cからx方向のばね力を受ける垂直面14b、及び曲面14aから保持部材2の型抜き用孔2b側に向かって下る勾配をもつ傾斜面14cによって形成されている。ここで、「勾配」は保持部材2の底面に対する傾きとする。
【0036】
スイッチ組立用の第2のガイド面15は、スイッチ組立用の第1のガイド面14の垂直面14bに隣接して保持部材2の型抜き用孔2bとは反対側に向かって下る勾配をもつ傾斜面15a、この傾斜面15aの勾配よりも急な勾配をもつ傾斜面15b、及びこの傾斜面15bに隣接する垂直面15cによって形成されている。
【0037】
係止部13は、スイッチ動作時に爪部4cを案内するスイッチ動作用の第1のガイド面16〜第4のガイド面19、及び爪部4cを係止する係止面20を有し、係止部材5の厚さ方向他方側に配置されている。そして、係止部13は、全体が本体部12側から保持部材2の型抜き用孔2bに向かって上る段状面13a〜13cを有する段状部材によって形成されている。また、係止部13は、幅寸法が本体部12側から保持部材2の型抜き用孔2bに向かって漸次小さくなる寸法に設定されている。これにより、係止部材5が一体化された保持部材2を例えば射出成形用金型によって成形する場合に型抜きを容易に行うことができる。
【0038】
スイッチ動作用の第1のガイド面16は、スイッチ操作部材3を初期(スイッチ動作開始)位置からプッシュ操作方向に案内する曲面16a、及びこの曲面16aに隣接する垂直面16b、この垂直面16bから保持部材2の底面に向かって下る勾配をもつ傾斜面16c、及びこの傾斜面16cに隣接する垂直面16dを有し、スイッチ組立用の第1のガイド面14とスイッチ動作用の第2のガイド面17との間に介在して配置されている。そして、スイッチ動作用の第1のガイド面16は、第1のプッシュ操作によるスイッチ操作部材3の往動によって爪部4cを初期位置からプッシュ操作方向Pに案内するように構成されている。
【0039】
スイッチ動作用の第2のガイド面17は、第1のガイド面16の垂直面16d,段状面13aに隣接する垂直面17a、及び段状面13bに隣接して垂直面17aから係止面20に向かって上る勾配をもつ傾斜面17bを有し、スイッチ動作用の第1のガイド面16と係止面20との間に介在して配置されている。そして、スイッチ動作用の第2のガイド面17は、第1のプッシュ操作の解除によるスイッチ操作部材3の復動によって爪部4cをスイッチ動作用の第1のガイド面16からプッシュ操作方向Pと反対の方向に案内するように構成されている。
【0040】
スイッチ動作用の第3のガイド面18は、係止面20から保持部材2の底面に向かって下る勾配をもつ傾斜面18a、及びこの傾斜面18a,段状面13aに隣接する垂直面18bを有し、係止面20とスイッチ動作用の第4のガイド面19との間に介在して配置されている。そして、スイッチ動作用の第3のガイド面18は、第2のプッシュ操作によるスイッチ操作部材3の往動によって爪部4cを係止位置からプッシュ操作方向Pに案内するように構成されている。
【0041】
スイッチ動作用の第4のガイド面19は、第3のガイド面18の垂直面18b,係止面20,スイッチ組立用の第2のガイド面15に隣接する垂直面19a、及びこの垂直面19aからスイッチ組立用の第1のガイド面14に向かって上る勾配をもつ傾斜面19bを有し、スイッチ動作用の第3のガイド面18とスイッチ組立用の第1のガイド面14との間に介在して配置されている。そして、スイッチ動作用の第4のガイド面19は、第2のプッシュ操作の解除によるスイッチ操作部材3の復動によって爪部4cをスイッチ動作用の第3のガイド面18からプッシュ操作方向Pと反対の方向に案内するように構成されている。
【0042】
係止面20は、爪部4cの係止状態において、復帰用スプリング11(図1に示す)によるばね力を含んで互いに直交する3方向x,y,zのばね力を受けるばね力受面20a,20b,20cを有し、スイッチ動作用の第2のガイド面17とスイッチ動作用の第3のガイド面18との間に配置されている。そして、係止面20は、ばね力受面20aが復帰用スプリング11からスイッチ操作部材3(爪部4c)を介してz方向のばね力を、ばね力受面20bが爪部4cからy方向のばね力を、またばね力受面20cが爪部4cからばね力をそれぞれ受けて爪部4cを係止するように構成されている。
【0043】
このように構成された押釦スイッチ1の組み立ては、予め回路基板6等が取り付けられ、かつ復帰用スプリング11が位置決めされた保持部材2の凹部2aにスイッチ操作部材3の凸部3cを嵌合させた後、保持部材2にスイッチ操作部材3をプッシュ操作方向Pに沿って押し込むことにより行われる。このため、保持部材2に対するスイッチ構成部品の組み付け方向がプッシュ操作方向Pと一致することになり、押釦スイッチ1の組み立てを容易に行うことができる。
【0044】
(押釦スイッチ1の動作)
次に、本実施の形態に示す押釦スイッチの動作につき、図7(a)〜(i)を用いて説明する。図7(a)〜(i)は押釦スッチの動作状態を示す。押釦スイッチ1の動作は、「第1のプッシュ操作」,「第1プッシュ操作の解除」,「第2のプッシュ操作」及び「第2のプッシュ操作の解除」の各動作が順次実施されるため、これら各動作を順次説明する。
【0045】
「第1のプッシュ操作」
第1のプッシュ操作によってスイッチ操作部材3(図1に示す)を復帰用スプリング11(図1に示す)及びスイッチ操作部材3のばね力に抗してプッシュ操作方向Pに往動させる。この場合、スイッチ操作部材3が往動すると、この往動動作に伴い爪部4cが図7(a)に示す初期位置からプッシュ操作方向Pに移動し、図7(b)に示すスイッチ動作用の第1のガイド面16を介して図7(c)に示す中間位置に到達する。
【0046】
「第1のプッシュ操作の解除」
第1のプッシュ操作の解除によってスイッチ操作部材3をプッシュ操作方向Pと反対の方向に復動させる。この場合、スイッチ操作部材3が復動すると、この復動動作に伴い爪部4cが図7(c)に示す中間位置からプッシュ操作方向Pと反対の方向に移動し、スイッチ動作用の第2のガイド面17(垂直面17a)及び図7(d)に示すスイッチ動作用の第2のガイド面17(傾斜面17b)を介して図7(e)に示す係止位置に到達する。この際、爪部4cが図7(e)に示す係止位置において係止面20(ばね力受面20a〜20c)によって係止され、可動端子10及び固定端子9(共に図1に示す)が接触による導通によってスイッチオン状態となる。すなわち、爪部4cがばね力受面21a〜21cによって互いに直交する3方向に位置決めされ、押釦スイッチ1がスイッチオン状態となる。
【0047】
「第2のプッシュ操作」
第2のプッシュ操作によってスイッチ操作部材3を復帰用スプリング11及びスイッチ操作部材3のばね力に抗してプッシュ操作方向Pに往動させる。この場合、スイッチ操作部材3が往動すると、この往動動作に伴い爪部4cが図7(e)に示す係止位置からプッシュ操作方向Pに移動し、図7(f)に示すスイッチ動作用の第3のガイド面18を介して図7(g)に示す中間位置に到達する。この際、爪部4cが図7(e)に示す係止位置から離間して係止状態が解除される。
【0048】
「第2のプッシュ操作の解除」
第2のプッシュ操作の解除によってスイッチ操作部材3をプッシュ操作方向Pと反対の方向に復動させる。この場合、スイッチ操作部材3が復動すると、この復動動作に伴い爪部4cが図7(g)に示す中間位置からプッシュ操作方向Pと反対の方向に移動し、図7(h)に示すスイッチ動作用の第4のガイド面19(垂直面19a)及び図7(i)に示すスイッチ動作用の第4のガイド面19(傾斜面19b)を介して図7(a)に示す初期位置に復帰する。また、可動端子10が固定端子9から離間し、押釦スイッチ1がスイッチオフ状態となる。
【0049】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0050】
部品点数を削減することができ、組立作業時間を短縮することができるとともに、コストの低廉化を図ることができる。
【0051】
以上、本発明の押釦スイッチを上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0052】
(1)上記実施の形態では、係止部13が係止面13a〜13cを有する3段の段状部材によって形成され、単一のスイッチ(オン・オフ)動作が行われる構成について説明したが、本発明はこれに限定されず、係止部の段数を増加して複数のスイッチ(オン・オフ)動作を行う構成とすることが可能である。
【0053】
(2)上記実施の形態では、保持部材2及びスイッチ操作部材3がPC樹脂によって形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばABC(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂,POM(ポリアセタール)樹脂など他の合成樹脂によって保持部材及びスイッチ操作部材を形成してもよい。
【0054】
(3)上記実施の形態では、ハザードランプに適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の電子部品にも上記実施の形態と同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…押釦スイッチ、2…保持部材、2a…凹部、2b…型抜き用孔、3…スイッチ操作部材、3a…本体部、3b…窓部、3c…凸部、3d…スイッチ押圧部、4…フック、4a…フィンガー部、4b…連結部、4c…爪部、4d…補強部、5…係止部材、6…回路基板、7…凸部、8…外部接続用端子、9…固定端子、10…可動端子、11…復帰用スプリング、12…本体部、13…係止部、13a〜13c…段状面、14…スイッチ組立用の第1のガイド面、14a…曲面、14b…垂直面、14c…傾斜面、15…スイッチ組立用の第2のガイド面、15a…傾斜面、15b…傾斜面、15c…垂直面、16…スイッチ動作用の第1のガイド面、16a…曲面、16b…垂直面、16c…傾斜面、16d…垂直面、17…スイッチ動作用の第2のガイド面、17a…垂直面、17b…傾斜面、18…スイッチ動作用の第3のガイド面、18a…傾斜面、18b…垂直面、19…スイッチ動作用の第4のガイド面、19a…垂直面、19b…傾斜面、20…係止面、20a〜20c…ばね力受面、P…プッシュ操作方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部材と、
前記保持部材にプッシュ操作可能に保持され、かつプッシュ操作方向と反対の方向のばね力が復帰用スプリングによって付与され、互いに直交する2つの面内で弾性変形可能なフックを有してスイッチ動作を実行するためのスイッチ操作部材と、
前記スイッチ操作部材の前記フックを係止する係止面を有し、前記保持部材に一体に形成された係止部材と
を備えた押釦スイッチ。
【請求項2】
前記係止部材は、前記復帰用スプリングによる前記ばね力を含んで互いに直交する3方向のばね力を受けるばね力受面を前記係止面が有する請求項1に記載の押釦スイッチ。
【請求項3】
前記係止部材は、第1のプッシュ操作による前記スイッチ操作部材の往動によって前記フックを案内する第1のガイド面、及び前記第1のプッシュ操作の解除による前記スイッチ操作部材の復動によって前記フックを案内する第2のガイド面を有する請求項1又は2に記載の押釦スイッチ。
【請求項4】
前記係止部材は、第2のプッシュ操作による前記スイッチ操作部材の往動によって前記フックを案内する第3のガイド面、及び前記第2のプッシュ操作の解除による前記スイッチ操作部材の復動によって前記フックを案内する第4のガイド面を有する請求項3に記載の押釦スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−99241(P2012−99241A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243674(P2010−243674)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】